説明

二価性ErbBリガンド結合分子ならびにその調製および使用のための方法

新規の二価性のErbBに基づくリガンド結合分子をその調製および使用の方法と共に開示する。前記結合分子は、組換えDNA分子から発現されるタンパク質であり得る。前記タンパク質は、どちらもErbB受容体リガンドに結合するErbB受容体の2個の細胞外ドメインを含有し得る。これらの結合分子は、リガンドに結合し、かつ隔離するトラップとして作用し、したがってそれらを細胞性ErbB受容体との結合に利用できなくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
新規の二価性のErbBに基づくリガンド結合分子をその調製および使用の方法と共に開示する。前記結合分子は、組換えDNA分子から発現されるタンパク質であり得る。前記タンパク質は、どちらもErbB受容体リガンドに結合するErbB受容体の2個の細胞外ドメインを含有し得る。これらの結合分子は、リガンドに結合し、かつ隔離するトラップとして作用し、したがってそれらを細胞性ErbB受容体との結合に利用できなくする。
【背景技術】
【0002】
受容体チロシンキナーゼは、多数の癌の増殖の刺激に関与している。一般に、受容体チロシンキナーゼは、(1)特定のリガンドに結合できる細胞外ドメイン、(2)膜貫通領域、(3)例えばタンパク質のリン酸化によって受容体が制御され得る膜近傍ドメイン、(4)受容体の酵素構成要素であるチロシンキナーゼドメインならびに(5)カルボキシ末端尾部、から成る糖タンパク質である。多数の固形腫瘍について、I型受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーは、細胞の増殖、分化および生存を介在することにおけるその重要性から、受容体の1つの重要なクラスを構成している。この受容体ファミリーのメンバーは、ErbB1(HER1としても周知)、ErbB2(HER2/neu)、ErbB3(HER3)およびErbB4(HER4)を含む。これらの受容体チロシンキナーゼは、上皮、間葉およびニューロン組織を含む様々な組織において広く発現されている。ErbB2またはErbB1の過剰発現は、ある種の乳癌および他の様々な悪性腫瘍における不十分な臨床成績と関連している。
【0003】
不活性状態において、ErbB受容体は一般に単量体で存在すると考えられている。そのそれぞれのリガンドとの結合後、受容体のホモ-およびヘテロ二量体すなわち活性型受容体形態の形成を生じ得る受容体内での高次構造の変化が生じる場合がある。リガンドの結合およびそれに続くホモ-またはヘテロ二量体化は、個々の単量体がチロシン残基を互いにリン酸化する、自己リン酸化およびリン酸基転移を通じて受容体の触媒活性を刺激できる。これにより、受容体の触媒活性のさらなる刺激が生じ得る。加えて、リン酸化された幾つかのチロシン残基は、下流シグナリング分子のドッキング部位を提供する。
【0004】
ErbB受容体の活性化は、増殖および細胞の生存などの様々な異なる影響のいずれをも生じ得る。これらの異なる結果は、特定の受容体に結合する特定のリガンドに依存する異なるシグナリング経路を通じて生じる。リガンドの結合が、最終的に形成されるホモ-またはヘテロ二量体の集団を指示する。多くの研究は、結合したリガンドの型およびそれに続いて形成されるホモ-またはヘテロ二量体の型から、活性型ErbB受容体上のチロシン残基のリン酸化の差が生じることを示している。例として、ニューレグリン(「NRGs」、ヘレグリンとしても周知)は、ErbB受容体に結合することができ、増殖、分化、生存および遊走を含む様々な応答を誘発できるリガンドのファミリーである。NRG1βおよびNRG2βは、ErbB3に結合でき、ErbB2/ErbB3ヘテロ二量体を誘導できるが、しかしNRG1βだけが培養中の乳癌細胞の分化を刺激する。この理由は、NRG2βが結合した場合と比較してNRG1βが結合した場合における、活性型ErbB2/ErbB3ヘテロ二量体への異なる下流シグナリング分子の動員である。例えば、NRG1βおよびNRG2βは、同程度の総ErbB2チロシンリン酸化レベルを生じるが、NRG1βだけがPI3K(p85)、SHP2、Grb2およびShcの受容体への結合を生じた。
【0005】
現在の受容体チロシンキナーゼに基づく治療薬は、一般に2つに分類される。ラパチニブなどの低分子阻害剤は、細胞内チロシンキナーゼ領域に結合し、ATPの結合および受容体のリン酸化を妨げる。例えばハーセプチン(トラスツズマブ)などの第二の型の治療薬は、モノクローナル抗体に基づいており、受容体の分解を誘引する特定の受容体の細胞外リガンド結合ドメインを認識し、かつ結合する。両方の型の治療が有効性を示している。しかし、様々な要因が各治療の相対的有効性に影響することは、明白である。例えば、高レベルのIGF-1Rが、ハーセプチン(商標)治療を干渉するが、ラパチニブ治療を干渉しないことは、周知である。それらは、作用機序は異なるがハーセプチン(商標)およびラパチニブの両方が受容体を標的にし、かつ結合する。
【0006】
活性化リガンドの過剰発現が、調節解除された受容体と同様に、制御されていない細胞増殖を生じる場合があることも明らかになってきている。そのような場合、活性化リガンドのその受容体への結合の干渉は、さらに効果的であり得るか、または現在の受容体に基づく、もしくは他の治療を単独で強化できる新規治療戦略を提供できる。
【0007】
ErbB3へのリガンドの結合を干渉する治療薬は、特に効果的であり得る。ErbB3は、そのチロシンキナーゼドメインが機能的に不活性であるが、ErbB2/ErbB3ヘテロ二量体が、ErbBファミリーの任意のホモ-またはヘテロ二量体組合せの中で、最も強力な分裂促進シグナルを伝達することから、EGFRファミリーにおける他の受容体とは異なっている。したがって、キナーゼ領域を標的にする低分子を通じては阻害できないけれども、ErbB3は、重要な標的である。ErbB3が、例えばヘレグリン(NDF)などの活性化リガンドを必要とすることから、活性型ヘテロ二量体が形成する前に、ErbB3受容体リガンドの結合を干渉できる分子は、ErbB二量体およびヘテロ二量体の形成を遮断するまたは干渉するために使用され得る。そのような分子の一例は、リガンド結合親和性を厳密に保持しており、したがってリガンドを「捕捉する」ことができ、効果的にそれらの濃度を減少させ、それによりリガンドがErbB3受容体を活性化できなくなる受容体分子の外部ドメインの可溶性部分であるはずである。
【0008】
このトラッピングまたは「デコイ」現象の利用を試みる幾つかの治療薬が存在する。例えば、Enbrel(商標)(エタネルセプト-Amgen)は、可溶性で、炎症誘発性リガンドTNFαに結合し、かつ捕捉するTNFR受容体の改変型である。加えて、VEGFトラップと称されるVEGFR1受容体とVEGFR2受容体の可溶性融合タンパク質は、現在、黄斑変性および幾つかの形態の癌の両方の治療について臨床試験中である(Regeneron Pharmceuticals)。ErbB3トラップも、in vitroでEGFR/ErbB2二重阻害剤の効果を増強する効能を示し、NDFで処理した細胞においてGW2974(ErbB1およびErbB2の低分子阻害剤)耐性を逆転させている。
【特許文献1】米国特許公開第2006/0234343号
【非特許文献1】Georgeら、(2003年) Protein Engineering 15:871-879
【非特許文献2】Remington's Pharmaceutical Sciences,18版(1990年、Mack Publishing Co.,Easton,ペンシルバニア州 18042)1435-1712ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
現在認可されている全てのErbB阻害剤は、EGFRもしくはErbB2または両方を標的にしている。しかし、複数のErbB受容体へのリガンドの結合を同時に干渉する治療法は、現在認可されていない。明らかに、ErbBリガンドなどの受容体リガンドを隔離するために使用でき、それによって複数のErbB受容体へのリガンドの結合およびそれに続く受容体の活性化を遮断する新規の結合分子が必要である。既知の全てのErbBリガンドに結合できる結合分子は、特に有用なはずである。そのような分子が作製できるとすると、理想的には、単一分子などの、共有結合で連結している単一分子であろう。そのような分子は、製造および投与手順を単純化し、理論的には、受容体リガンドを隔離するために使用される場合に最大の利益を提供するであろう。そのような分子は、具体的にはTGFαおよびNDFなどのErbBリガンドを過剰発現する腫瘍に優れた治療上の有効性を提供するであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
