説明

事故を回避する方法及びシステム

規定エリア内の移動物体間の望ましくない出来事を回避する方法及びシステムは、物体に設置されている測位手段から受信されるデータ、及び監視対象物体からの音データとの組合せを使用することによって物体のオーバービューを確立することを含む。受信データから、将来予測される位置を計算し、必要な場合には警告を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故の回避を目的として物体を監視することに関する。より詳細には、本発明は、位置及び予想される移動の監視に基づいて航空機同士の事故及び空港での航空機と車両との事故を回避する方法及びシステムを記載する。
【背景技術】
【0002】
空港での航空機と車両との事故は珍しくなく、滑走路侵入として知られている。この用語は、衝突の危険を生じさせるか、又は航空機の離陸若しくは着陸を妨げるサービス妨害をもたらす、航空機、車両、人、又は物体が関わる空港での望ましくないあらゆる出来事として定義される。
【0003】
RIASコンセプト(滑走路侵入回避システム)(Runway Incursion Avoidance System)として説明される本発明は、空港での望ましくない出来事の回避を目的とするシステムに関する。
【0004】
空港での様々な物体同士の事故は大きな問題であり、航空の歴史の中で最大級の事故のうちのいくつかの原因となっている。同時に、このような多くのニアミスが世界中で毎日発生している。米国だけでも、1997年から2000年までに、滑走路侵入として分類された事故が約1500件あった。
【0005】
このようなニアミスには多くの原因がある。言及することができる原因としては、複雑な誘導路を有する空港のレイアウト、標識、照明、及び分かりにくいことがある飛行場マーキングが含まれる。さらに、離発着量の増大は滑走路侵入の危険性を増大させる。制御の大半は視覚的に実行されるため、天気状況及び視界も影響を与える。空港での工事作業は、空港周辺で運転する訓練を受けていない、又は経験のない運転者の車両が存在することの一因であり得る。
【0006】
滑走路侵入への対処は、国際航空において最優先される分野の1つである。本発明の主な目的は、この問題を解消する完全なシステムを供給することである。
【0007】
上述したように、空港でのニアミス及びいわゆる滑走路侵入は多大な注目を集めている。最も近い従来技術は、望ましくない切迫した出来事の評価に含められるべきすべての物体に配置されるユニットを使用することを含む。
【0008】
特許文献1は、滑走路侵入の警告を提供する方法及び装置の一例を教示している。このシステムは、空港を使用する航空機内の専用警告ユニットの存在に基づく。システムは、GPSからの位置特定及び/又は航空機自体のマップトラッキングシステムにさらに基づく。このようにして、航空機のパイロットに、航空機が保護ゾーン内に入ったことを警告することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第03/107299号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実際には、システム全体が満足のいくように安全に働くには、空港を使用するすべての航空機が専用警告ユニットを有さなければならないこのようなシステムを実施することは困難である。これは、RIASシステムの実施に関連する大半の空港では、航空交通が国際的であり、世界中からの多くの異なる種類の航空機が存在するためである。さらに、このシステムは、望ましくない出来事を発生させ得る空港にある他の車両を考慮しない。
【0011】
今日の従来のトラッキングシステムのうちの多くのシステムの欠点は、ロジックがクライアントに配置されること、すなわち物体は独立しており、より大きなシステムで監視することができないことである。したがって、この解決策は、物体同士の関係を処理するロジックを実行することができない。
【0012】
従来のシステムでは、例えば、物体間の危険な状況を検出する物体間規則を設定することは不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、既知のシステムのこの及び上述した欠点に対処する。物体間規則を含む機能を有するシステムによって、互いに関連して衝突コースにいる1つ又は複数の物体から生じる危険な状況を予測することが可能になる。
【0014】
さらに、本発明は、位置を決定及び報告するために、監視対象のすべての物体にそれ自体の測位手段を備えることに依存しない。それに代えて、元々空港に属する物体のみにこのような手段が備えられ、元々空港に属する物体のみが位置を中央ユニットに報告し、一方で元々空港に属さない物体の位置は、好ましくは航空機が発する音を記録することによって見つけられる。
【0015】
したがって、システムは、元々空港に属さず、システムのユーザとして登録されていない、すなわちそれ自体の測位手段を備えていない車両の移動も検出することが可能である。したがって、例えば、空港エリア内に侵入した車両の移動を検出することが可能である。
