二次電池用活物質の材料を検査する検査システム
【課題】高密度化した二次電池用活物質の材料を検査する検査システムを提供する。
【解決手段】二次電池用活物質の材料の密度を上げる高密度化手段と、高密度化された材料に光を照射する照射手段と、照射手段により照射された光により、高密度化された材料から発せられる反射光または透過光を受光し、受光した光に基づいた信号を出力する受光手段と、信号から色彩値を算出する算出手段と、算出手段が算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段と、を含む。
【解決手段】二次電池用活物質の材料の密度を上げる高密度化手段と、高密度化された材料に光を照射する照射手段と、照射手段により照射された光により、高密度化された材料から発せられる反射光または透過光を受光し、受光した光に基づいた信号を出力する受光手段と、信号から色彩値を算出する算出手段と、算出手段が算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用活物質の材料を検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池用活物質は、通常、共沈、プレス、濾過、混合、粉砕、乾燥、攪拌、添加、焼成、粒度調整などの複数の工程を経て製造される。各工程はバッチ式または連続式プロセスのいずれかである。このような工程において不良品が発生することがあり、それを検査する必要がある。二次電池用活物質の検査方法として、二次電池用活物質であるリチウムマンガン複酸化物を酸化水溶液と混合してPHを測定し評価することにより、それが適正か否かを検査する方法がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−326191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では酸化水溶液にリチウムマンガン複酸化物を混合して検査しているため、検査後はリチウムイオン二次電池用活物質として使用することはできなくなる。
【0004】
そこで本発明の目的は、非破壊的な検査システムを提供することであって、検査後においても二次電池用活物質として使用することができる二次電池用活物質の検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明に係る二次電池用活物質の材料を検査する検査システムは、次のような構成を特徴としている。二次電池用活物質の材料の密度を上げる高密度化手段と、前記高密度化された材料に光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射された光により、前記高密度化された材料から発せられる反射光または透過光を受光し、当該受光した光に基づいた信号を出力する受光手段と、前記信号から色彩値を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、当該算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、前記二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、二次電池用活物質の材料を高密度化する前処理を施し、それに光を照射して得られる色彩値による検査を行うことができるので二次電池用活物質の材料を無駄に消費しないですむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。しかし、本発明の検査システムは以下の実施形態のみには制限されない。なお、添付した図面では、説明の明確性のために各構成要素を誇張して表現している。また、図面では同一の要素には同一の符号を付し、明細書では同一の要素について重複する説明を省略している。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。図2Aは、図1に示す検査システムの平面図である。図2B〜図2Dは、図2Aと異なる配置の検査システムの平面図である。つまり、二次電池用活物質の材料を高密度化する手段の違い、照射の際の照射経路の違い、および二次光として反射光または透過光を受光しているかの違いを示している。ここでは、図2Aを用いて主に説明する。
【0009】
本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、図1に示すように、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、押圧ガイド5、入射窓6、観察窓7、筒体下部8、出口管9、光源10、分光器11、撮像素子12、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、外部電子計算機19を備える。たとえば、撮像素子12はカラーCCDイメージセンサー12であり、外部電子計算機19はパソコンである。
【0010】
ホッパー1はホッパー排出口2を介して測定管3に接続しており、測定管3の下部には、出口管9、不良品回収受け皿15がそれぞれ、排出弁4、不良品回収弁14を介して接続しており、これらは搬送手段として機能する。搬送手段は、二次電池用活物質の材料を圧縮することによる高密度化する段階から、それが良品か否かを判定する段階後の検査終了後までの一連の工程において二次電池用活物質の材料を搬送する。二次電池用活物質の材料はホッパー1に検査員により投入される。ホッパー排出口2は測定管3との間に弁機能を有しても良い。排出弁4と不良品回収弁14の弁の操作は検査員により行われる。二次電池用活物質の材料の投入や弁の操作は別のシステムにより自動制御されても良い。
【0011】
検査終了後は、搬送手段は図1に示す通りに良品または不良品を別系統に分別する機能もまた有する。検査終了後の工程では、まずは排出弁4を開け、次に出口管9を通じて二次電池用活物質の材料を良品の場合は排出弁4を閉じ次工程へ搬送し、良品ではない場合は排出弁4を開けて不良品回収受け皿15へ搬送する。
【0012】
押圧ガイド5、入射窓6および観察窓7は測定管3に設置されており、二次電池用活物質の材料を圧縮することによる高密度化手段として機能する。押圧ガイド5は測定間3に固定されており、入射窓6が移動自在なガイドとして機能する。入射窓6は、凸形状をしており押圧ガイドに沿って測定管3内の二次電池用活物質の材料を押圧する圧縮手段として機能する。入射窓6は後述する光源10から光を入射させ二次電池用活物質の材料に照射するために透明なことが好ましい。観察窓7は測定管3に固定されていても良い。観察窓7も入射窓6と同様に、二次電池用活物質の材料からの二次光を通すため透明なことが好ましい。
【0013】
押圧ガイド5、入射窓6および観察窓7を測定管3に設置する位置は、二次光として反射光を利用するのか、透過光を利用するのかによって異なる。図2Aに示すように、二次光として反射光を利用する場合は、入射窓6および観察窓7を一直線ではない任意の角度で設置することができる。二次光として透過光を利用する場合は、図2Bに示すように、押圧ガイド5a、入射窓6aおよび観察窓7aを一直線上に設置することができる。図2Cに示すように、二次光として反射光を利用する場合において、観測窓7b側に光源10およびカラーCCDイメージセンサー12を設置することができる。この場合、入射窓6bは図2A、2Bの入射窓の圧縮機能のみを有するため透明な材質でなくても良い。さらに、図2Dに示すように、二次光として反射光を利用し、観測窓7c側に光源10およびカラーCCDイメージセンサー12を設置する場合、押圧ガイド5cを測定管3に設置し凸状の観察窓7cを押圧ガイド5cに沿って押圧し二次電池用活物質の材料を圧縮することにより高密度化を行っても良い。以上のように、様々な設置を設備のスペースに応じて適宜設定することができる。
【0014】
高密度化手段は、排出弁4を閉じてホッパー排出口2まで二次電池用活物質の材料を測定管3内に十分満たした状態で、押圧ガイド5に沿って入射窓6を押圧し高密度化する。高密度化手段は、二次電池用活物質の材料を圧粉・平滑化することにより、二次電池用活物質の材料を緻密化するものである。この手段により色の測定の再現性を高めることになる。また、二次電池用活物質の材料を圧粉・平滑化による高密度化を行わないまま後述する照射手段により光を照射しても、受光手段により二次電池用活物質の材料からの二次光を十分に受光することができずに、算出手段でその二次光の情報から色彩値を算出することは困難であった。
【0015】
高密度化手段は、その他の圧縮装置、圧粉治具、または、測定管内に二次電池用活物質の材料を詰めて観察窓、圧粉体受けになどにより圧縮し高密度化しても良い。
【0016】
二次電池用活物質の材料の種類等により異なるが、高密度化手段によりその密度をたとえば1〜5g/cm3にすることにより、色彩測定を精度良く再現性をもって行うことができる。
【0017】
高密度化手段により、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する際は、厚さを約10mm以下、加える圧力を1〜1000MPaにしてペレット状にすることが好ましい。本実施形態において入射窓6および観察窓7としてガラス製のものを使用した場合、装置強度を考慮すれば、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する際に加える圧力は1〜100MPaに設定するのが好ましい。この値に限らず色彩測定を精度良く再現性をもって行うために、加える圧力はシステム装置全体を考慮に入れ適宜設定できる。
【0018】
光源10は照射手段として機能する。照射手段は、二次電池用活物質の材料に光を照射するものである。照射手段による光の強度および波長は任意のものを用いることができるが、受光手段または算出手段に適合したものを用いる方が好ましい。
【0019】
照射手段は、たとえば、市販のライトを使用して、二次電池用活物質の材料の上流に分光器を備えることによって特定の波長域の光を照射しても良い。ここで、照射手段として波長は200〜900nmが好ましく、さらに好ましくは300〜800nmである。300〜800nmの光を用いることで、後述する受光手段として市販のカラーCCDイメージセンサーを使用することができ、コスト的に有利となる。
【0020】
カラーCCDイメージセンサー12は、観察窓7を通じて二次電池用活物質を撮影する受光手段として機能する。受光手段は、二次電池用活物質の材料から発せられる二次光を受光するものである。二次光は、照射手段から照射された光(一次光)が二次電池用活物質の材料により反射、屈折または透過した光であり、反射光、屈折光または透過光を示している。
【0021】
圧粉・平滑化した二次電池用活物質の材料と、照射手段と、受光手段との設置位置関係は、二次光として透過光で色彩を収集するのか、反射光で色彩を収集するのかによって、適宜選択することが可能である。好ましくは、再現性の観点から反射光を受光するのが良い。
【0022】
カラーCCDイメージセンサー12は複数の画素からなり、出力される信号はそれぞれの画素の位置情報とその画素のRGBやCMYなどの色彩情報である。それらの情報は、有線ないし無線の公知の方法により接続された外部電子計算機19に送られる。外部電子計算機19ではそれらの情報に基づいて、二次電池用活物質の材料からの二次光による情報を色彩値として算出する。
【0023】
受光手段は、照射手段もしくは照射手段後の分光器からの光の波長領域をカバーできるほどの波長領域に感度を有する受光素子を備えている必要がある。照射手段が200〜900nmの光を照射するのであれば、受光手段も200〜900nmの波長領域に感度を有している方が良い。
【0024】
外部電子計算機(パソコン(PC)等)19は、カラーCCDイメージセンサーが撮影した撮影データの情報に基づいて色彩値を算出する算出手段として機能する。具体的には、外部電子計算機19内に組み込まれた算出プログラムシステムであり、カラーCCDイメージセンサーから出力される二次電池用活物質の材料からの二次光による情報を色彩値として算出するものである。
【0025】
色彩値は、たとえばRGB表色系、XYZ表色系などの表色系として表現される。色彩値は、色相値、明度値、彩度値をすべて含むことが好ましく、たとえばJIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標に数値化することが好ましい。
【0026】
測定室13は色彩測定の際に外部光源の影響を排除するための機能を有する。測定室13内には、押圧ガイド5、入射窓6、観察窓7、筒体下部8、光源10、分光器11、およびカラーCCDイメージセンサー12が設けられている。ただし、測定管3の一部または全部、筒体下部8の一部または全部、排出弁4、は測定室13内に設けなくても良い。
【0027】
照射手段および受光手段を外光が遮断された測定室に備えることによって、外光の影響を減らすことができ、二次電池用活物質の材料の色彩測定を精度良く再現性をもって行うことができる。
【0028】
外部電子計算機(パソコン(PC)等)19は、さらに、算出された色彩値に基づいて検査対象の二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段として機能する。具体的には、外部電子計算機19内に組み込まれた判定プログラムシステムである。外部電子計算機19は、算出プログラムシステムと判定プログラムシステムを有しているが、それぞれ異なる外部電子計算機19に組み込まれていても良く、その場合は、無線または有線通信で相互接続されていることが良い。
【0029】
外部電子計算機19の判定プログラムシステムは、算出プログラムシステムが算出した二次電池用活物質の材料が発した二次光の情報による色彩値と、予め得られている良品の二次電池用活物質の材料による色彩値と、を比較して良品か否かを判定する。
【0030】
判定手段による良品であることの判定基準は、予め構築されている色彩値と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースを用いて行われ。電池特性評価とは二次電池としての性能の評価であり、二次電池の性能としては一般的に出力、密度、寿命、安定性、使用環境、充放電率、コスト等があげられる。
【0031】
具体的には、算出手段から出力されたL*a*b*系表色系の色彩値であるそれぞれのL値、a値、b値が良品とされる規定の範囲内に収まっているかによって良品か否かを判定する。
【0032】
これらの各構成要素は、搬送手段により接続されており、搬送手段の一部として備えられても構わない。また、照射手段、受光手段、および/または算出手段は、一つの装置に備えられても構わない。たとえば、カラーCCDイメージカメラに光源を取り付け、算出プログラムを予め組み込み出力信号としてRGB値やLab値を出力しても良い。また、これらの各構成要素は、検査システムにより制御・管理するために、有線または無線相互通信手段により接続されても構わない。さらに、搬送手段を利用しないで各構成要素に二次電池用活物質の材料を検査員が搬送しても良い。各構成要素の制御・管理もまた、別のシステムや検査員が補助しても良い。
【0033】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0034】
具体的な検査処理手順について詳細に説明する。
【0035】
図3は、図1、2に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0036】
