説明

伝送装置及び制御装置、並びに信号線の誤接続検出方法

【課題】光コヒーレント受信器を用いる場合に、信号線の誤接続を好適に検出する。
【解決手段】伝送装置は、局発光を発振する発振器と、局発光の発振波長を制御する制御器と、局発光及び入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と、局発光の発振波長を制御することによりコヒーレント受信器が検波した入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光信号の送信や受信を行う伝送装置、伝送装置を制御する制御装置及び伝送装置における信号線の誤接続検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光ネットワークの分野において、大容量のデータを高速に伝送させるために、異なる波長を波長分割多重することで大容量光伝送を可能とするWDM(Wave Division Multiplex:波長分割多重)技術が用いられている。このようなWDM技術では、任意の波長の光信号をWDM信号群に挿入(ADD:アッド)すると共に、当該WDM信号群から任意の波長の光信号を分岐(DROP:ドロップ)して受信するOADM(Optical Add Drop Multiplexer:光分岐挿入装置)が用いられることが多い。
【0003】
OADMを使用した光ネットワークでは、新たな波長の光信号をWDM信号群に増設する際に、当該光信号が正常に伝送されない事態が起こり得る。このような事態の原因としては、伝送距離依存による光特性の劣化や、WDM信号を伝送するために使用される光ファイバの分散特性や、光ネットワークにおける波長ルートの設定ミスや、光ファイバの誤接続等が一例としてあげられる。
【0004】
これらの原因のうちの光ファイバの誤接続の検出は、例えば以下のように行われる。具体的には、光ファイバの誤接続が発生している時には、OADMが備えるポート(言い換えれば、光コネクタ)には本来入力されるべき波長とは異なる波長の光信号が入力される。従って、LOL(Loss of Light)信号が検出されることはない。続いて、OADMでは、WDM信号群に収容される全ての波長の信号を受信できるように、ワイドバンド仕様の光受信器(例えば、O/E(Optical Electronic Convertor))が使用されることが多い。このため、波長が異なる光信号を受信した場合であっても、当該光信号を正常に受信すると共に電気信号に変換することができる。従って、LOS(Loss of Signal)信号が検出されることはない。このため、誤接続の検出は、受信した光信号から変換された電気信号が示すフレームを解析することで行われる。例えば、OTN(Optical Transport Network)に準拠したOADMであれば、フレーム中のTTI(Trail Trace Identifier)情報に含まれる光信号の送信元(SAPI:Source Access Point Identifier)や送信先(DAPI:Destination Access Point Identifier)を参照することで、光ファイバの誤接続が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−358657号公報
【特許文献2】特開2002−44035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、光ネットワークでは、更なる回線容量の増大化が望まれている。このような光ネットワークの回線容量の増大化を実現するための手法として、光コヒーレント受信器の導入が一候補として考えられる。例えば、光コヒーレント受信器は、受信するべき光信号の波長と当該光信号に混合すべき局発光の波長とがほぼ同一となる(例えば、両者の誤差が±2.5GHz程度になる)イントラダイン検波方式を利用することで、光信号を受信する。或いは、例えば、光コヒーレント受信器は、受信するべき光信号の波長と当該光信号に混合すべき局発光の波長とが同一となるホモダイン検波方式を利用することで、光信号を受信する。
【0007】
このような光コヒーレント受信器をOADMに導入する場合には、以下に示すように、光ファイバの誤接続の検出ができなくなってしまいかねないという技術的な問題点が発生し得る。具体的には、イントラダイン検波方式の又はホモダイン検波方式の光コヒーレント受信器では、光信号の波長と局発光の波長との間の誤差が所定値以内に収まる又は光信号の波長と局発光の波長とが同一となる場合に、光信号を正常に受信することができる。一方で、光ファイバの誤接続が発生している時には、OADMが備えるポートには異なる波長の光信号が入力される。従って、入力されている光信号の波長と局発光の波長との間の誤差が所定値を超えてしまいかねない又は光信号の波長と局発光の波長とが異なるものとなる。この場合、光コヒーレント受信器は、光信号の入力を受けるものの当該光信号を適切に受信することができない。従って、LOS信号が検出される。しかしながら、OADMは、光信号を電気信号に変換することができないがゆえに、フレーム内のTTI情報等を参照することができない。このため、OADMは、検出されたLOS信号が、光ファイバの誤接続に起因しているのか又はその他の現象に起因しているのかを判別することができない。つまり、OADMは、光ファイバの誤接続を適切に検出することができなくなってしまいかねない。
【0008】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば光コヒーレント受信器を用いる場合に信号線の誤接続を好適に検出することが可能な伝送装置及び制御装置並びに信号線の誤接続検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、発振器と、制御器と、コヒーレント受信器と、判定装置とを備える伝送装置によって解決され得る。発振器は、局発光を発振する。制御器は、所望の入力信号光を受信するように局発光の発振波長を制御する。コヒーレント受信器は、局発光を受光する。コヒーレント受信器は、更に、入力信号光を受光する。コヒーレント受信器は、更に、局発光及び入力信号光を混合して検波する。判定装置は、局発光の発振波長を制御することによりコヒーレント受信器が検波した入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線(例えば、入力信号光が入力される信号線又は伝送装置に接続されている信号線)の誤接続を判定する。
【0010】
上記課題は、上述した発振器と、上述した制御器と、上述したコヒーレント受信器とを備える伝送装置を制御する制御装置であって、上述した判定装置を備える制御装置によって解決され得る。
【0011】
上記課題は、上述した発振器と、上述した制御器と、上述したコヒーレント受信器とを備える伝送装置における信号線の誤接続検出方法であって、検波工程と、判定工程とを備える誤接続検出方法によって解決され得る。検波工程では、制御器によって局発光の発振波長が制御されながら、コヒーレント受信器によって局発光及び入力信号光が混合されて検波される。判定工程では、局発光の発振波長を制御しながらコヒーレント受信器が検波した入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続が判定される。
【発明の効果】
【0012】
以上説明した伝送装置及び制御方法、並びに信号線の誤接続検出方法によれば、光コヒーレント受信器を用いる伝送装置であっても、信号線の誤接続を好適に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態のOADMの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態のOADMトランスポンダユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】入出力レジスタに格納される各種パラメータを、当該各種パラメータを参照する処理部と関連付けて示す模式図である。
【図5】OADMの初期設定動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】OADMの装置内光ファイバの誤接続検出動作の一部の流れを示すフローチャートである。
【図7】OADMの装置内光ファイバの誤接続検出動作の他の一部の流れを示すフローチャートである。
【図8】期待波長、局発光の波長及び実際に受光している光信号の波長を、光受信器の特性と関連付けて示すグラフである。
【図9】第1変形例のOADMの構成を示すブロック図である。
【図10】第2変形例のOADMトランスポンダユニットの構成を示すブロック図である。
【図11】第3変形例のOADMトランスポンダユニットの構成を示すブロック図である。
【図12】第4変形例のOADMの構成を示すブロック図である。
【図13】第5変形例のOADMの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて説明する。
【0015】
(1)構成
図1から図3を参照して、本実施形態の伝送システムの構成について説明する。
【0016】
(1−1)伝送システムの構成
