説明

交通情報提供システム及び地域交通情報提供方法

【課題】比較的狭い地域内でのよりきめ細かな交通情報の提供。
【解決手段】地域内の交差点それぞれに設けられた自律分散型の交通信号制御装置10と、路側情報サーバ20と、複数の路側機30とを備える交通情報提供システム1では、各交通信号制御装置10において算出された該交差点の各流入路の予測滞留交通量が、該交差点の交通情報(交差点交通情報)として路側情報サーバ20に送信される。路側情報サーバ20では、各交通信号制御装置10から受信した各交差点の交差点交通情報を集約して地域交通情報を算出し、算出した地域交通情報を各路側機30に配信する。路側機30は、受信した地域交通情報を、DSRC通信エリア33bを通過した車両400の車載装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通情報提供システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通情報を提供するためのシステムの一つとして、VICS(Vehicle Information and Communication System)が広く知られている。VICSでは、道路管理者や都道府県警察、道路に設置された車両検知器や遠隔操作カメラ等によって収集された車両通行情報を、中央のVICSセンタで編集・処理し、渋滞情報、事故や工事等の交通障害、交通規制、駐車場の空き情報といった道路交通情報を、光ビーコンや電波ビーコン、FM多重放送によって提供している。
【0003】
一方、情報を集約するための中央センタを設けない他の交通情報提供システムとして、道路に沿って設置された複数の路側機器と車両との間で無線通信を可能に構成し、交通事故が発生した場合に、各路側機がその事故についての情報を車両に配信するか否かを自律的に判断して、車両に情報を提供するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−49988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のVICSは全国を対象としたサービスであり、提供される情報は、高速道路及び主要一般道(国道等)に限られている。また、VISCセンタにおいて全国各地の情報を収集し、編集・処理した後に各地に配信されるため、処理負荷や通信遅延等によって、リアルタイム性の低下や情報の更新頻度の低下が避けられなかった。更に、提供される渋滞情報は、一つの道路を区切った比較的長い区間全体での渋滞の程度を示す情報となっている。このため、きめ細かい情報を得るにはVICSでは不適であった。本発明は、このような不都合を解消するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための第1の発明は、
所定地域の交差点それぞれに設けられ、互いに交通量の情報を送受信して自交差点の交通信号機を制御する自律分散型の交通信号制御装置と、路側に設置され、通過車両に設けられた車載装置と無線通信を行う複数の路側機と、前記交通信号制御装置及び前記路側機それぞれと通信可能に接続されたサーバと、を備えた交通情報提供システムであって、
前記交通信号制御装置それぞれは、
他の交通信号制御装置から受信した当該他の交差点の交通量をもとに、自交差点の流入路毎の交通量を予測する予測手段と、
前記予測された流入路毎の交通量をもとに、自交差点の交通信号機を制御する信号制御手段と、
前記予測された流入路毎の交通量を前記サーバに送信する交差点個別交通量送信手段と、
を有し、
前記サーバは、
前記交通信号制御装置それぞれから受信した各交差点の流入路毎の交通量に基づいて、前記所定地域の地域交通情報を、各交差点それぞれを起点とした各交差点の流入路毎の交通量として算出する算出手段と、
前記算出された前記地域交通情報を前記路側機それぞれに配信する配信手段と、
を有し、
前記路側機は、
前記サーバから受信した前記地域交通情報を前記通過車両の前記車載装置に送信する地域交通情報送信手段、
を有する、
交通情報提供システムである。
【0006】
また、他の発明として、
