二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法
【課題】従来よりも少ないトナー載り量で高精細な画像を達成し、良好な色域再現性を有し、トナーの消費量を低減し、高速化にも対応可能で、長期使用においても色味の安定した画像が継続して出力可能な二成分系現像剤を提供することである。
【解決手段】シアントナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
該シアントナーは、クロロホルム溶解液におけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であることを特徴とする。
【解決手段】シアントナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
該シアントナーは、クロロホルム溶解液におけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法において、電子写真感光体、或いは静電記録誘導体等の静電潜像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤で現像して、静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像方法に用いられる二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真法を用いた画像形成装置においては、オフィスユース、パーソナルユース、グラフィック市場や軽印刷市場等いずれの市場においても、クイックスタートや省エネに優れた画像形成システムが広く望まれている。
【0003】
電子写真法を用いた画像形成システムのこれらの市場への適用を考えた場合には、高速、高画質、低ランニングコストという3つの基本要素に加え、さらには色味安定性を改善していく必要がある。このことから、トナーに望まれる性能としては、色域再現範囲を狭めることなく、従来以上に高画質、高精細画像を達成し、トナー消費量を低減することが必須である。さらには、定着エネルギーを低減し、クイックスタートや省エネに対応していく必要がある。
【0004】
これらに対して、トナー載り量を0.35mg/cm2以下にし、トナー消費量を低減しながら、定着時に発生する不具合(ブリスターなど)を抑制し、安定して広色再現範囲を有する高画質・高品位のカラー画像を形成するという提案がある(特許文献1)。この提案によれば、画像荒れが少ない、定着性に優れ、安定して広色再現範囲を有する高画質・高品位のカラー画像を形成可能とされる。この提案は、定着特性について一定の効果が期待できるが、着色剤の量を増やしたトナー粒子を有するトナーで従来の電子写真システムに使用すると、画像の彩度低下や色域が狭くなることがある。着色剤の量を増やした結果、着色剤の分散性が低下し、色相が変化し、画像の彩度が低下し色域が狭くなったためと推察される。
【0005】
トナー粒子に含有される着色剤の量を増やすと、長期使用時に濃度安定性や階調性が低下しやすい。横軸に電位、縦軸に濃度をとると、従来トナーでは、図1の曲線Aのようなγ特性となる。しかしながら、着色剤量を増やしたところ、記録紙上に従来よりも少ないトナー載り量で濃度が出せるようになり、従来よりも狭い現像コントラストの電位で階調を形成することになる。このとき、図1の曲線Bのようなγ特性となり、γ特性が急峻となり、高い階調性を得ることが困難になる場合がある。また、γ特性が急峻であるために、電位の変動による画像濃度の変化が従来トナーに比較して大きくなり、画像濃度の安定性が低下することもある。今日の市場では、幅広い階調性が得られること、色味安定性は必須条件となっており、少ないトナーの載り量であってもγ特性が緩やかな傾きとなるようにして現像する必要がある。着色剤の含有量を上げたトナーを用いて、従来と同じ現像コントラスト電位で階調を形成するには、トナーの摩擦帯電量を上げていくことがひとつの解となる。上記提案では、トナーの摩擦帯電量には言及されておらず、また、摩擦帯電量を積極的に制御している様子は認められない。
【0006】
しかし、トナーの摩擦帯電量を上げていくと、キャリアや感光体の表面との静電的付着力が大きくなるため現像性や転写性が低下し、画像濃度の低下が起こることがある。そこで、トナー帯電量とトナーとキャリアとの付着力の関係を規定した提案がある(特許文献2)。この提案によれば、トナー帯電量と付着力を所定の範囲にすることで、画像不良のない高画質な画像形成が可能とされる。しかし、トナーの消費量を低減することが可能な着色剤の含有量が多いトナーに要求されるような摩擦帯電量の領域は想定しておらず、キャリアとトナーの付着力が依然として強く、充分な画像の濃度が得られないことがある。
【0007】
また、トナーの摩擦帯電量を良好とするため、現像剤の圧縮抵抗とブリッジ抵抗を規定した提案が成されている(特許文献3)。この提案によれば、トナーの摩擦帯電量を上げつつも現像性を良好とする抵抗領域を言及している。しかし、現像剤の圧縮抵抗、ブリッジ抵抗と現像プロセスには言及されておらず、着色剤の含有量が多いトナーに要求されるような摩擦帯電量の領域は想定していない。
【0008】
このため、従来よりも少ないトナー載り量で画像形成するには、着色剤の含有量が多く、着色剤の分散性が高い着色力の高いトナーを用いて、高摩擦帯電量のトナーを効率よく現像することが必要となる。着色剤の分散性のよい、高摩擦帯電量のトナーを効率よく現像し、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、良好な画像品質を、連続使用時にも安定して発現する二成分系現像剤、補給用現像剤、画像形成方法が待望されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−195674号公報
【特許文献2】特開2006−195079号公報
【特許文献3】特公平07−031422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来よりも少ないトナー載り量で高精細な画像を達成し、良好な色域再現性を有し、トナーの消費量を低減し、高速化にも対応可能で、長期使用においても色味の安定した画像が継続して出力可能な二成分系現像剤、補給用現像剤及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、下記の本発明の構成により達成される。
【0012】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するシアントナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該シアントナーは、クロロホルム溶解液におけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0013】
また本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該マゼンタトナーは、クロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、波長538nmにおける吸光度をA538とすると、CmとA538の関係が、下記式(2)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 ・・・(2)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、35.0≦L*≦45.0、60.0≦C*≦72.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのマゼンタトナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0014】
また本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するイエロートナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該イエロートナーは、クロロホルム溶解液におけるイエロートナーの濃度をCy(mg/ml)とし、波長422nmにおける吸光度をA422とすると、CyとA422の関係が、下記式(3)を満足し、
6.00<A422/Cy<14.4 ・・・(3)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、85.0≦L*≦95.0、100.0≦C*≦115.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのイエロートナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0015】
また本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するブラックトナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
該ブラックトナーは、粉体状態で求めた明度L*が、5.00≦L*≦13.0であり、
且つ、該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
且つ、該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのブラックトナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0016】
また本発明は、上記磁性キャリアが、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0017】
また本発明は、上記キャリアコアが磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体は個数平均粒径0.10以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0018】
また本発明は、上記キャリアコアがポーラス状のフェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0019】
また本発明は、上記樹脂被覆層が、体積抵抗が1.0×10-2Ω・cm以上1.0×103Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を有することを少なくとも特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0020】
また本発明は、少なくともトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、現像器内部で過剰になった現像剤を排出する二成分現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、上記二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤に関する。
【0021】
また本発明は、像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を上記二成分系現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記トナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記トナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤が、上記二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、着色剤含有量が多く着色力の強いトナーを用い、トナー消費量を低減しながら、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、連続使用時にも良好な画像品質を安定して発現する二成分系現像剤、補給剤用現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するシアントナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該シアントナーは、クロロホルム溶解液におけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0025】
この条件を満たす時、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、連続使用時に良好な画像品質が安定して得ることができる。
【0026】
本発明は、着色剤の含有量の多い着色力の強いトナーを、着色剤の含有量を上げたときの弊害のひとつである色相変化を抑制しながら、高帯電/高現像性の二成分系現像剤を用いて現像することで、上記目的を達成しようとするものである。
【0027】
本発明は、波長712nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A712/Ccが、2.00より大きく、8.15未満となるシアントナーを使用する。波長712nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A712/Ccは、2.40より大きく、4.90未満であることが必要な着色力を得るうえで、より好ましい。A712/Ccが2.00以下のとき、トナーの質量あたりの着色度が低くなり、必要となる着色度を得るために、記録紙上のトナー載り量を多くし、トナー層を厚くする必要がある。そのため、トナー消費量の低減ができず、転写・定着時にチリが発生したり、画像上のライン画像、文字画像のラインの中央部が転写されずにエッジ部のみが転写される「転写中抜け」が発生することがある。一方、A721/Ccが8.15以上のとき、充分な着色力は得られるが、明度が低下し、画像が暗く、鮮やかさが低下しやすい。また、トナー表面へ露出した着色剤の量が多くなることで、トナーの帯電性へ悪影響を与え、弱摩擦帯電トナーが生じ、画像白地部でカブリが発生したり、トナー飛散により装置内を汚染することがある。
【0028】
上記シアントナーと同様の理由で、本発明は、波長538nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A538/Cmが、2.00より大きく、6.55未満となるマゼンタトナーを使用する。また、波長422nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A422/Cyが、6.00より大きく、14.4未満となるイエロートナーを使用する。
【0029】
さらに本発明では、着色剤の含有量を上げたシアントナーの粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*は、L*で25.0以上40.0以下であることが好ましく、28.0以上40.0以下であることがより好ましい。C*は50.0以上60.0以下であることが好ましい。また、マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*は、L*で35.0以上45.0以下であることが好ましく、C*は60.0以上72.0以下であることが好ましい。また、イエロートナーの粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*は、L*で85.0以上95.0以下であることが好ましく、C*は100.0以上115.0以下であることが好ましい。また、ブラックトナーの粉体状態で求めた明度L*は、L*で5.0以上13.0以下であることがい。粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、この範囲となる時、表現できる画像の色空間が拡大し、画像品質が良好なものとなり、記録紙上のトナー量も低減することができる。
【0030】
L*が下限値未満であると、他の色トナーとの組みあわせでフルカラー画像を形成した場合に、表現できる色空間が小さくなる場合がある。L*が上限値を超えると画像濃度が得られなくなる。必要な濃度を得るためには、記録紙上のトナー量を増やすことになり、転写定着時のチリや中抜けレベルが低下する。トナーの段差が大きくなり、画像品質が悪化することがある。C*が下限値未満であると、画像濃度が得られにくくなる。C*が上限値を超えると、フルカラー画像を形成した場合に、カラーバランスが崩れることがある。着色剤の含有量を上げたトナーは、通常、着色剤の分散状態が変化するためか、色相が変化し、L*及びC*が変化することがある。これは、着色剤の含有量を増やしていった結果、顔料の再凝集が起こり、さらに着色力が低下し、色相の変化に繋がったと推察される。着色力の高いトナーを用いることで、トナー載り量を減らすことができ、トナー消費量を低減することが可能となる。しかし、着色力の高いトナーを従来システムで現像すると、長期使用時に色味安定性に欠けた画像となることがある。そのため、さらに本発明規定のような高い摩擦帯電量で現像することが必要である。
【0031】
高い摩擦帯電量の現像剤が必要となる理由は次のように説明される。
【0032】
従来のトナーで、飽和画像濃度を得るためには、例えば、従来トナーの摩擦帯電量が−40mC/kg、Vcont=500Vで、感光体上のトナーの載り量が0.5mg/cm2となる現像剤とシステムを仮定する。横軸にコントラスト電位、縦軸に画像濃度をとると、従来トナーは、曲線Aのようなγ特性となる。コントラスト電位を、トナーの電荷とトナー粒子で埋めることで現像を行っている。図2のa点は、従来トナーによって飽和濃度が得られるポイントである。
【0033】
一方、本発明のトナーのような着色力が高いトナーを使った場合には、仮に着色力が従来トナーに対して2倍となっているとすると、従来トナーの半分の載り量0.25mg/cm2で飽和画像濃度が得られることになり、Vcont=250V・図2のb地点で必要なトナーが現像されることになる。B地点から、さらにVcont大きくしていくと、載り量は増加していくが、画像濃度は飽和しており、それ以上濃度が上がることはない。Vcont=500Vにするとトナーの載り量が0.5mg/cm2となり、a地点に至る。a地点では着色力の高いトナーが過剰となり、暗く沈んだ画像となり、色相が大きく変化する。
【0034】
図5には、CIELABのa*b*平面の従来トナーと着色力の高いトナーの色相のプロファイルを示した。実線が従来トナー、点線が着色力の高いトナーであり、着色力の高いトナーで図3におけるb地点を超え、a’地点まで現像したときの色相のプロファイルである。a’にまで至ると、図の左側、図5のa*軸側に曲線が曲がりこみ、色相が変化する。明度の低下も同時に起こってしまう。そのため、画像濃度が飽和する最低量のトナー量で飽和画像濃度を出力すればよい。しかし、載り量0.25mg/cm2、Vcont=250Vで飽和する高着色力のトナーを現像するシステムを考えると、従来の半分のVcont(=250V)で階調を形成せざるを得ず、電位の変動に対する濃度変動が大きくなり、画像の安定性において課題が残る。載り量を半減させたまま、従来トナーと同等のVcont(=500V)で階調を得る、つまり、図4の曲線C(破線)を横軸方向に拡大したような曲線A’(点線)にして、γ特性を従来トナーのような緩やかな傾きとできれば、着色力の高いトナーが過剰に存在することによって起こった色相の変化を抑制し、同時に電位変動に対する安定性を向上させることができる。そのためには、従来トナーの半分のトナー量で従来トナーと同等のコントラスト電位Vcont(=500V)を埋めるために、トナーの帯電量を上げることが必要となる。本発明の着色力を上げたトナーを用いて、載り量0.25mg/cm2、Vcont=500Vのコントラスト電位で、飽和画像濃度を得るためには、摩擦帯電量を従来トナーの2倍、飽和帯電量が−80μC/gのトナーとして、効率よく現像すれば、従来トナーと同様のγ特性で階調を形成することが可能となる。着色力を上げたトナーで、載り量を減らしながら、高い階調性を維持し、濃度変動を抑えるためには、高摩擦帯電量のトナーとして、効率よく現像することが必要になる。
【0035】
本発明のシアントナーは、前記シアントナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した摩擦帯電量の絶対値が、23℃、50%RH下において50mC/kg以上120mC/kg以下である。摩擦帯電量の絶対値が50mC/kg未満の現像剤では、本発明の着色力の強いトナーを用いた場合に、上述した通り、γ特性が急峻になり、長期使用によって濃度の変動が大きくなり、安定性に欠けるものとなることがある。一方、前記トナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した摩擦帯電量の絶対値120mC/kgを超えると、濃度低下や転写効率が低下することがある。キャリアや感光体表面との静電的付着力が必要以上に大きくなったためと考えられる。
【0036】
そこで、現像剤に求められる性能としては、高帯電/高現像性である。現像剤が高帯電且つ高現像性を有するためには、現像器内で十分に摩擦帯電すること、現像剤と感光ドラムの接触部である現像ニップ部で磁性キャリアからのトナー離れが良いことが必要である。
【0037】
本発明では、軽圧縮時の現像剤の体積抵抗と圧縮時の現像剤の体積抵抗に着目した。軽圧縮時、即ち現像器内には圧縮抵抗を高くすることで、十分な摩擦帯電を行い、圧縮時、即ち現像ニップ部では圧縮抵抗を低くすることで、トナーと磁性キャリアの静電的付着力を低減させ、高い現像性を達成し得ることを見出し、本発明に至った。
【0038】
図6は、本発明の二成分系現像剤の圧縮抵抗を示したものである。図中の斜線部分が、高帯電且つ高現像性を示す領域、即ち40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下である領域である。
【0039】
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm未満である場合は、磁性キャリアからのトナー離れは良好なものの、現像器内での高い摩擦帯電量は得られない。40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1014Ω・cmを超える場合は、現像器内で高い摩擦帯電量は得られるものの、現像ニップにおける高い現像性を得ることができない。
【0040】
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×106Ω・cm未満の場合は、磁性キャリア表面への静電的なトナー担時力が小さすぎて、現像ニップでのトナー飛散を生じやすくなってしまう。200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×109Ω・cmを超える場合は、磁性キャリア表面への静電的なトナー担時力が大きすぎて、現像性の低下を生じやすくなってしまう。
【0041】
よって、本発明の二成分系現像剤は、40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であることで、上記した着色剤の含有量が多いトナーを高い摩擦帯電量で現像することができる。
【0042】
本発明の二成分系現像剤の圧縮抵抗値を上記範囲に設定するためには、トナー及び磁性キャリア両面からのアプローチが可能である。
【0043】
トナーからのアプローチとしては、トナー粒子表面にまず低抵抗な無機微粒子を付着させ、その後高抵抗な無機微粒子を付着させることが好ましい。これは、軽圧縮時にはトナー粒子表面の高抵抗な無機微粒子が点接触することでトナー−トナー間やトナー−磁性キャリア間での高摩擦帯電量が得られ易くなるためである。また、一方で圧縮時にはトナー粒子表面の低抵抗な無機微粒子により高現像性を発現する。
【0044】
磁性キャリアからのアプローチとしては、後述する真比重や動的抵抗とともに、磁性キャリア表面に形成される樹脂被覆層中に導電性微粒子と絶縁性の微粒子が含有されていることが好ましい。これは、軽圧縮時には磁性キャリア粒子表面の絶縁性微粒子がトナーと点接触することでトナー−磁性キャリア間での高摩擦帯電量が得られ易くなるためである。また、一方で圧縮時には磁性キャリア粒子表面の樹脂被覆層中に含有される導電性微粒子が低抵抗な無機微粒子により高現像性を発現するためである。
【0045】
さらには、上記したトナー磁性キャリアを組み合わせることで、その相乗効果により、二成分系現像剤の圧縮抵抗値を上記範囲に制御することが可能となる。
【0046】
また、本発明の磁性キャリアは、二成分系現像剤の圧縮抵抗を上記した良好な範囲とするために、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であることが必要である。真比重が2.5g/cm3未満の場合は、高い摩擦帯電量は得られるものの、現像性が低下する。真比重が4.2g/cm3を超える場合は、現像剤劣化を生じやすく、長期に渡って良好な画像が得られなくなる場合がある。
【0047】
また、本発明の磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることが好ましい。現像ニップ部では、トナーがキャリア表面から飛翔し、消費されるときに、キャリア表面にトナーとは反対の極性の電荷が発生する。これをカウンターチャージと呼ぶ。カウンターチャージがキャリアに蓄積すると、次のトナーへの帯電を妨げてしまい、帯電量分布がブロード化し、非画像部へのトナー付着(カブリ)が発生する原因となる。そこで、後述する現像剤担持体にキャリアを担持させ、磁気穂を形成し、回転させたときの抵抗値を上記の範囲に制御することで、カウンターチャージを瞬時に無くし、キャリア表面を静電気的にリフレッシュさせることができる。これにより、トナーへの帯電付与が瞬時に行われるため、高速かつ画像面積の高い画像を出力しても、長期に渡り安定した画像を出力することが可能になる。
【0048】
なお、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が1.0×108Ω・cmを超える場合は、カウンターチャージが蓄積しやすくなり、カブリが発生しやすくなる。また、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cmを下回ると、キャリア付着が発生しやすくなったり、潜像をみだしてしまうことがある。
【0049】
本発明に用いる磁性キャリアは、トナーに対する帯電性を促進させるために、15μm以上60μm以下の体積平均粒径(Dv)を有することが好ましい。即ち、現像極での磁気ブラシの密度も最適化されるとともに、トナーの帯電分布をシャープにすることができるので、高画質化を図ることができる。
【0050】
体積平均粒径(Dv)が15μmより小さい場合、現像極での磁気ブラシ密度は密になるものの、現像剤担持体上の磁性キャリアの磁気的拘束力が小さくなってしまうため、感光体上へのキャリア付着が発生してしまう場合がある。体積平均粒径(Dv)が60μmを超える場合、現像極での磁気ブラシ密度は疎になるとともに、トナーの帯電分布もブロードになってしまうため、画像不良の原因となってしまいやすい。
【0051】
本発明に用いることができる磁性キャリアコアは、公知のフェライト粒子、マグネタイト粒子、磁性体分散型樹脂粒子等のキャリアコアが使用できる。
【0052】
本発明に用いることのできるキャリアコアは、例えば以下に記載するように製造される。
【0053】
キャリアコアは、磁性体を用いて製造される。磁性体としては、1)表面が酸化された、または未酸化の鉄粉、2)リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類元素の如き金属粒子、3)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類元素の如き金属の合金粒子、またはこれらの元素を含む酸化物粒子、4)マグネタイト粒子、またはフェライト粒子、が挙げられる。好ましい磁性体としては、マグネタイト粒子、又は、銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム及びマグネシウムから選ばれる一種または二種以上の元素を少なくとも有する磁性フェライト粒子である。
【0054】
フェライト用磁性体としては以下のものが挙げられる。Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト及びLi−Rb−Fe系フェライトの鉄系酸化物のフェライト磁性体。鉄系酸化物のフェライトは、それぞれ金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩を湿式あるいは乾式にて混合し、所望のフェライト組成となるよう仮焼成することにより得られる。得られた鉄系酸化物のフェライトを、サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20〜50質量%加え、結着樹脂として例えばポリビニルアルコール(分子量500〜10,000)を0.1〜10質量%加える。そして、さらに孔密度をコントロールするための炭酸カルシウムの金属炭酸塩を0.5〜15質量%添加して、スラリーを調製する。このスラリーを、スプレードライヤーを用いて造粒を行い、焼成することでフェライトコアを得ることができる。
【0055】
尚、本発明においては、磁性キャリアの真比重を上記範囲にするため、造粒時に発泡剤を添加した低比重、且つポーラス状のフェライトキャリアコアが好ましく用いられる。
【0056】
本発明に用いることのできるポーラス状のフェライトキャリアコアとしては、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることが好ましい。
【0057】
次に、ポーラス状のフェライトキャリアコアのかさ密度、真密度を上記範囲に調整する手法について述べる。
【0058】
これらの物性を調整するための手法としては、適当な元素の種類を選択したり、結晶径、空孔径、空孔径分布、空孔比率等をコントロールする手法が挙げられ、例えば具体的には以下の手法が例示される。
【0059】
i)ポーラス状のフェライトキャリアコアを焼成で形成する際の温度や時間を調整することにより結晶の成長度合いや成長速度をコントロールし、空孔の大きさや分布状態等を調整する。
【0060】
ii)ポーラス状のフェライトキャリアコアを形成する際、発泡剤や有機微粒子の如き空孔形成剤を添加し、コア粒子内部に空孔を発生させる。その際、発泡剤の種類(組成、径など)を適当に選択し、その量を調整する。
【0061】
上述した発泡剤としては、60乃至180℃で気化又は分解し、その際に気体を発生する物質であれば特に限定はされない。例えば、以下のものが挙げられる。アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルの如き発泡性のアゾ系重合開始剤;ナトリウム、カリウム、カルシウムの如き金属の炭酸水素塩;炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硝酸アンモニウム塩、アジド化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、アリルビス(スルホヒドラジド)、ジアミノベンゼン。
【0062】
有機微粒子としては、ワックスとして用いられる樹脂や、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の如き熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂の如き熱硬化性樹脂が挙げられる。これらを、微粒子化して使用する。
【0063】
微粒子化する方法としては、公知の方法が使用できるが、例えば、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕する。粉砕工程では、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕し、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター、ターボ工業製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
【0064】
また、粉砕後に分級し、微粒子の粒度分布を調整しても良い。分級装置としては、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機がある。
【0065】
しかし、上述したポーラス状のフェライトキャリアコアは、通常、物理的強度が低くなりやすく、壊れやすいという課題があった。
【0066】
そこで、ポーラス状のフェライトキャリアコアの物理的強度を向上するためには、フェライトキャリアコアの有する空孔の径や分布と、含有させる樹脂成分の組成、更には樹脂の充填方法を適当に調整/選択し、樹脂成分の充填が均一に行われるようにすればよい。
【0067】
フェライトキャリアコアの空孔への樹脂成分の充填を均一に行うために、樹脂成分と溶剤を混合した樹脂成分溶液を用いることが必要である。樹脂成分量は好ましくは、1乃至50質量%(より好ましくは1乃至30質量%)が好ましい。50質量%より樹脂製分量の多い樹脂成分溶液を用いると粘度が高いためにフェライトキャリアコアの空孔に樹脂成分溶液が均一に浸透しにくい。また、1質量%未満であると樹脂成分の量が少なく、フェライトキャリアコアへの樹脂の付着力が低くなる場合がある。
【0068】
前記フェライトキャリアコア内部に充填させる樹脂成分としては、フェライトキャリアコアの磁性成分に対する濡れ性が高いものであることが好ましく、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわない。濡れ性が高い樹脂成分を用いた場合には、フェライトキャリアコアの空孔への樹脂の充填時に、同時にフェライトキャリアコア表面も樹脂で覆うことが容易になる。
【0069】
熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
【0070】
熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
【0071】
また、これらの樹脂を変性した樹脂でも良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂等の含フッ素系樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂が、多孔質磁性コア粒子に対する濡れ性が高いため好ましい。
【0072】
上記した樹脂の中でもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂が使用可能である。具体的には、下記式に示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂、及び、該ストレートシリコーン樹脂をアルキッド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
【0073】
上記した樹脂の中でもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂を使用することができる。
【0074】
例えば、以下のものが挙げられる。市販品として、ストレートシリコーン樹脂は、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レダウコーニング社製のSR2400、SR2405等がある。変性シリコーン樹脂は、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)等がある。
【0075】
フェライトキャリアコア内部に樹脂成分を充填する方法としては、樹脂成分を溶剤に希釈し、その希釈液中にフェライトキャリアコアに添加するのが一般的である。ここに用いられる溶剤は、各樹脂成分を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールの如き有機溶剤を用いればよい。水溶性の樹脂成分またはエマルジョンタイプの樹脂成分である場合には、水を用いればよい。前記フェライトキャリアコア内部に、溶剤で希釈された樹脂成分を添加させる方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、流動床、及び混練法の如き塗布方法により樹脂成分を含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
【0076】
また、磁性体分散型樹脂キャリアコアを製造するには、ビニル系または非ビニル系の熱可塑性樹脂、および磁性体ならびにその他の添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、さらに分級することにより、磁性体分散型樹脂キャリアコアを得ることができる。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコアは、さらに熱又は機械的に球形化してもよい。
【0077】
さらに本発明に使用できる磁性体分散型樹脂キャリアコアは、キャリアコアの結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得ることが特に好ましい。ここで結着樹脂を形成するためのモノマーとしては以下のものが挙げられる。ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を生成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が含まれる。
