説明

位置決めテーブル

【課題】組み立てが容易で、荷重が付与された際にもテーブル板を正確な位置に維持することができる位置決めテーブルを提供すること。
【解決手段】基台の上方に下記条件を満足する三以上の支持ユニットを介してテーブル板を支持する位置決めテーブル:(1)各々の支持ユニットは、基台表面にスライド可能に設置された昇降装置、および昇降装置とテーブル板とを接続する接続具からなる;(2)昇降装置は、基台表面に沿って延びるレール24、レールに支持された第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22、第二のスライド部材の上方に傾斜配置された第一のリニアガイド31を介して支持され、第一のスライド部材の側面に第二のリニアガイド32を介して昇降可能に接続された昇降部材23、および各スライド部材を上記レール上でスライドさせて保持する駆動手段25からなる;(3)接続具は、球面軸受34と球面軸受を保持する第三のリニアガイド33とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品の位置決めに用いられる位置決めテーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
位置決めテーブルは、各種物品(以下「位置決め対象物」とも云う)の位置決め、例えば、機械加工を行なう際の加工対象物の位置決め、あるいは液晶セルを構成する二枚のガラス基板を貼り合わせる際のガラス基板の位置決めに用いられている。
【0003】
位置決めテーブルは、基台の上方に、位置決め対象物が載置されるテーブル板が支持された構成を有している。テーブル板は、X軸方向への移動、Y軸方向への移動、Z軸方向への移動、および前記各軸(あるいは各軸に平行な軸)を中心とする傾斜移動(回転移動)をそれぞれ可能とする複数の支持ユニットを介して、基台の上方に支持される。なお、以下では、X軸方向への移動、Y軸方向への移動、Z軸方向への移動、および前記各軸(あるいは各軸に平行な軸)を中心とする傾斜移動のそれぞれが可能とされたテーブル板を用いる位置決めを、多自由度での位置決めと云う。
【0004】
位置決めテーブルでは、テーブル板上で位置決めされた物品(位置決め対象物)に大きな荷重が付与されると、テーブル板が僅かに移動することがある。
【0005】
例えば、テーブル板上で位置決めされた加工対象物をその表面に沿って切削加工するため、この加工対象物に切削用の工具を押し付けると、この加工対象物にテーブル板の表面に対して概ね平行な方向に沿って大きな荷重が付与されることがある。また、例えば、テーブル板上で位置決めされた加工対象物を穴あけ加工するため、この加工対象物にドリルを押し付けると、この加工対象物にドリルの周方向(テーブル板の表面に対して垂直な軸を中心とする円の周方向)に沿って大きな荷重が付与されることがある。また、例えば、テーブル板上で位置決めされた液晶セルの一方のガラス基板の上に、他方のガラス基板を押し付けると、このガラス基板にテーブル板の表面に対して概ね垂直な方向に沿って大きな荷重が付与されることがある。このため、テーブル板が、前記の荷重を受けて僅かに移動することがある。
【0006】
このようにテーブル板が僅かに移動すると、加工対象物を高精度にて機械加工(例えば、上記のような切削加工や穴あけ加工)すること、あるいは液晶セルの二枚のガラス基板を高精度にて貼り合わせることが難しくなるという問題を生じる。
【0007】
特許文献1には、基台の上方に、合計で6個のくさび機構と5自由度軸受(球面軸受)とを介してテーブル板を支持することにより、多自由度での位置決めを可能とした位置決めテーブルが開示されている。前記の各々のくさび機構は、基台上に設置されていて、直線運動可能なくさびと、くさびを駆動する送りネジ機構と回転アクチュエータとから構成されている。また、前記の各々の5自由度軸受は、くさび機構のくさびの表面(テーブル板の側の表面)にスライド可能に配置された状態でテーブル板に固定されている。そして、前記のテーブル板は、テーブル板を5自由度軸受と共に上記くさびの表面に押し付けるため(テーブル板を支持するくさび機構のくさびと球面軸受とが互いに離隔することを防止するため)、合計で5個の付勢手段(代表例、バネ)を介して基台に固定されている。
【0008】
そして同文献の第1図〜第3図に開示された位置決めテーブルでは、テーブル板52を、くさび機構70、90を作動させて5自由度軸受53、55と共にX軸方向に移動させた場合、残りのくさび機構、例えば、くさび機構100、110、120の各々のくさびの表面(テーブル板の側の表面)に配置された5自由度軸受56、57、58は、それぞれ前記くさびの表面上にてX軸方向にスライドする。その一方で、テーブル板52を、くさび機構80を作動させて5自由度軸受54と共にY軸方向に移動させた場合、残りのくさび機構、例えば、くさび機構100、110、120の各々のくさびの表面(テーブル板の側の表面)に配置された5自由度軸受56、57、58は、それぞれ前記くさびの表面上にてY軸方向にスライドする。このように、くさび機構100、110、120の各々のくさびの表面に配置された5自由度軸受56、57、58は、それぞれ前記くさびの表面上にてX軸方向及びY軸方向に(二次元方向に)スライド可能とされている。
【0009】
同様の理由により、くさび機構70、90の各々のくさびの表面に配置された5自由度軸受53、55は、それぞれ前記くさびの表面上にてY軸方向及びZ軸方向に(二次元方向に)スライド可能とされ、そしてくさび機構80のくさびの表面に配置された5自由度軸受54は、それぞれ前記くさびの表面上にてX軸方向及びZ軸方向に(二次元方向に)スライド可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭64−71640号公報(第1図−第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1の位置決めテーブルは、テーブル板上で位置決めされた物品に、テーブル板の表面に対して垂直な方向以外の方向に沿って荷重が付与されると、テーブル板を5自由度軸受を介してくさび機構のくさびの表面に押し付けている付勢手段(代表例、バネ)が伸長して、テーブル板が僅かに移動する可能性がある。
