説明

二官能性フェニルイソ(チオ)シアナート、それらを製造するための方法および中間体

本発明は、式IIの化合物もしくはそのHCl付加物がホスゲン化剤と反応することにより、式I
【化1】


[式中、Wは、酸素もしくは硫黄であり、ArおよびAは、請求項1に記載する意味を有する]
のフェニルイソ(チオ)シアナートを製造するための方法に関する。
本発明は、作物保護剤を調製するためのフェニルイソ(チオ)シアナートの使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニリンもしくはそれらの塩酸塩とホスゲン誘導体との反応により、アシルスルホンアミド基を有する式I
【化1】

【0002】
[式中、基は、以下に定義されるとおりであり、
Wは、酸素もしくは硫黄であり、
Arは、以下の基、水素、ハロゲン、C1-C4ハロアルキルまたはシアノにより一置換もしくは多置換されうるフェニルであり、
Aは、第1級アミンもしくは第2級アミンから誘導される基、またはNH2である]
の二官能性フェニルイソ(チオ)シアナートの製造方法に関する。本発明は、さらに、二官能性フェニルイソ(チオ)シアナートに関する。
【背景技術】
【0003】
イソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドは、トリアゾール-3,5-ジオン-4-イル基、ピリミジン-2,6-ジオン-1-イル基もしくは1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン-1-イル基、または、例えばWO 01/83459に記載のそれらのS類似体を含有する作物保護剤を調製するのが可能な前駆体である。それらの反応性により、イソ(チオ)シアナト構造単位の他の基(例、(チオ)尿素もしくはウレタン基等)への変換は、容易であるはずである。しかしながら、以下に記載する理由のため、それらの調製は、不可能であると考えられている。
【0004】
原則的には、フェニルイソ(チオ)シアナートは、第1級芳香族アミンをホスゲンおよびチオホスゲンと各々反応させて、製造することが可能である(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法]、第4版、IX巻、869、875〜877頁およびVIII巻、120〜124頁を参照のこと)。さらなる一般的な方法は、例えばEP 70389、EP 75267およびEP 409 025により公知である。
【0005】
記載される全ての方法に共通して、使用されるフェニルイソ(チオ)シアナートは、アシルスルホンアミド基を有していない。これは、イソ(チオ)シアナト基が、スルホニル尿素の生成を伴ってスルホンアミド基と反応することが可能であると周知であるからである。従って、例えばJ. CervelloおよびT. Sastreは、下記の化学反応式に基づくスルホンアミドとイソシアネートとの反応を“Synthesis 1990, 221-222”に記載する。
【化2】

【0006】
米国特許第4,309,209号明細書は、フェニルイソシアネートは、1,2,4-チアジアゾリジン-1,1,3-トリオンの生成を伴ってクロロメタン-(N-メチル)スルホンアミド(= ClCH2SO2NHCH3)と反応することを開示する。P. SchwenkkrausおよびH.-H. Ottoは、“Arch. Pharm. (Weinheim), 326 (1993), 437 - 441”に、カルバモイル化合物の生成を伴う3-ハロアルキル-β-スルタムとフェニルイソシアネートとの反応を記載する。
【0007】
DE 3433391は、サッカリンとアシルイソシアネートとが反応して、N-アシル化サッカリン誘導体が得られる反応を開示する。
【0008】
In JZV Akad Nauk SSSR, Ser Khim 1990, 2874(英翻訳誌:Bulletin of the Academy of Sciences of the USSR, Division of Chemical Sciences, 39巻(1990)、2610頁)において、B. A. Arbuzov, N. N. ZobovaおよびN. R. Fedotavaは、トリフルオロアセチルイソシアネートとの反応によるサッカリンのN-アシル化およびO-アシル化を記載する。
【0009】
この背景技術に反して、同分子内に反応性アシルスルホンアミド官能基も同様に有するフェニルイソ(チオ)シアナートを調製して、続いて起こる分子間反応を伴わずにそれらを単離することは、不可能であると思われていた。当業者は、スルホンアミドが、それらの酸性プロトンにより、フェニルイソ(チオ)シアナートと反応してスルホニル尿素誘導体が生じうると考えていた。これまでのところ、さらなる官能基として、アシルスルホンアミド基を有するフェニルイソ(チオ)シアナートを調製する方法は、記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、式Iのイソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、式II
【化3】

【0012】
[式中、基ArおよびAは、上記定義のとおりである]のアミノベンゾイルスルファミン酸アミドを、ホスゲン、ジホスゲンまたはチオホスゲンと反応させる方法により、驚くべきことに上記の目的が達成されることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
従って、本発明は、式IIの化合物もしくはそのHCl付加物(adduct)と、ホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンとの反応(スキーム1を参照のこと)を含む、式Iのフェニルイソ(チオ)シアナートの製造方法に関する。スキーム1において、基Ar、AおよびWは、上記の通り定義される。
【0014】
スキーム1
【化4】

