説明

位置識別能力を有する移動式患者モニタリングシステム

【課題】ドッキングステーションは、ドッキングステーションの位置(および他の情報)を測定し、異なるドッキングステーションの位置に接続するまで保持され、識別される場所に関連する設定とコンフィキュレーション情報をアップロードする位置識別子を処理する好適な移動式処理装置を提供する。
【解決手段】患者から取得される信号パラメータを処理する移動式患者モニタリング装置に適したドッキングステーションで使用されるシステムにおいて、パワーカプラは、移動式処理装置への電力を提供する電力を結合する。適応通信インターフェイスは、第1の動作モードにおいて、移動式処理装置に対して特定のドッキングステーションと関連する識別子を伝送し、第2の動作モードにおいて、ネットワークに移動式処理装置の接続を確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年6月11日に出願された仮出願番号60/477612(C.ケリー他)の非仮出願である。
【0002】
本発明は、位置識別をサポートする移動式患者モニタリング装置と付随するドッキングステーションに関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、今日のモニタリング装置は、特に病院内外の様々な治療領域のために設計されている。外傷患者の場合、一般的には、事故現場においてモニタリングが開始される。救急車は、地上車および航空機において移動中に使用するために頑丈に設計されたトランスポートモニタを運搬する。患者は病院に移送され、事故または疾患の程度を診断するため、最初に救急室(ER)に運ばれる。これには通常、救急車のモニタから患者を切り離し、患者をERモニタに再接続することを必要とする。病院のこの治療エリアのモニタには、モニタと患者の移動を可能にし、ER内で必要な場合にモニタと患者が適切に配置され、目視され、かつ、コントロールできるように、中央ステーションモニタと情報ネットワークに対して無線接続がよく用いられる。症状が重篤な場合、患者は一般的に手術室(OR)または集中治療室(ICU)に運ばれ、ERモニタから切り離され、ORモニタまたはICUモニタに再接続される。
【0004】
患者は、通常、ORから回復エリア、そして、ICUに運ばれるか、または、ICUから緊急性の低い「ステップダウン」領域または「病室」に運ばれ、再び、ORモニタからトランスポートモニタ、または、ICUモニタまたはステップダウンモニタに、再び物理的に切り離され、再接続される必要があり得る。より状態のよい患者は、ベッドから離れ、治療ユニットまたは病院内を歩き回ることをできるようにするため、半移動式、または、移動式の着用可能な「遠隔測定」装置を与えられる場合がある。歩行可能な患者においては、臨床医が指定する特定エリアの中に歩くことによって、運動を許可される場合がある。生理的状態が更に改善した後、患者はもはや連続的にモニタされる必要はないが、周期的にバイタルサインの抜き取り検査を行い、やがては取り外しの前の最終的で完全な診断が行なわれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動式患者モニタリング装置は、固定動作モードおよび移動動作モードを有し、患者が、例えば、患者室、検査室、手術室などの間を移動する間でさえ、連続的に患者をモニタするために、患者の様々な治療段階をサポートするように使用されることが好ましい。移動式患者モニタリング装置は、患者の位置、または固定動作モードで接続されたドッキングステーションの現在位置を、少なくとも識別可能であることが更に好ましい。ドッキングステーションに接続される移動式装置の位置情報を測定するために使用される公知のシステムは、複雑なドッキングステーション技術を使用し、結果的にコストが高く、信頼性が低く、また一般的には多くの電力を消費する。例えば、多くのドッキングステーションが一つの病院で使用された場合、これらの要素は特に負担となる。本発明によるシステムは、この問題およびこれに付随した問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ドッキングステーションは、移動式処理装置に位置識別子を好適に提供し、移動式処理装置は、この位置識別子を処理してドッキングステーションの位置(および他の情報)を測定し、識別された位置に関する設定情報と構成情報をアップロードし、その識別された位置は、異なるドッキングステーション位置に接続されるまで保持する。