【0012】
また、同文献の位置決めテーブルによって高精度での位置決めを実現するためには、上記の各々の5自由度軸受がくさび機構のくさびの表面に沿って二次元方向に円滑にスライド可能であることが必要とされる。従って、合計で6個のくさび機構の各々について、くさび機構のくさびの表面と、この表面に対向する5自由度軸受の表面とを、それぞれ二次元方向に平滑な表面となるように精密に機械加工(例、研磨加工)することが必要である。更には、合計で6個のくさび機構のそれぞれを、くさびの表面が所定の角度で配置されるように(例えば、前記のくさび機構100のくさびの表面がXY平面と平行に配置されるように)基台上に精密に設置する必要がある。
【0013】
本発明の課題は、組み立てが容易で、そしてテーブル板上で位置決めされた物品に荷重がかけられた際にもテーブル板を正確な位置に維持することができる位置決めテーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、基台と、この基台の上方に下記(1)乃至(3)の条件を満足する三以上の支持ユニットを介して支持されたテーブル板とを含む位置決めテーブルにある。
(1)各々の支持ユニットは、上記基台の表面に基台表面に沿ってスライド可能に設置された昇降装置、および昇降装置とテーブル板とを互いに接続している接続具からなる。
(2)上記(1)に記載の昇降装置が、基台表面に沿って延びるレール、このレールにスライド可能に支持された第一のスライド部材と頂面に斜面を有する第二のスライド部材、第二のスライド部材の斜面と対向する斜面を底面に有し、第二のスライド部材の斜面の上方にこの斜面に沿って傾斜して配置された第一のリニアガイドを介して支持されていて、そして第一のスライド部材の側面に第二のリニアガイドを介して昇降可能に接続されている昇降部材、および各スライド部材を上記レール上の所定の位置までスライドさせて保持するスライド部材駆動手段からなる。
(3)上記(1)に記載の接続具が、球面軸受と、この球面軸受をスライド可能に保持する第三のリニアガイドとからなり、前記の球面軸受及び第三のリニアガイドの一方が昇降部材に、そして他方がテーブル板に固定されている。
【0015】
本発明の位置決めテーブルの好ましい態様は、次の通りである。
(A)スライド部材駆動手段が、各々前記昇降装置のレールと平行に配置された回転軸を有する第一の回転駆動装置と第二の回転駆動装置とを備え、第一の回転駆動装置が、第一のスライド部材及び第二のスライド部材のうちの一方のスライド部材に設置され、その回転軸が第一の送りねじを介して他方のスライド部材に接続されていて、そして第二の回転駆動装置が基台上に設置され、その回転軸が第二の送りねじを介して第一のスライド部材又は第二のスライド部材に接続されている。
(B)スライド部材駆動手段が、各々基台上に設置された前記昇降装置のレールと平行に配置された回転軸を有する第一の回転駆動装置と第二の回転駆動装置とを備え、第一の回転駆動装置の回転軸が第一の送りねじを介して第一のスライド部材に接続され、そして第二の回転駆動装置の回転軸が第二の送りねじを介して第二のスライド部材に接続されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の位置決めテーブルでは、テーブル板を支持する各支持ユニットが、基台上にスライド可能に設置された昇降装置と、この昇降装置をテーブル板に接続している、球面軸受及びリニアガイドからなる接続具とから構成されていて、テーブル板を各支持ユニットに押し付ける不勢手段(代表例、バネ)を用いる必要はない。従って、本発明の位置決めテーブルは、テーブル板上で位置決めされた物品に荷重が付与された際にも、テーブル板を各支持ユニットにより強固に支持して正確な位置に維持することができる。
【0017】
本発明の位置決めテーブルは、多自由度での位置決めを実現するために最低で三個の支持ユニット、すなわち最低で三個のくさび機構(前記の第二のスライド部材と昇降部材とに相当する)を用いればよく、そして各々のくさび機構のくさび(前記の昇降部材に相当する)のテーブル板の側の表面を精密に機械加工する必要はなく、また各くさび機構をくさびの表面が所定の角度で配置されるように精密に設置する必要もないため、容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の位置決めテーブルの構成例を示す平面図である。但し、位置決めテーブル10のテーブル板15は、その外形のみを二点鎖線で示している。
【図2】図1に記入した切断線II−II線に沿って切断した位置決めテーブル10の断面図である。但し、図1に示す昇降装置11aの第二の回転駆動装置42は記入していない。
【図3】図2に示す位置決めテーブル10を、テーブル板15をX軸方向に移動させて位置決めした状態で示す図である。
【図4】図3に示す位置決めテーブル10を、テーブル板15をZ軸方向に移動させて位置決めした状態で示す図である。
【図5】図4に示す位置決めテーブル10を、テーブル板15をY軸に平行な軸を中心として傾斜移動させて位置決めした状態で示す図である。
【図6】本発明の位置決めテーブルの別の構成例を示す平面図である。但し、位置決めテーブル60のテーブル板65は、その外形のみを二点鎖線で示しいる。
【図7】本発明の位置決めテーブルの更に別の構成例を示す平面図である。但し、位置決めテーブル70のテーブル板15は、その外形のみを二点鎖線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の位置決めテーブルを、添付の図面を用いて説明する。
【0020】
図1は、本発明の位置決めテーブルの構成例を示す平面図である。但し、位置決めテーブル10のテーブル板15は、その外形のみを二点鎖線で示している。そして図2は、図1に記入した切断線II−II線に沿って切断した位置決めテーブル10の断面図である。但し、図1に示す昇降装置11aの第二の回転駆動装置42は記入していない。
【0021】