【0015】
本発明に係る方法により高収率で得られるフェニルイソ(チオ)シアナートIは、作物保護剤、特に3-(トリアゾリジノン)-置換フェニルスルファモイルカルボキサミドを調製するための有用な中間体である。従って、本発明は、フェニルイソ(チオ)シアナートIで開始する3-ヘテロシクリル置換フェニルスルファモイルカルボキサミドを製造するための方法も提供する。本発明に係る化合物Iは、予想外に、工業規模においてでさえも、容易に製造される安定化合物である。従って、本発明は、式Iのフェニルイソ(チオ)シアナートにも関する。当業者にはイソ(チオ)シアナト構造単位とスルファミド基間で分子間反応が起こると考えられていたので、本発明に係る化合物Iの安定性は、驚くべきことである。
【0016】
置換基の定義において挙げられる有機分子基は、用語ハロゲンのように、個々の基の構成要素の各列挙に対する集合名であり、個々の基において、用語Cn-Cmは、分子基における炭素原子の可能な数を示唆する。全ての炭素鎖、即ちアルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、直鎖でも分岐でも構わない。特に明記しない限り、ハロゲン置換基は、好ましくは1個〜6個の同種もしくは異種のハロゲン原子を有する。各場合において、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0017】
他の意味の例として、以下が挙げられる。
【0018】
C1-C4アルキル:例えばメチル、エチル、プロピル、1-メチルエチル、ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピルまたは1,1-ジメチルエチル;
C1-C10アルキル:1個〜10個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素基、例えば上記のC1-C4アルキル、さらに例えば、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-3-メチルプロピル、n-ペプチル、n-ノニル、n-デシル、1-メチルヘキシル、1-エチルヘキシル、1-メチルペプチル、1-メチルオクチル、1-メチルノニル;
C2-C10アルケニル:2個〜10個の炭素原子、好ましくは3〜6個の炭素原子を有する一価の不飽和オレフィン系炭化水素基、例えば、エテニル、プロパ-2-エン-1-イル(=アリル)、プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-4-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-3-エン-1-イル、1-メチルプロパ-2-エン-1-イル、2-メチルプロパ-2-エン-1-イル、1-ペンテン-3-イル、1-ペンテン-4-イル、2-ペンテン-4-イル、1-メチルブタ-2-エン-1-イル、2-メチルブタ-2-エン-1-イル、3-メチルブタ-2-エン-1-イル、1-メチルブタ-3-エン-1-イル、2-メチルブタ-3-エン-1-イル、3-メチルブタ-3-エン-1-イル、1,1-ジメチルプロパ-2-エン-1-イル、1,2-ジメチルプロパ-2-エン-1-イル、1-エチルプロパ-2-エン-1-イル、1-エチルプロパ-1-エン-2-イル、n-ヘキサ-1-エン-1-イル、n-ヘキサ-2-エン-1-イル、ヘキサ-3-エン-1-イル、ヘキサ-4-エン-1-イル、ヘキサ-5-エン-1-イル、1-メチルペンタ-1-エン-1-イル、2-メチルペンタ-1-エン-1-イル、3-メチルペンタ-1-エン-1-イル、4-メチルペンタ-1-エン-1-イル、1-メチルペンタ-2-エン-1-イル、2-メチルペンタ-2-エン-1-イル、3-メチルペンタ-2-エン-1-イル、4-メチルペンタ-2-エン-1-イル、1-メチルペンタ-3-エン-1-イル、2-メチルペンタ-3-エン-1-イル、3-メチルペンタ-3-エン-1-イル、4-メチルペンタ-3-エン-1-イル、1-メチルペンタ-4-エン-1-イル、2-メチルペンタ-4-エン-1-イル、3-メチルペンタ-4-エン-1-イル、4-メチルペンタ-4-エン-1-イル、1,1-ジメチルブタ-2-エン-1-イル、1,1-ジメチルブタ-3-エン-1-イル、1,2-ジメチルブタ-2-エン-1-イル、1,2-ジメチルブタ-3-エン-1-イル、1,3-ジメチルブタ-2-エン-1-イル、1,3-ジメチルブタ-3-エン-1-イル、2,2-ジメチルブタ-3-エン-1-イル、2,3-ジメチルブタ-2-エン-1-イル、2,3-ジメチルブタ-3-エン-1-イル、3,3-ジメチルブタ-2-エン-1-イル、1-エチルブタ-2-エン-1-イル、1-エチルブタ-3-エン-1-イル、2-エチルブタ-2-エン-1-イル、2-エチルブタ-3-エン-1-イル、1,1,2-トリメチルプロパ-2-エン-1-イル、1-エチル-1-メチルプロパ-2-エン-1-イル、1-エチル-2-メチルプロパ-2-エン-1-イル、ヘプタ-2-エン-1-イル、オクタ-2-エン-1-イル、ノナ-2-エン-1-イル、デカ-2-エン-1-イル;
C2-C10アルキニル:2個〜10個の炭素原子、好ましくは3個〜6個の炭素原子と1個の三重結合を有する炭化水素基、例えば、エチニル、プロパ-2-イン-1-イル(=プロパルギル)、プロパ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-1-イン-4-イル、ブタ-2-イン-1-イル、ペンタ-1-イン-1-イル、ペンタ-1-イン-3-イル、ペンタ-1-イン-4-イル、ペンタ-1-イン-5-イル、ペンタ-2-イン-1-イル、ペンタ-2-イン-4-イル、ペンタ-2-イン-5-イル、3-メチルブタ-1-イン-3-イル、3-メチルブタ-1-イン-4-イル、ヘキサ-1-イン-3-イル、ヘキサ-1-イン-4-イル、ヘキサ-1-イン-5-イル、ヘキサ-1-イン-6-イル、ヘキサ-2-イン-1-イル、ヘキサ-2-イン-4-イル、ヘキサ-2-イン-5-イル、ヘキサ-2-イン-6-イル、ヘキサ-3-イン-1-イル、ヘキサ-3-イン-2-イル、3-メチルペンタ-1-イン-3-イル、3-メチルペンタ-1-イン-4-イル、3-メチルペンタ-1-イン-5-イル、4-メチルペンタ-2-イン-4-イル、4-メチルペンタ-2-イン-5-イル、ヘプタ-2-イン-1-イル、オクタ-2-イン-1-イル、ノナ-2-イン-1-イル、デカ-2-イン-1-イル;
C1-C4ハロアルキル:フッ素、塩素、臭素および/またはヨウ素で部分的にもしくは完全に置換された上記のC1-C4アルキル基、つまり、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロフルオロメチル、ジクロロフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2-フルオロエチル、2-クロロエチル、2-ブロモエチル、2-ヨードエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-クロロ-2-フルオロエチル、2-クロロ-2,2-ジフルオロエチル、2,2-ジクロロ-2-フルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、ペンタフルオロエチル、2-フルオロプロピル、3-フルオロプロピル、2,2-ジフルオロプロピル、2,3-ジフルオロプロピル、2-クロロプロピル、3-クロロプロピル、2,3-ジクロロプロピル、2-ブロモプロピル、3-ブロモプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,3-トリクロロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、1-(フルオロメチル)-2-フルオロエチル、1-(クロロメチル)-2-クロロエチル、1-(ブロモメチル)-2-ブロモエチル、4-フルオロブチル、4-クロロブチル、4-ブロモブチルまたはノナフルオロブチル;
C1-C10ハロアルキル:1個〜6個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフッ素および/または塩素で置換された上記のC1-C10アルキル、例えば:上記のC1-C4ハロアルキル、さらに5-フルオロペンチル、5-クロロペンチル、5-ブロモペンチル、5-ヨードペンチル、ウンデカフルオロペンチル、6-フルオロヘキシル、6-クロロヘキシル、6-ブロモヘキシルまたは6-ヨードヘキシル;
C2-C10ハロアルケニル:1個〜6個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフッ素および/または塩素で置換された上記のC2-C10アルケニル:例えば、2-クロロアリル、3-クロロアリル、2,3-ジクロロアリル、3,3-ジクロロアリル、2,3,3-トリクロロアリル、2,3-ジクロロブタ-2-エン-1-イル、2-ブロモアリル、3-ブロモアリル、2,3-ジブロモアリル、3,3-ジブロモアリル、2,3,3-トリブロモアリルまたは2,3-ジブロモブタ-2-エン-1-イル;
C2-C10ハロアルキニル:1個〜6個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフッ素および/または塩素で置換された上記のC2-C10アルキニル:例えば、1,1-ジフルオロプロパ-2-イン-1-イル、1,1-ジフルオロブタ-2-イン-1-イル、4-フルオロブタ-2-イン-1-イル、4-クロロブタ-2-イン-1-イル、5-フルオロペンタ-3-イン-1-イルまたは6-フルオロヘキサ-4-イン-1-イル;
C1-C10シアノアルキル:CN基で置換されたC1-C10アルキル、例えばシアノメチル、1-シアノエチル、2-シアノエチル、1-シアノプロピル、2-シアノプロピル、3-シアノプロピル、1-シアノプロパ-2-イル、2-シアノプロパ-2-イル、1-シアノブチル、2-シアノブチル、3-シアノブチル、4-シアノブチル、1-シアノブタ-2-イル、2-シアノブタ-2-イル、1-シアノブタ-3-イル、2-シアノブタ-3-イル、1-シアノ-2-メチルプロパ-3-イル、2-シアノ-2-メチルプロパ-3-イル、3-シアノ-2-メチルプロパ-3-イル、3-シアノ-2,2-ジメチルプロピル、6-シアノヘキサ-1-イル、7-シアノヘプタ-1-イル、8-シアノオクタ-1-イル、9-シアノノナ-1-イル、10-シアノデカ-1-イル;
C3-C10シクロアルキル:3個〜10個の炭素原子を有する脂環式基:例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル、シクロオクチル、シクロノニルまたはシクロデシル;
C3-C10シクロアルケニル:3個〜10個の炭素原子と1個の二重結合を有する脂環式基:例えば、シクロプロペン-1-イル、シクロブテン-1-イル、シクロペンテン-1-イル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘプテン-1-イル、シクロオクテン-1-イル、シクロノネン-1-イル、シクロデセン-1-イル、シクロペンタ-2-エン-1-イル、シクロヘキサ-2-エン-1-イル、シクロヘプタ-2-エン-1-イル、シクロオクタ-2-エン-1-イル、シクロノナ-2-エン-1-イル、シクロデカ-2-エン-1-イル、シクロヘキサ-3-エン-1-イル、シクロヘプタ-3-エン-1-イル、シクロオクタ-3-エン-1-イル、シクロオクタ-4-エン-1-イル、シクロノナ-3-エン-1-イル、シクロノナ-4-エン-1-イル、シクロデカ-4-エン-1-イルまたはシクロデカ-3-エン-1-イル;
C1-C4アルキルカルボニル:カルボニル基を介して結合した1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリルまたはイソブチリル;
(C1-C4アルキルアミノ)カルボニル:例えば、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、プロピルアミノカルボニル、1-メチルエチルアミノカルボニル、ブチルアミノカルボニル、1-メチルプロピルアミノカルボニル、2-メチルプロピルアミノカルボニルまたは1,1-ジメチルエチルアミノカルボニル;
ジ-(C1-C4-アルキル)アミノカルボニル:例えば、N,N-ジメチルアミノカルボニル、N,N-ジエチルアミノカルボニル、N,N-ジ-(1-メチルエチル)アミノカルボニル、N,N-ジプロピルアミノカルボニル、N,N-ジブチルアミノカルボニル、N,N-ジ-(1-メチルプロピル)アミノカルボニル、N,N-ジ-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル、N,N-ジ-(1,1-ジメチルエチル)アミノカルボニル、N-エチル-N-メチルアミノカルボニル、N-メチル-N-プロピルアミノカルボニル、N-メチル-N-(1-メチルエチル)アミノカルボニル、N-ブチル-N-メチルアミノカルボニル、N-メチル-N-(1-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-メチル-N-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-(1,1-ジメチルエチル)-N-メチルアミノカルボニル、N-エチル-N-プロピルアミノカルボニル、N-エチル-N-(1-メチルエチル)アミノカルボニル、N-ブチル-N-エチルアミノカルボニル、N-エチル-N-(1-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-エチル-N-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-エチル-N-(1,1-ジメチルエチル)アミノカルボニル、N-(1-メチルエチル)-N-プロピルアミノカルボニル、N-ブチル-N-プロピルアミノカルボニル、N-(1-メチルプロピル)-N-プロピルアミノカルボニル、N-(2-メチルプロピル)-N-プロピルアミノカルボニル、N-(1,1-ジメチルエチル)-N-プロピルアミノカルボニル、N-ブチル-N-(1-メチルエチル)アミノカルボニル、N-(1-メチルエチル)-N-(1-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-(1-メチルエチル)-N-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-(1,1-ジメチルエチル)-N-(1-メチルエチル)アミノカルボニル、N-ブチル-N-(1-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-ブチル-N-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-ブチル-N-(1,1-ジメチルエチル)アミノカルボニル、N-(1-メチルプロピル)-N-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル、N-(1,1-ジメチルエチル)-N-(1-メチルプロピル)アミノカルボニルまたはN-(1,1-ジメチルエチル)-N-(2-メチルプロピル)アミノカルボニル;
C1-C4アルコキシ:1個の酸素原子を介して結合した1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、1-メチルプロポキシ、2-メチルプロポキシまたは1,1-ジメチルエトキシ;
C1-C4アルコキシカルボニル:カルボニル基を介して結合した1個〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、1-メチルエトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、1-メチルプロポキシカルボニル、2-メチルプロポキシカルボニルまたは1,1-ジメチルエトキシカルボニル;
C1-C4アルキルチオ(C1-C4-アルキルスルファニル:C1-C4アルキル-S-):1個の硫黄原子を介して結合した1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、1-メチルエチルチオ、ブチルチオ、1-メチルプロピルチオ、2-メチルプロピルチオまたは1,1-ジメチルエチルチオ;
C1-C4アルキルスルフィニル(C1-C4アルキル-S(=O)-):例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、1-メチルエチルスルフィニル、ブチルスルフィニル、1-メチルプロピルスルフィニル、2-メチルプロピルスルフィニルまたは1,1-ジメチルエチルスルフィニル;
C1-C4アルキルスルホニル(C1-C4-アルキル-S(=O)2-):例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、1-メチルエチルスルホニル、ブチルスルホニル、1-メチルプロピルスルホニル、2-メチルプロピルスルホニルまたは1,1-ジメチルエチルスルホニル;
3員環〜8員環のヘテロシクリル:3、4、5、6、7または8個の環員を有し、該環員のうち1個、2個または3個は、酸素、硫黄、窒素およびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択されるヘテロ原子である複素環式基。さらに、上記複素環は、場合により、環員として、1個または2個のカルボニル基もしくはチオカルボニル基を有してもよい。複素環は、芳香族(ヘテロアリール)であってよく、または部分的にもしくは完全に飽和されてもよい。
【0019】
飽和複素環の例は、
オキシラン-1-イル、アジリジン-1-イル、オキセタン-2-イル、オキセタン-3-イル、チエタン-2-イル、チエタン-3-イル、アゼチジン-1-イル、アゼチジン-2-イル、アゼチジン-3-イル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチオフェン-2-イル、テトラヒドロチオフェン-3-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキソラン-4-イル、1,3-オキサチオラン-2-イル、1,3-オキサチオラン-4-イル、1,3-オキサチオラン-5-イル、1,3-オキサゾリジン-2-イル、1,3-オキサゾリジン-3-イル、1,3-オキサゾリジン-4-イル、1,3-オキサゾリジン-5-イル、1,2-オキサゾリジン-2-イル、1,2-オキサゾリジン-3-イル、1,2-オキサゾリジン-4-イル、1,2-オキサゾリジン-5-イル、1,3-ジチオラン-2-イル、1,3-ジチオラン-4-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-5-イル、テトラヒドロピラゾール-1-イル、テトラヒドロピラゾール-3-イル、テトラヒドロピラゾール-4-イル、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、テトラヒドロチオピラン-2-イル、テトラヒドロチオピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル、ピペリジン-1-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、1,3-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-5-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、1,3-オキサチアン-2-イル、1,3-オキサチアン-4-イル、1,3-オキサチアン-5-イル、1,3-オキサチアン-6-イル、1,4-オキサチアン-2-イル、1,4-オキサチアン-3-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル、モルホリン-4-イル、ヘキサヒドロピリダジン-1-イル、ヘキサヒドロピリダジン-3-イル、ヘキサヒドロピリダジン-4-イル、ヘキサヒドロピリミジン-1-イル、ヘキサヒドロピリミジン-2-イル、ヘキサヒドロピリミジン-4-イル、ヘキサヒドロピリミジン-5-イル、ピペラジン-1-イル、ピペラジン-2-イル、ピペラジン-3-イル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-1-イル、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン-2-イル、オキセパン-2-イル、オキセパン-3-イル、オキセパン-4-イル、チエパン-2-イル、チエパン-3-イル、チエパン-4-イル、1,3-ジオキセパン-2-イル、1,3-ジオキセパン-4-イル、1,3-ジオキセパン-5-イル、1,3-ジオキセパン-6-イル、1,3-ジチエパン-2-イル、1,3-ジチエパン-4-イル、1,3-ジチエパン-5-イル、1,3-ジチエパン-2-イル、1,4-ジオキセパン-2-イル、1,4-ジオキセパン-7-イル、ヘキサヒドロアゼピン-1-イル、ヘキサヒドロアゼピン-2-イル、ヘキサヒドロアゼピン-3-イル、ヘキサヒドロアゼピン-4-イル、ヘキサヒドロ-1,3-ジアゼピン-1-イル、ヘキサヒドロ-1,3-ジアゼピン-2-イル、ヘキサヒドロ-1,3-ジアゼピン-4-イル、ヘキサヒドロ-1,4-ジアゼピン-1-イルおよびヘキサヒドロ-1,4-ジアゼピン-2-イルであり、
不飽和複素環の例は、
ジヒドロフラン-2-イル、1,2-オキサゾリン-3-イル、1,2-オキサゾリン-5-イル、1,3-オキサゾリン-2-イルであり、
芳香族ヘテロシクリルの例は、5員環および6員環の芳香族複素環式基、例えば、フリル(例、2-フリルおよび3-フリル等)、チエニル(例、2-チエニルおよび3-チエニル等)、ピロリル(例、2-ピロリルおよび3-ピロリル等)、イソオキサゾリル(例、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリルおよび5-イソオキサゾリル等)、イソチアゾリル(3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリルおよび5-イソチアゾリル等)、ピラゾリル(例、3-ピラゾリル、4-ピラゾリルおよび5-ピラゾリル等)、オキサゾリル(例、2-オキサゾリル、4-オキサゾリルおよび5-オキサゾリル等)、チアゾリル(例、2-チアゾリル、4-チアゾリルおよび5-チアゾリル等)、イミダゾリル(例、2-イミダゾリルおよび4-イミダゾリル等)、オキサジアゾリル(例、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イルおよび1,3,4-オキサジアゾール-2-イル等)、チアジアゾリル(例、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イルおよび1,3,4-チアジアゾール-2-イル等)、トリアゾリル(例、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イルおよび1,2,4-トリアゾール-4-イル等)、ピリジニル(例、2-ピリジニル、3-ピリジニルおよび4-ピリジニル等)、ピリダジニル(例、3-ピリダジニルおよび4-ピリダジニル等)、ピリミジニル(例、2-ピリミジニル、4-ピリミジニルおよび5-ピリミジニル等)、さらに2-ピラジニル、1,3,5-トリアジン-2-イルおよび1,2,4-トリアジン-3-イル、特に、ピリジル、フラニルおよびチエニルである。
【0020】
基Aは、第1級アミンもしくは第2級アミンから誘導され、一般的に、式-NR1R2
[式中、基R1およびR2は、下記に定義されるとおりであり、
R1およびR2は、互いに独立して、水素、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニルまたはC2-C10アルキニルであり、未置換でも、以下の基のひとつで置換されてもよい。C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキルチオ、CN、NO2、ホルミル、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルアミノカルボニル、C1-C4ジアルキルアミノカルボニル、C1-C4アルキルスルフィニル、C1-C4アルキルスルホニル、C3-C10シクロアルキル、O、S、NおよびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択される2個または3個のヘテロ原子を有する3員環〜8員環のヘテロシクリル、フェニル(その一部に関して、ハロゲン、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-フルオロアルキル、C1-C4-アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチルスルホニル、C1-C3-アルキルアミノ、C1-C3-ジアルキルアミノ、ホルミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される1個、2個、3個または4個の置換基を有してもよい)。
【0021】
C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C3-C8シクロアルキル、C3-C10シクロアルケニル、O、S、NおよびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択される1個〜3個のヘテロ原子を有する3員環〜8員環のヘテロシクリル、フェニルまたはナフチル。それらのうちでC3-C8-シクロアルキル、C3-C10-シクロアルケニル、3員環〜8員環のヘテロシクリル、フェニルおよびナフチルは、それらの一部に関して、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチルスルホニル、ホルミル、C1-C3アルキルアミノ、C1-C3ジアルキルアミノ、フェノキシ、ニトロおよびシアノからなる群から選択される1個、2個、3個または4個の置換基を有してもよい。或いは、
R1およびR2は一緒になって、飽和または一部不飽和の5員環〜8員環の窒素複素環を形成し、前記窒素複素環は、その一部に関して、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシおよび/またはC1-C4ハロアルキルで置換されてもよく、1個または2個のカルボニル基、チオカルボニル基および/またはO、S、NおよびNR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)からなる群から選択される1個または2個のさらなるヘテロ原子を環員として有してもよい]
の基である。
【0022】
好適な置換基R1およびR2は、互いに独立して、水素、C1-C6アルキルからなる群から選択され、C1-C6アルキルは、未置換であるか、またはハロゲン、シアノ、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルチオ、C3-C8シクロアルキル、フェニル(その一部に関して、未置換であるかまたはハロゲンもしくはC1-C4アルコキシで置換される)、フリル、チエニル、1,3-ジオキソラニルからなる群から選択される置換基で置換される。さらに、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C8シクロアルキルまたはフェニル(未置換であるかまたはハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、ニトロおよびC1-C3-ジアルキルアミノからなる群から選択される1個または2個の置換基で置換される)、ナフチルまたはピリジルが好適である。さらに好適な実施形態において、R1およびR2は共に、N、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)およびOからなる群から選択される1個のさらなるヘテロ原子を環員として含有しうるかおよび/またはC1-C4アルキルおよびC1-C4ハロアルキルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されうる、5員環、6員環または7員環の飽和または不飽和窒素複素環を形成する。
【0023】
本発明の特に好適な実施形態において、R1基またはR2基のうち一方が、水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニルであり、かつ他方のR1基またはR2基が、C1-C6アルキル、C3-C8シクロアルキルまたはフェニルである。
【0024】
Ar基は、具体的には、式Ar-1の基である。
【化5】

