説明

二重袋及びその製造方法

【課題】内袋の位置が一定で被包装物を包装する包装作業性に優れた二重袋を提供する。
【解決手段】二重袋1は、平面視略矩形状の一対のフィルムの3辺の縁部同士がシール接合されて、第1、2サイドシール部21、22及びボトムシール部23が形成され、頂辺に開口部24が設けられた内袋2と、平面視略矩形状の一対のフィルムの3辺の縁部同士がシール接合されて、第3、4サイドシール部31、32及びボトムシール部33が形成され、頂辺に開口部34が設けられた外袋3とを備え、内袋の開口部24と同じ側に外袋の開口部34が配置される態様で内袋2が外袋3の中に収容され、内袋2の第1サイドシール部21とこれと同じ側の外袋3の第3サイドシール部31との間に、外袋3を構成する一対のフィルム同士が接合された第1接合部11が1個以上設けられ、接合部11の一部は、内袋2の第1サイドシール部21の外縁に接する位置又は略接する位置にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリコンウェハー等の電子製品用包装袋、医薬品用包装袋、食品用包装袋等として用いられる二重袋及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェハー等のように清浄度を要求される電子部品は、クリーンルーム内で製造されて袋で包装される。次工程に搬送された際にはクリーンルーム内で包装袋が開封されて使用される。この時、包装袋が通常の1枚ものである場合には、搬送中の一般の環境下での塵、埃等の付着により表面が汚染された包装袋がそのままクリーンルーム内に持ち込まれることになり、クリーンルーム内が汚染されてしまうという問題があった。
【0003】
そこで、このようなクリーンルーム内の汚染を防止するために、内袋と外袋の二重袋で製品を包装することが多く行われている。例えば、クリーンルーム内で製造された製品を二重袋で包装し、次工程に搬送された際には、クリーンルームの前室で外袋を開封して内袋のみの状態にし、この状態でクリーンルーム内に持ち込んでここで内袋を開封して製品を取り出す。
【0004】
前記二重袋による製品等の包装は、製品等を内袋で包装した後、さらに外袋で包装するという2工程で行われていた。
【0005】
しかしながら、このように内袋で包装する工程と、外袋で包装する工程の2工程で行うと、生産効率が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、内袋と外袋をそれぞれ準備して内袋包装工程と外袋包装工程とを分けて2工程で行うのではなく、予め外袋内に内袋が収容された二重袋を準備し、製品等をこの二重袋で1工程で包装することが特許文献1に提案されている。
【0007】
即ち、特許文献1には、微細な塵埃を通さないフィルムにより形成され、被包装物を収容する内袋と、この内袋の外面を覆う外袋とから成る包装用袋であって、一対の内袋形成片を互いに重ね合わせるとともに少なくとも両側辺に沿ってシールすることにより頂辺が開口した内袋を形成し、前記内袋の片面を完全に覆うとともに少なくとも両側辺及び底辺が前記内袋から外方に突出するように形成された一対の外袋形成片を前記内袋の両面に重ね合わせて両側辺及び底辺に沿ってシールすることにより頂辺が開口した外袋を形成し、前記内袋内に被包装物が収容された状態で前記内袋及び外袋の頂辺に沿ってシールして成る包装用二重袋が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−97450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、包装用二重袋を製造する工程中において、先に作成した内袋の外袋内における位置が固定されていないので、内袋の外袋内における位置が一定しておらず中で動きやすいために、外袋のシールを行う時に内袋の縁部も重複してシール加工することが生じやすいという問題があった。このように重複してシール加工された場合には、使用時に外袋から内袋を取り出すのが困難になる。
【0010】
また、二重袋製品を輸送等する際にはこの二重袋製品を積層、梱包等するが、この時に外袋内に収容された内袋の位置が一定しておらず中で動いてしまっているので、この二重袋で被包装物を包装する際には作業をしにくく包装作業性に劣るという問題もあった。特に、自動設備を用いて被包装物を二重袋で包装する場合には、外袋内に収容された内袋の位置がばらついていると(位置決めされていないと)自動設備を用いて製品等をスムーズに包装することは困難である。
【0011】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、外袋内に収容された内袋の位置が一定していて包装作業の作業性に優れた二重袋を提供すること、及び二重袋の製造中において先に作成した内袋の外袋内における位置が一定していて支障なく安定して二重袋を製造できると共に、被包装物を包装する際の包装作業性に優れた二重袋を製造できる二重袋の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0013】
[1]互いに重ね合わせ状に配置された平面視略矩形状の一対のフィルムの一方側の側辺縁部がシール接合されて第1サイドシール部が形成され、他方側の側辺縁部がシール接合されて第2サイドシール部が形成され、前記一対のフィルムの底辺縁部がシール接合されてボトムシール部が形成され、頂辺に開口部が設けられた内袋と、
互いに重ね合わせ状に配置された平面視略矩形状の一対のフィルムの一方側の側辺縁部がシール接合されて第3サイドシール部が形成され、他方側の側辺縁部がシール接合されて第4サイドシール部が形成され、前記一対のフィルムの底辺縁部がシール接合されてボトムシール部が形成され、頂辺に開口部が設けられ、前記内袋を中に収容し得る大きさを有した外袋とを備え、
前記内袋の開口部と同じ側に前記外袋の開口部が配置され、前記内袋の第1サイドシール部と同じ側に前記外袋の第3サイドシール部が配置される態様で、前記内袋が前記外袋の中に収容され、前記内袋の第1サイドシール部と前記外袋の第3サイドシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第1接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第1接合部の最内方縁は、前記内袋の第1サイドシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にあることを特徴とする二重袋。
【0014】
[2]前記内袋の第2サイドシール部と前記外袋の第4サイドシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第2接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第2接合部の最内方縁は、前記内袋の第2サイドシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にある前項1に記載の二重袋。
【0015】
[3]前記内袋固定用第2接合部は、2個以上設けられ、これら2個以上の第2接合部は、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されている前項2に記載の二重袋。
【0016】
[4]前記内袋固定用第1接合部は、2個以上設けられ、これら2個以上の第1接合部は、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されている前項1〜3のいずれか1項に記載の二重袋。
【0017】
[5]前記内袋のボトムシール部と前記外袋のボトムシール部との間の領域において、前記外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第3接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第3接合部の最内方縁は、前記内袋のボトムシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にある前項1〜4のいずれか1項に記載の二重袋。
【0018】
[6]前記内袋用長尺フィルムの外面を構成する樹脂として、前記外袋用長尺フィルムの内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂が用いられている前項1〜5のいずれか1項に記載の二重袋。
【0019】
[7]前記内袋固定用接合部の1個当たりの接合面積は0.2cm2〜100cm2である前項1〜6のいずれか1項に記載の二重袋。
【0020】
[8]互いに重ね合わせ状に配置された一対の内袋用長尺フィルムの幅方向の一方の縁部同士をシール接合して第1サイドシール部を形成すると共に、前記一対の長尺フィルムの幅方向の他方の縁部同士をシール接合して第2サイドシール部を形成し、前記一対の長尺フィルムの長さ方向の一部同士を幅方向に沿ってシール接合して前記第1、2サイドシール部の一端部に接続されるボトムシール部を形成する内袋シール部形成工程と、
前記内袋シール部形成工程の後に、前記一対の内袋用長尺フィルムを外側から挟み込むように一対の外袋用長尺フィルムを重ね合わせ状に配置する被覆工程と、
前記被覆工程の後に、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第1シール用押圧部で加熱押圧することによって、前記内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部と前記外袋用長尺フィルムの第3サイドシール部との間の領域に、前記一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第1接合部を少なくとも1個形成する内袋固定用接合部形成工程と、
前記内袋固定用接合部形成工程の後に、前記一対の内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁で又は外縁の近傍位置で幅方向に沿って裁断して内袋を形成する内袋形成工程と、
