人体通信端末装置
【課題】人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことを抑制すること。
【解決手段】人体に装着可能な装着部材40の線状部材44に一対のコネクタ部46が設けられる。一対のコネクタ部46は、装着部材40が人体から外されるのに伴い、オフ状態に切替えられる。一対のコネクタ部46のオンオフに応じて、認証制御部30に電力が供給されて起動して、認証不能状態から認証可能状態に切替え可能になる。
【解決手段】人体に装着可能な装着部材40の線状部材44に一対のコネクタ部46が設けられる。一対のコネクタ部46は、装着部材40が人体から外されるのに伴い、オフ状態に切替えられる。一対のコネクタ部46のオンオフに応じて、認証制御部30に電力が供給されて起動して、認証不能状態から認証可能状態に切替え可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体通信を利用して、キャビネット等の利用権限等を認証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人体通信端末装置として、特許文献1に開示のものがある。特許文献1は、人体通信を行うRFID記録媒体を、人間の首から下げて携帯する態様を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−27095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人体通信の原理上、人体通信端末装置を人体に装着していなくても、何らかの媒体を通じて通信経路が確立されれば人体通信は成立し得る。このため、例えば、使用していない人体通信端末装置が金属製の机上や収納庫等に収納された状態で、人体通信端末装置を所持しない人が、その机や収納庫等に近接した位置で認証装置に触れると、金属製の机や収納庫等及び認証装置に触れた人、それらの間の若干の空間を通信経路として人体通信が成立する恐れがある。その結果、本来認証されるべきない人に対して、認証結果合格と判断されてしまう恐れがある。
【0005】
ここで、人体通信端末装置自体に電源スイッチを設け、人体通信端末装置を人体から取外した場合に電源スイッチをオフにするようにすれば、上記のような誤った認証は防止される。しかしながら、この場合、利用者による電源オフ操作のし忘れ等が発生し得、上記のような誤った認証を確実に防止することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る人体通信端末装置は、認証装置との間で人体通信を行って認証処理を実行可能な人体通信端末装置であって、人体通信用電極と、前記人体通信用電極を通じて人体を通信経路として伝送可能な信号を送信及び受信する通信回路部と、前記人体通信用電極及び前記通信回路部を介して人体通信を行って認証処理を実行可能に構成された認証制御部とを有する人体通信認証処理部と、人体に着脱自在に装着可能な装着部材と、前記装着部材に設けられ、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部と、を備え、前記人体通信認証処理部は、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴い切替えられる前記スイッチ部のオンオフ状態の変更に応じて、認証処理を実行不能な認証不能状態に切替可能に構成されているものである。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る人体通信端末装置であって、前記スイッチ部は、前記装着部材が前記人体に装着された状態でオン状態を継続可能であり、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオン状態からオフ状態に切替可能に構成され、前記スイッチ部がオンにされた状態で、前記人体通信認証処理部に電力供給可能となって前記認証可能状態に切替可能になり、前記スイッチ部がオフにされた状態で、前記人体通信認証処理部の少なくとも一部への電力供給が絶たれて前記認証不能状態になるものである。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る人体通信端末装置であって、人体の頭周りを通って首周りに配設可能な環状の線状部材をさらに備え、前記スイッチ部は、合体及び分離自在な一対の分割スイッチ部を有し、それらの合体及び分離状態に応じてオンオフ切替可能に構成され、前記一対の分割スイッチ部が前記線状部材の延在方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記一対の分割スイッチ部が合体することで、前記線状部材の一部により前記首周りに配設可能でかつ前記頭周りを通過不能な環状部分が形成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様に係る人体通信端末装置によると、前記装着部材に設けられ、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部を備えており、前記人体通信認証処理部は、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴い切替えられる前記スイッチ部のオンオフ状態の変更に応じて、認証処理を実行不能な認証不能状態に切替可能に構成されている。このため、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴って、前記人体通信認証処理部を認証不能状態に切替えることができる。これにより、人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことをより確実に抑制することができる。
【0011】
また、第2の態様によると、前記装着部材が前記人体から取外されると、前記人体通信認証処理部の少なくとも一部への電力供給が絶たれて前記認証不能状態になるため、その状態での電力消費を抑制することができる。
【0012】
さらに、第3の態様によると、前記一対の分割スイッチ部が前記線状部材の延在方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記一対の分割スイッチ部が合体することで、前記線状部材の一部により前記首周りに配設可能でかつ前記頭周りを通過不能な環状部分が形成される。このため、線状部材を首周りに配設した状態で、一対の分割スイッチ部を合体させることで、人体通信認証処理部に認証処理を行わせることができる。一方、本人体通信端末装置を人体から外す場合には、上記一対の分割スイッチ部を分離させる必要がある。人体から外された状態では、忘れることなく認証不能状態に切替えることができ、人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことをより確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施形態に係る人体通信端末装置について説明する。
【0014】
<1.全体構成>
まず、本人体通信端末装置が適用された認証システムの全体構成について説明する。図1は本認証システムの全体構成を示す説明図である。
【0015】
この認証システムは、ロック対象物の認証を行うシステムであり、人体通信端末装置20と、認証ロック装置50とを備えている。
【0016】
ロック対象物は、利用不能なロック状態と利用可能なアンロック状態とで切替えて管理される物である。このようなロック対象物としては、格納手段に取付けられた開閉部や部屋の出入口、電気機器等が想定される。ここでは、ロック対象物が、格納手段としての開閉部であるキャビネット10の扉12である場合を想定して説明する。
【0017】
上記人体通信端末装置20は、本システムの利用者Pに付与されるものであり、当該人体通信端末装置20には、予め当該利用者Pに対応づけられた個人識別IDが登録されている。
【0018】
認証ロック装置50は、上記人体通信端末装置20との間で人体を通信経路として人体通信可能に構成されており、人体通信端末装置20との間で通信を行うことで、当該人体通信端末装置20を所持する利用者Pに利用権限があるか否かを判別し、利用権限あると判断した場合にロック対象物であるキャビネット10の扉12をアンロック状態、即ち、利用可能な状態にする。つまり、この認証ロック装置50は、認証を行う認証装置としての機能と、認証結果に基づいてロック対象物のロック状態とアンロック状態とを切替制御するロック制御装置としての機能とを有している。
【0019】
本システムの概略的な使用方法を説明しておくと、この認証システムを利用する利用者Pは、人体通信端末装置20を所持してキャビネット10の扉12前に立ち、扉12の取っ手部12aに触れる。すると、認証ロック装置50は、人体通信端末装置20との間で人体通信を行って利用権限の有無を判断し、利用権限有りと判断された場合に、アンロック状態に切替える。これにより、利用者Pは当該扉を開いてキャビネット10を利用できるようになる。
【0020】
以下、各部構成についてより詳細に説明する。
【0021】
<2.人体通信端末装置>
図2はコネクタ部46を接続した状態における人体通信端末装置20の全体構成を示す図であり、図3はコネクタ部46を示す図であり、図4はコネクタ部46を外した状態における人体通信端末装置20の全体構成を示す図である。
【0022】
この人体通信端末装置20は、人体通信端末装置本体部21と、この人体通信端末装置本体部21を人体に装着した状態で保持するための装着部材40とを備えており、認証ロック装置50との間で人体通信を行って後述する認証処理を実行可能に構成されている。後述する電極22A、22Bのそれぞれは、一定の空隙をあけた対向配置された2枚の平板状の導電性材料(以下、導電板)で構成されている。2枚の導電板の空隙を移動する電荷によって互いに静電結合して電気回路が構成される。2枚で一対の導電板によって構成される電極のうち一枚の導電板が人体に面するように人が所持する。この導電板は人体と浮遊容量を介して静電結合し、これにより電極と人体とが電気的に接合される。もう一枚の導電板は大地アース等と浮遊容量を介して静電結合し、これにより電極と大地等とが電気的に接続される。これを合わせ、人体と大地とが電気的に接続されるようになり、この特性を利用して通信を行う。
【0023】
人体通信端末装置本体部21は、後述する回路を構成するための各電気部品を基板に実装した構成とされ、ここでは、略方形板状のカード状の外形状に形成されている。この人体通信端末装置本体部21に、後述する人体通信認証処理部としての部分的な機能が組込まれている。
【0024】
装着部材40は、人体に着脱自在に装着可能に構成される部材であり、ここでは、保持部としてのホルダ部42と、線状部材44とを有している。
【0025】