【0016】
中央ユニットはすべての情報を収集し、監視対象物体の移動の画像を形成し、危険な状況が差し迫っている場合には必要な警告を発する。
【0017】
本発明は、規定エリア内の移動物体間の望ましくない出来事を回避する方法及びシステムを説明する。
【0018】
当該方法は、中央ユニットにおいて実行される次のステップ、
測位手段を設置し、規定エリア内に配置される物体の位置情報を含むオーバービューを確立するステップであって、測位手段は物体の位置を報告するステップと、
物体からの生成される音像の記録及び解釈に基づいて、測位手段を設置していない物体の位置情報のオーバービューを確立するステップと、
異なる物体の移動のオーバービューを確立するために、すべての物体からの位置情報を連続的に更新するステップと、
移動から異なる物体の将来の方向及び速度を計算するステップと、
望ましくない出来事が発生し得ると予測することができることを意味する方向及び速度で移動する物体についての連続的な計算をさらに行うステップと、
望ましくない出来事が発生する前に、危険な方向及び速度を有する物体に対して必要な対策を行うことができるように、警告を提供するステップと、
を含む。
【0019】
移動物体は、好ましくは車及び航空機であり、規定エリアは好ましくは空港エリアである。
【0020】
上記中央ユニットは、測位手段を備えている物体から位置情報を含む信号を受信すると共に、測位手段を備えていない物体から音像を記述する信号を受信するサーバである。
【0021】
中央ユニットの信号は、好ましくは、WLAN及び/又はGPRSを介して受信される。
【0022】
警告は、中央ユニットが、望ましくない出来事に関わり得る1つ又は複数の物体によって受信及び解釈することができる無線信号を発するということで提供される。
【0023】
規定エリア内の移動物体間の望ましくない出来事を回避するシステムは、システムに登録されている物体に設置される測位手段と、測位手段を設置していない物体からの音を記録及び解釈する手段と、望ましくない出来事が発生し得る前に物体の運転手に警告する手段とを備える。
【0024】
システムは、測位手段、音を記録及び解釈する手段、並びに警告手段に信号接続される中央ユニットをさらに備え、中央ユニットは、該当エリア内の物体についての情報を含む信号を受信し、信号処理し、解釈する手段を有し、中央ユニットは、警告を警告手段に提供する手段をさらに有する。
【0025】
好ましい実施の形態では、システムは、それぞれの位置を中央ユニットに送信する送信器を有するGPS受信器の形態の測位手段を有する。
【0026】
音を記録する手段は1つ又は複数のマイクロホンであり、音を解釈する手段は信号処理ユニットであり、システムへの上記信号接続はWLAN及び/又はGPRSネットワークの形態である。
【0027】
規定エリアに属する物体に向けての警告手段は、物体に搭載される別個のユニットに向けて生成され、警告は、好ましくはWLAN及び/又はGPRSを介して送信される警告信号を使用して音響的及び視覚的の両方で生成される。
【0028】
代替的に、中央ユニットから警告手段への警告信号は、携帯電話ネットワーク又はVHF等の他の通信チャネルを介しての自動ダイアルアップによって送信することができる。
【0029】
システムは、規定エリア内のすべての物体の移動をリアルタイムで視覚化するGIS(地理情報システム)ベースのインタフェースも備えてもよい。簡潔に、GISは、地理関連データを処理する情報システムとして説明することができる。
【0030】
方法及びシステムは、添付の一組の請求項においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】システムの全体構造を示す図である。
【図2】データ伝送の冗長性にどのように処理するかを示す図である。
【図3】位置の品質保証がどのように実行されるかを示す図である。
【図4】物体を登録するインタフェースの一例を示す図である。
【図5】物体及び逸脱を監視するユーザインタフェースを示す図である。
【図6】重大なずれを警告するユーザインタフェースを示す図である。
【図7】ずれ解析及び履歴のユーザインタフェースを示す図である。
【図8】好ましいユーザインタフェースを3Dで示す図である。
【図9】計算ゾーン及び安全ゾーンを示す図である。
【図10】サウンドデータを収集する典型的なセットアップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的は、位置記録手段(GPS)、音響、及び高度3Dグラフィックスの組合せを使用することによって空港での事故を回避することである。
【0033】
