説明

二次電池

【課題】未塗工端部の面積を極力小さくするとともに塗工部の面積を極力大きくすること。
【解決手段】集電端子30の本体部30aにおいて、第1〜第4接触面31〜34に沿って延びる部位に、正極12の未塗工端部12bの端縁部121b又は負極13の未塗工端部13bの端縁部131bを差し込み可能な第1〜第4スリット51〜54を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活物質が塗布されている塗工部と、前記活物質が塗布されていない未塗工端部とから形成される正極と負極との間を絶縁してこれらを捲回、又は積層してなる電極体を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池(蓄電池)として例えば特許文献1に開示のものがある。図8に示すように、特許文献1の蓄電池は、正極用及び負極用の電極板71が複数枚積層されるとともに、正極用及び負極用の各電極板71に各集電端子72が接続された構成になっている。正極用及び負極用の電極板71は、活物質が塗布されている反応部73(塗工部)及び活物質が塗られていないリード部74(未塗工端部)とから形成されている。なお、図8では正極側の構成のみ図示し、負極側の構成は省略している。また、図8では、説明の便宜上、複数の電極板71のうちの第1〜第4電極板71a,71b,71c,71dのみを図示している。
【0003】
集電端子72の側面には第1〜第4溶接面72a,72b,72c,72d(接触面)が形成されている。第1〜第4溶接面72a,72b,72c,72dは、第1〜第4電極板71a,71b,71c,71dが積層される方向(図8に示す矢印W1の方向)に互いに異なる位置に配置されている。また、第1〜第4電極板71a,71b,71c,71dが積層される方向と直交する方向(図8に示す矢印W2の方向)においては、第1溶接面72a及び第2溶接面72bと、第3溶接面72c及び第4溶接面72dとが互いに異なる位置に配置されている。そして、第1電極板71a及び第2電極板71bのリード部74の突起部74aを束ねて第1溶接面72aに溶接することで、第1電極板71a及び第2電極板71bが集電端子72に接続される。同様に、第3電極板71c及び第4電極板71dのリード部74の突起部74aを束ねて第2溶接面72bに溶接することで、第3電極板71c及び第4電極板71dが集電端子72に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−213299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の蓄電池では、各電極板71のリード部74の端縁部を第1〜第4溶接面72a,72b,72c,72dに溶接しようとすると、リード部74の端縁部が集電端子72における各電極板71側の面に干渉してしまう。よって、各電極板71のリード部74と集電端子72とを接続するためには、各電極板71のリード部74に、第1〜第4溶接面72a,72b,72c,72dに溶接するための突起部74aを形成しなければならず、この突起部74aの分だけリード部74の面積が大きくなっている。通常、蓄電池の体格は規格として定められているため、リード部74の面積が大きくなると、その分だけ反応部73の面積が小さくなってしまい、蓄電池の充放電に際しての化学反応が生じる面積が小さくなってしまう。その結果として、蓄電池のエネルギー密度が小さくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、未塗工端部の面積を極力小さくするとともに塗工部の面積を極力大きくすることができる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、活物質が塗布されている塗工部と、前記活物質が塗布されていない未塗工端部とから夫々形成される正極と負極との間を絶縁し、これらを捲回することで周方向に層が形成される電極体を備え、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部が前記電極体の捲回軸における反対方向に夫々突出するとともに、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部の夫々に接続される集電端子が設けられた二次電池であって、前記集電端子は、前記未塗工端部の少なくとも二つの層の夫々に接触可能に、前記周方向に間隔をおき、且つ前記電極体における層の厚さ方向に間隔をおいて形成された少なくとも二つの接触面を有し、さらに前記未塗工端部の端縁部を差し込み可能なスリットが形成された本体部を備え、前記スリットは、前記接触面に沿うとともに前記本体部における前記電極体側の面に形成されていることを要旨とする。
【0008】
