説明

仮想対象物獲得ゲームシステム

【課題】ランニングコストをかけずに、かつ、実際の獲得時の動作を要求することにより、疑似体験でありながら、臨場感に富んだゲームシステムを提供すること。
【解決手段】利用者は、RFタグ11が取り付けられた捕虫網10を持ち、仮想の昆虫の位置に対応してゲーム装置本体20に取り付けられたRFリーダー・ライター21に近接させる。ゲーム制御装置30は、RFリーダー・ライターを介して利用者が擬似的に捕獲した昆虫に関する情報を記録する。ゲームを終了する場合には、捕虫網10のRFタグ11を結果生成装置40のRFリーダー・ライター41に近接させ、利用者に関する情報と当該利用者が擬似的に捕獲した昆虫に関する情報とを読み取り、ディスプレイ42及びプリンタ60等へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が景品等の対象物の捕獲を競うゲームのシステムに関し、特に、利用者に捕獲に伴う実行動を求めつつ、対象物を擬似的に捕獲して競うゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の景品取得ゲーム機は、例えば特許文献1に開示される。この文献に開示されるゲーム機は、天井部から吊り下げた景品捕獲手段を水平方向及び上下方向にゲームプレーヤが操作して、景品収納空間に収納される景品を取得するものである。
【特許文献1】特開2000−126441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されるタイプのゲームシステムでは、運営者サイドで景品を実際に用意し、利用者による獲得や破損に応じて景品を補充する必要があるため、ランニングコストがかかるという問題がある。
【0004】
一方、テレビゲームの画面内で対象物の獲得を擬似的に体験させれば、実際の景品を用意する必要がなく、ランニングコストを抑えることはできるが、景品の獲得時にもゲーム機の操作盤を操作するのみであるため、実際の獲得時の動作とは異なり、臨場感が足りずに利用者に満足感を与えることができないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記の従来技術の問題点に鑑み、ランニングコストをかけずに、かつ、実際の獲得時の動作を要求することにより、疑似体験でありながら、臨場感に富んだゲームシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる仮想対象物獲得ゲームシステムは、RFタグが取り付けられた捕獲具と、獲得対象物の位置に対応してRFリーダー・ライターが設けられたゲーム装置本体と、利用者が捕獲具を用いて捕獲対象物を擬似的に捕獲しようとして捕獲具に取り付けられたRFタグをRFリーダー・ライターに近接させた際に、RFリーダー・ライターを制御して当該RFリーダー・ライターに対応づけられた捕獲対象物に関する情報をRFタグに記録させるゲーム制御装置と、RFリーダー・ライターを有し、利用者が捕獲具のRFタグを近接させると、RFタグに記録された利用者に関する情報及び当該利用者が擬似的に捕獲した捕獲対象物に関する情報を出力する結果生成装置とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様にかかる仮想対象物獲得ゲームシステムは、RFタグが取り付けられた捕獲具と、獲得対象物の位置に対応してRFリーダー・ライターが設けられたゲーム装置本体と、利用者が捕獲具を用いて捕獲対象物を擬似的に捕獲しようとして捕獲具に取り付けられたRFタグをRFリーダー・ライターに近接させた際に、RFリーダー・ライターを制御してRFタグに記録された識別情報を読み取ると共に、当該RFタグの識別情報と、該情報を読み取ったRFリーダー・ライターに対応づけられた捕獲対象に関する情報とを組にして送信するゲーム制御装置と、ゲーム制御装置とネットワークを介して接続され、該ゲーム制御装置から送信されるRFタグの識別情報と捕獲対象に関する情報との組を蓄積するデータベース装置と、RFリーダー・ライターを有し、利用者が捕獲具のRFタグを近接させると、RFタグに記録された利用者の識別情報及びこれに基づいてデータベース装置から読み出した当該利用者が擬似的に捕獲した捕獲対象物に関する情報を出力する結果生成装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