図1及び図2に示す位置決めテーブル10は、基台14、および基台14の上方に三個の支持ユニット11、12、13を介して支持されたテーブル板15から構成されている。
【0022】
位置決めテーブル10が備える三個の支持ユニット11、12、13の構成は互いに同一である。以下では、主に支持ユニット11の構成について説明を行ない、残りの支持ユニット12、13の構成についての詳細な説明は行なわない。
【0023】
支持ユニット11は、下記の(1)乃至(3)の条件を満足するように構成されている。
【0024】
(1)支持ユニット11は、基台14の表面に基台表面に沿ってスライド可能に設置された昇降装置11a、および昇降装置11aとテーブル板15とを互いに接続している接続具11bから構成されている。
【0025】
(2)上記(1)に記載の昇降装置11aが、基台14の表面に沿って延びるレール24、レール24にスライド可能に支持された第一のスライド部材21と頂面に斜面22aを有する第二のスライド部材22、第二のスライド部材22の斜面22aと対向する斜面23aを底面に有し、第二のスライド部材22の斜面22aの上方に斜面22aに沿って傾斜して配置された第一のリニアガイド31を介して支持されていて、そして第一のスライド部材21の側面に第二のリニアガイド32を介して昇降可能に接続されている昇降部材23、および各スライド部材をレール24の上の所定の位置までスライドさせて保持するスライド部材駆動手段25から構成されている。
【0026】
(3)上記(1)に記載の接続具11bが、球面軸受34と、球面軸受34をスライド可能に保持する第三のリニアガイド33とからなり、球面軸受34が昇降部材23に、そして第三のリニアガイド33がテーブル板15に固定されている。
【0027】
図1及び図2に示す位置決めテーブル10では、基台14の上方に、合計で3個の支持ユニット11、12、13を介してテーブル板15を支持することにより、多自由度での位置決めを可能としている。
【0028】
前記のように支持ユニット11は、昇降装置11aと接続具11bとから構成されている。同様に、支持ユニット12は、昇降装置12aと接続具12bとから構成されていて、そして支持ユニット13は、昇降装置13aと接続具13bとから構成されている。
【0029】
テーブル板15を支持する支持ユニットの数に特に制限は無いが、支持ユニットの数が多すぎると装置の構成が複雑になる。従って、支持ユニットの数は、3個〜6個の範囲にあることが好ましく、3個または4個であることが更に好ましく、3個であることが特に好ましい。
【0030】
図1及び図2に示すように、支持ユニット11の昇降装置11aのレール24には、第一のスライド部材21と、頂面(上面)に斜面22aを有する第二のスライド部材22とが、それぞれスライド可能に支持されている。
【0031】
第一のスライド部材21は、その底面にレール24に沿ってスライド可能なスライダ26aを備えている。同様に、第二のスライド部材22は、その底面にレール24に沿ってスライド可能なスライダ26bを備えている。各々のスライド部材は、その底面に備えられたスライダと共にレール24に沿ってスライドする。各々のスライド部材は、後述のスライド部材駆動手段25によりレール24の上の所定の位置までスライドされて保持される。
【0032】
一方、昇降装置11aの昇降部材23は、その底面(下面)に、第二のスライド部材22の斜面22aと対向する斜面23aを有している。昇降部材23は、第二のスライド部材22の斜面22aの上方に、斜面22aに沿って傾斜して配置された第一のリニアガイド31を介して支持されていて、そして第一のスライド部材21の側面に第二のリニアガイド32を介して昇降可能に接続されている。
【0033】
第一のリニアガイド31は、レール31aとレール31aにスライド可能に装着されたスライダ31bとから構成されている。第一のリニアガイド31のレール31aは昇降部材23の斜面23aに固定されていて、そしてスライダ31bは第二のスライド部材22の斜面22aに固定されている。なお、第一のリニアガイドのレールを第二のスライド部材22の斜面22aに固定し、そしてスライダを昇降部材23の斜面23aに固定することもできる。
【0034】
第二のリニアガイド32は、レール32aとレール32aにスライド可能に装着されたスライダ32bとから構成されている。第二のリニアガイド32のレール32aは第一のスライド部材21の側面に固定されていて、そしてスライダ32bは昇降部材23の側面に固定されている。なお、第二のリニアガイドのレールを昇降部材の側面に固定し、そしてスライダを第一のスライド部材の側面に固定することもできる。
【0035】
昇降装置11aの昇降部材23は、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とを、それぞれレール24に沿って互いに同一の方向にスライドさせることにより、レールに沿って(X軸方向に)移動することが可能とされている。同様に、昇降装置12aの昇降部材23は、X軸方向に移動可能とされていて、そして昇降装置13aの昇降部材23はY軸方向に移動可能とされている。すなわち、昇降装置11a、12a、13aは、それぞれ基台14の表面に沿ってスライド可能とされている。
【0036】
その一方で、例えば、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22の一方あるいは両方をレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を互いに近づける(両者のスライド部材の間隔を小さくする)ことにより、各昇降装置の昇降部材23を上昇させることができる。
【0037】
例えば、第二のスライド部材22をレール24に沿ってスライドさせて第一のスライド部材21に近づけると、第一のリニアガイド31のレール31aとスライダ31bとが互いに逆向きに移動しながらスライドする。これにより、昇降部材23に固定されたレール31aが、レール31aの下端の側にスライドしたスライダ31bを介して第二のスライド部材22に支持される。このため、昇降部材23は、第二のリニアガイド32のスライダ32bと共にレール32aに沿ってスライドして上昇する。
