説明

位置センサ

【課題】複数のスイッチのオン・オフ状態を特定して、押されたスイッチの位置を検出することができ、且つスイッチの数が増えても入出力ポート数が増加することのない位置センサを得る。
【解決手段】直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の抵抗素子Rと、各抵抗素子に対しそれぞれ設けられ、対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフする複数のスイッチSWと、前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する定電流供給手段2と、前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間における電圧値を測定する電圧測定手段3とを備え、前記複数の抵抗素子の抵抗値は等比数列状に異なり、前記複数のスイッチのオン・オフ状態の全ての組み合わせにおいて、前記複数の抵抗素子の合成抵抗値が互いに異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチを備える位置センサに関し、特に各スイッチのオン・オフ状態を特定して、押されたスイッチの位置を容易に検出することができ、且つスイッチの数が増えても入出力ポート数が増加することのない位置センサに関する。
【背景技術】
【0002】
電化製品等には、例えば、導電シートと絶縁シートとを積層してなる薄型のシートスイッチが数多く用いられている。一枚のシートスイッチに設けるスイッチの数が多い場合、例えば図7に示すように複数のスイッチをマトリクス状に配置し、列方向と行方向とで信号線を共用する回路構成が多く採用されている。
【0003】
図7に示す回路の一例では、3本の入力信号線A(入力ポートA1〜A3)と、3本の出力信号線B(出力ポートB1〜B3)とがマトリックス状に配置される。また、各入力信号線Aと各出力信号線Bとの交差位置にスイッチSn(n=1〜9)が配置される。
そして、例えば、入力ポートA1〜A3に順に所定の入力信号が入力され、各入力信号に対応する出力信号のパターンを出力ポートB1〜B3において検出することにより、押されたスイッチSnが特定される(キーマトリクススキャン方式と呼ぶ)。
尚、このようなキーマトリクススキャン方式を用いるキースイッチの構成は特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−187080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記のようなキーマトリクススキャン方式の回路構成にあっては、スイッチの数が増えるほど入出力ポートの数も増加し、スイッチSnの数が多い場合には配線が煩雑となり、装置内のスペースを圧迫するという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の技術的課題を解決するためになされたものであり、複数のスイッチを有する位置センサにおいて、各スイッチのオン・オフ状態を特定して、押されたスイッチの位置を容易に検出することができ、且つスイッチの数が増えても入出力ポート数が増加することのない位置センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る位置センサは、直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の抵抗素子と、各抵抗素子に対しそれぞれ設けられ、対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフする複数のスイッチと、前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する定電流供給手段と、前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間における電圧値を測定する電圧測定手段とを備え、前記複数の抵抗素子の抵抗値は等比数列状に異なり、前記複数のスイッチのオン・オフ状態の全ての組み合わせにおいて、前記複数の抵抗素子の合成抵抗値が互いに異なることに特徴を有する。
