説明

人工療養泉製造装置

【課題】療養効果の向上とコスト抑制を実現可能なマイクロナノバブル含有人工療養泉を製造可能な人工療養泉製造装置を提供する。
【解決手段】人工療養泉製造装置1はラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2がバブル発生部容器4を有する。炭酸ガスを発生する固形入浴剤18から炭酸ガスが供給された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31はバブル発生部容器4に導入された温水に炭酸ガスマイクロナノバブルを含有させる。さらにラジウム鉱石層32によって炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水はラドンも含有することとなり、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル含有温水が人工療養泉として生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人工療養泉製造装置に関し、例えば、固形入浴剤から炭酸ガスが供給された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機で生成した炭酸ガスマイクロナノバブルを、ラジウム鉱石を温水が通過することにより発生する放射性ラドンと混合してラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する人工療養泉を製造する人工療養泉製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロナノバブル発生機を利用した浴槽は存在していたが、発生したマイクロナノバブルの量が少なく、また、マイクロナノバブルのサイズの範囲が狭く、人間の身体に対する影響、特に、血液の流れに対する影響度は少ない内容であった。
【0003】
特に、日本では糖尿病患者が多く、糖尿病患者においては、足の末端付近の血流悪化を原因とする壊疽による足の切断の事例もある。人の足の血流が悪化した場合の、改善方法として、マイクロナノバブルを発生させた浴槽のシステムが考えられるが、効果を発揮させるためには、多数の旋回流方式のマイクロナノバブル発生機を設置する必要があった。具体的には、旋回流方式のマイクロナノバブル発生機を10台設置した事例がある。このことは、マイクロナノバブル発生機を10台を運転するための電気代や、マイクロナノバブル発生機10台のイニシャルコスト等の浴槽全体を構成するシステムのコストアップにもつながり、現実的ではないシステムである。
【0004】
ところで、従来技術としてのナノバブルの利用方法および利用装置が、特許文献1(特開2004−121962号公報)に示されている。この技術は、ナノバブルが有する浮力の減少、表面積の増加、表面活性の増大、局所高圧場の生成、静電分極の実現による界面活性作用と殺菌作用などの特性を活用したものである。より具体的には、それらが相互に関連することによって、汚れ成分の吸着機能、物体表面の高速洗浄機能、殺菌機能によって各種物体を高機能、低環境負荷で洗浄することができ、汚濁水の浄化を行うことができることを開示している。
【0005】
また、もう1つの従来技術としては、人工炭酸泉の製造方法が、特許文献2(特開2008−63236号公報)に示されている。この技術は、微細空気を水に巻き込み、ナノからマイクロオーダーの気泡径の気泡を発生させるナノまたはマイクロバブル発生装置で、二酸化炭素ガスを水または温水に溶解させて、溶存二酸化炭素ガスの濃度を温泉法における炭酸泉の基準250ppm以上、好ましくは療養泉の基準1000ppm以上とすることを開示している。
【0006】
また、別の従来技術として、特許文献3(特開2008−43906号公報)に、機能性マイクロバブルおよび機能性マイクロバブル水を製造する技術が開示されている。この技術では、気体と液体との混合液よりなる気液二相流体を、内側形状が円筒形または円錐形の容器内で毎分20000〜40000回転させて、同容器の中心部に液体および気体の二相旋回流を形成させている。そして、この二相旋回流の回転軸に沿って気体の負圧空洞部を形成させて、旋回する気体空洞部を形成させ、その気体空洞部の旋回によって気体を千切り、かつ粉砕している。これにより、発生時に直径が10〜40μmで、電位が−40〜−100mVの微細気泡を含む機能性マイクロバブルまたは機能性マイクロバブル水を、生物へ供与(例えばマイクロバブル水に生物を浸漬)することを開示している。
【0007】
ところで、従来の療養泉や浴槽において、マイクロナノバブルや炭酸ガスマイクロナノバブルを利用した技術は存在したものの、療養効果のさらなる向上とコスト抑制を実現することが望まれている。
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2008−63236号公報
【特許文献3】特開2008−43906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明の課題は、療養効果の向上とコスト抑制を実現可能なマイクロナノバブル含有人工療養泉を製造可能な人工療養泉製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、この発明の人工療養泉製造装置は、温水が導入されるバブル発生容器と、
上記バブル発生容器内に設置されたと共にラジウム鉱石を収容しているラジウム鉱石収容部と、
上記バブル発生容器内に設置された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機と、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部とを備える。
【0010】
この発明の人工療養泉製造装置によれば、上記バブル発生容器に導入された温水は、上記炭酸ガス供給部からの炭酸ガスが供給された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機によって、炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水となり、さらに、上記ラジウム鉱石収容部のラジウム鉱石によって、上記炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水はラドンも含有することとなり、ラドン炭酸ガス含有温水が生成される。
【0011】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記炭酸ガス供給部は、
上記バブル発生容器に取付けられていると共に炭酸ガスを発生する固形入浴剤を投入するための入浴剤投入口を有する。
【0012】
この実施形態によれば、上記入浴剤投入口から投入された固形入浴剤から炭酸ガスを発生させて、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に供給できる。なお、上記固形入浴剤と共に液体入浴剤も上記入浴剤投入口から投入することで、上記炭酸ガスマイクロナノバブルをより多量に発生させることができる。