前記一対の外袋用長尺フィルムの幅方向の一方の縁部同士をシール接合して第3サイドシール部を形成すると共に、前記一対の外袋用長尺フィルムの幅方向の他方の縁部同士をシール接合して第4サイドシール部を形成し、前記一対の外袋用長尺フィルムの長さ方向の一部同士を幅方向に沿ってシール接合して前記第3、4サイドシール部の一端部に接続されるボトムシール部を形成する外袋シール部形成工程と、
前記外袋シール部形成工程の後に、前記一対の外袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁で又は外縁の近傍位置で幅方向に沿って裁断して外袋を形成する外袋形成工程と、を含むことを特徴とする二重袋の製造方法。
【0021】
[9]前記内袋固定用接合部形成工程において、前記第1シール用押圧部で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むことを特徴とする前項8に記載の二重袋の製造方法。
【0022】
[10]前記内袋固定用接合部形成工程において、前記内袋固定用第1接合部を形成すると共に、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第2シール用押圧部で加熱押圧することによって、前記内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部と前記外袋用長尺フィルムの第4サイドシール部との間の領域に、前記一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第2接合部を少なくとも1個形成することを特徴とする前項8または9に記載の二重袋の製造方法。
【0023】
[11]前記内袋固定用接合部形成工程において、前記第2シール用押圧部で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むことを特徴とする前項10に記載の二重袋の製造方法。
【0024】
[12]前記内袋固定用接合部形成工程において、前記内袋固定用第1接合部を形成すると共に、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第3シール用押圧部で加熱押圧することによって、前記内袋用長尺フィルムのボトムシール部と前記外袋用長尺フィルムのボトムシール部との間の領域に、前記一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第3接合部を少なくとも1個形成することを特徴とする前項8〜11のいずれか1項に記載の二重袋の製造方法。
【0025】
[13]前記内袋固定用接合部形成工程において、前記第3シール用押圧部で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むことを特徴とする前項12に記載の二重袋の製造方法。
【0026】
[14]前記内袋用長尺フィルムの外面を構成する樹脂として、前記外袋用長尺フィルムの内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いる前項9、11または13に記載の二重袋の製造方法。
【0027】
[15]前記シール用押圧部の1個当たりの押圧面積は0.2cm2〜100cm2である前項8〜14のいずれか1項に記載の二重袋の製造方法。
【発明の効果】
【0028】
[1]の発明では、内袋の開口部と同じ側に外袋の開口部が配置され、内袋の第1サイドシール部と同じ側に外袋の第3サイドシール部が配置される態様で、内袋が外袋の中に収容され、内袋の第1サイドシール部と外袋の第3サイドシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第1接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第1接合部の最内方縁は、内袋の第1サイドシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にあるから、二重袋は、外袋内に収容された内袋の位置がほぼ一定していて被包装物を包装する際の包装作業性が良好である。
【0029】
[2]の発明では、内袋の第2サイドシール部と外袋の第4サイドシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第2接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第2接合部の最内方縁は、内袋の第2サイドシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にあるから、即ち一方の側辺側に内袋固定用第1接合部が設けられると共に、他方の側辺側にも内袋固定用第2接合部が設けられているから、二重袋は、外袋内に収容された内袋の位置が一定していて被包装物を包装する際の包装作業性に優れている。
【0030】
[3]の発明では、内袋固定用第2接合部は、2個以上設けられ、これら2個以上の第2接合部は、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されているから、外袋内に収容された内袋の位置をより安定化できる。
【0031】
[4]の発明では、内袋固定用第1接合部は、2個以上設けられ、これら2個以上の第1接合部は、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されているから、外袋内に収容された内袋の位置をさらに安定化できる。
【0032】
[5]の発明では、内袋のボトムシール部と外袋のボトムシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第3接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第3接合部の最内方縁は、内袋のボトムシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にあるから、即ち底辺側にも内袋固定用接合部が設けられているから、外袋内に収容された内袋の位置をさらに安定化できる。
【0033】
[6]の発明では、内袋用長尺フィルムの外面を構成する樹脂として、外袋用長尺フィルムの内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂が用いられているから、製造の際に内袋と外袋とが熱溶着接合されることがない。従って、外袋内に収容された内袋を取り出す際の取り出し作業性に優れた二重袋が提供される。
【0034】
[7]の発明では、内袋固定用接合部の1個当たりの接合面積は0.2cm2〜100cm2であるから、外袋内に収容された内袋の位置をより安定化できると共に、外袋内に収容された内袋を取り出す際の取り出し作業性をより向上させることができる。
【0035】
[8]の発明では、先に内袋固定用第1接合部を形成して外袋用長尺フィルム内での内袋用長尺フィルムを一定の位置に安定化させた状態で内袋用長尺フィルムの裁断を行って内袋を形成するので、製造工程途中において外袋内での内袋の位置が一定していて支障なく安定して二重袋を製造できる。また、得られた二重袋は、外袋内に収容された内袋の位置がほぼ一定しているから、被包装物を包装する際の包装作業性が良好である。
【0036】
[9]の発明では、内袋固定用接合部形成工程において、第1シール用押圧部で加熱押圧する領域は、外袋用長尺フィルムの外面における内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むから、内袋固定用第1接合部の一部が内袋の第1サイドシール部の外縁に接する位置にある構成の二重袋を製造することができる。即ち、外袋内に収容された内袋の位置をより安定化できる二重袋を製造することができる。
【0037】
[10]の発明では、内袋固定用接合部形成工程において、内袋固定用第1接合部を形成すると共に、外袋用長尺フィルムの外面における内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第2シール用押圧部で加熱押圧することによって、一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第2接合部を少なくとも1個形成するから、外袋内に収容された内袋の位置をさらに安定化できる二重袋を製造することができる。
【0038】
[11]の発明では、内袋固定用接合部形成工程において、第2シール用押圧部で加熱押圧する領域は、外袋用長尺フィルムの外面における内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むから、内袋固定用第1接合部の一部が内袋の第2サイドシール部の外縁に接する位置にある構成の二重袋を製造することができる。即ち、外袋内に収容された内袋の位置をより安定化できる二重袋を製造することができる。
【0039】
[12]の発明では、内袋固定用接合部形成工程において、内袋固定用第1接合部を形成すると共に、外袋用長尺フィルムの外面における内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第3シール用押圧部で加熱押圧することによって、一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第3接合部を少なくとも1個形成するから、外袋内に収容された内袋の位置をさらに安定化できる二重袋を製造することができる。
【0040】
[13]の発明では、内袋固定用接合部形成工程において、第3シール用押圧部で加熱押圧する領域は、外袋用長尺フィルムの外面における内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むから、内袋固定用第3接合部の一部が内袋のボトムシール部の外縁に接する位置にある構成の二重袋を製造することができる。即ち、外袋内に収容された内袋の位置をより安定化できる二重袋を製造することができる。
