説明

休憩時間記録装置及びタクシーメータ

【課題】営業車両の停車状態ではあるが乗務員が休憩していない時間を休憩時間から除外して、乗務員の休憩時間を十分に正確に記録できる休憩時間記録装置、及び、その休憩時間記録装置を有するタクシーメータを提供する。
【解決手段】営業車両における乗務員の休憩時間を記録する休憩時間記録装置において、営業車両の停車状態を検出する停車状態検出手段P1と、営業車両の現在位置を検出する現在位置検出手段P2と、停車状態の継続時間を計測する継続時間計測手段P3と、営業車両の営業停車位置を示す情報が記憶された位置情報記憶手段Q1と、継続時間計測手段P3によって計測された継続時間が所定の休憩判定時間を超過しかつ現在位置が位置情報記憶手段Q1に記憶された上記情報によって示される営業停車位置でないとき、継続時間を休憩時間として記憶媒体Q2に記録する休憩時間記録手段P4と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業車両における乗務員の休憩時間を記録する休憩時間記録装置、及び、この休憩時間記録装置を有するタクシーメータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タクシーメータでは、タクシー車両の安全管理、経済管理および労務管理に用いる運行情報を収集する。具体的には、エンジン回転数および走行距離などの運行時の車両状態に関する情報、並びに荷物の積み卸し、乗客の乗降および乗務員の休憩時間などの各種運行状況に関する情報を収集して、これらの運行に係る情報を、例えば、タクシーメータに装着された着脱可能な運行情報記憶媒体である運行カードなどに記録する(例えば、特許文献1)。
【0003】
このようなタクシーメータは、乗務員が適切な休憩を取得しているか把握するために乗務員の休憩時間を計測して記録するものであるが、この休憩時間は、タクシーメータに設けられた休憩スイッチが乗務員によって押下されることにより、その計測が開始/終了されるものであった。しかしながら、このようなタクシーメータでは、乗務員が休憩スイッチを押し忘れてしまう場合があり、休憩時間を正確に記録できないおそれがあるという問題があった。
【0004】
そして、このような問題を解決するために、タクシーメータにおいて、タクシー車両の停車状態の継続時間が予め定められた休憩判定時間を超過した場合に乗務員が休憩しているものと判断して、当該停車状態の継続時間を休憩時間として記録していた。これにより、休憩スイッチを押し忘れてしまった場合でも、休憩時間を計測して記録することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−287535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、タクシー車両においては、例えば、駅に設けられたタクシープール内等での客待ちなど、停車状態ではあるが乗務員が休憩していない場合があるところ、上述したタクシーメータでは、このような場合でも休憩時間として記録してしまうので、休憩時間を十分に正確に記録できないという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、営業車両の停車状態ではあるが乗務員が休憩していない時間を休憩時間から除外して、乗務員の休憩時間を十分に正確に記録できる休憩時間記録装置、及び、その休憩時間記録装置を有するタクシーメータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、図1の基本構成図に示すように、営業車両における乗務員の休憩時間を記録する休憩時間記録装置において、前記営業車両の停車状態を検出する停車状態検出手段P1と、前記営業車両の現在位置を検出する現在位置検出手段P2と、前記停車状態の継続時間を計測する継続時間計測手段P3と、前記営業車両の営業停車位置を示す情報が記憶された位置情報記憶手段Q1と、前記継続時間計測手段P3によって計測された前記継続時間が予め定められた休憩判定時間を超過しかつ前記現在位置が前記位置情報記憶手段Q1に記憶された前記情報によって示される前記営業停車位置でないとき、前記継続時間を前記休憩時間として記憶媒体Q2に記録する休憩時間記録手段P4と、を有していることを特徴とする休憩時間記録装置である。