位置検出装置及びシフトレバー装置
【課題】検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる位置検出装置及びシフトレバー装置を提供する。
【解決手段】シフトレバーのセレクト方向とシフト方向両側とにそれぞれMR素子を3つ設けて3重系とする。また、MR素子のセンサ出力によりシフトレバーの位置を判定するに際して、MR素子のH/Lの出力レベルが切り換わったときの値のみで判定するのではなく、切り換わり後の現在値と、その値に変化する前値とをセットにして取り込み、この出力変化組合せからシフトレバーの操作位置を判定する。
【解決手段】シフトレバーのセレクト方向とシフト方向両側とにそれぞれMR素子を3つ設けて3重系とする。また、MR素子のセンサ出力によりシフトレバーの位置を判定するに際して、MR素子のH/Lの出力レベルが切り換わったときの値のみで判定するのではなく、切り換わり後の現在値と、その値に変化する前値とをセットにして取り込み、この出力変化組合せからシフトレバーの操作位置を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材の位置を検出する位置検出装置及びシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品が移動した際の位置を見る位置検出技術(特許文献1,2等参照)が種々開発されている。この種の位置検出装置としては、例えば磁気センサや光センサを使用し、これらセンサから出力されるセンサ信号がHレベル又はLレベルのどちらをとるのかを見ること、つまりその時々のセンサ信号自体がどのような値をとっているのかのみを見ることにより、物品の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−154868号公報
【特許文献2】特開2005−36837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサ故障の一種には、例えばセンサ出力がHレベルに張り付いてしまう電圧固着がある。前述したようなセンサの値のみで位置判定する場合、センサに電圧固着の故障が発生していると、例えば位置検出装置が物品の位置を確認しにいった際、その時点でセンサ出力が既にHレベルに切り換わってしまっているので、物品が操作されていないにも拘らず、センサからはH信号が出力されてしまう。このため、センサが誤ったセンサ信号を出力するので、位置が誤判定される問題があった。
【0005】
本発明の目的は、検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる位置検出装置及びシフトレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、操作部材の操作位置を検出する位置検出装置において、前記操作部材を操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記操作部材の位置を判定する位置判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、検出手段の出力信号から操作部材の位置を判定するに際して、出力信号の値のみで判定するのではなく、検出手段の現在値と、その値に変化する前の前値とをセットにして出力変化組合せを割り出し、この出力変化組合せから操作位置を判定する。このため、もし仮に位置判定の前に検出手段の出力がHやLに張り付く電圧固着故障が発生した場合には、このとき検出手段から出力される出力信号では位置検出が行われないので、検出手段の故障を要因とする操作位置の誤判定を生じ難くすることが可能となる。
【0008】
本発明では、前記検出手段は、故障対応をとるためにメイン及びサブの位置付けで少なくとも3つ以上設けられ、前記位置判定手段は、前記検出手段の少なくとも2つの出力レベルが同時に切り換わることを確認すると、操作有りと判定することを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、検出手段を3つ以上設けたので、位置検出装置が3重以上の重系とすることが可能となる。よって、もし仮に3重系の検出手段のうちの1つが故障しても、残りの2つの検出手段によって正確に操作部材の位置を見ることが可能となるので、検出手段の1個故障に対応することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記操作部材は、互いに直交する第1操作方向及び第2操作方向の2方向に操作可能であり、前記検出手段は、前記第1操作方向及び前記第2操作方向のそれぞれに設けられ、前記位置判定手段は、前記第1操作方向側の前記検出手段によって前記第1操作方向の位置を検出するとともに、前記第2操作方向側の前記検出手段によって前記第2操作方向の位置を検出することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、操作部材が2方向に操作される装置に本構成を採用するので、操作部材が2方向に動く場合であっても、より正確に各方向の操作位置を判定することが可能となる。
【0012】
本発明では、前記検出手段は、その出力が少なくとも2段階以上のレベル変化をとり、前記位置判定手段は、前記操作部材が同一方向に操作された過程で、前記検出手段の出力が、ある時間幅を満たした2段階以上のレベル変化をとることを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定することを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、検出手段の出力が所定時間幅を満たしながら2段階変化して始めて操作有りと判定するので、単なるH/Lの変化で操作有無を判定する場合に比べて、操作有無を精度よく判定することが可能となる。
【0014】
本発明では、シフトレバーを操作してシフト位置を切り換えるシフトレバー装置において、前記シフトレバーを操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記シフトレバーの位置を判定する位置判定手段とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態におけるシフトレバー装置の概略構成を示す断面図。
【図2】シフトレバーの操作位置パターンを示す説明図。
【図3】MR素子の配置パターンを示す配置図。
【図4】(a)はMR素子の回路構成を示す等価図、(b)はMR素子の出力信号を示す波形図。
【図5】位置検出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図6】シフトレバーの位置判定時に使用する位置判定テーブル図。
【図7】シフトレバーをH→N→Rに操作した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図8】シフトレバーをR→N→Hに戻す際のセンサ出力遷移を示す表。
【図9】3重系のMR素子の1つが故障した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図10】3重系のMR素子の2つが故障した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図11】(a)は別例におけるシフトレバーの操作態様を示す模式図、(b)はMR素子の配置パターンと、各位置での出力をまとめた表。
【図12】(a)は別例におけるMR素子の回路構成を示す等価図、(b)はその出力信号を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を車両の位置検出装置及びシフトレバー装置に具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1に示すように、シフトレバー装置20には、装置本体2に対して略十字方向に傾倒操作可能なシフトレバー3が設けられている。装置本体2には、シフトレバー3の装置幅方向(セレクト方向S)の傾動を可能とするセレクト側軸部4が回動可能に取り付けられている。また、セレクト側軸部4には、シフトレバー3のレバー本体5が装置奥行き方向(シフト方向M)に傾動可能となるようにシャフト6により軸支されている。シフトレバー3は、セレクト側軸部4を軸心としてセレクト方向Sに傾倒可能であるとともに、シャフト6を軸心としてシフト方向Mに傾倒可能である。なお、シフトレバー3が操作部材に相当し、セレクト方向Sが第1操作方向に相当し、シフト方向Mが第2操作方向に相当する。
【0018】
図2に示すように、シフトレバー3は、セレクト方向Sに沿ってホーム位置(H位置)と、ニュートラル位置(N位置)とに操作可能である。また、シフトレバー3は、ホーム位置からシフト方向Mに沿って+位置又は−位置に操作可能であり、かつニュートラル位置からリバース位置(R位置)又はドライブ位置(D位置)に操作可能である。+位置は、の自動変速機のギヤを上げる際の位置で、−位置は自動変速機のギヤを下げる際の位置である。シフトレバー3は、各位置に操作後に手を離すと、自動でホーム位置に戻るモーメンタリ式となっている。
【0019】
図3に示すように、シフトレバー装置20には、シフトレバー3の操作位置を検出する位置検出装置7が設けられている。本例の位置検出装置7は、シフトレバー3の位置を見るセンサとしてMR素子(Magneto Resistive素子)1を使用し、そのセンサ出力の値のみでシフトレバー3の位置判定を行うのではなく、その値に切り換わる以前の前値と、今のセンサ出力である現在値とをセットにして、シフトレバー3の位置を判定する装置である。MR素子1は、磁気抵抗効果(MRE:Magneto Resistive Effect)によりセンシングを行う磁気センサの一種である。なお、MR素子1が検出手段を構成する。
【0020】
この場合、シフトレバー3には、シフトレバー3がセレクト方向Sに操作された際に、シフトレバー3とともにセレクト方向Sに動くセレクト側磁石21が設けられている。セレクト側磁石21は、例えばセレクト側軸部4に取り付けられ、セレクト方向Sに沿う図3の矢印Ya方向に往復移動される。セレクト側磁石21は、図3の紙面手前側がN極、紙面奥側がS極となっている。なお、セレクト側磁石21が被検出部材を構成する。
【0021】
また、シフトレバー3には、シフトレバー3がシフト方向Mに操作された際に、シフトレバー3とともにシフト方向Mに動くシフト側磁石22が設けられている。シフト側磁石22は、例えばレバー本体5に取り付けられ、シフト方向Mに沿う図3の矢印Yb方向に往復動される。シフト側磁石22は、図3の紙面手前側がN極、紙面奥側がS極となっている。なお、シフト側磁石22が被検出部材を構成する。
