二次電池の劣化判定方法、二次電池の劣化判定装置及び電源システム
【課題】従来は、急激な変化や突然の変化による劣化を判定することはあまり考慮されていなかった。また、二次電池の内部インピーダンスを測定する方法では、得られた内部インピーダンスが所定の範囲内であっても、二次電池が所望の電圧や容量でないことがあり、このような場合でも二次電池の劣化を判定できる装置等が必要であった。
【解決手段】二次電池を任意の時間放置による放電又は自己放電又は強制放電させ、その際の放電電圧を測定し、電圧の大きさや比率、あるいは、二次電池の良品との特性を比較及び/又は演算することにより劣化を判定する二次電池の劣化判定方法と、二次電池の劣化判定装置並びに電源システムを提供する。
【解決手段】二次電池を任意の時間放置による放電又は自己放電又は強制放電させ、その際の放電電圧を測定し、電圧の大きさや比率、あるいは、二次電池の良品との特性を比較及び/又は演算することにより劣化を判定する二次電池の劣化判定方法と、二次電池の劣化判定装置並びに電源システムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の劣化を判定する方法及び装置並びに電源システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観測装置や通信装置等に用いられるものや車両等に搭載される二次電池(蓄電池等)に関し、その劣化状態や良否について判定をする技術がこれまでにも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、鉛蓄電池を1msec以下放電させ、放電前の電池電圧と放電後の安定状態の電池電圧の差分を測定し、その差分の電圧が現在の電池容量と強い相関があることを利用して、この差分の電圧から電池容量を求め、所定値以下の場合に劣化と判定することが述べられている。
【0004】
また、特許文献2では、鉛蓄電池に一定の充電電流パルス、あるいは、一定の放電電流パルスを流し、放電電流が0[A]になった瞬間からの経過時間と、電池電圧の分極電圧の変化分を測定し、電池容量を推定して劣化具合を判定することが述べられている。
【0005】
さらに、特許文献3では、二次電池の複数のセル電池が直列接続されたモジュール電池を短時間放電させ、端子間電圧の電圧降下が安定状態にあるときの端子間電圧の変化の程度からいずれかのセル電池における特性劣化を判定することが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3192794号公報(特開平5−281309号公報)
【特許文献2】特開平10−221418号公報
【特許文献3】特開2001−296341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、二次電池は専用の容器に化合物や溶液他が封入されたものであって、例えば、化合物や溶液の変化や電極の腐食等の化学的な変化による劣化が発生することが知られている。そして、従来の方法では、急激な変化や突然の変化による劣化を判定することはあまり考慮されていなかった。
【0008】
また、二次電池の劣化判定に内部インピーダンスを測定する方法では、得られた内部インピーダンスが正常な範囲内であっても二次電池が所望の電圧や容量でないことがあった。
【0009】
それは図5のように、複数の新品や良品の二次電池において、所定温度かつ一定の放電電流(図5では温度は−30℃、放電電流は10A)で放電したときの電池電圧をプロットし、内部インピーダンスと放電時電圧とに相関が見られることから近似式による仮想線を求め、所定の電圧を良否判定の閾値(図5では9V以上を良、9V未満を否)とするものである。しかし、測定した二次電池の内部インピーダンスは小さいが、放電時電圧が低い(図5では約5.3V)ものがあり、劣化が認められることがあった。
【0010】
このように従来の内部インピーダンスをもちいた判定方法では劣化の有無を判定できない場合がある。二次電池の劣化はシステム全体の動作を不安定なものにする可能性があり、信頼性の高い判定方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、二次電池を任意の時間放置による放電又は自己放電又は強制放電させ、その際の放電電圧を測定し、電圧の大きさや比率、あるいは、二次電池の良品との特性を比較及び/又は演算することにより劣化を判定する二次電池の劣化判定方法と、二次電池の劣化判定装置並びに電源システムを提供することを目的とする。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の二次電池の劣化判定方法は、劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性と、劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧とを用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の二次電池の劣化判定方法は、劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を所定の手順にて放電させた後に放置或いは充電し、その後放電させたときの放電時間に対する電圧変化特性と、劣化状態が未知である二次電池試験品の放電或いは充電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記二次電池試験品を所定時間放置或いは充電したときの電圧である第2の電池電圧と、前記第2の電池電圧測定時からさらに所定時間放電させたときの電圧である第3の電池電圧とを用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項1または請求項2記載の劣化判定方法において、前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性測定時に該二次電池基準品の温度を測定するとともに、前記二次電池試験品の電池電圧測定時に該二次電池試験品の温度を測定し、さらに、予め求めた、劣化していない良品二次電池の温度―電池電圧特性より、前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性を所定の温度における特性に換算するとともに、前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧及び前記第3の電池電圧を前記所定の温度における電圧に換算することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項3記載の劣化判定方法において、前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧の差をΔV1とし、前記第2の電池電圧と前記第3の電池電圧の差をΔV2とし、前記第2の電池電圧と前記二次電池試験品の安定状態における電池電圧の差をΔV3とし、前記ΔV1と前記ΔV2及び前記ΔV3の内の少なくとも2つを用いて前記二次電池試験品の劣化判定を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項4記載の劣化判定方法において、前記ΔV1と前記ΔV2から|ΔV1/ΔV2|を求め、得られた値が所定の値以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項4記載の劣化判定方法において、前記ΔV3がゼロでないとき、前記ΔV1と前記ΔV3から得られる|ΔV1/ΔV3|が所定の値以上であるか、或いは前記ΔV2と前記ΔV3から得られる|ΔV2/ΔV3|が所定の値以上であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定することを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項4記載の劣化判定方法において、前記ΔV3がゼロ以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項1から請求項7のいずれか一つの劣化判定方法において、前記二次電池試験品が充電中であった場合には、充電を中断或いは終了させた直後から放電電圧を測定することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項1から請求項8のいずれか一つの劣化判定方法において、前記少なくとも一つの二次電池基準品の特性をフロート状態で測定することを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の二次電池の劣化判定装置は、劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性を記憶する記憶部と、劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、を測定する電圧測定手段と、前記電圧変化特性と、前記第1の電池電圧と、前記第2の電池電圧と、前記第3の電池電圧と、を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の二次電池の劣化判定装置は、請求項10記載の劣化判定装置において、前記少なくとも一つの二次電池をフロート状態と負荷接続状態とに切り替える切替手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項12に記載の二次電池の電源システムは、請求項10又は請求項11記載の二次電池の劣化判定装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、得られた二次電池の内部インピーダンスが正常な範囲内であっても劣化しているものを判定することが可能となる。