【0038】
これとは逆に、例えば、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22の一方あるいは両方をレール24に沿って移動させ、両者のスライド部材を互いに遠ざける(両者のスライド部材の間隔を大きくする)ことにより、各昇降装置の昇降部材23を下降させることができる。
【0039】
例えば、第二のスライド部材22をレール24に沿ってスライドさせて第一のスライド部材21から遠ざけると、第一のリニアガイド31のレール31aとスライダ31bとが互いに逆向きに移動しながらスライドする。これにより、昇降部材23に固定されたレール31aが、レール31aの上端の側にスライドしたスライダ31bを介して第二のスライド部材22に支持される。このため、昇降部材23は、第二のリニアガイド32のスライダ32bと共にレール32aに沿ってスライドして下降する。
【0040】
昇降装置11a、12a、13aは、それぞれ接続具11b、12b、13bを介してテーブル板15に接続されている
【0041】
例えば、接続具11bは、球面軸受34と、球面軸受34をスライド可能に保持する第三のリニアガイド33とから構成されている。そして接続具11bの球面軸受34は昇降部材23に固定されていて、そして第三のリニアガイド33はテーブル板15に固定されている。なお、接続具の第三のリニアガイドを昇降部材23に固定し、そして球面軸受をテーブル板15に固定することもできる。
【0042】
球面軸受34としては、公知の球面軸受が用いられている。球面軸受34は、開口部を持つ球状の収容部が形成されたハウジング34aと、ハウジングの内部に収容された球体(図示していない)と、この球体に固定されていて、ハウジング34aの外部へと延びるロッド34bとから構成されている。
【0043】
球面軸受34のロッド34bとハウジング34aとは、両者が互いに接触しない範囲内にて、ハウジング34aの内部での球体の滑動により、それぞれ球体を中心として任意の方向に相互に傾斜移動すること、あるいは球体の中心を通る任意の方向を中心として相互に回転移動することができる。
【0044】
球面軸受34のロッド34bは昇降部材23に固定されていて、そしてハウジング34aは第三のリニアガイド33に固定されている。従って、球面軸受34のハウジング34aに固定された第三のリニアガイド33もまた、ハウジング34aの内部に収容されている球体を中心として任意の方向に傾斜移動すること、あるいは球体の中心を通る任意の方向を中心として回転移動することができる。なお、球面軸受のハウジングを昇降部材23に固定し、そしてロッドを第三のリニアガイド33に固定することもできる。
【0045】
第三のリニアガイド33は、レール33aとレール33aにスライド可能に装着されたスライダ33bとから構成されている。第三のリニアガイド33のスライド33bは球面軸受34に固定され、そしてレール33aはテーブル板15に固定されている。なお、第三のリニアガイドのレールを球面軸受34に固定し、そしてスライダをテーブル板15に固定することもできる。
【0046】
次に、図1及び図2に示す位置決めテーブル10の各昇降装置が備えるスライド部材駆動手段25について説明する。
【0047】
各昇降装置、例えば、昇降装置11aが備えるスライド部材駆動手段25は、各々昇降装置11aのレール24と平行に配置された回転軸を有する第一の回転駆動装置41と第二の回転駆動装置42とを備えている。第一の回転駆動装置41は、第一のスライド部材21に設置されていて、その回転軸41aは第一の送りねじ51を介して第二のスライド部材22に接続されている。そして第二の回転駆動装置42は、基台14の上に設置されていて、その回転軸(図示していない)は第二の送りねじ52を介して第一のスライド部材21に接続されている。
【0048】
前記のように、第一の回転駆動装置41は、第一のスライド部材21に設置されていて、その回転軸41aは第一の送りねじ51を介して第二のスライド部材22に接続されている。回転軸41aは、昇降装置11aのレール24と平行に配置された状態にて、第一のスライド部材21に形成された透孔の内部に収容されている。なお、第一の回転駆動装置を第二のスライド部材22に設置して、その回転軸を送りねじを介して第一のスライド部材21に接続することもできる。
【0049】
第一の送りねじ51は、ねじ軸51aと、ねじ軸51aに嵌め合わされたナット51bとから構成されている。ねじ軸51aは、カップリング44を介して、第一の回転駆動装置41の回転軸41aに接続されている。ナット51bは、第二のスライド部材22に形成された透孔に収容されて固定されている。なお、第一の送りねじ(そして後述の第二の送りねじ)として、例えば、ねじ軸とナットとが、ねじ溝に配置された複数の転動体を介して互いに嵌め合わされた構成のボールねじを用いることもできる。
【0050】
第一の回転駆動装置41を作動させ、その回転軸41aを第一の送りねじ51のねじ軸51aと共に回転(正転あるいは逆転)させることにより、ねじ軸51aに嵌め合わされたナット51bを、ナット51bに固定された第二のスライド部材22と共にレール24に沿ってスライドさせることができる。これにより、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22との間隔を調節することができ、従って第二のスライド部材22の上方に支持された昇降部材23の高さを調節することができる。
【0051】
そして、昇降部材23が所定の高さに配置されたときに、第一の回転駆動装置41の回転軸41aの回転を停止することにより、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22は、両者のスライド部材の間隔を維持した状態にて、それぞれ第一の回転駆動装置41と第一の送りねじ51によって保持される。従って、昇降部材23を所定の高さに維持することができる。
【0052】