【0022】
装置本体2においてセレクト側磁石21の磁界領域には、セレクト側磁石21の磁界を検出する1組のセレクト側MR素子群10が設けられている。本例のセレクト側MR素子群10は、MR素子が1つ故障しても継続して位置検出が可能となるように、3つのセレクト側MR素子10a〜10c、つまり1組が3重系に形成されている。これらセレクト側MR素子10a〜10cは、セレクト側磁石21から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、セレクト方向Sの直交方向、つまりシフト方向Mに沿って一直線上に並び配置されている。なお、セレクト側MR素子10a〜10cが検出手段を構成する。
【0023】
セレクト側MR素子10a〜10c(他のMR素子も同様)は、図4(a)に示すように、4つの磁気抵抗をブリッジ状に組んだ回路(ブリッジ回路)からなり、各組の磁気抵抗の中間端子同士の電位差をセンサ信号Soutとして出力する。また、図4(b)に示すように、セレクト側MR素子10a〜10cは、自身に付与される磁界の変化に伴って出力電圧が交流波形(正弦波)の変化をとるセンサ信号Soutを出力する。センサ信号Soutは、例えば1周期が180度をとる信号となっている。そして、例えばセンサ信号Soutが「0」以上の値をとれば、「H(High)」と検出され、「0」未満の値をとれば、「L(Low)」と検出される。なお、センサ信号Soutが出力信号に相当する。
【0024】
図3に示すように、本例のセレクト側MR素子10a〜10cは、セレクト側磁石21の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる縦方向のラインを出力判定境界ラインLaとすると、この出力判定境界ラインLaがセレクト方向Sと直交する向きをとるように配置されている。また、セレクト側MR素子10a,10bは、出力のH/L向きが矢印Yaに対して反転する配置向きをとり、セレクト側MR素子10cは、10bと同じ配置向きをとる。
【0025】
装置本体2においてシフト側磁石22の磁界領域には、シフト側磁石22の磁界を検出する2組のシフト側MR素子群11,12が設けられている。本例の第1シフト側MR素子群11及び第2シフト側MR素子群12は、シフト方向Mに沿って並び配置されている。本例の場合、シフト方向Mの一方(リバース位置及び+位置)の側の組を第1シフト側MR素子群11とし、シフト方向Mの他方(ドライブ位置及び−位置)の側の組を第2シフト側MR素子群12とする。よって、シフトレバー3がリバース位置又は+位置にあるか否かを第1シフト側MR素子群11で見るとともに、シフトレバー3がドライブ位置又は−位置にあるか否かを第2シフト側MR素子群12で見る。
【0026】
これらシフト側MR素子群11,12は、セレクト側MR素子群10と同じく、1つが故障しても継続して位置検出が可能となるように、各1組が3つのMR素子からなる3重系に形成されている。本例の場合、第1シフト側MR素子群11は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cから形成されている。これら第1シフト側MR素子11a〜11cは、シフト側磁石22から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、シフト方向Mの直交方向、つまりセレクト方向Sに沿って一直線上に並び配置されている。なお、第1シフト側MR素子11a〜11cが検出手段を構成する。
【0027】
本例の第1シフト側MR素子11a〜11cは、シフト側磁石22の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる左右方向のラインを出力判定境界ラインLbとすると、この出力判定境界ラインLbがシフト方向Mと直交する向きをとるように配置されている。また、第1シフト側MR素子11a,11bは、出力のH/L向きが矢印Ybに対して反転する配置向きをとり、第1シフト側MR素子11cは、11bと同じ向きをとる。
【0028】
また、第2シフト側MR素子群12も、出力が3重系をとるために、3つの第2シフト側MR素子12a〜12cから形成されている。これら第2シフト側MR素子12a〜12cは、シフト側磁石22から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、シフト方向Mの直交方向、つまりセレクト方向Sに沿って一直線上に並び配置されている。なお、第2シフト側MR素子12a〜12cが検出手段を構成する。
【0029】
本例の第2シフト側MR素子12a〜12cは、シフト側磁石22の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる左右方向のラインを出力判定境界ラインLcとすると、この出力判定境界ラインLcがシフト方向Mと直交する向きをとるように配置されている。また、第2シフト側MR素子12a,12bは、出力のH/L向きが矢印Ybに対して反転する配置向きをとり、第2シフト側MR素子12cは、12bと同じ向きをとる。
【0030】
第1シフト側MR素子群11と第2シフト側MR素子群12とは、シフト方向Mにおいて対称形状に配置されている。また、MR素子10a,11a,12aがメイン位置付けのMR素子で、MR素子10b,10c,11b,11c,12b,12cがサブ位置付けのMR素子となっている。さらに、これらMR素子群11,12は、図3の紙面において十字線が乗っている面の中心、つまり紙面手前面の中心が感磁面となっている。
【0031】
図5に示すように、位置検出装置7には、位置検出装置7のコントロールユニットとしてシフトECU23が設けられている。シフトECU23には、前述したセレクト側MR素子10a〜10c、第1シフト側MR素子11a〜11c及び第2シフト側MR素子12a〜12cが接続されている。そして、シフトECU23は、これらMR素子10a〜10c,11a〜11c,12a〜12cから入力するセンサ出力を基にシフトレバー3の位置を判定し、シフトレバー3の操作位置が必要な他のECUに、位置判定結果を出力する。
【0032】
シフトECU23のメモリ24には、シフトレバー3の位置判定の際に使用する位置判定テーブル25が記憶されている。図6に示すように、本例の位置判定テーブル25は、MR素子1の出力変化組合せを判定パラメータとして含んだテーブルとなっている。なお、位置判定テーブル25が位置判定手段を構成する。
【0033】
また、メモリ24には、セレクト側MR素子群10のセンサ出力状態を記憶するセレクト用レジスタ26と、第1シフト側MR素子群11のセンサ出力状態を記憶する第1シフト用レジスタ27と、第2シフト側MR素子群12のセンサ出力状態を記憶する第2シフト用レジスタ28とが設けられている。これらレジスタ26〜28には、組をなす各MR素子1のセンサ出力の現在値や、その現在値をとる前の前値などが記憶される。なお、レジスタ26〜28が出力変化記憶手段を構成する。
【0034】
シフトECU23には、MR素子1の出力変化組合せを各レジスタ26〜28に記憶する出力変化記憶部29が設けられている。出力変化記憶部29は、MR素子1のセンサ出力のH/Lが切り換わった際、その切り換わり後の値が一定時間以上の変化しなければ、レジスタ26〜28の現在値を更新するとともに、それまで現在値をとっていた値を前値としてレジスタ26〜28に記憶する。出力変化記憶部29は、セレクト側MR素子群10の出力変化組合せをセレクト用レジスタ26に記憶し、第1シフト側MR素子群11の出力変化組合せを第1シフト用レジスタ27に記憶し、第2シフト側MR素子群12の出力変化組合せを第2シフト用レジスタ28に記憶する。なお、出力変化記憶部29が出力変化記憶手段が構成する。
【0035】
シフトECU23には、各レジスタ26〜28の保持値を基に位置判定テーブル25を参照して、シフトレバー3の操作位置を判定する位置判定部30が設けられている。位置判定部30は、新たな出力変化組合せが更新されると、セレクト側及びシフト側のうち出力変化がなかった側のセンサ出力を確認しにいき、一センサの出力変化と他の一センサの出力値とを基に、シフトレバー3の操作位置を判定する。位置判定部30は、セレクト側のセンサ出力からシフトレバー3が左右の2位置のどちらにあるのかを判定するとともに、シフト側のセンサ出力からシフトレバー3が上中下の3位置のどの位置にあるのかを判定する。
【0036】
位置判定部30は、セレクト側MR素子10a〜10cを1つの単位としてセレクト方向Sの操作位置を判定し、これら3つのセレクト側MR素子10a〜10cのうち、少なくとも2つが同時に切り換わることを確認すると、操作有りと認識する。ここで言う同時とは、若干の時間差も広義として含むものとする。そして、位置判定部30は、中立位置から操作されたシフトレバー3が操作位置を経由して元の中立位置に戻った時点で、判定位置を確定する。なお、2以上のセンサ出力の同時切り換わりを操作有りと判定するのは、シフト方向M側も同様である。また、位置判定部30が位置判定手段を構成する。
【0037】
次に、本例の位置検出装置7の動作を図7〜図10に従って説明する。
まず、図7に示すように、MR素子1に故障が発生していない状況下で、シフトレバー3をホーム位置→ニュートラル位置→リバース位置に操作した場合を想定する。シフトレバー3がホーム位置にある場合、全てのMR素子10a〜10c,11a〜11c,12a〜12cのセンサ出力が「L」となる。このため、3つのレジスタ26〜28の全てには、現在値として「L」が記憶されている。位置判定部30は、出力変化組合せに関係なく全てのレジスタ26〜28の現在値が「L」であることを確認すると、シフトレバー3がホーム位置にあると判定し、この位置をレバー操作位置判定の基準位置として認識する。
【0038】
シフトレバー3がホーム位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側MR素子10a〜10cの出力が3つとも「L」から「H」に変化する。また、この場合は、MR素子1が故障していない例を想定しているので、セレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が3つ同時に切り換わる。よって、位置判定部30は、3つのセレクト側MR素子10a〜10cのうち2つ以上のセンサ出力が同時に切り換わることを確認するので、セレクト方向Sのレバー操作を操作有りとして判定する。
【0039】
