説明

二次電池

【課題】陰極リードタップに付着された絶縁フィルムに一定量のナイトリル系化合物を含むようにして、電池の充放電の時、陰極集電体として使用される銅またはニッケルがイオンとして溶出されることをトラッピングすることができる二次電池を提供する。
【解決手段】陽極タップ11aを備えた陽極板11、陰極タップ13aを備えた陰極板13、及び前記極板の間に介在されたセパレーター12を含む電極組立体10と、前記電極組立体を収納するように構成された外装材20と、電解液40と、前記陽極タップと接合された陽極リードタップ11bと、前記陰極板は第1金属を含み、前記陰極タップと接合された陰極リードタップ13bと、前記陽極リードタップ及び陰極リードタップの接合された部分の少なくとも一部に付着される絶縁フィルム31,32と、を含み、前記絶縁フィルムは、前記第1金属のイオンと錯化合物を形成することができるリガンドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関し、より具体的には充放電が円滑になされる二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池の充電の際には過充電の問題が発生しえるので、充電器及び電池自体に各種安全素子及び制御回路等を付着し、このような過充電を予防することになる。一方、二次電池から電子が放出される放電の際には低電流または静抵抗により、電池が引き続き0Vまで放電する過放電が起こりえる。このような過放電が発生すれば、電池の全体電圧がおおよそ0Vに近くなりつつ、陰極集電体の金属物質が酸化されて金属イオンに溶出されて電池の老朽化による電池の容量が急激に減少するような現象が発生しえる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、陰極リードタップに付着された絶縁フィルムに一定量のナイトリル(nitrile)系化合物を含むようにして電池の充放電の時、陰極集電体として使用される銅またはニッケルがイオンとして溶出されることをトラッピングすることができる二次電池を提供することである。
【0004】
また、本発明の他の目的は、溶出される銅イオンまたはニッケルイオンとナイトリル系化合物が反応して生成された錯化合物が付着されるようにする手段を備えた二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するための本発明の二次電池は、陽極タップが引き出された陽極板、陰極タップが引き出された陰極板、及びその間に介在されたセパレーターからなる電極組立体と、前記電極組立体及び電解質を収納し、密封部が形成された外装材と、前記陽極タップ及び陰極タップそれぞれと一側が連結され、他側が前記外装材の外側に露出される陽極リードタップ、及び陰極リードタップと、前記外装材の密封部と触れ合う前記陽極リードタップ及び陰極リードタップそれぞれの一領域に付着される絶縁フィルムと、を含むが、前記陰極リードタップに付着された絶縁フィルムはナイトリル系化合物を一定量含む。この際、前記絶縁フィルムは前記ナイトリル系化合物を3%ないし10%含むことができる。
【0006】
また、前記電解液は、前記ナイトリル系化合物を3%以下に含むことができる。ここで、前記ナイトリル系化合物は、コハク酸ニトリル(Succinonitril:SN)、またはアニソルナイトリル(Anisolnitrile)になりうる。そして、前記電極組立体は、複数個の陽極板、複数個の陰極板及びその間に介在された複数個のセパレーターが順次に積層された形状になりうる。この際、前記複数個の陽極板から引き出された陽極タップ及び前記複数個の陰極板から引き出された陰極タップそれぞれは溶接によって一つに縛られることができる。そして、前記陽極タップと前記陽極リードタップ、及び陰極タップと前記陰極リードタップはそれぞれ融着によって連結されうる。
【0007】
また、前記陽極タップと前記陽極リードタップ、及び陰極タップと前記陰極リードタップはそれぞれ一部が重なって融着されうる。
【0008】
さらに、前記陰極リードタップに付着された絶縁フィルムは、前記外装材の内側に延びるが、前記陰極リードタップが融着された前記陰極タップの露出される陰極タップ露出部が形成されるように付着することができる。ここで、前記陰極板の基材である陰極集電体は、銅またはニッケルで形成することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、充放電の際、陰極集電体として使用される銅またはニッケルがイオンに溶出されることをトラッピングすることで、二次電池が過放電されてもその後の充放電が円滑になされることが可能である。
【0010】
また、溶出される銅イオンまたはニッケルイオンと、ナイトリル系化合物が反応して生成された錯化合物が陰極タップ露出部に付着されることで、電解質内に副産物が形成されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による電極組立体及び外装材を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例による二次電池を示す斜視図である。