この発明によれば、未塗工端部の少なくとも二つの層の夫々と接触面とを接触させる際に、未塗工端部の端縁部をスリットに差し込むことができるため、未塗工端部の端縁部が本体部における電極体側の面に干渉してしまうことが無い。よって、未塗工端部と集電端子とを接続するために、従来技術のような突起部を未塗工端部に形成する必要が無く、未塗工端部の面積を極力小さくすることができる。その結果として、塗工部の面積を極力大きくすることができ、二次電池のエネルギー密度を向上させることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記本体部には、前記本体部における前記電極体側の面とは反対側の面から、前記スリットに差し込まれた前記未塗工端部の端縁部と前記本体部とを溶接するための溶接用スリットが形成されていることを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、本体部における電極体側の面とは反対側の面から、溶接用スリットを介してスリットに差し込まれた未塗工端部の端縁部と本体部とを容易に溶接することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、活物質が塗布されている塗工部と、前記活物質が塗布されていない未塗工端部とから夫々形成される正極と負極との間を絶縁し、これらを積層することで形成される電極体を備え、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部が前記正極及び前記負極の面上における反対方向に夫々突出するとともに、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部の夫々に接続される集電端子が設けられた二次電池であって、前記集電端子は、前記未塗工端部の少なくとも二つの層の夫々に接触可能に、前記電極体の積層方向に間隔をおき、且つ前記積層方向と直角且つ前記未塗工端部の端縁部に沿った方向に間隔をおいて形成された少なくとも二つの接触面を有し、さらに前記未塗工端部の端縁部を差し込み可能なスリットが形成された本体部を備え、前記スリットは、前記接触面に沿うとともに前記本体部における前記電極体側の面に形成されていることを要旨とする。この発明によれば、請求項1と同様な効果を得ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記本体部には、前記本体部における前記電極体側の面とは反対側の面から、前記スリットに差し込まれた前記未塗工端部の端縁部と前記本体部とを溶接するための溶接用スリットが形成されていることを要旨とする。この発明によれば、請求項2と同様な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、未塗工端部の面積を極力小さくするとともに塗工部の面積を極力大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態における二次電池の縦断面図。
【図2】電極体の一部を展開して示す斜視図。
【図3】集電端子の本体部を表面側から見た斜視図。
【図4】集電端子の本体部を裏面側から見た斜視図。
【図5】本体部の断面図。
【図6】集電端子と未塗工端部とが接合された状態を模式的に示す斜視図。
【図7】別の実施形態における二次電池の縦断面図。
【図8】従来例における二次電池の一部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図6にしたがって説明する。
図1に示すように、二次電池10は、電極体11と、電極体11を収容するケースCと、ケースCの蓋Fとから構成されている。ケースCは一面が開口する有底矩形箱状をなすとともに、内部に電解液が注入されている。蓋Fには、正極端子F1及び負極端子F2が取り付けられている。
【0016】
図2に示すように、電極体11は、帯状の正極12と帯状の負極13との間に帯状のセパレータ14を介在させて正極12と負極13との間を絶縁し、これらを捲回軸L周りに渦捲き状に捲回して構成されている。正極12はアルミニウムから形成されるとともに、負極13は銅から形成されている。正極12及び負極13には、活物質が塗布されている塗工部12a,13aと、活物質が塗布されていない未塗工端部12b,13bとが形成されている。負極13の未塗工端部13bは、捲回軸Lにおいて、正極12の未塗工端部12bの反対方向に突出している。
【0017】
正極12及び負極13は、セパレータ14を介して幅方向にずらして積層されるとともに、正極12及び負極13の未塗工端部12b,13bを、セパレータ14の両端縁14a,14bからそれぞれ外側へ突出させた状態で捲回軸L周りに渦捲き状に捲回される。そして、正極12、負極13及びセパレータ14が渦捲き状に捲回された後、正極12、負極13及びセパレータ14を径方向両側から圧縮することにより扁平状の電極体11が形成される。電極体11は、周方向(図2に示す矢印Y1の方向)両端に位置する弧状に湾曲するように折り曲げられる両折り曲げ部21,22と、周方向に延びて両折り曲げ部21,22同士を繋ぐ連結部23とから形成されている。ここで、「電極体11の周方向」とは、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12b及び負極13の未塗工端部13bの端縁部121b,131bが、面方向に延びる方向のことをいう。