出力変化記憶部29は、セレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が「H」に切り換わった状態が一定時間継続することを確認すると、セレクト用レジスタ26の現在値を、それまでの「L」から「H」に更新する。また、出力変化記憶部29は、現在値を更新すると、それまで記憶していた現在値の「L」を前値としてセレクト用レジスタ26に記憶する。これにより、セレクト用レジスタ26には、前値が「L」で現在値が「H」の組合せ、つまり「L→H」がセレクト側の出力変化組合せとして記憶される。
【0040】
位置判定部30は、セレクト方向Sにおいてレバー操作レバー操作有りと判定すると、第1シフト用レジスタ27及び第2シフト用レジスタ28の保持値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、セレクト用レジスタ26の出力変化組合せと、シフト用レジスタ27,28の現在値とを基に、位置判定テーブル25からシフトレバー3の位置を判定する。このとき、位置判定部30は、シフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「L→H」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0041】
続いて、シフトレバー3がニュートラル位置からリバース位置に操作されると、第1シフト側MR素子11a〜11cが3つとも「L」から「H」に変化する。このとき、位置判定部30は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が同時に切り換わることを確認するので、これら11a〜11cには故障が発生していないと認識し、シフトレバー3がシフト方向Mに操作されたと判定する。
【0042】
出力変化記憶部29は、第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が「H」に切り換わった状態が一定時間継続することを確認すると、第1シフト用レジスタ27の現在値を、それまでの「L」から「H」に更新する。また、出力変化記憶部29は、現在値を更新すると、それまで記憶していた現在値の「L」を前値として第1シフト用レジスタ27に保持する。これにより、第1シフト用レジスタ27には、前値が「L」で現在値が「H」の組合せ、つまり「L→H」がシフト側の出力変化組合せとして記憶される。
【0043】
位置判定部30は、シフト方向Mにおいてレバー操作有りと判定すると、セレクト用レジスタ26の現在値と、第2シフト用レジスタ28の現在値とを確認しにいく。そして、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27の出力変化組合せと、セレクト用レジスタ26及び第2シフト用レジスタ28の現在値とを基に、位置判定テーブル25からシフトレバー3の位置を判定する。このとき、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27から「L→H」の出力変化組合せを取得し、第2シフト用レジスタ28から「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H」の現在値を取得するので、シフトレバー3がリバース位置にあると判定する。
【0044】
続いて、図8に示すように、MR素子1に故障が発生していない状況下で、シフトレバー3をリバース位置→ニュートラル位置→ホーム位置に戻す場合を想定する。シフトレバー3がリバース位置からニュートラル位置に移動すると、第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が「H」から「L」に変化する。このとき、位置判定部30は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が全て切り換わることを確認するので、シフト方向Mにレバー操作があったと認識する。そして、出力変化記憶部29は、第1シフト用レジスタ27に「H→L」の出力変化組合せを記憶する。
【0045】
位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27の出力変化組合せを更新すると、他のレジスタ26,28の現在値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27から「H→L」の出力変化組合せを取得し、第2シフト用レジスタ28から「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H」の現在値を取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0046】
シフトレバー3がニュートラル位置からホーム位置に移動すると、今度はセレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が「H」から「L」に変化する。このとき、位置判定部30は、3つのセレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が全て切り換わることを確認するので、セレクト方向Sにレバー操作があったと認識する。そして、出力変化記憶部29は、セレクト用レジスタ26に「H→L」の出力変化組合せを記憶する。
【0047】
位置判定部30は、セレクト用レジスタ26の出力変化組合せを更新すると、シフト用レジスタ27,28の現在値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、2つのシフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H→L」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がホーム位置にあると判定する。
【0048】
続いて、図9に示すように、第1シフト側MR素子群11の1つに、例えばセンサ出力(電圧)がHレベルで固着する故障(電圧Hi固着)が発生した場合を想定する。ここでは、第1シフト側MR素子11aが電圧Hi故障した例を挙げる。第1シフト側MR素子11aが電圧Hi故障すると、故障が発生した時点で、第1シフト側MR素子11aのセンサ出力がHレベルで固着する。これにより、第1シフト側MR素子11aからは、Hレベルのセンサ信号Soutしか出力されない状態となる。
【0049】
このとき、第1シフト側MR素子群11では、3つのMR素子11a〜11cのうち1つのセンサ出力が、「L」から「H」に切り換わってしまう。しかし、本例の場合、3重系の3つのMR素子11a〜11cのうち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に切り換わらないと、レバー操作有りと認識しない判定処理をとるので、第1シフト側MR素子11aが1つだけ故障しても、この故障を以てレバー操作有りとは判定されない。よって、出力変化記憶部29は、セレクト用レジスタ26の現在値を更新せず、そのまま「L」で保持する。
【0050】
この故障状態でシフトレバー3がホーム位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側には故障が発生していないので、3つのセレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力は、3つとも問題なく「L」から「H」に切り換わる。このため、位置判定部30は、2つのシフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「L→H」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0051】
そして、シフトレバー3がニュートラル位置からリバース位置に操作されると、シフト側は第1シフト側MR素子11aが故障しているので、残りの2つのシフト側MR素子11b,11cが「L」から「H」に変化する。このとき、位置判定部30は、2つのシフト側MR素子11b,11cのセンサ出力が「L」から「H」に切り換わることを確認するので、シフトレバー3がシフト方向Mに操作されたと認識する。よって、出力変化記憶部29は、第1シフト用レジスタ27に「L→H」の出力変化組合せを記憶する。
【0052】
位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27の出力変化組合せを更新すると、他のレジスタ26,28の現在値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27から「L→H」の出力変化組合せを取得し、第2シフト用レジスタ28から「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H」の現在値を取得するので、シフトレバー3がリバース位置にあると判定する。よって、3重系をなす3つの第1シフト側MR素子11a〜11cの1つが仮に故障したとしても、誤判定することなくレバー位置が判定される。
【0053】
続いて、図10に示すように、第1シフト側MR素子群11の2つに電圧Hi故障が発生した場合を想定する。ここでは、シフトレバー3がホーム位置にある状態で、第1シフト側MR素子11a,11bの2つが、所定の時間差を持って電圧Hi故障した例を挙げる。最初に第1シフト側MR素子11aが故障したとすると、その故障時点で第1シフト側MR素子11aのセンサ出力がHレベルで固着する。しかし、本例の場合は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのうち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に変化しないと、レバー操作有りと判定しないので、この故障でレバー操作有りとは判定されない。
【0054】
続いて、第1シフト側MR素子11bが電圧Hi固着したとすると、その時点で第1シフト側MR素子11bのセンサ出力がHレベルで固着する。しかし、前述したように第1シフト側MR素子11a〜11cの少なくとも2つのセンサ出力が同時に変化しないと、操作有りと判定されないので、この故障の場合も、レバー操作有りとは判定されない。よって、第1シフト側MR素子11a,11bが、所定の時間差を持って故障したとしても、誤って操作有りとは判定されない。
【0055】
この故障状態でシフトレバー3がホーム位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側には故障が発生していないので、3つのセレクト側MR素子10a〜10cは全て「L」から「H」に変化する。このため、位置判定部30は、2つのシフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26からは「L→H」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0056】
