人体検出装置及びそれを用いた水栓装置
【課題】 光電センサと静電容量センサを組み合わせることで、人体検出装置の信頼性、機能を高めることができるが、センサのコスト、大きさが2倍必要となる。
【解決手段】 本発明では、人体に対して赤外光を投光する投光手段と、投光手段にパルス投光を指令するパルス出力手段と、人体からの反射光を受光しその受光量を電圧に変換して出力する受光手段と、受光手段の出力を増幅する増幅手段と、増幅手段の出力を積分する積分手段と、積分手段の出力に応じて人体の有無を検出する人体検出装置において、前記パルス出力手段に接続され人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、送信電極と近接して配置され静電結合される受信電極とを有するとともに、受信電極からの誘導電圧出力を増幅手段に入力し、増幅手段の出力を積分手段で積分しその出力に応じて送信電極又は受信電極への人体の近接を検出する。
【解決手段】 本発明では、人体に対して赤外光を投光する投光手段と、投光手段にパルス投光を指令するパルス出力手段と、人体からの反射光を受光しその受光量を電圧に変換して出力する受光手段と、受光手段の出力を増幅する増幅手段と、増幅手段の出力を積分する積分手段と、積分手段の出力に応じて人体の有無を検出する人体検出装置において、前記パルス出力手段に接続され人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、送信電極と近接して配置され静電結合される受信電極とを有するとともに、受信電極からの誘導電圧出力を増幅手段に入力し、増幅手段の出力を積分手段で積分しその出力に応じて送信電極又は受信電極への人体の近接を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の接触(近接を含む)検知又は非接触(検知領域内の人体の有無)検知により機器の制御を行うための、人体検出装置に係わる。
例えば、本人体検出装置を利用したキッチンや洗面室、浴室、トイレ等に設置される水栓装置において、非接触操作による自動吐水と、タッチ操作による手動吐水を併用することができる水栓装置を小型かつ安価で提供する。
【背景技術】
【0002】
ある機器に対して、その使用者である人体の接触または非接触の操作によって制御を行うものは多数存在する。
例えば、非接触方式の操作の代表例として、水栓の前に手を差し出すだけで吐水/止水の自動制御を行う自動水栓がある。自動水栓の検出手段の多くは、赤外線を発光し、使用者の手からの反射光を検出する光電センサ方式であるり、特にトイレの手洗い用途で一般的となっている。
【0003】
光電センサ以外にも、非接触方式のセンサとして、超音波や電波を使う方式も可能であるが、センサ部分の小型化、防水性、コスト等の理由で、自動水栓を含めて、機器に対する使用者の非接触検出方法として、赤外線を用いた光電センサが最も普及している。
【0004】
また、非接触でなく、使用者による接触による操作には、いわゆる「タッチスイッチ」と呼ばれるものがあり、その検出手段には静電容量センサが使われることが多い。
【0005】
タッチスイッチとして用いられる静電容量センサは、機器の操作部に検出電極を設置し、この電極と大地との間の静電容量を検出する回路を有する。電極は、操作面に露出させても良いし、樹脂やガラスなど誘電体である外装部材で覆っても良い。
そして、使用者が操作部の電極に指で触れたとき、或いは電極に接近したときの、電極と大地との間の静電容量が変化することを検出して、指先のタッチ操作を判定する。
【0006】
タッチスイッチの他の検出方法として、抵抗膜式、超音波式、光電式、振動式などの方式のセンサもあるが、前述のように電極と検出回路だけで構成でき、可動部が不要で耐久性に優れ、電極を隠すこともできるのでデザインの自由度が高い、等の理由で静電容量センサが広く普及している。
【0007】
光電センサを用いた自動水栓の構造として、特許文献1のようなものがある。光電センサは、放射した赤外光の反射光を検出するため、検出体がセンサに近づくほど大きな出力が得られる。そこで、自動水栓の先端の吐水口部分に光電センサを設置する特許文献1の構造が優れている。
【0008】
また、水栓装置に静電容量センサを適用した例として、特許文献2、または3のようなものがある。
特許文献2のものは、静電容量センサーに触れると吐水し、再度触れると止水する制御を想定している(特許文献2の段落[0011]に記載)。特許文献3のものは、静電容量センサーに触れている間だけ吐水するものである(特許文献3の段落[0006]に記載)。
【0009】
特許文献1の自動水栓は、手を差し出すだけで吐水/止水を行う、「非接触操作」による「自動吐水」の制御であるのに対し、特許文献2及び3は、触れるという行為が必要な、「接触操作」による「手動吐水」の制御とみなすことができる。そして、これらを併用した場合、更に利便性が向上することが予想される。
【0010】
例えば、水栓装置に、非接触式の光電センサと接触式の静電容量センサを同時に適用した場合、光電センサによって、手を差し出すだけで吐水/止水を行う「自動吐水」の制御が、静電容量センサによって、触れる度に吐水/止水を行う「手動吐水」の制御の、両方が可能な水栓装置となる。
【0011】
この「自動吐水」と「手動吐水」を組み合わせた水栓装置を考えると、例えば、手洗いの際は、光電センサの「自動吐水」により水栓に触れることなく吐水/止水ができ、歯磨きや水溜め等の際は、静電容量センサに触れることによる「手動吐水」で任意に吐水/止水ができ、トイレの手洗いに限らず、洗面所、浴室、キッチン等の多様な使い方に対応できるようになる。
つまり、光電センサと静電容量センサを併用することで、水栓装置の使い勝手が向上し、単なる「自動吐水」と「手動吐水」の機能の加算となるだけでなく、水栓として新たな用途を提供できる可能性がある。
【0012】
また、光電センサと静電容量センサを併用した例として、特許文献4、5のようなものがある。
特許文献4は、赤外線を使って指先による座標入力を行う装置において、鉛筆や紙屑による誤動作を、静電容量の検出を併用することで解決しようとするものである(段落[0009])。
特許文献5は、人以外によるスイッチの不正な操作を防止するため、光電センサを含むいくつかの手法のスイッチ出力と、人体を検出する静電容量センサの出力のAND条件で動作するスイッチである(図8および段落[0047])。
【0013】
特許文献4及び5のいずれも、光電センサと静電容量センサの両方が反応した場合というAND条件で判定することで、検出の信頼性を上げることを特徴としている。これは、光電センサまたは静電容量センサが、それぞれ単独では確実に検出できない場合があるため、検出原理の異なるセンサを組み合わせて、相補的に機能させる目的である。
【特許文献1】特開2002−70096号公報
【特許文献2】特開2003−105817号公報
【特許文献3】特開平5−285056号公報
【特許文献4】特開平5−160702号公報
【特許文献5】特開2005−12253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述の特許文献4乃至5のように、光電センサと静電容量センサの両方の機能を有することで、両方のセンサの出力を用いて判定し、検出精度の向上を図っているものもある。
【0015】
しかし、機器に2つのセンサを組み込むことで機器の検出精度を向上することは分かっているにも関わらず、実際には、全く検出方式の異なる2つのセンサを組み込まなければならないので、機器の小型化が要求される今日ではあまり製品化はされていなかった。
【0016】
さて、光電センサと静電容量センサの検出方式の違いを回路的に比較すると、光電センサは、人体からの反射光を検出する。通常、反射光は赤外受光素子であるフォトダイオードやフォトトランジスタによって光を電流に変換し、その電流をもとに反射光量を検出して人体の有無を判定する。つまり、光を電流に変換し、その光量の大小を判断する回路である。
【0017】
一方の静電容量センサは、検出電極と大地との間の静電容量を測定するが、電気回路として見ると、一般にコンデンサ結合と言われる状態の容量変化を検出するものである。
【0018】
静電容量センサの検出回路の方式は、以前は、LCRの共振回路の中のCの部分に検出容量を組み入れて、共振回路の発振周波数の変化を検出するものが多かった。
【0019】
最近は、IC技術が進歩したこともあり、例えば特許文献3のように、一方の電極(同文献、図1の1)にパルス電圧を与え、静電結合したもう一方の電極(同文献、図1の11)で電圧信号を検出し、その信号の振幅や位相(遅れ)などで人体の有無を判断する方式もある。
【0020】
このように、過去と最近で検出方式に多少の違いはあるが、いずれの方式も、検出したい静電容量を回路の中に組み入れ、回路内の信号の周波数、位相、振幅などの状態変化を検出する方式である。
【0021】
つまり、光電と静電容量のいずれのセンサも、さまざまな検出方式が実用化されているが、検出する物理量が、「赤外光の光量」と「静電誘導による結合容量」と、全く異なる性質のものであるため、検出回路もそれぞれに専用設計されたものしかなく、光電と静電容量の2つの方式で検出するには、2つの専用の検出回路が必要であった。
【0022】
この結果、このような光電センサと静電容量センサとの検出回路を共用化してセンサを小型化することは、検出回路方式の違いのために難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、人体に対して赤外光を投光する投光手段と、前記投光手段にパルス投光を指令するパルス出力手段と、人体からの反射光を受光しその受光量を電圧に変換して出力する受光手段と、前記受光手段の出力を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力を積分する積分手段と、積分手段の出力に応じて人体の有無を検出する人体検出装置において、前記パルス出力手段に接続され人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、前記送信電極と近接して配置され静電結合される受信電極と、を有するとともに、前記受信電極からの誘導電圧出力を前記増幅手段に入力し、前記増幅手段の出力を前記積分手段で積分しその出力に応じて前記送信電極又は前記受信電極への人体の近接を検出することを特徴とする。
その結果、赤外パルス投光を指令するパルス出力手段と、その反射光量を増幅し積分する回路を用いて、人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、これと静電結合される受信電極との間の静電容量の変化を検出することで、光電センサと信号処理回路の大部分を共用する静電容量センサを構成でき、人体検出装置の小型化が実現できる。
【0024】
また、請求項2記載の発明によれば
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受信電極を第1のコンデンサを介してGNDまたは所定の固定電位に接続し、前記受信電極と前記第1のコンデンサの接続点から前記増幅手段へ信号を入力することを特徴とする。
その結果、静電容量検出時において、増幅手段の入力及びその周辺の浮遊容量の影響を除去し、かつ、微小容量のため出力インピーダンスが高い受信電極と、それに比較すると一般に入力インピーダンスが低い増幅手段とのインピーダンスマッチングも取りやすくなるので、光電センサに適した特性の増幅回路をそのまま静電容量センサにも使用でき、回路の大部分を共用しつつ、人体検出装置の検出精度が向上する。
【0025】
また、請求項3記載の発明によれば
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に、前記受信電極を接続することを特徴とする。
その結果、光電センサに使用する信号伝達用のコンデンサを用いて静電容量センサの浮遊容量の影響を低減できるので、部品点数が低減でき小型化できる。
【0026】
また、請求項4記載の発明によれば
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記増幅手段の入力先の接続を前記受光手段または前記受信電極に切り替える入力選択手段と、を有し、前記入力選択手段による入力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする。
その結果、出力部が光電センサと静電容量センサと機能を有する回路を有していても、入力部のみの切替え、つまり、入力部のみの選択部品とその制御だけで光電と静電容量の変化を個別に測定でき、光電センサと静電容量センサの信号が影響しあう事がなくなり、それぞれの感知判断を個別にできるので、高精度かつ高度な判断ができる。
【0027】
また、請求項5記載の発明によれば
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス出力手段の出力先の接続を、前記投光手段または前記送信電極に切り替える出力選択手段と、を有し前記出力選択手段による出力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする。
