説明

位置判断のためにアンテナビームにウォーターマーキングすること

アンテナアレイが、単一の基地局セクタ内の1つまたは複数のビームの信号をスタガリングし得る。時間遅延ビームは、それらが搬送している信号内にウォーターマークを有し得る。次いで、受信ユニットが、そのビームを時間遅延ビームとして識別し、記憶されたデータを使用して遅延を補償し得る。受信ユニットは、ビーム識別情報を基地局に送信し、時間遅延データを受信し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に通信に関し、より詳細には、測位をサポートするための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス通信ネットワークは、ボイス、ビデオ、パケットデータ、メッセージング、ブロードキャストなどの様々な通信サービスを提供するために広く展開されている。これらのワイヤレスネットワークは、利用可能なネットワークリソースを共有することによって複数のユーザの通信をサポートすることが可能な多元接続ネットワークであり得る。そのような多元接続ネットワークの例には、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、および直交FDMA(OFDMA)ネットワークがある。
【0003】
ワイヤレスネットワーク中の端末のロケーションを知ることがしばしば望ましく、時々必要である。「ロケーション」と「位置(position)」という用語は同義であり、本明細書では互換的に使用される。たとえば、ユーザは、端末を利用してウェブサイトをブラウズし、ロケーションセンシティブコンテンツ(location sensitive content)をクリックすることがある。その場合、ユーザに適切なコンテンツを提供するために端末のロケーションが判断され、使用され得る。端末のロケーションの知識が有用または必要である、多数の他のシナリオがある。
【0004】
端末のロケーションを判断するために、様々な測位方法が使用され得る。各測位方法は、端末についてのロケーション推定値を計算するために、いくつかの情報を使用し、端末および/またはロケーションサーバにおけるいくつかの能力を必要とし得る。リソースを節約し、遅延を低減するために、効率的な方法で測位することをサポートすることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本明細書では、端末の測位をサポートするための技法について説明する。測位とは、ターゲットデバイスの地理的ロケーション推定値を測定/計算するプロセスを指す。ロケーション推定値は、位置推定値、位置フィックスなどと呼ばれることもある。測位は、様々なロケーションアーキテクチャ/ソリューションを用いてサポートされ得る。
【0006】
一態様では、アンテナアレイが、単一の基地局セクタ内の1つまたは複数のビームの信号をスタガリング(stagger)し得る。(1つまたは複数の)時間遅延ビームは、それらが搬送している信号内にウォーターマーク(watermark:透かし)を有し得る。次いで、受信ユニットが、そのビームを時間遅延ビームとして識別し、遅延を補償し得る。
【0007】
本開示の様々な態様および特徴について以下でさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】異なる無線アクセスネットワークの展開を示す図。
【図2】アンテナアレイから来る複数のビームを伴う基地局を示す図。
【図3】アンテナアレイから来るオーバーレイビームを伴う基地局を示す図。
【図4】ウォーターマーキングされた信号を使用して測位タスクを実行するためのフローチャート。
【図5】本開示の態様を実装するための通信環境を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記のように、モバイルデバイスのロケーションを判断する能力は有益であり、さらには必要であり得る。いくつかの測位技法が現在利用可能である。ただし、いくつかの状況下では、十分な精度でロケーションを取得することは困難であり得る。
【0010】
いくつかの測位技法は、ワイヤレスアクセスポイント、基地局など、ネットワークインフラストラクチャからの信号に基づく測定を含む。例は、アドバンストフォワードリンク三辺測量(AFLT)、強化観測時間差(E−OTD)、および観測到達時間差(OTDOA)を含み、より一般的には、地上範囲ベースの技法と呼ばれ得る。さらに、いくつかの地上測定を含むハイブリッド測位技法が使用され得る(たとえば、GPSとAFLTとのハイブリッド組合せ)。
【0011】
