説明

人物抽出方法、その装置、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体

【課題】効率的に混合画像から人物を抽出できる人物抽出システムの提供。
【解決手段】人物抽出装置100Aは、背景画像および混合画像をそれぞれ複数のブロック構成画素から構成される複数のブロックに分割して、各ブロック構成画素の表色値の代表値を演算して、この代表値をブロック中央画素に設定した代表値背景画像および代表値混合画像を生成する。代表値背景画像および代表値混合画像をブロックごとに比較し、代表値の差分が所定値以上の場合にブロック中央画素を人物画像ブロックとして「1」に設定し、所定値未満の場合に背景画像ブロックとして「0」に設定した背景差分二値化画像を生成する。背景差分二値化画像における「1」のブロック中央画素を混合画像の色に設定し、「0」のブロック中央画素を所定の色に設定することにより、混合画像から人物を抽出したブロックフィルタ処理カラー画像を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ付きインターホン、テレビ会議システム、テレビ電話などに用いられ、特に撮影画面に基づく背景差分法により人物抽出や人物の顔抽出を実施する人物抽出方法、その装置、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カメラ付きインターホン、テレビ会議システム、テレビ電話では、撮影された画像から人物抽出または人物の顔抽出を実施することにより、不要な背景画像を省いて伝送したり、表示したりする手法が検討されている。背景差分やフレーム間差分を用いて人物抽出する場合、背景がノイズとして出力されたり、抽出した人物の画像が虫食い状態になったりすることがある。そこで、人物のみをきれいに抽出する方法が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、人物および背景が撮像されている混合画像から画素単位での背景差分法により人物画像を抽出後、多数決フィルタ処理、ブロック化処理を施すことにより背景のノイズ除去、人物の虫食いの除去をする構成が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−14474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インターホンのカメラの場合、背景が屋外の道路や道路を隔てた他の家になっている場合がある。また、屋外に設置されたカメラでは、カメラ自体が風により揺れることもある。そのため、人物画像を撮影する直前に背景画像を撮影したとしても、背景画像がある程度変化することがある。このような場合、特許文献1のような構成のように、混合画像と背景画像における画素単位での差分に基づき人物画像を抽出後、後処理として各種信号処理を実施する方法では、効率的に人物抽出を行うことが困難となるおそれがある。
【0006】
本発明は、効率的に混合画像から人物を抽出可能な人物抽出方法、その装置、そのプログラム、および、そのプログラムを記録した記録媒体を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、所定の背景が撮影されている背景画像を複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの色を所定の表色系で表す値の代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値背景画像を生成するとともに、前記背景画像の背景および人物が撮影されている混合画像を前記複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの前記代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値混合画像を生成するブロック代表値画像生成ステップと、前記代表値背景画像および前記代表値混合画像をブロックごとに比較し、前記代表値の差が所定値以上の前記ブロックを人物画像ブロックとして第1の値に設定し、前記所定値未満の前記ブロックを背景画像ブロックとして第2の値に設定することにより、背景差分二値化画像を生成する背景差分二値化画像生成ステップと、前記背景差分二値化画像の前記第1の値に設定された画素を前記混合画像の色に設定し、前記第2の値に設定された画素を所定の色に設定することにより、ブロックフィルタ処理画像を生成するブロックフィルタ処理画像生成ステップと、を実施することを特徴とする人物抽出方法である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、所定の背景が撮影されている背景画像を複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの色を所定の表色系で表す値の代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値背景画像を生成するとともに、前記背景画像の背景および人物が撮影されている混合画像を前記複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの前記代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値混合画像を生成するブロック代表値画像生成手段と、前記代表値背景画像および前記代表値混合画像をブロックごとに比較し、前記代表値の差が所定値以上の前記ブロックを人物画像ブロックとして第1の値に設定し、前記所定値未満の前記ブロックを背景画像ブロックとして第2の値に設定することにより、背景差分二値化画像を生成する背景差分二値化画像生成手段と、前記背景差分二値化画像の前記第1の値に設定された画素を前記混合画像の色に設定し、前記第2の値に設定された画素を所定の色に設定することにより、ブロックフィルタ処理画像を生成するブロックフィルタ処理画像生成手段と、を具備したことを特徴とした人物抽出装置である。
【0009】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の人物抽出方法を演算手段に実行させることを特徴とした人物抽出プログラムである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の人物抽出プログラムが演算手段にて読取可能に記録されたことを特徴とした人物抽出プログラムを記録した記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る第1実施形態を図面に基づいて説明する。
この第1実施形態および後述する第2〜第5実施形態では、本発明の人物抽出装置を備えた人物抽出システムであって、背景が撮影された背景画像と、背景および人物が撮影された混合画像と、に基づいて、混合画像の人物を抽出する構成を例示して説明する。
なお、背景画像および混合画像としては、静止画、動画のいずれを対象としてもよい。また、カラー、白黒のいずれを対象としてもよい。
【0012】
〔人物抽出システムの構成〕
まず、人物抽出システムの構成について、図面に基づいて説明する。
