説明

仕切構造及び変速機

【課題】潤滑油の偏りが生じない仕切構造を提供すること。
【解決手段】仕切構造1は、ギヤハウジング3と、プーリハウジング5と、ギヤハウジング3とプーリハウジング5とを隔てる壁部7に形成された連通穴7aを貫通し、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるパーキングロッド9と、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接して連通穴7aを塞ぐ仕切板25と、を有し、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の少なくともいずれか一方には下部に潤滑油が貯留され、仕切板25は、パーキングロッド9に接続された仕切板側ばね29によって、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一方に流体が貯留された2つのハウジングにおいて、貯留された流体が他方のハウジングに容易に移動しない仕切構造及び変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2及び特許文献3には、パーキングロッドの一般的な技術が記載されている。
このようなパーキングロッドは、トランスミッション等を貫通した状態で配置されている。また、トランスミッション等内には潤滑油が貯留されている。
更に、トランスミッション等は、坂道又は自動車の加速によりその潤滑油が一方に偏り、潤滑油の吸入口が露出してエア吸い状態とならないように、複数のハウジングに区切ってこのエア吸いを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004―44689号公報
【特許文献2】特開2006―281906号公報
【特許文献3】特開2009―197858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のハウジングに区切って潤滑油の偏りを防止しているが、パーキングロッドが複数のハウジングを貫通して配置されている為、この複数のハウジングを区切る壁に貫通穴が必要となる。
この貫通穴を通って、潤滑油が隣のハウジングに移動し、潤滑油の偏りが生じエア吸い状態が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、潤滑油の偏りが生じない仕切構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の仕切り構造は、第1のハウジングと、第2のハウジングと、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとを隔てる壁部に形成された連通穴を貫通し、前記壁部の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるロッドと、前記連通穴の周辺の前記壁部に圧接して前記連通穴を塞ぐ仕切板と、を有し、前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングの少なくともいずれか一方には下部に流体が貯留され、前記仕切板は、前記ロッドに接続された付勢手段によって、前記連通穴の周辺の前記壁部に圧接されている。
【0007】
好適には、前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングは、自動車のエンジンからの動力を伝達する伝達機構を収容するためのハウジングである。
【0008】
好適には、前記第1のハウジングは、パーキングギヤを収納するハウジングであり、前記ロッドは、パーキングギヤを固定する為のパーキングロッドであり、前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングの少なくともいずれか一方の下部に貯留された流体は、潤滑油である。
【0009】
好適には、前記仕切板には貫通穴が形成され、前記貫通穴を前記パーキングロッドが貫通している。
【0010】
好適には、前記付勢手段は、前記仕切板を圧接する反力によって前記パーキングロッドを、パーキング状態とする際にパーキングロッドが移動する方向に付勢している。
【0011】
好適には、本発明の変速機は、本発明の仕切構造を用いている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、潤滑油の偏りが生じない仕切構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態における、仕切構造を設ける位置の説明図である。
【図2】パーキングロッドの配置の説明図である。
【図3】パーキング機構の図2のIII方向からの説明図である。
【図4】本実施形態の仕切構造の説明図である。
【図5】本実施形態の仕切構造との比較例である。
【図6】第2の実施形態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における、仕切構造1を設ける位置の説明図である。
特に、ここでは、仕切構造1は自動車の変速機TMに用いた例を使用して説明する。