そして、シフトレバー3がこのニュートラル位置からリバース位置に操作されると、このときには3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのうち第1シフト側MR素子11cのみが正常に動作しているので、この第1シフト側MR素子11cのセンサ出力のみが「L」から「H」に切り換わる。このため、位置判定部30は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのうち1つしか出力レベルが変化しないことを確認するので、レバー操作有りとは判定せず、現在のシフト位置、つまりニュートラル位置を維持する。
【0057】
なお、ここでは、シフトレバー3をホーム位置からニュートラル位置を経由してリバース位置に操作する例を説明したが、シフトレバー3を他の位置に操作する場合もこれと同様の動作態様をとるので、詳細は省略する。
【0058】
以上により、本例においては、MR素子1のセンサ出力によりシフトレバー3の位置を判定するに際して、MR素子1のH/Lの出力レベルが切り換わったときの値のみで判定するのではなく、切り換わり前後の出力値、つまり現在値及び前値がセットになった出力変化組合せにより、シフトレバー3の操作位置を判定する。このため、例えばレバー操作位置の判定開始前にMR素子1に電圧固着故障が発生していた場合には、この素子故障による電圧レベル変化で以て、シフトレバー3が操作有りと判定されない。よって、MR素子1に故障が発生した際には、この素子故障を判定することが可能となるので、操作位置の誤判定を生じ難くすることが可能となる。
【0059】
また、MR素子1をセレクト方向S及びシフト方向Mのそれぞれに3つ設けて3重系とし、これら3つのMR素子1のうち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に切り換われば、レバー操作有りと判定する。このため、3重系の3つのMR素子1のうち1つが故障しても、他の2つが正常に動作を継続している限り、シフトレバー3の操作位置を正しく判定することが可能となる。
【0060】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)MR素子1のセンサ出力を基にシフトレバー3の位置判定を行うに際して、MR素子1の値のみで判定するのではなく、MR素子1の現在値と、その値に変化する前の前値とをセットにした組合せ、つまり出力変化組合せを割り出し、この出力変化組合せからレバー操作位置を判定する。このため、もし仮にレバー位置判定の前にMR素子1に電圧固着が発生していた場合、このときMR素子1から出力されるセンサ信号Soutでは位置判定を行わないので、操作位置に誤判定を生じ難くすることができる。
【0061】
(2)MR素子1を合計3つ(メイン1つ、サブ2つ)設けて位置検出装置7を3重系とし、これら3つのMR素子1うち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に切り換わることを以てシフトレバー3を操作有りと判定する。よって、もし仮に3重系のMR素子1の1つが故障しても、残りの2つのMR素子1で位置を見ることが可能となるので、MR素子1の1個故障に対応することができる。
【0062】
(3)シフトレバー3が十字方向に操作可能なシフトレバー装置20に本例の位置検出装置7を採用するので、本例のようにシフトレバー3が十字方向に動く装置であっても、より正確に各方向の操作位置を判定することができる。
【0063】
(4)シフトレバー3の操作位置をH/Lの2値により判定するので、アナログ式ではなくデジタル式によってレバー操作位置を判定することができる。
(5)シフトレバー3をモーメンタリ式としたので、シフトレバー3を傾倒操作した後にシフトレバー3から手を離せば、シフトレバー3を操作前のホーム位置に自動で戻すことができる。
【0064】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・シフトレバー3の位置判定は、H及びLの1段階のみの出力変化をとるMR素子1を用いて行うことに限定されない。例えば、図11(a),(b)に示すように、センサ出力がL→M(Middle)→Hのように2段階変化するMR素子1a(いわゆる八方MRセンサとも言う)を用いてシフトレバー3の操作位置を判定してもよい。なお、図11(a),(b)に示すMR素子1aは、対称配置の関係を持って2つ設けられることにより、2重系に形成されている。
【0065】
MR素子1aは、図12(a),(b)に示すように、センサ出力の位相が互いに1/4周期(1/4波長)ずれた一対のブリッジ回路61,62からなり、これらブリッジ回路61,62の2出力がともに「H」をとれば「H」、センサ出力の一方が「H」で他方が「L」をとれば「M」、2出力がともに「L」をとれば「L」と判定される素子である。なお、MR素子1aが検出手段を構成する。
【0066】
この場合、MR素子1のセンサ出力が2段階変化して始めて、シフトレバー3が操作されたと判定するので、例えば単にセンサ出力のH/Lの変化を見る場合に比べて、より精度よくシフトレバー3の操作有無を判定することができる。また、操作位置を誤判定する確率も低くなるので、故障対策のためにMR素子1aを重系に配置する場合であっても、素子個数が過剰に多くなることがない。さらに、MR素子1aの個数を少なく抑えることができれば、MR素子1aとシフトECU23とを繋ぐハーネスを削減することもできる。
【0067】
・セレクト側及びシフト側の両方とも、出力変化組合せによって位置判定してもよい。
・シフトレバー3は、軸を支点に倒れる傾倒式に限定されず、例えばレールに沿って直線方向に往復動させるスライド式としてもよい。
【0068】
・MR素子1は、複数の重系をとることに限定されず、単なる1重系でもよい。
・MR素子1のセンサ出力のH/Lの振り分けは、シフトECU23側で行うことに限らず、素子自体がH又はLの2値信号を直に出力してもよい。
【0069】
・MR素子1は、1周期が180度の交流波形信号を出力する素子に限定されず、1周期が360度や90度をとるものを採用してもよい。
・検出手段は、MR素子1に限らず、例えばGMR(Giant Magneto Registance)やホール素子としてもよい。
【0070】
・検出手段は、磁気センサに限らず、例えば光センサとしてもよい。
・位置判定テーブル25のH/Lの組合せは、MR素子1の配置向きや磁石21,22の磁界向きに合わせて適宜変更可能である。
【0071】
・レバー操作位置は、位置判定テーブル25を参照して操作位置を特定する方式に限らず、種々の判定方式が採用可能である。
・出力変化組合せ(現在値、前値)の記憶箇所は、レジスタ26〜28に限定されず、例えばEEPROM(Electrically Erasable PROM)としてもよい。
【0072】
・シフトレバー3は、十字方向に操作可能なものに限定されず、例えば一直線方向にのみ操作可能なものとしてもよい。
・シフトレバー3の操作パターンは、大文字英字「H」に限らず、例えば小文字英字「h」を左右反転させたものでもよい。
【0073】
・磁石21,22がシフトレバー3側に取り付けられ、MR素子1が装置本体2側に取り付けられることに限らず、この組合せを逆にしてもよい。
・位置検出装置7の搭載先は、シフトレバー装置20に限らず、操作部材が可動する他の機器や装置としてもよい。
【0074】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜4のいずれかにおいて、前記操作部材の操作方向に並ぶ複数の前記検出手段の組は、両者の真ん中を基準として点対称の向きをとって配置されている。
【0075】
(ロ)請求項1〜4、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記検出手段は、磁界変化に応じて交流波形の出力信号を出力する第1検出回路と、当該第1検出回路に対して出力の位相が1/4周期ずれた第2検出回路とを備え、これら一対の検出回路の出力のH及びLの組合せにより、前記2段階以上のレベル変化をとる信号を前記出力信号として出力する。
【符号の説明】
【0076】
1…検出手段を構成するMR素子、1a…検出手段を構成するMR素子(八方型)、3…操作部材としてのシフトレバー、7…位置検出装置、10a〜10c…検出手段を構成するセレクト側MR素子、11a〜11c…検出手段を構成する第1シフト側MR素子、12a〜12c…検出手段を構成する第2シフト側MR素子、20…シフトレバー装置、21,22…被検出部材としての磁石、25…位置判定手段を構成する位置判定テーブル、26〜28…出力変化記憶手段を構成するレジスタ、29…出力変化記憶手段を構成する出力変化記憶部、30…位置判定手段を構成する位置判定部、S…第1操作方向としてのセレクト方向、M…第2操作方向としてのシフト方向、Sout…出力信号としてのセンサ信号。
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材の位置を検出する位置検出装置及びシフトレバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品が移動した際の位置を見る位置検出技術(特許文献1,2等参照)が種々開発されている。この種の位置検出装置としては、例えば磁気センサや光センサを使用し、これらセンサから出力されるセンサ信号がHレベル又はLレベルのどちらをとるのかを見ること、つまりその時々のセンサ信号自体がどのような値をとっているのかのみを見ることにより、物品の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−154868号公報
【特許文献2】特開2005−36837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、センサ故障の一種には、例えばセンサ出力がHレベルに張り付いてしまう電圧固着がある。前述したようなセンサの値のみで位置判定する場合、センサに電圧固着の故障が発生していると、例えば位置検出装置が物品の位置を確認しにいった際、その時点でセンサ出力が既にHレベルに切り換わってしまっているので、物品が操作されていないにも拘らず、センサからはH信号が出力されてしまう。このため、センサが誤ったセンサ信号を出力するので、位置が誤判定される問題があった。
【0005】
