二重屋根増設構造、およびそれを利用した省エネ型屋根または消雪屋根
【課題】 建築物屋根の断熱性を高めることができ、しかも施工後のスガモレや雨漏りの発生を確実に防止可能であると共に、屋根上の消雪を速やかに達成して落雪や氷柱の発生を確実に阻止可能とすることができる新たな断熱・消雪屋根技術を提供する。
【解決手段】 既存または新設の葺き屋根9であって対象屋根面全面90上に想定した格子状配置の各交叉点となる箇所夫々に所定の取付金具2,2,……を取着し、それら取付金具2,2,……を介して取付母屋3,3,……を配置すると共に、それら取付母屋3,3,……を下地構造として添設可能であって、且つ葺き屋根9の鼻隠し93箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部5を一体形成可能とする増設屋根葺き材4を張設し、通気用空間7を形成してなる二重屋根増設構造1である。
【解決手段】 既存または新設の葺き屋根9であって対象屋根面全面90上に想定した格子状配置の各交叉点となる箇所夫々に所定の取付金具2,2,……を取着し、それら取付金具2,2,……を介して取付母屋3,3,……を配置すると共に、それら取付母屋3,3,……を下地構造として添設可能であって、且つ葺き屋根9の鼻隠し93箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部5を一体形成可能とする増設屋根葺き材4を張設し、通気用空間7を形成してなる二重屋根増設構造1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物屋根の断熱や消雪に関連するものであり、特に既存または新設を問わず何れの屋根にも設置可能であり、屋根を効果的に断熱することができ、屋根上の雪を迅速に融解し、雪庇や落雪、氷柱の発生を阻止すると共に、スガモレや雨漏りの発生を確実に防止可能な二重屋根増設構造を設置、提供する分野は勿論のこと、それに用いる資材の輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
降雪量の多い地域の一般的住宅は、落雪事故を防止すると共に、雪下ろし作業の安全性を高めるために急勾配屋根の設置が避けられており、緩やかな勾配の切り妻屋根の外、招き、片流れ、腰折、下屋付きなどといった様々な屋根には、その複数適所に雪留め金具が設けられ、耐久積雪量の目安を超えると、その家の所有者など作業者が梯子を用いて屋根に登って雪下ろしを行なわなければならないが、深く降り積もった新雪は足下を不安定にし、また、日中の日差しで弛んだ積雪は非常に滑り易くなるなどして、毎年のように落下事故が多発していることから、雪下ろし作業は、なるべく二人以上による作業、特に専門の業者による雪下ろしが奨励されるものの、その作業が度重なると出費も嵩んで多大の経済的負担を被ることとなってしまうこととなり、その負担を抱え切れないか、節約したい高齢者など体力に劣り始めている人でも、危険を覚悟の上で自ら屋根に登り、雪下ろしをしなければならない切実な問題が、未だ未解決のままである。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記する特許文献1(1)および(2)に提案されているものなどに代表されるように、屋根の軒先上に沿って棟方向断面形状が三角形状の雪留・消雪用の枠を装着可能とし、落雪や氷柱の発生を防止可能とした消雪用金具類や、同特許文献1(3)および(4)に見られるような、室内の暖気や温風暖房器具類からの温風などを屋根裏空間に誘導し、送風ファンなどを利用して強制的に循環するか、または対流によって自然対流可能とするかの何れかとするなどして循環可能とし、屋根を加熱して消雪可能とするようにした技術などが散見される。
【0004】
しかし、前者特許文献1(1)および(2)に示されているような消雪用金具類は、野地板に直接固定、吊下するものであったり、葺き板の巻きハゼ部分を挟持するよう固定するものなどであり、設置工事の僅かな不備などによってスガモレや雨漏りなどを招き易いという欠点を残すものであり、しかも、屋根に装着後に、雪留めできても棟がわの消雪ができないという欠点があり、また、特許文献1(3)および(4)に代表する消雪屋根などは、屋根裏空間を加熱して屋根上の積雪を効果的に消雪できるが、充分な雪留めを備えておらず、雪庇や落雪、氷柱の落下などを確実に防止できるものではないという致命的な欠点があった。
【特許文献1】(1)特開2005−48424号公報 (2)特開2005−105778号公報 (3)特開2004−225412号公報 (4)実開平6−49666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種消雪用金具類や消雪屋根などは、何れも設置工事に伴う僅かな施工ミスによってもスガモレや雨漏りなどといった弊害を生じてしまう虞があったり、雪庇や落雪、氷柱の落下などを防止できないという難点を残すものである上、中山間地域などに住まいして若者などの手助けも期待できず、高齢化によって雪降ろし作業が困難になった高齢者が多く居住する地域などは固よりのこと、度重なる積雪に悩まされてきた豪雪地帯における住宅などにおける屋根の雪降ろしに関する技術が、未だに未解決のままに推移していることに対し、長年、建築に係わるものの一人として重く責任を感じると同時に、併せてエネルギー節約に繋がって地球環境に優しい住宅を実現するためにも、これまでの屋根の構造に何か工夫を施す必要があると考えた。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、建築物屋根の断熱性を高めることができるだけではなく、スガモレや雨漏りの発生を確実に防止可能であると共に、屋根上の消雪を速やかに達成して雪庇や落雪、氷柱の発生を確実に阻止可能とすることができる新たな断熱・消雪屋根技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の二重屋根増設構造、およびそれを利用した新規な構造の省エネ型屋根、または新規な構造の消雪屋根を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の二重屋根増設構造は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設し、通気用空間を形成してなるものとした構成を要旨とする二重屋根増設構造である。
【0008】
この基本的な構成からなる二重屋根増設構造は、その表現を変えて示すならば、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設してなるものとした構成からなる二重屋根増設構造となる。
【0009】
より具体的には、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続してなるものとした構成からなる二重屋根増設構造となる。
【0010】
これを換言すると、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続し、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導した少なくとも1本の地熱ダクトを当該通気用空間の適所に直接か、または、当該暖気ダクトの何れかの中途適所かの少なくとも何れか一方に接続してなるものとした構成からなる二重屋根増設構造となる。
【0011】
(関連する発明1)
上記した二重屋根増設構造に関連し、この発明には、それを利用した省エネ型屋根も包含している。
即ち、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる、この発明の根幹をなす二重屋根増設構造からなるものとした構成からなる省エネ型屋根である。
【0012】
(関連する発明2)
上記した二重屋根増設構造に関連し、この発明には、それを利用した消雪屋根も包含している。
即ち、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能であって、軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部を一体化した前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる、この発明の根幹をなす二重屋根増設構造からなるものとした構成からなる消雪屋根である。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の二重屋根増設構造によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、既存または新設の葺き屋根対象屋根面上に所定の取付金具を介して取付母屋を固着するようにし、既存または新設の葺き屋根に大掛かりな特別の加工などは一切施さず、簡単、迅速に設置することができ、施工後のスガモレや雨漏りの心配が無用であり、しかも対象屋根面上と、各取付金具を介して固着した取付母屋上の増設屋根葺き材との間に通気用空間を実現してしまい、一般住宅など様々な建築物の屋根の断熱性を格段に高めるようにし、室内冷暖房などの空調設備への負担を大幅に軽減して経済性に秀れると共に、自然環境にも優しいものとすることができる上、通気用空間の熱を増設屋根葺き材上の積雪に伝達して効率的に消雪するという特別な効果も得られるものとなり、しかも、従来型の雨樋を当該増設屋根葺き材と一体化形成可能な新規な構造の軒先保護部に置き換えたものとしてあり、雪庇や氷柱、落雪などの発生を確実に防止できるものとすることができるという大きな特徴が得られる。
【0014】
加えて、取付母屋上に覆い板を敷設して通気用空間を形成し、該覆い板上に増設屋根葺き材を張設してなるものとした二重屋根増設構造は、覆い板が通気用空間の断熱性をさらに高めるものとなる上、積雪荷重や、建築物のメンテナンスなどで屋根に登って歩行移動する作業者の体重などに対する耐荷重性能を格段に高めたものとすることができ、しかも覆い板それ自体が蓄熱性を高めることとなり、増設屋根葺き材上の積雪や氷などを一段と効果的に消雪、解氷できるという利点が得られる。
【0015】
葺き屋根下の屋内空間から誘導した暖気ダクトを通気用空間適所に接続してなる二重屋根増設構造は、従来まで屋内の天井付近に留まって有効利用されていなかった余剰な暖気や、室内換気で屋外に排出されていた暖気などを通気用空間に誘導して屋根の断熱や消雪などに利用できることから、格段に効率的な屋根断熱および消雪を実現化でき、また、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導した地熱ダクトを当該通気用空間の適所に直接か、または暖気ダクトの中途適所かの何れかに接続してなる二重屋根増設構造は、屋内空間から誘導した暖気に加え、地熱をも通気用空間に誘導可能なものとしてあることから、燃料消費量を大幅に削減できるという極めて実利的な効果が得られるものとなる。
【0016】
暖気ダクトおよび/または地熱ダクトが、その末端か中途適所かの何れか適所に、通気用空間に向かう気流を発生可能な送風ファンを配設してなる二重屋根増設構造は、自然な対流の発生を待たずに、迅速且つ強制的に通気用空間に暖気または冷気を送り込むことが可能となり、通気用空間内を常時、室内温度程度に安定させることができるという効果を奏することとなる。
【0017】
暖気ダクトが、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなる二重屋根増設構造は、屋内に設置した室内暖房用暖房機で発生させた暖気を通気用空間に供給し、断熱および消雪に利用した上、屋内に循環することが可能となり、消雪専用の暖房機器を設置する必要がなく、格段に経済的な室内暖房、断熱および消雪を一挙に実現化することができる。
【0018】
増設屋根葺き材の軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口してなる二重屋根増設構造からなる省エネ型屋根は、雨樋部を積雪や雪庇の荷重および滑落する雪塊や氷塊の衝撃などから確実に保護することができる上、増設屋根葺き材上の棟がわから軒先に向けて流下する雨水や雪解け水が、排水孔を通じて雨樋部に落下するから、増設屋根葺き材上の積雪から流れ出る雪解け水を淀みなく速やかに排水し、再凍結を防止して消雪効果を格段に高めることができるという利点が得られるものとなり、さらに、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁に、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなるものは、棟方向外がわから通気用空間に流入する外気量を大幅に削減すると共に、通気用空間から屋外に排出される空気の量を大きく制限して断熱、消雪効果を格段に高めたものとすることができる。
【0019】
太陽光発電用のパネル用の設置金具を固着可能な取付金具を利用した省エネ型屋根では、建築物の葺き屋根に、直接、太陽光発電用パネルの取り付けを行う必要がないことから、設置後にスガモレや雨漏りなどを心配する必要は全く無く、その虞もない上、太陽光発電用パネルを着脱する場合であっても、建築物の葺き屋根には一切加工を施す必要は無くなることなどの特質から、施工性だけでなくてメンテナンス性も高くなり、したがって、経済性にも非常に秀れるという大きな効果が得られることとなる。
【0020】