図1、2に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、排出弁4を閉じる(S101)。本実施形態では、排出弁4を閉じることにより、排出弁4より下部へ二次電池用活物質の材料が流れなくなる。
【0037】
次に、ホッパー1に二次電池用活物質の材料を供給する(S102)。供給された二次電池用活物質の材料はホッパー排出口2を通じて測定管3内に滞留する。供給量に応じて、測定管3内に滞留する二次電池用活物質は次第に多くなり、押圧ガイド5、入射窓6、および観察窓7より上部にかかるようになる。二次電池用活物質がホッパー排出口2より下面であるうちに、二次電池用活物質の供給を停止する(S103)。すなわち、この時点で、測定管3内、ホッパー排出口2と排出弁4との間が二次電池用活物質により満たされた状態となっている。
【0038】
入射窓6と観察窓7とによる測定管3内の一部に存在する二次電池用活物質を圧粉・平滑化し高密度化する(S104)。ステップS104は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。ここでいう圧粉とは緻密化とほぼ同義であり、この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0039】
ステップS104により圧粉された二次電池用活物質を、カラーCCDイメージセンサー12により撮影することにより色彩測定を行う(S105)。ステップS105は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。カラーCCDイメージセンサーにより撮影される撮影データは、光源10の二次電池用活物質による反射、透過、屈折のいずれであっても良いが、反射であることが好ましい。反射、透過、屈折のいずれであるのかは、測定管3、押圧ガイド5、入射窓6、観察窓7、光源10、分光器11、カラーCCDイメージセンサー12の位置関係により決定される。得られた撮影データからの色彩測定結果の解析は、有線ないしは無線の公知の方法により接続された外部電子計算機により行なうのが、解析の確実性の観点からも好ましい(S106)。ステップS106は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S107)。ステップS107は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。
【0040】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S108:YES)、不良品回収弁14が閉じて、不良品回収受け皿15に二次電池用活物質が入らないようにする(S109)。さらに排出弁4が開いて、測定管3内に滞留していた二次電池用活物質は図中の枝管を通じて次工程に流れていく(S110)。その際に、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0041】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S111:NO)、不良品回収弁14が開く(S112)。さらに、排出弁4が開くことにより、二次電池用活物質は不良品回収受け皿15に回収されることになる(S113)。
【0042】
以上の構成の検査システムにおいて検査される二次電池用活物質の材料について説明する。
【0043】
二次電池用活物質の材料は、二次電池を製造するための、正極や負極を構成する二次電池用活物質、およびその活物質を製造する工程で生成された二次電池用活物質中間体である。つまり、二次電池用活物質の材料は、最終形態である二次電池用活物質、および最終形態の二次電池用活物質を製造する工程で生成される出発原料を省く化合物または混合物を含む二次電池用活物質中間体を示す。
【0044】
二次電池用活物質中間体とは、二次電池用活物質を製造する工程で生成される出発原料を除く化合物または混合物であって、公知の混合、粉砕、焼成、乾燥、攪拌、解砕、噴霧、沈殿、濾過、水熱、分散、造粒、遠心分離、水洗、蒸発、分級、磁選、エージング、などの工程で生成される。二次電池用活物質中間体の形態は、気体、液体、ゾル、ゲル、固体、粉体を挙げることができる。
【0045】
高密度化手段により圧縮し高密度化される際に、二次電池用活物質および二次電池用活物質中間体は粉体であることが好ましく、その粒径は0.1〜100μmであることが好ましい。特に好ましくは1〜50μmである。ここでいう粒径は、二次粒子の粒径を示す。さらに、二次電池用活物質および二次電池用活物質中間体の平均粒径は好ましくは1〜20μm、特に好ましくは2〜10μmである。ここで二次粒子の粒径は、公知のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定することができる。
【0046】
二次電池用活物質としては、たとえば、組成式がLiwNixMnyCozO2+δと表すことができる二次電池用正極活物質を挙げることができる。ただし、1.1<w<1.5、0.1<x<0.4、0.4<y<0.9、0<z<0.2、w+x+y+z=2、−0.2<δ<0.2とする。これは、非水電解質二次電池のリチウムイオン二次電池に用いられる。
【0047】
リチウムイオン二次電池として好ましい条件としては、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標が0<a<10、−1.2<b<20.0、0<L<30を満たすものが良い。上記のL*a*b*系表色系色座標と、組成式とを、同時に満たすことにより、遷移金属元素のモル比の和に対して過剰に添加したリチウム金属元素のうち、リチウム金属サイトに収まりきらない過剰分が結晶構造中の遷移金属元素サイトに過不足なく侵入して、かつMnの平均価数が4価から3価に近づくために、より高い放電容量を示す非水電解質二次電池用正極活物質の検査システムを提供することができる。L*a*b*系表色系色座標中のa値、b値およびL値は、0<a<10、−1.2<b<20.0、0<L<30が好ましい。さらに好ましくは、1.6<a<8、−1.2<b<10.0、10<L<25、最も好適なのは、3<a<6、2.0<b<5.0、15<L<23である。上記の範囲条件を満たす測定結果が検査で得られた場合、その二次電池用活物質が良品として判定される。
【0048】
ここで、上記の非水電解質二次電池用正極活物質を得るための合成方法としては、固相法、噴霧乾燥、共沈法など種々公知の方法を選択しても良い。
【0049】
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を得るための焼成温度は、700℃以上1000℃未満であることが好ましく、さらに好ましくは750℃以上950℃未満である。焼成温度が700℃未満の場合、該非水電解質二次電池用正極活物質を得るための反応が進行しない、または工業的に非現実的となる膨大な反応時間を要することになるため好ましくない。また、焼成温度が1000℃以上では、反応が急速に進行して、遷移金属元素の価数制御が困難となり、かつ前駆体中に含まれる反応に必須である化合物が一部揮発することもあるため、目的の非水電解質二次電池用正極活物質を得ることが困難となるため好ましくない。本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を得るための全工程中には、焼成工程を複数含んでいても良い。なお、上記の焼成温度は、いわゆる本焼成の条件を示し、仮焼成についてはこの限りではない。
【0050】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0051】
二次電池用活物質の材料を、本実施形態の検査システムに供給して、入射窓6と観察窓7とにより圧粉し高密度化を行い、カラーCCDイメージセンサー12により撮影して、データ測定・解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、をそれぞれの工程ごとに検査することも可能である。よって、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する前処理を施すことで、光を物質に照射しその物質からの二次光の色による検査を行うことができる簡単な検査システムを提供できる。また、圧縮により二次電池用活物質の材料の一部がペレット状に変形することもあるが、混練操作により容易に解砕することができる。よって、二次電池用活物質の材料を無駄に消費しないですむ非破壊的な検査システムを提供できる。また、産業廃棄物などを出す心配が無く、コストも安価にできる。
【0052】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0053】
本実施形態では、第1実施形態の光源とカラーCCDイメージセンサーの代わりに、分光光度計18を用いている。
【0054】
図4に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、押圧ガイド5、観察窓16、圧粉体受け17、筒体下部8、出口管9、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、分光光度測定プローブ18、外部電子計算機19、を備える。分光光度計18以外は第1実施形態と同じため説明は省略する。
【0055】
分光光度測定プローブ18は、光を二次電池用活物質の材料に照射する照射手段と、そこから発せられる反射光を受光する受光手段として機能する。分光光度測定プローブ18からは、色彩測定結果が外部電子計算機19に送信される。
【0056】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、分光光度計により二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0057】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0058】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、観察窓16と圧粉体受け17とにより圧粉して、分光光度測定プローブ18により測定、外部電子計算機19により色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第1実施形態と比較して、照射手段と受光手段とを兼ね備えた分光光度計を用いているため構成が簡単であり、光についての分析を専門に行う測定器であるため精度の高い測定が可能である。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0060】
本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、図3に示した第1実施形態のフローチャートと同様の処理がされるため、説明は省略する。
【0061】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0062】
本実施形態では、第1実施形態の光源とカラーCCDイメージセンサーと外部電子計算機19の代わりに、光電色彩計20を用いた。
【0063】
図5に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、押圧ガイド5、観察窓16、圧粉体受け17、筒体下部8、出口管9、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、光電色彩計20、を備える。光電色彩計20以外は第1実施形態と同じため説明は省略する。
【0064】
光電色彩計20は、光を二次電池用活物質の材料に照射する照射手段と、そこから発せられる反射光を観察窓16から受光する受光手段と、反射光から色彩値を算出する算出手段と、算出された結果に基づいて良品か否かを判定する判定手段として機能する。
【0065】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計により二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0066】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0067】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、観察窓16と圧粉体受け17とにより圧粉して、光電色彩計20により測定、解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第1および第2実施形態と比較して、光電色彩計20を用いることでさらに詳細な色彩値を測定でき、外部電子機器を使用しない構成により簡便かつ低コストの測定が可能である。
【0068】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0069】
本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、図3に示した第1実施形態のフローチャートと同様の処理がされるため、説明は省略する。
【0070】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0071】
図6に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、測定室13、光電色彩計20、圧粉治具21、圧粉治具22、圧粉体23、観察窓24、良品回収弁25、不良品回収弁26、不良品回収受け皿27、を備える。
【0072】
測定室13内には、観察窓24および光電色彩計20が設けられている。ただし、測定管3の一部または全部、は測定室13内になくても良い。測定室13は、色彩測定の際に外部光源の影響を排除する機能を有する。圧粉治具21および圧粉治具22は、測定管3の一部を構成しており、測定管3管内を流通する二次電池用活物質を圧粉する機能を有する。ホッパー排出口2は弁機能を有しても良い。光電色彩計20は、観察窓24を通じて二次電池用活物質の色彩測定をする。測定管3は傾斜を持たせることにより、管内の二次電池用活物質を上流から下流に流通させる。また、光電色彩計20の代わりに、第1実施形態で用いた光源+カラーCCDイメージセンサー+外部電子計算機や、第2実施形態で用いた分光光度計+外部電子計算機を用いても良い。
【0073】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計により二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。以下、図6を参照しつつ、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムについて説明する。
【0074】
図7は、図6に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計20により測定、および色彩の解析がなされ、二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0075】
図7に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、不良品回収弁26を閉じて(S401)、その後に良品回収弁25を開く(S402)。
【0076】
次に、ホッパー1に二次電池用活物質を供給する(S403)。供給された二次電池用活物質はホッパー排出口2を通じて測定管3内に流通していく。本実施形態では、良品回収弁25を開き、不良品回収弁26を閉じることにより、二次電池用活物質は滞留はせずに、良品回収弁25を通っていく。ホッパー1に二次電池用活物質を供給する速度、または、ホッパー排出口2に弁を備えている場合にはその弁の開度を調整することにより、二次電池用活物質が測定管3内を流通する速度を調整することができる。