図1を参照して、本実施形態の伝送システム1の構成について説明する。図1は、本実施形態の伝送システム1の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、伝送システム1は、OADM(Optical Add Drop Multiplexer:光分岐挿入装置)2(#1)と、OADM2(#2)と、OADM2(#3)と、OADM2(#4)とを備えている。OADM2(#1)と、OADM2(#2)と、OADM2(#3)と、OADM2(#4)とは、例えば双方向の光ファイバを含むリングネットワーク8によって相互に接続されている。尚、OADM2(#1)と、OADM2(#2)と、OADM2(#3)と、OADM2(#4)とは、夫々「伝送装置」の一具体例となる。尚、以下では、OADM2(#1)と、OADM2(#2)と、OADM2(#3)と、OADM2(#4)とを区別しない場合には、“OADM2”と称して説明を進める。
【0018】
OADM2(#1)には、例えばサービス信号の伝送元となるサーバ装置6が接続されている。従って、OADM2(#1)は、サーバ装置6から出力されるサービス信号を光信号に変換した後、当該光信号を、リングネットワーク8を介して伝送されているWDM信号群に挿入する。より具体的には、OADM2(#1)は、サーバ装置6から出力されるサービス信号を1波長分(1チャンネル分)又は数波長分(数チャンネル分)の光信号に変換した後、当該1波長分の光信号を、リングネットワーク8を介して伝送されている数十波長分(数十チャンネル分)のWDM信号群に挿入する。尚、WDM信号群には、1波長単位毎に同一の伝送容量を有する光信号が含まれていてもよいし、1波長単位毎に異なる伝送容量を有する光信号が含まれていてもよい。尚、伝送容量の一例としては、例えば、2.5Gの伝送容量や、10Gの伝送容量や、40Gの伝送容量等があげられる。また、サービス信号の一例としては、例えばSONET/SDH信号(例えば、OC3、OC12、OC48、OC192、STM1、STM4、STM16、STM64)や、パケット信号(例えば、100MbE、1GbE、10GbE)等があげられる。
【0019】
OADM2(#2)には、例えばサービス信号の伝送先となるクライアント装置7(#1)が接続されている。同様に、OADM2(#3)には、例えばサービス信号の伝送先となるクライアント装置7(#2)が接続されている。同様に、OADM2(#4)には、例えばサービス信号の伝送先となるクライアント装置7(#3)が接続されている。従って、OADM2(#2)は、リングネットワーク8を介して伝送されているWDM信号群からクライアント装置7(#1)に対して送信されるべきサービス信号を含む光信号を分岐すると共に、分岐した光信号をサービス信号に変換した上でクライアント装置7(#1)に転送する。より具体的には、OADM2(#2)は、リングネットワーク8を介して伝送されている数十波長分のWDM信号群からクライアント装置7(#1)に対して送信されるべきサービス信号を含む1波長分又は数波長分の光信号を分岐すると共に、分岐した1波長分又は数波長分の光信号をサービス信号に変換した上でクライアント装置7(#1)に転送する。同様に、OADM2(#3)は、リングネットワーク8を介して伝送されているWDM信号群からクライアント装置7(#2)に対して送信されるべきサービス信号を含む光信号を分岐すると共に、分岐した光信号をサービス信号に変換した上でクライアント装置7(#2)に転送する。より具体的には、OADM2(#3)は、リングネットワーク8を介して伝送されている数十波長分のWDM信号群からクライアント装置7(#2)に対して送信されるべきサービス信号を含む1波長分又は数波長分の光信号を分岐すると共に、分岐した1波長分又は数波長分の光信号をサービス信号に変換した上でクライアント装置7(#2)に転送する。OADM2(#4)は、リングネットワーク8を介して伝送されているWDM信号群からクライアント装置7(#3)に対して送信されるべきサービス信号を含む光信号を分岐すると共に、分岐した光信号をサービス信号に変換した上でクライアント装置7(#3)に転送する。より具体的には、OADM2(#4)は、リングネットワーク8を介して伝送されている数十波長分のWDM信号群からクライアント装置7(#3)に対して送信されるべきサービス信号を含む1波長分又は数波長分の光信号を分岐すると共に、分岐した1波長分又は数波長分の光信号をサービス信号に変換した上でクライアント装置7(#3)に転送する。
【0020】
但し、サーバ装置6がサービス信号の伝送先となってもよいし、クライアント装置7(#1)、クライアント装置7(#2)及びクライアント装置7(#3)の少なくとも1つがサービス信号の伝送元となってもよい。
【0021】
(1−2)OADMの構成
図2を参照して、本実施形態の伝送システム1が備えるOADM2の構成について説明する。図2は、OADM2の構成を示すブロック図である。
【0022】
図2に示すように、OADM2は、OADMコア装置3と、装置内光ファイバインタフェース41と、「信号線」の一例である装置内光ファイバ42及び43(具体的には、コア側装置内光ファイバ42及びトランスポンダ側装置内光ファイバ43)と、OADMトランスポンダ装置5とを備えている。
【0023】
OADMコア装置3は、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMトランスポンダ装置5から転送される1波長分又は数波長分の光信号を、リングネットワーク8を介して伝送されている数十波長分のWDM信号群に挿入する。加えて、OADMコア装置3は、リングネットワーク8を介して伝送されている数十波長分のWDM信号群からOADMトランスポンダ装置5に対して転送されるべき1波長分又は数波長分の光信号を分岐する。更に、OADMコア装置3は、分岐した1波長分又は数波長分の光信号を、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMトランスポンダ装置5に転送する。
【0024】
このような機能を実現するために、OADMコア装置3は、ウエスト側光入力ポート311と、ウエスト側受信アンプ312と、ウエスト側フォトカプラ313と、イースト側合波用WSS(Wave Selectable Switch:波長選択スイッチ)314と、イースト側送信アンプ315と、イースト側光出力ポート316と、イースト側光入力ポート321と、イースト側受信アンプ322と、イースト側フォトカプラ323と、ウエスト側合波用WSS324と、ウエスト側送信アンプ325と、ウエスト側光出力ポート326と、ウエスト側波長分離部WSS331と、イースト側波長多重部WSS332と、ウエスト側波長多重部WSS333と、イースト側波長分離部WSS334と、複数のコア側光出力ポート34と、複数のコア側光入力ポート35とを備えている。
【0025】
リングネットワーク8のウエスト側回線(ウエスト側光ファイバ)からOADMコア装置3に入力されるWDM信号群は、ウエスト側光入力ポート311に入力され且つウエスト側受信アンプ312にて増幅される。ウエスト側受信アンプ312にて増幅されたWDM信号群は、ウエスト側フォトカプラ313で分岐された後、イースト側合波用WSS314及びウエスト側波長分離部WSS331に入力される。イースト側合波用WSS314では、WDM信号群に対して、イースト側波長多重部WSS332から出力される1波長分又は数波長分の光信号が合成される。尚、イースト側波長多重部WSS332は、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMトランスポンダ装置5からコア側光入力ポート35に入力される数波長分の光信号を多重化する。その後、WDM信号群は、イースト側送信アンプ315にて増幅された後、イースト側光出力ポート316を介してリングネットワーク8のイースト側回線(イースト側光ファイバ)へと出力される。一方で、ウエスト側波長分離部WSS331では、WDM信号群から、所望の1波長分又は数波長分の光信号を波長ごとに分離する。ウエスト側波長分離部WSS331は、波長毎に分離された1波長分の又は数波長分の光信号を、コア側光出力ポート34及び装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介して、OADMトランスポンダ装置5へと転送する。
【0026】
同様に、リングネットワーク8のイースト側回線からOADMコア装置3に入力されるWDM信号群は、イースト側光入力ポート321に入力され且つイースト側受信アンプ322にて増幅される。イースト側受信アンプ322にて増幅されたWDM信号群は、イースト側フォトカプラ323で分岐された後、ウエスト側合波用WSS324及びイースト側波長分離部WSS334に入力される。ウエスト側合波用WSS324では、WDM信号群に対して、ウエスト側波長多重部WSS333から出力される1波長分又は数波長分の光信号が合成される。尚、ウエスト側波長多重部WSS333は、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMトランスポンダ装置5からコア側光入力ポート35に入力される数波長分の光信号を多重化する。その後、WDM信号群は、ウエスト側送信アンプ325にて増幅された後、ウエスト側光出力ポート326を介してリングネットワーク8のウエスト側回線へと出力される。一方で、イースト側波長分離部WSS334では、WDM信号群から、所望の1波長分又は数波長分の光信号を波長ごとに分離する。イースト側波長分離部WSS334は、波長毎に分離された1波長分の又は数波長分の光信号を、コア側光出力ポート34及び装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介して、OADMトランスポンダ装置5へと転送する。