また、増設屋根葺き材の軒先保護部ないし葺き屋根鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能であって、軒先から上向きに立ち上がるようにして落雪防止部を折曲形成し、それを一体化して前面化粧壁部に形成した二重屋根増設構造からなる消雪屋根は、当該落雪防止部により、棟がわから軒先に移動してきた積雪を堰き止めて落雪や氷柱の発生を確実に阻止することができ、さらに、雪留め金具を固着可能とした取付金具を採用するようにしたものは、増設屋根葺き材の何も無い箇所に雪留め金具を固着した場合に比較して格段に強度の高い取り付けを実現可能とするものとなり、しかも雪留め金具の設置作業も簡単、迅速に行うことができ、さらに、落雪防止部が増設屋根葺き材の屋根軒先の鼻隠しよりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した各雪留め金具に、直線棒状吊り金具の一端を結合し、それら各吊り金具の他端を当該増設屋根葺き材の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材の軒先上面と各吊り金具下との間に蓄熱板を装着してなるようにしたものでは、落雪防止部の耐荷重強度を格段に高めることができる上に、その蓄熱板が、特段の熱エネルギーを供給せずとも、太陽熱や通気用空間から伝わる熱を自動的に蓄積し、より早い消雪を実現化するものになるという実益が得られることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
取付金具は、既存または新設の葺き屋根の対象屋根面上に、取付母屋および/または増設屋根葺き材を充分な強度をもって設置可能とする機能を担うものであり、対象屋根面全面上の屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に、屋根上の作業にて簡便、迅速、且つ確りと固定可能なものとしなければならず、例えば、後述する実施例に示すように、瓦棒葺き屋根の場合には、ボルト・ナットによる棟方向からの締付にて、瓦棒の要所要所に挟着固定可能としたものとすることができ、一文字葺き屋根の場合には、葺き板のハゼ部分に上下方向から挟着可能としたもの、または、吊り子型のものを介して装着するものなどとすることが可能である外、折板屋根の場合には、折板屋根に突設した金具やスタッドボルトまたはタッピングネジなどを利用して固着可能なものとすることができる。
【0022】
また、取付金具は、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して外装葺き板上に太陽光発電用のパネル用の設置金具を固着可能としてなるものとすることができる外、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材を貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して増設屋根葺き材上に雪留め金具を固着可能としてなるものとすることができる。
【0023】
取付母屋は、既存または新設の葺き屋根の対象屋根面上の要所要所に設置した複数の取付金具間に掛け渡し固定することで、覆い板および/または増設屋根葺き材を一体化支持可能とする機能を担い、既存または新設の葺き屋根の棟に平行するように、棟から軒先に掛けて所定間隔置き毎に配したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、瓦棒葺き屋根の場合には、各瓦棒に対して格子状をなすよう配置したものとすべきである。
【0024】
覆い板は、各取付母屋上間に掛け渡すよう設置し、増設屋根葺き材を装着可能とし、同増設屋根葺き材を下がわから支持可能であって既存または新設の葺き屋根の対象屋根面との間に通気用空間を確保可能とする機能を果たし、装着範囲上面を密閉状に被覆可能なものとすべきであり、省エネ型屋根の設置に利用する場合には、充分な断熱性を確保可能な素材製で充分な厚さを確保できると共に、軽量化したものとすべきであり、消雪屋根の設置に利用する場合には、充分な耐荷重強度を有するものとしなければならず、高い断熱性を確保すると共に、増設屋根葺き材に熱を伝達可能として効果的に屋根上の消雪を可能とするものとしなければならない。
【0025】
増設屋根葺き材は、各取付母屋間上か、または、覆い板上かの少なくとも何れか一方に防水性および気密性を確保可能とし、軒先がわに軒先保護部を一体的に連続するよう形成可能とする機能を担うものであり、葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能なものとしなければならず、平板状か、または、後述する実施例に示すように、棟から軒先に向けた直線状且つ平行な山および谷を交互に形成し、棟方向に波型断面形状をなす、所謂波板製のものとすることができ、より具体的には、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなるものとするのが望ましい。
【0026】
軒先保護部は、増設屋根葺き材の軒先端に連続する雨樋幅相当分を密閉状とするよう包囲すると共に、増設屋根葺き材上の軒先端がわに流れ下る雨水や、雪解け水などを雨樋部に集流し、適所に配した縦樋を通じて円滑に排水可能とする機能を担うものであり、葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出して覆うよう設定して、消雪屋根とする場合には、少なくとも軒先がわに発生した雪庇が雨樋に掛かってしまうようなことを阻止可能とするものとしなければならず、望ましくは落雪防止部を一体化形成して雪庇や落雪の発生確実に防止できるものとすべきであり、後述する実施例に示すように、鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口してなるものとするのが良い。
【0027】
そして、前面化粧壁部は、軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部を一体化したものとすることが可能であり、さらに、後述する実施例に示すように、増設屋根葺き材の屋根軒先の鼻隠しよりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した各雪留め金具に、直線棒状吊り金具の一端を結合し、それら各吊り金具の他端を当該増設屋根葺き材の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材の軒先上面と各吊り金具下との間に、蓄熱板を装着してなるものとすることができる。
【0028】
蓄熱板は、通気用空間からの熱や、外気、太陽光などからの熱を吸収・蓄積し、接触する雪や氷に伝熱、輻射するなどして融解可能とする機能を果たすものであり、耐候性に秀れ、蓄熱性が高く、しかも一般的な屋根葺き材や外壁材などに準ずる程度の重量に抑えられたものとすべきであり、例えば、天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂、発泡合成樹脂などの各種成型品を用いることができる。
【0029】
破風隠蔽壁は、屋根の各破風板より棟方向外がわに通気用空間を閉鎖状に包囲し、通気用空間内に空気を留め、外気や風雨雪などの進入をなるべく阻止するようにする機能を果たすものであり、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋、覆い板および/または増設屋根葺き材の端縁に、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至るよう設置したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、少なくともその下端縁が、屋根の破風板付近まで延伸して形成されたものとし、さらに、下端縁を屋根の破風板よりも下がわまで延伸してなるものとすることができ、上端縁は、増設屋根葺き材敷設面に一致するように設定することができる外、後述する実施例に示すように、軒先保護部の前面化粧壁部(落雪防止部)の上端縁に一致する高さまで延伸してなるものとすることが可能である。
【0030】
暖気ダクトは、葺き屋根下の何れか屋内空間から通気用空間の適所に屋内空気を誘導し、通気用空間の気温を制御可能とする機能を担うものであり、屋内や壁面肉厚内、屋外の何れにも配管設置可能であり、葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続してなるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなるものとすることができる。
【0031】
地熱ダクトは、地中に掘削した地熱取出穴から取り込んだ暖気を、通気用空間の適所に直接か、または、暖気ダクトの何れか適所に供給可能とする機能を果たすものであり、後述する実施例に示すように、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導してなる少なくとも1本を当該通気用空間の適所に直接か、または、当該暖気ダクトの何れかの中途適所かの少なくとも何れか一方に接続してなるものとすべきであり、中途適所に屋外内の何れかに設置した暖房機からの暖気を供給可能に配管したものとすることができる。
【0032】
さらに、暖気ダクトおよび/または地熱ダクトが、その末端か、中途適所かの何れか適所に、通気用空間に向かう気流を発生可能な送風ファンを配設してなるものとすることができ、また、暖気ダクトが、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなるものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0033】
図1の消雪屋根要部の断面図、図2の瓦棒用取付金具の正面図、図3の瓦棒用取付金具の側面図、図4の二重屋根増設構造の断面図、図5の二重屋根増設構造の斜視図、図6の平面L字型二重屋根増設構造の平面図、図7の図6中矢印Aから見た二重屋根増設構造の正面図、図8の破風隠蔽壁の断面図、図9の破風隠蔽壁の側面図、図10の一部に変更を加えた破風隠蔽壁の断面図、図11の二重屋根増設構造の断面図、図12の二重屋根増設構造の棟付近の断面図、図13の二重屋根増設構造の棟付近の側面図、図14の二重屋根増設構造の棟付近の平断面図である。
【0034】
そして、図15の二重屋根増設構造の断面図、図16の二重屋根増設構造の棟付近の断面図、図17の二重屋根増設構造の平面図、図18の装着状態の挟着型取付金具の側面図、図19の装着状態の挟着型取付金具の正面図、図20の吊り子型取付金具の側面図、図21の吊り子型取付金具の側面図、図22の吊り子型取付金具の取付金具の正面図、図23の吊り子型取付金具の背面図、図24の装着した吊り子型取付金具の正面図、図25の吊り子型取付金具に装着した雪留め金具の側面図、図26の瓦棒用取付金具に装着した雪留め金具の側面図、図27の折板屋根用取付金具の断面図、図28の折板屋根用取付金具の正面図、図29の折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具の正面図、図30の折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具の側面図、図31の暖気ダクトの配管例の断面図、図32の地熱ダクトの配管例の断面図、図33の一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例の断面図、および、図34の一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例の断面図に示す事例は、葺き屋根9対象屋根面90全面上に想定した格子状配置の各交叉点となる箇所夫々に所定の取付金具2,2,……を取着し、それら取付金具2,2,……を介して取付母屋3,3,……を配置すると共に、それら取付母屋3,3,……を下地構造として添設可能であって軒先保護部5を一体形成可能とする増設屋根葺き材4を張設し、通気用空間7を形成してなるものとした、この発明の二重屋根増設構造における代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の二重屋根増設構造1は、既存または新設の葺き屋根9の対象屋根面90上に設置可能であり、図1ないし図5に示すように、既存または新設の瓦棒葺き屋根9の屋根葺き材91である各瓦棒92,92,……の所定間隔毎に格子状配置となる各交叉点に相当する箇所夫々に、取付金具2,2,……を取り付けたものとし、それら取付金具2,2,……は、図1ないし図3に示すように、基部20に水平に貫通するボルト21およびそれに螺合するナット22を有し、瓦棒92の中途適所に上方から下向きに装着し、緊締挟着可能とした挟着脚23,23を有すると共に、その上部には、取付母屋3の下部に嵌合し、複数本の釘を打ち込み可能とする釘孔25を穿設してなるU字断面形状の挟着状連結部24を一体化してなるものである。
【0036】
各取付金具2,2,……上には、棟に平行な取付母屋3,3,……を掛け渡し状に組み合わせて結合し、さらに、図6に示すように、各取付母屋3,3,……上に、合板や外壁ボードなどからなる覆い板30,30,……を敷設して釘やタッピングネジなどの適宜手段にて結合した上、それら覆い板30,30,……上に、増設屋根葺き材4である合成樹脂製、繊維強化樹脂製、または、亜鉛鍍金鋼板製の波板4,4,……を重ねて敷設、結合し、各取付母屋3,3,……上の覆い板30,30,……か、または、覆い板30を敷設しない場合の、増設屋根葺き材(波板)4かの何れか一方の下面と、既存または新設の葺き屋根9上面との間に棟から軒先に掛けて連通する通気用空間7を形成したものとしてある。
【0037】