【0077】
二次電池用活物質が測定管3内を流通している状態で、圧粉治具21と圧粉治具22とにより、測定管3内の一部に存在する二次電池用活物質を圧粉・平滑化し高密度化する(S404)。ステップS404は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。ここでいう圧粉とは緻密化とほぼ同義であり、この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0078】
ステップS404により圧粉された二次電池用活物質が測定管3内を流通して、光電色彩計20の測定範囲に入る時点で色彩測定を行う(S405)。ステップS405は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。得られた測定データからの色彩測定結果の解析もまた、光電色彩計20により行なう(S406)。ステップS406は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S407)。ステップS407は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。
【0079】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S408:YES)、良品回収弁25は開いた状態のままであり(S409)、不良品回収弁26もまた閉じた状態を保持する(S410)。すなわち、二次電池用活物質の測定管3内の流通は維持されており、停止することはない。その際に、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0080】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S411:NO)、良品回収弁25が閉じて(S412)、不良品回収弁26は開くことになる(S413)。すなわち、二次電池用活物質は不良品回収受け皿27に回収され、良品とは区別される。
【0081】
これら一連の操作は、連続で行なわれ、良品と判定された二次電池用活物質は次工程に流れていく。
【0082】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0083】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、圧粉治具21と圧粉治具22とにより圧粉して、光電色彩計20により測定、解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第3実施形態の効果に加えて、連続的に二次電池用活物質の判定をすることができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0085】
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0086】
図8に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、光電色彩計20、ベルトコンベア28、活物質保持板29、二次電池用活物質30、圧粉治具31、測定室32、を備える。また、第1実施形態で用いた光源+カラーCCDイメージセンサー+外部電子計算機や、第2実施形態で用いた分光光度計+外部電子計算機を光電色彩計20の代わりに用いても良い。
【0087】
図9は、図8に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計20により測定、および色彩の解析がなされ、二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0088】
図9に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、コンベア28を稼働させて(S501)、二次電池用活物質を供給して図8中の右方向に二次電池用活物質を移動させる(S502)。
【0089】
圧粉治具31により、二次電池用活物質を圧粉・平滑化し高密度化する(S503)。ステップS503は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。ここでいう圧粉とは緻密化とほぼ同義であり、この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0090】
ステップS503により圧粉された二次電池用活物質がコンベア28上を移動して、光電色彩計20の測定範囲に入る時点で測定する(S504)。ステップS504は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。得られた測定データからの色彩測定結果の解析もまた、光電色彩計20により行なう(S505)。ステップS505は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S506)。ステップS506は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。なお、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0091】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S507:YES)、追加の操作は特になく、単にコンベア28上を二次電池用活物質が移動して行くのみとなる。
【0092】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S508:NO)、コンベア28を停止して(S509)、不良品が発生した原因究明を行なっていくこととなる(S510)。
【0093】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0094】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、圧粉治具31により圧粉して、光電色彩計20により測定、解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第3実施形態の効果に加えて、検査システム全体を収納する建物高さを低くすることができる。
【0095】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0096】
(第6実施形態)
図10は、本発明の第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。図11は、図10の検査システムの平面図である。
【0097】
図10に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、入射窓6、観察窓7、筒体下部8、出口管9、光源10、分光器11、カラーCCDイメージセンサー12、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、振動部33、外部電子計算機19を備える。ここで、光源10+カラーCCDイメージセンサー12の代わりに第2実施形態で説明した分光光度計を用いても良く、光源10+カラーCCDイメージセンサー12+外部電子計算機19の代わりに第3実施形態で説明した光電色彩計20を用いても良い。
【0098】
ホッパー1はホッパー排出口2を介して測定管3に接続しており、測定管3の下部には、出口管9、不良品回収受け皿15がそれぞれ、排出弁4、不良品回収弁14を介して接続している。測定室13内には、入射窓6、観察窓7、光源10、分光器11、およびカラーCCDイメージセンサー12が設けられている。ただし、測定管3の一部または全部、筒体下部8の一部または全部、排出弁4、は測定室13内になくても良い。
【0099】
振動部33は、二次電池用活物質の材料を振動させて密度を上げるため振動手段として機能する。
【0100】
測定室13は、色彩測定の際に外部光源の影響を排除するための機能を有する。出口管9は、検査終了後の二次電池用活物質を次工程に搬送する機能を有しており、図9に示す通りに良品または不良品を別系統に分別する機能もまた有する。光源10の波長は、200〜900nmが好ましく、さらに好ましくは300〜800nmである。分光器11は、光源10より照射される光を分光する機能を有する。入射窓6および観察窓7は、光を透過する材質で形成されている。ホッパー排出口2は弁機能を有しても良い。カラーCCDイメージセンサー12は、観察窓7を通じて二次電池用活物質を撮影、色彩測定をする。
【0101】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。以下、図10、13を参照しつつ、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムについて説明する。
【0102】
図12は、図10、11に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0103】
図10に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、排出弁4を閉じる(S601)。本実施形態では、排出弁4を閉じることにより、排出弁4より下部へ二次電池用活物質が流れなくなる。
【0104】
次に、ホッパー1に二次電池用活物質を供給する(S602)。供給された二次電池用活物質はホッパー排出口2を通じて測定管3内に滞留する。供給量に応じて、測定管3内に滞留する二次電池用活物質は次第に多くなり、入射窓6、および観察窓7より上部にかかるようになる。二次電池用活物質がホッパー排出口2より下面であるうちに、二次電池用活物質の供給を停止する(S603)。すなわち、この時点で、測定管3内、ホッパー排出口2と排出弁4との間が二次電池用活物質により満たされた状態となっている。
【0105】
測定管3のうち色彩測定にかかる部分を振動させて、測定管3内に存在する二次電池用活物質を充填化し高密度化する(S604)。ステップS604は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0106】
ステップS604により充填化された二次電池用活物質を、カラーCCDイメージセンサー12により撮影することにより色彩測定を行う(S605)。ステップS605は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。カラーCCDイメージセンサーにより撮影される撮影データは、光源10の二次電池用活物質による反射、透過、屈折のいずれであっても良いが、反射であることが好ましい。反射、透過、屈折のいずれであるのかは、測定管3、観察窓7、光源10、分光器11、カラーCCDイメージセンサー12の位置関係により決定される。得られた撮影データからの色彩測定結果の解析は、有線ないしは無線の公知の方法により接続された外部電子計算機により行なうのが、解析の確実性の観点からも好ましい(S606)。ステップS606は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S607)。ステップS607は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。
【0107】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S608:YES)、不良品回収弁14が閉じて、不良品回収受け皿15に二次電池用活物質が入らないようにする(S609)。さらに排出弁4が開いて、測定管3内に滞留していた二次電池用活物質は図中の枝管を通じて次工程に流れていく(S610)。その際に、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0108】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S611:NO)、不良品回収弁14が開く(S612)。さらに、排出弁4が開くことにより、二次電池用活物質は不良品回収受け皿15に回収されることになる(S613)。
【0109】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0110】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、測定管3の一部を振動、二次電池用活物質を充填化させて、カラーCCDイメージセンサー12により撮影して、データ測定・解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0111】
(実施例1)
二次電池用活物質の具体例をリチウムイオン二次電池用正極活物質E−1に基づいて説明する。本願発明に関する二次電池用活物質はリチウムイオン二次電池用正極活物質E−1に限定されるわけではない。
【0112】
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−1の作製
硫酸ニッケル(II)六水和物、硫酸マンガン(II)四水和物、硫酸コバルト(II)七水和物を各遷移金属元素のモル比がNi:Mn:Co=17:56:7となるように秤量、イオン交換水に添加して、2mol/Lの硫酸塩水溶液を調整した。この硫酸塩水溶液の温度を25℃に制御して一定速度で攪拌をした。この硫酸塩水溶液に、0.2mol/Lの水酸化アンモニウム水溶液を一定速度で滴下して、pHの値を7.5に調整した。その後に、0.2mol/Lの水酸化アンモニウム水溶液と2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液とを、pHの値を7.5に保持しながら一定速度で滴下して、沈殿物A−1を得た。沈殿物A−1を、イオン交換水により洗浄、吸引ろ過して、余分の水分を除去した。さらに、温度120℃に保持した乾燥機内で、微量の水分を蒸発除去して複合水酸化物B−1を得た。複合水酸化物B−1を大気雰囲気中、温度500℃、保持時間5時間で仮焼成して、複合酸化物C−1を得た。複合酸化物C−1に対して、ICP発光分光分析測定による組成分析をして、仕込み組成と一致することを確認した。複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=125:17:56:7となるように混合・粉砕して混合原料粉末D−1を得た。混合原料粉末D−1を、大気雰囲気中に900℃で12時間保持、焼成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−1を得た。
【0113】
(2)粉末X線回折測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−1について、粉末X線回折の測定をした。測定には理学電機株式会社製RU−200(回転対陰極型)を使用して、以下の条件で行なった。
【0114】
X線: CuKα
電圧−電流: 50kV−200mA
測定角度範囲: 2θ=10〜100°
ステップ: 0.02°
スキャンスピード: 1°/分
リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−1の粉末X線回折測定の結果を図13に示す。観測されたピークは、Li2MnO3とLiNiO2のいずれかに帰属された。