その結果、入力部が光電センサと静電容量センサと機能を有する回路を有していても、出力部のみの切替えにより光電と静電容量を選択するので消費電量を低減でき、またその出力変化を個別に測定できる。よって、出力部のみの選択部品とその制御だけで光電と静電容量の変化を個別に測定でき、かつ、投光電流による消費電力の低減もできる。
【0028】
また、請求項6記載の発明によれば
請求項4又は5に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時は、前記送信電極又は前記受信電極のうち少なくとも1つをGNDまたは所定の固定電位に接続することを特徴とする。
その結果、送受信電極が光電センサのシールド機能も果たすので、光電センサ用のシールドが不要、もしくは小型化でき、人体検出装置の検出精度も向上する。
【0029】
また、請求項7記載の発明によれば
請求項4乃至6のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス信号に同期して積分を行う積分回数が、前記光電センサモードと前記静電容量センサモードで異なることを特徴とする。
その結果、検出方式が大きく異なる2つのセンサモードの感度調整が個別に最適に調整することが可能となる。
【0030】
また、請求項8記載の発明によれば
請求項7に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時よりも前記静電容量センサモード時の方が、前記積分回数が多いことを特徴とする。
その結果、赤外光の投光で電力を消費する光電センサの消費電力を抑え、ノイズの影響を受けやすい静電容量センサの検出精度を上げることができるので、2つの機能をもつ人体検出装置それぞれの機能を最適化できる。
【0031】
また、請求項9記載の発明によれば
請求項4乃至8のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記受光手段は前記受光量を電圧に変換する受光感度を変更する機能を有し、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に前記受信電極を接続し、前記静電容量センサモード時は、前記受光手段の受光感度を最小の設定とすることを特徴とする。
その結果、光電センサに使用するコンデンサを用いて静電容量センサの浮遊容量の影響を除去できると同時に、静電センサ動作時に受光手段に入る外乱光の影響を除去できるので、人体検出装置の検出精度が向上する。
【0032】
また、請求項10記載の発明によれば
水栓装置が請求項1乃至9のいずれか1つに記載の人体検出装置を有することを特徴とする。
その結果、小型化を要求される水栓装置において、光電センサと静電容量センサをより小型かつ安価に組み込むことができ、両方のセンサを使って高信頼性かつ高機能の水栓装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、光電センサと静電容量センサの検出回路を共用化することができ、センサを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、光電センサと静電容量センサの、両方の方式のセンシングが可能な検出回路を備えた水栓装置の制御手段の回路図である。
図2は、図1の制御手段を有する水栓装置の外観の例であり、図3はその水栓装置に収納されるセンサ部の外観図である。
【0036】
図1において、1は赤外光を発光する投光素子であり、トランジスタ4と電流制限抵抗3と共に投光素子1にパルス状の投光電流を流す、光電センサの投光手段を構成する。
また、101は、静電容量センサの送信電極である。5はアナログスイッチであり、制御手段22から出力される送信信号S2を、投光手段または送信電極101のいずれかに出力する出力選択手段である。この選択は、光電または静電容量のセンサの選択信号であるS4によって制御される。
【0037】
抵抗7とOPアンプ6は光電センサの受光手段を構成し、受光素子2が、その受光量に比例して発生する光電流を電圧に変換する。この受光手段や、後述する増幅手段等の基準となる電位を出力するのが基準電圧源24である。
また、102は静電容量センサの受信電極であり、コンデンサ103を介して固定電位であるGNDに接続されている。
【0038】
アナログスイッチ8は光電センサまたは静電容量センサの入力を選択する手段であり、一方の選択は受光手段のOPアンプ6の出力をコンデンサ9を介して入力され、もう一方の選択は、受信電極102とコンデンサ103の接続点が入力される。
また、アナログスイッチ8もアナログスイッチ5と同じく、信号S4によって制御され、選択された入力信号が、抵抗10、11及びOPアンプ12からなる増幅手段に入力される。
【0039】
以上説明した、投光素子1及び受光素子2と、送信電極101と受信電極102は、例えば図3のセンサ部のような構造で配置される。
図3において、205がセンサ部のセンサケースであり、外形は図2の水栓装置のデザインに合わせた円筒状である。その円筒の側面に光電センサの投光素子1及び受光素子2、円筒型ケースの上面に静電容量センサの送信電極101と受信電極102が配置され、更に図2のように水栓装置に収納される。
【0040】
図2において、201は水栓装置本体、202は光電センサの赤外光を透過するセンサ窓、203は金属製のタッチ操作部、204は吐水口、205は図3に示したセンサ部である。この水栓装置の動作は後に説明する。
【0041】
図1の説明に戻り、増幅手段の出力は、抵抗13、14及びOPアンプ15からなる反転手段に入力される。反転手段の入出力では、信号振幅は等しく、その極性が反転する。
更に、増幅手段の出力がアナログスイッチ16を介して、また、反転手段の出力がアナログスイッチ17を介して積分手段に入力される。なお、アナログスイッチ16及び17はそれぞれ、制御手段22から出力されるタイミング信号S2及びS3により、オン/オフされる。
【0042】
積分手段は、抵抗18とコンデンサ19、OPアンプ20により構成される。また21は、制御手段22が出力するタイミング信号S1によりオン/オフするアナログスイッチであり、コンデンサ19の放電、すなわち積分手段のリセットを行う。
【0043】
制御手段22により信号S1乃至S3を制御し、投光のタイミングと積分のタイミングを同期させることにより効果的な信号の積分とノイズ除去を行うことができる。従来から知られているこの光電センサの動作を図4のタイミングチャートを用いて説明する。
【0044】
まずパルス投光を行う前に、図4のT0のタイミングから所定時間、信号S1によってアナログスイッチ21をオンし、コンデンサ19を放電、すなわち積分手段をリセットする。この状態の積分手段の出力電圧(OPアンプ20の出力)が基準(反射信号のゼロ位置)となる。
【0045】
なお、この時、センサの選択信号であるS4は図4においてはHiレベルとなっていて、図1のアナログスイッチ5は、信号S2を投光手段のトランジスタ4へ出力するよう選択されている。また、アナログスイッチ8は受光手段のOPアンプ6の出力をコンデンサ9を介して抵抗10以降の増幅手段へ接続する状態となっている。
【0046】
T1のタイミングで信号S2がHi出力されトランジスタ4がオンして、投光素子1が赤外光を検出体に向け投光する。すなわち、信号S2は投光手段にパルス投光を指令するパルス信号である。これと同時にアナログスイッチ16がオンし、投光素子1の投光に同期して、検出体からの反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段で積分する。
【0047】
T2のタイミングで信号S2がLo(オフ)となり、信号S3がHi(オン)となってアナログスイッチ17がオンする。ここでは、投光素子1が投光していない状態の受信信号を、反転手段によって極性を反転させて積分手段で積分する。T3のタイミングでは、再び信号S2がオン、信号S3がオフして、T1〜T3のタイミングの動作を繰り返す。なお、T1〜T2とT2〜T3の時間間隔は、同じ時間幅である。
【0048】
このT1〜T3の積分の動作は、信号の積分という信号蓄積作用だけでなく、ノイズ除去効果を持っている。つまりノイズとなる信号の周波数が、T1〜T3の時間を1周期とする周波数に一致しなければ、T1〜T2の期間とT2〜T3の期間で積分量が相殺され、ノイズは低減される。よって、T1〜T3の動作だけで、ひとつのノイズ除去積分動作と言うことができる。そして、図4のT9のタイミングまで、同一の積分動作を4回繰り返す。
【0049】
以上説明したように、投光素子1のパルス投光に同期して増幅手段出力を積分することにより、積分手段出力は、パルス投光の回数に比例した信号量を出力する。また、増幅手段出力と反転手段出力を同じ時間、同じ回数だけ積分することにより、パルス投光に同期しない成分、つまり、蛍光灯など、光電センサの動作環境に存在するノイズを打ち消すことができる。こうして、投光と積分動作を繰り返すことで、反射信号量(積分手段出力)は大きくなり、ノイズ成分は小さくなって光電センサのS/N比が向上する。
【0050】
なお、この投光および積分回数に制約はないが、回数が多いほど、信号量とノイズ除去性能が向上する。言い換えれば、この回数が多いほど、検出感度とS/N比が向上する。一方で、この回数が多いほど、投光や受光回路の電力消費は増大する。
【0051】
以上は良く知られた、光電センサの同期積分の動作である。次に、静電容量センサとしての動作を図5のタイミングチャートを用いて説明する。
【0052】
図1および図5において、選択信号S4がLoレベルとなって、アナログスイッチ5が信号S2の信号を送信電極101へ出力するよう選択されているものとする。
更に、アナログスイッチ8は、受信電極102とコンデンサ103の接続点の電圧を抵抗10以降の増幅回路に接続している。
【0053】
信号S2の電圧は、Hi/Loレベルがディジタル的に切り替わるパルス信号であるが、一般的なCMOS回路を使用した場合、電源電圧であるVDDとGNDの0Vとが切り替わるパルス信号となる。電源電圧VDDが3Vならば、信号S2は、電圧が3Vと0Vが切り替わるパルス出力となり、送信電極101に印加される。
図4の光電センサ動作の場合、送信信号は投光素子1の投光電流であったが、図5の静電容量センサ動作の場合、送信信号は送信電極101の電圧となる。但し、いずれの送信信号も、パルス出力信号のS2と同意である。
【0054】
送信電極101と受信電極102は、その物理的な面積、距離、間に存在する物質の誘電率によって決まる、ある量の静電結合を有する。そして、送信電極101の電位変化は、この静電結合によって受信電極102の電位変化を誘起する。この様子を、図1のように、送信電極101から受信電極102へ向かう電気力線で表現することができる。
【0055】
図5において、受信信号となる受信電極102の電位には、送信電極101の電位変化にある割合を掛けた電位変化が生じる。この作用は、図6のように考えることができる。
図6は、図1の送受信電極と増幅手段周辺の部分を抜き出したものである。
【0056】
図6において、信号S2は送信電極101に繋がっている。その送信電極101と受信電極102はコンデンサを形成し、これがコンデンサ103を介して固定電位であるGNDに繋がっている。つまり、信号S2の電位変化は、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサと、コンデンサ103の直列回路に印加される。
【0057】
コンデンサの直列回路に電圧を印加した場合、各コンデンサにかかる電圧はその静電容量に反比例する。つまり、静電容量に反比例した比率に分圧される。これは物理の基本事項である。
ここで、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサの静電容量をC1、コンデンサ103の静電容量をC2とすると、その接続点にかかる電圧は、送信電極101に印加される電圧の[C1/(C1+C2)]倍に分圧される。
【0058】
仮にC1=1pF、C2=1000pFとすれば、送信電極101に印加される電位、すなわち信号S2の電位の約1000分の1倍となった電圧が抵抗10以下の増幅回路に入力される。このように、コンデンサ103によって非常に僅かな電位変化となるまで分圧され、それを増幅後に積分手段へと信号が伝達され、光電センサとして動作する場合と同様に同期積分が行われる。
【0059】
しかし、この同期積分動作は、前述のように、積分回数が多いほど、信号量とノイズ除去性能が向上し、検出感度とS/N比が向上する。そこで図5のように、積分回数を増やせば、それだけ積分される信号量が増え、ノイズは低減する。つまり、光電センサの動作の時に比較して、受信信号が小さくとも、積分回数を増やすことで十分な信号量とS/N比を確保できる。
【0060】
図5では、積分回数を8回としているが、それ以上の16回、32回、64回でも良い。これは以下の理由による。
光電センサの場合、積分動作の回数だけ投光素子1に電流を流すため、その消費電力や投光素子1の劣化の観点から、積分回数があまり多いのは望ましくない。しかし、静電容量センサの場合、送受信電極の劣化はなく、送信電極へ流れる電流も、投光素子1に流れる電流に比較すればゼロと見なしても良い。
よって、積分動作に伴う部品の劣化はなく、消費電力の増加も僅かであるため、静電容量センサとして動作する場合には積分回数を増やすことの弊害は殆ど無い。