第二の回転駆動装置42は、基台14の上に設置されていて、その回転軸(図示していない)は第二の送りねじ52を介して第一のスライド部材21に接続されている。第二の回転駆動装置42の回転軸は、昇降装置11aのレール24と平行に配置された状態にて、回転駆動装置42を基台14の上に支持固定している支持部材43に形成された透孔の内部に収容されている。なお、第二の回転駆動装置を、基台14の上に設置して、その回転軸を送りねじを介して第二のスライド部材22に接続することもできる。
【0053】
第二の送りねじ52は、ねじ軸52aと、ねじ軸52aに嵌め合わされたナット52bとから構成されている。上記の支持部材43の透孔の内部において、ねじ軸52aは、カップリングを介して第二の回転駆動装置42の回転軸に接続されている。ナット52bは、第一のスライド部材21の突出部21aに形成された透孔に収容されて固定されている。
【0054】
第二の回転駆動装置42を作動させ、その回転軸を第二の送りねじ52のねじ軸52aと共に回転させることにより、ねじ軸52aに嵌め合わされたナット52bを、ナット52bに固定された第一のスライド部材21と共に、レール24に沿ってスライドさせることができる。これにより、第一の回転駆動装置41と第一の送りねじ51とにより所定の間隔を介して保持された第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とが、両者のスライド部材の間隔を維持した状態で、レール24に沿ってスライドする。従って、昇降部材23を、その高さを維持した状態にて、レール24に沿って(X軸方向)に移動させることができる。
【0055】
そして、昇降部材23がX軸方向の所定の位置に配置されたときに、第二の回転駆動装置42の回転軸の回転を停止する。これにより、第一の回転駆動装置41と第一の送りねじ51によって所定の間隔にて保持された第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とが、第二の回転駆動装置42と第二の送りねじ52によりレール24の上の所定の位置に保持される。従って、昇降部材23をX軸方向の所定の位置に維持することができる。
【0056】
スライド部材駆動手段25は、第一の回転駆動装置41と第一の送りねじ51とにより、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22を互いに所定の間隔をあけて配置された状態にて保持し、そして第二の回転駆動装置42と第二の送りねじ52とにより、上記の両者のスライド部材をレール24の上の所定の位置に保持する。すなわち、スライド部材駆動手段25は、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22を、それぞれレール24の上の所定の位置までスライドさせて保持する機能を有している。
【0057】
スライド部材駆動手段25は、一台の回転駆動装置(第一の回転駆動装置41)によって、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22との間隔、すなわち昇降部材23の高さを調節するため、昇降部材23を高精度にて昇降させることができる。
【0058】
図1及び図2に示す本発明の位置決めテーブル10は、3個の支持ユニット11、12、13の昇降装置11a、12a、13aの各々が備えるスライド部材駆動手段25を作動させることにより、テーブル板15(すなわちテーブル板15に載置された位置決め対象物)を、X軸方向、Y軸方向、もしくはZ軸方向に移動、あるいは前記の各軸(あるいは各軸に平行な軸)を中心として傾斜移動させて位置決めすることができる。
【0059】
図3は、図2に示す位置決めテーブル10を、テーブル板15をX軸方向に移動させて位置決めした状態で示す図である。
【0060】
テーブル板15をX軸方向に移動させて位置決めする際には、図1及び図2に示した支持ユニット11、12、13の昇降装置11a、12a、13aの各々が備えるスライド部材駆動手段25を、次のように作動させる。
【0061】
支持ユニット11の昇降装置11aのスライド部材駆動手段25の第二の回転駆動装置42を作動させて、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とを互いの間隔を維持した状態にてレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を、昇降部材23、そして接続具11bと共にX軸方向に移動させる。
【0062】
これと同時に、支持ユニット12の昇降装置12aのスライド部材駆動手段25の第二の回転駆動装置42を作動させて、第一のスライド部材と第二のスライド部材とを互いの間隔を維持した状態にてレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を、昇降部材23、そして接続具12bと共にX軸方向に移動させる。この際、支持ユニット12の昇降装置12aの第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22のX軸方向への移動距離は、支持ユニット11の昇降装置11aの第一のスライド部材21及び第二のスライド部材22のX軸方向への移動距離と等しくする。
【0063】
このような操作により、テーブル板15は、支持ユニット11の接続具11bの第三のリニアガイド33、そして支持ユニット12の接続具12bの第三のリニアガイド33と共にX軸方向に移動する。この際に、支持ユニット13の接続具13bが備える第三のリニアガイド33のレール33aは、スライダ33bに支持された状態にて、テーブル板15と共にX軸方向に移動する。
【0064】
なお、テーブル板15をY軸方向に移動させて位置決めする際には、支持ユニット13の昇降装置13aのスライド部材駆動手段25の第二の回転駆動装置42を作動させて、第一のスライド部材と第二のスライド部材とを互いの間隔を維持した状態にてレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を、昇降部材23、そして接続具13bと共にY軸方向に移動させる。
【0065】