【0025】
式中、
Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-C4ハロアルキルまたはシアノであり、
*は、C(O)基とのArの結合位置を示し、および
**は、アミノ、ニトロまたはイソ(チオ)シアナト基の窒素原子とのArの結合位置を示す。
【0026】
本発明の特に好適な一実施形態において、基Ra、Rb、RcおよびRdは、単独または組み合わせの各々の場合において、以下に定義されるとおりであり、
Raは、ハロゲンまたはシアノ、具体的にはフッ素、塩素またはシアノであり、
Rbは、水素であり、
Rcは、ハロゲンまたは水素、具体的にはフッ素、塩素または水素であり、
Rdは、水素である。
【0027】
従って、本発明は、特に、化合物IA
【化6】

【0028】
[式中、基Ra、Rb、Rc、Rd、AおよびWは、上記定義のとおりである]の調製に関する。
【0029】
具体的には、本発明は、Aが、NR1R2である化合物IA.1の調製に関する。以下、これらの化合物を化合物IA.1とする:
【化7】

【0030】
化合物IIとホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲン(以下ホスゲン化剤とする)との反応は、通常、不活性有機溶媒中で実施される。これらの反応に適切な溶媒は、温度範囲に応じて、炭化水素(例、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)、塩素化炭化水素(例、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼンまたは1,4-ジクロロベンゼン等)、エーテル(例、1,4-ジオキサン、アニソール等)、グリコールエーテル(例、ジメチルグリコールエーテル、ジエチルグリコールエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等)、エステル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソ酪酸メチル、酢酸イソブチル等)、カルボキサミド(例、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等)、ニトロ化炭化水素(例、ニトロベンゼン等)、テトラアルキル尿素(例、テトラエチル尿素、テトラブチル尿素、ジメチルエチレン尿素、ジメチルプロピレン尿素等)、ニトリル(例、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルまたはイソブチロニトリル等)、または各溶媒の混合液である。
【0031】
ホスゲンを使用するならば、プロトン性不純物(例、水およびアルコール等)を殆ど含有しない溶媒を用いるのが好ましい。しかしながら、イソチオシアナートの調製において、水と水非混和性有機溶媒とを含んでなる二相系中で、或いは水中で、IIとチオホスゲンとの反応を実施することは、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie(第4版、IX巻、875頁)と同様に、可能である。
【0032】
一般的に、最初に化合物IIを、好ましくは上記溶媒のうち1種の溶媒溶液もしくは懸濁液として、反応槽に装入した後に、ホスゲン化剤を添加する。攪拌しながらホスゲン化剤を添加するのが好ましい。10〜60分間にわたって上記添加を行うのが好ましい。ホスゲン化剤を、それ自体としてまたは上記溶媒のうちの1種の溶媒溶液として添加することができる。ホスゲンの場合、溶液もしくは懸濁液中にホスゲンを導入するのが一般的である。
【0033】
反応温度は、通常180℃、好ましくは120℃、特に100℃を超えないのが一般的であり、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃であるのが一般的である。低温で、例えば、0〜40℃、特に10〜40℃、殊に20〜30℃の範囲で、少なくとも大部分のホスゲン化剤を添加し、添加中もしくは添加後に、40〜180℃、特に50〜120℃、殊に70〜100℃の範囲の温度まで、反応が完了するまで混合液を加熱する場合が多い。
【0034】
一般的に、化合物IIのモル当たり、0.9〜2、好ましくは0.95〜1.5、特に好ましくは0.98〜1.09モル当量のホスゲン化剤を使用する。
【0035】
適切ならば、IIの変換は、塩基の存在下で実施される。適切な塩基は、例えば塩基性無機化合物、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物塩、重炭酸塩または炭酸塩である。しかしながら、有機塩基、例えば第3級アミン(例、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、N-メチルピロリジン、ジメチルアニリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、キノリンまたはアクリジン等)の存在下で、反応を実施することも可能である。化合物IIを基準として、化学量論以下、過化学量論的または等モル量で、塩基(塩基当量として算出)を使用することができる。一般的に、化合物IIのモル当たり、0.01〜6モル、好ましくは0.1〜3モルの塩基を使用する。
【0036】
本発明に係る方法の別の実施形態において、上記反応は、塩化水素の存在下で、実施される。この場合において、塩化水素の量は、化合物IIのモル当たり、通常0.9〜5.0モル、好ましくは1.0〜2.5モル、特に1.0〜1.2モルである。本明細書で通常採用される手順は、上記の量の気体状塩化水素を最初に導入、或いは溶媒中の塩化水素溶液を最初に上記溶媒のうち1種の溶媒に入れた化合物IIの溶液もしくは懸濁液に添加して、次に上記の方法でホスゲン化剤を添加した後に、上記の方法で反応を続ける。塩化水素の導入は、通常10℃〜60℃、好ましくは20℃〜30℃の温度で実施される。
【0037】
塩化水素の存在下で上記方法を実施するならば、触媒として活性炭を使用することが可能である。活性炭の量は、化合物IIの重量を基準として、1〜10重量%、好ましくは1〜3重量%であるのが適切である。
【0038】
上記反応は、大気圧でもしくは加圧下で、継続的にまたはバッチ式で、実施することが可能である。一般的に、化合物IIとホスゲン化剤との反応は、水を除去して実施される。適切ならば、保護雰囲気下で反応を実施するのが有利である。
【0039】
目的生成物を単離する後処理は、この目的のために慣用される方法を用いて実施することが可能である。使用するホスゲン化剤がホスゲンであるならば、一般的に、例えば窒素気流を反応混合物中に導入して、未反応のホスゲンを最初に除去する。その後、従来使用された方法、例えば蒸留により、溶媒を除去する。さらに精製するために、晶析もしくは例えばシリカゲルでのクロマトグラフィー等の方法を用いることができる。適切ならば、溶媒、例えば芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等)、もしくは脂肪族炭化水素(例、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン等)、エーテル(例、ジエチルエーテル等)など、およびこれらの混合液を用いての懸濁洗浄により、残渣を精製することもできる。
【0040】
本発明に係る方法を実施するために出発物質として必要な式IIの化合物は、同様に新規であり、本発明に係る方法にとって、対象の前駆体として重要である。式IIにおいて、基ArおよびAは、本発明に係る化合物Iの記載に関してこれらの置換基に好適であると既述した上記の基を意味するのが好ましい。
【0041】
式IIの化合物は、アニリンを調製するための公知の方法とほぼ同様に得ることが可能である。例えばスキーム2に従って、式IIIのアロイル化合物とスルファミン酸アミドIVとを縮合反応において最初に反応させ、式VのN-アロイルスルファミン酸アミドを得た後に、生成したN-アロイルスルファミン酸アミドVを還元して化合物IIを得ることにより、式IIのアニリン化合物を調製することが可能である。
【0042】
スキーム2:
【化8】