【0061】
こうして、コンデンサ103によって分圧されて非常に小さくなってしまった信号も、図5のように、積分動作を数多く繰り返すことにより、十分な積分の信号量として検出可能となる。
更に、コンデンサ103は以下のような重要な役割がある。
【0062】
例えば、OPアンプ12のような回路の入出力端子は、ある程度の静電容量を持っている。信号が入力される端子に繋がっているトランジスタ等の素子や、入力保護回路などが持つ静電容量であり、回路構成にもよって異なるが、一般的に、1端子あたり数10pF以上の静電容量が存在する。アナログスイッチ8も同様である。
更に、回路部品が実装されるプリント基板や信号接続の電線などでも数pF程度の静電容量がある。これらは浮遊容量とも呼ばれ、至る所に存在する。
【0063】
仮に、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサの容量が1pF程度と小さい場合、これと比較すると前記の回路の入力容量や浮遊容量の方が圧倒的に大きく、検出したい1pF程度の容量の信号が、浮遊容量の影響を受けて減衰かつ変動し、安定した検出動作ができなくなる。
【0064】
静電容量を検出するためだけに設計された専用回路の場合、例えば良く知られている、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサを共振回路の中に組み入れるような方法であれば、検出回路が持っている浮遊容量や入力容量を含めて共振状態を作る等の調整が行われるので、原理的に浮遊容量の影響を低減することができる。つまり、静電容量検出の専用回路であれば、浮遊容量の影響を除去するのは容易である。
【0065】
しかし本発明の目的である、光電センサと静電容量センサの検出回路を共用するためには、図1のアナログスイッチ8や、OPアンプ12のような入力容量の大きい回路部品の使用は避けられず、浮遊容量、入力容量の影響を受けてしまう。
別な見方をすれば、入力容量が大きい、つまり入力インピーダンスが小さい光電センサの増幅回路に、1pF程度と出力インピーダンスが小さい静電容量センサの検出電極を繋がなければならないという、インピーダンスマッチングが不適という問題がある。
【0066】
しかし、図1または図6のようにコンデンサ103で分圧する構成とすれば、入力容量や浮遊容量はコンデンサ103と並列に入っていると見なせるため、コンデンサ103の容量が例えば1000pF、もしくはその程度に大きいものを選べば、入力容量や浮遊容量の影響が相対的に小さくなり、無視できるようになる。
同時に、前述のインピーダンスマッチングも適切となる。
【0067】
なお、図1でコンデンサ103の一方をGNDに接続したが、浮遊容量の影響を除く目的であれば、固定電位という条件を満たせば良くGND以外でも良い。例えば、図1の基準電圧源24に繋いでも良い。また、原理的には、ある量の電位変動があっても、パルス信号S2に同期しない電圧変動であれば、前述の同期積分動作で電位変動の影響を除去できる。
【0068】
コンデンサ103の一方をGNDでなく、基準電圧源24に繋いだ場合、増幅手段の基準電圧と一致するため、基準電圧源24の電圧変動(ノイズや不安定成分)の影響を相殺する利点がある。但し、受信電極102が受けるサージ等の電気的ストレスに対しては、図1のようにGNDに繋ぐ方が耐性が強い。
よって、検出したい信号レベル、受信電極102の大きさや保護状態によって、GNDまたは基準電圧源などを選択すれば良い。
【0069】
こうして、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサが微小な容量であっても、図1の回路では、浮遊容量の影響を受けにくく、正確な容量検出が可能となる。
よって、例えば図3のようにセンサユニットの上面に送信電極101と受信電極102を配置すれば、ここに使用者の指が触れるかどうかによって、その結合容量が僅かに変化し、これを図1の回路で検出して使用者の指のタッチの判断が可能となる。
【0070】
図3のセンサ部を利用した水栓装置が図2である。図3のセンサ部を図2の水栓本体に内蔵し、送受信電極の上に、水栓装置の外観部品を兼ねた金属製の蓋である、タッチ操作部203を配置する。
【0071】
タッチ操作部203に使用者が触れていない時には、タッチ操作部203は電位的に固定されておらず、図1の回路の送信電極101と受信電極102の間に1枚の電極(タッチ操作部203)を挿入しただけの状態と同じと見ることができる。この時、タッチ操作部203によって、送信電極101と受信電極102の間の静電結合の容量は増加する。
【0072】
ここで、タッチ操作部203に使用者が触れると、タッチ操作部が人体を介してGND電位(接地電位)にほぼ固定される。この時、送信電極101と受信電極102の間にタッチ操作部203というGND電位の電極が入った状態となり、送信電極101と受信電極102の間の静電結合がGND電位の電極(タッチ操作部203)により遮断される。よって、送受信電極間の結合容量は低下する。この容量の変化により、水栓本体へのタッチ操作が検出できる。
【0073】
更に、図2の水栓の吐水方向には光電センサの投受光素子が向けられており、光電センサによって手を差し出す動作を検出できる。
よって、この光電と静電容量の2つのセンサを交互に連続して繰り返し動作させることで、例えば、光電センサで自動吐水(感知している間だけ吐水)を行い、静電容量センサで手動吐水(触る度に吐水/止水が切り替わる)という使い方ができる。
或いは、電気的に温度調整や流量調整が可能な水栓であれば、光電センサを吐水/止水の制御に用い、静電容量センサを温度や流量の切り替えに使うこともできる。
【0074】
以上のような水栓装置の制御動作を、図7乃至図9のフローチャートを用いて説明する。
図7は水栓装置の主要な動作を示すメインルーチンである。
動作開始(ステップS100)で、まず、送信電極101と受信電極間102の結合容量である静電容量を検出する(ステップS101)。
この検出動作内容は後に詳述するが、ここで結合容量が小さかった場合(ステップS102:Y)、操作者の指がタッチ操作部203に触れていると判断できる。
【0075】
操作者の指のタッチ操作があったと判断した場合、吐水中であって電磁弁(図不示)が開いていれば(ステップS103:Y)電磁弁を閉じ(ステップS105)、電磁弁が閉じていれば(ステップS103:N)電磁弁を開く(ステップS104)。
しかし、結合容量が小さくない場合(ステップS102:N)は操作者の指のタッチ操作は無いと判断して電磁弁の開閉状態は切り替えない(ステップS106へ)。
このような制御により、タッチ操作部203に指が触れるたびに吐水/止水が切り替わる、手動吐水の操作が可能となる。
【0076】
この手動による吐水を行っている状態(ステップS106:Y)では以上の動作を継続する(ステップS101へ戻る)が、手動の吐水中でない場合(ステップS106:N)は光電センサの動作を行う(ステップS107)。この検出動作内容も後に詳述する。
【0077】
光電センサの反射光量が大きい場合(ステップS108:Y)、使用者の手が差し出されているとして電磁弁を開いて吐水を行い(ステップS109)、光電センサの検出を繰り返す(ステップS107へ戻る)。
光電センサの反射光量が小さい場合(ステップS108:Y)、使用者の手が差し出されていないとして電磁弁を閉じて吐水は行わず(ステップS110)、静電容量の検出(ステップS101)に戻って、以上の動作を繰り返す。
【0078】
図8は、図4に説明した光電センサの制御内容を示すサブルーチンである。また、図7の光電検出(ステップS107)の動作詳細である。
まず、図1の回路の光電と静電容量を選択する信号S4をHiとし、光電センサを選択する(ステップS201)。これにより、図1のアナログスイッチ5は、信号S2がトランジスタ4へ出力される方に切り替わる。また、アナログスイッチ8は、受光手段のOPアンプ6側を選択する。
【0079】
そして、パルス投光を行う前に、所定時間、積分手段をリセットする(ステップS202)。そして、投光素子1の投光及び積分(ステップS203)と、投光素子1が投光していない状態の反転積分(ステップS204)を4回繰り返す(ステップS205で判断)。この繰り返しで、信号S2のパルス出力が行われる。
4回の積分と反転積分を終了する(ステップS206)と、積分手段の出力をA/D変換し(ステップS207)、メインルーチンに戻る(ステップS208)。
【0080】
図9は、図5に説明した静電容量センサの制御内容を示すサブルーチンである。また、図7の静電容量検出(ステップS101)の動作詳細である。
まず、図1の回路の光電と静電容量を選択する信号S4をLoとし、静電容量センサを選択する(ステップS301)。これにより、図1のアナログスイッチ5は、信号S2が送信電極101へ出力される方に切り替わる。また、アナログスイッチ8は、受信電極102側を選択する。
【0081】
そして、パルス投光を行う前に、所定時間、積分手段をリセットする(ステップS302)。そして、送信電極101にHi出力している期間の積分(ステップS303)と、送信電極101にLo出力している期間の反転積分(ステップS304)を8回繰り返す(ステップS305で判断)。
8回の積分と反転積分を終了する(ステップS306)と、積分手段の出力をA/D変換し(ステップS307)、メインルーチンに戻る(ステップS308)。
【0082】
以上のように、図1の回路を備えたセンサ及び制御部を図3のようなユニットとして構成し、図2の水栓に内蔵する。そして、図7乃至図9の制御を行うことにより、光電センサと静電容量センサを併用した水栓装置が、小型かつ安価に実現できる。
【0083】
図10は、光電センサと静電容量センサを併用したタッチセンサの例である。センサ本体の形状は直方体で、その上面がタッチ操作部になっている。
301はセンサ本体のケースであり、材質は赤外光を透過する樹脂(ガラスでも良い)である。302は赤外光を遮光し、かつ投光素子1と受光素子2を保持するLEDホルダーである。また、303はセンサの処理回路が実装された基板である。
【0084】
センサケース301の上面に向け、投光素子1と受光素子2が配置され、かつ、センサケース301上面の内側に送信電極101と受信電極102が配置されている。検出回路は図1の通りで、この構造により光電センサと静電容量センサの両方が構成されている。
【0085】
光電センサをタッチセンサとして利用すると、その感知性能は検出体の反射率に依存する。反射率の高いもの、つまり白っぽいものに反応しやすく、逆に黒っぽいものは反応しにくい。黒っぽいものでも感知させるためには、感知と判定する反射光量の閾値を低くする必要があるが、その場合、白っぽいものがある程度の距離に近づいただけで感知してしまう恐れがある。
【0086】
そこで、感知と判定する反射光量の閾値を逆に高くすると、白っぽいものによる誤感知が減っても、黒っぽいものがタッチするまで近づいても感知できなくなる恐れがある。このように、光電センサは、白っぽいものによる誤感知は防止し、黒っぽいものも感知できるように動作することが難しい。
【0087】
また、静電容量センサをタッチセンサとして利用すると、人体だけでなく、水などの導電体にも反応する。静電容量センサの感度を設定する際、人体のわずかなタッチでも確実に検出できるように判定の閾値を下げると、水などによる誤感知が増える。誤感知を減らすために判定の閾値を上げると、人体のタッチを検出できなくなる恐れがある。
【0088】
しかし、図7のように光電センサと静電容量センサを2つ設けて、両方のセンサが反応したときのみタッチ操作を感知するようにすれば、2つのセンサの閾値をそれぞれ下げることができ、確実かつ感度の良い検出ができる。
【0089】
例えば、白っぽいものが接近したとき、光電センサは反応する可能性があるが、静電容量センサは物体が触れるまで反応しないため、誤感知にならない。
また、水が付着すると静電容量センサは反応するが、光電センサが反応しないために誤感知にならない。このような条件を踏まえれば、光電センサと静電容量センサの双方の判定閾値を下げる、つまり検出感度を上げることができる。
【0090】
この動作を図11のフローチャートで説明する。
プログラムステップ:S400よりスタートし、まず静電容量センサの検出動作を行い(ステップS401)、結合容量が判定閾値よりも大きい場合(ステップS402:N)、これは送信電極1と受信電極2の間の静電結合を妨げるものが無い、つまり、操作者の指などのタッチが無いと判断して非感知を確定する(ステップS406)。
【0091】
逆に、結合容量が小さい場合(ステップS402:Y)、これは送信電極1と受信電極2の間の静電結合が操作者の指によって妨げられたと考えられる。そこで、更に光電センサの検出動作を行い(ステップS403)、その反射光量が大きい場合(ステップS404:Y)、静電容量センサと光電センサの両方に確からしい反応があったとして、感知を確定する(ステップS405)。
【0092】
静電容量センサの反応があっても、光電センサの反射光量が小さい場合(ステップS404:N)、センサとしては非感知と確定する(ステップS406)。