音響の使用はいくつかの理由によって選ばれている。技術及びハードウェアは、高度サウンドシグネチャのリアルタイム解釈が可能なほど大きく進歩した。音信号を解釈することによって、航空機の種類、及び航空機が着陸中であるか又は離陸中であるかを検出することが可能であると共に、間違った場所でのエンジンの高速回転等の事故の兆候を事故が発生する前に検出することが可能である。さらに、音響は、航空機へのいかなる形態の技術の設置も必要とせず、航空機内のルーチンに対する影響もない。音響はGPS技術を補うものである。
【0034】
本発明によるシステムは、既存の空港システム、インフラ、航空機機器、及びコックピットルーチンを妨害せずに事故を最適に回避することが可能である。
【0035】
システムは、空港エリアの車両の移動並びに誘導路及び滑走路上の航空機の移動を監視する。この種の監視は、システムが望ましくない出来事を予測すると共に、警告を発することが可能なことを意味する。システムは、車両を登録すると共に、関連車両についてアクティブ化可能又は非アクティブ化可能な「ジオフェンス」の形態のアクセス制御を各車両に設定する機能を有する。システムにおいて、ずれ出来事(deviation incident)を再生して再度表示することができるように、ずれ出来事の自動記憶を実施することができる。
【0036】
本発明について図を参照してより詳細に後述する。
【0037】
図1は、画定エリア内の移動物体間の望ましくない出来事を回避する本発明によるシステムの全体構造を示す。
【0038】
図から、測位手段200が物体、この場合、車250に設置されていることが見て取れる。測位手段200は、通常、信号を衛星275から受信するGPSと、それ自体の位置を送信する手段とを含む。システムは、測位手段200を設置していない物体、この場合では航空機350からの音を記録及び解釈する音記録手段300をさらに備える。車250は、望ましくない出来事が発生する前に運転手に警告する警告手段(図示せず)も有する。
【0039】
中央ユニットは論理サーバ100として示され、測位手段200及び音記録手段300に信号接続される。論理サーバ100は、位置データ及び音データを測位手段200及びサウンド記録手段300から直接受信して、このデータを処理することができる。論理サーバ100は、RIASクライアント150として示されるクライアントから制御される。
【0040】
図1に示される好ましい実施形態では、測位サーバ400が論理サーバ100と測位手段200との間に配置される。さらに、音響解析サーバ500が、音記録手段300と測位サーバ400との間に配置される。
【0041】
論理サーバ100内には、該当エリア内の物体から位置情報を含む信号を受信し、信号処理し、解釈する手段がある。異なる物体の権利及び規則がチェックされる。論理サーバ100は、計算によって異なる物体の移動を解釈し、その解釈に基づいて危険な状況を予測し、必要であれば、好ましくは測位手段200が設置されている、関わる移動体に警告を送信する。該当する移動体は、システムに登録されており、自身の位置についての情報を送信する送信手段及び切迫した望ましくない出来事の警告を受信する受信手段が備えられている車両である。
【0042】
測位手段200が設置されている車両の登録は、このために適合されたソフトウェアを実行しているクライアントであるRIASクライアント150を介して実行される。RIASクライアント150は、状況の現実的で忠実な再現を提供する3Dインタフェースで移動及び出来事を視覚化する。
【0043】
したがって、論理サーバ100は、所与の時刻に規定エリア内にある車両のオーバービュー及びこれらの車両の常時ロケーションを常時有することになる。
【0044】
論理サーバ100は、警告手段を備えている車両に警告を提供する手段も備える。
【0045】
本発明の本質は、論理サーバ100、測位手段200、及び音記録手段300の間の対話である。論理サーバ100はこの対話を制御する。
【0046】
論理サーバ100は、好ましくは測位サーバ400を介して測位手段200から信号を受信する。論理サーバ100はまた、好ましくは音響解析サーバ500及び測位サーバ400を介して音記録手段300からも信号を受信する。この種のセットアップを使用する場合、論理サーバは、望ましくない出来事に関して査定されるべき関連物体のみから位置データを受信する。
【0047】
以下において本発明の動作モードについて簡潔に説明する。次いで、より詳細な説明を以下の例において与える。
【0048】
システムのすべてのロジック及び制御は、好ましくは、論理サーバ100内で実行される。まず、監視対象エリアが規定される。これは例えば、空港の誘導路と滑走路との間の移行をカバーするエリアであり得る。
【0049】
次に、測位手段200が設置され、規定エリア内に設置されるすべての物体、典型的には様々な種類の車250の位置情報のオーバービューが確立される。同時に、物体からの生成される音像の記録及び解釈に基づいて、測位手段200を設置していない物体、典型的には航空機350の位置情報のオーバービューが確立される。
【0050】
すべての物体からの位置情報は、様々な物体の移動のオーバービューを有するために、論理サーバ100内で連続的に更新され、望ましくない出来事が発生する可能性が高いように見えることを意味する方向及び速度で移動中の物体について連続的な計算が行われる。