新規の二価性のErbB受容体に基づくリガンド結合分子を、それらの調製および使用の方法と共に開示する。結合分子は、組換えDNA分子から発現されるタンパク質である。タンパク質は、ErbB活性化リガンドに結合する2個のErbB細胞外ドメインを含有できる。これらの結合ドメインは、リガンドに結合し、かつ隔離するためのトラップとして作用し、したがってそれらを細胞性ErbB受容体との結合に利用できなくする。驚くべきことに、ErbB受容体の外部ドメインの一部分同士が単一ポリペプチド中に共有結合で連結でき、その結果、両方の結合部分がそれぞれのリガンドへの実質的な親和性を保持したままとなり、その結果、ELISAアッセイ、Biacore装置などにおいて実施されるアッセイを含む任意の様々な結合アッセイにおける結合によって証明される様に、それらがErbBリガンドに結合しかつ捕捉するために使用できることが見出されている。
【0011】
開示されるタンパク質は、幾つかのErbB受容体の一部分を含有することができ、好ましくは、広く様々なまたは既知の全てのErbBリガンドに結合する。
【0012】
開示される分子で疾患または状態を治療する方法も、記載されている。ErbBリガンドの除去または阻害によって改善、緩和または阻止され得る任意の疾患は、開示の方法によって治療できる。方法は、一般に、開示の結合分子中にErbBリガンドを捕捉することによって受容体へのErbBリガンドの結合を妨げることを含む。方法においてこれは、治療が必要な対象に本明細書において開示する二価性結合分子を投与することによって実現できる。
【0013】
追加的特徴および利点は、本明細書において記載され、以下の詳細な記載および図によって明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
ErbB受容体などの複数の受容体へのリガンドに結合できる、共有結合で連結した二価性結合分子が開示される。好ましい二価性結合分子は、少なくとも2種の異なる受容体に対するリガンドに結合できる。そのような結合分子は、本明細書の目的において「ダブルトラップ」と称される。一実施形態において、分子は、全てのErbBリガンドに対して実質的な親和性を有している。結合分子の例示的な実施形態は、図1において図解的に例示される。図1は、そのような二重結合分子が作用すると考えられている機序も例示する。
【0015】
一実施形態において、本発明は、異なる受容体に結合するリガンドに対する実質的な結合親和性を有する二価性結合分子に関する。二価性結合分子は、受容体の外部ドメインの一部分を含有することができ、かつ好ましくは、単一のポリペプチド配列中に共有結合で連結している。2種の受容体によって結合されるリガンドのスペクトラムが重複している場合、これらの受容体の一部分から作製された二価性結合分子の各結合部分は、類似のまたは同一のリガンドに結合できる。二価性結合分子は、水溶液に可溶性であることが好ましい。
【0016】
一実施形態において、二価性結合分子の各結合部分は、受容体の細胞外ドメインを含有する可溶性部分であり得る。任意の適切な受容体を、結合分子中に利用できる。適切な受容体は、一般にリガンド結合に必要かつ十分な決定基の全てを含有する細胞外または細胞内のドメインを含有する。一実施形態において、ErbB受容体ファミリーの様々なメンバーを二価性結合分子を作るために使用できる。したがって、二価性結合分子は、ErbB受容体の細胞外リガンド結合ドメインの組合せ、例えばErbB1とErbB3、ErbB1とErbB4、または他の組合せであり得る。結合ドメインは、受容体リガンドへの適切な結合親和性が維持されている限りポリペプチド鎖上で任意の順に存在できる。
【0017】
本出願の目的のために適切な結合親和性は、生理学的マトリックスにおいてErbBリガンドを捕捉するために十分に高い親和性である。好ましくは、解離定数は、天然受容体の解離定数の約100倍から約1000倍以下である。さらに好ましくは、ナノモル範囲またはさらに低い解離定数が、好ましい。しかし、ErbBリガンドへの結合および捕捉に十分であり、したがってErbB受容体へのそれらの結合を妨げるまたは干渉する任意の親和性が、開示の組成物における使用のために適切であり、開示の方法において使用を見出すことができる。
【0018】
ErbB1、ErbB2、ErbB3およびErbB4の完全ヌクレオチド配列は既知であり、Genbankにおいて、ErbB1は、アクセション番号NM_005228、ErbB2は、アクセション番号NM_004448、ErbB3は、アクセション番号M29366またはNM_001982、およびErbB4は、アクセション番号NM_005235として見出せる。本明細書の目的で、全長EGFR外部ドメインは、ErbB1のアミノ酸残基1〜621から成る外部ドメインまたはEGF受容体ファミリーの他のメンバーの相当する残基から成る外部ドメインを指す。ErbB受容体ファミリーについて全長外部ドメインのアミノ酸配列も既知であり、これらの配列の一部分は、以下にErbB1アミノ酸残基1〜532については配列番号2として、ErbB1アミノ酸残基1〜500については配列番号22として、ErbB3アミノ酸残基1〜531については配列番号6として、ErbB3アミノ酸残基1〜499については配列番号24として、ErbB4アミノ酸残基1〜528については配列番号8としておよびErbB4アミノ酸残基1〜496については配列番号26として含まれる。各配列において位置番号1は、シグナルペプチドに続く最初のアミノ酸である。これらのアミノ酸をコードしている、対応するヌクレオチド配列は、配列番号2、6および8としてそれぞれ見出せる。ErbB受容体についての全長外部ドメインは、L1、CR1、L2およびCR2と称される4個のサブドメインを含有し、ここで、LおよびCRは、それぞれlargeおよびcyc-richの頭文字である。ErbB1、ErbB2、ErbB3およびErbB4の外部ドメインのアミノ酸配列の配列アラインメントは、決定されている。米国特許公開第2006/0234343号、図1Aおよび1Bを参照されたい。
【0019】
ErbB受容体のCR2サブドメインは、膜貫通領域と共にリガンド結合ドメイン(L1、CR1およびL2)に連結していると考えられ、2個または3個のアミノ酸残基のリンカーで連結し、システイン残基で結合している追加的な7個のモジュールから成っている。ErbB1についてこれらのモジュールは、モジュール1〜7についてそれぞれアミノ酸位置482〜499、502〜511、515〜531、534〜555、558〜567、571〜593および596〜612に広がっている。ErbB2についてこれらのモジュールは、モジュール1〜7についてそれぞれ490〜507、510〜519、523〜539、542〜563、566〜575、579〜602および605〜621に広がっている。ErbB3については、モジュール1〜7についてそれぞれ481〜498、501〜510、514〜530、533〜554、557〜566、570〜591および594〜610に広がっている。ErbB4についてこれらのモジュールは、モジュール1〜7についてそれぞれ478〜495、498〜507、511〜527、530〜552、555〜564、568〜589および592〜608に広がっている。
【0020】
