代替微小加工構造
医療器具及び同医療器具の製造・使用方法。例示される医療器具は、基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、コア部材の基端部上に配置された管状部材とを有する。管状部材には複数のスロットが形成されている。医療器具には優先湾曲方向が設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療器具及び医療器具を製造する方法に関する。より詳細には、本発明はスロットを有するガイドワイヤ及びカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる体内医療器具が医療で使用するために、例えば血管内で使用するために、研究開発されている。これら医療器具にはガイドワイヤ、カテーテル等が含まれる。これらの器具は多くの異なる製造方法から選択された1つの方法によって製造され、多くの異なる使用方法から選択された1つの方法に従って使用される。公知の医療器具及びその製造方法・使用方法は、それぞれが長所及び短所を有する。そして、これまでのものに代わる代替的は医療器具及びこの医療器具を製造及び使用する代替的な方法が常に懸案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこれまでの医療器具に代わる代替的な医療器具の構成、材料、製造方法及び使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一例として、医療器具は長尺状のコア部材と同コア部材の周囲に配置される管状部材とを有する。管状部材は複数のスロットを有する。医療器具は一方向へ優先的に曲折し得るように構成されている。
【0005】
これは幾つかの実施例の概要ではあるが、開示された実施例又は本発明の実施方法を詳細に語るものではない。図面及び以下の詳細な説明において、これら実施例をより特別に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】血管内に配置された一例としての医療器具を示す平面図。
【図2】一例としての医療器具を示す一部破断側面図。
【図3】他の例としての医療器具を示す一部破断側面図。
【図4】一例としての医療器具の一部を示す斜視図。
【図5】図4の5−5線における断面図。
【図6】図4の6−6線における断面図。
【図7】他の例としての管状部材の一部を示す斜視図。
【図8】図7に示した管状部材が圧縮された状態を示す斜視図。
【図9】他の例としての管状部材の一部を示す斜視図。
【図10】図9に示した管状部材が圧縮された状態を示す斜視図。
【図11】他の例としての管状部材の一部を示す斜視図。
【図12】図11に示した管状部材が圧縮された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は様々な別例に変更可能ではあるが、その本質は図面及び以下の説明に示される。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、発明の範囲にある全ての別例や変更例を含むものである。
【0008】
以下に本願における用語の定義を述べる。本願における明細書及び請求の範囲において
、別の定義がなされていない限りにおいて、以下の定義が適用されるものとする。
全ての数値は、明確に示されているか否かに拘わらず 、「約」という意味を伴うもの
とする。「約」という語は数値の範囲を示し、その範囲とは当業者が(作用、効果を鑑みて)当該数値と等価であると考えうる数値領域である。多くの例では、「約」という語はある数値の周囲の数値となる。
【0009】
上限値を伴う数値範囲を示す時は、その範囲内の全数値を示すものとする(例えば、1乃至5という数値範囲は1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5というようにその範囲内の全数値を示す)。
【0010】
以下の詳細な説明は図面を参照して読まれるべきであり、ことなる図面であっても類似した要素は同一の符号で示される。図面は、必ずしも縮尺比に従うものではなく、説明に役立つ実施例を示すものであり、発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0011】
図1は血管12内に配置された一例としての医療器具、即ちガイドワイヤ10を示す平面図である。ガイドワイヤ10は先端領域14を有し、同先端領域14は患者の体内で探針として使用されるように構成されている。ガイドワイヤ10は血管内の処理に使用可能である。例えば、ガイドワイヤ10は他の医療器具16、即ちカテーテルと併せて使用され、医学的治療や診断が行われる。無論、ガイドワイヤ、カテーテル及び他の同じように構成された医療器具は他の多くの目的に使用されることは臨床医にとって周知のことである。
【0012】
図2はガイドワイヤ10の一部断面図である。ガイドワイヤ10はコア部材、即ちコアワイヤ18と、同コアワイヤ18の少なくとも一部を覆うように配置された管状部材28を有する。コアワイヤ18は基端領域22と先端領域24を有する。コネクタ(図示せず)が基端領域22と先端領域24との間に配置され、基端領域22を先端領域24に取り付けている。これに代えて、コアワイヤ18を単体で構成し、コネクタを省略することも可能である。OLE_LINK1形状保持部材26がコアワイヤ18(例えば、コアワイヤ18の
先端領域24)、管状部材28、または両者に連結されている。OLE_LINK1形状保持部材
26は比較的に非可撓的な材料により形成され、臨床医はガイドワイヤ10の先端を、同ガイドワイヤ10の体内移動の促進に好適な形状に保持可能である。コアワイヤ18、管状部材28、形状保持部材26等を形成するために好適な材料を後述する。先端部材20もコアワイヤ18、管状部材28、または両者に連結され、ガイドワイヤ10の先端が人体を傷つけない構成となっている。通常、先端部材20ははんだを含む。しかし、ポリマーにて構成する等、他の材料により先端部材20を形成することも可能である。
【0013】
図1において医療器具10はガイドワイヤとして示されたが、ガイドワイヤに限定されるものではない。医療器具10はあらゆる好適な案内器具、診断器具及び処理器具(カテーテル、内視鏡、腹腔鏡等を含む)の形態とすることが可能であり、患者の体内のいかなる部位及び/又は体腔にて使用することに適している。例えば、図3は他の例としての医療器具110、即ちカテーテルを示す。カテーテル110は長尺状のシャフト131を備え、同シャフト131は基端部132と先端部134とを備える。基端マニフォールド136は基端部132に設けられている。マニフォールド136はハブ138と張力逃がし部140とを有する。先端部材142が先端部134に設けられている。先端部材142にはX線不透過性のマーカ部材144が設けられている。カテーテル110の他の部分、
例えばシャフト131の先端部134にも1個又は複数個のマーカ部材を配設することが可能である。シャフト131は管状部材128を有し、同管状部材128は本願において開示される管状部材28を含む他の管状部材と形状及び作用において類似したものでよい。管状部材128には複数個のスロット128が形成されている。管状部材128内には裏打ち146が設けられている。裏打ち146は米国特許明細書第7001369号明細
書、米国特許出願公開第2006/0264904号明細書に開示されているものと似た構成にすることが可能である。なお、米国特許明細書第7001369号明細書、米国特許出願公開第2006/0264904号明細書の開示内容はすべて本願では開示されたものとする。
【0014】
上記した一例及び他の例として医療器具10,110を念頭に置きつつ、一例としての管状部材228を示す図4乃至6について説明する。ここで管状部材228は、医療器具10,110のうちの少なくともいうずれか一方の管状部材28,128に相当するものである。従って、本発明の趣旨から逸脱しない限りにおいて、管状部材228(又は、本願に開示される他の管状部材)に関する説明は管状部材28,128にも適用されるものである。
【0015】
図4に示すように、管状部材228は複数のスロット230a/230b/230c/230d(図6におけるスロット230dが最も明瞭に示されている)が形成されている。
スロット230a/230b/230c/230dは管状部材228の互いに対向する面から管状部材228に対して一対の切り込みを入れることにより形成される。一対の切り込みを入れた後に、「ビーム」とよぶ管状部材228の非切削部分が隣接するスロットの間に残される。例えば、スロット230a,230b間には一対のビーム246a,246bが形成される(特に図5に示す)。同様に、スロット230c,230d間にも他の対のビーム246c,246dが形成される。このパターンが管状部材228の長さ全体にわたって繰り返されるか、パターンが変化される。以下、スロット及び/又はビームに関する説明をさらに詳細に続ける。
【0016】
図5において、管状部材228は偏心状の内腔248を有する。この開示において、偏心的であるということは、内腔248の外周が管状部材228の外習壁に対して偏心状をなすという意味である。従って、内腔248の中心線CLは管状部材228の中心線CTに対してずれている。内腔248が偏心状をなすところから、管状部材228の一側の壁が厚くなっているように見える。例えば、管状部材228において、図5に示すスロット230aを形成すべく切除された部分はスロット230bを形成すべく切除された部分よりも厚みがある。図6においても、この特徴は示され、ビーム246cはビーム246dよりも厚くなっている。この偏心構造は管状部材228の長さ方向全体、或いは一部にわたって存在するものである。
【0017】
内腔24の偏心構造により管状部材228は多くの好ましい特徴を有する。例えば、管状壁の一方の部分が対向する他方の部分よりも厚いため、管状部材228には優先湾曲方向が決定される。優先湾曲方向を決定するということは、管状部材228は他方向よりも一方向に容易に曲がるという意味である(即ち、管状部材228は優先湾曲方向に曲がるのに要する力は、他の方向に曲がるよりも少なくてすむ)。通常、管状部材228は優先湾曲方向への曲折、湾曲を最も容易に行う。優先湾曲方向と正反対の方向への曲折や湾曲を行うとき、管状部材228はより困難な状態、即ち「非優先湾曲方向」への湾曲を行うことにある(管状部材228は優先湾曲方向と反対の方向へ曲がるには他のいかなる方向へ曲がるよりも大きな力を要する)。優先湾曲方向とその反対の方向の間で、管状部材228の可撓性は各方向に対応して推移する。
【0018】
多くの理由により、管状部材228の優先湾曲方向を決定することが好ましい。例えば、幾つかの治療介入においては目的部位への進路を確定するための管状部材228(管状部材228を含む適切な装置)が設けられている。目的部位は血管内にあるため、管状部材228は曲折の多い血管内を進む必要がある。臨床医はこれら曲折のうちの少なくとも幾つかを治療介入に先立って認識しておく必要がある。従って、臨床医は装置が患者の体