なお、上記何れの態様においても、結果生成装置は、捕獲対象物に応じて設定された得点を計算して出力することが望ましい。また、ゲーム装置本体の利用者が視認する前面には、獲得対象物を明示的に表示し、及び/又は、獲得対象物が通常存在する背景を表示し、利用者から視認できない裏面には、獲得対象物が明示的に表示されている場合にはその位置に対応して、表示されていない場合には任意の位置にRFリーダー・ライターを設けることが望ましい。さらに、結果生成装置は、利用者が擬似的に捕獲した捕獲対象物に対応するデジタルコンテンツを表示し、印刷し、若しくは利用者が有する情報通信端末に対して配信するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように構成された本発明の仮想対象物獲得ゲームシステムによれば、利用者は実際の捕獲時と同様に捕獲具を使ってゲーム装置本体に対して捕獲行動をとることにより、仮想の対象物を擬似的に獲得することができ、かつ、結果生成装置を用いて獲得した対象物を確認することができる。したがって、実際の景品等の対象物を用意する必要がないためにランニングコストを抑え、かつ、実際の捕獲時と同様の行動を要求することにより利用者に臨場感を与えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明にかかる仮想対象物獲得ゲームシステムの実施の形態を2つの実施例に基づいて説明する。図1〜図11は実施例1、図12〜図16は実施例2に関する。2つの実施例は、いずれも本発明を昆虫採集ゲームに適用した例である。
【実施例1】
【0011】
まず、図1及び図2に基づいて実施例1のゲームシステムの概要を説明する。実施例1のゲームシステムは、先端にRF(Radio Frequency:無線)タグ11が取り付けられた捕獲具である捕虫網10と、獲得対象物である仮想の昆虫の位置に対応して複数のRFリーダー・ライター21が設けられたゲーム装置本体20と、これらのRFリーダー・ライター21を制御してRFタグ10に利用者が擬似的に捕獲した昆虫に関する情報を記録するゲーム制御装置30と、RFリーダー・ライター41を有して捕虫網10のRFタグ11に記録された情報に基づいて利用者に関する情報と当該利用者が擬似的に捕獲した昆虫に関する情報とをディスプレイ42及びプリンタ60等へ出力する結果生成装置40と、RFリーダー・ライター51を有してRFタグ11に記録された情報に基づいてディスプレイ52に昆虫に関する情報を表示する経過表示装置50とを備えている。なお、結果生成装置40は、ゲーム開始時に利用者の識別情報を入力してRFタグ11に記録する受付装置としての機能、及び獲得した昆虫に応じて設定された得点を計算して出力する機能を併せ持っている。
【0012】
上記のゲーム制御装置30は、ゲーム装置本体20とペアで、図2に示すように複数の箇所に配置されている。また、結果生成装置40及び経過表示装置50も、必要に応じて複数台配置されている。ゲーム装置本体20(及びゲーム制御装置30)は、昆虫を採集するフィールドに対応しており、これらを複数配置することにより、利用者に対して環境の異なる複数のフィールド、例えばカブトムシやクワガタムシが生息する広葉樹林、バッタやカマキリが生息する草原、蝶やハチが生息する花畑等を提供することができる。実施例1では、RFタグ11に利用者の識別情報と擬似的に獲得した昆虫の識別情報とを共に記録する構成としているため、ゲーム制御装置30、結果生成装置40、経過表示装置50は互いに接続されることなく、それぞれ独立して配置されている。
【0013】