ホルダ部42は、人体通信端末装置本体部21を保持可能に形成されている。ここでは、ホルダ部42は、上記人体通信端末装置本体部21を収容可能でかつ上方に開口する収容空間を有する略長方形ケース状の部材に形成されており、当該収容空間に上方の開口を通じて人体通信端末装置本体部21を挿脱自在に形成されている。
【0026】
線状部材44は、略環状に形成されており、上記ホルダ部42の上端部に形成された孔に通す等して連結されている。そして、本線状部材44を人体Pの首周りに配設するようにして吊下げた状態で、ホルダ部42及びそれに保持された人体通信端末装置本体部21が人体Pの首下から胸部前方あたりに位置して吊下げ状に支持されるようになっている。
【0027】
この線状部材44の長さ寸法は、一般的な人体の頭部周りの長さ寸法よりも大きく設定されており、人体の頭周りを通って首周りに配設可能な環状に形成されている(図4参照)。
【0028】
また、後述する2つの電極22A、22Bのうち一方の電極22Aが、線状部材44のうち上記ホルダ部42に対する連結部分から略等距離の中間部の位置、即ち、ホルダ部42の反対側の位置に配設されている。また、他方の電極22Bは、人体通信端末装置本体部21に設けられている。そして、本人体通信端末装置20を上記のようにして人体に装着すると、一方の電極22Aが人体の首後部周りに配設され、他方の電極22Bが人体の前方に配設されるようになっている。
【0029】
また、この線状部材44には、一対のコネクタ部46、導体部47及び一対の導体部48が組込まれている。
【0030】
導体部47は、線状部材44に沿って一方の電極22Aと人体通信端末装置本体部21とを接続するように配設されている。
【0031】
また、一対のコネクタ部46が、線状部材44のうち一方の電極22Aとホルダ部42への連結部分とを結ぶ2つの線状部分の中間部にそれぞれ設けられている。一対のコネクタ部46は、相互に嵌合接続可能なハウジング46aと、相互接続可能な端子部46b(一方がオス端子で他方がメス端子)とを有している(図3参照)。一方の端子部46bは、線状部材44の部分に沿って一方の導体部48を介して人体通信端末装置本体部21に接続されており、他方の端子部46bは、線状部材44の部分に沿って他方の導体部48を介して人体通信端末装置本体部21に接続されている。そして、両コネクタ部46をコネクタ接続(合体)することで、両ハウジング46a同士の嵌合接続及び両端子部46b同士の接続により機械的な接続がなされる。また、両端子部46b同士の接続により電気的な接続が得られ、両導体部48同士が電気的に接続されるようになっている。また、両コネクタ部46のコネクタ接続を外す(分離)することで、両端子部46bの電気的な接続が解除され、両導体部48同士が電気的に非接続状態になる。
【0032】
つまり、一対のコネクタ部46は、それぞれ合体及び分離自在な一対の分割スイッチ部として機能する。そして、一対のコネクタ部46は全体として、一対のコネクタ部46の合体及び分離状態に応じてオンオフ切替可能な、ここでは、合体によりオン状態になり、分離によりオフ状態になるイネーブルスイッチ35(スイッチ部)として機能する。
【0033】
このように一対のコネクタ部46がコネクタ接続されてオン状態になることで、後述するAND回路33から電源制御回路34に至る信号伝送路が形成されるようになっている。
【0034】
また、一対のコネクタ部46は、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるように、より具体的には、装着部材40が人体に装着された状態でオン状態を継続可能であり、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオン状態からオフ状態に切替えられるように構成されている。
【0035】
ここでは、人体の頭部周りの寸法が首周りの寸法よりも大きいことを利用した構成を採用している。つまり、一対のコネクタ部46は、線状部材44の延在方向に沿って間隔をあけた位置に設けられている。そして、一対のコネクタ部46同士をコネクタ接続した状態で、線状部材44のうち一方のコネクタ部46からホルダ部42の反対側の部分(一方の電極22A側の部分)を経て他方のコネクタ部46に至る比較的小さい環状部分Rが形成される(図2参照)。線状部材44のうち当該比較的小さい環状部分Rを構成する部分の長さ寸法は、一般的な人体の首周りの長さ寸法よりも大きく、かつ、一般的な人体の頭周りの長さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、環状部分Rは、人体の首周りに配設可能でかつ頭周りを通過不能とされている。コネクタ部46同士のコネクタ接続を外した状態では、線状部材44を、人体の頭周りを通って首周りに配設することができ、この状態で、上記環状部分Rを首周りに配設するようにして、両コネクタ部46同士をコネクタ接続できるようになっている。また、このように両コネクタ部46同士をコネクタ接続したままの状態では、環状部分Rを首周りから頭周りを通って外すことはできず、コネクタ接続を外すことで、線状部材44を首周りから頭周りを通って外すことができるようになっている。これにより、一対のコネクタ部46が、線状部材44が人体から取外されるのに伴い、オンオフ切替えされる、より具体的には、必然的にオン状態からオフ状態に切替えられるイネーブルスイッチ35(スイッチ部)として機能するようになっている。
【0036】
なお、上記導体部47としては、同軸ケーブル等、内部導体を外部から電磁的にシールド可能なものを用いることが好ましい。導体部47が人体通信用電極として機能することを抑制するためである。導体部48としては、種々の導体を用いることができるが、やはり外部からのノイズ混入等を防止するため同軸ケーブル等、内部導体を外部から電磁的にシールド可能なものを用いることが好ましい。
【0037】
図5は人体通信端末装置20の電気的構成を示すブロック図である。この人体通信端末装置20は、認証ロック装置50との間で人体通信を行って認証処理を実行可能に構成されており、2つの人体通信用電極22A、22Bと、通信回路部24と、認証制御部30と、認証状態切替部32とを有している。
【0038】
人体通信用電極22A、22Bは、人体における異なる箇所に配設可能に構成されている。ここでは、上記したように、一方の人体通信用電極22Aは、線状部材44の中間部に配設されており、首後部に配設されるようになっている。また、他方の人体通信用電極22Bは、人体通信端末装置本体部21に設けられ、人体前方、ここでは、胸部前方に配設されるようになっている。
【0039】
通信回路部24は、上記各体通信用電極22A、22Bを通じて、人体を通信経路として伝送可能な信号を送信及び受信可能に構成されている。
【0040】
より具体的には、通信回路部24は、上記各体通信用電極22A、22Bのそれぞれに接続された2つの共振回路25と、各共振回路25のそれぞれに接続された検波回路26とを備えている。そして、上記各体通信用電極22A、22Bのそれぞれで受信された信号が各共振回路25に入力され、各共振回路25で人体通信に用いられる搬送波の所定の周波数成分の信号が取出され、それぞれ検波回路26に入力可能に構成されている。そして、所定の周波数成分の信号が各検波回路26に入力されると、各検波回路26は、対応する各体通信用電極22A、22Bでの受信の有無に応じた検波信号を、受信状況信号として出力する。ここでは、各体通信用電極22A、22Bでの受信の有無に応じて、受信が有る場合には対応する検波回路26からハイレベルの信号が出力され、受信が無い場合には対応する検波回路26からローレベルの信号が出力される。
【0041】
なお、検波回路26は、電池31から直接的に給電される給電ラインLaに接続されており、後述する認証制御部30の起動の有無に拘らず常に動作するようになっている。
【0042】
また、通信回路部24は、送信回路27及び受信回路28を備えている。
【0043】
送信回路27は、変調回路、増幅回路等を有しており、一方の共振回路25を介して一方側の人体通信用電極22Bに接続されると共に、認証制御部30に接続されている。そして、認証制御部30より与えられる信号を変調、増幅等し、処理後の信号を、共振回路25を介して一方の人体通信用電極22Bに出力するようになっている。
【0044】
また、受信回路部28は、復調回路、増幅回路等を有しており、一方の共振回路25を介して一方側の人体通信用電極22Bに接続されると共に、認証制御部30に接続されている。そして、一方の人体通信用電極22Bを通じて受信された信号が共振回路25を介して受信回路28に入力されると、この信号を復調、増幅等して認証制御部30に与えるようになっている。
【0045】
なお、これらの送信回路27及び後述する認証制御部30には、同期をとるためのクロック信号が入力されている。また、送信回路27及び受信回路28は、後述する電源制御回路34と認証制御部30との間の給電ラインLbに接続されており、認証制御部30に対する電源供給タイミングと同期して給電されて動作可能になる。
【0046】
認証制御部30は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータにより構成されており、予め格納されたソフトウェアプログラムによって演算動作を行い後述する処理を実行する。この認証制御部30は、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ或は書換え不能なメモリ等によって構成された記憶部30aを有しており、この記憶部30aに予め個人識別ID等が記憶されている。
【0047】
この認証制御部30は、一方の人体通信用電極22Bを介して人体通信を行って所定の認証処理を実行する。図6は本認証制御部30による認証動作例を示すフローチャートである。すなわち、本認証制御部30は、電力が供給されることで起動し、認証処理を実行する。起動後のステップS1では、外部機器である上記認証ロック装置50との間で人体通信を行い、認証ロック装置50からの信号に、個人識別IDの読出要求が含まれるか否かを判定する。ここで、読出要求が含まれないと判断された場合には、ステップS1の処理を繰返す。なお、外部機器から読出要求ではない他の指令が与えられた場合には、当該指令に応じた処理を行ってもよい。
【0048】
ステップS1で読出要求が含まれると判断されると、ステップS2に進む。ステップS2では、記憶部30aから自己の個人識別IDを読出して、人体通信を通じて外部に送信し、処理を終了する。これにより、認証ロック装置50は、人体通信を行った人体通信端末装置20の個人識別IDを取得することができる。
【0049】
また、認証制御部30は、上記認証処理を実行可能な認証可能状態と、認証処理を実行不能な認証不能状態とで切替可能に構成されている。ここでは、認証制御部30は、電力供給が遮断されることで認証不能状態となり、電力供給が開始されることで起動して認証可能な状態になる。
【0050】