内を成功裡に進ませることができるように、湾曲特性に従って装置を選択する必要がある。優先湾曲方向が決定された装置を選択することにより、臨床医は患者の体内の適切な部位に装置を合わせ、簡単に特別な方向へ装置を湾曲させることができる。これにより、装置患者の体内の対応する部位を簡単に、かつ予め用意したように周回する。
【0019】
幾つかの実施例において張力部材が管状部材228の近傍、又は管状部材228の内部に配置されている。ここで管状部材とは本願に開示される全ての管状部材を意味する。管状部材228がガイドワイヤ10の一部である実施例では、張力部材はコア部材18である。管状部材228がカテーテル110の一部である実施例では張力部材は裏打ち146である。これらに代えて、張力部材はOLE_LINK2ガイドワイヤ10やカテーテル110OLE_LINK2の管状部材228に対して張力を付与するテンショニングワイヤ、プルワイヤ等であってもよい。他の実施例において、ガイドワイヤ10やカテーテル110に対して油圧力が付与されて、所望の値の張力が発生される。管状部材228に張力が付与されることにより、管状部材228は優先湾曲方向に湾曲される。従って、張力部材を設けることにより、ガイドワイヤ10やカテーテル110は湾曲部分(例えば、湾曲した先端)を有することになり、臨床医が患者の体内でガイドワイヤ10やカテーテル110を進める能力を向上させる。
【0020】
少なくとも幾つかの実施例において、張力部材はガイドワイヤ10やカテーテル110の基端から操作可能である。これにより、臨床医は張力部材に張力を付与することが可能になる。場合によっては、張力の値は臨床医によって選択的に変化させることが可能になる。張力を変化させることにより、優先湾曲方向への曲折や湾曲の量を増加させたり、減少させたりすることが可能になる。他の実施例においては、ガイドワイヤ10やカテーテル110には予め張力が付与されて、ガイドワイヤ10やカテーテル110は所定の量にわたって湾曲している。予め付与される張力の値は広く調整可能であり、これにより湾曲の値も広く調整可能である。
【0021】
優先湾曲方向が決定された管状部材の更なる実施例を開示する。例えば、図7は一側に
一つの幅広のスロット330aを有し、同スロット330aに対向する側に2つの幅狭のスロット330b,330cを有する管状部材328を示す。これらスロット330a,330b,330cは以下に示す方法を含む適切な方法で形成される。スロット330aはスロット330b,330cよりも幅広のため、適切な切削装置(例えば、ソーブレード、レーザー等)を多数回操作すれば形成され、幅の増加が可能となる。
【0022】
図7に示すように、幅狭のスロット330b,330cは幅広のスロット330aと正反対の位置に配置されている。図示されるように、スロット330aはスロット330b,330cの2倍以上の幅を有する。しかし、これらスロット330a,330b,330cの正確な幅は変更可能である。他の実施例では、スロット330a,330b,330cの配置状態を変更したものであり、幅広のスロット330aに対向して2つ以上の幅狭のスロット330b,330cが配置されている。これら実施例においては、幅広のスロット330a及び/又は幅狭のスロット330b,330cの幅は所望に応じて広くしたり、狭くしたりされる。更に、管状部材328は幾つかの幅広のスロット330aと、各スロット330aに対向する1個、2個、3個、又はそれ以上の個数の幅狭のスロットを有し、他の幅広のスロット330aに対向して同数又は異なる個数のスロット幅広のスロット及び/又は幅狭のスロットを含むを有することも可能である。幾つかの実施例において、全ての幅広のスロット330aが管状部材328の同一の側に配置され、全ての幅狭のスロット330b,330cは反対側に配置されている。しかし、別の実施例では幅広のスロット330a及び/又は幅狭のスロット330b,330cは管状部材の両側において好適なパターンで配置されている。
【0023】
優先湾曲方向は管状部材328において幅広のスロット330aが配置された側に設定される。これと反対の側(幅狭のスロット330b,330cが配置される側)では湾曲がより困難になる「優先湾曲方向の設定が最も低い状態」となることもある。優先湾曲方向の最も高い状態に設定したり、最も低い状態に設定したりすることは、上記と同様の理由及び他の理由により望ましい。
【0024】
幾つかの実施例において、管状部材380の可撓特性は変更可能である。例えば、図8に示すように、管状部材328は圧縮された状態にある。圧縮は、例えば管状部材328をマンドレルに装着した後、所望の状態まで軸方向に圧縮するというような、好適な方法を採用して行われ得る。ある実施例においては、管状部材328は幅狭のスロット330b,330cが完全に閉鎖するまで圧縮が行われる。また、別の実施例においては、幅狭のスロット330b,330cの幾つか或いは全部が単に部分的に閉鎖するように管状部材328の圧縮が行われる。
【0025】
一旦、圧縮されると、管状部材328は熱処理等の公知の技術により圧縮された形状に保持される。幾つかの実施例においては、管状部材328は超可撓材料及び/又は形状記憶ニッケルチタニウム合金のような形状記憶材料から形成され、熱処理により管状部材328は圧縮された形状にされる。この圧縮については他の材料を使用することも可能である。
【0026】
上記した圧縮により、幅広のスロット330aは半ば閉鎖され、幅狭のスロット330b,330cは半ば、又は完全に閉鎖される。このため、管状部材328を一方向に(即ち、幅広のスロット330aに向かって)湾曲させることにより幅狭のスロット330b,330cが僅かに開く。幅狭のスロット330b,330cが開くことが可能なため、幅広のスロット330aに向かう優先湾曲方向が設定される。これとは逆に、管状部材328を反対方向に(幅狭のスロット330b,330cに向かって)曲げることは、幅狭のスロット330b,330cが隣接、或いは固体によって埋め尽くされている(ほぼ或いは完全に閉鎖されている)ため、困難である。このように、管状部材328はこの方向においては大きな剛性を有し、優勢湾曲方向が最も低く設定される。管状部材328を圧縮すると、優先湾曲方向の設定に加えて、管状部材328には望ましいレベルの対圧縮剛性が付与される。これは幅狭のスロット330b,330cが半ばまで、或いは完全に閉鎖されるため、それ以上の圧縮に対する抵抗を示すものである。
【0027】
図9は管状部材428の別例を示す。幅広のスロットや幅狭のスロットを採用した管状部材328とは異なり、管状部材428においてはスロットは異なる密度で分布されている。例えば、管状部材428はその一側において配置された第1のスロット430a群と、他側において配置された第2のスロット430b群とを有する。スロット430a,430bは異なる密度で分布されている。例えば、単位長さにおいてスロット430bはスロット430aよりも多く配置されている。スロット430bはより高い密度で配置されているため、管状部材428にはスロット430bに指向する優先湾曲方向が設定されることになる。
【0028】
図10に示すように、管状部材428を圧縮すると、管状部材328を圧縮した時と同様の特徴が見られる。例えば、管状部材428にはスロット430bに指向する優先湾曲方向が設定される。同様に、管状部材428が圧縮加工されると、対圧縮剛性が増加する。
【0029】
図11に示す管状部材528は本願で開示される他の管状部材に類似するものである。管状部材328,428とは異なり、管状部材528におけるスロット530は同一の幅を有し、管状部材528の両側において均等に分布されるか、以下に述べる方法を含む好
適な方法で分布されている。図12に示すように、管状部材528を圧縮すると、幾つかの好ましい特徴が発生する。例えば、管状部材528を圧縮加工すると、管状部材528の横方向への可撓性は維持されつつ、対圧縮剛性が増加する。管状部材528(図12に示す被圧縮形状をなす管状部材528)が更なる圧縮力を受けると、スロット530は半ばまで、或いは完全に閉鎖された状態であるため、更なる圧縮に対する抵抗を示す。しかし、管状部材528に対して横方向へ曲げる力が加えられると、スロット530が開くため、横方向への可撓性が所望のレベルに維持される。
【0030】
上記のような構成、配向等の別例に加えて、ガイドワイヤ10やカテーテル110の各部分及び/又は様々な構成要素(管状部材28,128,228,328,428,528を含む)を別の材料を使用して構成することも可能である。なお、ガイドワイヤ10やカテーテル110やガイドワイヤ10やカテーテル110の特別な部分に対する材料組成物及び他の変更例は、ガイドワイヤ10やカテーテル110の他の構成要素や管状部材28,128,228,328,428,528を含む装置にも適用されるものである。
【0031】
一般的に、ガイドワイヤ10やカテーテル110及び/又はこれらの様々な構成要素は、金属、合金、ポリマー(幾つかの例を下記に示す)、金属ポリマー合成物、これらの組み合わせ等、さらには好適な材料によって形成される。好適な金属及び金属合金とは、304V,304L及び316LVステンレス鋼のようなステンレス鋼、軟鋼、線状弾性ニチノ−ル及び/又は超弾性ニチノールのようなニッケルチタニウム合金、ニッケルクロミウムモリブデニウム合金(即ち、INCONEL(登録商標)のようなUNS: N06625625, HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)のようなUNS: N06022, HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)と他のHASTELLOY(登録商標)合金のようなUNS: N10276等)、ニッケル銅合金(即ち、MONEL(登録商標)400, ニッケルVAC(登録商標)400, NICORROS(登録商標)400
のようなUNS: N04400)、ニッケル−コバルト−クロミウム−モリブデニウ合金(例えばMP35-N(登録商標)等のUNS: R30035)、ニッケル-モリブデニウム合金(即ち、HASTELLOY(登録商標)合金 B2(登録商標)のようなUNS: N10665)、ニッケル-クロミウム合金、ニッケル-モリブデニウム合金、ニッケル-コバルト合金、ニッケル-鉄合金、ニッケル-銅合金、ニッケル-タングステン又はタングステン合金等コバルト-クロミウム合金、コバルト-クロミウム-モリブデニウム合金例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS: R30 0 03 、プラチナ強化ステンレス鋼、これら組み合わせ等、更には好適ないかな
る材料をも含む。
【0032】