【0115】
(3)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−1を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=4.36、b=2.09、L=17.89であった。真密度は5g/cm3であった。
【0116】
(4)リチウムイオン二次電池の作製
リチウムイオン二次電池用正極活物質E−1 20mgと、導電助剤兼結着剤であるTAB−2 12mgとを混練後にペレット成形してリチウムイオン二次電池用正極を得た。
【0117】
上記で作製したリチウムイオン二次電池用正極、対極としてLi金属、セパレータとしてガラス濾紙、電解液として、1.0MのLiPF6を含有するエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DMC)とのモル比(1:2)の混合溶液を用いて、コイン型2極式セルを作製した。
【0118】
(5)充放電容量の測定
上記のコイン型2極式セルを作製して24時間経過後に、以下の条件で定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を開始した。
充電: 充電電圧4.8V、充電時間8時間、充電電流密度0.2mA/cm2
放電: 放電電圧2.0V、放電電流密度0.2mA/cm2
ただし、フォーメーションとして上限電圧を4.5、4.6、4.7Vと2サイクル毎に変化させて後に上記の充放電条件として試験を実施した。得られた放電容量は275mAh/gであった。
【0119】
(実施例2)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−2の作製
実施例1中の複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=135:17:56:7となるように混合・粉砕した他は実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−2を得た。
【0120】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−2を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=2.11、b=―1.10、L=19.52であった。真密度は5g/cm3であった。
【0121】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−2を用いた他は、同様の手順により作製した。
【0122】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は256mAh/gであった。
【0123】
(実施例3)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−3の作製
実施例1中の複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=140:17:56:7となるように混合・粉砕した他は実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−3を得た。
【0124】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−3を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=1.68、b=―0.95、L=19.18であった。真密度は5g/cm3であった。
【0125】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−3を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0126】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は245mAh/gであった。
【0127】
(実施例4)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−4の作製
実施例1中の複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=145:17:56:7となるように混合・粉砕した他は実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−4を得た。
【0128】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−4を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=1.60、b=―0.92、L=19.98であった。真密度は5g/cm3であった。
【0129】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−4を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0130】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は220mAh/gであった。
【0131】
(実施例5)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−5の作製
実施例1中の混合原料粉末D−1を焼成温度700℃とした他は、実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−5を得た。
【0132】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−5を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=5.70、b=5.81、L=18.51であった。真密度は5g/cm3であった。
【0133】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−5を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0134】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は245mAh/gであった。
【0135】
(実施例6)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−6の作製
実施例1中の混合原料粉末D−1を焼成温度1000℃とした他は、実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−6を得た。
【0136】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−6を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=2.43、b=−1.20、L=18.94であった。真密度は5g/cm3であった。
【0137】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−6を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0138】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は201mAh/gであった。
【0139】
(結果)
表1に示すように、二次電池用活物質の製作における実施例1〜4が示すように、二次電池用活物質の材料の各元素の比率が異なると、L*a*b*系表色系色座標のLab値および放電容量が変化する。よって、所定の放電容量値に基づいて二次電池用活物質の材料が良品か否かを決定したとすると、L*a*b*系表色系色座標において良品か否かの領域を決定することができ、非破壊的な検査をすることができる。
【0140】
また、二次電池用活物質の製作における実施例1、5、6が示すように、二次電池用活物質の材料を燃焼する条件が異なると、L*a*b*系表色系色座標のLab値および放電容量が変化する。よって、同様に、所定の放電容量値に基づいて二次電池用活物質の材料が良品か否かを決定したとすると、L*a*b*系表色系色座標において良品か否かの領域を決定することができ、非破壊的な検査をすることができる。
【0141】
【表1】
【0142】
以上の通り、本発明の第1〜第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムでは、二次電池用活物質の材料を高密度化し、色彩値を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。さらに、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、をそれぞれの工程ごとに検査することも可能である。よって、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する前処理を施すことで、光を物質に照射しその物質からの二次光を解析して得られる色彩値による検査を行うことができる簡単な検査システムを提供できる。また、圧縮により二次電池用活物質の材料の一部がペレット状に変形することもあるが、混練操作により容易に解砕することができる。よって、二次電池用活物質の材料を無駄に消費しないですむ非破壊的な検査システムを提供できる。また、産業廃棄物などを出す心配が無く、コストも安価にできる。
【0143】
本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図2A】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図2B】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図2C】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図2D】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図3】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図5】第3実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図6】第4実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図7】第4実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図8】第5実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図9】第5実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図10】第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図11】第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図12】第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図13】二次電池用正極活物質粒子の粉末X線回折測定の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
1 ホッパー、
2 ホッパー排出口
3 測定管、
4 排出弁、
5 押圧ガイド、
6 入射窓、
7 観察窓、
8 筒体下部、
9 出口管、
10 光源、
11 分光器、
12 撮像素子、
13 測定湿、
14 不良品回収弁、
15 不良品回収受け皿、
17 圧粉体受け、
18 分光光度計、
19 外部電子計算機、
20 光電色彩計、
28 ベルトコンベア、
33 振動部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用活物質の材料を検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池用活物質は、通常、共沈、プレス、濾過、混合、粉砕、乾燥、攪拌、添加、焼成、粒度調整などの複数の工程を経て製造される。各工程はバッチ式または連続式プロセスのいずれかである。このような工程において不良品が発生することがあり、それを検査する必要がある。二次電池用活物質の検査方法として、二次電池用活物質であるリチウムマンガン複酸化物を酸化水溶液と混合してPHを測定し評価することにより、それが適正か否かを検査する方法がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−326191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1では酸化水溶液にリチウムマンガン複酸化物を混合して検査しているため、検査後はリチウムイオン二次電池用活物質として使用することはできなくなる。
【0004】
そこで本発明の目的は、非破壊的な検査システムを提供することであって、検査後においても二次電池用活物質として使用することができる二次電池用活物質の検査システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明に係る二次電池用活物質の材料を検査する検査システムは、次のような構成を特徴としている。二次電池用活物質の材料の密度を上げる高密度化手段と、前記高密度化された材料に光を照射する照射手段と、前記照射手段により照射された光により、前記高密度化された材料から発せられる反射光または透過光を受光し、当該受光した光に基づいた信号を出力する受光手段と、前記信号から色彩値を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、当該算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、前記二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、二次電池用活物質の材料を高密度化する前処理を施し、それに光を照射して得られる色彩値による検査を行うことができるので二次電池用活物質の材料を無駄に消費しないですむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付した図面を参照して本発明を適用した最良の実施形態を説明する。しかし、本発明の検査システムは以下の実施形態のみには制限されない。なお、添付した図面では、説明の明確性のために各構成要素を誇張して表現している。また、図面では同一の要素には同一の符号を付し、明細書では同一の要素について重複する説明を省略している。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。図2Aは、図1に示す検査システムの平面図である。図2B〜図2Dは、図2Aと異なる配置の検査システムの平面図である。つまり、二次電池用活物質の材料を高密度化する手段の違い、照射の際の照射経路の違い、および二次光として反射光または透過光を受光しているかの違いを示している。ここでは、図2Aを用いて主に説明する。
【0009】