ゲーム装置本体20は、図3に示すように、表示ボード22を備え、この表示ボード22の一部にゲーム制御装置30から出力される情報を表示するディスプレイ23が填め込まれている。表示ボードの利用者が視認する前面には、図4に示すように、獲得対象物である昆虫が通常存在する背景(ここでは草原)の写真が貼り付けられており、利用者から視認できない裏面にRFリーダー・ライター21が取り付けられている。
【0014】
各RFリーダー・ライター21には、それぞれ昆虫が対応づけられており、ゲーム制御装置30は、RFタグ11がいずれかのRFリーダー・ライター21に近接すると、その近接したRFリーダー・ライター21に対応づけられた昆虫に関する情報をRFタグ11に書き込むようRFリーダー・ライター21を制御する。すなわち、裏面に取り付けられたRFリーダー・ライター21の位置が、仮想の昆虫が存在する位置を意味している。この例では、RFリーダー・ライター21が取り付けられた位置に対応して、表示ボード22の前面に破線でマークが示されている。このマークは表示しなくてもよいし、マークに代えて昆虫の絵や写真を貼り付けることにより、獲得対象物を明示的に表示してもよい。
【0015】
捕虫網10は、図5に正面図を示すように、棒状の柄12の先にリング状の枠13が取り付けられ、この枠13に袋状の補虫用ネット14が張られて構成されている。RFタグ11は、枠13の上端からベルト15を介して吊り下げられている。昆虫を擬似的に捕獲する際には、図6に示すように、ゲーム装置本体20の表示ボード22の前面に対して枠13を接触させ、柄12を手前に引いて傾けることにより、RFタグ11が表示ボード22の前面に近接し、近接した位置の裏面にFRリーダー・ライター21が取り付けられていれば、このRFリーダー・ライター21により当該RFリーダー・ライター21に対応づけられた昆虫に関する情報がRFタグ11に記録される。
【0016】
ゲーム制御装置30は、図7に示すように、接続されたゲーム装置本体20に設けられた各RFリーダー・ライター21の識別情報(R/W−ID)に昆虫の識別情報(昆虫ID)を対応づける初期設定手段31と、この初期設定手段により設定された対応情報(昆虫ID<=>R/W−ID)を記憶しておく設定保存部32と、ゲーム装置本体20に設けられたRFリーダー・ライター21に接続されてRFタグ11が近接した際に、そのRFタグ11を検出したRFリーダー・ライター 21の識別情報(R/W−ID)を特定するR/W−ID特定手段33と、特定されたR/W−IDに基づいて設定保存部32を検索して対応する昆虫IDを確定する昆虫ID確定手段34と、確定された昆虫IDをRFタグ11に書き込むようRFリーダー・ライター21を制御するRFタグ書込手段35とを備えている。
【0017】
また、ゲーム制御装置30は、RFタグ書込手段35から出力される昆虫IDに基づいてゲーム装置本体20のディスプレイ23に捕獲が成功したことを表示させる表示切替え手段36を備えている。この表示切替え手段36には、ディスプレイに表示される昆虫画像、効果音、文字素材のファイルが格納されており、昆虫IDに基づいて対応する昆虫画像、効果音、文字素材が読み出されて表示、再生される。
【0018】
結果生成装置40は、図8に示すように、昆虫採取の受付時に利用者の識別情報(利用者ID)を入力すると共に、昆虫IDと得点とを対応づける初期設定手段43と、受付時に初期設定手段43により設定された利用者IDをRFリーダー・ライター41を介してRFタグ11に書き込むRFタグ書込手段44と、初期設定手段43により設定された対応情報(昆虫ID<=>得点)を記憶しておく設定保存部45と、昆虫採集後にRFリーダー・ライター41を介してRFタグ11に記録された情報(利用者ID、昆虫ID)を読み込むRFタグ読込手段46と、読み込まれた昆虫IDに応じて設定保存部45から各昆虫に対応した得点を読み出して合計得点を計算する得点計算手段47とを備えている。各昆虫毎の得点は、例えば、昆虫の希少価値や実際に捕獲する際の困難性等を考慮し、より稀少で捕獲が困難な種類の昆虫に対して高い得点が与えられる。
【0019】