【0043】
スキーム2において、基AおよびArは、上記の意味、特に好適であると記載された意味を有する。Xは、ハロゲン、好ましくは塩素、ヒドロキシル基またはC1-C4アルコキシ基である。式IIIのアロイル化合物と式IVのスルファミン酸アミドとの縮合より式Vの対応するベンゾイルスルファミドを生じる反応は、公知の方法、例えばWO 01/83459(31〜35頁)、未公開のドイツ特許出願DE10221910.0における方法(それらの開示は、本明細書に参照により組み込まれる)と同様に実施される。
【0044】
第一反応段階を以下にさらに詳細に例証する。
【0045】
式IIIにおけるXがヒドロキシルであるならば、カルボン酸IIIは、カップリング剤との反応により、最初に活性化されるのが好ましい。活性化されたカルボン酸IIIは、通常、事前に単離されないで、スルファミン酸アミドIVと反応する。適切なカップリング剤は、例えばN,N-カルボニルジイミダゾールまたはカルボジイミド(例、ジシクロヘキシルカルボジイミド等)である。これらは、カルボン酸IIIを基準として、通常少なくとも等モル量から最大4倍超で使用される。適切ならば、カルボン酸IIIとカップリング剤との反応により生じる反応混合物を加熱した後に、室温まで冷却しても差し支えない。上記反応は、通常、溶媒中で実施される。適切な溶媒は、例えば塩素化炭化水素(例、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン等)、エーテル、例えばジアルキルエーテル(例、ジエチルエーテルもしくはメチルtert-ブチルエーテル等)、または環状エーテル(例、テトラヒドロフランもしくはジオキサン等)、カルボキサミド(例、ジメチルホルムアミド等)、N-メチルラクタム(例、N-メチルピロリドン等)、ニトリル(例、アセトニトリル等)、芳香族炭化水素(例、トルエン等)、芳香族アミン(例、ピリジン等)、またはそれらの混合液である。次に、スルファミン酸アミドIVを添加する。一般的に、カルボン酸を活性化するのに使用した溶媒と同一溶媒に、スルファミドIVを溶かす。
【0046】
式IIIのXがC1-C4アルコキシであるならば、強鉱酸(例、濃塩酸もしくは硫酸等)もしくは有機酸(例、氷酢酸等)、またはそれらの混合物を用いる酸性媒体中での加水分解により、公知の方法に従って、最初に、エステルを対応するカルボン酸IIIに変換する。別の方法として、水中で塩基(例、アルカリ金属の水酸化物塩、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム)を用いるアルカリ条件下で、エステルを加水分解することも可能である。
【0047】
従って、カルボン酸III(X=OH)は、上記の方法で反応することが可能であり、または最初に塩素化剤(例、塩化チオニルもしくはホスゲン等)を用いて酸塩化物(X=Cl)に変換した後に、以下に記載される方法で、酸塩化物とIVとを反応させることが可能である。酸塩化物は、公知の方法、例えばEP1176133およびWO01/087872に記載される方法と同様に調製される。
【0048】
しかしながら、XがC1-C4アルコキシである式IIIのカルボン酸エステルを、エステル基の開裂を伴うアミド化反応において、スルファミン酸アミドIVもしくはそれらの金属塩と直接反応させることも可能である。該反応は、Houben-Weyl(第4版、VIII巻、658〜659頁)に記載される手順と同様に実施される。
【0049】
式IIIのXがハロゲンであるならば、通常、アロイル化合物IIIを好ましくは不活性溶媒で希釈して、式IVのスルファミン酸アミド(同様に不活性溶媒で希釈されるのが好ましい)に添加してもよい。勿論、アロイル化合物IIIを最初に装入して、スルファミン酸アミドIVを添加することも可能である。
【0050】
出発物質IIIとIVとが相互に反応するモル比は、スルファミン酸アミドIVに対するアロイル化合物IIIの比で通常0.9〜1.2、好ましくは0.95〜1.1、特に好ましくは0.98〜1.04である。
【0051】
上記反応は、通常、-30〜100℃、好ましくは-10〜80℃、特に好ましくは0〜60℃の範囲の温度で実施される。
【0052】
第一反応段階は、中性条件下で実施するのが有利である。酸性反応生成物、例えば塩化水素(式IIIのXがハロゲンであるならば)が、反応中に生成されるならば、塩基性化合物を添加することにより、酸性生成物は、除去される。適切な塩基性化合物には、無機塩基と有機塩基が含まれる。適切な無機塩基性化合物は、例えばアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物塩、重炭酸塩または炭酸塩である。しかしながら、上記反応は、有機塩基(例えば、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジン、N-メチルピロリジン、ジメチルアニリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、キノリンまたはアクリジン)の存在下で、実施することも可能である。一般的に、化合物IIIを基準として過剰の塩基を用いる。塩基のモル量は、化合物IIIのモル当たり、1.0〜2モル、好ましくは1.02〜1.3モルの塩基(塩基当量として算出)である。適切ならば、反応混合物は、触媒として、ピリジンもしくはピリジン化合物、例えば4-ジアルキルアミノピリジン(例、4-ジメチルアミノピリジン等)を含有する。触媒の添加量は、化合物IIIを基準として約0.1〜10%である。
【0053】
アロイル化合物IIIと式IVの化合物との反応は、溶媒中で実施するのが有利である。これらの反応に適切な溶媒は、温度範囲に応じて、炭化水素(例、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)、塩素化炭化水素(例、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,2-、1,3-または1,4-ジクロロベンゼン等)、エーテル(例、1,4-ジオキサン、アニソール、ジメチルグリコールエーテル、ジエチルグリコールエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル等)、エステル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソ酪酸メチル、酢酸イソブチル等)、カルボキサミド(例、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等)、ニトロ化炭化水素(例、ニトロベンゼン等)、テトラアルキル尿素(例、テトラエチル尿素、テトラブチル尿素、ジメチルエチレン尿素、ジメチルプロピレン尿素等)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド等)、スルホン(例、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、テトラメチレンスルホン等)、ニトリル(例、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルまたはイソブチロニトリル等)、水、或いは各溶媒の混合液である。
【0054】
さらに、水性二相系で、好ましくは相間移動触媒(例、第4級アンモニウムもしくはホスホニウム塩等)の存在下で、上記反応を実行することが可能である。二相反応に適切な反応条件は、EP-A 556737に記載されている反応条件である。
【0055】
相間移動触媒として使用するのに適切な触媒は、第4級アンモニウムもしくはホスホニウム塩である。記載しうる適切な化合物は、以下の、テトラアルキル-(C1-C18)アンモニウムクロリド、テトラアルキル-(C1-C18)アンモニウムブロミドまたはテトラアルキル-(C1-C18)アンモニウムフルオリド、N-ベンジルトリアルキル-(C1-C18)-アンモニウムクロリド、N-ベンジルトリアルキル-(C1-C18)-アンモニウムブロミドまたはN-ベンジルトリアルキル-(C1-C18)-アンモニウムフルオリド、テトラアルキル-(C1-C18)-ホスホニウムクロリドまたはテトラアルキル-(C1-C18)-ホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリドまたはテトラフェニルホスホニウムブロミド、(フェニル)o(C1-C18-アルキル)p-ホスホニウムクロリドまたは(フェニル)o(C1-C18-アルキル)p-ホスホニウムブロミド(式中、o = 1〜3、p = 3〜1かつo + p = 4である)である。テトラエチルアンモニウムクロリドおよびN-ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが、特に好ましい。相間移動触媒の量は、通常、出発物質IVを基準として、最大20重量%までであり、好ましくは1〜15重量%、特に好ましくは2〜8重量%である。
【0056】
アロイル化合物IIIは、上記溶媒のうちの1種の溶媒中にスルファミン酸アミドIVと適切ならば塩基とを溶かした混合液に、0.25〜2時間かけて添加されるのが有利であり、反応が完了するまで、さらに0.5〜16時間、好ましくは2〜8時間、混合液を攪拌する。反応温度は、通常0℃〜60℃である。
【0057】
水性二相系を用いるならば、出発物質IIIおよびIVを、二相における相間移動触媒の混合物に、攪拌しながら任意の順序で添加することが可能であり、次に塩基を添加することにより、指示された温度範囲内で反応を完了することが可能である。
【0058】
上記反応は、大気圧もしくは高圧下で、連続的にもしくはバッチ式で実施することが可能である。
【0059】
後処理のために、希鉱酸(例、塩酸等)で有機相を抽出し、有機相を乾燥させ、減圧下で溶媒を除去する。適切ならば、溶媒もしくは溶媒混合液、例えば芳香族炭化水素(例、ベンゼン、キシレンまたはトルエン等)、或いは脂肪族もしくは脂環式炭化水素(例、石油エーテル、ペンタン、ヘキサンまたはシクロヘキサン等)、エーテル(例、ジエチルエーテル等)、およびそれらの混合液で懸濁洗浄し、吸引濾過し、乾燥させて、残渣をさらに精製することが可能である。
【0060】
第二反応段階、即ちニトロ化合物Vを化合物IIに還元する反応を以下にさらに詳細に例証する。
【0061】
ニトロ化合物Vの化合物IIへの還元は、例えば発生期水素(nascent hydrogen)を用いて、達成されうる。この目的を達成するために、ニトロ化合物を卑金属の存在下で酸と反応させる。それらの性質により、卑金属は、水素の発生を伴ってブレーンステッド酸により溶解される。上記金属は、通常、0V未満、特に-0.1 V未満、例えば-0.1〜-1.0 V(15℃、1バールの酸性水溶液で)の範囲の規準電位を有する。適切な金属の例は、Zn、FeおよびSn、特にFeである。無機鉱酸(例えば塩酸もしくは希硫酸)または無機酸もしくは上記溶媒のうち1種の溶媒の混合液(例えばエーテルもしくはアルコールまたはそれらの混合液中の気体状HCl)も、有機カルボン酸(適切には酢酸、プロピオン酸または酪酸)も、この目的に適切な酸である。
【0062】
該反応条件は、脂肪族もしくは芳香族ニトロ基を発生期水素で脂肪族もしくは芳香族アミノ基に還元するのに用いる反応条件とほぼ一致する(例えばH. Koopman, Rec. Trav. 80 (1961), 1075を参照のこと; N.Kornblum, L.Fischbein, J. Am. Chem. Soc. 77, (1955) 6266も参照のこと)。
【0063】
金属および酸の種類に応じて、反応温度は、通常-20〜+120℃の範囲であり、アルカン酸(例、酢酸等)を使用するならば、50〜100℃の温度範囲であるのが好ましい。反応時間は、数分〜数時間、例えば約20分〜5時間であって構わない。最初に還元される化合物Vを反応槽に装入し、次に該当の金属を、好ましくは微細形状で、特に粉末として、混合しながら反応混合液に添加するのが好ましい。10分〜2時間にわたって、添加を実行するのが好ましい。金属と酸を最初に装入し、化合物Vを、適切ならば不活性溶媒と共に添加することも、勿論可能である。反応混合物に、反応温度での多少余分な反応時間(例えば10分〜4時間)を見込んでいる場合が多い。
【0064】
VからIIへの還元は、希釈酸中の鉄粉を用いて実施するのが好ましい。適切な酸は、鉱酸(例、塩酸等)、または有機酸(例、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等)である。酢酸を使用するのが好ましい。鉄粉の量は、化合物Vのモル当たり、好ましくは2〜5モル、特に2.5〜4モルである。酸の量は、通常、不可欠ではない。出発物質をできるだけ完全に還元するために、ニトロ化合物Vを基準として、少なくとも等モル量の酸を使用するのが適切である。該反応は、連続的でもバッチ式で実施されても構わない。この場合において、反応温度は、50〜100℃、好ましくは65〜75℃の範囲である。一実施形態において、例えば最初に鉄粉を酢酸中に装入した後に、化合物Vを反応槽に加える。20〜60分間にわたって、例えば攪拌により成分を混合しながら、添加するのが好ましい。添加終了後に、混合液を、さらに0.5〜2時間、好ましくは約1時間、反応温度で反応させる。しかしながら、氷酢酸に化合物Vを入れた混合液に、鉄粉を攪拌しながら添加して、上記の如く反応を完了させることも可能である。
【0065】
目的生成物を単離するための後処理は、この目的で従来使用されている方法により、実施することが可能である。一般的に、例えば蒸留により、最初に溶媒を除去する。さらに精製するために、晶析、例えばシリカゲルでのクロマトグラフィー、溶媒(例えば芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエンまたはキシレン等)もしくは脂肪族炭化水素(例、石油エーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、ペンタン等)、カルボン酸エステル(例、酢酸エチル等)など、およびそれらの混合液)での懸濁洗浄等の慣用の方法を用いることが可能である。
【0066】
適切な還元剤は、さらに、金属水素化物および半金属水素化物(例、水酸化アルミニウム等)およびそれらから誘導される水素化物(例、水酸化アルミニウムリチウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等)、水素化ホウ素(例、ジボラン等)、およびそれらから誘導されるボラナート(例、水素化ホウ素ナトリウムもしくは水素化ホウ素リチウム等)である。この目的を達成するために、ニトロ化合物Vを不活性溶媒中で錯体金属水素化物と、10〜65℃、有利には20〜50℃で、接触させる。反応時間は、好ましくは2〜10時間、有利には3〜6時間である。還元剤に対して不活性である有機溶媒中で、反応を実施するのが好ましい。適切な溶媒は、選択される還元剤に応じて、例えばアルコール(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールまたはn-ブタノール等のC1-C4アルコール)および水とそれらの混合液、またはエーテル(例、ジイソプロピルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等)である。
【0067】
一般的に、ニトロ化合物Vのモル当たり、0.5〜3、有利には0.75〜2.5モルの金属水素化物、半金属水素化物、水素化ホウ素またはボラナートを使用する。該方法は、Organikum, VEB Deutscher Verlag der Wissenschaften, Berlin(1976年、15版、612〜616頁)に記載される手順に従う。
【0068】
化合物Vを化合物IIに変換するのに適切なさらなる還元剤は、触媒量の遷移金属もしくは遷移金属化合物、特にVIII属遷移金属存在下での水素である。好適な遷移金属は、例えばニッケル、パラジウム、白金、ルテニウムまたはロジウムである。遷移金属は、それ自体として使用されるか、または支持される形態で(支持媒体を伴って)使用されることが可能である。支持体の例は、活性炭、アルミナ、ZrO2、TiO2、SiO2、カーボネート等である。遷移金属は、活性金属(例、ラネーニッケル等)の形態で使用されることが可能である。遷移金属は、化合物の形態で使用されることも可能である。適切な遷移金属化合物は、例えば酸化パラジウムおよび酸化白金である。触媒は、通常、還元される化合物Vを基準として0.05〜10.0モル%(金属として算出)の量で使用される。該反応は、溶媒の非存在下または不活性溶媒もしくは希釈液中のどちらかで、実施される。上記の反応に適切な溶媒もしくは希釈液は、水素化される基質の溶解度や選択される還元剤に応じて、例えばカルボン酸(例、酢酸等)、または有機酸水溶液(例、酢酸と水等)、カルボン酸エステル(例、酢酸エチル等)、C1-C4アルコール(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等)または芳香族炭化水素(例、トルエン等)である。触媒を除去した後、反応液を慣用の方法で後処理して、生成物を得ることが可能である。大気圧もしくは高水素圧下で、例えば0.01〜50バール、好ましくは0.1〜40バールの水素圧で、水和を実施することが可能である。芳香族ニトロ化合物の接触水和に関しては、例えば、Rylanderの“Catalytic Hydrogenation over Platinum Metals”(Academic Press社、ニューヨーク、1967年、168-202頁)、Furstらの“Chem. Rev. 65 (1965), 52”、Tepkoらの“J. Org. Chem. 45, (1980), 4992”を参照のこと。
【0069】
塩素含有ベンゾイルスルファミドの場合、水和は、置換基の反応性(sensitivity)に応じて、20〜170℃、適切には20〜140℃、有利には20〜80℃で実施される。反応性ハロゲン置換基の場合、中性溶液において、好ましくはほんの僅かに高圧で、僅かな量のニッケル、白金またはロジウム触媒を用いて、水和を実施することが、さらに推奨される。さらに、貴金属の硫化物(例、硫化白金等)も適切な触媒ある。その方法は、Houben-Weyl, “Methoden der organischen Chemie”(IV/1C版、520〜526頁)に詳細に記載されている。
【0070】
化合物Vの化合物IIへの還元は、硫化ナトリウムを用いて、有利には水性アンモニア溶液中で、塩化アンモニウムの存在下で、Org. Syn., Coll. 3巻(1955), 82に記載される方法に従って、実施することも可能である。反応温度は、通常40〜90℃、好ましくは60〜80℃である。ニトロ化合物Vの1モル当たり3〜4モルの硫化ナトリウムを使用するのが適切である。
【0071】
スキーム2で使用されるアロイル化合物IIIは、従来技術において公知の方法により、得ることが可能であり、或いは、例えば、米国特許第6,251,829号明細書、EP 415641、EP 908457、EP 1176133およびWO01/087872に従って、公知の方法と同様に、調製されることが可能である。
【0072】
スルファミン酸アミドIVは、従来技術において公知であり、または公知の方法により、例えばドイツ特許出願DE10221910.0に従って、アンモニアとスルファミン酸ハロゲン化物との反応により、調製されることが可能である。この公報の開示内容は、参照により、本明細書に組み込まれている。
【0073】
スルファミン酸アミドIVは、未公開のドイツ特許出願DE10221910.0に記載される方法により、調製されるのが好ましい。この方法は、以下の工程を含む:(i)各々の場合において、第1級アミンもしくは第2級アミンを基準として、少なくとも等モル量の第3級アミンの存在下で、第1級アミンもしくは第2級アミンを少なくとも等モル量のSO3もしくはSO3源と反応させて、アミドスルホン酸のアンモニウム塩を得る反応、(ii)アミドスルホン酸のアンモニウム塩を少なくとも化学量論量のハロゲン化リンと反応させて、スルファミン酸ハロゲン化物を得る反応、および、(iii)工程ii)で得たスルファミン酸ハロゲン化物をアンモニアと反応させ、スルファミン酸アミドVを得る反応。
【0074】
本発明に係る方法は、初めて、式Iのイソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドの調製を可能にした。化合物Iは、新規であり、さらに、本発明の対象に含まれる。
【0075】
式Iのイソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドのうちで、式IAのイソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドが、好適であり、式中、基Ra、Rb、Rc、Rdは、上記定義のとおりである。
【0076】
式IA.1
【化9】

