説明

伝送システムおよび伝送帯域制御方法

【課題】音声信号が伝送されていない時にパケット信号の伝送帯域を広げることにより、伝送帯域を効率的に利用することができる。
【解決手段】音声信号とシグナリング信号とを入力する音声入力処理部と、パケット信号を入力するパケット入力処理部と、シグナリング信号が無い場合に音声信号のタイムスロットにパケット信号を割り当てる送信帯域制御部と、音声信号にシグナリング信号を多重した信号とパケット信号とをタイムスロットを割り当てて多重化する多重部と、多重化された信号を受信して、音声信号とシグナリング信号とパケット信号とに分離する分離部と、シグナリング信号が音声無しの場合の音声信号のタイムスロットで受信した信号をパケット信号として分離する受信帯域制御部と、分離した音声信号とシグナリング信号とを出力する音声出力処理部と、分離したパケット信号を出力するパケット出力処理部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号と音声信号に付随するシグナリング信号およびパケット信号を多重化して伝送する伝送システムにおいて、伝送帯域を効率的に制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、イーサネット(登録商標)などでデータ伝送するためのパケット信号と、音声回線用にPCM符号化した音声信号とを多重して伝送する伝送システムが知られている。また、音声回線用の音声信号は、例えば電話機のハンドセットのオフフック/オンフックなどの状態を示すシグナリング信号を送受信する必要があリ、シグナリング信号をビットスチール方式などにより音声信号に多重化する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−204967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の伝送システムは、各信号毎に予め設定された固定の帯域を使用するので、音声信号が伝送されていない場合でもその帯域は音声信号用として占有され、伝送帯域の効率的な利用が図られていないという問題があった。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、音声信号が伝送されていない場合に、パケット信号の伝送帯域を広げることにより、伝送帯域を効率的に利用することができる伝送システムおよび伝送帯域制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る伝送システムは、伝送装置間で、音声信号と前記音声信号に付随するシグナリング信号およびパケット信号を予め決められたタイムスロットで多重化して伝送する伝送システムにおいて、前記伝送装置は、前記音声信号と前記シグナリング信号を入力する音声入力処理部と、前記パケット信号を入力するパケット入力処理部と、前記シグナリング信号の有無を検出して、前記シグナリング信号が無い場合に前記音声信号用のタイムスロットに前記パケット信号を割り当てる帯域制御を行う送信帯域制御部と、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号を前記送信帯域制御部の帯域制御に応じてタイムスロットを割り当てて多重化された信号を伝送路に送信する多重部と、前記伝送路から多重化された信号を受信して、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号に分離する分離部と、前記シグナリング信号が無い場合の前記音声信号用のタイムスロットの信号を前記パケット信号として分離する帯域制御を前記分離部に対して行う受信帯域制御部と、前記分離部が分離した音声信号およびシグナリング信号を外部に出力する音声出力処理部と、前記分離部が分離したパケット信号を外部に出力するパケット出力処理部とを有することを特徴とする。
【0007】
特に、前記多重部は、前記音声入力処理部から入力する前記音声信号にビットスチール方式により前記シグナリング信号を多重した信号と、前記パケット信号入力処理部から入力する前記パケット信号とを前記送信帯域制御部の帯域制御に応じてタイムスロットを割り当てて多重化した信号を伝送路に送信することを特徴とする。
【0008】
或いは、前記多重部は、前記音声入力処理部から入力する前記音声信号にシグナリングマルチフレーム方式により前記シグナリング信号を多重した信号と、前記パケット信号入力処理部から入力する前記パケット信号とを前記送信帯域制御部の帯域制御に応じてタイムスロットを割り当てて多重化した信号を伝送路に送信することを特徴とする。
【0009】
また、前記送信帯域制御部は、前記音声入力処理部が出力する前記シグナリング信号の有無により前記音声入力処理部の未実装または電源オフを検知して当該音声信号のタイムスロットに前記パケット信号を割り当てることを特徴とする。
【0010】
特に、前記多重部は、1.544Mbit/sディジタルハイアラーキ一次群インタフェースに対応して多重化することを特徴とする。
【0011】
或いは、前記多重部は、6.312Mbit/sディジタルハイアラーキ二次群インタフェースに対応して多重化することを特徴とする。
【0012】
また、前記シグナリングマルチフレーム方式により前記シグナリング信号を多重した信号は、誤り訂正機能データを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る伝送帯域制御方法は、伝送装置間で、音声信号と前記音声信号に付随するシグナリング信号およびパケット信号を予め決められたタイムスロットで多重化して伝送する伝送システムに用いられる伝送帯域制御方法において、前記音声信号に付随する前記シグナリング信号の有無を検出して、前記シグナリング信号が無い場合に前記音声信号用のタイムスロットに前記パケット信号を割り当てる帯域制御を行い、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号にタイムスロットを割り当てて多重化された信号を伝送路に送信し、前記伝送路から多重化された信号を受信して、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号に分離する際に、前記シグナリング信号の有無を検出して前記シグナリング信号が無い場合の前記音声信号用のタイムスロットの信号を前記パケット信号として分離する帯域制御を行い、分離後の音声信号とシグナリング信号およびパケット信号を外部に出力することを特徴とする。