本発明の目的は、検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる位置検出装置及びシフトレバー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、操作部材の操作位置を検出する位置検出装置において、前記操作部材を操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記操作部材の位置を判定する位置判定手段とを備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、検出手段の出力信号から操作部材の位置を判定するに際して、出力信号の値のみで判定するのではなく、検出手段の現在値と、その値に変化する前の前値とをセットにして出力変化組合せを割り出し、この出力変化組合せから操作位置を判定する。このため、もし仮に位置判定の前に検出手段の出力がHやLに張り付く電圧固着故障が発生した場合には、このとき検出手段から出力される出力信号では位置検出が行われないので、検出手段の故障を要因とする操作位置の誤判定を生じ難くすることが可能となる。
【0008】
本発明では、前記検出手段は、故障対応をとるためにメイン及びサブの位置付けで少なくとも3つ以上設けられ、前記位置判定手段は、前記検出手段の少なくとも2つの出力レベルが同時に切り換わることを確認すると、操作有りと判定することを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、検出手段を3つ以上設けたので、位置検出装置が3重以上の重系とすることが可能となる。よって、もし仮に3重系の検出手段のうちの1つが故障しても、残りの2つの検出手段によって正確に操作部材の位置を見ることが可能となるので、検出手段の1個故障に対応することが可能となる。
【0010】
本発明では、前記操作部材は、互いに直交する第1操作方向及び第2操作方向の2方向に操作可能であり、前記検出手段は、前記第1操作方向及び前記第2操作方向のそれぞれに設けられ、前記位置判定手段は、前記第1操作方向側の前記検出手段によって前記第1操作方向の位置を検出するとともに、前記第2操作方向側の前記検出手段によって前記第2操作方向の位置を検出することを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、操作部材が2方向に操作される装置に本構成を採用するので、操作部材が2方向に動く場合であっても、より正確に各方向の操作位置を判定することが可能となる。
【0012】
本発明では、前記検出手段は、その出力が少なくとも2段階以上のレベル変化をとり、前記位置判定手段は、前記操作部材が同一方向に操作された過程で、前記検出手段の出力が、ある時間幅を満たした2段階以上のレベル変化をとることを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定することを要旨とする。
【0013】
この構成によれば、検出手段の出力が所定時間幅を満たしながら2段階変化して始めて操作有りと判定するので、単なるH/Lの変化で操作有無を判定する場合に比べて、操作有無を精度よく判定することが可能となる。
【0014】
本発明では、シフトレバーを操作してシフト位置を切り換えるシフトレバー装置において、前記シフトレバーを操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記シフトレバーの位置を判定する位置判定手段とを備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検出手段が故障しても、位置検出に際して誤判定を生じ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一実施形態におけるシフトレバー装置の概略構成を示す断面図。
【図2】シフトレバーの操作位置パターンを示す説明図。
【図3】MR素子の配置パターンを示す配置図。
【図4】(a)はMR素子の回路構成を示す等価図、(b)はMR素子の出力信号を示す波形図。
【図5】位置検出装置の電気的構成を示すブロック図。
【図6】シフトレバーの位置判定時に使用する位置判定テーブル図。
【図7】シフトレバーをH→N→Rに操作した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図8】シフトレバーをR→N→Hに戻す際のセンサ出力遷移を示す表。
【図9】3重系のMR素子の1つが故障した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図10】3重系のMR素子の2つが故障した際のセンサ出力遷移を示す表。
【図11】(a)は別例におけるシフトレバーの操作態様を示す模式図、(b)はMR素子の配置パターンと、各位置での出力をまとめた表。
【図12】(a)は別例におけるMR素子の回路構成を示す等価図、(b)はその出力信号を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を車両の位置検出装置及びシフトレバー装置に具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1に示すように、シフトレバー装置20には、装置本体2に対して略十字方向に傾倒操作可能なシフトレバー3が設けられている。装置本体2には、シフトレバー3の装置幅方向(セレクト方向S)の傾動を可能とするセレクト側軸部4が回動可能に取り付けられている。また、セレクト側軸部4には、シフトレバー3のレバー本体5が装置奥行き方向(シフト方向M)に傾動可能となるようにシャフト6により軸支されている。シフトレバー3は、セレクト側軸部4を軸心としてセレクト方向Sに傾倒可能であるとともに、シャフト6を軸心としてシフト方向Mに傾倒可能である。なお、シフトレバー3が操作部材に相当し、セレクト方向Sが第1操作方向に相当し、シフト方向Mが第2操作方向に相当する。
【0018】
図2に示すように、シフトレバー3は、セレクト方向Sに沿ってホーム位置(H位置)と、ニュートラル位置(N位置)とに操作可能である。また、シフトレバー3は、ホーム位置からシフト方向Mに沿って+位置又は−位置に操作可能であり、かつニュートラル位置からリバース位置(R位置)又はドライブ位置(D位置)に操作可能である。+位置は、の自動変速機のギヤを上げる際の位置で、−位置は自動変速機のギヤを下げる際の位置である。シフトレバー3は、各位置に操作後に手を離すと、自動でホーム位置に戻るモーメンタリ式となっている。
【0019】
図3に示すように、シフトレバー装置20には、シフトレバー3の操作位置を検出する位置検出装置7が設けられている。本例の位置検出装置7は、シフトレバー3の位置を見るセンサとしてMR素子(Magneto Resistive素子)1を使用し、そのセンサ出力の値のみでシフトレバー3の位置判定を行うのではなく、その値に切り換わる以前の前値と、今のセンサ出力である現在値とをセットにして、シフトレバー3の位置を判定する装置である。MR素子1は、磁気抵抗効果(MRE:Magneto Resistive Effect)によりセンシングを行う磁気センサの一種である。なお、MR素子1が検出手段を構成する。
【0020】
この場合、シフトレバー3には、シフトレバー3がセレクト方向Sに操作された際に、シフトレバー3とともにセレクト方向Sに動くセレクト側磁石21が設けられている。セレクト側磁石21は、例えばセレクト側軸部4に取り付けられ、セレクト方向Sに沿う図3の矢印Ya方向に往復移動される。セレクト側磁石21は、図3の紙面手前側がN極、紙面奥側がS極となっている。なお、セレクト側磁石21が被検出部材を構成する。
【0021】
また、シフトレバー3には、シフトレバー3がシフト方向Mに操作された際に、シフトレバー3とともにシフト方向Mに動くシフト側磁石22が設けられている。シフト側磁石22は、例えばレバー本体5に取り付けられ、シフト方向Mに沿う図3の矢印Yb方向に往復動される。シフト側磁石22は、図3の紙面手前側がN極、紙面奥側がS極となっている。なお、シフト側磁石22が被検出部材を構成する。
【0022】
装置本体2においてセレクト側磁石21の磁界領域には、セレクト側磁石21の磁界を検出する1組のセレクト側MR素子群10が設けられている。本例のセレクト側MR素子群10は、MR素子が1つ故障しても継続して位置検出が可能となるように、3つのセレクト側MR素子10a〜10c、つまり1組が3重系に形成されている。これらセレクト側MR素子10a〜10cは、セレクト側磁石21から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、セレクト方向Sの直交方向、つまりシフト方向Mに沿って一直線上に並び配置されている。なお、セレクト側MR素子10a〜10cが検出手段を構成する。
【0023】
セレクト側MR素子10a〜10c(他のMR素子も同様)は、図4(a)に示すように、4つの磁気抵抗をブリッジ状に組んだ回路(ブリッジ回路)からなり、各組の磁気抵抗の中間端子同士の電位差をセンサ信号Soutとして出力する。また、図4(b)に示すように、セレクト側MR素子10a〜10cは、自身に付与される磁界の変化に伴って出力電圧が交流波形(正弦波)の変化をとるセンサ信号Soutを出力する。センサ信号Soutは、例えば1周期が180度をとる信号となっている。そして、例えばセンサ信号Soutが「0」以上の値をとれば、「H(High)」と検出され、「0」未満の値をとれば、「L(Low)」と検出される。なお、センサ信号Soutが出力信号に相当する。
【0024】
図3に示すように、本例のセレクト側MR素子10a〜10cは、セレクト側磁石21の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる縦方向のラインを出力判定境界ラインLaとすると、この出力判定境界ラインLaがセレクト方向Sと直交する向きをとるように配置されている。また、セレクト側MR素子10a,10bは、出力のH/L向きが矢印Yaに対して反転する配置向きをとり、セレクト側MR素子10cは、10bと同じ配置向きをとる。
【0025】
装置本体2においてシフト側磁石22の磁界領域には、シフト側磁石22の磁界を検出する2組のシフト側MR素子群11,12が設けられている。本例の第1シフト側MR素子群11及び第2シフト側MR素子群12は、シフト方向Mに沿って並び配置されている。本例の場合、シフト方向Mの一方(リバース位置及び+位置)の側の組を第1シフト側MR素子群11とし、シフト方向Mの他方(ドライブ位置及び−位置)の側の組を第2シフト側MR素子群12とする。よって、シフトレバー3がリバース位置又は+位置にあるか否かを第1シフト側MR素子群11で見るとともに、シフトレバー3がドライブ位置又は−位置にあるか否かを第2シフト側MR素子群12で見る。
【0026】