【0078】
結着樹脂を形成するためのモノマーとしてフェノール類とアルデヒド類を用いる場合は、水性媒体に磁性体およびフェノール類とアルデヒド類を添加し、水性媒体中のフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合させることにより、磁性体分散型樹脂キャリアコアを製造することができる。
【0079】
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類は、フェノール(ヒドロキシベンゼン)のほか、フェノール性水酸基を有する化合物であればよい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類;芳香環(例えばベンゼン環)の水素またはアルキル基の水素の一部または全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類が挙げられる。
【0080】
フェノール樹脂を生成するためのアルデヒドとしては以下のものが挙げられる。ホルマリンまたはパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、およびフルフラール。好ましくはホルムアルデヒドである。
【0081】
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は1乃至4であることが好ましく、1.2乃至3であることがより好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成しにくかったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行しにくいために、生成する粒子の強度が弱くなったりする傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
【0082】
フェノール類とアルデヒド類との縮合は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒は通常のレゾール型樹脂の製造に使用されている触媒であればよく、該塩基性触媒の例にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが含まれる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は0.02以上、0.3以下であることが好ましい。
【0083】
このような磁性体分散型樹脂コアの形状を制御するためには、キャリアコアの製造における重合反応において、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量を適切に制御することが好ましい。
【0084】
すなわち、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量は、10.0g/m3以下であることが好ましい。反応媒体中における溶存酸素量を減らす方法の例には、1)あらかじめ溶媒、モノマー、磁性体を含む反応系を加温する、2)重合反応中に反応媒体中に不活性ガスを導入する方法がある。溶存酸素量を減らすために反応媒体中に導入される不活性ガスは、工業的視点から、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスから選ばれる一種類以上であることが好ましい。
【0085】
また、上記不活性ガスの反応媒体中への導入量は、重合反応開始前には反応容器体積の5体積%/分以上100体積%/分以下とし、重合反応開始後には1乃至20体積%/分とすることが好ましい。重合反応開始前の不活性ガスの導入量が5体積%/分より少ないと溶存酸素の不活性ガスへの置換効率が悪く、一方100体積%/分より多いとモノマーが揮発されることがある。
【0086】
また、重合反応開始後の不活性ガスの流量は、重合反応開始前の流量に比べて少ないことが好ましい。重合反応中における不活性ガスの導入量を、重合反応前における導入量よりも少なくすることにより、所望とする粒径より小さい粒径の微粒子の生成が抑制されるので、所望とする粒径の粒子が、前記微粒子を取り込んで異形化するのを防止することができる。
【0087】
重合反応開始後の不活性ガスの導入量が、反応容器体積に対して20体積%/分を超えると、前述の微粒子が生成しやすくなる。これは重合反応中の反応媒体が、導入される不活性ガスによって激しく撹拌されることに起因すると考えられる。一方、重合反応中に導入される不活性ガスの流量が1体積%/分より少ないと、反応媒体と外気との界面に存在する酸素量が増し、微粒子が生成しやすくなる。
【0088】
磁性体分散型樹脂キャリアコアの製造における重合反応において、モノマーを含有する反応媒体は撹拌される。該撹拌は撹拌翼により行われることができるが、撹拌時の撹拌翼の周速は1.0m/秒以上3.5m/秒以下に制御されることが好ましい。
【0089】
撹拌翼の周速が1.0m/秒未満であると、所望の粒径の粒子が得られにくくなると同時に、撹拌不良により磁性体が沈降しやすく紡錘状の粒子や磁性体が入っていないからの粒子が形成されやすくなる傾向にある。一方、撹拌翼周速が3.5m/秒を超えると、所望の粒径分布以下の微粒子ができやすくなり、それらが合一したり、所望粒径の粒子に合一したりして、異形の粒子が得られやすくなる傾向にある。
【0090】
また、磁性体分散型樹脂キャリアコアに使用される磁性体の個数平均粒径は、0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることが好ましい。磁性体が、この範囲の粒径を有することで、磁性体の樹脂中への分散が良好となり、40kPaの圧縮下での体積抵抗率を高くしやすく、高帯電性の磁性キャリアが得やすくなる。また、磁性体がマグネタイト粒子であることで動的抵抗率の制御がしやすくなるとともに、200kPaの圧縮下での体積抵抗率を低くしやすく、高現像性の磁性キャリアが得やすくなる。
【0091】
マグネタイト粒子の個数平均粒径が0.10μm未満の場合は、マグネタイト粒子の磁気的凝集が起こり易く、樹脂中への分散不良が生じる。また、凝集体が磁性キャリア表面に露出するとトナーの帯電電荷を緩和してしまい、トナーの帯電低下を生じてしまう。マグネタイト粒子の個数平均粒径が0.30μmを超える場合も、マグネタイト粒子が磁性キャリア表面に露出しやすく、これまたトナーの帯電低下を生じてしまう。
【0092】
次に本発明に用いるキャリアコア表面を被覆する樹脂組成物に関して説明する。
【0093】
本発明に用いる樹脂組成物は少なくとも公知の結着樹脂を含有する。特に好ましく用いる結着樹脂としては、トナーに適正な帯電付与を行うと同時に、キャリアコア表面への密着性向上を図る上で、式(A1)
【0094】
【化1】
(式中、R1は炭素数4以上の炭化水素基を示す)
で示される構造を有するモノマーとメタクリル酸メチルモノマーとを重合した共重合体であり、該共重合体は、これらのモノマーから形成されるユニットが共重合割合として80質量%以上含有されていることが重要である。
【0095】
上記共重合体を用いることで、トナーへの帯電付与が良好になり、かつ現像器中でのトナーの所望帯電量になった後のチャージアップあるいはチャージダウンを抑制することができる。これは、メタクリル酸メチルから形成されるユニットが高い帯電性を有し、かつ、種々の環境であっても安定した帯電性を有しているためである。また、R1が炭素数4以上の炭化水素基を有する式(A1)で示される構造を有するモノマーを用いることによって、樹脂の結晶性が高まり、磁性キャリア粒子表面の離型性が向上させることができる。そのため、トナーへの素早い摩擦電荷の付与と磁性キャリア粒子へのトナーの付着を軽減することができるためと考えられる。式(A1)で示される構造を有するモノマーにおいて、R1が炭素数10以上であることが好ましい。また、R1の炭素数4以上の炭化水素基としては、鎖式の炭化水素基であっても、環式の炭化水素基であってもよい。
【0096】
R1が炭素数4以上の炭化水素基を有する上記式(A1)で示される構造を有するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル及びメタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸ジシクロペンテニル及びメタクリル酸ジシクロペンタニル。
【0097】
なお、式(A1)で示される構造を有するモノマーから形成されるユニットとは、
【0098】
【化2】
を意味する。また、メタクリル酸メチルモノマーから形成されるユニットとは、
【0099】
【化3】
を意味する。共重合体中における式(A1)で示される構造を有するモノマーから形成されるユニットとメタクリル酸メチルモノマーから形成されるユニットとの共重合比は、20:80〜80:20であることが好ましい。
【0100】
樹脂被覆層を形成している樹脂の重量平均分子量Mw(THF可溶分)は、15,000〜300,000であることが、キャリアコアとの密着性、コートする際に均一にコア表面を被覆することができるため好ましい。
【0101】
また、被覆用の樹脂組成物は微粒子を含有していることが好ましい。キャリアコアを被覆する樹脂被覆層における該微粒子の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して、微粒子2乃至80質量部の割合で含有されることが好ましい。
【0102】
本発明に用いる樹脂組成物に含まれる微粒子としては、有機材料および無機材料のいずれの微粒子であってもよいが、被覆する際に、微粒子の形状を保持することができる強度を有している架橋樹脂微粒子及び無機微粒子が好ましい。架橋樹脂微粒子を形成する架橋樹脂としては、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂及びナイロン樹脂が挙げられる。また、無機微粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、シリカ、アルミナ、チタン含有金属酸化物が挙げられる。特に、上記の無機微粒子は、トナーへの帯電付与の促進、チャージアップの低減、及びトナーとの離型性の向上の点で好ましい。更に該微粒子は、絶縁性のシリカ微粒子であることが好ましく、より好ましくは疎水化処理された疎水性シリカ粒子であることが好ましい。
【0103】
また本発明に用いる被覆用の樹脂組成物は、該微粒子に加えて、更に導電性微粒子を含んでいることが好ましい。キャリアコアを被覆する樹脂に含まれる導電性微粒子は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下であることがより好ましい。
【0104】
導電性微粒子は、カーボンブラック微粒子、グラファイト微粒子、酸化亜鉛微粒子、および酸化錫微粒子が挙げられる。特に導電性微粒子としてカーボンブラック微粒子が好ましい。カーボンブラック微粒子は、その粒径をより小さくすることができるので、微粒子による磁性キャリア粒子表面の微細突起の形成を阻害することがなく、キャリアの比抵抗をコントロールすることができる。
【0105】
本発明に用いる被覆用の樹脂組成物は、用いられる樹脂100質量部に対して、2乃至80質量部の微粒子、および、2乃至50質量部の導電性微粒子を含有することが好ましい。これにより磁性キャリアの比抵抗を下げすぎず、かつ磁性キャリア粒子表面の残留電荷を除去しやすくするためである。
【0106】
また本発明に用いる被覆用の樹脂組成物は、更に荷電制御剤を含有していることが好ましい。荷電制御剤としては公知の荷電制御剤が使用可能であるが、本発明の高トリボと被覆用樹脂との分散性を考慮すると、窒素成分含有の荷電制御樹脂が特に好ましく用いられる。
【0107】
本発明で使用できるトナーは、粉砕法及び重合法で得られたトナーをいずれも使用できる。
【0108】
まずは粉砕法で得られるトナーについて説明する。粉砕法で得られるトナーに使用できる結着樹脂は公知のものが使用できるが、結着樹脂の主たる成分としてポリエステルユニットを含有することが好ましい。好ましく用いられる結着樹脂としては、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有しているハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体との混合物、(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、及び(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物から選択される樹脂である。本発明のトナー物性を効果的に発揮するためには、少なくともハイブリッド樹脂を含有する結着樹脂が、より好ましく用いられる。
【0109】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。ハイブリッド樹脂におけるポリエステルユニットを生成する場合に用いられるモノマーも同様である。
【0110】
具体的には、例えば二価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0111】
三価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0112】
2価の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物が挙げられる。
【0113】
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び、これらの無水物やエステル化合物等が挙げられる。
【0114】
それらの中でも、特に、下記一般式(イ)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0115】
【化4】
【0116】
粉砕法で得られるトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合した樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成する樹脂であり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)である。なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分である。
【0117】
ビニル系共重合体或いはビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0118】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0119】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0120】
粉砕法で得られるトナーにおいて、結着樹脂のビニル系共重合体或いはビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
【0121】
この場合に用いられる架橋剤には、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0122】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0123】
ハイブリッド樹脂を製造する際には、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれか一方又は両方の中に、両樹脂ユニットの成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂ユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットの成分と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットの成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0124】
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行うことにより得る方法が好ましい。
【0125】
粉砕法で得られるトナーに使用できるビニル系共重合体或いはビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0126】
粉砕法で得られるトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製するための製造方法としては、例えば、以下の(1)乃至(5)に示す製造方法を挙げることができる。
【0127】
(1)ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行ってハイブリッド樹脂を合成する方法。
【0128】
(2)ビニル系重合体を製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)との反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0129】
(3)ポリエステル樹脂を製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマーとの反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0130】
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂を製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加し、添加したモノマーに応じた条件の重合反応を行うことにより、ハイブリッド樹脂成分を製造する方法。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0131】
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0132】
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットには、分子量や架橋度の異なる複数種の重合体ユニットを使用することができる。
【0133】
なお、本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットとは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット若しくはビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
【0134】
次に重合法で得られるトナーについて説明する。直接重合法または乳化重合法で得られるトナーに使用できる結着樹脂は公知のものが使用できるが、ビニル系樹脂を主成分とする樹脂を有することが好ましい。該結着樹脂の主成分であるビニル系樹脂は、ビニル系モノマーの重合により製造される。ビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン系モノマー、アクリル系モノマー;メタクリル系モノマー;エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー;ビニルエステル類のモノマー;ビニルエーテル類のモノマー;ビニルケトン類のモノマー;N−ビニル化合物のモノマー;その他のビニルモノマー。
【0135】
スチレン系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン。
【0136】
アクリル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類。
【0137】
また、メタクリル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類。
【0138】
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンが挙げられる。
【0139】
ビニルエステル類のモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルが挙げられる。
【0140】
ビニルエーテル類のモノマーとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルが挙げられる。
【0141】
ビニルケトン類のモノマーとしては、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンが挙げられる。
【0142】
N−ビニル化合物のモノマーとしては、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
【0143】
その他のビニルモノマーとしては、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0144】
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
【0145】
ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素。
【0146】
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤の例としては、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンの如きラジカル重合性多官能重合開始剤が挙げられる。
【0147】
本発明に使用できる粉砕法または重合法により得られるトナーには、離型剤としてのワックスを含有していることが好ましい。
【0148】
本発明に用いることができるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸類とステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等のアルコール類のエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0149】
本発明において特に好ましく用いることができるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックス及び脂肪酸とアルコールのエステルであるエステル化物が挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。
【0150】
本発明のトナーに使用できる着色剤としては、公知の染料及び/または顔料が挙げられる。
【0151】
マゼンタトナー用着色顔料しては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペルリン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
【0152】
マゼンタトナー用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
【0153】
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45または下記式(ロ)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
【0154】
【化5】
【0155】
イエロー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191、C.I.バットイエロー1、3、20などである。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
【0156】
本発明に用いることができる黒色着色剤としてカーボンブラック、酸化鉄粒子、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが使用できる。
【0157】
本発明に使用できるトナーには、その帯電性を安定化させるために公知の荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、荷電制御剤の種類や他のトナー粒子構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1乃至10質量部含まれることが好ましく、0.1乃至5質量部含まれることがより好ましい。このような荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
【0158】
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。正帯電性荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。
【0159】
特に、本発明のトナーに用いることができる荷電制御剤としては、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸金属化合物や公知の荷電制御樹脂が好ましい。
【0160】
本発明に使用できるトナーは、無機微粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機で混合させることにより、トナーの流動性を調整して用いることが好ましい。
【0161】
本発明に使用できるトナーに使用できる無機微粉体としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、それらのシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ等がある。その中でも、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末等が特に好ましく用いられる。
【0162】
湿式製法シリカとしては、特にアルコキシシランを水が存在する有機溶媒中において、触媒により加水分解、縮合反応させて得られるシリカゾル懸濁液から、溶媒除去、乾燥して、粒子化する、ゾルゲル法により製造されるシリカ粒子がある。ゾルゲル法により製造されるシリカ粒子は、得られる粒子の粒度分布がシャープであり、且つ球状の粒子が得られるとともに、反応時間を変えることにより所望の粒度分布を有する粒子が得られるので好ましい。
【0163】
また、乾式製法シリカとしては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0164】
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
【0165】
また、酸化チタン微粉体であれば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
【0166】
そしてアルミナ微粉体であれば、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。
【0167】
上記無機微粉体の疎水化方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理することによって付与される。
【0168】
好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0169】
本発明に用いることのできるトナーは、結着樹脂、着色剤、及び任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粉砕し、必要に応じて粉砕物の球形化処理や分級処理を行い、これに必要に応じて前記流動化剤を混ぜることによって製造することが好ましい。
【0170】
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、Q型ミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0171】
更に、上記の配合で混合したトナー原料を溶融混練して、結着樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。また、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、池貝製作所製PCM型2軸押出機、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0172】
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、公知の風力式粉砕機や機械式粉砕機で微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。更に、得られた微粉砕品を表面改質工程で表面改質、すなわち、球形化処理を行い、表面改質粒子を得てもよい。その後、必要に応じて表面改質粒子を慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機或いは、風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径3〜11μmのトナーを得る。
【0173】
尚、分級工程で分級されて発生したトナー粗粉は、再度粉砕工程に戻して粉砕する。また表面改質工程で発生した微粉は、トナー原料の配合工程に戻して再利用することがトナー生産性上好ましい。
【0174】
更に、本発明に用いることができるトナーの製造方法においては、上記のようにして得られたトナーに、流動性を付与するための無機微粒子を外添剤として外添することが好ましい。トナーに外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Q型ミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することが好ましい。この際、外添機内部で発熱を生じ、凝集物を生成し易くなるので、外添機の容器部周囲を水で冷却する等の手段で温度調整をする方が好ましい。
【0175】
本発明に用いることができるトナーは、トナーの平均円形度が0.945以上0.990以下、より好ましくは0.950以上0.990以下であることが好ましい。トナーの平均円形度に関しては、FPIA3000(シスメックス社製)を用いて測定されるものであり、測定法に関しては後述する。トナーの平均円形度がこの範囲にあることで、高速現像時においても良好な現像性が得られるとともに、転写性が向上するという利点を有する。
【0176】
以下に本発明のトナーとして好適な平均円形度を得るために、製造方法として用いることができる、好ましい粉砕工程、表面改質工程について説明する。
【0177】
本発明のトナーに好ましく用いられる粉砕工程は、機械式粉砕機が好ましく用いられる。
【0178】
図11は、本発明に使用する機械式粉砕機を組込んだトナー粒子の粉砕装置システムの一例である。
【0179】
図11に示す機械式粉砕機301では、ケーシング313、ケーシング313内にあって冷却水を通水できるジャケット316、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入するための原料投入口311、処理後の粉体を排出するための原料排出口302とから構成されている。回転子314と固定子310との間隔部分が粉砕ゾーンである。
【0180】
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、図11に示した定量供給機315から機械式粉砕機の原料投入口311へ所定量の粉体原料が投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間の発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222、及び吸引ブロワー224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われるため、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことができるので好ましい。また、これら機械式粉砕機は粉砕工程で用いられるが、表面改質工程に用いても良い。
【0181】
このような機械式粉砕機としては、例えば、川崎重工業(株)製粉砕機クリプトロン、ターボ工業(株)製ターボミル、ホソカワミクロン(株)製イノマイザ、日清エンジニアリング(株)製スーパーローター等を挙げることができる。
【0182】
また、本発明においては、分級及び表面改質処理を同時に行うことができる、図12に示した表面改質装置が好ましく用いられる。
【0183】
図12に示す回分式表面改質装置は、円筒形状の本体ケーシング30、本体ケーシングの上部に開閉可能なよう設置された天板43;微粉排出ケーシングと微粉排出管とを有する微粉排出部44;冷却水或いは不凍液を通水できる冷却ジャケット31;表面改質手段としての、本体ケーシング30内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク33を複数個有し、所定方向に高速に回転する円盤状の回転体である分散ローター32;分散ローター32の周囲に一定間隔を保持して固定配置された、分散ローター32に対向する表面に多数の溝が設けられているライナー34;微粉砕物中の所定粒径以下の微粉及び超微粉を連続的に除去するための分級ローター35;本体ケーシング30内に冷風を導入するための冷風導入口46;微粉砕物(原料)を導入するために本体ケーシング30の側面に形成された原料投入口37及び原料供給口39を有する投入管;表面改質処理後のトナー粒子を本体ケーシング30外に排出するための製品排出口40及び製品抜取口42を有する製品排出管;表面改質時間を自在に調整できるように、原料投入口37と原料供給口39との間に設置された開閉可能な原料供給弁38;及び製品排出口40と製品抜取口42との間に設置された製品排出弁41を有している。
【0184】
ライナー34の表面は、溝を有していることが、トナー粒子の表面改質を効率的におこなう上でこのましい。角型のディスク33の個数は回転バランスを考慮して、偶数個が好ましい。分級ローター35は、分散ローター32の回転方向と同方向に回転するのが、分級の効率を高め、トナー粒子の表面改質の効率を高める上で好ましい。微粉排出管は、分級ローター35により除去された微粉及び超微粉を装置外に排出するための微粉排出口45を有している。
【0185】
該表面改質装置は、天板43に対して垂直な軸を有する案内手段としての円筒状のガイドリング36を本体ケーシング30内に有している。該ガイドリング36は、その上端が天板から所定距離離間して設けられており、分級ローター36の少なくとも一部を覆うようにガイドリングは、支持体により本体ケーシング30に固定されている。ガイドリング36の下端は分散ローター32の角形ディスク33から所定距離離間して設けられる。
【0186】
該表面改質装置内において、分級ローター35と分散ローター32との間の空間が、ガイドリング36の外側の第一の空間47と、ガイドリング36の内側の第二の空間48とにガイドリング36によって二分される。第一の空間47は微粉砕物及び表面改質処理された粒子を分級ローター35へ導くための空間であり、第二の空間は微粉砕物及び表面改質処理された粒子を分散ローターへ導くための空間である。分散ローター32上に複数個設置された角型のディスク33と、ライナー34との間隙部分が表面改質ゾーン49であり、該分級ローター35及び該分級ローター35の周辺部分が分級ゾーン50である。
【0187】
原料ホッパー380に導入された微粉砕物は、定量供給機315を経由して、投入管の原料投入口37から原料供給弁38を通って原料供給口39より装置内に供給される。表面改質装置には、冷風発生手段319で発生させた冷風を冷風導入口46から本体ケーシング内に供給し、さらに、冷水発生手段320からの冷水を冷水ジャケット31に供給し、本体ケーシング内の温度を所定温度に調整する。供給された微粉砕物は、ブロアー364による吸引風量、分散ローター32の回転及び分級ローター35の回転により形成される旋回流により、円筒状のガイドリング36の外側の第一の空間47を旋回しながら分級ローター35近傍の分級ゾーン50に到達して分級処理が行われる。本体ケーシング30内に形成される旋回流の向きは、分散ローター32及び分級ローター35の回転方向と同じである。
【0188】
分級ローター35によって除去されるべき微粉及び超微粉は、ブロワー364の吸引力より分級ローター35のスリットより吸引され微粉排出管の微粉排出口45及びサイクロン入口359を経由してサイクロン369及びバグ362に捕集される。微粉及び超微粉を除去された微粉砕物は第二の空間48を経由して分散ローター32近傍の表面改質ゾーン49に至り、分散ローター32に具備される角型ディスク33(ハンマー)と本体ケーシング30に具備されたライナー34によって粒子の表面改質処理が行われる。表面改質が行われた粒子はガイドリング36に沿って旋回しながら再び分級ローター35近傍に到達し、分級ローター35の分級により表面改質された粒子からの微粉及び超微粉の除去がおこなわれる。所定の時間処理を行った後、排出弁41を開き、表面改質装置から所定粒径以下の微粉及び超微粉が除かれた表面改質されたトナー粒子を取り出す。
【0189】