上述したように、市販されるニッケル−チタン又はニチノール合金系の中には、従来の形状記憶及び超弾性材料に化学的には類似しているが、特異的かつ有用な機械的特性を示す、「線形弾性」又は「非超弾性」と称されるカテゴリーのものがある。線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは以下の点において超弾性ニチノールとは異なる。即ち、線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは、応力/歪み曲線において「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さない。その代わりに、線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは回復可能な歪みが増加するにつれて、塑性変形が始まるまでは、歪みはほぼ線形関係、または完全な線形関係でなく幾分かの線形関係か、少なくとも超弾性ニチノールにおいて示される超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形に近い関係で増加し続ける。
【0033】
線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは以下の点で超弾性ニチノールとは異なる。即ち、線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは弾性変形する以前は、弾性を維持して約2−5%までの歪みを許容するが、超弾性ニチノールは弾性変形する以前は約8%までの歪みを許容する。線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは弾性変形以前は約02−0,44%の歪みを許容するステンレス鋼(組成においても線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールとは区別される)のような他の線状弾性
材料とも区別される。
【0034】
一部の実施例では、OLE_LINK3線形弾性ニッケル−チタン合金は非超弾性ニッケル−チ
タン合金OLE_LINK3は広汎は温度範囲において、DSC及びDMTA分析によって検知可
能なマルテンサイト/オーステナイト相転移を示さない合金である。従って、線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金においては、約−60〜+120℃の範囲において、DSC及びDMTA分析によって検知可能なマルテンサイト/オーステナイト相転移が生じない。このような材料の機械的曲げ特性は、この非常に広範な温度範囲にわたって温度の影響をほぼ受けない。一部の特定の実施例では、周囲温度又は室温における線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金の機械的特性は、超弾性プラトーやフラグ領域を示さないという点において、体温における機械的特性とほぼ同じである。言い換えれば、広汎な温度範囲にわたって、線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金はその線形弾性特性及び/または非超弾性特性を維持する。そして、線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金は降伏点を有しない(即ち、材料がその機械的特性において劇的に変化する温度はない)。
【0035】
一部の実施形態では、線形弾性ニッケル−チタン合金は、約50〜60重量%のニッケルを含み、残りはほぼチタンである。一部の実施形態では、組成物は、約54〜57重量%のニッケルを含有する。好適なニッケル−チタン合金の一例は、日本国神奈川県に所在する株式会社古河テクノマテリアルから販売されるFHP−NT合金である。ニッケル−チタン合金の幾つかの他の実施形態が、米国特許第5,238,004号明細書及び同第6,508,803号明細書に開示される。これら米国特許明細書は、参照により、その全内容が本明細書の一部を構成する。他の好適な材料として、ULTANIUM(登録商標/Neo−Metrics社にて入手可能)、GUM METAL(登録商標/トヨタ社入手可能)が挙げられる。他の一部の実施形態では、望ましい特性を得るために、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用することができる。
【0036】
少なくとも一部の実施形態では、ガイドワイヤ10及びカテーテル110の一部もしくは全部、又はこれらの他の構成要素はまた、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で形成され、又はその他の方法で放射線不透過性材料を含んでいてもよい。放射線不透過性材料とは、医療処置中において透視スクリーン又は他の画像技術において、相対的に明るい像を生成することができる材料であると理解される。この相対的に明るい像は、ガイドワイヤ10、カテーテル110の使用者がこれら器具10,110の位置を判定しやすくする。放射線不透過性材料の一部の例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
一部の実施形態では、ある程度のMRI適合性がガイドワイヤ10やカテーテル110に付与される。例えば、磁気共鳴画像診断(MRI)装置に対する適合性を高めるために、ガイドワイヤ10やカテーテル110の一部を、ある程度のMRI適合性を付与するように形成することが望ましい場合がある。例えば、ガイドワイヤ10やカテーテル110、又はそれらの一部を、実質的に像を歪めず、実質的なアーチファクト(アーチファクトとは、画像における実際とは異なる像)を生成しない材料で形成することができる。特定の強磁性材料は、例えば、MRI画像においてアーチファクトを形成する可能性があるため、適していない場合がある。ガイドワイヤ10やカテーテル110の全部又はそれらの一部を、MRI装置が撮像できる材料で形成してもよい。このような特性を示す材料の例としては、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(MP35−N(登録商標)等のUNS:R30
035)、ニチノール等、やその他のものが挙げられる。
【0038】
一部の実施例では、ガイドワイヤ10やカテーテル110の異なる部分は異なる材料によって形成される。例えば、管状部材28の基端部と先端部とは異なる材料によって形成され得る。一部の実施例において、基端部を構成するために使用される材料は線状弾性ニッケル−チタン合金であり、先端部は超弾性ニッケル−チタン合金にて形成される。先端部と基端部は別々に製造され、適切な接合技術(レーザー溶接のような溶接、はんだ付け、ろう付け、かしめ、接着剤、機械的接続、圧着等、あるいはこれらの組み合わせ)を使用して互いに連結される。別例では、管状部材28は線状弾性ニッケル−チタン合金によって一体物として形成され、その後で一部分(例えば先端部)が熱処理されて所望の超弾性特性が付与される。
【0039】
ガイドワイヤ10やカテーテル110を製造するために使用される好適なポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社(DuPont)から販売されるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス社(DSM Engineering Plastics)から販売されるARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン社から販売されるHYTREL(登録商標)のような、他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社(Bayer) から販売されるDURETHAN(登録商標)、エルフアトケム社(Elf Atochem)から販売されるCRISTAMID(登録商標)
)、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標)にて販売されるもの)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線形低密度のポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMSアメリカングリロン社(EMS
American Grilon)から販売されるGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(
プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリカーボナート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコライド)(PGA)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコライド(PLLA/PGA)、ポリ(グリコライド−コ−トリムエチレンコーボネート)(PGA/PTMC)、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカルポラクトン(PCL)、ポリヒドロキシルブチレート(PHBT)、ポリ(フォスファゼン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコライド−コ−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリアンヒドデス(PAN)、ポリ(オルトエルテス)、ポリ(リン酸エルテス)、ポリ(アミノ酸)、ポリアクリート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチル メタクリレート)、ポリウレタン、ポリシロクサン、及びこれらの重合体、これらの混合物や組合せが挙げられる。
【0040】
上記したように、管状部材28,128,228,328,428,528は切欠き、開口、スロット30,130,230a,230b,230c,230d,330a,3
30b,330c,430a,430b,530を有する。論趣の簡略化するため、以下には管状部材28とスロット30とを例に説明する。しかし、これは限定を意図するものではなく、以下のスロットに関する特徴は本願に開示される全ての管状部材及びスロットに適用されるものである。
【0041】
スロット30はマイクロマシニング、ソー切削(ダイアモンド粒子が埋め込まれた半導体切削用のブレードを使用する)、レーザー切削、電子放出加工、研磨、フライス加工、成型、鋳造、エッチング、化学処理、または他の公知の方法等により形成される。一部の実施例では、管状部材28は構造は、或る部分を切削及び/又は除去してスロット30aを形成することにより完成される。適切なマイクロマシニングの方及び他の切削方法、スロットを有する管状部材の構成及び管状部材を備えた医療器具の幾つかの例が米国特許出願公開第2003/0069522号明細書、米国特許出願公開第2004/0181174−A2号明細書、米国特許第6766720号明細書及び米国特許第6579246号明細書に開示されている。これらの内容は本願に組み込まれ、開示されたものとする。また、エッチング処理の例は米国特許第5106455号明細書に開示され、この内容は本願に組み込まれ、開示されたものとする。ガイドワイヤ10やカテーテル110を製造する方法は、上記した方法、または他の方法を使用して管状部材28にスロット30を形成ことを含む。
【0042】