また、前記電圧測定手段により測定された電圧値を前記スイッチの数に応じたビット数の2進数に変換し、変換した値の各位を各スイッチに割り当てることにより前記複数のスイッチのオン・オフ状態を特定するスイッチ特定手段を備えることが望ましい。
或いは、前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせと、前記組み合わせ毎に前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間に生じる電圧の値が予め記録されたテーブルを記憶する記憶手段と、前記電圧測定手段により測定された電圧値に基づき、前記テーブルを参照して前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせを特定するスイッチ特定手段とを備えてもよい。
【0008】
このように構成することにより、複数のスイッチのオン・オフ動作の全ての組み合わせにおいて、前記複数の抵抗素子の合成抵抗値は互いに異なり、その合成抵抗値に所定の定電流を供給した際の電圧値に基づき、押されたスイッチの位置を容易に検出することができる。
また、この構成によれば、スイッチの数に拘わらず、直列接続された複数の抵抗素子の両端間、即ち2つの端子間の電圧値を測定すればよく、スイッチの数が増えても入出力ポート数は増やす必要がない。
【0009】
また、上記課題を解決するためになされた本発明に係る位置センサは、X軸方向に直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の第1抵抗素子と、前記X軸に交差するY軸方向に直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の第2抵抗素子と、X軸方向とY軸方向の2次元マトリクス状に配置されると共に、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子に対し共通に設けられ、それぞれ対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフする複数のスイッチと、前記直列接続された複数の第1抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する第1の定電流供給手段と、前記直列接続された複数の第1抵抗素子の両端間における電圧値を測定する第1の電圧測定手段と、前記直列接続された複数の第2抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する第2の定電流供給手段と、前記直列接続された複数の第2抵抗素子の両端間における電圧値を測定する第2の電圧測定手段とを備え、前記複数の第1抵抗素子の抵抗値、及び前記複数の第2抵抗素子の抵抗値は、それぞれ等比数列状に異なり、前記複数のスイッチのオン・オフ状態の全ての組み合わせにおいて、前記複数の第1抵抗素子の合成抵抗値と前記複数の第2抵抗素子の合成抵抗値との組み合わせが互いに異なることに特徴を有する。
また、前記第1の電圧測定手段により測定された電圧値を前記複数のスイッチの列数に応じたビット数の2進数に変換し、変換した値の各位を前記列毎に前記複数のスイッチに割り当てると共に、前記第2の電圧測定手段により測定された電圧値を前記複数のスイッチの行数に応じたビット数の2進数に変換し、変換した値の各位を前記行毎に前記複数のスイッチに割り当て、各スイッチについて前記割り当てられた値の否定論理和を求めることにより前記複数のスイッチのオン・オフ状態を特定するスイッチ特定手段を備えることが望ましい。
或いは、前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせと、前記組み合わせ毎に前記直列接続された第1抵抗素子の両端間における電圧値と、前記直列接続された第2抵抗素子の両端間における電圧値とが予め記録されたテーブルを記憶する記憶手段と、前記第一及び第二の電圧測定手段によりそれぞれ測定された電圧値に基づき、前記テーブルを参照して前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせを特定するスイッチ特定手段とを備えてもよい。
【0010】
このように構成することにより、複数のスイッチのオン・オフ動作の全ての組み合わせにおいて、前記複数の第1抵抗素子の合成抵抗値と複数の第2抵抗素子の合成抵抗値との組み合わせは互いに異なり、各合成抵抗値に所定の定電流を供給した際の電圧値に基づき、押されたスイッチの位置を容易に検出することができる。