図1に示してあるように、当該二重屋根増設構造1を消雪屋根11とする場合には、増設屋根葺き材(波板)4,4,……を葺き屋根9の鼻隠し箇所93より雨樋幅相当分だけ突出するようにして軒先保護部5を一体形成し、該軒先保護部5ないし鼻隠し93に対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部51に形成し、該前面化粧壁部51下端に連続し、屋根9軒先直下付近に配するよう雨樋部54を一体化形成した軒先隔壁枠50を装着し、且つ、該軒先保護部5の屋根9軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠50の雨樋部54上となる該軒先保護部5に排水孔55を開口したものとすることが可能であり、該前面化粧壁部51は、屋根9軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部52を一体化し、増設屋根葺き材4の屋根9軒先の鼻隠し93よりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した(後述する)各雪留め金具27,27に、直線棒状吊り金具53の一端を結合し、それら各吊り金具53の他端を当該増設屋根葺き材4の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部52上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材4の軒先上面と各吊り金具53下との間に、天然ゴム製の蓄熱板56を装着してなるものとしてある。
【0038】
そして、図6および図7に示すとおり、平面L字型に棟同士が結合する葺き屋根9では、増設屋根葺き材4,4同士の棟方向の接続端間に、波板4と同一素材製かまたは平滑な金属板製、または、合成樹脂板製などの何れかとした円筒凹面状の隅樋路40を棟から軒先隅にかけて勾配直線状に形成してなるものとしてあり、また、図8および図9に示すように、この発明の二重屋根増設構造1は、取付母屋3,3,……の上端間に覆い板30を敷設せず、直接増設屋根葺き材(波板)4を敷設してなるようなものとすることもできる。
【0039】
それら図8および図9にも示しているように、取付母屋3,3,……(および覆い板30を敷設したものの場合には覆い板30)の棟方向端縁には、対象屋根面9最上位から軒先の軒先隔壁枠50に至る破風隠蔽壁6を形成し、該破風隠蔽壁6の上端は、軒先保護部5前面化粧壁部51(落雪防止部52)の上端に一致、連続する高さに設定し、正断面形状をT字型に形成したものとし、同破風隠蔽壁6の下端は、既存または新設の葺き屋根9破風板94の上下中間位置に対応する位置まで下向きに延伸し、葺き屋根9破風板94と破風隠蔽壁6下端との間に、通気用空間7の開放隙間70を下向き開口したものとしてあり、また、図10および図11に示すように、破風隠蔽壁6下端を既存または新設の葺き屋根9の屋根葺き材91表面よりも僅かに上方に配し、葺き屋根9屋根葺き材91表面の棟方向端縁と破風隠蔽壁6下端との間に、通気用空間7の開放隙間70を棟方向に開口するようにしたものとすることが可能である。
【0040】
また、図12ないし図14に示すとおり、当該二重屋根増設構造1は、既存または新設の葺き屋根9の対象屋根面90を両流れの中の棟から一方の軒先に掛けての片側全面に設定した場合には、その棟付近の隠蔽処理を敷設がわとは反対の敷設しないがわの棟付近に僅かに延伸形成し、葺き屋根9屋根葺き材91上面から、増設屋根葺き材(波板)4端面に掛けて、棟方向所定間隔置き毎に通気口42を形成した封止板41を装着し、通気用空間7に風雨雪などが浸入しないよう封止状としたものとすべきであり、また、図15ないし図17に示すように、既存または新設の葺き屋根9の対象屋根面90を両流れの双方に渡って対称形状とするよう設定したものとすることができる。
【0041】
また、図18および図19のように、一文字葺きの既存または新設の葺き屋根9に対して二重屋根増設構造1を設置する場合には、取付金具2の下部に、一文字葺き屋根葺き材91のハゼ折り部分に挟着可能とする挟着脚23をボルト21・ナット22で挟着、結合可能とするよう設けたものとすることができる外、図20ないし図24のもののように、取付金具2の下部に、吊り子23を一体化して一文字葺き屋根葺き材91と葺き屋根9の野地板との間に差込み状に配置し、釘打ち結合可能としてなるものとすることができ、それら取付金具2の上部には、ボルト21・ナット22の螺合、螺解操作で挟着肉厚を進退調節自在とした挟着状連結部24を設けたものとしてある。
【0042】
さらに、図25および図26に示すとおり、吊り子23を一体化した取付金具2や、瓦棒92に挟着結合可能な挟着脚23を一体化するようにした取付金具2などは、垂木95、野地板(および瓦棒葺きの場合の真木)に、上向きに延伸したスタッドボルト26の先端がわを上向きに貫通し、さらに挟着状連結部24に挟着した取付母屋3、および(覆い板30、)増設屋根葺き材(波板)4を上向きに貫通した上、屋外がわに露出させた同スタッドボルト26の先端に、断面形L字型の雪留め金具27をナット22で固着したものとすることができ、該雪留め金具27は、所定間隔を隔てて隣接配置した複数個の取付金具2,2,……間に渡って掛け渡し状に結合したものとすることが可能で、図示していないが、太陽光発電用の発電用パネルなどを取り付けるための設置金具に置き換えることができる。
【0043】
また、図27ないし図30に示してあるとおり、当該二重屋根増設構造1は、既存または新設の折板葺き屋根9にも設置可能になるものであり、各取付金具2を折板葺き屋根9の屋根葺き材91の山型の頂部平面上において、突設した固定用金具96に対して挟着固定できるようにしたものや、タッピングネジ28を用いて結合可能としたものとすることができる。
【0044】
以上のように設置した二重屋根増設構造1は、図31のとおり、既存または新設家屋の屋内空間である室内空間97と屋根裏空間98とを換気口99で繋ぎ、さらに、屋根裏空間98と軒先保護部5,5とを複数本の暖気ダクト71,71で繋いだ上、各暖気ダクト71,71の吸入口または送出口の少なくとも何れか一方に夫々、常時回転駆動可能な送風ファン72を設置したものとすることができ、また、図32に示すように、通気用空間7の適所から屋根裏空間98を貫通し、室内空間97まで誘導、配管した暖気ダクト71の天井直下付近に通気孔(図示しない)を設けると共に、その屋内末端74にルーバーを有する送風口75を設け、これとは別の暖気ダクト72を室内空間97から北がわとなる屋外壁に沿って導出し、北がわの軒先保護部5に接続した上、同暖気ダクト72の室内空間97に配した屋内吸入口76に室内暖房用暖房機77の暖気供給口を接続したものとし、さらに、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴80から誘導し、中途適所に夏期早期用の地下冷気送風機81を付属した地熱ダクト8を当該暖気ダクト72の屋外配置となる中途適所に接続したものとしてある。
【0045】
また、図33に示すとおり、二重屋根増設構造1は、地熱取出穴80から導出した地熱ダクト8の中途適所に、室内暖房用暖房機77の暖気供給口を接続し、同地熱ダクト8の上端がわを軒先保護部5に貫通し、通気用空間7を建築物の南がわから北がわまで誘導、配管した上、配管内にダンパー78および送風ファン73を内蔵し、さらに、通気用空間7内の南西がわまで延伸した暖気ダクト71の先端がわ所定範囲に複数個の排気孔79を穿設したものとする一方、当該ダンパー78には、屋根裏空間98を通じて室内空間97に誘導した暖気ダクト72の先端にルーバーを有する送風口75を設けたものとすることができる。
【0046】
そしてまた、図34のとおり、二重屋根増設構造1は、地熱取出穴80から導出した地熱ダクト8の上端を軒先保護部5に接続し、室内空間97に設置した室内暖房用暖房機77の暖気供給口から誘導した暖気ダクト71の上端は、屋根裏空間98、葺き屋根9、通気用空間7および増設屋根葺き材(波板)4を貫通して屋外に開口するようにし、同暖気ダクト71の通気用空間7内に対応する中途箇所には、同通気用空間7内の棟方向端付近まで誘導配管し、通気用空間7内に開口した誘導配管72を接続してなるものとすることができる。
【0047】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明による二重屋根増設構造1は、図1および図5中にも示すとおり、既存または新設の瓦棒葺き屋根9と覆い板30(増設屋根葺き材(波板)4)との間に適宜厚さの通気用空間7を形成し、瓦棒葺き屋根9の断熱性を格段に高めるものとなり、室内暖房や冷房などの空調設備への負担を大幅に軽減して経済性や自然環境保護の観点からも秀れたものとすることができ、該瓦棒葺き屋根9の各瓦棒92,92,……に、挟着脚23,23を有する取付金具2,2,……を取り付けたものとしてあり、瓦棒葺き屋根9に釘やタッピングネジなどを打ち込まずに設置可能で、施工後のスガモレや雨漏りを確実に防止できる上、同二重屋根増設構造1の老朽に伴い撤去した場合にも、撤去後に露出した瓦棒葺き屋根9は、施工以降、増設屋根葺き材(波板)4によって太陽光や風雨雪から保護されていることとなり、施工当初のままに保護され続け、瓦棒葺き屋根9自体の老朽化を確実に防止することができるという非常に大きな経済的利点が得られる。
【0048】
また、図1に示すように、軒先保護部5の前面化粧壁部51に形成した落雪防止部52が、増設屋根葺き材(波板)4,4,……上を棟がわから軒先がわに滑り移動してくる積雪(図示せず)を堰き止めて雪庇の形成や落雪および氷柱の発生を悉く阻止するものとなり、より安全性に秀れたものとすることができる上、排水孔55,55,……を通じて雨水や雪解け水を雨樋部54に迅速に排水可能であるから、夜間や急な冷え込みによる再凍結を確実に防止できるものとなり、しかも蓄熱板56が、軒先がわの積雪や氷を速やかに融解、消雪するものとなり、雪降ろしが一切不要な消雪屋根11を実現することができ、特に、各雪留め金具27,27に連結した吊り金具53,53,……を落雪防止部52の上端に連結してあるから、落雪防止部52に大量の積雪によって大荷重が掛かった場合にも、充分に耐え得る強度を達成可能なものとすることができ、一段と安全性に秀れたものとすることができる。
【0049】
また、当該蓄熱板56は、天然ゴム製で軽量なため、消雪屋根11に不要な荷重負担を生ずることがなく、しかも太陽光や通気用空間7からの伝達熱などを吸収して融雪するから、電力などのエネルギー共有を必要とせず経済的であり、各吊り金具53,53,……が、軽量な蓄熱板56を保持して、強風による浮き上がりや吹き飛ばしなどを確実に防止できるという利点がある。
【0050】
図6および図7に示すように、平面L字型に棟同士が結合する葺き屋根9の、増設屋根葺き材4,4同士の棟方向接続端間に形成した、円筒凹面状の隅樋路40は、同接続端間の防水性、排水性を確保して、スガモレや雨漏りの発生を確実に阻止すると共に、円筒凹面状の底面を葺き屋根9の上面に設置して耐荷重強度を確保するものとしてあるから、この部分の下地構造を簡素化して製造コストを大幅に節減することができるという効果が得られるものであり、また、図8および図9に示すように、取付母屋3,3,……の上端間に覆い板30を敷設せずに、直接増設屋根葺き材(波板)4を敷設してなるものは、大幅な経費の節減と軽量化を達成すると共に、充分な断熱効果を発揮する省エネ型屋根10を実現化するものとなる。
【0051】
そして、それら図8および図9にも示してあるとおり、正断面形状をT字型に形成した破風隠蔽壁6を設け、その下端を既存または新設の葺き屋根9破風板94の上下中間位置に対応する位置まで下向きに延伸してなるものでは、葺き屋根9破風板94と破風隠蔽壁6下端との間に、通気用空間7の開放隙間70を下向き開口することとなり、断熱性能を大幅に高めるだけではなく、消雪効果を格段に高める利点が得られ、しかも棟方向からの強風や雨雪の吹き込みを防止して一層、耐久強度に秀れたものになるという効果を発揮できる。
【0052】
また、図10および図11に示すように、破風隠蔽壁6下端を葺き屋根9屋根葺き材91表面よりも僅かに上方に配し、通気用空間7の開放隙間70を棟方向に開口するようにしたものは、通気用空間7への外気の流入や内気の流出を適度に制限し、高い断熱性や消雪性能を確保しつつ常時、新鮮な外気を取り込むことができるようにすることができるという利点が得られる。
【0053】
図12ないし図14の、葺き屋根9の両流れの中の棟から一方の軒先に掛けての片側全面に対象屋根面90を設定した二重屋根増設構造1の場合には、建築物の向きや季節風の方向などに応じて、一段と効率的で経済性に秀れた設置を実現化することができ、しかも、棟付近の隠蔽処理を敷設がわとは反対で、敷設しないがわの棟付近に僅かに延伸形成し、棟方向所定間隔置き毎に通気口42を形成した封止板41を装着したものとしてあるから、棟付近から通気用空間7内に風雨雪が進入するのを確実に防止することができ、しかも複数個の通気口42,42,……を通じて適度の通気性を確保しながら、断熱性や消雪性能を確保できるものとなり、図15ないし図17に示すように、葺き屋根9両流れの双方に渡って対称形状とするよう対象屋根面90を設定した二重屋根増設構造1は、葺き屋根9の全体を省エネ型屋根10および/または消雪屋根11とすることができるという秀れた利点が得られる。
【0054】
図18および図19に示すように、一文字葺き屋根葺き材91のハゼ折り部分に挟着可能とする挟着脚23を有する取付金具2を用いた二重屋根増設構造1は、一文字葺き屋根葺き材91に特別な加工が一切必要なく、ボルト21・ナット22で締め付けて挟着、結合するだけで簡単、迅速且つ確実に設置でき、施工作業の効率を大幅に高めたものとすることができ、図20ないし図24に示すように、吊り子23を一体化してなる取付金具2は、その吊り子23を一文字葺き屋根葺き材91と葺き屋根9の野地板との間に差込み状に配置し、釘打ち結合可能としたものであるから、一段と高強度での設置が可能になるという効果が得られ、さらに、取付金具2の上部に設けた挟着状連結部24をボルト21・ナット22の螺合、螺解操作することで、挟着肉厚を進退調節して取付母屋3の幅寸法に簡単、確実に調節することができ、設置強度を格段に高めると共に、施工作業性を大幅に高めたものとすることができる。