【0025】
また、二次電池の化合物や溶液、及び/又は、電極の腐食等の化学的な変化による劣化が、急激に或いは突然に発生した場合も判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。
【図2】第2実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。
【図3】第3実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。
【図4】二次電池の温度と電圧の関係を示す図である。
【図5】二次電池の内部インピーダンスと放電後電圧の関係を示す図である。
【図6】所定の時間放電時の二次電池の電圧値をある温度で換算した図である。
【図7】二次電池の温度と各温度での5秒間放電時における放電前電圧と放電電圧との電圧差(電圧降下)について3つの良品二次電池の特性を示すものである。
【図8】二次電池の−30℃における放電後電圧と電圧差(電圧降下)の関係を示す図である。
【図9】二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。
【図10】二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。
【図11】変形例のシステム構成図(その1)である。
【図12】変形例のシステム構成図(その2)である。
【図13】変形例のシステム構成図(その3)である。
【図14】変形例のシステム構成図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて、二次電池に対して本発明を適用する場合の実施形態について説明する。なお、本発明が適用可能な二次電池としては、どのような二次電池を用いてもよく、例えば鉛蓄電池や、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等を用いてもよい。それらの種類、電圧、容量等の区別なく用いることができる。
【0028】
(電源システムに係る第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。図1の電源システム1は、二次電池2と、二次電池2からの電力により動作する負荷3と、常時あるいは必要時に二次電池2を充電する充電装置4と、二次電池2や図示しない電力源から負荷3への電力の供給を制御する電源制御装置5を備えている。なお、実際の電源システム1には、負荷が多数設けられている場合もある。
【0029】
また、電源制御装置5は二次電池劣化判定装置6を備え、二次電池2の劣化状態を判定する。このとき、図示しない切替手段により負荷と切り離されたフロート状態で測定することができる。なお、切替手段は、例えば、必要時に二次電池と負荷とを接続することができる。
【0030】
また、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6から自動的又は所望のタイミングにて二次電池2を所定時間放電させ、放電時間とその電圧及び/又は温度を測定し、測定時の温度での電圧の大きさや変動、又は電圧降下の大きさや変動を求め、劣化状態を判定することができる。なお、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6は、二次電池の内部インピーダンスに基づいて劣化を判定する機能を有してもよい。
【0031】
(電源システムに係る第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。図2の電源システム1は、2つの二次電池2と、二次電池2からの電力により動作する負荷3と、常時あるいは必要時に二次電池2を充電する充電装置4と、二次電池2や図示しない電力源から負荷3への電力の供給を制御する電源制御装置5を備えている。なお、実際の電源システム1には、負荷が多数設けられている場合もある。
【0032】
図2の電源システムでは、通常使用される主たる二次電池2aと予備の二次電池2bとを併用するシステムである。なお、通常使用される二次電池2aと予備の二次電池2bの数量についての制限は特になく、それぞれ少なくとも1個用いたシステムであれば、どのように二次電池を組み合わせたシステムであっても、本発明を適用することが可能である。
【0033】
また、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6から自動的又は所望のタイミングにて二次電池2を所定時間放電させ、放電時間とその電圧及び/又は温度を測定し、測定時の温度での電圧の大きさや変動、又は電圧降下の大きさや変動を求め、劣化状態を判定することができる。なお、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6は、二次電池の内部インピーダンスに基づいて劣化を判定する機能を有してもよい。
【0034】
また、図2では複数の二次電池を備えるものであり、少なくとも1つの二次電池について劣化状態を判定するようにし、その二次電池が劣化の見込まれる状態又は劣化状態である場合、充電又は交換を要する二次電池の情報を伝えることができるものである。さらに、二次電池の情報を表示する表示部を設け、使用者他に二次電池の状態を伝え、充電する又は交換することを促すことができる。
【0035】
さらに、少なくとも2つの二次電池について劣化状態を判定するようにし、二次電池が劣化の見込まれる状態又は劣化状態である場合、充電又は交換を要する「要対応二次電池」の情報と、継続して使用可能な「継続使用二次電池」の情報とを表示する表示部と、前記二次電池の履歴を記録する記憶部を有し、少なくとも充電して使用する又は継続して使用する二次電池の履歴を保持、及び/又は、継続して判定するプログラムを有する制御・判定部(図2の電源制御装置5や二次電池劣化判定装置6等)を備え、二次電池の劣化状態を判定することができる。
【0036】
このようにすれば、少なくとも1つは常に使用可能な二次電池とすることが可能である。従って、例えば、非常時に少なくとも1つの電池が使用可能である必要があるようなシステムや装置に本発明を取り入れると有効である。
【0037】
さらに、電源制御装置5や二次電池劣化判定装置6は、通常使用される主たる二次電池2aと予備の二次電池2bとの少なくとも1個を切替手段により負荷3から切り離して、個別にフロート状態として各種データを取得し、劣化状態を判定することができる。
【0038】
(電源システムに係る第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。図3では、二次電池を劣化判定する機能又は二次電池劣化判定装置を有する電源制御装置18には、電流センサ11と、電圧センサ12と、制御部13と、記憶部14と、充電回路15と、放電回路16と、温度センサ17(温度変換部)を含んで電源システムが構成され、二次電池10から少なくとも1つの負荷20に電力を供給する構成になっている。
【0039】
次に、図3において、電流センサ11は、二次電池10を流れる電流を検出して、制御部13に電流値を送出する。また、電圧センサ12は、二次電池10の両端の電圧を検出して、制御部13に電圧値を送出する。これら電流センサ11と電圧センサ12は、本発明のセンサ手段として機能する。
【0040】
本発明の制御手段として機能する制御部13は、CPUにより構成され、電源システム全体の動作を制御するとともに、所定のタイミングで劣化判定のために必要な測定値の比較や演算処理を実行し、求めた結果を観測装置や通信装置等、または、車両の制御装置等に送出や表示をする。そして、制御部13に接続された記憶部14は、制御プログラム等の各種プログラムをあらかじめ記憶するROMや、制御部13による処理に必要なデータを一時的に記憶するRAMなどを含んでいる。
【0041】
充電回路15は、二次電池10の充電動作を行うときに充電電流を供給する回路である。また、放電回路16は、二次電池10の放電動作を行うときに二次電池10から負荷20に放電電流を流す回路である。これらの充電回路15及び放電回路16は、制御部13によって制御され、充電動作時は充電回路15がオンの状態となり、放電動作時は放電回路16がオンの状態となる。
【0042】
なお、充電回路15から供給される充電電流と放電回路16を経由して負荷20に供給される放電電流は、いずれも多様な波形を用いることができる。すなわち、一定周波数のパルス波形に制約されることなく、任意の波形に対して、例えばフーリエ変換により電圧と電流の任意の周波数成分の値を得ることができ、これらの値を用いてインピーダンスの任意の周波数成分の値を求めることができる。
【0043】
(劣化判定方法に係る第1実施形態)
図6は、所定の時間放電時の二次電池の電圧値をある温度で換算した図である。
【0044】