このような操作により、テーブル板15は、支持ユニット13の接続具13bと共にY軸方向に移動する。この際に、支持ユニット11の接続具11bが備える第三のリニアガイド33のレール33aは、スライダ33bに支持された状態にて、テーブル板15と共にY軸方向に移動する。そして支持ユニット12の接続具12bが備える第三のリニアガイド33のレールもまた、スライダに支持された状態にて、テーブル板15と共にY軸方向に移動する。
【0066】
図4は、図3に示す位置決めテーブル10を、テーブル板15をZ軸方向に移動(上昇)させて位置決めした状態で示す図である。
【0067】
テーブル板15をZ軸方向に移動(上昇)させて位置決めする際には、図1及び図2に示した支持ユニット11、12、13の昇降装置11a、12a、13aの各々が備えるスライド部材駆動手段25を、次のように作動させる。
【0068】
支持ユニット11、12、13の各々の昇降装置のスライド部材駆動手段25の第一の回転駆動装置41を作動させて、第二のスライド部材22をレール24に沿ってスライドさせて第一のスライド部材21に近づける。これにより、支持ユニット11、12、13の昇降装置11a、12a、13aの各昇降部材23を、それぞれ接続具11b、12b、13bと共に上昇させる。
【0069】
このような操作により、テーブル板15は、支持ユニット11、12、13の接続具11b、12b、13bと共にZ軸方向に移動(上昇)する。
【0070】
図5は、図4に示す位置決めテーブル10を、テーブル板15をY軸に平行な軸を中心として傾斜移動させて位置決めした状態で示す図である。
【0071】
テーブル板15をY軸に平行な軸を中心として傾斜移動させて位置決めする際には、図1及び図2に示した支持ユニット11、12、13の昇降装置11a、12a、13aの各々が備えるスライド部材駆動手段25を、次のように作動させる。
【0072】
支持ユニット11、12の各々の昇降装置のスライド部材駆動手段25の第一の回転駆動装置41を作動させて、第二のスライド部材22をレール24に沿ってスライドさせて第一のスライド部材21から遠ざける。これにより、支持ユニット11、12の昇降装置11a、12aの各昇降部材23を、それぞれ接続具11b、12bと共に下降させる。
【0073】
このような操作により、接続具11b、12bの各々の球面軸受34のハウジングが傾斜移動し、そして接続具13bの球面軸受34のハウジング34aが傾斜移動し、かつハウジング34aを固定しているスライダ33bと共にレール33aに沿って僅かにスライドする。その結果、テーブル板15は、Y軸に平行な軸を中心として傾斜移動(回転移動)する。
【0074】
なお、詳しい説明は行なわないが、昇降装置11a、12a、13aの各々のスライド部材駆動手段25を作動させて、接続具11b、12b、13bの各々を所定の高さに配置することにより、テーブル板をY軸もしくはY軸に平行な任意の軸を中心として傾斜移動(回転移動)させること、あるいはX軸もしくはX軸に平行な任意の軸を中心として傾斜移動(回転移動)させることができる。
【0075】
また、テーブル板15をZ軸を中心として回転移動(傾斜移動)させて位置決めする際には、図1及び図2に示した支持ユニット11、12、13の昇降装置11a、12a、13aの各々が備えるスライド部材駆動手段25を、次のように作動させる。
【0076】
支持ユニット11の昇降装置11aのスライド部材駆動手段25の第二の回転駆動装置42を作動させて、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とを互いの間隔を維持した状態にてレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を、昇降部材23、そして接続具11bと共にX軸方向に移動させる。
【0077】
同時に、支持ユニット12の昇降装置12aのスライド部材駆動手段25の第二の回転駆動装置42を作動させて、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とを互いの間隔を維持した状態にてレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を、昇降部材23、そして接続具12bと共にX軸方向とは逆向きの方向に移動させる。
【0078】
更に同時に、支持ユニット13の昇降装置13aのスライド部材駆動手段25の第二の回転駆動装置42を作動させて、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22とを互いの間隔を維持した状態にてレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材を、昇降部材23、そして接続具13bと共にY軸方向とは逆向きの方向に移動させる。
【0079】
このような操作により、接続具11b、12b、13bの各々の球面軸受34のハウジング34aが、ロッド34b(ロッド34bは、ハウジングに収容された球体の中心を通る直線に沿って延びている)を中心として、第三のリニアガイド33と共に回転移動(傾斜移動)する。同時に、前記の第三のリニアガイド33のレール33aが、スライダ33bに支持された状態にて僅かにスライドする。その結果、テーブル板15は、Z軸を中心として回転移動(傾斜移動)する。
【0080】
なお、詳しい説明は行なわないが、上記の接続具11b、12b、13bの各々を移動させる方向と距離とを調節することにより、テーブル板をZ軸もしくはZ軸に平行な任意の軸を中心として回転移動(傾斜移動)させることができる。
【0081】
このように、本発明の位置決めテーブル10は、多自由度での位置決めを実現するために最低で三個の支持ユニット、すなわち最低で三個のくさび機構(第二のスライド部材22と昇降部材23とに相当する)を用いればよく、そして各々のくさび機構のくさび(昇降部材23に相当する)のテーブル板15の側の表面を精密に機械加工する必要はなく、また各くさび機構をくさびの表面が所定の角度で配置されるように精密に設置する必要もないため、容易に組み立てることができる。
【0082】