【0077】
[式中、基R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rdは、上記定義のとおりである]
の化合物が、特に非常に好適である。
【0078】
式IA.1のイソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドのうちで特に好適であるのは、基R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rdが、互いに独立して、好ましくは組み合わせて、以下に定義されるとおりであるイソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドである。
【0079】
Raは、シアノもしくはハロゲン、具体的にシアノ、フッ素または塩素であり、
Rbは、水素であり、
Rcは、水素もしくはハロゲン、具体的に水素、フッ素または塩素であり、
Rdは、水素であり、
R1およびR2は、互いに独立して、水素、C1-C6アルキル(場合により、ハロゲン、シアノ、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルチオ、C3-C8シクロアルキル、フリル、チエニル、1,3-ジオキソラニル、フェニル(その一部分に関して、場合により、ハロゲンもしくはC1-C4アルコキシで置換される)からなる群から選択される置換基により、置換される)、
C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C8シクロアルキルまたはフェニル(場合により、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、ニトロおよびC1-C3ジアルキルアミノからなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で置換される)、ナフチルまたはピリジルであり、或いは、
R1およびR2は一緒になって、5員環、6員環または7員環の飽和もしくは不飽和の窒素複素環を形成し、前記窒素複素環は、場合により、N、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)およびOからなる群から選択されるさらなるヘテロ原子を環員として含有してもよく、および/またはC1-C4アルキルおよびC1-C4ハロゲンアルキルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されてもよい。
【0080】
特に、基R1またはR2のうち一方は、水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニルであり、かつ他方の基R1またはR2は、C1-C6アルキル、C3-C8シクロアルキルまたはフェニルである。
【0081】
式IA.1-aのイソシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは酸素であり、ArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Fである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-a.1〜IA.1-a.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化10】

【表1】












【0082】
式IA.1-bのイソシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは酸素であり、ArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Hである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-b.1〜IA.1-b.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化11】

【0083】
式IA.1-cのイソシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは酸素であり、ArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Clである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-c.1〜IA.1-c.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化12】

【0084】
式IA.1-dのイソシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは酸素であり、ArはAr-1(式中、Ra = F、Rb = Rd =水素、Rc = Fである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-d.1〜IA.1-d.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化13】

【0085】
式IA.1-eのイソシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは酸素であり、ArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = Fである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-e.1〜IA.1-e.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化14】

【0086】
式IA.1-fのイソシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは酸素であり、ArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = Clである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-f.1〜IA.1-f.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化15】

【0087】
式IA.1-gのイソチオシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは硫黄であり、ArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Fである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-g.1〜IA.1-g.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化16】

【0088】
式IA.1-hのイソチオシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは硫黄であり、ArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Hである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-h.1〜IA.1-h.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化17】

【0089】
式IA.1-iのイソチオシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは硫黄であり、ArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Clである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-i.1〜IA.1-i.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化18】

【0090】
式IA.1-jのイソチオシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは硫黄であり、ArはAr-1(式中、Ra = F、Rb = Rd =水素、Rc = Fである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-j.1〜IA.1-j.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化19】

【0091】
式IA.1-kのイソチオシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは硫黄であり、ArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = Fである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-k.1〜IA.1-k.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化20】

【0092】
式IA.1-lのイソチオシアナトベンゾイルスルファミン酸アミド(式IにおけるWは硫黄であり、ArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = Clである)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-l.1〜IA.1-l.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化21】

【0093】
本発明に係る方法において、使用される出発物質は、式IIのアミノベンゾイルスルファミン酸アミドである。これらの化合物は、同様に新規であり、イソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドIを調製するための有用な中間体に相当する。調製法に関しては、上記の方法を参照する。
【0094】
従って、本発明は、式IIのアニリン化合物、特に、式IIA(式IIにおけるArはAr-1である)の化合物にも関する。
【化22】

【0095】
式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびAは、上記定義のとおりである。式IIAにおいて、Ra、Rb、Rc、RdおよびAは、本発明に係る化合物Iの記載に関連して、上記の基に好適であると既に記載した上記の基を意味するのが好ましい。
【0096】

式IIA.1化合物が、特に好ましく、
【化23】

【0097】
式中、基R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rdは、上記定義のとおりである。式IIA.1において、基R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rdは、本発明に係る化合物IA.1の記載に関連して、好適であると既に記載した上記の意味を有するのが好ましい。
【0098】
式IIA.1-aのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(式IIにおけるArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = F)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IA.1-a.1〜IIA.1-a.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化24】

【0099】
式IIA.1-bのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(式IIにおけるArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = H)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IIA.1-b.1〜IIA.1-b.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化25】

【0100】
式IIA.1-cのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(式IIにおけるArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Cl)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IIA.1-c.1〜IIA.1-c.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化26】

【0101】
式IIA.1-dのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(式IIにおけるArはAr-1(式中、Ra = F、Rb = Rd =水素、Rc = F)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IIA.1-d.1〜IIA.1-d.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化27】

【0102】
式IIA.1-eのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(式IIにおけるArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = F)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IIA.1-e.1〜IIA.1-e.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化28】

【0103】
式IIA.1-fのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(式IIにおけるArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = Cl)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物IIA.1-f.1〜IIA.1-f.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化29】

【0104】
式Vのニトロベンゾイルスルファミン酸アミドは、同様に新規であり、さらに、イソ(チオ)シアナトベンゾイルスルファミン酸アミドを調製するための有用な中間体にも相当する。それらは、本発明の対象に含まれる。
【0105】
従って、本発明は、式Vのニトロ化合物、具体的には、式VA(式VのArは、Ar-1である)の化合物も関し、
【化30】

【0106】
式中、Ra、Rb、Rc、RdおよびAは、上記定義のとおりである。式VAにおいて、Ra、Rb、Rc、RdおよびAは、本発明に係る化合物Iの記載に関連して、上記の基に好適であると既に記載した上記の基を意味するのが好ましい。
【0107】
式VA.1の化合物が、特に非常に好ましい。
【化31】

【0108】
式中、基R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rdは、上記定義のとおりである。式VA.1において、基R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rdは、本発明に係る化合物IA.1の記載に関連して、上記の基に好適であると既に記載した上記の意味を有するのが好ましい。
【0109】
式VA.1-aのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド(式VにおけるArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = F)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物VA.1-a.1〜VA.1-a.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化32】

【0110】
式VA.1-bのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド(式VにおけるArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = H)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物VA.1-b.1〜VA.1-b.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化33】

【0111】
式VA.1-cのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド(式VにおけるArはAr-1(式中、Ra = Cl、Rb = Rd =水素、Rc = Cl)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物VA.1-c.1〜VA.1-c.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化34】

【0112】
式VA.1-dのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド(式VにおけるArはAr-1(式中、Ra = F、Rb = Rd =水素、Rc = F)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物VA.1-d.1〜VA.1-d.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化35】

【0113】
式VA.1-eのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド(式VにおけるArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = F)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物VA.1-e.1〜VA.1-e.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化36】

【0114】
式VA.1-fのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド(式VにおけるArはAr-1(式中、Ra = CN、Rb = Rd =水素、Rc = Cl)であり、AはNR1R2である)が、特に非常に好ましく、式中、R1、R2は、上記の意味、特に好適であるとして記載される意味を有する。上記の化合物の例は、化合物VA.1-f.1〜VA.1-f.495であり、式中、基R1、R2は共に表1に示される意味を有する。
【化37】

【0115】
本発明に係る二官能性のフェニルイソ(チオ)シアナートIは、薬学的に活性な化合物もしくは作物保護剤のための出発物質として、使用されることが可能である。WO01/83459は、例えば以下の式の除草性の3-(トリアゾリジンジオン)-置換安息香酸スルファモイルアミドを記載する。
【化38】

【0116】
式中、X1は、水素、ハロゲン、C1-C4アルキルであり、X2は、水素、CN、CS-NH2、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4ハロアルキルであり、R11およびR21は、各々R1およびR2に関して上記の意味を有し、特に、水素、未置換もしくは置換ヒドロキシル、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニル、C3-C10アルキニル、C3-C7シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはC5-C7シクロアルケニルであり、或いは、R11およびR21は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3員環〜7員環の複素環を形成し、およびQは、式aの基であり、
【化39】

【0117】
式中、Wは、上記定義のとおりであり、W'は、OもしくはSであり、およびR3およびR4は、互いに独立して、以下の、水素、シアノ、アミノ、C1-C6-アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6ハロアルケニル、C3-C6アルキニル、ベンジル、OR5(式中、R5は、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、未置換もしくは置換フェニルまたは未置換もしくは置換ベンジルである)、C1-C3シアノアルキルの基のうちのひとつであり、或いはR3およびR4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員環〜7員環の複素環を形成し、該複素環は、場合により、硫黄、酸素、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)または窒素により割り込まれ、かつ未置換であるかまたはハロゲンもしくはC1-C4アルキルで一置換もしくは多置換され、具体的に式bの基であり、
【化40】

【0118】
式中、Wは、上記定義のとおりであり、W'およびZは、互いに独立して、酸素もしくは硫黄である。
【0119】
WO 01/83459に記載される除草剤は、常に十分な収率でかつ十分な純度で入手可能とは限らない。上記の公報に記載される方法は、以下に基づく。例えば、
A) N,N-カルボニルジイミダゾール(CDI)の存在下での置換安息香酸と置換スルファミン酸アミドとの縮合またはカルボン酸のその酸塩化物への変換、そして酸塩化物とスルファミン酸アミドとの一連の反応。
【化41】

【0120】
式中、基R11、R21、X1およびX2は、上記の意味を有してよく、Qは、5員環もしくは6員環の複素環、例えば基aもしくはbである。
【0121】
この方法は、使用される安息香酸が、対応する量の塩の生成を伴って、三臭化ホウ素での開裂によりエステル前駆体からのみ得られうるという欠点を有する。さらに、スルファミン酸アミドとの縮合の収率は、僅か16〜45%である。事前に調製される、酸塩化物を経る迂回する反応経路でさえも、所望のベンゾイルスルファミン酸アミドが僅か26%の収率で得られ、さらに、その不純物をクロマトグラフィーにより除去する必要がある。
【0122】
B) 複素環式基Qによるハロゲン基の置換
【化42】