【0041】
[14]の発明では、内袋用長尺フィルムの外面を構成する樹脂として、外袋用長尺フィルムの内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いるから、[9]、[11]及び[13]の製法を採用した場合でも、内袋と外袋とが熱溶着接合されることのない二重袋を製造できる。即ち、外袋内に収容された内袋を取り出す際の取り出し作業性に優れた二重袋を製造できる。
【0042】
[15]の発明では、シール用押圧部の1個当たりの押圧面積は0.2cm2〜100cm2であるから、外袋内に収容された内袋の位置をより安定化できると共に外袋内に収容された内袋を取り出す際の取り出し作業性をより向上させた二重袋を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の製造方法で用いる製造装置を示す概略図であって、(a)は製造装置を示す側面図、(b)は製造装置を示す上面図(上側の外袋用長尺フィルムを除いた状態で示す上面図)である。
【図2】本発明の一実施形態に係る二重袋を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図3】図2におけるX−X線の断面図である。
【図4】外袋内から内袋を取り出す途中状態を示す平面図である。
【図5】本発明に係る二重袋の他の実施形態(実施例4の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図6】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例5の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図7】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例6の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図8】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例7の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図9】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例8の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図10】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例9の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図11】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例10の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図12】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例11の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図13】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態(実施例12の二重袋)を略閉じられた状態で示す平面図である。
【図14】本発明に係る二重袋の更に他の実施形態を略閉じられた状態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明に係る二重袋の製造方法で用いる製造装置の一例を図1に示す。図1(a)は製造装置を示す側面図、図1(b)は製造装置を示す上面図であり、該上面図では、理解の容易化のために、上側の外袋用長尺フィルム60(30A)を除いた状態で示す。
【0045】
図1において、46は、外袋用長尺フィルム60が巻き取られた供給ロールであり、該外袋用長尺フィルム60は、外袋3の一方のフィルム30Aを構成するものとなる。また、47は、外袋用長尺フィルム60が巻き取られた供給ロールであり、該外袋用長尺フィルム60は、外袋3の他方のフィルム30Bを構成するものとなる。48は、内袋用長尺フィルム50が巻き取られた供給ロールであり、該内袋用長尺フィルム50は、内袋2の一方のフィルム20Aを構成するものとなる。また、49は、内袋用長尺フィルム50が巻き取られた供給ロールであり、該内袋用長尺フィルム50は、内袋2の他方のフィルム20Bを構成するものとなる。
【0046】
前記供給ロール46、47、48、49に対しフィルム引き出し方向(フィルム移送方向)の前方位置に内袋用サイドシールバー51、52が配置されている。図1(b)に示すように、一方の内袋用サイドシールバー51は、内袋用長尺フィルム50の幅方向の一方側の縁部に対応する上方位置に配置され、他方の内袋用サイドシールバー52は、内袋用長尺フィルム50の幅方向の他方側の縁部に対応する上方位置に配置され、これら内袋用サイドシールバー51、52は、上下駆動可能に構成されている。前記内袋用サイドシールバー51、52の長さ方向は、フィルム引き出し方向と平行状である。前記一方の内袋用サイドシールバー51は、下降移動することによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の内袋用長尺フィルム50、50の幅方向の一方の縁部を加熱押圧すると共に、前記他方の内袋用サイドシールバー52は、下降移動することによって、前記一対の内袋用長尺フィルム50、50の幅方向の他方の縁部を加熱押圧する。
【0047】
前記内袋用サイドシールバー51、52に対しフィルム引き出し方向の前方位置に内袋用ボトムシールバー53が配置されている。前記内袋用ボトムシールバー53の長さ方向は、フィルム引き出し方向と直交している。前記内袋用ボトムシールバー53は、下降移動することによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の内袋用長尺フィルム50、50の長さ方向の一部を幅方向に沿って(長尺フィルム50の幅方向の一方側から他方側にかけて)加熱押圧する。
【0048】
前記内袋用ボトムシールバー53に対しフィルム引き出し方向の前方位置に内袋用裁断刃部54が配置されている。前記内袋用裁断刃部54の長さ方向は、フィルム引き出し方向と直交している。前記内袋用裁断刃部54は、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の内袋用長尺フィルム50、50を幅方向に沿って裁断する。これにより内袋2が形成される。前記内袋用裁断刃部54による裁断は、後述する第1ポイントシール用押圧部65及び第2ポイントシール用押圧部66により内袋固定用第1接合部11及び内袋固定用第2接合部12が形成された後に行われるものとなされている。
【0049】
前記内袋用裁断刃部54に対しフィルム引き出し方向の前方位置に上下一対の誘導ローラ44、45が配置されている。図1(a)に示すように、上側の誘導ローラ44は、外袋3の一方のフィルム30Aを構成する外袋用長尺フィルム60を、前記重ね合わせ状態の一対の内袋用長尺フィルム50、50の上方の近接位置に誘導し、下側の誘導ローラ45は、外袋3の他方のフィルム30Bを構成する外袋用長尺フィルム60を、前記重ね合わせ状態の一対の内袋用長尺フィルム50、50の下方の近接位置に誘導する。こうして前記一対の内袋用長尺フィルム50、50を外側から挟み込むように一対の外袋用長尺フィルム60、60を重ね合わせ状に配置する。
【0050】
前記誘導ローラ44、45に対しフィルム引き出し方向の前方位置に第1ポイントシール用押圧部65及び第2ポイントシール用押圧部66が配置されている。図1(b)の拡大図に示すように、前記第1ポイントシール用押圧部65で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50、50の第1サイドシール部21の外縁21aに接する位置(又は外縁21aに略接する外方側の位置)を含むと共に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50、50の第1サイドシール部21の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部(半円形状)21Xを含む。前記第1ポイントシール用押圧部65の押圧面は円形状である。本実施形態では、前記第1ポイントシール用円形状押圧部65の中心位置(円の中心)は、前記内袋用長尺フィルム50の第1サイドシール部21の外縁21aに対応する位置にある(外縁21aの直上位置にある)。前記第1ポイントシール用押圧部65で加熱押圧することにより前記一対の外袋用長尺フィルム60、60の内面同士を接合した内袋固定用第1接合部11を形成する。本実施形態では、前記内袋固定用第1接合部11は、平面視半円形状である(図2参照)。
【0051】
また、図1(b)に示すように、前記第2ポイントシール用押圧部66で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50、50の第2サイドシール部22の外縁22aに接する位置(又は外縁22aに略接する外方側の位置)を含むと共に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50、50の第2サイドシール部22の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部(半円形状)22Xを含む。前記第2ポイントシール用押圧部66の押圧面は円形状である。本実施形態では、前記第2ポイントシール用円形状押圧部66の押圧面の中心位置(円の中心)は、前記内袋用長尺フィルム50、50の第2サイドシール部22の外縁22aに対応する位置にある(外縁22aの直上位置にある)。前記第2ポイントシール用押圧部66で加熱押圧することにより前記一対の外袋用長尺フィルム60、60の内面同士を接合した内袋固定用第2接合部12を形成する。本実施形態では、前記内袋固定用第2接合部12は、平面視半円形状である(図2参照)。