【0018】
図1に示すように、電極体11の捲回軸L方向両端において、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12b及び負極13の未塗工端部13bには集電端子30がそれぞれ接合されている。
【0019】
以下、正極12の未塗工端部12bに接合される集電端子30について詳しく説明する。なお、負極13の未塗工端部13bに接合される集電端子30は、正極12の未塗工端部12bに接合される集電端子30と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、集電端子30の本体部30aは、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層間に挿入されるとともに、基端から先端に向かうにつれて先細りする平板形状をなしている。本体部30aには、その先端側に先端部301aが形成されており、先端部301aの両側面には正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが接触する接触面としての第1接触面31及び第2接触面32が形成されている。第1接触面31及び第2接触面32は側面視矩形状をなす平坦面状に形成されるとともに、電極体11の周方向(図3に示す矢印Y1の方向)へ互いに平行に延びている。
【0021】
本体部30aには、先端部301aの基端に連なる第1連繋部302aが形成されている。第1連繋部302aの両側面には、本体部30aの先端から基端に向かうにつれて、未塗工端部12bの層間に挿入された状態において電極体11における層の厚さ方向(図3に示す矢印Z1の方向)に、夫々が離れるように傾斜する第1傾斜面37及び第2傾斜面38が形成されている。第1傾斜面37は第1接触面31と連なるとともに、第2傾斜面38は第2接触面32と連なっている。ここで、「電極体11における層の厚さ方向」とは、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層が並ぶ方向と同じ方向のことをいう。
【0022】
本体部30aには、第1連繋部302aの基端に連なるとともに本体部30aの中央に位置する中央部303aが形成されている。中央部303aの両側面には正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが接触する接触面としての第3接触面33及び第4接触面34が形成されている。第3接触面33及び第4接触面34は側面視矩形状をなす平坦面状に形成されるとともに、電極体11の周方向へ互いに平行に延びている。第3接触面33は第1傾斜面37と連なるとともに、第4接触面34は第2傾斜面38と連なっている。
【0023】
本体部30aには、中央部303aの基端に連なる第2連繋部304aが形成されている。第2連繋部304aの両側面には、本体部30aの先端から基端に向かうにつれて、未塗工端部12bの層間に挿入された状態において電極体11における層の厚さ方向に、夫々が離れるように傾斜する第3傾斜面39及び第4傾斜面40が形成されている。第3傾斜面39は第3接触面33と連なるとともに、第4傾斜面40は第4接触面34と連なっている。
【0024】
本体部30aには、第2連繋部304aの基端に連なるとともに本体部30aの基端側に位置する一対の基端部305a,306aが形成されている。各基端部305a,306aにおいて、電極体11における層の厚さ方向外側の側面には、正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが接触する接触面としての第5接触面35及び第6接触面36が形成されている。第5接触面35及び第6接触面36は側面視矩形状をなす平坦面状に形成されるとともに、電極体11の周方向へ互いに平行に延びている。第5接触面35は第3傾斜面39と連なるとともに、第6接触面36は第4傾斜面40と連なっている。また、各基端部305a,306aにおける互いに対向する側面41,42の間には幅H9分だけ間隔があいている。このように、本体部30aには6つの第1〜第6接触面31〜36が形成されており、少なくとも二つ以上形成されている。
【0025】
電極体11における層の厚さ方向において、第1接触面31と第2接触面32との間の距離H1、第1接触面31と第3接触面33との間の距離H2、第3接触面33と第5接触面35との間の距離H3、第2接触面32と第4接触面34との間の距離H4、及び第4接触面34と第6接触面36との間の距離H5は全て同じになっている。すなわち、第1〜第6接触面31〜36は、電極体11における層の厚さ方向において等間隔おきに配置されている。
【0026】