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の休憩時間記録装置を有することを特徴とするタクシーメータである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、営業車両の停車状態及び現在位置を検出するとともに営業車両の停車状態の継続時間を計測して、この停車状態の継続時間が予め定められた休憩判定時間を超過しかつ営業車両の現在位置が営業のための停車を行う営業停車位置でないとき、上記継続時間を休憩時間として記録するので、例えば、駅に設けられたタクシープール等を営業停車位置として定め、この営業停車位置以外を非営業停車位置として定めることで、営業車両の停車状態の継続時間が所定の休憩判定時間を超過した場合において、営業車両が営業停車位置にない(即ち、非営業停車位置にある)場合のみ休憩時間の記録が行われ、その一方で、営業車両が営業停車位置にある場合は停車状態の継続時間が休憩判定時間を超過しても休憩時間の記録は行われることがなく、そのため、営業車両の現在位置に基づいて営業車両の停車状態ではあるが乗務員が休憩していない時間を休憩時間から確実に除外することができ、乗務員の休憩時間を十分に正確に計測して記録できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の休憩時間記録装置の基本構成図である。
【図2】本発明の一実施形態のタクシーメータの正面図である。
【図3】図2のタクシーメータの概略構成を示す構成図である。
【図4】図2のタクシーメータのCPUが実行する本発明に係る休憩時間記録処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るタクシーメータの一実施形態を、図2〜図4を参照して説明する。
【0013】
タクシーメータ1は、図2に示すように、その正面部2に設けられた表示部10が乗客、運転者(即ち、乗務員)等から視認可能なように、営業車両としてのタクシー車両に搭載されている。この正面部2には、操作部15を設けており、タクシーメータ1におけるタリフ状態の切り替え等を運転者が操作可能な構成となっている。
【0014】
タクシーメータ1は、図3に示すように、表示部10と、中央演算処理装置(CPU)11と、ROM(read only memory)12と、RAM(random access memory)13と、時計IC14と、操作部15と、表示操作スイッチ16と、カード挿入部17と、音声出力部18と、を有している。
【0015】
また、タクシーメータ1は、複数の外部インタフェース(I/F)を有し、各外部インタフェースを介して、印字装置20、GPS(global positioning system)受信器30、ETC(electronic toll collection)車載器40、の各々とCPU11との接続が可能な構成となっている。
【0016】
表示部10は、液晶表示装置等が用いられCPU11からの要求に応じて各種情報の表示を行う。表示部10は、例えば、図2に示すような、料金表示エリアG11、タリフ状態表示エリアG12等を有する実車画面G1などを表示する。そして、料金表示エリアG11、タリフ状態表示エリアG12の各表示内容は、タクシー料金の変化、タリフ状態の変化等に応じたCPU11からの要求に応じて更新される。
【0017】
CPU11は、タクシーメータ1における各種制御を司り、ROM12に記憶されている各種制御プログラムにしたがって本実施形態に係る制御を含む各種の処理を実行する。ROM12は、前記制御プログラムやタクシーの料金制を示す料金制情報50、タクシー車両における後述する休憩時間記録処理での休憩時間の判定に用いられる休憩判定時間などの各種情報を記憶している。特に、ROM12は、CPU11を、停車状態検出手段P1、現在位置検出手段P2、継続時間計測手段P3及び休憩時間記録手段P4、などの各種手段として機能させるためのプログラムを記憶している。そして、CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムを実行することで、前述した各種手段として機能することになる。RAM13は、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ、プログラム等が適宜記憶される。
【0018】
また、CPU11には、図示しない距離センサからトランスミッションの回転に応じた距離信号が入力されている。CPU11は、この距離信号がパルス状の信号状態であるときタクシー車両が走行していることを検出し、非パルス状の信号状態(即ち、一定電圧状態)であるとき停車していることを検出する。
【0019】
