説明

位置測定装置

【課題】 移動体の位置測定をする際に、移動体の位置の測定結果に変化が生じた場合であっても、精度よく移動体の位置を測定することができる位置測定装置を提供する。
【解決手段】 VTOL機1は、GPS−GYRO7と、GPS−GYRO7の検出結果に基づいて、VTOL機1の位置の変化を検出する位置制御部6とを備えている。また、位置制御部6には、ファン2を駆動するACモータ3が接続されており、電源5からACモータ3に供給される電流の電流値をモニタリングしている。ここでモニタリングしている電流の電流値が所定の電流値を下回った場合に、GPS−GYRO7で検出されたGPS緯度経度情報に基づく位置データを補正することなく、VTOL機1の現在位置を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定装置に係り、特に、飛翔体などの高さ方向に移動可能な移動体に用いて好適な位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の位置を測定する位置測定装置として移動体の絶対位置と、移動体の位置変化から得られる相対位置とによって移動体の位置測定を行う位置測定装置が知られている(たとえば特許文献1)。この位置測定装置では、GPS等の絶対位置測定手段によって移動体の絶対位置を測定するとともに、慣性航法などの相対位置測定手段によって移動体の相対位置を測定する。ここで、移動体の絶対位置の測定結果が急変した場合に、相対位置の測定結果を利用して、移動体の位置が実際に急変したのか、あるいは絶対位置測定手段の測定誤差が急変したのかを判定している。
【特許文献1】特開平9−273936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、移動体の位置を測定するにあたり、移動体が飛翔体等である場合等、相対的な位置変化を検出することが困難な場合がある。このため、測定結果に変化が生じた場合、変化の原因が絶対位置を測定する絶対位置測定手段の測定によるものか否かを判断することが難しくなる。したがって、移動体の位置測定を精度よく行うことができないという問題があった。特に、移動体の位置変化が急激に行った場合に、その問題は顕著となるものであった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、移動体の位置測定をする際に、移動体の位置の測定結果に変化が生じた場合であっても、精度よく移動体の位置を測定することができる位置測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明に係る位置計測装置は、移動体の現在位置を示す移動体位置を検出する移動体位置検出手段と、移動体位置検出手段の検出結果に基づいて、移動体位置の変化を検出する移動体位置変化検出手段と、移動体位置の変化を発生させ得る要因となる変動要因を検出する変動要因検出手段と、移動体位置変化検出手段の検出結果と変動要因検出手段の検出結果とに基づいて、移動体位置検出手段の検出結果の信頼性を判定する信頼性判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0006】
移動体位置検出手段の検出精度が高くない場合、移動体位置変化検出手段によって移動体の測定位置が変化したと判断された際、移動体位置検出手段による検出誤差であるかその他の要因によるものであるのかの判断は困難であるため、移動体の位置精度を高めるのが困難であった。この点、本発明に係る位置計測装置は、移動体位置の変化を発生させ得る要因となる変動要因を検出する変動要因検出手段を備えており、移動体位置変化検出手段の検出結果と変動要因検出手段の検出結果とに基づいて、移動体位置検出手段の検出結果の信頼性を判定している。このため、移動体位置変化検出手段によって移動体の現在位置が変化したと判断された場合に、その変化が移動体位置検出手段の検出精度の低さによるものか否かを判断することができる。したがって、移動体の位置の測定結果に変化が生じた場合であっても、精度よく移動体の位置を測定することができる。
【0007】
ここで、移動体位置検出手段によって検出された移動体位置の変化量が所定のしきい値以上となった場合に、信頼性判定手段は、変動要因検出手段によって変動要因が検出されたときに、変動要因検出手段によって変動要因が検出されていないときと比較して、移動体位置検出手段の検出結果の信頼性を高く判定する態様とすることができる。
【0008】
移動体位置検出手段によって検出された移動体位置の変化量が所定のしきい値以上となり、移動体の位置変化が急激となる場合に、移動体の位置の変化が移動体位置検出手段による検出誤差であるかその他の要因によるものであるのかの判断は困難であることが多くなる。このような場合に、移動体位置検出手段の検出結果の信頼性を高く判定することにより、移動体の位置測定の精度を高めることができる。