これらシフト側MR素子群11,12は、セレクト側MR素子群10と同じく、1つが故障しても継続して位置検出が可能となるように、各1組が3つのMR素子からなる3重系に形成されている。本例の場合、第1シフト側MR素子群11は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cから形成されている。これら第1シフト側MR素子11a〜11cは、シフト側磁石22から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、シフト方向Mの直交方向、つまりセレクト方向Sに沿って一直線上に並び配置されている。なお、第1シフト側MR素子11a〜11cが検出手段を構成する。
【0027】
本例の第1シフト側MR素子11a〜11cは、シフト側磁石22の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる左右方向のラインを出力判定境界ラインLbとすると、この出力判定境界ラインLbがシフト方向Mと直交する向きをとるように配置されている。また、第1シフト側MR素子11a,11bは、出力のH/L向きが矢印Ybに対して反転する配置向きをとり、第1シフト側MR素子11cは、11bと同じ向きをとる。
【0028】
また、第2シフト側MR素子群12も、出力が3重系をとるために、3つの第2シフト側MR素子12a〜12cから形成されている。これら第2シフト側MR素子12a〜12cは、シフト側磁石22から放射される磁界が同じ方向で付与されるように、シフト方向Mの直交方向、つまりセレクト方向Sに沿って一直線上に並び配置されている。なお、第2シフト側MR素子12a〜12cが検出手段を構成する。
【0029】
本例の第2シフト側MR素子12a〜12cは、シフト側磁石22の磁界(磁界方向)によりセンサ出力のHとLとが切り換わる左右方向のラインを出力判定境界ラインLcとすると、この出力判定境界ラインLcがシフト方向Mと直交する向きをとるように配置されている。また、第2シフト側MR素子12a,12bは、出力のH/L向きが矢印Ybに対して反転する配置向きをとり、第2シフト側MR素子12cは、12bと同じ向きをとる。
【0030】
第1シフト側MR素子群11と第2シフト側MR素子群12とは、シフト方向Mにおいて対称形状に配置されている。また、MR素子10a,11a,12aがメイン位置付けのMR素子で、MR素子10b,10c,11b,11c,12b,12cがサブ位置付けのMR素子となっている。さらに、これらMR素子群11,12は、図3の紙面において十字線が乗っている面の中心、つまり紙面手前面の中心が感磁面となっている。
【0031】
図5に示すように、位置検出装置7には、位置検出装置7のコントロールユニットとしてシフトECU23が設けられている。シフトECU23には、前述したセレクト側MR素子10a〜10c、第1シフト側MR素子11a〜11c及び第2シフト側MR素子12a〜12cが接続されている。そして、シフトECU23は、これらMR素子10a〜10c,11a〜11c,12a〜12cから入力するセンサ出力を基にシフトレバー3の位置を判定し、シフトレバー3の操作位置が必要な他のECUに、位置判定結果を出力する。
【0032】
シフトECU23のメモリ24には、シフトレバー3の位置判定の際に使用する位置判定テーブル25が記憶されている。図6に示すように、本例の位置判定テーブル25は、MR素子1の出力変化組合せを判定パラメータとして含んだテーブルとなっている。なお、位置判定テーブル25が位置判定手段を構成する。
【0033】
また、メモリ24には、セレクト側MR素子群10のセンサ出力状態を記憶するセレクト用レジスタ26と、第1シフト側MR素子群11のセンサ出力状態を記憶する第1シフト用レジスタ27と、第2シフト側MR素子群12のセンサ出力状態を記憶する第2シフト用レジスタ28とが設けられている。これらレジスタ26〜28には、組をなす各MR素子1のセンサ出力の現在値や、その現在値をとる前の前値などが記憶される。なお、レジスタ26〜28が出力変化記憶手段を構成する。
【0034】
シフトECU23には、MR素子1の出力変化組合せを各レジスタ26〜28に記憶する出力変化記憶部29が設けられている。出力変化記憶部29は、MR素子1のセンサ出力のH/Lが切り換わった際、その切り換わり後の値が一定時間以上の変化しなければ、レジスタ26〜28の現在値を更新するとともに、それまで現在値をとっていた値を前値としてレジスタ26〜28に記憶する。出力変化記憶部29は、セレクト側MR素子群10の出力変化組合せをセレクト用レジスタ26に記憶し、第1シフト側MR素子群11の出力変化組合せを第1シフト用レジスタ27に記憶し、第2シフト側MR素子群12の出力変化組合せを第2シフト用レジスタ28に記憶する。なお、出力変化記憶部29が出力変化記憶手段が構成する。
【0035】
シフトECU23には、各レジスタ26〜28の保持値を基に位置判定テーブル25を参照して、シフトレバー3の操作位置を判定する位置判定部30が設けられている。位置判定部30は、新たな出力変化組合せが更新されると、セレクト側及びシフト側のうち出力変化がなかった側のセンサ出力を確認しにいき、一センサの出力変化と他の一センサの出力値とを基に、シフトレバー3の操作位置を判定する。位置判定部30は、セレクト側のセンサ出力からシフトレバー3が左右の2位置のどちらにあるのかを判定するとともに、シフト側のセンサ出力からシフトレバー3が上中下の3位置のどの位置にあるのかを判定する。
【0036】
位置判定部30は、セレクト側MR素子10a〜10cを1つの単位としてセレクト方向Sの操作位置を判定し、これら3つのセレクト側MR素子10a〜10cのうち、少なくとも2つが同時に切り換わることを確認すると、操作有りと認識する。ここで言う同時とは、若干の時間差も広義として含むものとする。そして、位置判定部30は、中立位置から操作されたシフトレバー3が操作位置を経由して元の中立位置に戻った時点で、判定位置を確定する。なお、2以上のセンサ出力の同時切り換わりを操作有りと判定するのは、シフト方向M側も同様である。また、位置判定部30が位置判定手段を構成する。
【0037】
次に、本例の位置検出装置7の動作を図7〜図10に従って説明する。
まず、図7に示すように、MR素子1に故障が発生していない状況下で、シフトレバー3をホーム位置→ニュートラル位置→リバース位置に操作した場合を想定する。シフトレバー3がホーム位置にある場合、全てのMR素子10a〜10c,11a〜11c,12a〜12cのセンサ出力が「L」となる。このため、3つのレジスタ26〜28の全てには、現在値として「L」が記憶されている。位置判定部30は、出力変化組合せに関係なく全てのレジスタ26〜28の現在値が「L」であることを確認すると、シフトレバー3がホーム位置にあると判定し、この位置をレバー操作位置判定の基準位置として認識する。
【0038】
シフトレバー3がホーム位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側MR素子10a〜10cの出力が3つとも「L」から「H」に変化する。また、この場合は、MR素子1が故障していない例を想定しているので、セレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が3つ同時に切り換わる。よって、位置判定部30は、3つのセレクト側MR素子10a〜10cのうち2つ以上のセンサ出力が同時に切り換わることを確認するので、セレクト方向Sのレバー操作を操作有りとして判定する。
【0039】
出力変化記憶部29は、セレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が「H」に切り換わった状態が一定時間継続することを確認すると、セレクト用レジスタ26の現在値を、それまでの「L」から「H」に更新する。また、出力変化記憶部29は、現在値を更新すると、それまで記憶していた現在値の「L」を前値としてセレクト用レジスタ26に記憶する。これにより、セレクト用レジスタ26には、前値が「L」で現在値が「H」の組合せ、つまり「L→H」がセレクト側の出力変化組合せとして記憶される。
【0040】
位置判定部30は、セレクト方向Sにおいてレバー操作レバー操作有りと判定すると、第1シフト用レジスタ27及び第2シフト用レジスタ28の保持値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、セレクト用レジスタ26の出力変化組合せと、シフト用レジスタ27,28の現在値とを基に、位置判定テーブル25からシフトレバー3の位置を判定する。このとき、位置判定部30は、シフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「L→H」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0041】
続いて、シフトレバー3がニュートラル位置からリバース位置に操作されると、第1シフト側MR素子11a〜11cが3つとも「L」から「H」に変化する。このとき、位置判定部30は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が同時に切り換わることを確認するので、これら11a〜11cには故障が発生していないと認識し、シフトレバー3がシフト方向Mに操作されたと判定する。
【0042】
出力変化記憶部29は、第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が「H」に切り換わった状態が一定時間継続することを確認すると、第1シフト用レジスタ27の現在値を、それまでの「L」から「H」に更新する。また、出力変化記憶部29は、現在値を更新すると、それまで記憶していた現在値の「L」を前値として第1シフト用レジスタ27に保持する。これにより、第1シフト用レジスタ27には、前値が「L」で現在値が「H」の組合せ、つまり「L→H」がシフト側の出力変化組合せとして記憶される。
【0043】
位置判定部30は、シフト方向Mにおいてレバー操作有りと判定すると、セレクト用レジスタ26の現在値と、第2シフト用レジスタ28の現在値とを確認しにいく。そして、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27の出力変化組合せと、セレクト用レジスタ26及び第2シフト用レジスタ28の現在値とを基に、位置判定テーブル25からシフトレバー3の位置を判定する。このとき、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27から「L→H」の出力変化組合せを取得し、第2シフト用レジスタ28から「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H」の現在値を取得するので、シフトレバー3がリバース位置にあると判定する。