時計IC14は、日時、時刻等の時計データをCPU11に出力する。CPU11は、時計IC14からの時計データに基づいて各種時間の計測を行う。
【0020】
操作部15は、空車、実車、累計、迎車、迎車待、3割増、高速、支払等のタリフ状態の変更操作用の各種操作ボタンを有している。そして、操作部15は、各操作ボタンの操作に応じたタリフ状態データをCPU11に出力する。なお、タリフ状態が、「実車(3割増、高速含む)」のとき、乗客を輸送する営業走行を行う状態にあり、これらタリフ状態が、実車状態に相当する。
【0021】
表示操作スイッチ16は、押しボタンスイッチ等が用いられている。表示操作スイッチ16は、タクシーメータ1の正面部2から操作可能なように設けられている。そして、表示操作スイッチ16は、CPU11に接続されており、CPU11に向けて押圧操作に応じた信号を出力する。表示操作スイッチ16は、例えば、タクシーメータ1の設定を行う設定画面などの各種画面を表示部10に表示するときなどに押圧操作される。CPU11は、この押圧操作に応じた信号に基づいて、各種画面の表示を表示部10に要求する。
【0022】
また、表示操作スイッチ16は、タリフ状態が「空車」でかつタクシー車両が停車しているとき(本実施形態において、このときを「停車状態」という)に押下されることで、CPU11に休憩時間の計測を開始させるための休憩スイッチとしても機能する。
【0023】
カード挿入部17は、CPU11に接続されている。カード挿入部17は、そこに挿入されたメモリカード、ICカード等の記憶媒体としてのカード25に指定されたデータ等の書き込み、読み込みを行う。カード25のカード挿入部17に対する挿入・抜去は手動又は自動で行う。また、カード25は、売り上げなどの営業情報や運行情報などが書き込まれ、その後、カード25はこれら各情報を解析する解析装置に取り付けられて、タクシーメータによって書き込まれた各情報が該解析装置に取り込まれる。運行情報には、乗務員の休憩時間を示す情報が含まれている。
【0024】
また、カード25には、例えば、タクシー営業所内や駅に設けられたタクシープール内等のタクシー車両が営業のために長時間停車する可能性のある営業停車位置を示す営業停車位置情報が記憶されている。この営業停車位置情報は、ある程度の範囲をもって設定されている。そして、営業停車位置情報に示される営業停車位置以外の位置が、営業のために長時間停車する可能性のない非営業停車位置となる。つまり、カード25に記憶された営業停車位置情報は、請求項中の営業停車位置を示す情報に相当する。または、営業停車位置情報に代えて、非営業停車位置を示す非営業停車位置情報がカード25に記憶されていてもよく、この場合は、非営業停車位置情報に示される非営業停車位置以外の位置が、営業停車位置となり、つまり、非営業停車位置情報は、間接的に営業停車位置を示す情報となる。カード25は、請求項中の位置情報記憶手段及び記憶媒体に相当する。
【0025】
音声出力部18は、各種音声及び効果音を生成するための周知の図示しない音声ICと、音声ICが生成した各種音声や効果音を出力する図示しないスピーカと、で構成されている。音声出力部18は、CPU11からの出力要求に基づいて、例えば、タクシー料金を通知する音声やシートベルトの着用を促す音声等を含む各種音声及び効果音などを出力する。
【0026】
印字装置20は、周知であるプリンタ等が用いられ、外部インタフェースを介してCPU11に接続されている。印字装置20は、CPU11の制御によってタクシー料金の支払い時に領収書等を出力する。本実施形態において、印字装置20は、外部機器として接続されるが、タクシーメータに組み込まれていてもよい。
【0027】
GPS受信器30は、タクシー車両の現在位置を特定するために、GPSを構成する複数の人工衛星が発射する電波を受信して、このGPS受信器30の現在の位置情報を求め、この現在の位置情報を、外部インタフェースを介してCPU11に出力している。CPU11は、GPS受信器30が出力した上記現在の位置情報に基づいて、タクシー車両の現在位置を検出する。
【0028】
ETC車載器40は、タクシー車両のダッシュボード等に搭載されている。ETC車載器40は、周知であるように、有料道路上のゲートに設置された無線式の料金処理装置との間で無線通信を行い、装着されたカードに記憶されている電子現金情報によって有料道路における通行料金の自動収受を行う自動料金収受システム(ETC)に用いられるものである。ETC車載器40は、路側器から電波信号を受信すると、該電波信号はデジタル情報である受信情報に変換されて受信情報としてCPU11に出力する構成となっている。