ErbB外部ドメインの適切な一部分は、当技術分野において周知であり本明細書の実施例において記載される通り、任意の適切な組換えDNA技術によって調製できる。例えば、望ましい外部ドメインまたは外部ドメインの一部分をコードするヌクレオチド配列は、現在では注文生産され、合わせて連結され、かつ発現ベクター中にクローニングされ得る。次いで、発現ベクターを使用して、タンパク質を発現する細胞を形質転換でき、次いで、その細胞または細胞上清から結合分子を精製できる。外部ドメインは、各受容体の全長外部ドメインを含有できる。別法として、外部ドメインは、アミノまたはカルボキシ末端のいずれかにおいて切断され得る。アミノ末端において、外部ドメインは、得られる結合部分の結合活性が実質的に減少しない限り、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10位またはそれ以降で開始できる。カルボキシ末端において外部ドメインは、第七モジュール、第六モジュール、第五モジュール、第四モジュール、第三モジュール、第二モジュール、第一モジュールの中もしくはそれ以後において、または第一モジュールの前であっても、例えばErbB1について参照すると、アミノ酸番号、500、512、532、556、568、594、613において、ならびにErbB3およびErbB4についての対応する位置において終結できる。したがって、ErbB1については、例えばアミノ酸1〜532[配列番号2]または1〜500[配列番号22]を使用できる。ErbB3については、他の配列中、アミノ酸1〜499[配列番号24]または1〜531[配列番号6]を、使用できる。ErbB4については、とりわけアミノ酸1〜496[配列番号26]または1〜528[配列番号8]を使用できる。
【0021】
一実施形態において、1つまたは両方の結合部分のアミノ酸配列は、改変が結合部部分のそのリガンドへの結合親和性に不利に影響しないという条件で改変できる。例えば、改変結合部分は、残基もしくは配列に様々な置換を行うステップまたは結合活性に必要ではない末端もしくは内部の残基もしくは配列を欠失させるステップによっても構築できる。一般に、置換は、保存的に行われるべきであり、例えば、最も好ましい置換アミノ酸は、置き換えられる残基に類似する生理化学的特性を有するものである。同様に、欠失または挿入の戦略を採用する場合は、生物学的活性への欠失または挿入の潜在的影響が考慮されるべきである。結合部分の生物学的活性を保持するために、欠失および置換は、好ましくは、相同のまたは保存的な置換配列を生じるであろう、すなわち所与の残基は、生物学的に類似の残基によって置換される。保存的置換の例は、Ile、Val、Leu、MetもしくはAla相互間などの1個の脂肪族残基から他への置換、またはLysとArg間、GluとAsp間もしくはGlnとAsn間などの1個の極性残基から他への置換を含む。そのような他の保存的置換、例えば類似の疎水性特性を有する領域全体の置換は、十分に周知である。さらに、ヒト、ネズミまたは他の哺乳類EGFR間の特定のアミノ酸の差異は、結合部分の必須の生物学的特性を変化させること無くErbB結合部分に作製できる追加的な保存的置換を示唆するものである。
【0022】
一実施形態において、二価性結合分子は、以下のモチーフ:B-L-B-F、B-L-rB-FおよびB-F-Bで配置できる。Bは、受容体から由来できる結合部分を表す。結合部分は、同一または異なっていて良い。rBは、アミノ末端のアミノ酸がカルボキシ末端残基になるようにアミノ酸配列が逆向きになっている結合部分を表す。ErbB1についての例示的配列は、配列番号2の配列の逆向きである配列番号4のアミノ酸配列を提供するための配列番号1の逆向きの配列をコードするヌクレオチド配列である配列番号3である。同様の逆位を、所望によりErbB3およびErbB4について構築できる。そのような逆向きの配列は、膜にそれらが見出されるように受容体の構造を模倣するためにカルボキシ末端結合部分として位置付けることができる。
【0023】
好ましい実施形態において、2個の結合部分は、異なっている。適切な配置は、例えばB1-L-B2-F、B2-L-B1-F、B1-F-B2、B2-F-B1を含む。特定の実施形態において、B1とB2は、異なっており、ErbB1、ErbB3およびErbB4の外部ドメインの一部分である。特定の好ましい一実施形態において、B1およびB2は、それぞれErbB1およびErbB4である。さらに詳細には、ErbB1に関して、アミノ酸1〜500および1〜532を活性結合分子を形成するために使用でき、ErbB1がErbB4のアミノ側またはカルボキシ末端側のいずれに位置するかに関わらず、ErbB1およびErbB4のリガンドの両方に実質的な親和性を有する二価性結合分子を形成する単一のポリペプチドにおいてErbB1およびErbB4が連結する場合に、ErbB4に関してアミノ酸1〜496および1〜528を同様に使用できる。もちろん、B1またはB2は、任意の他の受容体またはリガンド結合タンパク質であり得るし、一番目のアミノ酸から始まる必要は無くて良い。
【0024】
「L」は、結合部分に連結するために使用できる任意選択のリンカー部分である。多数の適切なリンカー分子が周知であり、使用できる。好ましくは、リンカーは、非免疫原性である。リンカーおよび適切なリンカーを同定するための方法について、本明細書に参照として詳細に援用する例えば、Georgeら、(2003年) Protein Engineering 15:871-879を参照されたい。リンカー配列は、結合部分に天然につながった1個または複数のアミノ酸を含有することができ、構成ドメインに最適な四次構造を形成させるためおよび/または標的分子と構成要素との相互作用を増強するために、目的の特に望ましい部位を提供するために加えられ得る。1種の簡易なリンカーは、(Gly4Ser)xであり、ここで「X」は、1から約10またはそれを超える任意の数であり得るし、特定の実施形態において「X」が3であるリンカー[配列番号29]が使用されている。しかし、リンカーはアミド結合であることもできる。
【0025】
「F」は、任意選択の融合パートナーであり、二価性結合分子の機能を増強する任意の構成要素であり得る。適切な融合パートナーは、二価性結合分子の生物学的活性を増強でき、その産生および/もしくは回復を補助でき、または、例えば血清中半減期、組織浸透性、免疫原性の欠如、または安定性を増強することによって融合ポリペプチドの薬理学的特性もしくは薬物動態学的プロフィールを増強できる。
【0026】
融合パートナーが血清タンパク質またはその断片である場合、それは、α-1-ミクログロブリン、AGP-1、オロソムコイド、α-1-酸性糖タンパク質、ビタミンD結合タンパク質(DBP)、ヘモペキシン、ヒト血清アルブミン(hSA)、トランスフェリン、フェリチン、アファミン、ハプトグロビン、α-フェトプロテイン、チログロブリン、α-2-HS-糖タンパク質、β-2-糖タンパク質、ヒアルロン酸結合タンパク質、シンタキシン、C1R、C1q a鎖、ガレクチン3-Mac2結合タンパク質、フィブリノーゲン、多量体Ig受容体(PIGR)、α-2-マクログロブリン、尿素輸送タンパク質、ハプトグロビン、IGFBP、マクロファージスカベンジャー受容体、フィブロネクチン、ギアンチン、Fc(特にIgG Fcドメインを含む)、α-1-アンチキロモトリプシン、α-1-アンチトリプシン、アンチトロンビンIII、アポリポタンパク質A-I、アポリポタンパク質B、β-2-ミクログロブリン、セルロプラスミン、補体成分C3もしくはC4、CIエステラーゼ阻害剤、C反応性タンパク質、シスタチンCおよびプロテインCであり得る。融合パートナー構成要素を含むことにより、所望により本発明の融合ポリペプチドの血清半減期を延長できる。
【0027】
ErbB受容体について、既知のリガンドおよび受容体結合特異性が下記の表1に示されている。したがって、ErbB1およびErbB3結合部分の組合せを、EGF、TGFα、HB-EGF、ベータセルリン、アンフィレグリン、エピレグリン、エピジェン、ニューレグリン1α、ニューレグリン1β、ニューレグリン2αおよびニューレグリン2βに特異性を有する二価性結合分子を作るために使用できる。ErbB1およびErbB4への結合ドメインの組合せは、既知のErbBリガンドの全てを含む、EFG、TGFα、HB-EGF、ベータセルリン、アンフィレグリン、エピレグリン、エピジェン、ニューレグリン1α、ニューレグリン1β、ニューレグリン2α、ニューレグリン2β、ニューレグリン3およびニューレグリン4に対する結合親和性を有している。
【0028】
【表1】

【0029】
二価性結合分子は、一般に、それらのアミノ末端にシグナル配列を含む。その多くが周知である任意の適切なシグナル配列を使用できる。例えば、二価性結合分子の第一の位置にあるErbB外部ドメインは、それ自体の天然シグナルペプチドを含有できる。別法としてシグナルペプチドは、コンセンサスコザック配列(GCCGCCACCATGG)に準じるように改変でき、ここでATGがErbB外部ドメインの開始コドンであり、コンセンサスコザック配列に準じるように+4位をGに変更する。適切な配列は以下の表2に見出すことができる。