これらの人体通信用電極22A、22B、通信回路部24及び認証制御部30とで、人体通信認証処理部が構成されている。
【0051】
認証状態切替部32は、通信回路部24からの出力に基づき、2つの人体通信用電極22A、22Bを通じて信号が受信されたときに、認証制御部30を認証不能状態から認証可能状態に切替可能構成されている。
【0052】
ここでは、認証状態切替部32は、AND回路33と、電源制御回路34とを有している。
【0053】
AND回路33は、上記2つの検波回路26に接続されると共に、イネーブルスイッチ35を介して電源制御回路34に接続されている。そして、上記検波回路26からの出力信号が本AND回路33に入力されると、その2つの入力信号の論理積を信号として出力するように構成されている。つまり、両人体通信用電極22A、22Bで信号が受信されたときにハイレベルの信号を電源オン信号として出力し、両人体通信用電極22A、22Bのいずれか一方又は双方で信号が受信されないときにはローレベルの信号を出力するようになっている。
【0054】
電源制御回路34は、本人体通信端末装置20における電源である電池31と認証制御部30の電源端子との間の電源ラインLの途中に介挿されている。そして、電源制御回路34は、当該電源ラインをオンオフすることで、認証制御部30に対する電力供給の有無を切替えるようになっている。
【0055】
この電源制御回路34における給電ラインのオフからオンへの切替制御は、上記AND回路33から出力される信号に基づいて行われる。すなわち、上記AND回路33から電源オン信号としてハイレベルの信号が出力されたときに、電源ラインLをオンに切替え、認証制御部30に対する電力供給を開始する。これにより、電源制御回路34は、認証制御部30を起動させて認証不能状態から認証可能状態に切替える。
【0056】
電源ラインLのオンからオフへの切替えは、認証制御部30による認証処理終了後のタイミングで行われればよく、例えば、AND回路33から出力される信号がローレベルに代ったタイミング(つまり、認証ロック装置50からの信号が送信されなくなったタイミング)や、認証制御部30に対する電力供給開始後認証処理に必要な所定の時間が経過したタイミング、認証制御部30から認証処理が終了された旨の指令が与えられたタイミング等で行うとよい。
【0057】
また、イネーブルスイッチ35が、上記AND回路33と電源制御回路34との間に介挿されており、上記のように一対のコネクタ部46がコネクタ接続された状態でオン状態となり、そのコネクタ接続が解除された状態でオフ状態となる。つまり、一対のコネクタ部46がコネクタ接続された状態で、上記AND回路33からの出力が電源制御回路34に入力可能となり、コネクタ接続が解除された状態では、電源制御回路34はオフ状態からオン状態に切替らないようになっている。
【0058】
これにより、イネーブルスイッチ35のオンオフ状態に応じて、認証制御部30への電力供給可能な状態又は不能な状態となり、人体通信用電極22A、22B、通信回路部24及び認証制御部30とで構成される人体通信認証処理部が認証可能状態(認証制御部30に電力供給されて起動した状態)と認証不能状態(認証制御部30への電力供給が遮断された状態)との間で切替えられるようになっている。
【0059】
<3.認証ロック装置>
図7は認証ロック装置50の電気的構成を示すブロック図である。認証ロック装置50は、認証ロック制御部52と、送信回路54及び受信回路55と、共振回路56と、人体通信用電極58と、ドライバ回路60と、アクチュエータ62とを備えている。
【0060】
人体通信用電極58は、ロック対象物に設けられた導電性部材である。ここでは、キャビネット10の扉12の取っ手部12aが金属等の導電性材料によって形成されており、人体通信用電極58として用いられている。
【0061】
送信回路54は、変調回路、増幅回路等を有しており、認証ロック制御部52に接続されると共に、共振回路56を介して人体通信用電極58に接続されている。そして、認証ロック制御部52より与えられる信号を変調、増幅等し、処理後の信号を、共振回路56を介して人体通信用電極58に出力する。
【0062】
受信回路55は、復調回路、増幅回路等を有しており、共振回路56を介して人体通信用電極58に接続されると共に、認証ロック制御部52に接続されている。そして、人体通信用電極58を通じて受信された信号が共振回路56を介して受信回路55に入力されると、この信号を復調、増幅等して認証ロック制御部52に与えるようになっている。
【0063】
なお、上記送信回路54及び認証ロック制御部52には、同期をとるためのクロック信号が入力されている。
【0064】
認証ロック制御部52は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータにより構成され、予め格納されたソフトウェアプログラムによって演算動作を行い後述する処理を実行する。この認証ロック制御部52は、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ或は書換え不能なメモリ等によって構成された記憶部52aを有しており、この記憶部52aに予め各個人識別IDと利用権限の有無とを対応づけた認証情報が記憶されている。
【0065】
この認証ロック制御部52は、送信回路54、受信回路55、共振回路56及び人体通信用電極58を介して上記人体通信端末装置20との間で人体通信を行って処理の認証処理を実行する。また、この認証ロック制御部52は、ドライバ回路60を介してアクチュエータ62の動作制御を行う。アクチュエータ62は、モータや電磁プランシャ等によって構成されており、このアクチュエータ62の動作を受けて扉12をロック又はアンロック状態にするためのロック機構を動作させて、当該扉12をロック状態及びアンロック状態に切替えるようになっている。このようなロック機構は、種々の電子式の錠装置に適用されている周知技術を含む種々の構成によって実現可能であるので、ここではその説明を省略する。
【0066】
図8は認証ロック制御部52の動作を示すフローチャートである。初期状態では、ロック機構部はロック状態に維持されており、人体が人体通信用電極58である取っ手部12aに接触したことが検知されることで、以下の処理を開始する。なお、人体と人体通信用電極58との接触は、例えば、人体と人体通信用電極58との静電容量の変動等を利用した原理で検知できる。もっとも、人体と人体通信用電極58との接触検知を行わないで、後述するステップS11における起動信号の送信を断続的に行ってもよい。
【0067】
まず、処理開始後、ステップS11において、認証ロック制御部52は、人体通信用電極58を通じて起動信号を送信する。ここで、起動信号が人体通信端末装置20で受信され、当該人体通信端末装置20が起動すると、当該人体通信端末装置20から個人識別IDが送信されることになる。
【0068】
次ステップS12では、人体通信経由で、個人識別IDが受信されたか否かが判断される。受信無きと判断された場合には、処理を終了し、ロック状態を保つ。一方、受信有りと判断された場合には、次ステップS13に進む。
【0069】
ステップS13では、受信された個人識別ID及び記憶部52aに記憶された認証情報とに基づいて認証が合格か否かが判断される。不合格の場合、即ち、受信した個人識別IDに対して利用無しが対応づけられている場合には、処理を終了し、ロック状態を保つ。一方、認証合格、即ち、受信した個人識別IDに対して利用有りが対応づけられている場合には、次ステップS14に進む。
【0070】
ステップS14では、認証ロック制御部52は、ドライバ回路60を介してアクチュエータ62に解錠動作を行わせる。これにより、扉12はアンロック状態になり、利用者は扉12を開いて利用できるようになる。
【0071】
<4.全体動作>
このように構成された認証システムの全体動作を、認証のための通信開始までの動作を中心に説明する。図9は本認証システムの全体動作の要部を説明するための図である。
【0072】
まず、初期状態では、扉12はロック状態になっている。この状態で、ステップS21のように、人体が人体通信用電極58としての取っ手部12aにタッチ(接触)すると、ステップS22に示すように、認証ロック装置50から人体通信端末装置20に向けて、人体通信により起動信号が送信される。
【0073】
すると、ステップS23〜S25に示すように、人体通信用電極22A、22Bの双方で受信が有り、かつ、コネクタ部46がコネクタ接続された場合に、ステップS26に進むように、認証制御部30が起動する。そして、次ステップS27で認証のための人体通信を開始し、上記認証を行うことになる。
【0074】
一方、ステップS23〜S25のいずれかの条件が満たされない場合には、認証制御部30は起動せず、従って、処理が行われずに、扉12はロック状態に維持される。つまり、人体通信端末装置20を人体から取外された状態では、コネクタ接続が外され、認証制御部30への電力供給は遮断されたままに維持され、従って、認証処理をおこなわない状態で維持される。
【0075】
また、認証制御部30に対して電力供給が開示されて当該認証制御部30が起動した状態であっても、人体通信端末装置20を人体から取外すと、一対のコネクタ部46がオフ状態になり、認証制御部30への電力供給が遮断され、認証不能状態になる。
【0076】
なお、図7のステップS23〜S25は、説明の便宜上、認証制御部30が起動する条件を列挙したものであり、必ずしも具体的な処理順序を示すものではない。
【0077】
図10は、本人体通信端末装置20を所持する利用者が人体通信用電極58に接触した状態を示す図である。
【0078】
同図に示すように、人体通信端末装置20を所持する利用者P1が人体通信用電極58に接触した場合、人体通信端末装置20の両人体通信用電極22A、22Bと認証ロック装置50の人体通信用電極58との間で、床面や地面等をグランドとし、人体の胴部や腕等を信号伝送路とした通信路が形成される。これにより、双方の人体通信用電極22A、22Bと人体通信用電極58との間で人体通信が行われ、上記のような認証がなされることになる。
【0079】
図11は、本人体通信端末装置20を所持する人P1と人体通信用電極58との間に他の人P2が介在し、当該他の人P2が人体通信用電極58に接触した状態を示す図である。
【0080】
この場合、人P1と人P2とが近接していると、両人P1、P2間で比較的大きな浮遊容量が形成され、一方の人体通信用電極22Bと人体通信用電極58との間で、両人P1、P2及び両者間の空間を伝わる信号伝送路が形成される可能性がある。ところが、この場合でも、他方の人体通信用電極22Aは、一方の人体通信用電極22Aよりも人体通信用電極58から大きく離れており、しかも、人P1の人体部分が介在している。このため、人体通信用電極22Aと人体通信用電極58との間で信号伝送路が形成される可能性は低いといえる。人P1の向きが逆の場合には、上記とは逆になる。このように、人体の異なる部位に設置された人体通信用電極22A、22Bの双方が、他人P2を介して、人体通信用電極58との間で人体通信が成立する可能性は低いといえる。