【0029】
上述したタクシーメータ1は、例えば、CPU11が、ROM12に記憶している料金制情報50とタクシーの走行距離と走行時間とに基づいてタクシー料金を算出し、そのタクシー料金を図2に示すように表示する実車画面G1を表示するための運行中画面情報を生成し、該運行中画面情報の表示を表示部10に要求することで、表示部10が実車画面G1を表示する等の処理を行う。また、タクシーメータ1は、運行情報として乗務員の休憩時間を計測して記録する処理を行う。
【0030】
次に、上述したCPU11が実行する本発明に係る処理(休憩時間記録処理)の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
【0031】
タクシーメータ1に電源が投入されると、CPU11は、タリフ状態を「空車」にするなどの所定の初期化処理を実行する。そして、CPU11は、操作部15に入力される操作を監視し、それと並行して、図4のフローチャートに示すステップS110に処理を進める。
【0032】
ステップS110では、タクシー車両が停車状態である否かを検出する。具体的には、CPU11は、各操作ボタンの操作に応じたタリフ状態データによって示されるタリフ状態が「空車」で、かつ、距離センサからの距離信号が「非パルス状」(即ち、タクシー車両が停車している)になるまで待ち(S110でN)、これら「空車」且つ「非パルス状」になったとき、タクシー車両が停車状態にあることを検出して、ステップS120に進む(S110でY)。
【0033】
ステップS120では、時計IC14からの時計データに基づく停車状態の継続時間Tの計測を開始する。具体的には、CPU11は、時計IC14から現在時刻を示す時計データを取得して計測開始時刻としてRAM13に記憶する。そして、ステップS130に進む。
【0034】
ステップS130では、休憩スイッチとしての表示操作スイッチ16が押下されたか否かを判定して、表示操作スイッチ16が押下されたとき、乗務員によって休憩時間Uの計測が要求されたものとしてステップS190に進み(S130でY)、表示操作スイッチ16が押下されていないとき、乗務員による休憩時間Uの計測の要求がないものとしてステップS140に進む(S130でN)。
【0035】
ステップS140では、ステップS110と同様にタクシー車両が停車状態であるか否かを検出し、停車状態であることを検出するとステップS150に進み(S140でY)、停車状態でないことを検出すると、タクシー車両が走行を開始したもの(タリフ状態が「空車」以外又はタクシー車両が実際に走行を開始)として本フローチャートの処理を終了する(S140でN)。
【0036】
ステップS150では、CPU11は、時計IC14から現在時刻を示す時計データを取得して、この現在時刻からステップS120でRAMに記憶した計測開始時刻を差し引くことにより、停車状態の計測時間Tを算出する。そして、ステップS160に進む。
【0037】
ステップS160では、CPU11は、ステップS150で算出した停車状態の継続時間Tが、ROM12に記憶されている休憩判定時間Sを超えたか否かを判定して、休憩判定時間Sを超えていればステップS170に進み(S160でY)、休憩判定時間S以下であれば再度休憩スイッチ押下及び停車状態を判定するために、ステップS130に戻る(S160でN)。なお、本実施形態において、休憩判定時間Sの設定値を3分にしているが、この設定値は任意に設定できる。
【0038】
ステップS170では、GPS受信器30からの現在の位置情報に基づいて、タクシー車両の現在位置を検出する。そして、ステップS180に進む。
【0039】
ステップS180では、タクシー車両の現在位置が営業停車位置であるか否かを判定する。具体的には、CPU11は、カード挿入部17を通じてカード25に記憶された営業停車位置情報を読み出して、この営業停車位置情報にステップS170で検出したタクシー車両の現在位置(即ち、現在の位置情報)が含まれるか否かを判定して、含まれていればタクシー車両の現在位置が営業停車位置であり、乗務員の休憩のための停車ではないとして本フローチャートの処理を終了し(S180でY)、含まれていなければタクシー車両の現在位置が営業停車位置でないものとしてステップS190に進む(S180でN)。
【0040】
ステップS190では、ステップS110と同様にタクシー車両が停車状態であるか否かを検出して、停車状態でなくなるまで待ち(S190でY)、停車状態でなくなったことを検出すると、タクシー車両が走行を開始したもの(タリフ状態が「空車」以外又はタクシー車両が実際に走行を開始)としてステップS200に進む(S190でN)。