【0030】
【表2】

【0031】
開示の二価性結合分子は、組換えDNA分子から発現されるアミノ酸配列を含む。上記に示した通り、組換えDNA分子は、第一の受容体タンパク質の一部分をコードする第一のヌクレオチド配列および第二の受容体タンパク質の一部分をコードする第二のヌクレオチド配列を含有できる。受容体タンパク質は、同一または異なっていることができるが、しかし一般には、二価性結合分子が広域スペクトラムの結合分子に結合するように、異なる受容体タンパク質を含有することが好ましい。そのような場合、第一および第二の受容体タンパク質は、一般に異なる遺伝子にコードされている。
【0032】
二価結合部分、任意選択のリンカーおよび任意選択の融合パートナーをコードするヌクレオチド配列は、二価性結合分子が適切な宿主において単一のポリペプチド鎖として発現され得るように、転写および翻訳配列と共に配置されて組換えDNA構築物中に、クローニングされ得る。DNA断片のベクターへの挿入のための当業者に周知の任意の方法を、転写/翻訳制御シグナルの支配下に本発明の融合ポリペプチドをコードする発現ベクターを構築するために使用できる。適切な宿主において遺伝子を発現するために使用できる転写および翻訳の配列を選択することは十分当業者の技術の範囲内である。開示の分子をその組換え遺伝子から産生できる任意の宿主細胞を使用できる。適切な宿主細胞には、それだけに限らないが、細菌、酵母、昆虫および哺乳類の細胞が含まれる。多くの環境において受容体は、グリコシル化されており、グリコシル化はリガンド結合に影響を与え得る。したがって宿主の選択は、宿主細胞によって生成されるグリコシル化のパターンに依存し得る。適切な結合親和性を有するリガンド結合分子を産生できる任意の宿主細胞を使用できる。ErbB-含有結合分子の場合においては、例えば哺乳類宿主細胞を、例えばさらに詳細にはCHO細胞を使用できる。
【0033】
多数の適切なプロモーターおよびエンハンサーエレメントは、当分野において周知である。キメラポリペプチド分子の発現を制御するために使用できるプロモーターには、それだけに限らないが、末端反復配列;SV40初期プロモーター領域、CMV、M-MuLV、チミジンキナーゼプロモーター、メタロチオネイン遺伝子の制御配列; β-ラクタマーゼプロモーターまたはtacプロモーターなどの原核生物発現ベクター;Gal4プロモーター、ADH、PGK、アルカリフォスファターゼなどの酵母もしくは他のカビ類由来のプロモーターエレメント、およびエラスターゼIなどの遺伝子由来の組織特異的転写制御領域が含まれる。
【0034】
開示の二価性結合分子は、得られるダブルトラップ分子に安定な二価性結合をさせる任意の技術によって精製され得る。例えば、二価性結合分子は、可溶性タンパク質または、周知の通り8M塩酸グアニジンおよび透析によってそれらが定量的に抽出され得る封入体のいずれかとして細胞から回収できる。別法として、二価性結合分子、通常のイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーまたはゲル濾過も使用できる。固定化リガンドまたはリガンド模倣物を使用するアフィニティー技術も使用できる。
【0035】
二価性結合分子の結合親和性および阻害強度は、バイオセンサー技術を使用して、または当分野において十分に周知であるELISAなどの古典的結合アッセイによって、候補の切断型外部ドメインについて測定できる。
【0036】
二価性結合分子は、単剤療法としてまたは組合せ療法において使用できる。多数の実施形態において、二価性結合分子は、化学療法剤、手術、カテーテルデバイスおよび放射線照射を含む1つまたは複数の追加的化合物または療法との組合せで投与できる。組合せ療法は、二価性結合分子および1つまたは複数の追加的薬剤を含有する薬学的単一用量製剤の投与、ならびにそれぞれ別の薬学的用量製剤中での二価性結合分子および1つまたは複数の追加的薬剤の投与を含む。例えば、二価性結合分子と細胞毒性剤、化学療法剤または増殖阻害剤とを、組合せ製剤などの単一用量組成物中で一緒に患者に投与できるし、または各薬剤を、別々の用量製剤で投与できる。さらに具体的には、二価性結合分子は、ラパチニブ、ハーセプチン(商標)、エルビタックスなどの治療薬と共に組合せ療法において使用できる。別々の用量製剤を使用する場合、本発明の融合ポリペプチドおよび1つまたは複数の追加的薬剤は、同時にまたは別々にずれた時間に、すなわち連続的に投与できる。
【0037】
図2は、乳癌細胞培養で検査した場合の幾つかの二価性結合分子のin vitroでの効果を提示している。図2の最上列において、対照培地(上列)またはErbB3リガンド結合分子「シングルトラップ」もしくは一価性結合分子で馴化しておいた培地(下列)のいずれかの中で乳癌細胞を培養した。次いで細胞を処理せず、1μM GW2974(generic GW572016)で処理し、またはGW2974 + NDF(ヘレグリン)で処理した。図から認められる様に、ErbB3シングルトラップは、二重阻害剤の毒性を増強し、二重阻害剤に対するNDF依存性耐性を逆転させた。
【0038】
本発明は、本発明の二価性結合分子を含む医薬組成物も提供する。そのような組成物は、治療に有効な量の二価性結合分子および薬学的に許容される担体を含む。用語「薬学的に許容される」は、動物における、さらに具体的にはヒトにおける使用について、連邦もしくは州政府の規制機関によって認可されているか、または米国薬局方もしくは一般に認知される他の薬局方に記載されていることを意味する。用語「担体」は、治療薬と共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤または媒体を指す。そのような薬学的担体は、水や、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油など、石油、動物、植物または合成由来の油を含む油などの滅菌された液体であり得る。適切な医薬用賦形剤は、デンプン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセリン、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、などを含む。所望により組成物は、少量の湿潤剤もしくは乳化剤またはpH緩衝剤も含むことができる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末剤、徐放性製剤などの形態をとることができる。薬学的に許容可能な担体は、DPPC、DOPE、DSPCおよびDOPCなどの、製剤において使用するための他の成分を含む。天然または合成の界面活性剤が使用できる。(タンパク質および類似物の誘導体化においての使用とは別であっても)PEGが使用できる。シクロデキストランなどのデキストランも使用できる。胆汁酸塩および他の関連する賦活剤も使用できる。セルロースおよびセルロース誘導体も使用できる。アミノ酸も、緩衝剤製剤における使用などで使用できる。薬学的に許容可能な希釈剤は、様々な成分(例えばTris-HCl、酢酸、リン酸)、pHおよびイオン強度を有する緩衝剤;洗浄剤および可溶化剤(例えばTWEED(商標)80、ポリソルベート80)などの添加物、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、二亜硫酸ナトリウム)、保存剤(例えばチメルゾル、ベンジルアルコール)ならびに増量剤(例えば乳糖、マンニトール);ポリ乳酸、ポリグリコール酸などのポリメリック化合物の調製微粒子へのまたはリポソームへの物質の取込み、を含有する。ヒアルロン酸も使用でき、これは、循環における保持時間延長の効果を有する場合がある。そのような組成物は、身体の状態、安定性、in vivoでの放出速度ならびに本タンパク質および誘導体のin vivoクリアランス速度に影響を与えることができる。例えば本明細書に参照として援用する、Remington's Pharmaceutical Sciences,18版(1990年、Mack Publishing Co.,Easton,ペンシルバニア州 18042)1435-1712ページを参照されたい。組成物は、液体の形態で調製されても良いし、凍結乾燥形態などの乾燥粉末でも良い。移植可能な徐放性製剤も経皮製剤として企図される。リポソーム、マイクロカプセルまたはミクロスフィア、封入複合体または他の型の担体も企図される。