【0081】
このように構成された人体通信端末装置20によると、装着部材40に、当該装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられる一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)が設けられており、装着部材40が人体から取外されるのに伴う一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)のオンオフ状態の変更に応じて、認証制御部30が認証不能状態(電力供給が遮断された状態)に切替可能に構成されている。従って、装着部材40が人体から取外されるのに伴って、認証制御部30を認証不能状態にすることができる。このため、例えば、人体に装着されない人体通信端末装置20が金属製の机上や収納庫等に収納された状態で、人体通信端末装置20を所持しない人が、その机や収納庫等に近接した位置で認証装置に触れたとしても、人体通信端末装置20自体は起動しないままに維持される。このため、人体に装着されていない人体通信端末装置20が誤った認証動作をおこなうことをより確実に抑制することができる。なお、当該装着部材40が人体から取外されるのに伴う一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)のオンオフ状態の変更に応じて、認証制御部30が認証不能状態(電力供給が遮断された状態)に切替可能に構成されているとは、本実施形態における2つの電極22A、22Bでの双方における受信状態のように、他の条件によっても、実際に認証不能な状態に切替えてもよいということを意味している。
【0082】
しかも、コネクタ部46(イネーブルスイッチ35)がオンにされた状態で、認証制御部30に対して電力供給を行って認証可能状態にし、コネクタ部46(イネーブルスイッチ35)がオフにされた状態で、認証制御部30への電力供給を遮断して認証不能状態にしているので、認証不能状態での電力消費を抑制することができる。
【0083】
また、頭周りを通って首周りに配設可能な環状を形成可能な線状部材44の途中に一対のコネクタ部46を設け、一対のコネクタ部46をコネクタ接続することで、首周りに配設可能でかつ頭周りを通って通過可能な環状部分Rを形成するようにしている。このため、線状部材44を首周りに配設した状態で、一対のコネクタ部46をコネクタ接続することで、認証動作可能な状態にすることができる。一方、人体通信端末装置20を人体から取外す際には、一対のコネクタ部46のコネクタ接続を外す必要があるので、人体から外された状態で、忘れることなく認証不能状態に切替えることができる。
【0084】
{変形例}
なお、本実施形態では、2つの人体通信用電極22A、22Bで受信がなされたときに、認証不能状態から認証可能状態に切替可能に構成しているが、かかる構成は省略してもよい。
【0085】
例えば、一方の電極22A及びそれに対応する構成部分を省略し、一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)のオン状態への切替により、電源制御部34に対してオン状態にする旨の信号が入力されるようにしてもよい。
【0086】
また、図12に示す変形例のように、電池31から認証制御部30に対して電力供給を行う電源ラインLの途中に、上記一対のコネクタ部46と同様構成の一対のコネクタ部146を設け、両コネクタ部146同士のコネクタ接続により認証制御部30に電力供給がなされ、両コネクタ部146同士のコネクタ接続を外すことにより認証制御部30への電力供給が断たれる構成であってもよい。
【0087】
また、両コネクタ部46、146のオンオフ状態に応じた信号を、認証制御部30等に対してスリープ信号又は休止信号として与えて、認証制御部30等を認証可能状態(イネーブル状態)からスリープ状態又は休止状態等の認証不能状態(ディセーブル状態)に切替えるようにしてもよい。ここで、スリープ状態又は休止状態は、上記認証処理を実行する通常状態(認証可能状態)と比較して、少なくとも一部の機能を無効等して消費電力を抑制した状態であり、人体通信用電極22B等で信号が受信されても動作を開始しない認証不能状態をいう。
【0088】
また、両コネクタ部46、146のオンオフ状態に応じた信号を、認証制御部30等に対して認証処理開始指令又は認証停止指令として与え、認証制御部30等で当該指令に応じて上記認証処理を実行する認証可能状態と認証不能状態とで切替えて処理するようにしてもよい。
【0089】
また、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部としては、必ずしも上記コネクタ部46、146のような構成を採用する必要はない。
【0090】
例えば、線状部材44に、嵌め込み、挟込み、或はねじ込み等により合体及び分離可能な2つの部材を設け、一方の部材に両部材の合体により押込操作されてオン状態又はオフ状態になり、分離により上記押込操作力が解除されて逆にオフ状態又はオン状態になるスイッチ等を組込んでもよい。
【0091】
また、上記のようにスイッチ部のオンオフ状態に応じた信号を、認証制御部30等に対してスリープ信号又は休止信号、認証処理開始指令又は認証停止指令等として与える場合いは、スイッチ部のオンオフ状態を判別できればよいから、上記2つの部材が合体状態及び分離状態のいずれでオン状態或はオフ状態になってもよい。
【0092】
また、上記のように、認証制御部30を、スイッチ部のオンオフに応じて認証可能状態と認証不能状態とで切替えるだけでなく、人体通信用電極22Aや通信回路部24等、人体通信認証処理部として機能する一部を動作不能及び動作可能に切替えてもよい。
【0093】
つまり、スイッチ部としては、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられる構成を全て含む。また、本人体通信端末装置20としては、スイッチ部のオンオフに応じて人体通信を行って認証を行うための人体通信認証処理部の少なくとも一部に対する電力供給を継続又は遮断したり当該一部の回路を断続する等して認証可能状態と認証不能状態との間で切替可能な構成や、スイッチ部のオンオフに応じて、人体通信を行って認証を行うための人体通信認証処理部の少なくとも一部に対して所定の指令を与えて認証可能状態と認証不能状態との間で切替可能な構成等を全て含む。
【0094】
また、装着部材40としては、上記のように首から吊下げ可能な線状部材44を有するものに限られない。
【0095】
例えば、装着部材は、人体の腰部に装着される腰ベルト状の形態、人体の手首に装着されるリストバンドとしての形態として構成されていてもよい。この場合、人体からの取外しに際して操作されるバックル部分等に、スイッチ部を組込むとよい。
【0096】
また、本人体通信端末装置20は、上記実施形態で述べた例に限らず、特定人であるか否かを判別する全ての認証システムに適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】認証システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】コネクタ部を接続した状態における人体通信端末装置の全体構成を示す図である。
【図3】コネクタ部を示す図である。
【図4】コネクタ部の接続を外した状態における人体通信端末装置の全体構成を示す図である。
【図5】人体通信端末装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】認証制御部による認証動作例を示すフローチャートである。
【図7】認証ロック装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】認証ロック制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】認証システムの全体動作の要部を説明するための図である。
【図10】人体通信端末装置を所持する利用者が人体通信用電極に接触した状態を示す図である。
【図11】人体通信端末装置を所持する人と人体通信用電極との間に他の人が介在し、当該他の人が人体通信用電極に接触した状態を示す図である。
【図12】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
20 人体通信端末装置
22A、22B 体通信用電極
24 通信回路部
30 認証制御部
30a 記憶部
31 電池
32 認証状態切替部
34 電源制御回路
35 イネーブルスイッチ
40 装着部材
44 線状部材
46、146 コネクタ部
48 導体部
50 認証ロック装置
58 人体通信用電極
L 電源ライン
R 環状部分
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体通信を利用して、キャビネット等の利用権限等を認証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
人体通信端末装置として、特許文献1に開示のものがある。特許文献1は、人体通信を行うRFID記録媒体を、人間の首から下げて携帯する態様を開示している。
【0003】
【特許文献1】特開2005−27095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人体通信の原理上、人体通信端末装置を人体に装着していなくても、何らかの媒体を通じて通信経路が確立されれば人体通信は成立し得る。このため、例えば、使用していない人体通信端末装置が金属製の机上や収納庫等に収納された状態で、人体通信端末装置を所持しない人が、その机や収納庫等に近接した位置で認証装置に触れると、金属製の机や収納庫等及び認証装置に触れた人、それらの間の若干の空間を通信経路として人体通信が成立する恐れがある。その結果、本来認証されるべきない人に対して、認証結果合格と判断されてしまう恐れがある。
【0005】