【0055】
図25および図26のように、垂木95、野地板(および瓦棒葺きの場合の真木)を貫通し、上向きに延伸したスタッドボルト26の先端がわを取付金具2、取付母屋3、および(覆い板30、)増設屋根葺き材(波板)4に上向き貫通した上、断面形L字型の雪留め金具27をナット22で固着したものは、増設屋根葺き材(波板)4(および覆い板30)の任意箇所に雪留め金具27を直接結合したものに比較して雪留めの耐久強度を格段に高めることができ、不用意な破損を確実に防止することができるという効果を得ることができ、また、同様に雪留め金具27を設置金具に置き換えると、太陽光発電用パネルなどを高強度で経済的に取り付けることができるという利点が得られ、特に、図27ないし図30に示す二重屋根増設構造1は、既存または新設の折板葺き屋根9にも設置可能であり、一般住宅だけに留まらず、工場や倉庫、事務所などの事業用建築物などにも簡便に設置して同様の経済的効果を実現することができ、同等の断熱・消雪効果を得ることができるという利点が適えられることとなる。
【0056】
図31に示すようにして設置した二重屋根増設構造1は、冬期に、屋内空間である室内空間97の暖気が換気口99を通じて屋根裏空間98に上昇し、屋根裏空間98から何れかの暖気ダクト71を通じて軒先保護部5内および通気用空間7へと送風ファン72によって強制的に送風されることとなり、通気用空間7内の気温を外気より高く保つことで増設屋根葺き材(波板)4上の消雪を達成するものとなり、また、積雪の無いときには、葺き屋根9の断熱、保温を達成することとなり、断熱・消雪によって気温の低下した空気は、通気用空間7軒先保護部5内から、何れか別の暖気ダクト71を通じて送風ファン72によって強制的に屋根裏空間98に循環されることとなり、二重屋根増設構造1の全体を一定の温度に均質に保つことができるものとなる外、夏期には、空調による室内空間97内の冷気が換気口99を通じて屋根裏空間98に上昇し、屋根裏空間98から何れかの暖気ダクト71を通じて軒先保護部5内および通気用空間7へと送風ファン72によって強制的に送風され、通気用空間7内で外熱を吸収して温度が上昇した空気は、別の暖気ダクト71を通じて送風ファン72によって強制的に屋根裏空間98に循環されることとなり、二重屋根増設構造1の全体を一定の温度に均質に保つことができ、冷暖房および消雪に要する光熱費用を大幅に節減できるという大きな効果を奏することとなる。
【0057】
図32の二重屋根増設構造1は、冬期間に、室内暖房用暖房機77の暖気供給口から供給した暖気が、屋内吸入口76を通じて暖気ダクト72に流入し、軒先保護部5内を通じて通気用空間7内に供給して断熱・消雪機能を発揮する一方、通気用空間7内に流入した暖気の一部が、別の暖気ダクト71を通じて屋内末端74の送風口75および天井直下付近の図示しない通気孔から送出して室内空間97を暖房するものとなり、さらに、地熱取出穴80から地熱ダクト8を通じて暖気ダクト72に地中の暖気を送り込んで燃費を大幅に低減する上、夏期には、室内暖房用暖房機77を停止し、地下冷気送風機81を起動して地熱取出穴80から地中冷気を吸い上げ、地熱ダクト8、暖気ダクト72、軒先保護部5、通気用空間7の順に流動して二重屋根増設構造1の断熱性を高めた後、別の暖気ダクト71、屋内末端74および送風口75および天井直下付近の、図示しない通気孔を通じて室内空間97に放出し、冷房するように制御することができる。
【0058】
図33の二重屋根増設構造1では、冬期にあっては、地熱取出穴80から地熱ダクト8を通じて導出した暖気に、室内暖房用暖房機77からの暖気を合流させるようにして、軒先保護部5、通気用空間7へと誘導し、ダンパー78で気流の向きを切り換えて通気用空間7内に放出したり、または、同ダンパー78を切り換え、室内空間97に配管、誘導した暖気ダクト72の送風口75から放出して室内97の暖房に利用できるようにすることができ、一方、夏期には、室内暖房用暖房機77を停止して、地熱取出穴80から誘導した冷気を送風ファン73で通気用空間7や、室内空間97に強制的に送風することができこととなり、空調の経費を大幅に節減することができるという利点が得られるものとなる。
【0059】
図34に示してある二重屋根増設構造1は、冬期間に、地熱取出穴80からの地熱を地熱ダクト8を通じて軒先保護部5および通気用空間7に空気の自然対流によって誘導するようにし、また、室内暖房用暖房機77からの暖気を暖気ダクト71、誘導配管72を通じて通気用空間7内の隅々に向けて放出することができるものとなり、また、夏期は、室内暖房用暖房機77を停止して地熱取出穴80からの冷気を軒先保護部5および通気用空間7に、図示しない送風ファンなどによって供給して二重屋根増設構造1の断熱・消雪性能を得るようなものとなり、格段に経済的な効果が得られることになる。
【0060】
(結 び)
叙述の如く、この発明の二重屋根増設構造、およびそれを利用した省エネ型屋根または消雪屋根は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの消雪屋根技術に比較して大幅に施工性を高め、軽量且つ低廉化することができ、冷房や暖房および屋根上消雪に要する燃料消費量を大幅に節減可能とするものとなる上、設置作業性に秀れ、既存、新設の葺き屋根に関わらず、短期間の工期で完成可能であり、従前までは同等の断熱性および消雪性能を達成するのに、建築物の屋根構造自体を大幅に改造もしくは改築しなければならず、多大な経費と工期とを要していたが、こうした障害を一挙に解決するものとなり、特に既存の建築物では、通常どおりに居住または利用したままで施工することもでき、施工中の負担は大巾に軽減することができることから、建築業界および住宅メンテナンス業界は勿論のこと、何よりも雪降ろしの危険性に晒される上に経済的負担に悩まされる一般家庭にとって大いに歓迎されると共に、施工後のスガモレや雨漏りの発生を心配する消雪屋根や太陽電池などの施工業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図面は、この発明の二重屋根増設構造、およびそれを利用した省エネ型屋根または消雪屋根の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】消雪屋根要部を示す断面図である。
【図2】瓦棒用取付金具を示す正面図である。
【図3】瓦棒用取付金具を示す側面図である。
【図4】二重屋根増設構造を示す断面図である。
【図5】二重屋根増設構造を示す斜視図である。
【図6】平面L字型二重屋根増設構造を示す平面図である。
【図7】図6中矢印Aから見た二重屋根増設構造を示す正面図である。
【図8】破風隠蔽壁を示す断面図である。
【図9】破風隠蔽壁を示す側面図である。
【図10】一部に変更を加えた破風隠蔽壁を示す断面図である。
【図11】二重屋根増設構造を示す断面図である。
【図12】二重屋根増設構造の棟付近を示す断面図である。
【図13】二重屋根増設構造の棟付近を示す側面図である。
【図14】二重屋根増設構造の棟付近を示す平断面図である。
【図15】二重屋根増設構造を示す断面図である。
【図16】二重屋根増設構造の棟付近を示す断面図である。
【図17】二重屋根増設構造を示す平面図である。
【図18】装着状態の挟着型取付金具を示す側面図である。
【図19】装着状態の挟着型取付金具を示す正面図である。
【図20】吊り子型取付金具を示す側面図である。
【図21】吊り子型取付金具を示す側面図である。
【図22】吊り子型取付金具の取付金具を示す正面図である。
【図23】吊り子型取付金具を示す背面図である。
【図24】装着した吊り子型取付金具を示す正面図である。
【図25】吊り子型取付金具に装着した雪留め金具を示す側面図である。
【図26】瓦棒用取付金具に装着した雪留め金具を示す側面図である。
【図27】折板屋根用取付金具を示す断面図である。
【図28】折板屋根用取付金具を示す正面図である。
【図29】折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具を示す正面図である。
【図30】折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具を示す側面図である。
【図31】暖気ダクトの配管例を示す断面図である。
【図32】地熱ダクトの配管例を示す断面図である。
【図33】一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例を示す断面図である。
【図34】一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 二重屋根増設構造
10 同 省エネ型屋根
11 同 消雪屋根
2 取付金具
20 同 基部
21 同 ボルト
22 同 ナット
23 同 挟着脚(挟着脚、吊り子)
24 同 挟着状連結部
25 同 釘孔
26 同 スタッドボルト
27 同 雪留め金具(設置金具)
28 同 タッピングネジ
3 取付母屋
30 同 覆い板
4 波板(増設屋根葺き材)
40 同 隅樋路
41 同 封止板
42 同 通気口
5 軒先保護部
50 同 軒先隔壁枠
51 同 前面化粧壁部
52 同 落雪防止部
53 同 吊り金具
54 同 雨樋部
55 同 排水孔
56 同 蓄熱板
6 破風隠蔽壁
7 通気用空間
70 同 開放隙間
71 同 暖気ダクト
72 同 暖気ダクト(誘導配管)
73 同 送風ファン
74 同 屋内末端
75 同 送風口
76 同 屋内吸入口
77 同 室内暖房用暖房機
78 同 ダンパー
79 同 排気孔
8 地熱ダクト
80 同 地熱取出穴
81 同 地下冷気送風機
9 葺き屋根
90 同 対象屋根面
91 同 屋根葺き材
92 同 瓦棒
93 同 鼻隠し
94 同 破風板
95 同 垂木
96 同 固定用金具
97 同 室内空間(屋内空間)
98 同 屋根裏空間(屋内空間)
99 同 換気口
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物屋根の断熱や消雪に関連するものであり、特に既存または新設を問わず何れの屋根にも設置可能であり、屋根を効果的に断熱することができ、屋根上の雪を迅速に融解し、雪庇や落雪、氷柱の発生を阻止すると共に、スガモレや雨漏りの発生を確実に防止可能な二重屋根増設構造を設置、提供する分野は勿論のこと、それに用いる資材の輸送、保管、組み立ておよび設置に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
【背景技術】
【0002】
(着目点)
降雪量の多い地域の一般的住宅は、落雪事故を防止すると共に、雪下ろし作業の安全性を高めるために急勾配屋根の設置が避けられており、緩やかな勾配の切り妻屋根の外、招き、片流れ、腰折、下屋付きなどといった様々な屋根には、その複数適所に雪留め金具が設けられ、耐久積雪量の目安を超えると、その家の所有者など作業者が梯子を用いて屋根に登って雪下ろしを行なわなければならないが、深く降り積もった新雪は足下を不安定にし、また、日中の日差しで弛んだ積雪は非常に滑り易くなるなどして、毎年のように落下事故が多発していることから、雪下ろし作業は、なるべく二人以上による作業、特に専門の業者による雪下ろしが奨励されるものの、その作業が度重なると出費も嵩んで多大の経済的負担を被ることとなってしまうこととなり、その負担を抱え切れないか、節約したい高齢者など体力に劣り始めている人でも、危険を覚悟の上で自ら屋根に登り、雪下ろしをしなければならない切実な問題が、未だ未解決のままである。
【0003】
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記する特許文献1(1)および(2)に提案されているものなどに代表されるように、屋根の軒先上に沿って棟方向断面形状が三角形状の雪留・消雪用の枠を装着可能とし、落雪や氷柱の発生を防止可能とした消雪用金具類や、同特許文献1(3)および(4)に見られるような、室内の暖気や温風暖房器具類からの温風などを屋根裏空間に誘導し、送風ファンなどを利用して強制的に循環するか、または対流によって自然対流可能とするかの何れかとするなどして循環可能とし、屋根を加熱して消雪可能とするようにした技術などが散見される。
【0004】
しかし、前者特許文献1(1)および(2)に示されているような消雪用金具類は、野地板に直接固定、吊下するものであったり、葺き板の巻きハゼ部分を挟持するよう固定するものなどであり、設置工事の僅かな不備などによってスガモレや雨漏りなどを招き易いという欠点を残すものであり、しかも、屋根に装着後に、雪留めできても棟がわの消雪ができないという欠点があり、また、特許文献1(3)および(4)に代表する消雪屋根などは、屋根裏空間を加熱して屋根上の積雪を効果的に消雪できるが、充分な雪留めを備えておらず、雪庇や落雪、氷柱の落下などを確実に防止できるものではないという致命的な欠点があった。
【特許文献1】(1)特開2005−48424号公報 (2)特開2005−105778号公報 (3)特開2004−225412号公報 (4)実開平6−49666号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種消雪用金具類や消雪屋根などは、何れも設置工事に伴う僅かな施工ミスによってもスガモレや雨漏りなどといった弊害を生じてしまう虞があったり、雪庇や落雪、氷柱の落下などを防止できないという難点を残すものである上、中山間地域などに住まいして若者などの手助けも期待できず、高齢化によって雪降ろし作業が困難になった高齢者が多く居住する地域などは固よりのこと、度重なる積雪に悩まされてきた豪雪地帯における住宅などにおける屋根の雪降ろしに関する技術が、未だに未解決のままに推移していることに対し、長年、建築に係わるものの一人として重く責任を感じると同時に、併せてエネルギー節約に繋がって地球環境に優しい住宅を実現するためにも、これまでの屋根の構造に何か工夫を施す必要があると考えた。