測定対象の二次電池の温度が26.3℃、放電電流が10Aのときの放電電圧を、所定の放電電流に対して予め求めておいた図4のような温度と電圧の関係から、図6(A)のように二次電池の温度が25℃のものに換算してプロットする。または、二次電池の使用温度の最も厳しい温度、例えば、図6(B)のように−30℃のものに換算してプロットする。
【0045】
なお、図6は、二次電池の使用温度が−30℃から65℃の場合、予め所定の温度(例えば、−30℃、0℃、10℃の3点)や、5℃毎等の特性を取得するなどとしてよい。
【0046】
この図6において、予め求めた良品の二次電池における放電前電圧と所定の時間放電した時の放電電圧との電圧差をΔVa、測定した二次電池における放電前電圧と所定の時間放電した時の放電電圧との電圧差をΔVbとすると、ΔVaとΔVbによって判定することができる。
【0047】
それは、図6(A)では、放電電流10Aでの放電時間3秒以上において、電源システムからの要求によって定められた良否の判定閾値9Vぎりぎりなので、放電電流10Aでは放電時間5秒程度にて判定をすることができる。なお、放電電流値と温度により判定に要する放電時間が変わるので、例えば、所定の温度毎について放電電流値5アンペア毎に放電電圧の時間特性を取得しておき、測定したものとの比較により劣化判定をする。
【0048】
また、図6(B)では、放電電流10Aでの放電時間0.5秒目を見ると、予め求めた良品の二次電池における放電前電圧が12.9Vに対して放電電圧が11.6Vであることから電圧差ΔVaが1.3Vとなる。また、測定した二次電池における放電前電圧が12.8Vに対して放電電圧が10.6Vであることから電圧差ΔVbが2.2Vとなる。このことから、ΔVb<2.0である時には測定した二次電池は良品、ΔVb≧2.0である時には測定した二次電池は劣化であると判定することができる。以上のように0.5秒程度の放電においても劣化を判定することができるものである。
【0049】
従って、放電電流値と温度により放電時間に対する電圧降下を見ることにより、所定の閾値にて劣化を判定することができる。また、放電電流値と温度により放電時間を予め定めておき、その条件下で放電した場合の電圧降下から劣化判定をすることができる。
【0050】
(劣化判定方法に係る第2実施形態)
図7は、二次電池の温度と各温度での5秒間放電時における放電前電圧と放電電圧との電圧差(電圧降下)について3つの良品二次電池の特性を示すものである。また、図8は、二次電池の温度が−30℃での放電後電圧と電圧降下をプロットしたものである。なお点線は、予め求めた放電後電圧−電圧差特性のばらつきを考慮した閾値設定直線である。
【0051】
この電圧降下について、図8において、二次電池の放電前の電圧と放電電圧の差分を求め、良品と劣化品とを電圧差分の大きさにて判定することができる。例えば、良品は1.8未満とし、劣化品を1.8以上と所定の値を設定することにより劣化を判定することができる。図8ではVth=1.8[V]とした。
【0052】
また、図8において、設定した閾値の電圧をVth、放電電圧をVs、係数a、定数b、並びに、劣化判定のための裕度として設定される値をkとすると、X−SOH>aVs+b+ kである時には測定した二次電池は劣化であると判定することができる。ここで、別途求められたインピーダンス−放電電圧特性を用いて、少なくとも3つの良品二次電池のインピーダンスから放電電圧を推定し、各々の良品二次電池について放電電圧と図7で求めたX−SOHを図8にプロットし、それらの点から回帰計算によって係数a、bを求める。尚、X−SOHの値は図8の縦軸に該当する。尚、2つの良品二次電池から係数a、定数bを求める場合は2点を結ぶ直線を表す式から求める。
【0053】
(劣化判定方法に係る第3実施形態)
図9は、二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。図9では、充電中又は充電後から所定時間放置したときの電圧降下ΔV1と、所定時間放置したときの電圧と二次電池の安定状態OCVまでの電圧差分ΔV3、そして一定放電電流にて所定時間放電したときの電圧降下ΔV2とする。
【0054】
図9のように測定した良品の一例は、充電中又は充電後の電圧16.0V、所定時間放置したときの電圧14.0VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧13.5VであるのでΔV2=0.5V。劣化品の一例は、充電中又は充電後の電圧15.8V、所定時間放置したときの電圧13.8VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧11.8VであるのでΔV2=2.0V。これらよりΔV1とΔV2との比を求めると良品が|ΔV1/ΔV2|=4.0、劣化品が1.0となる。このことより、ΔV1とΔV2との比が1.0以下の時は劣化と判定することが可能である。
【0055】
図9のように測定したとき、良品の一例は、充電中又は充電後の電圧16.0V、所定時間放置したときの電圧14.0VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧13.5VであるのでΔV2=0.5V。安定時OCV12.8Vであるので、ΔV3=1.2V。劣化品の一例は、充電中又は充電後の電圧15.0V、所定時間放置したときの電圧13.0VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧11.8VであるのでΔV2=1.2V。安定時OCV12.6Vであるので、ΔV3=0.4V。これらよりΔV1とΔV3との比を求めると良品が|ΔV1/ΔV3|=1.7、劣化品が5.0となる。このことより、ΔV1とΔV3との比が4.0以上の時は劣化と判定することが可能である。一方、ΔV2とΔV3の比を求めると良品が|ΔV2/ΔV3|=0.42、劣化品が3.0となる。このことより、ΔV2とΔV3の比が3.0以上の時は劣化と判定することが可能である。
【0056】
(劣化判定方法に係る第4実施形態)
図10は、二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。図10では、放置又は放電後から所定時間放置又は充電したときの電圧上昇ΔV1と、所定時間放置又は充電したときの電圧と二次電池が安定状態OCVまでの電圧差分ΔV3、そして一定放電電流にて所定時間放電したときの電圧降下ΔV2とする。
【0057】
図10のように測定し、良品の場合のΔV1とΔV2を求めておき、測定した結果から|ΔV1/ΔV2|の値にて良否を判定する閾値を設定することにより、劣化を判定することができる。
【0058】
図10のように測定し、良品の場合のΔV1とΔV2とΔV3を求めておき、測定した結果から|ΔV1/ΔV3|の値にて良否を判定する閾値を設定することにより、劣化を判定することができる。また、|ΔV2/ΔV3|の値にて良否を判定する閾値を設定することにより、劣化を判定することができる。
【0059】
また、その他の様態としては、例えば、図11に示す変形例では、二次電池の劣化判定を行うための電源システム100は、二次電池である二次電池106の電流、電圧、抵抗、温度等のデータを取得する検知回路101と、検知回路101から、データを受取って二次電池106の劣化判定を行う制御・判定装置102と、判定結果を各種態様で表示する表示部103とを備えるようにしてもよい。
【0060】
このような構成とすることにより、検知回路101は、二次電池106の電流、電圧、抵抗、温度等のデータを取得し、測定したデータを制御・判定装置102に出力する。
【0061】
これにより制御・判定装置102は、データを受取って二次電池106の劣化判定を行い、判定結果を各種態様で表示部103に表示する。この結果、使用者は、二次電池106の状態を容易に把握することができる。
【0062】
この場合において、表示部103は、ランプの数や色、文字、音声等とそれらを2つ以上組み合わせて、二次電池106の状態、例えば、交換の必要の有無や、推奨される交換時期等を示すように構成することも可能である。
【0063】
さらに、表示部103は、テレビモニタ、コンピュータディスプレイ、GPS装置(カーナビゲーション等)の表示部等の画面での表示であってよい。なお、音声のみで伝える方式であってよい。
【0064】
また、図12に示す変形例では、二次電池の状態を検知、判別するための検知回路101、制御・判定装置102を二次電池の近傍に配置し、表示部103を所望の位置に設けるように構成することも可能である。
【0065】
例えば、二次電池の状態を検知、判別するための検知回路101、制御・判定装置102を二次電池106の近傍に配置し、制御・判定装置102は、検知回路101からデータを受取って二次電池106の劣化判定を行い、判定結果データを無線装置22,23を介して表示部103側に送信する。
【0066】
この結果、表示部103側に設置された無線装置22,23を介して、コンピュータ24等が判定結果データを受信し、表示部103を制御して判定結果を各種態様で表示する。
【0067】
なお、図12の二次電池近傍に制御・判定装置102が無くてもよく、検知回路101にて得られる温度、電圧や抵抗等のデータについて無線装置22,23を介し表示側で受け、表示側に制御・判定装置を設ける、あるいは、コンピュータ24にて劣化判定をするようにしてもよい。
【0068】