このように、異種のセンサを使って二重に判断することで、それぞれのセンサ単体では誤動作の可能性があるレベルまで判定の閾値を下げることができ、結果として、高感度かつ誤動作の少ないタッチセンサが実現できる。
【0093】
なお、この場合、投光電流を必要としない、つまり消費電力が小さい静電容量センサを先に動作させ(ステップS402)、これが反応した時のみ光電センサを動作させる(ステップS404)ので、センサ全体の消費電力を抑えることができる。
【0094】
なお、図10のセンサ形状を直方体としたが、光電センサの検出方向と静電容量センサの検出方向を一致させれば本発明の効果は得られるので、センサ形状は直方体に限らず、立方体でも円筒でも球状でも良い。
【0095】
図12は図1の回路の変形例である。図12は、図1に対し、以下の部分が異なる。
図12では、図1のアナログスイッチ8がなく、受光手段のOPアンプ6の出力は、コンデンサ9を介して抵抗10に接続されている。
また、図12には、図1のコンデンサ103がなく、受信電極102はコンデンサ9と抵抗10の間に接続される。つまり、受信電極102の電圧も、抵抗10、11及びOPアンプ12からなる増幅手段にそのまま入力される。
【0096】
この回路は以下のように動作する。
光電センサとして動作する場合、受光手段の出力がそのまま増幅手段に入力されるので、何の問題もなく動作できる。その際、受信電極102が繋がっているが、送信電極101に電位変化を与えなければ受信電極102にも電位変化は無く、光電センサの動作に影響は与えない。
【0097】
図12が静電容量センサとして動作する場合、投光手段が動作しないので、受光手段にも信号光は入射しない。よって、受光手段のOPアンプ6の出力電圧は、基準電圧源24の電圧にほぼ等しくなる。これを固定電位と考えれば、図12のコンデンサ9は、図1のコンデンサ103と同じ役割を果たす。
【0098】
厳密には受光素子2が受光する環境光である、太陽光や蛍光灯照明などの光に応じた電圧変化がOPアンプ6の出力に発生するが、パルス信号S2に同期しない電圧変化は、同期積分動作にとっては固定電位と見なすことができ、実質的な影響は小さい。
よって、コンデンサ9は、光電センサで信号を増幅手段へ伝達する機能と、静電容量センサで受信信号を分圧する機能を兼用することができ、図12の回路は図1の回路と同等の動作が可能となる。
【0099】
更に図12の回路では、OPアンプ6の出力電圧の基準となる電位は、基準電圧源24の電位であり、同様にOPアンプ12も同じ基準電位に対し動作する。よって、基準電圧源24に電位変動があった場合でも、OPアンプ6とOPアンプ12に同時かつ同相で変動があり、相対的に基準電圧源24の変動が相殺される。この点からも、コンデンサ9の利用は適している。
【0100】
図13は図12の回路の変形例である。図13は、図12に対し、以下の部品を追加している。
受光手段の抵抗7と並列にアナログスイッチ30が接続され、これを信号S4をインバータ31で反転した信号で制御する。アナログスイッチ30は、信号S4がLoの時、オンする。
更に、送信電極101とGNDの間にアナログスイッチ32が、受信電極102とGNDの間にアナログスイッチ33が接続され、いずれも信号S4で制御する。アナログスイッチ32及び33は、信号S4がHiの時にオンする。また、受信電極102はコンデンサ34を介してコンデンサ9と抵抗10の接続点に繋がっている。
【0101】
以上の図13の、図12に対する追加部品の働きを説明する。
信号S4がHi、すなわち、光電センサの動作が選択されている場合、アナログスイッチ32及び33がオンして、送信電極101及び受信電極102がGNDの電位に固定される。
【0102】
送信電極101及び受信電極102は、図3或いは図10のように、指などを検出できるような広さの面積を持ち、光電センサの受光素子2の近くに配置される。よって、光電センサの使用環境に存在する電気的なノイズも受信してしまう可能性があり、光電センサへノイズを与える要因になる恐れがある。
【0103】
しかし、図13の回路を光電センサとして動作させる際、アナログスイッチ32及び33によって送受信電極をGNDに固定すれば、送受信電極の面積分のシールド効果が生じ、光電センサの耐ノイズ性が向上する。つまり、光電センサのシールド電極と、静電容量センサの送受信電極を兼用することになり、光電センサのために新たにシールド部材を追加する必要がなくなる、もしくは縮小できる可能性がある。
【0104】
また、図13で信号S4がLo、すなわち、静電容量センサの動作が選択されている場合、アナログスイッチ30がオンして、受光手段はゲインが1のボルテージ・フォロア・アンプとなり、基準電圧源24の電圧を出力するだけの回路となる。
なお、コンデンサ34は送信電極101と受信電極102が構成するコンデンサと直列に入るが、送受信電極間の容量値よりも十分に大きい値を選択すれば、コンデンサ34は静電容量の検出信号を損失無く伝達するだけの素子とみなして良い。
【0105】
図12の回路では、静電容量センサとして動作する際も、OPアンプ6の受光手段は受光素子2が受光した外乱光に応じた電圧変化を出力している。この電圧変化は静電容量センサにとって、外乱光を要因とするランダム・ノイズとなり得る。
この受光回路が出力する外乱光のノイズ変化は、送信電極101に与えられる電圧変化に同期しないため、原理的には前述の同期積分の動作で除去できる。
しかし、同期積分を繰り返しても、ランダムノイズの影響が完全にゼロになることはなく、ある程度の変動成分として残ってしまうため、やはり、外乱光のノイズは無い方が好ましい。
【0106】
図13の回路であれば、静電容量センサとして動作する際、受光手段のOPアンプ6は、受光素子2が受光する外乱光に影響されず、基準電圧源24の電圧を安定して出力するため、静電容量センサとして精度の良い検出が可能となる。
【0107】
また、図1及び図13の回路では、受光手段と受信電極の選択手段があるため、投光手段と送信電極を同時に機能させても良い。つまり、図1及び図13でアナログスイッチ5を削除し、信号S2とトランジスタ4、送信電極101を直結する構成でも動作は変わらない。
但し、その場合、アナログスイッチ5が不要となる反面、静電容量センサとして動作している場合でも、投光手段の電力消費が発生するという短所がある。
【0108】
また、光電センサは人体検出時に反射光の信号量が増加し、静電容量センサは人体検出時に静電結合の信号量が減少するという特徴がある。よって、光電センサと静電容量センサを同時に動作させ、人体が無い安定状態の積分信号に対して、「積分信号が増加すれば光電センサが感知した」「積分信号が減少すれば静電容量センサが感知した」と判断する制御も可能である。
【0109】
その場合、アナログスイッチ5、8、30、33などの光電センサと静電容量センサの選択手段は不要となる。
但し、アナログスイッチ5等が不要となる反面、光電と静電容量が同時に感知した場合に積分信号の増減が相殺されるため、信号変化の要因が光電か静電容量かの明確な区別がつなかいという短所がある。
例えば、通常使用では構造的に光電と静電容量の変化が同時に起きない機器、またはその違いを区別する必要がない機器、など、使用可能な用途が限られる。
【0110】
以上のように、光電センサ及び静電容量センサの出力選択手段、入力選択手段のいずれを使用するのか、或いはどれも使用しないのか、様々な組み合わせが考えられるが、部品にかかるコストと人体検出装置に要求される仕様とのバランスで決めれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓装置の回路構成を例示する図である。
【図2】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓制御装置を例示する外観図である。
【図3】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓制御装置に内蔵されたセンサ及び制御部の外観を例示する図である。
【図4】本発明の実施形である光電センサの検出動作の具体例を表すを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施形である静電容量センサの検出動作の具体例を表すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形である静電容量センサの信号入力部分の動作を補足説明する回路図である。
【図7】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓制御装置の動作の具体例を表すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形である光電センサの検出動作の具体例を表すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形である静電容量センサの検出動作の具体例を表すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形である人体センサの内部構造例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形である人体センサの動作の具体例を表すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓装置の回路構成の、他の変形例を表す図である。
【図13】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓装置の回路構成の、他の変形例を表す図である。
【符号の説明】
【0112】
1…投光素子、 2…受光素子、 101…送信電極、 102…受信電極、
5…光電センサ/静電容量センサの送信選択のアナログスイッチ、
6…受光手段のOPアンプ、
8…光電センサ/静電容量センサの受信選択のアナログスイッチ、
12…増幅手段のOPアンプ、
15…反転手段のOPアンプ、
16…増幅手段出力を積分する際にオンするアナログスイッチ、
17…反転手段出力を積分する際にオンするアナログスイッチ、18…積分手段の抵抗、
19…積分手段のコンデンサ、 20…積分手段のOPアンプ、
21…積分手段をリセットするアナログスイッチ、
22…制御手段、 23…電磁弁駆動手段、
201…水栓装置本体、 202…光電センサ窓、 203…タッチ操作部、
204…吐水口、 205 …センサ及び制御部本体
301…人体センサケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の接触(近接を含む)検知又は非接触(検知領域内の人体の有無)検知により機器の制御を行うための、人体検出装置に係わる。
例えば、本人体検出装置を利用したキッチンや洗面室、浴室、トイレ等に設置される水栓装置において、非接触操作による自動吐水と、タッチ操作による手動吐水を併用することができる水栓装置を小型かつ安価で提供する。
【背景技術】
【0002】
ある機器に対して、その使用者である人体の接触または非接触の操作によって制御を行うものは多数存在する。
例えば、非接触方式の操作の代表例として、水栓の前に手を差し出すだけで吐水/止水の自動制御を行う自動水栓がある。自動水栓の検出手段の多くは、赤外線を発光し、使用者の手からの反射光を検出する光電センサ方式であるり、特にトイレの手洗い用途で一般的となっている。
【0003】
光電センサ以外にも、非接触方式のセンサとして、超音波や電波を使う方式も可能であるが、センサ部分の小型化、防水性、コスト等の理由で、自動水栓を含めて、機器に対する使用者の非接触検出方法として、赤外線を用いた光電センサが最も普及している。
【0004】
また、非接触でなく、使用者による接触による操作には、いわゆる「タッチスイッチ」と呼ばれるものがあり、その検出手段には静電容量センサが使われることが多い。
【0005】
タッチスイッチとして用いられる静電容量センサは、機器の操作部に検出電極を設置し、この電極と大地との間の静電容量を検出する回路を有する。電極は、操作面に露出させても良いし、樹脂やガラスなど誘電体である外装部材で覆っても良い。
そして、使用者が操作部の電極に指で触れたとき、或いは電極に接近したときの、電極と大地との間の静電容量が変化することを検出して、指先のタッチ操作を判定する。
【0006】
タッチスイッチの他の検出方法として、抵抗膜式、超音波式、光電式、振動式などの方式のセンサもあるが、前述のように電極と検出回路だけで構成でき、可動部が不要で耐久性に優れ、電極を隠すこともできるのでデザインの自由度が高い、等の理由で静電容量センサが広く普及している。
【0007】
光電センサを用いた自動水栓の構造として、特許文献1のようなものがある。光電センサは、放射した赤外光の反射光を検出するため、検出体がセンサに近づくほど大きな出力が得られる。そこで、自動水栓の先端の吐水口部分に光電センサを設置する特許文献1の構造が優れている。
【0008】
また、水栓装置に静電容量センサを適用した例として、特許文献2、または3のようなものがある。
特許文献2のものは、静電容量センサーに触れると吐水し、再度触れると止水する制御を想定している(特許文献2の段落[0011]に記載)。特許文献3のものは、静電容量センサーに触れている間だけ吐水するものである(特許文献3の段落[0006]に記載)。
【0009】