【0014】
特に、前記シグナリング信号は、ビットスチール方式により前記音声信号に多重化されることを特徴とする。
【0015】
或いは、前記シグナリング信号は、シグナリングマルチフレーム方式により前記音声信号に多重化されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る伝送システムおよび伝送帯域制御方法は、音声信号の無音検出回路など複雑な回路を用いることなく、音声信号に付随するシングナリング信号の有無を検出して、音声信号が伝送されていない時にパケット信号の伝送帯域を広げることにより、伝送帯域を効率的に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る伝送システム100の構成例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る伝送システム100の帯域分割例を示す図である。
【図3】シグナリングビットスチール方式のフレーム構成を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る伝送システム100の伝送帯域制御のタイミングチャートである。
【図5】第2実施形態に係る伝送システム200の構成例を示す図である。
【図6】シグナリングマルチフレーム方式のフレーム構成を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る伝送システム200のシグナリングマルチフレームの例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る伝送システム200の伝送帯域制御のタイミングチャートである。
【図9】従来の伝送システム900の構成例を示す図である。
【図10】従来の伝送システム900の帯域分割例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る「伝送システムおよび伝送帯域制御方法」の実施形態について詳しく説明する。尚、以降の各実施形態では、音声回線用にPCM符号化した音声信号と音声信号に付随するシグナリング信号およびイーサネット(登録商標)などでデータ伝送するためのパケット信号をタイムスロットで多重化して伝送する伝送システム100について説明する。
【0019】
伝送システム100では、音声回線用の音声信号には、電話機のハンドセットのオフフック/オンフックなどの状態を示すシグナリング信号が付随しており、音声信号とシグナリング信号を一緒に送受信する必要がある。シグナリング信号は、例えば発信側の電話機のハンドセットがオフフックされた時にオフフック状態にあることを着信側の電話機に知らせるための信号である。
【0020】
一般にイーサネット(登録商標)などでデータ伝送するためのパケット信号と、PCM符号化した音声信号とを多重する規格として一次群インタフェース(1.544Mbit/sディジタルハイアラーキインタフェース)が知られている。そして、シグナリング信号はビットスチール方式やマルチフレーム方式によって多重化されて伝送される。
【0021】
ここで、各実施形態について説明する前に、本発明に係る伝送システム100の特徴がわかり易いように、音声信号とパケット信号の伝送帯域を固定する場合の一般的な伝送システム900の例について説明する。
[音声信号とパケット信号の伝送帯域を固定する場合の例]
図9は、伝送システム900の構成例を示す図である。図9において、伝送システム900は、音声入力信号(1−1)と、音声入力信号(1−1)に付随するシグナリング信号(1−2)と、イーサネット(登録商標)などのデータを伝送するパケット入力信号(1−3)とを入力して多重化する伝送装置901と、伝送路(1−7)を介して多重化された信号を受信して、音声出力信号(1−11)と、シグナリング出力信号(1−12)と、パケット出力信号(1−13)とを分離して出力する伝送装置902とで構成される。尚、図9では、伝送装置901から伝送装置902へ送信する場合の例を示してあるが、伝送装置901は伝送装置902と同じ受信側の機能を有し、伝送装置902は伝送装置901と同じ送信側の機能を有するので、実際には伝送装置902から伝送装置901にも音声信号やシグナリング信号およびパケット信号など多重化されて送信され、伝送装置901と伝送装置902との間で各信号の送受信が行われる。また、以降の各図においても、片方向の通信についてのみ説明し、逆方向の通信については説明を省略する。
[送信側]
図9において、送信側の伝送装置901は、音声入力処理部(1−4)と、パケット入力処理部(1−5)と、多重部(1−6)とで構成される。
【0022】
音声入力処理部(1−4)は、電話機などに接続され、ハンドセットから入力される音声入力信号(1−1)と、例えば電話機のハンドセットのオンフック/オフフックを示すシグナリング入力信号(1−2)とを入力する。そして、音声入力信号(1−1)は、音声入力処理部(1−4)においてPCM符号化され、ディジタル信号(64Kbps)として多重部(1−6)に出力される。また、シングナリング入力信号(1−2)は、音声入力処理部(1−4)においてシグナリング制御の有/無が判断されて同期化された後、多重部(1−6)に出力される。
【0023】
パケット入力処理部(1−5)は、パケット入力信号(1−3)を内部のフレームバッファに一旦取り込んで同期化した後、ディジタル信号として多重部(1−6)に出力される。
【0024】
多重部(1−6)は、音声入力処理部(1−4)から出力されたディジタル信号と、パケット入力処理部(1−5)から出力されたディジタル信号とをそれぞれ予め設定された一定の時間間隔で区切られた信号伝送用のチャネルのタイムスロットTS(図9の例ではTS1〜TSn)に多重化して、伝送路(1−7)に送信される。
【0025】
尚、各シグナリング入力信号(1−2)はPCM符号化された音声信号にビットスチールされるか、複数のシグナリング入力信号(1−2)を一つのTSにマルチフレーム化して多重し、伝送路(1−7)へ送信される。そして、予め設定された伝送速度で送信された多重化された信号は、伝送路(1−7)を介して受信側の伝送装置902に伝送される。