このように構成することにより、例えば、複数の表示部を設ける、又は、複数箇所(二次電池製造メーカ、保守・メンテナンス拠点等)毎に設けた表示部から二次電池の状態を監視し、あるいは、1箇所の表示部により、複数の二次電池の監視や管理を行える。それらの際、二次電池を区別するシリアル番号やID番号等を付与しておけば、二次電池の個体識別を容易に行うことが可能となる。
【0069】
また、図11のような有線式、図12のような無線式等の伝送路の形態に係らず、例えば、電話回線やインターネット等のネットワークを介して二次電池の劣化情報を電子データ(文字、画像、音声)として、携帯電話やコンピュータ等の情報端末等から見られるようにしてもよい。
【0070】
また、他の変形例として、図13のように複数の二次電池が離れた場所にあって、1箇所の回路を切替えることが可能な二次電池劣化判定装置104において、二次電池106(A,B,C)に回路を切替えて各二次電池の劣化判定をすることができる。その際、電気的情報(電圧、電流、抵抗等)は離れた場所の二次電池劣化判定装置104で判定可能であるが、温度測定は二次電池の近傍や二次電池106毎に温度センサ105を備えることが望ましい。
【0071】
このようにすれば、例えば、観測装置や通信装置などの複数の装置それぞれに設置した二次電池の劣化判定を行うことができる。また、車両においても座席の下や前後の収納スペース等に複数個設置した場合に、少なくとも1つの二次電池劣化判定装置で二次電池の劣化判定を行うことができる。
【0072】
また、別の変形例として、図14のように複数の二次電池106のうち、1つは二次電池劣化判定装置107が二次電池106aの近傍にある。他の1つは二次電池劣化判定装置108が二次電池106bに取付けられるものである。なお、図14では残る二次電池C106は劣化判定をしないものである。
【0073】
また、図14では、装置・電源制御装置109には、GPS(Global
Positioning System)装置110、照明111、稼動部112等が接続される。装置・電源制御装置109によって電源を供給及び制御をする。例えば、照明111の点灯・消灯、稼動部112の動作制御やエネルギ消費量の制御等をするものである。なお、GPS装置110は位置や標高の他に時間も検出できるので、装置・電源制御装置109他の時刻合わせに利用することができる。
【0074】
このようにすれば、装置・電源制御装置109によって複数の二次電池106を管理し、表示部103に二次電池106の劣化状態を表示することができる。さらに、装置・電源制御装置109、二次電池劣化判定装置107,108や図示しないコンピュータ等にはコネクタや無線(赤外線等)を介して外部機器と情報の送受信ができ、劣化判定情報の授受や制御プログラムのインストールや更新ができるようにしてもよい。また、表示部103は、装置・電源制御装置109や二次電池劣化判定装置107,108に、液晶画面(LCD)やランプ等が付いている、または、内蔵する構成であってもよい。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1、100…電源システム
2、10、106…二次電池
3、20…負荷
4…充電装置
5、18…電源制御装置
6…二次電池劣化判定装置
11…電流センサ
12…電圧センサ
13…制御部
14…記憶部
15…充電回路
16…放電回路
17,105…温度センサ
22,23…無線装置
24…コンピュータ
101…検知回路
102…制御・判定装置
103…表示部
104、107、108…二次電池劣化判定装置
109…装置・電源制御装置
110…GPS装置
111…照明
112…稼働部
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の劣化を判定する方法及び装置並びに電源システムの技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
観測装置や通信装置等に用いられるものや車両等に搭載される二次電池(蓄電池等)に関し、その劣化状態や良否について判定をする技術がこれまでにも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、鉛蓄電池を1msec以下放電させ、放電前の電池電圧と放電後の安定状態の電池電圧の差分を測定し、その差分の電圧が現在の電池容量と強い相関があることを利用して、この差分の電圧から電池容量を求め、所定値以下の場合に劣化と判定することが述べられている。
【0004】
また、特許文献2では、鉛蓄電池に一定の充電電流パルス、あるいは、一定の放電電流パルスを流し、放電電流が0[A]になった瞬間からの経過時間と、電池電圧の分極電圧の変化分を測定し、電池容量を推定して劣化具合を判定することが述べられている。
【0005】
さらに、特許文献3では、二次電池の複数のセル電池が直列接続されたモジュール電池を短時間放電させ、端子間電圧の電圧降下が安定状態にあるときの端子間電圧の変化の程度からいずれかのセル電池における特性劣化を判定することが述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3192794号公報(特開平5−281309号公報)
【特許文献2】特開平10−221418号公報
【特許文献3】特開2001−296341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、二次電池は専用の容器に化合物や溶液他が封入されたものであって、例えば、化合物や溶液の変化や電極の腐食等の化学的な変化による劣化が発生することが知られている。そして、従来の方法では、急激な変化や突然の変化による劣化を判定することはあまり考慮されていなかった。
【0008】
また、二次電池の劣化判定に内部インピーダンスを測定する方法では、得られた内部インピーダンスが正常な範囲内であっても二次電池が所望の電圧や容量でないことがあった。
【0009】
それは図5のように、複数の新品や良品の二次電池において、所定温度かつ一定の放電電流(図5では温度は−30℃、放電電流は10A)で放電したときの電池電圧をプロットし、内部インピーダンスと放電時電圧とに相関が見られることから近似式による仮想線を求め、所定の電圧を良否判定の閾値(図5では9V以上を良、9V未満を否)とするものである。しかし、測定した二次電池の内部インピーダンスは小さいが、放電時電圧が低い(図5では約5.3V)ものがあり、劣化が認められることがあった。
【0010】
このように従来の内部インピーダンスをもちいた判定方法では劣化の有無を判定できない場合がある。二次電池の劣化はシステム全体の動作を不安定なものにする可能性があり、信頼性の高い判定方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、二次電池を任意の時間放置による放電又は自己放電又は強制放電させ、その際の放電電圧を測定し、電圧の大きさや比率、あるいは、二次電池の良品との特性を比較及び/又は演算することにより劣化を判定する二次電池の劣化判定方法と、二次電池の劣化判定装置並びに電源システムを提供することを目的とする。
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の二次電池の劣化判定方法は、劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性と、劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧とを用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行うことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の二次電池の劣化判定方法は、劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を所定の手順にて放電させた後に放置或いは充電し、その後放電させたときの放電時間に対する電圧変化特性と、劣化状態が未知である二次電池試験品の放電或いは充電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記二次電池試験品を所定時間放置或いは充電したときの電圧である第2の電池電圧と、前記第2の電池電圧測定時からさらに所定時間放電させたときの電圧である第3の電池電圧とを用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項1または請求項2記載の劣化判定方法において、前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性測定時に該二次電池基準品の温度を測定するとともに、前記二次電池試験品の電池電圧測定時に該二次電池試験品の温度を測定し、さらに、予め求めた、劣化していない良品二次電池の温度―電池電圧特性より、前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性を所定の温度における特性に換算するとともに、前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧及び前記第3の電池電圧を前記所定の温度における電圧に換算することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