一部のネットワークインフラストラクチャは、信号がネットワークインフラストラクチャデバイスの異なるアンテナ上でブロードキャストされ、ネットワークインフラストラクチャデバイスが、ブロードキャストされた信号のうちの1つまたは複数に所定の遅延を導入する、スマートアンテナアーキテクチャを含み得る。導入された遅延は、モバイルデバイスにおける到着時間測定値に遅延を追加し、それにより、遅延を知らずに到着時間測定値が使用された場合、位置データが不正確になり得る。いくつかの実装形態では、基地局の複数のビームが異なる所定の遅延をそれぞれ有し得、それにより、状況がさらに複雑になり得る。本明細書のシステムおよび技法は、スマートアンテナシステムが実装されている場合でも、より正確で信頼できる位置推定値を与える。
【0012】
図1に、本システムおよび技法が実装され得る環境を示す。図1は、Global System for Mobile Communications(GSM(登録商標))ネットワーク110aと、広帯域符号分割多元接続(WCDMA)ネットワーク110bと、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク110cと、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)110dとを含む、異なる無線アクセスネットワーク(RAN)の例示的な展開を示す。無線アクセスネットワークは、端末のための無線通信をサポートし、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスメトロポリタンエリアネットワーク(WMAN)、またはWLANの全部または一部であり得る。たとえば、WWANは、無線アクセスネットワーク、コアネットワーク、および/または他のネットワークを含み得、簡単のために、無線アクセスネットワーク部分のみを図1に示す。無線アクセスネットワークは、無線ネットワーク、アクセスネットワークなどとも呼ばれ得る。GSMネットワーク110a、WCDMAネットワーク110b、およびCDMAネットワーク110cは、それらのカバレージエリア内の端末のための無線通信をサポートする任意の数の基地局をそれぞれ含み得る。WLAN110dは、これらのアクセスポイントに関連する端末のための無線通信をサポートする任意の数のアクセスポイント(WLAN AP)を含み得る。
【0013】
モバイルデバイス120などの端末は、通信サービス、データサービス、および/または他のサービスを取得するために所与の瞬間において、GSMネットワーク110a、WCDMAネットワーク110b、CDMAネットワーク110c、および/またはWLAN110dと通信し得る。モバイルデバイス120はまた、測定を行うために、またはそれのロケーションを計算する際に有用な情報を取得するために、これらのネットワークからの信号を単に受信し得る(たとえば、モバイルデバイス120は、WCDMAネットワーク110bを使用して通信するが、測位のためにWLAN110dからの信号を使用し得る)。モバイルデバイス120は、移動局、ユーザ機器、加入者局、局などと呼ばれ得る。端末は、セルラー電話、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ワイヤレスデバイス、ラップトップコンピュータ、ワイヤレスモデム、コードレス電話、テレメトリデバイス、追跡デバイスなどであり得る。モバイルデバイス120は、SUPLではSUPL対応端末(SET)とも呼ばれ得る。
【0014】
モバイルデバイス120は、衛星についての擬似距離測定値を取得するために、衛星190から信号を受信し、測定し得る。衛星190は、米国の全地球測位システム(GPS)、欧州のGalileoシステム、ロシアのGLONASSシステム、または何らかの他の衛星測位システム(SPS)の一部であり得る。モバイルデバイス120はまた、WLAN110d中のアクセスポイントおよび/または無線アクセスネットワーク110a、110bおよび/または110c中の基地局など、ネットワークインフラストラクチャからの信号を受信し、測定して、ネットワークインフラストラクチャについてのタイミングおよび/または信号強度測定値を取得し得る。モバイルデバイス120は、1つの無線アクセスネットワークと通信し、同じ時間にまたはより早い時間に、他の無線アクセスネットワーク中のアクセスポイントおよび/または基地局からの信号を受信し、測定して、これらの他のアクセスポイントおよび/または基地局についての測定値を取得し得る。衛星190についての測定値ならびに/あるいはアクセスポイントおよび/または基地局についての測定値は、モバイルデバイス120のロケーションを判断するために使用され得る。
【0015】