ここで、人体通信端末装置自体に電源スイッチを設け、人体通信端末装置を人体から取外した場合に電源スイッチをオフにするようにすれば、上記のような誤った認証は防止される。しかしながら、この場合、利用者による電源オフ操作のし忘れ等が発生し得、上記のような誤った認証を確実に防止することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る人体通信端末装置は、認証装置との間で人体通信を行って認証処理を実行可能な人体通信端末装置であって、人体通信用電極と、前記人体通信用電極を通じて人体を通信経路として伝送可能な信号を送信及び受信する通信回路部と、前記人体通信用電極及び前記通信回路部を介して人体通信を行って認証処理を実行可能に構成された認証制御部とを有する人体通信認証処理部と、人体に着脱自在に装着可能な装着部材と、前記装着部材に設けられ、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部と、を備え、前記人体通信認証処理部は、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴い切替えられる前記スイッチ部のオンオフ状態の変更に応じて、認証処理を実行不能な認証不能状態に切替可能に構成されているものである。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係る人体通信端末装置であって、前記スイッチ部は、前記装着部材が前記人体に装着された状態でオン状態を継続可能であり、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオン状態からオフ状態に切替可能に構成され、前記スイッチ部がオンにされた状態で、前記人体通信認証処理部に電力供給可能となって前記認証可能状態に切替可能になり、前記スイッチ部がオフにされた状態で、前記人体通信認証処理部の少なくとも一部への電力供給が絶たれて前記認証不能状態になるものである。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る人体通信端末装置であって、人体の頭周りを通って首周りに配設可能な環状の線状部材をさらに備え、前記スイッチ部は、合体及び分離自在な一対の分割スイッチ部を有し、それらの合体及び分離状態に応じてオンオフ切替可能に構成され、前記一対の分割スイッチ部が前記線状部材の延在方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記一対の分割スイッチ部が合体することで、前記線状部材の一部により前記首周りに配設可能でかつ前記頭周りを通過不能な環状部分が形成されるものである。
【発明の効果】
【0010】
第1の態様に係る人体通信端末装置によると、前記装着部材に設けられ、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部を備えており、前記人体通信認証処理部は、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴い切替えられる前記スイッチ部のオンオフ状態の変更に応じて、認証処理を実行不能な認証不能状態に切替可能に構成されている。このため、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴って、前記人体通信認証処理部を認証不能状態に切替えることができる。これにより、人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことをより確実に抑制することができる。
【0011】
また、第2の態様によると、前記装着部材が前記人体から取外されると、前記人体通信認証処理部の少なくとも一部への電力供給が絶たれて前記認証不能状態になるため、その状態での電力消費を抑制することができる。
【0012】
さらに、第3の態様によると、前記一対の分割スイッチ部が前記線状部材の延在方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記一対の分割スイッチ部が合体することで、前記線状部材の一部により前記首周りに配設可能でかつ前記頭周りを通過不能な環状部分が形成される。このため、線状部材を首周りに配設した状態で、一対の分割スイッチ部を合体させることで、人体通信認証処理部に認証処理を行わせることができる。一方、本人体通信端末装置を人体から外す場合には、上記一対の分割スイッチ部を分離させる必要がある。人体から外された状態では、忘れることなく認証不能状態に切替えることができ、人体に装着されていない人体通信端末装置が、誤った認証動作を行うことをより確実に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、実施形態に係る人体通信端末装置について説明する。
【0014】
<1.全体構成>
まず、本人体通信端末装置が適用された認証システムの全体構成について説明する。図1は本認証システムの全体構成を示す説明図である。
【0015】
この認証システムは、ロック対象物の認証を行うシステムであり、人体通信端末装置20と、認証ロック装置50とを備えている。
【0016】
ロック対象物は、利用不能なロック状態と利用可能なアンロック状態とで切替えて管理される物である。このようなロック対象物としては、格納手段に取付けられた開閉部や部屋の出入口、電気機器等が想定される。ここでは、ロック対象物が、格納手段としての開閉部であるキャビネット10の扉12である場合を想定して説明する。
【0017】
上記人体通信端末装置20は、本システムの利用者Pに付与されるものであり、当該人体通信端末装置20には、予め当該利用者Pに対応づけられた個人識別IDが登録されている。
【0018】
認証ロック装置50は、上記人体通信端末装置20との間で人体を通信経路として人体通信可能に構成されており、人体通信端末装置20との間で通信を行うことで、当該人体通信端末装置20を所持する利用者Pに利用権限があるか否かを判別し、利用権限あると判断した場合にロック対象物であるキャビネット10の扉12をアンロック状態、即ち、利用可能な状態にする。つまり、この認証ロック装置50は、認証を行う認証装置としての機能と、認証結果に基づいてロック対象物のロック状態とアンロック状態とを切替制御するロック制御装置としての機能とを有している。
【0019】
本システムの概略的な使用方法を説明しておくと、この認証システムを利用する利用者Pは、人体通信端末装置20を所持してキャビネット10の扉12前に立ち、扉12の取っ手部12aに触れる。すると、認証ロック装置50は、人体通信端末装置20との間で人体通信を行って利用権限の有無を判断し、利用権限有りと判断された場合に、アンロック状態に切替える。これにより、利用者Pは当該扉を開いてキャビネット10を利用できるようになる。
【0020】
以下、各部構成についてより詳細に説明する。
【0021】
<2.人体通信端末装置>
図2はコネクタ部46を接続した状態における人体通信端末装置20の全体構成を示す図であり、図3はコネクタ部46を示す図であり、図4はコネクタ部46を外した状態における人体通信端末装置20の全体構成を示す図である。
【0022】
この人体通信端末装置20は、人体通信端末装置本体部21と、この人体通信端末装置本体部21を人体に装着した状態で保持するための装着部材40とを備えており、認証ロック装置50との間で人体通信を行って後述する認証処理を実行可能に構成されている。後述する電極22A、22Bのそれぞれは、一定の空隙をあけた対向配置された2枚の平板状の導電性材料(以下、導電板)で構成されている。2枚の導電板の空隙を移動する電荷によって互いに静電結合して電気回路が構成される。2枚で一対の導電板によって構成される電極のうち一枚の導電板が人体に面するように人が所持する。この導電板は人体と浮遊容量を介して静電結合し、これにより電極と人体とが電気的に接合される。もう一枚の導電板は大地アース等と浮遊容量を介して静電結合し、これにより電極と大地等とが電気的に接続される。これを合わせ、人体と大地とが電気的に接続されるようになり、この特性を利用して通信を行う。
【0023】
人体通信端末装置本体部21は、後述する回路を構成するための各電気部品を基板に実装した構成とされ、ここでは、略方形板状のカード状の外形状に形成されている。この人体通信端末装置本体部21に、後述する人体通信認証処理部としての部分的な機能が組込まれている。
【0024】
装着部材40は、人体に着脱自在に装着可能に構成される部材であり、ここでは、保持部としてのホルダ部42と、線状部材44とを有している。
【0025】
ホルダ部42は、人体通信端末装置本体部21を保持可能に形成されている。ここでは、ホルダ部42は、上記人体通信端末装置本体部21を収容可能でかつ上方に開口する収容空間を有する略長方形ケース状の部材に形成されており、当該収容空間に上方の開口を通じて人体通信端末装置本体部21を挿脱自在に形成されている。
【0026】
線状部材44は、略環状に形成されており、上記ホルダ部42の上端部に形成された孔に通す等して連結されている。そして、本線状部材44を人体Pの首周りに配設するようにして吊下げた状態で、ホルダ部42及びそれに保持された人体通信端末装置本体部21が人体Pの首下から胸部前方あたりに位置して吊下げ状に支持されるようになっている。
【0027】
この線状部材44の長さ寸法は、一般的な人体の頭部周りの長さ寸法よりも大きく設定されており、人体の頭周りを通って首周りに配設可能な環状に形成されている(図4参照)。
【0028】
また、後述する2つの電極22A、22Bのうち一方の電極22Aが、線状部材44のうち上記ホルダ部42に対する連結部分から略等距離の中間部の位置、即ち、ホルダ部42の反対側の位置に配設されている。また、他方の電極22Bは、人体通信端末装置本体部21に設けられている。そして、本人体通信端末装置20を上記のようにして人体に装着すると、一方の電極22Aが人体の首後部周りに配設され、他方の電極22Bが人体の前方に配設されるようになっている。
【0029】
また、この線状部材44には、一対のコネクタ部46、導体部47及び一対の導体部48が組込まれている。
【0030】
導体部47は、線状部材44に沿って一方の電極22Aと人体通信端末装置本体部21とを接続するように配設されている。
【0031】
また、一対のコネクタ部46が、線状部材44のうち一方の電極22Aとホルダ部42への連結部分とを結ぶ2つの線状部分の中間部にそれぞれ設けられている。一対のコネクタ部46は、相互に嵌合接続可能なハウジング46aと、相互接続可能な端子部46b(一方がオス端子で他方がメス端子)とを有している(図3参照)。一方の端子部46bは、線状部材44の部分に沿って一方の導体部48を介して人体通信端末装置本体部21に接続されており、他方の端子部46bは、線状部材44の部分に沿って他方の導体部48を介して人体通信端末装置本体部21に接続されている。そして、両コネクタ部46をコネクタ接続(合体)することで、両ハウジング46a同士の嵌合接続及び両端子部46b同士の接続により機械的な接続がなされる。また、両端子部46b同士の接続により電気的な接続が得られ、両導体部48同士が電気的に接続されるようになっている。また、両コネクタ部46のコネクタ接続を外す(分離)することで、両端子部46bの電気的な接続が解除され、両導体部48同士が電気的に非接続状態になる。
【0032】
つまり、一対のコネクタ部46は、それぞれ合体及び分離自在な一対の分割スイッチ部として機能する。そして、一対のコネクタ部46は全体として、一対のコネクタ部46の合体及び分離状態に応じてオンオフ切替可能な、ここでは、合体によりオン状態になり、分離によりオフ状態になるイネーブルスイッチ35(スイッチ部)として機能する。
【0033】