【図3】図2のB部分の底面図である。
【図4】本発明の一実施例による二次電池の放電の際、図2のA部分による断面図である。
【図5】本発明の一実施例による二次電池の放電の際、二次電池の陰極タップ露出部を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施例による二次電池を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付した図面を参照して本発明の実施例及びその他当業者が本発明の内容をよく理解するために必要な事項について詳しく記載する。ただし、本発明は特許請求の範囲に記載した範囲内でさまざまな形態に具現されうるので、下記説明する実施例は表現に関係なく、例示的なものに過ぎない。
【0013】
一般的な二次電池の充放電動作をよく見れば、二次電池の陰極に電子が提供される充電の際には陽極活物質から陰極活物質へリチウムイオンが移動する。すなわち、リチウム化合物から発生したリチウムイオンが、電解液及びセパレーターを通過して黒鉛にインターカレーション(intercalation)されて充電が進行される。この際、充電電圧を制御せず、継続的に充電が進行されれば、電圧もついでに上昇するような特性がある。したがって、充電器及び電池自体に各種安全素子及び制御回路などを取り付けてこのような過充電を予防している。
【0014】
また、陰極を通じて電子が放出される放電の際には、陰極活物質にインターカレーションされたリチウムイオンが陽極活物質に移動する。すなわち、黒鉛からリチウムイオンが電解液及びセパレーターを通過してリチウム化合物にディインターカレーション(deintercalation)されながら放電が進行される。このような放電の際に電池の全体電圧は陽極と陰極との間の電位差となる。放電時間が経つにつれて陽極自体の電圧は一定になるが、陰極自体の電圧は徐々に増加することになる。これによって、陽極と陰極との間の電位差がほとんど消えるようになり、これによって電池の全体電圧は減少する。そして、低電流または静抵抗により電池がずっと0Vまで放電するような過放電が起きるようになる。
【0015】
これによって電池の全体電圧がおおよそ0Vに近くなりつつ陰極集電体の金属物質が酸化されて金属イオンに溶出される。このように、陰極集電体から金属イオンが溶出されれば電池の老朽化が進行され、電池の容量が急激に減少することで、再度電池を充電しても使いにくくなるような問題がある。したがって、二次電池では、特に金属イオンの溶出問題を解決することができる方案が必要となる。以下ではこのような問題を解決するための方案として関連図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0016】
まず、図1は本発明による電極組立体及び外装材を示す斜視図である。図1を参照すれば、本発明による二次電池は充放電が可能な電極組立体10と、電極組立体10が電解液(40、図2参照)とともに収納及び密封される外装材20からなる。この際、外装材20としてはパウチを利用することができる。
【0017】
外装材20は、収容部20aとカバー部20bで構成され、凹んで形成された収容部20aの内部に電極組立体10を収容する。ここで、収容部20aは、プレス加工などによって形成されうる。そして、カバー部20bは一端が収容部20aから延びるように形成される。また、外装材20には収容部20aとカバー部20bが重なる縁に沿って密封部21が形成されうる。このような外装材20は、通常的にスチール、ステンレススチール、アルミニウムまたはその等価物が基本層として形成されうる。そして、基本層の一側表面にポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)またはナイロンがコーティングされて、基本層の他側表面には変性ポリプロピレン(CPP:Cast Poypropylene)がコーティングされうる。ただし、本発明では外装材20の材質を限定しない。
【0018】
電極組立体10は、活物質が塗布された陽極板11及び陰極板13と、その間に介在されるセパレーター12が順次に複数積層された状態で形成されうる。それぞれの陽極板11には一側から延びて、活物質が塗布されない陽極タップ11aが形成される。そして、それぞれの陰極板13には陽極タップ11aと同じ方向であるが、他側から延びて活物質が塗布されていない陰極タップ13aが形成される。この際、積層された陽極タップ11a及び陰極タップ13aはそれぞれ溶接によって一つに縛ることができる。このような陽極板11と陰極板13は、二次電池の種類によって多少差があるものの、通常的に金属基材である集全体に活物質層を塗布した後、これを乾燥し、ロールプレス及び切断して形成する。
【0019】