【0123】
式中、基R11、R21、X1およびX2は、上記の意味を有し、Halは、フッ素、塩素または臭素であり、Qは、5員環もしくは6員環の複素環、例えば基aもしくはbである。
【0124】
この方法は、使用されるハロゲン化芳香族化合物が、ザンドマイヤー反応により複雑な方法で提供される必要があるという欠点を有し、さらに、同分子に存在する活性2,4-ジハロ置換基と比較して、5-ハロ-置換化合物の反応において、不十分な選択性を有する。
【0125】
従って、3-(トリアゾリジンジオン)-置換ベンゾイルスルファモイルアミドとそれらの硫黄類似体を調製する従来技術による全ての方法は、反応時間の短さ、反応の単純な実施、最終生成物の収率および純度に関して、不十分であり、ゆえに不経済である。
【0126】
従って、式VIの化合物の製造方法を提供することは、本発明のもうひとつの目的である。
【化43】

【0127】
式中、W、ArおよびAは、請求項1に定義するとおりであり、W'は、OもしくはSであり、R3およびR4は、互いに独立して、水素、シアノ、アミノ、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6ハロアルケニル、C3-C6アルキニル、ベンジル、OR5(式中、R5は、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、未置換もしくは置換フェニルまたは未置換もしくは置換ベンジルである)、C1-C3シアノアルキルであり、或いは、R3およびR4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4員環〜7員環の複素環を形成し、該複素環は、場合により、硫黄、酸素、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)または窒素により割り込まれ、かつ未置換であるかまたはハロゲンもしくはC1-C4アルキルで一置換もしくは多置換される。
【0128】
本発明に係る式Iの化合物、特に、式IAの化合物で開始すると、さらに単純な方法で、副反応を生じることなく、さらに高い収率および純度で、WO 01/83459に記載される式VIの化合物を調製することが可能であることを見出したことは、驚くべきことである。
【0129】
従って、本発明は、さらに、式VIの化合物の製造方法を提供する。
【化44】

【0130】
式中、R3、R4、W、W'、Ar、Aは、上記定義のとおりであり、
以下の工程を含む。
【0131】
(i) 上記に定義した式Iの化合物と式VII
【化45】

【0132】
[式中、W'は、上記定義のとおりであり、R'は、C1-C4アルキルである]のオキサジアジンカルボン酸エステルとを反応させて、式VIII
【化46】

【0133】
[式中、基R3、R4、R'、W、W'、ArおよびAは、上記定義のとおりである]の尿素誘導体を得る、および
(ii) 生成した中間体VIIIが環化により式VIの化合物を得る。
【0134】
工程(i)は、それ自体公知の方法、例えばWO 02/20531に記載の方法で、実施される。一般的に、本発明に係る式Iのイソ(チオ)シアナートを、好ましくは溶媒中の式VIIの化合物に添加する。適切な溶媒は、炭化水素(例、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等)、塩素化炭化水素(例、塩化メチレン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼンまたは1,4-ジクロロベンゼン等)、エーテル(例、1,4-ジオキサン、アニソール等)、グリコールエーテル(例、ジメチルグリコールエーテル、ジエチルグリコールエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等)、エステル(例、酢酸エチル、酢酸プロピル、イソ酪酸メチル、酢酸イソブチル等)、カルボキサミド(例、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等)、ニトロ化炭化水素(例、ニトロベンゼン等)、ニトリル(例、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリルまたはイソブチロニトリル等)、或いは各溶媒の混合液である。添加は、通常5〜30分間にわたって実施される。添加中、温度は、通常10〜25℃である。反応を完了させるために、混合液を20〜80℃で、さらに0.5〜24時間攪拌する。上記の溶媒のうちの1種の溶媒中にイソ(チオ)シアナートIを最初に装入して、化合物VIIを添加した後に、上記の如く反応を完了させることも、勿論可能である。化合物Iのモル当たり通常0.9〜1.4モル、好ましくは0.95〜1.1モル、特に好ましくは0.98〜1.15モルの化合物VIIを使用する。工程(i)で用いる式VIIの化合物は、公知であり、WO 02/20531に記載される方法と同様に調製することが可能である。
【0135】
工程(ii)は、それ自体公知の方法で、例えばWO 02/20531に記載される方法で、式VIIIの化合物を塩基で処理することにより、再び実施される。
【0136】
適切な塩基は、原則的には、式VIIIの化合物における尿素官能基のNH基の酸性プロトンを引抜くことができる全ての化合物である。これらには、オキソ塩基、窒素塩基および水素化物塩基が含まれる。
【0137】
オキソ塩基には、例えば無機塩基(例、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の重炭酸塩、そしてさらにアルカリ金属およびアルカリ土類金属の炭酸塩)が含まれ、例えば水酸化リチウム、重炭酸リチウムまたは炭酸リチウム、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、重炭酸カリウムもしくは炭酸カリウム、水酸化カルシウム、重炭酸カルシウムもしくは炭酸カルシウム、または水酸化マグネシウム、重炭酸マグネシウムもしくは炭酸マグネシウムである。適切なオキソ塩基は、同様に、アルカリ金属アルコキシド、具体的に、リチウムアルコキシド、ナトリウムアルコキシドまたはカリウムアルコキシドであり、一般的に、C1-C6-のアルコキシド、好ましくはC1-C4アルカノール(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムn-ブトキシドもしくはナトリウムtert-ブトキシド、またはカリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムn-ブトキシドもしくはカリウムtert-ブトキシド等)が用いられる。窒素塩基として、第1級アミン、第2級アミン、好ましくは第3級アミン、例えばトリアルキルアミン(例、トリエチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン等)、脂環式アミン(例、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等)、環状アミン(例、アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=トリエチレンジアミン)、N-メチルピロリジン、N-エチルピペリジン等)、ジアルキルアニリン(例、ジメチルアミノアニリン等)、p-ジメチルアミノピリジン、さらに芳香族窒素複素環(例、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリンまたはγ-ピコリン、2,4-および2,6-ルチジン、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、ピリミジン等)、そしてさらに第3級アミド、例えばジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N-メチルピロリドンまたはテトラメチル尿素が挙げられる。
【0138】
適切な水素化物塩基は、例えばアルカリ金属水素化物(例、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム等)である。好適な塩基は、第3級アミン、具体的には、トリアルキルアミンである。
【0139】
塩基1モル当たり0.9〜1.4モル、特に0.95〜1.2モル、特に好ましくは0.98〜1.15モルの化合物VIIIを用いるのが好ましい。
【0140】
化合物VIIIと塩基との反応に関して、上記の溶媒のうちの1種の溶媒もしくは溶媒混合液に、最初に化合物VIIIを装入し、塩基を混合しながら、例えば攪拌しながら、反応混合液に添加するのが好ましい。0〜50℃、特に10〜30℃の範囲の温度で、塩基を添加するのが、好ましい。
【0141】
一般的に、次に、20〜150℃、好ましくは20〜100℃、特に20〜60℃で、さらに10分〜48時間、上記成分を反応させ、反応を完了させる。式VIIIに関してチオ尿素の場合(W = S)、一般的に、0.5〜10時間後に、反応はほぼ完了し(90%超が変換)、式VIIIに関して尿素の場合(W = O)、4〜48時間後、特に8-24時間後に、反応はほぼ完了する。しかしながら、好ましくは上記の溶媒のうち1種の溶媒に、塩基を最初に装入した後、化合物VIIIを添加し、上記の如く反応を完了させることも可能である。
【0142】
溶媒中の出発物質の濃度は、通常0.5〜5モル/Lの範囲、好ましくは0.2〜2モル/Lの範囲である。
【0143】
反応の後処理は、慣用の方法で、例えば水性抽出により、透析によりおよび/またはクロマトグラフィーにより、実施される。
【0144】
本方法は、特に、化合物VIAの調製に関する。
【化47】

【0145】
式中、R3およびR4は、上記定義のとおりであり、基W、W'、Ra、Rb、Rc、Rd、Aは、上記の意味を有し、特に、化合物IAの記載に関連して、上記の基に好適であると既に述べた意味を有する。上記の場合において、化合物VIAを調製するための本発明に係る方法で使用される化合物は、式IAの化合物、好ましくは式IA.1の化合物である。
【0146】
式VIIの好適な化合物は、例えば式(VII')の化合物であり、
【化48】

【0147】
式中、Zは、OもしくはSであり、R'は、C1-C4アルキルである。この化合物は、WO 02/20531により公知である。
【0148】
この反応経路により、式IAの化合物で開始すると、以下のスキーム3に従って、特に、式IXの化合物(化合物VIAのRbおよびRdはHで、AはNR1R2で、WとW'はO、R3およびR4はCH2CH2OCH2である)を調製することが可能である。
【0149】
スキーム3
【化49】

【0150】
式中、基Ra、Rc、R1およびR2は、上記の意味を有する。
【0151】
本発明に係る方法は、WO01/83459に記載される方法よりも、収率と純度に関して優れる。さらに、その実施は、かなり容易である。WO01/83459より公知の方法の欠点に関して、上記のことを参照する。
【0152】
以下の実施例は、本発明を例証するのに役立つ。
【実施例】
【0153】
I ニトロベンゾイルスルファミン酸アミドの調製(式VA.1の中間体;中間体VA.1-1〜VA.1-24):
実施例1
N-(2-クロロ-4-フルオロ-5-ニトロベンゾイル)-N'-n-プロピル-N'-アリル-スルファミド(VA.1-a.241)
【化50】

【0154】
-5℃〜0℃で、50 mLの塩化メチレン中の11.62 g(0.0474モル)の2-クロロ-4-フルオロ-5-ニトロベンゾイルクロリドを、攪拌しながら30分にわたって、8.50 g(0.048モル)のN'-プロピル-N'-アリルスルファミド、10.38 g(0.103モル)のトリエチルアミンおよび0.09 g(0.736ミリモル)の4-N,N-ジメチルアミノピリジンを90 mLの塩化メチレンに溶かした混合液に、添加した。漏斗を10mLの上記溶媒で濯いだ。混合液を、最初に、0℃で1時間攪拌し、次に22℃で2時間攪拌した。その後、1N塩酸を50 mL添加し、混合液を攪拌し、相を分離した。有機相を1N塩酸でさらに2回洗浄し、水性相を塩化メチレンで抽出した。硫酸マグネシウムで有機相を乾燥させた後、溶液を濾過し濃縮した。残渣をジエチルエーテル/ペンタンで懸濁洗浄し、濾過吸引し、乾燥させ、融点(m.p.)110〜112℃のN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-ニトロベンゾイル)-N'-n-プロピル-N'-アリル-スルファミドを18.41 g(理論値の91.9%)得た。
【0155】
表2に列挙する実施例2〜24の中間体VA.1(式VIの化合物におけるArは、Ar-1(RbRd = H)、R1およびR2は、表1に記載される意味を有する)を類似した方法で得た。
【0156】
表2
【化51】

【表2】

【0157】
II 式IIAのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド(中間体IIA.1)の調製
実施例25: N-(5-アミノ-2-クロロ-4-フルオロベンゾイル)-N'-アリル-N'-n-プロピルスルファミド(IIA.1-a.241)
【化52】

【0158】
攪拌しながら、テトラヒドロフラン5 mLと酢酸40 mLとの混合液に実施例1からの化合物VA.1-a.241を17.1 g(45.02ミリモル)溶かした溶液を、60 mLの酢酸に鉄粉を7.54 g(135.072ミリモル)加えた懸濁液に、70〜75℃で、25分間かけて添加した。70〜75℃で、さらにもう1時間、混合液を攪拌した後、冷却させ、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルと共に攪拌し、濾過し、沈殿物を酢酸エチルで洗浄した。濾液を活性炭と硫酸マグネシウムと共に攪拌し、濾過し、洗浄し、濃縮した。酢酸エチルを用いて残渣をペースト化し、ペンタンで懸濁洗浄し、吸引濾過して、乾燥させ、融点104〜106℃のN-(5-アミノ-2-クロロ-4-フルオロベンゾイル)-N'-アリル-N'-n-プロピルスルファミドを12.1 g(理論値の75.3%)得た。
【0159】
IIb ニトロ基の接触水素化
実施例31: N-(5-アミノ-2-クロロ-4-フルオロベンゾイル)-N'-メチル-N'-イソプロピルスルファミド(IIA.1-a.86)
【化53】