図1は、人物抽出システムの概略構成を示すブロック図である。図2は、背景画像および混合画像における有効領域およびブロックを示す模式図である。図3は、背景差分二値化画像を示す模式図である。図4は、孤立点除去処理を説明するための図であり、(A),(B),(C),(D)は孤立点を除去する場合を表し、(E),(F)は孤立点を除去しない場合を表す。図5は、ブロックフィルタ処理カラー画像を示す模式図である。図6は、X方向へのエッジ検出処理を説明するための図であり、(A)はエッジであると判断される場合を表し、(B)はエッジでないと判断される場合を表す。図7は、Y方向へのエッジ検出処理を説明するための図であり、(A)はエッジであると判断される場合を表し、(B)はエッジでないと判断される場合を表す。図8は、出力画像を示す模式図である。
【0013】
図1において、1Aは人物抽出システムであり、背景画像と、混合画像と、に基づいて、混合画像の人物を抽出する。
そして、人物抽出システム1Aは、撮影手段10と、表示手段20Aと、人物抽出装置100Aと、などを備えている。
【0014】
撮影手段10は、例えばいわゆるインターホンのカメラであり、人物抽出装置100Aに接続されるとともに屋外に設置されている。
この撮影手段10は、人物抽出装置100Aの制御により、背景画像や混合画像を適宜撮影して、人物抽出装置100Aへ送信する。
【0015】
表示手段20Aは、例えばインターホンのモニタであり、人物抽出装置100Aに接続されるとともに例えば屋内に設置されている。
この表示手段20Aは、人物抽出装置100Aの制御により、混合画像から抽出された人物などを適宜表示させる。
【0016】
人物抽出装置100Aは、画像メモリ110と、演算手段としての制御部120Aと、などを備えている。
【0017】
画像メモリ110は、制御部120Aに接続されている。この画像メモリ110は、制御部120Aの制御により各種画像を適宜読み出し可能に記憶する。
【0018】
制御部120Aは、各種プログラムにより構成され、撮影制御手段121と、ブロック代表値画像生成手段122Aと、背景差分二値化画像生成手段123Aと、孤立点除去手段124と、ブロックフィルタ処理画像生成手段としてのブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Aと、エッジ検出処理二値化画像生成手段126と、出力画像生成手段としても機能する画像出力制御手段127Aと、などを備えている。
【0019】
撮影制御手段121は、撮影手段10を制御して背景画像や混合画像を撮影させる。具体的には、図2に示すように、X方向およびY方向にそれぞれ20個ずつ並設された400個の画素G(X,Y)(X=1〜20、Y=1〜20)から構成される背景画像や混合画像を撮影させる。そして、この撮影させた背景画像や混合画像を取得して、画像メモリ110に記憶させる。
【0020】
ブロック代表値画像生成手段122Aは、背景画像および混合画像に基づいて、代表値背景画像および代表値混合画像をブロック代表値画像として生成する。
具体的には、ブロック代表値画像生成手段122Aは、図2に示すような画素G(X,Y)から構成される背景画像および混合画像において、画素G(3,3)、画素G(3,18)、画素G(18,18)、および、画素G(18,3)を四隅とする256個の画素G(I,J)(I=3〜18、J=3〜18)から構成される有効領域Uを認識する。さらに、この有効領域Uを、有効領域Uに含まれる画素G(I,J)(以下、ブロック中央画素Gと適宜称す)と、このブロック中央画素G周辺の画素G(X,Y)と、から構成される複数のブロックC(I,J)(以下、ブロックCと適宜称す)に分割する。具体的には、有効領域Uを、画素G(I-2,J-2)、画素G(I-2,J+2)、画素G(I+2,J+2)、および、画素G(I+2,J-2)を四隅とする25個の画素G(X,Y)(以下、ブロック構成画素Gと適宜称す)から構成される256個のブロックCに分割する。つまり、X方向に5個、Y方向に5個のブロック構成画素Gから構成されるブロックサイズが「5×5」のブロックCに分割する。
また、ブロック代表値画像生成手段122Aは、背景画像の各ブロックCにおける25個のブロック構成画素Gの色を所定の表色系で表す値(以下、表色値と称す)の代表値を演算する。そして、この演算した代表値をブロック中央画素Gに設定した代表値背景画像を生成して、画像メモリ110に適宜記憶させる。
ここで、所定の表色系としては、RGB表色系やXYZ表色系などのCIE(国際照明委員会)表色系、マンセル表色系などが例示できる。また、代表値としては、平均値、中間値などが例示できる。
さらに、ブロック代表値画像生成手段122Aは、混合画像についても、各ブロックCにおけるブロック構成画素Gの代表値を演算し、この演算した代表値をブロック中央画素Gに設定した代表値混合画像を画像メモリ110に適宜記憶させる。
【0021】
背景差分二値化画像生成手段123Aは、図3に示すような背景差分二値化画像Phを生成する。
具体的には、背景差分二値化画像生成手段123Aは、代表値背景画像および代表値混合画像を取得して、比較対象のブロックCの代表値の差分が所定値以上であると判断した場合、すなわち代表値背景画像および代表値混合画像のブロックCにおける代表値の差分が大きい場合、代表値混合画像のブロックCが背景ではなく人物を表す人物画像ブロックであると認識する。そして、ブロック中央画素Gを、第1の値としての「1」に設定する。また、代表値の差分が所定値未満であると判断した場合、すなわち代表値背景画像および代表値混合画像のブロックCにおける代表値の差分が小さい場合、代表値混合画像のブロックCが背景を表す背景画像ブロックであると認識して、ブロック中央画素Gを、第2の値としての「0」に設定する。
そして、背景差分二値化画像生成手段123Aは、1フレーム分のブロックCについて上述した処理を実施して、ブロック中央画素Gが「1」または「0」に設定された背景差分二値化画像Phを生成して、画像メモリ110に適宜記憶させる。
【0022】
孤立点除去手段124は、背景画像や混合画像におけるノイズなどにより背景差分二値化画像Phに発生した孤立点を除去する。
具体的には、孤立点除去手段124は、背景差分二値化画像Phを取得して、処理対象のブロック中央画素Gが「0」であり、かつ、「0」のブロック中央画素GがX方向またはY方向に連続する数がM(Mは自然数)以下であると判断した場合、この処理対象のブロック中央画素Gが孤立点であると認識する。そして、このブロック中央画素Gの設定を「0」から「1」に変更する。また、処理対象のブロック中央画素Gが「1」であり、かつ、「1」のブロック中央画素GがX方向またはY方向に連続する数がN(Nは自然数)以下であると判断した場合、この処理対象のブロック中央画素Gが孤立点であると認識して、設定を「1」から「0」に変更する。
例えば、Mが「2」に設定されている構成において、図4(A),(B),(C),(D)に示すようなブロック中央画素Gの設定の場合、「0」が連続する数が「2」または「1」なので、孤立点を除去する処理として、ブロック中央画素Gの設定を「0」から「1」に変更する処理を実施する。また、図4(E),(F)に示すようなブロック中央画素Gの設定の場合、「0」が連続する数が「3」なので、孤立点でないと判断して、孤立点を除去しない。
そして、孤立点除去手段124は、1フレーム分のブロック中央画素Gについて上述した処理を実施して、孤立点が適宜除去された背景差分二値化画像Phを画像メモリ110に適宜記憶させる。
なお、MおよびNの値としては、「2」以外の値であってもよい。また、MおよびNの値は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0023】
ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Aは、図5に示すようなブロックフィルタ処理画像としてのブロックフィルタ処理カラー画像Pf1を生成する。
具体的には、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Aは、孤立点除去手段124により孤立点除去がされた背景差分二値化画像Phを取得して、処理対象のブロック中央画素Gが「1」であると判断した場合、このブロック中央画素Gを混合画像における対応するブロック中央画素Gの色に設定する。また、処理対象のブロック中央画素Gが「0」であると判断した場合、所定の色としての白色に設定する。
そして、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Aは、1フレーム分のブロック中央画素Gについて上述した処理を実施して、ブロック中央画素Gが混合画像の色、または、白色に設定されたブロックフィルタ処理カラー画像Pf1を画像メモリ110に適宜記憶させる。
【0024】
エッジ検出処理二値化画像生成手段126は、背景差分二値化画像Phにおける人物および背景のエッジを検出して、X方向二値化画像およびY方向二値化画像を生成し、これらに基づいて、エッジを設定したエッジ検出処理二値化画像を生成する。
具体的には、エッジ検出処理二値化画像生成手段126は、背景差分二値化画像Phを取得して、処理対象のブロック中央画素G(I,J)が「1」であり、かつ、このブロック中央画素G(I,J)のX方向に隣り合う画素G(I-1,J),G(I+1,J)の設定が異なっているか否かを判断する。そして、この条件を満たす場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジであると判断して、「1」に設定する。また、条件を満たさない場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジでないと判断して、「0」に設定する。例えば、図6(A)に示すような場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジであると判断して、「1」に設定し、図6(B)に示すような場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジでないと判断して「0」に設定する。
そして、ブロック中央画素Gが「1」、または、「0」に設定されたX方向二値化画像を生成する。
【0025】
さらに、エッジ検出処理二値化画像生成手段126は、処理対象のブロック中央画素G(I,J)が「1」であり、かつ、Y方向に隣り合う画素G(I,J-1),G(I,J+1)の設定が異なっているか否かを判断する。そして、この条件を満たす場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジであると判断して、「1」に設定する。また、上記条件を満たさない場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジでないと判断して、「0」に設定する。例えば、図7(A)に示すような場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジであると判断して「1」に設定し、図7(B)に示すような場合、ブロック中央画素G(I,J)がエッジでないと判断して「0」に設定する。
そして、ブロック中央画素Gが「1」、または、「0」に設定されたY方向二値化画像を生成する。
【0026】
そして、エッジ検出処理二値化画像生成手段126は、X方向二値化画像およびY方向二値化画像の論理和を取り、エッジ検出処理二値化画像を生成する。すなわち、人物のエッジに対応するブロック中央画素Gが「1」に設定され、エッジ以外に対応するブロック中央画素Gが全て「0」に設定されたエッジ検出処理二値化画像を生成して、画像メモリ110に適宜記憶させる。
【0027】
画像出力制御手段127Aは、図8に示すような出力画像Pr1を生成して、表示手段20Aで表示させる。
具体的には、画像出力制御手段127Aは、混合画像と、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1と、エッジ検出処理二値化画像と、を取得する。そして、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1およびエッジ検出処理二値化画像における互いに対応する処理対象のブロック中央画素Gを比較して、このブロック中央画素Gが非エッジであり(エッジでなく)、かつ、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1で「0」に設定されているか否かを判断する。そして、この条件を満たす場合、このブロック中央画素Gが背景であると判断して、このブロック中央画素Gを所望の背景色に設定する。また、上記条件を満たさない場合、非エッジであり、かつ、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1で「1」に設定されているか否かを判断する。そして、この条件を満たす場合、このブロック中央画素Gが人物であると判断して、混合画素の色に設定する。一方、上記条件を満たさない場合、エッジであり、かつ、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1で「1」に設定されているか否かを判断する。そして、この条件を満たす場合、このブロック中央画素Gがエッジであると判断して、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1の色に設定する。ここでは、白色に設定する。
そして、画像出力制御手段127Aは、図8に示すような間隔が広い右下がりの複数の斜線で表されるブロック中央画素G(3,3)などが所望の背景色に、間隔が狭い左下がりの複数の斜線で表されるブロック中央画素G(5,3)などが混合画像の色に、斜線がない状態で表されるブロック中央画素G(4,3)などが白色に、それぞれ設定された出力画像Pr1を表示手段20Aで表示させる。
【0028】
〔人物抽出システムの動作〕
まず、人物抽出システムの動作について、図面に基づいて説明する。
図9は、人物抽出処理を示すフローチャートである。図10は、ブロック代表値画像生成処理を示すフローチャートである。図11は、背景差分二値化画像生成処理を示すフローチャートである。図12は、孤立点除去処理を示すフローチャートである。図13は、ブロックフィルタ処理カラー画像生成処理を示すフローチャートである。図14は、エッジ検出処理二値化画像生成処理を示すフローチャートである。図15は、画像出力制御処理を示すフローチャートである。
【0029】
まず、人物抽出システム1Aは、図9に示すように、ブロック代表値画像生成ステップとしてのブロック代表値画像生成処理を実施する(ステップS1)。そして、このステップS1で生成された代表値背景画像および代表値混合画像に基づいて、背景差分二値化画像生成ステップとしての背景差分二値化画像生成処理を実施する(ステップS2)。