【0052】
前記第1、2ポイントシール用押圧部65、66に対しフィルム引き出し方向の前方位置に外袋用サイドシールバー61、62が配置されている。図1(b)に示すように、一方の外袋用サイドシールバー61は、外袋用長尺フィルム60の幅方向の一方側の縁部に対応する上方位置に配置され、他方の外袋用サイドシールバー62は、外袋用長尺フィルム60の幅方向の他方側の縁部に対応する上方位置に配置され、これら外袋用サイドシールバー61、62は、上下駆動可能に構成されている。前記外袋用サイドシールバー61、62の長さ方向は、フィルム引き出し方向と平行状である。前記一方の外袋用サイドシールバー61は、下降移動することによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の外袋用長尺フィルム60、60の幅方向の一方の縁部を加熱押圧すると共に、前記他方の外袋用サイドシールバー62は、下降移動することによって、前記一対の外袋用長尺フィルム60、60の幅方向の他方の縁部を加熱押圧する。
【0053】
前記外袋用サイドシールバー61、62に対しフィルム引き出し方向の前方位置に外袋用ボトムシールバー63が配置されている。前記外袋用ボトムシールバー63の長さ方向は、フィルム引き出し方向と直交している。前記外袋用ボトムシールバー63は、下降移動することによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の外袋用長尺フィルム60、60の長さ方向の一部を幅方向に沿って(長尺フィルム60、60の幅方向の一方側から他方側にかけて)加熱押圧する。
【0054】
前記外袋用ボトムシールバー63に対しフィルム引き出し方向の前方位置に外袋用裁断刃部64が配置されている。前記外袋用裁断刃部64の長さ方向は、フィルム引き出し方向と直交している。前記外袋用裁断刃部64は、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の外袋用長尺フィルム60、60を幅方向に沿って裁断する(内袋用長尺フィルム50、50は前記内袋用裁断刃部54で既に裁断されて内袋2を形成している)。これにより外袋3が形成される。
【0055】
次に、上記製造装置を用いた本発明の二重袋の製造方法について図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態では、内袋用長尺フィルム50の外面を構成する樹脂として、外袋用長尺フィルム60の内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いている。
【0056】
(内袋シール部形成工程)
前記一方の内袋用サイドシールバー51を下降移動させることによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の内袋用長尺フィルム50、50の幅方向の一方の縁部を加熱押圧して幅方向の一方の縁部同士をシール接合して第1サイドシール部21を形成すると共に、前記他方の内袋用サイドシールバー52を下降移動させることによって、前記一対の内袋用長尺フィルム50、50の幅方向の他方の縁部を加熱押圧して幅方向の他方の縁部同士をシール接合して第2サイドシール部22を形成する。また、前記一対の内袋用長尺フィルム50、50が少し前進して移送された時に、内袋用ボトムシールバー53を下降移動させることによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の内袋用長尺フィルム50、50の長さ方向の一部を幅方向に沿って加熱押圧して長さ方向の一部同士を幅方向に沿ってシール接合して、前記第1、2サイドシール部21、22の一端部に接続されるボトムシール部23を形成する(図1(b)参照)。なお、図1(a)において、58は、トリミング加工で出た内袋用長尺フィルム50の端材である。
【0057】
前記内袋用シールバー51、52、53で加熱押圧する際の条件としては、加熱温度は120℃〜300℃に設定するのが好ましく、また圧力は0.1MPa〜10MPaに設定するのが好ましく、また加熱押圧時間は0.1秒〜10秒に設定するのが好ましい。
【0058】
(被覆工程)
次に、前記第1サイドシール部21、第2サイドシール部22、ボトムシール部23が形成された前記一対の内袋用長尺フィルム50、50を、外側から挟み込むように一対の外袋用長尺フィルム60、60を重ね合わせ状に配置する(図1(a)参照)。
【0059】
(内袋固定用接合部形成工程)
前記被覆工程の後に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50の第1サイドシール部21の外縁21aに接する位置(又は外縁21aに略接する外方側の位置)を含むと共に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50の第1サイドシール部21の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部(半円形状)21Xを含む領域を、押圧面が円形状の第1ポイントシール用押圧部65で加熱押圧することによって、前記一対の外袋用長尺フィルム60、60の内面同士を接合した内袋固定用第1接合部(半円形状)11を形成する(図1(b)参照)。本実施形態では、互いに外袋用長尺フィルム60の長さ方向に沿って離間した2つの内袋固定用第1接合部11、11を形成している。なお、本実施形態では、内袋用長尺フィルム50の外面を構成する樹脂として、外袋用長尺フィルム60の内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いているから、前記第1ポイントシール用押圧部65で加熱押圧の際に、内袋用長尺フィルム50の第1サイドシール部21の外面と外袋用長尺フィルム60の内面とが溶着接合されることはなく、その結果、押圧面が円形状の第1ポイントシール用押圧部65で加熱押圧することで、半円形状の内袋固定用第1接合部11が形成される(図2参照)。
【0060】
同時に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50の第2サイドシール部22の外縁22aに接する位置(又は外縁22aに略接する外方側の位置)を含むと共に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50の第2サイドシール部22の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部(半円形状)22Xを含む領域を、押圧面が円形状の第2ポイントシール用押圧部66で加熱押圧することによって、前記一対の外袋用長尺フィルム60、60の内面同士を接合した内袋固定用第2接合部(半円形状)12を形成する(図1(b)参照)。本実施形態では、互いに外袋用長尺フィルム60の長さ方向に沿って離間した2つの内袋固定用第2接合部12、12を形成している。なお、本実施形態では、内袋用長尺フィルム50の外面を構成する樹脂として、外袋用長尺フィルム60の内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いているから、前記第2ポイントシール用押圧部66で加熱押圧の際に、内袋用長尺フィルム50の第2サイドシール部22の外面と外袋用長尺フィルム60の内面とが溶着接合されることはなく、その結果、押圧面が円形状の第2ポイントシール用押圧部66で加熱押圧することで、半円形状の内袋固定用第2接合部12が形成される(図2参照)。
【0061】
前記第1、2ポイントシール用押圧部65、66で加熱押圧する際の条件としては、加熱温度は100℃〜240℃に設定するのが好ましく、また圧力は0.1MPa〜5MPaに設定するのが好ましく、また加熱押圧時間は0.1秒〜10秒に設定するのが好ましい。
【0062】
(内袋形成工程)
前記内袋固定用第1接合部11、11及び内袋固定用第2接合部12、12を形成した後、前記一対の内袋用長尺フィルム50、50のボトムシール部23の外縁23aの近傍位置(本実施形態ではボトムシール部23の外縁23aに対しフィルム引き出し方向とは逆方向の近傍位置)で幅方向に沿って裁断して、内袋2を形成する。なお、ボトムシール部23の外縁23aで幅方向に沿って裁断して内袋2を形成してもよいし、ボトムシール部23の外縁部を幅方向に沿って裁断して内袋2を形成してもよい。
【0063】
この内袋形成工程で内袋用長尺フィルムの裁断を行う時には、既に内袋固定用第1、2接合部11、12が形成されていて一対の外袋用長尺フィルム60、60内での一対の内袋用長尺フィルム50、50を一定の位置に安定化させた状態で内袋用長尺フィルム50、50を裁断できるので、外袋3内における内袋2の位置が一定している二重袋1を支障なく安定して製造できる。
【0064】
(外袋シール部形成工程)
前記一方の外袋用サイドシールバー61を下降移動させることによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の外袋用長尺フィルム60、60の幅方向の一方の縁部を加熱押圧して幅方向の一方の縁部同士をシール接合して第3サイドシール部31を形成すると共に、前記他方の外袋用サイドシールバー62を下降移動させることによって、前記一対の外袋用長尺フィルム60、60の幅方向の他方の縁部を加熱押圧して幅方向の他方の縁部同士をシール接合して第4サイドシール部32を形成する。また、前記一対の外袋用長尺フィルム60、60が少し前進して移送された時に、外袋用ボトムシールバー63を下降移動させることによって、互いに重ね合わせ状にして移送されてきた一対の外袋用長尺フィルム60、60の長さ方向の一部を幅方向に沿って加熱押圧して長さ方向の一部同士を幅方向に沿ってシール接合して、前記第3、4サイドシール部31、32の一端部に接続されるボトムシール部33を形成する(図1(b)参照)。なお、図1(a)において、68は、トリミング加工で出た外袋用長尺フィルム60の端材である。