【0009】
また、信頼性判定手段による判定結果に応じて、移動体位置検出手段の検出結果を補正する補正手段を備える態様とすることができる。
【0010】
このように、信頼性判定手段による判定結果に応じて、移動体位置検出手段の検出結果を補正することにより、移動体の位置測定の精度をさらに高めることができる。
【0011】
さらに、移動体の位置の変化が、垂直方向の高さ位置を示す垂直方向である態様とすることができる。
【0012】
移動体の位置変化を測定する際、移動体が垂直方向に移動した場合にその精度が特に低くなる傾向にある。このため、移動体の現在位置が、垂直方向の高さ位置を示す垂直方向位置であるときに、より高い精度で移動体の位置を測定することができる。
【0013】
このとき、移動体は、垂直方向の位置を維持する機能である垂直位置維持機能を備えており、変動要因検出手段は、移動体の垂直位置維持機能の異常を検出する態様とすることができる。
【0014】
垂直方向への位置の変化は、垂直位置維持機能が異常となった場合に生じることが多い。したがって、変動要因検出手段は、変動要因として、移動体の垂直位置維持機能の異常を検出することにより、移動体の位置の変化が、垂直方向の高さ位置を示す垂直方向であるときに、より高い精度で移動体の位置を測定することができる。
【0015】
さらに、変動要因検出手段は、移動体に加わる外乱を検出する態様とすることができる。
【0016】
このような移動体に加わる外乱によっても移動体の位置が変化することが多いため、移動体に加わる外乱を検出することにより、移動体の位置の測定結果に変化が生じた場合であっても、精度よく移動体の位置を測定することができる。
【0017】
ここで、本発明における移動体に加わる外乱としては、移動体が飛翔体である場合の上昇気流や横風などを挙げることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る位置測定装置によれば、移動体の位置測定をする際に、移動体の位置の測定結果に変化が生じた場合であっても、精度よく移動体の位置を測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る位置測定装置を備える移動体であるVTOL(Vertical take-off and landing)機のブロック構造図である。図1に示すように、VTOL機1は、2つのファン2を備えている。ファン2は、VTOL機1が飛翔する際の推力を発生する。また、ファン2には、ACモータ(直流モータ)3が接続されており、ACモータ3を駆動することによってファン2が回転する。
【0021】
ACモータ3には、駆動制御部4が接続されており、駆動制御部4には、電源5が接続されている。電源5は、直流電流を駆動制御部4に供給している。駆動制御部4は、DC/ACインバータとして機能しており、電源5から供給される直流電流を、所定の周波数の三相交流に変換してACモータ3に供給する。ACモータ3は、駆動制御部4から供給される三相交流に応じた回転速度で駆動される。電源5から電流を供給されたACモータ3がファン2を駆動させることにより、VTOL機1の水平方向、鉛直方向の位置が維持される。ファン2、ACモータ3、および電源5は、垂直方向維持機能を構成する。なお、本実施形態では、電源5として電池を用いているが、ガスジェネレータや発電機など適宜の電源を用いることができる。
【0022】
さらに、駆動制御部4には、位置制御部6が接続されており、位置制御部6には、位置計測手段であるGPS(Global Positioning System)−GYRO7および加速度センサ8が接続されている。さらに、GPS−GYRO7には、アンテナ9が取り付けられている。本発明に係る位置測定装置は、位置制御部6、GPS−GYRO7、加速度センサ8等によって構成される。
【0023】
GPS−GYRO7は、アンテナ9が受信した衛星から送信される各種情報に基づいて、VTOL機1の現在位置に関するGPS緯度経度情報を検出する。また、GPS−GYRO7は、ジャイロ機構を備えており、ジャイロ機構によって角速度情報を検出している。この角速度情報と、衛星から送信されたGPS緯度経度情報とを比較することにより、衛星から送信されたGPS緯度経度情報を微修正してGPS緯度経度情報として検出している。GPS−GYRO7は、検出したGPS緯度経度情報を位置制御部6に送信する。加速度センサ8は、VTOL機1の三次元方向それぞれの加速度を検出している。加速度センサ8は、検出した加速度に基づく加速度情報を位置制御部6に送信する。この加速度情報としては、三次元方向のそれぞれの加速度について送信される。
【0024】