また、結果生成装置40は、RFタグ読込手段46により読み込まれた利用者IDと昆虫ID、及び、得点計算手段47により計算された総合得点に基づいてディスプレイ42、プリンタ60等にデータを出力する出力生成手段48を備えている。この出力生成手段48には、出力結果に含まれる昆虫画像、効果音、文字素材のファイルが格納されており、昆虫IDに基づいて対応する昆虫画像、効果音、文字素材が読み出されて表示、再生される。出力時には、受付時に入力された利用者のデータと、ゲーム中に擬似的に捕獲した昆虫の画像、総合得点を含む認定証の画面をディスプレイ42に表示し、必要に応じてプリンタ60により印刷して利用者に手渡す。また、画面データをhtml形式のファイルにして記録媒体ライター61により携帯情報端末用、携帯電話用のメモリカードに書き込み、あるいは、HTML形式のファイルをサーバ62に送り、サーバ62からインターネット63や携帯網64を介して利用者のメールアドレス宛に配信してもよい。利用者は、パーソナルコンピュータ(PC)65や携帯電話66により認定証を受信して表示、印刷することができる。
【0020】
昆虫採集後のRFタグ11には、例えば図9に示すような情報が書き込まれている。すなわち、利用者情報として利用者名「山田花子」とメールアドレス「yh@mif.com」が記録され、捕獲した昆虫IDとして、「22, 03, 47, 01, 10, 38, 07, 39, 01」が記録されている。
【0021】
経過表示装置50は、図示を省略するが、結果生成装置40を簡素化した構成であり、RFリーダー・ライターにより読み取った昆虫IDに基づいて、RFタグに記録された昆虫の画像をディスクプレイに表示する機能を持つ。
【0022】
次に、上記のように構成された実施例1のゲームシステムにおけるゲームの基本的な流れを図10に示すフローチャートにより説明する。まず、複数のゲーム制御装置30のそれぞれについて、各RFリーダー・ライター21に対応する昆虫IDを初期設定手段31を用いて設定する(S101)。
【0023】
利用者がゲームを開始する際には、前記のように利用者に捕虫網10を渡し、結果生成装置40の初期設定手段43を用いて利用者情報をRFタグ11に書き込む(S102)。利用者の登録が終了すると、利用者はフィールドを回って昆虫を擬似的に捕獲する。利用者がゲーム装置本体20の前に立ち、表示ボード22のマークに合わせてRFタグ11が位置するよう捕虫網10をマークにかぶせると、表示ボード22の裏面に当該マークに対応して取り付けられたRFリーダー・ライター21がRFタグ11を検出し、自己の識別情報(R/W−ID)をR/W−ID特定手段33に送る(S103)。
【0024】
ゲーム制御装置30内の昆虫ID確定手段34は、設定保存部32に保存された情報に基づいて、R/W−IDから昆虫IDを確定する(S104)。なお、昆虫ID確定手段34は、初期設定手段31により設定されたR/W−IDと昆虫IDとの対応関係を所定の時刻になると予め登録された組み合わせに変更する。また、特定の時刻には、乱数を用いてランダムに組み合わせを変更する。
【0025】
ここで、S104で実行されるR/W−IDと昆虫IDとの対応関係の変更処理の内容を、図11に示すフローチャートにしたがって説明する。まず、初期設定手段31により設定された組み合わせを初期値として設定する(S201)。続いて、時刻を取得し(S202)、これが予め定められた設定変更時刻に該当するか否かを判断する(S203)。設定変更時刻に該当する場合には、時刻に対応した昆虫IDの集合をに対応づける(S204)。次に、ランダム設定の時刻に該当するか否かを判断し(S205)、該当する場合には、各R/W−ID毎に乱数を発生させ、当該ゲーム装置本体20に含まれるRFリーダー・ライター21の台数で乱数を割り、剰余数を当該R/W−IDに対応する昆虫IDとして設定する(S206)。このようにR/W−IDと昆虫IDとの対応関係を変更することにより、マークと昆虫との対応関係が逐次変更され、過去にプレイした利用者であっても、緊張感を持って再プレイすることができる。