項3記載の劣化判定方法において、前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧の差をΔV1とし、前記第2の電池電圧と前記第3の電池電圧の差をΔV2とし、前記第2の電池電圧と前記二次電池試験品の安定状態における電池電圧の差をΔV3とし、前記ΔV1と前記ΔV2及び前記ΔV3の内の少なくとも2つを用いて前記二次電池試験品の劣化判定を行うことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項4記載の劣化判定方法において、前記ΔV1と前記ΔV2から|ΔV1/ΔV2|を求め、得られた値が所定の値以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定することを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項4記載の劣化判定方法において、前記ΔV3がゼロでないとき、前記ΔV1と前記ΔV3から得られる|ΔV1/ΔV3|が所定の値以上であるか、或いは前記ΔV2と前記ΔV3から得られる|ΔV2/ΔV3|が所定の値以上であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定することを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項4記載の劣化判定方法において、前記ΔV3がゼロ以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定することを特徴とする。
【0019】
請求項8に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項1から請求項7のいずれか一つの劣化判定方法において、前記二次電池試験品が充電中であった場合には、充電を中断或いは終了させた直後から放電電圧を測定することを特徴とする。
【0020】
請求項9に記載の二次電池の劣化判定方法は、請求項1から請求項8のいずれか一つの劣化判定方法において、前記少なくとも一つの二次電池基準品の特性をフロート状態で測定することを特徴とする。
【0021】
請求項10に記載の二次電池の劣化判定装置は、劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性を記憶する記憶部と、劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、を測定する電圧測定手段と、前記電圧変化特性と、前記第1の電池電圧と、前記第2の電池電圧と、前記第3の電池電圧と、を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
請求項11に記載の二次電池の劣化判定装置は、請求項10記載の劣化判定装置において、前記少なくとも一つの二次電池をフロート状態と負荷接続状態とに切り替える切替手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0023】
請求項12に記載の二次電池の電源システムは、請求項10又は請求項11記載の二次電池の劣化判定装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、得られた二次電池の内部インピーダンスが正常な範囲内であっても劣化しているものを判定することが可能となる。
【0025】
また、二次電池の化合物や溶液、及び/又は、電極の腐食等の化学的な変化による劣化が、急激に或いは突然に発生した場合も判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。
【図2】第2実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。
【図3】第3実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。
【図4】二次電池の温度と電圧の関係を示す図である。
【図5】二次電池の内部インピーダンスと放電後電圧の関係を示す図である。
【図6】所定の時間放電時の二次電池の電圧値をある温度で換算した図である。
【図7】二次電池の温度と各温度での5秒間放電時における放電前電圧と放電電圧との電圧差(電圧降下)について3つの良品二次電池の特性を示すものである。
【図8】二次電池の−30℃における放電後電圧と電圧差(電圧降下)の関係を示す図である。
【図9】二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。
【図10】二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。
【図11】変形例のシステム構成図(その1)である。
【図12】変形例のシステム構成図(その2)である。
【図13】変形例のシステム構成図(その3)である。
【図14】変形例のシステム構成図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて、二次電池に対して本発明を適用する場合の実施形態について説明する。なお、本発明が適用可能な二次電池としては、どのような二次電池を用いてもよく、例えば鉛蓄電池や、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等を用いてもよい。それらの種類、電圧、容量等の区別なく用いることができる。
【0028】
(電源システムに係る第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。図1の電源システム1は、二次電池2と、二次電池2からの電力により動作する負荷3と、常時あるいは必要時に二次電池2を充電する充電装置4と、二次電池2や図示しない電力源から負荷3への電力の供給を制御する電源制御装置5を備えている。なお、実際の電源システム1には、負荷が多数設けられている場合もある。
【0029】
また、電源制御装置5は二次電池劣化判定装置6を備え、二次電池2の劣化状態を判定する。このとき、図示しない切替手段により負荷と切り離されたフロート状態で測定することができる。なお、切替手段は、例えば、必要時に二次電池と負荷とを接続することができる。
【0030】
また、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6から自動的又は所望のタイミングにて二次電池2を所定時間放電させ、放電時間とその電圧及び/又は温度を測定し、測定時の温度での電圧の大きさや変動、又は電圧降下の大きさや変動を求め、劣化状態を判定することができる。なお、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6は、二次電池の内部インピーダンスに基づいて劣化を判定する機能を有してもよい。
【0031】
(電源システムに係る第2実施形態)
図2は、第2実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。図2の電源システム1は、2つの二次電池2と、二次電池2からの電力により動作する負荷3と、常時あるいは必要時に二次電池2を充電する充電装置4と、二次電池2や図示しない電力源から負荷3への電力の供給を制御する電源制御装置5を備えている。なお、実際の電源システム1には、負荷が多数設けられている場合もある。
【0032】
図2の電源システムでは、通常使用される主たる二次電池2aと予備の二次電池2bとを併用するシステムである。なお、通常使用される二次電池2aと予備の二次電池2bの数量についての制限は特になく、それぞれ少なくとも1個用いたシステムであれば、どのように二次電池を組み合わせたシステムであっても、本発明を適用することが可能である。
【0033】
また、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6から自動的又は所望のタイミングにて二次電池2を所定時間放電させ、放電時間とその電圧及び/又は温度を測定し、測定時の温度での電圧の大きさや変動、又は電圧降下の大きさや変動を求め、劣化状態を判定することができる。なお、電源制御装置5又は二次電池劣化判定装置6は、二次電池の内部インピーダンスに基づいて劣化を判定する機能を有してもよい。
【0034】
また、図2では複数の二次電池を備えるものであり、少なくとも1つの二次電池について劣化状態を判定するようにし、その二次電池が劣化の見込まれる状態又は劣化状態である場合、充電又は交換を要する二次電池の情報を伝えることができるものである。さらに、二次電池の情報を表示する表示部を設け、使用者他に二次電池の状態を伝え、充電する又は交換することを促すことができる。
【0035】
さらに、少なくとも2つの二次電池について劣化状態を判定するようにし、二次電池が劣化の見込まれる状態又は劣化状態である場合、充電又は交換を要する「要対応二次電池」の情報と、継続して使用可能な「継続使用二次電池」の情報とを表示する表示部と、前記二次電池の履歴を記録する記憶部を有し、少なくとも充電して使用する又は継続して使用する二次電池の履歴を保持、及び/又は、継続して判定するプログラムを有する制御・判定部(図2の電源制御装置5や二次電池劣化判定装置6等)を備え、二次電池の劣化状態を判定することができる。