【0039】
目的とする治療用の使用のために有効である活性二価性結合分子の量は、本記載に基づく標準的臨床技術によって決定できる。加えて、in vitroアッセイを、最適な投与範囲の同定を助けるために任意選択で使用できる。一般に、毎日の投与法は、体重1kg当たり活性物0.1〜1000マイクログラムの範囲で、好ましくは1kg当たり0.1〜150マイクログラムであるべきである。有効用量は、in vitroまたはモデル動物試験系から導かれる投与量-応答曲線から外挿できる。用量および間隔は、治療効果を維持するために十分である化合物の血漿レベルを提供するために個々に調整できる。局所投与または選択的摂取の場合、化合物の効果的な局所濃度は、血漿濃度に関連しない場合がある。治療の方法に含まれる投与法は、薬剤の作用を加減する様々な要因、例えば年齢、状態、体重、性別、患者の食事、疾患の重症度、投与の時期および他の臨床的要因を考慮して診療する医師によって決定される。
【0040】
もちろん投与される化合物の量は、治療される対象、対象の体重、苦痛の重症度、投与の方法および処方する医師の判断に依存する。治療は、症状が検出可能である間または検出可能でなくなっても、断続的に反復できる。治療は、単独または他の薬剤との組合せにおいて提供され得る。
【0041】
ErbBリガンドに結合する結合分子を得るステップおよび血清からリガンドの一部分を除去するステップを含む、治療が必要な患者を治療する方法が開示される。本明細書において開示する通り結合分子は、標準的な方法によってアフェレーシスまたはbiacore支持体などの固体支持体に固定化できる。結合分子を固体支持体に固定する場合、患者の血清または血液は、血液からErbBリガンドの一部分を除去するためにアフェレーシスカラム中の固体支持体と接触させ得る。
【0042】
方法において開示される二価性結合分子は、ErbBリガンドの過剰発現を検出するための診断法に使用できる。ErbB受容体の過剰な活性化によって特徴付けられる癌は、同じ組織型の非癌性細胞における活性を超える過剰な活性化によって生じ得る。そのような過剰な活性化は、ErbB受容体の過剰発現および/またはErbBリガンドの正常なレベルを超えることによって生じ得る。
【0043】
一実施形態において、癌は、ErbB受容体の過剰な活性化がErbBリガンドの過剰発現によって生じるかどうかを決定するための診断または予後のアッセイの対象となり得る。二価性結合分子は、放射性または造影マーカーなどの任意の検出可能なマーカーで標識できる。次いで分子を癌細胞と接触させ、当分野において周知の標準的方法を使用して可視化させ得る。例えば方法は、検出される分子と結合し、かつ検出可能な標識(例えば放射性同位体)を付加される二価性結合分子を投与するステップと、標識の局在について患者を外部から走査するステップとによって実施できる。
【実施例1】
【0044】
本実施例は、2個のErbB受容体細胞外ドメインを有する二価性結合分子の代表的な組成物の構築を提示する。
【0045】
ErbB二価性結合分子は、ErbB1とErbB3またはErbB1とErbB4の細胞外ドメインを取り込むことによって、ErbBファミリーの全てのリガンドに結合する様に設計された。2つの異なる配置が、各対について設計された。したがって以下の組合せが調製された:ErbB1-ErbB3、ErbB3-ErbB1、ErbB1-ErbB4およびErbB4-ErbB1。
【0046】
マルチクローニング部位が広範であるため、pcDNA3.1(+)ベクターを構築物の構築を促進するためのクローニング媒体として使用した。第一に、タバコエッチウイルス(TEV)プロテアーゼ認識配列(ETVRFQG/S)[配列番号27]に続いて6xヒスチジンタグおよび終止コドンについてのオリゴヌクレオチドを、pcDNA3.1(+)-THを得るためにpcDNA3.1(+)のXbaIおよびApaI部位にクローニングした。オリゴヌクレオチドは、ApaI部位の上流にNotI部位を含んでおり、そのため構築物は、pcDNA3.1(+)から最終的に遊離できた。ApaI部位の上流にはめ込まれたXbaI部位およびNotI部位を有するTEV-6xHis-STOPセンスオリゴヌクレオチド:5'CTA GAG AAA ACC TGT ACT TCC AGT CCC ATC ATC ATC ATC ATC ATT GAG CGG CCG CGG GCC[配列番号28]を、ApaI部位の上流にはめ込まれたXbaI部位およびNotI部位を有するTEV-6xHis-STOPアンチセンスオリゴヌクレオチド:5'CGC GGC CGC TCA ATG ATG ATG ATG ATG ATG GGA CTG GAA GTA CAG GTT TTC T[配列番号30]と共に使用した。
【0047】
ErbB1またはErbB4のいずれかの細胞外ドメインの最初の3個のサブドメイン(LI、SI、LIIとして周知)および第四サブドメインの第一モジュール(SIIとしてを周知)を、リンカー配列と共にpcDNA3.1(+)-THのNheIおよびKpnI部位にクローニングした。詳細には、リンカー配列は、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser-Gly-Gly-Gly-Gly-Ser[配列番号29]を構成する15アミノ酸(Gly4Ser)3ポリペプチドをコードする。順方向PCRプライマーは、シグナルペプチドに加えてErbB1およびErbB4の両方のLI、SI、LIIおよびSIIサブドメインの第一モジュールを増幅する様に設計された。周知の通りコンセンサス「コザック」配列を、シグナルペプチドの開始コドンのすぐ上流のプライマー中に組み入れた。逆方向PCRプライマーは、ErbB1のV500アミノ酸およびErbB4のL496アミノ酸(ErbB1のシグナルペプチドの次のロイシンをL1アミノ酸と定義し、ErbB4のシグナルペプチドの次のグルタミンをQ1アミノ酸と定義する)に続いてAgeI部位、(Gly4Ser)3リンカー配列[配列番号29]およびKpnI部位までを含む様に設計された。NheI部位およびコンセンサス「コザック」配列を有するErbB1順方向プライマー配列は、以下の通り:5'AGC TGC TAG CGC CAC CAT GCG ACC CTC CGG GAC GGC CG[配列番号31]。NheI部位およびコンセンサス「コザック」配列を有するErbB4順方向プライマー配列は、以下の通り:5'AGC TGC TAG CGC CAC CAT GAA GCC GGC GAC AGG ACT TT[配列番号32]。AgeI部位、(Gly4Ser)3リンカー配列およびKpnI部位を有するErbB1逆方向プライマー配列は、:5'TCT GGT ACC CGA TCC GCC ACC GCC AGA GCC ACC TCC GCC TGA ACC GCC TCC ACC ACC GGT GAC GCA GTC CCT GGG CTC CGG GCC C[配列番号33]であった。AgeI部位、(Gly4Ser)3[配列番号29]リンカー配列およびKpnI部位を有するErbB1逆方向プライマー配列は、以下の通り:5'TCT GGT ACC CGA TCC GCC ACC GCC AGA GCC ACC TCC GCC TGA ACC GCC TCC ACC ACC GGT CAG ACA TTG GTC TGG CCC AGG TCC C[配列番号34]である。
【0048】
細胞外ドメインは、ErbB1またはErbB4のいずれかの全長cDNAから増幅した。これによりプラスミドpcDNA3.1(+)-ECD1-GS-THおよびpcDNA3.1(+)-ECD4-GS-THを得た。
【0049】
ErbB3構築物を構築するために、ErbB3の細胞外ドメインの最初の3個のサブドメイン(L1、SIおよびLII)ならびに第四サブドメイン(SII)の第一モジュールを、全長cDNAからPCRによって増幅し、pcDNA3.1(+)-ECD4-GS-THのNheIおよびAgeI部位にクローニングした。順方向PCRプライマーを、上記に記載の通りNheI部位およびコンセンサス「コザック」配列をErbB3のシグナルペプチドの開始コドンのすぐ上流に組み込むように設計した。NheI部位およびコンセンサス「コザック」配列を有するErbB3の順方向プライマーは、5'AGC GCT AGC GCC ACC ATG AGG GCG AAC GAC GCT CTG CAG G[配列番号35]であった。AgeI部位を有するErbB3逆方向プライマー配列は、5'AGC ACC GGT CAA GCA CTG ACC AGG GCC TGG GCC C[配列番号36]であった。