【0026】
図10の説明に戻り、昆虫IDがS104の処理により確定すると、ゲーム制御装置30内のRFタグ書込手段35は、確定した昆虫IDを当該RFリーダー・ライター21によりRFタグ11に書き込む(S105)。そして、昆虫IDを受け取った表示切り替え手段36は、ゲーム装置本体20のディスプレイ23上に捕獲した昆虫の画像に「GET!!」の文字素材をスーパーインポーズして表示させて利用者に獲得した昆虫を通知すると共に(S106)、図示せぬスピーカーから効果音を再生する。
【0027】
続いて、ゲームを終了するか否かを判断し(S107)、終了する場合にはS108以降の処理に入り、終了しない場合にはS103〜S106の処理をフィールド毎(ゲーム装置本体20毎)に繰り返す。ゲームを終了するのは、通常は利用者が全てのフィールドを回り、それぞれのフィールドで1匹ずつ昆虫を捕獲した場合である。
【0028】
ゲームを終了する場合は、利用者は捕虫網10を結果生成装置40まで持参してRFタグ11をRFリーダー・ライター41に近づける。RFリーダー・ライター41は、RFタグ11を検出し(S108)、結果生成装置40内のRFタグ読込手段46は、RFタグ11に記録された昆虫IDと利用者IDとを読み込む(S109)。そして、得点計算手段47は、読み込んだ昆虫IDに基づいて総合得点を計算する(S110)。また、出力生成手段48は、昆虫IDと利用者ID、総合得点を利用して認定証をディスプレイ42に表示すると共に、必要に応じてプリンタ60から印刷し、あるいは、HTMLファイルを記録媒体ライター61によりメモリに書き出し、サーバ62を介してネット上に配信する(S111)。
【0029】
このように、実施例1のゲームシステムによれば、従来流通業の商品管理に用いられていたRFタグを利用して仮想的な昆虫採集のような仮想対象物を獲得するゲームを構成することができる。また、利用者が擬似的に捕獲した昆虫のID等の情報を全てRFタグに記録する構成であるため、ゲーム制御装置30と結果生成装置40とをネットワークにより接続する必要がなく、低コストで実現でき、しかも、情報を集中せずに分散させているため、システムの頑強性を高く維持することができる。
【実施例2】
【0030】
続いて、実施例2にかかるゲームシステムについて説明する。実施例1では、RFタグに利用者情報と昆虫IDとを記録する分散方式としたが、実施例2では、RFタグにはタグ自身の識別情報のみを記録し、データベース装置に利用者が擬似的に獲得した昆虫の識別情報を利用者の識別情報に関連付けて記録する集中方式としている。捕虫網10、ゲーム装置本体20の構成は実施例1と共通である。
【0031】
システムの全体構成は、図12に示すように、複数のゲーム制御装置130がゲーム装置本体20(図示せず)とペアで配置され、複数の結果生成装置140、及び経過表示装置150が配置されている。これらの各装置は、ネットワークNを介してデータベース装置160に接続されている。
【0032】
データベース装置160は、図13に示すように、システムを構成する全てのゲーム装置本体20に設けられた各RFリーダー・ライター21に昆虫の識別情報(昆虫ID)を対応づけると共に、昆虫IDと得点とを対応づける初期設定手段161と、この初期設定手段により設定された対応情報(昆虫ID<=>RW−ID、昆虫ID<=>得点)を記憶しておく設定保存部162と、利用者の持つ捕虫網10に取り付けられたRFタグの識別情報(RFタグID)と、この捕虫網10で擬似的に捕獲された昆虫の昆虫IDとを関連付けて記憶するデータベース163とを備え、ディスプレイに表示される昆虫画像、効果音、文字素材のファイルを格納している。
【0033】
一方、ゲーム制御装置130は、ゲーム装置本体20に設けられたRFリーダー・ライター21に接続されてRFタグ11が近接した際に、そのRFタグ11を検出したRFリーダー・ライター (RF−R/W)21の識別情報を特定するR/W−ID特定手段133と、そのRFタグ11の識別情報(RFタグID)を読み取るRFタグ読込手段135と、特定されたR/W−IDに基づいてデータベース装置160の設定保存部162を検索して対応する昆虫IDを確定する昆虫ID確定手段134と、確定された昆虫IDとRFタグIDとを関連付けてデータベース163に記録するデータ書込手段132とを備えている。
