説明

交通違反警告装置及びシステム

【課題】運転初心者や高齢者等の交通違反、交通事故を防止する。
【解決手段】自動車20の走行に関する規制情報を取り込むためのテレビカメラ22又は規制情報受信器52及び規制情報取込部32と、自動車の走行状態を検出する走行状態検出部34と、検出した走行状態が規制に違反しているか、又は、違反する見込みがあるときは、運転者に警告するための交通違反検出部36及び警報器40を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通違反警告装置及びシステムに係り、特に、運転初心者や高齢者等が見落とし易い規制標識を確実に認識することができ、交通違反や交通事故防止に有効な交通違反警告装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
路面に書かれた道路標識や道路周辺に配置された交通標識を運転者が確認する従来の方法では、路面に書かれた速度表示や交通標識を運転者が見落として、速度超過や禁止された進路変更、右・左折、追越等を行なってしまうことがある。特に運転初心者や高齢者は、「ついうっかり」が多く、他の車両や歩行者だけでなく、道路標識や交通標識にも十分注意して運転しないと交通事故となる場合もある。又、初心者や若者は、速度超過によりカーブ等でバランスを崩して、事故になるケースも考えられるが、現状は、その場その場に適した速度で走る方法はない。一般道では、制限速度が20から60kmと相当変化しており、初心者や高齢者にとっては、交通違反やこれによる交通事故防止は重要課題である。特に近年は、高齢者の標識見落としによる高速道路の逆走事故が社会問題化しつつある。
【0003】
従って、自動車の運転に不慣れで周囲の規制標識を見落とし易い初心者、注意力が不足気味な若者や認識能力が低下している老人が、交通違反や交通事故を起こすのを防止するシステムが望まれている。
【0004】
このような目的で、特許文献1には、道路脇に制限速度情報を含む電波を発信する装置を配置し、その情報を受信した車両を制限速度超過時に強制的に減速させる速度制御システムが提案されている。
【0005】
又、特許文献2には、速度制限指令信号及び交通信号を自動車に発信する手段と、自動車側でその情報を受信する手段と、走行速度制御手段と、警告表示手段等を有する自動車速度制御装置が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−50595号公報
【特許文献2】特開平5−135298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1は制限速度情報、特許文献2は制限速度情報と交通信号に基づいて車両を減速させたり、運転者に警告を与えるのみであり、それ以外の情報については考慮されていなかった。又、いずれにしても速度制限情報や交通信号情報を自動車に送信する手段が必要であり、現在のインフラストラクチャでは対応できないという問題点を有していた。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、現在のインフラストラクチャを利用して、運転者に制限速度や交通信号以外の情報も含む各種規制情報に関する警告を与えることが可能な交通違反警告装置を提供することを第1の課題とする。
【0009】
本発明は、又、必要なインフラストラクチャを追加して、運転者に確実に警告を与えることが可能な交通違反警告システムを提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、自動車の走行に関する規制情報を取り込む手段と、自動車の走行状態を検出する手段と、検出した走行状態が規制に違反しているか、又は、違反する見込みがある時は、運転者に警告する手段と、を備えたことを特徴とする交通違反警告装置により、前記第1の課題を解決したものである。
【0011】
又、前記警告を解除する手段を更に備えることにより、熟練運転者や通り慣れた道での必要以上の警告が与えられるのを防止して、警告が必要な運転者のみに的確に与えられるようにしたものである。
【0012】
本発明は、又、道路上又は周辺に配設された、自動車の走行に関する規制情報を発信する装置と、自動車に搭載された、前記の交通違反警告装置と、を備えたことを特徴とする交通違反警告システムにより、前記第2の課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る交通違反警告装置によれば、自動車に配設したテレビカメラ等を用いて、自動車の走行に関する規制情報を自動車自らが取り込むことにより、現在のインフラストラクチャのままで、現在の走行状態が規制に違反しているか、又は、違反する見込みがあることを運転者に警告することができる。従って、運転初心者や、不慣れな道を運転する運転者、注意力の低下した高齢者等のの交通違反を防止して、交通事故を防ぐことができる。
【0014】
特に、道路上又は周辺に規制情報を発信する装置を設けた場合には、該規制情報を取り込む手段を自動車側に設けることにより、規制情報を確実に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