【0051】
望ましくない出来事がまさに起ころうとしている場合、警告が生成され、それによって、危険な状況が生じる前に、危険な方向及び速度を有する1つ又は複数の物体に対して必要な方策を実施することができる。
【0052】
論理サーバ100、測位手段200、音記録手段300、測位サーバ400、及び音響解析サーバ500の間の情報の流れは、好ましくは、無線WLAN450及び有線イーサネット(登録商標)475等を介して渡される。システムの冗長性を向上させるために、万が一WLANが故障した場合、GPRSネットワーク425を介して信号を伝送することができる。したがって、好ましいシステムは、WLANとGPRSとのシームレスな遷移を処理するルータも備える。
【0053】
望ましくない出来事を回避するために停止すべきか、又はコースを変更すべきである車両の警告は、論理サーバ100が信号、好ましくは無線信号を該当する1台又は複数台の車両に発することによって生成される。車両には、ずれメッセージをアラームで中継する警告灯及びラウドスピーカの両方が搭載され得る。PDAを使用してもよく、又は空港でのそれ自体の及び他の移動を示す固定機器を搭載してもよい。
【0054】
図2は、極めて重要な、システム内のデータ伝送の冗長性にどのように処理するかを示す。最適な構成は、WLAN450を使用し、WLANダウンタイム時のバックアップチャネルとしてGPRS425を使用する。位置はWLANを介して秒間隔で報告されるため、位置報告がリアルタイムデータとみなされ、したがって、WLAN内で最高優先度が付与されることを考慮すべきである。特に、同じWLANが一般に使用される場合、これは重要である。GPRSはWLANに対して時間遅延を有し、これは重大であり、バックアップチャネル(GPRS)に遷移する際、任意の時間遅延に対して同じ保証及び制御がないため、ずれ時の全物体への安全マージンが自動的に延長される。
【0055】
図3は、位置の品質保証がどのように実行されるかを示す。今日のGPSは一般に高品質であるが、カバレージは不十分である場合があり、これは位置ずれを意味する。移動のリアルタイム監視に基づく厳密な位置がシステム内で必要である。ずれは、システム信頼性の欠如をもたらす、1秒以内の数十mの非合理な移動を意味する。このようなずれを回避するために、システムは、受信する各位置登録に対してその正確性を検証及び補正する能力を有しなければならない。
【0056】
本発明は、実際には厳密に既知の位置を有する静的GPS225である1つ又は複数の補正GPSを確立することによってこれを処理する。補正GPSからのずれは、移動GPSの補正のベースを成す。
【0057】
次に、測位サーバは、位置データを静的GPS225、及び車両250内に配置されている測位手段200内のGPSの両方から受信する。したがって、ずれを測位サーバ400内で検出し、補正データ410の形態の補正を位置データベース420において実施することができる。
【0058】
実際、これは、測位サーバ400が移動測位手段200から位置を受信及び登録する前に、静的補正GPS225からの位置が測位サーバ400に受信及び登録されるということで行われる。補正GPS225からの位置は測位サーバ400で受信され、既知の実際位置に対してチェックされる。あらゆるずれが計算され、補正データベース410に記録される。移動測位手段200内のGPSからの位置は、計算されたずれに従って調整される。
【0059】
図4は、物体を登録するためのインタフェースの一例を示す。インタフェースは、1つ又は複数のRIASクライアント150にインストールされる。インタフェースは自明であり、ユーザ、すなわち登録エリアに一時的なアクセス又は時間制御されたアクセスを有し得るトラッキング可能なGPSユニットの高速確立を保証する。
【0060】
図5は、物体及びずれを監視するユーザインタフェースを示す。インタフェースは、システムに登録されているすべての車のオーバービュー、及び関連付けられる機能と共にそれらの状態を示す。権利が関連付けられる登録エリア、いわゆる「ジオフェンス」も示される。ジオフェンスは予め規定することができ、動的なジオフェンスを、例えば移動中の航空機のエリアの周囲に確立することができる。ジオフェンス内の車両の状態及び車両の数が示される。ジオフェンスを単純に開閉する機能もある。最後に、図中のインタフェースは、深刻度の異なる警告メッセージを示す。
【0061】
図6は、危険なずれを警告するユーザインタフェースを示す。システムのオペレータに、望ましくない出来事に関わり得る物体が視覚的に示される。該当する出来事にフォーカスされ、該当する物体には推定される描画ルートが続き、1秒間隔で変更される。車への警告及び通信は、1回の打鍵で確立することができる。
【0062】
図7は、ずれ解析及び履歴のユーザインタフェースを示す。通常、ずれと評価される出来事が表示及び記憶される。次に、該当する出来事を再生することによってずれを再構成して示すことができる。実際のずれ出来事が発生する前に提示をどの程度の時間監視すべきかを選択することが可能である。