陽極板11は、導電性の優秀な陽極集電体と、陽極集電体の少なくとも一面に形成される陽極活物質層を備える。陽極集電体としては、一般的に導電性の優秀なアルミニウムが用いられる。そして、陽極活物質層は溶媒を通じて陽極活物質、導電剤及び陽極バインダーが混合された陽極スラリを陽極集電体の少なくとも一面上にコーティングして形成される。ここで、陽極活物質はリチウム二次電池の陽極化学反応に参加して電子を発生させ、導電剤は陽極活物質から発生した電子を陽極集電体に伝達することができる。また、陽極バインダーは陽極活物質及び導電剤を付着させて陽極板11の機械的強度を維持することができる。
【0020】
陽極活物質としては、カルコゲナイド(Chalcogenide)化合物が使われており、その例としては、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiNi-xCoxO(0<x>1)及びLiMnOなどの複合金属酸化物等が使用されるが、本発明ではこれらの材質を限定するのではない。
【0021】
陰極板13は、伝導性金属薄板からなる陰極集電体と、陰極集電体の少なくとも一面にコーティングされた陰極活物質層とを含む。陰極活物質層には陰極活物質及び陰極活物質を陰極集電体に付着させる陰極バインダーを含む。ここで、陰極集電体は、銅CuまたはニッケルNiで形成されうる。そして、陰極活物質としてはハードカーボン(hard carbon)、ソフトカーボン(soft carbon)及び黒鉛(graphite)のうちいずれか一つを主に利用することができるが、本発明ではこれらの材質を限定するのではない。
【0022】
セパレーター12は、陽極板11及び陰極板13との間に介在され、高いイオン透過度と機械的強度を持つ絶縁性の薄い薄膜が使用される。セパレーター12は充放電の中で陽極及び陰極の電気的ショートを防止し、リチウムイオンの移動のみ可能にさせる。このようなセパレーター12は、陽極板11と陰極板13の縁部分がショートされる現象を防止するために、その幅及び長さが陽極板11及び陰極板13よりやや大きく形成されうる。
【0023】
セパレーター12は、リチウムイオンの移動が可能になるように微細多孔性材質で形成されうる。例えば、セパレーター12は多数の微細通穴を持つポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP:Polypropylene)、ポリオレフィン系樹脂(Polyolefin resin)またはその等価物で形成することができるが、ここで、その材質を限定するのではない。また、電解質(40、図2参照)としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には固体電解質がセパレーター12を兼ねることもできる。
【0024】
このような構成によって充電の際には、陽極板11のリチウムイオンが陰極板13側に移動し、放電の際には陰極板13のリチウムイオンが再度陽極板11側に移動する。この際、過放電になれば、前述したように、陰極集電体である銅またはニッケルがイオン形態で電解液に溶出される。このような銅イオンまたはニッケルイオンの溶出は電池に損傷を起こして過放電以後の充放電をまともに進行することができなくなる。
【0025】
これを防止するために、電解液(40、図2参照)にナイトリル系化合物などのようなリガンド(ligand)が添加されうる。例えば、前記ナイトリル系化合物は、コハク酸ニトリルまたはアニソルナイトリルになりうる。例えば、本実施例によるリガンドは、前記電極タップの少なくとも一つの中心金属原子と結合して配位錯化合物(coordination complex)を形成しえるイオンまたは分子を含むことができる。
【0026】
本発明の一実施例で、前記リガンドはナイトリル系化合物になりうるが、これに制限されるのではない。さらに本発明の一実施例において、前記リガンドがナイトリル系化合物の場合、前記ナイトリル系化合物は銅イオンまたはニッケルイオンの溶出を難しくすることができる。しかし、ナイトリル系化合物は陰極集電体から溶出された一部の銅イオンまたはニッケルイオンと反応じて錯化合物を形成する。このような錯化合物は、陰極板13の表面に副産物を作り出し、これは電池の充放電の際にリチウムイオンが円滑に移動することができなくなる原因となる。また、ナイトリル系化合物は陽極板11の抵抗を上昇させ、ナイトリル系化合物自体が分解されながら電池内部にガスが発生しえる。これによって電池が脹れ上がるスウェリング(swelling)などのようなさまざまな副作用が発生しえる。
【0027】
このように銅イオンまたはニッケルイオンの溶出を抑制するためのナイトリル系化合物は必須である。しかし、前述したようにナイトリル系化合物は、電池に多様な問題を起こすので、電解液内でその含量を一定量以下に制限しなければならない。そして、陰極集電体から銅イオンまたはニッケルイオンの溶出を追加的に抑制するために、本発明の図2ないし図6では陰極リードタップに付着された絶縁フィルムにナイトリル系化合物が一定量添加された二次電池を図示する。
【0028】
図2は、本発明の一実施例による二次電池を示す斜視図で、図3は図2のB部分の底面図である。図2及び図3を参照すれば、本発明の一実施例による二次電池は、電極組立体10、外装材20、リードタップ11b、13b及び絶縁フィルム31、32を含む。
【0029】