基地局130は、モバイルデバイスのためのロケーションサービスおよび/または測位をサポートするために、モバイルデバイス120と通信し得る。基地局130とモバイルデバイス120との間の通信は、無線アクセスネットワーク110a〜110dのいずれか1つおよび/または他のネットワークを介し得る。モバイルデバイス120は、1つまたは複数の測位方法をサポートし得る。たとえば、モバイルデバイス120は、衛星信号を受信し、処理する受信機回路を含むこと、地上信号を受信し、処理する回路を含むことなどがあり得る。
【0016】
1つまたは複数のネットワークデバイス140は、測位技法のための支援を与え得る。たとえば、1つまたは複数のネットワークデバイス140は、モバイルデバイス120のための粗位置推定値に関連する情報(サービングセル/セルセクタの識別など)を受信し、測位を改善するために、モバイルデバイス120に支援情報を提供し得る。さらに、1つまたは複数のネットワークデバイス140は、モバイルデバイス120から擬似距離情報、地上測位情報、または他の情報を受信し、その情報を使用して測位計算を実行し得る。
【0017】
図2に、アンテナアレイを使用する基地局200が3つの異なるアンテナから3つの信号201、202、203をビームする一例を示す。この例では、3つの信号201、202、203は、地理的カバレージにおいていくぶん重複している。3つの信号201、202、203の1つまたは複数は、時間遅延(時間ディザリング(time dithered))され得る。これは、アンテナアレイのより良い働きに関係する理由のためか、またはハードウェア制限によるか、または他の理由のために行われ得る。いくつかの態様では、3つの信号は、位相、周波数、または別のパラメータに関して異なり得る。
【0018】
図3に、地理的カバレージにおいて実質的に重複する、第1の信号221と第2の信号222とを送信する基地局220を示す。基地局220中の回路が、2つの信号221、222の一方または両方に、所定の時間遅延を導入し得る。所定の時間遅延の量は、信号221と信号222とに対して異なり得る。上記のように、遅延は、アンテナアレイのより良い働きに関係する理由のためか、またはハードウェア制限によるか、または他の理由のために導入され得る。いくつかの態様では、信号221と信号222とは、位相、周波数、または別のパラメータのうちの1つまたは複数に関して異なり得る。
【0019】
時間遅延される1つまたは複数の信号を伴うアンテナアレイの場合、遅延は、測位測定の精度に対して影響を及ぼし得る。ただし、この不正確さは、個々の信号源を識別し、特定の信号源に関連する遅延情報にアクセスすることによって対処され得る。
【0020】
所与の信号における遅延が測位測定精度に有する影響に対処するために、ウォーターマーク識別子が使用され得る。いくつかの実施形態では、ウォーターマークは、(順方向リンク上で)ネットワークインフラストラクチャの特定のアンテナによってモバイルデバイスに送信された信号上の周波数変調シグナチャとして実装され得る。
【0021】
一態様では、ウォーターマーク識別子は、モバイルデバイスによって受信された信号の処理を可能にし得る任意のタイプのデータを含み得る。たとえば、ウォーターマーク識別子は、アレイ中の特定のアンテナからビームされる信号に導入された遅延時間など、主要ないくつかの情報を含み得る。代替的に、ウォーターマーク識別子は信号を単に識別し得、信号は、信号がビームされたアンテナを識別する。次いで、信号の受信機は、信号に対して遅延補正を実行するために、信号に関連するデータを取り出し得る。データの少なくとも一部は、モバイルデバイスのメモリに、ネットワークインフラストラクチャデバイスにおいて、または組合せで記憶され得る。
【0022】
一態様では、ウォーターマーク識別子は、ビーム信号の少なくとも1つのプロパティまたはパラメータを識別する。モバイルデバイスは、信号によって導入される影響を考慮するために、信号を復号することができる。たとえば、モバイルデバイスが遅延時間を補償することができるように、ウォーターマークは、ビーム信号に関連する遅延時間を識別し得る。
【0023】
図4に、ビーム信号を識別するためにウォーターマークを利用するプロセス300の設計を示す。310において、モバイルデバイスは、基地局からビーム信号を受信する。モバイルデバイスは、モバイルデバイスが通信している無線アクセスネットワークのためのセルおよび他の情報を取得し得る。次いで、320において、モバイルデバイスは、受信した信号を処理して、ビーム信号のプロパティを識別するウォーターマーク識別子を受信した信号から抽出する。識別子は、信号が受信されたビームを識別する。いくつかの態様では、識別されたビームは、アンテナアレイをもつ基地局の場合と同様に、同じ基地局からの多くのビームのうちの1つになる。
【0024】