患者から取得される信号パラメータを処理する移動式患者モニタリング装置との接続に適したドッキングステーションで使用されるシステムにおいて、パワーカプラは、移動式処理装置への電力を提供するために電力を結合する。適合通信インターフェイスは、第1の動作モードにおいて、移動式処理装置に対して特定のドッキングステーションと関連する識別子を伝送し、第2の動作モードにおいて、ネットワークに移動式処理装置の接続を確立する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ドッキングステーションはコード(位置識別子)を好適に格納し、ドッキングステーションとドッキングした(または、無線通信実施形態ではドッキングステーションの近くの)移動式処理装置に対する位置識別子を提供する。移動式処理装置は、患者のパラメータモニタリング装置のような移動式の医療機器を含むだけでなく、輸液ポンプ、医師によって使用されるPDA(パーソナル・データ・アシスタント)、呼吸装置、麻酔装置などの別の移動式装置、または、別の移動式医療機器であり得る。移動式処理装置は、ドッキングステーションから受信される位置識別子を使用して、ドッキングステーションの位置(および他の情報)を測定する。本システムは、移動式処理装置の処理リソースを使用し、単純で、費用効率が高いドッキングステーションを使用することを可能にする。システムの中では、一般的に移動式装置よりも多くのドッキングステーションが存在し、通常、移動式処理装置が余剰処理リソースを含むので、実質的なコスト低減と簡略化の改善が得られる。移動式装置位置測定機能は、移動式処理装置に既に存在する処理機能を好適に利用する。これは、移動式装置に対して付加的な複雑さとコストを最小化する。システムは、ドッキングステーションから一意の位置識別子コードを取得し、ドッキングステーションの位置を識別するために位置識別コードを使用し、移動操作モードにおいて移動式装置の最後の位置を識別する情報を格納する。この情報は、装置が最後にドッキングした時の患者の最後の位置を識別するために使用され、かつ位置に関連する設定をアップロードするために使用され、この位置は移動式装置が異なるドッキングステーションの位置を検出するまで保持される。
【0008】
図1は、ドッキングステーション10と移動式処理装置20を含むシステムのブロック図である。ドッキングステーション10と移動式処理装置20は、電力結合のために誘導的結合を使用し、装置間通信のために光通信を使用する。ドッキングステーション10は、地理的な位置(すなわち例えば、治療ユニット、階、ウィング、ストリートアドレスなどで構成される病院内の場所)を識別するために使用される位置識別子コードを保持する。位置識別子は、特定のドッキングステーションに関連し、格納された地図の中の地理的位置に関連するイーサネット(登録商標)互換MACアドレス、IPアドレス、ポート識別子、インターネット互換アドレス、LANアドレス、または、他の電子コードを含む。地図は、移動式装置20またはネットワーク上の遠隔リポジトリに格納される。複数の移動式患者モニタは、一般的に看護婦によって管理されている中央モニタリングシステムでモニタリングされる。ドッキングステーション10は、いくつかの機能を装置20のような移動式医療機器に提供する。ドッキングステーション10は、移動式装置用の物理的なマウントを提供し、移動式装置電池を再充電し、移動式装置に直接電力を提供する。ドッキングステーション10も、移動式装置20、ネットワーク、および、他の装置の間の通信接続を確立する。この目的のため、本実施例においては、移動式装置20は、病院内ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)等に、ドッキングステーション10を経由して、イーサネット(登録商標)・プロトコル互換な通信を確立する。別の実施形態においては、異なる通信プロトコルを使用することができる。イーサネット(登録商標)通信プロトコル標準は、病院内の別の診断用医療機器との通信を確立するために使用され、例えば、病院内外の多くの装置との通信をサポートすることができる。更に、識別子はイーサネット(登録商標)通信を使用して伝達されるデータパケットに付与され、イーサネット(登録商標)・ネットワーク上の装置を一意に識別するイーサネット(登録商標)(またはMAC)アドレスと呼ばれる番号を含む。しかしながら、イーサネット(登録商標)互換ネットワーク通信においては、物理ネットワークは、伝達されたデータから分離される。従って、受信したイーサネット(登録商標)・メッセージの送信元は分かっても、メッセージを送信した送信装置の物理的位置は分からない。