所定の重量平均径に調整され、所定の粒度分布に調整され、さらに所定の円形度に表面改質されたトナー粒子は、トナー粒子の輸送手段321により外添剤の外添工程に移送される。
【0190】
本発明に用いることができる表面改質装置は、鉛直方向下側より分散ローター32、微粉砕物(原料)の投入部39、分級ローター35及び微粉排出部を有している。従って、通常、分級ローター35の駆動部分(モーター等)は分級ローター35の更に上方に設けられ、分散ローター32の駆動部分は分散ローター32の更に下方に設ける。本発明で用いる表面改質装置は、例えば特開2001−259451号公報に記載されている分級ローター35のみを有するTSP分級機(ホソカワミクロン社製)の様に、微粉砕物(原料)を分級ローター35の鉛直上方向より供給することは困難である。
【0191】
本発明において、分級ローター35の最も径の大きい箇所の先端周速は30m/sec以上120m/sec以下であることが好ましい。分級ローターの先端周速は50m/sec以上115m/sec以下であることがより好ましく、70m/sec以上110m/sec以下であることが更に好ましい。30m/secより遅い場合は、分級収率が低下しやすく、トナー粒子中に超微粉が増加する傾向にあり好ましくない。120m/secより速い場合は、装置の振動の増加の問題が生じやすい。
【0192】
更に、分散ローター32の最も径の大きい箇所の先端周速は20m/sec以上150m/sec以下であることが好ましい。分散ローター32の先端周速は40m/sec以上140m/sec以下であることがより好ましく、50m/sec以上130m/sec以下であることが更に好ましい。20m/secより遅い場合は、十分な円形度を有する表面改質粒子を得ることが困難であり好ましくない。150m/secより速い場合は、装置内部の昇温による装置内部での粒子の固着が生じやすく、トナー粒子の分級収率の低下が生じやすく好ましくない。分級ローター35及び分散ローター32の先端周速を上記範囲とすることにより、トナー粒子の分級収率を向上させ、効率良く粒子の表面改質をおこなうことができる。
【0193】
本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を図7に示す。図7において、静電潜像担持体である電子写真感光体1は図中矢印方向に回転する。感光体1は帯電手段である帯電装置2により帯電され、帯電した感光体1表面には、静電潜像形成手段である露光装置3によりレーザー光Lを投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置4により静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置5により転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置6により加熱定着され、画像として出力される。この転写手段において、転写されずに感光体表面に残った転写残トナーは、図8に示したようなクリーニング手段であるクリーニング装置7で回収したり、図9に示したような均し手段である補助ブラシ帯電装置8でバイアスを印加しながら転写残トナーに静電的な極性を与え、前述の帯電手段、静電潜像形成手段を経て、再度現像に供されるかもしくは現像装置に回収されてもよい。
【0194】
また本発明においては、現像装置4は、二成分系現像剤を用いた現像装置であることが好ましく、現像剤容器4gから補給用の二成分系現像剤が補給されるとともに、余剰の現像剤を排出するための現像剤排出機構を有していることが好ましい。ここで、補給される二成分系現像剤は、磁性キャリア1質量部に対してトナー2質量部以上50質量部以下であることが好ましい。補給用現像剤に上記範囲の配合割合の磁性キャリアを用いることは、長期にわたって良好な帯電性、現像性を有するので好ましい。磁性キャリア1質量部に対してトナーが2質量部未満である場合は、耐久劣化を抑制する効果が薄れてしまう。トナーが50質量部を超える場合は、現像剤の排出量が多くなりすぎてコストアップの要因となってしまう。
【0195】
ここで、本発明に使用できる画像形成方法の各工程に関して、更に詳しく説明する。
【0196】
帯電工程は、感光体の表面に電荷を付与して電子写真感光体を帯電させる手段であれば特に限定されない。帯電手段には、コロナ帯電手段のように、電子写真感光体に対して非接触で電子写真感光体を帯電させる装置や、導電性のローラやブレードを電子写真感光体に接触させて電子写真感光体を帯電させる装置が使用可能である。
【0197】
静電潜像形成工程は、露光手段として公知の露光装置が使用できる。例えば、光源は半導体レーザまたは発光ダイオードが用いられ、ポリゴンミラー、レンズ、ミラーから成る走査光学系ユニットを用いることができる。
【0198】
静電潜像を形成できる領域には、主走査方向の領域と副走査方向の領域がある。感光体上における主走査方向の領域は、感光体の回転軸に平行な方向におけるレーザビーム照射開始可能位置からレーザビーム照射終了位置までの領域である。また、感光体表面上における副走査方向の領域は、画像データ1ページ分における最初の主走査ラインの照射可能位置から最終の主走査ラインの照射可能位置までの領域である。
【0199】
静電潜像形成工程について具体的に説明する。まずは、光源である半導体レーザからレーザビームを回転するポリゴンミラーに照射する。そして、周期的に偏向して反射されるレーザビームを走査レンズによって集束させて、副走査方向に回転する感光体上を副走査方向と直交する主走査方向に反復走査することで、感光体上に静電潜像の露光を行う。
【0200】
現像工程は、主としてキャリアが不要な一成分系接触現像方法とトナーとキャリアを有する二成分系現像方法に分けられるが、いずれも使用可能である。本発明においては、二成分系現像方法を好ましく用いる。
【0201】
二成分系現像方法としては、磁石を内包した現像剤担持体(現像スリーブ)上に非磁性トナーと磁性キャリアを有する二成分系現像剤の磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを現像剤層厚規制部材により所定の層厚にコートした後、感光体に対向する現像領域へと搬送し、該現像領域においては、感光体と現像スリーブの間に所定の現像バイアスを印加しながら、該磁気ブラシを感光体表面に近接/又は接触させることによって、上記静電潜像をトナー像として顕像化する方法である。
【0202】
このような二成分系現像剤に使用できる磁性キャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、あるいは磁性微粒子をバインダー樹脂中に分散した磁性微粒子分散型樹脂キャリア等が挙げられる。鉄粉キャリアにおいては、キャリア自身の比抵抗が低いために、静電潜像の電荷がキャリアを通してリークしてしまい、静電潜像を乱すことから画像欠陥を生じてしまう場合がある。又、フェライトキャリアにおいては、キャリア自身の比抵抗は比較的高いものの、大きな飽和磁化を有しているために磁気ブラシが剛直となりやすく、トナー画像に磁気ブラシのはき目ムラを生じてしまう場合がある。そのため、低比重なポーラス状のフェライトキャリアや、磁性微粒子をバインダー樹脂中に分散した磁性微粒子分散型樹脂キャリアが好適に用いられる。低比重なポーラス状のフェライトキャリアや磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、従来のフェライトキャリアよりも比抵抗が比較的に高く、且つ飽和磁化も小さく、真比重も小さくなることから、静電潜像の電荷リークを防止するとともに、磁気ブラシも剛直になることがないので、画像欠陥やはき目ムラのない良好なトナー画像を形成することができるという点で好ましい。
【0203】
また、低比重なポーラス状のフェライトキャリアや磁性微粒子分散型樹脂キャリア表面には樹脂被覆層を有してもよい。樹脂被覆層を構成する材料としては、少なくとも結着樹脂を有していればよいが、抵抗調整剤としての導電性微粒子や凹凸を形成するための微粒子、トナーへの帯電付与性を有する帯電制御材等の添加剤を含有してもよい。更には、キャリア表面と樹脂被覆層との密着性を高めるために、カップリング剤等で処理されていてもよい。
【0204】
転写工程は、コロナ転写手段のように、感光体に対して非接触で感光体表面のトナー像を転写材に転写させる方法や、ローラや無端状ベルトの転写部材を感光体に接触させて感光体表面のトナー像を転写材に転写させる方法が有り、いずれも使用可能である。
【0205】
また、本発明の画像形成方法においては、図8に示したように、転写後で帯電工程の前に感光体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程7を更に含んでもよい。クリーニング工程7においては、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等の公知の方法があるが、いずれも使用可能である。
【0206】
また、本発明の画像形成方法においては、図9に示したように、転写後で帯電工程の前に感光体上の転写残トナーを均し、現像時の転写残トナーの回収率を向上させるために、転写残トナーの帯電極性の均一化を目的として、バイアス印加手段を有する均し工程8を更に含んでもよい。
【0207】
均し工程8においては、トナーが負帯電性の場合は、転写残トナーを負帯電させるバイアスを印加させることにより、帯電工程での帯電部材への転写残トナーの付着が軽減できるため好ましい。これにより、現像時における転写残トナーの回収率が向上する。また、均し部材としては、ブラシ状のものが好ましく用いられる。更にこのような均し部材は、複数個設けることにより、帯電部材のへの転写残トナーの付着の軽減や、現像時における転写残トナーの回収率が高まるため好ましい。
【0208】
定着工程は、従来の一対のローラからなるハードローラ系の定着装置や、図2に示したような近年の画像形成装置の高速化や省エネ化に対応した軽圧定着システムを用いたベルト定着装置など、いずれの定着装置も使用可能である。本発明においては、画像形成装置の高速化や省エネ化、記録材の多様化の観点から、ベルト定着を例にとって説明していく。
【0209】
ベルト定着等の軽圧定着システムは、熱容量が小さいことから、定着設定温度(温調温度)への到達時間を短縮でき、クイックスタートに優れる。また、従来のハードローラ系のような肉厚の金属部品や複数のヒータ類を使用しないことから、定着器自体を小型化・軽量化できるという利点を有する。
【0210】
またベルト定着は、ニップを形成する少なくとも一方の部材が無端状ベルトであることから、幅広の定着ニップ幅(ワイドニップ)を容易に形成できるので、記録材の加熱時間を多くすることができ、高速定着に有利であるといえる。また高グロス、高彩度といった面でも有利であるといえる。これに対し、従来のハードローラ系は、ニップを幅広く形成するためには、弾性層を厚くする必要があるため、熱容量が大きくなり省エネの観点から不利であるといえる。そのため、弾性層を厚くすること無く、ワイドニップを容易に形成できるベルト定着は、熱容量も小さく、高速化及び省エネ化を両立できる定着方式として、本発明において好ましく用いられる。
【0211】
一方で、上記したベルト定着においては、ワイドニップを形成できる反面、連続複写による定着温度低下が生じやすく、ニップ部における定着温度分布も不均一となりやすい。また、ニップ部における定着圧分布も付近一となりやすい。ベルト定着において加圧力を大きくすると、ベルトを駆動する回転体に対してベルトがスリップしたり、ベルトを張架しているローラの左右にベルトが寄り移動したりするため、加圧力を小さくしなければならない。このように、ベルトにおける「加圧力」に関しては、ハードローラ系に比べて軽圧となってしまう傾向がある。
【0212】
しかし、本発明のトナーを用いることで、このような近年の高速化、省エネ化に優れた軽圧定着システムの上記した懸念点は解決されるものである。
【0213】
また、本発明の画像形成方法を用いたフルカラー画像形成装置の一例を図10に示す。図中のPK、PY、PC、PMの並びや回転方向を示す矢印は何らこれに限定されるものではない。図10において、静電潜像担持体である電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mは図中矢印方向に回転する。各感光体は帯電手段である帯電装置2K、2Y、2C、2Mにより帯電され、帯電した各感光体表面には、静電潜像形成手段である露光装置3K、3Y、3C、3Mによりレーザー光Lを投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置10K、10Y、10C、10Mにより静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置19K、19Y、19C、19Mにより転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置12により加熱定着され、画像として出力される。ここで、17K、17Y、17C、17Mは現像剤担持体であり、13は転写ベルト、14及び15は転写ベルトの駆動部材を示す。
【0214】
以下に、本発明に関わる測定方法について詳細に述べる。
【0215】
<単位濃度あたりのトナー吸光度A/C測定>
トナーを10mg秤量し、ピペットでクロロホルム10ml加え溶解する。さらに、5倍に希釈し、約0.2mg/mlのクロロホルム溶液として、紫外可視外分光光度測定用試料とした。測定には、紫外可視外分光光度計V−500V(日本分光株式会社製)を用い、光路長10mm幅となる石英セルを用い波長350nm〜800nmの範囲で吸光度を測定した。シアントナーは波長712nm、マゼンタトナーは、538nm、イエロートナーは、422nmにおける吸光度を読み取り、クロロホルム溶液のトナー濃度で除し、単位濃度あたりの吸光度A/Cを算出した。
【0216】
<粉体状態のトナーのL*及びC*>
粉体状態のトナーにおけるL*及びC*は、JIS Z−8722に準拠する分光式色差計「SE−2000」(日本電色工業社製)を用い、光源はD50光源2度視野で測定した。測定は付属の取り扱い説明書に沿って行ったが、標準板の標準合わせには、オプションの粉体測定用セル内に2mm厚でΦ30mmのガラスを介した状態で行った。より詳しくは、前記分光式色差計の粉体試料用試料台(アタッチメント)上に、試料粉体を充填したセルを設置した状態で測定を行った。尚、セルを粉体試料用試料台に設置する以前に、セル内の内容積に対して80%以上粉体試料を充填し、振動台上で1回/秒の振動を30秒間加えた上で測定した。
【0217】
<磁性キャリアの真比重測定>
真比重の測定法としては、ヘリウムによるガス置換式の測定法を用いた。測定装置はアキュピック1330(島津製作所社製)を用いた。測定条件は、ステンレス製の内径18.5mm,長さ39.5mm,容量10cm3のセルに、測定サンプルを4g入れる。次いで、試料セル中のサンプルの容積をヘリウムの圧力変化によって測定し、求められた容積とサンプルの重さから真比重を求める。
【0218】
<二成分系現像剤の圧縮抵抗>
トナー8質量部、磁性キャリア92質量部の割合で混合し現像剤とした。この現像剤を用いて、23℃、50%RH下で圧縮時の体積抵抗を測定した。測定には、高抵抗率測定器ハイレスタ(三菱油化製)と粉体抵抗測定冶具を用いて、40kPa及び200kPaの圧縮下、直流電圧を100V印加して測定し、二成分系現像剤の圧縮抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0219】
<トナー用無機微粒子、キャリア被覆用樹脂組成物に用いる添加粒子の体積抵抗値測定>
トナー用無機微粒子、キャリア被覆用樹脂組成物に用いる添加粒子の体積抵抗の測定には、1.0×105Ω・cm未満の粒子に関しては低抵抗率測定器ロレスタ(三菱油化製)、1.0×105Ω・cm以上の粒子に関しては高抵抗率測定器ハイレスタ(三菱油化製)を用いて行った。
【0220】
<現像剤の23℃、50%RH下でのトナー帯電量>
トナー8質量部、磁性キャリア92質量部の割合で混合し現像剤とした。この現像剤を用いて、23℃、50%RH下でのトナー帯電量を測定した。測定には帯電量測定装置(三共パイオテク製)を用いて測定し、現像剤の23℃、50%RH下でのトナー帯電量(mC/kg)を求めた。
【0221】
<キャリアの動的抵抗>
磁性キャリアを400g用意し、清掃したキヤノン(株)社製CLC5000現像器に磁性キャリアを入れ、現像剤担持体である現像ローラ上(アルミ製24.5φ)のキャリア量が30mg/cm2になるように、現像ローラと規制ブレードの間隔を調整した。現像ローラ対向に60φのアルミシリンダ(軸方向長さ358mm)をセットし、現像ローラとシリンダの間隔が400μmになるように調整した。アルミシリンダは周方向に200mm/sの速度で、現像シリンダはアルミシリンダと順方向に360mm/sの速度で回転させた。なお、アルミシリンダはグランド(電位0V)に設置し、現像ローラに直流で、+50Vから+1000Vまでの電圧を加え、流れる電流値より磁性キャリアの動的抵抗を求めた。
【0222】
<キャリア構成材料の平均粒径測定>
粒度分布測定は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)にて測定を行った。平均粒径としては、個数平均粒径D1(μm)を求めた。
【0223】
<フェライトキャリアコアのかさ密度測定>
JISZ 2504に従いかさ密度を測定した。
【0224】
<フェライトキャリアコアの真密度測定>
磁性キャリアの真比重は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス社製)により測定した。
セル SMセル(10mL)
サンプル量 2.0g
【0225】
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真密度を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガスを用いるため、微細孔への精度が高い。
【0226】
<キャリアコア及び磁性キャリアの粒度分布測定>
粒度分布測定は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)にて測定を行った。測定には、乾式測定用のリニアドライフィーダMarkIIを装着して行った。粒径は体積平均粒径D4(μm)を求めた。
【0227】
<トナー用結着樹脂及びキャリア被覆用樹脂の分子量測定>
樹脂の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に測定し、測定には、HLC−8120GPC(東ソー社製)を用いた。
【0228】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.5質量%に調整したコート樹脂のTHF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0229】
カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
【0230】
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
【0231】
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
【0232】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
【0233】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【0234】
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
【0235】
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
【0236】
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
C=2×√(π×S)/L
【0237】
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.2〜1.0の範囲を800分割し、測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行っている。
【0238】
<BET比表面積の測定>
BET比表面積は、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて、BET法に従って、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出した。
【0239】
<トナーの粒度分布測定>
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、約1%NaCl水溶液を用いる。電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製された電解液や、例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0240】
測定方法としては、前記電解水溶液100ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、1mlを加え、さらに測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記測定装置により、試料の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布とを算出する。得られたこれらの分布から、試料の重量平均粒径(D4)を求める。チャンネルとしては、2.00乃至2.52μm;2.52乃至3.17μm;3.17乃至4.00μm;4.00乃至5.04μm;5.04乃至6.35μm;6.35乃至8.00μm;8.00乃至10.08μm;10.08乃至12.70μm;12.70乃至16.00μm;16.00乃至20.20μm;20.20乃至25.40μm;25.40乃至32.00μm;32乃至40.30μmの13チャンネルを用いる。
【実施例】
【0241】
以下、具体的製造例及び実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0242】
<トナー用結着樹脂(B−1)の製造例>
ビニル系共重合体の材料として、スチレン5質量部、2−エチルヘキシルアクリレート2.5質量部、フマル酸1質量部、α−メチルスチレンの2量体2.5質量部にジクミルパーオキサイドを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20質量部、テレフタル酸10質量部、無水トリメリット酸5質量部、フマル酸24質量部及び無機錫をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系共重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、3時間反応を進め、トナー用結着樹脂である(B−1)を得た。得られたトナー用結着樹脂(B−1)のピーク分子量(Mp)は4500、Mw/Mnは28、Tgは57.5℃であった。
【0243】
<マスターバッチ製造例1>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Pc−1)を作製した。
【0244】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 40質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Pc−1)を得た。
【0245】
<マスターバッチ製造例2>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Pm−1)を作製した。
【0246】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
C.I.ピグメントレッド57 20質量部
C.I.ピグメントレッド122 20質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Pm−1)を得た。
【0247】
<マスターバッチ製造例3>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Py−1)を作製した。
【0248】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
C.I.ピグメントイエロー74 40質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Py−1)を得た。
【0249】
<マスターバッチ製造例4>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Pk−1)を作製した。
【0250】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
カーボンブラック(平均粒径40nm、DBP吸油量140mg/100g)
40質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Pk−1)を得た。
【0251】
<荷電制御樹脂の製造例1>
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にイソプロピルアルコール286質量部を仕込み、スチレン810質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量部、イソプロピルアルコール401質量部及び水2575質量部の混合懸濁溶液と、メチルエチルケトン755質量部、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)35質量部の混合溶液とを78℃で2時間かけて同時に滴下して重合した。更に、同一温度にて4時間熟成した後、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを蒸留除去した後、固液分離を行い、乾燥することで荷電制御樹脂(C−2)を得た。
【0252】
<シアントナー製造例1>
下記に示す材料及び製法を用いてシアントナー1を作製した。
【0253】
トナー用結着樹脂(B−1) 91.9質量部
マスターバッチ(Pc−1) 13.5質量部
ノルマルパラフィンワックス(W−1:融点75℃) 5質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(C−1) 1.5質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、機械式粉砕機(ターボミル、ターボ工業製)を用いて微粉砕した。粉砕条件としては、回転子の回転数を120s-1として粉砕処理した。
【0254】
次に、得られた微粉砕物を表面改質処理装置(ファカルティ、ホソカワミクロン製)を用い、分級ローター回転数120s-1で微粒子を除去しながら、分散ローター回転数100s-1(回転周速を130m/sec)で60秒間表面処理を行ってトナー粒子を得た。
【0255】
そして得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積88m2/g、体積抵抗値1.5×106Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した。その後、更にBET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量部、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、5分間混合してシアントナー1を得た。得られたシアントナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0256】
<シアントナー製造例2>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー2を得た。得られたシアントナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0257】
<シアントナー製造例3>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー3を得た。得られたシアントナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0258】
<シアントナー製造例4>
シアントナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部添加した以外は、シアントナー製造例3と同様にしてシアントナー4を得た。得られたシアントナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0259】
<シアントナー製造例5>
シアントナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、シアントナー製造例4と同様にしてシアントナー5を得た。得られたシアントナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0260】
<シアントナー製造例6>
シアントナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、シアントナー製造例3と同様にしてシアントナー6を得た。得られたシアントナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0261】
<シアントナー製造例7>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー7を得た。得られたシアントナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0262】
<シアントナー製造例8>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー8を得た。得られたシアントナー8の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0263】
<シアントナー製造例9>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー9を得た。得られたシアントナー9の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0264】
<シアントナー製造例10>
下記に示す材料及び製法を用いてシアントナー10を作製した。
【0265】
トナー用結着樹脂(B−1) 100質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 4.5質量部
ノルマルパラフィンワックス(W−1:融点75℃) 5質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(C−1) 1.5質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、機械式粉砕機(ターボミル、ターボ工業製)を用いて微粉砕した。粉砕条件としては、回転子の回転数を120s-1として粉砕処理した。
【0266】
次に、得られた微粉砕物を風力分級機(エルボジェットプロ、日鉄鉱業製)を用いて分級しトナー粒子を得た。
【0267】
そして得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合してシアントナー10を得た。得られたシアントナー10の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0268】
<シアントナー製造例11>
シアントナー製造例10において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例10と同様にしてシアントナー11を得た。得られたシアントナー11の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0269】
<マゼンタトナー製造例1>
シアントナー製造例1において、マスターバッチ(Pc−1)をマスターバッチ(Pm−1)に変更し、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー1を得た。得られたマゼンタトナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0270】
<マゼンタトナー製造例2>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー2を得た。得られたマゼンタトナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0271】
<マゼンタトナー製造例3>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー3を得た。得られたマゼンタトナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0272】
<マゼンタトナー製造例4>
マゼンタトナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(c−2)を0.5質量部添加した以外は、マゼンタトナー製造例3と同様にしてマゼンタトナー4を得た。得られたマゼンタトナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0273】
<マゼンタトナー製造例5>
マゼンタトナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(c−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、マゼンタトナー製造例4と同様にしてマゼンタトナー5を得た。得られたマゼンタトナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0274】
<マゼンタトナー製造例6>
マゼンタトナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、マゼンタトナー製造例3と同様にしてマゼンタトナー6を得た。得られたマゼンタトナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0275】
<マゼンタトナー製造例7>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー7を得た。得られたマゼンタトナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0276】
<マゼンタトナー製造例8>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー8を得た。得られたマゼンタトナー8の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0277】
<イエロートナー製造例1>
シアントナー製造例1において、マスターバッチ(Pc−1)をマスターバッチ(Py−1)に変更し、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてイエロートナー1を得た。得られたイエロートナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0278】
<イエロートナー製造例2>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー2を得た。得られたイエロートナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0279】
<イエロートナー製造例3>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー3を得た。得られたイエロートナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0280】
<イエロートナー製造例4>
イエロートナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部添加した以外は、イエロートナー製造例3と同様にしてイエロートナー4を得た。得られたイエロートナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0281】
<イエロートナー製造例5>
イエロートナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、イエロートナー製造例4と同様にしてイエロートナー5を得た。得られたイエロートナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0282】
<イエロートナー製造例6>
イエロートナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、イエロートナー製造例3と同様にしてイエロートナー6を得た。得られたイエロートナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0283】