スロット30の配置や形状について、様々な実施例が提示される。スロット30のうちの少なくとも幾つかは管状部材28の長手軸線に対して同一、或いは類似した角度をなするように配置されている。図示されるように、スロット30は管状部材28の長手軸線と直交、或いはほぼ直交する角度をなすように配置され、さらに/または管状部材28の長手軸線に垂直な面に配置されている。しかし、他の実施例においては、スロット30は管状部材28の長手軸線と直交、或いはほぼ直交しない角度をなすように配置され、さらに/または管状部材28の長手軸線に垂直ではない面に配置されている。加えて、一方の組のスロット30は他方の組のスロット30とは異なる角度をなして配置されている。スロット30の分布や形状についても、米国特許出願公開第2004/0181174号明細書に開示されているものを含む。なお、米国特許出願公開第2004/0181174号明細書を本願に組み込み、その内容はここに開示されたものとする。
【0043】
スロット30は管状部材28の好適なトルク伝達特性を保証しつつ、管状部材28の可撓性を増加する。スロット30は、1個以上のリング片がビームによって連結されることによって管状部材28に形成されるものである。そして、これらリング片とビームとは、管状部材28にスロット30が形成された後に、管状部材28に残されるものである。このような、リング片が互いに接続された構造が、所望のレベルの横方向における可撓性を維持しつつ、管状部材28のねじり剛性を比較的高いものにしている。一部の実施例においては、スロット30は管状部材28の外周面上で互いに重複する部分を有している。他の実施例において、スロット30は管状部材28の外周面上で互いに重複する部分を有することなく、所望のレベルの横方向における可撓性を付与する配列をなすように配置されている。
【0044】
加えて、特性を得るべく、スロット30は管状部材28の長さ方向、又は周方向において配置されている。例えば、隣接するスロット30、或いは1つのグループのスロット30は管状部材28の外周面の互いに対向する側において同様のパターンをなすように、また管状部材28の軸線を中心に等角度をおいて、対称的に配置されてもよい。加えて、隣接するスロット30、或いは1つのグループのスロット30は管状部材28の長さ方向に等間隔をおいて配置したり、密度を増減させるように配置したり、非対称的又は非規則的に配置したりすることも可能である。スロットの寸法、スロットの形状及び/又は管状部材28の軸線に対するスロットの角度等、他の特徴も可撓性や他の特性を変化させるため
、管状部材28の長さ方向に沿って変化させることも可能である。更に、他の実施例では管状部材28をその一部、例えば基端部、先端部等にスロット30を設けることなく形成したり、管状部材28全体にわたってスロット30を設けなくすることも可能である。
【0045】
上記したように、1つのグループにはスロット30は2個、3個、4個、5個、またはこれ以上も設けることが可能であり、これらスロット30管状部材28の軸線に沿ってほぼ同じ位置に配置されている。1つのグループ内においてスロット30の寸法は等しい。また、別の実施例では1つのグループ内において、少なくとも幾つかのスロットは寸法が異なる(管状部材28の周方向における長さを測定)。長さ方向において隣接する(スロット30の)グループは同一の形状としても、異なる形状としてもよい。例えば、一部実施例において管状部材28のスロット30は第1のグループでは同一の寸法に形成され、第2のグループでは異なる寸法に形成されている。また、2個の互いに寸法が等しいスロット30を有するグループでは、ビーム(スロット30を形成した後に管状部材28に残された部分)は管状部材28の中心に整合する。逆に、2個の互いに寸法が異なるスロット30を有するグループでは、ビームは管状部材28の中心からずれることになる。一部実施例において、管状部材28は同管状部材28の中心に整合するスロット30のみの有し、また別の実施例では管状部材28の中心からずれるスロット30のみを有し、更に別の実施例においては一方のグループのスロット30は管状部材28の中心に整合し、他方のグループのスロット30は管状部材28の中心からずれている。ずれの量はスロット30の長さによって異なり、適切な長さとすることが可能である。
【0046】
スロットの長さを変化させることにより、管状部材228に優先湾曲方向を設定しないようにすることが可能である。例えば、管状部材228においてスロット230aと、このスロット230aと軸方向において整合する他のスロットが長く切り込まれると、管状部材228に対して内腔248が偏心した状態にあっても、管状部材28には優先湾曲方向が設定されない。この理由としては、スロット230a及び軸線方向において整合する他のスロットが管状部材28の可撓性をスロット230aの方向に偏向させることが挙げられる。本願に開示される他の管状部材に対しても、優先湾曲方向を設定しないため、同一の処理をすることが可能である。
【0047】
異なる幾何学形状を有するスロット30の別例について述べる。例えば、一部の実施例において、スロット30はほぼV字状、ほぼU字状をなしたり、幅方向において1つ以上の段差を有したり、角度をなしたり、半円状をなしたり、長さ方向における終端縁を丸くしたり、終端縁に角をつけたりし、さらにはこれらの組み合わせや変更例とすることも可能である。これらの形状は、対応するような形状をなす切削具、適切な切削技術を使用し、又は他の適切な方法により形成可能である。
【0048】
上記した構成を利用して、他の多くの構成を創作することが可能である。
なお、この開示は例示するものであり、発明の範囲を超えることなく、形状、寸法、製造工程等についての変更は可能である。無論、本発明の範囲は添付される請求の範囲に従って決定される。
【技術分野】
【0001】
本発明は医療器具及び医療器具を製造する方法に関する。より詳細には、本発明はスロットを有するガイドワイヤ及びカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの異なる体内医療器具が医療で使用するために、例えば血管内で使用するために、研究開発されている。これら医療器具にはガイドワイヤ、カテーテル等が含まれる。これらの器具は多くの異なる製造方法から選択された1つの方法によって製造され、多くの異なる使用方法から選択された1つの方法に従って使用される。公知の医療器具及びその製造方法・使用方法は、それぞれが長所及び短所を有する。そして、これまでのものに代わる代替的は医療器具及びこの医療器具を製造及び使用する代替的な方法が常に懸案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこれまでの医療器具に代わる代替的な医療器具の構成、材料、製造方法及び使用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、一例として、医療器具は長尺状のコア部材と同コア部材の周囲に配置される管状部材とを有する。管状部材は複数のスロットを有する。医療器具は一方向へ優先的に曲折し得るように構成されている。
【0005】
これは幾つかの実施例の概要ではあるが、開示された実施例又は本発明の実施方法を詳細に語るものではない。図面及び以下の詳細な説明において、これら実施例をより特別に示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】血管内に配置された一例としての医療器具を示す平面図。
【図2】一例としての医療器具を示す一部破断側面図。
【図3】他の例としての医療器具を示す一部破断側面図。
【図4】一例としての医療器具の一部を示す斜視図。
【図5】図4の5−5線における断面図。
【図6】図4の6−6線における断面図。
【図7】他の例としての管状部材の一部を示す斜視図。
【図8】図7に示した管状部材が圧縮された状態を示す斜視図。
【図9】他の例としての管状部材の一部を示す斜視図。
【図10】図9に示した管状部材が圧縮された状態を示す斜視図。
【図11】他の例としての管状部材の一部を示す斜視図。
【図12】図11に示した管状部材が圧縮された状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は様々な別例に変更可能ではあるが、その本質は図面及び以下の説明に示される。しかし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、発明の範囲にある全ての別例や変更例を含むものである。
【0008】
以下に本願における用語の定義を述べる。本願における明細書及び請求の範囲において
、別の定義がなされていない限りにおいて、以下の定義が適用されるものとする。
全ての数値は、明確に示されているか否かに拘わらず 、「約」という意味を伴うもの
とする。「約」という語は数値の範囲を示し、その範囲とは当業者が(作用、効果を鑑みて)当該数値と等価であると考えうる数値領域である。多くの例では、「約」という語はある数値の周囲の数値となる。
【0009】
上限値を伴う数値範囲を示す時は、その範囲内の全数値を示すものとする(例えば、1乃至5という数値範囲は1,1.5,2,2.75,3,3.80,4,5というようにその範囲内の全数値を示す)。
【0010】
以下の詳細な説明は図面を参照して読まれるべきであり、ことなる図面であっても類似した要素は同一の符号で示される。図面は、必ずしも縮尺比に従うものではなく、説明に役立つ実施例を示すものであり、発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0011】
図1は血管12内に配置された一例としての医療器具、即ちガイドワイヤ10を示す平面図である。ガイドワイヤ10は先端領域14を有し、同先端領域14は患者の体内で探針として使用されるように構成されている。ガイドワイヤ10は血管内の処理に使用可能である。例えば、ガイドワイヤ10は他の医療器具16、即ちカテーテルと併せて使用され、医学的治療や診断が行われる。無論、ガイドワイヤ、カテーテル及び他の同じように構成された医療器具は他の多くの目的に使用されることは臨床医にとって周知のことである。
【0012】
図2はガイドワイヤ10の一部断面図である。ガイドワイヤ10はコア部材、即ちコアワイヤ18と、同コアワイヤ18の少なくとも一部を覆うように配置された管状部材28を有する。コアワイヤ18は基端領域22と先端領域24を有する。コネクタ(図示せず)が基端領域22と先端領域24との間に配置され、基端領域22を先端領域24に取り付けている。これに代えて、コアワイヤ18を単体で構成し、コネクタを省略することも可能である。OLE_LINK1形状保持部材26がコアワイヤ18(例えば、コアワイヤ18の
先端領域24)、管状部材28、または両者に連結されている。OLE_LINK1形状保持部材
26は比較的に非可撓的な材料により形成され、臨床医はガイドワイヤ10の先端を、同ガイドワイヤ10の体内移動の促進に好適な形状に保持可能である。コアワイヤ18、管状部材28、形状保持部材26等を形成するために好適な材料を後述する。先端部材20もコアワイヤ18、管状部材28、または両者に連結され、ガイドワイヤ10の先端が人体を傷つけない構成となっている。通常、先端部材20ははんだを含む。しかし、ポリマーにて構成する等、他の材料により先端部材20を形成することも可能である。