【0050】
細胞外ドメインは、ErbB3の全長cDNAから増幅し、プラスミドpcDNA3.1(+)-ECD3-GS-THを産生するために使用した。
【0051】
第二のErbB細胞外ドメインを、各構築物にクローニングした。これは、ErbB1、ErbB3またはErbB4のいずれかの細胞外ドメインの最初の3個のサブドメイン(LI、SIおよびLII)ならびにSIIサブドメインの第一モジュールを、増幅することによって実施した。構築物の第一の位置と比較して、第二の位置に位置する細胞外ドメインの唯一の差異は、シグナルペプチドが含まれていないことであった。KpnI部位を有する順方向PCRプライマーは、ErbB1、ErbB3またはErbB4のいずれかの最初の3個のサブドメインおよび第四のサブドメインの第一モジュールを増幅する様に設計された。XbaI部位を有する逆方向PCRプライマーも、ErbB1、ErbB3またはErbB4について設計された。各細胞外ドメインの最後のアミノ酸は、V500(ErbB1)、L499(ErbB3)およびL496(ErbB4)であった。KpnI部位を有するErbB1の第二の位置の順方向プライマーは、5'CGG GGT ACC CTG GAG GAA AAG AAA GTT TGC C[配列番号37]であった。KpnI部位を有するErbB3の第二の位置の順方向プライマーは、5'CGG GGT ACC TCC GAG GTG GGC AAC TCT CAG GCA G[配列番号38]であった。KpnI部位を有するErbB4の第二の位置の順方向プライマーは、5'CGG GGT ACC CAG TCA GTG TGT GCA GGA ACG G[配列番号39]であった。XbaI部位を有するErbB1の第二の位置の逆方向プライマーは、5'TGC TCT AGA GAC GCA GTC CCT GGG CTC CGG G[配列番号40]であった。XbaI部位を有するErbB3の第二の位置の逆方向プライマーは、5'TGC TCT AGA CAA GCA CTG ACC AGG GCC TGG GCC C[配列番号41]であった。XbaI部位を有するErbB4の第二の位置の逆方向プライマーは、5'TGC TCT AGA CAG ACA TTG GTC TGG CCC AGG T[配列番号42]であった。
【0052】
ErbB1の細胞外ドメインを、プラスミドpcDNA3.1(+)-ECD3-GS-ECD1-THおよびpcDNA3.1(+)-ECD4-GS-ECD1-THを得るために、pcDNA3.1(+)-ECD3-GS-THおよびpcDNA3.1(+)-ECD4-GS-THの両方の第二の位置にクローニングした。ErbB3の細胞外ドメインを、プラスミドpcDNA3.1(+)-ECD1-GS-ECD3-THを得るために、pcDNA3.1(+)-ECD1-GS-THの第二の位置にクローニングした。ErbB4の細胞外ドメインを、プラスミドpcDNA3.1(+)-ECD1-GS-ECD4-THを得るために、pcDNA3.1(+)-ECD1-GS-THの第二の位置にクローニングした。
【0053】
全ての構築物を、直接の配列分析によって確認した。伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーターおよびマルチクローニング部位の次のIRES配列から発現されるピューロマイシン耐性遺伝子を含有するバイシストロニックなプラスミド、pEF-IRES-Pを発現のために使用した。4個のダブルトラップ構築物全てを、NheIおよびNotIでの制限酵素消化によってpcDNA3.1(+)から遊離し、pEF-IRES-Pの同じ部位にクローニングした。これにより、プラスミド、pEF-ECD13-IRES-P、pEF-ECD31-IRES-P、pEF-ECD14-IRES-PおよびpEF-ECD41-IRES-Pを得て、それぞれErbB1-ErbB3、ErbB3-ErbB1、ErbB1-ErbB4およびErbB4-ErbB1タンパク質を、第一の結合部分をタンパク質のアミノ末端側に配置して発現するために使用した。
【実施例2】
【0054】
本実施例は、哺乳類宿主細胞中の組換えDNA分子からのダブルトラップ分子の発現およびその活性形態での精製を提示する。実施例1からの4種の構築物全てを、細胞のゲノムDNAへの安定な組込みのためにさらに適切である直鎖組換えDNA分子を生成するためにPvuIで消化した。4種の直鎖化されたダブルトラップ分子を、標準的方法によって293T細胞にトランスフェクトし、次いで構築物が安定に組み込まれた細胞の集団を生成するためにさらに高濃度のピューロマイシンで細胞を選択した。構築物の発現は、図3に示す通りの分泌前の細胞中でのトラップのレベルを検出するためのウェスタンブロット、または図4に示す通りの細胞培養培地中の結合分子の濃度を決定するためのELISAなどの異なる手段によって評価できる。ELISAアッセイを、最も高いレベルのトラップ分子を発現しているクローン由来細胞系を確立するために多数の個々の細胞をスクリーニングするために使用した。結合分子は、簡易な親和性精製法による分子の精製を可能にするヒスチジンタグを含有している。
【0055】
結合分子の機能を調べるために、293T細胞由来の馴化培地を回収し、濾過し、BT474細胞を培養するために使用した。pEF-ECD14-IRES-P構築物を発現している293T細胞由来の培地で培養したBT474細胞において、48時間後に細胞数の有意な減少が観察された。図5を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ErbBシングルトラップの作用機序、次いでErbBダブルトラップの生成を例示する図である。
【図2】ErbBシングルトラップ治療薬と共に使用した場合のGW2974の細胞毒性の増強を例示する写真である。
【図3】以下の構築物:1.pEF-ECD3-IRES-P(ErbB3受容体の外部ドメインの一部分を含有するシングルトラップ)、2.pEF-IRES-P(ネガティブコントロールベクター)、3.pEF-ECD13-IRES-P 9(ポリペプチドのアミノ末端側にErbB1受容体の、およびカルボキシ末端側にErbB3受容体の外部ドメインの一部分を含有するダブルトラップ)、4.pEF-ECD31-IRES-P(ポリペプチドのアミノ末端側にErbB3受容体の、およびカルボキシ末端側にErbB1受容体の外部ドメインの一部分を含有するダブルトラップ)、5.pEF-ECD14-IRES-P(ポリペプチドのアミノ末端側にErbB1受容体の、およびカルボキシ末端側にErbB4受容体の外部ドメインの一部分を含有するダブルトラップ)、6.pEF-ECD41-IRES-P(ポリペプチドのアミノ末端側にErbB4受容体の、およびカルボキシ末端側にErbB1受容体の外部ドメインの一部分を含有するダブルトラップ)、7.MDA-MB-468細胞(ポジティブ抗体コントロール)、を発現する293T細胞から調製したライセートのウェスタンブロットの写真である。構築物は、実施例1に記載の通り調製した。ブロットは、ErbB1の細胞外ドメイン内のエピトープを認識する抗体で探索した。
【図4】様々なトラップ構築物を発現する293T細胞由来の培地を3日後に回収した。培地を1:1000に希釈し、R&D SystemからのヒトEGF R DuoSetを使用して、各試料について2回ずつELISAを実施した。ELISAアッセイは、Bio-Tek EL312eを使用して読み取った。構築物は、以下の通り:VC-対照ベクター、Her3*-シングルErbB3トラップ、ECD1-3.p6、ECD3-1.p6、ECD1-4.p5およびECD4-1.p5。構築物は、実施例1に記載の通り調製した。