【0006】
(発明の目的)
そこで、この発明は、建築物屋根の断熱性を高めることができるだけではなく、スガモレや雨漏りの発生を確実に防止可能であると共に、屋根上の消雪を速やかに達成して雪庇や落雪、氷柱の発生を確実に阻止可能とすることができる新たな断熱・消雪屋根技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に渡る試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の二重屋根増設構造、およびそれを利用した新規な構造の省エネ型屋根、または新規な構造の消雪屋根を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の二重屋根増設構造は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設し、通気用空間を形成してなるものとした構成を要旨とする二重屋根増設構造である。
【0008】
この基本的な構成からなる二重屋根増設構造は、その表現を変えて示すならば、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設してなるものとした構成からなる二重屋根増設構造となる。
【0009】
より具体的には、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続してなるものとした構成からなる二重屋根増設構造となる。
【0010】
これを換言すると、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続し、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導した少なくとも1本の地熱ダクトを当該通気用空間の適所に直接か、または、当該暖気ダクトの何れかの中途適所かの少なくとも何れか一方に接続してなるものとした構成からなる二重屋根増設構造となる。
【0011】
(関連する発明1)
上記した二重屋根増設構造に関連し、この発明には、それを利用した省エネ型屋根も包含している。
即ち、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる、この発明の根幹をなす二重屋根増設構造からなるものとした構成からなる省エネ型屋根である。
【0012】
(関連する発明2)
上記した二重屋根増設構造に関連し、この発明には、それを利用した消雪屋根も包含している。
即ち、既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能であって、軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部を一体化した前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる、この発明の根幹をなす二重屋根増設構造からなるものとした構成からなる消雪屋根である。
【発明の効果】
【0013】
以上のとおり、この発明の二重屋根増設構造によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、既存または新設の葺き屋根対象屋根面上に所定の取付金具を介して取付母屋を固着するようにし、既存または新設の葺き屋根に大掛かりな特別の加工などは一切施さず、簡単、迅速に設置することができ、施工後のスガモレや雨漏りの心配が無用であり、しかも対象屋根面上と、各取付金具を介して固着した取付母屋上の増設屋根葺き材との間に通気用空間を実現してしまい、一般住宅など様々な建築物の屋根の断熱性を格段に高めるようにし、室内冷暖房などの空調設備への負担を大幅に軽減して経済性に秀れると共に、自然環境にも優しいものとすることができる上、通気用空間の熱を増設屋根葺き材上の積雪に伝達して効率的に消雪するという特別な効果も得られるものとなり、しかも、従来型の雨樋を当該増設屋根葺き材と一体化形成可能な新規な構造の軒先保護部に置き換えたものとしてあり、雪庇や氷柱、落雪などの発生を確実に防止できるものとすることができるという大きな特徴が得られる。
【0014】
加えて、取付母屋上に覆い板を敷設して通気用空間を形成し、該覆い板上に増設屋根葺き材を張設してなるものとした二重屋根増設構造は、覆い板が通気用空間の断熱性をさらに高めるものとなる上、積雪荷重や、建築物のメンテナンスなどで屋根に登って歩行移動する作業者の体重などに対する耐荷重性能を格段に高めたものとすることができ、しかも覆い板それ自体が蓄熱性を高めることとなり、増設屋根葺き材上の積雪や氷などを一段と効果的に消雪、解氷できるという利点が得られる。
【0015】
葺き屋根下の屋内空間から誘導した暖気ダクトを通気用空間適所に接続してなる二重屋根増設構造は、従来まで屋内の天井付近に留まって有効利用されていなかった余剰な暖気や、室内換気で屋外に排出されていた暖気などを通気用空間に誘導して屋根の断熱や消雪などに利用できることから、格段に効率的な屋根断熱および消雪を実現化でき、また、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導した地熱ダクトを当該通気用空間の適所に直接か、または暖気ダクトの中途適所かの何れかに接続してなる二重屋根増設構造は、屋内空間から誘導した暖気に加え、地熱をも通気用空間に誘導可能なものとしてあることから、燃料消費量を大幅に削減できるという極めて実利的な効果が得られるものとなる。
【0016】
暖気ダクトおよび/または地熱ダクトが、その末端か中途適所かの何れか適所に、通気用空間に向かう気流を発生可能な送風ファンを配設してなる二重屋根増設構造は、自然な対流の発生を待たずに、迅速且つ強制的に通気用空間に暖気または冷気を送り込むことが可能となり、通気用空間内を常時、室内温度程度に安定させることができるという効果を奏することとなる。
【0017】
暖気ダクトが、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなる二重屋根増設構造は、屋内に設置した室内暖房用暖房機で発生させた暖気を通気用空間に供給し、断熱および消雪に利用した上、屋内に循環することが可能となり、消雪専用の暖房機器を設置する必要がなく、格段に経済的な室内暖房、断熱および消雪を一挙に実現化することができる。
【0018】
増設屋根葺き材の軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口してなる二重屋根増設構造からなる省エネ型屋根は、雨樋部を積雪や雪庇の荷重および滑落する雪塊や氷塊の衝撃などから確実に保護することができる上、増設屋根葺き材上の棟がわから軒先に向けて流下する雨水や雪解け水が、排水孔を通じて雨樋部に落下するから、増設屋根葺き材上の積雪から流れ出る雪解け水を淀みなく速やかに排水し、再凍結を防止して消雪効果を格段に高めることができるという利点が得られるものとなり、さらに、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁に、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなるものは、棟方向外がわから通気用空間に流入する外気量を大幅に削減すると共に、通気用空間から屋外に排出される空気の量を大きく制限して断熱、消雪効果を格段に高めたものとすることができる。
【0019】
太陽光発電用のパネル用の設置金具を固着可能な取付金具を利用した省エネ型屋根では、建築物の葺き屋根に、直接、太陽光発電用パネルの取り付けを行う必要がないことから、設置後にスガモレや雨漏りなどを心配する必要は全く無く、その虞もない上、太陽光発電用パネルを着脱する場合であっても、建築物の葺き屋根には一切加工を施す必要は無くなることなどの特質から、施工性だけでなくてメンテナンス性も高くなり、したがって、経済性にも非常に秀れるという大きな効果が得られることとなる。
【0020】
また、増設屋根葺き材の軒先保護部ないし葺き屋根鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能であって、軒先から上向きに立ち上がるようにして落雪防止部を折曲形成し、それを一体化して前面化粧壁部に形成した二重屋根増設構造からなる消雪屋根は、当該落雪防止部により、棟がわから軒先に移動してきた積雪を堰き止めて落雪や氷柱の発生を確実に阻止することができ、さらに、雪留め金具を固着可能とした取付金具を採用するようにしたものは、増設屋根葺き材の何も無い箇所に雪留め金具を固着した場合に比較して格段に強度の高い取り付けを実現可能とするものとなり、しかも雪留め金具の設置作業も簡単、迅速に行うことができ、さらに、落雪防止部が増設屋根葺き材の屋根軒先の鼻隠しよりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した各雪留め金具に、直線棒状吊り金具の一端を結合し、それら各吊り金具の他端を当該増設屋根葺き材の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材の軒先上面と各吊り金具下との間に蓄熱板を装着してなるようにしたものでは、落雪防止部の耐荷重強度を格段に高めることができる上に、その蓄熱板が、特段の熱エネルギーを供給せずとも、太陽熱や通気用空間から伝わる熱を自動的に蓄積し、より早い消雪を実現化するものになるという実益が得られることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
取付金具は、既存または新設の葺き屋根の対象屋根面上に、取付母屋および/または増設屋根葺き材を充分な強度をもって設置可能とする機能を担うものであり、対象屋根面全面上の屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に、屋根上の作業にて簡便、迅速、且つ確りと固定可能なものとしなければならず、例えば、後述する実施例に示すように、瓦棒葺き屋根の場合には、ボルト・ナットによる棟方向からの締付にて、瓦棒の要所要所に挟着固定可能としたものとすることができ、一文字葺き屋根の場合には、葺き板のハゼ部分に上下方向から挟着可能としたもの、または、吊り子型のものを介して装着するものなどとすることが可能である外、折板屋根の場合には、折板屋根に突設した金具やスタッドボルトまたはタッピングネジなどを利用して固着可能なものとすることができる。
【0022】
また、取付金具は、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して外装葺き板上に太陽光発電用のパネル用の設置金具を固着可能としてなるものとすることができる外、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材を貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して増設屋根葺き材上に雪留め金具を固着可能としてなるものとすることができる。
【0023】
取付母屋は、既存または新設の葺き屋根の対象屋根面上の要所要所に設置した複数の取付金具間に掛け渡し固定することで、覆い板および/または増設屋根葺き材を一体化支持可能とする機能を担い、既存または新設の葺き屋根の棟に平行するように、棟から軒先に掛けて所定間隔置き毎に配したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、瓦棒葺き屋根の場合には、各瓦棒に対して格子状をなすよう配置したものとすべきである。
【0024】
覆い板は、各取付母屋上間に掛け渡すよう設置し、増設屋根葺き材を装着可能とし、同増設屋根葺き材を下がわから支持可能であって既存または新設の葺き屋根の対象屋根面との間に通気用空間を確保可能とする機能を果たし、装着範囲上面を密閉状に被覆可能なものとすべきであり、省エネ型屋根の設置に利用する場合には、充分な断熱性を確保可能な素材製で充分な厚さを確保できると共に、軽量化したものとすべきであり、消雪屋根の設置に利用する場合には、充分な耐荷重強度を有するものとしなければならず、高い断熱性を確保すると共に、増設屋根葺き材に熱を伝達可能として効果的に屋根上の消雪を可能とするものとしなければならない。
【0025】
増設屋根葺き材は、各取付母屋間上か、または、覆い板上かの少なくとも何れか一方に防水性および気密性を確保可能とし、軒先がわに軒先保護部を一体的に連続するよう形成可能とする機能を担うものであり、葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能なものとしなければならず、平板状か、または、後述する実施例に示すように、棟から軒先に向けた直線状且つ平行な山および谷を交互に形成し、棟方向に波型断面形状をなす、所謂波板製のものとすることができ、より具体的には、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなるものとするのが望ましい。
【0026】