【0036】
このようにすれば、少なくとも1つは常に使用可能な二次電池とすることが可能である。従って、例えば、非常時に少なくとも1つの電池が使用可能である必要があるようなシステムや装置に本発明を取り入れると有効である。
【0037】
さらに、電源制御装置5や二次電池劣化判定装置6は、通常使用される主たる二次電池2aと予備の二次電池2bとの少なくとも1個を切替手段により負荷3から切り離して、個別にフロート状態として各種データを取得し、劣化状態を判定することができる。
【0038】
(電源システムに係る第3実施形態)
図3は、第3実施形態に係る電源システムの概略の構成を示すブロック図である。図3では、二次電池を劣化判定する機能又は二次電池劣化判定装置を有する電源制御装置18には、電流センサ11と、電圧センサ12と、制御部13と、記憶部14と、充電回路15と、放電回路16と、温度センサ17(温度変換部)を含んで電源システムが構成され、二次電池10から少なくとも1つの負荷20に電力を供給する構成になっている。
【0039】
次に、図3において、電流センサ11は、二次電池10を流れる電流を検出して、制御部13に電流値を送出する。また、電圧センサ12は、二次電池10の両端の電圧を検出して、制御部13に電圧値を送出する。これら電流センサ11と電圧センサ12は、本発明のセンサ手段として機能する。
【0040】
本発明の制御手段として機能する制御部13は、CPUにより構成され、電源システム全体の動作を制御するとともに、所定のタイミングで劣化判定のために必要な測定値の比較や演算処理を実行し、求めた結果を観測装置や通信装置等、または、車両の制御装置等に送出や表示をする。そして、制御部13に接続された記憶部14は、制御プログラム等の各種プログラムをあらかじめ記憶するROMや、制御部13による処理に必要なデータを一時的に記憶するRAMなどを含んでいる。
【0041】
充電回路15は、二次電池10の充電動作を行うときに充電電流を供給する回路である。また、放電回路16は、二次電池10の放電動作を行うときに二次電池10から負荷20に放電電流を流す回路である。これらの充電回路15及び放電回路16は、制御部13によって制御され、充電動作時は充電回路15がオンの状態となり、放電動作時は放電回路16がオンの状態となる。
【0042】
なお、充電回路15から供給される充電電流と放電回路16を経由して負荷20に供給される放電電流は、いずれも多様な波形を用いることができる。すなわち、一定周波数のパルス波形に制約されることなく、任意の波形に対して、例えばフーリエ変換により電圧と電流の任意の周波数成分の値を得ることができ、これらの値を用いてインピーダンスの任意の周波数成分の値を求めることができる。
【0043】
(劣化判定方法に係る第1実施形態)
図6は、所定の時間放電時の二次電池の電圧値をある温度で換算した図である。
【0044】
測定対象の二次電池の温度が26.3℃、放電電流が10Aのときの放電電圧を、所定の放電電流に対して予め求めておいた図4のような温度と電圧の関係から、図6(A)のように二次電池の温度が25℃のものに換算してプロットする。または、二次電池の使用温度の最も厳しい温度、例えば、図6(B)のように−30℃のものに換算してプロットする。
【0045】
なお、図6は、二次電池の使用温度が−30℃から65℃の場合、予め所定の温度(例えば、−30℃、0℃、10℃の3点)や、5℃毎等の特性を取得するなどとしてよい。
【0046】
この図6において、予め求めた良品の二次電池における放電前電圧と所定の時間放電した時の放電電圧との電圧差をΔVa、測定した二次電池における放電前電圧と所定の時間放電した時の放電電圧との電圧差をΔVbとすると、ΔVaとΔVbによって判定することができる。
【0047】
それは、図6(A)では、放電電流10Aでの放電時間3秒以上において、電源システムからの要求によって定められた良否の判定閾値9Vぎりぎりなので、放電電流10Aでは放電時間5秒程度にて判定をすることができる。なお、放電電流値と温度により判定に要する放電時間が変わるので、例えば、所定の温度毎について放電電流値5アンペア毎に放電電圧の時間特性を取得しておき、測定したものとの比較により劣化判定をする。
【0048】
また、図6(B)では、放電電流10Aでの放電時間0.5秒目を見ると、予め求めた良品の二次電池における放電前電圧が12.9Vに対して放電電圧が11.6Vであることから電圧差ΔVaが1.3Vとなる。また、測定した二次電池における放電前電圧が12.8Vに対して放電電圧が10.6Vであることから電圧差ΔVbが2.2Vとなる。このことから、ΔVb<2.0である時には測定した二次電池は良品、ΔVb≧2.0である時には測定した二次電池は劣化であると判定することができる。以上のように0.5秒程度の放電においても劣化を判定することができるものである。
【0049】
従って、放電電流値と温度により放電時間に対する電圧降下を見ることにより、所定の閾値にて劣化を判定することができる。また、放電電流値と温度により放電時間を予め定めておき、その条件下で放電した場合の電圧降下から劣化判定をすることができる。
【0050】
(劣化判定方法に係る第2実施形態)
図7は、二次電池の温度と各温度での5秒間放電時における放電前電圧と放電電圧との電圧差(電圧降下)について3つの良品二次電池の特性を示すものである。また、図8は、二次電池の温度が−30℃での放電後電圧と電圧降下をプロットしたものである。なお点線は、予め求めた放電後電圧−電圧差特性のばらつきを考慮した閾値設定直線である。
【0051】
この電圧降下について、図8において、二次電池の放電前の電圧と放電電圧の差分を求め、良品と劣化品とを電圧差分の大きさにて判定することができる。例えば、良品は1.8未満とし、劣化品を1.8以上と所定の値を設定することにより劣化を判定することができる。図8ではVth=1.8[V]とした。
【0052】
また、図8において、設定した閾値の電圧をVth、放電電圧をVs、係数a、定数b、並びに、劣化判定のための裕度として設定される値をkとすると、X−SOH>aVs+b+ kである時には測定した二次電池は劣化であると判定することができる。ここで、別途求められたインピーダンス−放電電圧特性を用いて、少なくとも3つの良品二次電池のインピーダンスから放電電圧を推定し、各々の良品二次電池について放電電圧と図7で求めたX−SOHを図8にプロットし、それらの点から回帰計算によって係数a、bを求める。尚、X−SOHの値は図8の縦軸に該当する。尚、2つの良品二次電池から係数a、定数bを求める場合は2点を結ぶ直線を表す式から求める。
【0053】
(劣化判定方法に係る第3実施形態)
図9は、二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。図9では、充電中又は充電後から所定時間放置したときの電圧降下ΔV1と、所定時間放置したときの電圧と二次電池の安定状態OCVまでの電圧差分ΔV3、そして一定放電電流にて所定時間放電したときの電圧降下ΔV2とする。
【0054】
図9のように測定した良品の一例は、充電中又は充電後の電圧16.0V、所定時間放置したときの電圧14.0VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧13.5VであるのでΔV2=0.5V。劣化品の一例は、充電中又は充電後の電圧15.8V、所定時間放置したときの電圧13.8VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧11.8VであるのでΔV2=2.0V。これらよりΔV1とΔV2との比を求めると良品が|ΔV1/ΔV2|=4.0、劣化品が1.0となる。このことより、ΔV1とΔV2との比が1.0以下の時は劣化と判定することが可能である。
【0055】
図9のように測定したとき、良品の一例は、充電中又は充電後の電圧16.0V、所定時間放置したときの電圧14.0VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧13.5VであるのでΔV2=0.5V。安定時OCV12.8Vであるので、ΔV3=1.2V。劣化品の一例は、充電中又は充電後の電圧15.0V、所定時間放置したときの電圧13.0VであるのでΔV1=2.0V。所定時間放電後の電圧11.8VであるのでΔV2=1.2V。安定時OCV12.6Vであるので、ΔV3=0.4V。これらよりΔV1とΔV3との比を求めると良品が|ΔV1/ΔV3|=1.7、劣化品が5.0となる。このことより、ΔV1とΔV3との比が4.0以上の時は劣化と判定することが可能である。一方、ΔV2とΔV3の比を求めると良品が|ΔV2/ΔV3|=0.42、劣化品が3.0となる。このことより、ΔV2とΔV3の比が3.0以上の時は劣化と判定することが可能である。
【0056】
(劣化判定方法に係る第4実施形態)
図10は、二次電池の充電、並びに、放電時における電圧変化を示す図である。図10では、放置又は放電後から所定時間放置又は充電したときの電圧上昇ΔV1と、所定時間放置又は充電したときの電圧と二次電池が安定状態OCVまでの電圧差分ΔV3、そして一定放電電流にて所定時間放電したときの電圧降下ΔV2とする。
【0057】
図10のように測定し、良品の場合のΔV1とΔV2を求めておき、測定した結果から|ΔV1/ΔV2|の値にて良否を判定する閾値を設定することにより、劣化を判定することができる。