このように一対のコネクタ部46がコネクタ接続されてオン状態になることで、後述するAND回路33から電源制御回路34に至る信号伝送路が形成されるようになっている。
【0034】
また、一対のコネクタ部46は、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるように、より具体的には、装着部材40が人体に装着された状態でオン状態を継続可能であり、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオン状態からオフ状態に切替えられるように構成されている。
【0035】
ここでは、人体の頭部周りの寸法が首周りの寸法よりも大きいことを利用した構成を採用している。つまり、一対のコネクタ部46は、線状部材44の延在方向に沿って間隔をあけた位置に設けられている。そして、一対のコネクタ部46同士をコネクタ接続した状態で、線状部材44のうち一方のコネクタ部46からホルダ部42の反対側の部分(一方の電極22A側の部分)を経て他方のコネクタ部46に至る比較的小さい環状部分Rが形成される(図2参照)。線状部材44のうち当該比較的小さい環状部分Rを構成する部分の長さ寸法は、一般的な人体の首周りの長さ寸法よりも大きく、かつ、一般的な人体の頭周りの長さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、環状部分Rは、人体の首周りに配設可能でかつ頭周りを通過不能とされている。コネクタ部46同士のコネクタ接続を外した状態では、線状部材44を、人体の頭周りを通って首周りに配設することができ、この状態で、上記環状部分Rを首周りに配設するようにして、両コネクタ部46同士をコネクタ接続できるようになっている。また、このように両コネクタ部46同士をコネクタ接続したままの状態では、環状部分Rを首周りから頭周りを通って外すことはできず、コネクタ接続を外すことで、線状部材44を首周りから頭周りを通って外すことができるようになっている。これにより、一対のコネクタ部46が、線状部材44が人体から取外されるのに伴い、オンオフ切替えされる、より具体的には、必然的にオン状態からオフ状態に切替えられるイネーブルスイッチ35(スイッチ部)として機能するようになっている。
【0036】
なお、上記導体部47としては、同軸ケーブル等、内部導体を外部から電磁的にシールド可能なものを用いることが好ましい。導体部47が人体通信用電極として機能することを抑制するためである。導体部48としては、種々の導体を用いることができるが、やはり外部からのノイズ混入等を防止するため同軸ケーブル等、内部導体を外部から電磁的にシールド可能なものを用いることが好ましい。
【0037】
図5は人体通信端末装置20の電気的構成を示すブロック図である。この人体通信端末装置20は、認証ロック装置50との間で人体通信を行って認証処理を実行可能に構成されており、2つの人体通信用電極22A、22Bと、通信回路部24と、認証制御部30と、認証状態切替部32とを有している。
【0038】
人体通信用電極22A、22Bは、人体における異なる箇所に配設可能に構成されている。ここでは、上記したように、一方の人体通信用電極22Aは、線状部材44の中間部に配設されており、首後部に配設されるようになっている。また、他方の人体通信用電極22Bは、人体通信端末装置本体部21に設けられ、人体前方、ここでは、胸部前方に配設されるようになっている。
【0039】
通信回路部24は、上記各体通信用電極22A、22Bを通じて、人体を通信経路として伝送可能な信号を送信及び受信可能に構成されている。
【0040】
より具体的には、通信回路部24は、上記各体通信用電極22A、22Bのそれぞれに接続された2つの共振回路25と、各共振回路25のそれぞれに接続された検波回路26とを備えている。そして、上記各体通信用電極22A、22Bのそれぞれで受信された信号が各共振回路25に入力され、各共振回路25で人体通信に用いられる搬送波の所定の周波数成分の信号が取出され、それぞれ検波回路26に入力可能に構成されている。そして、所定の周波数成分の信号が各検波回路26に入力されると、各検波回路26は、対応する各体通信用電極22A、22Bでの受信の有無に応じた検波信号を、受信状況信号として出力する。ここでは、各体通信用電極22A、22Bでの受信の有無に応じて、受信が有る場合には対応する検波回路26からハイレベルの信号が出力され、受信が無い場合には対応する検波回路26からローレベルの信号が出力される。
【0041】
なお、検波回路26は、電池31から直接的に給電される給電ラインLaに接続されており、後述する認証制御部30の起動の有無に拘らず常に動作するようになっている。
【0042】
また、通信回路部24は、送信回路27及び受信回路28を備えている。
【0043】
送信回路27は、変調回路、増幅回路等を有しており、一方の共振回路25を介して一方側の人体通信用電極22Bに接続されると共に、認証制御部30に接続されている。そして、認証制御部30より与えられる信号を変調、増幅等し、処理後の信号を、共振回路25を介して一方の人体通信用電極22Bに出力するようになっている。
【0044】
また、受信回路部28は、復調回路、増幅回路等を有しており、一方の共振回路25を介して一方側の人体通信用電極22Bに接続されると共に、認証制御部30に接続されている。そして、一方の人体通信用電極22Bを通じて受信された信号が共振回路25を介して受信回路28に入力されると、この信号を復調、増幅等して認証制御部30に与えるようになっている。
【0045】
なお、これらの送信回路27及び後述する認証制御部30には、同期をとるためのクロック信号が入力されている。また、送信回路27及び受信回路28は、後述する電源制御回路34と認証制御部30との間の給電ラインLbに接続されており、認証制御部30に対する電源供給タイミングと同期して給電されて動作可能になる。
【0046】
認証制御部30は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータにより構成されており、予め格納されたソフトウェアプログラムによって演算動作を行い後述する処理を実行する。この認証制御部30は、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ或は書換え不能なメモリ等によって構成された記憶部30aを有しており、この記憶部30aに予め個人識別ID等が記憶されている。
【0047】
この認証制御部30は、一方の人体通信用電極22Bを介して人体通信を行って所定の認証処理を実行する。図6は本認証制御部30による認証動作例を示すフローチャートである。すなわち、本認証制御部30は、電力が供給されることで起動し、認証処理を実行する。起動後のステップS1では、外部機器である上記認証ロック装置50との間で人体通信を行い、認証ロック装置50からの信号に、個人識別IDの読出要求が含まれるか否かを判定する。ここで、読出要求が含まれないと判断された場合には、ステップS1の処理を繰返す。なお、外部機器から読出要求ではない他の指令が与えられた場合には、当該指令に応じた処理を行ってもよい。
【0048】
ステップS1で読出要求が含まれると判断されると、ステップS2に進む。ステップS2では、記憶部30aから自己の個人識別IDを読出して、人体通信を通じて外部に送信し、処理を終了する。これにより、認証ロック装置50は、人体通信を行った人体通信端末装置20の個人識別IDを取得することができる。
【0049】
また、認証制御部30は、上記認証処理を実行可能な認証可能状態と、認証処理を実行不能な認証不能状態とで切替可能に構成されている。ここでは、認証制御部30は、電力供給が遮断されることで認証不能状態となり、電力供給が開始されることで起動して認証可能な状態になる。
【0050】
これらの人体通信用電極22A、22B、通信回路部24及び認証制御部30とで、人体通信認証処理部が構成されている。
【0051】
認証状態切替部32は、通信回路部24からの出力に基づき、2つの人体通信用電極22A、22Bを通じて信号が受信されたときに、認証制御部30を認証不能状態から認証可能状態に切替可能構成されている。
【0052】
ここでは、認証状態切替部32は、AND回路33と、電源制御回路34とを有している。
【0053】
AND回路33は、上記2つの検波回路26に接続されると共に、イネーブルスイッチ35を介して電源制御回路34に接続されている。そして、上記検波回路26からの出力信号が本AND回路33に入力されると、その2つの入力信号の論理積を信号として出力するように構成されている。つまり、両人体通信用電極22A、22Bで信号が受信されたときにハイレベルの信号を電源オン信号として出力し、両人体通信用電極22A、22Bのいずれか一方又は双方で信号が受信されないときにはローレベルの信号を出力するようになっている。
【0054】
電源制御回路34は、本人体通信端末装置20における電源である電池31と認証制御部30の電源端子との間の電源ラインLの途中に介挿されている。そして、電源制御回路34は、当該電源ラインをオンオフすることで、認証制御部30に対する電力供給の有無を切替えるようになっている。
【0055】
この電源制御回路34における給電ラインのオフからオンへの切替制御は、上記AND回路33から出力される信号に基づいて行われる。すなわち、上記AND回路33から電源オン信号としてハイレベルの信号が出力されたときに、電源ラインLをオンに切替え、認証制御部30に対する電力供給を開始する。これにより、電源制御回路34は、認証制御部30を起動させて認証不能状態から認証可能状態に切替える。
【0056】
電源ラインLのオンからオフへの切替えは、認証制御部30による認証処理終了後のタイミングで行われればよく、例えば、AND回路33から出力される信号がローレベルに代ったタイミング(つまり、認証ロック装置50からの信号が送信されなくなったタイミング)や、認証制御部30に対する電力供給開始後認証処理に必要な所定の時間が経過したタイミング、認証制御部30から認証処理が終了された旨の指令が与えられたタイミング等で行うとよい。
【0057】
また、イネーブルスイッチ35が、上記AND回路33と電源制御回路34との間に介挿されており、上記のように一対のコネクタ部46がコネクタ接続された状態でオン状態となり、そのコネクタ接続が解除された状態でオフ状態となる。つまり、一対のコネクタ部46がコネクタ接続された状態で、上記AND回路33からの出力が電源制御回路34に入力可能となり、コネクタ接続が解除された状態では、電源制御回路34はオフ状態からオン状態に切替らないようになっている。
【0058】
これにより、イネーブルスイッチ35のオンオフ状態に応じて、認証制御部30への電力供給可能な状態又は不能な状態となり、人体通信用電極22A、22B、通信回路部24及び認証制御部30とで構成される人体通信認証処理部が認証可能状態(認証制御部30に電力供給されて起動した状態)と認証不能状態(認証制御部30への電力供給が遮断された状態)との間で切替えられるようになっている。