また、本発明の位置決めテーブル10では、テーブル板15を支持する各支持ユニットは、基台上にスライド可能に設置された昇降装置と、この昇降装置をテーブル板に接続している、球面軸受34及び第三のリニアガイド33からなる接続具とから構成されていて、テーブル板を各支持ユニットに押し付ける不勢手段(代表例、バネ)を用いる必要はない。従って、本発明の位置決めテーブル10は、テーブル板15の上に置かれて位置決めされた物品に荷重が付与された際にも、テーブル板15を各支持ユニットにより強固に支持して正確な位置に維持することができる。
【0083】
本発明の位置決めテーブルにおいては、三以上の支持ユニットの各々の接続具が、テーブル板の底面に接続されていることが好ましい。これにより、テーブル板をその底面が平滑な表面となるように精密に機械加工(例、研磨加工)すれば、各支持ユニットがテーブル板の底面の所定位置に正確に配置されるため、テーブル板を高精度で位置決めすることができるようになる。前記の特許文献1の位置決めテーブルと同様に、例えば、6個の支持ユニットにより、テーブル板の底面と三つの側面とを支持すると、テーブル板を高精度で位置決めするためには、テーブル板の底面を精密に機械加工すると共に、テーブル板の三つの側面のそれぞれを、前記の底面に対して正確に直角をなすように精密に機械加工することが必要である。
【0084】
また、本発明の位置決めテーブルにおいては、少なくとも三個の支持ユニットの各々の接続具の第三のリニアガイドが、その長さ方向に延びる直線を基台表面(水平面)に投影した直線が昇降装置のレールの長さ方向に延びる直線と交差(好ましくは直交)するような向きに配置されていることが好ましい。
【0085】
上記の条件を満足する支持ユニットは、その昇降装置が備えるスライド部材駆動手段により、第一のスライド部材と第二のスライド部材とを昇降部材と共にレール上に沿ってスライドさせた際に、このスライド部材駆動手段の駆動力を接続具を介してテーブル板に伝達させる。
【0086】
なお、位置決めテーブルが四個以上の支持ユニットを備える場合、少なくとも三個の支持ユニットの各々の接続具の第三のリニアガイドが上記条件を満足するように配置されていれば、残りの各支持ユニットの接続具の第三のリニアガイドは、上記条件を満足するように配置することもできるし、その長さ方向に延びる直線を基台表面に投影した直線が昇降装置のレールの長さ方向に延びる直線と一致する(あるいは平行をなす)ような向きに配置することもできる。
【0087】
更にまた、本発明の位置決めテーブルにおいては、少なくとも二個の支持ユニットの接続具の第三のリニアガイドが、その長さ方向に延びる直線を基台表面(水平面)に投影した直線が互いに交差するような向きに配置されていることが好ましい。この条件を満足する上記の少なくとも二個の支持ユニットにより、テーブル板は、これらの支持ユニットが備える二以上の第三のリニアガイドの長さ方向に延びる直線を含む平面内の任意の方向に移動可能な状態にて支持される。
【0088】
なお、図1及び図2に示す位置決めテーブル10では、第二のスライド部材22の斜面22aの上方に、第一のリニアガイド31を介して昇降部材23が支持されている。そして第一のリニアガイド31は、第二のスライド部材22の斜面22aと、昇降部材23の斜面23aとの各々に固定されている。第一のリニアガイドは、その固定位置に特に制限はなく、例えば、第二のスライド部材22及び昇降部材23の各々の斜面に近接する側面(図2にて手前側もしくは奥側の側面)の各々に固定することもできる。
【0089】
また、第一のスライド部材21と第二のスライド部材22との間隔を調節したときに昇降部材23が昇降する距離は、第一のリニアガイド31の傾斜角度により定まる。従って、例えば、前記のように第一のリニアガイド31を第二のスライド部材22及び昇降部材23の各々の斜面に近接する側面に固定する場合、第一のリニアガイド31の傾斜角度は、第二のスライド部材22の斜面22aあるいは昇降部材23の斜面23aの傾斜角度と一致する必要はない。
【0090】
更にまた、スライド部材駆動手段25の第一の回転駆動装置41及び第二の回転駆動装置42の各々としては、公知の回転駆動装置(代表例、ステッピングモータ)を用いることができる。このスライド部材駆動手段25の第一の回転駆動装置41及び第一の送りねじ51、そして第二の回転駆動装置42及び第二の送りねじ52は、それぞれ直動駆動装置として機能する。従って、第一の回転駆動装置41及び第一の送りねじ51、そして第二の回転駆動装置42及び第二の送りねじ52に代えて、それぞれ公知の直動駆動装置(例、リニアモータ)を用いることもできる。
【0091】
図6は、本発明の位置決めテーブルの別の構成例を示す平面図である。但し、位置決めテーブル60のテーブル板65は、その外形のみを二点鎖線で記入してある。
【0092】
図6の位置決めテーブル60の構成は、基台64及びテーブル板65の各々の形状が異なること、テーブル板65の中央に開口65aが形成されていること、そして支持ユニット11、12、13の配置が異なること以外は、図1及び図2に示す位置決めテーブル10と同様である。
【0093】
このように、基台64の上に設置された支持ユニット11、12、13が、テーブル板65の開口の周囲に並べて設置されていると、例えば、テーブル板65の開口の下方に、テーブル板65の上に載置された物品の各種の検査を行なう装置を配置することができる。
【0094】
なお、位置決めテーブル60もまた、そのテーブル板65のX軸方向への移動、Y軸方向への移動、Z軸方向への移動、および前記各軸(あるいは各軸に平行な軸)を中心とする傾斜移動のそれぞれが可能とされている。
【0095】
図7は、本発明の位置決めテーブルの更に別の構成例を示す平面図である。但し、位置決めテーブル70のテーブル板15は、その外形のみを二点鎖線で示している。
【0096】
図7の位置決めテーブル70の構成は、支持ユニット71、72、73の各々の昇降装置が備えるスライド部材駆動手段75の構成が異なること以外は、図1の位置決めテーブル10と同様である。
【0097】