そのプロセス中の別のステップでは、必要な場合、330において、特定のビームに関係する情報を取り出す。いくつかの態様では、モバイルデバイスは、ビーム関係情報があることを示すウォーターマーク識別子があるかどうかを判断するために、信号から受信したデータを探索する。いくつかの態様では、信号は、時間遅延、位相シフト、または他の情報など、ビームについての情報を含んでいるデータを含み得る。いくつかの態様では、モバイルデバイスは、アルマナック(almanac)など、その中のデータベースにビーム情報を含んでおり、ビームの識別に基づいてビーム情報を取り出すことが可能である。いくつかの態様では、モバイルデバイスは、ビームを識別し、次いで、ネットワークからビーム情報を取り出すためにネットワークと通信する。
【0025】
モバイルデバイスがビームディザリング関係情報を取り出した後、340において、モバイルデバイスは、ディザリングされたビームの影響を考慮するタスクを実行することができる。概して、地上測位測定では、特定の信号の送信時間とその信号がモバイルデバイスにおいて受信された時間との間の差を判断する。その差は、送信機と受信機との間の距離を示す。ただし、信号が送信の前に遅延されると、その信号の見掛けの送信時間は、それの実際の送信時間の前であり、これは、送信機とモバイルデバイスとの間の距離が真の距離よりも大きいことを示すことになる。この不正確さを訂正するために、遅延は、特徴づけられ、次いで減算されて、位置推定値を改善し得る。
【0026】
訂正の実装形態は、特定の通信システムに依存する。信号の送信と基地局における到着時間との間の時間がパイロット位相を使用して判断される実装形態では、遅延の導入を考慮するために、遅延が、判断された位相から減算され得る。多くの異なる実装形態が可能であり、受信時間、送信時間、その差、または組合せを示す情報は、信号における遅延を考慮するために変更され得る。
【0027】
いくつかの態様では、モバイルデバイスは、ディザリングされたビームの影響を考慮するタスクを実行するときに、対話式にネットワークを利用し得る。いくつかの態様では、タスク実行がモバイルデバイス内で行われる。
【0028】
次いで、350において、ビームをディザリングする影響を考慮に入れる情報を使用して、位置測定を計算することができる。いくつかの態様では、モバイルデバイスは、位置測定を行うときに、対話式にネットワークを利用し得る。いくつかの態様では、位置測定がモバイルデバイス内で行われる。完了すると、位置測定は、ディザリングの影響を考慮に入れることなしに判断された位置測定よりも正確になる。
【0029】
例示的なMS支援位置ロケーション実装形態では、モバイルデバイスは、受信信号情報(基地局のアレイ中の特定の送信アンテナを識別する抽出されたウォーターマーク識別子、基地局識別情報、および/または到着時間情報など)を、位置判断エンティティ(PDE)などのネットワークリソースに送信し得る。ネットワークリソースは、たとえば、基地局アルマナック(BSA)中の情報にアクセスすることによって、特定のウォーターマークに関連するアンテナについての遅延量を判断し得る。ネットワークリソースは、アンテナについての遅延量を使用してさらなる位置計算を実行し得る。たとえば、ネットワークリソースは、遅延情報を使用して到着時間情報を変更し、次いで、その結果を他の測定値(たとえば、モバイルデバイスと他のネットワークインフラストラクチャデバイスおよび/または衛星との間の距離を示す測定値)と組み合わせることによって、三辺測量技法を使用して、モバイルデバイスについての位置情報を判断し得る。
【0030】
他の実装形態では、モバイルデバイス自体が、より多くの処理を行い得る。たとえば、モバイルデバイスは、特定のアンテナに関連する遅延に関する情報についてネットワークリソースに問い合わせ、次いで、その遅延情報を使用して、アンテナとデバイスとの間の擬似距離を判断し得、または(通常、いくつかの測定値を使用して)それの位置を判断することさえ行い得る。
【0031】
上記の技法を実装するために使用される装置は、いくつかの特徴を含み得る。たとえば、図1の端末120などのモバイルデバイスは、上記の技法を実装するためのメモリおよびプロセッサモジュールを含み得る。たとえば、モバイルデバイスは、ビーム情報を記憶するように構成され得る。ビーム情報は、(たとえば)関連するビーム指示をもつサービングセルアイデンティティ、周波数、コード、および/またはタイミングなどのチャネル情報、受信信号強度またはサービス品質および近隣セル測定値を含むことができる。モバイルデバイスはまた、上記で説明した技法を実装するためのハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または組合せを含み得る。たとえば、モバイルデバイスは、ビーム識別情報をフォーマットし、送信するように構成され得る。
【0032】