本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、図1に示すように、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、押圧ガイド5、入射窓6、観察窓7、筒体下部8、出口管9、光源10、分光器11、撮像素子12、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、外部電子計算機19を備える。たとえば、撮像素子12はカラーCCDイメージセンサー12であり、外部電子計算機19はパソコンである。
【0010】
ホッパー1はホッパー排出口2を介して測定管3に接続しており、測定管3の下部には、出口管9、不良品回収受け皿15がそれぞれ、排出弁4、不良品回収弁14を介して接続しており、これらは搬送手段として機能する。搬送手段は、二次電池用活物質の材料を圧縮することによる高密度化する段階から、それが良品か否かを判定する段階後の検査終了後までの一連の工程において二次電池用活物質の材料を搬送する。二次電池用活物質の材料はホッパー1に検査員により投入される。ホッパー排出口2は測定管3との間に弁機能を有しても良い。排出弁4と不良品回収弁14の弁の操作は検査員により行われる。二次電池用活物質の材料の投入や弁の操作は別のシステムにより自動制御されても良い。
【0011】
検査終了後は、搬送手段は図1に示す通りに良品または不良品を別系統に分別する機能もまた有する。検査終了後の工程では、まずは排出弁4を開け、次に出口管9を通じて二次電池用活物質の材料を良品の場合は排出弁4を閉じ次工程へ搬送し、良品ではない場合は排出弁4を開けて不良品回収受け皿15へ搬送する。
【0012】
押圧ガイド5、入射窓6および観察窓7は測定管3に設置されており、二次電池用活物質の材料を圧縮することによる高密度化手段として機能する。押圧ガイド5は測定間3に固定されており、入射窓6が移動自在なガイドとして機能する。入射窓6は、凸形状をしており押圧ガイドに沿って測定管3内の二次電池用活物質の材料を押圧する圧縮手段として機能する。入射窓6は後述する光源10から光を入射させ二次電池用活物質の材料に照射するために透明なことが好ましい。観察窓7は測定管3に固定されていても良い。観察窓7も入射窓6と同様に、二次電池用活物質の材料からの二次光を通すため透明なことが好ましい。
【0013】
押圧ガイド5、入射窓6および観察窓7を測定管3に設置する位置は、二次光として反射光を利用するのか、透過光を利用するのかによって異なる。図2Aに示すように、二次光として反射光を利用する場合は、入射窓6および観察窓7を一直線ではない任意の角度で設置することができる。二次光として透過光を利用する場合は、図2Bに示すように、押圧ガイド5a、入射窓6aおよび観察窓7aを一直線上に設置することができる。図2Cに示すように、二次光として反射光を利用する場合において、観測窓7b側に光源10およびカラーCCDイメージセンサー12を設置することができる。この場合、入射窓6bは図2A、2Bの入射窓の圧縮機能のみを有するため透明な材質でなくても良い。さらに、図2Dに示すように、二次光として反射光を利用し、観測窓7c側に光源10およびカラーCCDイメージセンサー12を設置する場合、押圧ガイド5cを測定管3に設置し凸状の観察窓7cを押圧ガイド5cに沿って押圧し二次電池用活物質の材料を圧縮することにより高密度化を行っても良い。以上のように、様々な設置を設備のスペースに応じて適宜設定することができる。
【0014】
高密度化手段は、排出弁4を閉じてホッパー排出口2まで二次電池用活物質の材料を測定管3内に十分満たした状態で、押圧ガイド5に沿って入射窓6を押圧し高密度化する。高密度化手段は、二次電池用活物質の材料を圧粉・平滑化することにより、二次電池用活物質の材料を緻密化するものである。この手段により色の測定の再現性を高めることになる。また、二次電池用活物質の材料を圧粉・平滑化による高密度化を行わないまま後述する照射手段により光を照射しても、受光手段により二次電池用活物質の材料からの二次光を十分に受光することができずに、算出手段でその二次光の情報から色彩値を算出することは困難であった。
【0015】
高密度化手段は、その他の圧縮装置、圧粉治具、または、測定管内に二次電池用活物質の材料を詰めて観察窓、圧粉体受けになどにより圧縮し高密度化しても良い。
【0016】
二次電池用活物質の材料の種類等により異なるが、高密度化手段によりその密度をたとえば1〜5g/cm3にすることにより、色彩測定を精度良く再現性をもって行うことができる。
【0017】
高密度化手段により、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する際は、厚さを約10mm以下、加える圧力を1〜1000MPaにしてペレット状にすることが好ましい。本実施形態において入射窓6および観察窓7としてガラス製のものを使用した場合、装置強度を考慮すれば、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する際に加える圧力は1〜100MPaに設定するのが好ましい。この値に限らず色彩測定を精度良く再現性をもって行うために、加える圧力はシステム装置全体を考慮に入れ適宜設定できる。
【0018】
光源10は照射手段として機能する。照射手段は、二次電池用活物質の材料に光を照射するものである。照射手段による光の強度および波長は任意のものを用いることができるが、受光手段または算出手段に適合したものを用いる方が好ましい。
【0019】
照射手段は、たとえば、市販のライトを使用して、二次電池用活物質の材料の上流に分光器を備えることによって特定の波長域の光を照射しても良い。ここで、照射手段として波長は200〜900nmが好ましく、さらに好ましくは300〜800nmである。300〜800nmの光を用いることで、後述する受光手段として市販のカラーCCDイメージセンサーを使用することができ、コスト的に有利となる。
【0020】
カラーCCDイメージセンサー12は、観察窓7を通じて二次電池用活物質を撮影する受光手段として機能する。受光手段は、二次電池用活物質の材料から発せられる二次光を受光するものである。二次光は、照射手段から照射された光(一次光)が二次電池用活物質の材料により反射、屈折または透過した光であり、反射光、屈折光または透過光を示している。
【0021】
圧粉・平滑化した二次電池用活物質の材料と、照射手段と、受光手段との設置位置関係は、二次光として透過光で色彩を収集するのか、反射光で色彩を収集するのかによって、適宜選択することが可能である。好ましくは、再現性の観点から反射光を受光するのが良い。
【0022】
カラーCCDイメージセンサー12は複数の画素からなり、出力される信号はそれぞれの画素の位置情報とその画素のRGBやCMYなどの色彩情報である。それらの情報は、有線ないし無線の公知の方法により接続された外部電子計算機19に送られる。外部電子計算機19ではそれらの情報に基づいて、二次電池用活物質の材料からの二次光による情報を色彩値として算出する。
【0023】
受光手段は、照射手段もしくは照射手段後の分光器からの光の波長領域をカバーできるほどの波長領域に感度を有する受光素子を備えている必要がある。照射手段が200〜900nmの光を照射するのであれば、受光手段も200〜900nmの波長領域に感度を有している方が良い。
【0024】
外部電子計算機(パソコン(PC)等)19は、カラーCCDイメージセンサーが撮影した撮影データの情報に基づいて色彩値を算出する算出手段として機能する。具体的には、外部電子計算機19内に組み込まれた算出プログラムシステムであり、カラーCCDイメージセンサーから出力される二次電池用活物質の材料からの二次光による情報を色彩値として算出するものである。
【0025】
色彩値は、たとえばRGB表色系、XYZ表色系などの表色系として表現される。色彩値は、色相値、明度値、彩度値をすべて含むことが好ましく、たとえばJIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標に数値化することが好ましい。
【0026】
測定室13は色彩測定の際に外部光源の影響を排除するための機能を有する。測定室13内には、押圧ガイド5、入射窓6、観察窓7、筒体下部8、光源10、分光器11、およびカラーCCDイメージセンサー12が設けられている。ただし、測定管3の一部または全部、筒体下部8の一部または全部、排出弁4、は測定室13内に設けなくても良い。
【0027】
照射手段および受光手段を外光が遮断された測定室に備えることによって、外光の影響を減らすことができ、二次電池用活物質の材料の色彩測定を精度良く再現性をもって行うことができる。
【0028】
外部電子計算機(パソコン(PC)等)19は、さらに、算出された色彩値に基づいて検査対象の二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段として機能する。具体的には、外部電子計算機19内に組み込まれた判定プログラムシステムである。外部電子計算機19は、算出プログラムシステムと判定プログラムシステムを有しているが、それぞれ異なる外部電子計算機19に組み込まれていても良く、その場合は、無線または有線通信で相互接続されていることが良い。
【0029】
外部電子計算機19の判定プログラムシステムは、算出プログラムシステムが算出した二次電池用活物質の材料が発した二次光の情報による色彩値と、予め得られている良品の二次電池用活物質の材料による色彩値と、を比較して良品か否かを判定する。
【0030】
判定手段による良品であることの判定基準は、予め構築されている色彩値と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースを用いて行われ。電池特性評価とは二次電池としての性能の評価であり、二次電池の性能としては一般的に出力、密度、寿命、安定性、使用環境、充放電率、コスト等があげられる。
【0031】
具体的には、算出手段から出力されたL*a*b*系表色系の色彩値であるそれぞれのL値、a値、b値が良品とされる規定の範囲内に収まっているかによって良品か否かを判定する。
【0032】
これらの各構成要素は、搬送手段により接続されており、搬送手段の一部として備えられても構わない。また、照射手段、受光手段、および/または算出手段は、一つの装置に備えられても構わない。たとえば、カラーCCDイメージカメラに光源を取り付け、算出プログラムを予め組み込み出力信号としてRGB値やLab値を出力しても良い。また、これらの各構成要素は、検査システムにより制御・管理するために、有線または無線相互通信手段により接続されても構わない。さらに、搬送手段を利用しないで各構成要素に二次電池用活物質の材料を検査員が搬送しても良い。各構成要素の制御・管理もまた、別のシステムや検査員が補助しても良い。
【0033】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0034】
具体的な検査処理手順について詳細に説明する。
【0035】
図3は、図1、2に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0036】
図1、2に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、排出弁4を閉じる(S101)。本実施形態では、排出弁4を閉じることにより、排出弁4より下部へ二次電池用活物質の材料が流れなくなる。
【0037】
次に、ホッパー1に二次電池用活物質の材料を供給する(S102)。供給された二次電池用活物質の材料はホッパー排出口2を通じて測定管3内に滞留する。供給量に応じて、測定管3内に滞留する二次電池用活物質は次第に多くなり、押圧ガイド5、入射窓6、および観察窓7より上部にかかるようになる。二次電池用活物質がホッパー排出口2より下面であるうちに、二次電池用活物質の供給を停止する(S103)。すなわち、この時点で、測定管3内、ホッパー排出口2と排出弁4との間が二次電池用活物質により満たされた状態となっている。
【0038】
入射窓6と観察窓7とによる測定管3内の一部に存在する二次電池用活物質を圧粉・平滑化し高密度化する(S104)。ステップS104は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。ここでいう圧粉とは緻密化とほぼ同義であり、この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0039】
ステップS104により圧粉された二次電池用活物質を、カラーCCDイメージセンサー12により撮影することにより色彩測定を行う(S105)。ステップS105は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。カラーCCDイメージセンサーにより撮影される撮影データは、光源10の二次電池用活物質による反射、透過、屈折のいずれであっても良いが、反射であることが好ましい。反射、透過、屈折のいずれであるのかは、測定管3、押圧ガイド5、入射窓6、観察窓7、光源10、分光器11、カラーCCDイメージセンサー12の位置関係により決定される。得られた撮影データからの色彩測定結果の解析は、有線ないしは無線の公知の方法により接続された外部電子計算機により行なうのが、解析の確実性の観点からも好ましい(S106)。ステップS106は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S107)。ステップS107は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。
【0040】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S108:YES)、不良品回収弁14が閉じて、不良品回収受け皿15に二次電池用活物質が入らないようにする(S109)。さらに排出弁4が開いて、測定管3内に滞留していた二次電池用活物質は図中の枝管を通じて次工程に流れていく(S110)。その際に、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0041】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S111:NO)、不良品回収弁14が開く(S112)。さらに、排出弁4が開くことにより、二次電池用活物質は不良品回収受け皿15に回収されることになる(S113)。
【0042】
以上の構成の検査システムにおいて検査される二次電池用活物質の材料について説明する。
【0043】
二次電池用活物質の材料は、二次電池を製造するための、正極や負極を構成する二次電池用活物質、およびその活物質を製造する工程で生成された二次電池用活物質中間体である。つまり、二次電池用活物質の材料は、最終形態である二次電池用活物質、および最終形態の二次電池用活物質を製造する工程で生成される出発原料を省く化合物または混合物を含む二次電池用活物質中間体を示す。
【0044】
二次電池用活物質中間体とは、二次電池用活物質を製造する工程で生成される出発原料を除く化合物または混合物であって、公知の混合、粉砕、焼成、乾燥、攪拌、解砕、噴霧、沈殿、濾過、水熱、分散、造粒、遠心分離、水洗、蒸発、分級、磁選、エージング、などの工程で生成される。二次電池用活物質中間体の形態は、気体、液体、ゾル、ゲル、固体、粉体を挙げることができる。
【0045】
高密度化手段により圧縮し高密度化される際に、二次電池用活物質および二次電池用活物質中間体は粉体であることが好ましく、その粒径は0.1〜100μmであることが好ましい。特に好ましくは1〜50μmである。ここでいう粒径は、二次粒子の粒径を示す。さらに、二次電池用活物質および二次電池用活物質中間体の平均粒径は好ましくは1〜20μm、特に好ましくは2〜10μmである。ここで二次粒子の粒径は、公知のレーザー回折散乱式粒度分布測定装置により測定することができる。