【0027】
OADMトランスポンダ装置5は、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMコア装置3から転送される1波長分又は数波長分の光信号(「入力信号光」の一例)をサービス信号に変換すると共に、サービス信号をクライアント装置7又はサーバ装置6へと転送する。加えて、OADMトランスポンダ装置5は、サーバ装置6又はクライアント装置7から送信されるサービス信号を光信号に変換すると共に、光信号を、装置内光ファイバインタフェース4を介してOADMコア装置3に転送する。
【0028】
このような機能を実現するために、OADMトランスポンダ装置5は、複数のOADMトランスポンダシェルフ51を備えている。各OADMトランスポンダシェルフ52は、複数のOADMトランスポンダユニット52と、トランスポンダ側集中制御部53とを備えている。
【0029】
各OADMトランスポンダユニット52は、トランスポンダ側光入力ポート521と、トランスポンダ側光出力ポート522とを備えている。トランスポンダ側光入力ポート521には、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMコア装置3から転送される光信号が入力される。トランスポンダ側光出力ポート522からは、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介してOADMコア装置3へと転送される光信号が出力される。トランスポンダ側光入力ポート521からOADMトランスポンダユニット52に入力される光信号は、OADMトランスポンダユニット52内でサービス信号に変換された後に、クライアント装置7又はサーバ装置6へと転送される。一方で、サーバ装置6又はクライアント装置7からOADMトランスポンダユニット52に入力されるサービス信号は、OADMトランスポンダユニット52内で光信号に変換された後に、トランスポンダ側光出力ポート522から出力される。
【0030】
トランスポンダ側集中制御部53は、複数のOADMトランスポンダユニット52の動作を制御する。加えて、トランスポンダ側集中制御部53は、「判定装置」の一具体例であり、装置内光ファイバ42及び43の誤接続を判定する。より具体的には、トランスポンダ側集中制御部53は、装置内光ファイバ42及び43の誤接続が発生しているか否かを判定する。さらに、トランスポンダ側集中制御部53は、判定結果を例えばOADM2のオペレータ等に対して通知してもよい。尚、誤接続の判定動作については後に詳述する(図5から図7参照)ため、ここでの詳細な説明については省略する。
【0031】
尚、コア側光出力ポート34、装置内光ファイバインタフェース41のコア側光ポート及びトランスポンダ側光ポート、装置内光ファイバ42及び43並びにトランスポンダ側光入力ポート521には、OADMコア装置3からOADMトランスポンダ装置5へと転送される光信号が1波長毎に個別に割り当てられることが好ましい。つまり、1つの波長の光信号は、特定の1つのコア側光出力ポート34、特定の1つのコア側装置内光ファイバ42、装置内光ファイバインタフェース41の特定の1つのコア側光ポート、装置内光ファイバインタフェース41の特定の1つのトランスポンダ側光ポート、特定の1つのトランスポンダ側装置内光ファイバ43及び特定の1つのトランスポンダ側光入力ポート521を介して、OADMコア装置3からOADMトランスポンダ装置5へと転送されることが好ましい。尚、コア側光出力ポート34、装置内光ファイバインタフェース41の光入力ポート及び光出力ポート、装置内光ファイバ42及び43並びにトランスポンダ側光入力ポート521と光信号の波長との対応付け(言い換えれば、設定)は、例えばOADM2のオペレータ等によって行われる。
【0032】
同様に、コア側光入力ポート35、装置内光ファイバインタフェース41のコア側光ポート及びトランスポンダ側光ポート、装置内光ファイバ42及び43並びにトランスポンダ側光出力ポート522は、OADMトランスポンダ装置5からOADMコア装置3へと転送される光信号が1波長毎に個別に割り当てられることが好ましい。つまり、1つの波長の光信号は、特定の1つのトランスポンダ側光出力ポート522、特定の1つのトランスポンダ側装置内光ファイバ43、装置内光ファイバインタフェース41の特定の1つのトランスポンダ側光ポート、装置内光ファイバインタフェース41の特定の1つのコア側光ポート、特定の1つのコア側装置内光ファイバ42及び特定の1つのコア側光入力ポート35を介して、OADMトランスポンダ装置5からOADMコア装置3へと転送されることが好ましい。尚、コア側光入力ポート35、装置内光ファイバインタフェース41のコア側光ポート及びトランスポンダ側光ポート、装置内光ファイバ42及び43並びにトランスポンダ側光出力ポート522と光信号の波長との対応付け(言い換えれば、設定)は、例えばOADM2のオペレータ等によって行われる。
【0033】
(1−3)OADMトランスポンダユニットの構成
図3を参照して、OADMトランスポンダユニット52の構成について説明する。図3は、OADMトランスポンダユニット52の構成を示すブロック図である。
【0034】
図3に示すように、OADMトランスポンダユニット52は、上述したトランスポンダ側光入力ポート521と、上述したトランスポンダ側光出力ポート522と、光送受信器523と、波長設定器524と、局発光制御器525と、入出力レジスタ526と、フレーマLSI527と、XFP528と、XFP529とを備えている。
【0035】
光送受信器523は、光受信器5231と、光発振器5232と、光送信器5233とを備えている。
【0036】
光受信器5231は、トランスポンダ側光入力ポート521を介してOADMコア装置3から転送される光信号を受信(つまり、受光)する。本実施例では、光受信器5231は、イントラダイン検波方式を採用する光コヒーレント受信器であることが好ましい。なお、イントラダイン検波方式であっても、局発光が安定に動作すればホモダイン検波方式でもよい。したがって、本実施例にかかるイントラダイン検波方式はホモダイン検波方式を含むものとする。このため、光受信器5231は、トランスポンダ側光入力ポート521から入力される光信号及び光発振器5232から入力される局発光(Local Optical Laser)を混合することで合成光信号を生成する90°ハイブリッド回路と、合成光信号を正相成分及び逆相成分(或いは、実部成分及び虚部成分)に分離するバランスドレシーバ等を含んでいることが好ましい。また、光受信器5231は、受信した光信号(つまり、合成光信号の正相成分及び逆相成分)を電気信号であるサービス信号に変換する。このため、光受信器5231は、O/E(Optical Electronic Convertor:光電コンバータ)を含んでいることが好ましい。変換されたサービス信号は、フレーマLSI527(具体的には、フレーマLSI527が備えるFEC部5271)に転送される。
【0037】
光発振器5232は、「発振器」の一例であって、上述したように、局発光を発振する。尚、局発光の波長は、波長設定器524によって設定される。
【0038】
光送信器5233は、フレーマLSI527(具体的には、フレーマLSI527が備えるFEC部5273)から転送されるサービス信号を、当該サービス信号に対応する波長の光信号に変換する。このため、光送信器5233は、FBTL(Full Band Tunable Laser:フルバンド可変波長レーザ)等を備えていることが好ましい。変換された光信号は、トランスポンダ側光出力ポート522を介してOADMコア装置3へと転送される。
【0039】
波長設定器524は、光発振器5232が発振する局発光の波長を設定する。尚、波長設定器524は、局発光制御器525の制御の下に、局発光の波長を設定する。
【0040】
局発光制御器525は、「制御器」の一例であって、波長設定器524による局発光の波長の設定動作を制御する。つまり、局発光制御器525は、局発光の波長を制御する。具体的には、局発光制御部525は、波長設定器524が設定する局発光の波長が所望の波長となるように(言い換えれば、局発光の波長を所望の波長に変更するように)波長設定器524の動作を制御する。通常は、局発光制御器525は、波長設定器524が設定する局発光の波長が、OADMトランスポンダユニット52が受信するべき光信号の波長である期待波長とほぼ同一となる(例えば、誤差が±2.5GHz程度となる)ように波長設定器524の動作を制御する。或いは、本実施形態のイントラダイン検波方式が包含しているホモダイン検波方式を採用する場合には、局発光制御器525は、波長設定器524が設定する局発光の波長が、OADMトランスポンダユニット52が受信するべき光信号の波長である期待波長と同一となるように波長設定器524の動作を制御してもよい。一方で、後に詳述するように(図7から図9参照)、局発光制御器525は、期待波長とほぼ同一の波長の局発光を発振しているにも関わらずLOS(Loss of Signal)信号が検出される場合には、波長設定器524が設定する局発光の波長が期待波長とは異なる他の波長となるように波長設定器524の動作を制御する。
【0041】