軒先保護部は、増設屋根葺き材の軒先端に連続する雨樋幅相当分を密閉状とするよう包囲すると共に、増設屋根葺き材上の軒先端がわに流れ下る雨水や、雪解け水などを雨樋部に集流し、適所に配した縦樋を通じて円滑に排水可能とする機能を担うものであり、葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出して覆うよう設定して、消雪屋根とする場合には、少なくとも軒先がわに発生した雪庇が雨樋に掛かってしまうようなことを阻止可能とするものとしなければならず、望ましくは落雪防止部を一体化形成して雪庇や落雪の発生確実に防止できるものとすべきであり、後述する実施例に示すように、鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口してなるものとするのが良い。
【0027】
そして、前面化粧壁部は、軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部を一体化したものとすることが可能であり、さらに、後述する実施例に示すように、増設屋根葺き材の屋根軒先の鼻隠しよりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した各雪留め金具に、直線棒状吊り金具の一端を結合し、それら各吊り金具の他端を当該増設屋根葺き材の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材の軒先上面と各吊り金具下との間に、蓄熱板を装着してなるものとすることができる。
【0028】
蓄熱板は、通気用空間からの熱や、外気、太陽光などからの熱を吸収・蓄積し、接触する雪や氷に伝熱、輻射するなどして融解可能とする機能を果たすものであり、耐候性に秀れ、蓄熱性が高く、しかも一般的な屋根葺き材や外壁材などに準ずる程度の重量に抑えられたものとすべきであり、例えば、天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂、発泡合成樹脂などの各種成型品を用いることができる。
【0029】
破風隠蔽壁は、屋根の各破風板より棟方向外がわに通気用空間を閉鎖状に包囲し、通気用空間内に空気を留め、外気や風雨雪などの進入をなるべく阻止するようにする機能を果たすものであり、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋、覆い板および/または増設屋根葺き材の端縁に、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至るよう設置したものとすべきであり、後述する実施例に示すように、少なくともその下端縁が、屋根の破風板付近まで延伸して形成されたものとし、さらに、下端縁を屋根の破風板よりも下がわまで延伸してなるものとすることができ、上端縁は、増設屋根葺き材敷設面に一致するように設定することができる外、後述する実施例に示すように、軒先保護部の前面化粧壁部(落雪防止部)の上端縁に一致する高さまで延伸してなるものとすることが可能である。
【0030】
暖気ダクトは、葺き屋根下の何れか屋内空間から通気用空間の適所に屋内空気を誘導し、通気用空間の気温を制御可能とする機能を担うものであり、屋内や壁面肉厚内、屋外の何れにも配管設置可能であり、葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続してなるものとしなければならず、後述する実施例に示すように、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなるものとすることができる。
【0031】
地熱ダクトは、地中に掘削した地熱取出穴から取り込んだ暖気を、通気用空間の適所に直接か、または、暖気ダクトの何れか適所に供給可能とする機能を果たすものであり、後述する実施例に示すように、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導してなる少なくとも1本を当該通気用空間の適所に直接か、または、当該暖気ダクトの何れかの中途適所かの少なくとも何れか一方に接続してなるものとすべきであり、中途適所に屋外内の何れかに設置した暖房機からの暖気を供給可能に配管したものとすることができる。
【0032】
さらに、暖気ダクトおよび/または地熱ダクトが、その末端か、中途適所かの何れか適所に、通気用空間に向かう気流を発生可能な送風ファンを配設してなるものとすることができ、また、暖気ダクトが、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなるものとすることができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
【実施例1】
【0033】
図1の消雪屋根要部の断面図、図2の瓦棒用取付金具の正面図、図3の瓦棒用取付金具の側面図、図4の二重屋根増設構造の断面図、図5の二重屋根増設構造の斜視図、図6の平面L字型二重屋根増設構造の平面図、図7の図6中矢印Aから見た二重屋根増設構造の正面図、図8の破風隠蔽壁の断面図、図9の破風隠蔽壁の側面図、図10の一部に変更を加えた破風隠蔽壁の断面図、図11の二重屋根増設構造の断面図、図12の二重屋根増設構造の棟付近の断面図、図13の二重屋根増設構造の棟付近の側面図、図14の二重屋根増設構造の棟付近の平断面図である。
【0034】
そして、図15の二重屋根増設構造の断面図、図16の二重屋根増設構造の棟付近の断面図、図17の二重屋根増設構造の平面図、図18の装着状態の挟着型取付金具の側面図、図19の装着状態の挟着型取付金具の正面図、図20の吊り子型取付金具の側面図、図21の吊り子型取付金具の側面図、図22の吊り子型取付金具の取付金具の正面図、図23の吊り子型取付金具の背面図、図24の装着した吊り子型取付金具の正面図、図25の吊り子型取付金具に装着した雪留め金具の側面図、図26の瓦棒用取付金具に装着した雪留め金具の側面図、図27の折板屋根用取付金具の断面図、図28の折板屋根用取付金具の正面図、図29の折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具の正面図、図30の折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具の側面図、図31の暖気ダクトの配管例の断面図、図32の地熱ダクトの配管例の断面図、図33の一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例の断面図、および、図34の一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例の断面図に示す事例は、葺き屋根9対象屋根面90全面上に想定した格子状配置の各交叉点となる箇所夫々に所定の取付金具2,2,……を取着し、それら取付金具2,2,……を介して取付母屋3,3,……を配置すると共に、それら取付母屋3,3,……を下地構造として添設可能であって軒先保護部5を一体形成可能とする増設屋根葺き材4を張設し、通気用空間7を形成してなるものとした、この発明の二重屋根増設構造における代表的な一実施例を示すものである。
【0035】
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の二重屋根増設構造1は、既存または新設の葺き屋根9の対象屋根面90上に設置可能であり、図1ないし図5に示すように、既存または新設の瓦棒葺き屋根9の屋根葺き材91である各瓦棒92,92,……の所定間隔毎に格子状配置となる各交叉点に相当する箇所夫々に、取付金具2,2,……を取り付けたものとし、それら取付金具2,2,……は、図1ないし図3に示すように、基部20に水平に貫通するボルト21およびそれに螺合するナット22を有し、瓦棒92の中途適所に上方から下向きに装着し、緊締挟着可能とした挟着脚23,23を有すると共に、その上部には、取付母屋3の下部に嵌合し、複数本の釘を打ち込み可能とする釘孔25を穿設してなるU字断面形状の挟着状連結部24を一体化してなるものである。
【0036】
各取付金具2,2,……上には、棟に平行な取付母屋3,3,……を掛け渡し状に組み合わせて結合し、さらに、図6に示すように、各取付母屋3,3,……上に、合板や外壁ボードなどからなる覆い板30,30,……を敷設して釘やタッピングネジなどの適宜手段にて結合した上、それら覆い板30,30,……上に、増設屋根葺き材4である合成樹脂製、繊維強化樹脂製、または、亜鉛鍍金鋼板製の波板4,4,……を重ねて敷設、結合し、各取付母屋3,3,……上の覆い板30,30,……か、または、覆い板30を敷設しない場合の、増設屋根葺き材(波板)4かの何れか一方の下面と、既存または新設の葺き屋根9上面との間に棟から軒先に掛けて連通する通気用空間7を形成したものとしてある。
【0037】
図1に示してあるように、当該二重屋根増設構造1を消雪屋根11とする場合には、増設屋根葺き材(波板)4,4,……を葺き屋根9の鼻隠し箇所93より雨樋幅相当分だけ突出するようにして軒先保護部5を一体形成し、該軒先保護部5ないし鼻隠し93に対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部51に形成し、該前面化粧壁部51下端に連続し、屋根9軒先直下付近に配するよう雨樋部54を一体化形成した軒先隔壁枠50を装着し、且つ、該軒先保護部5の屋根9軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠50の雨樋部54上となる該軒先保護部5に排水孔55を開口したものとすることが可能であり、該前面化粧壁部51は、屋根9軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部52を一体化し、増設屋根葺き材4の屋根9軒先の鼻隠し93よりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した(後述する)各雪留め金具27,27に、直線棒状吊り金具53の一端を結合し、それら各吊り金具53の他端を当該増設屋根葺き材4の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部52上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材4の軒先上面と各吊り金具53下との間に、天然ゴム製の蓄熱板56を装着してなるものとしてある。
【0038】
そして、図6および図7に示すとおり、平面L字型に棟同士が結合する葺き屋根9では、増設屋根葺き材4,4同士の棟方向の接続端間に、波板4と同一素材製かまたは平滑な金属板製、または、合成樹脂板製などの何れかとした円筒凹面状の隅樋路40を棟から軒先隅にかけて勾配直線状に形成してなるものとしてあり、また、図8および図9に示すように、この発明の二重屋根増設構造1は、取付母屋3,3,……の上端間に覆い板30を敷設せず、直接増設屋根葺き材(波板)4を敷設してなるようなものとすることもできる。
【0039】
それら図8および図9にも示しているように、取付母屋3,3,……(および覆い板30を敷設したものの場合には覆い板30)の棟方向端縁には、対象屋根面9最上位から軒先の軒先隔壁枠50に至る破風隠蔽壁6を形成し、該破風隠蔽壁6の上端は、軒先保護部5前面化粧壁部51(落雪防止部52)の上端に一致、連続する高さに設定し、正断面形状をT字型に形成したものとし、同破風隠蔽壁6の下端は、既存または新設の葺き屋根9破風板94の上下中間位置に対応する位置まで下向きに延伸し、葺き屋根9破風板94と破風隠蔽壁6下端との間に、通気用空間7の開放隙間70を下向き開口したものとしてあり、また、図10および図11に示すように、破風隠蔽壁6下端を既存または新設の葺き屋根9の屋根葺き材91表面よりも僅かに上方に配し、葺き屋根9屋根葺き材91表面の棟方向端縁と破風隠蔽壁6下端との間に、通気用空間7の開放隙間70を棟方向に開口するようにしたものとすることが可能である。
【0040】
また、図12ないし図14に示すとおり、当該二重屋根増設構造1は、既存または新設の葺き屋根9の対象屋根面90を両流れの中の棟から一方の軒先に掛けての片側全面に設定した場合には、その棟付近の隠蔽処理を敷設がわとは反対の敷設しないがわの棟付近に僅かに延伸形成し、葺き屋根9屋根葺き材91上面から、増設屋根葺き材(波板)4端面に掛けて、棟方向所定間隔置き毎に通気口42を形成した封止板41を装着し、通気用空間7に風雨雪などが浸入しないよう封止状としたものとすべきであり、また、図15ないし図17に示すように、既存または新設の葺き屋根9の対象屋根面90を両流れの双方に渡って対称形状とするよう設定したものとすることができる。
【0041】
また、図18および図19のように、一文字葺きの既存または新設の葺き屋根9に対して二重屋根増設構造1を設置する場合には、取付金具2の下部に、一文字葺き屋根葺き材91のハゼ折り部分に挟着可能とする挟着脚23をボルト21・ナット22で挟着、結合可能とするよう設けたものとすることができる外、図20ないし図24のもののように、取付金具2の下部に、吊り子23を一体化して一文字葺き屋根葺き材91と葺き屋根9の野地板との間に差込み状に配置し、釘打ち結合可能としてなるものとすることができ、それら取付金具2の上部には、ボルト21・ナット22の螺合、螺解操作で挟着肉厚を進退調節自在とした挟着状連結部24を設けたものとしてある。
【0042】
さらに、図25および図26に示すとおり、吊り子23を一体化した取付金具2や、瓦棒92に挟着結合可能な挟着脚23を一体化するようにした取付金具2などは、垂木95、野地板(および瓦棒葺きの場合の真木)に、上向きに延伸したスタッドボルト26の先端がわを上向きに貫通し、さらに挟着状連結部24に挟着した取付母屋3、および(覆い板30、)増設屋根葺き材(波板)4を上向きに貫通した上、屋外がわに露出させた同スタッドボルト26の先端に、断面形L字型の雪留め金具27をナット22で固着したものとすることができ、該雪留め金具27は、所定間隔を隔てて隣接配置した複数個の取付金具2,2,……間に渡って掛け渡し状に結合したものとすることが可能で、図示していないが、太陽光発電用の発電用パネルなどを取り付けるための設置金具に置き換えることができる。