[受信側]
受信側の伝送装置902は、分離部(1−8)と、音声出力処理部(1−9)と、パケット出力処理部(1−10)とで構成される。
【0026】
分離部(1−8)は、伝送路(1−7)から受信する信号を予め設定された一定の時間間隔で区切られた信号伝送用チャネルのタイムスロット(TS1〜TSn)毎に分離し、各ディジタル信号を音声出力処理部(1−9)やパケット出力処理部(1−10)に出力する。また、ビットスチール方式で音声信号に多重化されたシグナリング信号やマルチフレーム方式により多重化された複数のシングナリング信号についても、それぞれのシングナリング信号に分離されて音声出力処理部(1−9)に出力される。
【0027】
音声出力処理部(1−9)は、分離部(1−8)から出力されるディジタル信号をPCM復号化して音声出力信号(1−11)として外部に接続される電話機のハンドセットに出力し、また、シグナリング出力信号(1−12)はシグナリング有/無が制御されて音声出力信号(1−11)に対応する外部の電話機に出力される。
【0028】
パケット出力処理部(1−10)は、分離部(1−8)から出力されるディジタル信号をフレームバッファに一旦取り込んだ後、例えばイーサネット(登録商標)などのパケット出力信号(1−13)として外部の装置(ルータやパソコンなど)に出力する。
[伝送帯域]
伝送システム900では、例えば図10に示すように、n個のタイムスロットTS(TS1〜TSn)を音声信号用とパケット信号用とに割り当て、多重部(1−6)と分離部(1−8)との間で送受信される。図10の例では、タイムスロットTS1からTS(n−1)までのタイムスロットが音声信号用に、タイムスロットTSnがパケット信号用にそれぞれ割り当てられている。
【0029】
このように、従来の伝送システム900では、伝送帯域の割り当てが音声信号用とパケット信号用とに固定されており、イーサネット(登録商標)などのパケット信号は、音声信号の使用の有無に拘らず、あらかじめ設定されたタイムスロットでしか伝送されず、伝送帯域の有効利用が図られていないという問題があった。
【0030】
(第1実施形態)
そこで、本実施形態に係る伝送システム100では、音声信号が伝送されていない場合に、音声信号の帯域をパケット信号の帯域に使用することにより、伝送帯域の有効利用を図ることができる。
[伝送システム100]
本実施形態に係る伝送システム100は、シグナリング信号をビットスチール方式により多重化し、シグナリング制御がOFFの時に音声通話は無しと判断して、その時の音声信号用のタイムスロットをパケット信号用に割り当てて伝送することにより、簡易的に伝送帯域の有効活用を図ることができる。
【0031】
図1は、第1実施形態に係る伝送システム100の構成例を示す図である。図1において、伝送システム100は、音声入力信号(2−2)と、音声入力信号(2−2)に付随するシグナリング信号(2−1)と、イーサネット(登録商標)などのデータを伝送するパケット入力信号(2−3)とを入力して多重化する伝送装置101と、伝送路(2−13)を介して多重化された信号を受信して、音声出力信号(2−24)と、シグナリング出力信号(2−23)と、パケット出力信号(2−25)とを分離して出力する伝送装置102とで構成される。尚、図1では、伝送装置101から伝送装置102へ送信する場合の例を示してあるが、伝送装置101は伝送装置102と同じ受信側の機能を有し、伝送装置102は伝送装置101と同じ送信側の機能を有するので、実際には伝送装置102から伝送装置101にも音声信号やシグナリング信号およびパケット信号などがタイムスロットで多重化されて送信され、伝送装置101と伝送装置102との間で各信号の送受信が行われる。また、以降の各図においても、片方向の通信についてのみ説明し、逆方向の通信については説明を省略する。
[送信側]
図1において、送信側の伝送装置101は、音声入力処理部(2−4)と、パケット入力処理部(2−5)と、送信帯域制御部(2−6)と、多重部(2−8)とで構成される。尚、音声入力処理部(2−4)は複数(図1の例ではm個:mは整数)あるが、個別に指す場合だけ音声入力処理部(2−4)−1のように符号に図中の(番号)を付加して表記し、共通の事項である場合は(番号)を付加せずに音声入力処理部(2−4)のように表記する。また、複数あるブロックや信号についても同様である。例えば音声入力信号(2−2)は複数あるので個別に指す場合だけ音声入力信号(2−2)−mのように表記する。
【0032】
図1において、音声入力処理部(2−4)は、電話機などに接続され、ハンドセットから入力される音声入力信号(2−2)と、ハンドセットのオンフック/オフフックを示すシグナリング入力信号(2−1)とを入力する。そして、音声入力信号(2−2)は、音声入力処理部(2−4)のPCM符号化部(2−4b)でPCM符号化され、ディジタル信号(64Kbps)として多重部(2−8)に出力される。また、シングナリング入力信号(2−1)は、音声入力処理部(2−4)のシグナリング制御検出部(2−4a)でシグナリング制御の有/無が判断されて同期化されたシグナリング制御信号A1〜Amとを送信帯域制御部(2−6)および多重部(2−8)に出力する。
【0033】
パケット入力処理部(2−5)は、パケット入力信号(2−3)を内部のフレームバッファ部(2−5a)に一旦取り込んで同期化した後、ディジタル信号として多重部(2−8)に出力される。
【0034】
多重部(2−8)は、音声入力処理部(2−4)から出力された信号と、パケット入力処理部(2−5)から出力された信号とをそれぞれ予め設定された一定の時間間隔で区切られた信号伝送用のチャネルのタイムスロットTSに多重化して、伝送路(2−13)に送信する。尚、多重部(2−8)は、送信帯域制御部(2−6)から多重タイミング信号(2−7)が出力されない場合(シグナリング制御信号が有る場合)は、PCM送信信号(2−10)はPCM符号化信号多重タイミング信号(2−9)により予め割り当てられたタイムスロットに多重化する。逆に、送信帯域制御部(2−6)から多重タイミング信号(2−7)が出力されている場合(シグナリング制御信号が無い場合)は、該当するPCM送信信号(2−10)のタイムスロットに送信パケット信号(2−12)を載せるためのパケット多重タイミング信号(2−11)を出力して、送信パケット信号(2−12)を多重化する。