<イエロートナー製造例7>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー7を得た。得られたイエロートナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0284】
<イエロートナー製造例8>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー8を得た。得られたイエロートナー8の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0285】
<ブラックトナー製造例1>
シアントナー製造例1において、マスターバッチ(Pc−1)をマスターバッチ(Pk−1)に変更し、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてブラックトナー1を得た。得られたブラックトナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0286】
<ブラックトナー製造例2>
ブラックトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、ブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー2を得た。得られたブラックトナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0287】
<ブラックトナー製造例3>
ブラックトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、ブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー3を得た。得られたブラックトナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0288】
<ブラックトナー製造例4>
ブラックトナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部添加した以外は、ブラックトナー製造例3と同様にしてブラックトナー4を得た。得られたブラックトナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0289】
<ブラックトナー製造例5>
ブラックトナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、ブラックトナー製造例4と同様にしてブラックトナー5を得た。得られたブラックトナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0290】
<ブラックトナー製造例6>
ブラックトナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、ブラックトナー製造例3と同様にしてブラックトナー6を得た。得られたブラックトナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0291】
<ブラックトナー製造例7>
ブラックトナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、ブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー7を得た。得られたブラックトナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0292】
【表1】
【0293】
【表2】
【0294】
【表3】
【0295】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例1>
下記に示す材料を用いて磁性体分散型樹脂キャリアコア1を作製した。
【0296】
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液(33質量%水溶液) 15質量部
シランカップリング処理したマグネタイト粒子 85質量部
(平均粒径0.30μm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗2.5×105Ω・cm)
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、1.8m/secの周速で撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、マグネタイト粒子が分散された状態の磁性体分散型樹脂キャリアコア1を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア1の構成を表4に示す。
【0297】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例2>
磁性体分散型樹脂キャリアコアの製造例1において、マグネタイト粒子の添加量を85質量部から77質量部に変更し、更に平均粒径0.20μmのヘマタイト粒子を8質量部添加した以外は、磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例1と同様にして、磁性体分散型樹脂キャリアコア2を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア2の構成を表4に示す。
【0298】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例3>
磁性体分散型樹脂キャリアコアの製造例1において、マグネタイト粒子の添加量を85質量部から60質量部に変更し、更に平均粒径0.20μmのヘマタイト粒子を25質量部添加した以外は、磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例1と同様にして、磁性体分散型樹脂キャリアコア3を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア3の構成を表4に示す。
【0299】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例4>
下記に示す材料を用いて磁性体分散型樹脂キャリアコア4を作製した。
【0300】
スチレン−アクリル樹脂 25質量部
シランカップリング処理したマグネタイト粒子 75質量部
(平均粒径0.20μm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗2.5×105Ω・cm)
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−20型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、得られた粗砕物を、気流式粉砕機(I−2型、日本ニューマチック製)を用いて微粉砕した。次に、得られた微粉砕物を風力分級機(エルボジェットプロ、日鉄鉱業製)を用いて分級し、ハイブリタイザー(奈良機械製)を用いて表面改質処理を行うことにより磁性体分散型樹脂キャリアコア4を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア4の構成を表4に示す。
【0301】
【表4】
【0302】
<フェライトキャリアコア製造例1>
Fe2O3;66.0質量%、MnO;28.0質量%、MgO;5.0質量%、SrO;1.0質量%となるように秤量し水を加えてボールミルで湿式混合した。この混合物を、乾燥、粉砕した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をクラッシャーミルで粉砕した。得られた粉砕物に水を加え湿式ボールミルで0.4μm程度に微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
【0303】
得られたフェライトスラリーに、空孔形成剤としてポリエステル微粒子(平均粒径2.0μm)を5%、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量%添加し、スプレードライヤーにより造粒した。
【0304】
得られた造粒物を、電気炉にて、酸素ガス濃度1.0%の窒素ガス雰囲気下にて1200℃で4時間焼成した後、窒素雰囲気下にて30分焼成した。その後、さらに分級することによりMn−Mg−Srフェライトのポーラス状のフェライトキャリアコア1を得た。得られたフェライトキャリアコア1の構成を表5に示す。
【0305】
<フェライトキャリアコア製造例2>
フェライトキャリアコア製造例1において、ポリエステル微粒子の添加量を5%から10%に変更するとともに、ポリビニルアルコールの添加量を2%から4%に変更した以外は、フェライトキャリアコア製造例1と同様にしてポーラス状のフェライトキャリアコア2を得た。得られたフェライトキャリアコア2の構成を表5に示す。
【0306】
<フェライトキャリアコア製造例3>
Fe2O3;74.0質量%、LiO;22.0質量%、MgO;4.0質量%となるように秤量し水を加えてボールミルで湿式混合した。この混合物を、乾燥、粉砕した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をクラッシャーミルで粉砕した。得られた粉砕物に水を加え湿式ボールミルで0.4μm程度に微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
【0307】
得られたフェライトスラリーに、空孔形成剤としてCaCO3(平均粒径2.0μm)を5質量%、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量%添加し、スプレードライヤーにより造粒した。
【0308】
得られた造粒物を、電気炉にて、酸素ガス濃度1.0%の窒素ガス雰囲気下にて1200℃で4時間焼成した後、窒素雰囲気下にて30分焼成した。その後、さらに分級することによりLi−Mg−Caフェライトのポーラス状のフェライトキャリアコア3を得た。得られたフェライトキャリアコア3の構成を表5に示す。
【0309】
<フェライトキャリアコア製造例4>
Fe2O3;75.0質量%、ZnO;15.0質量%、CuO;10.0質量%となるように秤量し水を加えてボールミルで湿式混合した。この混合物を、乾燥、粉砕した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をクラッシャーミルで粉砕した。得られた粉砕物に水を加え湿式ボールミルで0.4μm程度に微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
【0310】
得られたフェライトスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量%添加し、スプレードライヤーにより造粒した。
【0311】
得られた造粒物を、電気炉にて、窒素ガス雰囲気下にて1000℃で8時間焼成した後、さらに分級することによりCu−Znフェライトのフェライトキャリアコア4を得た。得られたフェライトキャリアコア4の構成を表5に示す。
【0312】
【表5】
【0313】
<被覆用樹脂組成物の製造例1>
次にキャリアコア表面に被覆する樹脂組成物1を作製した。
【0314】
下記式
【0315】
【化6】
で示される構造を有する一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメタクリル酸メチルマクロマー(式中のnは繰り返し回数を示す)10質量部、メタクリル酸メチルモノマー90質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、グラフト共重合体溶液を得た。
【0316】
この溶液の固形分100質量部に対して、平均粒径32nm、体積抵抗5.5×10-4Ω・cmの導電性カーボンブラックを10質量部、及びメチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体のトルエン溶液を50質量部(固形分20%)、平均粒径0.25μm、体積抵抗3.3×1011Ω・cmのメラミン粒子を10質量部を添加し、ビーズミルにて分散を行い、樹脂組成物1を得た。得られた樹脂組成物1の構成を表6に示す。
【0317】
<被覆用樹脂組成物の製造例2>
ストレートシリコーンを20質量%と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部、及びトルエン79.5質量部を混合し、樹脂組成物2を得た。
【0318】
<被覆用樹脂組成物の製造例3>
被覆樹脂組成物の製造例1において、グラフト共重合体溶液を樹脂組成物2に変更した以外は、被覆用樹脂組成物の製造例1と同様にして樹脂組成物3を得た。得られた樹脂組成物3の構成を表6に示す。
【0319】
【表6】
【0320】
<磁性キャリア製造例1>
続いて、流動層コーティング装置(スパイラフロー、フロイント産業(株)製)を用いて、磁性体分散型樹脂キャリアコア100質量部を80℃にて流動させながら、樹脂組成物1を固形分で1.5質量部をスプレーノズルにて吹き付けた。その後、流動させながら溶媒を100℃で揮発、乾燥させて、コア表面へのコートを行った。このコートされた磁性体分散型樹脂キャリアを目開き75μmの篩で分級して、真比重3.5g/cm3、動的抵抗値8.8×105Ω・cmの磁性キャリア1を得た。得られた磁性キャリア1の構成を表7に示す。
【0321】
<磁性キャリア製造例2乃至4>
磁性キャリア製造例1において、磁性体分散型樹脂キャリアコア1を磁性体分散型樹脂キャリアコア2乃至4に変更した以外は、磁性キャリア製造例1と同様にして磁性キャリア2乃至4を得た。得られた磁性キャリア2乃至4の構成を表7に示す。
【0322】
<磁性キャリア製造例5>
フェライトキャリアコア1に対して樹脂組成物2が固形分で15質量%になるように樹脂被覆層(下層)のコートを行った。樹脂被覆層(下層)のコートには、万能混合撹拌機(不二パウダル製)を用いて80℃に加熱し減圧しながら行った。尚、樹脂組成物1は、0分、30分、60分、90分の4回に分けて投入し、その後90分撹拌した。
【0323】
続いて、流動層コーティング装置(スパイラフロー、フロイント産業(株)製)を用いて、磁性体分散型樹脂キャリアコア100質量部を80℃にて流動させながら、樹脂組成物3を固形分で1.0質量部スプレーノズルにて吹き付け、その後、流動させながら溶媒を120℃で揮発、乾燥させて、コア表面への樹脂被覆層(上層)の形成を行い、このコートされた磁性体分散型樹脂キャリアを目開き75μmの篩で分級して、真比重4.0g/cm3、動的抵抗値5.5×106Ω・cmの磁性キャリア5を得た。得られた磁性キャリア5の構成を表7に示す。
【0324】
<磁性キャリア製造例6及び7>
磁性キャリア製造例5において、フェライトキャリアコア1をフェライトキャリアコア2及び3に変更するとともに、樹脂被覆層(下層)のコート量を表7に示したように変更した以外は、磁性キャリア製造例5と同様にして磁性キャリア6及び7を得た。得られた磁性キャリア6及び7の構成を表7に示す。
【0325】
<磁性キャリア製造例8>
磁性キャリア製造例5において、フェライトキャリアコア1をフェライトキャリアコア4に変更し、樹脂被覆層(下層)のコートを行わなかった以外は、磁性キャリア製造例5と同様にして磁性キャリア8を得た。得られた磁性キャリア8の構成を表7に示す。
【0326】
【表7】
【0327】
<実施例1>
まず、初期現像剤の作製を行った。磁性キャリア1を92質量部、シアントナー1を8質量部加え、V型混合機により混合し初期現像剤とした。
【0328】
次に補給用現像剤の作製を行った。磁性キャリア1を8質量部、シアントナー1を92質量部加え、V型混合機により混合し補給用現像剤とした。
【0329】
初期現像剤の40kPaの圧縮下での直流電圧100V印加時における体積抵抗率は8.9×1012Ω・cm、200kPaの圧縮下での直流電圧100V印加時における体積抵抗率は5.5×107Ω・cmであった。また、初期現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナー帯電量の絶対値は、81mC/kgであった。現像剤の構成を表8に示す。
【0330】
次に現像性の評価を行った。現像性評価としては、キヤノン製フルカラー複写機IRC3220N改造機を用いた。改造としては、プロセススピードを300mm/sとし、70枚/分を出力し得る複写機とした。また、現像器に関しても現像剤を排出するための排出口を設けた。
【0331】
現像性評価としては、常温常湿下N/N(23℃,50%RH)、常温低湿下N/L(23℃,5%RH)、高温高湿下H/H(30℃,80%RH)のいずれかで、画像としては画像比率10%のA4チャートを用いて画出し・評価を行った。尚、評価項目と評価基準については、下記に示した。
【0332】
<評価項目>
[Dmax1.6の載り量(mg/cm2)]
N/N環境下において、紙上の単色ベタの反射濃度(Dmax)が1.6となるように現像バイアスを調整した。その際の紙上の載り量(mg/cm2)を求めた。尚、反射濃度(Dmax)は、濃度計X−Rite500型により6点濃度測定を行い、6点の最高値を反射濃度(Dmax)とした。
【0333】
[Dmax1.6の電界強度(kV/cm)]
N/N環境下において、紙上の単色ベタの反射濃度(Dmax)が1.6となるように現像バイアスを調整した。その際の現像バイアスから下記式により電界強度(kV/cm)を求めた。
電界強度(kV/cm)=(Vpp/2+Vcont)/SDgap
(Vpp:AC成分のピークtoピーク電位(V)、Vcont:DC成分の現像コントラスト電位(V)、SDgap:現像スリーブ−感光ドラム間距離(cm))
【0334】
[各環境下におけるQ/S変動]
N/N、N/L、H/H各環境下において、感光ドラム上の単位面積あたりのトナー帯電量Q/S(nC/cm2)を初期と2万枚耐久後に求め、下記の指標で評価した。尚、単位面積あたりのトナー帯電量Q/Sの測定は、感光ドラム上に現像されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Qと、トナーを吸引した面積Sから、単位面積あたりのトナー帯電量Q/S(nC/cm2)とした。
A:初期と2万枚後のQ/Sの差が、3.0nC/cm2未満。
B:初期と2万枚後のQ/Sの差が、3.0nC/cm2以上5.0nC/cm2未満。
C:初期と2万枚後のQ/Sの差が、5.0nC/cm2以上8.0nC/cm2未満(実用下限レベル)。
D:初期と2万枚後のQ/Sの差が、8.0nC/cm2以上12.0nC/cm2未満(実用不可レベル)。
E:初期と2万枚後のQ/Sの差が、12.0nC/cm2以上。
【0335】
[各環境下におけるΔE]
N/N、N/L、H/H各環境下において、耐久前に紙上へのトナーの載り量を0.40mg/cm2となるように現像バイアスを調整した。その現像条件で、画像面積100%のベタ画像(3cm×3cm)を400線で画出しを行った。また、耐久後に耐久前と同じ現像条件で画像面積100%のベタ画像を画出しした。
【0336】
色再現性は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき、耐久前後のベタ画像との色差(ΔE)を以下の通り定量的に評価し、以下の評価基準にて評価した。
ΔE={(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)2}1/2
[L1*耐久前画像の明度
a1*,b1*:耐久前画像の色相と彩度を示す色度
L2*:耐久後画像の明度
a2*,b2*:耐久後画像の色相と彩度を示す色度]
A:色差が、0.0以上1.5未満。
B:色差が、1.5以上3.0未満。
C:色差が、3.0以上5.0未満(実用下限レベル)。
D:色差が、5.0以上7.0未満(実用不可レベル)。
E:色差が、7.0以上。
【0337】
[各環境下における現像剤劣化]
N/N、N/L、H/H各環境下において、耐久前と耐久後の現像剤を5g程度サンプリングし、トナーとキャリアの分離を行った。現像剤の分離には、電界分離式帯電量測定装置を用いた。現像剤劣化は分離したトナーとキャリアを用いて以下の通り定量的に評価し、以下の評価基準にて評価した。尚、トナー帯電量はE−Spartアナライザー(ホソカワミクロン製)を用いて測定した。
現像剤劣化={(耐久前トナー+耐久後キャリア)現像剤でのトナー帯電量}−{(耐久後トナー+耐久前キャリア)現像剤でのトナー帯電量}
A:現像剤劣化の絶対値が、3.0mC/kg未満。
B:現像剤劣化の絶対値が、3.0mC/kg以上、5.0mC/kg未満。
C:現像剤劣化の絶対値が、5.0mC/kg以上、8.0mC/kg未満(実用下限レベル)。
D:現像剤劣化の絶対値が、8.0mC/kg以上、12.0mC/kg未満(実用不可レベル)。
E:現像剤劣化の絶対値が、12.0mC/kg以上。
【0338】
<実施例2乃至33、比較例1乃至9>
実施例1において、初期現像剤及び補給用現像剤を表8に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして初期現像剤及び補給用現像剤を作製し、各評価を行った。得られた現像剤の構成を表8、現像性の評価結果を表9に示す。
【0339】
【表8】
【0340】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【0341】
【図1】従来トナーのγ特性を示す模式図である。
【図2】従来トナーと着色力upトナーのγ特性を示す模式図である。
【図3】着色力の高いトナーの飽和画像濃度の推移を示す模式図である。
【図4】本発明に用いられる着色力の高いトナーのγ特性を示す模式図である。
【図5】CIELABのa*b*平面の従来トナーと着色力の高いトナーの色相のプロファイルを示す模式図である。
【図6】本発明の二成分系現像剤の高帯電/高現像性の良好な範囲を示す圧縮抵抗プロファイルを示す模式図である。
【図7】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図9】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成方法を用いたフルカラー画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図11】本発明に用いられるトナーの製造装置の一例を示す模式図である。
【図12】本発明に用いられるトナーの製造装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0342】
1 電子写真感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 定着装置
7 クリーニング装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法において、電子写真感光体、或いは静電記録誘導体等の静電潜像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤で現像して、静電潜像担持体上にトナー像を形成する現像方法に用いられる二成分系現像剤、補給用現像剤、及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真法を用いた画像形成装置においては、オフィスユース、パーソナルユース、グラフィック市場や軽印刷市場等いずれの市場においても、クイックスタートや省エネに優れた画像形成システムが広く望まれている。
【0003】
電子写真法を用いた画像形成システムのこれらの市場への適用を考えた場合には、高速、高画質、低ランニングコストという3つの基本要素に加え、さらには色味安定性を改善していく必要がある。このことから、トナーに望まれる性能としては、色域再現範囲を狭めることなく、従来以上に高画質、高精細画像を達成し、トナー消費量を低減することが必須である。さらには、定着エネルギーを低減し、クイックスタートや省エネに対応していく必要がある。
【0004】
これらに対して、トナー載り量を0.35mg/cm2以下にし、トナー消費量を低減しながら、定着時に発生する不具合(ブリスターなど)を抑制し、安定して広色再現範囲を有する高画質・高品位のカラー画像を形成するという提案がある(特許文献1)。この提案によれば、画像荒れが少ない、定着性に優れ、安定して広色再現範囲を有する高画質・高品位のカラー画像を形成可能とされる。この提案は、定着特性について一定の効果が期待できるが、着色剤の量を増やしたトナー粒子を有するトナーで従来の電子写真システムに使用すると、画像の彩度低下や色域が狭くなることがある。着色剤の量を増やした結果、着色剤の分散性が低下し、色相が変化し、画像の彩度が低下し色域が狭くなったためと推察される。
【0005】
トナー粒子に含有される着色剤の量を増やすと、長期使用時に濃度安定性や階調性が低下しやすい。横軸に電位、縦軸に濃度をとると、従来トナーでは、図1の曲線Aのようなγ特性となる。しかしながら、着色剤量を増やしたところ、記録紙上に従来よりも少ないトナー載り量で濃度が出せるようになり、従来よりも狭い現像コントラストの電位で階調を形成することになる。このとき、図1の曲線Bのようなγ特性となり、γ特性が急峻となり、高い階調性を得ることが困難になる場合がある。また、γ特性が急峻であるために、電位の変動による画像濃度の変化が従来トナーに比較して大きくなり、画像濃度の安定性が低下することもある。今日の市場では、幅広い階調性が得られること、色味安定性は必須条件となっており、少ないトナーの載り量であってもγ特性が緩やかな傾きとなるようにして現像する必要がある。着色剤の含有量を上げたトナーを用いて、従来と同じ現像コントラスト電位で階調を形成するには、トナーの摩擦帯電量を上げていくことがひとつの解となる。上記提案では、トナーの摩擦帯電量には言及されておらず、また、摩擦帯電量を積極的に制御している様子は認められない。
【0006】
しかし、トナーの摩擦帯電量を上げていくと、キャリアや感光体の表面との静電的付着力が大きくなるため現像性や転写性が低下し、画像濃度の低下が起こることがある。そこで、トナー帯電量とトナーとキャリアとの付着力の関係を規定した提案がある(特許文献2)。この提案によれば、トナー帯電量と付着力を所定の範囲にすることで、画像不良のない高画質な画像形成が可能とされる。しかし、トナーの消費量を低減することが可能な着色剤の含有量が多いトナーに要求されるような摩擦帯電量の領域は想定しておらず、キャリアとトナーの付着力が依然として強く、充分な画像の濃度が得られないことがある。
【0007】
また、トナーの摩擦帯電量を良好とするため、現像剤の圧縮抵抗とブリッジ抵抗を規定した提案が成されている(特許文献3)。この提案によれば、トナーの摩擦帯電量を上げつつも現像性を良好とする抵抗領域を言及している。しかし、現像剤の圧縮抵抗、ブリッジ抵抗と現像プロセスには言及されておらず、着色剤の含有量が多いトナーに要求されるような摩擦帯電量の領域は想定していない。
【0008】
このため、従来よりも少ないトナー載り量で画像形成するには、着色剤の含有量が多く、着色剤の分散性が高い着色力の高いトナーを用いて、高摩擦帯電量のトナーを効率よく現像することが必要となる。着色剤の分散性のよい、高摩擦帯電量のトナーを効率よく現像し、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、良好な画像品質を、連続使用時にも安定して発現する二成分系現像剤、補給用現像剤、画像形成方法が待望されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−195674号公報
【特許文献2】特開2006−195079号公報
【特許文献3】特公平07−031422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、従来よりも少ないトナー載り量で高精細な画像を達成し、良好な色域再現性を有し、トナーの消費量を低減し、高速化にも対応可能で、長期使用においても色味の安定した画像が継続して出力可能な二成分系現像剤、補給用現像剤及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、下記の本発明の構成により達成される。
【0012】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するシアントナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該シアントナーは、クロロホルム溶解液におけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0013】
また本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該マゼンタトナーは、クロロホルム溶解液におけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、波長538nmにおける吸光度をA538とすると、CmとA538の関係が、下記式(2)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 ・・・(2)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、35.0≦L*≦45.0、60.0≦C*≦72.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのマゼンタトナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0014】
また本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するイエロートナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該イエロートナーは、クロロホルム溶解液におけるイエロートナーの濃度をCy(mg/ml)とし、波長422nmにおける吸光度をA422とすると、CyとA422の関係が、下記式(3)を満足し、
6.00<A422/Cy<14.4 ・・・(3)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、85.0≦L*≦95.0、100.0≦C*≦115.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのイエロートナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0015】
また本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するブラックトナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
該ブラックトナーは、粉体状態で求めた明度L*が、5.00≦L*≦13.0であり、
且つ、該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
且つ、該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのブラックトナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0016】
また本発明は、上記磁性キャリアが、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0017】
また本発明は、上記キャリアコアが磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体は個数平均粒径0.10以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0018】
また本発明は、上記キャリアコアがポーラス状のフェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0019】
また本発明は、上記樹脂被覆層が、体積抵抗が1.0×10-2Ω・cm以上1.0×103Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を有することを少なくとも特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0020】
また本発明は、少なくともトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給しながら現像し、現像器内部で過剰になった現像剤を排出する二成分現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、上記二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤に関する。
【0021】
また本発明は、像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を上記二成分系現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記トナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記トナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤が、上記二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法に関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、着色剤含有量が多く着色力の強いトナーを用い、トナー消費量を低減しながら、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、連続使用時にも良好な画像品質を安定して発現する二成分系現像剤、補給剤用現像剤及び画像形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するシアントナーと、磁性を有するキャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該シアントナーは、クロロホルム溶解液におけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナー帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤に関する。
【0025】
この条件を満たす時、高解像度、高精細画像を達成し、画像色域、彩度、明度を損なわず、連続使用時に良好な画像品質が安定して得ることができる。
【0026】
本発明は、着色剤の含有量の多い着色力の強いトナーを、着色剤の含有量を上げたときの弊害のひとつである色相変化を抑制しながら、高帯電/高現像性の二成分系現像剤を用いて現像することで、上記目的を達成しようとするものである。
【0027】
本発明は、波長712nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A712/Ccが、2.00より大きく、8.15未満となるシアントナーを使用する。波長712nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A712/Ccは、2.40より大きく、4.90未満であることが必要な着色力を得るうえで、より好ましい。A712/Ccが2.00以下のとき、トナーの質量あたりの着色度が低くなり、必要となる着色度を得るために、記録紙上のトナー載り量を多くし、トナー層を厚くする必要がある。そのため、トナー消費量の低減ができず、転写・定着時にチリが発生したり、画像上のライン画像、文字画像のラインの中央部が転写されずにエッジ部のみが転写される「転写中抜け」が発生することがある。一方、A721/Ccが8.15以上のとき、充分な着色力は得られるが、明度が低下し、画像が暗く、鮮やかさが低下しやすい。また、トナー表面へ露出した着色剤の量が多くなることで、トナーの帯電性へ悪影響を与え、弱摩擦帯電トナーが生じ、画像白地部でカブリが発生したり、トナー飛散により装置内を汚染することがある。
【0028】
上記シアントナーと同様の理由で、本発明は、波長538nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A538/Cmが、2.00より大きく、6.55未満となるマゼンタトナーを使用する。また、波長422nmにおける単位濃度(mg/ml)あたりの吸光度A422/Cyが、6.00より大きく、14.4未満となるイエロートナーを使用する。
【0029】