【0034】
また、ゲーム制御装置130は、データ書込手段132から出力される昆虫IDに基づいてゲーム装置本体20のディスプレイ23に捕獲が成功したことを表示する表示切替え手段136を備えている。この表示切替え手段136は、昆虫IDに基づいてデータベース装置160に格納された昆虫画像、効果音、文字素材を読み出して表示、再生する。
【0035】
結果生成装置140は、図14に示すように、RFリーダー・ライター41を介してRFタグ11からRFタグIDを読み込むRFタグ読込手段146と、読み込まれたRFタグIDに基づいてデータベース163を検索し、当該RFタグIDに対応する昆虫IDを読み込むと共に、この昆虫IDに基づいて設定保存部45を検索して各昆虫に対応した得点を読み出して合計得点を計算する得点計算手段147とを備えている。なお、結果生成装置140は、昆虫採取の受付時に利用者が持つ捕虫網10に取り付けられたRFタグ11のRFタグIDを読み取る機能を有する。読み取られたRFタグIDは、データベース装置160の初期設定手段161から入力された利用者の識別情報(利用者ID)と関連付けられて設定保存部162に保存される。
【0036】
また、結果生成装置140は、RFタグ読込手段146により読み込まれたRFタグIDに基づいて設定保存部162から抽出される利用者ID、データベース163から抽出される昆虫ID、及び、得点計算手段147により計算された総合得点に基づいてディスプレイ142、プリンタ60等にデータを出力する出力生成手段148を備えている。この出力生成手段148は、昆虫IDに対応する昆虫画像、効果音、文字素材をデータベース装置160から読み出して表示、再生する。出力時には、受付時に入力された利用者のデータと、ゲーム中に擬似的に捕獲した昆虫の画像、総合得点を含む認定証の画面をディスプレイ142に表示し、必要に応じてプリンタ60により印刷して利用者に手渡す。また、画面データをHTML形式のファイルにして記録媒体ライター61によりメモリカードに書き込み、あるいは、HTML形式のファイルをサーバ62に送り、サーバ62からインターネット63や携帯網64を介して利用者のメールアドレス宛に配信してもよい。
【0037】
昆虫採集後のデータベース163には、例えば図15に示すような情報が書き込まれている。すなわち、捕虫網に取り付けられたRFタグのRFタグIDをインデックスとして、このRFタグが取り付けられた捕虫網10を利用して擬似的に捕獲した昆虫の昆虫IDが記録されている。なお、設定保存部162には、RFタグIDに対応づけて利用者情報として利用者名とメールアドレスが記録されており、これを参照することにより、どの利用者がどの昆虫を擬似的に捕獲したかを知ることができる。
【0038】
経過表示装置150は、図示を省略するが、結果生成装置140を簡素化した構成であり、RFリーダー・ライターにより読み取ったRFタグIDに基づいて、データベース163から昆虫IDを読み込み、対応する昆虫の画像をディスクプレイに表示する機能を持つ。
【0039】
次に、上記のように構成された実施例2のゲームシステムにおけるゲームの基本的な流れを図16に示すフローチャートにより説明する。まず、複数のゲーム制御装置30のそれぞれについて、各RFリーダー・ライター21に対応する昆虫IDを初期設定手段161を用いて設定する(S301)。
【0040】
利用者がゲームを開始する際には、前記のように利用者に捕虫網10を渡し、結果生成装置140によりRFタグIDを読み取り、初期設定手段161を用いて入力された利用者情報と関連付けて設定保存部162に保存する(S302)。利用者の登録が終了すると、利用者はフィールドを回って昆虫を擬似的に捕獲する。利用者がゲーム装置本体20の前に立ち、表示ボード22のマークに合わせてRFタグ11が位置するよう捕虫網10をマークにかぶせると、表示ボード22の裏面に当該マークに対応して取り付けられたRFリーダー・ライター21がRFタグ11を検出し、自己の識別情報(R/W−ID)をR/W−ID特定手段133に送る(S303)。同時に、RFタグ読込手段135がRFタグIDを読み込む(S304)。