【0035】
送信帯域制御部(2−6)は、各音声入力処理部(2−4)が出力するシグナリング制御信号A1〜Amが集約され、各信号がシグナリング制御無の状態であれば、該当するタイムスロットTSに送信パケット信号(2−12)を多重するための多重タイミング信号(2−7)を出力して多重部(2−8)の帯域制御を行う。
【0036】
尚、本実施形態に係る伝送システム100では、各シグナリング入力信号(2−1)はPCM符号化された音声入力信号(2−2)のディジタル信号にビットスチール方式で多重されて伝送路(2−13)へ送信される。そして、予め設定された伝送速度で送信された多重化信号は、伝送路(2−13)を介して受信側の伝送装置102に伝送される。
[受信側]
受信側の伝送装置102は、分離部(2−14)と、受信帯域制御部(2−15)と、音声出力処理部(2−21)と、パケット出力処理部(2−22)とで構成される。
【0037】
分離部(2−14)は、伝送路(2−13)から受信する信号をタイムスロット(TS1〜TSn)毎に信号を分離し、各信号を音声出力処理部(2−21)やパケット出力処理部(2−22)に出力する。また、シグナリング制御信号A1〜Amを抽出して、音声出力処理部(2−21)および受信帯域制御部(2−15)に出力する。
【0038】
受信帯域制御部(2−15)は、分離部(2−14)から出力されるシグナリング制御信号A1〜Amがシグナリング制御無の状態であれば、対応する音声用のタイムスロットTSから受信パケット信号(2−20)を分離するための分離タイミング信号(2−16)を出力して分離部(2−14)の帯域制御を行い、受信パケット信号(2−20)とパケット分離タイミング信号(2−19)とをパケット出力処理部(2−22)に出力する。この場合、PCM受信信号分離タイミング信号(2−17)と共にPCM受信信号(2−18)をALL”1”に固定して音声出力処理部(2−21)に出力して無音状態を再現する。
【0039】
音声出力処理部(2−21)は、PCM受信信号分離タイミング信号(2−17)とPCM受信信号(2−18)とによりPCM信号を復号化して音声出力信号(2−24)を外部に接続される電話機のハンドセットなどに出力する。また、シグナリング制御信号A1〜Amによってシグナリング制御の有/無に対応するシングナリング出力信号(2−23)として外部に接続される電話機などに出力する。
【0040】
パケット出力処理部(2−22)は、パケット分離タイミング信号(2−19)によって受信パケット信号(2−20)をフレームバッファ部(2−22a)に一旦取り込んだ後、フレーム毎にパケット出力信号(2−25)として外部の装置(ルータやパソコンなど)に出力する。
[伝送帯域]
次に、伝送システム100における伝送帯域の制御例について、図2を用いて説明する。図2は、シグナリング制御信号A1〜Amの状態と、タイムスロットTS(TS1〜TSn)に多重される信号の関係を示す図である。尚、図2の例において、予め決められた伝送帯域では、音声信号のタイムスロットがTS1からTSmまで、パケット信号のタイムスロットがTSnだけに割り当てられている。ここで、パケット信号のタイムスロットTSnは1つのタイムスロットだけなので、上記の例ではm=n−1となり、音声信号の最後のタイムスロットTSmはタイムスロットTS(n−1)と同じである。
【0041】
図2(a)から図2(c)の各図は、タイムスロットTS3に多重される音声入力信号(2−2)−3に対応するシグナリング制御信号A3が無い(OFF)場合にパケット信号の帯域として一時的に割り当てる例を示している。
【0042】
図2(a)は、シグナリング制御信号A1〜Amが全てONの状態(音声信号有りの状態)なので、予め決められた帯域割り当て通りに、音声信号(1)から音声信号(m)はタイムスロットTS1〜TSmに、パケット信号はタイムスロットTS(n)にそれぞれ割り当てられる。
【0043】
図2(b)は、シグナリング制御信号A3だけがOFFの状態(音声信号無しの状態)なので、音声信号(3)に使用する予定のタイムスロットTS3をパケット信号に割り当てている。これにより、音声信号が伝送されていないタイムスロットを有効に利用してパケット信号の伝送帯域を広げることができる。
【0044】
図2(c)は、シグナリング制御信号A3がOFFからONに戻って、図2(a)と同様に、シグナリング制御信号A1〜Amは全てONの状態(音声信号有りの状態)になり、一時的にパケット信号に使用していたタイムスロットTS3を本来の音声信号(3)に戻す。そして、音声信号(1)から音声信号(m)はタイムスロットTS1〜TSmに、パケット信号はタイムスロットTS(n)にそれぞれ割り当てられる。
【0045】
このようにして、音声信号を伝送しているか否かをシグナリング制御信号の有無(ON/OFF)によって検出し、音声信号を伝送していない場合に当該タイムスロットにパケット信号を一時的に割り当てることによって、伝送帯域の有効利用を図ると共に、パケット信号の伝送帯域も広げることができる。
[ビットスチール方式のフレーム構成]
ここで、イーサネット(登録商標)などのパケット信号と、音声をPCM符号化した音声信号とを一次群インタフェース(1.544Mbit/sディジタルハイアラーキインタフェース)で多重する場合のフレーム構成と、ビットスチール方式によるシグナリング信号の多重方法について図3を用いて説明する。
【0046】
図3(a)は、12MFと呼ばれる12個のフレームで構成されるマルチフレームを示す図である。図3(b)は、1つのフレームの構成を示す図で、Fビットと、TS1からTS24までの24個のタイムスロットとを有する。また、6つのタイムスロット毎にHG1からHG4に分けられている。
【0047】
さらに、図3(c)は、1つのタイムスロットの構成を示す図で、図3(a)の6フレーム目(MF6)および12フレーム目(MF12)の各タイムスロットの8ビット目にシグナリング制御信号が多重され、1ビット目から7ビット目に符号化された音声信号が多重される。また、MF6およびMF12以外のタイムスロットにおいては、各タイムスロットの8ビット全てに音声信号が多重される。
【0048】