さらに本発明では、着色剤の含有量を上げたシアントナーの粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*は、L*で25.0以上40.0以下であることが好ましく、28.0以上40.0以下であることがより好ましい。C*は50.0以上60.0以下であることが好ましい。また、マゼンタトナーの粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*は、L*で35.0以上45.0以下であることが好ましく、C*は60.0以上72.0以下であることが好ましい。また、イエロートナーの粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*は、L*で85.0以上95.0以下であることが好ましく、C*は100.0以上115.0以下であることが好ましい。また、ブラックトナーの粉体状態で求めた明度L*は、L*で5.0以上13.0以下であることがい。粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、この範囲となる時、表現できる画像の色空間が拡大し、画像品質が良好なものとなり、記録紙上のトナー量も低減することができる。
【0030】
L*が下限値未満であると、他の色トナーとの組みあわせでフルカラー画像を形成した場合に、表現できる色空間が小さくなる場合がある。L*が上限値を超えると画像濃度が得られなくなる。必要な濃度を得るためには、記録紙上のトナー量を増やすことになり、転写定着時のチリや中抜けレベルが低下する。トナーの段差が大きくなり、画像品質が悪化することがある。C*が下限値未満であると、画像濃度が得られにくくなる。C*が上限値を超えると、フルカラー画像を形成した場合に、カラーバランスが崩れることがある。着色剤の含有量を上げたトナーは、通常、着色剤の分散状態が変化するためか、色相が変化し、L*及びC*が変化することがある。これは、着色剤の含有量を増やしていった結果、顔料の再凝集が起こり、さらに着色力が低下し、色相の変化に繋がったと推察される。着色力の高いトナーを用いることで、トナー載り量を減らすことができ、トナー消費量を低減することが可能となる。しかし、着色力の高いトナーを従来システムで現像すると、長期使用時に色味安定性に欠けた画像となることがある。そのため、さらに本発明規定のような高い摩擦帯電量で現像することが必要である。
【0031】
高い摩擦帯電量の現像剤が必要となる理由は次のように説明される。
【0032】
従来のトナーで、飽和画像濃度を得るためには、例えば、従来トナーの摩擦帯電量が−40mC/kg、Vcont=500Vで、感光体上のトナーの載り量が0.5mg/cm2となる現像剤とシステムを仮定する。横軸にコントラスト電位、縦軸に画像濃度をとると、従来トナーは、曲線Aのようなγ特性となる。コントラスト電位を、トナーの電荷とトナー粒子で埋めることで現像を行っている。図2のa点は、従来トナーによって飽和濃度が得られるポイントである。
【0033】
一方、本発明のトナーのような着色力が高いトナーを使った場合には、仮に着色力が従来トナーに対して2倍となっているとすると、従来トナーの半分の載り量0.25mg/cm2で飽和画像濃度が得られることになり、Vcont=250V・図2のb地点で必要なトナーが現像されることになる。B地点から、さらにVcont大きくしていくと、載り量は増加していくが、画像濃度は飽和しており、それ以上濃度が上がることはない。Vcont=500Vにするとトナーの載り量が0.5mg/cm2となり、a地点に至る。a地点では着色力の高いトナーが過剰となり、暗く沈んだ画像となり、色相が大きく変化する。
【0034】
図5には、CIELABのa*b*平面の従来トナーと着色力の高いトナーの色相のプロファイルを示した。実線が従来トナー、点線が着色力の高いトナーであり、着色力の高いトナーで図3におけるb地点を超え、a’地点まで現像したときの色相のプロファイルである。a’にまで至ると、図の左側、図5のa*軸側に曲線が曲がりこみ、色相が変化する。明度の低下も同時に起こってしまう。そのため、画像濃度が飽和する最低量のトナー量で飽和画像濃度を出力すればよい。しかし、載り量0.25mg/cm2、Vcont=250Vで飽和する高着色力のトナーを現像するシステムを考えると、従来の半分のVcont(=250V)で階調を形成せざるを得ず、電位の変動に対する濃度変動が大きくなり、画像の安定性において課題が残る。載り量を半減させたまま、従来トナーと同等のVcont(=500V)で階調を得る、つまり、図4の曲線C(破線)を横軸方向に拡大したような曲線A’(点線)にして、γ特性を従来トナーのような緩やかな傾きとできれば、着色力の高いトナーが過剰に存在することによって起こった色相の変化を抑制し、同時に電位変動に対する安定性を向上させることができる。そのためには、従来トナーの半分のトナー量で従来トナーと同等のコントラスト電位Vcont(=500V)を埋めるために、トナーの帯電量を上げることが必要となる。本発明の着色力を上げたトナーを用いて、載り量0.25mg/cm2、Vcont=500Vのコントラスト電位で、飽和画像濃度を得るためには、摩擦帯電量を従来トナーの2倍、飽和帯電量が−80μC/gのトナーとして、効率よく現像すれば、従来トナーと同様のγ特性で階調を形成することが可能となる。着色力を上げたトナーで、載り量を減らしながら、高い階調性を維持し、濃度変動を抑えるためには、高摩擦帯電量のトナーとして、効率よく現像することが必要になる。
【0035】
本発明のシアントナーは、前記シアントナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した摩擦帯電量の絶対値が、23℃、50%RH下において50mC/kg以上120mC/kg以下である。摩擦帯電量の絶対値が50mC/kg未満の現像剤では、本発明の着色力の強いトナーを用いた場合に、上述した通り、γ特性が急峻になり、長期使用によって濃度の変動が大きくなり、安定性に欠けるものとなることがある。一方、前記トナーと前記磁性キャリアとを用いて二成分法により測定した摩擦帯電量の絶対値120mC/kgを超えると、濃度低下や転写効率が低下することがある。キャリアや感光体表面との静電的付着力が必要以上に大きくなったためと考えられる。
【0036】
そこで、現像剤に求められる性能としては、高帯電/高現像性である。現像剤が高帯電且つ高現像性を有するためには、現像器内で十分に摩擦帯電すること、現像剤と感光ドラムの接触部である現像ニップ部で磁性キャリアからのトナー離れが良いことが必要である。
【0037】
本発明では、軽圧縮時の現像剤の体積抵抗と圧縮時の現像剤の体積抵抗に着目した。軽圧縮時、即ち現像器内には圧縮抵抗を高くすることで、十分な摩擦帯電を行い、圧縮時、即ち現像ニップ部では圧縮抵抗を低くすることで、トナーと磁性キャリアの静電的付着力を低減させ、高い現像性を達成し得ることを見出し、本発明に至った。
【0038】
図6は、本発明の二成分系現像剤の圧縮抵抗を示したものである。図中の斜線部分が、高帯電且つ高現像性を示す領域、即ち40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下である領域である。
【0039】
40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm未満である場合は、磁性キャリアからのトナー離れは良好なものの、現像器内での高い摩擦帯電量は得られない。40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1014Ω・cmを超える場合は、現像器内で高い摩擦帯電量は得られるものの、現像ニップにおける高い現像性を得ることができない。
【0040】
200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×106Ω・cm未満の場合は、磁性キャリア表面への静電的なトナー担時力が小さすぎて、現像ニップでのトナー飛散を生じやすくなってしまう。200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×109Ω・cmを超える場合は、磁性キャリア表面への静電的なトナー担時力が大きすぎて、現像性の低下を生じやすくなってしまう。
【0041】
よって、本発明の二成分系現像剤は、40kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、200kPaの圧縮下、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であることで、上記した着色剤の含有量が多いトナーを高い摩擦帯電量で現像することができる。
【0042】
本発明の二成分系現像剤の圧縮抵抗値を上記範囲に設定するためには、トナー及び磁性キャリア両面からのアプローチが可能である。
【0043】
トナーからのアプローチとしては、トナー粒子表面にまず低抵抗な無機微粒子を付着させ、その後高抵抗な無機微粒子を付着させることが好ましい。これは、軽圧縮時にはトナー粒子表面の高抵抗な無機微粒子が点接触することでトナー−トナー間やトナー−磁性キャリア間での高摩擦帯電量が得られ易くなるためである。また、一方で圧縮時にはトナー粒子表面の低抵抗な無機微粒子により高現像性を発現する。
【0044】
磁性キャリアからのアプローチとしては、後述する真比重や動的抵抗とともに、磁性キャリア表面に形成される樹脂被覆層中に導電性微粒子と絶縁性の微粒子が含有されていることが好ましい。これは、軽圧縮時には磁性キャリア粒子表面の絶縁性微粒子がトナーと点接触することでトナー−磁性キャリア間での高摩擦帯電量が得られ易くなるためである。また、一方で圧縮時には磁性キャリア粒子表面の樹脂被覆層中に含有される導電性微粒子が低抵抗な無機微粒子により高現像性を発現するためである。
【0045】
さらには、上記したトナー磁性キャリアを組み合わせることで、その相乗効果により、二成分系現像剤の圧縮抵抗値を上記範囲に制御することが可能となる。
【0046】
また、本発明の磁性キャリアは、二成分系現像剤の圧縮抵抗を上記した良好な範囲とするために、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であることが必要である。真比重が2.5g/cm3未満の場合は、高い摩擦帯電量は得られるものの、現像性が低下する。真比重が4.2g/cm3を超える場合は、現像剤劣化を生じやすく、長期に渡って良好な画像が得られなくなる場合がある。
【0047】
また、本発明の磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることが好ましい。現像ニップ部では、トナーがキャリア表面から飛翔し、消費されるときに、キャリア表面にトナーとは反対の極性の電荷が発生する。これをカウンターチャージと呼ぶ。カウンターチャージがキャリアに蓄積すると、次のトナーへの帯電を妨げてしまい、帯電量分布がブロード化し、非画像部へのトナー付着(カブリ)が発生する原因となる。そこで、後述する現像剤担持体にキャリアを担持させ、磁気穂を形成し、回転させたときの抵抗値を上記の範囲に制御することで、カウンターチャージを瞬時に無くし、キャリア表面を静電気的にリフレッシュさせることができる。これにより、トナーへの帯電付与が瞬時に行われるため、高速かつ画像面積の高い画像を出力しても、長期に渡り安定した画像を出力することが可能になる。
【0048】
なお、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が1.0×108Ω・cmを超える場合は、カウンターチャージが蓄積しやすくなり、カブリが発生しやすくなる。また、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cmを下回ると、キャリア付着が発生しやすくなったり、潜像をみだしてしまうことがある。
【0049】
本発明に用いる磁性キャリアは、トナーに対する帯電性を促進させるために、15μm以上60μm以下の体積平均粒径(Dv)を有することが好ましい。即ち、現像極での磁気ブラシの密度も最適化されるとともに、トナーの帯電分布をシャープにすることができるので、高画質化を図ることができる。
【0050】
体積平均粒径(Dv)が15μmより小さい場合、現像極での磁気ブラシ密度は密になるものの、現像剤担持体上の磁性キャリアの磁気的拘束力が小さくなってしまうため、感光体上へのキャリア付着が発生してしまう場合がある。体積平均粒径(Dv)が60μmを超える場合、現像極での磁気ブラシ密度は疎になるとともに、トナーの帯電分布もブロードになってしまうため、画像不良の原因となってしまいやすい。
【0051】
本発明に用いることができる磁性キャリアコアは、公知のフェライト粒子、マグネタイト粒子、磁性体分散型樹脂粒子等のキャリアコアが使用できる。
【0052】
本発明に用いることのできるキャリアコアは、例えば以下に記載するように製造される。
【0053】
キャリアコアは、磁性体を用いて製造される。磁性体としては、1)表面が酸化された、または未酸化の鉄粉、2)リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類元素の如き金属粒子、3)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類元素の如き金属の合金粒子、またはこれらの元素を含む酸化物粒子、4)マグネタイト粒子、またはフェライト粒子、が挙げられる。好ましい磁性体としては、マグネタイト粒子、又は、銅、亜鉛、マンガン、カルシウム、リチウム及びマグネシウムから選ばれる一種または二種以上の元素を少なくとも有する磁性フェライト粒子である。
【0054】
フェライト用磁性体としては以下のものが挙げられる。Ca−Mg−Fe系フェライト、Li−Fe系フェライト、Mn−Mg−Fe系フェライト、Ca−Be−Fe系フェライト、Mn−Mg−Sr−Fe系フェライト、Li−Mg−Fe系フェライト及びLi−Rb−Fe系フェライトの鉄系酸化物のフェライト磁性体。鉄系酸化物のフェライトは、それぞれ金属の酸化物、炭酸塩、硝酸塩を湿式あるいは乾式にて混合し、所望のフェライト組成となるよう仮焼成することにより得られる。得られた鉄系酸化物のフェライトを、サブミクロンまで粉砕する。粉砕されたフェライトに、粒径を調整するための水を20〜50質量%加え、結着樹脂として例えばポリビニルアルコール(分子量500〜10,000)を0.1〜10質量%加える。そして、さらに孔密度をコントロールするための炭酸カルシウムの金属炭酸塩を0.5〜15質量%添加して、スラリーを調製する。このスラリーを、スプレードライヤーを用いて造粒を行い、焼成することでフェライトコアを得ることができる。
【0055】
尚、本発明においては、磁性キャリアの真比重を上記範囲にするため、造粒時に発泡剤を添加した低比重、且つポーラス状のフェライトキャリアコアが好ましく用いられる。
【0056】
本発明に用いることのできるポーラス状のフェライトキャリアコアとしては、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることが好ましい。
【0057】
次に、ポーラス状のフェライトキャリアコアのかさ密度、真密度を上記範囲に調整する手法について述べる。
【0058】
これらの物性を調整するための手法としては、適当な元素の種類を選択したり、結晶径、空孔径、空孔径分布、空孔比率等をコントロールする手法が挙げられ、例えば具体的には以下の手法が例示される。
【0059】
i)ポーラス状のフェライトキャリアコアを焼成で形成する際の温度や時間を調整することにより結晶の成長度合いや成長速度をコントロールし、空孔の大きさや分布状態等を調整する。
【0060】
ii)ポーラス状のフェライトキャリアコアを形成する際、発泡剤や有機微粒子の如き空孔形成剤を添加し、コア粒子内部に空孔を発生させる。その際、発泡剤の種類(組成、径など)を適当に選択し、その量を調整する。
【0061】
上述した発泡剤としては、60乃至180℃で気化又は分解し、その際に気体を発生する物質であれば特に限定はされない。例えば、以下のものが挙げられる。アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルの如き発泡性のアゾ系重合開始剤;ナトリウム、カリウム、カルシウムの如き金属の炭酸水素塩;炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硝酸アンモニウム塩、アジド化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、アリルビス(スルホヒドラジド)、ジアミノベンゼン。
【0062】
有機微粒子としては、ワックスとして用いられる樹脂や、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の如き熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂の如き熱硬化性樹脂が挙げられる。これらを、微粒子化して使用する。
【0063】
微粒子化する方法としては、公知の方法が使用できるが、例えば、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕する。粉砕工程では、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕し、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター、ターボ工業製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
【0064】
また、粉砕後に分級し、微粒子の粒度分布を調整しても良い。分級装置としては、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機がある。
【0065】
しかし、上述したポーラス状のフェライトキャリアコアは、通常、物理的強度が低くなりやすく、壊れやすいという課題があった。
【0066】
そこで、ポーラス状のフェライトキャリアコアの物理的強度を向上するためには、フェライトキャリアコアの有する空孔の径や分布と、含有させる樹脂成分の組成、更には樹脂の充填方法を適当に調整/選択し、樹脂成分の充填が均一に行われるようにすればよい。
【0067】
フェライトキャリアコアの空孔への樹脂成分の充填を均一に行うために、樹脂成分と溶剤を混合した樹脂成分溶液を用いることが必要である。樹脂成分量は好ましくは、1乃至50質量%(より好ましくは1乃至30質量%)が好ましい。50質量%より樹脂製分量の多い樹脂成分溶液を用いると粘度が高いためにフェライトキャリアコアの空孔に樹脂成分溶液が均一に浸透しにくい。また、1質量%未満であると樹脂成分の量が少なく、フェライトキャリアコアへの樹脂の付着力が低くなる場合がある。
【0068】
前記フェライトキャリアコア内部に充填させる樹脂成分としては、フェライトキャリアコアの磁性成分に対する濡れ性が高いものであることが好ましく、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわない。濡れ性が高い樹脂成分を用いた場合には、フェライトキャリアコアの空孔への樹脂の充填時に、同時にフェライトキャリアコア表面も樹脂で覆うことが容易になる。
【0069】
熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
【0070】
熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
【0071】
また、これらの樹脂を変性した樹脂でも良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂等の含フッ素系樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂が、多孔質磁性コア粒子に対する濡れ性が高いため好ましい。
【0072】
上記した樹脂の中でもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂が使用可能である。具体的には、下記式に示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂、及び、該ストレートシリコーン樹脂をアルキッド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
【0073】
上記した樹脂の中でもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂を使用することができる。
【0074】
例えば、以下のものが挙げられる。市販品として、ストレートシリコーン樹脂は、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レダウコーニング社製のSR2400、SR2405等がある。変性シリコーン樹脂は、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)等がある。
【0075】
フェライトキャリアコア内部に樹脂成分を充填する方法としては、樹脂成分を溶剤に希釈し、その希釈液中にフェライトキャリアコアに添加するのが一般的である。ここに用いられる溶剤は、各樹脂成分を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールの如き有機溶剤を用いればよい。水溶性の樹脂成分またはエマルジョンタイプの樹脂成分である場合には、水を用いればよい。前記フェライトキャリアコア内部に、溶剤で希釈された樹脂成分を添加させる方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、流動床、及び混練法の如き塗布方法により樹脂成分を含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
【0076】
また、磁性体分散型樹脂キャリアコアを製造するには、ビニル系または非ビニル系の熱可塑性樹脂、および磁性体ならびにその他の添加剤を、混合機により十分に混合する。得られた混合物を、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き混練機を用いて溶融・混練する。冷却された溶融・混練物を粉砕して、さらに分級することにより、磁性体分散型樹脂キャリアコアを得ることができる。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコアは、さらに熱又は機械的に球形化してもよい。
【0077】
さらに本発明に使用できる磁性体分散型樹脂キャリアコアは、キャリアコアの結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得ることが特に好ましい。ここで結着樹脂を形成するためのモノマーとしては以下のものが挙げられる。ビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン;フェノール樹脂を生成するためのフェノール類とアルデヒド類;尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が含まれる。
【0078】
結着樹脂を形成するためのモノマーとしてフェノール類とアルデヒド類を用いる場合は、水性媒体に磁性体およびフェノール類とアルデヒド類を添加し、水性媒体中のフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合させることにより、磁性体分散型樹脂キャリアコアを製造することができる。
【0079】
フェノール樹脂を生成するためのフェノール類は、フェノール(ヒドロキシベンゼン)のほか、フェノール性水酸基を有する化合物であればよい。フェノール性水酸基を有する化合物としては、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類;芳香環(例えばベンゼン環)の水素またはアルキル基の水素の一部または全部が、塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類が挙げられる。
【0080】
フェノール樹脂を生成するためのアルデヒドとしては以下のものが挙げられる。ホルマリンまたはパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、およびフルフラール。好ましくはホルムアルデヒドである。
【0081】
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は1乃至4であることが好ましく、1.2乃至3であることがより好ましい。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成しにくかったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行しにくいために、生成する粒子の強度が弱くなったりする傾向がある。一方、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
【0082】
フェノール類とアルデヒド類との縮合は、塩基性触媒を用いて行うことができる。該塩基性触媒は通常のレゾール型樹脂の製造に使用されている触媒であればよく、該塩基性触媒の例にはアンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが含まれる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は0.02以上、0.3以下であることが好ましい。
【0083】
このような磁性体分散型樹脂コアの形状を制御するためには、キャリアコアの製造における重合反応において、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量を適切に制御することが好ましい。
【0084】
すなわち、重合反応開始時の反応媒体中における溶存酸素量は、10.0g/m3以下であることが好ましい。反応媒体中における溶存酸素量を減らす方法の例には、1)あらかじめ溶媒、モノマー、磁性体を含む反応系を加温する、2)重合反応中に反応媒体中に不活性ガスを導入する方法がある。溶存酸素量を減らすために反応媒体中に導入される不活性ガスは、工業的視点から、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスから選ばれる一種類以上であることが好ましい。
【0085】
また、上記不活性ガスの反応媒体中への導入量は、重合反応開始前には反応容器体積の5体積%/分以上100体積%/分以下とし、重合反応開始後には1乃至20体積%/分とすることが好ましい。重合反応開始前の不活性ガスの導入量が5体積%/分より少ないと溶存酸素の不活性ガスへの置換効率が悪く、一方100体積%/分より多いとモノマーが揮発されることがある。
【0086】
また、重合反応開始後の不活性ガスの流量は、重合反応開始前の流量に比べて少ないことが好ましい。重合反応中における不活性ガスの導入量を、重合反応前における導入量よりも少なくすることにより、所望とする粒径より小さい粒径の微粒子の生成が抑制されるので、所望とする粒径の粒子が、前記微粒子を取り込んで異形化するのを防止することができる。
【0087】
重合反応開始後の不活性ガスの導入量が、反応容器体積に対して20体積%/分を超えると、前述の微粒子が生成しやすくなる。これは重合反応中の反応媒体が、導入される不活性ガスによって激しく撹拌されることに起因すると考えられる。一方、重合反応中に導入される不活性ガスの流量が1体積%/分より少ないと、反応媒体と外気との界面に存在する酸素量が増し、微粒子が生成しやすくなる。
【0088】
磁性体分散型樹脂キャリアコアの製造における重合反応において、モノマーを含有する反応媒体は撹拌される。該撹拌は撹拌翼により行われることができるが、撹拌時の撹拌翼の周速は1.0m/秒以上3.5m/秒以下に制御されることが好ましい。
【0089】
撹拌翼の周速が1.0m/秒未満であると、所望の粒径の粒子が得られにくくなると同時に、撹拌不良により磁性体が沈降しやすく紡錘状の粒子や磁性体が入っていないからの粒子が形成されやすくなる傾向にある。一方、撹拌翼周速が3.5m/秒を超えると、所望の粒径分布以下の微粒子ができやすくなり、それらが合一したり、所望粒径の粒子に合一したりして、異形の粒子が得られやすくなる傾向にある。
【0090】
また、磁性体分散型樹脂キャリアコアに使用される磁性体の個数平均粒径は、0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることが好ましい。磁性体が、この範囲の粒径を有することで、磁性体の樹脂中への分散が良好となり、40kPaの圧縮下での体積抵抗率を高くしやすく、高帯電性の磁性キャリアが得やすくなる。また、磁性体がマグネタイト粒子であることで動的抵抗率の制御がしやすくなるとともに、200kPaの圧縮下での体積抵抗率を低くしやすく、高現像性の磁性キャリアが得やすくなる。
【0091】
マグネタイト粒子の個数平均粒径が0.10μm未満の場合は、マグネタイト粒子の磁気的凝集が起こり易く、樹脂中への分散不良が生じる。また、凝集体が磁性キャリア表面に露出するとトナーの帯電電荷を緩和してしまい、トナーの帯電低下を生じてしまう。マグネタイト粒子の個数平均粒径が0.30μmを超える場合も、マグネタイト粒子が磁性キャリア表面に露出しやすく、これまたトナーの帯電低下を生じてしまう。
【0092】
次に本発明に用いるキャリアコア表面を被覆する樹脂組成物に関して説明する。
【0093】
本発明に用いる樹脂組成物は少なくとも公知の結着樹脂を含有する。特に好ましく用いる結着樹脂としては、トナーに適正な帯電付与を行うと同時に、キャリアコア表面への密着性向上を図る上で、式(A1)
【0094】
【化1】
(式中、R1は炭素数4以上の炭化水素基を示す)
で示される構造を有するモノマーとメタクリル酸メチルモノマーとを重合した共重合体であり、該共重合体は、これらのモノマーから形成されるユニットが共重合割合として80質量%以上含有されていることが重要である。
【0095】
上記共重合体を用いることで、トナーへの帯電付与が良好になり、かつ現像器中でのトナーの所望帯電量になった後のチャージアップあるいはチャージダウンを抑制することができる。これは、メタクリル酸メチルから形成されるユニットが高い帯電性を有し、かつ、種々の環境であっても安定した帯電性を有しているためである。また、R1が炭素数4以上の炭化水素基を有する式(A1)で示される構造を有するモノマーを用いることによって、樹脂の結晶性が高まり、磁性キャリア粒子表面の離型性が向上させることができる。そのため、トナーへの素早い摩擦電荷の付与と磁性キャリア粒子へのトナーの付着を軽減することができるためと考えられる。式(A1)で示される構造を有するモノマーにおいて、R1が炭素数10以上であることが好ましい。また、R1の炭素数4以上の炭化水素基としては、鎖式の炭化水素基であっても、環式の炭化水素基であってもよい。
【0096】
R1が炭素数4以上の炭化水素基を有する上記式(A1)で示される構造を有するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル及びメタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸ジシクロペンテニル及びメタクリル酸ジシクロペンタニル。
【0097】
なお、式(A1)で示される構造を有するモノマーから形成されるユニットとは、
【0098】
【化2】
を意味する。また、メタクリル酸メチルモノマーから形成されるユニットとは、
【0099】
【化3】
を意味する。共重合体中における式(A1)で示される構造を有するモノマーから形成されるユニットとメタクリル酸メチルモノマーから形成されるユニットとの共重合比は、20:80〜80:20であることが好ましい。
【0100】
樹脂被覆層を形成している樹脂の重量平均分子量Mw(THF可溶分)は、15,000〜300,000であることが、キャリアコアとの密着性、コートする際に均一にコア表面を被覆することができるため好ましい。
【0101】
また、被覆用の樹脂組成物は微粒子を含有していることが好ましい。キャリアコアを被覆する樹脂被覆層における該微粒子の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して、微粒子2乃至80質量部の割合で含有されることが好ましい。
【0102】
本発明に用いる樹脂組成物に含まれる微粒子としては、有機材料および無機材料のいずれの微粒子であってもよいが、被覆する際に、微粒子の形状を保持することができる強度を有している架橋樹脂微粒子及び無機微粒子が好ましい。架橋樹脂微粒子を形成する架橋樹脂としては、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂及びナイロン樹脂が挙げられる。また、無機微粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、シリカ、アルミナ、チタン含有金属酸化物が挙げられる。特に、上記の無機微粒子は、トナーへの帯電付与の促進、チャージアップの低減、及びトナーとの離型性の向上の点で好ましい。更に該微粒子は、絶縁性のシリカ微粒子であることが好ましく、より好ましくは疎水化処理された疎水性シリカ粒子であることが好ましい。
【0103】
また本発明に用いる被覆用の樹脂組成物は、該微粒子に加えて、更に導電性微粒子を含んでいることが好ましい。キャリアコアを被覆する樹脂に含まれる導電性微粒子は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下であることがより好ましい。
【0104】
導電性微粒子は、カーボンブラック微粒子、グラファイト微粒子、酸化亜鉛微粒子、および酸化錫微粒子が挙げられる。特に導電性微粒子としてカーボンブラック微粒子が好ましい。カーボンブラック微粒子は、その粒径をより小さくすることができるので、微粒子による磁性キャリア粒子表面の微細突起の形成を阻害することがなく、キャリアの比抵抗をコントロールすることができる。
【0105】
本発明に用いる被覆用の樹脂組成物は、用いられる樹脂100質量部に対して、2乃至80質量部の微粒子、および、2乃至50質量部の導電性微粒子を含有することが好ましい。これにより磁性キャリアの比抵抗を下げすぎず、かつ磁性キャリア粒子表面の残留電荷を除去しやすくするためである。
【0106】
また本発明に用いる被覆用の樹脂組成物は、更に荷電制御剤を含有していることが好ましい。荷電制御剤としては公知の荷電制御剤が使用可能であるが、本発明の高トリボと被覆用樹脂との分散性を考慮すると、窒素成分含有の荷電制御樹脂が特に好ましく用いられる。
【0107】
本発明で使用できるトナーは、粉砕法及び重合法で得られたトナーをいずれも使用できる。
【0108】
まずは粉砕法で得られるトナーについて説明する。粉砕法で得られるトナーに使用できる結着樹脂は公知のものが使用できるが、結着樹脂の主たる成分としてポリエステルユニットを含有することが好ましい。好ましく用いられる結着樹脂としては、(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系共重合体ユニットとを有しているハイブリッド樹脂、(c)ハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物、(d)ポリエステル樹脂とビニル系共重合体との混合物、(e)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、及び(f)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系共重合体との混合物から選択される樹脂である。本発明のトナー物性を効果的に発揮するためには、少なくともハイブリッド樹脂を含有する結着樹脂が、より好ましく用いられる。
【0109】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合は、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸エステル等が原料モノマーとして使用できる。ハイブリッド樹脂におけるポリエステルユニットを生成する場合に用いられるモノマーも同様である。
【0110】
具体的には、例えば二価アルコール成分としては、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
【0111】
三価以上のアルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0112】
2価の酸成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物が挙げられる。
【0113】
また、架橋部位を有するポリエステル樹脂を形成するための3価以上の多価カルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸及び、これらの無水物やエステル化合物等が挙げられる。
【0114】
それらの中でも、特に、下記一般式(イ)で代表されるビスフェノール誘導体をジオール成分とし、二価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルとからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等)を酸成分として、これらを縮重合したポリエステル樹脂が、カラートナーとして、良好な帯電特性を有するので好ましい。
【0115】
【化4】
【0116】