【0013】
図1において医療器具10はガイドワイヤとして示されたが、ガイドワイヤに限定されるものではない。医療器具10はあらゆる好適な案内器具、診断器具及び処理器具(カテーテル、内視鏡、腹腔鏡等を含む)の形態とすることが可能であり、患者の体内のいかなる部位及び/又は体腔にて使用することに適している。例えば、図3は他の例としての医療器具110、即ちカテーテルを示す。カテーテル110は長尺状のシャフト131を備え、同シャフト131は基端部132と先端部134とを備える。基端マニフォールド136は基端部132に設けられている。マニフォールド136はハブ138と張力逃がし部140とを有する。先端部材142が先端部134に設けられている。先端部材142にはX線不透過性のマーカ部材144が設けられている。カテーテル110の他の部分、
例えばシャフト131の先端部134にも1個又は複数個のマーカ部材を配設することが可能である。シャフト131は管状部材128を有し、同管状部材128は本願において開示される管状部材28を含む他の管状部材と形状及び作用において類似したものでよい。管状部材128には複数個のスロット128が形成されている。管状部材128内には裏打ち146が設けられている。裏打ち146は米国特許明細書第7001369号明細
書、米国特許出願公開第2006/0264904号明細書に開示されているものと似た構成にすることが可能である。なお、米国特許明細書第7001369号明細書、米国特許出願公開第2006/0264904号明細書の開示内容はすべて本願では開示されたものとする。
【0014】
上記した一例及び他の例として医療器具10,110を念頭に置きつつ、一例としての管状部材228を示す図4乃至6について説明する。ここで管状部材228は、医療器具10,110のうちの少なくともいうずれか一方の管状部材28,128に相当するものである。従って、本発明の趣旨から逸脱しない限りにおいて、管状部材228(又は、本願に開示される他の管状部材)に関する説明は管状部材28,128にも適用されるものである。
【0015】
図4に示すように、管状部材228は複数のスロット230a/230b/230c/230d(図6におけるスロット230dが最も明瞭に示されている)が形成されている。
スロット230a/230b/230c/230dは管状部材228の互いに対向する面から管状部材228に対して一対の切り込みを入れることにより形成される。一対の切り込みを入れた後に、「ビーム」とよぶ管状部材228の非切削部分が隣接するスロットの間に残される。例えば、スロット230a,230b間には一対のビーム246a,246bが形成される(特に図5に示す)。同様に、スロット230c,230d間にも他の対のビーム246c,246dが形成される。このパターンが管状部材228の長さ全体にわたって繰り返されるか、パターンが変化される。以下、スロット及び/又はビームに関する説明をさらに詳細に続ける。
【0016】
図5において、管状部材228は偏心状の内腔248を有する。この開示において、偏心的であるということは、内腔248の外周が管状部材228の外習壁に対して偏心状をなすという意味である。従って、内腔248の中心線CLは管状部材228の中心線CTに対してずれている。内腔248が偏心状をなすところから、管状部材228の一側の壁が厚くなっているように見える。例えば、管状部材228において、図5に示すスロット230aを形成すべく切除された部分はスロット230bを形成すべく切除された部分よりも厚みがある。図6においても、この特徴は示され、ビーム246cはビーム246dよりも厚くなっている。この偏心構造は管状部材228の長さ方向全体、或いは一部にわたって存在するものである。
【0017】
内腔24の偏心構造により管状部材228は多くの好ましい特徴を有する。例えば、管状壁の一方の部分が対向する他方の部分よりも厚いため、管状部材228には優先湾曲方向が決定される。優先湾曲方向を決定するということは、管状部材228は他方向よりも一方向に容易に曲がるという意味である(即ち、管状部材228は優先湾曲方向に曲がるのに要する力は、他の方向に曲がるよりも少なくてすむ)。通常、管状部材228は優先湾曲方向への曲折、湾曲を最も容易に行う。優先湾曲方向と正反対の方向への曲折や湾曲を行うとき、管状部材228はより困難な状態、即ち「非優先湾曲方向」への湾曲を行うことにある(管状部材228は優先湾曲方向と反対の方向へ曲がるには他のいかなる方向へ曲がるよりも大きな力を要する)。優先湾曲方向とその反対の方向の間で、管状部材228の可撓性は各方向に対応して推移する。
【0018】
多くの理由により、管状部材228の優先湾曲方向を決定することが好ましい。例えば、幾つかの治療介入においては目的部位への進路を確定するための管状部材228(管状部材228を含む適切な装置)が設けられている。目的部位は血管内にあるため、管状部材228は曲折の多い血管内を進む必要がある。臨床医はこれら曲折のうちの少なくとも幾つかを治療介入に先立って認識しておく必要がある。従って、臨床医は装置が患者の体
内を成功裡に進ませることができるように、湾曲特性に従って装置を選択する必要がある。優先湾曲方向が決定された装置を選択することにより、臨床医は患者の体内の適切な部位に装置を合わせ、簡単に特別な方向へ装置を湾曲させることができる。これにより、装置患者の体内の対応する部位を簡単に、かつ予め用意したように周回する。
【0019】
幾つかの実施例において張力部材が管状部材228の近傍、又は管状部材228の内部に配置されている。ここで管状部材とは本願に開示される全ての管状部材を意味する。管状部材228がガイドワイヤ10の一部である実施例では、張力部材はコア部材18である。管状部材228がカテーテル110の一部である実施例では張力部材は裏打ち146である。これらに代えて、張力部材はOLE_LINK2ガイドワイヤ10やカテーテル110OLE_LINK2の管状部材228に対して張力を付与するテンショニングワイヤ、プルワイヤ等であってもよい。他の実施例において、ガイドワイヤ10やカテーテル110に対して油圧力が付与されて、所望の値の張力が発生される。管状部材228に張力が付与されることにより、管状部材228は優先湾曲方向に湾曲される。従って、張力部材を設けることにより、ガイドワイヤ10やカテーテル110は湾曲部分(例えば、湾曲した先端)を有することになり、臨床医が患者の体内でガイドワイヤ10やカテーテル110を進める能力を向上させる。
【0020】
少なくとも幾つかの実施例において、張力部材はガイドワイヤ10やカテーテル110の基端から操作可能である。これにより、臨床医は張力部材に張力を付与することが可能になる。場合によっては、張力の値は臨床医によって選択的に変化させることが可能になる。張力を変化させることにより、優先湾曲方向への曲折や湾曲の量を増加させたり、減少させたりすることが可能になる。他の実施例においては、ガイドワイヤ10やカテーテル110には予め張力が付与されて、ガイドワイヤ10やカテーテル110は所定の量にわたって湾曲している。予め付与される張力の値は広く調整可能であり、これにより湾曲の値も広く調整可能である。
【0021】
優先湾曲方向が決定された管状部材の更なる実施例を開示する。例えば、図7は一側に
一つの幅広のスロット330aを有し、同スロット330aに対向する側に2つの幅狭のスロット330b,330cを有する管状部材328を示す。これらスロット330a,330b,330cは以下に示す方法を含む適切な方法で形成される。スロット330aはスロット330b,330cよりも幅広のため、適切な切削装置(例えば、ソーブレード、レーザー等)を多数回操作すれば形成され、幅の増加が可能となる。
【0022】
図7に示すように、幅狭のスロット330b,330cは幅広のスロット330aと正反対の位置に配置されている。図示されるように、スロット330aはスロット330b,330cの2倍以上の幅を有する。しかし、これらスロット330a,330b,330cの正確な幅は変更可能である。他の実施例では、スロット330a,330b,330cの配置状態を変更したものであり、幅広のスロット330aに対向して2つ以上の幅狭のスロット330b,330cが配置されている。これら実施例においては、幅広のスロット330a及び/又は幅狭のスロット330b,330cの幅は所望に応じて広くしたり、狭くしたりされる。更に、管状部材328は幾つかの幅広のスロット330aと、各スロット330aに対向する1個、2個、3個、又はそれ以上の個数の幅狭のスロットを有し、他の幅広のスロット330aに対向して同数又は異なる個数のスロット幅広のスロット及び/又は幅狭のスロットを含むを有することも可能である。幾つかの実施例において、全ての幅広のスロット330aが管状部材328の同一の側に配置され、全ての幅狭のスロット330b,330cは反対側に配置されている。しかし、別の実施例では幅広のスロット330a及び/又は幅狭のスロット330b,330cは管状部材の両側において好適なパターンで配置されている。
【0023】
優先湾曲方向は管状部材328において幅広のスロット330aが配置された側に設定される。これと反対の側(幅狭のスロット330b,330cが配置される側)では湾曲がより困難になる「優先湾曲方向の設定が最も低い状態」となることもある。優先湾曲方向の最も高い状態に設定したり、最も低い状態に設定したりすることは、上記と同様の理由及び他の理由により望ましい。
【0024】
幾つかの実施例において、管状部材380の可撓特性は変更可能である。例えば、図8に示すように、管状部材328は圧縮された状態にある。圧縮は、例えば管状部材328をマンドレルに装着した後、所望の状態まで軸方向に圧縮するというような、好適な方法を採用して行われ得る。ある実施例においては、管状部材328は幅狭のスロット330b,330cが完全に閉鎖するまで圧縮が行われる。また、別の実施例においては、幅狭のスロット330b,330cの幾つか或いは全部が単に部分的に閉鎖するように管状部材328の圧縮が行われる。
【0025】
一旦、圧縮されると、管状部材328は熱処理等の公知の技術により圧縮された形状に保持される。幾つかの実施例においては、管状部材328は超可撓材料及び/又は形状記憶ニッケルチタニウム合金のような形状記憶材料から形成され、熱処理により管状部材328は圧縮された形状にされる。この圧縮については他の材料を使用することも可能である。
【0026】
上記した圧縮により、幅広のスロット330aは半ば閉鎖され、幅狭のスロット330b,330cは半ば、又は完全に閉鎖される。このため、管状部材328を一方向に(即ち、幅広のスロット330aに向かって)湾曲させることにより幅狭のスロット330b,330cが僅かに開く。幅狭のスロット330b,330cが開くことが可能なため、幅広のスロット330aに向かう優先湾曲方向が設定される。これとは逆に、管状部材328を反対方向に(幅狭のスロット330b,330cに向かって)曲げることは、幅狭のスロット330b,330cが隣接、或いは固体によって埋め尽くされている(ほぼ或いは完全に閉鎖されている)ため、困難である。このように、管状部材328はこの方向においては大きな剛性を有し、優勢湾曲方向が最も低く設定される。管状部材328を圧縮すると、優先湾曲方向の設定に加えて、管状部材328には望ましいレベルの対圧縮剛性が付与される。これは幅狭のスロット330b,330cが半ばまで、或いは完全に閉鎖されるため、それ以上の圧縮に対する抵抗を示すものである。