また、図3(d)は、12個のフレームの各フレームに対応するFビットの構成を示す図である。尚、Fビットは対局警報ビットを示し、警報時は”1”、非警報時は”0”である。図3(d)の例では、1,5,6,8,9,10の各フレームは警報を示している。
【0049】
このようにして、一次群インタフェース(1.544Mbit/sディジタルハイアラーキインタフェース)でビットスチール方式によりシグナリング制御信号が音声信号に多重化されて伝送される。尚、図3の例ではフレーム構成が12MFの場合について説明したが、24MFの場合でも同様に適用可能である。
[ビットスチール方式のタイミング例]
次に、ビットスチール方式によるシグナリング信号の有無検出と帯域制御の例について図4を用いて説明する。
【0050】
図4は、シグナリング入力信号(5−1)と、多重フレームタイミング信号(5−2)と、各音声入力処理部(2−4)からシグナリング信号の取込タイミング(MF6およびMF12)を表すタイミング信号(5−3)と、12フレームで構成されるマルチフレーム信号(5−4)と、シグナリング検出信号(5−5)と、シグナリング確定信号(5−6)と、音声信号用タイムスロット(5−7)と、パケット信号用タイムスロット(5−8)との関係を示したタイミングチャートである。
【0051】
図4において、送信側の伝送装置101では、シグナリング入力信号(5−1)の状態(制御の有無)はMF6およびMF12のタイミングで検出され(シグナリング検出信号(5−5))、MF7およびMF1のタイミングでシグナリング信号の有無が確定する(シグナリング確定信号(5−6))。
【0052】
例えば図4の場合は、タイミングT1でシグナリング無しが確定し、音声信号用のタイムスロットにパケット信号の割り当てが開始され、パケット信号用のタイムスロットとして拡張される。尚、ビットスチール方式によるシグナリング信号が多重される6フレーム目と12フレーム目を除いたタイムスロットにパケット信号が多重される。
【0053】
そして、再びタイミングT2でシグナリング有りが確定すると、一時的にパケット信号に使用していたタイムスロットを本来の音声信号用のタイムスロットに戻す。
【0054】
このようにして、音声信号を伝送しているか否かをシグナリング制御信号の有無(ON/OFF)によって検出し、音声信号を伝送していない場合には当該タイムスロットにパケット信号を一時的に割り当てる。これにより、伝送帯域の有効利用を図ると共に、パケット信号の伝送帯域を広げることができる。
【0055】
尚、シグナリング制御が有りになって音声データを流し始めるタイミングT2までの時間T3(最大約875μsec(125usec×7))の遅延が生じるが、電話通話などの音声通信なので実用上の問題はない。また、シグナリング検出信号(5−5)に対してシグナリング確定信号(5−6)は1フレームだけ遅れるが、これはシグナリング信号がデータの最後のビット位置であるため、この時点で当該フレームをパケット信号に切り替えたり、あるいは音声信号に切り戻すことはできないからである。
【0056】
また、音声入力処理部(2−4)が未実装の場合や電源がOFFの場合でも、シグナリング信号がOFFの状態になるように回路設計することにより、音声信号が未使用時の場合と同様に、自動的に音声信号用のタイムスロットをパケット信号用に割り当てるので、伝送帯域の有効活用を図ることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る伝送システム200について説明する。第2実施形態に係る伝送システム200は、第1実施形態と同様に、一次群インタフェース(1.544Mbit/sディジタルハイアラーキインタフェース)で多重する伝送装置だけでなく、二次群インタフェース(6.312Mbit/sディジタルハイアラーキインタフェース)で多重する伝送装置においてシグナリングマルチフレーム方式を使用する場合に適用できる。
[伝送システム200]
本実施形態に係る伝送システム200は、シグナリング信号をマルチフレーム方式により多重化し、シグナリング制御がOFFの時に音声通話は無しと判断して、その時の音声信号用のタイムスロットをパケット信号用のタイムスロットに割り当てて伝送することにより、簡易的に伝送帯域の有効活用を図ることができる。
【0057】
図5は、第2実施形態に係る伝送システム200の構成例を示す図である。図5において、伝送システム200は、音声入力信号(6−2)と、音声入力信号(6−2)に付随するシグナリング信号(6−1)と、イーサネット(登録商標)などのデータを伝送するパケット入力信号(6−3)とを入力して多重化する伝送装置201と、伝送路(6−16)を介して多重化された信号を受信して、音声出力信号(6−32)と、シグナリング信号(6−31)と、パケット信号(6−33)とを分離して出力する伝送装置202とで構成される。尚、図5では、伝送装置201から伝送装置202へ送信する場合の例を示してあるが、伝送装置201は伝送装置202と同じ受信側の機能を有し、伝送装置202は伝送装置201と同じ送信側の機能を有するので、実際には伝送装置202から伝送装置201に音声信号やシグナリング信号およびパケット信号などが送信され、伝送装置201と伝送装置202との間で各信号の送受信が行われる。また、以降の各図においても、片方向の通信についてのみ説明し、逆方向の通信については説明を省略する。
[送信側]
図5において、送信側の伝送装置201は、音声入力処理部(6−4)と、パケット入力処理部(6−5)と、送信帯域制御部(6−6)と、多重部(6−8)と、シグナリングマルチフレーム生成部(6−13)とで構成される。尚、第1実施形態と同様に、音声入力処理部(6−4)は複数(図5の例ではm個:mは整数)あるが、個別に指す場合だけ音声入力処理部(6−4)−1のように符号に図中の(番号)を付加して表記し、共通の事項である場合は(番号)を付加せずに音声入力処理部(6−4)のように表記する。また、複数あるブロックや信号についても同様である。例えば音声入力信号(6−2)は複数あるので個別に指す場合だけ音声入力信号(6−2)−mのように表記する。
【0058】