同様に、(1つまたは複数の)ネットワークデバイスは、ビーム識別情報を使用して、モバイルデバイスについてのより正確な近似位置情報を与えることができる。たとえば、(1つまたは複数のサーバを含み得る)ネットワークシステムは、ビーム識別情報を受信し、そこからより正確な近似位置情報を判断し得る。
【0033】
図5に、本技法が使用され得る例示的な通信環境500を示す。モバイルデバイス120は、信号を受信するための1つまたは複数のアンテナ121を含む。いくつかの実施形態では、モバイルデバイス120は、衛星信号、セルラー基地局からの信号、(WLANアクセスポイント、ブルートゥースデバイス、または他のデバイスと通信するように構成された他のワイヤレスデバイスであり得る)ワイヤレスアクセスポイントからの信号を受信するためのアンテナを含み得る。モバイルデバイス120は、本開示の技法を実装するためのプロセッサ122とメモリ123とを含むが、モバイルデバイス120はまた、通信、データ処理、ロケーション技法などのための信号処理および調整回路などの多くの他のタイプの回路を含み得る。簡単のために、ここでは追加の回路を示していない。
【0034】
環境500は、複数のアンテナ要素131Aおよび131Bをもつ基地局130などのデバイスを含み、アンテナ要素は、特定の信号を送信するように構成されたアンテナまたはアンテナの部分を指す。要素131A、要素131Bのいずれか、またはその両方によって送信される信号は、アンテナ要素を識別する情報を含む。基地局130は、開示する技法のための情報および/または処理リソースを与え得る、(1つまたは複数の)ネットワークデバイス140と通信していることがある。前のセクションに示したように、(1つまたは複数の)ネットワークデバイスは、特定のウォーターマークを、そのウォーターマークを使用するアンテナの特性に関連付けるアルマナック情報を含み得る。次いで、ウォーターマークを使用するアンテナの特性は、測位プロセスにおいて使用され得る。
【0035】
環境500は、第1のアンテナ136Aと第2のアンテナ136Bとを含むアクセスポイント135をさらに含み、第1のアンテナ136A、第2のアンテナ136Bのいずれか、またはその両方によって送信される信号は、アンテナを識別する情報を含む。基地局130に関して上記したように、アクセスポイント135は、(1つまたは複数の)ネットワークデバイス140と通信していることがある。多くの構成が使用され得ることに留意されたい。たとえば、基地局130およびアクセスポイント135の両方と通信しているモバイルデバイス120は、基地局130に関連する(1つまたは複数の)ネットワークデバイス140から情報および/または処理支援を受信し得、アクセスポイント135に関連するネットワークリソースから情報および/または処理支援を受信しないことがある。別の例では、ネットワーク支援は基地局130とアクセスポイント135の両方から入手可能であり得るが、ネットワークデバイス140は、場合によってはまったく異なり得る。
【0036】
モバイルデバイス120がアンテナ要素131Aおよび131Bを有する基地局130と通信している一例では、モバイルデバイス120は、(同時にまたは異なる時間に)アンテナ要素131Aと131Bの両方から信号を受信し得る。信号は、アンテナ要素131A、131Bのいずれかまたは両方に関連するウォーターマーク識別情報を判断するために、プロセッサ122を使用して処理され得る。モバイルデバイス120は、第1の信号もしくは第2の信号またはその両方を使用して判断されるモバイルデバイス120の位置を示す位置情報を与え得る。たとえば、受信された信号が処理され、第1の信号がそれのウォーターマークによって識別され得る。送信アンテナ要素のアイデンティティが確認されると、(ディザリング情報などの)そのアンテナの特性が測位技法において使用され得る。モバイルデバイス120のためのオンデバイス処理は、(単一の要素として実装され得るか、または一般的な処理回路および/または実装される技法の特定の処理要件のために設計された回路を含むことができる、複数の要素からの処理リソースを包含することができる)プロセッサ122を使用して達成され得る。メモリ123は、ソフトウェア命令(たとえば、受信信号とともに含まれるウォーターマーク情報を判断するための命令)および/または(ウォーターマーク情報を、そのウォーターマークを有する特定のアンテナの特性に関連付けるアルマナックデータなどの)データを記憶することができる。
【0037】
上記の測位技法は、いくつかのネットワーク環境において使用され得る。本明細書では、ワイヤレスネットワークにおける測位をサポートするための技法について説明している。本技法は、ワイヤレスワイドエリアネットワーク(WWAN)、ワイヤレスメトロポリタンエリアネットワーク(WMAN)、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、ブロードキャストネットワークなどの様々なワイヤレスネットワークに使用され得る。「ネットワーク」および「システム」という用語は、しばしば互換的に使用される。