特許文献1の自動水栓は、手を差し出すだけで吐水/止水を行う、「非接触操作」による「自動吐水」の制御であるのに対し、特許文献2及び3は、触れるという行為が必要な、「接触操作」による「手動吐水」の制御とみなすことができる。そして、これらを併用した場合、更に利便性が向上することが予想される。
【0010】
例えば、水栓装置に、非接触式の光電センサと接触式の静電容量センサを同時に適用した場合、光電センサによって、手を差し出すだけで吐水/止水を行う「自動吐水」の制御が、静電容量センサによって、触れる度に吐水/止水を行う「手動吐水」の制御の、両方が可能な水栓装置となる。
【0011】
この「自動吐水」と「手動吐水」を組み合わせた水栓装置を考えると、例えば、手洗いの際は、光電センサの「自動吐水」により水栓に触れることなく吐水/止水ができ、歯磨きや水溜め等の際は、静電容量センサに触れることによる「手動吐水」で任意に吐水/止水ができ、トイレの手洗いに限らず、洗面所、浴室、キッチン等の多様な使い方に対応できるようになる。
つまり、光電センサと静電容量センサを併用することで、水栓装置の使い勝手が向上し、単なる「自動吐水」と「手動吐水」の機能の加算となるだけでなく、水栓として新たな用途を提供できる可能性がある。
【0012】
また、光電センサと静電容量センサを併用した例として、特許文献4、5のようなものがある。
特許文献4は、赤外線を使って指先による座標入力を行う装置において、鉛筆や紙屑による誤動作を、静電容量の検出を併用することで解決しようとするものである(段落[0009])。
特許文献5は、人以外によるスイッチの不正な操作を防止するため、光電センサを含むいくつかの手法のスイッチ出力と、人体を検出する静電容量センサの出力のAND条件で動作するスイッチである(図8および段落[0047])。
【0013】
特許文献4及び5のいずれも、光電センサと静電容量センサの両方が反応した場合というAND条件で判定することで、検出の信頼性を上げることを特徴としている。これは、光電センサまたは静電容量センサが、それぞれ単独では確実に検出できない場合があるため、検出原理の異なるセンサを組み合わせて、相補的に機能させる目的である。
【特許文献1】特開2002−70096号公報
【特許文献2】特開2003−105817号公報
【特許文献3】特開平5−285056号公報
【特許文献4】特開平5−160702号公報
【特許文献5】特開2005−12253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述の特許文献4乃至5のように、光電センサと静電容量センサの両方の機能を有することで、両方のセンサの出力を用いて判定し、検出精度の向上を図っているものもある。
【0015】
しかし、機器に2つのセンサを組み込むことで機器の検出精度を向上することは分かっているにも関わらず、実際には、全く検出方式の異なる2つのセンサを組み込まなければならないので、機器の小型化が要求される今日ではあまり製品化はされていなかった。
【0016】
さて、光電センサと静電容量センサの検出方式の違いを回路的に比較すると、光電センサは、人体からの反射光を検出する。通常、反射光は赤外受光素子であるフォトダイオードやフォトトランジスタによって光を電流に変換し、その電流をもとに反射光量を検出して人体の有無を判定する。つまり、光を電流に変換し、その光量の大小を判断する回路である。
【0017】
一方の静電容量センサは、検出電極と大地との間の静電容量を測定するが、電気回路として見ると、一般にコンデンサ結合と言われる状態の容量変化を検出するものである。
【0018】
静電容量センサの検出回路の方式は、以前は、LCRの共振回路の中のCの部分に検出容量を組み入れて、共振回路の発振周波数の変化を検出するものが多かった。
【0019】
最近は、IC技術が進歩したこともあり、例えば特許文献3のように、一方の電極(同文献、図1の1)にパルス電圧を与え、静電結合したもう一方の電極(同文献、図1の11)で電圧信号を検出し、その信号の振幅や位相(遅れ)などで人体の有無を判断する方式もある。
【0020】
このように、過去と最近で検出方式に多少の違いはあるが、いずれの方式も、検出したい静電容量を回路の中に組み入れ、回路内の信号の周波数、位相、振幅などの状態変化を検出する方式である。
【0021】
つまり、光電と静電容量のいずれのセンサも、さまざまな検出方式が実用化されているが、検出する物理量が、「赤外光の光量」と「静電誘導による結合容量」と、全く異なる性質のものであるため、検出回路もそれぞれに専用設計されたものしかなく、光電と静電容量の2つの方式で検出するには、2つの専用の検出回路が必要であった。
【0022】
この結果、このような光電センサと静電容量センサとの検出回路を共用化してセンサを小型化することは、検出回路方式の違いのために難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、人体に対して赤外光を投光する投光手段と、前記投光手段にパルス投光を指令するパルス出力手段と、人体からの反射光を受光しその受光量を電圧に変換して出力する受光手段と、前記受光手段の出力を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力を積分する積分手段と、積分手段の出力に応じて人体の有無を検出する人体検出装置において、前記パルス出力手段に接続され人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、前記送信電極と近接して配置され静電結合される受信電極と、を有するとともに、前記受信電極からの誘導電圧出力を前記増幅手段に入力し、前記増幅手段の出力を前記積分手段で積分しその出力に応じて前記送信電極又は前記受信電極への人体の近接を検出することを特徴とする。
その結果、赤外パルス投光を指令するパルス出力手段と、その反射光量を増幅し積分する回路を用いて、人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、これと静電結合される受信電極との間の静電容量の変化を検出することで、光電センサと信号処理回路の大部分を共用する静電容量センサを構成でき、人体検出装置の小型化が実現できる。
【0024】
また、請求項2記載の発明によれば
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受信電極を第1のコンデンサを介してGNDまたは所定の固定電位に接続し、前記受信電極と前記第1のコンデンサの接続点から前記増幅手段へ信号を入力することを特徴とする。
その結果、静電容量検出時において、増幅手段の入力及びその周辺の浮遊容量の影響を除去し、かつ、微小容量のため出力インピーダンスが高い受信電極と、それに比較すると一般に入力インピーダンスが低い増幅手段とのインピーダンスマッチングも取りやすくなるので、光電センサに適した特性の増幅回路をそのまま静電容量センサにも使用でき、回路の大部分を共用しつつ、人体検出装置の検出精度が向上する。
【0025】
また、請求項3記載の発明によれば
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に、前記受信電極を接続することを特徴とする。
その結果、光電センサに使用する信号伝達用のコンデンサを用いて静電容量センサの浮遊容量の影響を低減できるので、部品点数が低減でき小型化できる。
【0026】
また、請求項4記載の発明によれば
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記増幅手段の入力先の接続を前記受光手段または前記受信電極に切り替える入力選択手段と、を有し、前記入力選択手段による入力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする。
その結果、出力部が光電センサと静電容量センサと機能を有する回路を有していても、入力部のみの切替え、つまり、入力部のみの選択部品とその制御だけで光電と静電容量の変化を個別に測定でき、光電センサと静電容量センサの信号が影響しあう事がなくなり、それぞれの感知判断を個別にできるので、高精度かつ高度な判断ができる。
【0027】
また、請求項5記載の発明によれば
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス出力手段の出力先の接続を、前記投光手段または前記送信電極に切り替える出力選択手段と、を有し前記出力選択手段による出力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする。
その結果、入力部が光電センサと静電容量センサと機能を有する回路を有していても、出力部のみの切替えにより光電と静電容量を選択するので消費電量を低減でき、またその出力変化を個別に測定できる。よって、出力部のみの選択部品とその制御だけで光電と静電容量の変化を個別に測定でき、かつ、投光電流による消費電力の低減もできる。
【0028】
また、請求項6記載の発明によれば
請求項4又は5に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時は、前記送信電極又は前記受信電極のうち少なくとも1つをGNDまたは所定の固定電位に接続することを特徴とする。
その結果、送受信電極が光電センサのシールド機能も果たすので、光電センサ用のシールドが不要、もしくは小型化でき、人体検出装置の検出精度も向上する。
【0029】
また、請求項7記載の発明によれば
請求項4乃至6のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス信号に同期して積分を行う積分回数が、前記光電センサモードと前記静電容量センサモードで異なることを特徴とする。
その結果、検出方式が大きく異なる2つのセンサモードの感度調整が個別に最適に調整することが可能となる。
【0030】
また、請求項8記載の発明によれば
請求項7に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時よりも前記静電容量センサモード時の方が、前記積分回数が多いことを特徴とする。
その結果、赤外光の投光で電力を消費する光電センサの消費電力を抑え、ノイズの影響を受けやすい静電容量センサの検出精度を上げることができるので、2つの機能をもつ人体検出装置それぞれの機能を最適化できる。
【0031】
また、請求項9記載の発明によれば
請求項4乃至8のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記受光手段は前記受光量を電圧に変換する受光感度を変更する機能を有し、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に前記受信電極を接続し、前記静電容量センサモード時は、前記受光手段の受光感度を最小の設定とすることを特徴とする。
その結果、光電センサに使用するコンデンサを用いて静電容量センサの浮遊容量の影響を除去できると同時に、静電センサ動作時に受光手段に入る外乱光の影響を除去できるので、人体検出装置の検出精度が向上する。
【0032】
また、請求項10記載の発明によれば
水栓装置が請求項1乃至9のいずれか1つに記載の人体検出装置を有することを特徴とする。
その結果、小型化を要求される水栓装置において、光電センサと静電容量センサをより小型かつ安価に組み込むことができ、両方のセンサを使って高信頼性かつ高機能の水栓装置が提供される。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、光電センサと静電容量センサの検出回路を共用化することができ、センサを小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に、本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、光電センサと静電容量センサの、両方の方式のセンシングが可能な検出回路を備えた水栓装置の制御手段の回路図である。
図2は、図1の制御手段を有する水栓装置の外観の例であり、図3はその水栓装置に収納されるセンサ部の外観図である。
【0036】
図1において、1は赤外光を発光する投光素子であり、トランジスタ4と電流制限抵抗3と共に投光素子1にパルス状の投光電流を流す、光電センサの投光手段を構成する。
また、101は、静電容量センサの送信電極である。5はアナログスイッチであり、制御手段22から出力される送信信号S2を、投光手段または送信電極101のいずれかに出力する出力選択手段である。この選択は、光電または静電容量のセンサの選択信号であるS4によって制御される。
【0037】
抵抗7とOPアンプ6は光電センサの受光手段を構成し、受光素子2が、その受光量に比例して発生する光電流を電圧に変換する。この受光手段や、後述する増幅手段等の基準となる電位を出力するのが基準電圧源24である。
また、102は静電容量センサの受信電極であり、コンデンサ103を介して固定電位であるGNDに接続されている。
【0038】
アナログスイッチ8は光電センサまたは静電容量センサの入力を選択する手段であり、一方の選択は受光手段のOPアンプ6の出力をコンデンサ9を介して入力され、もう一方の選択は、受信電極102とコンデンサ103の接続点が入力される。