所定地域の交差点それぞれに設けられ、互いに交通量の情報を送受信して自交差点の交通信号機を制御する自律分散型の交通信号制御装置と、路側に設置され、通過車両に設けられた車載装置と通信する複数の路側機と、前記交通信号制御装置及び前記路側機それぞれと通信可能に接続されたサーバと、を備えた交通情報提供システムにおける地域交通情報提供方法であって、
前記交通信号制御装置それぞれが、他の交通信号制御装置から受信した当該他の交差点の交通量をもとに、自交差点の流入路毎の交通量を予測して自交差点の交通信号機を制御するとともに、予測した流入路毎の交通量を前記サーバに送信し、
前記サーバが、前記交通信号制御装置それぞれから受信した各交差点の流入路毎の交通量に基づいて、前記所定地域の地域交通情報を、各交差点それぞれを起点とした各交差点の流入路毎の交通量として算出して、前記路側機それぞれに配信し、
前記路側機が、前記サーバから受信した前記地域交通情報を前記通過車両の前記車載装置に送信する、
地域交通情報提供方法を構成しても良い。
【0007】
この第1の発明等によれば、所定地域の交差点それぞれに設けられた自律分散型の交通信号制御装置において、交通信号機の制御に用いられる流入路毎の予測交通量がサーバに送信され、サーバにおいて、交通信号制御装置それぞれから受信した各交差点の流入路毎の予測交通量地域交通情報に基づいて、所定地域内の地域交通情報が算出される。そして、算出された地域交通情報がサーバから各路側機に配信され、路側機から通過車両の車載装置に地域交通情報が送信される。従って、所定地域の自律分散型の交通信号制御装置が設けられている交差点の全てについての交通量の情報に基づく地域交通情報が提供されるため、きめ細かな交通情報の提供が可能となる。また、自律分散型の交通信号制御装置によって予測される交通量は、例えば数分先までといった近い将来の交通量であるため、車載装置に送信される地域交通情報は、ドライバーにとって有益な情報となり得る。
【0008】
第2の発明として、第1の発明の交通情報提供システムであって、
前記予測手段は、自交差点の各流入路の交通量をレーン毎に予測し、
前記交差点個別交通量送信手段は、前記予測された各流入路それぞれのレーン毎の交通量を前記サーバに送信し、
前記算出手段は、各交差点それぞれを起点とした各交差点の各流入路それぞれのレーン毎の交通量を前記地域交通情報として算出する、
交通情報提供システムを構成しても良い。
【0009】
この第2の発明によれば、交通信号制御装置において各流入路の交通量がレーン毎に予測され、予測された各流入路それぞれのレーン毎の交通量がサーバに送信され、交差点それぞれについて流入路それぞれのレーン毎に予測された交通量が地域交通情報として算出される。このため、きめ細かな交通量の情報の提供が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定地域の交差点それぞれに設けられた自律分散型の交通信号制御装置において、交通信号機の制御に用いられる流入路毎の予測交通量がサーバに送信され、サーバにおいて、交通信号制御装置それぞれから受信した各交差点の流入路毎の予測交通量地域交通情報に基づいて、所定地域内の地域交通情報が算出される。そして、算出された地域交通情報がサーバから各路側機に配信され、路側機から通過車両の車載装置に地域交通情報が送信される。従って、所定地域の自律分散型の交通信号制御装置が設けられている交差点の全てについての交通量の情報に基づく地域交通情報が提供されるため、きめ細かな交通情報の提供が可能となる。また、自律分散型の交通信号制御装置によって予測される交通量は、例えば数分先までといった近い将来の交通量であるため、車載装置に送信される地域交通情報は、ドライバーにとって有益な情報となり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0012】
[構成]
図1は、本実施形態における交通情報提供システム1の配置構成図である。この交通情報提供システム1は、例えば市町村内の一部地域といった比較的狭い範囲を対象とし、対象地域内の交通情報を対象地域内の車両にリアルタイムに提供するためのシステムである。交通情報提供システム1は、対象地域内の交差点それぞれに設けられた交通信号制御装置10と、路側情報サーバ20と、路側に設置された複数の路側機30とから構成される。交通信号制御装置10それぞれと路側情報サーバ20との間は、例えば専用ケーブル等によって通信可能に接続されており、路側情報サーバ20と路側機30それぞれとの間は、例えば特定小電力無線といった無線通信によって通信可能に接続されている。