この後、このステップS2で生成された背景差分二値化画像Phに対して孤立点除去処理を実施して(ステップS3)、孤立点が除去された背景差分二値化画像Phに基づいて、ブロックフィルタ処理画像生成ステップとしてのブロックフィルタ処理カラー画像生成処理を実施する(ステップS4)。さらに、ステップS2で生成された背景差分二値化画像Phに基づいて、エッジ検出処理二値化画像生成ステップとしてのエッジ検出処理二値化画像生成処理を実施する(ステップS5)。そして、このステップS5で生成されたエッジ検出処理二値化画像と、ステップS1で生成された混合画像と、ステップS4で生成されたブロックフィルタ処理カラー画像Pf1と、に基づいて、出力画像Pr1を生成して表示させる出力画像生成ステップとしての画像出力制御処理を実施する(ステップS6)。
【0030】
ここで、ステップS1におけるブロック代表値画像生成処理では、人物抽出システム1Aの人物抽出装置100Aは、図10に示すように、所定のタイミングで撮影手段10を制御して背景画像を生成する(ステップS11)。そして、この背景画像の各ブロックCの代表値を演算し(ステップS12)、この代表値に基づく代表値背景画像を生成する(ステップS13)。さらに、人物抽出装置100Aは、人物が撮影手段10の前に位置する状態で撮影手段10を制御して混合画像を生成する(ステップS14)。そして、この混合画像の各ブロックCの代表値を演算し(ステップS15)、この代表値に基づく代表値混合画像を生成する(ステップS16)。
【0031】
また、ステップS2における背景差分二値化画像生成処理では、人物抽出装置100Aは、図11に示すように、代表値背景画像および代表値混合画像における比較対象のブロックCの代表値を比較して(ステップS21)、代表値の差分が所定値以上か否かを判断する(ステップS22)。このステップS22において、所定値以上であると判断した場合、背景差分二値化画像Phのブロック中央画素Gを「1」に設定し(ステップS23)、所定値未満であると判断した場合、ブロック中央画素Gを「0」に設定する(ステップS24)。そして、1フレーム分の処理が終了したか否かを判断し(ステップS25)、終了したと判断した場合、処理を終了し、終了していないと判断した場合、ステップS21に戻る。
【0032】
さらに、ステップS3における孤立点除去処理では、人物抽出装置100Aは、図12に示すように、背景差分二値化画像Phにおける処理対象のブロック中央画素Gが「0」か否かを判断する(ステップS31)。このステップS31において、「0」であると判断した場合、「0」のブロック中央画素GがX方向またはY方向に連続する数がM以下か否かを判断する(ステップS32)。そして、ステップS32において、M以下であると判断した場合、ブロック中央画素Gを「0」から「1」に変更する(ステップS33)。さらに、このステップS33を実施した場合、または、ステップS32においてM以下でないと判断した場合、1フレーム分の処理が終了したか否かを判断し(ステップS34)、終了したと判断した場合、処理を終了し、終了していないと判断した場合、ステップS31に戻る。
また、ステップS31において、「1」であると判断した場合、「1」のブロック中央画素GがX方向またはY方向に連続する数がN以下か否かを判断する(ステップS35)。このステップS35において、N以下でないと判断した場合、ステップS34の処理を実施し、N以下であると判断した場合、ブロック中央画素Gを「1」から「0」に変更して(ステップS36)、ステップS34の処理をする。
【0033】
また、ステップS4におけるブロックフィルタ処理カラー画像生成処理では、人物抽出装置100Aは、図13に示すように、背景差分二値化画像Phにおける処理対象のブロック中央画素Gが「1」か否かを判断する(ステップS41)。このステップS41において、「1」であると判断した場合、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1のブロック中央画素Gを混合画像の色に設定し(ステップS42)、「0」であると判断した場合、ブロック中央画素Gを白色に設定する(ステップS43)。そして、1フレーム分の処理が終了したか否かを判断し(ステップS44)、終了したと判断した場合、処理を終了し、終了していないと判断した場合、ステップS41に戻る。
【0034】
さらに、ステップS5におけるエッジ検出処理二値化画像生成処理では、人物抽出装置100Aは、図14に示すように、背景差分二値化画像Phにおける処理対象のブロック中央画素G(I,J)と、X方向に隣り合う画素G(I-1,J),G(I+1,J)と、の値を比較して(ステップS51)、ブロック中央画素G(I,J)が「1」であり、かつ、画素G(I-1,J),G(I+1,J)の値が異なるか否かを判断する(ステップS52)。このステップS52において、条件を満たすと判断した場合、X方向二値化画像のブロック中央画素Gを「1」に設定し(ステップS53)、条件を満たさないと判断した場合、「0」に設定する(ステップS54)。この後、1フレーム分の処理が終了したか否かを判断し(ステップS55)、終了していないと判断した場合、ステップS51に戻る。
一方、ステップS55において、終了したと判断した場合、ブロック中央画素G(I,J)と、Y方向に隣り合う画素G(I,J-1),G(I,J+1)と、の値を比較して(ステップS56)、ブロック中央画素G(I,J)が「1」であり、かつ、画素G(I,J-1),G(I,J+1)の値が異なるか否かを判断する(ステップS57)。このステップS57において、条件を満たすと判断した場合、Y方向二値化画像のブロック中央画素Gを「1」に設定し(ステップS58)、条件を満たさないと判断した場合、「0」に設定する(ステップS59)。この後、1フレーム分の処理が終了したか否かを判断し(ステップS60)、終了していないと判断した場合、ステップS56に戻り、終了したと判断した場合、X方向二値化画像およびY方向二値化画像に基づいて、エッジ検出処理二値化画像を生成する(ステップS61)。
【0035】
また、ステップS6における画像出力制御処理では、人物抽出装置100Aは、図15に示すように、エッジ検出処理二値化画像およびブロックフィルタ処理カラー画像Pf1における処理対象のブロック中央画素Gを比較して(ステップS71)、このブロック中央画素Gが非エッジであり、かつ、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1で「0」に設定されているか否かを判断する(ステップS72)。このステップS72において、条件を満たしていると判断した場合、出力画像Pr1のブロック中央画素Gを所望の背景色に設定する(ステップS73)。また、ステップS72において、条件を満たさない場合、非エッジであり、かつ、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1で「1」に設定されているか否かを判断する(ステップS74)。
そして、ステップS74において、条件を満たす場合、ブロック中央画素Gを混合画素の色に設定する(ステップS75)。一方、ステップS74において、条件を満たさない場合、エッジであり、かつ、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1で「1」に設定されているか否かを判断する(ステップS76)。このステップS76において、条件を満たす場合、ブロック中央画素Gをブロックフィルタ処理カラー画像Pf1の色、すなわち白色に設定する(ステップS77)。