【0041】
ゲーム制御装置30内の昆虫ID確定手段134は、設定保存部162に保存された情報に基づいて、R/W−IDから昆虫IDを確定する(S305)。なお、昆虫ID確定手段134がR/W−IDと昆虫IDとの対応関係を変更し得るのは実施例1と同様である。
【0042】
昆虫IDがS305の処理により確定すると、ゲーム制御装置30内のデータ書込手段132は、確定した昆虫IDをRFタグIDと関連付けてデータベース163に記録する(S306)。そして、昆虫IDを受け取った表示切り替え手段136は、ゲーム装置本体20のディスプレイ23上に捕獲した昆虫の画像に「GET!!」の文字素材をスーパーインポーズして表示させて利用者に獲得した昆虫を通知すると共に(S307)、図示せぬスピーカーから効果音を再生する。
【0043】
続いて、ゲームを終了するか否かを判断し(S308)、終了する場合にはS309以降の処理に入り、終了しない場合にはS303〜S307の処理をフィールド毎(ゲーム装置本体20毎)に繰り返す。ゲームを終了するのは、通常は利用者が全てのフィールドを回り、それぞれのフィールドで1匹ずつ昆虫を捕獲した場合である。
【0044】
ゲームを終了する場合は、利用者は捕虫網10を結果生成装置140まで持参してRFタグ11をRFリーダー・ライター141に近づける。RFリーダー・ライター141は、RFタグ11を検出し(S309)、結果生成装置40内のRFタグ読込手段146は、RFタグIDを読み込む(S310)。そして、得点計算手段147は、読み込んだ昆虫IDに基づいて総合得点を計算する(S311)。また、出力生成手段148は、昆虫IDと利用者ID、総合得点を利用して認定証をディスプレイ142に表示すると共に、必要に応じてプリンタ60から印刷し、あるいは、HTMLファイルを記録媒体ライター61によりメモリに書き出し、サーバ62を介してネット上に配信する(S312)。
【0045】
このように、実施例2のゲームシステムによれば、ネットワークを介して全てのゲーム制御装置30と結果生成装置40とを接続しているため、実施例1のように個々の装置で初期設定をしなくとも、一カ所から初期設定をすることが可能となる。また、各利用者のデータを一括して管理できるため、得点別に順位を付けるなどの付加的な作業も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施例1にかかるゲームシステムの概要を示す説明図である。
【図2】実施例1にかかるゲームシステムにおける各装置の配置を示すブロック図である。
【図3】実施例1にかかるゲームシステムにおけるゲーム装置本体の側面図である。
【図4】図3のゲーム装置本体の正面図である。
【図5】実施例1にかかるゲームシステムにおける捕獲具を示す正面図である。
【図6】図5の捕獲具を用いて捕獲対象物を擬似的に捕獲する際の様子を示す側面図である。
【図7】実施例1のゲームシステムにおけるゲーム制御装置の構成を示すブロック図である。
【図8】実施例1のゲームシステムにおける結果生成装置の構成を示すブロック図である。
【図9】実施例1のゲームシステムにおける捕獲具のRFタグに記録された情報の一例を示す説明図である。
【図10】実施例1のゲームシステムにおけるゲームの基本的な流れを示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS103の処理の具体的な内容を示すフローチャートである。
【図12】実施例2にかかるゲームシステムにおける各装置の配置を示すブロック図である。
【図13】実施例2のゲームシステムにおけるゲーム制御装置及びデータベース装置の構成を示すブロック図である。