【0013】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記バブル発生容器から上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水が導入される浴槽部を備える。
【0014】
この実施形態によれば、上記浴槽部において、上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水による療養泉でもって、入浴可能となる。
【0015】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記バブル発生容器は、
上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤を収容すると共にすり鉢形状の収容部を底部に有し、
上記底部は、
上記収容部に向かって先細の湾曲形状である。
【0016】
この実施形態によれば、上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤は、上記バブル発生容器の先細の湾曲形状底部からすり鉢状の収容部に案内され、この収容部で炭酸ガスを発生させることとなる。この底部で発生した炭酸ガスが水中を上昇する際に、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に吸い込まれ、炭酸ガスマイクロナノバブルが生成される。そして、この炭酸ガスマイクロナノバブルを含有した温水は、ラジウム鉱石と接触することによって放射性ラドン(気体としてのラドン)が発生し、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルが生成される。
【0017】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記バブル発生容器内で、上から順に、上記ラジウム鉱石収容部、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機が設置され、
上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤が自動的に沈降して、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の真下に移動,充填される位置に上記収容部が配置されている。
【0018】
この実施形態の人工療養泉製造装置によれば、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の真下に、固形入浴剤が自動的に沈降し、移動して、定位置に充填されるので、固形入浴剤の管理が容易である。また、上記入浴剤投入口から液体入浴剤を投入する場合は、上記固形入浴剤から発生した炭酸ガスと、温水によって希釈された液体入浴剤とが、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に吸い込まれて、合理的に混合し多量の炭酸ガスマイクロナノバブルが発生することとなる。
【0019】
また、上部にラジウム鉱石が収容されているので、温水がラジウム鉱石を通過すると気体としてのラドンが発生して、ラドンと炭酸ガスマイクロナノバブルとの混合物が形成され、さらに、それらが上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に導入されて、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有した療養泉を製造できる。
【0020】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記入浴剤投入口は、上記バブル発生容器の上部に設置され、
上記入浴剤投入口から下方に延在する入浴剤通路が上記バブル発生容器に取付けられ、
上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤が上記入浴剤通路を通って自動的に沈降して、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の真下に移動し配置される。
【0021】
この実施形態によれば、上記バブル発生容器の上部に入浴剤投入口が設置されているので、この入浴剤投入口から容易に固形入浴剤を投入できる。また、上記入浴剤投入口から投入された固形入浴剤は、自重と縦方向に延在する入浴剤通路を通って、目的の場所である水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の真下に移動し配置されることとなる。
【0022】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の下端に取付けられていると共に上記固形入浴剤が発生する炭酸ガスを貯留して上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に導く炭酸ガス貯留調整カバーを有する。
【0023】
この実施形態によれば、上記固形入浴剤から炭酸ガスが一時的に多く発生して平均的に発生しない場合でも、上記炭酸ガス貯留調整カバーに炭酸ガスを貯留することで、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機へ炭酸ガスの吸い込み量を長時間に亘って平均化するように調整できる。これにより、炭酸ガスを無駄なく効果的にマイクロナノバブル化できる。
【0024】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、硫酸マグネシウムが投入される。
【0025】
この実施形態によれば、上記固形入浴剤のみを投入する場合と比較して、炭酸ガスマイクロナノバブルを多量に発生させることができる。
【0026】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、炭酸カルシウムが投入される。
【0027】
この実施形態によれば、上記固形入浴剤のみを投入する場合と比較して、炭酸ガスマイクロナノバブルを多量に発生させることができる。
【0028】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、塩化ナトリウムが投入される。
【0029】
この実施形態によれば、上記固形入浴剤のみを投入する場合と比較して、炭酸ガスマイクロナノバブルを多量に発生させることができる。
【0030】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、炭酸水素ナトリウムが投入される。
【0031】
この実施形態によれば、上記固形入浴剤のみを投入する場合と比較して、炭酸ガスマイクロナノバブルを多量に発生させることができる。
【0032】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記バブル発生容器は、上記浴槽部内に収容されている。
【0033】
この実施形態によれば、上記バブル発生容器内で発生したラドン炭酸ガスマイクロナノバブル含有温水を、配管を経由することなく直に浴槽部内で利用できる。また、上記バブル発生容器およびこのバブル発生容器内に設置したラジウム鉱石収容部,水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機を、上記浴槽部内に設置しているので、スペースを有効利用でき、小スペース化が図れる。