また、アナログスイッチ8もアナログスイッチ5と同じく、信号S4によって制御され、選択された入力信号が、抵抗10、11及びOPアンプ12からなる増幅手段に入力される。
【0039】
以上説明した、投光素子1及び受光素子2と、送信電極101と受信電極102は、例えば図3のセンサ部のような構造で配置される。
図3において、205がセンサ部のセンサケースであり、外形は図2の水栓装置のデザインに合わせた円筒状である。その円筒の側面に光電センサの投光素子1及び受光素子2、円筒型ケースの上面に静電容量センサの送信電極101と受信電極102が配置され、更に図2のように水栓装置に収納される。
【0040】
図2において、201は水栓装置本体、202は光電センサの赤外光を透過するセンサ窓、203は金属製のタッチ操作部、204は吐水口、205は図3に示したセンサ部である。この水栓装置の動作は後に説明する。
【0041】
図1の説明に戻り、増幅手段の出力は、抵抗13、14及びOPアンプ15からなる反転手段に入力される。反転手段の入出力では、信号振幅は等しく、その極性が反転する。
更に、増幅手段の出力がアナログスイッチ16を介して、また、反転手段の出力がアナログスイッチ17を介して積分手段に入力される。なお、アナログスイッチ16及び17はそれぞれ、制御手段22から出力されるタイミング信号S2及びS3により、オン/オフされる。
【0042】
積分手段は、抵抗18とコンデンサ19、OPアンプ20により構成される。また21は、制御手段22が出力するタイミング信号S1によりオン/オフするアナログスイッチであり、コンデンサ19の放電、すなわち積分手段のリセットを行う。
【0043】
制御手段22により信号S1乃至S3を制御し、投光のタイミングと積分のタイミングを同期させることにより効果的な信号の積分とノイズ除去を行うことができる。従来から知られているこの光電センサの動作を図4のタイミングチャートを用いて説明する。
【0044】
まずパルス投光を行う前に、図4のT0のタイミングから所定時間、信号S1によってアナログスイッチ21をオンし、コンデンサ19を放電、すなわち積分手段をリセットする。この状態の積分手段の出力電圧(OPアンプ20の出力)が基準(反射信号のゼロ位置)となる。
【0045】
なお、この時、センサの選択信号であるS4は図4においてはHiレベルとなっていて、図1のアナログスイッチ5は、信号S2を投光手段のトランジスタ4へ出力するよう選択されている。また、アナログスイッチ8は受光手段のOPアンプ6の出力をコンデンサ9を介して抵抗10以降の増幅手段へ接続する状態となっている。
【0046】
T1のタイミングで信号S2がHi出力されトランジスタ4がオンして、投光素子1が赤外光を検出体に向け投光する。すなわち、信号S2は投光手段にパルス投光を指令するパルス信号である。これと同時にアナログスイッチ16がオンし、投光素子1の投光に同期して、検出体からの反射光に比例した信号である増幅手段出力を積分手段で積分する。
【0047】
T2のタイミングで信号S2がLo(オフ)となり、信号S3がHi(オン)となってアナログスイッチ17がオンする。ここでは、投光素子1が投光していない状態の受信信号を、反転手段によって極性を反転させて積分手段で積分する。T3のタイミングでは、再び信号S2がオン、信号S3がオフして、T1〜T3のタイミングの動作を繰り返す。なお、T1〜T2とT2〜T3の時間間隔は、同じ時間幅である。
【0048】
このT1〜T3の積分の動作は、信号の積分という信号蓄積作用だけでなく、ノイズ除去効果を持っている。つまりノイズとなる信号の周波数が、T1〜T3の時間を1周期とする周波数に一致しなければ、T1〜T2の期間とT2〜T3の期間で積分量が相殺され、ノイズは低減される。よって、T1〜T3の動作だけで、ひとつのノイズ除去積分動作と言うことができる。そして、図4のT9のタイミングまで、同一の積分動作を4回繰り返す。
【0049】
以上説明したように、投光素子1のパルス投光に同期して増幅手段出力を積分することにより、積分手段出力は、パルス投光の回数に比例した信号量を出力する。また、増幅手段出力と反転手段出力を同じ時間、同じ回数だけ積分することにより、パルス投光に同期しない成分、つまり、蛍光灯など、光電センサの動作環境に存在するノイズを打ち消すことができる。こうして、投光と積分動作を繰り返すことで、反射信号量(積分手段出力)は大きくなり、ノイズ成分は小さくなって光電センサのS/N比が向上する。
【0050】
なお、この投光および積分回数に制約はないが、回数が多いほど、信号量とノイズ除去性能が向上する。言い換えれば、この回数が多いほど、検出感度とS/N比が向上する。一方で、この回数が多いほど、投光や受光回路の電力消費は増大する。
【0051】
以上は良く知られた、光電センサの同期積分の動作である。次に、静電容量センサとしての動作を図5のタイミングチャートを用いて説明する。
【0052】
図1および図5において、選択信号S4がLoレベルとなって、アナログスイッチ5が信号S2の信号を送信電極101へ出力するよう選択されているものとする。
更に、アナログスイッチ8は、受信電極102とコンデンサ103の接続点の電圧を抵抗10以降の増幅回路に接続している。
【0053】
信号S2の電圧は、Hi/Loレベルがディジタル的に切り替わるパルス信号であるが、一般的なCMOS回路を使用した場合、電源電圧であるVDDとGNDの0Vとが切り替わるパルス信号となる。電源電圧VDDが3Vならば、信号S2は、電圧が3Vと0Vが切り替わるパルス出力となり、送信電極101に印加される。
図4の光電センサ動作の場合、送信信号は投光素子1の投光電流であったが、図5の静電容量センサ動作の場合、送信信号は送信電極101の電圧となる。但し、いずれの送信信号も、パルス出力信号のS2と同意である。
【0054】
送信電極101と受信電極102は、その物理的な面積、距離、間に存在する物質の誘電率によって決まる、ある量の静電結合を有する。そして、送信電極101の電位変化は、この静電結合によって受信電極102の電位変化を誘起する。この様子を、図1のように、送信電極101から受信電極102へ向かう電気力線で表現することができる。
【0055】
図5において、受信信号となる受信電極102の電位には、送信電極101の電位変化にある割合を掛けた電位変化が生じる。この作用は、図6のように考えることができる。
図6は、図1の送受信電極と増幅手段周辺の部分を抜き出したものである。
【0056】
図6において、信号S2は送信電極101に繋がっている。その送信電極101と受信電極102はコンデンサを形成し、これがコンデンサ103を介して固定電位であるGNDに繋がっている。つまり、信号S2の電位変化は、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサと、コンデンサ103の直列回路に印加される。
【0057】
コンデンサの直列回路に電圧を印加した場合、各コンデンサにかかる電圧はその静電容量に反比例する。つまり、静電容量に反比例した比率に分圧される。これは物理の基本事項である。
ここで、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサの静電容量をC1、コンデンサ103の静電容量をC2とすると、その接続点にかかる電圧は、送信電極101に印加される電圧の[C1/(C1+C2)]倍に分圧される。
【0058】
仮にC1=1pF、C2=1000pFとすれば、送信電極101に印加される電位、すなわち信号S2の電位の約1000分の1倍となった電圧が抵抗10以下の増幅回路に入力される。このように、コンデンサ103によって非常に僅かな電位変化となるまで分圧され、それを増幅後に積分手段へと信号が伝達され、光電センサとして動作する場合と同様に同期積分が行われる。
【0059】
しかし、この同期積分動作は、前述のように、積分回数が多いほど、信号量とノイズ除去性能が向上し、検出感度とS/N比が向上する。そこで図5のように、積分回数を増やせば、それだけ積分される信号量が増え、ノイズは低減する。つまり、光電センサの動作の時に比較して、受信信号が小さくとも、積分回数を増やすことで十分な信号量とS/N比を確保できる。
【0060】
図5では、積分回数を8回としているが、それ以上の16回、32回、64回でも良い。これは以下の理由による。
光電センサの場合、積分動作の回数だけ投光素子1に電流を流すため、その消費電力や投光素子1の劣化の観点から、積分回数があまり多いのは望ましくない。しかし、静電容量センサの場合、送受信電極の劣化はなく、送信電極へ流れる電流も、投光素子1に流れる電流に比較すればゼロと見なしても良い。
よって、積分動作に伴う部品の劣化はなく、消費電力の増加も僅かであるため、静電容量センサとして動作する場合には積分回数を増やすことの弊害は殆ど無い。
【0061】
こうして、コンデンサ103によって分圧されて非常に小さくなってしまった信号も、図5のように、積分動作を数多く繰り返すことにより、十分な積分の信号量として検出可能となる。
更に、コンデンサ103は以下のような重要な役割がある。
【0062】
例えば、OPアンプ12のような回路の入出力端子は、ある程度の静電容量を持っている。信号が入力される端子に繋がっているトランジスタ等の素子や、入力保護回路などが持つ静電容量であり、回路構成にもよって異なるが、一般的に、1端子あたり数10pF以上の静電容量が存在する。アナログスイッチ8も同様である。
更に、回路部品が実装されるプリント基板や信号接続の電線などでも数pF程度の静電容量がある。これらは浮遊容量とも呼ばれ、至る所に存在する。
【0063】
仮に、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサの容量が1pF程度と小さい場合、これと比較すると前記の回路の入力容量や浮遊容量の方が圧倒的に大きく、検出したい1pF程度の容量の信号が、浮遊容量の影響を受けて減衰かつ変動し、安定した検出動作ができなくなる。
【0064】
静電容量を検出するためだけに設計された専用回路の場合、例えば良く知られている、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサを共振回路の中に組み入れるような方法であれば、検出回路が持っている浮遊容量や入力容量を含めて共振状態を作る等の調整が行われるので、原理的に浮遊容量の影響を低減することができる。つまり、静電容量検出の専用回路であれば、浮遊容量の影響を除去するのは容易である。
【0065】
しかし本発明の目的である、光電センサと静電容量センサの検出回路を共用するためには、図1のアナログスイッチ8や、OPアンプ12のような入力容量の大きい回路部品の使用は避けられず、浮遊容量、入力容量の影響を受けてしまう。
別な見方をすれば、入力容量が大きい、つまり入力インピーダンスが小さい光電センサの増幅回路に、1pF程度と出力インピーダンスが小さい静電容量センサの検出電極を繋がなければならないという、インピーダンスマッチングが不適という問題がある。
【0066】
しかし、図1または図6のようにコンデンサ103で分圧する構成とすれば、入力容量や浮遊容量はコンデンサ103と並列に入っていると見なせるため、コンデンサ103の容量が例えば1000pF、もしくはその程度に大きいものを選べば、入力容量や浮遊容量の影響が相対的に小さくなり、無視できるようになる。
同時に、前述のインピーダンスマッチングも適切となる。
【0067】
なお、図1でコンデンサ103の一方をGNDに接続したが、浮遊容量の影響を除く目的であれば、固定電位という条件を満たせば良くGND以外でも良い。例えば、図1の基準電圧源24に繋いでも良い。また、原理的には、ある量の電位変動があっても、パルス信号S2に同期しない電圧変動であれば、前述の同期積分動作で電位変動の影響を除去できる。
【0068】
コンデンサ103の一方をGNDでなく、基準電圧源24に繋いだ場合、増幅手段の基準電圧と一致するため、基準電圧源24の電圧変動(ノイズや不安定成分)の影響を相殺する利点がある。但し、受信電極102が受けるサージ等の電気的ストレスに対しては、図1のようにGNDに繋ぐ方が耐性が強い。
よって、検出したい信号レベル、受信電極102の大きさや保護状態によって、GNDまたは基準電圧源などを選択すれば良い。
【0069】
こうして、送信電極101と受信電極102からなるコンデンサが微小な容量であっても、図1の回路では、浮遊容量の影響を受けにくく、正確な容量検出が可能となる。
よって、例えば図3のようにセンサユニットの上面に送信電極101と受信電極102を配置すれば、ここに使用者の指が触れるかどうかによって、その結合容量が僅かに変化し、これを図1の回路で検出して使用者の指のタッチの判断が可能となる。
【0070】
図3のセンサ部を利用した水栓装置が図2である。図3のセンサ部を図2の水栓本体に内蔵し、送受信電極の上に、水栓装置の外観部品を兼ねた金属製の蓋である、タッチ操作部203を配置する。
【0071】
タッチ操作部203に使用者が触れていない時には、タッチ操作部203は電位的に固定されておらず、図1の回路の送信電極101と受信電極102の間に1枚の電極(タッチ操作部203)を挿入しただけの状態と同じと見ることができる。この時、タッチ操作部203によって、送信電極101と受信電極102の間の静電結合の容量は増加する。
