説明

仕切りドア

【課題】 製造が容易になるとともに、美観を向上させることのできる仕切りドアを提供すること。
【解決手段】 芯材10aの表裏に化粧表面材11,12を張り付けて構成される仕切りドア10における芯材10aの両縦縁面13aの中央に上下に延びる取付用溝21を形成して、この取付用溝21の内部に化粧表面材11,12の両側縁部をそれぞれ入れ、その状態の取付用溝21の内部に固定部材22を押し込んで固定した。また、固定部材22を、取付用溝21の内部側に位置する平面部22aよりも外部側に位置する開放部22bの幅が大きい横断面形状がコ字状の部材で構成し、コ字状の開放側を外部に向けて取り付けた。さらに、仕切りドア10を二つの部屋を仕切るドアにして、化粧表面材11,12の色または模様をそれぞれ対応する部屋の壁の色または模様に合わせた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋と部屋との間や、部屋と押入れとの間に設けられて、空間を仕切るために用いられる仕切りドアに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家屋における部屋と部屋との間(例えば洋室と和室との間)や、部屋と押入れとの間に設けられて、空間を仕切るためにふすまやドア等が用いられている。ふすまにおいては、一般に、四角枠状に形成された縦框と横框とからなる周囲骨の内側に左右方向に延びる横桟と上下方向に延びる縦桟とをそれぞれ一定間隔で配置して格子状に組み付けた枠体からなる芯材が用いられている。そして、芯材の表面と裏面とにそれぞれ強化紙を張り付け、さらに、両強化紙の表面(外面)にそれぞれ絵柄が施されたシート状の化粧表面材を張り付け、その状態の芯材の外周部に枠状の周囲縁を取り付けてふすまが形成される。
【0003】
しかしながら、このようなふすまを複数個並べた場合には、周囲縁によって化粧表面材の絵柄が分断されるため連続した絵柄にならないという意匠上の課題がある。また、一枚のふすまであっても周囲縁によって周囲との関係で違和感が生じる。さらに、通常、ふすまやドアには、配置される部屋の床の色に合った色や模様が施されているため、ふすまやドアの色や模様が部屋の壁の色や模様と調和の取れたものにならないという意匠上の課題もある。このため、周囲縁をなくすことにより、化粧表面材の絵柄が分断されないふすまも考案されている(例えば、特許文献1参照)。このふすまは、左右の竪桟と、上下の横桟とからなる矩形枠の両面にベニヤ板の下地を接合して形成されるふすま基体の竪桟の中央にスリットを形成し、ふすま基体の表裏両面を被覆する化粧シートの端縁をスリット内に折り込んで接着剤によって接合することにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−217326号公報
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、前述したふすまでは、幅の小さなスリットの内部に化粧シートの端縁を無理に押し込まなければならないため操作がし難いという問題がある。また、スリットの幅に余裕を持たせると、化粧シートの端縁がスリット内にきれいに挿入されなくてしわが生じ美観を損なったり、化粧シートの端縁がはがれ易くなったりするという問題が生じる。
【0006】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、製造が容易になるとともに、美観を向上させることのできる仕切りドアを提供することである。
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明に係る仕切りドアの構成上の特徴は、芯材の表裏に、それぞれシート状の化粧表面材を張り付けて構成される仕切りドアであって、芯材の両縦縁面に上下に延びる取付用溝を形成して、この取付用溝の内部に化粧表面材の両側縁部をそれぞれ入れ、その状態の取付用溝の内部に固定部材を押し込んで固定したことにある。
【0008】