粉砕法で得られるトナーに含有される結着樹脂において、「ハイブリッド樹脂」とは、ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットが化学的に結合した樹脂を意味する。具体的には、ポリエステルユニットと(メタ)アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマーを重合したビニル系重合体ユニットとがエステル交換反応によって形成する樹脂であり、好ましくはビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体としたグラフト共重合体(あるいはブロック共重合体)である。なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分であり、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分である。
【0117】
ビニル系共重合体或いはビニル系重合体ユニットを生成するためのビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体等が挙げられる。
【0118】
さらに、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、前記α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0119】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0120】
粉砕法で得られるトナーにおいて、結着樹脂のビニル系共重合体或いはビニル系重合体ユニットは、ビニル基を二個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
【0121】
この場合に用いられる架橋剤には、芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ、アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0122】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0123】
ハイブリッド樹脂を製造する際には、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのいずれか一方又は両方の中に、両樹脂ユニットの成分と反応し得るモノマー成分を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂ユニットを構成するモノマーのうちビニル系重合体ユニットの成分と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸の如き不飽和ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。ビニル系重合体ユニットを構成するモノマーのうちポリエステルユニットの成分と反応し得るものとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸もしくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
【0124】
ビニル系重合体ユニットとポリエステルユニットの反応生成物を得る方法としては、先に挙げたビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットのそれぞれと反応しうるモノマー成分を含むポリマーが存在しているところで、どちらか一方もしくは両方の樹脂の重合反応を行うことにより得る方法が好ましい。
【0125】
粉砕法で得られるトナーに使用できるビニル系共重合体或いはビニル系重合体ユニットを製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カーバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチル−プロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0126】
粉砕法で得られるトナーに用いられるハイブリッド樹脂を調製するための製造方法としては、例えば、以下の(1)乃至(5)に示す製造方法を挙げることができる。
【0127】
(1)ビニル系重合体とポリエステル樹脂を別々に製造後、少量の有機溶剤に溶解・膨潤させ、エステル化触媒及びアルコールを添加し、加熱することによりエステル交換反応を行ってハイブリッド樹脂を合成する方法。
【0128】
(2)ビニル系重合体を製造後に、これの存在下にポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はビニル系重合体ユニット(必要に応じてビニル系モノマーも添加できる)とポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)との反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるポリエステルとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0129】
(3)ポリエステル樹脂を製造後に、これの存在下にビニル系重合体ユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法である。ハイブリッド樹脂成分はポリエステルユニット(必要に応じてポリエステルモノマーも添加できる)とビニル系モノマーとの反応、及び前記ユニット及びモノマーと必要に応じて添加されるビニル系重合体ユニットとの反応により製造される。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0130】
(4)ビニル系重合体及びポリエステル樹脂を製造後に、これらの重合体ユニット存在下にビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸)のいずれか一方又は両方を添加し、添加したモノマーに応じた条件の重合反応を行うことにより、ハイブリッド樹脂成分を製造する方法。この場合も適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0131】
(5)ビニル系モノマー及びポリエステルモノマー(多価アルコール、多価カルボン酸等)を混合して付加重合及び縮重合反応を連続して行うことによりビニル系重合体ユニット、ポリエステルユニット及びハイブリッド樹脂成分を製造する方法。さらに、適宜、有機溶剤を使用することができる。
【0132】
上記(1)〜(5)の製造方法において、ビニル系重合体ユニット及びポリエステルユニットには、分子量や架橋度の異なる複数種の重合体ユニットを使用することができる。
【0133】
なお、本発明におけるビニル系重合体又はビニル系重合体ユニットとは、ビニル系単重合体若しくはビニル系共重合体又はビニル系単重合体ユニット若しくはビニル系共重合体ユニットを意味するものである。
【0134】
次に重合法で得られるトナーについて説明する。直接重合法または乳化重合法で得られるトナーに使用できる結着樹脂は公知のものが使用できるが、ビニル系樹脂を主成分とする樹脂を有することが好ましい。該結着樹脂の主成分であるビニル系樹脂は、ビニル系モノマーの重合により製造される。ビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン系モノマー、アクリル系モノマー;メタクリル系モノマー;エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー;ビニルエステル類のモノマー;ビニルエーテル類のモノマー;ビニルケトン類のモノマー;N−ビニル化合物のモノマー;その他のビニルモノマー。
【0135】
スチレン系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン。
【0136】
アクリル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類。
【0137】
また、メタクリル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類。
【0138】
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンが挙げられる。
【0139】
ビニルエステル類のモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルが挙げられる。
【0140】
ビニルエーテル類のモノマーとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルが挙げられる。
【0141】
ビニルケトン類のモノマーとしては、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンが挙げられる。
【0142】
N−ビニル化合物のモノマーとしては、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
【0143】
その他のビニルモノマーとしては、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0144】
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
【0145】
ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素。
【0146】
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤の例としては、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンの如きラジカル重合性多官能重合開始剤が挙げられる。
【0147】
本発明に使用できる粉砕法または重合法により得られるトナーには、離型剤としてのワックスを含有していることが好ましい。
【0148】
本発明に用いることができるワックスの一例としては、次のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等の脂肪酸類とステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール等のアルコール類のエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0149】
本発明において特に好ましく用いることができるワックスとしては、脂肪族炭化水素系ワックス及び脂肪酸とアルコールのエステルであるエステル化物が挙げられる。例えば、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒又はメタロセン触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー;高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー;一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分から、あるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素ワックスがよい。さらにプレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素ワックスの分別を行ったものが、より好ましく用いられる。母体としての炭化水素は、金属酸化物系触媒(多くは2種以上の多元系)を使用した一酸化炭素と水素の反応によって合成されるもの[例えばジントール法、ヒドロコール法(流動触媒床を使用)によって合成された炭化水素化合物];ワックス状炭化水素が多く得られるアーゲ法(同定触媒床を使用)により得られる炭素数が数百ぐらいまでの炭化水素;エチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により重合した炭化水素が、分岐が少なくて小さく、飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成されたワックスがその分子量分布からも好ましいものである。また、パラフィンワックスも好ましく用いられる。
【0150】
本発明のトナーに使用できる着色剤としては、公知の染料及び/または顔料が挙げられる。
【0151】
マゼンタトナー用着色顔料しては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペルリン化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、254、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35などが挙げられる。
【0152】
マゼンタトナー用染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料が挙げられる。
【0153】
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、7、15:2、15:3、15:4、16、17、60、62、66;C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45または下記式(ロ)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
【0154】
【化5】
【0155】
イエロー用着色顔料としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74,83、93、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、155、168、174、180、181、185、191、C.I.バットイエロー1、3、20などである。また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
【0156】
本発明に用いることができる黒色着色剤としてカーボンブラック、酸化鉄粒子、上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが使用できる。
【0157】
本発明に使用できるトナーには、その帯電性を安定化させるために公知の荷電制御剤を用いることができる。荷電制御剤は、荷電制御剤の種類や他のトナー粒子構成材料の物性等によっても異なるが、一般に、トナー粒子中に結着樹脂100質量部当たり0.1乃至10質量部含まれることが好ましく、0.1乃至5質量部含まれることがより好ましい。このような荷電制御剤としては、トナーを負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
【0158】
負帯電性荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーン等が利用できる。正帯電性荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が利用できる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。
【0159】
特に、本発明のトナーに用いることができる荷電制御剤としては、無色でトナーの帯電スピードが速く且つ一定の帯電量を安定して維持できる芳香族カルボン酸金属化合物や公知の荷電制御樹脂が好ましい。
【0160】
本発明に使用できるトナーは、無機微粒子をヘンシェルミキサーの如き混合機で混合させることにより、トナーの流動性を調整して用いることが好ましい。
【0161】
本発明に使用できるトナーに使用できる無機微粉体としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、それらのシラン化合物、及び有機ケイ素化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイル等により表面処理を施した処理シリカ等がある。その中でも、湿式製法シリカ、乾式製法シリカ、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末等が特に好ましく用いられる。
【0162】
湿式製法シリカとしては、特にアルコキシシランを水が存在する有機溶媒中において、触媒により加水分解、縮合反応させて得られるシリカゾル懸濁液から、溶媒除去、乾燥して、粒子化する、ゾルゲル法により製造されるシリカ粒子がある。ゾルゲル法により製造されるシリカ粒子は、得られる粒子の粒度分布がシャープであり、且つ球状の粒子が得られるとともに、反応時間を変えることにより所望の粒度分布を有する粒子が得られるので好ましい。
【0163】
また、乾式製法シリカとしては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるもので、従来公知の技術によって製造されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0164】
また、この製造工程において、例えば塩化アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、それらも包含する。
【0165】
また、酸化チタン微粉体であれば、硫酸法、塩素法、揮発性チタン化合物例えばチタンアルコキシド、チタンハライド、チタンアセチルアセトネートの低温酸化(熱分解,加水分解)により得られる酸化チタン微粒子が用いられる。結晶系としてはアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができる。
【0166】
そしてアルミナ微粉体であれば、バイヤー法、改良バイヤー法、エチレンクロルヒドリン法、水中火花放電法、有機アルミニウム加水分解法、アルミニウムミョウバン熱分解法、アンモニウムアルミニウム炭酸塩熱分解法、塩化アルミニウムの火焔分解法により得られるアルミナ微粉体が用いられる。結晶系としてはα,β,γ,δ,ξ,η,θ,κ,χ,ρ型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いられ、α,δ,γ,θ,混晶型,アモルファスのものが好ましく用いられる。
【0167】
上記無機微粉体の疎水化方法としては、無機微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的、または物理的に処理することによって付与される。
【0168】
好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0169】
本発明に用いることのできるトナーは、結着樹脂、着色剤、及び任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粉砕し、必要に応じて粉砕物の球形化処理や分級処理を行い、これに必要に応じて前記流動化剤を混ぜることによって製造することが好ましい。
【0170】
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、Q型ミキサー、ナウターミキサー等がある。
【0171】
更に、上記の配合で混合したトナー原料を溶融混練して、結着樹脂類を溶融し、その中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。また、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、池貝製作所製PCM型2軸押出機、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
【0172】
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、公知の風力式粉砕機や機械式粉砕機で微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。更に、得られた微粉砕品を表面改質工程で表面改質、すなわち、球形化処理を行い、表面改質粒子を得てもよい。その後、必要に応じて表面改質粒子を慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機或いは、風力式篩のハイボルター(新東京機械社製)等の篩分機を用いて分級し、重量平均粒子径3〜11μmのトナーを得る。
【0173】
尚、分級工程で分級されて発生したトナー粗粉は、再度粉砕工程に戻して粉砕する。また表面改質工程で発生した微粉は、トナー原料の配合工程に戻して再利用することがトナー生産性上好ましい。
【0174】
更に、本発明に用いることができるトナーの製造方法においては、上記のようにして得られたトナーに、流動性を付与するための無機微粒子を外添剤として外添することが好ましい。トナーに外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナーと公知の各種外添剤を所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Q型ミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合することが好ましい。この際、外添機内部で発熱を生じ、凝集物を生成し易くなるので、外添機の容器部周囲を水で冷却する等の手段で温度調整をする方が好ましい。
【0175】
本発明に用いることができるトナーは、トナーの平均円形度が0.945以上0.990以下、より好ましくは0.950以上0.990以下であることが好ましい。トナーの平均円形度に関しては、FPIA3000(シスメックス社製)を用いて測定されるものであり、測定法に関しては後述する。トナーの平均円形度がこの範囲にあることで、高速現像時においても良好な現像性が得られるとともに、転写性が向上するという利点を有する。
【0176】
以下に本発明のトナーとして好適な平均円形度を得るために、製造方法として用いることができる、好ましい粉砕工程、表面改質工程について説明する。
【0177】
本発明のトナーに好ましく用いられる粉砕工程は、機械式粉砕機が好ましく用いられる。
【0178】
図11は、本発明に使用する機械式粉砕機を組込んだトナー粒子の粉砕装置システムの一例である。
【0179】
図11に示す機械式粉砕機301では、ケーシング313、ケーシング313内にあって冷却水を通水できるジャケット316、ケーシング313内にあって中心回転軸312に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314、回転子314の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に多数の溝が設けられている固定子310、更に、被処理原料を導入するための原料投入口311、処理後の粉体を排出するための原料排出口302とから構成されている。回転子314と固定子310との間隔部分が粉砕ゾーンである。
【0180】
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、図11に示した定量供給機315から機械式粉砕機の原料投入口311へ所定量の粉体原料が投入されると、粒子は、粉砕処理室内に導入され、該粉砕処理室内で高速回転する表面に多数の溝が設けられている回転子314と、表面に多数の溝が設けられている固定子310との間の発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、原料排出口302を通り、排出される。トナー粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、原料排出口302、パイプ219、補集サイクロン229、バグフィルター222、及び吸引ブロワー224を通って装置システムの系外に排出される。本発明においては、この様にして、粉体原料の粉砕が行われるため、微粉及び粗粉を増やすことなく所望の粉砕処理を容易に行うことができるので好ましい。また、これら機械式粉砕機は粉砕工程で用いられるが、表面改質工程に用いても良い。
【0181】
このような機械式粉砕機としては、例えば、川崎重工業(株)製粉砕機クリプトロン、ターボ工業(株)製ターボミル、ホソカワミクロン(株)製イノマイザ、日清エンジニアリング(株)製スーパーローター等を挙げることができる。
【0182】
また、本発明においては、分級及び表面改質処理を同時に行うことができる、図12に示した表面改質装置が好ましく用いられる。
【0183】
図12に示す回分式表面改質装置は、円筒形状の本体ケーシング30、本体ケーシングの上部に開閉可能なよう設置された天板43;微粉排出ケーシングと微粉排出管とを有する微粉排出部44;冷却水或いは不凍液を通水できる冷却ジャケット31;表面改質手段としての、本体ケーシング30内にあって中心回転軸に取り付けられた、上面に角型のディスク33を複数個有し、所定方向に高速に回転する円盤状の回転体である分散ローター32;分散ローター32の周囲に一定間隔を保持して固定配置された、分散ローター32に対向する表面に多数の溝が設けられているライナー34;微粉砕物中の所定粒径以下の微粉及び超微粉を連続的に除去するための分級ローター35;本体ケーシング30内に冷風を導入するための冷風導入口46;微粉砕物(原料)を導入するために本体ケーシング30の側面に形成された原料投入口37及び原料供給口39を有する投入管;表面改質処理後のトナー粒子を本体ケーシング30外に排出するための製品排出口40及び製品抜取口42を有する製品排出管;表面改質時間を自在に調整できるように、原料投入口37と原料供給口39との間に設置された開閉可能な原料供給弁38;及び製品排出口40と製品抜取口42との間に設置された製品排出弁41を有している。
【0184】
ライナー34の表面は、溝を有していることが、トナー粒子の表面改質を効率的におこなう上でこのましい。角型のディスク33の個数は回転バランスを考慮して、偶数個が好ましい。分級ローター35は、分散ローター32の回転方向と同方向に回転するのが、分級の効率を高め、トナー粒子の表面改質の効率を高める上で好ましい。微粉排出管は、分級ローター35により除去された微粉及び超微粉を装置外に排出するための微粉排出口45を有している。
【0185】
該表面改質装置は、天板43に対して垂直な軸を有する案内手段としての円筒状のガイドリング36を本体ケーシング30内に有している。該ガイドリング36は、その上端が天板から所定距離離間して設けられており、分級ローター36の少なくとも一部を覆うようにガイドリングは、支持体により本体ケーシング30に固定されている。ガイドリング36の下端は分散ローター32の角形ディスク33から所定距離離間して設けられる。
【0186】
該表面改質装置内において、分級ローター35と分散ローター32との間の空間が、ガイドリング36の外側の第一の空間47と、ガイドリング36の内側の第二の空間48とにガイドリング36によって二分される。第一の空間47は微粉砕物及び表面改質処理された粒子を分級ローター35へ導くための空間であり、第二の空間は微粉砕物及び表面改質処理された粒子を分散ローターへ導くための空間である。分散ローター32上に複数個設置された角型のディスク33と、ライナー34との間隙部分が表面改質ゾーン49であり、該分級ローター35及び該分級ローター35の周辺部分が分級ゾーン50である。
【0187】
原料ホッパー380に導入された微粉砕物は、定量供給機315を経由して、投入管の原料投入口37から原料供給弁38を通って原料供給口39より装置内に供給される。表面改質装置には、冷風発生手段319で発生させた冷風を冷風導入口46から本体ケーシング内に供給し、さらに、冷水発生手段320からの冷水を冷水ジャケット31に供給し、本体ケーシング内の温度を所定温度に調整する。供給された微粉砕物は、ブロアー364による吸引風量、分散ローター32の回転及び分級ローター35の回転により形成される旋回流により、円筒状のガイドリング36の外側の第一の空間47を旋回しながら分級ローター35近傍の分級ゾーン50に到達して分級処理が行われる。本体ケーシング30内に形成される旋回流の向きは、分散ローター32及び分級ローター35の回転方向と同じである。
【0188】
分級ローター35によって除去されるべき微粉及び超微粉は、ブロワー364の吸引力より分級ローター35のスリットより吸引され微粉排出管の微粉排出口45及びサイクロン入口359を経由してサイクロン369及びバグ362に捕集される。微粉及び超微粉を除去された微粉砕物は第二の空間48を経由して分散ローター32近傍の表面改質ゾーン49に至り、分散ローター32に具備される角型ディスク33(ハンマー)と本体ケーシング30に具備されたライナー34によって粒子の表面改質処理が行われる。表面改質が行われた粒子はガイドリング36に沿って旋回しながら再び分級ローター35近傍に到達し、分級ローター35の分級により表面改質された粒子からの微粉及び超微粉の除去がおこなわれる。所定の時間処理を行った後、排出弁41を開き、表面改質装置から所定粒径以下の微粉及び超微粉が除かれた表面改質されたトナー粒子を取り出す。
【0189】
所定の重量平均径に調整され、所定の粒度分布に調整され、さらに所定の円形度に表面改質されたトナー粒子は、トナー粒子の輸送手段321により外添剤の外添工程に移送される。
【0190】
本発明に用いることができる表面改質装置は、鉛直方向下側より分散ローター32、微粉砕物(原料)の投入部39、分級ローター35及び微粉排出部を有している。従って、通常、分級ローター35の駆動部分(モーター等)は分級ローター35の更に上方に設けられ、分散ローター32の駆動部分は分散ローター32の更に下方に設ける。本発明で用いる表面改質装置は、例えば特開2001−259451号公報に記載されている分級ローター35のみを有するTSP分級機(ホソカワミクロン社製)の様に、微粉砕物(原料)を分級ローター35の鉛直上方向より供給することは困難である。
【0191】
本発明において、分級ローター35の最も径の大きい箇所の先端周速は30m/sec以上120m/sec以下であることが好ましい。分級ローターの先端周速は50m/sec以上115m/sec以下であることがより好ましく、70m/sec以上110m/sec以下であることが更に好ましい。30m/secより遅い場合は、分級収率が低下しやすく、トナー粒子中に超微粉が増加する傾向にあり好ましくない。120m/secより速い場合は、装置の振動の増加の問題が生じやすい。
【0192】
更に、分散ローター32の最も径の大きい箇所の先端周速は20m/sec以上150m/sec以下であることが好ましい。分散ローター32の先端周速は40m/sec以上140m/sec以下であることがより好ましく、50m/sec以上130m/sec以下であることが更に好ましい。20m/secより遅い場合は、十分な円形度を有する表面改質粒子を得ることが困難であり好ましくない。150m/secより速い場合は、装置内部の昇温による装置内部での粒子の固着が生じやすく、トナー粒子の分級収率の低下が生じやすく好ましくない。分級ローター35及び分散ローター32の先端周速を上記範囲とすることにより、トナー粒子の分級収率を向上させ、効率良く粒子の表面改質をおこなうことができる。
【0193】
本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を図7に示す。図7において、静電潜像担持体である電子写真感光体1は図中矢印方向に回転する。感光体1は帯電手段である帯電装置2により帯電され、帯電した感光体1表面には、静電潜像形成手段である露光装置3によりレーザー光Lを投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置4により静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置5により転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置6により加熱定着され、画像として出力される。この転写手段において、転写されずに感光体表面に残った転写残トナーは、図8に示したようなクリーニング手段であるクリーニング装置7で回収したり、図9に示したような均し手段である補助ブラシ帯電装置8でバイアスを印加しながら転写残トナーに静電的な極性を与え、前述の帯電手段、静電潜像形成手段を経て、再度現像に供されるかもしくは現像装置に回収されてもよい。
【0194】
また本発明においては、現像装置4は、二成分系現像剤を用いた現像装置であることが好ましく、現像剤容器4gから補給用の二成分系現像剤が補給されるとともに、余剰の現像剤を排出するための現像剤排出機構を有していることが好ましい。ここで、補給される二成分系現像剤は、磁性キャリア1質量部に対してトナー2質量部以上50質量部以下であることが好ましい。補給用現像剤に上記範囲の配合割合の磁性キャリアを用いることは、長期にわたって良好な帯電性、現像性を有するので好ましい。磁性キャリア1質量部に対してトナーが2質量部未満である場合は、耐久劣化を抑制する効果が薄れてしまう。トナーが50質量部を超える場合は、現像剤の排出量が多くなりすぎてコストアップの要因となってしまう。
【0195】
ここで、本発明に使用できる画像形成方法の各工程に関して、更に詳しく説明する。
【0196】
帯電工程は、感光体の表面に電荷を付与して電子写真感光体を帯電させる手段であれば特に限定されない。帯電手段には、コロナ帯電手段のように、電子写真感光体に対して非接触で電子写真感光体を帯電させる装置や、導電性のローラやブレードを電子写真感光体に接触させて電子写真感光体を帯電させる装置が使用可能である。
【0197】
静電潜像形成工程は、露光手段として公知の露光装置が使用できる。例えば、光源は半導体レーザまたは発光ダイオードが用いられ、ポリゴンミラー、レンズ、ミラーから成る走査光学系ユニットを用いることができる。
【0198】
静電潜像を形成できる領域には、主走査方向の領域と副走査方向の領域がある。感光体上における主走査方向の領域は、感光体の回転軸に平行な方向におけるレーザビーム照射開始可能位置からレーザビーム照射終了位置までの領域である。また、感光体表面上における副走査方向の領域は、画像データ1ページ分における最初の主走査ラインの照射可能位置から最終の主走査ラインの照射可能位置までの領域である。
【0199】
静電潜像形成工程について具体的に説明する。まずは、光源である半導体レーザからレーザビームを回転するポリゴンミラーに照射する。そして、周期的に偏向して反射されるレーザビームを走査レンズによって集束させて、副走査方向に回転する感光体上を副走査方向と直交する主走査方向に反復走査することで、感光体上に静電潜像の露光を行う。
【0200】
現像工程は、主としてキャリアが不要な一成分系接触現像方法とトナーとキャリアを有する二成分系現像方法に分けられるが、いずれも使用可能である。本発明においては、二成分系現像方法を好ましく用いる。
【0201】
二成分系現像方法としては、磁石を内包した現像剤担持体(現像スリーブ)上に非磁性トナーと磁性キャリアを有する二成分系現像剤の磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを現像剤層厚規制部材により所定の層厚にコートした後、感光体に対向する現像領域へと搬送し、該現像領域においては、感光体と現像スリーブの間に所定の現像バイアスを印加しながら、該磁気ブラシを感光体表面に近接/又は接触させることによって、上記静電潜像をトナー像として顕像化する方法である。
【0202】
このような二成分系現像剤に使用できる磁性キャリアとしては、鉄粉キャリア、フェライトキャリア、あるいは磁性微粒子をバインダー樹脂中に分散した磁性微粒子分散型樹脂キャリア等が挙げられる。鉄粉キャリアにおいては、キャリア自身の比抵抗が低いために、静電潜像の電荷がキャリアを通してリークしてしまい、静電潜像を乱すことから画像欠陥を生じてしまう場合がある。又、フェライトキャリアにおいては、キャリア自身の比抵抗は比較的高いものの、大きな飽和磁化を有しているために磁気ブラシが剛直となりやすく、トナー画像に磁気ブラシのはき目ムラを生じてしまう場合がある。そのため、低比重なポーラス状のフェライトキャリアや、磁性微粒子をバインダー樹脂中に分散した磁性微粒子分散型樹脂キャリアが好適に用いられる。低比重なポーラス状のフェライトキャリアや磁性微粒子分散型樹脂キャリアは、従来のフェライトキャリアよりも比抵抗が比較的に高く、且つ飽和磁化も小さく、真比重も小さくなることから、静電潜像の電荷リークを防止するとともに、磁気ブラシも剛直になることがないので、画像欠陥やはき目ムラのない良好なトナー画像を形成することができるという点で好ましい。
【0203】
また、低比重なポーラス状のフェライトキャリアや磁性微粒子分散型樹脂キャリア表面には樹脂被覆層を有してもよい。樹脂被覆層を構成する材料としては、少なくとも結着樹脂を有していればよいが、抵抗調整剤としての導電性微粒子や凹凸を形成するための微粒子、トナーへの帯電付与性を有する帯電制御材等の添加剤を含有してもよい。更には、キャリア表面と樹脂被覆層との密着性を高めるために、カップリング剤等で処理されていてもよい。
【0204】
転写工程は、コロナ転写手段のように、感光体に対して非接触で感光体表面のトナー像を転写材に転写させる方法や、ローラや無端状ベルトの転写部材を感光体に接触させて感光体表面のトナー像を転写材に転写させる方法が有り、いずれも使用可能である。
【0205】
また、本発明の画像形成方法においては、図8に示したように、転写後で帯電工程の前に感光体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング工程7を更に含んでもよい。クリーニング工程7においては、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等の公知の方法があるが、いずれも使用可能である。