入出力レジスタ526は、OADM2内で使用される各種パラメータを格納するレジスタである。ここで、図4を参照して、入出力レジスタ526に格納される各種パラメータについて説明する。図4は、入出力レジスタ526に格納される各種パラメータを、当該各種パラメータを参照する処理部と関連付けて示す模式図である。
【0042】
図4に示すように、入出力レジスタ526には、期待波長情報と、局発光立上時間値情報と、ALM(Alarm)情報と、接続不可波長情報と、局発光波長履歴情報と、受信光波長情報とが格納される。尚、入出力レジスタ526に格納されるこれらの情報は、OADMトランスポンダ装置5内のシリアルバス回線を介してトランスポンダ側集中制御部53によって取得されてもよいし格納されてもよい。更に、入出力レジスタ526に格納されるこれらの情報は、トランスポンダ側集中制御部53及びOADM2内のLAN回線を介してコア側集中制御部35によって取得されてもよいし格納されてもよい。つまり、これらの情報は、OADMトランスポンダユニット52、トランスポンダ側集中制御部53及びコア側集中制御部35の夫々によって逐次更新されると共に、逐次更新された最新の情報が入出力レジスタ526に格納されていることが好ましい。
【0043】
期待波長情報は、OADMトランスポンダユニット52が受信するべき光信号の波長である期待波長を示す情報を含んでいる。つまり、期待波長情報は、装置内光ファイバインタフェース41並びに装置内光ファイバ42及び43を介して、OADMコア装置3からOADMトランスポンダユニット52に対して送信されるべき光信号の波長(期待波長)を示す情報を含んでいる。
【0044】
局発光立上時間値情報は、光発振器5232が局発光の発振を開始してから当該局発光の発振が安定するまでに要する時間を示す情報を含んでいる。言い換えれば、局発光立上時間値情報は、光発振器5232が局発光の発振を開始し且つ光受信器5231が光信号及び局発光の受信を開始してから光受信器5231によるイントラダイン検波が正常に行われるようになるまでに要する時間を示す情報を含んでいる。
【0045】
ALM情報は、LOL(Loss of Light)信号やLOS信号を含むアラーム信号が検出されているか否かを示す情報を含んでいる。尚、LOL信号は、例えば、光受信器5231が光信号そのものを受信できない(つまり、受光できない)又は光信号の受信レベル(受光レベル)が劣化している場合に検出されるアラーム信号である。従って、LOL信号は、図3の点線で示すように、光受信器5231から入出力レジスタ526に対して格納される。尚、LOL信号は、局発光制御器525にも入力されてもよい。この場合、LOL信号は、局発光制御器525の動作によって入出力レジスタ526に格納されてもよい。LOS信号は、例えば、光信号から変換されたサービス信号をフレーマLSIが信号処理することができない場合に検出される信号である。具体的には、例えば、LOS信号は、FEC部5271によるサービス信号のエラー訂正処理ができない場合や、OXU部5272によるサービス信号のフレーミング処理ができない場合に検出される信号である。従って、LOS信号は、図3の点線で示すように、フレーマLSI527(例えば、FEC部5271やOXU部5272)から入出力レジスタ526に対して格納される。尚、LOS信号は、局発光制御器525にも入力されてもよい。この場合、LOS信号は、局発光制御器525の動作によって入出力レジスタ526に格納されてもよい。
【0046】
接続不可波長情報は、OADMトランスポンダ装置5が備える複数のOADMトランスポンダユニット52のいずれにおいても受信されていない光信号の波長を示す情報を含んでいる。従って、OADMトランスポンダ装置5が備える複数のOADMトランスポンダユニット52のいずれか1つによって所定の波長の光信号が受信された時点で、当該所定の波長を示す情報は、接続不可波長情報に含まれなくなる。
【0047】
局発光波長履歴情報は、光発振器5232が発振した局発光の波長の履歴を示す情報を含んでいる。
【0048】
受信光波長情報は、OADMトランスポンダユニット52が受信した光信号の波長を示す情報を含んでいる。従って、OADMトランスポンダユニット52が光信号を受信していない時点では、受信光波長情報には、光信号の波長を示す情報が含まれていなくともよいし、ダミー情報又はNULL情報が含まれていてもよい。
【0049】
再び図3において、フレーマLSI527は、FEC(Forward Error Correction)部5271と、OXU部5272と、FEC部5273と、OXU部5274とを備えている。
【0050】
FEC部5271は、光受信器5231から転送されるサービス信号のエラー訂正処理(例えば、エラー訂正符号の付加処理や、エラー訂正符号を用いた訂正処理等)を行う。FEC部5271は、エラー訂正処理を行ったサービス信号を、OXU部5272へと転送する。
【0051】
OXU部5272は、FEC部5271から転送されるサービス信号のフレーミング処理を行う。例えば、OADM2がOTN(Optical Transport Network)に準拠している場合には、OXU部5272は、サービス信号を、OPU(Optical channel Payload Unit)やODU(Optical channel Data Unit)やOTU(Optical channel Transport Unit)等のフレームに準拠したサービス信号に変換する。OXU部5272は、フレーミング処理を行ったサービス信号を、XFP528へと転送する。
【0052】
FEC部5273は、OXU部5274から転送されるサービス信号のエラー訂正処理を行う。FEC部5273は、エラー訂正処理を行ったサービス信号を、光送信器5233へと転送する。
【0053】
OXU部5274は、XFP529から転送されるサービス信号のデフレーミング処理を行う。例えば、OADM2がOTNに準拠している場合には、OXU部5274は、OPUやODUやOTU等のフレームに準拠したサービス信号のデフレーミング処理を行う。OXU部5274は、デフレーミング処理を行ったサービス信号を、FEC部5273へと転送する。
【0054】
XFP528は、OXU部5272はから転送されるサービス信号を、光信号としてクライアント装置7又はサーバ装置6へと転送する。
【0055】
XFP529は、サーバ装置6又はクライアント装置7から光信号として転送されるサービス信号を受信すると共に、当該受信したサービス信号をOXU部5274へと転送する。
【0056】
(2)OADMの動作
図5から図9を参照して、OADM2の動作について説明する。
【0057】
(2−1)初期設定動作
図5を参照して、OADM2の初期設定動作について説明する。図5は、OADM2の初期設定動作の流れを示すフローチャートである。
【0058】
図5に示すように、トランスポンダ側集中制御部53は、当該トランスポンダ側集中制御部53が制御する複数のOADMトランスポンダユニット52に対して分岐(ドロップ)される光信号の波長に関する情報を取得する(ステップS101)。尚、WDM信号群に含まれる数十波長分の光信号の夫々がいずれのポートを介していずれのOADMトランスポンダユニット52に分岐されるかという情報は、コア側集中制御部35によって集中的に管理されていることが好ましい。従って、トランスポンダ側集中制御部53は、分岐(ドロップ)される光信号の波長に関する情報を、コア側集中制御部35から取得することが好ましい。
【0059】
続いて、トランスポンダ側集中制御部53は、ステップS101において取得した情報に基づいて、OADMトランスポンダユニット52毎に、各OADMトランスポンダユニット52が受信するべき光信号の波長である期待波長を設定する(ステップS102)。トランスポンダ側集中制御部53は、設定した期待波長を、シリアルバス回線を介して各OADMトランスポンダユニット52の入出力レジスタ526に転送する。
【0060】
各OADMトランスポンダユニット52は、トランスポンダ側集中制御部53により設定された期待波長を、期待波長情報として入出力レジスタ526に格納する(ステップS201)。その後、局発光制御器525は、波長設定器524が設定する局発光の波長が入出力レジスタ526に格納されている期待波長とほぼ同一となる(例えば、誤差が±2.5GHz程度となる)ように、波長設定器524の動作を制御する(ステップS202)。その結果、光発振器5232は、期待波長とほぼ同一となる波長を有する局発光を発振する。加えて、局発光制御器525は、光発振器5232が発振した局発光の波長を、入出力レジスタ526中の局発光波長履歴情報に登録する(ステップS203)。
【0061】
その後、局発光制御器525は、入出力レジスタ526に格納されている局発光立上時間値情報が示す時間だけ待機する(ステップS204)。待機後、局発光制御器525は、ALM情報の有無を判定する。つまり、局発光制御器525は、LOL信号やLOS信号が検出されているか否かを判定する。加えて、局発光制御器525は、判定の結果を示すALM情報を、入出力レジスタ526を介してトランスポンダ側集中制御部53に対して通知する(ステップS205)。
【0062】
その結果、トランスポンダ側集中制御部53は、OADMトランスポンダユニット52毎に、ALM情報を取得する(ステップS103)。従って、トランスポンダ側集中制御部53は、LOL信号が検出されているか否か及びLOS信号が検出されているか否かを判定することができる。