【0034】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記バブル発生容器は、
上記ラジウム鉱石収容部よりも上に配置されていると共に上方から温水が導入されるスポンジ型フィルターを有する。
【0035】
この実施形態によれば、導入される温水中の浮遊物を上記スポンジ型フィルターでもって、除去できる。また、浴槽水を循環利用する場合には、この浴槽水中の垢などの浮遊物をスポンジ型フィルターで除去できる。また、上記スポンジ型フィルターを別の場所で洗浄することにより、スポンジ型フィルターを再使用できる。
【0036】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記ラジウム鉱石収容部の上に設置されていると共に活性炭が充填された活性炭充填部を有する。
【0037】
この実施形態によれば、導入される温水中に溶解している有機物を活性炭で吸着処理でき、透明度を改善できる。また、浴槽水を循環利用する場合には、浴槽水中に溶解している有機物を活性炭で吸着処理できると同時に、活性炭で浴槽水の透明度を改善できる。
【0038】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記ラジウム鉱石収容部の上に薬用植物が設置されている。
【0039】
この実施形態によれば、薬用植物から抽出される有効成分を浴槽水に含有させて、浴槽水の効能を高めることができる。
【0040】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記薬用植物が、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエ、ハマゴボウのうちの少なくとも1つである。
【0041】
この実施形態によれば、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエ、ハマゴボウから抽出される有効成分を浴槽水に含有させて、浴槽水の効能を高めることができる。
【0042】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記炭酸ガス供給部は、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に気体としての炭酸ガスを供給する炭酸ガスボンベを有する。
【0043】
この実施形態によれば、上記炭酸ガスボンベから上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に炭酸ガスを供給することで、療養泉の炭酸ガス濃度を容易にしかも短時間で目的濃度まで高めることができる。
【0044】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に気体としての炭酸ガスと空気を交互に供給する。
【0045】
この実施形態によれば、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機から、pHが低い炭酸ガスマイクロナノバブルと中性の空気マイクロナノブルを交互に供給することができる。すなわち、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機から2種類のマイクロナノバブルを供給することができる。そして、浴槽水を最初は,酸性で使用し、その後は、浴槽水を中性で使用する場合に適合する内容となる。
【0046】
また、一実施形態の人工療養泉製造装置では、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に気体としての炭酸ガスと空気を同時に供給する。
【0047】
この実施形態によれば、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機は、炭酸ガスと空気との混合気体によるマイクロナノバブルを発生する。そして、このマイクロナノバブルにおける炭酸ガスの量と空気の量を調整することで、浴槽水のpHを目的に応じて調整可能となる。
【発明の効果】
【0048】
この発明の人工療養泉製造装置によれば、バブル発生容器に導入された温水は、炭酸ガス供給部からの炭酸ガスが供給された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機によって、炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水となり、さらに、ラジウム鉱石収容部のラジウム鉱石によって、上記炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水はラドンも含有することとなり、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル含有温水が生成される。よって、本発明によれば、療養効果の高いラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有した人工療養泉を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0050】
(第1の実施の形態)
図1は、この発明の第1実施形態である人工療養泉製造装置1を模式的に示す図である。この人工療養泉製造装置1は、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2と浴槽部3から構成されている。
【0051】
このラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2と浴槽部3は、漏電に対する安全対策が重要である。よって、感電防止が必要となる。具体的には、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の底部が絶縁ラバー23から構成されている。また、上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2と浴槽部3との接点となる配管22の先端部のフランジ24に絶縁可能なゴム配管25が接続されている。このゴム配管25は、万が一に漏電した場合の感電防止対策として、配管22に接続されている。
【0052】
また、上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の側面には、炭酸ガスを発生する固形入浴剤18を投入するための投入口としての入浴剤投入口6とこの入浴剤投入口6に連なる入浴剤通路5が設置されている。この入浴剤投入口6と入浴剤通路5は、固形入浴剤18をラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の下部の所定位置に移動させ充填するためのものである。なお、この実施形態では、上記入浴剤投入口6に、液体入浴剤(図示せず)も投入される。
【0053】
より詳細には、炭酸ガスを発生する固形入浴剤18は、比重が1以上であり重いため、入浴剤投入口6から投入されて、入浴剤通路5を通って、炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の下部の所定位置にたどり着く。この固形入浴剤は、所定位置にたどり着いて、本格的に炭酸ガスを発生する。正確に表現すれば、上記固形入浴剤は、湯と接触した時点から炭酸ガスを発生する。