【0043】
また、図27ないし図30に示してあるとおり、当該二重屋根増設構造1は、既存または新設の折板葺き屋根9にも設置可能になるものであり、各取付金具2を折板葺き屋根9の屋根葺き材91の山型の頂部平面上において、突設した固定用金具96に対して挟着固定できるようにしたものや、タッピングネジ28を用いて結合可能としたものとすることができる。
【0044】
以上のように設置した二重屋根増設構造1は、図31のとおり、既存または新設家屋の屋内空間である室内空間97と屋根裏空間98とを換気口99で繋ぎ、さらに、屋根裏空間98と軒先保護部5,5とを複数本の暖気ダクト71,71で繋いだ上、各暖気ダクト71,71の吸入口または送出口の少なくとも何れか一方に夫々、常時回転駆動可能な送風ファン72を設置したものとすることができ、また、図32に示すように、通気用空間7の適所から屋根裏空間98を貫通し、室内空間97まで誘導、配管した暖気ダクト71の天井直下付近に通気孔(図示しない)を設けると共に、その屋内末端74にルーバーを有する送風口75を設け、これとは別の暖気ダクト72を室内空間97から北がわとなる屋外壁に沿って導出し、北がわの軒先保護部5に接続した上、同暖気ダクト72の室内空間97に配した屋内吸入口76に室内暖房用暖房機77の暖気供給口を接続したものとし、さらに、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴80から誘導し、中途適所に夏期早期用の地下冷気送風機81を付属した地熱ダクト8を当該暖気ダクト72の屋外配置となる中途適所に接続したものとしてある。
【0045】
また、図33に示すとおり、二重屋根増設構造1は、地熱取出穴80から導出した地熱ダクト8の中途適所に、室内暖房用暖房機77の暖気供給口を接続し、同地熱ダクト8の上端がわを軒先保護部5に貫通し、通気用空間7を建築物の南がわから北がわまで誘導、配管した上、配管内にダンパー78および送風ファン73を内蔵し、さらに、通気用空間7内の南西がわまで延伸した暖気ダクト71の先端がわ所定範囲に複数個の排気孔79を穿設したものとする一方、当該ダンパー78には、屋根裏空間98を通じて室内空間97に誘導した暖気ダクト72の先端にルーバーを有する送風口75を設けたものとすることができる。
【0046】
そしてまた、図34のとおり、二重屋根増設構造1は、地熱取出穴80から導出した地熱ダクト8の上端を軒先保護部5に接続し、室内空間97に設置した室内暖房用暖房機77の暖気供給口から誘導した暖気ダクト71の上端は、屋根裏空間98、葺き屋根9、通気用空間7および増設屋根葺き材(波板)4を貫通して屋外に開口するようにし、同暖気ダクト71の通気用空間7内に対応する中途箇所には、同通気用空間7内の棟方向端付近まで誘導配管し、通気用空間7内に開口した誘導配管72を接続してなるものとすることができる。
【0047】
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明による二重屋根増設構造1は、図1および図5中にも示すとおり、既存または新設の瓦棒葺き屋根9と覆い板30(増設屋根葺き材(波板)4)との間に適宜厚さの通気用空間7を形成し、瓦棒葺き屋根9の断熱性を格段に高めるものとなり、室内暖房や冷房などの空調設備への負担を大幅に軽減して経済性や自然環境保護の観点からも秀れたものとすることができ、該瓦棒葺き屋根9の各瓦棒92,92,……に、挟着脚23,23を有する取付金具2,2,……を取り付けたものとしてあり、瓦棒葺き屋根9に釘やタッピングネジなどを打ち込まずに設置可能で、施工後のスガモレや雨漏りを確実に防止できる上、同二重屋根増設構造1の老朽に伴い撤去した場合にも、撤去後に露出した瓦棒葺き屋根9は、施工以降、増設屋根葺き材(波板)4によって太陽光や風雨雪から保護されていることとなり、施工当初のままに保護され続け、瓦棒葺き屋根9自体の老朽化を確実に防止することができるという非常に大きな経済的利点が得られる。
【0048】
また、図1に示すように、軒先保護部5の前面化粧壁部51に形成した落雪防止部52が、増設屋根葺き材(波板)4,4,……上を棟がわから軒先がわに滑り移動してくる積雪(図示せず)を堰き止めて雪庇の形成や落雪および氷柱の発生を悉く阻止するものとなり、より安全性に秀れたものとすることができる上、排水孔55,55,……を通じて雨水や雪解け水を雨樋部54に迅速に排水可能であるから、夜間や急な冷え込みによる再凍結を確実に防止できるものとなり、しかも蓄熱板56が、軒先がわの積雪や氷を速やかに融解、消雪するものとなり、雪降ろしが一切不要な消雪屋根11を実現することができ、特に、各雪留め金具27,27に連結した吊り金具53,53,……を落雪防止部52の上端に連結してあるから、落雪防止部52に大量の積雪によって大荷重が掛かった場合にも、充分に耐え得る強度を達成可能なものとすることができ、一段と安全性に秀れたものとすることができる。
【0049】
また、当該蓄熱板56は、天然ゴム製で軽量なため、消雪屋根11に不要な荷重負担を生ずることがなく、しかも太陽光や通気用空間7からの伝達熱などを吸収して融雪するから、電力などのエネルギー共有を必要とせず経済的であり、各吊り金具53,53,……が、軽量な蓄熱板56を保持して、強風による浮き上がりや吹き飛ばしなどを確実に防止できるという利点がある。
【0050】
図6および図7に示すように、平面L字型に棟同士が結合する葺き屋根9の、増設屋根葺き材4,4同士の棟方向接続端間に形成した、円筒凹面状の隅樋路40は、同接続端間の防水性、排水性を確保して、スガモレや雨漏りの発生を確実に阻止すると共に、円筒凹面状の底面を葺き屋根9の上面に設置して耐荷重強度を確保するものとしてあるから、この部分の下地構造を簡素化して製造コストを大幅に節減することができるという効果が得られるものであり、また、図8および図9に示すように、取付母屋3,3,……の上端間に覆い板30を敷設せずに、直接増設屋根葺き材(波板)4を敷設してなるものは、大幅な経費の節減と軽量化を達成すると共に、充分な断熱効果を発揮する省エネ型屋根10を実現化するものとなる。
【0051】
そして、それら図8および図9にも示してあるとおり、正断面形状をT字型に形成した破風隠蔽壁6を設け、その下端を既存または新設の葺き屋根9破風板94の上下中間位置に対応する位置まで下向きに延伸してなるものでは、葺き屋根9破風板94と破風隠蔽壁6下端との間に、通気用空間7の開放隙間70を下向き開口することとなり、断熱性能を大幅に高めるだけではなく、消雪効果を格段に高める利点が得られ、しかも棟方向からの強風や雨雪の吹き込みを防止して一層、耐久強度に秀れたものになるという効果を発揮できる。
【0052】
また、図10および図11に示すように、破風隠蔽壁6下端を葺き屋根9屋根葺き材91表面よりも僅かに上方に配し、通気用空間7の開放隙間70を棟方向に開口するようにしたものは、通気用空間7への外気の流入や内気の流出を適度に制限し、高い断熱性や消雪性能を確保しつつ常時、新鮮な外気を取り込むことができるようにすることができるという利点が得られる。
【0053】
図12ないし図14の、葺き屋根9の両流れの中の棟から一方の軒先に掛けての片側全面に対象屋根面90を設定した二重屋根増設構造1の場合には、建築物の向きや季節風の方向などに応じて、一段と効率的で経済性に秀れた設置を実現化することができ、しかも、棟付近の隠蔽処理を敷設がわとは反対で、敷設しないがわの棟付近に僅かに延伸形成し、棟方向所定間隔置き毎に通気口42を形成した封止板41を装着したものとしてあるから、棟付近から通気用空間7内に風雨雪が進入するのを確実に防止することができ、しかも複数個の通気口42,42,……を通じて適度の通気性を確保しながら、断熱性や消雪性能を確保できるものとなり、図15ないし図17に示すように、葺き屋根9両流れの双方に渡って対称形状とするよう対象屋根面90を設定した二重屋根増設構造1は、葺き屋根9の全体を省エネ型屋根10および/または消雪屋根11とすることができるという秀れた利点が得られる。
【0054】
図18および図19に示すように、一文字葺き屋根葺き材91のハゼ折り部分に挟着可能とする挟着脚23を有する取付金具2を用いた二重屋根増設構造1は、一文字葺き屋根葺き材91に特別な加工が一切必要なく、ボルト21・ナット22で締め付けて挟着、結合するだけで簡単、迅速且つ確実に設置でき、施工作業の効率を大幅に高めたものとすることができ、図20ないし図24に示すように、吊り子23を一体化してなる取付金具2は、その吊り子23を一文字葺き屋根葺き材91と葺き屋根9の野地板との間に差込み状に配置し、釘打ち結合可能としたものであるから、一段と高強度での設置が可能になるという効果が得られ、さらに、取付金具2の上部に設けた挟着状連結部24をボルト21・ナット22の螺合、螺解操作することで、挟着肉厚を進退調節して取付母屋3の幅寸法に簡単、確実に調節することができ、設置強度を格段に高めると共に、施工作業性を大幅に高めたものとすることができる。
【0055】
図25および図26のように、垂木95、野地板(および瓦棒葺きの場合の真木)を貫通し、上向きに延伸したスタッドボルト26の先端がわを取付金具2、取付母屋3、および(覆い板30、)増設屋根葺き材(波板)4に上向き貫通した上、断面形L字型の雪留め金具27をナット22で固着したものは、増設屋根葺き材(波板)4(および覆い板30)の任意箇所に雪留め金具27を直接結合したものに比較して雪留めの耐久強度を格段に高めることができ、不用意な破損を確実に防止することができるという効果を得ることができ、また、同様に雪留め金具27を設置金具に置き換えると、太陽光発電用パネルなどを高強度で経済的に取り付けることができるという利点が得られ、特に、図27ないし図30に示す二重屋根増設構造1は、既存または新設の折板葺き屋根9にも設置可能であり、一般住宅だけに留まらず、工場や倉庫、事務所などの事業用建築物などにも簡便に設置して同様の経済的効果を実現することができ、同等の断熱・消雪効果を得ることができるという利点が適えられることとなる。
【0056】
図31に示すようにして設置した二重屋根増設構造1は、冬期に、屋内空間である室内空間97の暖気が換気口99を通じて屋根裏空間98に上昇し、屋根裏空間98から何れかの暖気ダクト71を通じて軒先保護部5内および通気用空間7へと送風ファン72によって強制的に送風されることとなり、通気用空間7内の気温を外気より高く保つことで増設屋根葺き材(波板)4上の消雪を達成するものとなり、また、積雪の無いときには、葺き屋根9の断熱、保温を達成することとなり、断熱・消雪によって気温の低下した空気は、通気用空間7軒先保護部5内から、何れか別の暖気ダクト71を通じて送風ファン72によって強制的に屋根裏空間98に循環されることとなり、二重屋根増設構造1の全体を一定の温度に均質に保つことができるものとなる外、夏期には、空調による室内空間97内の冷気が換気口99を通じて屋根裏空間98に上昇し、屋根裏空間98から何れかの暖気ダクト71を通じて軒先保護部5内および通気用空間7へと送風ファン72によって強制的に送風され、通気用空間7内で外熱を吸収して温度が上昇した空気は、別の暖気ダクト71を通じて送風ファン72によって強制的に屋根裏空間98に循環されることとなり、二重屋根増設構造1の全体を一定の温度に均質に保つことができ、冷暖房および消雪に要する光熱費用を大幅に節減できるという大きな効果を奏することとなる。
【0057】
図32の二重屋根増設構造1は、冬期間に、室内暖房用暖房機77の暖気供給口から供給した暖気が、屋内吸入口76を通じて暖気ダクト72に流入し、軒先保護部5内を通じて通気用空間7内に供給して断熱・消雪機能を発揮する一方、通気用空間7内に流入した暖気の一部が、別の暖気ダクト71を通じて屋内末端74の送風口75および天井直下付近の図示しない通気孔から送出して室内空間97を暖房するものとなり、さらに、地熱取出穴80から地熱ダクト8を通じて暖気ダクト72に地中の暖気を送り込んで燃費を大幅に低減する上、夏期には、室内暖房用暖房機77を停止し、地下冷気送風機81を起動して地熱取出穴80から地中冷気を吸い上げ、地熱ダクト8、暖気ダクト72、軒先保護部5、通気用空間7の順に流動して二重屋根増設構造1の断熱性を高めた後、別の暖気ダクト71、屋内末端74および送風口75および天井直下付近の、図示しない通気孔を通じて室内空間97に放出し、冷房するように制御することができる。
【0058】
図33の二重屋根増設構造1では、冬期にあっては、地熱取出穴80から地熱ダクト8を通じて導出した暖気に、室内暖房用暖房機77からの暖気を合流させるようにして、軒先保護部5、通気用空間7へと誘導し、ダンパー78で気流の向きを切り換えて通気用空間7内に放出したり、または、同ダンパー78を切り換え、室内空間97に配管、誘導した暖気ダクト72の送風口75から放出して室内97の暖房に利用できるようにすることができ、一方、夏期には、室内暖房用暖房機77を停止して、地熱取出穴80から誘導した冷気を送風ファン73で通気用空間7や、室内空間97に強制的に送風することができこととなり、空調の経費を大幅に節減することができるという利点が得られるものとなる。
【0059】
図34に示してある二重屋根増設構造1は、冬期間に、地熱取出穴80からの地熱を地熱ダクト8を通じて軒先保護部5および通気用空間7に空気の自然対流によって誘導するようにし、また、室内暖房用暖房機77からの暖気を暖気ダクト71、誘導配管72を通じて通気用空間7内の隅々に向けて放出することができるものとなり、また、夏期は、室内暖房用暖房機77を停止して地熱取出穴80からの冷気を軒先保護部5および通気用空間7に、図示しない送風ファンなどによって供給して二重屋根増設構造1の断熱・消雪性能を得るようなものとなり、格段に経済的な効果が得られることになる。