【0063】
尚、トランスポンダ側集中制御部53が行う動作の一部又は全部は、コア側集中制御部35によって行われてもよい。図6及び図7を参照して説明する以下の動作(装置内光ファイバ42及び43の誤接続検出動作)においても同様である。
【0064】
(2−2)装置内光ファイバの誤接続検出動作
図6及び図7を参照して、OADM2の装置内光ファイバ42及び43の誤接続検出動作(つまり、誤接続が発生しているか否かの判定動作)について説明する。図6は、OADM2の装置内光ファイバ42及び43の誤接続検出動作の一部の流れを示すフローチャートである。図7は、OADM2の装置内光ファイバ42及び43の誤接続検出動作の他の一部の流れを示すフローチャートである。尚、図6及び図7に示す誤接続検出動作は、OADMトランスポンダユニット52毎に個別に行われることが好ましい。
【0065】
図6に示すように、トランスポンダ側集中制御部53は、図5のステップS103において取得したALM情報に基づいて、LOL信号及びLOS信号の少なくとも一方が検出されているか否かを判定する(ステップS111)。同様に、局発光制御器525は、図5のステップS205において通知したALM情報に基づいて、LOL信号及びLOS信号の少なくとも一方が検出されているか否かを判定する(ステップS211)。
【0066】
ステップS111及びステップS211における判定の結果、LOL信号及びLOS信号のいずれもが検出されていないと判定される場合には(ステップS111:No且つステップS211:No)、トランスポンダ側集中制御部53は、OADMトランスポンダユニット52に対する装置内光ファイバ42及び43の誤接続はないものと判定する(ステップS112)。つまり、トランスポンダ側集中制御部53は、OADMトランスポンダユニット52は、期待波長の光信号を正しく受信していると判定する(ステップS112)。従って、この場合には、局発光制御器525は、期待波長を受信光波長情報として入出力レジスタ526に登録すると共に、受信光波長情報をトランスポンダ側集中制御部53に対して通知する(ステップS212)。トランスポンダ側集中制御部53は、受信光波長情報を取得する(ステップS113)。その後は、通常の動作が行われる。
【0067】
他方で、ステップS111及びステップS211における判定の結果、LOL信号及びLOS信号の少なくとも一方が検出されていると判定される場合には(ステップS111:Yes且つステップS211:Yes)、局発光制御器525は、受信光波長情報の内容をリセットする(ステップS213)。その後、トランスポンダ側集中制御部53は、LOL信号が検出されているか否かを判定する(ステップS114)。同様に、局発光制御器525は、LOL信号が検出されているか否かを判定する(ステップS214)。
【0068】
ステップS114及びステップS214における判定の結果、LOL信号が検出されていると判定される場合には(ステップS114:Yes且つステップS214:Yes)、トランスポンダ側集中制御部53は、LOL信号が検出された原因が、装置内光ファイバ42及び43の切断又はOADMトランスポンダユニット52の故障にあると推測する。従って、トランスポンダ側集中制御部53は、装置内光ファイバ42及び43の切断又はOADMトランスポンダユニット52の故障が発生している旨を、例えばOADM2のオペレータに対して通知する(ステップS115)。或いは、トランスポンダ側集中制御部53は、LOL信号が検出された原因を更に詳細に解析すると共に、解析結果をオペレータに対して通知してもよい。
【0069】
他方で、ステップS114及びステップS214における判定の結果、LOL信号が検出されていないと判定される場合には(ステップS114:No且つステップS214:No)、LOS信号の検出が装置内光ファイバ42及び43の誤接続を原因としている可能性があると推測される。従って、トランスポンダ側集中制御部53及びOADMトランスポンダユニット52は、図7に示す動作を行う。
【0070】
図7に示すように、局発光制御器525は、入出力レジスタ526に格納されている接続不可波長情報を取得する(ステップS221)。加えて、局発光制御器525は、入出力レジスタ526に格納されている期待波長情報及び局発光波長履歴情報を取得してもよい。その後、局発光制御器525は、ステップS221において取得した接続不可波長情報並びに期待波長情報及び局発光波長履歴情報に基づいて、局発光の波長として設定可能な波長が存在するか否かを判定する(ステップS222)。具体的には、局発光制御器525は、接続不可波長情報に、期待波長情報が示す期待波長及び局発光波長履歴情報が示す波長の夫々とは異なる他の波長が含まれているか否かを判定する。接続不可波長情報に、期待波長情報が示す期待波長及び局発光波長履歴情報が示す波長の夫々とは異なる他の波長が含まれている場合には、局発光の波長として設定可能な波長が存在すると判定される。他方で、接続不可波長情報に、期待波長情報が示す期待波長及び局発光波長履歴情報が示す波長の夫々とは異なる他の波長が含まれていない場合には、局発光の波長として設定可能な波長が存在しないと判定される。
【0071】
ステップS222における判定の結果、局発光の波長として設定可能な波長が存在しないと判定される場合には(ステップS222:No)、OADMトランスポンダユニット52は、装置内光ファイバ42及び43の誤接続検出動作を終了する。
【0072】
他方で、ステップS222における判定の結果、局発光の波長として設定可能な波長が存在すると判定される場合には(ステップS222:Yes)、局発光制御器525は、波長設定器524が設定する局発光の波長が、接続不可波長情報が示す波長のうち期待波長情報が示す期待波長及び局発光波長履歴情報が示す波長の夫々とは異なる他の波長とほぼ同一となるように、波長設定器524の動作を制御する(ステップS223)。その結果、光発振器5232は、接続不可波長情報が示す波長のうち期待波長情報が示す期待波長及び局発光波長履歴情報が示す波長の夫々とは異なる他の波長とほぼ同一となる波長を有する局発光を発振する。加えて、局発光制御器525は、光発振器5232が発振した局発光の波長を、入出力レジスタ526中の局発光波長履歴情報に登録する(ステップS224)。
【0073】
その後、局発光制御器525は、入出力レジスタ526に格納されている局発光立上時間値情報が示す時間だけ待機する(ステップS225)。待機後、局発光制御器525は、LOS信号が検出されているか否かを判定する(ステップS226)。
【0074】
ステップS226における判定の結果、LOS信号が検出されていると判定される場合には(ステップS226:Yes)、局発光制御器525は、ステップS222以降の動作を繰り返す。
【0075】
他方で、ステップS226における判定の結果、LOS信号が検出されていないと判定される場合には(ステップS226:No)、期待波長情報が示す期待波長とは異なる波長の光信号をODMAトランスポンダユニット52が受信していると判定される。つまり、期待波長の光信号を伝送する装置内光ファイバ42又は43とは異なる他の装置内光ファイバ42又は43(つまり、期待波長とは異なる波長の光信号を伝送する他の装置内光ファイバ42又は43)がODMAトランスポンダユニット52に接続されていると判定される。従って、局発光制御器525は、装置内光ファイバ42及び43の誤接続があると判定すると共に、誤接続がある旨をトランスポンダ側集中制御部53に対して通知する(ステップS227)。その結果、トランスポンダ側集中制御部53は、装置内光ファイバ42及び43の誤接続があると判定することができる。加えて、局発光制御器525は、受信した光信号の波長(或いは、LOS信号が検出されなくなった直前に設定された局発光の波長)を受信光波長情報として入出力レジスタ526に登録すると共に、受信光波長情報をトランスポンダ側集中制御部53に対して通知する(ステップS228)。
【0076】
一方で、トランスポンダ側集中制御部53は、局発光制御器525から受信光波長情報が通知される都度、受信光波長情報を取得する(ステップS121)。その後、トランスポンダ側集中制御部53は、トランスポンダ側集中制御部53が制御する全てのOADMトランスポンダユニット52において受信されるべき全ての光信号の波長が、受信光波長情報として取得されたか否かを判定する(ステップS122)。つまり、トランスポンダ側集中制御部53は、当該トランスポンダ側集中制御部53が制御する複数のOADMトランスポンダユニット52に対して分岐(ドロップ)される全ての光信号の波長が、受信光波長情報として取得されたか否かを判定する(ステップS122)。
【0077】
ステップS122における判定の結果、全ての光信号の波長が受信光波長情報として取得されていないと判定される場合には(ステップS122:No)、トランスポンダ側集中制御部53は、ステップS121以降の動作を繰り返す。
【0078】
他方で、ステップS122における判定の結果、全ての光信号の波長が受信光波長情報として取得されていると判定される場合には(ステップS122:No)、トランスポンダ側集中制御部53は、OADMトランスポンダユニット52から装置内光ファイバ42及び43の誤接続があった旨が通知されているか否かを判定する(ステップS123)。
【0079】