また、この構成によれば、スイッチの数に拘わらず、直列接続された複数の第1抵抗素子の両端間の電圧値、及び直列接続された複数の第2抵抗素子の両端間の電圧値を測定すればよい。
即ち、スイッチ数に拘わらず、合計4つの端子を用いて2カ所の電圧値を測定すればよく、スイッチの数が増えても入出力ポート数は増やす必要がない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数のスイッチを有する位置センサにおいて、各スイッチのオン・オフ状態を特定して、押されたスイッチの位置を容易に検出することができ、且つスイッチの数が増えても入出力ポート数が増加することのない位置センサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係る位置センサの第1の実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1の位置センサが備えるスイッチ特定手段の動作を説明するためのテーブルである。
【図3】図3は、図1の位置センサにおいて、記憶手段に記憶可能なルックアップテーブルの一例である。
【図4】図4は、本発明に係る位置センサの第2の実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、図4の位置センサが備えるスイッチ特定手段の動作を説明するためのテーブルである。
【図6】図6は、図4の位置センサにおいて、記憶手段に記憶可能なルックアップテーブルの一例である。
【図7】図7は、従来のマトリクス状に配置されたスイッチ回路の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る位置センサの実施の形態について図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る位置センサの第1の実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この位置センサ1は、抵抗値が等比数列状に異なる複数の抵抗素子R(本実施形態では抵抗R1、R2、R3、R4とする)が直列に接続され、その両端の端子T1,T2から定電流源2(定電流供給手段)により所定の定電流が供給可能となされている。尚、本実施形態では、定電流値=1mA、抵抗R1=1kΩ、抵抗R2=2kΩ、抵抗R3=4kΩ、抵抗R4=8kΩとしている。
【0014】
また、各抵抗素子Rについて、その抵抗負荷をオン・オフするためのスイッチSW(SW1〜SW4)が設けられている。即ち、抵抗R1にはスイッチSW1が設けられ、抵抗R2にはスイッチSW2が設けられている。また、抵抗R3にはスイッチSW3が設けられ、抵抗R4にはスイッチSW4が設けられている。尚、本実施形態では、各スイッチSWは例えばシートスイッチに用いられる押しボタンスイッチとし、押すとオン状態、離すとオフ状態になるものとする。
【0015】
このように位置センサ1においては、直列接続された複数の抵抗素子R1〜R4のそれぞれに対し、その抵抗負荷をオン・オフするスイッチSW1〜SW4が設けられ、抵抗素子R1〜R4の抵抗値が等比数列状に異なるように設定されている。
そのため、スイッチSW1〜SW4のオン・オフ動作の全ての組み合わせにおいて、抵抗素子R1〜R4による合成抵抗値は互いに異なるものとなる。
例えば、スイッチSW2のみが押されている場合、合成抵抗値は13kΩであり、スイッチSW3,SW4が同時に押されている場合、合成抵抗値は3kΩである。
【0016】
また、前記端子T1,T2間には、前記スイッチSW1〜SW4、及び抵抗素子R1〜R4と並列に、温度補償用抵抗素子Rtが設けられている。この温度補償用抵抗素子Rtは、抵抗素子R1〜R4が例えば負の温度係数を有するとすれば、それを相殺するように正の温度係数を有している。
この温度補償用抵抗素子Rtが設けられることにより、抵抗素子R1〜R4の合成抵抗値と定電流に基づく電圧を安定して出力することができる。
【0017】
また、この位置センサ1は、前記端子T1,T2間の電圧値を測定する電圧測定手段3と、電圧測定手段3により測定された電圧値に基づいてスイッチSW1〜SW4のいずれが押圧されたかを特定するスイッチ特定手段4とを備えている。