なお、仕切構造1を設ける位置をこの位置に限定する趣旨ではなく、他の位置であってもよいことは言うまでもない。さらに、自動車のトランスミッション内に設けられているものに限定する趣旨でもない。
【0015】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1を用いて詳細に説明する。
図1のように、自動車等は、エンジン101から生じた回転力を、クラッチ103、トルクコンバータ105、前後進切替機構107、第1のプーリ109、駆動チェーン111、第2のプーリ113及び終減速部115を経て、車輪117に伝達している。
ここで、伝達機構とは、クラッチ103、トルクコンバータ105、前後進切替機構107、第1のプーリ109、駆動チェーン111、第2のプーリ113、終減速部115等の動力を伝達する機構をいう。
なお、この伝達機構は軽自動車のものであるが、このような構造の伝達機構に限定する趣旨ではない。伝達機構は普通乗用車に用いられるものであってもよいし、前輪及び/又は後輪に動力を伝達する伝達機構であっても良いことは言うまでもない。
また、前後進切替機構107の詳細は周知であるから省略している。
【0016】
この終減速部115のギヤには、パーキングギヤ119が接続されている。
また、この終減速部115及びパーキングギヤ119が収納されるハウジングをギヤハウジング3とし、第2のプーリ113が収納されているハウジングをプーリハウジング5とする。
これら、クラッチ103、トルクコンバータ105、前後進切替機構107、第1のプーリ109、駆動チェーン111、第2のプーリ113及び終減速部115、ギヤハウジング3、プーリハウジング5等により、変速機TMが構成される。
このギヤハウジング3及びプーリハウジング5は、伝達機構を収容するためのものであることから、その下部に潤滑油が貯留されている。
また、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の下部には貯留されている潤滑油を吸って循環させるための潤滑油吸込み口が形成されている。
このような、伝達機構を有する自動車等は、坂道に位置する場合、及び、加速若しくは減速している場合もある。このような場合には、ギヤハウジング3に貯留されている潤滑油は、ギヤハウジング3内のどこかの側に偏ってしまうことになる。このことは、プーリハウジング5であっても同様である。
このように、潤滑油が偏ってしまうと、潤滑油吸込み口部分に潤滑油がなくなってしまい、エアを吸ってしまうエア吸い状態となってしまうおそれがある。
このエア吸い状態となることを、本実施形態では後述するような仕切構造1を用いて防いでいる。
【0017】
ギヤハウジング3とプーリハウジング5とは壁部7によって隔てられている。この壁部7にはギヤハウジング3とプーリハウジング5とを連通する連通穴7a(図4参照を参照のこと)が形成されている。
この連通穴7aを通って、パーキングロッド9がプーリハウジング5からギヤハウジング3に対して貫通している。
ユーザが手動等でパーキングレバー等を移動させることよって、パーキングロッド9は移動する。
ここで、パーキングロッド9は、単に壁部7に対して垂直方向に移動するだけではなく、壁部7に対して水平方向にも移動する。ここで、壁部7に対しての垂直方向への移動とは図1の左右方向への移動であり、壁部7に対しての水平方向への移動とは図1の上下方向への移動である。
【0018】
図2は、パーキングロッド9の配置の説明図である。
【0019】
図2のように、パーキングロッド9は、プーリハウジング5及びギヤハウジング3にわたって配置されている。また、パーキングロッド9は、プーリハウジング5とギヤハウジング3との間の壁部7に設けられた連通穴7aを貫通している。
パーキングロッド9は、プーリハウジング5に配置されたマニュアルプレート11に搖動自在な状態で接続されている。
このマニュアルプレート11は、ユーザによってパーキングレバーが引かれる等がなされることによって、図2の矢印方向(時計回り)に回転する。
また、パーキングロッドのマニュアルプレート11と接続されている側とは反対側端部位置には、ギヤハウジング3に配置されたパーキング機構15が設けられている。そして、このパーキング機構15によって、パーキングロッド9は挟持されている。
具体的には、図2上において上下動しないパーキングサポート17と上下動するパーキングポール19によって挟み込むことで、パーキングロッド9を一定の位置に狭持(保持)している(より具体的な、狭持方法は後述する)。
つまり、パーキングロッド9は、マニュアルプレート11との搖動自在な接続、及び、摺動は可能であるものの一定の位置に保持する挟持、によって支持されている。
また、パーキングロッド9のパーキング機構15によって狭持されている部分には、スライドカム13が配置されている。
【0020】
図3は、パーキング機構15の図2のIII方向からの説明図である。
【0021】
図3のように、パーキングロッド9に接続されたスライドカム13は、パーキングサポート17とパーキングポール19によって挟持されている。
ここで、パーキングサポート17は移動しない構造となっている。パーキングポール19は、パーキングポール軸19cを中心に回転可能となっており、反時計回り(図3において矢印方向)にばね等で付勢されている。