【0065】
前記外袋用シールバー61、62、63で加熱押圧する際の条件としては、加熱温度は120℃〜300℃に設定するのが好ましく、また圧力は0.1MPa〜10MPaに設定するのが好ましく、また加熱押圧時間は0.1秒〜10秒に設定するのが好ましい。
【0066】
(外袋形成工程)
次に、前記一対の外袋用長尺フィルム60、60のボトムシール部33の外縁33aの近傍位置(本実施形態ではボトムシール部33の外縁33aに対しフィルム引き出し方向とは逆方向の近傍位置)で幅方向に沿って裁断して、外袋3を形成する。なお、ボトムシール部33の外縁33aで幅方向に沿って裁断して外袋3を形成してもよいし、ボトムシール部33の外縁部を幅方向に沿って裁断して外袋3を形成してもよい。
【0067】
前記外袋形成工程を経て図2に示す本発明の二重袋1を製造することができる。本発明に係る二重袋1の構成等について図2、3を参照しつつ以下に詳述する。
【0068】
前記二重袋1は、内袋2と、外袋3とを備えてなる。前記内袋2は、互いに重ね合わせ状に配置された平面視略矩形状の一対のフィルム20A、20Bの一方側の側辺縁部がシール接合されて第1サイドシール部21が形成され、他方側の側辺縁部がシール接合されて第2サイドシール部22が形成され、前記一対のフィルム20A、20Bの底辺縁部がシール接合されてボトムシール部23が形成され、頂辺に開口部24が設けられた袋体からなる(図2、3参照)。
【0069】
前記外袋3は、互いに重ね合わせ状に配置された平面視略矩形状の一対のフィルム30A、30Bの一方側の側辺縁部がシール接合されて第3サイドシール部31が形成され、他方側の側辺縁部がシール接合されて第4サイドシール部32が形成され、前記一対のフィルム30A、30Bの底辺縁部がシール接合されてボトムシール部33が形成され、頂辺に開口部34が設けられた袋体からなり、該外袋3は、前記内袋2を中に収容し得る大きさを有している(図2、3参照)。
【0070】
前記内袋2の開口部24と同じ側に前記外袋3の開口部34が配置され、前記内袋2の第1サイドシール部21と同じ側に前記外袋3の第3サイドシール部31が配置される態様で、前記内袋2が前記外袋3の中に収容され、前記内袋2の第1サイドシール部21と前記外袋3の第3サイドシール部31との間の領域において、外袋2を構成する一対のフィルム30A、30Bの内面同士が接合された内袋固定用第1接合部(平面視半円形状)11が2個設けられ、該内袋固定用第1接合部11の最内方縁11fは、前記内袋2の第1サイドシール部21の外縁21aに接する位置にある(図2〜4参照)。2個の内袋固定用第1接合部11、11は、互いに外袋3の側辺に沿って離間して配置されている。なお、図14に示すように、内袋固定用第1接合部11の最内方縁11fが、内袋2の第1サイドシール部21の外縁21aに略接する外方側の位置にある構成を採用してもよい。この場合、内袋固定用第1接合部11と内袋2の第1サイドシール部21との間隔L(内袋固定用第1接合部11の最内方縁11fと内袋2の第1サイドシール部21の外縁21aとの間隔L)は、0mmを超えて10mm以下であるのが好ましい(図14参照)。
【0071】
前記内袋2の第2サイドシール部22と前記外袋3の第4サイドシール部32との間の領域において、外袋3を構成する一対のフィルム30A、30Bの内面同士が接合された内袋固定用第2接合部(平面視半円形状)12が2個設けられ、該内袋固定用第2接合部12の最内方縁12fは、前記内袋2の第2サイドシール部22の外縁22aに接する位置にある(図2〜4参照)。2個の内袋固定用第2接合部12、12は、互いに外袋3の側辺に沿って離間して配置されている。なお、図14に示すように、内袋固定用第2接合部12の最内方縁12fが、内袋2の第2サイドシール部22の外縁22aに略接する外方側の位置にある構成を採用してもよい。この場合、内袋固定用第2接合部12と内袋2の第2サイドシール部22との間隔L(内袋固定用第2接合部12の最内方縁12fと内袋2の第2サイドシール部22の外縁22aとの間隔L)は、0mmを超えて10mm以下であるのが好ましい(図14参照)。
【0072】
なお、図2において、71は、内袋用サイドシールバー51で押圧されたものの、内袋2と外袋3とが溶着されなかった領域(半円領域)であり、72は、内袋用サイドシールバー51で押圧されたものの、内袋2と外袋3とが溶着されなかった領域(半円領域)である。
【0073】
更に、図13に示すような構成を採用してもよい。即ち、図13に示す二重袋1では、2個の内袋固定用第1接合部11、11及び2個の内袋固定用第2接合部12、12に加えて、1個の内袋固定用第3接合部13がさらに設けられている。前記内袋固定用第3接合部13は、内袋2のボトムシール部23と外袋3のボトムシール部33との間の領域において、外袋3を構成する一対のフィルム30A、30Bの内面同士が接合されて形成されたものである。前記内袋固定用第3接合部13の最内方縁13fは、内袋2のボトムシール部23の外縁23aに略接する外方側の位置にある。なお、内袋固定用第3接合部13の最内方縁13fが、内袋2のボトムシール部23の外縁23aに接する位置にある構成を採用してもよい。なお、前記内袋固定用第3接合部13は、前記内袋固定用接合部形成工程において、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50のボトムシール部23の外縁23aに略接する外方側の位置(又は外縁23aに接する位置)を含むと共に、前記外袋用長尺フィルム60(30A)の外面における前記内袋用長尺フィルム50のボトムシール部23の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部73(図13参照)を含む領域を、図1で点線で示す、押圧面が円形状の第3ポイントシール用押圧部67で加熱押圧することによって形成することができる。
【0074】
本発明において、前記内袋固定用接合部11、12、13の1個当たりの平面視での接合面積は0.2cm2〜100cm2であるのが好ましい。0.2cm2以上であることで外袋3内に収容された内袋2の位置をより安定化できると共に、100cm2以下であることで外袋3内に収容された内袋2を取り出す際の取り出し作業性をより向上させることができる。中でも、前記内袋固定用接合部11、12、13の1個当たりの平面視での接合面積は0.5cm2〜10cm2であるのが特に好ましい。
【0075】
前記内袋固定用第1接合部11は、図2に示すように2個以上設けられるのが好ましく、中でも2個〜8個設けられるのがより好ましく、2個〜5個設けられるのが特に好ましい。内袋固定用第1接合部11を2個以上設けられる場合には、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されるのが好ましい。
【0076】
また、前記内袋固定用第2接合部12は、図2に示すように2個以上設けられるのが好ましく、中でも2個〜8個設けられるのがより好ましく、2個〜5個設けられるのが特に好ましい。内袋固定用第2接合部12を2個以上設けられる場合には、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されるのが好ましい。
【0077】
本発明において、前記内袋2を構成する一対のフィルム20A、20B(内袋用長尺フィルム50)および前記外袋3を構成する一対のフィルム30A、30B(外袋用長尺フィルム60)としては、特に限定されるものではないが、例えば、シーラント層(内面層)と、該シーラント層に積層された基材層とを備えた構成の積層フィルム等が挙げられる。前記基材層は、少なくとも表面層(外面層)を備えており、必要に応じてさらに1層又は2層以上の中間層を備えた構成が採用されるが、特にこれら例示の積層構成に限定されるものではない。
【0078】
前記表面層としては、特に限定されるものではないが、例えば、光遮蔽性、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等を有するバリア性フィルムからなる層等が挙げられる。前記表面層としては、本発明の二重袋1内に収納した包装対象物(被包装物)を確認できる点で、透明であるのが好ましい。また、包装対象物が光による影響を受けやすい場合には光遮蔽性を有するバリア性フィルムを用いる。
【0079】
前記表面層としては、透明性及び酸素ガスバリア性を必要とするときは、例えば、酸化ケイ素や金属酸化物が蒸着された二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(PP)フィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム等のほか、ポリ塩化ビニリデンやポリビニルアルコールをコーティングした二軸延伸PETフィルム、二軸延伸PPフィルム、さらにはエチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物のフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム等を用いることができる。
【0080】
また、前記表面層としては、光遮蔽性及び酸素ガスバリア性を必要とするときは、例えば、アルミニウム箔、アルミニウム箔が貼着された二軸延伸PETフィルム、二軸延伸PPフィルム、さらには金属アルミニウムが蒸着された二軸延伸PETフィルム、二軸延伸PPフィルム等を用いることができる。
【0081】