【0046】
二次電池用活物質としては、たとえば、組成式がLiwNixMnyCozO2+δと表すことができる二次電池用正極活物質を挙げることができる。ただし、1.1<w<1.5、0.1<x<0.4、0.4<y<0.9、0<z<0.2、w+x+y+z=2、−0.2<δ<0.2とする。これは、非水電解質二次電池のリチウムイオン二次電池に用いられる。
【0047】
リチウムイオン二次電池として好ましい条件としては、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標が0<a<10、−1.2<b<20.0、0<L<30を満たすものが良い。上記のL*a*b*系表色系色座標と、組成式とを、同時に満たすことにより、遷移金属元素のモル比の和に対して過剰に添加したリチウム金属元素のうち、リチウム金属サイトに収まりきらない過剰分が結晶構造中の遷移金属元素サイトに過不足なく侵入して、かつMnの平均価数が4価から3価に近づくために、より高い放電容量を示す非水電解質二次電池用正極活物質の検査システムを提供することができる。L*a*b*系表色系色座標中のa値、b値およびL値は、0<a<10、−1.2<b<20.0、0<L<30が好ましい。さらに好ましくは、1.6<a<8、−1.2<b<10.0、10<L<25、最も好適なのは、3<a<6、2.0<b<5.0、15<L<23である。上記の範囲条件を満たす測定結果が検査で得られた場合、その二次電池用活物質が良品として判定される。
【0048】
ここで、上記の非水電解質二次電池用正極活物質を得るための合成方法としては、固相法、噴霧乾燥、共沈法など種々公知の方法を選択しても良い。
【0049】
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を得るための焼成温度は、700℃以上1000℃未満であることが好ましく、さらに好ましくは750℃以上950℃未満である。焼成温度が700℃未満の場合、該非水電解質二次電池用正極活物質を得るための反応が進行しない、または工業的に非現実的となる膨大な反応時間を要することになるため好ましくない。また、焼成温度が1000℃以上では、反応が急速に進行して、遷移金属元素の価数制御が困難となり、かつ前駆体中に含まれる反応に必須である化合物が一部揮発することもあるため、目的の非水電解質二次電池用正極活物質を得ることが困難となるため好ましくない。本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を得るための全工程中には、焼成工程を複数含んでいても良い。なお、上記の焼成温度は、いわゆる本焼成の条件を示し、仮焼成についてはこの限りではない。
【0050】
本実施形態によれば以下の効果を奏する。
【0051】
二次電池用活物質の材料を、本実施形態の検査システムに供給して、入射窓6と観察窓7とにより圧粉し高密度化を行い、カラーCCDイメージセンサー12により撮影して、データ測定・解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、をそれぞれの工程ごとに検査することも可能である。よって、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する前処理を施すことで、光を物質に照射しその物質からの二次光の色による検査を行うことができる簡単な検査システムを提供できる。また、圧縮により二次電池用活物質の材料の一部がペレット状に変形することもあるが、混練操作により容易に解砕することができる。よって、二次電池用活物質の材料を無駄に消費しないですむ非破壊的な検査システムを提供できる。また、産業廃棄物などを出す心配が無く、コストも安価にできる。
【0052】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0053】
本実施形態では、第1実施形態の光源とカラーCCDイメージセンサーの代わりに、分光光度計18を用いている。
【0054】
図4に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、押圧ガイド5、観察窓16、圧粉体受け17、筒体下部8、出口管9、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、分光光度測定プローブ18、外部電子計算機19、を備える。分光光度計18以外は第1実施形態と同じため説明は省略する。
【0055】
分光光度測定プローブ18は、光を二次電池用活物質の材料に照射する照射手段と、そこから発せられる反射光を受光する受光手段として機能する。分光光度測定プローブ18からは、色彩測定結果が外部電子計算機19に送信される。
【0056】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、分光光度計により二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0057】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0058】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、観察窓16と圧粉体受け17とにより圧粉して、分光光度測定プローブ18により測定、外部電子計算機19により色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第1実施形態と比較して、照射手段と受光手段とを兼ね備えた分光光度計を用いているため構成が簡単であり、光についての分析を専門に行う測定器であるため精度の高い測定が可能である。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0060】
本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、図3に示した第1実施形態のフローチャートと同様の処理がされるため、説明は省略する。
【0061】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0062】
本実施形態では、第1実施形態の光源とカラーCCDイメージセンサーと外部電子計算機19の代わりに、光電色彩計20を用いた。
【0063】
図5に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、押圧ガイド5、観察窓16、圧粉体受け17、筒体下部8、出口管9、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、光電色彩計20、を備える。光電色彩計20以外は第1実施形態と同じため説明は省略する。
【0064】
光電色彩計20は、光を二次電池用活物質の材料に照射する照射手段と、そこから発せられる反射光を観察窓16から受光する受光手段と、反射光から色彩値を算出する算出手段と、算出された結果に基づいて良品か否かを判定する判定手段として機能する。
【0065】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計により二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0066】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0067】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、観察窓16と圧粉体受け17とにより圧粉して、光電色彩計20により測定、解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第1および第2実施形態と比較して、光電色彩計20を用いることでさらに詳細な色彩値を測定でき、外部電子機器を使用しない構成により簡便かつ低コストの測定が可能である。
【0068】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0069】
本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、図3に示した第1実施形態のフローチャートと同様の処理がされるため、説明は省略する。
【0070】
(第4実施形態)
図6は、本発明の第4実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0071】
図6に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、測定室13、光電色彩計20、圧粉治具21、圧粉治具22、圧粉体23、観察窓24、良品回収弁25、不良品回収弁26、不良品回収受け皿27、を備える。
【0072】
測定室13内には、観察窓24および光電色彩計20が設けられている。ただし、測定管3の一部または全部、は測定室13内になくても良い。測定室13は、色彩測定の際に外部光源の影響を排除する機能を有する。圧粉治具21および圧粉治具22は、測定管3の一部を構成しており、測定管3管内を流通する二次電池用活物質を圧粉する機能を有する。ホッパー排出口2は弁機能を有しても良い。光電色彩計20は、観察窓24を通じて二次電池用活物質の色彩測定をする。測定管3は傾斜を持たせることにより、管内の二次電池用活物質を上流から下流に流通させる。また、光電色彩計20の代わりに、第1実施形態で用いた光源+カラーCCDイメージセンサー+外部電子計算機や、第2実施形態で用いた分光光度計+外部電子計算機を用いても良い。
【0073】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計により二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。以下、図6を参照しつつ、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムについて説明する。
【0074】
図7は、図6に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計20により測定、および色彩の解析がなされ、二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0075】
図7に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、不良品回収弁26を閉じて(S401)、その後に良品回収弁25を開く(S402)。
【0076】
次に、ホッパー1に二次電池用活物質を供給する(S403)。供給された二次電池用活物質はホッパー排出口2を通じて測定管3内に流通していく。本実施形態では、良品回収弁25を開き、不良品回収弁26を閉じることにより、二次電池用活物質は滞留はせずに、良品回収弁25を通っていく。ホッパー1に二次電池用活物質を供給する速度、または、ホッパー排出口2に弁を備えている場合にはその弁の開度を調整することにより、二次電池用活物質が測定管3内を流通する速度を調整することができる。
【0077】
二次電池用活物質が測定管3内を流通している状態で、圧粉治具21と圧粉治具22とにより、測定管3内の一部に存在する二次電池用活物質を圧粉・平滑化し高密度化する(S404)。ステップS404は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。ここでいう圧粉とは緻密化とほぼ同義であり、この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0078】
ステップS404により圧粉された二次電池用活物質が測定管3内を流通して、光電色彩計20の測定範囲に入る時点で色彩測定を行う(S405)。ステップS405は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。得られた測定データからの色彩測定結果の解析もまた、光電色彩計20により行なう(S406)。ステップS406は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S407)。ステップS407は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。
【0079】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S408:YES)、良品回収弁25は開いた状態のままであり(S409)、不良品回収弁26もまた閉じた状態を保持する(S410)。すなわち、二次電池用活物質の測定管3内の流通は維持されており、停止することはない。その際に、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0080】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S411:NO)、良品回収弁25が閉じて(S412)、不良品回収弁26は開くことになる(S413)。すなわち、二次電池用活物質は不良品回収受け皿27に回収され、良品とは区別される。
【0081】
これら一連の操作は、連続で行なわれ、良品と判定された二次電池用活物質は次工程に流れていく。
【0082】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0083】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、圧粉治具21と圧粉治具22とにより圧粉して、光電色彩計20により測定、解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第3実施形態の効果に加えて、連続的に二次電池用活物質の判定をすることができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0085】
(第5実施形態)
図8は、本発明の第5実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【0086】
図8に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、光電色彩計20、ベルトコンベア28、活物質保持板29、二次電池用活物質30、圧粉治具31、測定室32、を備える。また、第1実施形態で用いた光源+カラーCCDイメージセンサー+外部電子計算機や、第2実施形態で用いた分光光度計+外部電子計算機を光電色彩計20の代わりに用いても良い。
【0087】
図9は、図8に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、光電色彩計20により測定、および色彩の解析がなされ、二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0088】
図9に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、コンベア28を稼働させて(S501)、二次電池用活物質を供給して図8中の右方向に二次電池用活物質を移動させる(S502)。
【0089】