【0038】
WWANは、たとえば、市、州、または国全体などの大きい地理的エリアに通信カバレージを与えるワイヤレスネットワークである。WWANは、CDMAネットワーク、TDMAネットワーク、FDMAネットワーク、OFDMAネットワークなどのセルラーネットワークであり得る。CDMAネットワークは、広帯域CDMA(WCDMA)、cdma2000、時分割同期符号分割多元接続(TD−SCDMA)などの無線技術を実装し得る。cdma2000は、IS−2000、IS−95、およびIS−856規格をカバーする。TDMAネットワークは、Global System for Mobile Communications(GSM)などの無線技術を実装することができ得る。OFDMAネットワークは、Ultra Mobile Broadband(UMB)、Long Term Evolution(LTE)、Flash−OFDM(登録商標)などの無線技術を実装することができ得る。これらの様々な無線技術および規格は当技術分野で知られている。WCDMA、GSMおよびLTEは、「3rd Generation Partnership Project」(3GPP)という名称の組織からの文書に記載されている。CDMAおよびUMBは、「3rd Generation Partnership Project 2」(3GPP2)と称する組織からの文書に記載されている。3GPPおよび3GPP2の文書は公に入手可能である。
【0039】
WLANは、たとえば、建築物、店、モール、家庭などの小さいまたは中間の地理的エリアに通信カバレージを与えるワイヤレスネットワークである。WLANは、IEEE802.11、Hiperlanなどによって規定されたものなどの無線技術を実装することができ得る。WMANは、IEEE802.16によって規定されたものなどの無線技術を実装することができ得る。IEEE802.11と802.16とは、米国電気電子技術者協会(IEEE)からの2つの規格ファミリーである。IEEE802.11ファミリーは、802.11a、802.11b、802.11gおよび802.11n規格を含み、一般にWi−Fi(登録商標)と呼ばれる。IEEE802.16ファミリーは、802.16eおよび802.16m規格を含み、一般にWiMAXと呼ばれる。
【0040】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア実装の場合、それらの技法は、本明細書で説明する機能を実行するコード(たとえば、手順、機能、モジュール、命令など)を用いて実装され得る。概して、ファームウェアおよび/またはソフトウェアコードを有形に実施するコンピュータ/プロセッサ可読媒体は、本明細書で説明する技法を実装する際に使用され得る。たとえば、ファームウェアおよび/またはソフトウェアコードは、メモリに記憶され、プロセッサによって実行され得る。メモリは、プロセッサ内またはプロセッサの外部で実装され得る。ファームウェアおよび/またはソフトウェアコードはまた、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD(登録商標))、デジタル多用途ディスク(DVD(登録商標))、磁気または光データ記憶デバイスなど、コンピュータ/プロセッサ可読媒体に記憶され得る。コードは、1つまたは複数のコンピュータ/プロセッサによって実行可能であり得、(1つまたは複数の)コンピュータ/プロセッサに、本明細書で説明する機能のいくつかの態様を実行させ得る。
【0041】
本開示の前述の説明は、いかなる当業者でも本開示を作成または使用することができるように提供される。本開示への様々な修正は当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義した一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用することができ得る。したがって、本開示は、本明細書で説明する例および設計に限定されるものではなく、本明細書で開示する原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイルデバイスの位置を判断するための方法であって、
モバイルデバイスにおいて、特定のネットワークインフラストラクチャの第1のアンテナ要素からの第1の信号と、前記特定のネットワークインフラストラクチャの第2のアンテナ要素からの第2の信号とを受信することと、