また、電極体11の周方向において、第1接触面31及び第2接触面32と第3接触面33及び第4接触面34との間の距離H11は、第3接触面33及び第4接触面34と第5接触面35及び第6接触面36との間の距離H12と同じになっている。すなわち、第1接触面31及び第2接触面32と第3接触面33及び第4接触面34と第5接触面35及び第6接触面36とは、電極体11の周方向において等間隔おきに配置されている。第1〜第6接触面31〜36における正極12の未塗工端部12bに対して接触する接触面積は全て同じになっている。
【0027】
本体部30aにおける電極体11側(正極12の未塗工端部12b側)の面とは反対側の面である表面301には、正極端子F1に接続される端子接続部45が設けられている。なお、負極13の未塗工端部13bに接合される集電端子30において、本体部30aの表面301に設けられる端子接続部45は負極端子F2に接続される。
【0028】
図4に示すように、本体部30aにおける電極体11側(正極12の未塗工端部12b側)の面である裏面302には、電極体11の周方向(図4に示す矢印Y1の方向)において第1接触面31に沿って直線状に延びるとともに第1連繋部302a、中央部303a及び第2連繋部304aに跨るスリットとしての第1スリット51が形成されている。また、本体部30aの裏面302には、電極体11の周方向において第2接触面32に沿って直線状に延びるとともに第1連繋部302a、中央部303a及び第2連繋部304aに跨るスリットとしての第2スリット52が形成されている。さらに、本体部30aの裏面302には、電極体11の周方向において第3接触面33に沿って直線状に延びるとともに第2連繋部304a及び基端部305aに跨るスリットとしての第3スリット53が形成されている。また、本体部30aの裏面302には、電極体11の周方向において第4接触面34に沿って直線状に延びるとともに第2連繋部304a及び基端部306aに跨るスリットとしての第4スリット54が形成されている。
【0029】
電極体11における層の厚さ方向(図4に示す矢印Z1の方向)において、第1スリット51と第2スリット52との間の距離L1、第1スリット51と第3スリット53との間の距離L2、及び第2スリット52と第4スリット54との間の距離L3は全て同じになっている。
【0030】
図3に示すように、本体部30aの表面301には、電極体11の周方向において第1接触面31に沿って直線状に延びるとともに第1連繋部302a及び中央部303aに跨る溶接用スリットとしての第1溶接用スリット61が形成されている。第1溶接用スリット61は第1スリット51に連通している。また、本体部30aの表面301には、電極体11の周方向において第2接触面32に沿って直線状に延びるとともに第1連繋部302a及び中央部303aに跨る溶接用スリットとしての第2溶接用スリット62が形成されている。第2溶接用スリット62は第2スリット52に連通している。さらに、本体部30aの表面301には、電極体11の周方向において第3接触面33に沿って直線状に延びるとともに第2連繋部304a及び基端部305aに跨る溶接用スリットとしての第3溶接用スリット63が形成されている。第3溶接用スリット63は第3スリット53に連通している。また、本体部30aの表面301には、電極体11の周方向において第4接触面34に沿って直線状に延びるとともに第2連繋部304a及び基端部306aに跨る溶接用スリットとしての第4溶接用スリット64が形成されている。第4溶接用スリット64は第4スリット54に連通している。電極体11の周方向において、第1溶接用スリット61の長さR1、第2溶接用スリット62の長さR2、第3溶接用スリット63の長さR3、及び第4溶接用スリット64の長さR4は全て同じになっている。
【0031】
図5に示すように、本体部30aの厚み方向(図5に示す矢印Pの方向)において第1〜第4スリット51〜54の長さM1と、第1〜第4溶接用スリット61〜64の長さM2とは同じになっている。第1〜第4スリット51〜54は、本体部30aの表面301から開放されていない。
【0032】
次に、上記構成の集電端子30と正極12の未塗工端部12bとを接続する方法について説明する。
まず、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの各層において、未塗工端部12bの端縁部121bと、未塗工端部12bの各層に対応する第1〜第6接触面31〜36とを接触させる。なお、本実施形態では、連結部23は、6つの正極12の未塗工端部12bの層から形成されているものとする。
【0033】
具体的には、図6に示すように、まず、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層のうち、電極体11における層の厚さ方向(図6に示す矢印Z1の方向)において最も一端側に位置する第1層S1の未塗工端部12bの端縁部121bを第5接触面35に接触させる。
【0034】