【0160】
1200 mLのメタノール中の実施例7からの112.0 g(0.317モル)の化合物VA.1-a.86と100 gのラネーニッケルを、水素化装置に最初に装入した。攪拌しながら、10 Lの窒素と10 Lの水素で、装置をフラッシュした。攪拌しながら、22〜23℃で、0.1バールの水素圧を用いて、混合液を水素化した。総計で、21.3 Lの水素を吸収した。混合液を排出して、再び10 Lの窒素でフラッシュした。反応混合物をシリカゲルに通して吸引濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、融点160〜162℃(HPLCによる純度:99.1%)のN-(5-アミノ-2-クロロ-4-フルオロベンゾイル)-N'-メチル-N'-イソプロピルスルファミドを100.5 g(理論値の97%)得た。
【0161】
表2に列挙するニトロベンゾイルスルファミン酸アミドVA.1と共に攪拌しながら、表3に列挙する実施例26〜実施例48の中間体IIA(式IIの化合物におけるArは、Ar-1(RbRd = H)、R1およびR2は、表1に記載した意味を有する)を類似した方法で得た。
【0162】
表3
【化54】

【表3】

【0163】
III フェニルイソ(チオ)シアナートIの調製
実施例109:
N-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N'-アリル-N'-n-プロピル-スルファミド(IA.1-a.241)
【化55】

【0164】
15〜25℃で攪拌しながら、ジオキサンに溶かしたHClの4M溶液4.7 mL(18.9ミリモルの塩化水素に相当)を、50 mLのジオキサン中の6.0 g(17.2ミリモル)の実施例25からの化合物IIA.1-a.241に添加した。22℃でさらに1時間、混合液を攪拌した。攪拌しながら、温度を徐々に95℃まで上昇させ、3.4 g(34.3ミリモル)のホスゲンを1時間かけて導入した。未反応のホスゲンを窒素でフラッシュした。次に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をペンタンで懸濁洗浄し、上澄み液をデカンテーションして、減圧下で濃縮して、融点85〜95℃(分解温度)のN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N'-アリル-N'-n-プロピル-スルファミドを6.5 g(理論値の95.8%、1H-NMRによる純度:95%)得た。
【0165】
IR (KBr): N=C=O 2265 cm-1; C=O 1724 cm-1
【0166】
実施例94
N-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N'-メチル-N'-イソプロピル-スルファミド(IA.1-a.86)
【化56】

【0167】
A) ホスゲンとの反応により
22℃で攪拌しながら、50 mLのジオキサンに実施例31からの化合物IIA.1-a.86を5.0 g(15.4ミリモル)溶かした溶液に、ホスゲンを導入した。20分間かけて、温度を溶媒混合液の還流温度まで上昇させた。ホスゲンをさらに1時間導入した後、混合液を室温まで冷却させ、窒素でフラッシュした。反応混合物を減圧下、最初22℃で、次に70度で濃縮した。残渣をn-ヘキサンで懸濁洗浄し、そのn-ヘキサンをデカンテーションして、残渣を70℃で乾燥させ、融点146〜149℃のN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N'-メチル-N'-イソプロピル-スルファミドを5.5 g(98%の1H-NMR純度の理論値の99.8%)得た。
【0168】
B) ジホスゲンとの反応により
10℃で攪拌しながら、6.11 g(30.9ミリモル)のジホスゲンを、50 mLのジオキサンに化合物IIA.1-a.86を5.0 g(15.4ミリモル)溶かした溶液に滴下した。反応混合物を22℃まで温め、さらに1.5時間攪拌を続けた。薄層クロマトグラフィーに従って、反応を完了させた。混合液を一晩中攪拌した後、窒素でフラッシュして、上記の実施例94Aに記載した如く後処理をして、融点148〜150℃のN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N'-メチル-N'-イソプロピル-スルファミド化合物を5.5 g(98%の1H-NMR純度の理論値の99.8%)得た。
【0169】
実施例118
N-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N-(4-メチルピペリジン-スルホンアミド)(IA.1-a.492)
【化57】

【0170】
20〜25℃で攪拌しながら、ジオキサンに溶かしたHClの4M溶液2.6 mL(0.38 g(10.3ミリモル)の塩化水素に相当)を、50 mLのジオキサン中の実施例26からの1.8 g(5.1ミリモル)の化合物IIA.1-a.492に添加した。22℃でさらに1時間、混合液を攪拌した。さらに1.12 g(5.66ミリモル)のジホスゲンを攪拌しながら添加した後、混合液を22℃で30分間攪拌し、温度を徐々に95℃まで加熱し、さらに1時間攪拌した。室温まで冷却した後、混合液を減圧下で濃縮し、残渣をペンタンで懸濁洗浄し、上澄み液をデカンテーションして、減圧下で濃縮して、融点122〜124℃(分解温度)、135℃透明のN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N-(4-メチルピペリジン-スルホンアミド)を2.0g(95%の1H-NMR純度の理論値の98.3%)得た。
【0171】
IR (KBr): N=C=O 2246 cm-1; C=O 1697 cm-1
【0172】
実施例193
N-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソチオシアナトベンゾイル)-N'-アリル-N'-n-プロピル-スルファミド(IA.1-g.241)
【化58】

【0173】
22℃で攪拌しながら、1.1 g(9.4ミリモル)のチオホスゲンを、50 mLの酢酸エチル中の3.0 g(8.6ミリモル)の実施例25からの化合物IIA.1-a.241に添加し、次に、混合液をさらに1時間攪拌した後、75℃まで過熱し、さらに1時間攪拌した。減圧下で濃縮させた後、残渣をペンタンで懸濁洗浄し、吸引濾過し、乾燥させ、融点83〜85℃のN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソチオシアナトベンゾイル)-N'-アリル-N'-n-プロピル-スルファミド(IA.1-g.241)を3.4 g(理論値の96.1%、1H-NMR95%による純度)得た。
【0174】
IR (KBr): N=C=S 2030 cm-1、C=O 1725 cm-1
【0175】
表3に列挙するアミノベンゾイルスルファミン酸アミドIA.1と共に攪拌しながら、表4に列挙する実施例49〜実施例216のアミノベンゾイルスルファミン酸アミドIA.1(式I化合物におけるArは、Ar-1(RbRd = H)、R1およびR2は、表1に記載した意味を有する)を類似した方法で得た。
【化59】

【表4】




【0176】
実施例217:
8-(5'-N-イソプロピル-N-メチルスルファモイル-カルボキサミド-4'-クロロ-2'-フルオロフェニル)-4-オキソ-7,9-ジオキソ-1,2,8-トリアザ[4.3.0]ノナン(WO 01/83459の実施例146)
217.1: メチルテトラヒドロ-N-(4-クロロ-2-フルオロ-5-N-イソプロピル-N-メチルスルファモイルカルボキサミドフェニル)-4H-1,3,4-オキサジアジン-3-カルボキサミド-4-カルボキシレート
9.8 g(10.1ミリモル)のメチルテトラヒドロ-4H-1,3,4-オキサジアジン-4-カルボキシレートを、1,2-ジクロロエタン中に溶かして15%濃度の溶液として、100 mLの1,2-ジクロロエタンに実施例94からのN-(2-クロロ-4-フルオロ-5-イソシアナトベンゾイル)-N'-イソプロピル-N'-メチルスルファミドIA-a.86を3.5 g(10.1ミリモル)溶かした混合液に、22℃で、5分間かけて攪拌しながら加え、混合液を18時間攪拌した。次に、移動相として塩化メチレン/ジエチルエーテル= 1:6の混合液のうち200 mLを用いてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより、反応混合物を精製した。減圧下で、溶媒を除去して、融点69℃(分解温度)のメチルテトラヒドロ-N-(4-クロロ-2-フルオロ-5-N-イソプロピル-N-メチルスルファモイルカルボキサミドフェニル)-4H-1,3,4-オキサジアジン-3-カルボキサミド-4-カルボキシレートを4.3 g(理論値の82.3%)得た。
【0177】
217.2: 8-(5'-N-イソプロピル-N-メチルスルファモイルカルボキサミド-4'-クロロ-2'-フルオロフェニル)-4-オキソ-7,9-ジオキソ-1,2,8-トリアザ[4.3.0]ノナン
攪拌機と水分離機を取り付けた反応槽内で、最初に0.85 g(1.7ミリモル)の実施例217.1からの化合物を80 mLのトルエンに装入した。攪拌しながら、0.18 g(1.8ミリモル)の97%の純ナトリウムtert-ブトキシドを22℃で加えた後、混合液を還流温度まで攪拌しながら過熱した。場合により、トルエンを取り替えた。反応混合液が、さらにかなり透明(highly liquid)になり、固体がほぼ完全に溶解するまでに合計7時間、混合液を還流温度まで加熱した。冷却後、10 mLのジエチルエーテルに溶かしたHClの1M溶液を用いて、反応混合液を酸性化して、減圧下で濃縮した。残渣を塩化メチレン中に溶かし、1N塩酸と水で抽出し、乾燥させて、減圧下で濃縮し、融点112〜118℃の8-(5'-N-イソプロピル-N-メチルスルファモイルカルボキサミド-4'-クロロ-2'-フルオロフェニル)-4-オキソ-7,9-ジオキソ-1,2,8-トリアザ[4.3.0]ノナンを0.67 g(理論値の76%)得た。ジエチルエーテルで懸濁洗浄した後、融点は、115〜120℃であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、基は、以下に定義するとおりである:
Wは、酸素もしくは硫黄であり、
Arは、以下の基、水素、ハロゲン、C1-C4ハロアルキルもしくはシアノにより一置換または多置換されうるフェニルであり、
Aは、第1級アミンもしくは第2級アミンから誘導された基、またはNH2である]
のフェニルイソ(チオ)シアナートの製造方法であって、
式II
【化2】

[式中、前記基ArおよびAは、上記定義のとおりである]
の化合物またはそのHCl付加物(adduct)とホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンとの反応を含む前記方法。
【請求項2】
前記化合物IIのHCl付加物が使用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物IIを基準として、0.9〜2モル当量のホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンが使用される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物IIの塩化水素付加物の反応が、活性炭の存在下で実施される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
式IIA
【化3】

[式中、
Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-C4ハロアルキルまたはシアノであり、および
Aは、上記定義のとおりである]
の化合物またはそのHCl付加物と、ホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンとを反応させ、式IA
【化4】

[式中、前記基Ra、Rb、Rc、Rd、AおよびWは、上記定義のとおりである]
の化合物を得る請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式Iの前記基Aが、-NR1R2
[式中、基R1およびR2は、以下に定義するとおりである:
R1およびR2は、互いに独立して、水素、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニルまたはC2-C10アルキニルを表し、未置換であるか、または以下の基のうちのひとつで置換されうる:C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキルチオ、CN、NO2、ホルミル、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルアミノカルボニル、C1-C4ジアルキルアミノカルボニル、C1-C4アルキルスルフィニル、C1-C4アルキルスルホニル、C3-C10シクロアルキル、O、S、NおよびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択される2または3個のヘテロ原子を有する3〜8員環のヘテロシクリル、フェニル(その一部に関して、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4-アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチルスルホニル、C1-C3アルキルアミノ、C1-C3ジアルキルアミノ、ホルミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される1、2、3または4個の置換基を有してもよい)、
C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C3-C8シクロアルキル、C3-C10シクロアルケニル、O、S、NおよびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員環のヘテロシクリル、フェニルまたはナフチルで、ここでC3-C8-シクロアルキル、C3-C10-シクロアルケニル、3〜8員環のヘテロシクリル、フェニルおよびナフチルは、それらの一部に関して、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチルスルホニル、ホルミル、C1-C3アルキルアミノ、C1-C3ジアルキルアミノ、フェノキシ、ニトロおよびシアノからなる群から選択される1、2、3または4個の置換基を有してもよく、または
R1およびR2は共に、飽和または一部不飽和の5〜8員環の窒素複素環を形成し、前記窒素複素環は、その一部に関して、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシおよび/またはC1-C4ハロアルキルで置換されてもよく、1個または2個のカルボニル基、チオカルボニル基および/またはO、S、NおよびNR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)からなる群から選択される1個または2個のさらなるヘテロ原子を環員として有してもよい]
である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、さらに、以下:
i) 式III
【化5】

[式中、前記基Arは、上記定義のとおりであり、Xは、ハロゲン、OHまたはC1-C4アルコキシである]
のアロイル化合物と、式IV
H2N-SO2-A (IV)
[式中、Aは、上記定義のとおりである]
のスルファミン酸アミドとの反応;と、
ii) 工程i)で得られる式V
【化6】