ステップS123における判定の結果、装置内光ファイバ42及び43の誤接続があった旨が通知されていると判定される場合には(ステップS123:Yes)、トランスポンダ側集中制御部53は、図6のステップS111及びステップS114で検出されたLOS信号の原因が、装置内光ファイバ42及び43の誤接続であると判定する。従って、トランスポンダ側集中制御部53は、装置内光ファイバ42及び43の誤接続が発生している旨を、例えばOADM2のオペレータに対して通知する(ステップS124)。例えば、トランスポンダ側集中制御部53は、誤接続が発生している装置内光ファイバ42及び43の識別番号等を、例えばOADM2のオペレータに対して通知してもよい。或いは、トランスポンダ側集中制御部53は、誤接続が発生している装置内光ファイバ42及び43を接続しているOADMトランスポンダシェルフ51やポート等を特定すると共に、当該特定したOADMトランスポンダシェルフ51やポート等を合わせて通知してもよい。例えば、トランスポンダ側集中制御部53は、OADMトランスポンダシェルフ51の識別番号や、コア側光出力ポート34の識別番号や、コア側光入力ポート35の識別番号や、装置内光ファイバインタフェースのコア側光ポートの識別番号や、装置内光ファイバインタフェースのトランスポンダ側光ポートの識別番号や、トランスポンダ側光入力ポート521の識別番号や、トランスポンダ側光出力ポート522の識別番号やの少なくとも1つを、誤接続が発生している対象として判定してもよい。
【0080】
他方で、ステップS123における判定の結果、装置内光ファイバ42及び43の誤接続があった旨が通知されていないと判定される場合には(ステップS123:No)、トランスポンダ側集中制御部53は、図6のステップS111及びステップS114で検出されたLOS信号の原因が、リングネットワーク8内の伝送劣化であると判定する。従って、トランスポンダ側集中制御部53は、リングネットワーク8内の伝送劣化が発生している旨を、例えばOADM2のオペレータに対して通知する(ステップS125)。
【0081】
尚、図8を参照して、図7に示すOADMトランスポンダユニット52の動作(つまり、局発光の波長を変更しながら受信動作を続ける動作)の技術的意義について、光受信器の特性と関連付けながら説明する。図8は、期待波長、局発光の波長及び実際に受光している光信号の波長を、光受信器5231の特性と関連付けて示すグラフである。
【0082】
図8(a)に示すように、局発光の波長は、本来期待波長とほぼ同一となるように設定される。つまり、局発光の波長は、局発光の波長と期待波長との間の誤差が±2.5GHz以内に収まるように設定される。或いは、図8(b)に示すように、本実施形態のイントラダイン検波方式が包含しているホモダイン検波方式を採用する場合には、局発光の波長は、期待波長と同一となるように設定される。この場合、光受信器5231が期待波長の光信号を受信した場合には、適切なイントラダイン検波が行われるがゆえに受信した光信号のエラーレートがLOSレベルを超えることはない。従って、LOS信号が検出されることはない。
【0083】
一方で、図8(a)に示すように、光受信器5231が実際に受信している光信号の波長(例えば、チャンネルCH#n+1に相当する波長#n+1)が、期待波長(例えば、チャンネルCH#nに相当する波長#n)と異なっている場合を想定する。この場合、局発光の波長と実際に受信している光信号の波長とがほぼ同一になることはない。つまり、局発光の波長と実際に受信している光信号の波長との間の誤差が±2.5GHz以内に収まることはない。このため、光受信器5231が光信号を受信したとしても、適切なイントラダイン検波が行われないがゆえに受信した光信号のエラーレートがLOSレベルを超えてしまいかねない。従って、LOS信号が検出されてしまいかねない。同様に、本実施形態のイントラダイン検波方式が包含しているホモダイン検波方式を採用する場合においても、図8(b)に示すように、局発光の波長と実際に受信している光信号の波長とが同一になることはない。このため、光受信器5231が光信号を受信したとしても、適切なホモダイン検波が行われないがゆえに受信した光信号のエラーレートがLOSレベルを超えてしまいかねない。従って、LOS信号が検出されてしまいかねない。
【0084】
他方で、図8(c)に示すように、局発光の波長を、期待波長(例えば、チャンネルCH#nに相当する波長#n)とは異なる波長(例えば、チャンネルCH#n+1に相当する波長#n+1)に変更した場合を想定する。この場合、局発光の波長と実際に受信している光信号の波長とがほぼ同一になる。つまり、局発光の波長と実際に受信している期待波長との間の誤差が±2.5GHz以内に収まる。このため、光受信器5231が光信号を受信した場合には、適切なイントラダイン検波が行われるがゆえに受信した光信号のエラーレートがLOSレベルを超えることはない。従って、LOS信号が検出されることはない。同様に、本実施形態のイントラダイン検波方式が包含しているホモダイン検波方式を採用する場合においても、図8(d)に示すように、局発光の波長を変更することで、局発光の波長と実際に受信している光信号の波長とが同一になる。このため、光受信器5231が光信号を受信した場合には、適切なホモダイン検波が行われるがゆえに受信した光信号のエラーレートがLOSレベルを超えることはない。従って、LOS信号が検出されることはない。
【0085】
このような状況は、期待波長の光信号が伝送されている装置内光ファイバ42及び43と、光受信器5231が実際に受信している光信号が伝送されている装置内光ファイバ42及び43とが誤接続されている場合に生じ得ると考えられる。つまり、期待波長の光信号が伝送されている装置内光ファイバ42及び43が誤接続されているがゆえに、局発光の波長を期待波長とほぼ同一の値に設定した場合においてもLOS信号が検出されると考えられる。同様に、光受信器5231が実際に受信している光信号が伝送されている装置内光ファイバ42及び43が誤接続されているがゆえに、局発光の波長を期待波長とは異なる他の波長とほぼ同一の値に設定した場合にLOS信号が検出されなくなると考えられる。従って、図6及び図7に示す動作を行うことで、装置内光ファイバ42及び43が誤接続されていることを適切に検出することができると共に、誤接続されている装置内光ファイバ42及び43を適切に特定することができる。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の伝送システム1によれば、イントラダイン検波方式の光コヒーレント受信器を光受信器5231として用いるODMA2(或いは、ODMAトランスポンダ5ないしはODMAトランスポンダユニット52)であっても、装置内光ファイバ42又は43の誤接続を好適に検出する(つまり、誤接続が発生しているか否かを好適に判定する)ことができる。従って、波長の増設や回線の追加等の際に発生し得る誤接続による悪影響を比較的迅速に排除することができる。加えて、伝送システム1のメンテナンス時のコストの削減をも図ることができる。
【0087】
加えて、本実施形態の伝送システム1によれば、接続不可波長情報や期待波長情報や局発光波長履歴情報等を用いている。従って、これらの情報を用いることで、装置内光ファイバ42又は43の誤接続を好適に検出することができる。
【0088】
尚、OADMコア装置3と光ファイバインタフェース4とOADMトランスポンダ装置5とを相互に接続する装置内光ファイバ42及び43に加えて又は代えて、OADM2内に敷設される他の光ファイバであって且つ光信号を伝送する光ファイバの誤接続も同様に検出することができる。
【0089】
(3)変形例
図9から図13を参照して、本実施形態のOADM2の変形例について説明する。
【0090】
(3−1)第1変形例
図9を参照して、第1変形例について説明する。第1変形例では、上述した本実施形態の伝送システム1と比較して、OADMコア装置3とOADMトランスポンダ装置5との間の光インタフェースの構成が異なっている。従って、以下では、説明の簡略化のために、上述した本実施形態の伝送システム1と異なる構成に着目して説明を進めると共に、上述した本実施形態の伝送システム1と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0091】
図9に示すように、第1変形例のOADM2aでは、OADMコア装置3とのOADMトランスポンダ装置5との間の光インタフェースとして、上述したコア側光出力ポート34及びコア側光入力ポート35並びに装置内光ファイバインタフェース41に代えて、ウエスト側波長多重部WSS311の出力をリボンファイバ型のコア側装置内光ファイバ42にまとめるMPO(Multi Port Optical Cable)コネクタ36a及びリボンファイバ型のコア側装置内光ファイバ42を個々のトランスポンダ側装置内光ファイバ43に変換するラムダアクセス器44aが用いられている。尚、ウエスト側波長多重部WSS311の出力に加えて又は代えて、ウエスト側波長多重部WSS311の出力に加えて又は代えて、イースト側波長多重部WSS332の入力や、ウエスト側波長多重部WSS333の入力や、イースト側波長分離部WSSの出力が、リボンファイバ型のコア側装置内光ファイバ42によってまとめられてもよい。つまり、第1変形例のOADM2では、OADMコア装置3の入出力を、リボンファイバ型のコア側装置内光ファイバ42にまとめている。これにより、コア側装置内光ファイバ42の取り扱い(取り回し)を比較的容易にすることができる。
【0092】