【0027】
図9は管状部材428の別例を示す。幅広のスロットや幅狭のスロットを採用した管状部材328とは異なり、管状部材428においてはスロットは異なる密度で分布されている。例えば、管状部材428はその一側において配置された第1のスロット430a群と、他側において配置された第2のスロット430b群とを有する。スロット430a,430bは異なる密度で分布されている。例えば、単位長さにおいてスロット430bはスロット430aよりも多く配置されている。スロット430bはより高い密度で配置されているため、管状部材428にはスロット430bに指向する優先湾曲方向が設定されることになる。
【0028】
図10に示すように、管状部材428を圧縮すると、管状部材328を圧縮した時と同様の特徴が見られる。例えば、管状部材428にはスロット430bに指向する優先湾曲方向が設定される。同様に、管状部材428が圧縮加工されると、対圧縮剛性が増加する。
【0029】
図11に示す管状部材528は本願で開示される他の管状部材に類似するものである。管状部材328,428とは異なり、管状部材528におけるスロット530は同一の幅を有し、管状部材528の両側において均等に分布されるか、以下に述べる方法を含む好
適な方法で分布されている。図12に示すように、管状部材528を圧縮すると、幾つかの好ましい特徴が発生する。例えば、管状部材528を圧縮加工すると、管状部材528の横方向への可撓性は維持されつつ、対圧縮剛性が増加する。管状部材528(図12に示す被圧縮形状をなす管状部材528)が更なる圧縮力を受けると、スロット530は半ばまで、或いは完全に閉鎖された状態であるため、更なる圧縮に対する抵抗を示す。しかし、管状部材528に対して横方向へ曲げる力が加えられると、スロット530が開くため、横方向への可撓性が所望のレベルに維持される。
【0030】
上記のような構成、配向等の別例に加えて、ガイドワイヤ10やカテーテル110の各部分及び/又は様々な構成要素(管状部材28,128,228,328,428,528を含む)を別の材料を使用して構成することも可能である。なお、ガイドワイヤ10やカテーテル110やガイドワイヤ10やカテーテル110の特別な部分に対する材料組成物及び他の変更例は、ガイドワイヤ10やカテーテル110の他の構成要素や管状部材28,128,228,328,428,528を含む装置にも適用されるものである。
【0031】
一般的に、ガイドワイヤ10やカテーテル110及び/又はこれらの様々な構成要素は、金属、合金、ポリマー(幾つかの例を下記に示す)、金属ポリマー合成物、これらの組み合わせ等、さらには好適な材料によって形成される。好適な金属及び金属合金とは、304V,304L及び316LVステンレス鋼のようなステンレス鋼、軟鋼、線状弾性ニチノ−ル及び/又は超弾性ニチノールのようなニッケルチタニウム合金、ニッケルクロミウムモリブデニウム合金(即ち、INCONEL(登録商標)のようなUNS: N06625625, HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)のようなUNS: N06022, HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)と他のHASTELLOY(登録商標)合金のようなUNS: N10276等)、ニッケル銅合金(即ち、MONEL(登録商標)400, ニッケルVAC(登録商標)400, NICORROS(登録商標)400
のようなUNS: N04400)、ニッケル−コバルト−クロミウム−モリブデニウ合金(例えばMP35-N(登録商標)等のUNS: R30035)、ニッケル-モリブデニウム合金(即ち、HASTELLOY(登録商標)合金 B2(登録商標)のようなUNS: N10665)、ニッケル-クロミウム合金、ニッケル-モリブデニウム合金、ニッケル-コバルト合金、ニッケル-鉄合金、ニッケル-銅合金、ニッケル-タングステン又はタングステン合金等コバルト-クロミウム合金、コバルト-クロミウム-モリブデニウム合金例えばELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS: R30 0 03 、プラチナ強化ステンレス鋼、これら組み合わせ等、更には好適ないかな
る材料をも含む。
【0032】
上述したように、市販されるニッケル−チタン又はニチノール合金系の中には、従来の形状記憶及び超弾性材料に化学的には類似しているが、特異的かつ有用な機械的特性を示す、「線形弾性」又は「非超弾性」と称されるカテゴリーのものがある。線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは以下の点において超弾性ニチノールとは異なる。即ち、線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは、応力/歪み曲線において「超弾性プラトー」又は「フラグ領域」を示さない。その代わりに、線形弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは回復可能な歪みが増加するにつれて、塑性変形が始まるまでは、歪みはほぼ線形関係、または完全な線形関係でなく幾分かの線形関係か、少なくとも超弾性ニチノールにおいて示される超弾性プラトー及び/又はフラグ領域よりも線形に近い関係で増加し続ける。
【0033】
線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは以下の点で超弾性ニチノールとは異なる。即ち、線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは弾性変形する以前は、弾性を維持して約2−5%までの歪みを許容するが、超弾性ニチノールは弾性変形する以前は約8%までの歪みを許容する。線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールは弾性変形以前は約02−0,44%の歪みを許容するステンレス鋼(組成においても線状弾性ニチノール及び/又は非超弾性ニチノールとは区別される)のような他の線状弾性
材料とも区別される。
【0034】
一部の実施例では、OLE_LINK3線形弾性ニッケル−チタン合金は非超弾性ニッケル−チ
タン合金OLE_LINK3は広汎は温度範囲において、DSC及びDMTA分析によって検知可
能なマルテンサイト/オーステナイト相転移を示さない合金である。従って、線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金においては、約−60〜+120℃の範囲において、DSC及びDMTA分析によって検知可能なマルテンサイト/オーステナイト相転移が生じない。このような材料の機械的曲げ特性は、この非常に広範な温度範囲にわたって温度の影響をほぼ受けない。一部の特定の実施例では、周囲温度又は室温における線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金の機械的特性は、超弾性プラトーやフラグ領域を示さないという点において、体温における機械的特性とほぼ同じである。言い換えれば、広汎な温度範囲にわたって、線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金はその線形弾性特性及び/または非超弾性特性を維持する。そして、線形弾性ニッケル−チタン合金及び/または非超弾性ニッケル−チタン合金は降伏点を有しない(即ち、材料がその機械的特性において劇的に変化する温度はない)。
【0035】
一部の実施形態では、線形弾性ニッケル−チタン合金は、約50〜60重量%のニッケルを含み、残りはほぼチタンである。一部の実施形態では、組成物は、約54〜57重量%のニッケルを含有する。好適なニッケル−チタン合金の一例は、日本国神奈川県に所在する株式会社古河テクノマテリアルから販売されるFHP−NT合金である。ニッケル−チタン合金の幾つかの他の実施形態が、米国特許第5,238,004号明細書及び同第6,508,803号明細書に開示される。これら米国特許明細書は、参照により、その全内容が本明細書の一部を構成する。他の好適な材料として、ULTANIUM(登録商標/Neo−Metrics社にて入手可能)、GUM METAL(登録商標/トヨタ社入手可能)が挙げられる。他の一部の実施形態では、望ましい特性を得るために、超弾性合金、例えば超弾性ニチノールを使用することができる。
【0036】
少なくとも一部の実施形態では、ガイドワイヤ10及びカテーテル110の一部もしくは全部、又はこれらの他の構成要素はまた、放射線不透過性材料でドープされ、放射線不透過性材料で形成され、又はその他の方法で放射線不透過性材料を含んでいてもよい。放射線不透過性材料とは、医療処置中において透視スクリーン又は他の画像技術において、相対的に明るい像を生成することができる材料であると理解される。この相対的に明るい像は、ガイドワイヤ10、カテーテル110の使用者がこれら器具10,110の位置を判定しやすくする。放射線不透過性材料の一部の例には、金、白金、パラジウム、タンタル、タングステン合金、放射線不透過性充填材が充填されたポリマー材料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
一部の実施形態では、ある程度のMRI適合性がガイドワイヤ10やカテーテル110に付与される。例えば、磁気共鳴画像診断(MRI)装置に対する適合性を高めるために、ガイドワイヤ10やカテーテル110の一部を、ある程度のMRI適合性を付与するように形成することが望ましい場合がある。例えば、ガイドワイヤ10やカテーテル110、又はそれらの一部を、実質的に像を歪めず、実質的なアーチファクト(アーチファクトとは、画像における実際とは異なる像)を生成しない材料で形成することができる。特定の強磁性材料は、例えば、MRI画像においてアーチファクトを形成する可能性があるため、適していない場合がある。ガイドワイヤ10やカテーテル110の全部又はそれらの一部を、MRI装置が撮像できる材料で形成してもよい。このような特性を示す材料の例としては、例えば、タングステン、コバルト−クロム−モリブデン合金(例えば、ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)等のUNS:R30003)、ニッケル−コバルト−クロム−モリブデン合金(MP35−N(登録商標)等のUNS:R30
035)、ニチノール等、やその他のものが挙げられる。
【0038】