位置制御部6は、GPS−GYRO7から送信されるGPS緯度経度情報に基づいて、VTOL機1の現在位置に関する位置情報を算出する。また、位置制御部6は、取得した位置情報と、加速度センサ8から送信される加速度情報に基づいて、VTOL機1の現在位置に関する位置情報を算出する。ここで、位置制御部6は、位置情報記憶部を備えており、GPS−GYRO7から送信されるGPS緯度経度情報を逐一記憶している。また、位置制御部6は、GPS−GYRO7から送信されるGPS緯度経度情報から算出した位置情報と、位置情報記憶部に記憶した位置情報との変化量を求めている。位置情報記憶部は、本発明の移動体位置変化検出手段を構成している。
【0025】
また、位置制御部6には、図示しない操作装置が接続されている。この操作装置を操作することにより、VTOL機1の移動目標位置を決定する。位置制御部6は、算出した位置情報と、決定した移動目標位置とに基づいて、VTOL機1の移動量を決定し、決定した移動量に基づく移動量信号を駆動制御部4に出力する。
【0026】
駆動制御部4は、位置制御部6から出力された移動量信号に基づいて、各ACモータ3の駆動力を算出し、算出した駆動力に応じた電流をACモータ3にそれぞれ分配して供給する。
【0027】
さらに、位置制御部6には、ACモータ3が接続されており、位置制御部6は、駆動制御部4を介して電源5からACモータ3に供給される電流の電流値をモニタリングしている。ここでモニタリングしている電流値が所定の電流値を下回った場合には、電源5の故障など、VTOL機1の位置変化を発生させ得る変動要因が検出されたとする。この変動要因が検出されないときには、位置制御部6において、GPS−GYRO7から出力されるGPS緯度経度情報の信頼度が高いと判定してGPS緯度経度情報に対して補正を行って位置情報を取得する。また、変動要因が検出されたときには、GPS−GYRO7から出力されるGPS緯度経度情報の信頼度が高いと判定して位置制御部6における補正を行なわずに位置情報を取得する。位置制御部6は、本発明の変動要因検出手段および信頼性判定手段を構成している。
【0028】
次に、本実施形態に係る位置測定装置における動作手順を説明する。図2は、VTOL機における動作手順を説明するフローチャートである。図2に示すように、本実施形態に係るVTOL機1では、まず、位置制御部6において、電源故障診断を行う(S1)。電源故障診断は、図3に示すフローに沿って行われる。
【0029】
図3に示すように、電源故障診断では、最初に、電源5のモニタを行う(S11)。電源5のモニタは、駆動制御部4を介して電源5からACモータ3に供給される電流値をモニタリングすることによって行われる。次に、電源5の不良が生じているか否かを判断する(S12)。電源5の不良が生じているか否かの判断は、電源5のモニタを行っている際に、ACモータ3から出力される電流値が所定のしきい値を下回っているか否かによって行っている。ここで、モニタしている電流値が所定のしきい値を下回っている場合には、電源5に故障が生じており、変動要因が検出されたと判断する。
【0030】
ステップS12における判断の結果、電源5に故障が生じていないと判断した場合には、診断フラグFALAG=0として不良フラグをセットせず(S13)、正常フラグのままとして電源故障診断を終了する。一方、電源5に故障が生じていると判断した場合には、診断フラグFALAG=1として不良フラグをセットし(S14)。電源故障診断を終了する。
【0031】
図2に示すフローに戻り、電源故障診断に続いて、位置情報の計算処理を行う(S2)。位置情報の計算処理は、図4に示すフローに沿って行われる。
【0032】
図4に示すように、位置情報の計算処理では、まず、GPS−GYRO7から送信されるGPS緯度経度情報を取得する(S21)。GPS緯度経度情報を取得したら、不良フラグがセットされている(FALAG=1)か否かを判断する(S22)。その結果、不良フラグがセットされていない(FALAG=0)と判断した場合には、電源5に故障が生じていないことになる。このとき、たとえばGPS緯度経度情報に急変が生じた場合には、GPS緯度経度情報に誤差が含まれる可能性が高く、GPS緯度経度情報の信頼度が低いと考えられる。そのため、GPS緯度経度情報に基づく位置データを補正し(S23)、補正した位置データをVTOL機1の現在位置(X,Y,Z位置)の位置情報として取得する(S24)。
【0033】
GPS緯度経度情報に基づく位置データを補正する際には、GPS緯度経度情報中の不良データを抽出し、抽出した不良データを削除して現在位置の算出を行う。不良データであるか否かは、GPS緯度経度情報の位置変化が、加速度センサ8から送信される加速度情報から想定される距離以上の変化を示す衛星データであるか否かによって判断される。ここで、衛星データがすべて不良データであると判断される可能性もあるが、この場合には、記憶しているGPS緯度経度情報をそのまま位置情報として用いる。こうして、位置情報計算を終了する。