【0013】
交通信号制御装置10は、隣接交差点の交通信号制御装置10との間で該交差点の交通量の情報を送受信することで、例えば5分以内といった近い将来の自交差点の交通量を予測し、予測した自交差点の交通量をもとに自交差点に設置された交通信号機15の点灯状態を制御する自律分散型の交通信号制御装置である。また、交通信号制御装置10は、信号制御に用いた自交差点の予測した交通量の情報(交差点交通情報)を、随時、路側情報サーバ20に送信する。
【0014】
路側情報サーバ20は、交通信号制御装置10それぞれから受信した該交差点の交通量の情報(以下、「交差点交通情報」という)を集約し、対象地域内の交通情報(以下、「地域交通情報」という)を算出する。そして、この地域交通情報を、所定時間間隔で各路側機30に配信する。
【0015】
路側機30は、路側情報サーバ20から受信した地域交通情報を、最新の情報として記憶する。また、路側機30は、路側に設置されたDSRC(Dedicated Short Range Communication:狭域無線通信)アンテナ33aを有し、そのDSRC通信エリア33b内に進入してきた車両400の車載装置とDSRC通信を行って、記憶している地域交通情報を送信する。すると、その車載装置では、受信した地域交通情報に基づく報知(例えば、画面表示や音声出力)が行われる。
【0016】
図2は、交通情報提供システム1の機能構成図である。同図によれば、交通信号制御装置10は、制御部11と、他の交通信号制御装置10との間の通信を行う信号機間通信部12と、路側情報サーバ20との間の通信を行うサーバ用通信部13と、記憶部14とを有して構成される。
【0017】
制御部11は、CPU等の演算装置で実現され、記憶部14に記憶されているプログラムやデータ、信号機間通信部12やサーバ用通信部13を介して外部装置(主に、他の交通信号制御装置10)から受信したデータ等に基づいて、交通信号制御装置10の全体制御等の各種処理を行う。
【0018】
具体的には、隣接交差点の交通信号制御装置10との間で交通量の情報を送受信することで自交差点の交通量を予測し、自交差点の交通信号機(信号灯器)15の点灯状態を制御する自律分散型の交通信号制御を行う。この自律分散型の交通信号制御は公知であるため、詳細な説明を省略し簡単に説明する。すなわち、隣接交差点の交通信号制御装置10それぞれから受信した予測流出交通量の情報をもとに、例えば数分先までといった近い将来の時間範囲での、自交差点に到着すると予測される交通量を算出する。そして、算出した予測到着交通量をもとに、自交差点の各交通信号機の制御パラメータ(サイクル長やスプリット等)を変更し、変更した制御パラメータに従って自交差点の各交通信号機15を制御する。また、予測到着交通量や信号制御パラメータ等をもとに、自交差点から流出すると予測される交通量や、自交差点に滞留すると予測される交通量を算出する。そして、予測流出交通量を、隣接交差点の交通信号制御装置10それぞれに送信するとともに、予測滞留交通量の情報を、自交差点の交通量の情報(交差点交通情報)として、路側情報サーバ20に送信する。
【0019】
このとき、制御部11は、流入路それぞれについてレーン毎に交通量を予測する。図3は、交通信号制御装置10の制御対象となる交差点の一例を示す図である。同図に示す交差点は、四つの流入路A〜Dから成る十字交差点である。そして、流入路A、Cは、ともに、左折直進レーン、直進レーン及び右折レーンの三つのレーンで構成され、流入路B、Dは、ともに、直進レーンのみの一つのレーンで構成される。
【0020】
流入路に到達した車両は、交差点内を直進、左折或いは右折方向に進行し、当該進行方向に該当する流入路から流出する。流入路に到達した車両が何れの方向に進行するかは、確率的に定められる。例えば、直進方向へ進行する確率(直進率)は「0.7(70%)」、左折方向へ指向する確率(左折率)は「0.1(10%)」、右折方向へ進行する確率(右折率)は「0.2(20%)」である。
【0021】