【図5】トラップの機能を調べるために、293T細胞由来の馴化培地を回収し、濾過し、新鮮培地で1:1に希釈した。この希釈した馴化培地を、次いでBT474細胞を培養するために使用した。48時間後、細胞を固定し、50%メタノール中の1%メチレンブルー溶液で染色した。BT474細胞は、以下のトラップ構築物由来の培地中で培養した、1.pEF-IRES-P(対照)、2.pEF-ECD13-IRES-P、3.pEF-ECD14-IRES-P、4.pEF-ECD3-IRES-P(シングルトラップ)、5.pEF-ECD31-IRES-Pおよび6.pEF-ECD41-IRES-P、構築物の略号は、上記図3において定義されている。
【図6】トラップへの放射性EGFの架橋結合を示す図である。二価性および一価性トラップを過剰量の非標識EGFまたはNDFの存在または非存在下で放射性EGFと、次いで架橋結合分子BS3と共にインキュベートした。現れたバンドは、放射性EGFに架橋結合した二価性または一価性トラップのいずれかであった。予想された通り全ての二価性トラップがEGFに結合する一方で、ErbB1一価性トラップだけがEGFに結合する。予想された通り非放射性EGFの添加は、全てのトラップにおいて放射性EGFの結合を競合排除した。興味深いことに、非放射性NDFの添加は、ErbB1-ErbB3二価性トラップにおいてEGFの結合を干渉するようであるが、ErbB3-ErbB1またはErbB4-ErbB1二価性トラップにおいては干渉しないようである。構築物は、実施例1に記載の通り調製した。
【図7】Biacoreで測定した、特定のリガンドへのトラップの結合親和性を示す図である。幾つかの異なるリガンドに対する二価性および一価性トラップの結合親和性(Kd)を、標準的方法を使用して、Biacoreを使用して決定した。トラップを、Biacoreチップに結合させ、さらに高濃度のリガンドを、トラップとリガンドの間の結合親和性を決定するために加えた。全ての二価性トラップは、ErbB1およびErbB3/ErbB4特異的リガンドの両方に結合できたが、一価性トラップは、それらそれぞれのクラスのリガンドとだけ結合できた。全長外部ドメインは、約412〜961nMのTGFαに対する親和性を有することが知られている。
【図8】トラップ存在下での標識EGF(1.6ng/ml)のEGFRへの結合を示す図である。EGFRをBiacoreチップに結合させ、次いで放射性EGFを加えた。トラップ非存在下での放射性EGFのEGFRへの結合を1とした。次いで3種の異なる濃度の二価性および一価性トラップの両方を、EGFR結合チップにさらす前の放射性EGFプールに加えた。二価性トラップは、利用できる放射性EGFのプールを減少させることができたが、一価性ErbB1トラップは、同濃度では減少させることができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有する二価性結合分子。
【請求項2】
結合分子が水溶液に可溶性である、請求項1に記載の結合分子。
【請求項3】
結合分子が、ErbB受容体に対するリガンドに結合するErbB受容体の細胞外ドメインの一部分をさらに含む、請求項1に記載の結合分子。
【請求項4】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含む、請求項1に記載の結合分子。
【請求項5】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB1受容体のアミノ酸1〜500を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項6】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB1受容体のアミノ酸1〜532を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項7】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB1受容体のアミノ酸1〜621を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項8】
ErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含む、請求項1に記載の結合分子。
【請求項9】
ErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB3受容体のアミノ酸1〜499を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項10】
ErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB3受容体のアミノ酸1〜531を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項11】
ErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB3受容体のアミノ酸1〜624を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項12】
ErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含む、請求項1に記載の結合分子。
【請求項13】
ErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB4受容体のアミノ酸1〜496を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項14】
ErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB4受容体のアミノ酸1〜528を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項15】
ErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含み、前記一部分がErbB4受容体のアミノ酸1〜626を含有する、請求項1に記載の結合分子。
【請求項16】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分およびErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含む、請求項1に記載の結合分子。
【請求項17】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分およびErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をさらに含む、請求項1に記載の結合分子。
【請求項18】
カルボキシ末端側のErbBリガンド結合部位が、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に逆向きのアミノ酸配列を有する、請求項16または17に記載の結合分子。
【請求項19】
結合部位の間にリンカーをさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項20】
融合パートナーをさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の結合分子。
【請求項21】
共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有するタンパク質をコードする組換えDNA分子。
【請求項22】
ErbBに対するリガンドに結合するErbB受容体タンパク質の一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項23】
ErbBに対するリガンドに結合するErbB受容体タンパク質の一部分をコードするヌクレオチド配列およびErbBに対するリガンドに結合するErbB受容体タンパク質の一部分をコードする第二のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項24】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1受容体タンパク質の一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項25】