【0063】
図8は、3Dでの好ましいユーザインタフェースを示す。3Dインタフェースは、状況の現実的で忠実な再現を与える。このようなインタフェースは、ユーザが異なる仮想カメラ角度からの異なる視点を選択することができることを意味する。すべての物体を正しい方向及び視点から見て、ずれにすぐにフォーカスすることができるため、インタフェースは合理的である。
【0064】
図9は、物体間の関係を計算する方法を示す基本的な図である。この図は、GPS又はWLANでのずれに関連して計算ゾーン及び安全ゾーンを示す。内側の円は、正常計算エリアを示し、破線で描かれる円は、GPS又はWLANでの登録されたずれ事象時の計算エリアを示す。計算エリア内の物体のみが評価に含められる。
【0065】
Aは、計算が関連する実際の物体を示す。
Bは、規定エリア、すなわちクリアランスゾーン内にあるが、危険な移動をしていない物体を示す。
Cは、規定エリア内にあり、危険な移動をしている物体を説明する。
Dは、計算エリア外の物体を示す。
Eは、物体がすでに辿った実際の距離を示す破線である。
破線Fは、2つの物体間のクリティカルラインを使用して物体の計算された移動を示す。将来の移動の計算(位置、速度、方向、加速度/減速度)は履歴に基づく。
Gは、該当物体Aと危険ではない関係を有する物体の計算された移動を示す。
【0066】
個々の物体及びジオフェンスに関連付けられる物体関係の規則及び限界値によって、上記に基づいて物体間の危険な関係(例えば、物体間の起こり得る衝突点)を予測することが可能である。
【0067】
物体間の限界値を超える場合、システムに自動的に出来事が生成される。出来事は、その深刻度に基づいて等級付けされる。様々な種類の警告等のユーザ定義される動作を、出来事に関連して自動的に実行することができる。
【0068】
図10は、滑走路上の音データを収集するための典型的なセットアップを示す。これは、動作モードを説明するために一例としての役割を果たすことを意図されている、提案される構造である。
【0069】
複数のマイクロホン300が滑走路に配置される。マイクロホン300からの信号は、同期・解析ユニット305に収集される。監視及び記録は、特定の種類の音、例えば航空機の音によって開始される。位置が既知である個々の各マイクロホンからの音の組合せから、航空機の種類が識別され、位置が見つけられる。音響解析サーバ500が、データをすべての同期・解析サーバ305から収集し、そのデータを、物体種類及び位置を測位サーバ400に送信するために変換する。
【0070】
上述したように、本発明の本質は、音データと位置データとを組み合わせて、選択されたエリア内の、測位手段を備えている物体及びそのような手段を備えていない物体の両方の全種類の物体の位置及び予測される移動を決定することができるようにすることである。
【0071】
当業者にとっては、このようなシステムを実施する多くの異なる方法があることが明らかである。実際の発明は独立請求項に記載されており、上記説明から見て取れる実施態様は、これをどのように解決することができるかの一例として意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
規定エリア内の移動物体間の望ましくない出来事を回避する方法であって、該方法は、中央ユニットにおいて実行される次のステップ、
−測位手段(200)を設置し、前記規定エリア内に配置される物体の位置情報を含むオーバービューを確立するステップであって、該測位手段(200)は前記物体の位置を報告するステップと、
−前記物体からの生成される音像の記録及び解釈に基づいて、測位手段を設置していない物体の位置情報のオーバービューを確立するステップと、
−異なる前記物体の移動のオーバービューを確立するために、すべての物体からの前記位置情報を連続的に更新するステップと、
−前記移動から前記異なる物体の将来の方向及び速度を計算するステップと、
−望ましくない出来事が発生し得ると予測することができることを意味する方向及び速度で移動中の物体についての連続的に計算をさらに行うステップと、
−望ましくない出来事が発生し得る前に、危険な方向及び速度を有する1つ又は複数の物体に対して必要な対策を行うことができるように、警告を提供するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記位置情報のオーバービューは、必要であれば、測位手段が設置されている物体から報告された前記位置を補正することができるように、固定静止測位手段からの位置情報を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記移動物体は車(250)及び航空機(350)であり、前記規定エリアは空港エリアであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