そして、ステップS73またはステップS75の処理の後、あるいは、ステップS76において条件を満たしていないと判断した場合、1フレーム分の処理が終了したか否かを判断し(ステップS78)、終了していないと判断した場合、ステップS71に戻り、終了したと判断した場合、出力画像Pr1を表示手段20Aで出力させる(ステップS79)。
【0036】
〔第1実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第1実施形態では、人物抽出装置100Aにて、背景画像および混合画像をそれぞれ複数のブロック構成画素Gから構成される複数のブロックCに分割する。そして、各ブロック構成画素Gの表色値の代表値を演算して、この代表値をブロック中央画素Gに設定した代表値背景画像および代表値混合画像を生成する。この後、代表値背景画像および代表値混合画像をブロックCごとに比較し、代表値の差分が所定値以上の場合にブロック中央画素Gを人物画像ブロックとして「1」に設定し、所定値未満の場合に背景画像ブロックとして「0」に設定した背景差分二値化画像Phを生成する。そして、背景差分二値化画像Phにおける「1」のブロック中央画素Gを混合画像の色に設定し、「0」のブロック中央画素Gを所定の色に設定することにより、混合画像から人物を抽出したブロックフィルタ処理カラー画像Pf1を生成する。
このため、複数のブロック構成画素Gから構成されるブロックC単位で、背景画像および混合画像における表色値の代表値を比較するので、撮影手段10や背景となる樹木などが風で揺れたりすることなどにより画素G(X,Y)単位で背景画像が変化してしまったとしても、この画素G(X,Y)単位での変化の影響を除去した状態で、効率的に混合画像から人物を抽出できる。
【0037】
さらに、背景差分二値化画像Phにおける人物および背景のエッジを検出して、所定のブロック中央画素Gがエッジまたは非エッジである旨を示すエッジ検出処理二値化画像を生成する。そして、このエッジ検出処理二値化画像のエッジと判定されたブロック中央画素Gをブロックフィルタ処理カラー画像Pf1の色である白色に設定し、非エッジと判定されたブロック中央画素Gを混合画像の色に設定し、非エッジと判定されたブロック中央画素Gを所定の背景色に設定することにより、出力画像Pr1を生成して表示させる。
このため、白色でいわゆる縁取りされた状態で効率的に抽出された人物を、出力画像Pr1により表示させることができる。
【0038】
そして、背景画像や混合画像におけるノイズなどにより、背景差分二値化画像Phに発生した孤立点を除去している。
このため、効率的に、かつ、適切に混合画像から人物を抽出することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第1実施形態と同一の構成については、同一符号を付し説明を適宜省略する。また、人物抽出システムの動作については、説明を省略する。
【0040】
〔人物抽出システムの構成〕
まず、人物抽出システムの構成について、図面に基づいて説明する。
図16は、人物抽出システムの概略構成を示すブロック図である。図17は、合成画像を示す模式図である。
【0041】
図16において、1Bは人物抽出システムであり、この人物抽出システム1Bは、撮影手段10と、他画像出力手段30と、表示手段20Bと、人物抽出装置100Bと、などを備えている。
【0042】
他画像出力手段30は、例えばいわゆるテレビチューナであり、人物抽出装置100Bに接続されている。
この他画像出力手段30は、放送波などの無線媒体やケーブルなどの有線媒体を介して配信される画像(以下、他画像と称す)を受信して、人物抽出装置100Bへ出力する。
【0043】
表示手段20Bは、例えばテレビジョン装置のモニタであり、人物抽出装置100Bに接続されるとともに屋内に設置されている。
この表示手段20Bは、人物抽出装置100Bの制御により、図17に示すように、混合画像から抽出された人物を表す出力画像Pr2と、他画像出力手段30で受信された他画像Ptと、が合成された合成画像Pg1などを適宜表示させる。
【0044】
人物抽出装置100Bは、制御部120Bのみが第1実施形態の人物抽出装置100Aと異なる構成を有している。また、制御部120Bは、第1実施形態の制御部120Aと同様の構成を有し、画像出力制御手段127Aの代わりに画像出力制御手段127Bを備えている。
【0045】
画像出力制御手段127Bは、合成画像Pg1を生成して、表示手段20Bで表示させる。
具体的には、画像出力制御手段127Bは、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1およびエッジ検出処理二値化画像の互いに対応するブロック中央画素Gが背景であると判断した場合、出力画像Pr2のブロック中央画素Gを他画像Ptの色に設定する。さらに、人物と判断されたブロック中央画素Gを混合画像の色に、エッジと判断されたブロック中央画素Gをブロックフィルタ処理カラー画像Pf1の色である白色に、それぞれ設定した出力画像Pr2を生成する。そして、テレビジョン放送の一場面である他画像Ptの一部に出力画像Pr2を合成した合成画像Pg1を表示手段20Bで表示させる。すなわち、他画像Ptにいわゆる白色の縁領域Wで縁取りされた人物Hが合成された合成画像Pg1を表示させる。
【0046】
〔第2実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第2実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、以下のような作用効果を奏することができる。
【0047】
すなわち、人物抽出装置100Bにて、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1およびエッジ検出処理二値化画像に基づいて、背景であると判断されたブロック中央画素Gを他画像Ptの色に、人物であると判断されたものを混合画像の色に、エッジと判断されたものを白色に、それぞれ設定した出力画像Pr2を生成する。そして、テレビジョン放送の一場面である他画像Ptの一部に出力画像Pr2を合成した合成画像Pg1を表示させる。
このため、例えばテレビジョン放送の視聴中であっても、利用者をその場から離れさせることなく訪問者の顔を認識させることができ、利便性を向上できる。
【0048】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第1,第2実施形態と同一の構成については、同一符号を付し説明を適宜省略する。また、人物抽出システムの動作については、説明を省略する。
【0049】
〔人物抽出システムの構成〕
まず、人物抽出システムの構成について、図面に基づいて説明する。
図18は、人物抽出システムの概略構成を示すブロック図である。図19は、合成画像を示す模式図である。
【0050】
図18において、1Cは人物抽出システムであり、この人物抽出システム1Cは、撮影手段10と、他画像出力手段30と、表示手段20Bと、人物抽出装置100Cと、などを備えている。
【0051】
人物抽出装置100Cは、制御部120Cのみが第2実施形態の人物抽出装置100Bと異なる構成を有している。また、制御部120Cは、第2実施形態の制御部120Bと同様の構成を有し、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Aおよび画像出力制御手段127Bの代わりに、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Cおよび画像出力制御手段127Cを備えているとともに、エッジ検出処理二値化画像生成手段126を備えていない。