本発明の第1実施形態は、自動車に搭載される交通違反警告装置に関するもので、図1(全体図)及び図2(詳細図)に示す如く、道路10上又は周辺に配設された、制限速度、進入禁止、右・左折禁止、レーン変更禁止、追越禁止等の道路標識11や交通標識12を撮像するためのテレビ(TV)カメラ22と、該テレビカメラ22の画像を処理して、自動車の走行に関する規制情報を取り込むための規制情報取込部32、例えば車速センサ24、舵角センサ26、ブレーキスイッチ28、GPSセンサ29等の出力に基づいて、自動車20の走行状態(車速、右・左折のウィンカの操作状態、ステアリングの操作状態、ブレーキの操作状態、走行位置等)を検出する走行状態検出部34、自動車の現在の走行状態が規制に違反しているか、又は、現在の走行状態を続けると違反する見込みがあるか判定する交通違反検出部36を含む車載コンピュータ30と、該車載コンピュータ30の交通違反検出部36から警報信号が出力されたときに、例えばランプを点灯したり警告音を発信する、例えばインストルメントパネルに設けられた警報器40と、前記警告を手動で解除するための警告解除スイッチ(SW)42とを備えている。
【0017】
前記テレビカメラ22としては、道路/交通標識認識専用のテレビカメラを車両前部に設けたり、あるいは、交通事故記録用にフロントガラスとバックミラーの間に設けられる予定の交通事故監視カメラを利用したり、車両前部のフロントグリルに埋め込まれている直近監視用カメラを利用して、道路標識11や交通標識12を撮像するように構成することができる。
【0018】
前記車載コンピュータ30の規制情報取込部32は、例えばパターン認識の手法を用いて、道路標識11や交通標識12の内容を認識する。
【0019】
そして、自動車の現在の走行状態が規制に違反しているか、又は、現在の走行状態を続けると違反する見込みがあると判定された時は、警報器40を作動させて、運転者に警告を与える。
【0020】
本実施形態においては、既にある道路標識11や交通標識12を利用するようにしているので、現在のインフラストラクチャをそのまま利用して、交通違反を警告し、交通事故を未然に防止することが可能となる。
【0021】
特に自動車の走行位置を認識するGPS装置と併用した場合には、より的確な警告が可能となる。
【0022】
なお、第1実施形態では、交通標識を見逃す可能性が皆無とは言えないので、次に、この点を解決した本発明の第2実施形態を図3に示す。
【0023】
本実施形態は、第1実施形態の道路標識11や交通標識12の代わりに、自動車の走行に関する規制情報を発信する発信器50を道路10上又は周辺に配設すると共に、第1実施形態のテレビカメラ22の代わりに規制情報受信器52を自動車20側に設けたものである。
【0024】
前記規制情報発信器50は、従来の交通標識12と別に設けたり、あるいは道路10や交通標識12内に埋め込んだり、交通標識12と同じポールに設置することが可能である。
【0025】
前記規制情報発信器50及び受信器52は、例えば無線LANの技術を用いて、オンオフ時間によりコード化した赤外光の点滅により規制情報を送受信することができる。なお、光を用いる場合、人間の目に見えない赤外光を用いることが好ましいが、光以外に、電波、無線、音や電磁/静電誘導等を用いることもできる。
【0026】
又、規制情報としては、従来の道路標識や交通標識による規制情報だけでなく、小型・大型・バス等の車種による規制の違い(大型規制、バスレーン等)、夜間、朝方等の時間による規制の違い、混雑時、通常時等による規制の違いを含めることができる。
【0027】
この第2実施形態によれば、小型、大型等の車種により異なる運転補助が可能である。又、特に夜間は視野が制限されるので、情報も参考レベルで重要である。又、朝方に違反が多くなるので、自動速度監視機能が有効である。又、障害物の多い街中では、混雑を緩和する必要があり、昼間の通常時でも、暴走運転は避けるべきであるので、有効である。
【0028】
なお、前記実施形態においては、いずれも、警告スイッチ42を設けているので、走り慣れている道や運転熟練者等で十分に余裕がある場合に、不要な警告を運転者に与えて運転者の注意力を削ぐことがないようにすることができ、運転者のレベルに対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る交通違反警告装置の全体構成を示す平面図
【図2】同じく詳細構成を示すブロック図
【図3】本発明の第2実施形態に係る交通違反警告システムを示す平面図
【符号の説明】
【0030】
10…道路
11…道路標識
12…交通標識
20…自動車
22…テレビカメラ
30…車載コンピュータ
32…規制情報取込部
34…走行状態検出部
36…交通違反検出部
40…警報器
42…警告解除スイッチ
50…規制情報発信器
52…規制情報受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の走行に関する規制情報を取り込む手段と、
自動車の走行状態を検出する手段と、
検出した走行状態が規制に違反しているか、又は、違反する見込みがある時は、運転者に警告する手段と、
を備えたことを特徴とする交通違反警告装置。
【請求項2】
前記警告を解除する手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の交通違反警告装置。
【請求項3】
道路上又は周辺に配設された、自動車の走行に関する規制情報を発信する装置と、
自動車に搭載された、請求項1又は2に記載の交通違反警告装置と、
を備えたことを特徴とする交通違反警告システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−277376(P2006−277376A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95956(P2005−95956)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】