続いて、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層のうち、電極体11における層の厚さ方向において一端側から2層目に位置する第2層S2の未塗工端部12bの端縁部121bを第3接触面33に接触させる。このとき、正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが第3スリット53に差し込まれる。
【0035】
続いて、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層のうち、電極体11における層の厚さ方向において一端側から3層目に位置する第3層S3の未塗工端部12bの端縁部121bを第1接触面31に接触させる。このとき、正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが第1スリット51に差し込まれる。
【0036】
続いて、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層のうち、電極体11における層の厚さ方向において一端側から4層目に位置する第4層S4の未塗工端部12bの端縁部121bを第2接触面32に接触させる。このとき、正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが第2スリット52に差し込まれる。
【0037】
続いて、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層のうち、電極体11における層の厚さ方向において一端側から5層目に位置する第5層S5の未塗工端部12bの端縁部121bを第4接触面34に接触させる。このとき、正極12の未塗工端部12bの端縁部121bが第4スリット54に差し込まれる。
【0038】
続いて、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12bの層のうち、電極体11における層の厚さ方向において最も他端側に位置する第6層S6の未塗工端部12bの端縁部121bを第6接触面36に接触させる。
【0039】
続いて、本体部30aの表面301側から第1〜第4溶接用スリット61〜64に向けてレーザービームを照射する。すると、第1〜第4溶接用スリット61〜64及び第1〜第4溶接用スリット61〜64と重合する第1〜第4スリット51〜54の部位の内面が溶融するとともに、第1〜第4溶接用スリット61〜64と重合する第1〜第4スリット51〜54の部位に位置する正極12の未塗工端部12bの端縁部121bも溶融する。そして、これら溶融した部位が再凝固することで、第1〜第4溶接用スリット61〜64と重合する第1〜第4スリット51〜54の部位と正極12の未塗工端部12bの端縁部121bとが接合される。
【0040】
また、本体部30aの表面301側から第1〜第6接触面31〜36に向けてレーザービームを照射する。すると、第1〜第6接触面31〜36が溶融するとともに、第1〜第6接触面31〜36に接触している正極12の未塗工端部12bの端縁部121bも溶融する。そして、これら溶融した部位が再凝固することで第1〜第6接触面31〜36と正極12の未塗工端部12bの端縁部121bとが接合される。これにより、集電端子30と正極12の未塗工端部12bとが接続される。
【0041】
なお、集電端子30と負極13の未塗工端部13bとを接続する方法は、集電端子30と正極12の未塗工端部12bとを接続する方法と同じであるため、その詳細な説明を省略する。このため、集電端子30と負極13の未塗工端部13bとを接続する方法についての説明は、前述の説明中における「正極12」を「負極13」に、「未塗工端部12b」を「未塗工端部13b」に、「端縁部121b」を「端縁部131b」に夫々読み替えることで説明される。
【0042】
そして、各端子接続部45を正極端子F1又は負極端子F2に接続するとともに、各集電端子30を介して正極12又は負極13と正極端子F1又は負極端子F2とが接続された電極体11をケースCに収容し、蓋FによりケースCの開口を塞いで密閉することで二次電池10が構成される。
【0043】
次に、本実施形態の作用について説明する。
上記構成の二次電池10では、従来技術のような突起部を未塗工端部12b,13bに形成していないため、従来技術に比べて、正極12の未塗工端部12b及び負極13の未塗工端部13bの面積が小さくなっており、正極12の塗工部12a及び負極13の塗工部13aの面積が大きくなっている。よって、二次電池10の充放電に際しての化学反応が生じる面積が極力大きくなっている。その結果として、二次電池10の充放電の際に生じる化学反応が効率良く行われ、二次電池10のエネルギー密度が大きくなる。