音声入力処理部(6−4)は、電話機などに接続され、ハンドセットから入力される音声入力信号(6−2)と、ハンドセットのオンフック/オフフックを示すシグナリング入力信号(6−1)とを入力する。そして、音声入力信号(6−2)は、音声入力処理部(6−4)のPCM符号化部(6−4b)でPCM符号化され、ディジタル信号(64Kbps)として多重部(6−8)に出力される。また、シングナリング入力信号(6−1)は、音声入力処理部(6−4)のシグナリング制御検出部(6−4a)でシグナリング制御の有/無が判断されて同期化されたシグナリング制御信号A1〜Amとして送信帯域制御部(6−6)と多重部(6−8)およびシグナリングマルチフレーム生成部(6−13)に出力される。
【0059】
パケット入力処理部(6−5)は、パケット入力信号(6−3)を内部のフレームバッファ部(6−5a)に一旦取り込んで同期化した後、多重部(6−8)に出力する。
【0060】
送信帯域制御部(6−6)は、各音声入力処理部(6−4)が出力するシグナリング制御信号A1〜Amが集約され、各信号がシグナリング制御無の状態であれば、該当するタイムスロットTSに送信パケット信号(6−12)を多重するための多重タイミング信号(6−7)を出力して多重部(6−8)の帯域制御を行う。
【0061】
尚、本実施形態に係る伝送システム100では、各シグナリング入力信号(6−1)は多重部(6−8)でマルチフレーム方式により多重化されて伝送路(6−16)へ送信される。
【0062】
シグナリングマルチフレーム生成部(6−13)は、シグナリング信号を1つのフレームとしてシグナリングマルチフレーム信号を生成し、多重部(6−8)に出力する。
【0063】
シグナリングマルチフレームは、図6に示すように、各タイムスロットのシグナリング信号を1つのマルチフレームとして構成する。図6の端局フレーム構成は、実データとは別に1タイムスロットを使用したシグナリングマルチフレーム信号で構成されている。図6の例では、8マルチフレーム構成で、1〜30チャンネル(A1〜A30)までのシグナリング信号を多重する。
【0064】
図6において、8×8ビットのシグナリングマルチフレーム信号は、m=30の30個のタイムスロットTSに対応するA1からA30のシグナリング信号を有する。例えばA2が”1”の場合はシグナリング制御が有りで、”0”の場合はシグナリング制御が無しであることを示す。尚、0、1は同期ビット(01111111)で、Xは”1”固定のビットである。
【0065】
ここで、一般的なシグナリングマルチフレームは図6のように構成されるが、本実施形態では図7に示すようなシグナリングマルチフレームを用いる。尚、図7において、図6と同符号のものは同じものを示す。
【0066】
図7において、送信側のシグナリングマルチフレーム生成部(6−13)では横軸のA1〜A5までのパリティ演算結果をp1とし、同様にA6〜A10、A11〜A15、A16〜A20、A21〜A25、A26〜A30のパリティ演算結果をそれぞれp2,p3,p4,p5,p6とする。また、縦軸のA1,A6,A11,A16,A21,A26のパリティ演算結果をp7とし、同様にp8,p9,p10,p11をパリティ演算結果とする。尚、p1からp11は奇数パリティビットである。
【0067】
そして、受信側のシグナリングマルチフレーム受信部(6−22)では例えばA1がビットエラーを起こすと、p1とp7がパリティ演算誤りとなる為、A1の論理を反転させて誤り訂正を行うことができる。これにより、伝送路上の信号劣化などによるシグナリングマルチフレーム多重信号のビットエラーを低減でき、パケット信号の帯域制御を誤って実行してしまうトラブルを防止できる。
【0068】
多重部(6−8)は、音声入力処理部(6−4)から出力されたディジタル信号と、パケット入力処理部(6−5)から出力されたディジタル信号と、シグナリングマルチフレーム生成部(6−13)が生成したシグナリングマルチフレーム信号(6−15)とをPCM符号化信号多重タイミング信号(6−9)と、パケット多重タイミング信号(6−11)と、シグナリングマルチフレーム信号多重タイミング信号(6−14)とに従って入力し、それぞれ予め設定された一定の時間間隔で区切られた信号伝送用のチャネルのタイムスロットTSに多重化して、伝送路(6−16)に送信する。そして、予め設定された伝送速度で送信された多重化信号は、伝送路(6−16)を介して受信側の伝送装置202に入力される。
【0069】
尚、多重部(6−8)は、送信帯域制御部(6−6)から多重タイミング信号(6−7)が出力されない場合(シグナリング制御信号が有る場合)は、PCM送信信号(6−10)はPCM符号化信号多重タイミング信号(6−9)により予め割り当てられたタイムスロットに多重化し、送信帯域制御部(6−6)から多重タイミング信号(6−7)が出力されている場合(シグナリング制御信号が無い場合)は、該当するPCM送信信号(6−10)のタイムスロットに送信パケット信号(6−12)を載せるためのパケット多重タイミング信号(6−11)を出力して、送信パケット信号(6−12)を多重化する。
[受信側]
受信側の伝送装置202は、分離部(6−19)と、受信帯域制御部(6−23)と、音声出力処理部(6−29)と、パケット出力処理部(6−30)と、シグナリングマルチフレーム受信部(6−22)とで構成される。
【0070】
分離部(6−19)は、伝送路(6−16)から受信する信号をタイムスロット(TS1〜TSn)毎に信号を分離し、各信号を音声出力処理部(6−29)やパケット出力処理部(6−30)およびシグナリングマルチフレーム受信部(6−22)に出力する。例えば、PCM受信信号分離タイミング信号(6−25)とPCM受信信号(6−26)とを分離して音声出力処理部(6−29)に出力し、パケット分離タイミング信号(6−27)と受信パケット信号(6−28)とを分離してパケット出力処理部(6−30)に出力する。同様に、シグナリングマルチフレーム信号分離タイミング信号(6−20)とシグナリングマルチフレーム信号(6−21)を分離してシグナリングマルチフレーム受信部(6−22)に出力する。
【0071】
シグナリングマルチフレーム受信部(6−22)は、分離部(6−19)が分離したシグナリングマルチフレーム信号(6−21)からシグナリング制御信号(A1〜Am)を抽出し、音声出力処理部(6−29)および受信帯域制御部(6−23)に出力する。
【0072】