尚、第1変形例では、OADMトランスポンダシェルフ51の識別番号や、装置内光ファイバ42及び43の識別番号や、MPOコネクタ36aの光出力ポートの識別番号や、ラムダアクセス器44aの識別番号や、ラムダアクセス器のトランスポンダ側光ポートの識別番号や、トランスポンダ側光入力ポート521の識別番号や、トランスポンダ側光出力ポート522の識別番号やの少なくとも1つを、誤接続が発生している対象として判定してもよい。
【0093】
(3−2)第2変形例
図10を参照して、第2変形例について説明する。第2変形例では、上述した本実施形態の伝送システム1と比較して、OADMトランスポンダユニット52の構成が異なっている。従って、以下では、説明の簡略化のために、上述した本実施形態の伝送システム1と異なる構成に着目して説明を進めると共に、上述した本実施形態の伝送システム1と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0094】
図10に示すように、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、複数のXFP528及び複数のXFP529を備えているという点で、上述したOADM2とは異なっている。つまり、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、マクスポンダユニットとしての機能を有している。
【0095】
例えば、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、OADMコア装置3から転送される光信号を複数のサービス信号に分離すると共に、当該分離した複数のサービス信号を複数のXFP528を用いてクライアント装置7又はサーバ装置6へと転送することができる。より具体的には、例えば、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、OXU部5272の動作により、OADMコア装置3から転送される40Gの伝送容量を有する光信号を、例えば10Gの伝送容量を有する4つのサービス信号に分離することができる。加えて、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、10Gの伝送容量を有する4つのサービス信号を、複数の(例えば、4つの)XFP528を介してクライアント装置7又はサーバ装置6へと転送することができる。
【0096】
同様に、例えば、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、サーバ装置6又はクライアント装置7から転送される複数のサービス信号を多重化すると共に、多重化された複数のサービス信号を含む光信号をOADMコア装置3へと転送することができる。より具体的には、例えば、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、OXU部5274の動作により、サーバ装置6又はクライアント装置7から転送される10Gの伝送容量を有する複数のサービス信号を、40Gの伝送容量を有する光信号に多重化することができる。加えて、第2変形例のOADMトランスポンダユニット52bは、複数のサービス信号が多重化された40Gの伝送容量を有する光信号をOADMコア装置3へと転送することができる。
【0097】
(3−3)第3変形例
図11を参照して、第3変形例について説明する。第3変形例では、上述した本実施形態の伝送システム1と比較して、OADMトランスポンダユニット52の構成が異なっている。従って、以下では、説明の簡略化のために、上述した本実施形態の伝送システム1と異なる構成に着目して説明を進めると共に、上述した本実施形態の伝送システム1と同一の構成については、同一の参照符号を付してその詳細な説明については省略する。
【0098】
図11に示すように、第3変形例のOADMトランスポンダユニット52cは、上述したOADMトランスポンダユニット52と比較して、XFP528及びXFP529に代えてOADMトランスポンダユニット52と同様の構成を備えているという点で異なっている。つまり、第3変形例のOADMトランスポンダユニット52cは、中継局(言い換えれば、REGEN:Regenerator)としての機能を有している。
【0099】
具体的には、図11に示すように、第3変形例のOADMトランスポンダユニット52cのフレーマLSI527cは、上述したFEC部5271、OXU部5272、FEC部5273及びOXU部5274に加えて、FEC部5274c及び5276cを備えている。更に、第3変形例のOADMトランスポンダユニット52cは、トランスポンダ側光入力ポート521cと、トランスポンダ側光出力ポート522cと、光送受信器523cと、波長設定器524cと、局発光制御器525cと、入出力レジスタ526cとを更に備えている。尚、トランスポンダ側光入力ポート521cと、トランスポンダ側光出力ポート522cと、光送受信器523cと、波長設定器524cと、局発光制御器525cと、入出力レジスタ526cとは、上述したトランスポンダ側光入力ポート521と、トランスポンダ側光出力ポート522と、光送受信器523と、波長設定器524と、局発光制御器525と、入出力レジスタ526と同様の構成を有している。
【0100】
FEC部5275cは、OXU部5272から出力されるサービス信号のエラー訂正処理を行うと共に、当該サービス信号を光送受信器523cの光送信器5233cへと転送する。尚、トランスポンダ側光入力ポート521からOXU部5272に至るまでの信号経路での動作は、上述したOADMトランスポンダユニット52と同一である。光送信器5233cは、FEC部5275cから転送されるサービス信号を、光信号として、トランスポンダ側光出力ポート522cを介してOADMトランスポンダユニット52cの外部へと転送する。
【0101】
他方で、トランスポンダ側光入力ポート521cを介してOADMトランスポンダユニット52cの外部へと転送から転送される光信号は、光送受信器523cの光受信器5231cによって受信される。光受信器5231cは、トランスポンダ側光入力ポート521cから入力される光信号を、光発振器5232cから入力される局発光と混合してイントラダイン検波することでサービス信号に変換する。尚、光発振器5232cが発振する局発光の波長は、波長設定器524c及び局発光制御器525cによって設定される。変換されたサービス信号は、FEC部5276cへと転送される。FEC部5276cは、転送されたサービス信号のエラー訂正処理を行うと共に、当該サービス信号をOXU部5274へと転送する。尚、OXU部5274からトランスポンダ側光出力ポート522に至るまでの信号経路での動作は、上述したOADMトランスポンダユニット52と同一である。
【0102】
第4変形例によれば、OADMトランスポンダユニット52が光信号の中継を行う場合であっても、上述した各種効果を享受することができる。
【0103】
(3−4)第4変形例
図12を参照して、第4変形例について説明する。図12に示すように、第4変形例のOADM2dは、上述した本実施形態のOADM2が備える構成に加えて、制御管理装置9dを更に備えている。制御管理装置9dは、コア側集中制御部35及びトランスポンダ側集中制御部53の少なくとも一方が行う動作(つまり、図5から図7に示す動作の一部又は全部)を行う。つまり、第4変形例のOADM2dでは、OADMコア装置3及びOADMトランスポンダ装置5とは別個に、OADMコア装置3及びOADMトランスポンダ装置5の動作を制御する又は管理する制御管理装置9dを備えているという点で、上述したOADM2とは異なっている。
【0104】
第4変形例によれば、OADMコア装置3及びOADMトランスポンダ装置5の処理負荷(より具体的には、コア側集中制御部35及びトランスポンダ側集中制御部53の処理負荷)を低減しながら、上述した各種効果を享受することができる。
【0105】
(3−5)第5変形例
図13を参照して、第5変形例について説明する。図13に示すように、第5変形例のOADM2eは、上述した本実施形態のOADM2と比較して、OADMトランスポンダ装置5がトランスポンダ側集中制御部53を備えていないという点で異なっている。尚、第5変形例のOADM2eのその他の構成については、上述した本実施形態のOADM2と同一であってもよい。第5変形例では、トランスポンダ側集中制御部53が行う動作(つまり、図5から図7に示す動作の一部又は全部)は、コア型集中制御部35が行う。
【0106】
第5変形例によれば、OADMトランスポンダ装置5の処理負荷やコスト等を低減しながら、上述した各種効果を享受することができる。
【0107】
尚、上述した実施形態及び第1変形例から第5変形例において説明する構成を適宜組み合わせてもよい。このように組み合わせたとしても、上述した各種効果を好適に享受することができる。
【0108】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0109】
(付記1)
局発光を発振する発振器と、
所望の入力信号光を受信するように前記局発光の発振波長を制御する制御器と、
前記局発光と入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と、
前記局発光の発振波長を制御することにより前記コヒーレント受信器が検波した前記入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定装置と