【0054】
なお、この第1実施形態では、炭酸ガスを発生する固形入浴剤18の一例として、花王株式会社のバブ濃厚炭酸湯(商品名)を採用した。また、上記液体入浴剤の一例として、ドラッグストアーで販売されている日本リーバ株式会社のLUX スパモイスト(商品名)を選定した。この液体入浴剤の役割は、多量のラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを製造可能にすることであり、固形入浴剤18の役割は、炭酸ガスを浴槽水に吹き込むことである。そして、上記固形入浴剤18(バブ濃厚炭酸湯)の効能としては、炭酸ガスが溶け込み易い油性成分を配合してあり、炭酸ガスが湯に高濃度に溶け込み、温浴効果を高めて血行を促進し、冷え症、疲れ、肩こりなどに効果があるとされている。
【0055】
上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2は、大部分の容積をバブル発生部容器4が占めている。このバブル発生部容器4は、最下部をなす底部17がすり鉢形状の収容部17Aを有する容器である。この底部17は収容部17Aに向かって先細の湾曲形状である。また、上記底部17のすり鉢形状の収容部17Aに、固形入浴剤18を安定に設置するための穴あきメッシュ19が設置されている。この穴あきメッシュ19は、固形入浴剤18が配管20の内部に入ることを防止するために設置されている。
【0056】
また、上記バブル発生部容器4は、ステンレス等の金属製、硬質ポリエチレン製などとすることができるが、このバブル発生部容器4の材質は、耐久性,腐蝕性,経済性を考慮して選定すればよい。また、上記最下部に設置した穴あきメッシュ19は、固形入浴剤18を固定できれば、どんな形状や材質でもよいが、この第1実施形態では、ポリエチレン製で、10mmの穴が複数開いている穴あきメッシュを採用した。この穴あきメッシュ19を通過したラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有した湯は、配管20、フランジ21で配管20に接続した配管22、フランジ24で配管22に接続したゴム配管25を経て、浴槽部3の浴槽26に移動する。上記入浴剤投入口6,入浴剤通路5,湾曲形状の底部17,すり鉢形状の収容部17Aが炭酸ガス供給部を構成している。
【0057】
また、上記投入後の固形入浴剤18の上方、つまり、上記発生機容器4の下部には、炭酸ガス貯留調整カバー15が固定されている。この炭酸ガス貯留調整カバー15はバブル発生部容器4に固定されて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31を支持,固定すると共に、固形入浴剤18から発生する炭酸ガスを一時貯留する役目を果たす。すなわち、この炭酸ガス貯留調整カバー15は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31をバブル発生部容器4内で支持するための台としての役割と、上記固形入浴剤18から発生する炭酸ガスを貯留して、時間をかけて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31に吸い込ませる役割を有している。
【0058】
また、上記炭酸ガス貯留調整カバー15の側面とバブル発生部容器4の間には、固形入浴剤18が容易に、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の所定位置にたどり着く様に、市販されている固形入浴剤よりも大きめの穴が1箇所あいている。この穴の寸法は、横8cm、縦5cm程度である。また、炭酸ガス貯留調整カバー15の材質としては、炭酸ガスによる腐蝕と水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31の重量に耐えるならば特に限定しない。この第1実施形態では、炭酸ガス貯留調整カバー15の材質の一例としてステンレス316を採用した。
【0059】
一方、液体入浴剤(図示せず)も固形入浴剤18と同様のルートで、発生機容器4内に導入される。この液体入浴剤は、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルの発生量を大幅に増加させる効果がある。つまり、固形入浴剤18のみでは、マイクロナノバブル量を充分に確保できない。
【0060】
ここで、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31において、固形入浴剤18のみをの場合と固形入浴剤18と液体入浴剤の両方が存在する場合のマイクロナノバブル発生量を比較した。この比較結果の一例では、固形入浴剤18のみを用いた場合には、マイクロバブル個数が2620(個/ml)であり、ナノバブル個数が0(個/ml)であった。一方、固形入浴剤18と液体入浴剤の両方を用いた場合には、マイクロバブル個数が12630(個/ml)であり、ナノバブル個数が240(個/ml)であった。なお、上記各個数は、量の最も多い粒子直径での個数である。
【0061】
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、3つの部分から構成されている。この3つの部分とは、上部のモーター部10と、マイクロナノバブルを吐出するマイクロナノバブル吐出部11と、液体としての湯を吸い込む液体吸い込み部12である。また、この水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31には、小型エアーポンプ36が付属している。この小型エアーポンプ36は、気体としての炭酸ガスが発生しない時間帯を考慮して設けられている。すなわち、固形入浴剤18は、一定時間後に水中で溶解,消耗して、炭酸ガスが発生しなくなるが、その時は、上記小型エアーポンプ36が作動する様に、タイマー(図示せず)で設定する。これにより、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、気体としての炭酸ガスと空気の両方をマイクロナノバブル化することになる。
【0062】
なお、このように、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31に気体としての炭酸ガスと空気を交互に供給して、pHが低い炭酸ガスマイクロナノバブルと中性の空気マイクロナノブルを交互に供給することで、浴槽水を最初は酸性で使用し、その後、中性で使用する場合に適合する。一方、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31に気体としての炭酸ガスと空気を同時に供給してもよい。この場合、浴槽水における炭酸ガスの量と空気の量を目的にしたがって調整することで、浴槽水のpHを調整できる。
【0063】