【0041】
ステップS200では、CPU11は、時計IC14から現在時刻を示す時計データを取得して、この現在時刻からステップS120でRAMに記憶した計測開始時刻を差し引くことにより、停車状態の計測時間Tを算出する。そして、ステップS210に進む。
【0042】
ステップS210では、ステップS200で算出した停車状態の計測時間Tを乗務員の休憩時間Uとして、カード挿入部17を通じてカード25に記録する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
【0043】
上述したステップS110、S140、S190が、請求項中の停車状態検出手段に相当し、ステップS170が、請求項中の現在位置検出手段に相当し、ステップS200が、請求項中の継続時間計測手段に相当し、ステップS210が、請求項中の休憩時間記録手段に相当する。また、CPU11は、これら各ステップを実行する各種手段となり、また、カード25には営業停車位置を示す情報が記憶されているので、CPU11とカード25とで、請求項中の休憩時間記録装置を構成しており、つまり、タクシーメータ1は、休憩時間記録装置を有している。
【0044】
次に、上述したタクシーメータ1における本発明に係る動作(作用)の一例について説明する。
【0045】
(休憩スイッチが押下された場合)
タクシーメータ1は、乗務員が「空車」時にタクシー車両を停車させて停車状態にすると、該停車状態の継続時間Tの計測を開始する(S110でY、S120)。そして、継続時間Tが休憩判定時間Sを超える前に、乗務員が表示操作スイッチ16を押下すると(S130でY)、タクシー車両の停車位置が営業停車位置か否かにかかわらず継続時間Tの計測を進める(S190)。その後、乗務員が、操作部15を操作してタリフ状態を「空車」以外に切り換えたり、タクシー車両を移動(即ち、走行)させたりすると(S190でN)、停車状態の継続時間Tを休憩時間Uとしてカード25に記録する(S200、S210)。
【0046】
(タクシー車両が非営業停車位置に停車した場合)
タクシーメータ1は、乗務員が「空車」時にタクシー車両を停車させて停車状態にすると、該停車状態の継続時間Tの計測を開始する(S110でY、S120)。そして、乗務員が表示操作スイッチ16を押下しなくても(S130でN)、停車状態の継続時間Tが所定の休憩判定時間Sを超えるとともに(S140でY、S150、S160でY)、タクシー車両の現在位置が営業停車位置でなければ(S170、S180でN)、継続時間Tの計測を進める(S190)。その後、乗務員が、操作部15を操作してタリフ状態を「空車」以外に切り換えたり、タクシー車両を移動(即ち、走行)させたりすると(S190でN)、停車状態の継続時間Tを休憩時間Uとしてカード25に記録する(S200、S210)。
【0047】
(タクシー車両が営業停車位置に停車した場合)
タクシーメータ1は、乗務員が「空車」時にタクシー車両を停車させて停車状態にすると、該停車状態の継続時間Tの計測を開始する(S110でY、S120)。そして、乗務員が表示操作スイッチ16を押下しない場合に(S130でN)停車状態の継続時間Tが所定の休憩判定時間Sを超えても(S140でY、S150、S160でY)、タクシー車両の現在位置が営業停車位置であれば、継続時間Tの計測を取り止めて休憩時間Uの記録は行わない(S170、S180でY)。
【0048】
本実施形態では、タクシー車両における乗務員の休憩時間Uを記録するタクシーメータにおいて、CPU11(停車状態検出手段P1)が、タクシー車両の停車状態を検出し、CPU11(現在位置検出手段P2)が、タクシー車両の現在位置を検出し、CPU11(継続時間計測手段P3)が、停車状態の継続時間Tを計測する。そして、カード25(位置情報記憶手段Q1)には、タクシー車両の営業停車位置を示す情報が記憶されている。そして、CPU11(休憩時間記録手段P4)が、継続時間Tが予め定められた休憩判定時間Sを超過しかつ現在位置がカード25に記憶された情報によって示される営業停車位置でないとき、継続時間Tを休憩時間Uとしてカード25(記憶媒体Q2)に記録する。
【0049】