このため、パーキングロッド9は、パーキングサポート17とパーキングポール19によって挟持され、その位置が保持されている。
もっとも、パーキングロッド9はパーキングサポート17とは固定されずに支持されているだけであり、パーキングロッド9はパーキングポール19とも固定されずにばね力によって圧接されているだけであるから、その軸方向への移動及びパーキングポール19側への移動が可能である(以下の説明について、図4も参照のこと)。
そして、パーキングロッド9が、その軸方向のうちパーキング側に移動するとスライドカム13は、その外形が略円錐形状を有していることから、パーキングポール19を押し上げることになる。
そうすると、パーキングポール19の押し上げによって、パーキングポール19を、パーキングポール軸19cを中心軸として時計回り方向(図3における矢印の方向とは反対方向)に回転させることができる。
そして、パーキングポール19がパーキングポール軸19cを中心軸として時計回り方向に回転すると、パーキングポール19に形成された係合部19aが、パーキングギヤ119のギヤ部119aに係合する。
この係合部19aがギヤ部119aに係合すると、パーキングギヤ119、及び、このパーキングギヤ119とかみ合い状態となっている終減速部115のギヤ、は回転できなくなる。
これによって、車輪117が回転しない状態とすることができ、車等をパーキング状態とすることができる
【0022】
図4は、本実施形態の仕切構造の説明図である。
図5は、本実施形態の仕切構造との比較例である。
【0023】
本実施形態において、非パーキング状態の場合には、パーキングロッド9及びパーキング機構15は、図4(a)の状態となっている。
図4のように、パーキング機構15は、スライドカム13、パーキングサポート17、パーキングポール19、スライドカム側ばね21及びスライドカム付勢台座部23を有している。
【0024】
スライドカム付勢台座部23は、パーキングロッド9に対して結合されている。
スライドカム13は、スライドカム側ばね21によって、パーキング方向に付勢されている。
スライドカム13は、パーキング方向位置に円錐台形状を有し、非パーキング方向位置に円柱形状を有している。また、スライドカム13はパーキングロッド9が貫通するための円柱状の中空空間を有している。
スライドカム13のパーキング方向位置に形成された円錐台形状の側面13aは、パーキングポール19のポール斜面19b及びパーキングサポート17のサポート斜面17aと当接している。
ポール斜面19b及びサポート斜面17aは、パーキング方向に行くに従いパーキングロッド9側に近づくような傾斜を有している。
【0025】
パーキングサポート17はギヤハウジング3内を相対的に移動しないように構成されている。
他方、パーキングポール19は、パーキングロッド9の中心軸の法線方向に移動可能に形成されている。
【0026】
パーキングロッド9のプーリハウジング側には、仕切板側ばね29によって仕切板25を付勢するための仕切板付勢台座部27が形成されている。
この仕切板25は、壁部7の連通穴7aの穴の形状よりも十分に大きな形状を有している。具体的には、例えば、貫通穴が円形であれば、その円よりも大きな径を有する円形形状である。もっとも、連通穴7aの形状及び仕切板25の形状をこれに限定する趣旨ではない。例えば貫通穴が円形をしていても、仕切板25は4角形等の形状であってもよいことは言うまでもない。
つまり、仕切板25の形状は、パーキングロッド9が壁部7の壁面に対して平行にも移動した際にも、連通穴7aを仕切板25が覆いかぶさることができるものであればどのような形状であっても良い。
【0027】
仕切板25の中央付近には、パーキングロッド9を貫通させるための仕切板貫通穴25aが形成されている。
この仕切板貫通穴25aは、できるだけ小さい方が、潤滑油が隣のハウジングに移動することをより防ぐためには適切である。しかし、仕切板貫通穴25aがあまりに小さいと、パーキングロッド9は軸方向のみならず、軸方向に対して垂直方向にも移動するため、仕切板貫通穴25aがパーキングロッド9と接触してしまうおそれがある。そして、仕切板貫通穴25aがパーキングロッド9と接触してしまい、パーキングロッド9と一緒になってパーキング方向に移動してしまうと、仕切板25が連通穴7aを塞ぐことができなくなってしまう。そこで、適切な程度な穴径とする必要がある。
なお、仕切板貫通穴25aとパーキングロッド9との間から潤滑油が隣のハウジングに移動してしまうことを防ぐために、仕切板貫通穴25aとパーキングロッド9との間の間隙をよりなくすために、Oリング等を用いてもよい。
【0028】
仕切板25は仕切板側ばね29によって付勢されているため、連通穴7aの周りの壁部7の壁面に圧接状態となる。
ここで、この仕切板25と壁部7の壁面との間から潤滑油が隣のハウジングに移動してしまうことを防ぐために、仕切板25の壁部7側の面、壁部7の仕切板25側の面の片方又は両方にパッキン等を設けることもできる。
【0029】
本実施形態では図4のように、仕切板25等を用いる仕切構造を有していたが、比較例である図5ではこのような仕切構造を有していないことから、プーリハウジング5の潤滑油L2がギヤハウジング3へ、連通穴7aを通って移動してしまう。
そうすると、エア吸い等の問題が生じるおそれがある。