【0034】
一方、ステップS22において不良フラグがセットされている(FALAG=1)と判断した場合、電源5に故障が生じていることになる。このとき、たとえばGPS緯度経度情報に急変があった場合には、GPS緯度経度情報に誤差であるよりも、電源5の故障によってVTOL機1の位置が急変した可能性が高く、GPS緯度経度情報の信頼度が高いと考えられる。したがって、GPS緯度経度情報に基づく位置データを補正することなく(S25)、そのままの位置データをVTOL機1の現在位置(X,Y,Z位置)の位置情報として取得する(S24)。こうして、位置情報計算を終了する。
【0035】
図2に示すフローに戻り、位置情報計算が済んだら、位置保持制御則に基づく処理を行う(S3)。位置保持制御則に基づく処理は、図5に示すフローに沿って行われる。図5に示すように、位置保持制御則に基づく処理では、図示しない操作装置の操作状況を取得し、操作装置の操作によってVTOL機1の移動目標位置を決定する(S31)。移動目標位置を決定したら、ステップS24で求めた現在位置(X,Y,Z位置)の位置情報を取得する(S32)。
【0036】
続いて、ステップS31で決定した移動目標位置とステップS32で求めた現在位置との偏差を計算する(S33)。その後、計算した偏差に基づいて、各ACモータ3の制御量を計算する(S34)。こうして、位置保持制御則に基づく処理を終了する。
【0037】
図2に示すフローに戻り、位置保持制御則に基づく処理が済んだら、ACモータ3の制御量を決定する(S4)。ACモータ3の制御量としては、ステップS34で計算されたACモータ3の制御量が採用される。その後、位置制御部6は、決定したACモータ3の制御に基づく移動量信号を駆動制御部4に出力する。駆動制御部4では、出力された移動制御量信号に基づいてACモータ3に分配する電流を決定し、各ACモータ3を駆動させる(S5)。こうして、VTOL機1では、ステップS1〜ステップS5に示す処理を繰り返して行っている。
【0038】
このように、本実施形態に係るVTOL機1は、駆動制御部4を介してACモータ3電流を供給する電源5に異常が生じない場合には、GPS−GYRO7から送信されるGPS緯度経度情報に基づく位置情報を補正し、電源5に異常が生じた場合には、GPS緯度経度情報に基づく位置情報を補正しないようにしている。このため、位置制御部6によってVTOL機1の現在位置が急変したと判断された場合に、そのGPS−GYRO7の検出精度の低さによるものか否かを判断することができる。したがって、VTOL機1の位置の測定結果に急変が生じた場合であっても、精度よくVTOL機1の位置を測定することができる。
【0039】
ここで、本実施形態に係るVTOL機1および比較例に係るにVTOL機において測定された高度の経時変化の例を図6に示す。図6には、電源5の故障が生じた場合に、GPS緯度経度情報に基づく位置データを補正する例(比較例)と補正しない例(本発明例)について示す。図6に示すように、電源不良発生時刻以後について、補正する例では、電源5に異常が発生した場合でも、GPS緯度経度情報に基づく位置データに補正を行うようにしている。電源5に異常が発生した場合には、GPS−GYRO7から出力されるGPS緯度経度情報にも急変が生じると考えられ、その信頼度は高いものである。しかしながら、補正をする例では、GPS緯度経度情報に基づく位置データを補正して位置情報を取得することにより、結果として精度の高い位置情報を得ることができなくなっている。
【0040】
これに対して、本実施形態に係るVTOL機1では、電源5に異常が発生した場合には、GPS緯度経度情報に基づく位置データに補正を行わずに位置情報を取得するようにしている。電源5に異常が生じた場合には、GPS緯度経度情報に基づく位置データに急変が生じる考えられるGPS緯度経度情報に基づく位置データに対して補正を行わないようにすることで、結果として精度の高い位置情報を取得することができる。
【0041】
また、本実施形態に係るVTOL機1では、位置制御部6による判定結果に応じて、GPS−GYRO7によって検出されたGPS緯度経度情報に基づく位置データを補正している。このため、VTOL機1の位置測定の精度をさらに高めることができる。さらに、VTOL機1は飛翔体であり、前後左右といった平面的な位置の変化のほか、垂直方向についてもその位置の変化を検出している。VTOL機1が垂直方向に移動した場合には、GPS−GYRO7によるGPS緯度経度の検出精度が特に低くなる傾向にある。