【0052】
ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Cは、図19に示すようなブロックフィルタ処理カラー画像Pf2を生成する。
具体的には、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Cは、孤立点除去手段124により孤立点除去がされた背景差分二値化画像Phにおける処理対象のブロック中央画素Gが「0」か否かを判断する。そして、「0」であり背景であると判断した場合、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf2のブロック中央画素Gを他画像Ptの色に設定し、「1」であり人物であると判断した場合、混合画像の色に設定して、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf2を生成する。
【0053】
画像出力制御手段127Cは、図19に示すような合成画像Pg2を生成して、表示手段20Bで表示させる。
具体的には、画像出力制御手段127Cは、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf2を取得して、他画像Ptの一部に合成した合成画像Pg2を表示手段20Bで表示させる。すなわち、他画像Ptに縁領域Wで縁取りがされていない人物Hが合成された合成画像Pg2を表示させる。
【0054】
〔第3実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第3実施形態では、上記第1,第2実施形態と同様の作用効果に加え、以下のような作用効果を奏することができる。
【0055】
すなわち、人物抽出装置100Cにて、背景差分二値化画像Phにおいて、背景であると判断されたブロック中央画素Gを他画像Ptの色に、人物であると判断されたものを混合画像の色に、それぞれ設定したブロックフィルタ処理カラー画像Pf2を生成する。そして、他画像Ptの一部にブロックフィルタ処理カラー画像Pf2を合成した合成画像Pg2を表示させる。
このため、エッジ検出処理二値化画像生成手段126を設けなくても、例えばテレビジョン放送視聴中の利用者をその場から離れさせることなく訪問者の顔を認識させることができる。したがって、構成の簡略化を図りつつ、利便性を向上できる。
【0056】
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第1〜第3実施形態と同一の構成については、同一符号を付し説明を適宜省略する。また、人物抽出システムの動作については、説明を省略する。
【0057】
〔人物抽出システムの構成〕
まず、人物抽出システムの構成について、図1に基づいて説明する。
【0058】
図1において、人物抽出システム1Dは、人物抽出装置100Dのみが第1実施形態の人物抽出システム1Aと異なる構成を有している。また、人物抽出装置100Dは、制御部120Dのみが第1実施形態の人物抽出装置100Aと異なる構成を有している。さらに、制御部120Dは、第1実施形態の制御部120Aと同様の構成を有し、ブロック代表値画像生成手段122A、背景差分二値化画像生成手段123A、および、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Aの代わりに、ブロック代表値画像生成手段122D、背景差分二値化画像生成手段123D、および、ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Dを備えている。
【0059】
ブロック代表値画像生成手段122Dは、背景画像および混合画像において、第1実施形態のブロック代表値画像生成手段122Aと同様の処理により、ブロックサイズが「5×5」のブロックCに分割し、各ブロックCの代表値に基づいて、代表値背景画像および代表値混合画像を生成する。さらに、例えば画素G(I-2,J-2)、画素G(I-2,J+1)、画素G(I+1,J+1)、および、画素G(I+1,J-2)を四隅とする16個のブロック構成画素Gから構成されるブロックサイズが「4×4」のブロックC、画素G(I-1,J-1)、画素G(I-1,J+1)、画素G(I+1,J+1)、および、画素G(I+1,J-1)を四隅とする9個のブロック構成画素Gから構成されるブロックサイズが「3×3」のブロックCに分割し、それぞれに対応する代表値背景画像および代表値混合画像を生成する。
【0060】
背景差分二値化画像生成手段123Dは、ブロックサイズが「3×3」、「4×4」、および、「5×5」のブロックCに基づいて、それぞれに対応する背景差分二値化画像Phを生成する。ここで、ブロックCのブロックサイズが異なるため、各背景差分二値化画像Phは、「1」に設定されたブロックC、すなわち人物画像ブロックの数や範囲あるいは位置が適宜異なることとなる。
【0061】
ブロックフィルタ処理カラー画像生成手段125Dは、各ブロックサイズに対応する背景差分二値化画像Phから、あらかじめ設定された人物画像ブロックの数や範囲あるいは位置と同一、あるいは、ほぼ等しいものを選択する。そして、この選択したブロックサイズに対応する背景差分二値化画像Phに基づいて、ブロックフィルタ処理カラー画像Pf1を生成して、画像メモリ110に適宜記憶させる。
このブロックフィルタ処理カラー画像Pf1に基づいて、出力画像Pr1が表示手段20Aで表示される。
【0062】
〔第4実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第4実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、以下のような作用効果を奏することができる。
【0063】
すなわち、人物抽出装置100Dにて、ブロックサイズが異なる複数の代表値背景画像、代表値混合画像、および、背景差分二値化画像Phを生成する。そして、これら各ブロックサイズの背景差分二値化画像Phから、あらかじめ設定された人物画像ブロックの数や範囲あるいは位置と同一、あるいは、ほぼ等しいものを選択し、この選択した背景差分二値化画像Phに基づく出力画像Pr1を表示させる。
このため、例えば撮影手段10や背景となる樹木などが風で揺れたりしている場合には、大きいブロックサイズの背景差分二値化画像Phを選択することにより、ある程度の動きをブロックC単位で吸収することができ、背景画像ブロックの抽出を容易にできる。したがって、撮影手段10の設置環境に対応したブロックサイズの背景差分二値化画像Phに基づいて、人物を高精度に抽出できる。
【0064】
[第5実施形態]
次に、本発明に係る第5実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、第1〜第4実施形態と同一の構成については、同一符号を付し説明を適宜省略する。また、人物抽出システムの動作については、説明を省略する。
【0065】
〔人物抽出システムの構成〕
まず、人物抽出システムの構成について、図1に基づいて説明する。
【0066】