【0206】
また、本発明の画像形成方法においては、図9に示したように、転写後で帯電工程の前に感光体上の転写残トナーを均し、現像時の転写残トナーの回収率を向上させるために、転写残トナーの帯電極性の均一化を目的として、バイアス印加手段を有する均し工程8を更に含んでもよい。
【0207】
均し工程8においては、トナーが負帯電性の場合は、転写残トナーを負帯電させるバイアスを印加させることにより、帯電工程での帯電部材への転写残トナーの付着が軽減できるため好ましい。これにより、現像時における転写残トナーの回収率が向上する。また、均し部材としては、ブラシ状のものが好ましく用いられる。更にこのような均し部材は、複数個設けることにより、帯電部材のへの転写残トナーの付着の軽減や、現像時における転写残トナーの回収率が高まるため好ましい。
【0208】
定着工程は、従来の一対のローラからなるハードローラ系の定着装置や、図2に示したような近年の画像形成装置の高速化や省エネ化に対応した軽圧定着システムを用いたベルト定着装置など、いずれの定着装置も使用可能である。本発明においては、画像形成装置の高速化や省エネ化、記録材の多様化の観点から、ベルト定着を例にとって説明していく。
【0209】
ベルト定着等の軽圧定着システムは、熱容量が小さいことから、定着設定温度(温調温度)への到達時間を短縮でき、クイックスタートに優れる。また、従来のハードローラ系のような肉厚の金属部品や複数のヒータ類を使用しないことから、定着器自体を小型化・軽量化できるという利点を有する。
【0210】
またベルト定着は、ニップを形成する少なくとも一方の部材が無端状ベルトであることから、幅広の定着ニップ幅(ワイドニップ)を容易に形成できるので、記録材の加熱時間を多くすることができ、高速定着に有利であるといえる。また高グロス、高彩度といった面でも有利であるといえる。これに対し、従来のハードローラ系は、ニップを幅広く形成するためには、弾性層を厚くする必要があるため、熱容量が大きくなり省エネの観点から不利であるといえる。そのため、弾性層を厚くすること無く、ワイドニップを容易に形成できるベルト定着は、熱容量も小さく、高速化及び省エネ化を両立できる定着方式として、本発明において好ましく用いられる。
【0211】
一方で、上記したベルト定着においては、ワイドニップを形成できる反面、連続複写による定着温度低下が生じやすく、ニップ部における定着温度分布も不均一となりやすい。また、ニップ部における定着圧分布も付近一となりやすい。ベルト定着において加圧力を大きくすると、ベルトを駆動する回転体に対してベルトがスリップしたり、ベルトを張架しているローラの左右にベルトが寄り移動したりするため、加圧力を小さくしなければならない。このように、ベルトにおける「加圧力」に関しては、ハードローラ系に比べて軽圧となってしまう傾向がある。
【0212】
しかし、本発明のトナーを用いることで、このような近年の高速化、省エネ化に優れた軽圧定着システムの上記した懸念点は解決されるものである。
【0213】
また、本発明の画像形成方法を用いたフルカラー画像形成装置の一例を図10に示す。図中のPK、PY、PC、PMの並びや回転方向を示す矢印は何らこれに限定されるものではない。図10において、静電潜像担持体である電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mは図中矢印方向に回転する。各感光体は帯電手段である帯電装置2K、2Y、2C、2Mにより帯電され、帯電した各感光体表面には、静電潜像形成手段である露光装置3K、3Y、3C、3Mによりレーザー光Lを投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置10K、10Y、10C、10Mにより静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置19K、19Y、19C、19Mにより転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置12により加熱定着され、画像として出力される。ここで、17K、17Y、17C、17Mは現像剤担持体であり、13は転写ベルト、14及び15は転写ベルトの駆動部材を示す。
【0214】
以下に、本発明に関わる測定方法について詳細に述べる。
【0215】
<単位濃度あたりのトナー吸光度A/C測定>
トナーを10mg秤量し、ピペットでクロロホルム10ml加え溶解する。さらに、5倍に希釈し、約0.2mg/mlのクロロホルム溶液として、紫外可視外分光光度測定用試料とした。測定には、紫外可視外分光光度計V−500V(日本分光株式会社製)を用い、光路長10mm幅となる石英セルを用い波長350nm〜800nmの範囲で吸光度を測定した。シアントナーは波長712nm、マゼンタトナーは、538nm、イエロートナーは、422nmにおける吸光度を読み取り、クロロホルム溶液のトナー濃度で除し、単位濃度あたりの吸光度A/Cを算出した。
【0216】
<粉体状態のトナーのL*及びC*>
粉体状態のトナーにおけるL*及びC*は、JIS Z−8722に準拠する分光式色差計「SE−2000」(日本電色工業社製)を用い、光源はD50光源2度視野で測定した。測定は付属の取り扱い説明書に沿って行ったが、標準板の標準合わせには、オプションの粉体測定用セル内に2mm厚でΦ30mmのガラスを介した状態で行った。より詳しくは、前記分光式色差計の粉体試料用試料台(アタッチメント)上に、試料粉体を充填したセルを設置した状態で測定を行った。尚、セルを粉体試料用試料台に設置する以前に、セル内の内容積に対して80%以上粉体試料を充填し、振動台上で1回/秒の振動を30秒間加えた上で測定した。
【0217】
<磁性キャリアの真比重測定>
真比重の測定法としては、ヘリウムによるガス置換式の測定法を用いた。測定装置はアキュピック1330(島津製作所社製)を用いた。測定条件は、ステンレス製の内径18.5mm,長さ39.5mm,容量10cm3のセルに、測定サンプルを4g入れる。次いで、試料セル中のサンプルの容積をヘリウムの圧力変化によって測定し、求められた容積とサンプルの重さから真比重を求める。
【0218】
<二成分系現像剤の圧縮抵抗>
トナー8質量部、磁性キャリア92質量部の割合で混合し現像剤とした。この現像剤を用いて、23℃、50%RH下で圧縮時の体積抵抗を測定した。測定には、高抵抗率測定器ハイレスタ(三菱油化製)と粉体抵抗測定冶具を用いて、40kPa及び200kPaの圧縮下、直流電圧を100V印加して測定し、二成分系現像剤の圧縮抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0219】
<トナー用無機微粒子、キャリア被覆用樹脂組成物に用いる添加粒子の体積抵抗値測定>
トナー用無機微粒子、キャリア被覆用樹脂組成物に用いる添加粒子の体積抵抗の測定には、1.0×105Ω・cm未満の粒子に関しては低抵抗率測定器ロレスタ(三菱油化製)、1.0×105Ω・cm以上の粒子に関しては高抵抗率測定器ハイレスタ(三菱油化製)を用いて行った。
【0220】
<現像剤の23℃、50%RH下でのトナー帯電量>
トナー8質量部、磁性キャリア92質量部の割合で混合し現像剤とした。この現像剤を用いて、23℃、50%RH下でのトナー帯電量を測定した。測定には帯電量測定装置(三共パイオテク製)を用いて測定し、現像剤の23℃、50%RH下でのトナー帯電量(mC/kg)を求めた。
【0221】
<キャリアの動的抵抗>
磁性キャリアを400g用意し、清掃したキヤノン(株)社製CLC5000現像器に磁性キャリアを入れ、現像剤担持体である現像ローラ上(アルミ製24.5φ)のキャリア量が30mg/cm2になるように、現像ローラと規制ブレードの間隔を調整した。現像ローラ対向に60φのアルミシリンダ(軸方向長さ358mm)をセットし、現像ローラとシリンダの間隔が400μmになるように調整した。アルミシリンダは周方向に200mm/sの速度で、現像シリンダはアルミシリンダと順方向に360mm/sの速度で回転させた。なお、アルミシリンダはグランド(電位0V)に設置し、現像ローラに直流で、+50Vから+1000Vまでの電圧を加え、流れる電流値より磁性キャリアの動的抵抗を求めた。
【0222】
<キャリア構成材料の平均粒径測定>
粒度分布測定は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)にて測定を行った。平均粒径としては、個数平均粒径D1(μm)を求めた。
【0223】
<フェライトキャリアコアのかさ密度測定>
JISZ 2504に従いかさ密度を測定した。
【0224】
<フェライトキャリアコアの真密度測定>
磁性キャリアの真比重は、乾式自動密度計オートピクノメーター(ユアサアイオニクス社製)により測定した。
セル SMセル(10mL)
サンプル量 2.0g
【0225】
この測定方法は、気相置換法に基づいて、固体・液体の真密度を測定するものである。液相置換法と同様、アルキメデスの原理に基づいているが、置換媒体としてガスを用いるため、微細孔への精度が高い。
【0226】
<キャリアコア及び磁性キャリアの粒度分布測定>
粒度分布測定は、マイクロトラックMT3300EXII(日機装社製)にて測定を行った。測定には、乾式測定用のリニアドライフィーダMarkIIを装着して行った。粒径は体積平均粒径D4(μm)を求めた。
【0227】
<トナー用結着樹脂及びキャリア被覆用樹脂の分子量測定>
樹脂の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に測定し、測定には、HLC−8120GPC(東ソー社製)を用いた。
【0228】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.5質量%に調整したコート樹脂のTHF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いはPressure Chemical Co.製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0229】
カラムとしては、103乃至2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせや、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせを挙げることができる。
【0230】
<トナーの平均円形度の測定>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
【0231】
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
【0232】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
【0233】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【0234】
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
【0235】
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
【0236】
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円形当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円形当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
C=2×√(π×S)/L
【0237】
粒子像が円形の時に円形度は1になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.2〜1.0の範囲を800分割し、測定粒子数を用いて平均円形度の算出を行っている。
【0238】
<BET比表面積の測定>
BET比表面積は、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて、BET法に従って、試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出した。
【0239】
<トナーの粒度分布測定>
測定装置としては、コールターカウンターTA−II或いはコールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、約1%NaCl水溶液を用いる。電解液には、1級塩化ナトリウムを用いて調製された電解液や、例えば、ISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。
【0240】
測定方法としては、前記電解水溶液100ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、1mlを加え、さらに測定試料を10mg加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1〜3分間分散処理し、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、前記測定装置により、試料の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布とを算出する。得られたこれらの分布から、試料の重量平均粒径(D4)を求める。チャンネルとしては、2.00乃至2.52μm;2.52乃至3.17μm;3.17乃至4.00μm;4.00乃至5.04μm;5.04乃至6.35μm;6.35乃至8.00μm;8.00乃至10.08μm;10.08乃至12.70μm;12.70乃至16.00μm;16.00乃至20.20μm;20.20乃至25.40μm;25.40乃至32.00μm;32乃至40.30μmの13チャンネルを用いる。
【実施例】
【0241】
以下、具体的製造例及び実施例をもって本発明を更に詳しく説明するが、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
【0242】
<トナー用結着樹脂(B−1)の製造例>
ビニル系共重合体の材料として、スチレン5質量部、2−エチルヘキシルアクリレート2.5質量部、フマル酸1質量部、α−メチルスチレンの2量体2.5質量部にジクミルパーオキサイドを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン30質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン20質量部、テレフタル酸10質量部、無水トリメリット酸5質量部、フマル酸24質量部及び無機錫をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、この四つ口フラスコをマントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系共重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、3時間反応を進め、トナー用結着樹脂である(B−1)を得た。得られたトナー用結着樹脂(B−1)のピーク分子量(Mp)は4500、Mw/Mnは28、Tgは57.5℃であった。
【0243】
<マスターバッチ製造例1>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Pc−1)を作製した。
【0244】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 40質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Pc−1)を得た。
【0245】
<マスターバッチ製造例2>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Pm−1)を作製した。
【0246】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
C.I.ピグメントレッド57 20質量部
C.I.ピグメントレッド122 20質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Pm−1)を得た。
【0247】
<マスターバッチ製造例3>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Py−1)を作製した。
【0248】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
C.I.ピグメントイエロー74 40質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Py−1)を得た。
【0249】
<マスターバッチ製造例4>
下記に示す材料及び製法を用いてマスターバッチ(Pk−1)を作製した。
【0250】
トナー用結着樹脂(B−1) 60質量部
カーボンブラック(平均粒径40nm、DBP吸油量140mg/100g)
40質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、マスターバッチ(Pk−1)を得た。
【0251】
<荷電制御樹脂の製造例1>
温度計、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中にイソプロピルアルコール286質量部を仕込み、スチレン810質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸70質量部、イソプロピルアルコール401質量部及び水2575質量部の混合懸濁溶液と、メチルエチルケトン755質量部、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)35質量部の混合溶液とを78℃で2時間かけて同時に滴下して重合した。更に、同一温度にて4時間熟成した後、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを蒸留除去した後、固液分離を行い、乾燥することで荷電制御樹脂(C−2)を得た。
【0252】
<シアントナー製造例1>
下記に示す材料及び製法を用いてシアントナー1を作製した。
【0253】
トナー用結着樹脂(B−1) 91.9質量部
マスターバッチ(Pc−1) 13.5質量部
ノルマルパラフィンワックス(W−1:融点75℃) 5質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(C−1) 1.5質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、機械式粉砕機(ターボミル、ターボ工業製)を用いて微粉砕した。粉砕条件としては、回転子の回転数を120s-1として粉砕処理した。
【0254】
次に、得られた微粉砕物を表面改質処理装置(ファカルティ、ホソカワミクロン製)を用い、分級ローター回転数120s-1で微粒子を除去しながら、分散ローター回転数100s-1(回転周速を130m/sec)で60秒間表面処理を行ってトナー粒子を得た。
【0255】
そして得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積88m2/g、体積抵抗値1.5×106Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した。その後、更にBET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量部、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量部を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、5分間混合してシアントナー1を得た。得られたシアントナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0256】
<シアントナー製造例2>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー2を得た。得られたシアントナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0257】
<シアントナー製造例3>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー3を得た。得られたシアントナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0258】
<シアントナー製造例4>
シアントナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部添加した以外は、シアントナー製造例3と同様にしてシアントナー4を得た。得られたシアントナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0259】
<シアントナー製造例5>
シアントナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、シアントナー製造例4と同様にしてシアントナー5を得た。得られたシアントナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0260】
<シアントナー製造例6>
シアントナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、シアントナー製造例3と同様にしてシアントナー6を得た。得られたシアントナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0261】
<シアントナー製造例7>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー7を得た。得られたシアントナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0262】
<シアントナー製造例8>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー8を得た。得られたシアントナー8の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0263】
<シアントナー製造例9>
シアントナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、シアントナー製造例1と同様にしてシアントナー9を得た。得られたシアントナー9の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0264】
<シアントナー製造例10>
下記に示す材料及び製法を用いてシアントナー10を作製した。
【0265】
トナー用結着樹脂(B−1) 100質量部
C.I.ピグメントブルー15:3 4.5質量部
ノルマルパラフィンワックス(W−1:融点75℃) 5質量部
3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(C−1) 1.5質量部
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、混練物温度が140℃になるように設定した二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、トナー粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、機械式粉砕機(ターボミル、ターボ工業製)を用いて微粉砕した。粉砕条件としては、回転子の回転数を120s-1として粉砕処理した。
【0266】
次に、得られた微粉砕物を風力分級機(エルボジェットプロ、日鉄鉱業製)を用いて分級しトナー粒子を得た。
【0267】
そして得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合してシアントナー10を得た。得られたシアントナー10の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0268】
<シアントナー製造例11>
シアントナー製造例10において、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例10と同様にしてシアントナー11を得た。得られたシアントナー11の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0269】
<マゼンタトナー製造例1>
シアントナー製造例1において、マスターバッチ(Pc−1)をマスターバッチ(Pm−1)に変更し、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー1を得た。得られたマゼンタトナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0270】
<マゼンタトナー製造例2>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー2を得た。得られたマゼンタトナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0271】
<マゼンタトナー製造例3>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー3を得た。得られたマゼンタトナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0272】
<マゼンタトナー製造例4>
マゼンタトナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(c−2)を0.5質量部添加した以外は、マゼンタトナー製造例3と同様にしてマゼンタトナー4を得た。得られたマゼンタトナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0273】
<マゼンタトナー製造例5>
マゼンタトナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(c−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、マゼンタトナー製造例4と同様にしてマゼンタトナー5を得た。得られたマゼンタトナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0274】
<マゼンタトナー製造例6>
マゼンタトナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、マゼンタトナー製造例3と同様にしてマゼンタトナー6を得た。得られたマゼンタトナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0275】
<マゼンタトナー製造例7>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー7を得た。得られたマゼンタトナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0276】
<マゼンタトナー製造例8>
マゼンタトナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、マゼンタトナー製造例1と同様にしてマゼンタトナー8を得た。得られたマゼンタトナー8の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0277】
<イエロートナー製造例1>
シアントナー製造例1において、マスターバッチ(Pc−1)をマスターバッチ(Py−1)に変更し、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてイエロートナー1を得た。得られたイエロートナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0278】
<イエロートナー製造例2>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー2を得た。得られたイエロートナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0279】
<イエロートナー製造例3>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー3を得た。得られたイエロートナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0280】
<イエロートナー製造例4>
イエロートナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部添加した以外は、イエロートナー製造例3と同様にしてイエロートナー4を得た。得られたイエロートナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0281】
<イエロートナー製造例5>
イエロートナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、イエロートナー製造例4と同様にしてイエロートナー5を得た。得られたイエロートナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0282】
<イエロートナー製造例6>
イエロートナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、イエロートナー製造例3と同様にしてイエロートナー6を得た。得られたイエロートナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0283】
<イエロートナー製造例7>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー7を得た。得られたイエロートナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0284】
<イエロートナー製造例8>
イエロートナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、イエロートナー製造例1と同様にしてイエロートナー8を得た。得られたイエロートナー8の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0285】
<ブラックトナー製造例1>
シアントナー製造例1において、マスターバッチ(Pc−1)をマスターバッチ(Pk−1)に変更し、表1に示したような配合比にした以外は、シアントナー製造例1と同様にしてブラックトナー1を得た。得られたブラックトナー1の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0286】
<ブラックトナー製造例2>
ブラックトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、ブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー2を得た。得られたブラックトナー2の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0287】
<ブラックトナー製造例3>
ブラックトナー製造例1において、表1に示したような配合比にした以外は、ブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー3を得た。得られたブラックトナー3の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0288】
<ブラックトナー製造例4>
ブラックトナー製造例3において、表1に示したように更に荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部添加した以外は、ブラックトナー製造例3と同様にしてブラックトナー4を得た。得られたブラックトナー4の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0289】
<ブラックトナー製造例5>
ブラックトナー製造例4において、表1に示したように荷電制御樹脂(C−2)を0.5質量部から1.0質量部に変更した以外は、ブラックトナー製造例4と同様にしてブラックトナー5を得た。得られたブラックトナー5の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0290】
<ブラックトナー製造例6>
ブラックトナー製造例3において、表面改質処理後に熱球形化装置(メテオレインボー、日本ニューマチック製)を用い熱球形化処理するとともに、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカを、BET比表面積143m2/g、体積抵抗値2.7×1012Ω・cmの疎水性シリカに変更した以外は、ブラックトナー製造例3と同様にしてブラックトナー6を得た。得られたブラックトナー6の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0291】
<ブラックトナー製造例7>
ブラックトナー製造例1において、表1に示したような配合比にするとともに、表面改質処理後に得られたトナー粒子100質量部に、BET比表面積82m2/g、体積抵抗値4.2×108Ω・cmのルチル型の酸化チタン1.0質量部、BET比表面積92m2/g、体積抵抗値1.3×1012Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%、及び平均粒径120nm、体積抵抗値2.3×1011Ω・cmの疎水性シリカ1.5質量%を添加し、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で回転数30s-1、10分間混合した以外は、ブラックトナー製造例1と同様にしてブラックトナー7を得た。得られたブラックトナー7の構成を表1及び2、物性を表3に示す。
【0292】
【表1】
【0293】
【表2】
【0294】
【表3】
【0295】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例1>
下記に示す材料を用いて磁性体分散型樹脂キャリアコア1を作製した。
【0296】
フェノール 10質量部
ホルムアルデヒド溶液(33質量%水溶液) 15質量部
シランカップリング処理したマグネタイト粒子 85質量部
(平均粒径0.30μm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗2.5×105Ω・cm)
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、1.8m/secの周速で撹拌、混合しながら30分間で85℃まで昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、マグネタイト粒子が分散された状態の磁性体分散型樹脂キャリアコア1を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア1の構成を表4に示す。
【0297】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例2>
磁性体分散型樹脂キャリアコアの製造例1において、マグネタイト粒子の添加量を85質量部から77質量部に変更し、更に平均粒径0.20μmのヘマタイト粒子を8質量部添加した以外は、磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例1と同様にして、磁性体分散型樹脂キャリアコア2を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア2の構成を表4に示す。
【0298】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例3>
磁性体分散型樹脂キャリアコアの製造例1において、マグネタイト粒子の添加量を85質量部から60質量部に変更し、更に平均粒径0.20μmのヘマタイト粒子を25質量部添加した以外は、磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例1と同様にして、磁性体分散型樹脂キャリアコア3を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア3の構成を表4に示す。
【0299】
<磁性体分散型樹脂キャリアコア製造例4>
下記に示す材料を用いて磁性体分散型樹脂キャリアコア4を作製した。
【0300】
スチレン−アクリル樹脂 25質量部
シランカップリング処理したマグネタイト粒子 75質量部
(平均粒径0.20μm、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗2.5×105Ω・cm)