従って、流入路それぞれについて、該流入路への予測到達交通量を、各方向へ進行する確率に従って、該流入路を構成する各レーンに振り分ける。例えば、図3において、流入路A,Cについては、該流入路への予測到達交通量のうち、左折方向へ進行する交通量は直進左折レーンに割り当て、右折方向に進行する交通量は右折レーンに割り当てる。また、直進方向に進行する交通量は、所定比率に従って、直進左折レーン或いは直進レーンに割り当てる。また、流入路B,Dについては、構成レーンが一つであるので、予測到達交通量は、全てが同一レーンに割り当てられることになる。そして、各レーンについて、直前の時刻における滞留交通量に到着交通量を加算し、更に、該当する進行方向への流出交通量を減算した交通量を、現在時刻における滞留交通量とする。なお、流出交通量は、該流入路に通行権がない時刻においてはゼロとなる。
【0022】
ここで、算出された予測滞留交通量は、予測滞留交通量データ110に格納される。図4に、予測滞留交通量データ110のデータ構成の一例を示す。同図によれば、予測滞留交通量データ110は、予測対象の時間範囲内の時刻111毎に、各レーンの予測滞留台数112を対応付けて格納している。時刻111は、現在時刻tから所定時間後(例えば、5分=300秒)の時刻tまでの、所定時間間隔(例えば、1秒間隔)で連続する時刻である。
【0023】
そして、制御部11は、所定タイミング(例えば、1分毎)で、予測滞留交通量データ110を、自交差点の交通情報(交差点交通情報)として路側情報サーバ20に送信する。
【0024】
記憶部14は、制御部11が交通信号制御装置10を統合的に制御するためのシステムプログラムや、自律分散型の交通信号制御を実現するためのプログラムやデータ等を記憶するとともに、制御部11の作業領域として用いられ、制御部11が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に格納する。この記憶部14は、例えば各種ICメモリやハードディスク、ROM、RAM等の記憶装置で実現される。本実施形態では、記憶部14には、予測滞留交通量データ110が記憶される、
【0025】
図2に戻り、路側情報サーバ20は、制御部21と、交通信号制御装置10との間の通信を行う信号機用通信部22と、路側機30との間の通信を行う路側機用通信部23と、記憶部24とを有して構成される。
【0026】
制御部21は、交通信号制御装置10から受信した該当する交差点の交差点交通情報(予測滞留交通量データ110)を集約し、対象地域内の交通情報(地域交通情報)を算出する。すなわち、交通信号制御装置10から受信した交差点交通情報(予測滞留交通量データ110)を、該当する交差点の最新の情報として、記憶部24の地域交通情報210を更新する。図5に、地域交通情報210のデータ構成の一例を示す。同図によれば、地域交通情報210は、対象地域内の交差点それぞれについての予測滞留交通量データ110を格納している。
【0027】
また、制御部21は、所定の配信タイミング(例えば、5分毎)で、記憶している地域交通情報210を、各路側機30に対して一斉配信する。
【0028】
図2に戻り、路側機30は、制御部31と、路側情報サーバ20との間の通信を行うサーバ用通信部32と、DSRC通信部33と、記憶部34とを有して構成される。
【0029】
制御部31は、路側情報サーバ20から地域交通情報を受信すると、受信した地域交通情報を最新の情報として記憶部34の地域交通情報310として更新する。また、自機のDSRC通信エリア33b内に車両が進入すると、その車両の車載装置40に、記憶している地域交通情報を送信する。
【0030】
DSRC通信部33は、レーンの上方に設置されたDSRCアンテナ33aを有し、そのDSRC通信エリア33b内を通過する車両400の車載装置40との間で、DSRC通信を行う。
【0031】
車載装置40は、制御部41と、路側機30との間でDSRC方式の無線通信を行うDSRC通信部42と、表示部43と、音声出力部44と、記憶部45と、を有して構成される。
【0032】
制御部41は、路側機30のDSRC通信エリア33b内を通過時に、該路側機30から送信される地域交通情報を受信する。そして、受信した地域交通情報に基づく報知を行う。例えば、各交差点の交通量を図示した報知画面を表示部43に表示させたり、或いは、各交差点の交通量を読み上げる報知音声を音声出力部44から出力させる。
【0033】