前記中間層は、主に、機械的強度(突き刺し強度)、各種バリア性を補うための層である。この中間層に用いられるフィルムとしては、例えばポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−6,6等)、セルロースアセテート、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート等のプラスチックの延伸または未延伸フィルム、紙、アルミニウム箔などが挙げられる。
【0082】
なお、前記各層を接着剤層で接着一体化した構成を採用しても良い。この接着剤層は、熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンフィルムによる溶融押出層(PE押出層)により形成されている。この接着剤層を利用した場合には袋が柔軟性を有するものとなる。二重袋1内に収納する包装対象物が電子材料製品である場合には、接着剤や接着剤層としてはシリカを含まないノンシリカタイプのものを用いるのが好ましい。また、前記各層を積層する際に、各層の表面にオゾン処理等の接着性を向上させるための処理を施しても良い。
【0083】
前記内袋2を構成する一対のフィルム20A、20B(内袋用長尺フィルム50)および前記外袋3を構成する一対のフィルム30A、30B(外袋用長尺フィルム60)の具体的な層構成を以下に列挙するが、層構成は特にこれら例示のものに限定されるものではない。なお、層構成における「AC」表示は、アンカーコートされていることを示す。
【0084】
[アルミニウム箔を用いた構成]
・ナイロン(表面層)/AC/PE押出層(接着剤層)/アルミニウム箔(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・ナイロン(表面層)/アルミニウム箔(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・PET(表面層)/アルミニウム箔(中間層)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層。
【0085】
[アルミニウム箔を設けない構成]
・ナイロン(表面層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・PET(表面層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・PET(表面層)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・透明バリア被膜付きPET(表面層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層
・透明バリア被膜付きPET(表面層)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/シーラント層。
【0086】
上記例示した中で、内袋用長尺フィルム50の外面を構成する樹脂としては、外袋用長尺フィルム60の内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いるのが好ましい。このような熱溶着しない組み合わせとしては、例えば次のような組み合わせを例示できる。
1)内袋用長尺フィルム50としてPET(表面層;外面)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/ポリエチレンシーラント層を用い、外袋用長尺フィルム60としてPET(表面層)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/ポリエチレンシーラント層(内面層;内面)を用いる組み合わせ
2)内袋用長尺フィルム50としてナイロン(表面層;外面)/AC/PE押出層(接着剤層)/ポリエチレンシーラント層を用い、外袋用長尺フィルム60としてナイロン(表面層)/AC/PE押出層(接着剤層)/アルミニウム箔(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/ポリエチレンシーラント層(内面層;内面)を用いる組み合わせ
3)内袋用長尺フィルム50として透明バリア被膜付きPET(表面層;外面)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/ポリエチレンシーラント層を用い、外袋用長尺フィルム60としてPET(表面層)/アルミニウム箔(中間層)/ナイロン(中間層)/AC/PE押出層(接着剤層)/ポリエチレンシーラント層(内面層;内面)を用いる組み合わせ
等を例示できる。
【0087】
なお、内袋用長尺フィルム50、外袋用長尺フィルム60としては、同一構成のフィルムを用いてもよいし、異なる構成のフィルムを用いてもよい。
【実施例】
【0088】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
【0089】
<実施例1>
前項で説明した二重袋の製造方法(図1参照)を実施して図2に示す二重袋1を製造した。内袋用長尺フィルム50としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm;外面層)/ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレン押出層(15μm)/ポリエチレンフィルム(35μm)の積層構成からなる積層フィルムを用いた。また、外袋用長尺フィルム60としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ナイロンフィルム(15μm)/ポリエチレン押出層(15μm)/ポリエチレンフィルム(35μm;内面層)の積層構成からなる積層フィルムを用いた。
【0090】
内袋シール部形成工程及び外袋シール部形成工程において、シール条件は、180℃×0.5MPa×0.7秒とした。また、内袋固定用接合部形成工程におけるシール用押圧部による加熱押圧条件は、160℃×0.2MPa×0.5秒とした。
【0091】
得られた二重袋1において、内袋2のサイズは、幅840mm×長さ800mmであり、外袋3のサイズは、幅900mm×長さ900mmである。また、内袋2の第1サイドシール部21の幅は10mm、第2サイドシール部22の幅は10mm、ボトムシール部23の幅は10mmであり、外袋3の第3サイドシール部31の幅は10mm、第4サイドシール部32の幅は10mm、ボトムシール部33の幅は10mmである。また、内袋固定用第1接合部(半円形状)11の1個当たりの面積は3cm2であり、内袋固定用第2接合部(半円形状)12の1個当たりの面積は3cm2である。一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は500mmであり、一方の内袋固定用第2接合部12と他方の内袋固定用第2接合部12との離間間隔は500mmである。
【0092】
<実施例2>
前項で説明した二重袋の製造方法(図1参照)を実施して図2に示す二重袋1を製造した。内袋用長尺フィルム50としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm;外面層)/ポリエチレンフィルム(50μm)の積層構成からなる積層フィルムを用いた。また、外袋用長尺フィルム60としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)/ポリエチレンフィルム(50μm;内面層)の積層構成からなる積層フィルムを用いた。
【0093】
内袋シール部形成工程及び外袋シール部形成工程において、シール条件は、160℃×0.4MPa×0.5秒とした。また、内袋固定用接合部形成工程におけるポイントシール用押圧部による加熱押圧条件は、140℃×0.2MPa×0.4秒とした。
【0094】
得られた二重袋1において、内袋2のサイズは、幅840mm×長さ800mmであり、外袋3のサイズは、幅900mm×長さ900mmである。また、内袋2の第1サイドシール部21の幅は7mm、第2サイドシール部22の幅は7mm、ボトムシール部23の幅は7mmであり、外袋3の第3サイドシール部31の幅は7mm、第4サイドシール部32の幅は7mm、ボトムシール部33の幅は7mmである。また、内袋固定用第1接合部(半円形状)11の1個当たりの面積は2cm2であり、内袋固定用第2接合部(半円形状)12の1個当たりの面積は2cm2である。一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は600mmであり、一方の内袋固定用第2接合部12と他方の内袋固定用第2接合部12との離間間隔は600mmである。
【0095】
<実施例3>
前項で説明した二重袋の製造方法(図1参照)を実施して図2に示す二重袋1を製造した。内袋用長尺フィルム50としては、ナイロンフィルム(15μm;外面層)/ポリエチレン押出層(15μm)/ポリエチレンフィルム(40μm)の積層構成からなる積層フィルムを用いた。また、外袋用長尺フィルム60としては、ナイロンフィルム(15μm)/アルミニウム箔(7μm)/ポリエチレン押出層(15μm)/ポリエチレンフィルム(40μm;内面層)の積層構成からなる積層フィルムを用いた。
【0096】
内袋シール部形成工程において、シール条件は、160℃×0.4MPa×0.5秒とした。また、外袋シール部形成工程において、シール条件は、200℃×0.4MPa×0.5秒とした。また、内袋固定用接合部形成工程におけるシール用押圧部による加熱押圧条件は、180℃×0.2MPa×0.4秒とした。
【0097】
得られた二重袋1において、内袋2のサイズは、幅550mm×長さ560mmであり、外袋3のサイズは、幅610mm×長さ660mmである。また、内袋2の第1サイドシール部21の幅は10mm、第2サイドシール部22の幅は10mm、ボトムシール部23の幅は10mmであり、外袋3の第3サイドシール部31の幅は10mm、第4サイドシール部32の幅は10mm、ボトムシール部33の幅は10mmである。また、内袋固定用第1接合部(半円形状)11の1個当たりの面積は2cm2であり、内袋固定用第2接合部(半円形状)12の1個当たりの面積は2cm2である。一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は300mmであり、一方の内袋固定用第2接合部12と他方の内袋固定用第2接合部12との離間間隔は300mmである。