以上より、本実施形態によれば、タクシー車両の停車状態及び現在位置を検出するとともにタクシー車両の停車状態の継続時間Tを計測して、この停車状態の継続時間Tが予め定められた休憩判定時間Sを超過しかつタクシー車両の現在位置が営業のための停車を行う営業停車位置でないとき、上記継続時間Tを休憩時間Uとして記録するので、例えば、駅に設けられたタクシープール等を営業停車位置として定め、この営業停車位置以外を非営業停車位置として定めることで、タクシー車両の停車状態の継続時間Tが所定の休憩判定時間Sを超過した場合において、タクシー車両が営業停車位置にない場合のみ休憩時間Uの記録が行われ、その一方で、タクシー車両が営業停車位置にある場合は停車状態の継続時間Tが休憩判定時間Sを超過しても休憩時間Uの記録は行われることがなく、そのため、タクシー車両の現在位置に基づいてタクシー車両の停車状態ではあるが乗務員が休憩していない時間を休憩時間Uから確実に除外することができ、乗務員の休憩時間Uを十分に正確に計測して記録できる。
【0050】
上述した本実施形態では、表示操作スイッチ16を休憩スイッチとして、この表示操作スイッチ16がタクシー車両の停車状態で押下されると、即、休憩時間の計測を開始するように構成されているものであったが、このような構成に限定されるものではない。例えば、休憩スイッチを設けずに、停車状態の計測時間のみを用いて休憩時間の計測を行うように構成してもよい。この構成の場合にCPU11が実行する休憩時間記録処理は、図4のフローチャートにおいて、ステップS130の処理を省略したものとなる。
【0051】
また、本実施形態では、営業停車位置を示す営業停車位置情報がカード25に記憶されているものであったが、これに限定されるものではなく、例えば、ROM12に記憶されていてもよく、又は、タクシーメータ1にEEPROMなどの書換可能な記憶手段を別途設けて、該記憶手段に記憶されていてもよい。また、本実施形態では、休憩時間Uをカード25に記録するものであったが、これに限定されるものではなく、タクシーメータ1にハードディスク装置などの記憶手段を別途設けて、その記憶手段に記録するようにしてもよく、または、休憩時間Uを示す情報を無線通信などによってタクシー営業所などにある管理用コンピュータなどに送信して、管理用コンピュータが備える記憶手段に記録するようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、タクシーメータについて説明するものであったが、これに限定されるものではなく、本発明を、例えば、デジタルタコグラフやドライブレコーダなどの他の種類の車載機に適用してもよく、または、上述した休憩時間記録処理を単体で実行する休憩時間記録装置としてもよい。
【0053】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 タクシーメータ(休憩時間記録装置)
11 CPU(停車状態検出手段、現在位置検出手段、継続時間計測手段、休憩時間記録手段)
12 ROM
13 RAM
14 時計IC
16 表示操作スイッチ
17 カード挿入部
18 音声出力部
20 印字装置
25 カード(位置情報記憶手段、記憶媒体)
30 GPS受信器
40 ETC車載器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
営業車両における乗務員の休憩時間を記録する休憩時間記録装置において、
前記営業車両の停車状態を検出する停車状態検出手段と、
前記営業車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記停車状態の継続時間を計測する継続時間計測手段と、
前記営業車両の営業停車位置を示す情報が記憶された位置情報記憶手段と、
前記継続時間計測手段によって計測された前記継続時間が予め定められた休憩判定時間を超過しかつ前記現在位置が前記位置情報記憶手段に記憶された前記情報によって示される前記営業停車位置でないとき、前記継続時間を前記休憩時間として記憶媒体に記録する休憩時間記録手段と、を有している
ことを特徴とする休憩時間記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の休憩時間記録装置を有することを特徴とするタクシーメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−105479(P2013−105479A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251316(P2011−251316)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(501418498)矢崎エナジーシステム株式会社 (79)
【Fターム(参考)】