【0044】
続いて、図8に示すように、MR素子1に故障が発生していない状況下で、シフトレバー3をリバース位置→ニュートラル位置→ホーム位置に戻す場合を想定する。シフトレバー3がリバース位置からニュートラル位置に移動すると、第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が「H」から「L」に変化する。このとき、位置判定部30は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのセンサ出力が全て切り換わることを確認するので、シフト方向Mにレバー操作があったと認識する。そして、出力変化記憶部29は、第1シフト用レジスタ27に「H→L」の出力変化組合せを記憶する。
【0045】
位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27の出力変化組合せを更新すると、他のレジスタ26,28の現在値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27から「H→L」の出力変化組合せを取得し、第2シフト用レジスタ28から「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H」の現在値を取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0046】
シフトレバー3がニュートラル位置からホーム位置に移動すると、今度はセレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が「H」から「L」に変化する。このとき、位置判定部30は、3つのセレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力が全て切り換わることを確認するので、セレクト方向Sにレバー操作があったと認識する。そして、出力変化記憶部29は、セレクト用レジスタ26に「H→L」の出力変化組合せを記憶する。
【0047】
位置判定部30は、セレクト用レジスタ26の出力変化組合せを更新すると、シフト用レジスタ27,28の現在値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、2つのシフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H→L」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がホーム位置にあると判定する。
【0048】
続いて、図9に示すように、第1シフト側MR素子群11の1つに、例えばセンサ出力(電圧)がHレベルで固着する故障(電圧Hi固着)が発生した場合を想定する。ここでは、第1シフト側MR素子11aが電圧Hi故障した例を挙げる。第1シフト側MR素子11aが電圧Hi故障すると、故障が発生した時点で、第1シフト側MR素子11aのセンサ出力がHレベルで固着する。これにより、第1シフト側MR素子11aからは、Hレベルのセンサ信号Soutしか出力されない状態となる。
【0049】
このとき、第1シフト側MR素子群11では、3つのMR素子11a〜11cのうち1つのセンサ出力が、「L」から「H」に切り換わってしまう。しかし、本例の場合、3重系の3つのMR素子11a〜11cのうち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に切り換わらないと、レバー操作有りと認識しない判定処理をとるので、第1シフト側MR素子11aが1つだけ故障しても、この故障を以てレバー操作有りとは判定されない。よって、出力変化記憶部29は、セレクト用レジスタ26の現在値を更新せず、そのまま「L」で保持する。
【0050】
この故障状態でシフトレバー3がホーム位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側には故障が発生していないので、3つのセレクト側MR素子10a〜10cのセンサ出力は、3つとも問題なく「L」から「H」に切り換わる。このため、位置判定部30は、2つのシフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「L→H」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0051】
そして、シフトレバー3がニュートラル位置からリバース位置に操作されると、シフト側は第1シフト側MR素子11aが故障しているので、残りの2つのシフト側MR素子11b,11cが「L」から「H」に変化する。このとき、位置判定部30は、2つのシフト側MR素子11b,11cのセンサ出力が「L」から「H」に切り換わることを確認するので、シフトレバー3がシフト方向Mに操作されたと認識する。よって、出力変化記憶部29は、第1シフト用レジスタ27に「L→H」の出力変化組合せを記憶する。
【0052】
位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27の出力変化組合せを更新すると、他のレジスタ26,28の現在値を確認しにいく。そして、位置判定部30は、第1シフト用レジスタ27から「L→H」の出力変化組合せを取得し、第2シフト用レジスタ28から「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26から「H」の現在値を取得するので、シフトレバー3がリバース位置にあると判定する。よって、3重系をなす3つの第1シフト側MR素子11a〜11cの1つが仮に故障したとしても、誤判定することなくレバー位置が判定される。
【0053】
続いて、図10に示すように、第1シフト側MR素子群11の2つに電圧Hi故障が発生した場合を想定する。ここでは、シフトレバー3がホーム位置にある状態で、第1シフト側MR素子11a,11bの2つが、所定の時間差を持って電圧Hi故障した例を挙げる。最初に第1シフト側MR素子11aが故障したとすると、その故障時点で第1シフト側MR素子11aのセンサ出力がHレベルで固着する。しかし、本例の場合は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのうち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に変化しないと、レバー操作有りと判定しないので、この故障でレバー操作有りとは判定されない。
【0054】
続いて、第1シフト側MR素子11bが電圧Hi固着したとすると、その時点で第1シフト側MR素子11bのセンサ出力がHレベルで固着する。しかし、前述したように第1シフト側MR素子11a〜11cの少なくとも2つのセンサ出力が同時に変化しないと、操作有りと判定されないので、この故障の場合も、レバー操作有りとは判定されない。よって、第1シフト側MR素子11a,11bが、所定の時間差を持って故障したとしても、誤って操作有りとは判定されない。
【0055】
この故障状態でシフトレバー3がホーム位置からニュートラル位置に操作されると、セレクト側には故障が発生していないので、3つのセレクト側MR素子10a〜10cは全て「L」から「H」に変化する。このため、位置判定部30は、2つのシフト用レジスタ27,28からともに「L」の現在値を取得し、セレクト用レジスタ26からは「L→H」の出力変化組合せを取得するので、シフトレバー3がニュートラル位置にあると判定する。
【0056】
そして、シフトレバー3がこのニュートラル位置からリバース位置に操作されると、このときには3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのうち第1シフト側MR素子11cのみが正常に動作しているので、この第1シフト側MR素子11cのセンサ出力のみが「L」から「H」に切り換わる。このため、位置判定部30は、3つの第1シフト側MR素子11a〜11cのうち1つしか出力レベルが変化しないことを確認するので、レバー操作有りとは判定せず、現在のシフト位置、つまりニュートラル位置を維持する。
【0057】
なお、ここでは、シフトレバー3をホーム位置からニュートラル位置を経由してリバース位置に操作する例を説明したが、シフトレバー3を他の位置に操作する場合もこれと同様の動作態様をとるので、詳細は省略する。
【0058】
以上により、本例においては、MR素子1のセンサ出力によりシフトレバー3の位置を判定するに際して、MR素子1のH/Lの出力レベルが切り換わったときの値のみで判定するのではなく、切り換わり前後の出力値、つまり現在値及び前値がセットになった出力変化組合せにより、シフトレバー3の操作位置を判定する。このため、例えばレバー操作位置の判定開始前にMR素子1に電圧固着故障が発生していた場合には、この素子故障による電圧レベル変化で以て、シフトレバー3が操作有りと判定されない。よって、MR素子1に故障が発生した際には、この素子故障を判定することが可能となるので、操作位置の誤判定を生じ難くすることが可能となる。
【0059】
また、MR素子1をセレクト方向S及びシフト方向Mのそれぞれに3つ設けて3重系とし、これら3つのMR素子1のうち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に切り換われば、レバー操作有りと判定する。このため、3重系の3つのMR素子1のうち1つが故障しても、他の2つが正常に動作を継続している限り、シフトレバー3の操作位置を正しく判定することが可能となる。
【0060】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)MR素子1のセンサ出力を基にシフトレバー3の位置判定を行うに際して、MR素子1の値のみで判定するのではなく、MR素子1の現在値と、その値に変化する前の前値とをセットにした組合せ、つまり出力変化組合せを割り出し、この出力変化組合せからレバー操作位置を判定する。このため、もし仮にレバー位置判定の前にMR素子1に電圧固着が発生していた場合、このときMR素子1から出力されるセンサ信号Soutでは位置判定を行わないので、操作位置に誤判定を生じ難くすることができる。
【0061】
(2)MR素子1を合計3つ(メイン1つ、サブ2つ)設けて位置検出装置7を3重系とし、これら3つのMR素子1うち、少なくとも2つのセンサ出力が同時に切り換わることを以てシフトレバー3を操作有りと判定する。よって、もし仮に3重系のMR素子1の1つが故障しても、残りの2つのMR素子1で位置を見ることが可能となるので、MR素子1の1個故障に対応することができる。
【0062】
(3)シフトレバー3が十字方向に操作可能なシフトレバー装置20に本例の位置検出装置7を採用するので、本例のようにシフトレバー3が十字方向に動く装置であっても、より正確に各方向の操作位置を判定することができる。