図6は、報知画面の一例を示す図である。同図によれば、報知画面では、自車両の現在位置を含む所定範囲(例えば、自車両の進行方向にある交差点を多く含むように設定した範囲)の地図上に、自車両の現在位置を示すマーク60が表示されるとともに、該範囲内の交差点の交通量を示すバー70が表示される。バー70は、該当する交差点を起点とし、該当する交通量(予測滞留交通量)に応じた長さで表示される。
【0034】
同図(a)は、流入路を単位とした予測交通量を示す場合の画面例である。この場合、一つの流入路につき一本のバー70aが表示される。このバー70aの長さは、該当する流入路を構成する各レーンの交通量の総和に応じた長さとなる。また、同図(b)は、流入を構成するレーンを単位とした予測交通量を示す場合の画面例である。この場合、一つのレーンにつき一本のバー70bが表示される。バー70bの長さは、該当するレーンの交通量に応じた長さであり、交差点側の端部に付された矢印によって、該当するレーンに割り当てられている進行方向が示されている。なお、同図(a)に示す画面において何れかの交差点を指定することで、同図(b)に示すような該交差点のより詳細な交通量を表示した画面に切り替えることにしても良い。
【0035】
更に、図7に示す二画面表示としても良い。同図では、画面を左右に二分割し、左画面に図6(a)に相当する画面を表示し、右画面に同図(b)に相当する画面を表示している。すなわち、左画面には、複数の交差点を含む広域の交通量として、各交差点について、流入路それぞれの交通量(バー70a)を表示している。そして、右画面には、自車両の進行方向直近の交差点についての詳細な交通量として、該交差点の自車両が到着する流入路について、レーンそれぞれの交通量(バー70b)を表示している。
【0036】
表示部43は、LCD等の表示装置で実現され、制御部41の制御に従って、地域交通情報に基づく報知画面を表示する。音声出力部44は、スピーカ等の音声出力装置で実現され、制御部41の制御に従って、地域交通情報に基づく報知音声を出力する。
【0037】
[処理の流れ]
図8は、交通情報提供処理の流れを説明するフローチャートである。同図において、左側は路側情報サーバ20における処理を示し、右側は路側機30における処理を示している。同図によれば、路側情報サーバ20では、交通信号制御装置10から送信される交差点交通情報(該交差点の予測滞留交通量データ110)を受信すると(ステップA1:YES)、受信した交差点交通情報を該当する交差点の最新の情報として、記憶している地域交通情報210を更新する(ステップA3)。
【0038】
また、予め定められた地域交通情報の配信タイミングとなると(ステップA5:YES)、記憶している地域交通情報210を、路側機30それぞれに配信する(ステップA7)。すると、各路側機30では、路側情報サーバ20から配信される地域交通情報を受信し、受信した地域交通情報を最新の情報として記憶する(ステップB1)。
【0039】
また、路側機30では、自機のDSRC通信エリア33b内に車両が進入してくると(ステップB3:YES)、その車両に搭載されている車載装置40に、記憶している地域交通情報を送信する(ステップB5)。すると、該車載装置40では、受信した地域交通情報に基づく所定の報知が行われる。
【0040】
[作用・効果]
このように、本実施形態によれば、地域内の交差点それぞれに設けられた自律分散型の交通信号制御装置10と、路側情報サーバ20と、複数の路側機30とを備える交通情報提供システム1では、各交通信号制御装置10において算出された該交差点の各流入路の予測滞留交通量が、該交差点の交通情報(交差点交通情報)として路側情報サーバ20に送信される。路側情報サーバ20では、各交通信号制御装置10から受信した各交差点の交差点交通情報を集約して地域交通情報を算出し、算出した地域交通情報を各路側機30に配信する。路側機30は、受信した地域交通情報を、DSRC通信エリア33bを通過した車両400の車載装置に送信する。つまり、対象地域の自律分散型の交通信号制御装置10が設けられている交差点の全てについての交通量を集約した地域交通情報が、該対象地域内を走行する車両400の車載装置40に送信されるため、ドライバーに対するきめ細かな交通情報の提供が可能となる。また、自律分散型の交通信号制御装置10によって予測される交通量は、例えば数分先までといった近い将来の交通量であるため、車載装置40に送信される地域交通情報は、ドライバーにとって有益な情報となり得る。