【0098】
<実施例4>
内袋固定用接合部として、内袋固定用第1接合部(半円形状)11を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図5に示す二重袋1を製造した。なお、第1接合部(半円形状)の面積は2cm2である。
【0099】
<実施例5>
内袋固定用接合部として、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置された内袋固定用第1接合部(半円形状)11を2個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図6に示す二重袋1を製造した。なお、第1接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。また、一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は500mmである。
【0100】
<実施例6>
内袋固定用接合部として、内袋固定用第1接合部(半円形状)11を1個設けると共に内袋固定用第2接合部(半円形状)12を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図7に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。
【0101】
<実施例7>
内袋固定用接合部として、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置された内袋固定用第1接合部(半円形状)11を2個設けると共に内袋固定用第2接合部(半円形状)12を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図8に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。また、一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は400mmである。
【0102】
<実施例8>
内袋固定用接合部として、内袋固定用第1接合部(半円形状)11を1個設けると共に内袋固定用第3接合部(半円形状)13を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図9に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。
【0103】
<実施例9>
内袋固定用接合部として、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置された内袋固定用第1接合部(半円形状)11を2個設けると共に内袋固定用第3接合部(半円形状)13を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図10に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。また、一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は400mmである。
【0104】
<実施例10>
内袋固定用接合部として、内袋固定用第1接合部(半円形状)11を1個設け、内袋固定用第2接合部(半円形状)12を1個設けると共に内袋固定用第3接合部(半円形状)13を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図11に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。
【0105】
<実施例11>
内袋固定用接合部として、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置された内袋固定用第1接合部(半円形状)11を2個設け、内袋固定用第2接合部(半円形状)12を1個設けると共に内袋固定用第3接合部(半円形状)13を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図12に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。また、一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は500mmである。
【0106】
<実施例12>
内袋固定用接合部として、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置された内袋固定用第1接合部(半円形状)11を2個設け、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置された内袋固定用第2接合部(半円形状)12を2個設けると共に内袋固定用第3接合部(半円形状)13を1個設けるものとした以外は、実施例1と同様にして図13に示す二重袋1を製造した。なお、接合部(半円形状)の1個当たりの面積は2cm2である。一方の内袋固定用第1接合部11と他方の内袋固定用第1接合部11との離間間隔は400mmであり、一方の内袋固定用第2接合部12と他方の内袋固定用第2接合部12との離間間隔は400mmである。
【0107】
<比較例1>
シール用押圧部による加熱押圧を全て行わないものとした(内袋固定用接合部は設けないものとした)以外は、実施例1と同様にして二重袋を製造した。
【0108】
<比較例2>
第3シール用押圧部による加熱押圧は行う(内袋固定用第3接合部を1個設ける)ものの、第1シール用押圧部による加熱押圧は行わないものとした(内袋固定用第1接合部は設けないものとした)以外は、実施例8と同様にして二重袋を製造した。
【0109】
【表1】

【0110】
上記のようにして得られた各二重袋について下記評価法に基づいて評価を行った。その結果を表1に示す。
【0111】
<外袋内での内袋の位置の固定安定性の評価法>
外袋内での内袋の位置の固定安定性を(A)二重袋の製造中及び(B)二重袋の搬送中・使用時において下記判定基準に基づいて評価した。
(二重袋の製造中における固定安定性の判定基準)
「◎」…内袋用長尺フィルムを裁断して内袋を形成した際に、外袋用長尺フィルム内での内袋の配置位置はずれることがなく内袋の位置は安定して一定位置にあった
「○」…内袋用長尺フィルムを裁断して内袋を形成した際に、外袋用長尺フィルム内での内袋の配置位置はほぼずれることがなく内袋の位置は安定してほぼ一定位置にあった
「△」…内袋用長尺フィルムを裁断して内袋を形成した際に、外袋用長尺フィルム内での内袋の配置位置が少しずれた
「×」…内袋用長尺フィルムを裁断して内袋を形成した際に、外袋用長尺フィルム内での内袋の配置位置が顕著にずれた
(二重袋の搬送中・使用時における固定安定性の判定基準)
「◎」…いかなる場合にも外袋内での内袋の配置位置はずれることがなく内袋の位置は極めて安定して一定位置にある
「○」…外袋内での内袋の配置位置はずれることがなく内袋の位置は安定して一定位置にある
「△」…外袋内での内袋の配置位置がずれることが稀に生じるものの、特に問題がないレベルである
「×」…外袋内での内袋の配置位置がずれることが多い。
【0112】
<被包装物を包装する際の包装作業性の評価法>
自動設備を用いて被包装物を二重袋で包装を行い、その時の包装作業性を下記判定基準に基づき評価した。
(判定基準)
「◎」…被包装物を何ら支障なくスムーズに二重袋で包装できた
「○」…被包装物をほぼスムーズに二重袋で包装できた
「△」…被包装物をスムーズに二重袋で包装できないことが稀にあるが、生産する上で特に問題がないレベルである
「×」…被包装物をスムーズに二重袋で包装できないことが多く発生した。
【0113】
表1から明らかなように、本発明に係る二重袋の製造方法で製造した実施例1〜12の二重袋は、二重袋の製造中及び二重袋の搬送中・包装使用時において外袋内に収容された内袋の位置がほぼ一定又は一定しており、被包装物を包装する際の包装作業性に優れていた。
【0114】
これに対し、比較例1、2の二重袋は、二重袋の製造中及び二重袋の搬送中・包装使用時において、外袋内での内袋の配置位置がずれてしまい、被包装物を包装する際の包装作業性に劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明の二重袋は、例えば、シリコンウェハー等の電子製品用包装袋、医薬品用包装袋、食品用包装袋等として用いられる。例えば、クリーンルーム内で製造された製品をそのままクリーンルーム内で本発明の二重袋で包装し、次工程に搬送された際に、クリーンルームの前室で外袋を開封して内袋のみの状態にし、この状態でクリーンルーム内に持ち込んでここで内袋を開封して製品を取り出す。なお、これは使用形態の一例であって、特にこのような使用形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0116】
1…二重袋
2…内袋
3…外袋
11…内袋固定用第1接合部
11f…内袋固定用第1接合部の最内方縁
12…内袋固定用第2接合部
12f…内袋固定用第2接合部の最内方縁
13…内袋固定用第3接合部
13f…内袋固定用第3接合部の最内方縁
20A、20B…フィルム(内袋)
21…第1サイドシール部(内袋)
21a…第1サイドシール部の外縁
22…第2サイドシール部(内袋)
22a…第2サイドシール部の外縁
23…ボトムシール部(内袋)
23a…ボトムシール部の外縁
24…開口部(内袋)
30A、30B…フィルム(外袋)
31…第3サイドシール部(外袋)
32…第4サイドシール部(外袋)
33…ボトムシール部(外袋)
34…開口部(外袋)