スイッチ特定手段4は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)により構成され、例えば不揮発性メモリからなる記憶手段5を有している。記憶手段5には、例えばスイッチ特定プログラムP1が記憶され、これが実行されることにより複数のスイッチSWのオン・オフ状態を特定するように構成されている。
前記スイッチ特定プログラムP1が実行されると、スイッチ特定手段4は、電圧測定手段3から入力された電圧値を図2に示すようにスイッチSWの数に合わせたビット数、即ち4ビットの2進数に変換する。そして、スイッチSW1〜SW4をそれぞれビットに見立て、それに前記2進数表現された電圧値を割り当てることにより、各スイッチSWのオン・オフを特定するようになっている。尚、本実施形態では、値0がスイッチオン状態、値1がスイッチオフ状態としている。
【0018】
このように構成された位置センサ1において、例えば、スイッチSW1のみが押された場合(スイッチSW1のみがオン状態)、直列接続された抵抗R2,R3,R4の合成抵抗(14kΩ)に対し定電流(1mA)が供給される。このため、電圧測定手段3により測定される電圧値は14Vとなる。
スイッチ特定手段4は、この測定値14Vを4ビットの2進数に変換し、変換した値(1110)の各位を図2に示すようにスイッチSW1〜SW4にそれぞれ割り当てる(SW1を1の位とする)。その結果、スイッチSW1が0、スイッチSW2〜SW4が1となり、スイッチ特定手段4はスイッチSW1のみが押されたパターンであると特定する。
また、例えば、スイッチSW2とスイッチSW4とが同時に押された場合(スイッチSW2,SW4がオン状態)、直列接続された抵抗R1、R3の合成抵抗(5kΩ)に対し定電流(1mA)が供給される。このため、電圧測定手段3により測定される電圧値は5Vとなる。
スイッチ特定手段4は、この測定値5Vを4ビットの2進数に変換し、変換した値(0101)の各位を図2に示すようにスイッチSW1〜SW4にそれぞれ割り当てる(SW1を1の位とする)。その結果、スイッチSW1,SW3が1、スイッチSW2,SW4が0となり、スイッチ特定手段4はスイッチSW2,SW4が押されたパターンであると特定する。
【0019】
以上のように本発明に係る第1の実施の形態によれば、位置センサ1は、直列に接続されて、抵抗値が等比数列状に異なる複数の抵抗素子R1〜R4と、各抵抗素子に対し設けられ、対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフするスイッチSW1〜SW4とを備える。
この構成により、複数のスイッチのオン・オフ動作の全ての組み合わせにおいて、前記複数の抵抗素子R1〜R4の合成抵抗値は互いに異なり、その合成抵抗値に所定の定電流を供給した際の電圧値に基づき、押されたスイッチSWの位置を確実に検出することができる。
また、この構成によれば、スイッチSWの数に拘わらず、2つの端子T1,T2間の電圧値を測定すればよく、スイッチSWの数が増えても入出力ポート数を増やす必要がない。
【0020】
尚、前記第1の実施の形態にあっては、4つの抵抗素子R1〜R4を設けた構成としたが、抵抗素子の数は4つに限定されるものではない。例えば、8つの抵抗素子(8つのスイッチ)を直列に接続する等、より多くのスイッチを設けた場合のスイッチ特定(押されたスイッチの検出)にも対応することができる。
【0021】
また、前記第1の実施の形態にあっては、電圧測定手段3により測定された電圧値を2進数として、各位を各スイッチSW1〜SW4に割り当てるものとしたが、その形態に限定されるものではない。
例えば、図3に示すようなルックアップテーブル20を予め記憶手段5に記憶しておき、スイッチ特定手段4が、これを参照することによりスイッチSW1〜4のオン・オフ状態を特定するようにしてもよい。
即ち、ルックアップテーブル20には、スイッチSW1〜SW4のうち、1つまたは複数のスイッチを押した際に生じ得る組み合わせのパターン1〜16と、そのときの端子T1,T2間の電圧値が予め記録されている。このため、スイッチ特定手段4は、入力された端子T1,T2間の電圧測定値に基づき前記ルックアップテーブル20を参照し、各スイッチSW1〜SW4のオン・オフ状態を特定することができる。
【0022】
続いて、本発明に係る第2の実施の形態について説明する。図4は、本発明に係る位置センサの第2の実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