また、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、通常の水中ポンプを利用して、その水中ポンプの回転部に気体を供給して、高速回転させて、マイクロナノバブルを製造する機構である。すなわち、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、インペラーが高速回転し、旋回流を発生させて、周囲の液体に気体を吸引して、マイクロナノバブルを作り、マイクロナノバブルを飛散させる内容である。上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、目的とする液体中に360度の角度範囲に亘る方向に噴射するので、気液の合一を防ぎ易い構造である。
【0064】
なお、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、具体的には、野村電子工業株式会社のマイクロバブラーMB型(商品名)を選定することができる。
【0065】
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31の上方には、ラジウム鉱石9が収容された収容ネット8が設置されている。この収容ネット8は、水中ポンプマイクロナノバブル発生機31のモーター部10を上方から覆うと共にモーター部10の周囲を囲む状態で設置されている。また、この実施形態では、収容ネット8は、材質がナイロンであるので、その形状は自由に変形し、水中ポンプマイクロナノバブル発生機31のモーター部10を合理的に全体を包み込む状態となる。この実施形態では、ラジウム鉱石9の一例として、具体的には、黄麦堂のラジウムボール(商品名)を採用した。この黄麦堂のラジウムボールは、10個当り、0.601マイクロシーベルト/時のラジウム量を出すことができる。これにより、0.601マイクロシーベルト/時のラジウム量を有する湯を製造できる。
【0066】
そして、炭酸ガスマイクロナノバブルとラジウムとがラジウム鉱石層32で混合されて、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有した人工療養泉が製造されることになる。上記ラジウム鉱石層32,収容ネット8がラジウム鉱石収容部をなす。
【0067】
ところで、療養泉は、環境庁鉱泉分析法指針によって特に治療の目的に供しうるものとして規定された基準値を満たす温泉と説明されている。そして、この基準値は、炭酸ガス(CO)1000ppm以上と規定されている。そして、療養泉が、さらに、ラドンを含有していれば、炭酸ガスと放射性を有することとなり、イオン化しているラドンよりも好ましい人工療養泉とすることができる。
【0068】
また、環境庁鉱泉分析法指針によれば、療養泉の定義は、その湯に、下記のいずれかの条件を有していれば、療養泉と表現することができる。すなわち、
(1) 温度(源泉から採取されるときの温度):摂氏25度以上
(2) 物質:下記に掲げるもののうち、いずれかひとつ含有しておれば、『療養泉』という。なお、下記の放射能泉では、ラジウム鉱石から放射線のラドンが発生する。

(番号) (物質名) 含有量(1kg中) (備考)
1 遊離二酸化炭素(CO) 1000mg以上 二酸化炭素泉
2 総鉄イオン 20mg以上 含鉄泉
3 アルミニウムイオン 100mg以上 含アルミニウム泉
4 ラドン(Rn) 8.25マッへ単位以上 放射能泉
【0069】
この第1実施形態では、炭酸ガス濃度が、1000ppm以上となるように、固形入浴剤18と液体入浴剤とを、入浴剤投入口6に投入した。
【0070】
従来の通常の浴槽においては、固形入浴剤18を複数投入しても、炭酸ガス濃度を1000ppmとすることができないが、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31と固形入浴剤18と液体入浴剤との組み合わせでもって、炭酸ガス濃度を1000ppm以上とすることができた。
【0071】
この第1実施形態における実験結果の一例では、浴槽26内の炭酸ガス濃度が1020ppmであった。これに対して、従来の通常の浴槽において、上記固形入浴剤も液体入浴剤も使用しない場合には、浴槽内の炭酸ガス濃度が10ppm以下であった。また、従来の通常の浴槽において、上記固形入浴剤18を使用する一方、液体入浴剤を使用しない場合は、浴槽内の炭酸ガス濃度は680ppmであった。なお、上記炭酸ガス濃度は、東亜ディーケーケー株式会社の炭酸ガス濃度計CGP1にて測定した。
【0072】
そして、炭酸ガス濃度1000ppm以上とした上記人工療養泉を、フランジ21を有する配管20、フランジ24を有する配管22、およびゴム配管25を経て、浴槽部3の浴槽26に移動させる。そして、この浴槽26において上記人工療養泉で入浴できる。
【0073】
また、この実施形態において、浴槽26の湯温が低下した場合は、バルブ30を開として、給湯配管29からバブル発生部容器4内に給湯できる。そして、この場合、市販の小型水中ポンプ27とホース配管28とを利用して、浴槽26内の上記人工療養泉を上記炭酸ガスマイクロナノバルブ発生部2に循環させて、浴槽部3の浴槽26内の人工療養泉を循環使用することもできる。なお、このラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の最上部には、穴あき容器7が設置されており、この穴あき容器7で小型水中ポンプ27からの浴槽水を受けて、可能な限り均等にラジウム鉱石層32に散水するようにしている。また、このことは、バルブ30を開として、給湯配管29から給湯する場合も同様であり、給湯水を穴あき容器7からラジウム鉱石層32に均等に散水できる。
【0074】
なお、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31は、市販されているものならばメーカーを限定するものではなく、ここでは具体的一例として、野村電子工業株式会社のものを採用した。また、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機としては、他メーカーの商品も数多く販売されているが、目的にしたがって選定すればよい。
【0075】
ここで、4種類のバブルについて説明する。
【0076】
(1) 通常のバブル(気泡)は水の中を上昇して、ついには表面でパンとはじけて消滅する。
【0077】
(2) マイクロバブルは、発生時において10〜数10ミクロン(μm)の気泡径を有し、発生後に収縮運動によりマイクロナノバブルになる。
【0078】
(3) マイクロナノバブルは、10μm〜数100nm前後の直径を有する気泡である。
【0079】
(4) ナノバブルは、数100nm以下の直径を有する気泡である。
【0080】
次に、人工療養泉製造装置1の運転操作について、説明する。
【0081】
最初に、バルブ30を開にして、給湯水が給湯配管29からラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2に供給される。ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2に給湯水が充分給湯された時点で、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31が運転される。そして、数秒遅れて、炭酸ガスを発生する固形入浴剤18と液体入浴剤が入浴剤投入口6から投入され、炭酸ガス気泡16を発生する。
【0082】