ErbB1受容体のアミノ酸1〜500をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項26】
ErbB1受容体のアミノ酸1〜532をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項27】
ErbB1由来の細胞外ドメインの一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含み、前記一部分がErbB1受容体のアミノ酸1〜621をコードする、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項28】
ErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項29】
ErbB3受容体のアミノ酸1〜499をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項30】
ErbB3受容体のアミノ酸1〜531をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項31】
ErbB3受容体のアミノ酸1〜624をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項32】
ErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項33】
ErbB4受容体のアミノ酸1〜496をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項34】
ErbB4受容体のアミノ酸1〜528をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項35】
ErbB4受容体のアミノ酸1〜626をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項36】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分およびErbB3に対するリガンドに結合するErbB3由来の細胞外ドメインの一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項37】
ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1由来の細胞外ドメインの一部分およびErbB4に対するリガンドに結合するErbB4由来の細胞外ドメインの一部分をコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項21に記載の組換えDNA分子。
【請求項38】
カルボキシ末端側のErbBリガンド結合部位をコードするヌクレオチド配列が、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に逆向きのアミノ酸配列をコードする、請求項32または33に記載の組換えDNA分子。
【請求項39】
ヌクレオチド配列が、結合部位を連結するリンカーをコードする、請求項21から38のいずれか一項に記載の組換えDNA分子。
【請求項40】
ヌクレオチド配列が、融合パートナーをさらにコードする、請求項21から38のいずれか一項に記載の組換えDNA分子。
【請求項41】
共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有するタンパク質をコードする組換えDNA分子を含む宿主細胞。
【請求項42】
細胞が、共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有する二価性結合分子を産生する、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項43】
細胞が、結合分子の一部分を細胞の外および周囲の培地中へ輸送する、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項44】
組換えDNA分子が、ErbB受容体に対するリガンドに結合するErbB受容体の細胞外ドメインの一部分をコードする、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項45】
組換えDNA分子が、ErbB1受容体に対するリガンドに結合するErbB1受容体の細胞外ドメインの一部分をコードする、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項46】
組換えDNA分子が、ErbB3受容体に対するリガンドに結合するErbB3受容体の細胞外ドメインの一部分をコードする、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項47】
組換えDNA分子が、ErbB4受容体に対するリガンドに結合するErbB4受容体の細胞外ドメインの一部分をコードする、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項48】
宿主細胞が真核細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項49】
宿主細胞が哺乳類細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項50】
宿主細胞がCHO細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項51】
宿主細胞が酵母細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項52】
宿主細胞が原核細胞である、請求項41に記載の宿主細胞。
【請求項53】
共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有する二価性結合分子を、治療が必要な患者に有効量投与するステップを含む、疾患の治療方法。
【請求項54】
結合分子が、ErbB受容体の細胞外ドメインをさらに含む、請求項53に記載の疾患の治療方法。
【請求項55】
結合分子が、ErbB1に対するリガンドに結合するErbB1の細胞外ドメインをさらに含む、請求項53に記載の疾患の治療方法。
【請求項56】
結合分子が、ErbB3に対するリガンドに結合するErbB3の細胞外ドメインをさらに含む、請求項53に記載の疾患の治療方法。
【請求項57】
結合分子が、ErbB4に対するリガンドに結合するErbB4の細胞外ドメインをさらに含む、請求項53に記載の疾患の治療方法。
【請求項58】
腫瘍細胞を、共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有する二価性結合分子と接触させるステップを含む、癌の診断方法。
【請求項59】
EGF、TGFα、HB-EGF、ベータセルリン、アンフィレグリン、エピレグリン、エピジェン、ニューレグリン1α、ニューレグリン1β、ニューレグリン2α、ニューレグリン2β、ニューレグリン3およびニューレグリン4に親和性を有する単一分子を含む結合分子。
【請求項60】
必要とする対象に、共有結合で連結している単一のタンパク質分子中の別々の結合部位において第一および第二のErbBリガンドに対する結合親和性を有する二価性結合分子を投与するステップを含む、ErbBリガンドの除去または阻害によって改善、回復または阻止される疾患または状態の治療方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−525762(P2009−525762A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554505(P2008−554505)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2007/061863
【国際公開番号】WO2007/092932
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(507300641)ターゲッティド・モレキュラー・ダイアグナスティクス・エルエルシー (4)
【出願人】(598102502)イエダ・リサーチ・アンド・デベロツプメント・カンパニー・リミテツド (5)
【Fターム(参考)】