受信帯域制御部(6−23)は、シグナリングマルチフレーム受信部(6−22)から出力されるシグナリング制御信号A1〜Amがシグナリング制御無の状態であれば、対応する音声用のタイムスロットTSから受信パケット信号(6−28)を分離するための分離タイミング信号(6−24)を出力して分離部(6−19)の帯域制御を行い、受信パケット信号(6−28)とパケット分離タイミング信号(6−27)とをパケット出力処理部(6−30)に出力する。この場合、PCM受信信号分離タイミング信号(6−25)と共にPCM受信信号(6−26)をALL”1”に固定して音声出力処理部(6−29)に出力し、無音状態を再現する。
【0073】
音声出力処理部(6−29)は、PCM受信信号分離タイミング信号(6−25)とPCM受信信号(6−26)とによりPCM信号を復号化して音声出力信号(6−32)を外部に接続される電話機のハンドセットなどに出力する。また、シグナリング制御信号A1〜Amによってシグナリング制御の有/無に対応するシングナリング出力信号(6−31)を外部に接続される電話機などに出力する。
【0074】
パケット出力処理部(6−30)は、パケット分離タイミング信号(6−27)によって受信パケット信号(6−28)をフレームバッファ部(6−30a)に一旦取り込んだ後、フレーム毎にパケット出力信号(6−33)として外部の装置(ルータやパソコンなど)に出力する。
【0075】
このようにして、音声信号を伝送しているか否かをシグナリング制御信号の有無(ON/OFF)によって検出し、音声信号を伝送していない場合に当該タイムスロットにパケット信号を一時的に割り当てることによって、第1実施形態の図2で説明したような伝送帯域の有効利用を図ることができ、パケット信号の伝送帯域も広げることができる。
[シグナリングマルチフレーム方式のタイミング例]
次に、シグナリングマルチフレーム方式によるシグナリング信号の有無検出と帯域制御の例について図8を用いて説明する。
【0076】
図8は、シグナリング入力信号(7−1)と、多重フレームタイミング信号(7−2)と、多重フレームタイミング信号(7−2)で生成されたシグナリングマルチフレームで各音声入力処理部(6−4)からシグナリング信号の取込タイミング(8フレーム目)を表すタイミング信号(7−3)と、8つのフレームで構成されるシグナリングマルチフレーム信号(7−4)と、シグナリング検出信号(7−5)と、シグナリング確定信号(7−6)と、音声信号用タイムスロット(7−7)と、パケット信号用タイムスロット(7−8)との関係を示したタイミングチャートである。尚、受信側ではシグナリングマルチフレーム番号が”8”の時に全てシグナリングデータが確定する為、シグナリング検出信号(7−5)は8フレーム目で検出するが、8フレーム目を受信し終えないと各シグナリング信号は有効にならないので、シグナリングの有無が確定するのはシグナリング確定信号(7−6)に示すようにシグナリング検出信号(7−5)から1マルチフレーム(8つのフレーム分)だけ遅れたタイミングとなる。
【0077】
例えば図8の場合は、タイミングT4でシグナリング無しが確定し、シグナリング確定信号(7−6)がシグナリング無しを示している期間(タイミングT4からタイミングT5までの期間)の音声信号用タイムスロットにパケット信号が割り当てられ、パケット信号(7−8)が音声信号タイムスロット(7−7)に拡張される。
【0078】
そして、再びタイミングT5でシグナリング有りが確定すると、一時的にパケット信号に使用していたタイムスロットを本来の音声信号用のタイムスロットに戻す。
【0079】
このようにして、音声信号を伝送しているか否かをシグナリング制御信号の有無(ON/OFF)によって検出し、音声信号を伝送していない場合には当該タイムスロットにパケット信号を一時的に割り当てる。これにより、伝送帯域の有効利用を図ると共に、パケット信号の伝送帯域を広げることができる。
【0080】
尚、シグナリング制御が有りになって音声データを流し始めるタイミングT5までの時間T6(最大約2msec(125usec×8×2))の遅延が生じるが、電話通話などの音声通信なので実用上の問題はない。
【0081】
また、音声入力処理部(6−4)が未実装の場合や電源がOFFの場合でも、シグナリング信号がOFFの状態になるように回路設計することにより、音声信号が未使用時の場合と同様に、自動的に音声信号用のタイムスロットをパケット信号用に割り当てるので、伝送帯域の有効活用を図ることができる。
【0082】
以上、本発明に係る伝送システムおよび伝送帯域制御方法について、各実施例を挙げて説明してきたが、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の多様な形で実施することができる。そのため、上述した実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0083】
100、200、900・・・伝送システム
101、201、901・・・伝送装置
102、202、902・・・伝送装置
(1−1),(2−2),(6−2)・・・音声入力信号
(1−2),(5−1),(7−1)・・・シグナリング入力信号
(1−3),(2−3),(6−3)・・・パケット入力信号
(1−4),(2−4),(6−4)・・・音声入力処理部
(1−5),(2−5),(6−5)・・・パケット入力処理部
(1−6),(2−8),(6−8)・・・多重部
(1−7),(2−13),(6−16)・・・伝送路
(1−8),(2−14),(6−19)・・・分離部
(1−9),(2−21),(6−29)・・・音声出力処理部
(1−10),(2−22),(6−30)・・・パケット出力処理部
(1−11),(2−24),(6−32)・・・音声出力信号
(1−12),(2−23)・・・シグナリング出力信号
(1−13),(2−25)・・・パケット出力信号
(2−1),(6−1),(6−31)・・・シグナリング信号
(2−6),(6−6)・・・送信帯域制御部
(2−7),(6−7)・・・多重タイミング信号
(2−9),(6−9)・・・PCM符号化信号多重タイミング信号
(2−10),(6−10)・・・PCM送信信号
(2−11),(6−11)・・・パケット多重タイミング信号
(2−12),(6−12)・・・送信パケット信号
(2−15),(6−23)・・・受信帯域制御部
(2−16),(6−24)・・・分離タイミング信号
(2−17),(6−25)・・・PCM受信信号分離タイミング信号