【0063】
(4)シフトレバー3の操作位置をH/Lの2値により判定するので、アナログ式ではなくデジタル式によってレバー操作位置を判定することができる。
(5)シフトレバー3をモーメンタリ式としたので、シフトレバー3を傾倒操作した後にシフトレバー3から手を離せば、シフトレバー3を操作前のホーム位置に自動で戻すことができる。
【0064】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・シフトレバー3の位置判定は、H及びLの1段階のみの出力変化をとるMR素子1を用いて行うことに限定されない。例えば、図11(a),(b)に示すように、センサ出力がL→M(Middle)→Hのように2段階変化するMR素子1a(いわゆる八方MRセンサとも言う)を用いてシフトレバー3の操作位置を判定してもよい。なお、図11(a),(b)に示すMR素子1aは、対称配置の関係を持って2つ設けられることにより、2重系に形成されている。
【0065】
MR素子1aは、図12(a),(b)に示すように、センサ出力の位相が互いに1/4周期(1/4波長)ずれた一対のブリッジ回路61,62からなり、これらブリッジ回路61,62の2出力がともに「H」をとれば「H」、センサ出力の一方が「H」で他方が「L」をとれば「M」、2出力がともに「L」をとれば「L」と判定される素子である。なお、MR素子1aが検出手段を構成する。
【0066】
この場合、MR素子1のセンサ出力が2段階変化して始めて、シフトレバー3が操作されたと判定するので、例えば単にセンサ出力のH/Lの変化を見る場合に比べて、より精度よくシフトレバー3の操作有無を判定することができる。また、操作位置を誤判定する確率も低くなるので、故障対策のためにMR素子1aを重系に配置する場合であっても、素子個数が過剰に多くなることがない。さらに、MR素子1aの個数を少なく抑えることができれば、MR素子1aとシフトECU23とを繋ぐハーネスを削減することもできる。
【0067】
・セレクト側及びシフト側の両方とも、出力変化組合せによって位置判定してもよい。
・シフトレバー3は、軸を支点に倒れる傾倒式に限定されず、例えばレールに沿って直線方向に往復動させるスライド式としてもよい。
【0068】
・MR素子1は、複数の重系をとることに限定されず、単なる1重系でもよい。
・MR素子1のセンサ出力のH/Lの振り分けは、シフトECU23側で行うことに限らず、素子自体がH又はLの2値信号を直に出力してもよい。
【0069】
・MR素子1は、1周期が180度の交流波形信号を出力する素子に限定されず、1周期が360度や90度をとるものを採用してもよい。
・検出手段は、MR素子1に限らず、例えばGMR(Giant Magneto Registance)やホール素子としてもよい。
【0070】
・検出手段は、磁気センサに限らず、例えば光センサとしてもよい。
・位置判定テーブル25のH/Lの組合せは、MR素子1の配置向きや磁石21,22の磁界向きに合わせて適宜変更可能である。
【0071】
・レバー操作位置は、位置判定テーブル25を参照して操作位置を特定する方式に限らず、種々の判定方式が採用可能である。
・出力変化組合せ(現在値、前値)の記憶箇所は、レジスタ26〜28に限定されず、例えばEEPROM(Electrically Erasable PROM)としてもよい。
【0072】
・シフトレバー3は、十字方向に操作可能なものに限定されず、例えば一直線方向にのみ操作可能なものとしてもよい。
・シフトレバー3の操作パターンは、大文字英字「H」に限らず、例えば小文字英字「h」を左右反転させたものでもよい。
【0073】
・磁石21,22がシフトレバー3側に取り付けられ、MR素子1が装置本体2側に取り付けられることに限らず、この組合せを逆にしてもよい。
・位置検出装置7の搭載先は、シフトレバー装置20に限らず、操作部材が可動する他の機器や装置としてもよい。
【0074】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜4のいずれかにおいて、前記操作部材の操作方向に並ぶ複数の前記検出手段の組は、両者の真ん中を基準として点対称の向きをとって配置されている。
【0075】
(ロ)請求項1〜4、前記技術的思想(イ)のいずれかにおいて、前記検出手段は、磁界変化に応じて交流波形の出力信号を出力する第1検出回路と、当該第1検出回路に対して出力の位相が1/4周期ずれた第2検出回路とを備え、これら一対の検出回路の出力のH及びLの組合せにより、前記2段階以上のレベル変化をとる信号を前記出力信号として出力する。
【符号の説明】
【0076】
1…検出手段を構成するMR素子、1a…検出手段を構成するMR素子(八方型)、3…操作部材としてのシフトレバー、7…位置検出装置、10a〜10c…検出手段を構成するセレクト側MR素子、11a〜11c…検出手段を構成する第1シフト側MR素子、12a〜12c…検出手段を構成する第2シフト側MR素子、20…シフトレバー装置、21,22…被検出部材としての磁石、25…位置判定手段を構成する位置判定テーブル、26〜28…出力変化記憶手段を構成するレジスタ、29…出力変化記憶手段を構成する出力変化記憶部、30…位置判定手段を構成する位置判定部、S…第1操作方向としてのセレクト方向、M…第2操作方向としてのシフト方向、Sout…出力信号としてのセンサ信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の操作位置を検出する位置検出装置において、
前記操作部材を操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、
位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、
前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記操作部材の位置を判定する位置判定手段と
を備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、故障対応をとるためにメイン及びサブの位置付けで少なくとも3つ以上設けられ、
前記位置判定手段は、前記検出手段の少なくとも2つの出力レベルが同時に切り換わることを確認すると、操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記操作部材は、互いに直交する第1操作方向及び第2操作方向の2方向に操作可能であり、
前記検出手段は、前記第1操作方向及び前記第2操作方向のそれぞれに設けられ、
前記位置判定手段は、前記第1操作方向側の前記検出手段によって前記第1操作方向の位置を検出するとともに、前記第2操作方向側の前記検出手段によって前記第2操作方向の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記検出手段は、その出力が少なくとも2段階以上のレベル変化をとり、
前記位置判定手段は、前記操作部材が同一方向に操作された過程で、前記検出手段の出力が、ある時間幅を満たした2段階以上のレベル変化をとることを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
シフトレバーを操作してシフト位置を切り換えるシフトレバー装置において、
前記シフトレバーを操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、
位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、
前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記シフトレバーの位置を判定する位置判定手段と
を備えたことを特徴とするシフトレバー装置。
【請求項1】
操作部材の操作位置を検出する位置検出装置において、
前記操作部材を操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、
位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、
前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記操作部材の位置を判定する位置判定手段と
を備えたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記検出手段は、故障対応をとるためにメイン及びサブの位置付けで少なくとも3つ以上設けられ、
前記位置判定手段は、前記検出手段の少なくとも2つの出力レベルが同時に切り換わることを確認すると、操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記操作部材は、互いに直交する第1操作方向及び第2操作方向の2方向に操作可能であり、
前記検出手段は、前記第1操作方向及び前記第2操作方向のそれぞれに設けられ、
前記位置判定手段は、前記第1操作方向側の前記検出手段によって前記第1操作方向の位置を検出するとともに、前記第2操作方向側の前記検出手段によって前記第2操作方向の位置を検出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記検出手段は、その出力が少なくとも2段階以上のレベル変化をとり、
前記位置判定手段は、前記操作部材が同一方向に操作された過程で、前記検出手段の出力が、ある時間幅を満たした2段階以上のレベル変化をとることを確認すると、前記操作部材を操作有りと判定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
シフトレバーを操作してシフト位置を切り換えるシフトレバー装置において、
前記シフトレバーを操作した際に、自身に対して動く被検出部材との間の相対位置を検出する検出手段と、
位置判定開始から前記検出手段の出力レベルの変化を監視し、該出力レベルが切り換わると、この変化切り換わり前後の出力変化組合せを記憶する出力変化記憶手段と、
前記出力変化記憶手段が記憶した前記出力変化組合せを基に、前記シフトレバーの位置を判定する位置判定手段と
を備えたことを特徴とするシフトレバー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−221793(P2011−221793A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90359(P2010−90359)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]