このように本発明に係る仕切りドアでは、従来のふすまのように、化粧表面材の側縁部を幅の小さなスリット内に押し込むのではなく、芯材の縦縁面にある程度大きな幅の取付用溝を形成して、この取付用溝の内部に化粧表面材の側縁部を入れ、さらに、取付用溝の内部に固定部材を押し込むことにより、化粧表面材の側縁部を芯材に固定している。これによると、化粧表面材の側縁部を、取付用溝内に入れる操作は、化粧表面材の側縁部をかるく取付用溝内に入れるだけで済むため容易になる。また、化粧表面材の側縁部が入った状態の取付用溝内に固定部材を取り付ける操作は、固定部材を順次取付用溝の中に押し込んでいくだけであるため容易である。この場合、必要に応じて、接着剤等を用いて、固定部材を取付用溝側に固定することが好ましい。
【0009】
さらに、本発明によると、化粧表面材の側縁部を取付用溝内にきれいに入れることができるためしわが生じなくなる。また、固定部材は、仕切りドアを挟む二つの空間を仕切る境界線となる他、美観を向上させるデザインとしての機能も奏するようになる。これらのことによって、仕切りドアの製造を容易にすることができるとともに、仕切りドアの美観を向上させることができる。この場合の化粧表面材には、紙、プラスチックシートやビニールシート等の種々のシート状のものが含まれる。また、本発明に係る仕切りドアとしては、部屋と部屋との間、部屋と押入れとの間等に設けられて空間を仕切るふすまやドア、およびクローゼットや物入れに使用される建具等、空間部を仕切るパネル状のものも含むものとする。
【0010】
また、本発明に係る仕切りドアの他の構成上の特徴は、取付用溝を芯材の両縦縁面における幅方向の中央に形成したことにある。これによると、取付用溝を形成し易くなる。また、固定部材が仕切りドアの縦縁面の中央に位置するようになるため、仕切りドアを一枚だけ設置したときには、仕切りドアを挟んだ両空間の境界が明確になる。
【0011】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、固定部材を横断面形状がコ字状の部材で構成し、コ字状の開放側を外部に向けて取付用溝に取り付けたことにある。これによると、固定部材を、取付用溝の内面側に固定できる部分だけで構成することができる。
【0012】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、固定部材を可撓性の材料で構成し、取付用溝の内部側に位置する部分の幅よりも外部側に位置する開放部の幅の方が大きくなるようにするとともに、開放部の幅を、取付用溝の内部に両化粧表面材の側縁部を密着状態で入れたときの両化粧表面材間の間隔よりも大きくしたことにある。これによると、固定部材を取付用溝の内部に押し込んだのちには、固定部材が化粧表面材を取付用溝の内側面に押し付けるようになる。このため、化粧表面材の側縁部をより確実に固定した状態で固定部材を取付用溝に取り付けることができる。
【0013】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、固定部材を、両化粧表面材よりもわずかに硬質な材料で構成し、固定部材の外部側端部が両化粧表面材の表面と略同一面上に位置するようにしたことにある。これによると、仕切りドアを移動させて仕切りドアの側端面が壁や柱に当たったときに、両化粧表面材が押し潰されて傷がついたりすることがなくなる。この結果、仕切りドアの長寿命化が図れる。また、両化粧表面材を保護する固定部材の硬さを両化粧表面材の硬さよりもやや硬い程度に押さえることにより、固定部材が当たる壁や柱が傷つくことを防止できる。この場合、両化粧表面材の厚みが異なっていれば、固定部材の外部側端部を、外側に位置する化粧表面材の表面に合わせることが好ましいが、両化粧表面材の表面間の中間部に合わせてもよい。
【0014】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、仕切りドアが二つの部屋を仕切るドアであり、化粧表面材の色または模様をそれぞれ対応する部屋の壁の色または模様に合わせたことにある。従来のドアは、床の色に合わせて製造されることが多いが、本発明に係る仕切りドアは、それぞれの面に配置される化粧表面材の色または模様を対応する部屋の壁の色または模様に合わせているため、部屋の壁と仕切りドアとに一体感がでて美観が向上するようになる。例えば、仕切りドアが洋室と和室との間に配置されるものであれば、洋室側に位置する化粧表面材には、その洋室の壁に合ったものを用い、和室側に位置する化粧表面材には、その和室の壁に合ったものを用いる。この場合、壁と化粧表面材との色や模様は同一にしてもよいし、類似したものにしてもよい。