【0072】
ここで、タッチ操作部203に使用者が触れると、タッチ操作部が人体を介してGND電位(接地電位)にほぼ固定される。この時、送信電極101と受信電極102の間にタッチ操作部203というGND電位の電極が入った状態となり、送信電極101と受信電極102の間の静電結合がGND電位の電極(タッチ操作部203)により遮断される。よって、送受信電極間の結合容量は低下する。この容量の変化により、水栓本体へのタッチ操作が検出できる。
【0073】
更に、図2の水栓の吐水方向には光電センサの投受光素子が向けられており、光電センサによって手を差し出す動作を検出できる。
よって、この光電と静電容量の2つのセンサを交互に連続して繰り返し動作させることで、例えば、光電センサで自動吐水(感知している間だけ吐水)を行い、静電容量センサで手動吐水(触る度に吐水/止水が切り替わる)という使い方ができる。
或いは、電気的に温度調整や流量調整が可能な水栓であれば、光電センサを吐水/止水の制御に用い、静電容量センサを温度や流量の切り替えに使うこともできる。
【0074】
以上のような水栓装置の制御動作を、図7乃至図9のフローチャートを用いて説明する。
図7は水栓装置の主要な動作を示すメインルーチンである。
動作開始(ステップS100)で、まず、送信電極101と受信電極間102の結合容量である静電容量を検出する(ステップS101)。
この検出動作内容は後に詳述するが、ここで結合容量が小さかった場合(ステップS102:Y)、操作者の指がタッチ操作部203に触れていると判断できる。
【0075】
操作者の指のタッチ操作があったと判断した場合、吐水中であって電磁弁(図不示)が開いていれば(ステップS103:Y)電磁弁を閉じ(ステップS105)、電磁弁が閉じていれば(ステップS103:N)電磁弁を開く(ステップS104)。
しかし、結合容量が小さくない場合(ステップS102:N)は操作者の指のタッチ操作は無いと判断して電磁弁の開閉状態は切り替えない(ステップS106へ)。
このような制御により、タッチ操作部203に指が触れるたびに吐水/止水が切り替わる、手動吐水の操作が可能となる。
【0076】
この手動による吐水を行っている状態(ステップS106:Y)では以上の動作を継続する(ステップS101へ戻る)が、手動の吐水中でない場合(ステップS106:N)は光電センサの動作を行う(ステップS107)。この検出動作内容も後に詳述する。
【0077】
光電センサの反射光量が大きい場合(ステップS108:Y)、使用者の手が差し出されているとして電磁弁を開いて吐水を行い(ステップS109)、光電センサの検出を繰り返す(ステップS107へ戻る)。
光電センサの反射光量が小さい場合(ステップS108:Y)、使用者の手が差し出されていないとして電磁弁を閉じて吐水は行わず(ステップS110)、静電容量の検出(ステップS101)に戻って、以上の動作を繰り返す。
【0078】
図8は、図4に説明した光電センサの制御内容を示すサブルーチンである。また、図7の光電検出(ステップS107)の動作詳細である。
まず、図1の回路の光電と静電容量を選択する信号S4をHiとし、光電センサを選択する(ステップS201)。これにより、図1のアナログスイッチ5は、信号S2がトランジスタ4へ出力される方に切り替わる。また、アナログスイッチ8は、受光手段のOPアンプ6側を選択する。
【0079】
そして、パルス投光を行う前に、所定時間、積分手段をリセットする(ステップS202)。そして、投光素子1の投光及び積分(ステップS203)と、投光素子1が投光していない状態の反転積分(ステップS204)を4回繰り返す(ステップS205で判断)。この繰り返しで、信号S2のパルス出力が行われる。
4回の積分と反転積分を終了する(ステップS206)と、積分手段の出力をA/D変換し(ステップS207)、メインルーチンに戻る(ステップS208)。
【0080】
図9は、図5に説明した静電容量センサの制御内容を示すサブルーチンである。また、図7の静電容量検出(ステップS101)の動作詳細である。
まず、図1の回路の光電と静電容量を選択する信号S4をLoとし、静電容量センサを選択する(ステップS301)。これにより、図1のアナログスイッチ5は、信号S2が送信電極101へ出力される方に切り替わる。また、アナログスイッチ8は、受信電極102側を選択する。
【0081】
そして、パルス投光を行う前に、所定時間、積分手段をリセットする(ステップS302)。そして、送信電極101にHi出力している期間の積分(ステップS303)と、送信電極101にLo出力している期間の反転積分(ステップS304)を8回繰り返す(ステップS305で判断)。
8回の積分と反転積分を終了する(ステップS306)と、積分手段の出力をA/D変換し(ステップS307)、メインルーチンに戻る(ステップS308)。
【0082】
以上のように、図1の回路を備えたセンサ及び制御部を図3のようなユニットとして構成し、図2の水栓に内蔵する。そして、図7乃至図9の制御を行うことにより、光電センサと静電容量センサを併用した水栓装置が、小型かつ安価に実現できる。
【0083】
図10は、光電センサと静電容量センサを併用したタッチセンサの例である。センサ本体の形状は直方体で、その上面がタッチ操作部になっている。
301はセンサ本体のケースであり、材質は赤外光を透過する樹脂(ガラスでも良い)である。302は赤外光を遮光し、かつ投光素子1と受光素子2を保持するLEDホルダーである。また、303はセンサの処理回路が実装された基板である。
【0084】
センサケース301の上面に向け、投光素子1と受光素子2が配置され、かつ、センサケース301上面の内側に送信電極101と受信電極102が配置されている。検出回路は図1の通りで、この構造により光電センサと静電容量センサの両方が構成されている。
【0085】
光電センサをタッチセンサとして利用すると、その感知性能は検出体の反射率に依存する。反射率の高いもの、つまり白っぽいものに反応しやすく、逆に黒っぽいものは反応しにくい。黒っぽいものでも感知させるためには、感知と判定する反射光量の閾値を低くする必要があるが、その場合、白っぽいものがある程度の距離に近づいただけで感知してしまう恐れがある。
【0086】
そこで、感知と判定する反射光量の閾値を逆に高くすると、白っぽいものによる誤感知が減っても、黒っぽいものがタッチするまで近づいても感知できなくなる恐れがある。このように、光電センサは、白っぽいものによる誤感知は防止し、黒っぽいものも感知できるように動作することが難しい。
【0087】
また、静電容量センサをタッチセンサとして利用すると、人体だけでなく、水などの導電体にも反応する。静電容量センサの感度を設定する際、人体のわずかなタッチでも確実に検出できるように判定の閾値を下げると、水などによる誤感知が増える。誤感知を減らすために判定の閾値を上げると、人体のタッチを検出できなくなる恐れがある。
【0088】
しかし、図7のように光電センサと静電容量センサを2つ設けて、両方のセンサが反応したときのみタッチ操作を感知するようにすれば、2つのセンサの閾値をそれぞれ下げることができ、確実かつ感度の良い検出ができる。
【0089】
例えば、白っぽいものが接近したとき、光電センサは反応する可能性があるが、静電容量センサは物体が触れるまで反応しないため、誤感知にならない。
また、水が付着すると静電容量センサは反応するが、光電センサが反応しないために誤感知にならない。このような条件を踏まえれば、光電センサと静電容量センサの双方の判定閾値を下げる、つまり検出感度を上げることができる。
【0090】
この動作を図11のフローチャートで説明する。
プログラムステップ:S400よりスタートし、まず静電容量センサの検出動作を行い(ステップS401)、結合容量が判定閾値よりも大きい場合(ステップS402:N)、これは送信電極1と受信電極2の間の静電結合を妨げるものが無い、つまり、操作者の指などのタッチが無いと判断して非感知を確定する(ステップS406)。
【0091】
逆に、結合容量が小さい場合(ステップS402:Y)、これは送信電極1と受信電極2の間の静電結合が操作者の指によって妨げられたと考えられる。そこで、更に光電センサの検出動作を行い(ステップS403)、その反射光量が大きい場合(ステップS404:Y)、静電容量センサと光電センサの両方に確からしい反応があったとして、感知を確定する(ステップS405)。
【0092】
静電容量センサの反応があっても、光電センサの反射光量が小さい場合(ステップS404:N)、センサとしては非感知と確定する(ステップS406)。
このように、異種のセンサを使って二重に判断することで、それぞれのセンサ単体では誤動作の可能性があるレベルまで判定の閾値を下げることができ、結果として、高感度かつ誤動作の少ないタッチセンサが実現できる。
【0093】
なお、この場合、投光電流を必要としない、つまり消費電力が小さい静電容量センサを先に動作させ(ステップS402)、これが反応した時のみ光電センサを動作させる(ステップS404)ので、センサ全体の消費電力を抑えることができる。
【0094】
なお、図10のセンサ形状を直方体としたが、光電センサの検出方向と静電容量センサの検出方向を一致させれば本発明の効果は得られるので、センサ形状は直方体に限らず、立方体でも円筒でも球状でも良い。
【0095】
図12は図1の回路の変形例である。図12は、図1に対し、以下の部分が異なる。
図12では、図1のアナログスイッチ8がなく、受光手段のOPアンプ6の出力は、コンデンサ9を介して抵抗10に接続されている。
また、図12には、図1のコンデンサ103がなく、受信電極102はコンデンサ9と抵抗10の間に接続される。つまり、受信電極102の電圧も、抵抗10、11及びOPアンプ12からなる増幅手段にそのまま入力される。
【0096】
この回路は以下のように動作する。
光電センサとして動作する場合、受光手段の出力がそのまま増幅手段に入力されるので、何の問題もなく動作できる。その際、受信電極102が繋がっているが、送信電極101に電位変化を与えなければ受信電極102にも電位変化は無く、光電センサの動作に影響は与えない。
【0097】
図12が静電容量センサとして動作する場合、投光手段が動作しないので、受光手段にも信号光は入射しない。よって、受光手段のOPアンプ6の出力電圧は、基準電圧源24の電圧にほぼ等しくなる。これを固定電位と考えれば、図12のコンデンサ9は、図1のコンデンサ103と同じ役割を果たす。
【0098】
厳密には受光素子2が受光する環境光である、太陽光や蛍光灯照明などの光に応じた電圧変化がOPアンプ6の出力に発生するが、パルス信号S2に同期しない電圧変化は、同期積分動作にとっては固定電位と見なすことができ、実質的な影響は小さい。
よって、コンデンサ9は、光電センサで信号を増幅手段へ伝達する機能と、静電容量センサで受信信号を分圧する機能を兼用することができ、図12の回路は図1の回路と同等の動作が可能となる。
【0099】
更に図12の回路では、OPアンプ6の出力電圧の基準となる電位は、基準電圧源24の電位であり、同様にOPアンプ12も同じ基準電位に対し動作する。よって、基準電圧源24に電位変動があった場合でも、OPアンプ6とOPアンプ12に同時かつ同相で変動があり、相対的に基準電圧源24の変動が相殺される。この点からも、コンデンサ9の利用は適している。
【0100】
図13は図12の回路の変形例である。図13は、図12に対し、以下の部品を追加している。
受光手段の抵抗7と並列にアナログスイッチ30が接続され、これを信号S4をインバータ31で反転した信号で制御する。アナログスイッチ30は、信号S4がLoの時、オンする。
更に、送信電極101とGNDの間にアナログスイッチ32が、受信電極102とGNDの間にアナログスイッチ33が接続され、いずれも信号S4で制御する。アナログスイッチ32及び33は、信号S4がHiの時にオンする。また、受信電極102はコンデンサ34を介してコンデンサ9と抵抗10の接続点に繋がっている。
【0101】
以上の図13の、図12に対する追加部品の働きを説明する。
信号S4がHi、すなわち、光電センサの動作が選択されている場合、アナログスイッチ32及び33がオンして、送信電極101及び受信電極102がGNDの電位に固定される。
【0102】
送信電極101及び受信電極102は、図3或いは図10のように、指などを検出できるような広さの面積を持ち、光電センサの受光素子2の近くに配置される。よって、光電センサの使用環境に存在する電気的なノイズも受信してしまう可能性があり、光電センサへノイズを与える要因になる恐れがある。
【0103】
しかし、図13の回路を光電センサとして動作させる際、アナログスイッチ32及び33によって送受信電極をGNDに固定すれば、送受信電極の面積分のシールド効果が生じ、光電センサの耐ノイズ性が向上する。つまり、光電センサのシールド電極と、静電容量センサの送受信電極を兼用することになり、光電センサのために新たにシールド部材を追加する必要がなくなる、もしくは縮小できる可能性がある。
【0104】
また、図13で信号S4がLo、すなわち、静電容量センサの動作が選択されている場合、アナログスイッチ30がオンして、受光手段はゲインが1のボルテージ・フォロア・アンプとなり、基準電圧源24の電圧を出力するだけの回路となる。