発生した炭酸ガス気泡16や給湯水により希釈された液体入浴剤は、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31の液体吸い込み部12より、水流13と共に吸い込まれて、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31のインぺラーが高速回転することにより、旋回流をつくり、周囲の液体と炭酸ガスを吸引して、炭酸ガスマイクロナノバブルを製造する。そして、マイクロナノバブル吐出部11より吐出して、炭酸ガスマイクロナノバブル流14を形成する。
【0083】
その後、バルブ30が開であることで継続している給湯水の給湯により、給湯水がラジウム鉱石層32を通過する際に発生する気体としてのラドンと炭酸ガスマイクロナノバブルとが混合し、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルとなる。
【0084】
そして、さらに上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルは、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31の運転により、混合,撹拌,せん断されて、より微細なラドン炭酸ガスマイクロナノバブルとなる。その後、より微細なラドン炭酸ガスマイクロナノバブルは、配管22、およびゴム配管25を経て、浴槽部3の浴槽26の内部に導入される。
【0085】
なお、小型エアーポンプ36は、炭酸ガスを発生する固形入浴剤18が、炭酸ガスを発生し、溶解しきった後も、さらに水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31を運転する必要がある場合に運転される。この場合、ラドンマイクロナノバブルが製造される。この場合の一例としては、浴槽部3の浴槽26の容量が大きい場合が相当する。
【0086】
上述の如く、本実施形態の人工療養泉製造装置1によれば、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2のバブル発生部容器4内において、固形入浴剤18から水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31に炭酸ガスが供給され、バブル発生部容器4に導入された温水に炭酸ガスマイクロナノバブルを含有される。さらに、ラジウム鉱石層32によって炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水はラドンも含有することとなり、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル含有温水が人工療養泉として生成される。このラドン炭酸ガスマイクロナノバブル含有温水による人工療養泉によれば、血流量増加作用や体の細胞の刺激作用(ホルミシス効果)を向上させる効果が期待できる。
【0087】
なお、上記入浴剤投入口6に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤18に加えて、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのうちのいずれかを投入してもよい。この場合、固形入浴剤のみの場合と比較して、炭酸ガスマイクロナノバブルを多量に発生させることができる。また、上記実施形態において、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31に気体としての炭酸ガスを供給する炭酸ガスボンベを炭酸ガス供給部としてもよい。この場合、浴槽水の炭酸ガス濃度を短時間で容易に目的濃度まで高めることができる。また、上記浴槽部3を有さないで、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2だけでも本発明の人工療養泉製造装置を構成できる。
【0088】
(第2の実施形の態)
次に、図2にこの発明の人工療養泉製造装置の第2実施形態を示す。この第2実施形態は、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2のバブル発生部容器4内の最上部の穴あき容器7内にスポンジ型フィルター33を設置した点だけが、前述の第1実施形態と異なる。よって、この第2実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細な説明を省略し、前述の第1の実施形態と異なる部分を説明する。
【0089】
この第2実施形態では、浴槽部3の浴槽水に、人体からの垢が浮遊した場合は、この浴槽水を、小型水中ポンプ27とホース配管28を経由して、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の最上部に導入する。これにより、上記穴あき容器7内に設置したスポンジ型フィルター33によって、上記浴槽水中の垢などの浮遊物質を除去できる。その結果、浴槽水中の垢などの浮遊物質が除去されて、有効な固形入浴剤18由来の成分や液体入浴剤の成分のみが溶解している浴槽水とすることができる。そして、お湯焚きをすることで、浴槽水をリサイクル使用することができる。すなわち、浴槽水中の有効な成分をリサイクル使用することができる。
【0090】
(第3の実施の形態)
次に、図3にこの発明の人工療養泉製造装置の第3実施形態を示す。この第3実施形態は、ラジウム鉱石層32の上部に活性炭34が充填されている点のみが、前述の第2実施形態と異なっている。よって、この第3実施形態では、前述の第2実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、先述の第2実施形態と異なる部分を説明する。
【0091】
この第3実施形態は、ラジウム鉱石層32のラジウム鉱石9とその上の活性炭34の両方の作用を発揮できる。すなわち、活性炭34は、一般に有機物吸着作用があるので、浴槽水の汚れを浄化して、浴槽水のリサイクルを可能とする。ただし、活性炭34は、有機物全般を吸着するので、固形入浴剤18由来の有効成分や、上記液体入浴剤の有効成分も吸着処理してしまう現象も起る。したがって、この第3実施形態は、活性炭34による上記有効成分の吸着がおこっても問題ない場合等に必要に応じて選択採用すればよい。
【0092】
(第4の実施の形態)
次に、図4にこの発明の人工療養泉製造装置の第4実施形態を示す。この第4実施形態は、ラジウム鉱石層32の上部に薬用植物35が充填されている点のみが前述の第1実施形態と異なっている。よって、この第4実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて、詳細説明を省略して、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0093】
この第4実施形態は、上記ラジウム鉱石層32のラジウム鉱石9の作用と薬用植物35から染み出してくる有効成分の作用の両方を発揮できる。特に、薬用植物35は、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルの洗浄抽出作用によっても、効果的に薬用植物35の有効成分が抽出され、薬用植物35の有効成分により浴槽部3における浴槽水の作用効果を高めることができる。この薬用植物35としては、例えば、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエ、ハマゴボウのうちの少なくとも1つを選択できる。