(2−18),(6−26)・・・PCM受信信号
(2−19),(6−27)・・・パケット分離タイミング信号
(2−20),(6−28)・・・受信パケット信号
(5−2),(7−2)・・・多重フレームタイミング信号
(5−3),(7−3)・・・タイミング信号
(5−5),(7−5)・・・シグナリング検出信号
(5−6),(7−6)・・・シグナリング確定信号
(5−7),(7−7)・・・音声信号用タイムスロット
(5−8),(7−8)・・・パケット信号用タイムスロット
(6−15),(6−21),(7−4)・・・シグナリングマルチフレーム信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送装置間で、音声信号と前記音声信号に付随するシグナリング信号およびパケット信号を予め決められたタイムスロットで多重化して伝送する伝送システムにおいて、
前記伝送装置は、
前記音声信号と前記シグナリング信号を入力する音声入力処理部と、
前記パケット信号を入力するパケット入力処理部と、
前記シグナリング信号の有無を検出して、前記シグナリング信号が無い場合に前記音声信号用のタイムスロットに前記パケット信号を割り当てる帯域制御を行う送信帯域制御部と、
前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号を前記送信帯域制御部の帯域制御に応じてタイムスロットを割り当てて多重化された信号を伝送路に送信する多重部と、
前記伝送路から多重化された信号を受信して、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号に分離する分離部と、
前記シグナリング信号が無い場合の前記音声信号用のタイムスロットの信号を前記パケット信号として分離する帯域制御を前記分離部に対して行う受信帯域制御部と、
前記分離部が分離した音声信号およびシグナリング信号を外部に出力する音声出力処理部と、
前記分離部が分離したパケット信号を外部に出力するパケット出力処理部と
を有することを特徴とする伝送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の伝送システムにおいて、
前記多重部は、前記音声入力処理部から入力する前記音声信号にビットスチール方式により前記シグナリング信号を多重した信号と、前記パケット信号入力処理部から入力する前記パケット信号とを前記送信帯域制御部の帯域制御に応じてタイムスロットを割り当てて多重化した信号を伝送路に送信する
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項3】
請求項1に記載の伝送システムにおいて、
前記多重部は、前記音声入力処理部から入力する前記音声信号にシグナリングマルチフレーム方式により前記シグナリング信号を多重した信号と、前記パケット信号入力処理部から入力する前記パケット信号とを前記送信帯域制御部の帯域制御に応じてタイムスロットを割り当てて多重化した信号を伝送路に送信する
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の伝送システムにおいて、
前記送信帯域制御部は、前記音声入力処理部が出力する前記シグナリング信号の有無により前記音声入力処理部の未実装または電源オフを検知して当該音声信号のタイムスロットに前記パケット信号を割り当てる
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の伝送システムにおいて、
前記多重部は、1.544Mbit/sディジタルハイアラーキ一次群インタフェースに対応して多重化する
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の伝送システムにおいて、
前記多重部は、6.312Mbit/sディジタルハイアラーキ二次群インタフェースに対応して多重化する
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項7】
請求項6に記載の伝送システムにおいて、
前記シグナリングマルチフレーム方式により前記シグナリング信号を多重した信号は、誤り訂正機能データを含む
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項8】
伝送装置間で、音声信号と前記音声信号に付随するシグナリング信号およびパケット信号を予め決められたタイムスロットで多重化して伝送する伝送システムに用いられる伝送帯域制御方法において、
前記音声信号に付随する前記シグナリング信号の有無を検出して、前記シグナリング信号が無い場合に前記音声信号用のタイムスロットに前記パケット信号を割り当てる帯域制御を行い、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号にタイムスロットを割り当てて多重化された信号を伝送路に送信し、
前記伝送路から多重化された信号を受信して、前記音声信号と前記シグナリング信号および前記パケット信号に分離する際に、前記シグナリング信号の有無を検出して前記シグナリング信号が無い場合の前記音声信号用のタイムスロットの信号を前記パケット信号として分離する帯域制御を行い、分離後の音声信号とシグナリング信号およびパケット信号を外部に出力する
ことを特徴とする伝送帯域制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の伝送帯域制御方法において、
前記シグナリング信号は、ビットスチール方式により前記音声信号に多重化されることを特徴とする伝送帯域制御方法。
【請求項10】
請求項8に記載の伝送帯域制御方法において、
前記シグナリング信号は、シグナリングマルチフレーム方式により前記音声信号に多重化されることを特徴とする伝送帯域制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−222690(P2012−222690A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88359(P2011−88359)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】