電極組立体10は、陽極タップ11aが引き出された陽極板11、陰極タップ13aが引き出された陰極板13、及びその間に介在されたセパレーター12が複数個積層されうる。この際、複数個の陽極タップ11a及び複数個の陰極タップ13aは、それぞれ溶接によって一つに縛られた状態で、陽極リードタップ31及び陰極リードタップ32と接合される。
【0030】
そして、外装材20はパウチで形成されうるし、電極組立体10及び電解質40を収納する。このような外装材20は収容部20aとカバー部20bで形成され、収容部20aとカバー部20bが重なる縁に沿って密封部21が形成されうる。
【0031】
リードタップ11b、13bは、陽極タップ11a及び陰極タップ13aそれぞれに連結される陽極リードタップ11b及び陰極リードタップ13bで構成される。陽極リードタップ11bの一側は陽極タップ11aと連結され、他側は外装材20の外側に露出される。同じく、陰極リードタップ13bの一側は陰極タップ13aと連結され、他側は外装材20の外側に露出される。この際、陽極タップ11aと陽極リードタップ11b及び陰極タップ13aと陰極リードタップ13bはそれぞれ融着によって接合されうる。そして、陽極タップ11aと陽極リードタップ11b、及び陰極タップ13aと陰極リードタップ13bはそれぞれ一部が重なった状態で融着されうる。
【0032】
このように陽極リードタップ11b及び陰極リードタップ13bが融着された状態の電極組立体10は、外装材20の収容部20aに収納される。以後、外装材20の収容部20aとカバー部20bの縁である密封部21に沿って密封される。ここで、外装材20の内面には熱接着性樹脂(図示せず)がコーティングされうるし、加熱、加圧によって熱接着性樹脂が相互融着されて密封されうる。そして、外装材20の密封部21と触れ合う陽極リードタップ11b及び陰極リードタップ13bには、外装材20との密封度を高めると同時に電気的絶縁状態を確保するための絶縁フィルム31、32が付着されている。
【0033】
前記絶縁フィルム31、32は、陽極リードタップ11bの一部及び陰極リードタップ13bの一部に付着され、付着された部分は前記外装材20の密封部21と触れ合って、前記外装材の密封度を高めて電気的絶縁状態を確固にすることができる。
【0034】
本発明に実施例において、前記絶縁フィルム31、32の少なくとも一つは、前記電解液と接触する前の第1金属のイオンと錯化合物を形成することができるリガンドを含むことができる。本発明の一実施例において、前記絶縁フィルム31、32の少なくとも一つは3%ないし10%のリガンドを含むことができる。また、他の実施例において、前記絶縁フィルム31、32の少なくとも一つは4%ないし6%のリガンドを含むことができる。また、本発明の一実施例において、前記第1金属は銅またはニッケルの中で少なくとも一つになりうる。
【0035】
絶縁フィルム31、32は、陽極リードタップ11bに付着される第1絶縁フィルム31及び陰極リードタップ13bに付着される第2絶縁フィルム32で構成される。このうち、陽極リードタップ11bに付着された第1絶縁フィルム31は、外装材20の密封部21と触れ合う領域のみに形成されうる。そして、陰極リードタップ13bに付着された第2絶縁フィルム32は、外装材20の密封部21と触れ合う領域及び外装材20の内側へさらに延びて付着されうる。この際、第2絶縁フィルム32は陰極リードタップ13bに融着された陰極タップ13aが露出される陰極タップ露出部14が形成されるように付着することができる。例えば、前記絶縁フィルム31、32は、ポリイミド(polyimide;PI)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、またはポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)を含むことができるが、これに制限されるのではない。
【0036】
このような第2絶縁フィルム32は、ナイトリル系化合物を一定量含むことができる。例えば、前記ナイトリル系化合物はコーティングされた形態で前記絶縁フィルム31、32内に含まれることが可能である。第2絶縁フィルム32がナイトリル系化合物を含むことで、陰極集電体として使用される銅またはニッケルがイオンに溶出されることをトラッピングすることができる。これにより、二次電池が過放電されてもその後の充放電が円滑になされるようにすることができる。ここで、第2絶縁フィルム32が外装材20の内側へさらに延びたのは、ナイトリル系化合物を含むことができる空間をさらに確保するためである。そして、溶出される銅イオンまたはニッケルイオンと、ナイトリル系化合物が反応して生成された錯化合物が陰極タップ露出部14に付着されうる。これにより、電解質40内に副産物が形成されることを防止することができる。好ましくは、第2絶縁フィルム32はナイトリル系化合物を3%ないし10%含むことができる。さらに好ましくは、第2絶縁フィルム32はナイトリル系化合物を5%含むことができる。この際、ナイトリル系化合物はコハク酸ニトリルまたはアニソルナイトリルになりうるが、これに限定されるのではない。