【0009】
ドッキングステーション10は、病院内LANなどを経由してイーサネット(登録商標)互換通信を確立し維持するため通信インターフェイス25を使用する。病院のような健康管理環境において、他の機能を提供するのと同様に、移動式医療装置20(例えば、患者モニタリング装置)、および、患者の位置を報告する(例えば、病院内LANを経由し、実行可能な管理アプリケーションに対して)ために接続されるドッキングステーション10の位置の測定が可能であることが望ましい。ドッキングステーションは固定して設置され、移動式の医療機器は自由に移動できる。ドッキングステーション10は、要求する移動式処理装置20へ送信するために、位置識別子(例えば、イーサネット(登録商標)MACアドレス)の形で物理的位置情報を格納する。ドッキングステーション10は通信インターフェイス25を使用し、ドッキングされる移動式処理装置(例えば、装置20)との通信リンクを管理し、その移動式装置によってドッキングステーション10の位置の識別を容易にする。
【0010】
ドッキングステーション10は、位置識別子を、インターフェイス25と光伝送ドライバ17を経由して、光受信機21とドッキングされる移動式装置20の適合通信インターフェイス(イーサネット(登録商標)通信制御装置)33に伝える。移動式装置20がドッキングステーション10にドッキングしたことに応答して、パワーカプラ15は電圧供給で動作し、装置20にカプラ39を経由して電力を結合する。パワーカプラ15、39は、電力を電気的に絶縁して結合するため、例えば公知の変圧器装置を含んでよい。カプラ39は、充電ユニット37経由で電池43を充電し、移動式患者モニタを作動させるための電力を提供するため、内部電源に電力を提供する。電池43は、ドッキング解除された移動動作モードの移動式装置20に対し電力を提供する。コントローラ35は、格納された予めプログラムされた命令に基づいて装置20の動作を制御し、ディスプレイ45に表示をする患者のパラメータデータの処理を指示する。移動式装置20は、複数の異なる患者に取り付けられたセンサから患者のパラメータデータを受信するデータ収集プロセッサ50を含む。この受信された患者のパラメータデータは、ディスプレイ45に表示する患者のパラメータデータを処理して提供するため、コントローラ35と連動して動作するデータ収集プロセッサ50によって処理され、処理された患者のパラメータデータは、電子心拍動図記録器(ECG)データ、血液パラメータデータ、呼吸パラメータデータ、輸液ポンプ関連したデータ、血圧データ、脈拍データ、および、体温データを有する生理的データを含む。コントローラ35は、イーサネット(登録商標)コントローラ33を使用して、ドッキングステーション10との電気的に絶縁された双方向イーサネット(登録商標)互換データを管理する。イーサネット(登録商標)互換性データは、電気的に絶縁されたドライバ17およびレシーバ21と同様に、電気的に絶縁されたドライバ23およびレシーバ19を使用して、ドッキングステーション10を経由し、イーサネット(登録商標)コントローラ33と病院内LANの間を双方向で伝送される。
【0011】