【0058】
図10のように測定し、良品の場合のΔV1とΔV2とΔV3を求めておき、測定した結果から|ΔV1/ΔV3|の値にて良否を判定する閾値を設定することにより、劣化を判定することができる。また、|ΔV2/ΔV3|の値にて良否を判定する閾値を設定することにより、劣化を判定することができる。
【0059】
また、その他の様態としては、例えば、図11に示す変形例では、二次電池の劣化判定を行うための電源システム100は、二次電池である二次電池106の電流、電圧、抵抗、温度等のデータを取得する検知回路101と、検知回路101から、データを受取って二次電池106の劣化判定を行う制御・判定装置102と、判定結果を各種態様で表示する表示部103とを備えるようにしてもよい。
【0060】
このような構成とすることにより、検知回路101は、二次電池106の電流、電圧、抵抗、温度等のデータを取得し、測定したデータを制御・判定装置102に出力する。
【0061】
これにより制御・判定装置102は、データを受取って二次電池106の劣化判定を行い、判定結果を各種態様で表示部103に表示する。この結果、使用者は、二次電池106の状態を容易に把握することができる。
【0062】
この場合において、表示部103は、ランプの数や色、文字、音声等とそれらを2つ以上組み合わせて、二次電池106の状態、例えば、交換の必要の有無や、推奨される交換時期等を示すように構成することも可能である。
【0063】
さらに、表示部103は、テレビモニタ、コンピュータディスプレイ、GPS装置(カーナビゲーション等)の表示部等の画面での表示であってよい。なお、音声のみで伝える方式であってよい。
【0064】
また、図12に示す変形例では、二次電池の状態を検知、判別するための検知回路101、制御・判定装置102を二次電池の近傍に配置し、表示部103を所望の位置に設けるように構成することも可能である。
【0065】
例えば、二次電池の状態を検知、判別するための検知回路101、制御・判定装置102を二次電池106の近傍に配置し、制御・判定装置102は、検知回路101からデータを受取って二次電池106の劣化判定を行い、判定結果データを無線装置22,23を介して表示部103側に送信する。
【0066】
この結果、表示部103側に設置された無線装置22,23を介して、コンピュータ24等が判定結果データを受信し、表示部103を制御して判定結果を各種態様で表示する。
【0067】
なお、図12の二次電池近傍に制御・判定装置102が無くてもよく、検知回路101にて得られる温度、電圧や抵抗等のデータについて無線装置22,23を介し表示側で受け、表示側に制御・判定装置を設ける、あるいは、コンピュータ24にて劣化判定をするようにしてもよい。
【0068】
このように構成することにより、例えば、複数の表示部を設ける、又は、複数箇所(二次電池製造メーカ、保守・メンテナンス拠点等)毎に設けた表示部から二次電池の状態を監視し、あるいは、1箇所の表示部により、複数の二次電池の監視や管理を行える。それらの際、二次電池を区別するシリアル番号やID番号等を付与しておけば、二次電池の個体識別を容易に行うことが可能となる。
【0069】
また、図11のような有線式、図12のような無線式等の伝送路の形態に係らず、例えば、電話回線やインターネット等のネットワークを介して二次電池の劣化情報を電子データ(文字、画像、音声)として、携帯電話やコンピュータ等の情報端末等から見られるようにしてもよい。
【0070】
また、他の変形例として、図13のように複数の二次電池が離れた場所にあって、1箇所の回路を切替えることが可能な二次電池劣化判定装置104において、二次電池106(A,B,C)に回路を切替えて各二次電池の劣化判定をすることができる。その際、電気的情報(電圧、電流、抵抗等)は離れた場所の二次電池劣化判定装置104で判定可能であるが、温度測定は二次電池の近傍や二次電池106毎に温度センサ105を備えることが望ましい。
【0071】
このようにすれば、例えば、観測装置や通信装置などの複数の装置それぞれに設置した二次電池の劣化判定を行うことができる。また、車両においても座席の下や前後の収納スペース等に複数個設置した場合に、少なくとも1つの二次電池劣化判定装置で二次電池の劣化判定を行うことができる。
【0072】
また、別の変形例として、図14のように複数の二次電池106のうち、1つは二次電池劣化判定装置107が二次電池106aの近傍にある。他の1つは二次電池劣化判定装置108が二次電池106bに取付けられるものである。なお、図14では残る二次電池C106は劣化判定をしないものである。
【0073】
また、図14では、装置・電源制御装置109には、GPS(Global
Positioning System)装置110、照明111、稼動部112等が接続される。装置・電源制御装置109によって電源を供給及び制御をする。例えば、照明111の点灯・消灯、稼動部112の動作制御やエネルギ消費量の制御等をするものである。なお、GPS装置110は位置や標高の他に時間も検出できるので、装置・電源制御装置109他の時刻合わせに利用することができる。
【0074】
このようにすれば、装置・電源制御装置109によって複数の二次電池106を管理し、表示部103に二次電池106の劣化状態を表示することができる。さらに、装置・電源制御装置109、二次電池劣化判定装置107,108や図示しないコンピュータ等にはコネクタや無線(赤外線等)を介して外部機器と情報の送受信ができ、劣化判定情報の授受や制御プログラムのインストールや更新ができるようにしてもよい。また、表示部103は、装置・電源制御装置109や二次電池劣化判定装置107,108に、液晶画面(LCD)やランプ等が付いている、または、内蔵する構成であってもよい。
【0075】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1、100…電源システム
2、10、106…二次電池
3、20…負荷
4…充電装置
5、18…電源制御装置
6…二次電池劣化判定装置
11…電流センサ
12…電圧センサ
13…制御部
14…記憶部
15…充電回路
16…放電回路
17,105…温度センサ
22,23…無線装置
24…コンピュータ
101…検知回路
102…制御・判定装置
103…表示部
104、107、108…二次電池劣化判定装置
109…装置・電源制御装置
110…GPS装置
111…照明
112…稼働部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性と、
劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、
前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、
前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、
を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う、
ことを特徴とする二次電池の劣化判定方法。
【請求項2】
劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を所定の手順にて放電させた後に放置或いは充電し、その後放電させたときの放電時間に対する電圧変化特性と、
劣化状態が未知である二次電池試験品の放電或いは充電開始前の電圧である第1の電池電圧と、
前記二次電池試験品を所定時間放置或いは充電したときの電圧である第2の電池電圧と、
前記第2の電池電圧測定時からさらに所定時間放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、
を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う、
ことを特徴とする二次電池の劣化判定方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性測定時に該二次電池基準品の温度を測定するとともに、
前記二次電池試験品の電池電圧測定時に該二次電池試験品の温度を測定し、
さらに、予め求めた、劣化していない良品二次電池の温度―電池電圧特性より、
前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性を所定の温度における特性に換算するとともに、
前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧及び前記第3の電池電圧を前記所定の温度における電圧に換算する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項4】
前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧の差をΔV1とし、
前記第2の電池電圧と前記第3の電池電圧の差をΔV2とし、
前記第2の電池電圧と前記二次電池試験品の安定状態における電池電圧の差をΔV3とし、
前記ΔV1と前記ΔV2及び前記ΔV3の内の少なくとも2つを用いて前記二次電池試験品の劣化判定を行う、
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項5】