一部の実施例では、ガイドワイヤ10やカテーテル110の異なる部分は異なる材料によって形成される。例えば、管状部材28の基端部と先端部とは異なる材料によって形成され得る。一部の実施例において、基端部を構成するために使用される材料は線状弾性ニッケル−チタン合金であり、先端部は超弾性ニッケル−チタン合金にて形成される。先端部と基端部は別々に製造され、適切な接合技術(レーザー溶接のような溶接、はんだ付け、ろう付け、かしめ、接着剤、機械的接続、圧着等、あるいはこれらの組み合わせ)を使用して互いに連結される。別例では、管状部材28は線状弾性ニッケル−チタン合金によって一体物として形成され、その後で一部分(例えば先端部)が熱処理されて所望の超弾性特性が付与される。
【0039】
ガイドワイヤ10やカテーテル110を製造するために使用される好適なポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリオキシメチレン(POM、例えばデュポン社(DuPont)から販売されるDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエステル(例えば、DSMエンジニアリングプラスチックス社(DSM Engineering Plastics)から販売されるARNITEL(登録商標))、エーテル又はエステル系コポリマー(例えば、ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレート及び/又はデュポン社から販売されるHYTREL(登録商標)のような、他のポリエステルエラストマー)、ポリアミド(例えば、バイエル社(Bayer) から販売されるDURETHAN(登録商標)、エルフアトケム社(Elf Atochem)から販売されるCRISTAMID(登録商標)
)、弾性ポリアミド、ブロックポリアミド/エーテル、ポリエーテルブロックアミド(PEBA、例えば商品名PEBAX(登録商標)にて販売されるもの)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、シリコーン、ポリエチレン(PE)、マーレックス高密度ポリエチレン、マーレックス低密度ポリエチレン、線形低密度のポリエチレン(例えばREXELL(登録商標))、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリトリメチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(例えばKEVLAR(登録商標))、ポリスルホン、ナイロン、ナイロン12(EMSアメリカングリロン社(EMS
American Grilon)から販売されるGRILAMID(登録商標)等)、パーフルオロ(
プロピルビニルエーテル)(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリ塩化ビニリデン(PVdC)、ポリカーボナート、アイオノマー、生体適合性ポリマー、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコライド)(PGA)、ポリ(L−ラクチド−コ−D,L−ラクチド)(PLLA/PLA)、ポリ(L−ラクチド−コ−グリコライド(PLLA/PGA)、ポリ(グリコライド−コ−トリムエチレンコーボネート)(PGA/PTMC)、酸化ポリエチレン(PEO)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリカルポラクトン(PCL)、ポリヒドロキシルブチレート(PHBT)、ポリ(フォスファゼン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)(PLA/PCL)、ポリ(グリコライド−コ−カプロラクトン)(PGA/PCL)、ポリアンヒドデス(PAN)、ポリ(オルトエルテス)、ポリ(リン酸エルテス)、ポリ(アミノ酸)、ポリアクリート、ポリアクリルアミド、ポリ(ヒドロキシエチル メタクリレート)、ポリウレタン、ポリシロクサン、及びこれらの重合体、これらの混合物や組合せが挙げられる。
【0040】
上記したように、管状部材28,128,228,328,428,528は切欠き、開口、スロット30,130,230a,230b,230c,230d,330a,3
30b,330c,430a,430b,530を有する。論趣の簡略化するため、以下には管状部材28とスロット30とを例に説明する。しかし、これは限定を意図するものではなく、以下のスロットに関する特徴は本願に開示される全ての管状部材及びスロットに適用されるものである。
【0041】
スロット30はマイクロマシニング、ソー切削(ダイアモンド粒子が埋め込まれた半導体切削用のブレードを使用する)、レーザー切削、電子放出加工、研磨、フライス加工、成型、鋳造、エッチング、化学処理、または他の公知の方法等により形成される。一部の実施例では、管状部材28は構造は、或る部分を切削及び/又は除去してスロット30aを形成することにより完成される。適切なマイクロマシニングの方及び他の切削方法、スロットを有する管状部材の構成及び管状部材を備えた医療器具の幾つかの例が米国特許出願公開第2003/0069522号明細書、米国特許出願公開第2004/0181174−A2号明細書、米国特許第6766720号明細書及び米国特許第6579246号明細書に開示されている。これらの内容は本願に組み込まれ、開示されたものとする。また、エッチング処理の例は米国特許第5106455号明細書に開示され、この内容は本願に組み込まれ、開示されたものとする。ガイドワイヤ10やカテーテル110を製造する方法は、上記した方法、または他の方法を使用して管状部材28にスロット30を形成ことを含む。
【0042】
スロット30の配置や形状について、様々な実施例が提示される。スロット30のうちの少なくとも幾つかは管状部材28の長手軸線に対して同一、或いは類似した角度をなするように配置されている。図示されるように、スロット30は管状部材28の長手軸線と直交、或いはほぼ直交する角度をなすように配置され、さらに/または管状部材28の長手軸線に垂直な面に配置されている。しかし、他の実施例においては、スロット30は管状部材28の長手軸線と直交、或いはほぼ直交しない角度をなすように配置され、さらに/または管状部材28の長手軸線に垂直ではない面に配置されている。加えて、一方の組のスロット30は他方の組のスロット30とは異なる角度をなして配置されている。スロット30の分布や形状についても、米国特許出願公開第2004/0181174号明細書に開示されているものを含む。なお、米国特許出願公開第2004/0181174号明細書を本願に組み込み、その内容はここに開示されたものとする。
【0043】
スロット30は管状部材28の好適なトルク伝達特性を保証しつつ、管状部材28の可撓性を増加する。スロット30は、1個以上のリング片がビームによって連結されることによって管状部材28に形成されるものである。そして、これらリング片とビームとは、管状部材28にスロット30が形成された後に、管状部材28に残されるものである。このような、リング片が互いに接続された構造が、所望のレベルの横方向における可撓性を維持しつつ、管状部材28のねじり剛性を比較的高いものにしている。一部の実施例においては、スロット30は管状部材28の外周面上で互いに重複する部分を有している。他の実施例において、スロット30は管状部材28の外周面上で互いに重複する部分を有することなく、所望のレベルの横方向における可撓性を付与する配列をなすように配置されている。
【0044】
加えて、特性を得るべく、スロット30は管状部材28の長さ方向、又は周方向において配置されている。例えば、隣接するスロット30、或いは1つのグループのスロット30は管状部材28の外周面の互いに対向する側において同様のパターンをなすように、また管状部材28の軸線を中心に等角度をおいて、対称的に配置されてもよい。加えて、隣接するスロット30、或いは1つのグループのスロット30は管状部材28の長さ方向に等間隔をおいて配置したり、密度を増減させるように配置したり、非対称的又は非規則的に配置したりすることも可能である。スロットの寸法、スロットの形状及び/又は管状部材28の軸線に対するスロットの角度等、他の特徴も可撓性や他の特性を変化させるため
、管状部材28の長さ方向に沿って変化させることも可能である。更に、他の実施例では管状部材28をその一部、例えば基端部、先端部等にスロット30を設けることなく形成したり、管状部材28全体にわたってスロット30を設けなくすることも可能である。
【0045】
上記したように、1つのグループにはスロット30は2個、3個、4個、5個、またはこれ以上も設けることが可能であり、これらスロット30管状部材28の軸線に沿ってほぼ同じ位置に配置されている。1つのグループ内においてスロット30の寸法は等しい。また、別の実施例では1つのグループ内において、少なくとも幾つかのスロットは寸法が異なる(管状部材28の周方向における長さを測定)。長さ方向において隣接する(スロット30の)グループは同一の形状としても、異なる形状としてもよい。例えば、一部実施例において管状部材28のスロット30は第1のグループでは同一の寸法に形成され、第2のグループでは異なる寸法に形成されている。また、2個の互いに寸法が等しいスロット30を有するグループでは、ビーム(スロット30を形成した後に管状部材28に残された部分)は管状部材28の中心に整合する。逆に、2個の互いに寸法が異なるスロット30を有するグループでは、ビームは管状部材28の中心からずれることになる。一部実施例において、管状部材28は同管状部材28の中心に整合するスロット30のみの有し、また別の実施例では管状部材28の中心からずれるスロット30のみを有し、更に別の実施例においては一方のグループのスロット30は管状部材28の中心に整合し、他方のグループのスロット30は管状部材28の中心からずれている。ずれの量はスロット30の長さによって異なり、適切な長さとすることが可能である。
【0046】
スロットの長さを変化させることにより、管状部材228に優先湾曲方向を設定しないようにすることが可能である。例えば、管状部材228においてスロット230aと、このスロット230aと軸方向において整合する他のスロットが長く切り込まれると、管状部材228に対して内腔248が偏心した状態にあっても、管状部材28には優先湾曲方向が設定されない。この理由としては、スロット230a及び軸線方向において整合する他のスロットが管状部材28の可撓性をスロット230aの方向に偏向させることが挙げられる。本願に開示される他の管状部材に対しても、優先湾曲方向を設定しないため、同一の処理をすることが可能である。
【0047】
異なる幾何学形状を有するスロット30の別例について述べる。例えば、一部の実施例において、スロット30はほぼV字状、ほぼU字状をなしたり、幅方向において1つ以上の段差を有したり、角度をなしたり、半円状をなしたり、長さ方向における終端縁を丸くしたり、終端縁に角をつけたりし、さらにはこれらの組み合わせや変更例とすることも可能である。これらの形状は、対応するような形状をなす切削具、適切な切削技術を使用し、又は他の適切な方法により形成可能である。
【0048】
上記した構成を利用して、他の多くの構成を創作することが可能である。