他方、本実施形態では、連通穴7aをほぼ閉塞する仕切板25を有し、かつ、この仕切板25を壁部7に圧接させていることから、潤滑油の移動を防ぐことが可能となる。
【0030】
パーキングレバー等が引かれて、パーキング状態の場合には、パーキングロッド9及びパーキング機構15は、図4(b)の状態となる。
この際に、パーキングロッド9はパーキング方向にも移動するが、同時にパーキングロッド9の軸方向に対して垂直方向(壁部7の壁面に対して水平方向)にも移動する(図4(b)中の矢印参照)。
このパーキングロッド9のパーキング方向への移動によって、仕切板付勢台座部27もパーキング方向へ移動する。他方、仕切板25は移動しないため、仕切板側ばね29は伸長する。この仕切板側ばね29はこの状態でも、仕切板25を壁部7の壁面に圧接可能なように設計される。そのため、仕切板25はパーキング状態の場合においても、潤滑油の移動を防ぐ効果がある。
また、パーキングロッド9はパーキング方向にも、パーキングロッド9の軸方向に対して垂直方向にも移動することから、一般的に潤滑油を閉塞する構造(連通穴7aを単純に小さくするのみ等)では潤滑油の移動を防ぐことはできないのに対して、本実施形態の仕切構造1ではこれが可能となっている。
【0031】
また、ユーザがパーキングにする際に、パーキングレバー等の引き(移動)が十分ではなく、パーキング状態とならないという不具合が発生する場合がある。
本実施形態では、このパーキング状態とならないという不具合をできるだけ防止するために、パーキングロッド9に、仕切板側ばね29によってパーキング方向への付勢力を加えている。
つまり、本実施形態においては、パーキングレバー等の引き(移動)を助け、ある程度確実にパーキングにすることが可能となるという効果がある。
もっとも、仕切板25を付勢する方向、方法、位置、機構等はこれに限定する趣旨ではなく、例えば、図4では、パーキング方向の位置に仕切構造1を形成したが、非パーキング方向の位置に仕切構造1を形成してもよい。
【0032】
<第2の実施形態>
図6は、第2の実施形態の説明図である。
【0033】
図6のように、仕切板側ばね29の伸長しようとする力ではなく、圧縮しようとする力によって、仕切板25を壁部7の壁面に押し付けることも可能である。
具体的な形態は、仕切板付勢台座部27に台座部貫通穴27aを設け、仕切板25に仕切板貫通穴25aを設ける。
そして、仕切板側ばね29の仕切板付勢台座部27側に台座部貫通ばね29aを設け、仕切板側ばね29の仕切板25側に仕切板貫通ばね29bを設けている。
【0034】
台座部貫通ばね29aは台座部貫通穴27aを貫通し、仕切板付勢台座部27の仕切板側ばね29とは反対側に位置する。
仕切板貫通ばね29bは仕切板貫通穴25aを貫通し、仕切板25の仕切板側ばね29とは反対側に位置する。
この状態において、仕切板側ばね29は自然長さよりも伸長状態としている。
このため、仕切板25は、壁部7の側面に圧接状態となっている。
【0035】
なお、第1の実施形態と同じように、パーキング状態によりし易くするために、図6とは逆位置(非パーキング方向)に、仕切構造1を設けてもよい。
特に、付勢手段は仕切板側ばね29である必然性はなく、例えば、ゴム等であってもよい。
【0036】
また、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々な仕切構造に適用可能である。
【0037】
<実施形態の構成及び効果>
本実施形態の仕切構造1は、ギヤハウジング3と、プーリハウジング5と、ギヤハウジング3とプーリハウジング5とを隔てる壁部7に形成された連通穴7aを貫通し、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるパーキングロッド9と、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接して連通穴7aを塞ぐ仕切板25と、を有し、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の少なくともいずれか一方には下部に潤滑油が貯留され、仕切板25は、パーキングロッド9に接続された仕切板側ばね29によって、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接されている。
このような構成を有していることから、簡易な構造としつつも、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能なパーキングロッド9のための連通穴7aを略閉塞することができる。
そして、これによって、各ハウジングに貯留されている潤滑油が一つのハウジングに偏在させることがなくなり、エア吸いを防止することが可能となる。
【0038】
ギヤハウジング3及びプーリハウジング5は、自動車のエンジンからの動力を伝達する伝達機構を収容するためのハウジングである。
このような構成を有していることから、貫通部材を設けなければならないことの多い、自動車の伝達機構の潤滑油の偏りを防止することが可能となる。
【0039】
ギヤハウジング3はパーキングギヤ119を収納するハウジングであり、パーキングロッド9はパーキングギヤを固定する為のであり、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の少なくともいずれか一方の下部に貯留された流体は、潤滑油である。