最初のドッキング時に、負荷感知ユニット13は、電力がドッキングステーション10によって装置20に供給されていることを検出し、装置20がドッキングステーション10とドッキングしたことを示す信号を、通信インターフェイス25の通信制御機構27に供給する。この最初のドッキング感知信号、およびドッキングステーション10と装置20の間のアクティブなイーサネット(登録商標)通信リンクが存在するとの決定に応答して、ユニット27は、移動式装置20と病院内LANの間のイーサネット(登録商標)互換通信リンクに割り込むように、マルチプレクサ31に指示する。これにより、ユニット27は、最初にドッキングする感知信号とアクティブなイーサネット(登録商標)に応答して、イーサネット(登録商標)通信リンク光ドライバ17およびレシーバ21を経由し、移動式装置20に、マルチプレクサ31を通して第1の動作モードにおけるメッセージを与えることができる。移動式装置20がドッキングステーションとドッキングするたびに、メッセージは送信される。メッセージには、移動式装置20(または遠隔装置)が、ドッキングステーション10の地理的位置に対応するドッキングステーション識別子に関連する地図からドッキングステーション10の地理的位置を測定することができる、ドッキングステーション10に関連する識別子(例えば、MACアドレス)を含む。ドッキングしたときに移動式装置20の電源が入っていない場合、または、ドッキング中に移動式装置20の電源が切られた場合、電源が入るまでメッセージは送信されない。
【0012】
メッセージの送信に応答し、第2の動作モードにおいて、メッセージ通信インターフェイス25は病院内LANとの移動式処理装置20の接続を確立する。移動式患者モニタリング装置20は、第2の操作モードにおいて病院内LANを経由して、遠隔装置にドッキングステーション10に関連する識別子を伝送する。装置20は、特定のドッキングステーションの識別子、または、遠隔装置に対して移動式処理装置20を識別する識別子に基づき、(地図を使用して)得られた位置関連の識別子を伝送する。具体的には、装置20の適合通信インターフェイス33は、ドッキングステーション10、または、ドッキングステーションの識別子に基づいて得られた位置関連の識別子に関連する識別子を遠隔装置へ伝える。これは、無線通信または有線通信によって伝えられる。コントローラ35と連携した適合通信インターフェイス33は、ドッキングが解除されたときの無線ネットワーク接続と、ドッキングステーション10にドッキングされたときに有線ネットワーク接続がサポートされたドッキングステーションとの間を最適に切り換える。
【0013】
遠隔装置に対するドッキングステーション10の識別子の伝送に応答して、移動式患者モニタリング装置20は、病院内LANとドッキングステーション10を経由して遠隔装置から1つ以上の情報項目を受信する。情報項目は、ドッキングステーション10の識別子に基づいて得られる患者の地理的位置情報と、地理的位置に基づいて移動式患者モニタリング装置20を構成するのに使用される構成情報と、地理的位置に基づいて作動する移動式患者モニタリング装置20の特定の特徴を選択するのに使用される構成情報と、地理的位置に関連した第2の装置を有する装置20の動作をサポートする情報とを含む。追加情報項目は、地理的位置とユーザ資格情報に基づいて起動する移動式装置20の特定の特徴を選択するのに使用する、患者パラメータと構成情報に関連するアラーム設定を含む。他の実施形態においては、1つ以上の情報項目は、ドッキングステーション10に関連して受信された識別子に基づいて、移動式装置20から直接得られることができる。
【0014】
前述の情報項目は、患者の位置を測定したり、特定の位置に合うように装置20を構成したり、位置に基づいて装置20の特にセキュアされた特徴を構成したり、例えば、装置20を病室内または患者に取り付けられた他の装置に連携させたりするのに有用である。単一の特定の患者によって使用される複数の移動式患者モニタリング装置は、例えば、単一の特定のドッキングステーションに、複数の移動式患者モニタリング装置をドッキングすることによって、特定の患者に連携させる。移動式処理装置20も、ドッキングステーション10の識別子と異なる一意の識別子(MACアドレスまたは別の識別子)を使用する識別子を使用する。移動式装置20の識別子は、他の実施形態において、中央モニタリングシステム(複数のドッキングステーションをモニタリングする)に情報を提供するため、または、特定の位置の特定の装置20によって使用される前述のような特定の情報項目を取得するために、ドッキングステーション識別子と連動して使用される。
【0015】