図4に示すように、位置センサ1は、X軸方向に直列に接続された複数の抵抗素子Rx1〜Rx4(第1抵抗素子)と、Y軸方向に直列に接続された複数の抵抗素子Ry1〜Ry4(第2抵抗素子)とを備える。各抵抗素子Rx1〜Rx4の抵抗値は、等比数列状に異なるように設定されている(具体的にはRx1=1kΩ、Rx2=2kΩ、Rx3=4kΩ、Rx4=8kΩ)。また、各抵抗素子Ry1〜Ry4の抵抗値も、等比数列状に異なるように設定されている(具体的にはRy1=1kΩ、Ry2=2kΩ、Ry3=4kΩ、Ry4=8kΩ)。
【0023】
また、前記複数の抵抗素子Rx1〜Rx4と並列に(即ち端子Tx1,Tx2間に)、温度補償用抵抗素子Rxtが設けられ、前記複数の抵抗素子Ry1〜Ry4と並列に(即ち端子Ty1,Ty2間に)、温度補償用抵抗素子Rytが設けられている。これら温度補償用抵抗素子Rxt,Rytは、抵抗素子Rx1〜Rx4、Ry1〜Ry4が例えば負の温度係数を有するとすれば、それを相殺するように正の温度係数を有している。
これら温度補償用抵抗素子Rxt,Rytが設けられることにより、抵抗素子Rx1〜Rx4、Ry1〜Ry4の各合成抵抗値と定電流に基づく電圧を安定して出力することができる。
【0024】
また、前記複数の抵抗素子Rxと複数の抵抗素子Ryとに対し共通に設けられ、それぞれ対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフするための複数のスイッチSW(x、y)(x=1〜4,y=1〜4)がX軸方向とY軸方向の2次元マトリクス状に配置されている。尚、本実施形態においては、各スイッチSW(x、y)は例えばシートスイッチに用いられる押しボタンスイッチとし、押すとオン状態、離すとオフ状態になるものとする。また、各スイッチSW(x、y)には、双極単投スイッチが用いられる。この双極単投スイッチを用いることにより、対応する抵抗素子Rxと抵抗素子Ryの抵抗負荷のオン・オフ動作を同時に行うことができる。
【0025】
このように位置センサ1においては、直列接続された複数の抵抗素子Rx1〜Rx4、及びRy1〜Ry4のそれぞれに対し、その抵抗負荷をオン・オフするスイッチSW(1,1)〜SW(4,4)が設けられている。また、抵抗素子Rx1〜Rx4の抵抗値、並びに抵抗素子Ry1〜Ry4の抵抗値がそれぞれ等比数列状に異なるように設定されている。
そのため、スイッチSW(1,1)〜SW(4,4)のオン・オフ動作の全ての組み合わせにおいて、抵抗素子Rx1〜Rx4による合成抵抗値と、抵抗素子Ry1〜Ry4の合成抵抗値との組み合わせが互いに異なるものとなる。
例えば、スイッチSW(2,2)のみが押されている場合、抵抗素子Rxの合成抵抗値は13kΩであり、抵抗素子Ryの合成抵抗値は13kΩである。また、スイッチSW(2,2)とSW(2、3)が同時に押されている場合、抵抗素子Rxの合成抵抗値は前記と同じく13kΩであるが、抵抗素子Ryの合成抵抗値は9kΩである。
【0026】
また、複数の抵抗素子Rx1〜Rx4の両端の端子Tx1,Tx2からは、定電流源6(第1の定電流供給手段)により所定の定電流(本実施形態では1mAとする)が供給可能となされている。
一方、複数の抵抗素子Ry1〜Ry4の両端の端子Ty1,Ty2からは、定電流源7(第2の定電流供給手段)により所定の定電流(本実施形態では1mAとする)が供給可能となされている。
【0027】
また、この位置センサ1は、前記端子Tx1,Tx2間の電圧値を測定する電圧測定手段8(第1の電圧測定手段)と、前記端子Ty1,Ty2間の電圧値を測定する電圧測定手段9(第2の電圧測定手段)とを備えている。また、電圧測定手段8,9によりそれぞれ測定された電圧値に基づいてスイッチSW(1,1)〜SW(4,4)のオン・オフ動作の組み合わせを特定するスイッチ特定手段10を備えている。
【0028】
スイッチ特定手段10は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)により構成され、例えば不揮発性メモリからなる記憶手段11を有している。記憶手段11には、例えばスイッチ特定プログラムP2が記憶され、これが実行されることにより複数のスイッチ(1,1)〜SW(4,4)のオン・オフ状態を特定するように構成されている。