【0060】
(結 び)
叙述の如く、この発明の二重屋根増設構造、およびそれを利用した省エネ型屋根または消雪屋根は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの消雪屋根技術に比較して大幅に施工性を高め、軽量且つ低廉化することができ、冷房や暖房および屋根上消雪に要する燃料消費量を大幅に節減可能とするものとなる上、設置作業性に秀れ、既存、新設の葺き屋根に関わらず、短期間の工期で完成可能であり、従前までは同等の断熱性および消雪性能を達成するのに、建築物の屋根構造自体を大幅に改造もしくは改築しなければならず、多大な経費と工期とを要していたが、こうした障害を一挙に解決するものとなり、特に既存の建築物では、通常どおりに居住または利用したままで施工することもでき、施工中の負担は大巾に軽減することができることから、建築業界および住宅メンテナンス業界は勿論のこと、何よりも雪降ろしの危険性に晒される上に経済的負担に悩まされる一般家庭にとって大いに歓迎されると共に、施工後のスガモレや雨漏りの発生を心配する消雪屋根や太陽電池などの施工業界においても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図面は、この発明の二重屋根増設構造、およびそれを利用した省エネ型屋根または消雪屋根の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
【図1】消雪屋根要部を示す断面図である。
【図2】瓦棒用取付金具を示す正面図である。
【図3】瓦棒用取付金具を示す側面図である。
【図4】二重屋根増設構造を示す断面図である。
【図5】二重屋根増設構造を示す斜視図である。
【図6】平面L字型二重屋根増設構造を示す平面図である。
【図7】図6中矢印Aから見た二重屋根増設構造を示す正面図である。
【図8】破風隠蔽壁を示す断面図である。
【図9】破風隠蔽壁を示す側面図である。
【図10】一部に変更を加えた破風隠蔽壁を示す断面図である。
【図11】二重屋根増設構造を示す断面図である。
【図12】二重屋根増設構造の棟付近を示す断面図である。
【図13】二重屋根増設構造の棟付近を示す側面図である。
【図14】二重屋根増設構造の棟付近を示す平断面図である。
【図15】二重屋根増設構造を示す断面図である。
【図16】二重屋根増設構造の棟付近を示す断面図である。
【図17】二重屋根増設構造を示す平面図である。
【図18】装着状態の挟着型取付金具を示す側面図である。
【図19】装着状態の挟着型取付金具を示す正面図である。
【図20】吊り子型取付金具を示す側面図である。
【図21】吊り子型取付金具を示す側面図である。
【図22】吊り子型取付金具の取付金具を示す正面図である。
【図23】吊り子型取付金具を示す背面図である。
【図24】装着した吊り子型取付金具を示す正面図である。
【図25】吊り子型取付金具に装着した雪留め金具を示す側面図である。
【図26】瓦棒用取付金具に装着した雪留め金具を示す側面図である。
【図27】折板屋根用取付金具を示す断面図である。
【図28】折板屋根用取付金具を示す正面図である。
【図29】折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具を示す正面図である。
【図30】折板屋根用のタッピングネジ利用取付金具を示す側面図である。
【図31】暖気ダクトの配管例を示す断面図である。
【図32】地熱ダクトの配管例を示す断面図である。
【図33】一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例を示す断面図である。
【図34】一部に変更を加えた地熱ダクトの配管例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 二重屋根増設構造
10 同 省エネ型屋根
11 同 消雪屋根
2 取付金具
20 同 基部
21 同 ボルト
22 同 ナット
23 同 挟着脚(挟着脚、吊り子)
24 同 挟着状連結部
25 同 釘孔
26 同 スタッドボルト
27 同 雪留め金具(設置金具)
28 同 タッピングネジ
3 取付母屋
30 同 覆い板
4 波板(増設屋根葺き材)
40 同 隅樋路
41 同 封止板
42 同 通気口
5 軒先保護部
50 同 軒先隔壁枠
51 同 前面化粧壁部
52 同 落雪防止部
53 同 吊り金具
54 同 雨樋部
55 同 排水孔
56 同 蓄熱板
6 破風隠蔽壁
7 通気用空間
70 同 開放隙間
71 同 暖気ダクト
72 同 暖気ダクト(誘導配管)
73 同 送風ファン
74 同 屋内末端
75 同 送風口
76 同 屋内吸入口
77 同 室内暖房用暖房機
78 同 ダンパー
79 同 排気孔
8 地熱ダクト
80 同 地熱取出穴
81 同 地下冷気送風機
9 葺き屋根
90 同 対象屋根面
91 同 屋根葺き材
92 同 瓦棒
93 同 鼻隠し
94 同 破風板
95 同 垂木
96 同 固定用金具
97 同 室内空間(屋内空間)
98 同 屋根裏空間(屋内空間)
99 同 換気口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設し、通気用空間を形成してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項2】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項3】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項4】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続し、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導した少なくとも1本の地熱ダクトを当該通気用空間の適所に直接か、または、当該暖気ダクトの何れかの中途適所かの少なくとも何れか一方に接続してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項5】
暖気ダクトおよび/または地熱ダクトが、その末端か、中途適所かの何れか適所に、通気用空間に向かう気流を発生可能な送風ファンを配設してなる、請求項3または4何れか一方記載の二重屋根増設構造。
【請求項6】
暖気ダクトが、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなるものとした、請求項3ないし5何れか一項記載の二重屋根増設構造。
【請求項7】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる二重屋根増設構造からなるものとしたことを特長とする省エネ型屋根。
【請求項8】
取付金具が、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して外装葺き板上に太陽光発電用のパネル用の設置金具を固着可能としてなるものとした、請求項7記載の省エネ型屋根。
【請求項9】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能であって、軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部を一体化した前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる二重屋根増設構造からなるものとしたことを特長とする消雪屋根。
【請求項10】
取付金具が、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材を貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して増設屋根葺き材上に雪留め金具を固着可能としてなるものとした、請求項9項記載の消雪屋根。
【請求項11】
落雪防止部が、増設屋根葺き材の屋根軒先の鼻隠しよりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した各雪留め金具に、直線棒状吊り金具の一端を結合し、それら各吊り金具の他端を当該増設屋根葺き材の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材の軒先上面と各吊り金具下との間に、蓄熱板を装着してなるものとした、請求項9または10何れか一項記載の消雪屋根。
【請求項1】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設し、通気用空間を形成してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項2】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項3】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項4】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、当該葺き屋根下の何れか屋内空間から誘導した少なくとも1本の暖気ダクトを当該通気用空間の適所に接続し、地中に掘削、施蓋した地熱取出穴から誘導した少なくとも1本の地熱ダクトを当該通気用空間の適所に直接か、または、当該暖気ダクトの何れかの中途適所かの少なくとも何れか一方に接続してなるものとしたことを特長とする二重屋根増設構造。
【請求項5】
暖気ダクトおよび/または地熱ダクトが、その末端か、中途適所かの何れか適所に、通気用空間に向かう気流を発生可能な送風ファンを配設してなる、請求項3または4何れか一方記載の二重屋根増設構造。
【請求項6】
暖気ダクトが、屋内空間から通気用空間に暖気を吸引誘導可能なものと、通気用空間から屋内空間へと暖気を送出誘導可能なものとを有し、該吸引誘導用の屋内末端に、室内暖房用暖房機の暖気供給口を対峙可能とし、送出誘導用の屋内末端に暖気送風口を設けてなるものとした、請求項3ないし5何れか一項記載の二重屋根増設構造。
【請求項7】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能な前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる二重屋根増設構造からなるものとしたことを特長とする省エネ型屋根。
【請求項8】
取付金具が、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して外装葺き板上に太陽光発電用のパネル用の設置金具を固着可能としてなるものとした、請求項7記載の省エネ型屋根。
【請求項9】
既存または新設の葺き屋根であって対象屋根面全面上を、その屋根葺き材に応じて確保可能な間隔に想定した格子状配置における各交叉点となる箇所の夫々に所定の取付金具を取着した上、それら取付金具を介して取付母屋を固着、配置すると共に、それら取付母屋を下地構造として覆い板を全面に敷設、一体化して通気用空間を形成するようにする一方、該覆い板上には、その表面全面に添設可能であって、且つ葺き屋根の鼻隠し箇所より雨樋幅相当分だけ突出するようにした軒先保護部を一体形成可能とする増設屋根葺き材を張設した上、軒先保護部ないし鼻隠しに対峙する範囲を隠蔽可能であって、軒先から上向きに立ち上がる如く折曲してなる落雪防止部を一体化した前面化粧壁部に形成し、該前面化粧壁部下端に連続し、屋根軒先直下付近に配するよう雨樋部を一体化形成した軒先隔壁枠を装着し、且つ、該軒先保護部の屋根軒先上か、または前方であって同軒先隔壁枠の雨樋部上となる該軒先保護部に排水孔を開口し、屋根の各破風板より棟方向外がわに延伸した取付母屋および覆い板の端縁には、対象屋根面最上位から軒先の軒先隔壁枠に至る破風隠蔽壁を新設してなる二重屋根増設構造からなるものとしたことを特長とする消雪屋根。
【請求項10】
取付金具が、その上端に覆い板および増設屋根葺き材を貫通する一本または複数本のスタッドボルトか、あるいは、覆い板および増設屋根葺き材を貫通したボルトを螺着可能な一個または複数個のナットを一体化形成し、各スタッドボルトかまたは各ナットを介して増設屋根葺き材上に雪留め金具を固着可能としてなるものとした、請求項9項記載の消雪屋根。
【請求項11】
落雪防止部が、増設屋根葺き材の屋根軒先の鼻隠しよりも棟寄りの上面であって、棟方向に点在状となる複数適所の夫々に適宜固着した各雪留め金具に、直線棒状吊り金具の一端を結合し、それら各吊り金具の他端を当該増設屋根葺き材の軒先がわから一体に延伸し、立ち上げ折曲形成した落雪防止部上端の対応箇所に掛け渡し状に結合した上、増設屋根葺き材の軒先上面と各吊り金具下との間に、蓄熱板を装着してなるものとした、請求項9または10何れか一項記載の消雪屋根。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【公開番号】特開2012−26237(P2012−26237A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168710(P2010−168710)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(510205124)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(510205124)
【Fターム(参考)】
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