上記の材料をヘンシェルミキサー(FM−20型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸式押出機(PCM−30型、池貝製作所製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、得られた粗砕物を、気流式粉砕機(I−2型、日本ニューマチック製)を用いて微粉砕した。次に、得られた微粉砕物を風力分級機(エルボジェットプロ、日鉄鉱業製)を用いて分級し、ハイブリタイザー(奈良機械製)を用いて表面改質処理を行うことにより磁性体分散型樹脂キャリアコア4を得た。得られた磁性体分散型樹脂キャリアコア4の構成を表4に示す。
【0301】
【表4】
【0302】
<フェライトキャリアコア製造例1>
Fe2O3;66.0質量%、MnO;28.0質量%、MgO;5.0質量%、SrO;1.0質量%となるように秤量し水を加えてボールミルで湿式混合した。この混合物を、乾燥、粉砕した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をクラッシャーミルで粉砕した。得られた粉砕物に水を加え湿式ボールミルで0.4μm程度に微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
【0303】
得られたフェライトスラリーに、空孔形成剤としてポリエステル微粒子(平均粒径2.0μm)を5%、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量%添加し、スプレードライヤーにより造粒した。
【0304】
得られた造粒物を、電気炉にて、酸素ガス濃度1.0%の窒素ガス雰囲気下にて1200℃で4時間焼成した後、窒素雰囲気下にて30分焼成した。その後、さらに分級することによりMn−Mg−Srフェライトのポーラス状のフェライトキャリアコア1を得た。得られたフェライトキャリアコア1の構成を表5に示す。
【0305】
<フェライトキャリアコア製造例2>
フェライトキャリアコア製造例1において、ポリエステル微粒子の添加量を5%から10%に変更するとともに、ポリビニルアルコールの添加量を2%から4%に変更した以外は、フェライトキャリアコア製造例1と同様にしてポーラス状のフェライトキャリアコア2を得た。得られたフェライトキャリアコア2の構成を表5に示す。
【0306】
<フェライトキャリアコア製造例3>
Fe2O3;74.0質量%、LiO;22.0質量%、MgO;4.0質量%となるように秤量し水を加えてボールミルで湿式混合した。この混合物を、乾燥、粉砕した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をクラッシャーミルで粉砕した。得られた粉砕物に水を加え湿式ボールミルで0.4μm程度に微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
【0307】
得られたフェライトスラリーに、空孔形成剤としてCaCO3(平均粒径2.0μm)を5質量%、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量%添加し、スプレードライヤーにより造粒した。
【0308】
得られた造粒物を、電気炉にて、酸素ガス濃度1.0%の窒素ガス雰囲気下にて1200℃で4時間焼成した後、窒素雰囲気下にて30分焼成した。その後、さらに分級することによりLi−Mg−Caフェライトのポーラス状のフェライトキャリアコア3を得た。得られたフェライトキャリアコア3の構成を表5に示す。
【0309】
<フェライトキャリアコア製造例4>
Fe2O3;75.0質量%、ZnO;15.0質量%、CuO;10.0質量%となるように秤量し水を加えてボールミルで湿式混合した。この混合物を、乾燥、粉砕した後、900℃で2時間仮焼し、仮焼されたフェライト組成物をクラッシャーミルで粉砕した。得られた粉砕物に水を加え湿式ボールミルで0.4μm程度に微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
【0310】
得られたフェライトスラリーに、バインダーとしてポリビニルアルコール2質量%添加し、スプレードライヤーにより造粒した。
【0311】
得られた造粒物を、電気炉にて、窒素ガス雰囲気下にて1000℃で8時間焼成した後、さらに分級することによりCu−Znフェライトのフェライトキャリアコア4を得た。得られたフェライトキャリアコア4の構成を表5に示す。
【0312】
【表5】
【0313】
<被覆用樹脂組成物の製造例1>
次にキャリアコア表面に被覆する樹脂組成物1を作製した。
【0314】
下記式
【0315】
【化6】
で示される構造を有する一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメタクリル酸メチルマクロマー(式中のnは繰り返し回数を示す)10質量部、メタクリル酸メチルモノマー90質量部を、還流冷却器、温度計、窒素吸い込み管、及びすり合わせ方式撹拌装置を有する四つ口フラスコに加えた。さらにトルエン90質量部、メチルエチルケトン110質量部、及びアゾビスイソバレロニトリル2.0質量部を加えた。得られた混合物を、窒素気流下70℃で10時間保持し、グラフト共重合体溶液を得た。
【0316】
この溶液の固形分100質量部に対して、平均粒径32nm、体積抵抗5.5×10-4Ω・cmの導電性カーボンブラックを10質量部、及びメチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体のトルエン溶液を50質量部(固形分20%)、平均粒径0.25μm、体積抵抗3.3×1011Ω・cmのメラミン粒子を10質量部を添加し、ビーズミルにて分散を行い、樹脂組成物1を得た。得られた樹脂組成物1の構成を表6に示す。
【0317】
<被覆用樹脂組成物の製造例2>
ストレートシリコーンを20質量%と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.5質量部、及びトルエン79.5質量部を混合し、樹脂組成物2を得た。
【0318】
<被覆用樹脂組成物の製造例3>
被覆樹脂組成物の製造例1において、グラフト共重合体溶液を樹脂組成物2に変更した以外は、被覆用樹脂組成物の製造例1と同様にして樹脂組成物3を得た。得られた樹脂組成物3の構成を表6に示す。
【0319】
【表6】
【0320】
<磁性キャリア製造例1>
続いて、流動層コーティング装置(スパイラフロー、フロイント産業(株)製)を用いて、磁性体分散型樹脂キャリアコア100質量部を80℃にて流動させながら、樹脂組成物1を固形分で1.5質量部をスプレーノズルにて吹き付けた。その後、流動させながら溶媒を100℃で揮発、乾燥させて、コア表面へのコートを行った。このコートされた磁性体分散型樹脂キャリアを目開き75μmの篩で分級して、真比重3.5g/cm3、動的抵抗値8.8×105Ω・cmの磁性キャリア1を得た。得られた磁性キャリア1の構成を表7に示す。
【0321】
<磁性キャリア製造例2乃至4>
磁性キャリア製造例1において、磁性体分散型樹脂キャリアコア1を磁性体分散型樹脂キャリアコア2乃至4に変更した以外は、磁性キャリア製造例1と同様にして磁性キャリア2乃至4を得た。得られた磁性キャリア2乃至4の構成を表7に示す。
【0322】
<磁性キャリア製造例5>
フェライトキャリアコア1に対して樹脂組成物2が固形分で15質量%になるように樹脂被覆層(下層)のコートを行った。樹脂被覆層(下層)のコートには、万能混合撹拌機(不二パウダル製)を用いて80℃に加熱し減圧しながら行った。尚、樹脂組成物1は、0分、30分、60分、90分の4回に分けて投入し、その後90分撹拌した。
【0323】
続いて、流動層コーティング装置(スパイラフロー、フロイント産業(株)製)を用いて、磁性体分散型樹脂キャリアコア100質量部を80℃にて流動させながら、樹脂組成物3を固形分で1.0質量部スプレーノズルにて吹き付け、その後、流動させながら溶媒を120℃で揮発、乾燥させて、コア表面への樹脂被覆層(上層)の形成を行い、このコートされた磁性体分散型樹脂キャリアを目開き75μmの篩で分級して、真比重4.0g/cm3、動的抵抗値5.5×106Ω・cmの磁性キャリア5を得た。得られた磁性キャリア5の構成を表7に示す。
【0324】
<磁性キャリア製造例6及び7>
磁性キャリア製造例5において、フェライトキャリアコア1をフェライトキャリアコア2及び3に変更するとともに、樹脂被覆層(下層)のコート量を表7に示したように変更した以外は、磁性キャリア製造例5と同様にして磁性キャリア6及び7を得た。得られた磁性キャリア6及び7の構成を表7に示す。
【0325】
<磁性キャリア製造例8>
磁性キャリア製造例5において、フェライトキャリアコア1をフェライトキャリアコア4に変更し、樹脂被覆層(下層)のコートを行わなかった以外は、磁性キャリア製造例5と同様にして磁性キャリア8を得た。得られた磁性キャリア8の構成を表7に示す。
【0326】
【表7】
【0327】
<実施例1>
まず、初期現像剤の作製を行った。磁性キャリア1を92質量部、シアントナー1を8質量部加え、V型混合機により混合し初期現像剤とした。
【0328】
次に補給用現像剤の作製を行った。磁性キャリア1を8質量部、シアントナー1を92質量部加え、V型混合機により混合し補給用現像剤とした。
【0329】
初期現像剤の40kPaの圧縮下での直流電圧100V印加時における体積抵抗率は8.9×1012Ω・cm、200kPaの圧縮下での直流電圧100V印加時における体積抵抗率は5.5×107Ω・cmであった。また、初期現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナー帯電量の絶対値は、81mC/kgであった。現像剤の構成を表8に示す。
【0330】
次に現像性の評価を行った。現像性評価としては、キヤノン製フルカラー複写機IRC3220N改造機を用いた。改造としては、プロセススピードを300mm/sとし、70枚/分を出力し得る複写機とした。また、現像器に関しても現像剤を排出するための排出口を設けた。
【0331】
現像性評価としては、常温常湿下N/N(23℃,50%RH)、常温低湿下N/L(23℃,5%RH)、高温高湿下H/H(30℃,80%RH)のいずれかで、画像としては画像比率10%のA4チャートを用いて画出し・評価を行った。尚、評価項目と評価基準については、下記に示した。
【0332】
<評価項目>
[Dmax1.6の載り量(mg/cm2)]
N/N環境下において、紙上の単色ベタの反射濃度(Dmax)が1.6となるように現像バイアスを調整した。その際の紙上の載り量(mg/cm2)を求めた。尚、反射濃度(Dmax)は、濃度計X−Rite500型により6点濃度測定を行い、6点の最高値を反射濃度(Dmax)とした。
【0333】
[Dmax1.6の電界強度(kV/cm)]
N/N環境下において、紙上の単色ベタの反射濃度(Dmax)が1.6となるように現像バイアスを調整した。その際の現像バイアスから下記式により電界強度(kV/cm)を求めた。
電界強度(kV/cm)=(Vpp/2+Vcont)/SDgap
(Vpp:AC成分のピークtoピーク電位(V)、Vcont:DC成分の現像コントラスト電位(V)、SDgap:現像スリーブ−感光ドラム間距離(cm))
【0334】
[各環境下におけるQ/S変動]
N/N、N/L、H/H各環境下において、感光ドラム上の単位面積あたりのトナー帯電量Q/S(nC/cm2)を初期と2万枚耐久後に求め、下記の指標で評価した。尚、単位面積あたりのトナー帯電量Q/Sの測定は、感光ドラム上に現像されたトナーを、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Qと、トナーを吸引した面積Sから、単位面積あたりのトナー帯電量Q/S(nC/cm2)とした。
A:初期と2万枚後のQ/Sの差が、3.0nC/cm2未満。
B:初期と2万枚後のQ/Sの差が、3.0nC/cm2以上5.0nC/cm2未満。
C:初期と2万枚後のQ/Sの差が、5.0nC/cm2以上8.0nC/cm2未満(実用下限レベル)。
D:初期と2万枚後のQ/Sの差が、8.0nC/cm2以上12.0nC/cm2未満(実用不可レベル)。
E:初期と2万枚後のQ/Sの差が、12.0nC/cm2以上。
【0335】
[各環境下におけるΔE]
N/N、N/L、H/H各環境下において、耐久前に紙上へのトナーの載り量を0.40mg/cm2となるように現像バイアスを調整した。その現像条件で、画像面積100%のベタ画像(3cm×3cm)を400線で画出しを行った。また、耐久後に耐久前と同じ現像条件で画像面積100%のベタ画像を画出しした。
【0336】
色再現性は、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格された表色系の定義に基づき、耐久前後のベタ画像との色差(ΔE)を以下の通り定量的に評価し、以下の評価基準にて評価した。
ΔE={(L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)2}1/2
[L1*耐久前画像の明度
a1*,b1*:耐久前画像の色相と彩度を示す色度
L2*:耐久後画像の明度
a2*,b2*:耐久後画像の色相と彩度を示す色度]
A:色差が、0.0以上1.5未満。
B:色差が、1.5以上3.0未満。
C:色差が、3.0以上5.0未満(実用下限レベル)。
D:色差が、5.0以上7.0未満(実用不可レベル)。
E:色差が、7.0以上。
【0337】
[各環境下における現像剤劣化]
N/N、N/L、H/H各環境下において、耐久前と耐久後の現像剤を5g程度サンプリングし、トナーとキャリアの分離を行った。現像剤の分離には、電界分離式帯電量測定装置を用いた。現像剤劣化は分離したトナーとキャリアを用いて以下の通り定量的に評価し、以下の評価基準にて評価した。尚、トナー帯電量はE−Spartアナライザー(ホソカワミクロン製)を用いて測定した。
現像剤劣化={(耐久前トナー+耐久後キャリア)現像剤でのトナー帯電量}−{(耐久後トナー+耐久前キャリア)現像剤でのトナー帯電量}
A:現像剤劣化の絶対値が、3.0mC/kg未満。
B:現像剤劣化の絶対値が、3.0mC/kg以上、5.0mC/kg未満。
C:現像剤劣化の絶対値が、5.0mC/kg以上、8.0mC/kg未満(実用下限レベル)。
D:現像剤劣化の絶対値が、8.0mC/kg以上、12.0mC/kg未満(実用不可レベル)。
E:現像剤劣化の絶対値が、12.0mC/kg以上。
【0338】
<実施例2乃至33、比較例1乃至9>
実施例1において、初期現像剤及び補給用現像剤を表8に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして初期現像剤及び補給用現像剤を作製し、各評価を行った。得られた現像剤の構成を表8、現像性の評価結果を表9に示す。
【0339】
【表8】
【0340】
【表9】
【図面の簡単な説明】
【0341】
【図1】従来トナーのγ特性を示す模式図である。
【図2】従来トナーと着色力upトナーのγ特性を示す模式図である。
【図3】着色力の高いトナーの飽和画像濃度の推移を示す模式図である。
【図4】本発明に用いられる着色力の高いトナーのγ特性を示す模式図である。
【図5】CIELABのa*b*平面の従来トナーと着色力の高いトナーの色相のプロファイルを示す模式図である。
【図6】本発明の二成分系現像剤の高帯電/高現像性の良好な範囲を示す圧縮抵抗プロファイルを示す模式図である。
【図7】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図8】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図9】本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図10】本発明の画像形成方法を用いたフルカラー画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図11】本発明に用いられるトナーの製造装置の一例を示す模式図である。
【図12】本発明に用いられるトナーの製造装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0342】
1 電子写真感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 定着装置
7 クリーニング装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するシアントナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該シアントナーは、クロロホルムにおけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項2】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の二成分系現像剤。
【請求項3】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
【請求項4】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
【請求項5】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項6】
少なくともシアントナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項1乃至5のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してシアントナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項7】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してシアントナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記シアントナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記シアントナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項1乃至5のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該マゼンタトナーは、クロロホルムにおけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、波長538nmにおける吸光度をA538とすると、CmとA538の関係が、下記式(2)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 ・・・(2)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、35.0≦L*≦45.0、60.0≦C*≦72.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのマゼンタトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項9】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項8に記載の二成分系現像剤。
【請求項10】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項8または9に記載の二成分系現像剤。
【請求項11】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の二成分系現像剤。
【請求項12】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項13】
少なくともマゼンタトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項8乃至12のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してマゼンタトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項14】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してマゼンタトナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記マゼンタトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記マゼンタトナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項8乃至12のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するイエロートナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該イエロートナーは、クロロホルムにおけるイエロートナーの濃度をCy(mg/ml)とし、波長422nmにおける吸光度をA422とすると、CyとA422の関係が、下記式(3)を満足し、
6.00<A422/Cy<14.4 ・・・(3)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、85.0≦L*≦95.0、100.0≦C*≦115.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのイエロートナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項16】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項15に記載の二成分系現像剤。
【請求項17】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項15または16に記載の二成分系現像剤。
【請求項18】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項15または16に記載の二成分系現像剤。
【請求項19】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項20】
少なくともイエロートナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項15乃至19のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してイエロートナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項21】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してイエロートナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記イエロートナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記イエロートナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項15乃至19のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項22】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するブラックトナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該ブラックトナーは、粉体状態で求めた明度L*が、5.0≦L*≦13.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのブラックトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上、120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項23】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項22に記載の二成分系現像剤。
【請求項24】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項22または23に記載の二成分系現像剤。
【請求項25】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項22または23に記載の二成分系現像剤。
【請求項26】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項22乃至25のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項27】
少なくともブラックトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項22乃至26のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してブラックトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項28】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してブラックトナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記ブラックトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記ブラックトナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項22乃至26のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するシアントナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該シアントナーは、クロロホルムにおけるシアントナーの濃度をCc(mg/ml)とし、波長712nmにおける吸光度をA712とすると、CcとA712の関係が、下記式(1)を満足し、
2.00<A712/Cc<8.15 ・・・(1)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、25.0≦L*≦40.0、50.0≦C*≦60.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのシアントナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項2】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の二成分系現像剤。
【請求項3】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
【請求項4】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分系現像剤。
【請求項5】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項6】
少なくともシアントナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項1乃至5のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してシアントナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項7】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してシアントナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記シアントナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記シアントナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項1乃至5のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するマゼンタトナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該マゼンタトナーは、クロロホルムにおけるマゼンタトナーの濃度をCm(mg/ml)とし、波長538nmにおける吸光度をA538とすると、CmとA538の関係が、下記式(2)を満足し、
2.00<A538/Cm<6.55 ・・・(2)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、35.0≦L*≦45.0、60.0≦C*≦72.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのマゼンタトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項9】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項8に記載の二成分系現像剤。
【請求項10】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項8または9に記載の二成分系現像剤。
【請求項11】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の二成分系現像剤。
【請求項12】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項13】
少なくともマゼンタトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項8乃至12のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してマゼンタトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項14】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してマゼンタトナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記マゼンタトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記マゼンタトナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項8乃至12のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するイエロートナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該イエロートナーは、クロロホルムにおけるイエロートナーの濃度をCy(mg/ml)とし、波長422nmにおける吸光度をA422とすると、CyとA422の関係が、下記式(3)を満足し、
6.00<A422/Cy<14.4 ・・・(3)
粉体状態で求めた明度L*及び彩度C*が、85.0≦L*≦95.0、100.0≦C*≦115.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのイエロートナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項16】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項15に記載の二成分系現像剤。
【請求項17】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項15または16に記載の二成分系現像剤。
【請求項18】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項15または16に記載の二成分系現像剤。
【請求項19】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項20】
少なくともイエロートナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項15乃至19のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してイエロートナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項21】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してイエロートナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記イエロートナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記イエロートナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項15乃至19のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項22】
結着樹脂及び着色剤を少なくとも有するブラックトナーと、磁性キャリアコアの表面に樹脂被覆層を形成した磁性キャリアとを有する二成分系現像剤において、
1)該ブラックトナーは、粉体状態で求めた明度L*が、5.0≦L*≦13.0であり、
2)該磁性キャリアは、真比重が2.5g/cm3以上4.2g/cm3以下であり、
3)該二成分系現像剤は、
40kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×1011Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下であり、
200kPaの圧縮下で、直流電圧100V印加時における体積抵抗率が、1.0×106Ω・cm以上1.0×109Ω・cm以下であり、
且つ、該二成分系現像剤の23℃、50%RH下でのブラックトナーの摩擦帯電量の絶対値が、50mC/kg以上、120mC/kg以下であることを特徴とする二成分系現像剤。
【請求項23】
該磁性キャリアは、電界強度10000V/cmにおける動的抵抗率が5.0×105Ω・cm以上1.0×108Ω・cm以下であることを特徴とする請求項22に記載の二成分系現像剤。
【請求項24】
該キャリアコアは磁性体分散型樹脂粒子であり、該磁性体分散型樹脂粒子に使用される磁性体は個数平均粒径が0.10μm以上0.30μm以下のマグネタイト粒子であることを特徴とする請求項22または23に記載の二成分系現像剤。
【請求項25】
該キャリアコアはポーラス状の磁性フェライト粒子であり、かさ密度をρ1(g/cm3)、真密度をρ2(g/cm3)としたとき、ρ1が0.80以上2.40以下、ρ1/ρ2が0.20以上0.42以下であることを特徴とする請求項22または23に記載の二成分系現像剤。
【請求項26】
該樹脂被覆層は、体積抵抗が1.0×10-4Ω・cm以上1.0×102Ω・cm以下の導電性微粒子、窒素成分含有の荷電制御樹脂を少なくとも有することを特徴とする請求項22乃至25のいずれかに記載の二成分系現像剤。
【請求項27】
少なくともブラックトナー及び磁性キャリアを含有する補給用現像剤を現像器に補給し、静電潜像を現像し、現像器内部で過剰になった磁性キャリアを排出する二成分系現像方法に使用する補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、請求項22乃至26のいずれかに記載の二成分系現像剤であって、磁性キャリア1質量部に対してブラックトナーを2質量部以上50質量部以下の配合割合で含有していることを特徴とする補給用現像剤。
【請求項28】
像担持体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記像担持体上に形成された静電潜像を二成分系現像剤を用いて現像してブラックトナー像を形成する現像工程、前記像担持体上の前記ブラックトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材に転写する転写工程、前記ブラックトナー像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
該二成分系現像剤は、請求項22乃至26のいずれかに記載の二成分系現像剤であることを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−53384(P2009−53384A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219269(P2007−219269)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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