前記スイッチ特定プログラムP2が実行されると、スイッチ特定手段10は、電圧測定手段8,9からそれぞれ入力された電圧値Vx,VyをXY各軸方向のスイッチ数(列数、行数)に合わせたビット数、即ち4ビットの2進数に変換する。
そして、図5(a)に示すようにX軸方向のスイッチSW(1,y)〜SW(4,y)を列毎にそれぞれビットに見立て(SW(1,y)を1の位とする)、それに前記2進数表現された電圧値Vxを割り当てる。一方、図5(b)に示すようにY軸方向のスイッチSW(x,1)〜SW(x,4)を行毎にそれぞれビットに見立て(SW(x、1)を1の位とする)、それに前記2進数表現された電圧値Vyを割り当てる。
そして、各列に割り当てられた0または1の値と、各行に割り当てられた0または1の値の否定論理和(NOR)を各スイッチSW(x、y)について求め、その値が真(値1)となるスイッチSW(x、y)がオン状態であると特定するようになっている。
【0029】
このように構成された位置センサ1において、例えば、スイッチSW(1,1)のみが押された場合(スイッチSW(1,1)のみがオン状態)、x軸方向においては直列接続された抵抗Rx2,Rx3,Rx4の合成抵抗(14kΩ)に対し定電流(1mA)が供給される。このため、電圧測定手段8により測定される電圧値Vxは14Vとなる。また、y軸方向においては直列接続された抵抗Ry2,Ry3,Ry4の合成抵抗(14kΩ)に対し定電流(1mA)が供給される。このため、電圧測定手段9により測定される電圧値Vyは14Vとなる。
スイッチ特定手段10は、この測定した電圧値Vx=14Vを4ビットの2進数に変換し、変換した値(1110)の各位を図5(a)に示すようにスイッチSW(1,y)〜SW(4,y)の各列にそれぞれ割り当てる(スイッチSW(1,y)を1の位とする)。一方、測定した電圧値Vy=14Vを4ビットの2進数に変換し、変換した値(1110)の各位を図5(b)に示すようにスイッチSW(x,1)〜SW(x,4)の各行にそれぞれ割り当てる(スイッチSW(x,1)を1の位とする)。
そして、各スイッチSW(x、y)について前記割り当てられた値の否定論理和(NOR)を求め、それが真(値1)であるスイッチSW(1、1)が押されたものと特定する。
【0030】
また、例えば、スイッチSW(1,1)とスイッチSW(1,2)が同時に押された場合(スイッチSW(1,1)とスイッチSW(1,2)がオン状態)、x軸方向においては直列接続された抵抗Rx2,Rx3,Rx4の合成抵抗(14kΩ)に対し定電流(1mA)が供給される。このため、電圧測定手段8により測定される電圧値Vxは14Vとなる。また、y軸方向においては直列接続された抵抗Ry3,Ry4の合成抵抗(12kΩ)に対し定電流(1mA)が供給される。このため、電圧測定手段9により測定される電圧値Vyは12Vとなる。
スイッチ特定手段10は、この測定した電圧値Vx=14Vを4ビットの2進数に変換し、変換した値(1110)の各位を図5(a)に示すようにスイッチSW(1,y)〜SW(4,y)の各列にそれぞれ割り当てる(スイッチSW(1,y)を1の位とする)。一方、測定した電圧値Vy=12Vを4ビットの2進数に変換し、変換した値(1100)の各位を図5(b)に示すようにスイッチSW(x,1)〜SW(x,4)の各行にそれぞれ割り当てる(スイッチSW(x,1)を1の位とする)。
そして、各スイッチSW(x、y)について前記割り当てられた値の否定論理和(NOR)を求め、それが真(値1)であるスイッチSW(1、1)とスイッチSW(1,2)が同時に押されたものと特定する。
【0031】
以上のように本発明に係る第2の実施の形態によれば、X軸方向に直列に接続された複数の抵抗素子Rx1〜Rx4と、Y軸方向に直列に接続された複数の抵抗素子Ry1〜Ry4とを備え、各抵抗素子Rx1〜Rx4の抵抗値、及び各抵抗素子Ry1〜Ry4の抵抗値は、それぞれ等比数列状に異なるように設定される。
また、X軸方向とY軸方向の2次元マトリクス状に複数のスイッチSW(x、y)が配置され、それらは複数の抵抗素子Rxと複数の抵抗素子Ryとに対し共通に設けられ、それぞれ対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフするように機能する。
この構成により、複数のスイッチSW(x、y)のオン・オフ動作の全ての組み合わせにおいて、前記複数の抵抗素子Rx1〜Rx4の合成抵抗値と複数の抵抗素子Ry1〜Ry4の合成抵抗値との組み合わせは互いに異なる。