【0041】
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】交通情報提供システムの配置構成図。
【図2】交通情報提供システムの機能構成図。
【図3】交差点の一例。
【図4】予測滞留交通量のデータ構成例。
【図5】地域交通情報のデータ構成例。
【図6】車載装置における地域交通情報の報知画面の一例。
【図7】車載装置における地域交通情報の報知画面の他の例。
【図8】交通情報提供処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
1 交通情報提供システム
10 交通信号制御装置、15 交通信号機
20 路側情報サーバ
30 路側機、33a DSRCアンテナ、33b DSRC通信エリア
40 車載装置、400車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定地域の交差点それぞれに設けられ、互いに交通量の情報を送受信して自交差点の交通信号機を制御する自律分散型の交通信号制御装置と、路側に設置され、通過車両に設けられた車載装置と無線通信を行う複数の路側機と、前記交通信号制御装置及び前記路側機それぞれと通信可能に接続されたサーバと、を備えた交通情報提供システムであって、
前記交通信号制御装置それぞれは、
他の交通信号制御装置から受信した当該他の交差点の交通量をもとに、自交差点の流入路毎の交通量を予測する予測手段と、
前記予測された流入路毎の交通量をもとに、自交差点の交通信号機を制御する信号制御手段と、
前記予測された流入路毎の交通量を前記サーバに送信する交差点個別交通量送信手段と、
を有し、
前記サーバは、
前記交通信号制御装置それぞれから受信した各交差点の流入路毎の交通量に基づいて、前記所定地域の地域交通情報を、各交差点それぞれを起点とした各交差点の流入路毎の交通量として算出する算出手段と、
前記算出された前記地域交通情報を前記路側機それぞれに配信する配信手段と、
を有し、
前記路側機は、
前記サーバから受信した前記地域交通情報を前記通過車両の前記車載装置に送信する地域交通情報送信手段、
を有する、
交通情報提供システム。
【請求項2】
前記予測手段は、自交差点の各流入路の交通量をレーン毎に予測し、
前記交差点個別交通量送信手段は、前記予測された各流入路それぞれのレーン毎の交通量を前記サーバに送信し、
前記算出手段は、各交差点それぞれを起点とした各交差点の各流入路それぞれのレーン毎の交通量を前記地域交通情報として算出する、
請求項1に記載の交通情報提供システム。
【請求項3】
所定地域の交差点それぞれに設けられ、互いに交通量の情報を送受信して自交差点の交通信号機を制御する自律分散型の交通信号制御装置と、路側に設置され、通過車両に設けられた車載装置と通信する複数の路側機と、前記交通信号制御装置及び前記路側機それぞれと通信可能に接続されたサーバと、を備えた交通情報提供システムにおける地域交通情報提供方法であって、
前記交通信号制御装置それぞれが、他の交通信号制御装置から受信した当該他の交差点の交通量をもとに、自交差点の流入路毎の交通量を予測して自交差点の交通信号機を制御するとともに、予測した流入路毎の交通量を前記サーバに送信し、
前記サーバが、前記交通信号制御装置それぞれから受信した各交差点の流入路毎の交通量に基づいて、前記所定地域の地域交通情報を、各交差点それぞれを起点とした各交差点の流入路毎の交通量として算出して、前記路側機それぞれに配信し、
前記路側機が、前記サーバから受信した前記地域交通情報を前記通過車両の前記車載装置に送信する、
地域交通情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−61335(P2010−61335A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225543(P2008−225543)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001292)株式会社京三製作所 (324)
【Fターム(参考)】