【0015】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、固定部材の色を、両化粧表面材のうちの少なくとも一方の色に合わせたことにある。これによると、固定部材が目立って違和感が生じることを防止できる。また、固定部材の色を2色にしてそれぞれ半分を対応する化粧表面材の色と同じにしてもよい。なお、両化粧表面材を同じもので構成した場合には、固定部材の色は、両化粧表面材と同じになることは言うまでもない。
【0016】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、取付用溝の幅および深さをそれぞれ4〜8mmに設定したことにある。これによると、取付用溝の内部に、化粧表面材の側縁部を入れ易くなるとともに、化粧表面材の側縁部が入った取付用溝に固定部材を取り付け易くなる。なお、取付用溝の幅および深さはそれぞれ6mmに設定することがより好ましい。これによると、取付用溝の幅をできるだけ小さくしながら製造し易い仕切りドアを得ることができる。
【0017】
また、本発明に係る仕切りドアのさらに他の構成上の特徴は、芯材が、縦框と横框とを備えており、縦框に取付用溝を設けたことにある。これによると、芯材として、従来のふすまが備えるふすまの本体部分を用いることができる。この場合、芯材を、縦框と横框とからなる四角枠状の周囲骨の内側に、左右方向に延びる横桟と上下方向に延びる縦桟とを格子状に組み付け、さらに、その内部に、板状または網目状のコア部を組み付けて構成することもできる。コア部としては、ハニカム状のペーパーハニカムコア、発泡スチロール、パーチクルボード等からなる板状のコア部等を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る仕切りドアの一方の面を示した斜視図である。
【図2】図1に示した仕切りドアの他方の面を示した斜視図である。
【図3】固定部材の取付状態を示した断面図である。
【図4】複数の仕切りドアをレールに取り付けた状態を示した斜視図である。
【図5】他の実施形態に係る仕切りドアの一方の面を示した斜視図である。
【図6】図5に示した仕切りドアの他方の面を示した斜視図である。
【図7】複数の仕切りドアをレールに取り付けた状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。図1および図2は同実施形態に係る仕切りドア10を示している。この仕切りドア10は、例えば、家屋における和室と洋室との間に設置されるもので、敷居27(図4参照)の上をスライドさせることにより和室と洋室との間を開閉できる。仕切りドア10の内部は、芯材10aで構成されており、芯材10aの一方の面(和室側の面とする)に、和室の壁と同じ図柄が施された和紙からなる化粧表面材11が張り付けられ、芯材10aの他方の面(洋室側の面とする)に、洋室の壁と同じ図柄が施された化粧シートからなる化粧表面材12が張り付けられている。
【0020】
芯材10aの外郭部は、左右両側で上下方向に延びる一対の縦框13と、左右の縦框13間における上下両側で左右方向に延びる一対の横框14とからなる四角枠状の周囲骨で構成されている。そして、周囲骨における一対の縦框13の内面には、上下方向に一定間隔を保って、左右方向に延びる複数の横桟15が掛け渡されている。また、周囲骨の内部における横桟15によって区画される部分にそれぞれペーパーハニカムからなるコア部16が設けられている。この一対の縦框13、一対の横框14、複数の横桟15およびコア部16で芯材10aが構成されている。
【0021】
なお、図示していないが、図1の右側の縦框13と2個の横桟15とで囲まれる部分には、四角板状の引手アンコ板が取り付けられており、この引手アンコ板を介して、仕切りドア10における化粧表面材11側の表面に凹部を備えた引手17が取り付けられている。引手17は、軽合金、木、プラスチック等の材料の中から適宜選択した材料で構成されており、縦長四角形の薄板体の周縁部に周囲壁を設けた皿状に形成されている。また、引手アンコ板の化粧表面材11側の面には、引手17の形状に対応する凹部が形成されており、引手17は、この引手アンコ板の凹部に係合することによって仕切りドア10に取り付けられている。なお、化粧表面材11における引手17が取り付けられる部分は、所定箇所が切断されて折り曲げられた状態で、引手17によって引手アンコ板の凹部内に押し込められており、引手17は接着剤によって引手アンコ板に固定されている。