圧粉治具31により、二次電池用活物質を圧粉・平滑化し高密度化する(S503)。ステップS503は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。ここでいう圧粉とは緻密化とほぼ同義であり、この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0090】
ステップS503により圧粉された二次電池用活物質がコンベア28上を移動して、光電色彩計20の測定範囲に入る時点で測定する(S504)。ステップS504は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。得られた測定データからの色彩測定結果の解析もまた、光電色彩計20により行なう(S505)。ステップS505は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S506)。ステップS506は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。なお、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0091】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S507:YES)、追加の操作は特になく、単にコンベア28上を二次電池用活物質が移動して行くのみとなる。
【0092】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S508:NO)、コンベア28を停止して(S509)、不良品が発生した原因究明を行なっていくこととなる(S510)。
【0093】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0094】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、圧粉治具31により圧粉して、光電色彩計20により測定、解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。また、第3実施形態の効果に加えて、検査システム全体を収納する建物高さを低くすることができる。
【0095】
さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0096】
(第6実施形態)
図10は、本発明の第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。図11は、図10の検査システムの平面図である。
【0097】
図10に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムは、ホッパー1、ホッパー排出口2、測定管3、排出弁4、入射窓6、観察窓7、筒体下部8、出口管9、光源10、分光器11、カラーCCDイメージセンサー12、測定室13、不良品回収弁14、不良品回収受け皿15、振動部33、外部電子計算機19を備える。ここで、光源10+カラーCCDイメージセンサー12の代わりに第2実施形態で説明した分光光度計を用いても良く、光源10+カラーCCDイメージセンサー12+外部電子計算機19の代わりに第3実施形態で説明した光電色彩計20を用いても良い。
【0098】
ホッパー1はホッパー排出口2を介して測定管3に接続しており、測定管3の下部には、出口管9、不良品回収受け皿15がそれぞれ、排出弁4、不良品回収弁14を介して接続している。測定室13内には、入射窓6、観察窓7、光源10、分光器11、およびカラーCCDイメージセンサー12が設けられている。ただし、測定管3の一部または全部、筒体下部8の一部または全部、排出弁4、は測定室13内になくても良い。
【0099】
振動部33は、二次電池用活物質の材料を振動させて密度を上げるため振動手段として機能する。
【0100】
測定室13は、色彩測定の際に外部光源の影響を排除するための機能を有する。出口管9は、検査終了後の二次電池用活物質を次工程に搬送する機能を有しており、図9に示す通りに良品または不良品を別系統に分別する機能もまた有する。光源10の波長は、200〜900nmが好ましく、さらに好ましくは300〜800nmである。分光器11は、光源10より照射される光を分光する機能を有する。入射窓6および観察窓7は、光を透過する材質で形成されている。ホッパー排出口2は弁機能を有しても良い。カラーCCDイメージセンサー12は、観察窓7を通じて二次電池用活物質を撮影、色彩測定をする。
【0101】
以上の通り構成される本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。以下、図10、13を参照しつつ、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムについて説明する。
【0102】
図12は、図10、11に示す二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。上述した通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムでは、カラーCCDイメージセンサー12で撮影され、得られる色彩測定値に基づいて二次電池用活物質として良品または不良品であるかが判定される。
【0103】
図10に示す通り、本実施形態の二次電池用活物質の検査システムにおいては、まず、排出弁4を閉じる(S601)。本実施形態では、排出弁4を閉じることにより、排出弁4より下部へ二次電池用活物質が流れなくなる。
【0104】
次に、ホッパー1に二次電池用活物質を供給する(S602)。供給された二次電池用活物質はホッパー排出口2を通じて測定管3内に滞留する。供給量に応じて、測定管3内に滞留する二次電池用活物質は次第に多くなり、入射窓6、および観察窓7より上部にかかるようになる。二次電池用活物質がホッパー排出口2より下面であるうちに、二次電池用活物質の供給を停止する(S603)。すなわち、この時点で、測定管3内、ホッパー排出口2と排出弁4との間が二次電池用活物質により満たされた状態となっている。
【0105】
測定管3のうち色彩測定にかかる部分を振動させて、測定管3内に存在する二次電池用活物質を充填化し高密度化する(S604)。ステップS604は二次電池用活物質の材料を圧縮し密度を上げる段階である。この操作により色彩測定の再現性を高めることになる。
【0106】
ステップS604により充填化された二次電池用活物質を、カラーCCDイメージセンサー12により撮影することにより色彩測定を行う(S605)。ステップS605は、高密度化された二次電池用活物質の材料に光を照射する段階と、照射された光によりその材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階である。カラーCCDイメージセンサーにより撮影される撮影データは、光源10の二次電池用活物質による反射、透過、屈折のいずれであっても良いが、反射であることが好ましい。反射、透過、屈折のいずれであるのかは、測定管3、観察窓7、光源10、分光器11、カラーCCDイメージセンサー12の位置関係により決定される。得られた撮影データからの色彩測定結果の解析は、有線ないしは無線の公知の方法により接続された外部電子計算機により行なうのが、解析の確実性の観点からも好ましい(S606)。ステップS606は受光した光から色彩値を算出する段階である。予め構築されている色彩測定結果と電池特性評価との相関関係による良品および不良品のデータベースから、二次電池用活物質として良品であるのか、不良品であるのかを判定する(S607)。ステップS607は算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、算出した色彩値が良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階である。
【0107】
二次電池用活物質が良品と判定された場合(S608:YES)、不良品回収弁14が閉じて、不良品回収受け皿15に二次電池用活物質が入らないようにする(S609)。さらに排出弁4が開いて、測定管3内に滞留していた二次電池用活物質は図中の枝管を通じて次工程に流れていく(S610)。その際に、圧粉操作により二次電池用活物質の一部がペレット状に変形していることもあるが、電極作製においては必須の工程である混練操作により容易に解砕される。
【0108】
二次電池用活物質が不良品と判定された場合(S611:NO)、不良品回収弁14が開く(S612)。さらに、排出弁4が開くことにより、二次電池用活物質は不良品回収受け皿15に回収されることになる(S613)。
【0109】
以上の通り、説明された本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0110】
二次電池用活物質を、本実施形態の検査システムに供給して、測定管3の一部を振動、二次電池用活物質を充填化させて、カラーCCDイメージセンサー12により撮影して、データ測定・解析して色彩を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。さらに、本実施形態によれば、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、を間接的に検査することも可能である。
【0111】
(実施例1)
二次電池用活物質の具体例をリチウムイオン二次電池用正極活物質E−1に基づいて説明する。本願発明に関する二次電池用活物質はリチウムイオン二次電池用正極活物質E−1に限定されるわけではない。
【0112】
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−1の作製
硫酸ニッケル(II)六水和物、硫酸マンガン(II)四水和物、硫酸コバルト(II)七水和物を各遷移金属元素のモル比がNi:Mn:Co=17:56:7となるように秤量、イオン交換水に添加して、2mol/Lの硫酸塩水溶液を調整した。この硫酸塩水溶液の温度を25℃に制御して一定速度で攪拌をした。この硫酸塩水溶液に、0.2mol/Lの水酸化アンモニウム水溶液を一定速度で滴下して、pHの値を7.5に調整した。その後に、0.2mol/Lの水酸化アンモニウム水溶液と2mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液とを、pHの値を7.5に保持しながら一定速度で滴下して、沈殿物A−1を得た。沈殿物A−1を、イオン交換水により洗浄、吸引ろ過して、余分の水分を除去した。さらに、温度120℃に保持した乾燥機内で、微量の水分を蒸発除去して複合水酸化物B−1を得た。複合水酸化物B−1を大気雰囲気中、温度500℃、保持時間5時間で仮焼成して、複合酸化物C−1を得た。複合酸化物C−1に対して、ICP発光分光分析測定による組成分析をして、仕込み組成と一致することを確認した。複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=125:17:56:7となるように混合・粉砕して混合原料粉末D−1を得た。混合原料粉末D−1を、大気雰囲気中に900℃で12時間保持、焼成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−1を得た。
【0113】
(2)粉末X線回折測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−1について、粉末X線回折の測定をした。測定には理学電機株式会社製RU−200(回転対陰極型)を使用して、以下の条件で行なった。
【0114】
X線: CuKα
電圧−電流: 50kV−200mA
測定角度範囲: 2θ=10〜100°
ステップ: 0.02°
スキャンスピード: 1°/分
リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−1の粉末X線回折測定の結果を図13に示す。観測されたピークは、Li2MnO3とLiNiO2のいずれかに帰属された。
【0115】
(3)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−1を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=4.36、b=2.09、L=17.89であった。真密度は5g/cm3であった。
【0116】
(4)リチウムイオン二次電池の作製
リチウムイオン二次電池用正極活物質E−1 20mgと、導電助剤兼結着剤であるTAB−2 12mgとを混練後にペレット成形してリチウムイオン二次電池用正極を得た。
【0117】
上記で作製したリチウムイオン二次電池用正極、対極としてLi金属、セパレータとしてガラス濾紙、電解液として、1.0MのLiPF6を含有するエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DMC)とのモル比(1:2)の混合溶液を用いて、コイン型2極式セルを作製した。
【0118】
(5)充放電容量の測定
上記のコイン型2極式セルを作製して24時間経過後に、以下の条件で定電流定電圧充電、定電流放電による充放電試験を開始した。
充電: 充電電圧4.8V、充電時間8時間、充電電流密度0.2mA/cm2
放電: 放電電圧2.0V、放電電流密度0.2mA/cm2
ただし、フォーメーションとして上限電圧を4.5、4.6、4.7Vと2サイクル毎に変化させて後に上記の充放電条件として試験を実施した。得られた放電容量は275mAh/gであった。
【0119】
(実施例2)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−2の作製
実施例1中の複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=135:17:56:7となるように混合・粉砕した他は実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−2を得た。
【0120】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−2を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=2.11、b=―1.10、L=19.52であった。真密度は5g/cm3であった。
【0121】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−2を用いた他は、同様の手順により作製した。
【0122】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は256mAh/gであった。
【0123】
(実施例3)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−3の作製
実施例1中の複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=140:17:56:7となるように混合・粉砕した他は実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−3を得た。
【0124】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−3を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=1.68、b=―0.95、L=19.18であった。真密度は5g/cm3であった。