記中央ユニットは、測位手段(200)を備えている物体から位置情報を含む信号を受信すると共に、測位手段を備えていない物体から音像を記述する信号を受信する論理サーバ(100)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記論理サーバ(100)は、前記受信した音像を解釈し、前記音信号を位置データに変換する手段を備えることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記中央ユニットは、測位手段(200)を備えている物体から位置情報を含む信号を受信すると共に、1つ又は複数のマイクロホン(300)に接続される音響解析サーバ(500)を介して、測位手段を設置していない物体の位置情報を含む信号をさらに受信する論理サーバ(100)であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記論理サーバ(100)への前記信号はWLAN及び/又はGPRSを介して受信されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記受信される位置情報はGPSに基づくことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
警告は、前記中央ユニットが、望ましくない出来事に関わり得る物体によって受信及び解釈することができる無線信号を発するということで提供されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
規定エリア内の移動物体間の望ましくない出来事を回避するシステムであって、該システムは、
−該システムに登録されている物体に設置される測位手段(200)と、
−測位手段を設置していない物体からの音を記録及び解釈する手段と、
−望ましくない出来事が発生し得る前に、物体の運転者に警告する警告手段と、
−前記測位手段(200)、前記音を記録及び解釈する手段、並びに前記警告手段に信号接続されている中央ユニットであって、該当エリア内の前記物体についての情報を含む信号を受信し、信号処理し、解釈する手段を有し、また、前記警告手段に警告を提供する手段をさらに有する、中央ユニットと、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項11】
前記測位手段(200)は、それぞれの位置を前記中央ユニットに送信する送信器を有するGPS受信器である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記音を記録する手段は1つ又は複数のマイクロホン(300)であり、前記音を解釈する手段は信号処理ユニットである、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記信号接続は、WLAN(450)及び/又はGPRSネットワーク(425)の形態である、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記規定エリアに属する物体に向けての前記警告手段は、該物体に搭載される別個のユニットに向けて生成され、前記警告は音響的及び視覚的の両方で生成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記中央ユニットから前記警告手段への前記警告信号は、WLAN及び/又はGPRSを介して伝送される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記中央ユニットから前記警告手段への前記警告信号は、携帯電話ネットワーク又は他の通信チャネルを介した自動ダイアルアップによって伝送される、請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
他の通信チャネルはVHF又は他の閉じられた無線回路である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記規定エリア内のすべての物体の移動をリアルタイムで視覚化するGISベースのインタフェースも備える、請求項10に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−503939(P2010−503939A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529142(P2009−529142)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【国際出願番号】PCT/NO2007/000329
【国際公開番号】WO2008/035981
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(509079846)ユニファイド メッセージング システムズ アクティーゼルスカブ (3)
【Fターム(参考)】