【0044】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)集電端子30の本体部30aにおいて、第1〜第4接触面31〜34に沿って延びる部位に、正極12の未塗工端部12bの端縁部121b又は負極13の未塗工端部13bの端縁部131bを差し込み可能な第1〜第4スリット51〜54を形成した。よって、正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bの各層において、未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bと第1〜第6接触面31〜36とを接触させる際に、未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bを第1〜第4スリット51〜54に差し込むことができる。したがって、未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bと第1〜第6接触面31〜36とを接触させる際に、未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bが本体部30aの裏面302に干渉してしまうことが無い。よって、正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bと集電端子30とを接続するために、従来技術のような突起部を未塗工端部12b,13bに形成する必要が無く、未塗工端部12b,13bの面積を極力小さくすることができる。その結果として、正極12の塗工部12a及び負極13の塗工部13aの面積を極力大きくすることができ、二次電池10のエネルギー密度を向上させることができる。
【0045】
(2)本体部30aに、本体部30aの表面301から、第1〜第4スリット51〜54に差し込まれた未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bと本体部30aとを溶接するための第1〜第4溶接用スリット61〜64を形成した。よって、本体部30aの表面301から、第1〜第4溶接用スリット61〜64を介して第1〜第4スリット51〜54に差し込まれた未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bと本体部30aとを容易に溶接することができる。
【0046】
(3)第1〜第6接触面31〜36は、電極体11における層の厚さ方向に間隔をおき、且つ電極体11の周方向に間隔をおいて配置されている。よって、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bの各層において、集電端子30と未塗工端部12b,13bとの接続箇所を分散することができるため、正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bの層同士の間で電位差が生じてしまうことを抑制することができる。その結果として、正極12又は負極13の電極反応を均一にし易くすることができる。
【0047】
(4)集電端子30の本体部30aにおいて、両側面41,42の間に幅H9の間隔を設けた。これにより、両側面41,42にも未塗工端部12b,13bを接触させることができるため、本体部30aにおいて、先端部301aから基端部305a,306aにかけての電極体11に対する接触面積の差を解消することができる。
【0048】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、第1〜第4溶接用スリット61〜64を削除してもよい。この場合、例えば、本体部30aと正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bの接触部位に、導電性接着剤を塗布することで、本体部30aと正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bとを接続してもよい。また、例えば、本体部30aと正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bとを半田により接合してもよいし、スポット溶接により本体部30aと正極12の未塗工端部12b又は負極13の未塗工端部13bと溶接することで接合してもよい。
【0049】
○ 実施形態において、未塗工端部12b,13bの層の数に応じて、本体部30aに形成される接触面の数をさらに増やしてもよい。
○ 実施形態において、本体部30aの形状は特に限定されるものではない。例えば、平板形状でなく、厚みがある板を用いてもよい。また、第1スリット51と第2スリット52との間の距離L1、第1スリット51と第3スリット53との間の距離L2、及び第2スリット52と第4スリット54との間の距離L3は夫々同じでなくてもよい。同様に、電極体11の周方向において、第1溶接用スリット61の長さR1、第2溶接用スリット62の長さR2、第3溶接用スリット63の長さR3、第4溶接用スリット64の長さR4は夫々同じでなくてもよい。さらに、本体部30aの厚み方向において、第1〜第4スリット51〜54の長さM1と、第1〜第4溶接用スリット61〜64の長さM2も同じでなくてもよい。
【0050】