[式中、ArおよびAは、上記定義のとおりである]
のN-アロイルスルファミン酸アミドを還元して、式IIの化合物を得る;
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)において、前記還元が、鉄および少なくとも1種のC1-C4カルボン酸の存在下で、実施される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(ii)において、前記還元が、ラネーニッケルおよび水素の存在下で、実施される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の式Iのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項11】
Raが、フッ素、塩素またはシアノであり、Rcが、水素、フッ素または塩素であり、RbおよびRdが、各々水素である請求項5に記載の前記式IAのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項12】
Aが、前記式NR1R2 [式中、R1およびR2は、請求項6に定義されるとおりである]の基である請求項5に記載の前記式IAのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項13】
R1およびR2が、互いに独立して、水素、C1-C6アルキル(場合により、ハロゲン、シアノ、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルチオ、C3-C8シクロアルキル、フリル、チエニル、1,3-ジオキソラニル、フェニル(その一部に関して、場合により、ハロゲンもしくはC1-C4アルコキシで置換される) からなる群より選択される置換基で置換される)
C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C8シクロアルキルまたはフェニル(場合により、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、ニトロおよびC1-C3ジアルキルアミノからなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で置換される)、ナフチルまたはピリジルであり、或いは
R1およびR2が一緒になって、場合によりN、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)およびOからなる群から選択される1個のさらなるヘテロ原子を環員として含有してもよく、および/またはC1-C4アルキルおよびC1-C4ハロアルキルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されてもよい、5員環、6員環または7員環の飽和または不飽和窒素複素環を形成する請求項12に記載の前記式IAのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項14】
式VI
【化7】

[式中、W、ArおよびAは、請求項1に定義したとおりであり、W'は、OもしくはSであり、およびR3およびR4は、互いに独立して、水素、シアノ、アミノ、C1-C6-アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6ハロアルケニル、C3-C6アルキニル、ベンジル、OR5(式中、R5は、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、未置換もしくは置換フェニルまたは未置換もしくは置換ベンジルである)、C1-C3シアノアルキルであり、或いはR3およびR4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、場合により、硫黄、酸素、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)または窒素が割り込み、かつ未置換であるかまたはハロゲンもしくはC1-C4アルキルで一置換もしくは多置換される4員環〜7員環の複素環を形成する]
の化合物を製造するための方法であって、
(i) 請求項1に定義される前記式Iの化合物と、式VII
【化8】

[式中、W'は、上記定義のとおりであり、R'は、C1-C4アルキルである]
のオキサジアジンカルボン酸エステルとを反応させて、式VIII
【化9】

[式中、前記基R3、R4、R'、W、W'、ArおよびAは、上記定義のとおりである]
の尿素誘導体を得る工程;と、
(ii) 生成した中間体VIIIを環化し、式VIの化合物を得る工程;
とを含む方法。
【請求項15】
工程(i)で使用される前記式Iの化合物が、式IA
【化10】

[式中、前記基Ra、Rb、Rc、Rd、AおよびWは、上記定義のとおりである]
の化合物である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程(i)で使用される前記化合物VIIが、式VII'
【化11】

[式中、W'は、OもしくはSであり、およびR'は、C1-C4アルキルである]
の化合物である請求項14に記載の方法。
【請求項17】
請求項1に記載の前記式IIのアミノベンゾイルスルファミン酸アミド。
【請求項18】
請求項7に記載の前記式Vのニトロベンゾイルスルファミン酸アミド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、基は、以下に定義するとおりである:
Wは、酸素もしくは硫黄であり、
Arは、以下の基、水素、ハロゲン、C1-C4ハロアルキルもしくはシアノにより一置換または多置換されうるフェニルであり、
Aは、第1級アミンもしくは第2級アミンから誘導された基、またはNH2である]
のフェニルイソ(チオ)シアナートの製造方法であって、
式II
【化2】

[式中、前記基ArおよびAは、上記定義のとおりである]
の化合物またはそのHCl付加物(adduct)とホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンとの反応を含む前記方法。
【請求項2】
前記化合物IIのHCl付加物が使用される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物IIを基準として、0.9〜2モル当量のホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンが使用される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物IIの塩化水素付加物の反応が、活性炭の存在下で実施される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
式IIA
【化3】

[式中、
Ra、Rb、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1-C4ハロアルキルまたはシアノであり、および
Aは、上記定義のとおりである]
の化合物またはそのHCl付加物と、ホスゲン、チオホスゲンまたはジホスゲンとを反応させ、式IA
【化4】

[式中、前記基Ra、Rb、Rc、Rd、AおよびWは、上記定義のとおりである]
の化合物を得る請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
式Iの前記基Aが、-NR1R2
[式中、基R1およびR2は、以下に定義するとおりである:
R1およびR2は、互いに独立して、水素、C1-C10アルキル、C2-C10アルケニルまたはC2-C10アルキニルを表し、未置換であるか、または以下の基のうちのひとつで置換されうる:C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキルチオ、CN、NO2、ホルミル、C1-C4アルキルカルボニル、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルアミノカルボニル、C1-C4ジアルキルアミノカルボニル、C1-C4アルキルスルフィニル、C1-C4アルキルスルホニル、C3-C10シクロアルキル、O、S、NおよびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択される2または3個のヘテロ原子を有する3〜8員環のヘテロシクリル、フェニル(その一部に関して、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4-アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチルスルホニル、C1-C3アルキルアミノ、C1-C3ジアルキルアミノ、ホルミル、ニトロおよびシアノからなる群から選択される1、2、3または4個の置換基を有してもよい)、
C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C3-C8シクロアルキル、C3-C10シクロアルケニル、O、S、NおよびNR6基(式中、R6は、水素、C1-C6アルキル、C3-C6アルケニルまたはC3-C6アルキニルである)からなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を有する3〜8員環のヘテロシクリル、フェニルまたはナフチルで、ここでC3-C8-シクロアルキル、C3-C10-シクロアルケニル、3〜8員環のヘテロシクリル、フェニルおよびナフチルは、それらの一部に関して、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルキルオキシカルボニル、トリフルオロメチルスルホニル、ホルミル、C1-C3アルキルアミノ、C1-C3ジアルキルアミノ、フェノキシ、ニトロおよびシアノからなる群から選択される1、2、3または4個の置換基を有してもよく、または
R1およびR2は共に、飽和または一部不飽和の5〜8員環の窒素複素環を形成し、前記窒素複素環は、その一部に関して、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシおよび/またはC1-C4ハロアルキルで置換されてもよく、1個または2個のカルボニル基、チオカルボニル基および/またはO、S、NおよびNR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)からなる群から選択される1個または2個のさらなるヘテロ原子を環員として有してもよい]
である請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、さらに、以下:
i) 式III
【化5】

[式中、前記基Arは、上記定義のとおりであり、Xは、ハロゲン、OHまたはC1-C4アルコキシである]
のアロイル化合物と、式IV
H2N-SO2-A (IV)
[式中、Aは、上記定義のとおりである]
のスルファミン酸アミドとの反応;と、
ii) 工程i)で得られる式V
【化6】

[式中、ArおよびAは、上記定義のとおりである]
のN-アロイルスルファミン酸アミドを還元して、式IIの化合物を得る;
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)において、前記還元が、触媒量の遷移金属もしくは遷移金属化合物の存在下で、実施される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(ii)において、前記還元が、鉄および少なくとも1種のC1-C4カルボン酸の存在下で、実施される請求項7に記載の方法。
【請求項10】
工程(ii)において、前記還元が、ラネーニッケルおよび水素の存在下で、実施される請求項7に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式Iのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項12】
Raが、フッ素、塩素またはシアノであり、Rcが、水素、フッ素または塩素であり、RbおよびRdが、各々水素である請求項5に記載の前記式IAのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項13】
Aが、前記式NR1R2 [式中、R1およびR2は、請求項6に定義されるとおりである]の基である請求項5に記載の前記式IAのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項14】
R1およびR2が、互いに独立して、水素、C1-C6アルキル(場合により、ハロゲン、シアノ、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、C1-C4アルキルチオ、C3-C8シクロアルキル、フリル、チエニル、1,3-ジオキソラニル、フェニル(その一部に関して、場合により、ハロゲンもしくはC1-C4アルコキシで置換される) からなる群より選択される置換基で置換される)
C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C3-C8シクロアルキルまたはフェニル(場合により、ハロゲン、C1-C4アルキル、C1-C4フルオロアルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルコキシカルボニル、ニトロおよびC1-C3ジアルキルアミノからなる群から選択される1個もしくは2個の置換基で置換される)、ナフチルまたはピリジルであり、或いは
R1およびR2が一緒になって、場合によりN、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)およびOからなる群から選択される1個のさらなるヘテロ原子を環員として含有してもよく、および/またはC1-C4アルキルおよびC1-C4ハロアルキルからなる群から選択される1個、2個または3個の置換基で置換されてもよい、5員環、6員環または7員環の飽和または不飽和窒素複素環を形成する請求項12に記載の前記式IAのフェニルイソ(チオ)シアナート。
【請求項15】
式VI
【化7】

[式中、W、ArおよびAは、請求項1に定義したとおりであり、W'は、OもしくはSであり、およびR3およびR4は、互いに独立して、水素、シアノ、アミノ、C1-C6-アルキル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6ハロアルケニル、C3-C6アルキニル、ベンジル、OR5(式中、R5は、水素、C1-C6アルキル、C1-C6ハロアルキル、C3-C7シクロアルキル、C2-C6アルケニル、C3-C6アルキニル、未置換もしくは置換フェニルまたは未置換もしくは置換ベンジルである)、C1-C3シアノアルキルであり、或いはR3およびR4は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、場合により、硫黄、酸素、NR6基(式中、R6は、上記定義のとおりである)または窒素が割り込み、かつ未置換であるかまたはハロゲンもしくはC1-C4アルキルで一置換もしくは多置換される4員環〜7員環の複素環を形成する]
の化合物を製造するための方法であって、
(i) 請求項1に定義される前記式Iの化合物と、式VII
【化8】

[式中、W'は、上記定義のとおりであり、R'は、C1-C4アルキルである]
のオキサジアジンカルボン酸エステルとを反応させて、式VIII
【化9】

[式中、前記基R3、R4、R'、W、W'、ArおよびAは、上記定義のとおりである]
の尿素誘導体を得る工程;と、
(ii) 生成した中間体VIIIを環化し、式VIの化合物を得る工程;
とを含む方法。
【請求項16】
工程(i)で使用される前記式Iの化合物が、式IA
【化10】

[式中、前記基Ra、Rb、Rc、Rd、AおよびWは、上記定義のとおりである]
の化合物である請求項15に記載の方法。
【請求項17】
工程(i)で使用される前記化合物VIIが、式VII'
【化11】

[式中、W'は、OもしくはSであり、およびR'は、C1-C4アルキルである]
の化合物である請求項15に記載の方法。
【請求項18】
式II
【化12】

[式中、基は、以下に定義するとおりである:
Arは、式Ar-1の基:
【化13】

(式中、
Raは、ハロゲン又はシアノであり、
Rbは、水素であり、
Rcは、ハロゲン又は水素であり、
Rdは、水素である;
*は、C(O)基へのArの結合位置を示し、
**は、アミノ基の窒素原子へのArの結合位置を示す。)であり;
AはNR1R2の基であり、ここで基R1またはR2のうち一方は、水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニルであり、かつ他方の基R1またはR2は、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルまたはフェニルである。]
のアミノベンゾイルスルファミン酸アミド。
【請求項19】
式V
【化14】

[式中、基は、以下に定義するとおりである:
Arは、式Ar-1の基:
【化15】

(式中、
Raは、ハロゲン又はシアノであり、
Rbは、水素であり、
Rcは、ハロゲン又は水素であり、
Rdは、水素である;
*は、C(O)基へのArの結合位置を示し、
**は、ニトロ基の窒素原子へのArの結合位置を示す。)であり;
AはNR1R2の基であり、ここで基R1またはR2のうち一方は、水素、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニルであり、かつ他方の基R1またはR2は、C1-C6アルキル、C3-C6シクロアルキルまたはフェニルである。]
のニトロベンゾイルスルファミン酸アミド。
【請求項20】
請求項18記載の式IIのアミノベンゾイルスルファミン酸アミドの製造方法であって、以下の工程:
a) 式III
【化16】

[式中、前記基Arは、請求項19に定義のとおりであり、Xは、ハロゲンまたはC1-C4アルコキシである]
のアロイル化合物と、式IV
H2N-SO2-A (IV)
[式中、Aは、請求項19に定義のとおりである]
のスルファミン酸アミドとの反応;と、
b) 工程a)で得られる式V
【化17】

[式中、ArおよびAは、請求項19に定義のとおりである]
のニトロベンゾイルスルファミン酸アミドを還元して、請求項18に記載の式IIの化合物を得る;
を含む前記方法。
【請求項21】
工程b)において還元が触媒量の遷移金属又は遷移金属化合物の存在下で行われる請求項20記載の方法。

【公表番号】特表2006−504763(P2006−504763A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547601(P2004−547601)
【出願日】平成15年10月29日(2003.10.29)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012013
【国際公開番号】WO2004/039768
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】