【0094】
なお、浴槽に利用する薬用植物は従来から多種存在しており、漢方の分野においても古い歴史があり、治療するべき、疾患の内容および目的にしたがって、薬用植物の種類を選択すればよい。
【0095】
(第5の実施の形態)
次に、図5にこの発明の人工療養泉製造装置の第5実施形態を示す。この第5実施形態は、次の(1)〜(3)の点が、前述した第1実施形態と異なる。(1)浴槽部3に替えて浴槽部53を有する点。(2)配管22およびゴム配管25を取り去った点。(3)小型エアーポンプ36の配置位置を浴槽56よりも上方にした点。
【0096】
よって、この第5実施形態では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0097】
この第5実施形態では、浴槽部53の浴槽56内に、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2が設置されている。つまり、この第5実施形態では、前述の第1実施形態におけるラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2が、浴槽部53の浴槽56内に入り込んだ構造である。この第5実施形態の構成では、入浴中に水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31が漏電した場合に感電等の事故の可能性があるので、入浴に際してラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2を浴槽56から取り出して使用する。
【0098】
また、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2が漏電した場合、直ちに電源を遮断する漏電ブレーカーの感度の良いタイプを選定しておくことも重要である。そして、浴槽56内の浴槽水にラドン炭酸ガスマイクロナノバブルが充分に発生した後に、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2を浴槽部53の浴槽56から取り出して、入浴することになる。
【0099】
この実施形態によれば、上記バブル発生容器4内で発生したラドン炭酸ガスマイクロナノバブル含有温水を、配管を経由することなく直に浴槽部5内で利用できる。また、上記バブル発生容器4およびこのバブル発生容器4内に設置したラジウム鉱石層32,水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31を、上記浴槽部5内に設置しているので、スペースを有効利用でき、小スペース化が図れる。
【0100】
(参考例)
次に、図6にこの発明の人工療養泉製造装置の参考例を示す。この参考例は、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2から穴あき容器7,収容ネット8,ラジウム鉱石層32を取り去って、炭酸ガスマイクロナノバブル発生部62とした点だけが、前述の第1実施形態と異なっている。よって、この参考例では、前述の第1実施形態と同じ部分については、同じ符号を付けて詳細説明を省略し、前述の第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0101】
この参考例は、ラジウム鉱石層32を備えていない炭酸ガスマイクロナノバブル発生部62を備えたので、前述の第1実施形態と異なりラジウム鉱石層32のラジウム鉱石9から発生する放射性ラドンの効果を期待できないが、炭酸ガスマイクロナノバブルの作用は期待できる。また、この参考例では、ラジウム鉱石層32が設置されていないので、装置コストを安くすることができる。
【0102】
(実験例)
図1の第1実施形態の人工療養泉製造装置1にもとずき、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部2の容量を約0.1m、浴槽部3の容量を0.2mとして、人工療養泉製造装置を構成した。
【0103】
また、この実験例では、固形入浴剤18として花王株式会社のバブ濃厚炭酸湯(商品名)を選定し、液体入浴剤37としては日本リーバ株式会社のLUX スパモイスト(商品名)を選定した、また、水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機31としては野村電子工業株式会社のMB−150型を選定した。また、ラジウム鉱石層32のラジウム鉱石9としては黄麦堂のラジウムボール(商品名)を採用し、約30リットル充填した。
【0104】
そして、この実験例の人工療養泉製造装置を運転して、真っ白なラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを発生させて、入浴し、入浴後風呂から出て、全身を観察したところ、全身が赤くなると同時に発汗が通常の入浴後より、かなり増加していた。
【0105】
花王株式会社のバブ濃厚炭酸湯には、効能として、温浴効果を高めて血行を促進し、冷え症、疲労回復、肩のこり、腰痛、神経痛、リウマチ、痔、あせも、しもやけ、荒れ症、ひび、あかぎれ、しっしん、にきびに対する効能が記載されている。また、花王株式会社のバブEX には、効能として、温浴効果を高めて血行を促進し、冷え症、疲労回復、肩のこり、腰痛、神経痛、リウマチ、痔、あせも、しもやけ、荒れ症、ひび、あかぎれ、しっしん、にきびに対する効能が記載されている。なお、糖尿病患者が長い期間上記人工療養泉製造装置1を使用すると、足のしびれ感が一時的に解消した状況であった。また、空腹時および食後の血糖値は、使用前と比較すると、日によって異なるものの、10%から30%まで低下した。
【0106】
上記実験結果を総合的に考察すると、本発明は、花王株式会社のバブ濃厚炭酸湯や花王株式会社のバブEX の効能を、ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルによりさらに増強した効能を有すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】この発明の人工療養泉製造装置の第1実施形態を模式的に示す図である。
【図2】この発明の人工療養泉製造装置の第2実施形態を模式的に示す図である。
【図3】この発明の人工療養泉製造装置の第3実施形態を模式的に示す図である。
【図4】この発明の人工療養泉製造装置の第4実施形態を模式的に示す図である。
【図5】この発明の人工療養泉製造装置の第5実施形態を模式的に示す図である。
【図6】この発明の人工療養泉製造装置の参考例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0108】
1 人工療養泉製造装置
2 ラドン炭酸ガスマイクロナノバブル発生部
3、53 浴槽部
4 バブル発生部容器
5 入浴剤通路
6 入浴剤投入口
7 穴あき容器
8 収容ネット
9 ラジウム鉱石
10 モーター部
11 マイクロナノバブル吐出部
12 液体吸い込み部
13 水流
14 マイクロナノバブル流
15 炭酸ガス貯留調整カバー
16 炭酸ガス気泡
17 バブル発生容器底部
18 固形入浴剤
19 穴あきメッシュ
20、22 配管
21、24 フランジ
23 絶縁ラバー
25 ゴム配管