前記第1のアンテナ要素を示す第1のウォーターマーク識別情報を判断するために前記第1の信号を処理することと、
前記モバイルデバイスの前記位置を示す位置情報を与えることであって、前記位置情報が、前記第1の信号もしくは前記第2の信号、またはその両方を使用して判断される、与えることと
を備える、方法。
【請求項2】
前記第1のウォーターマーク識別情報が、前記第1のアンテナ要素の前記第1の信号の少なくとも1つのプロパティを識別する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モバイルデバイスの前記位置を示す位置情報を与えることが、ネットワークインターフェース上で位置情報を受信することと、前記位置情報を記憶することとを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の信号の少なくとも1つのプロパティにアクセスすることをさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の信号の少なくとも1つのプロパティにアクセスすることが、ネットワークリソースから受信した前記第1の信号についての時間遅延情報にアクセスすることを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のウォーターマークが、前記第1の信号についての時間遅延情報を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記位置情報が、前記第1の信号についての前記時間遅延情報を使用して判断される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のアンテナ要素を示す第2の異なるウォーターマーク識別情報を判断するために前記第2の信号を処理することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ネットワークデバイスにおいて、基地局の第1のアンテナ要素からのモバイルデバイスにおいて受信された第1の信号についての第1の信号識別情報と、前記モバイルデバイスにおける前記第1の信号の到着時間を示す到着時間情報とを受信することと、
前記ネットワークデバイスにおいて、前記基地局の第2のアンテナ要素からの前記モバイルデバイスにおいて受信された第2の信号についての第2の信号識別情報と、前記モバイルデバイスにおける前記第2の信号の到着時間を示す到着時間情報とを受信することと、
前記モバイルデバイスにおける前記第1の信号の前記到着時間、前記モバイルデバイスにおける前記第2の信号の前記到着時間、またはその両方を使用して前記モバイルデバイスの位置を判断することと
を備える、方法。
【請求項10】
前記モバイルデバイスの前記判断された位置を前記モバイルデバイスに送信するステップをさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の信号に関連する第1の遅延時間、前記第2の信号に関連する第2の遅延時間、またはその両方を判断することをさらに備え、前記モバイルデバイスの前記位置を判断することが、前記第1の遅延時間、前記第2の遅延時間、またはその両方を使用して前記モバイルデバイスの前記位置を判断することを備える、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の信号が前記第2の信号に対して遅延した信号であると判断することをさらに備え、前記モバイルデバイスの前記位置を判断することが、前記第1の信号ではなく前記第2の信号を使用して前記モバイルデバイスの前記位置を判断することを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
特定のネットワークインフラストラクチャの第1のアンテナ要素からの第1の信号と、前記特定のネットワークインフラストラクチャの第2のアンテナ要素からの第2の信号とを受信するための手段と、
前記第1のアンテナ要素を示す第1のウォーターマーク識別情報を判断するために、前記第1の信号を処理するための手段と、
モバイルデバイスの位置を示す位置情報を与えるための手段であって、前記位置情報が、前記第1の信号もしくは前記第2の信号、またはその両方を使用して判断される、与えるための手段と
を備える、モバイルデバイス。
【請求項14】
前記第1のウォーターマーク識別情報が、前記第1のアンテナ要素の前記第1の信号の少なくとも1つのプロパティを識別する、請求項13に記載のモバイルデバイス。
【請求項15】
前記モバイルデバイスの前記位置を示す位置情報を生成するための手段が、ネットワークインターフェース上で位置情報を受信するための手段と、前記位置情報を記憶するための手段とを備える、請求項13に記載のモバイルデバイス。