【0059】
<3.認証ロック装置>
図7は認証ロック装置50の電気的構成を示すブロック図である。認証ロック装置50は、認証ロック制御部52と、送信回路54及び受信回路55と、共振回路56と、人体通信用電極58と、ドライバ回路60と、アクチュエータ62とを備えている。
【0060】
人体通信用電極58は、ロック対象物に設けられた導電性部材である。ここでは、キャビネット10の扉12の取っ手部12aが金属等の導電性材料によって形成されており、人体通信用電極58として用いられている。
【0061】
送信回路54は、変調回路、増幅回路等を有しており、認証ロック制御部52に接続されると共に、共振回路56を介して人体通信用電極58に接続されている。そして、認証ロック制御部52より与えられる信号を変調、増幅等し、処理後の信号を、共振回路56を介して人体通信用電極58に出力する。
【0062】
受信回路55は、復調回路、増幅回路等を有しており、共振回路56を介して人体通信用電極58に接続されると共に、認証ロック制御部52に接続されている。そして、人体通信用電極58を通じて受信された信号が共振回路56を介して受信回路55に入力されると、この信号を復調、増幅等して認証ロック制御部52に与えるようになっている。
【0063】
なお、上記送信回路54及び認証ロック制御部52には、同期をとるためのクロック信号が入力されている。
【0064】
認証ロック制御部52は、CPU、ROMおよびRAM等を備える一般的なマイクロコンピュータにより構成され、予め格納されたソフトウェアプログラムによって演算動作を行い後述する処理を実行する。この認証ロック制御部52は、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ或は書換え不能なメモリ等によって構成された記憶部52aを有しており、この記憶部52aに予め各個人識別IDと利用権限の有無とを対応づけた認証情報が記憶されている。
【0065】
この認証ロック制御部52は、送信回路54、受信回路55、共振回路56及び人体通信用電極58を介して上記人体通信端末装置20との間で人体通信を行って処理の認証処理を実行する。また、この認証ロック制御部52は、ドライバ回路60を介してアクチュエータ62の動作制御を行う。アクチュエータ62は、モータや電磁プランシャ等によって構成されており、このアクチュエータ62の動作を受けて扉12をロック又はアンロック状態にするためのロック機構を動作させて、当該扉12をロック状態及びアンロック状態に切替えるようになっている。このようなロック機構は、種々の電子式の錠装置に適用されている周知技術を含む種々の構成によって実現可能であるので、ここではその説明を省略する。
【0066】
図8は認証ロック制御部52の動作を示すフローチャートである。初期状態では、ロック機構部はロック状態に維持されており、人体が人体通信用電極58である取っ手部12aに接触したことが検知されることで、以下の処理を開始する。なお、人体と人体通信用電極58との接触は、例えば、人体と人体通信用電極58との静電容量の変動等を利用した原理で検知できる。もっとも、人体と人体通信用電極58との接触検知を行わないで、後述するステップS11における起動信号の送信を断続的に行ってもよい。
【0067】
まず、処理開始後、ステップS11において、認証ロック制御部52は、人体通信用電極58を通じて起動信号を送信する。ここで、起動信号が人体通信端末装置20で受信され、当該人体通信端末装置20が起動すると、当該人体通信端末装置20から個人識別IDが送信されることになる。
【0068】
次ステップS12では、人体通信経由で、個人識別IDが受信されたか否かが判断される。受信無きと判断された場合には、処理を終了し、ロック状態を保つ。一方、受信有りと判断された場合には、次ステップS13に進む。
【0069】
ステップS13では、受信された個人識別ID及び記憶部52aに記憶された認証情報とに基づいて認証が合格か否かが判断される。不合格の場合、即ち、受信した個人識別IDに対して利用無しが対応づけられている場合には、処理を終了し、ロック状態を保つ。一方、認証合格、即ち、受信した個人識別IDに対して利用有りが対応づけられている場合には、次ステップS14に進む。
【0070】
ステップS14では、認証ロック制御部52は、ドライバ回路60を介してアクチュエータ62に解錠動作を行わせる。これにより、扉12はアンロック状態になり、利用者は扉12を開いて利用できるようになる。
【0071】
<4.全体動作>
このように構成された認証システムの全体動作を、認証のための通信開始までの動作を中心に説明する。図9は本認証システムの全体動作の要部を説明するための図である。
【0072】
まず、初期状態では、扉12はロック状態になっている。この状態で、ステップS21のように、人体が人体通信用電極58としての取っ手部12aにタッチ(接触)すると、ステップS22に示すように、認証ロック装置50から人体通信端末装置20に向けて、人体通信により起動信号が送信される。
【0073】
すると、ステップS23〜S25に示すように、人体通信用電極22A、22Bの双方で受信が有り、かつ、コネクタ部46がコネクタ接続された場合に、ステップS26に進むように、認証制御部30が起動する。そして、次ステップS27で認証のための人体通信を開始し、上記認証を行うことになる。
【0074】
一方、ステップS23〜S25のいずれかの条件が満たされない場合には、認証制御部30は起動せず、従って、処理が行われずに、扉12はロック状態に維持される。つまり、人体通信端末装置20を人体から取外された状態では、コネクタ接続が外され、認証制御部30への電力供給は遮断されたままに維持され、従って、認証処理をおこなわない状態で維持される。
【0075】
また、認証制御部30に対して電力供給が開示されて当該認証制御部30が起動した状態であっても、人体通信端末装置20を人体から取外すと、一対のコネクタ部46がオフ状態になり、認証制御部30への電力供給が遮断され、認証不能状態になる。
【0076】
なお、図7のステップS23〜S25は、説明の便宜上、認証制御部30が起動する条件を列挙したものであり、必ずしも具体的な処理順序を示すものではない。
【0077】
図10は、本人体通信端末装置20を所持する利用者が人体通信用電極58に接触した状態を示す図である。
【0078】
同図に示すように、人体通信端末装置20を所持する利用者P1が人体通信用電極58に接触した場合、人体通信端末装置20の両人体通信用電極22A、22Bと認証ロック装置50の人体通信用電極58との間で、床面や地面等をグランドとし、人体の胴部や腕等を信号伝送路とした通信路が形成される。これにより、双方の人体通信用電極22A、22Bと人体通信用電極58との間で人体通信が行われ、上記のような認証がなされることになる。
【0079】
図11は、本人体通信端末装置20を所持する人P1と人体通信用電極58との間に他の人P2が介在し、当該他の人P2が人体通信用電極58に接触した状態を示す図である。
【0080】
この場合、人P1と人P2とが近接していると、両人P1、P2間で比較的大きな浮遊容量が形成され、一方の人体通信用電極22Bと人体通信用電極58との間で、両人P1、P2及び両者間の空間を伝わる信号伝送路が形成される可能性がある。ところが、この場合でも、他方の人体通信用電極22Aは、一方の人体通信用電極22Aよりも人体通信用電極58から大きく離れており、しかも、人P1の人体部分が介在している。このため、人体通信用電極22Aと人体通信用電極58との間で信号伝送路が形成される可能性は低いといえる。人P1の向きが逆の場合には、上記とは逆になる。このように、人体の異なる部位に設置された人体通信用電極22A、22Bの双方が、他人P2を介して、人体通信用電極58との間で人体通信が成立する可能性は低いといえる。
【0081】
このように構成された人体通信端末装置20によると、装着部材40に、当該装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられる一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)が設けられており、装着部材40が人体から取外されるのに伴う一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)のオンオフ状態の変更に応じて、認証制御部30が認証不能状態(電力供給が遮断された状態)に切替可能に構成されている。従って、装着部材40が人体から取外されるのに伴って、認証制御部30を認証不能状態にすることができる。このため、例えば、人体に装着されない人体通信端末装置20が金属製の机上や収納庫等に収納された状態で、人体通信端末装置20を所持しない人が、その机や収納庫等に近接した位置で認証装置に触れたとしても、人体通信端末装置20自体は起動しないままに維持される。このため、人体に装着されていない人体通信端末装置20が誤った認証動作をおこなうことをより確実に抑制することができる。なお、当該装着部材40が人体から取外されるのに伴う一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)のオンオフ状態の変更に応じて、認証制御部30が認証不能状態(電力供給が遮断された状態)に切替可能に構成されているとは、本実施形態における2つの電極22A、22Bでの双方における受信状態のように、他の条件によっても、実際に認証不能な状態に切替えてもよいということを意味している。
【0082】
しかも、コネクタ部46(イネーブルスイッチ35)がオンにされた状態で、認証制御部30に対して電力供給を行って認証可能状態にし、コネクタ部46(イネーブルスイッチ35)がオフにされた状態で、認証制御部30への電力供給を遮断して認証不能状態にしているので、認証不能状態での電力消費を抑制することができる。
【0083】
また、頭周りを通って首周りに配設可能な環状を形成可能な線状部材44の途中に一対のコネクタ部46を設け、一対のコネクタ部46をコネクタ接続することで、首周りに配設可能でかつ頭周りを通って通過可能な環状部分Rを形成するようにしている。このため、線状部材44を首周りに配設した状態で、一対のコネクタ部46をコネクタ接続することで、認証動作可能な状態にすることができる。一方、人体通信端末装置20を人体から取外す際には、一対のコネクタ部46のコネクタ接続を外す必要があるので、人体から外された状態で、忘れることなく認証不能状態に切替えることができる。
【0084】
{変形例}
なお、本実施形態では、2つの人体通信用電極22A、22Bで受信がなされたときに、認証不能状態から認証可能状態に切替可能に構成しているが、かかる構成は省略してもよい。
【0085】
例えば、一方の電極22A及びそれに対応する構成部分を省略し、一対のコネクタ部46(イネーブルスイッチ35)のオン状態への切替により、電源制御部34に対してオン状態にする旨の信号が入力されるようにしてもよい。