26、56 浴槽
27 小型水中ポンプ
28 ホース配管
29 給湯配管
30 バルブ
31 水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機
32 ラジウム鉱石層
33 スポンジ型フィルター
34 活性炭
35 薬用植物
36 小型エアーポンプ
37 液体入浴剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水が導入されるバブル発生容器と、
上記バブル発生容器内に設置されたと共にラジウム鉱石を収容しているラジウム鉱石収容部と、
上記バブル発生容器内に設置された水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機と、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に炭酸ガスを供給する炭酸ガス供給部とを備えることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の人工療養泉製造装置において、
上記炭酸ガス供給部は、
上記バブル発生容器に取付けられていると共に炭酸ガスを発生する固形入浴剤を投入するための入浴剤投入口を有することを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の人工療養泉製造装置において、
上記バブル発生容器から上記ラドン炭酸ガスマイクロナノバブルを含有する温水が導入される浴槽部を備えることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の人工療養泉製造装置において、
上記バブル発生容器は、
上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤を収容すると共にすり鉢形状の収容部を底部に有し、
上記底部は、
上記収容部に向かって先細の湾曲形状であることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記バブル発生容器内で、上から順に、上記ラジウム鉱石収容部、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機が設置され、
上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤が自動的に沈降して、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の真下に移動,充填される位置に上記収容部が配置されていることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記入浴剤投入口は、上記バブル発生容器の上部に設置され、
上記入浴剤投入口から下方に延在する入浴剤通路が上記バブル発生容器に取付けられ、
上記入浴剤投入口から投入された上記固形入浴剤が上記入浴剤通路を通って自動的に沈降して、上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の真下に移動し配置されることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項7】
請求項2から6のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機の下端に取付けられていると共に上記固形入浴剤が発生する炭酸ガスを貯留して上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に導く炭酸ガス貯留調整カバーを有することを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、硫酸マグネシウムが投入されることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項9】
請求項2から7のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、炭酸カルシウムが投入されることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項10】
請求項2から7のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、塩化ナトリウムが投入されることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項11】
請求項2から7のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記入浴剤投入口に、上記炭酸ガスを発生する固形入浴剤と、炭酸水素ナトリウムが投入されることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項12】
請求項3から11のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記バブル発生容器は、上記浴槽部内に収容されていることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記バブル発生容器は、
上記ラジウム鉱石収容部よりも上に配置されていると共に上方から温水が導入されるスポンジ型フィルターを有することを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記ラジウム鉱石収容部の上に設置されていると共に活性炭が充填された活性炭充填部を有することを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記ラジウム鉱石収容部の上に薬用植物が設置されていることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項16】
請求項15に記載の人工療養泉製造装置において、
上記薬用植物が、朝鮮人参、ショウブ、トウキ、カミツレ、アロエ、ハマゴボウのうちの少なくとも1つであることを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記炭酸ガス供給部は、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に気体としての炭酸ガスを供給する炭酸ガスボンベを有することを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に気体としての炭酸ガスと空気を交互に供給することを特徴とする人工療養泉製造装置。
【請求項19】
請求項1から17のいずれか1つに記載の人工療養泉製造装置において、
上記水中ポンプ型マイクロナノバブル発生機に気体としての炭酸ガスと空気を同時に供給することを特徴とする人工療養泉製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−190(P2010−190A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160478(P2008−160478)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】