なお、コンデンサ34は送信電極101と受信電極102が構成するコンデンサと直列に入るが、送受信電極間の容量値よりも十分に大きい値を選択すれば、コンデンサ34は静電容量の検出信号を損失無く伝達するだけの素子とみなして良い。
【0105】
図12の回路では、静電容量センサとして動作する際も、OPアンプ6の受光手段は受光素子2が受光した外乱光に応じた電圧変化を出力している。この電圧変化は静電容量センサにとって、外乱光を要因とするランダム・ノイズとなり得る。
この受光回路が出力する外乱光のノイズ変化は、送信電極101に与えられる電圧変化に同期しないため、原理的には前述の同期積分の動作で除去できる。
しかし、同期積分を繰り返しても、ランダムノイズの影響が完全にゼロになることはなく、ある程度の変動成分として残ってしまうため、やはり、外乱光のノイズは無い方が好ましい。
【0106】
図13の回路であれば、静電容量センサとして動作する際、受光手段のOPアンプ6は、受光素子2が受光する外乱光に影響されず、基準電圧源24の電圧を安定して出力するため、静電容量センサとして精度の良い検出が可能となる。
【0107】
また、図1及び図13の回路では、受光手段と受信電極の選択手段があるため、投光手段と送信電極を同時に機能させても良い。つまり、図1及び図13でアナログスイッチ5を削除し、信号S2とトランジスタ4、送信電極101を直結する構成でも動作は変わらない。
但し、その場合、アナログスイッチ5が不要となる反面、静電容量センサとして動作している場合でも、投光手段の電力消費が発生するという短所がある。
【0108】
また、光電センサは人体検出時に反射光の信号量が増加し、静電容量センサは人体検出時に静電結合の信号量が減少するという特徴がある。よって、光電センサと静電容量センサを同時に動作させ、人体が無い安定状態の積分信号に対して、「積分信号が増加すれば光電センサが感知した」「積分信号が減少すれば静電容量センサが感知した」と判断する制御も可能である。
【0109】
その場合、アナログスイッチ5、8、30、33などの光電センサと静電容量センサの選択手段は不要となる。
但し、アナログスイッチ5等が不要となる反面、光電と静電容量が同時に感知した場合に積分信号の増減が相殺されるため、信号変化の要因が光電か静電容量かの明確な区別がつなかいという短所がある。
例えば、通常使用では構造的に光電と静電容量の変化が同時に起きない機器、またはその違いを区別する必要がない機器、など、使用可能な用途が限られる。
【0110】
以上のように、光電センサ及び静電容量センサの出力選択手段、入力選択手段のいずれを使用するのか、或いはどれも使用しないのか、様々な組み合わせが考えられるが、部品にかかるコストと人体検出装置に要求される仕様とのバランスで決めれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓装置の回路構成を例示する図である。
【図2】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓制御装置を例示する外観図である。
【図3】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓制御装置に内蔵されたセンサ及び制御部の外観を例示する図である。
【図4】本発明の実施形である光電センサの検出動作の具体例を表すを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の実施形である静電容量センサの検出動作の具体例を表すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施形である静電容量センサの信号入力部分の動作を補足説明する回路図である。
【図7】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓制御装置の動作の具体例を表すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形である光電センサの検出動作の具体例を表すフローチャートである。
【図9】本発明の実施形である静電容量センサの検出動作の具体例を表すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形である人体センサの内部構造例を示す図である。
【図11】本発明の他の実施形である人体センサの動作の具体例を表すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓装置の回路構成の、他の変形例を表す図である。
【図13】本発明の実施形である人体検知装置を有する水栓装置の回路構成の、他の変形例を表す図である。
【符号の説明】
【0112】
1…投光素子、 2…受光素子、 101…送信電極、 102…受信電極、
5…光電センサ/静電容量センサの送信選択のアナログスイッチ、
6…受光手段のOPアンプ、
8…光電センサ/静電容量センサの受信選択のアナログスイッチ、
12…増幅手段のOPアンプ、
15…反転手段のOPアンプ、
16…増幅手段出力を積分する際にオンするアナログスイッチ、
17…反転手段出力を積分する際にオンするアナログスイッチ、18…積分手段の抵抗、
19…積分手段のコンデンサ、 20…積分手段のOPアンプ、
21…積分手段をリセットするアナログスイッチ、
22…制御手段、 23…電磁弁駆動手段、
201…水栓装置本体、 202…光電センサ窓、 203…タッチ操作部、
204…吐水口、 205 …センサ及び制御部本体
301…人体センサケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体に対して赤外光を投光する投光手段と、前記投光手段にパルス投光を指令するパルス出力手段と、人体からの反射光を受光しその受光量を電圧に変換して出力する受光手段と、前記受光手段の出力を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力を積分する積分手段と、積分手段の出力に応じて人体の有無を検出する人体検出装置において、前記パルス出力手段に接続され人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、前記送信電極と近接して配置され静電結合される受信電極と、を有するとともに、前記受信電極からの誘導電圧出力を前記増幅手段に入力し、前記増幅手段の出力を前記積分手段で積分しその出力に応じて前記送信電極又は前記受信電極への人体の近接を検出することを特徴とする人体検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受信電極を第1のコンデンサを介してGNDまたは所定の固定電位に接続し、前記受信電極と前記第1のコンデンサの接続点から前記増幅手段へ信号を入力することを特徴とする人体検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に、前記受信電極を接続することを特徴とする人体検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記増幅手段の入力先の接続を前記受光手段または前記受信電極に切り替える入力選択手段と、を有し、前記入力選択手段による入力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする人体検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス出力手段の出力先の接続を前記投光手段または前記送信電極に切り替える出力選択手段と、を有し、前記出力選択手段による出力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする人体検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時は、前記送信電極又は前記受信電極のうち少なくとも1つをGNDまたは所定の固定電位に接続することを特徴とする人体検出装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス信号に同期して積分を行う積分回数が、前記光電センサモードと前記静電容量センサモードで異なることを特徴とする人体検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時よりも前記静電容量センサモード時の方が、前記積分回数が多いことを特徴とする人体検出装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記受光手段は前記受光量を電圧に変換する受光感度を変更する機能を有し、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に前記受信電極を接続し、前記静電容量センサモード時は、前記受光手段の受光感度を最小の設定とすることを特徴とする人体検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の人体検出装置を有することを特徴とする水栓装置。
【請求項1】
人体に対して赤外光を投光する投光手段と、前記投光手段にパルス投光を指令するパルス出力手段と、人体からの反射光を受光しその受光量を電圧に変換して出力する受光手段と、前記受光手段の出力を増幅する増幅手段と、前記増幅手段の出力を積分する積分手段と、積分手段の出力に応じて人体の有無を検出する人体検出装置において、前記パルス出力手段に接続され人体に対し静電誘導による電界変化を与える送信電極と、前記送信電極と近接して配置され静電結合される受信電極と、を有するとともに、前記受信電極からの誘導電圧出力を前記増幅手段に入力し、前記増幅手段の出力を前記積分手段で積分しその出力に応じて前記送信電極又は前記受信電極への人体の近接を検出することを特徴とする人体検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受信電極を第1のコンデンサを介してGNDまたは所定の固定電位に接続し、前記受信電極と前記第1のコンデンサの接続点から前記増幅手段へ信号を入力することを特徴とする人体検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の人体検出装置において、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に、前記受信電極を接続することを特徴とする人体検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記増幅手段の入力先の接続を前記受光手段または前記受信電極に切り替える入力選択手段と、を有し、前記入力選択手段による入力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする人体検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス出力手段の出力先の接続を前記投光手段または前記送信電極に切り替える出力選択手段と、を有し、前記出力選択手段による出力先の接続の切り替えにより、前記反射光によって人体を検出する光電センサモードと、前記静電誘導によって人体を検出する静電容量センサモードを選択可能としたことを特徴とする人体検出装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時は、前記送信電極又は前記受信電極のうち少なくとも1つをGNDまたは所定の固定電位に接続することを特徴とする人体検出装置。
【請求項7】
請求項4乃至6のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記パルス信号に同期して積分を行う積分回数が、前記光電センサモードと前記静電容量センサモードで異なることを特徴とする人体検出装置。
【請求項8】
請求項7に記載の人体検出装置において、前記光電センサモード時よりも前記静電容量センサモード時の方が、前記積分回数が多いことを特徴とする人体検出装置。
【請求項9】
請求項4乃至8のいずれか1つに記載の人体検出装置において、前記受光手段は前記受光量を電圧に変換する受光感度を変更する機能を有し、前記受光手段の出力と前記増幅手段の入力を第2のコンデンサを介して接続し、前記増幅手段の入力と前記第2のコンデンサの接続点に前記受信電極を接続し、前記静電容量センサモード時は、前記受光手段の受光感度を最小の設定とすることを特徴とする人体検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1つに記載の人体検出装置を有することを特徴とする水栓装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図10】
【公開番号】特開2009−287993(P2009−287993A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139093(P2008−139093)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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