【0086】
また、図12に示す変形例のように、電池31から認証制御部30に対して電力供給を行う電源ラインLの途中に、上記一対のコネクタ部46と同様構成の一対のコネクタ部146を設け、両コネクタ部146同士のコネクタ接続により認証制御部30に電力供給がなされ、両コネクタ部146同士のコネクタ接続を外すことにより認証制御部30への電力供給が断たれる構成であってもよい。
【0087】
また、両コネクタ部46、146のオンオフ状態に応じた信号を、認証制御部30等に対してスリープ信号又は休止信号として与えて、認証制御部30等を認証可能状態(イネーブル状態)からスリープ状態又は休止状態等の認証不能状態(ディセーブル状態)に切替えるようにしてもよい。ここで、スリープ状態又は休止状態は、上記認証処理を実行する通常状態(認証可能状態)と比較して、少なくとも一部の機能を無効等して消費電力を抑制した状態であり、人体通信用電極22B等で信号が受信されても動作を開始しない認証不能状態をいう。
【0088】
また、両コネクタ部46、146のオンオフ状態に応じた信号を、認証制御部30等に対して認証処理開始指令又は認証停止指令として与え、認証制御部30等で当該指令に応じて上記認証処理を実行する認証可能状態と認証不能状態とで切替えて処理するようにしてもよい。
【0089】
また、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部としては、必ずしも上記コネクタ部46、146のような構成を採用する必要はない。
【0090】
例えば、線状部材44に、嵌め込み、挟込み、或はねじ込み等により合体及び分離可能な2つの部材を設け、一方の部材に両部材の合体により押込操作されてオン状態又はオフ状態になり、分離により上記押込操作力が解除されて逆にオフ状態又はオン状態になるスイッチ等を組込んでもよい。
【0091】
また、上記のようにスイッチ部のオンオフ状態に応じた信号を、認証制御部30等に対してスリープ信号又は休止信号、認証処理開始指令又は認証停止指令等として与える場合いは、スイッチ部のオンオフ状態を判別できればよいから、上記2つの部材が合体状態及び分離状態のいずれでオン状態或はオフ状態になってもよい。
【0092】
また、上記のように、認証制御部30を、スイッチ部のオンオフに応じて認証可能状態と認証不能状態とで切替えるだけでなく、人体通信用電極22Aや通信回路部24等、人体通信認証処理部として機能する一部を動作不能及び動作可能に切替えてもよい。
【0093】
つまり、スイッチ部としては、装着部材40が人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられる構成を全て含む。また、本人体通信端末装置20としては、スイッチ部のオンオフに応じて人体通信を行って認証を行うための人体通信認証処理部の少なくとも一部に対する電力供給を継続又は遮断したり当該一部の回路を断続する等して認証可能状態と認証不能状態との間で切替可能な構成や、スイッチ部のオンオフに応じて、人体通信を行って認証を行うための人体通信認証処理部の少なくとも一部に対して所定の指令を与えて認証可能状態と認証不能状態との間で切替可能な構成等を全て含む。
【0094】
また、装着部材40としては、上記のように首から吊下げ可能な線状部材44を有するものに限られない。
【0095】
例えば、装着部材は、人体の腰部に装着される腰ベルト状の形態、人体の手首に装着されるリストバンドとしての形態として構成されていてもよい。この場合、人体からの取外しに際して操作されるバックル部分等に、スイッチ部を組込むとよい。
【0096】
また、本人体通信端末装置20は、上記実施形態で述べた例に限らず、特定人であるか否かを判別する全ての認証システムに適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】認証システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】コネクタ部を接続した状態における人体通信端末装置の全体構成を示す図である。
【図3】コネクタ部を示す図である。
【図4】コネクタ部の接続を外した状態における人体通信端末装置の全体構成を示す図である。
【図5】人体通信端末装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】認証制御部による認証動作例を示すフローチャートである。
【図7】認証ロック装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】認証ロック制御部の動作を示すフローチャートである。
【図9】認証システムの全体動作の要部を説明するための図である。
【図10】人体通信端末装置を所持する利用者が人体通信用電極に接触した状態を示す図である。
【図11】人体通信端末装置を所持する人と人体通信用電極との間に他の人が介在し、当該他の人が人体通信用電極に接触した状態を示す図である。
【図12】変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
20 人体通信端末装置
22A、22B 体通信用電極
24 通信回路部
30 認証制御部
30a 記憶部
31 電池
32 認証状態切替部
34 電源制御回路
35 イネーブルスイッチ
40 装着部材
44 線状部材
46、146 コネクタ部
48 導体部
50 認証ロック装置
58 人体通信用電極
L 電源ライン
R 環状部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証装置との間で人体通信を行って認証処理を実行可能な人体通信端末装置であって、
人体通信用電極と、前記人体通信用電極を通じて人体を通信経路として伝送可能な信号を送信及び受信する通信回路部と、前記人体通信用電極及び前記通信回路部を介して人体通信を行って認証処理を実行可能に構成された認証制御部とを有する人体通信認証処理部と、
人体に着脱自在に装着可能な装着部材と、
前記装着部材に設けられ、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部と、
を備え、
前記人体通信認証処理部は、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴い切替えられる前記スイッチ部のオンオフ状態の変更に応じて、認証処理を実行不能な認証不能状態に切替可能に構成されている、人体通信端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の人体通信端末装置であって、
前記スイッチ部は、前記装着部材が前記人体に装着された状態でオン状態を継続可能であり、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオン状態からオフ状態に切替可能に構成され、
前記スイッチ部がオンにされた状態で、前記人体通信認証処理部に電力供給可能になって前記認証可能状態に切替可能になり、前記スイッチ部がオフにされた状態で、前記人体通信認証処理部の少なくとも一部への電力供給が絶たれて前記認証不能状態になる、人体通信端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の人体通信端末装置であって、
人体の頭周りを通って首周りに配設可能な環状の線状部材をさらに備え、
前記スイッチ部は、合体及び分離自在な一対の分割スイッチ部を有し、それらの合体及び分離状態に応じてオンオフ切替可能に構成され、
前記一対の分割スイッチ部が前記線状部材の延在方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記一対の分割スイッチ部が合体することで、前記線状部材の一部により前記首周りに配設可能でかつ前記頭周りを通過不能な環状部分が形成される、人体通信端末装置。
【請求項1】
認証装置との間で人体通信を行って認証処理を実行可能な人体通信端末装置であって、
人体通信用電極と、前記人体通信用電極を通じて人体を通信経路として伝送可能な信号を送信及び受信する通信回路部と、前記人体通信用電極及び前記通信回路部を介して人体通信を行って認証処理を実行可能に構成された認証制御部とを有する人体通信認証処理部と、
人体に着脱自在に装着可能な装着部材と、
前記装着部材に設けられ、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオンオフ切替えられるスイッチ部と、
を備え、
前記人体通信認証処理部は、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴い切替えられる前記スイッチ部のオンオフ状態の変更に応じて、認証処理を実行不能な認証不能状態に切替可能に構成されている、人体通信端末装置。
【請求項2】
請求項1記載の人体通信端末装置であって、
前記スイッチ部は、前記装着部材が前記人体に装着された状態でオン状態を継続可能であり、前記装着部材が前記人体から取外されるのに伴いオン状態からオフ状態に切替可能に構成され、
前記スイッチ部がオンにされた状態で、前記人体通信認証処理部に電力供給可能になって前記認証可能状態に切替可能になり、前記スイッチ部がオフにされた状態で、前記人体通信認証処理部の少なくとも一部への電力供給が絶たれて前記認証不能状態になる、人体通信端末装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の人体通信端末装置であって、
人体の頭周りを通って首周りに配設可能な環状の線状部材をさらに備え、
前記スイッチ部は、合体及び分離自在な一対の分割スイッチ部を有し、それらの合体及び分離状態に応じてオンオフ切替可能に構成され、
前記一対の分割スイッチ部が前記線状部材の延在方向に沿って間隔をあけて設けられ、前記一対の分割スイッチ部が合体することで、前記線状部材の一部により前記首周りに配設可能でかつ前記頭周りを通過不能な環状部分が形成される、人体通信端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−118046(P2009−118046A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287192(P2007−287192)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【出願人】(503362463)アドソル日進株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【出願人】(503362463)アドソル日進株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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