【0022】
また、仕切りドア10の化粧表面材12側の表面における引手17の裏面に対応する部分には、仕切りドア10の上端から下端に延びる引手18が取り付けられている。この引手18は、アルミニウムの押出し材からなっており、横断面形状が略コ字状で幅に比べて奥行き(仕切りドア10の厚み方向の長さ)が短い長尺の部材で構成されている。また、一対の横框14および横桟15における図2の左側の縦框13(図示せず)に隣接する部分には、それぞれ上下に貫通する奥行きの短い縦溝が形成されており、この複数の縦溝に引手18が取り付けられている。なお、化粧表面材12は、左右に切断された2枚のもので構成されており、それぞれの仕切りドア10の表面側の縁部は、折り曲げられた状態で、引手18によって縦溝側に押し込められている。
【0023】
また、図3に示したように、両縦框13の縦縁面13aにおける中央には、取付用溝21が上下に延びている。そして、この取付用溝21に化粧表面材11,12の側縁部を入れた状態で、さらに、長尺のモールからなる固定部材22を、取付用溝21に押し込めることによって、化粧表面材11,12の両側縁部は、芯材10a(縦框13)に固定されている。取付用溝21は、幅が6mmで深さが5mmの凹部で構成されており、芯材10aの下端から上端近傍まで延びている。なお、取付用溝21の幅と深さは、4〜8mmの範囲で適宜設定することが好ましい。この場合の仕切りドア10の厚みは、30mm程度である。固定部材22は、横断面形状がコ字状の樹脂の成形体で長尺状に構成されており、可撓性を備えている。また、固定部材22を構成する樹脂材料は、化粧表面材11,12よりも若干硬質のもので構成されている。
【0024】
固定部材22の幅は、取付用溝21の内部側に位置する平面部22aよりも外部側に位置する開放部22bの方が大きくなっており、開放部22bの幅は取付用溝21の幅と略同じになっている。このため、化粧表面材11,12の側縁部が入った取付用溝21内に、取付用溝21内に固定部材22を押し込めることにより、固定部材22の開放部22bで、化粧表面材11,12の側縁部を取付用溝21の内側面に押圧することができる。この場合、固定部材22の開放部22b側部分は幅を狭めるように撓む。また、固定部材22の開放部22bの先端部は、化粧表面材11,12の表面と略同一面上に位置している。
【0025】
なお、開放部22bの幅は取付用溝21の幅よりも若干広くしてもよい。通常、襖紙の厚みは、0.2〜0.3mmで、壁紙の厚みは0.5〜0.7mmであり、化粧表面材11,12としては種々の紙を用いることができる。このため、例えば、化粧表面材11,12の厚みの合計が1.0mmであるとすれば、開放部22bの幅は取付用溝21の幅と同じにし、化粧表面材11,12の厚みの合計が1.0mm以下であるとすれば、開放部22bの幅は取付用溝21の幅よりも広くする等、取付用溝21の幅と化粧表面材11,12の厚みを考慮して、適宜、開放部22bの幅を設定することができる。すなわち、取付用溝21の内部で化粧表面材11,12と固定部材22とが互いに押圧し合って表面に隙間が生じてなければよい。
【0026】
なお、化粧表面材11,12の厚みが異なっていれば、固定部材22の開放部22bの先端部を、化粧表面材11,12のうちの厚みの厚い方の表面に合わせてもよいし、化粧表面材11,12の表面間の中間部に合わせてもよい。また、固定部材22の平面部22aの幅は、取付用溝21の幅よりも小さいため、取付用溝21内にスムーズに挿入される。この場合、固定部材22の所定部分に接着剤23を塗布しておき、固定部材22が取り付けられたときに、固定部材22の平面部22aと取付用溝21の底面(奥側の平面)および固定部材22の両側面部と化粧表面材11,12の側縁部とが固定されるようにしておく。また、固定部材22は、化粧表面材11または化粧表面材12の色と同じ色に着色されている。
【0027】
芯材10aの表裏両面における引手17,18が取り付けられる部分以外の部分には、糊によって特殊強化紙19が張り付けられている。この特殊強化紙19は、例えば、超耐水紙の両側に、ポリエチレンシートやクラフト紙を貼合糊で貼ることによって積層した複数層で構成され、水分を殆ど吸収しない特性を備えた紙で構成される。そして、一方の特殊強化紙19の表面に化粧表面材11が糊によって貼り付けられ、他方の特殊強化紙19の表面に化粧表面材12が糊によって貼り付けられている。