なお、この開示は例示するものであり、発明の範囲を超えることなく、形状、寸法、製造工程等についての変更は可能である。無論、本発明の範囲は添付される請求の範囲に従って決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成された管状部材と、
前記管状部材は外周壁と、同外周壁に対して偏心的に形成された内腔とを有する医療器具。
【請求項2】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成された管状部材とを有し、
前記管状部材の第1の側に沿って幅広のスロットが配置され、前記第1の側の対向する管状部材の第2の側に沿って幅広のスロットと対向して複数個の幅狭のスロットが配置され、幅広のスロットは第1の幅を有する共に、幅狭のスロットは第2の幅を有し、前記第1の幅は少なくとも第2の幅の2倍である医療器具。
【請求項3】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成された管状部材とを有し、
前記管状部材は圧縮されて、被圧縮形状が決定された後、熱処理により被圧縮形状に保持されて形成され、被圧縮形状にある管状部材のスロットは半ば閉じ、又は半ば開いている医療器具。
【請求項4】
前記管状部材は幅広のスロット及び同幅広のスロットに対向して配置された複数の幅狭のスロットを有する請求項3に記載の医療器具。
【請求項5】
前記管状部材が被圧縮形にあるとき、少なくとも一部のスロットは半ば閉じ、又は半ば開いている請求項3又は4に記載の医療器具。
【請求項6】
前記管状部材が被圧縮形状にあるとき、幅広のスロットは半ば開き、幅狭のスロットのうちの少なくとも一部は閉じている請求項4または5に記載の医療器具。
【請求項7】
前記管状部材は第1の側に第1の密度をもって配置された第1のスロット群と、第2の側に前記第1の密度とは異なる第2の密度をもって配置された第2のスロット群とを有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項8】
前記管状部材は第1の側に第1の曲げ剛性を有するともに、第1の側に対向する第2の側に第2の曲げ剛性を有し、第1の曲げ剛性は第2の曲げ剛性よりも小さい請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項9】
前記管状部材に連結される先端部材を備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項10】
前記管状部材内に張力部材を設けてなる請求項1乃至9のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項11】
前記張力部材における張力は選択的に変更可能である請求項10に記載の医療医器具。
【請求項12】
前記張力部材は張力下にあり、管状部材は第1の側おいて湾曲する湾曲領域を有する請求項10又は11に記載の医療器具。
【請求項13】
前記コア部材はガイドワイヤのコアワイヤ、またはカテーテルの裏打ちである請求項1乃至12のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項14】
前記管状部材はニッケル−チタン合金にて形成される請求項1乃至13のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項15】
前記管状部材は線状弾性ニッケル−チタン合金にて形成される請求項1乃至14のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項16】
前記管状部材の第1の部分は線状弾性ニッケル−チタン合金にて形成されるとともに、第2の部分は超弾性ニッケル−チタン合金にて形成され、第1の部分は基端部である請求項1乃至15のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項17】
前記管状部材のポリマーから形成してなる請求項1乃至16のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項18】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材を提供する工程と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成されるともに外周壁に対して偏心的に形成された内腔とを有する管状部材を提供する工程と、
前記管状部材をコア部材の先端部に取り付ける工程とからなる
医療器具の製造方法。
【請求項19】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材を提供する工程と、
複数のスロットが形成された管状部材を提供する工程と、
前記管状部材の被圧縮形状を決定すべく、同管状部材を圧縮する工程と、
前記管状部材を被圧縮形状に保持すべく、管状部材を熱処理する工程と、
前記管状部材をコア部材の先端部に取り付ける工程とからなる
医療器具の製造方法。
【請求項20】
前記管状部材の被圧縮形状を決定すべく、同管状部材を圧縮する工程は、少なくと一部のスロットを閉じる工程を含み、これらスロットのうちの一部は完全に閉じられ、その他のスロットは半ば閉じられている医療器具の製造方法。
【請求項1】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成された管状部材と、
前記管状部材は外周壁と、同外周壁に対して偏心的に形成された内腔とを有する医療器具。
【請求項2】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成された管状部材とを有し、
前記管状部材の第1の側に沿って幅広のスロットが配置され、前記第1の側の対向する管状部材の第2の側に沿って幅広のスロットと対向して複数個の幅狭のスロットが配置され、幅広のスロットは第1の幅を有する共に、幅狭のスロットは第2の幅を有し、前記第1の幅は少なくとも第2の幅の2倍である医療器具。
【請求項3】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成された管状部材とを有し、
前記管状部材は圧縮されて、被圧縮形状が決定された後、熱処理により被圧縮形状に保持されて形成され、被圧縮形状にある管状部材のスロットは半ば閉じ、又は半ば開いている医療器具。
【請求項4】
前記管状部材は幅広のスロット及び同幅広のスロットに対向して配置された複数の幅狭のスロットを有する請求項3に記載の医療器具。
【請求項5】
前記管状部材が被圧縮形にあるとき、少なくとも一部のスロットは半ば閉じ、又は半ば開いている請求項3又は4に記載の医療器具。
【請求項6】
前記管状部材が被圧縮形状にあるとき、幅広のスロットは半ば開き、幅狭のスロットのうちの少なくとも一部は閉じている請求項4または5に記載の医療器具。
【請求項7】
前記管状部材は第1の側に第1の密度をもって配置された第1のスロット群と、第2の側に前記第1の密度とは異なる第2の密度をもって配置された第2のスロット群とを有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項8】
前記管状部材は第1の側に第1の曲げ剛性を有するともに、第1の側に対向する第2の側に第2の曲げ剛性を有し、第1の曲げ剛性は第2の曲げ剛性よりも小さい請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項9】
前記管状部材に連結される先端部材を備える請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項10】
前記管状部材内に張力部材を設けてなる請求項1乃至9のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項11】
前記張力部材における張力は選択的に変更可能である請求項10に記載の医療医器具。
【請求項12】
前記張力部材は張力下にあり、管状部材は第1の側おいて湾曲する湾曲領域を有する請求項10又は11に記載の医療器具。
【請求項13】
前記コア部材はガイドワイヤのコアワイヤ、またはカテーテルの裏打ちである請求項1乃至12のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項14】
前記管状部材はニッケル−チタン合金にて形成される請求項1乃至13のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項15】
前記管状部材は線状弾性ニッケル−チタン合金にて形成される請求項1乃至14のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項16】
前記管状部材の第1の部分は線状弾性ニッケル−チタン合金にて形成されるとともに、第2の部分は超弾性ニッケル−チタン合金にて形成され、第1の部分は基端部である請求項1乃至15のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項17】
前記管状部材のポリマーから形成してなる請求項1乃至16のいずれか1項に記載の医療器具。
【請求項18】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材を提供する工程と、
前記基端部上に配置され、且つ複数のスロットが形成されるともに外周壁に対して偏心的に形成された内腔とを有する管状部材を提供する工程と、
前記管状部材をコア部材の先端部に取り付ける工程とからなる
医療器具の製造方法。
【請求項19】
基端部と先端部とを有する長尺状のコア部材を提供する工程と、
複数のスロットが形成された管状部材を提供する工程と、
前記管状部材の被圧縮形状を決定すべく、同管状部材を圧縮する工程と、
前記管状部材を被圧縮形状に保持すべく、管状部材を熱処理する工程と、
前記管状部材をコア部材の先端部に取り付ける工程とからなる
医療器具の製造方法。
【請求項20】
前記管状部材の被圧縮形状を決定すべく、同管状部材を圧縮する工程は、少なくと一部のスロットを閉じる工程を含み、これらスロットのうちの一部は完全に閉じられ、その他のスロットは半ば閉じられている医療器具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−535587(P2010−535587A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520257(P2010−520257)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/072204
【国際公開番号】WO2009/020961
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2008/072204
【国際公開番号】WO2009/020961
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】
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