を備えることを特徴とする伝送装置。
【0110】
(付記2)
前記コヒーレント受信器は、前記入力信号光を受光することができない場合にLOL(Loss of Light)信号を出力し、
前記検波によって得られた検波信号が変換された電気信号を信号処理すると共に、前記電気信号を信号処理することができない場合にLOS(Loss of Signal)信号を出力する信号処理回路を更に備え、
前記制御器は、前記LOL信号が検出されず且つ前記LOS信号が検出された場合に、前記局発光の発振波長を制御することを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
【0111】
(付記3)
前記期待波長を示す期待波長情報と、前記発振器が発振済みの前記局発光の波長を示す局発光波長履歴情報と、前記コヒーレント受信器によって検波されていない前記入力信号光の波長を示す接続不可波長情報とを格納するレジスタを更に備え、
前記制御器は、(i)前記局発光の発振波長が、前記期待波長情報が示す前記期待波長となるように前記局発光の発振波長を制御し、(ii)前記局発光の発振波長が前記期待波長となるように制御した後に前記LOL信号が検出されず且つ前記LOS信号が検出された場合に、前記局発光の発振波長が、前記接続不可波長情報が示す波長のうち前記局発光波長履歴情報に含まれる波長以外の一の波長となるように前記局発光の発振波長を制御し、
前記判定装置は、前記局発光の発振波長が前記一の波長となるように制御された後に前記LOS信号が検出されなくなった場合に、前記信号線の誤接続を判定することを特徴とする付記2に記載の伝送装置。
【0112】
(付記4)
前記信号処理回路は、前記局発光の発振波長を前記期待波長から変更した後に、前記検波によって得られた前記検波信号を変換した前記電気信号を信号処理することができた場合には、前記LOS信号の出力を停止することを特徴とする付記2に記載の伝送装置。
【0113】
(付記5)
局発光を発振する発振器と、
所望の入力信号光を受信するように前記局発光の発振波長を制御する制御器と、
前記局発光と入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と
を備える伝送装置を制御する制御装置であって、
前記局発光の発振波長を制御することにより前記コヒーレント受信器が検波した前記入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定装置を備えることを特徴とする制御装置。
【0114】
(付記6)
局発光を発振する発振器と、
所望の入力信号光を受信するように前記局発光の発振波長を制御する制御器と、
前記局発光と入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と
を備える伝送装置における信号線の誤接続検出方法であって、
前記制御器によって前記局発光の発振波長を制御することにより、前記コヒーレント受信器によって前記局発光及び前記入力信号光を混合して検波する検波工程と、
前記局発光の発振波長を制御することにより前記コヒーレント受信器が検波した前記入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定工程と
を備えることを特徴とする誤接続検出方法。
【0115】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴なう伝送装置及び制御装置並びに誤接続検出方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0116】
1 伝送システム
2 OADM
3 OADMコア装置
311 ウエスト側光入力ポート
312 ウエスト側受信アンプ
313 ウエスト側フォトカプラ
314 イースト側合波用WSS
315 イースト側送信アンプ
316 イースト側光出力ポート
321 イースト側光入力ポート
322 イースト側受信アンプ
323 イースト側フォトカプラ
324 ウエスト側合波用WSS
325 ウエスト側送信アンプ
326 ウエスト側光出力ポート
331 ウエスト側波長分離部WSS
332 イースト側波長多重部WSS
333 ウエスト側波長多重部WSS
334 イースト側波長分離部WSS
34 コア側光出力ポート
35 コア側光入力ポート
35 コア部集中制御部
41 装置内光ファイバインタフェース
42 コア側装置内光ファイバ
43 トランスポンダ側装置内光ファイバ
5 OADMトランスポンダ装置
52 OADMトランスポンダユニット
521 トランスポンダ側光入力ポート
522 トランスポンダ側光出力ポート
523 光送受信器
5231 光受信器
5232 光発振器
5233 光送信器
524 波長設定器
525 局発光制御器
526 入出力レジスタ
527 フレーマLSI
5271 FEC部
5272 OXU部
5273 FEC部
5274 OXU部
528 XFP
529 XFP
53 トランスポンダ側集中制御部
6 サーバ装置
7 クライアント装置
8 リングネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局発光を発振する発振器と、
所望の入力信号光を受信するように前記局発光の発振波長を制御する制御器と、
前記局発光と入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と、
前記局発光の発振波長を制御することにより前記コヒーレント受信器が検波した前記入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定装置と
を備えることを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記コヒーレント受信器は、前記入力信号光を受光することができない場合にLOL(Loss of Light)信号を出力し、
前記検波によって得られた検波信号が変換された電気信号を信号処理すると共に、前記電気信号を信号処理することができない場合にLOS(Loss of Signal)信号を出力する信号処理回路を更に備え、
前記制御器は、前記LOL信号が検出されず且つ前記LOS信号が検出された場合に、前記局発光の発振波長を制御することを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記期待波長を示す期待波長情報と、前記発振器が発振済みの前記局発光の波長を示す局発光波長履歴情報と、前記コヒーレント受信器によって検波されていない前記入力信号光の波長を示す接続不可波長情報とを格納するレジスタを更に備え、
前記制御器は、(i)前記局発光の発振波長が、前記期待波長情報が示す前記期待波長となるように前記局発光の発振波長を制御し、(ii)前記局発光の発振波長が前記期待波長となるように制御した後に前記LOL信号が検出されず且つ前記LOS信号が検出された場合に、前記局発光の発振波長が、前記接続不可波長情報が示す波長のうち前記局発光波長履歴情報に含まれる波長以外の一の波長となるように前記局発光の発振波長を制御し、
前記判定装置は、前記局発光の発振波長が前記一の波長となるように制御された後に前記LOS信号が検出されなくなった場合に、前記信号線の誤接続を判定することを特徴とする請求項2に記載の伝送装置。
【請求項4】
前記信号処理回路は、前記局発光の発振波長を前記期待波長から変更した後に、前記検波によって得られた前記検波信号を変換した前記電気信号を信号処理することができた場合には、前記LOS信号の出力を停止することを特徴とする請求項2に記載の伝送装置。
【請求項5】
局発光を発振する発振器と、
所望の入力信号光を受信するように前記局発光の発振波長を制御する制御器と、
前記局発光と入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と
を備える伝送装置を制御する制御装置であって、
前記局発光の発振波長を制御することにより前記コヒーレント受信器が検波した前記入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定装置を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項6】
局発光を発振する発振器と、
所望の入力信号光を受信するように前記局発光の発振波長を制御する制御器と、
前記局発光と入力信号光を混合して検波するコヒーレント受信器と
を備える伝送装置における信号線の誤接続検出方法であって、
前記制御器によって前記局発光の発振波長を制御することにより、前記コヒーレント受信器によって前記局発光及び前記入力信号光を混合して検波する検波工程と、
前記局発光の発振波長を制御することにより前記コヒーレント受信器が検波した前記入力信号光の波長が期待波長ではない場合に、信号線の誤接続を判定する判定工程と
を備えることを特徴とする誤接続検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−65030(P2012−65030A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205757(P2010−205757)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】