このような構成を有していることから、貫通部材を設けなければならないことの多い、自動車の伝達機構の潤滑油の偏りを防止することが可能となる。
【0040】
仕切板25には仕切板貫通穴25aが形成され、仕切板貫通穴25aをパーキングロッド9が貫通している。
このような構成を有していることから、簡易な構成で、パーキングロッド9を仕切板貫通穴25aに貫通させることが可能となる。
【0041】
仕切板側ばね29は、仕切板25を圧接する反力によってパーキングロッドを、パーキング状態とする際にパーキングロッドが移動する方向に付勢している。
このような構成を有することから、パーキング状態により確実にすることが可能となる
【0042】
変速機TMは、第1の実施形態及び第2の実施形態の仕切構造1を用いている。
このような構造を有することから、変速機TMを、簡易な構造としつつも、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能なパーキングロッド9のための連通穴7aを略閉塞することができる。
そして、これによって、各ハウジングに貯留されている潤滑油が一つのハウジングに偏在させることがなくなり、エア吸いを防止することが可能となる。
仕切構造1に比べ変速機TMに用いた場合には、潤滑油を変速機TMに確実に供給しなければならないことから、特に効果が高い。
【0043】
<定義等>
本発明における第1のハウジングの一例がギヤハウジング3である。本発明の第2のハウジングの一例がプーリハウジング5である。もっとも、第1のハウジング及び第2のハウジングはこれに限定されず、この二つのハウジングを隔てる壁をロッドが貫通するものであり、少なくともどちらかの下部に流体が貯留されるものであればどのようなものであってもよい。また、第1のハウジングと第2のハウジングとは、2つのみのハウジングである必要は無く、3つのハウジングがある場合にそのうちの2つのハウジングであってよい。更には、3つのハウジング以上であってもよい。
また、本発明の流体の一例が、潤滑油である。
本発明のロッドの一例がパーキングロッド9である。ここで、本発明のロッドは、壁部に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であればどのような種類のロッドであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 仕切構造
3 ギヤハウジング(第1のハウジング)
5 プーリハウジング(第2のハウジング)
7 壁部
7a 連通穴
9 パーキングロッド
15 パーキング機構
25 仕切板
25a 仕切板貫通穴
27 仕切板付勢台座部
29 仕切板側ばね(付勢手段)
L2 潤滑油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のハウジングと、
第2のハウジングと、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとを隔てる壁部に形成された連通穴を貫通し、前記壁部の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるロッドと、
前記連通穴の周辺の前記壁部に圧接して前記連通穴を塞ぐ仕切板と、を有し、
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングの少なくともいずれか一方には下部に流体が貯留され、
前記仕切板は、前記ロッドに接続された付勢手段によって、前記連通穴の周辺の前記壁部に圧接されている
仕切構造。
【請求項2】
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングは、自動車のエンジンからの動力を伝達する伝達機構を収容するためのハウジングである
請求項1に記載の仕切構造。
【請求項3】
前記第1のハウジングは、パーキングギヤを収納するハウジングであり、
前記ロッドは、パーキングギヤを固定する為のパーキングロッドであり、
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングの少なくともいずれか一方の下部に貯留された流体は、潤滑油である
請求項2に記載の仕切構造。
【請求項4】
前記仕切板には貫通穴が形成され、
前記貫通穴を前記パーキングロッドが貫通している
請求項3に記載の仕切構造。
【請求項5】
前記付勢手段は、
前記仕切板を圧接する反力によって前記パーキングロッドを、パーキング状態とする際にパーキングロッドが移動する方向に付勢している
請求項3〜4に記載の仕切構造。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の仕切構造を用いた変速機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−47558(P2013−47558A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186400(P2011−186400)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】