このため、VTOL機1の現在位置が、垂直方向の高さ位置を示す垂直方向位置であるときに、より高い精度でVTOL機1の位置を測定することができる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、位置制御部6で検出されるVTOL機1の位置の変化量に係わらず、電源5の不良判定を行うようにしているが、たとえば、VTOL機1の位置の変化量が所定のしきい値を以上となったときに、電源5の不良判定を行う態様とすることができる。位置制御部6によって検出されたVTOL機1の変化量が所定のしきい値以上となり、VTOL機1の位置変化が急激となる場合に、VTOL機1の位置変化が位置制御部6による検出誤差であるかその他の要因によるものであるのかの判断は困難であることが多くなる。このような場合に、GPS−GYRO7によるGPS緯度経度の検出精度の信頼性を高く判定することにより、VTOL機1の位置測定の精度を高めることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、電源5に異常が発生した場合に不良フラグをセットするようにしているが、たとえば上昇気流や横風の風速を計測し、この計測値が所定のしきい値を超える場合に不良フラグをセットする態様とすることもできる。VTOL機1の位置の急激な変化は、電源5の異常のほか、これらの風の影響によっても起こることが多い。このため、上昇気流や横風の風速を計測し、この計測値が所定のしきい値を超える場合に不良フラグをセットする場合にも、精度よくVTOL機1の位置測定を行うことができる。
【0044】
さらに、上記実施形態では、移動体として飛翔体としてのVTOL機を用いているが、その他、陸上を走行する車両などを対象とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る移動体であるVTOL機のブロック構造図である。
【図2】VTOL機における動作手順を説明するフローチャートである。
【図3】電源故障診断の処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】位置情報の計算処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】位置保持制御則の処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態および比較例に係るにVTOL機において測定された高度の経時変化の例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0046】
1…VTOL機、2…ファン、3…ACモータ、4…駆動制御部、5…電源、6…位置制御部、7…GPS−GYRO、8…加速度センサ、9…アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の現在位置を示す移動体位置を検出する移動体位置検出手段と、
前記移動体位置検出手段の検出結果に基づいて、前記移動体位置の変化を検出する移動体位置変化検出手段と、
前記移動体位置の変化を発生させ得る要因となる変動要因を検出する変動要因検出手段と、
前記移動体位置変化検出手段の検出結果と前記変動要因検出手段の検出結果とに基づいて、前記移動体位置検出手段の検出結果の信頼性を判定する信頼性判定手段と、
を備えることを特徴とする位置測定装置。
【請求項2】
前記移動体位置検出手段によって検出された移動体位置の変化量が所定のしきい値以上となった場合に、
前記信頼性判定手段は、前記変動要因検出手段によって変動要因が検出されたときに、前記変動要因検出手段によって変動要因が検出されていないときと比較して、前記移動体位置検出手段の検出結果の信頼性を高く判定する請求項1に記載の位置測定装置。
【請求項3】
前記信頼性判定手段による判定結果に応じて、前記移動体位置検出手段の検出結果を補正する補正手段を備える請求項1または請求項2に記載の位置測定装置。
【請求項4】
前記移動体の現在位置が、垂直方向の高さ位置を示す垂直方向位置である請求項1〜請求項3のうちのいずれか1項に記載の位置測定装置。
【請求項5】
前記移動体は、垂直方向の位置を維持する機能である垂直位置維持機能を備えており、
前記変動要因検出手段は、前記変動要因として、前記移動体の垂直位置維持機能の異常を検出する請求項4に記載の位置測定装置。
【請求項6】
前記変動要因検出手段は、前記移動体に加わる外乱を検出する請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の位置測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−236616(P2009−236616A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81559(P2008−81559)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】