【請求項16】
前記第1の信号の少なくとも1つのプロパティにアクセスするための手段をさらに備える、請求項14に記載のモバイルデバイス。
【請求項17】
前記第1のビーム信号の少なくとも1つのプロパティにアクセスするための手段が、前記第1の信号についての時間遅延情報にアクセスするための手段を備える、請求項16に記載のモバイルデバイス。
【請求項18】
前記第1のウォーターマーク識別情報が、前記第1の信号についての時間遅延情報を含む、請求項13に記載のモバイルデバイス。
【請求項19】
前記位置情報が、前記第1の信号についての前記時間遅延情報を使用して判断される、請求項17に記載のモバイルデバイス。
【請求項20】
前記第2のアンテナ要素を示す第2の異なるウォーターマーク識別情報を判断するために前記第2の信号を処理するための手段をさらに備える、請求項13に記載のモバイルデバイス。
【請求項21】
基地局の第1のアンテナ要素からのモバイルデバイスにおいて受信された第1の信号についての第1の信号識別情報と、前記モバイルデバイスにおける前記第1の信号の到着時間を示す到着時間情報とを受信するための手段と、
前記基地局の第2のアンテナ要素からの前記モバイルデバイスにおいて受信された第2の信号についての第2の信号識別情報と、前記モバイルデバイスにおける前記第2の信号の到着時間を示す到着時間情報とを受信するための手段と、
前記モバイルデバイスにおける前記第1の信号の前記到着時間、前記モバイルデバイスにおける前記第2の信号の前記到着時間、またはその両方を使用して前記モバイルデバイスの位置を判断するための手段と
を備える、ネットワークデバイス。
【請求項22】
前記モバイルデバイスの前記判断された位置を前記モバイルデバイスに送信するための手段をさらに備える、請求項21に記載のネットワークデバイス。
【請求項23】
前記第1の信号に関連する第1の遅延時間、前記第2の信号に関連する第2の遅延時間、またはその両方を判断するための手段をさらに備え、前記モバイルデバイスの前記位置を判断することが、前記第1の遅延時間、前記第2の遅延時間、またはその両方を使用して前記モバイルデバイスの前記位置を判断することを備える、
請求項21に記載のネットワークデバイス。
【請求項24】
前記第1の信号が前記第2の信号に対して遅延した信号であると判断するための手段をさらに備え、前記モバイルデバイスの前記位置を判断するための手段が、前記第1の信号ではなく前記第2の信号を使用して前記モバイルデバイスの前記位置を判断するための手段を備える、請求項21に記載のネットワークデバイス。
【請求項25】
第1のアンテナと第2のアンテナとを有する特定の送信機からの信号を受信するためのアンテナであって、前記特定の送信機が、前記第1のアンテナ、前記第2のアンテナ、またはその両方によって送信される信号中にアンテナアイデンティティを示すウォーターマーク情報を含めるように構成された、アンテナと、
ウォーターマーク情報を判断するために前記受信した信号を処理することと、
前記判断されたウォーターマーク情報に基づいてモバイルデバイスの位置を示す位置情報を与えることと
を行うように構成されたプロセッサ回路と
を備える、モバイルデバイス。
【請求項26】
前記モバイルデバイスが、複数のアンテナの各々についてのウォーターマーク情報に関連する前記複数のアンテナの特性を示す情報を記憶するためのメモリをさらに含み、前記プロセッサ回路が、
前記第1のアンテナに関連する判断されたウォーターマーク情報を使用して、前記第1のアンテナの1つまたは複数の特性を示す情報にアクセスすることと、
前記第1のアンテナの前記1つまたは複数の特性を示す前記情報を使用して、前記第1のアンテナから前記モバイルデバイスまでの距離を示す擬似距離情報を判断することと
を行うようにさらに構成され、
前記プロセッサが、前記擬似距離情報を使用して前記位置情報を与えるように構成された、
請求項25に記載のモバイルデバイス。
【請求項27】
前記モバイルデバイスが、通信中の前記第1のアンテナの前記1つまたは複数の特性を示す前記情報を受信し、前記メモリに前記情報を記憶するように構成された、請求項26に記載のモバイルデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−500473(P2013−500473A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521791(P2012−521791)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042946
【国際公開番号】WO2011/011628
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】