したがって、合成抵抗値に所定の定電流を供給した際の電圧値に基づき、押されたスイッチSW(x、y)の位置を容易に検出することができる。
また、この構成によれば、スイッチの数に拘わらず、端子Tx1,Tx2間の電圧値、及び端子Ty1,Ty2間の電圧値をそれぞれ測定すればよい。即ち4つの端子を用いて2カ所の電圧値を測定すればよく、スイッチSW(x、y)の数が増えても入出力ポートを増やす必要がない。
【0032】
尚、前記第2の実施形態においては、x軸方向に4列、y軸方向に4行のマトリクス状に複数のスイッチSW(x、y)を配置した例を示したが、スイッチSW(x、y)を配置するx軸方向の列数、y軸方向の行数はそれぞれ限定されるものではない。
例えば、x軸方向に8列、y軸方向に8行のような、より多数のスイッチSW(x、y)をマトリクス状に配置する構成にも適用することができる。
【0033】
また、前記第2の実施の形態にあっては、測定された電圧値Vx,Vyを2進数とし、VxをスイッチSW(x、y)の各列、VyをスイッチSW(x、y)の各行に割り当て、各スイッチSW(x、y)について割り当てられた値の否定論路和(NOR)を求めるものとしたが、その形態に限定されるものではない。
例えば、図6に示すようなルックアップテーブル30を予め記憶手段11に記憶しておき、スイッチ特定手段10が、これを参照することによりスイッチSW(x、y)のオン・オフ状態を特定するようにしてもよい。
即ち、ルックアップテーブル30には、スイッチSW(1,1)〜SW(4,4)のうち、1つまたは複数のスイッチを押した際に生じ得る組み合わせのパターン1〜256と、そのときの端子Tx1,Tx2間の電圧値Vxと端子Ty1,Ty2間の電圧値Vyが予め記録されている。このため、スイッチ特定手段10は、入力された電圧測定値Vx,Vyに基づき前記ルックアップテーブル30を参照し、各スイッチSW(x、y)のオン・オフ状態を特定することができる。
【0034】
また、前記第1、第2の実施の形態にあっては、スイッチ特定手段4(10)において、電圧測定手段3(8、9)により測定された電圧値に基づきスイッチSWのオン・オフ状態を特定する構成とした。
しかしながら、本発明は、その構成に限定されるものではない。例えば、複数のスイッチSWのオン・オフ状態の全ての組み合わせにおいて、電圧測定手段3(8)により測定される電圧値は互いに異なるため、電圧値(デジタル値)を各種動作のトリガ信号として直接的に用いてもよい。
また、スイッチSWは押しボタンスイッチとして説明したが、それに限らず電気的に接離可能な構成であれば、その他の方式のスイッチでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係る位置センサは、押圧された部位に応じて所定の動作を実行する機器、例えば、タッチパネル、ロボットの触覚センサ、医療用器具、ゲーム機器、シート状のキーボードスイッチ等において好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 位置センサ
2 定電流源(定電流供給手段)
3 電圧測定手段
4 スイッチ特定手段
5 記憶手段
6 定電流源(第1の定電流供給手段)
7 定電流源(第2の定電流供給手段)
8 電圧測定手段(第1の電圧測定手段)
9 電圧測定手段(第2の電圧測定手段)
10 スイッチ特定手段
11 記憶手段
R1〜R4 抵抗素子
Rx1〜Rx4 抵抗素子
Ry1〜Ry4 抵抗素子
Rt 温度補償用抵抗素子
Rxt 温度補償用抵抗素子
Ryt 温度補償用抵抗素子
SW スイッチ
T1 端子
T2 端子
Tx1 端子
Tx2 端子
Ty1 端子
Ty2 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の抵抗素子と、各抵抗素子に対しそれぞれ設けられ、対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフする複数のスイッチと、前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する定電流供給手段と、前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間における電圧値を測定する電圧測定手段とを備え、