【0028】
また、芯材10aの上端における化粧表面材11側部分には一対の縦框13と上部の横框14とにかけて段部14aが形成されており、この段部14aを形成することによって、芯材10aの上端面は二段からなる段違い面になっている。そして、芯材10aの上端面の上段における長手方向の両側に、弾性摺動部材25がそれぞれねじ25aによって取り付けられている。この弾性摺動部材25は、ねじ25aによって芯材10aに固定される部分と、その部分の両側にそれぞれ設けられ中央側が外側に突出する円弧状の枠体とで構成されており、中央突出側をそれぞれ芯材10aの表裏両側に向けて芯材10aに取り付けられている。
【0029】
なお、前述した化粧表面材11は、芯材10aにおける段部14aが形成された面に張り付けられた特殊強化紙19の両側縁部で折り曲げられて、縦縁面13aにおける芯材10aの上端面の下段までの部分を覆ったのちに取付用溝21内に挿入されて固定部材22によって固定されている。また、化粧表面材12は、芯材10aにおける段部14aのない面に張り付けられた特殊強化紙19の両側縁部で折り曲げられて、縦縁面13aにおける芯材10aの上端面の上段までの部分を覆う。
【0030】
そして、化粧表面材12の側縁側部分における段部14aよりも上部側部分は縦縁面13aをそのまま覆い、段部14aよりも下部側部分は取付用溝21内に挿入されて固定部材22によって固定される。さらに、芯材10aにおける両縦縁面13aと下端面との角部には、取付用穴部が形成され、この取付用穴部に戸車26が取り付けられている。図4に示したように、戸車26は、V車輪26aを備えた部材で構成されており、これによって、仕切りドア10は移動可能になる。また、V車輪26aは周面における幅方向の中央側が両側よりも突出した車輪で構成されている。
【0031】
以上のように構成された仕切りドア10は、例えば、図4に示したようにして、使用される。ここでは、3枚の仕切りドア10で和室と洋室とを仕切るようにしており、和室と洋室との間の上下に設置された敷居27と上部レール28とに各仕切りドア10を移動可能に取り付けている。なお、図4に示した右側の仕切りドア10以外の仕切りドア10では引手17,18の位置が前述した仕切りドア10とは、左右逆になっている。また、敷居27の上面には、仕切りドア10の厚さよりもやや長い間隔で3個のVレール27aが平行して形成されている。
【0032】
このVレール27aの形状は、V車輪26aにかみ合う形状に形成されており、Vレール27aにV車輪26aの周面を合わせた状態で、仕切りドア10をVレール27aに沿って移動させると、仕切りドア10はVレール27aに対して横ずれすることなく直線状に移動する。また、上部レール28の下面には、Vレール27aと同じ間隔で3個の平溝レール28aが平行して形成されている。この平溝レール28aの幅は、仕切りドア10の上端面の上段の幅よりもやや広くなっている。
【0033】
このため、Vレール27aにV車輪26aの周面を合わせるとともに、平溝レール28aに仕切りドア10の上端面の上段部分を入れ、その状態で、仕切りドア10を平溝レール28aに沿って移動させると、仕切りドア10は平溝レール28aに対して横ずれすることなく直線状に移動する。この際、弾性摺動部材25の両側の円弧状の枠体がそれぞれ平溝レール28aの内側面に摺接するため、仕切りドア10の上部はがたつくことなく平溝レール28aに対してスムーズに移動する。
【0034】
そして、各仕切りドア10は、それぞれ異なるVレール27aと、平溝レール28aとに取り付けられる。これによって、各仕切りドア10は、それぞれの移動方向が平行するように位置をずらして敷居27と上部レール28との両端間を移動可能になる。また、前述した和室と洋室を一枚の仕切りドア10で仕切ることもでき、この場合、Vレール27aと、平溝レール28aとは、それぞれ一個でよい。そして、3枚または1枚の仕切りドア10で和室と洋室との間を閉じたときには、和室の壁と化粧表面材11との色や模様に一体感が生じ、洋室の壁と化粧表面材12との色や模様に一体感が生じる。これによって、和室と洋室との双方の美観が増すようになる。
【0035】