図1において、人物抽出システム1Eは、人物抽出装置100Eのみが第1実施形態の人物抽出システム1Aと異なる構成を有している。また、人物抽出装置100Eは、制御部120Eのみが第1実施形態の人物抽出装置100Aと異なる構成を有している。さらに、制御部120Eは、第1実施形態の制御部120Aと同様の構成を有し、背景差分二値化画像生成手段123Aの代わりに、背景差分二値化画像生成手段123Eを備えている。
【0067】
背景差分二値化画像生成手段123Eは、代表値背景画像および代表値混合画像における比較対象のブロックCの代表値を比較する。そして、この代表値の差分が第1所定値未満であると判断した場合、代表値混合画像のブロックCが背景画像ブロックであると認識して、ブロック中央画素Gを「0」に設定する。また、代表値の差分が第1所定値よりも大きい第2所定値以上であると判断した場合、代表値混合画像のブロックCが人物画像ブロックであると認識して、ブロック中央画素Gを「1」に設定する。さらに、代表値の差分が第1所定値以上であり、かつ、第2所定値未満であると判断した場合、代表値混合画像のブロックCの代表値で表される色が肌色か否かを判断する。そして、肌色であると判断した場合、人物画像ブロックであると認識して、ブロック中央画素Gを「1」に設定し、肌色でないと判断した場合、背景画像ブロックであると認識して、「0」に設定する。そして、人物画像ブロックおよび背景画像ブロックで構成される背景差分二値化画像Phを生成する。
【0068】
〔第5実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第5実施形態では、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、以下のような作用効果を奏することができる。
【0069】
すなわち、人物抽出装置100Eにて、代表値背景画像および代表値混合画像におけるブロックCの代表値の差分が第1所定値以上であり、かつ、第2所定値未満であると判断した場合、代表値混合画像のブロックCの代表値で表される色が肌色か否かに基づいて、背景画像ブロックまたは人物画像ブロックである旨を判断する。
このため、代表値の差分に基づき人物画像ブロックであるか否かの判定が困難な場合であっても、そのブロックCにおける実際の色を検出することにより、人物をさらに高精度に抽出できる。
【0070】
[実施形態の変形]
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0071】
すなわち、第1〜第5実施形態において、エッジ検出処理二値化画像生成手段126および画像出力制御手段127A,127B,127Cを設けない構成としてもよい。さらには、撮影制御手段121、孤立点除去手段124を設けない構成としてもよい。
【0072】
そして、第2実施形態における他画像Ptに対する出力画像Pr2の大きさあるいは位置や、第3実施形態における他画像Ptに対するブロックフィルタ処理カラー画像Pf2の大きさあるいは位置を、適宜変更可能な構成としてもよいし、あらかじめ所定の状態に設定した構成としてもよい。
【0073】
さらに、第1〜第5実施形態において、ブロックCを構成するブロック構成画素Gの表色値の平均値や中間値を代表値としたが、ブロック構成画素Gのうちの代表画素G、例えばブロック中央画素Gの表色値を、そのままブロックCの代表値として適用してもよい。
【0074】
また、第2,第3実施形態において、撮影手段10をテレビ会議システムの参加者を撮影するカメラとするとともに、他画像出力手段30を会議資料を撮影するカメラとし、表示手段20Bで主に会議資料を表示するとともに、その一部に参加者の顔を合成して表示させる構成としてもよい。
さらに、本発明の人物抽出装置を、テレビ電話に適用してもよい。
【0075】
また、上述した各機能をプログラムとして構築したが、例えば回路基板などのハードウェアあるいは1つのIC(Integrated Circuit)などの素子にて構成するなどしてもよく、いずれの形態としても利用できる。なお、プログラムや別途記録媒体から読み取らせる構成とすることにより、上述したように取扱が容易で、利用の拡大が容易に図れる。
【0076】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0077】
[実施形態の効果]
上述したように、上記実施形態では、人物抽出装置100Aにて、背景画像および混合画像をそれぞれ複数のブロック構成画素Gから構成される複数のブロックCに分割する。そして、各ブロック構成画素Gの表色値の代表値を演算して、この代表値をブロック中央画素Gに設定した代表値背景画像および代表値混合画像を生成する。この後、代表値背景画像および代表値混合画像をブロックCごとに比較し、代表値の差分が所定値以上の場合にブロック中央画素Gを人物画像ブロックとして「1」に設定し、所定値未満の場合に背景画像ブロックとして「0」に設定した背景差分二値化画像Phを生成する。そして、背景差分二値化画像Phにおける「1」のブロック中央画素Gを混合画像の色に設定し、「0」のブロック中央画素Gを所定の色に設定することにより、混合画像から人物を抽出したブロックフィルタ処理カラー画像Pf1を生成する。
このため、複数のブロック構成画素Gから構成されるブロックC単位で、背景画像および混合画像における表色値の代表値を比較するので、撮影手段10が風で揺れたりすることなどにより画素G(X,Y)単位で背景画像が変化してしまったとしても、この画素G(X,Y)単位での変化の影響を除去した状態で、効率的に混合画像から人物を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1,第4,第5実施形態に係る人物抽出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1〜第5実施形態に係る背景画像および混合画像における有効領域およびブロックを示す模式図である。
【図3】前記第1〜第5実施形態における背景差分二値化画像を示す模式図である。
【図4】前記第1〜第5実施形態における孤立点除去処理を説明するための図であり、(A),(B),(C),(D)は孤立点を除去する場合を表し、(E),(F)は孤立点を除去しない場合を表す。
【図5】前記第1,第2,第4,第5実施形態におけるブロックフィルタ処理カラー画像を示す模式図である。
【図6】前記第1〜第5実施形態におけるX方向へのエッジ検出処理を説明するための図であり、(A)はエッジであると判断される場合を表し、(B)はエッジでないと判断される場合を表す。
【図7】前記第1〜第5実施形態におけるY方向へのエッジ検出処理を説明するための図であり、(A)はエッジであると判断される場合を表し、(B)はエッジでないと判断される場合を表す。
【図8】前記第1,第4,第5実施形態における出力画像を示す模式図である。
【図9】前記第1,第2,第4,第5実施形態における人物抽出処理を示すフローチャートである。
【図10】前記第1〜第3,第5実施形態におけるブロック代表値画像生成処理を示すフローチャートである。
【図11】前記第1,第2実施形態における背景差分二値化画像生成処理を示すフローチャートである。
【図12】前記第1〜第5実施形態における孤立点除去処理を示すフローチャートである。
【図13】前記第1,第2,第4,第5実施形態におけるブロックフィルタ処理カラー画像生成処理を示すフローチャートである。
【図14】前記第1,第2,第4,第5実施形態におけるエッジ検出処理二値化画像生成処理を示すフローチャートである。