【0037】
第2絶縁フィルム32にナイトリル系化合物が3%未満含有される場合、銅イオンまたはニッケルイオンの溶出を防止する効果を充分に有することができない。また、第2絶縁フィルム32にナイトリル系化合物が10%を超過して含有される場合には、抵抗が増加されて電解液40の含有可能なリチウムイオン濃度やリチウムイオン移動度などの特性に悪い影響を及ぼす。また、電解液40は3%以下のナイトリル系化合物をさらに含むことができる。前述したように電解液40に含まれたナイトリル系化合物は、電池内部にガスを発生させるなどの否定的な影響を及ぼすので、3%を超過して添加しないことが好ましい。前記電極リードタップの一つに付着された絶縁フィルムに前記リガンドを提供することで、前記電解液内のリガンドの含量を減少させることができる。したがって、前記電解液内に存在するリガンドが減少されうることに係わる問題がある。例えば、前記陰極リードタップの周辺の絶縁フィルム内にナイトリル系化合物などのようなリガンドを提供することで、前記リガンドは前記陰極リードタップの金属イオンと錯化合物を形成するように位置される。
【0038】
図4は、本発明の一実施例による二次電池の放電の際、図2のA部分による断面図で、図5は本発明の一実施例による二次電池の放電の際、二次電池の陰極タップ露出部を示す断面図である。図4及び図5を参照すれば、本発明の一実施例による第2絶縁フィルム32は、ナイトリル系化合物を含み、陰極タップ露出部14が形成されうる。電池反応は基本的に陽極活物質層と陰極活物質層の還元電位差によってなされるが、電解液40及び添加剤などの特性に多くの影響を受けられる。これによって電池の放電の際、銅イオンまたはニッケルイオンの溶出を難しくするようにナイトリル系化合物を含んだ第2絶縁フィルム32を形成する。
【0039】
第2絶縁フィルム32のナイトリル系化合物は、陰極タップ露出部14から溶出される一部の銅イオンまたはニッケルイオンと反応じて錯化合物50を生成する。この際、錯化合物50は銅イオンまたはニッケルイオンをナイトリル系化合物がカプセレーション(Capsulation)した状態で形成されうる。このように、カプセレーションされた銅イオンまたはニッケルイオンは陰極タップ露出部14に付着され、陰極タップ露出部14に膜を形成させることができる。これによって、陰極タップ露出部14に形成された膜によって、銅イオンまたはニッケルイオンが溶出されることをトラッピングすることができる。
【0040】
図5に示されたように、ナイトリル系化合物がコハク酸ニトリルSNで、陰極板の陰極集電体として銅が使われた場合、銅イオンCu2+をコハク酸ニトリルSNがカプセレーションすることができる。そして、コハク酸ニトリルSNによってカプセレーションされた銅イオンCu2+は、陰極タップ露出部14に付着されて物理的膜を形成し、これ以上の銅イオンCu2+が溶出されることをトラッピングすることができる。また、電解質40は3%以下のナイトリル系化合物を含むことができる。これによって、陰極板13から電解質に溶出される一部の銅イオンまたはニッケルイオンが電解質内でイオン状態で存在することを防止することができる。このように電解液40内には最小限のナイトリル系化合物を含むことができる。
【0041】
図6は、本発明の他の実施例による二次電池を示す斜視図である。図6の本発明の他の実施例による二次電池を説明するにあたり、本発明の一実施例と同じ構成要素に対する説明は省略する。図6を参照すれば、本発明の他の実施例による二次電池は、第1絶縁フィルム31’と第2絶縁フィルム32’の形態は同一である。すなわち、陽極リードタップ11b及び陰極リードタップ13bそれぞれに付着された第1絶縁フィルム31’及び第2絶縁フィルム32’は、外装材20の密封部21と触れ合う領域のみに形成されうる。
【0042】
本発明の一実施例と同様に、この場合にも第2絶縁フィルム32は一定量のナイトリル系化合物を含むことができる。これによって、電池の放電の際陰極タップ露出部14’から溶出される銅イオンまたはニッケルイオンがナイトリル系化合物と反応じて錯化合物を形成することができる。そして、このような錯化合物は陰極タップ露出部14’に付着され、陰極タップ露出部14’に物理的膜を形成し、銅イオンまたはニッケルイオンが溶出されることを防止することができる。ただし、本実施例の第2絶縁フィルム32’は、本発明の一実施例の第2絶縁テープ32より少ない量のナイトリル系化合物を含むことができる。
【0043】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能なのはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
10 電極組立体
11 陽極板
11a 陽極タップ
12 セパレーター
13 陰極板
13a 陰極タップ
14、14’ 陰極タップ露出部
20 外装材
21 密封部
31、31’ 第1絶縁テープ
32、32’ 第2絶縁テープ
40 電解質