【図14】実施例2のゲームシステムにおける結果生成装置の構成を示すブロック図である。
【図15】実施例2のゲームシステムにおけるデータベース装置に記録された情報の一例を示す説明図である。
【図16】実施例2のゲームシステムにおけるゲームの基本的な流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 捕虫網
11 RFタグ
20 ゲーム装置本体
21,41 RFリーダー・ライター
30 ゲーム制御装置
40 結果生成装置
50 経過表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグが取り付けられた捕獲具と、
獲得対象物の位置に対応してRFリーダー・ライターが設けられたゲーム装置本体と、
利用者が前記捕獲具を用いて前記捕獲対象物を擬似的に捕獲しようとして前記捕獲具に取り付けられたRFタグを前記RFリーダー・ライターに近接させた際に、前記RFリーダー・ライターを制御して当該RFリーダー・ライターに対応づけられた捕獲対象物に関する情報を前記RFタグに記録させるゲーム制御装置と、
RFリーダー・ライターを有し、利用者が前記捕獲具のRFタグを近接させると、RFタグに記録された利用者に関する情報及び当該利用者が擬似的に捕獲した捕獲対象物に関する情報を読み出して出力する結果生成装置とを備えることを特徴とする仮想対象物獲得ゲームシステム。
【請求項2】
RFタグが取り付けられた捕獲具と、
獲得対象物の位置に対応してRFリーダー・ライターが設けられたゲーム装置本体と、
利用者が前記捕獲具を用いて前記捕獲対象物を擬似的に捕獲しようとして前記捕獲具に取り付けられたRFタグを前記RFリーダー・ライターに近接させた際に、前記RFリーダー・ライターを制御して前記RFタグに記録された識別情報を読み取ると共に、当該RFタグの識別情報と、該情報を読み取ったRFリーダー・ライターに対応づけられた捕獲対象に関する情報とを組にして送信するゲーム制御装置と、
前記ゲーム制御装置とネットワークを介して接続され、該ゲーム制御装置から送信される前記RFタグの識別情報と前記捕獲対象に関する情報との組を蓄積するデータベース装置と、
RFリーダー・ライターを有し、利用者が前記捕獲具のRFタグを近接させると、RFタグに記録された利用者の識別情報及びこれに基づいて前記データベース装置から読み出した当該利用者が擬似的に捕獲した捕獲対象物に関する情報を出力する結果生成装置とを備えることを特徴とする仮想対象物獲得ゲームシステム。
【請求項3】
前記結果生成装置は、前記捕獲対象物に応じて設定された得点を計算して表示することを特徴とする請求項1または2に記載の仮想対象物獲得ゲームシステム。
【請求項4】
前記ゲーム装置本体の利用者が視認する前面には、獲得対象物が明示的に表示され、及び/又は、前記利用者に前記獲得対象物が存在すると思わせるような背景が表示され、利用者から視認できない裏面には、前記獲得対象物が明示的に表示されている場合にはその位置に対応して、表示されていない場合には任意の位置に前記RFリーダー・ライターが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の仮想対象物獲得ゲームシステム。
【請求項5】
前記結果生成装置は、利用者が擬似的に捕獲した捕獲対象物に対応するデジタルコンテンツを表示し、印刷し、若しくは利用者が有する情報通信端末に対して配信することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の仮想対象物獲得ゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−25865(P2006−25865A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205032(P2004−205032)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000131094)株式会社サンリオ (4)
【Fターム(参考)】