前記複数の抵抗素子の抵抗値は等比数列状に異なり、前記複数のスイッチのオン・オフ状態の全ての組み合わせにおいて、前記複数の抵抗素子の合成抵抗値が互いに異なることを特徴とする位置センサ。
【請求項2】
前記電圧測定手段により測定された電圧値を前記スイッチの数に応じたビット数の2進数に変換し、変換した値の各位を各スイッチに割り当てることにより前記複数のスイッチのオン・オフ状態を特定するスイッチ特定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載された位置センサ。
【請求項3】
前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせと、前記組み合わせ毎に前記直列接続された複数の抵抗素子の両端間に生じる電圧の値が予め記録されたテーブルを記憶する記憶手段と、
前記電圧測定手段により測定された電圧値に基づき、前記テーブルを参照して前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせを特定するスイッチ特定手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載された位置センサ。
【請求項4】
X軸方向に直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の第1抵抗素子と、前記X軸に交差するY軸方向に直列接続され、互いに抵抗値の異なる複数の第2抵抗素子と、X軸方向とY軸方向の2次元マトリクス状に配置されると共に、前記第1抵抗素子及び第2抵抗素子に対し共通に設けられ、それぞれ対応する抵抗素子の抵抗負荷をオン・オフする複数のスイッチと、前記直列接続された複数の第1抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する第1の定電流供給手段と、前記直列接続された複数の第1抵抗素子の両端間における電圧値を測定する第1の電圧測定手段と、前記直列接続された複数の第2抵抗素子の両端間に所定の定電流を供給する第2の定電流供給手段と、前記直列接続された複数の第2抵抗素子の両端間における電圧値を測定する第2の電圧測定手段とを備え、
前記複数の第1抵抗素子の抵抗値、及び前記複数の第2抵抗素子の抵抗値は、それぞれ等比数列状に異なり、前記複数のスイッチのオン・オフ状態の全ての組み合わせにおいて、前記複数の第1抵抗素子の合成抵抗値と前記複数の第2抵抗素子の合成抵抗値との組み合わせが互いに異なることを特徴とする位置センサ。
【請求項5】
前記第1の電圧測定手段により測定された電圧値を前記複数のスイッチの列数に応じたビット数の2進数に変換し、変換した値の各位を前記列毎に前記複数のスイッチに割り当てると共に、前記第2の電圧測定手段により測定された電圧値を前記複数のスイッチの行数に応じたビット数の2進数に変換し、変換した値の各位を前記行毎に前記複数のスイッチに割り当て、
各スイッチについて前記割り当てられた値の否定論理和を求めることにより前記複数のスイッチのオン・オフ状態を特定するスイッチ特定手段を備えることを特徴とする請求項4に記載された位置センサ。
【請求項6】
前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせと、前記組み合わせ毎に前記直列接続された第1抵抗素子の両端間における電圧値と、前記直列接続された第2抵抗素子の両端間における電圧値とが予め記録されたテーブルを記憶する記憶手段と、
前記第一及び第二の電圧測定手段によりそれぞれ測定された電圧値に基づき、前記テーブルを参照して前記複数のスイッチによるオン・オフ状態の組み合わせを特定するスイッチ特定手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載された位置センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−4052(P2013−4052A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138060(P2011−138060)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(397072112)株式会社マルサン・ネーム (3)
【Fターム(参考)】