50…内袋用長尺フィルム
51…内袋用サイドシールバー
52…内袋用サイドシールバー
53…内袋用ボトムシールバー
54…内袋用裁断刃部
60…外袋用長尺フィルム
61…外袋用サイドシールバー
62…外袋用サイドシールバー
63…外袋用ボトムシールバー
64…外袋用裁断刃部
65…第1シール用押圧部
66…第2シール用押圧部
67…第3シール用押圧部
21X(71)…外袋用長尺フィルムの外面における第1サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部
22X(72)…外袋用長尺フィルムの外面における第2サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部
73…外袋用長尺フィルムの外面におけるボトムシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ね合わせ状に配置された平面視略矩形状の一対のフィルムの一方側の側辺縁部がシール接合されて第1サイドシール部が形成され、他方側の側辺縁部がシール接合されて第2サイドシール部が形成され、前記一対のフィルムの底辺縁部がシール接合されてボトムシール部が形成され、頂辺に開口部が設けられた内袋と、
互いに重ね合わせ状に配置された平面視略矩形状の一対のフィルムの一方側の側辺縁部がシール接合されて第3サイドシール部が形成され、他方側の側辺縁部がシール接合されて第4サイドシール部が形成され、前記一対のフィルムの底辺縁部がシール接合されてボトムシール部が形成され、頂辺に開口部が設けられ、前記内袋を中に収容し得る大きさを有した外袋とを備え、
前記内袋の開口部と同じ側に前記外袋の開口部が配置され、前記内袋の第1サイドシール部と同じ側に前記外袋の第3サイドシール部が配置される態様で、前記内袋が前記外袋の中に収容され、前記内袋の第1サイドシール部と前記外袋の第3サイドシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第1接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第1接合部の最内方縁は、前記内袋の第1サイドシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にあることを特徴とする二重袋。
【請求項2】
前記内袋の第2サイドシール部と前記外袋の第4サイドシール部との間の領域において、外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第2接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第2接合部の最内方縁は、前記内袋の第2サイドシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にある請求項1に記載の二重袋。
【請求項3】
前記内袋固定用第2接合部は、2個以上設けられ、これら2個以上の第2接合部は、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されている請求項2に記載の二重袋。
【請求項4】
前記内袋固定用第1接合部は、2個以上設けられ、これら2個以上の第1接合部は、互いに外袋の側辺に沿って離間して配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の二重袋。
【請求項5】
前記内袋のボトムシール部と前記外袋のボトムシール部との間の領域において、前記外袋を構成する一対のフィルムの内面同士が接合された内袋固定用第3接合部が少なくとも1個設けられ、該内袋固定用第3接合部の最内方縁は、前記内袋のボトムシール部の外縁に接する位置又は略接する位置にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の二重袋。
【請求項6】
前記内袋用長尺フィルムの外面を構成する樹脂として、前記外袋用長尺フィルムの内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂が用いられている請求項1〜5のいずれか1項に記載の二重袋。
【請求項7】
前記内袋固定用接合部の1個当たりの接合面積は0.2cm2〜100cm2である請求項1〜6のいずれか1項に記載の二重袋。
【請求項8】
互いに重ね合わせ状に配置された一対の内袋用長尺フィルムの幅方向の一方の縁部同士をシール接合して第1サイドシール部を形成すると共に、前記一対の長尺フィルムの幅方向の他方の縁部同士をシール接合して第2サイドシール部を形成し、前記一対の長尺フィルムの長さ方向の一部同士を幅方向に沿ってシール接合して前記第1、2サイドシール部の一端部に接続されるボトムシール部を形成する内袋シール部形成工程と、
前記内袋シール部形成工程の後に、前記一対の内袋用長尺フィルムを外側から挟み込むように一対の外袋用長尺フィルムを重ね合わせ状に配置する被覆工程と、
前記被覆工程の後に、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第1シール用押圧部で加熱押圧することによって、前記内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部と前記外袋用長尺フィルムの第3サイドシール部との間の領域に、前記一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第1接合部を少なくとも1個形成する内袋固定用接合部形成工程と、
前記内袋固定用接合部形成工程の後に、前記一対の内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁で又は外縁の近傍位置で幅方向に沿って裁断して内袋を形成する内袋形成工程と、
前記一対の外袋用長尺フィルムの幅方向の一方の縁部同士をシール接合して第3サイドシール部を形成すると共に、前記一対の外袋用長尺フィルムの幅方向の他方の縁部同士をシール接合して第4サイドシール部を形成し、前記一対の外袋用長尺フィルムの長さ方向の一部同士を幅方向に沿ってシール接合して前記第3、4サイドシール部の一端部に接続されるボトムシール部を形成する外袋シール部形成工程と、
前記外袋シール部形成工程の後に、前記一対の外袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁で又は外縁の近傍位置で幅方向に沿って裁断して外袋を形成する外袋形成工程と、を含むことを特徴とする二重袋の製造方法。
【請求項9】
前記内袋固定用接合部形成工程において、前記第1シール用押圧部で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第1サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むことを特徴とする請求項8に記載の二重袋の製造方法。
【請求項10】
前記内袋固定用接合部形成工程において、前記内袋固定用第1接合部を形成すると共に、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第2シール用押圧部で加熱押圧することによって、前記内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部と前記外袋用長尺フィルムの第4サイドシール部との間の領域に、前記一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第2接合部を少なくとも1個形成することを特徴とする請求項8または9に記載の二重袋の製造方法。
【請求項11】
前記内袋固定用接合部形成工程において、前記第2シール用押圧部で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムの第2サイドシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むことを特徴とする請求項10に記載の二重袋の製造方法。
【請求項12】
前記内袋固定用接合部形成工程において、前記内袋固定用第1接合部を形成すると共に、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁に接する位置又は外縁に略接する外方側の位置を少なくとも含む領域を第3シール用押圧部で加熱押圧することによって、前記内袋用長尺フィルムのボトムシール部と前記外袋用長尺フィルムのボトムシール部との間の領域に、前記一対の外袋用長尺フィルムの内面同士を接合した内袋固定用第3接合部を少なくとも1個形成することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の二重袋の製造方法。
【請求項13】
前記内袋固定用接合部形成工程において、前記第3シール用押圧部で加熱押圧する領域は、前記外袋用長尺フィルムの外面における前記内袋用長尺フィルムのボトムシール部の外縁部に対応する領域の長さ方向の一部を含むことを特徴とする請求項12に記載の二重袋の製造方法。
【請求項14】
前記内袋用長尺フィルムの外面を構成する樹脂として、前記外袋用長尺フィルムの内面を構成する樹脂に熱溶着しない樹脂を用いる請求項9、11または13に記載の二重袋の製造方法。
【請求項15】
前記シール用押圧部の1個当たりの押圧面積は0.2cm2〜100cm2である請求項8〜14のいずれか1項に記載の二重袋の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−35885(P2012−35885A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179276(P2010−179276)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(501428187)昭和電工パッケージング株式会社 (110)
【Fターム(参考)】