○ 実施形態において、例えば、未塗工端部12b,13bの層のうち、第1層S1及び第2層S2の未塗工端部12b,13bを束ねて、第1層S1及び第2層S2の未塗工端部12b,13bの端縁部121b,131bを第5接触面35に接触させてもよい。すなわち、第1〜第6接触面31〜36に接触させる未塗工端部12b,13bの層の数を適宜変更してもよい。
【0051】
○ 図7に示すように、連結部23を形成する正極12の未塗工端部12b、及び負極13の未塗工端部13bには集電端子80がそれぞれ接合されている。各集電端子80には、本体部30aが二つ形成されている。そして、二つの本体部30aが連結部23に位置する正極12の未塗工端部12b、及び負極13の未塗工端部13bに接合されることで、各集電端子30と正極12又は負極13とが接続されている。このように、集電端子80に二つの本体部30aが形成されていてもよい。
【0052】
○ 実施形態では、帯状の正極12及び負極13の間に帯状のセパレータ14を介在させて、これらを捲回軸L周りに渦捲き状に捲回して構成された電極体11を用いたが、これに限らず、例えば、正極と負極との間にセパレータを介在させて、これらを積層して構成された電極体を用いてもよい。この場合、集電端子の本体部には、正極の未塗工端部又は負極の未塗工端部の各層に接触可能に、電極体の積層方向に間隔をおき、さらに積層方向と直角且つ未塗工端部の端縁部に沿った方向に間隔をおいて形成された少なくとも二つの接触面を有している。また、正極の未塗工端部と負極の未塗工端部は、正極及び負極の面上における反対方向に夫々突出する。
【符号の説明】
【0053】
10…二次電池、11…電極体、12…正極、12a,13a…塗工部、12b,13b…未塗工端部、13…負極、30,80…集電端子、30a…本体部、31〜36…接触面としての第1〜第6接触面、51〜54…スリットとしての第1〜第4スリット、61〜64…第1〜第4溶接用スリット、121b,131b…端縁部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質が塗布されている塗工部と、前記活物質が塗布されていない未塗工端部とから夫々形成される正極と負極との間を絶縁し、これらを捲回することで周方向に層が形成される電極体を備え、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部が前記電極体の捲回軸における反対方向に夫々突出するとともに、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部の夫々に接続される集電端子が設けられた二次電池であって、
前記集電端子は、前記未塗工端部の少なくとも二つの層の夫々に接触可能に、前記周方向に間隔をおき、且つ前記電極体における層の厚さ方向に間隔をおいて形成された少なくとも二つの接触面を有し、さらに前記未塗工端部の端縁部を差し込み可能なスリットが形成された本体部を備え、
前記スリットは、前記接触面に沿うとともに前記本体部における前記電極体側の面に形成されていることを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記本体部には、前記本体部における前記電極体側の面とは反対側の面から、前記スリットに差し込まれた前記未塗工端部の端縁部と前記本体部とを溶接するための溶接用スリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
活物質が塗布されている塗工部と、前記活物質が塗布されていない未塗工端部とから夫々形成される正極と負極との間を絶縁し、これらを積層することで形成される電極体を備え、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部が前記正極及び前記負極の面上における反対方向に夫々突出するとともに、前記正極及び前記負極の前記未塗工端部の夫々に接続される集電端子が設けられた二次電池であって、
前記集電端子は、前記未塗工端部の少なくとも二つの層の夫々に接触可能に、前記電極体の積層方向に間隔をおき、且つ前記積層方向と直角且つ前記未塗工端部の端縁部に沿った方向に間隔をおいて形成された少なくとも二つの接触面を有し、さらに前記未塗工端部の端縁部を差し込み可能なスリットが形成された本体部を備え、
前記スリットは、前記接触面に沿うとともに前記本体部における前記電極体側の面に形成されていることを特徴とする二次電池。
【請求項4】
前記本体部には、前記本体部における前記電極体側の面とは反対側の面から、前記スリットに差し込まれた前記未塗工端部の端縁部と前記本体部とを溶接するための溶接用スリットが形成されていることを特徴とする請求項3に記載の二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84515(P2013−84515A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225112(P2011−225112)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】