さらに、1枚の仕切りドア10を用いた場合において、和室と洋室との間を開けたときには、仕切りドア10の側面の中央に固定部材22が見え、仕切りドア10の側面における固定部材22の一方側が和室の壁と合ったものとなり、他方側が洋室の壁と合ったものとなる。このため、固定部材22が和室と洋室との境界を示すラインとなる他、仕切りドア10の側面によっても美観が向上する。また、3枚の仕切りドア10を用いた場合において、和室と洋室との間を開けて、各仕切りドア10を重ねて配置したときには、各仕切りドア10の側面が連なって見えるため、化粧表面材11、固定部材22および化粧表面材12の組み合わせが3回繰り返されるようになり、興趣に富むものとなる。
【0036】
このように、本実施形態に係る仕切りドア10では、芯材10aの両縦縁面13aに形成された取付用溝21の内部に化粧表面材11,12の両側縁部を入れ、さらに、その状態の取付用溝21の内部に固定部材22を押し込むことにより、化粧表面材11,12の側縁部を芯材10aに固定している。これによると、化粧表面材11,12の両側縁部および固定部材22の双方を取付用溝21内に入れる操作が容易になる。この結果、化粧表面材11,12の側縁部を取付用溝21内にきれいに入れることができしわが生じなくなるとともに、化粧表面材11,12の側縁部を確実に固定できる。
【0037】
また、仕切りドア10の周縁部に、他の仕切りドア10や部屋の壁との間を分断する枠部材が設けられてないため、美観が増すようになる。さらに、1枚の仕切りドア10を用いた場合には、固定部材22が仕切りドア10を挟む二つの空間を仕切る境界ラインとなる他、美観を向上させるデザインとしての機能も奏する。また、仕切りドア10の化粧表面材11は、対応する和室の壁の色や模様に合ったもので構成され、化粧表面材12は対応する洋室の色または模様に合ったもので構成されているため、各部屋の壁と仕切りドア10とに一体感がでて美観が向上するようになる。
【0038】
また、固定部材22を、可撓性の材料で構成し、取付用溝21の内部側に位置する平面部22aよりも外部側に位置する開放部22bの方が幅が大きくなるようにするとともに、開放部22bの幅を取付用溝21の幅と略同じまたは若干広くしている。このため、固定部材22の取付用溝21への取り付けが容易になるとともに、固定部材22を取り付けたのちには、固定部材22が取付用溝21から外れ難くなる。その際、固定部材22が化粧表面材11,12を取付用溝21の内側面に押し付けるため、化粧表面材11,12をより確実に固定することができる。
【0039】
図5および図6は、前述した実施形態の変形例に係る仕切りドア30を示している。この仕切りドア30では、芯材30aの上端部に段部は設けられてなく、仕切りドア30の表裏面は同じ高さまで延びている。そして、芯材30aの両縦縁面と上端面との角部には、それぞれ取付用穴部が形成され、この取付用穴部にハンガー部材35が取り付けられている。
【0040】
ハンガー部材35は、芯材30aの取付用穴部内に取り付けられた基部35aと、基部35aの上端面から上方に延びる軸の上端に連結された矩形のハンガー本体35bと、ハンガー本体35bの表裏面にそれぞれ水平に並んで2個ずつ取り付けられたプーリ35cとで構成されている。各プーリ35cは、ハンガー本体35bの表裏面からそれぞれ突出しており、ハンガー本体35bの表裏面に位置する各一対のものがそれぞれ回転軸によって連結されている。この仕切りドア30におけるそれ以外の部分の構成については、前述した仕切りドア10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0041】
このように構成された仕切りドア30は、例えば、図7に示したようにして使用される。ここでも、3枚の仕切りドア30で和室と洋室とを仕切るようにしており、和室と洋室との間の上下に設置された下部レール27と3本の吊りレール38とに各仕切りドア10を移動可能に取り付けている。この場合も、図7に示した右側の仕切りドア30以外の仕切りドア10では引手17,18の位置が前述した仕切りドア30とは、左右逆になっている。吊りレール38は、四角筒状の長尺部材の下面部の幅方向の中央部分を長手方向に沿って開口させた形状に形成されている。この吊りレール38の開口の幅は、ハンガー本体35bの表裏方向の幅よりも大きく、同軸上に配置された2個のプーリ35cの外側部間の幅よりも小さくなるように設定されている。
【0042】