【0125】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−3を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0126】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は245mAh/gであった。
【0127】
(実施例4)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−4の作製
実施例1中の複合酸化物C−1と水酸化リチウム一水和物とを、各元素のモル比がLi:Ni:Mn:Co=145:17:56:7となるように混合・粉砕した他は実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−4を得た。
【0128】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−4を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=1.60、b=―0.92、L=19.98であった。真密度は5g/cm3であった。
【0129】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−4を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0130】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は220mAh/gであった。
【0131】
(実施例5)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−5の作製
実施例1中の混合原料粉末D−1を焼成温度700℃とした他は、実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−5を得た。
【0132】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−5を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=5.70、b=5.81、L=18.51であった。真密度は5g/cm3であった。
【0133】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−5を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0134】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は245mAh/gであった。
【0135】
(実施例6)
(1)リチウムイオン二次電池用正極活物質E−6の作製
実施例1中の混合原料粉末D−1を焼成温度1000℃とした他は、実施例1と同様の手順にて合成して、リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子E−6を得た。
【0136】
(2)色彩値の測定
(1)で得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質E−6を本発明記載の第2実施態様の検査システムにて測定したところ、JIS Z 8729により規定される色空間であるL*a*b*系表色系色座標はa=2.43、b=−1.20、L=18.94であった。真密度は5g/cm3であった。
【0137】
(3)リチウムイオン二次電池の作成
リチウムイオン二次電池用正極活物質としてE−6を用いた他は、実施例1と同様の手順により作製した。
【0138】
(4)充放電容量の測定
実施例1と同様の手順にて測定したところ、得られた放電容量は201mAh/gであった。
【0139】
(結果)
表1に示すように、二次電池用活物質の製作における実施例1〜4が示すように、二次電池用活物質の材料の各元素の比率が異なると、L*a*b*系表色系色座標のLab値および放電容量が変化する。よって、所定の放電容量値に基づいて二次電池用活物質の材料が良品か否かを決定したとすると、L*a*b*系表色系色座標において良品か否かの領域を決定することができ、非破壊的な検査をすることができる。
【0140】
また、二次電池用活物質の製作における実施例1、5、6が示すように、二次電池用活物質の材料を燃焼する条件が異なると、L*a*b*系表色系色座標のLab値および放電容量が変化する。よって、同様に、所定の放電容量値に基づいて二次電池用活物質の材料が良品か否かを決定したとすると、L*a*b*系表色系色座標において良品か否かの領域を決定することができ、非破壊的な検査をすることができる。
【0141】
【表1】
【0142】
以上の通り、本発明の第1〜第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムでは、二次電池用活物質の材料を高密度化し、色彩値を求めることにより、良品・不良品を判定することができる。さらに、二次電池用活物質中間体の焼成条件、粉砕条件、混合度、粒度調整条件、組成、をそれぞれの工程ごとに検査することも可能である。よって、二次電池用活物質の材料を圧縮し高密度化する前処理を施すことで、光を物質に照射しその物質からの二次光を解析して得られる色彩値による検査を行うことができる簡単な検査システムを提供できる。また、圧縮により二次電池用活物質の材料の一部がペレット状に変形することもあるが、混練操作により容易に解砕することができる。よって、二次電池用活物質の材料を無駄に消費しないですむ非破壊的な検査システムを提供できる。また、産業廃棄物などを出す心配が無く、コストも安価にできる。
【0143】
本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図2A】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図2B】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図2C】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図2D】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図3】第1実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図4】第2実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図5】第3実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図6】第4実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図7】第4実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図8】第5実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図9】第5実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図10】第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの概略構成を示す図である。
【図11】第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの平面図である。
【図12】第6実施形態における二次電池用活物質の検査システムの検査処理を示すフローチャートである。
【図13】二次電池用正極活物質粒子の粉末X線回折測定の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0145】
1 ホッパー、
2 ホッパー排出口
3 測定管、
4 排出弁、
5 押圧ガイド、
6 入射窓、
7 観察窓、
8 筒体下部、
9 出口管、
10 光源、
11 分光器、
12 撮像素子、
13 測定湿、
14 不良品回収弁、
15 不良品回収受け皿、
17 圧粉体受け、
18 分光光度計、
19 外部電子計算機、
20 光電色彩計、
28 ベルトコンベア、
33 振動部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用活物質の材料の密度を上げる高密度化手段と、
前記高密度化された材料に光を照射する照射手段と、
前記照射手段により照射された光により、前記高密度化された材料から発せられる反射光または透過光を受光し、当該受光した光に基づいた信号を出力する受光手段と、
前記信号から色彩値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、当該算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、前記二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段と、
を含む検査システム。
【請求項2】
前記高密度化手段は、前記二次電池用活物質の材料を圧縮して密度を上げる圧縮手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記高密度化手段は、前記二次電池用活物質の材料を振動して密度を上げる振動手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記二次電池用活物質は、組成式がLiwNixMnyCozO2+δであり、前記組成式中のw、x、y、zおよびδが1.1<w<1.5、0.1<x<0.4、0.4<y<0.9、0<z<0.2、w+x+y+z=2、−0.2<δ<0.2を満たす物質であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項5】
二次電池用活物質の材料は、粉状の物質であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項6】
二次電池用活物質の材料の密度を上げる段階と、
前記密度を上げられた材料に光を照射する段階と、
前記照射された光により、前記密度を上げられた材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階と、
前記受光した光から色彩値を算出する段階と、
前記算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、当該算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、前記二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階と、
を含む検査方法。
【請求項7】
前記密度を上げる段階は、前記二次電池用活物質の材料を圧縮することを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記密度を上げる段階は、前記二次電池用活物質の材料を振動することを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項9】
前記二次電池用活物質は、組成式がLiwNixMnyCozO2+δであり、前記組成式中のw、x、y、zおよびδが1.1<w<1.5、0.1<x<0.4、0.4<y<0.9、0<z<0.2、w+x+y+z=2、−0.2<δ<0.2を満たす物質であることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項10】
二次電池用活物質の材料は、粉状の物質であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項1】
二次電池用活物質の材料の密度を上げる高密度化手段と、
前記高密度化された材料に光を照射する照射手段と、
前記照射手段により照射された光により、前記高密度化された材料から発せられる反射光または透過光を受光し、当該受光した光に基づいた信号を出力する受光手段と、
前記信号から色彩値を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、当該算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、前記二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する判定手段と、
を含む検査システム。
【請求項2】
前記高密度化手段は、前記二次電池用活物質の材料を圧縮して密度を上げる圧縮手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記高密度化手段は、前記二次電池用活物質の材料を振動して密度を上げる振動手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記二次電池用活物質は、組成式がLiwNixMnyCozO2+δであり、前記組成式中のw、x、y、zおよびδが1.1<w<1.5、0.1<x<0.4、0.4<y<0.9、0<z<0.2、w+x+y+z=2、−0.2<δ<0.2を満たす物質であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項5】
二次電池用活物質の材料は、粉状の物質であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検査システム。
【請求項6】
二次電池用活物質の材料の密度を上げる段階と、
前記密度を上げられた材料に光を照射する段階と、
前記照射された光により、前記密度を上げられた材料から発せられる反射光または透過光を受光する段階と、
前記受光した光から色彩値を算出する段階と、
前記算出した色彩値と予め算出された良品による色彩値とを照合し、当該算出した色彩値が当該良品による色彩値に基づいた規定の範囲内の値であるか否かにより、前記二次電池用活物質の材料が良品か否かを判定する段階と、
を含む検査方法。
【請求項7】
前記密度を上げる段階は、前記二次電池用活物質の材料を圧縮することを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項8】
前記密度を上げる段階は、前記二次電池用活物質の材料を振動することを特徴とする請求項6に記載の検査方法。
【請求項9】
前記二次電池用活物質は、組成式がLiwNixMnyCozO2+δであり、前記組成式中のw、x、y、zおよびδが1.1<w<1.5、0.1<x<0.4、0.4<y<0.9、0<z<0.2、w+x+y+z=2、−0.2<δ<0.2を満たす物質であることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の検査方法。
【請求項10】
二次電池用活物質の材料は、粉状の物質であることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の検査方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−19813(P2010−19813A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183217(P2008−183217)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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