50 錯化合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極タップを備えた陽極板、陰極タップを備えた陰極板、及び前記極板の間に介在されたセパレーターを含む電極組立体と、
前記電極組立体を収納するように構成された外装材と、
電解液と、
前記陽極タップと接合された陽極リードタップと、
前記陰極板は第1金属を含み、
前記陰極タップと接合された陰極リードタップと、
前記陽極リードタップ及び陰極リードタップの接合された部分の少なくとも一部に付着される絶縁フィルムと、を含み、
前記絶縁フィルムは、
前記第1金属のイオンと錯化合物を形成することができるリガンドを含むことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記陰極リードタップに付着された絶縁フィルムは3%ないし10%のリガンドを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記電解液は、3%以下のリガンドを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項4】
前記リガンドは、ナイトリル系化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記ナイトリル系化合物は、コハク酸ニトリルおよびアニソルナイトリルのうち、いずれか一つであることを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
【請求項6】
前記電極組立体は、複数個の陽極板、複数個の陰極板及びその間に介在された複数個のセパレーターが順次に積層されたことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記陽極板から引き出された陽極タップ及び前記陰極板から引き出された陰極タップは、溶接によって一緒に縛られることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記陽極タップ及び陰極タップは、それぞれ陽極リードタップ及び陰極リードタップと融着によって接合されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記陽極タップと前記陽極リードタップ、及び陰極タップと前記陰極リードタップはそれぞれ一部が重なって融着されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項10】
前記外装材の内側に延びる陰極リードタップに付着された絶縁フィルムは、前記陰極リードタップと融着された陰極タップが露出される部分である陰極タップ露出部を形成させることを特徴とする請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記陰極タップ露出部は、前記第1金属のイオンとリガンドの錯化合物を含むことを特徴とする請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記陰極リードタップに付着された絶縁フィルムは、外装材の内側に延びるが、
前記陰極リードタップと融着された陰極タップの露出される陰極タップ露出部が形成されるように付着されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項13】
前記第1金属は、銅またはニッケルのうち少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項14】
前記セパレーターは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン系樹脂のうち、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項15】
前記電解液は、固体電解質ポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項16】
前記固体電解質ポリマーは、セパレーターとして作用することを特徴とする請求項15に記載の二次電池。
【請求項17】
前記外装材は、前記外装材の縁に具備される密封部を含み、
前記絶縁フィルムが付着される陰極リードタップと陽極リードタップの一部は、前記密封部と触れ合うことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項18】
前記陽極及び陰極リードタップは、前記外装材の外側に露出されることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項19】
前記絶縁フィルムは、前記第1金属のイオンとリガンドとの錯化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−49132(P2012−49132A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184455(P2011−184455)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】