このため、吊りレール38の内部にハンガー部材35のハンガー本体35bとプーリ35cとを入れると、プーリ35cは、吊りレール38の下部両側の下面部に沿って移動可能になる。これによって、仕切りドア30は吊りレール38に対して横ずれすることなく直線状に移動する。また、敷居27のVレール27aに対しては、前述した仕切りドア10と同様にして、戸車26が移動可能な状態で位置決めされる。そして、各仕切りドア30は、それぞれ異なるVレール27aと、吊りレール38とに取り付けられる。なお、この仕切りドア30も1枚だけを用いることができ、この場合、Vレール27aと、吊りレール38とは、それぞれ一個だけでよい。これによっても、前述した仕切りドア10と同様の作用効果を得ることができる。
【0043】
また、本発明に係る仕切りドアは、前述した実施形態に限定するものでなく、適宜変更することができる。例えば、前述した実施形態では、固定部材22を横断面形状がコ字状の長尺部材で構成しているが、この固定部材としては、横断面形状が四角形や円形のもので構成してもよい。また、取付用溝21の位置も縦縁面13aの幅方向の中央に限らず、仕切りドアのどちらかの表面側に寄っていてもよい。また、この取付用溝21を直線でなく湾曲したり蛇行したりした線状にすることもできる。
【0044】
さらに、前述した実施形態では、仕切りドア10,30を洋室と和室との間に設けるものとしているが、本発明に係る仕切りドアは、壁紙等の異なる洋室と洋室または和室と和室との間に設ける場合にも利用できる。また、本発明に係る仕切りドアは、押入れ、クローゼット、物入れ等の戸としても利用できる。さらに、前述した実施形態では、仕切りドア10,30を1枚または3枚使用する場合について説明したが、この仕切りドア10,30は2枚で一組であってもよいし、4枚以上で一組であってもよい。また、仕切りドアのそれ以外の部分の構成についても本発明の技術的範囲内で適宜変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
10,30…仕切りドア、10a,30a…芯材、11,12…化粧表面材、13…縦框、13a…縦縁面、14…横框、21…取付用溝、22…固定部材、22a…平面部、22b…開放部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材の表裏に、それぞれシート状の化粧表面材を張り付けて構成される仕切りドアであって、
前記芯材の両縦縁面に上下に延びる取付用溝を形成して、この取付用溝の内部に前記化粧表面材の両側縁部をそれぞれ入れ、その状態の前記取付用溝の内部に固定部材を押し込んで固定したことを特徴とする仕切りドア。
【請求項2】
前記取付用溝を前記芯材の両縦縁面における幅方向の中央に形成した請求項1に記載の仕切りドア。
【請求項3】
前記固定部材を横断面形状がコ字状の部材で構成し、コ字状の開放側を外部に向けて前記取付用溝に取り付けた請求項1または2に記載の仕切りドア。
【請求項4】
前記固定部材を可撓性の材料で構成し、前記取付用溝の内部側に位置する部分の幅よりも外部側に位置する開放部の幅の方が大きくなるようにするとともに、前記開放部の幅を、前記取付用溝の内部に前記両化粧表面材の側縁部を密着状態で入れたときの前記両化粧表面材間の間隔よりも大きくした請求項3に記載の仕切りドア。
【請求項5】
前記固定部材を、前記両化粧表面材よりもわずかに硬質な材料で構成し、前記固定部材の外部側端部が前記両化粧表面材の表面と略同一面上に位置するようにした請求項1ないし4のうちのいずれか一つに記載の仕切りドア。
【請求項6】
前記仕切りドアが二つの部屋を仕切るドアであり、前記化粧表面材の色または模様をそれぞれ対応する部屋の壁の色または模様に合わせた請求項1ないし5のうちのいずれか一つに記載の仕切りドア。
【請求項7】
前記固定部材の色を、前記両化粧表面材のうちの少なくとも一方の色に合わせた請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載の仕切りドア。
【請求項8】
前記取付用溝の幅および深さをそれぞれ4〜8mmに設定した請求項1ないし7のうちのいずれか一つに記載の仕切りドア。
【請求項9】
前記芯材が、縦框と横框とを備えており、前記縦框に前記取付用溝を設けた請求項1ないし8のうちのいずれか一つに記載の仕切りドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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