【図15】前記第1,第5実施形態における画像出力制御処理を示すフローチャートである。
【図16】前記第2実施形態における人物抽出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図17】前記第2実施形態における合成画像を示す模式図である。
【図18】前記第3実施形態における人物抽出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図19】前記第3実施形態における合成画像を示す模式図である。
【符号の説明】
【0079】
100A,100B,100C,100D,100E…人物抽出装置
120A,120B,120C,120D,120E…演算手段としての制御部
122A,122D…ブロック代表値画像生成手段
123A,123D,123E…背景差分二値化画像生成手段
125A,125C,125D…ブロックフィルタ処理画像生成手段としてのブロックフィルタ処理カラー画像生成手段
126…エッジ検出処理二値化画像生成手段
127A,127B,127C…出力画像生成手段としても機能する画像出力制御手段
C…ブロック
G…画素
Ph…背景差分二値化画像
Pf1,Pf2…ブロックフィルタ処理画像としてのブロックフィルタ処理カラー画像
Pr1,Pr2…出力画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の背景が撮影されている背景画像を複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの色を所定の表色系で表す値の代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値背景画像を生成するとともに、前記背景画像の背景および人物が撮影されている混合画像を前記複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの前記代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値混合画像を生成するブロック代表値画像生成ステップと、
前記代表値背景画像および前記代表値混合画像をブロックごとに比較し、前記代表値の差が所定値以上の前記ブロックを人物画像ブロックとして第1の値に設定し、前記所定値未満の前記ブロックを背景画像ブロックとして第2の値に設定することにより、背景差分二値化画像を生成する背景差分二値化画像生成ステップと、
前記背景差分二値化画像の前記第1の値に設定された画素を前記混合画像の色に設定し、前記第2の値に設定された画素を所定の色に設定することにより、ブロックフィルタ処理画像を生成するブロックフィルタ処理画像生成ステップと、
を実施することを特徴とする人物抽出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の人物抽出方法であって、
前記背景差分二値化画像における背景および人物のエッジを検出し、所定の画素がエッジまたは非エッジである旨を示すエッジ検出処理二値化画像を生成するエッジ検出処理二値化生成画像ステップと、
前記エッジ検出処理二値化画像のエッジと判定された画素を前記ブロックフィルタ処理画像の色に設定し、非エッジと判定された前記第1の値からなる画素を前記混合画像の色に設定し、非エッジと判定された前記第2の値からなる画素を所定の背景色に設定することにより、出力画像を生成する出力画像生成ステップと、
を実施することを特徴とする人物抽出方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の人物抽出方法であって、
前記背景差分二値化画像生成ステップでは、前記ブロックの前記代表値で表される色または前記ブロックにおける代表画素の色を検出し、その色に基づいて、前記ブロックを前記第1の値または前記第2の値に設定することにより前記背景差分二値化画像を生成する
ことを特徴とする人物抽出方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の人物抽出方法であって、
前記ブロック代表値画像生成ステップおよび前記背景差分二値化画像生成ステップでは、前記ブロックのサイズが異なる複数の前記代表値背景画像、前記代表値混合画像、および、前記背景差分二値化画像を生成し、
前記ブロックフィルタ処理画像生成ステップでは、前記第1の値のブロックがあらかじめ設定された範囲内に位置するブロックサイズ、または、前記第1の値のブロックが前記範囲に最も近いブロックサイズの前記背景差分二値化画像を選択して、この背景差分二値化画像に基づく処理を実施する
ことを特徴とする人物抽出方法。
【請求項5】
所定の背景が撮影されている背景画像を複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの色を所定の表色系で表す値の代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値背景画像を生成するとともに、前記背景画像の背景および人物が撮影されている混合画像を前記複数の画素からなるブロックに分割し、各ブロックの前記代表値を演算し、各ブロックの代表値から構成される代表値混合画像を生成するブロック代表値画像生成手段と、
前記代表値背景画像および前記代表値混合画像をブロックごとに比較し、前記代表値の差が所定値以上の前記ブロックを人物画像ブロックとして第1の値に設定し、前記所定値未満の前記ブロックを背景画像ブロックとして第2の値に設定することにより、背景差分二値化画像を生成する背景差分二値化画像生成手段と、
前記背景差分二値化画像の前記第1の値に設定された画素を前記混合画像の色に設定し、前記第2の値に設定された画素を所定の色に設定することにより、ブロックフィルタ処理画像を生成するブロックフィルタ処理画像生成手段と、
を具備したことを特徴とした人物抽出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の人物抽出装置であって、
前記背景差分二値化画像における背景および人物のエッジを検出し、所定の画素がエッジまたは非エッジである旨を示すエッジ検出処理二値化画像を生成するエッジ検出処理二値化生成画像手段と、
前記エッジ検出処理二値化画像のエッジと判定された画素を前記ブロックフィルタ処理画像の色に設定し、非エッジと判定された前記第1の値からなる画素を前記混合画像の色に設定し、非エッジと判定された前記第2の値からなる画素を所定の背景色に設定することにより、出力画像を生成する出力画像生成手段と、
を具備したことを特徴とした人物抽出装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の人物抽出方法を演算手段に実行させる
ことを特徴とした人物抽出プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の人物抽出プログラムが演算手段にて読取可能に記録された
ことを特徴とした人物抽出プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−250366(P2008−250366A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87126(P2007−87126)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】