前記ΔV1と前記ΔV2から|ΔV1/ΔV2|を求め、得られた値が所定の値以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定する、
ことを特徴とする請求項4記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項6】
前記ΔV3がゼロでないとき、
前記ΔV1と前記ΔV3から得られる|ΔV1/ΔV3|が所定の値以上であるか、或いは前記ΔV2と前記ΔV3から得られる|ΔV2/ΔV3|が所定の値以上であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定する、
ことを特徴とする請求項4記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項7】
前記ΔV3がゼロ以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定する、
ことを特徴とする請求項4記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項8】
前記二次電池試験品が充電中であった場合には、充電を中断或いは終了させた直後から放電電圧を測定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの二次電池基準品の特性をフロート状態で測定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項10】
劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性を記憶する記憶部と、
劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、を測定する電圧測定手段と、
前記電圧変化特性と、前記第1の電池電圧と、前記第2の電池電圧と、前記第3の電池電圧と、を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする二次電池の劣化判定装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの二次電池をフロート状態と負荷接続状態とに切り替える切替手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10記載の二次電池の劣化判定装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11記載の二次電池の劣化判定装置を備えたことを特徴とする二次電池の電源システム。
【請求項1】
劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性と、
劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、
前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、
前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、
を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う、
ことを特徴とする二次電池の劣化判定方法。
【請求項2】
劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を所定の手順にて放電させた後に放置或いは充電し、その後放電させたときの放電時間に対する電圧変化特性と、
劣化状態が未知である二次電池試験品の放電或いは充電開始前の電圧である第1の電池電圧と、
前記二次電池試験品を所定時間放置或いは充電したときの電圧である第2の電池電圧と、
前記第2の電池電圧測定時からさらに所定時間放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、
を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う、
ことを特徴とする二次電池の劣化判定方法。
【請求項3】
前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性測定時に該二次電池基準品の温度を測定するとともに、
前記二次電池試験品の電池電圧測定時に該二次電池試験品の温度を測定し、
さらに、予め求めた、劣化していない良品二次電池の温度―電池電圧特性より、
前記少なくとも一つの二次電池基準品の前記電圧変化特性を所定の温度における特性に換算するとともに、
前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧及び前記第3の電池電圧を前記所定の温度における電圧に換算する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項4】
前記第1の電池電圧と前記第2の電池電圧の差をΔV1とし、
前記第2の電池電圧と前記第3の電池電圧の差をΔV2とし、
前記第2の電池電圧と前記二次電池試験品の安定状態における電池電圧の差をΔV3とし、
前記ΔV1と前記ΔV2及び前記ΔV3の内の少なくとも2つを用いて前記二次電池試験品の劣化判定を行う、
ことを特徴とする請求項3記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項5】
前記ΔV1と前記ΔV2から|ΔV1/ΔV2|を求め、得られた値が所定の値以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定する、
ことを特徴とする請求項4記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項6】
前記ΔV3がゼロでないとき、
前記ΔV1と前記ΔV3から得られる|ΔV1/ΔV3|が所定の値以上であるか、或いは前記ΔV2と前記ΔV3から得られる|ΔV2/ΔV3|が所定の値以上であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定する、
ことを特徴とする請求項4記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項7】
前記ΔV3がゼロ以下であるとき、前記二次電池試験品は劣化品であると判定する、
ことを特徴とする請求項4記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項8】
前記二次電池試験品が充電中であった場合には、充電を中断或いは終了させた直後から放電電圧を測定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項9】
前記少なくとも一つの二次電池基準品の特性をフロート状態で測定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の二次電池の劣化判定方法。
【請求項10】
劣化状態が既知である少なくとも一つの二次電池基準品を放置或いは放電させたときの、放置或いは放電時間に対する電圧変化特性を記憶する記憶部と、
劣化状態が未知である二次電池試験品の放置前或いは放電開始前の電圧である第1の電池電圧と、前記所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第2の電池電圧と、前記第1の電池電圧測定時からさらに所定時間放置或いは放電させたときの電圧である第3の電池電圧と、を測定する電圧測定手段と、
前記電圧変化特性と、前記第1の電池電圧と、前記第2の電池電圧と、前記第3の電池電圧と、を用いて、前記二次電池試験品の劣化判定を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする二次電池の劣化判定装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つの二次電池をフロート状態と負荷接続状態とに切り替える切替手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10記載の二次電池の劣化判定装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11記載の二次電池の劣化判定装置を備えたことを特徴とする二次電池の電源システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−232345(P2011−232345A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125958(P2011−125958)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2005−96958(P2005−96958)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2005−96958(P2005−96958)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000005382)古河電池株式会社 (314)
【Fターム(参考)】
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