スライド部材駆動手段75は、各々基台14上に設置された昇降装置のレール24と平行に配置された回転軸を有する第一の回転駆動装置81と第二の回転駆動装置82とを備えている。第一の回転駆動装置81の回転軸は、第一の送りねじ91を介して第一のスライド部材21に接続されている。そして第二の回転駆動装置82の回転軸は、第二の送りねじ92を介して第二のスライド部材(昇降部材23の下側に配置されている)に接続されている。なお、上記の第一の送りねじ91及び第二の送りねじ92の各々のねじ軸の先端部は、回転軸受93により回転可能に支持されている。
【0098】
前記のスライド部材駆動手段75の第一の回転駆動装置81を作動させることにより、第一の回転駆動装置81に送りねじ91を介して接続されている第一のスライド部材21を、レール24の上の所定位置までスライドさせて保持することができ、そして第二の回転駆動装置82を作動させることにより、第二の回転駆動装置82に送りねじ92を介して接続されている第二のスライド部材を、レール24の上の所定位置までスライドさせて保持することができる。
【0099】
従って、第一の回転駆動装置81及び第二の回転駆動装置82を用いて、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材の各々をレール24に沿ってスライドさせ、両者のスライド部材の間隔を調節することにより、第二のスライド部材の上方に支持された昇降部材23を昇降させることができる。
【0100】
一方、第一の回転駆動装置81及び第二の回転駆動装置82を用いて、第一のスライド部材21及び第二のスライド部材を、両者のスライド部材の間隔を維持しながらレール24に沿ってスライドさせることにより、昇降部材23を所定の高さに維持した状態でレール24に沿って移動させることができる。
【0101】
このように、図7の位置決めテーブル70が備えるスライド部材駆動手段75の機能は、図1の位置決めテーブル10が備えるスライド部材駆動手段25と同一である。
【0102】
スライド部材駆動手段75は、第一の回転駆動装置81及び第二の回転駆動装置82の各々が基台14の上に設置されていて移動することがないため、各々の回転駆動装置に接続される各種ケーブル(代表例、電源ケーブル)の配置を固定することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 位置決めテーブル
11、12、13 支持ユニット
11a、12a、13a 昇降装置
11b、12b、13b 接続具
14 基台
15 テーブル板
21 第一のスライド部材
21a 突出部
22 第二のスライド部材
22a 斜面
23 昇降部材
23a 斜面
24 レール
25 スライド部材駆動手段
26a、26b スライダ
31 第一のリニアガイド
31a レール
31b スライダ
32 第二のリニアガイド
32a レール
32b スライダ
33 第三のリニアガイド
33a レール
33b スライダ
34 球面軸受
34a ハウジング
34b ロッド
41 第一の回転駆動装置
41a 回転軸
42 第二の回転駆動装置
43 支持部材
44 カップリング
51 第一の送りねじ
51a ねじ軸
51b ナット
52 第二の送りねじ
52a ねじ軸
52b ナット
60 位置決めテーブル
64 基台
65 テーブル板
65a 開口
70 位置決めテーブル
71、72、73 支持ユニット
75 スライド部材駆動手段
81 第一の回転駆動装置
81a 回転軸
82 第二の回転駆動装置
82a 回転軸
91 第一の送りねじ
92 第二の送りねじ
93 回転軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台と該基台の上方に下記(1)乃至(3)の条件を満足する三以上の支持ユニットを介して支持されたテーブル板とを含む位置決めテーブル:
(1)各々の支持ユニットは、上記基台表面に当該表面に沿ってスライド可能に設置された昇降装置、および該昇降装置とテーブル板とを互いに接続している接続具からなる;
(2)上記(1)に記載の昇降装置が、基台表面に沿って延びるレール、該レールにスライド可能に支持された第一のスライド部材と頂面に斜面を有する第二のスライド部材、第二のスライド部材の斜面と対向する斜面を底面に有し、第二のスライド部材の斜面の上方に当該斜面に沿って傾斜して配置された第一のリニアガイドを介して支持されていて、そして第一のスライド部材の側面に第二のリニアガイドを介して昇降可能に接続されている昇降部材、および各スライド部材を上記レール上の所定の位置までスライドさせて保持するスライド部材駆動手段からなる;および
(3)上記(1)に記載の接続具が、球面軸受と該球面軸受をスライド可能に保持する第三のリニアガイドとからなり、該球面軸受及び第三のリニアガイドの一方が昇降部材に、そして他方がテーブル板に固定されている。
【請求項2】
スライド部材駆動手段が、各々前記昇降装置のレールと平行に配置された回転軸を有する第一の回転駆動装置と第二の回転駆動装置とを備え、第一の回転駆動装置が、第一のスライド部材及び第二のスライド部材のうちの一方のスライド部材に設置され、その回転軸が第一の送りねじを介して他方のスライド部材に接続されていて、そして第二の回転駆動装置が基台上に設置され、その回転軸が第二の送りねじを介して第一のスライド部材又は第二のスライド部材に接続されている請求項1に記載の位置決めテーブル。
【請求項3】
スライド部材駆動手段が、各々基台上に設置された前記昇降装置のレールと平行に配置された回転軸を有する第一の回転駆動装置と第二の回転駆動装置とを備え、第一の回転駆動装置の回転軸が第一の送りねじを介して第一のスライド部材に接続され、そして第二の回転駆動装置の回転軸が第二の送りねじを介して第二のスライド部材に接続されている請求項1に記載の位置決めテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−51054(P2012−51054A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194523(P2010−194523)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(394000493)ヒーハイスト精工株式会社 (76)
【Fターム(参考)】