中央モニタリングシステムは、患者グループの複数の移動式装置をモニタし、例えば、ドッキングステーション(ドッキングステーション10など)を経由して、移動式装置(装置20など)と通信する。中央モニタリングシステムは、移動式装置からの警報信号やその他データを処理する。ステーション10を経由して移動式装置20からの警報の受信に応答して、中央モニタリングシステムは、受信したドッキングステーションの識別子(および、他の実施形態では装置20の識別子も)を使用して、装置20(および、ドッキングステーション10)の位置を示す。中央モニタリングシステムは、テキストメッセージを生成して位置を識別するか、(例えば、病室に隣接した警報灯を起動することによって)警報表示を開始するか、または、(例えば、地図上に表示されたアイコンによって)再現装置上の警報および関連する位置の表示を開始することによって、受信された警報に対して応答する。
【0016】
更に、ユーザは、中央モニタリングシステムを使用して、移動式処理装置20の位置に基づいて異なるコンフィグレーション設定値(例えば、警報設定値)を入力する。入力された設定値は、患者のパラメータモニタリング機能において使用するため、病院内LAN経由で装置20に伝送される。同様に、ユーザは、移動式モニタリング機器20の位置、および、予め定められた支払金、資格またはライセンス条件に基づいて、特定の機能を動作させるために、中央モニタリングシステム(または病院内LAN上の他の処理装置)を使用して、データやコマンドを入力する。ユーザ入力データ、および、移動式装置20によって受信されるコンフィグレーション設定値は、内蔵メモリのコントローラ35に格納される。格納データは、例えば、次のドッキングステーションの前のドッキングステーションに関連した(または、前回使用されたドッキングステーションを経由して受信される)識別子(と他の情報)、そして、移動式装置20によって使用される識別子(と他の情報)を含むことができる。格納データは、前回使用したドッキングステーションとドッキング開放時のタイムスタンプに関連する識別子を使用して得られる情報も含むことができる。ユーザが入力したデータと、最後にドッキングした位置に関連するコンフィグレーション設定値は、それらが手動で変えられるか、または、異なるドッキングステーションの位置で新たなドッキングを検出する移動式装置20によって変えられるまで有効である。装置20がドッキングしている間、中央モニタリングシステム(および、病院内LAN上の他のいかなる装置)は、LANとドッキングステーション10のインターフェイスユニット25を経由して、移動式処理装置20と通信する。装置20のドッキングが解放され、RF通信ユニット107によって実装された無線通信を経由した移動動作モード中、中央モニタリングシステムと他のLAN装置もまた、無線で装置20と通信する。ユニット107は、ワイヤレス・ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)(例えば、802.11a、802.11b、802.11g標準の互換性通信)、ワイヤレス・ペイシェント・エリア・ネットワーク(WPAN)(例えば、802.1la、802.11b、802.11g、802.15.x標準の互換通信)、または、ワイヤレス・ワイド・エリア・ネットワーク(WWAN)(例えば、GSM/GPRS標準の互換性通信)などの少なくとも1つを含むことができる無線技術を使用して、複数の無線通信トランシーバ(個々にレシーバとトランスミッタのペアを有する)を含む。RF通信ユニット107は、例えば、病院全体にわたって連続的に患者の位置を追跡するワイヤレス・ロケータ・エンジンを有する通信をサポートする。
【0017】
同様に、他の実施形態において、ドッキングステーション10は、RF通信ユニット103によって実装されたLAN装置、または、移動式装置20による無線通信をサポートする。ユニット103は、WLAN802.11a、802.11b、802.11g、802.15.x、WPAN、および、GSM/GPRSを含む1つ以上の無線技術を使用する、複数の無線通信トランシーバ(個々に、レシーバとトランスミッタのペアを有する)を含む。移動式モニタ装置20は、例えばプラグインカードによってインストールされた通信インターフェイスを使用して、上述の無線通信機能をサポートする。
【0018】
移動式患者モニタリング装置20のコントローラ35は、装置20の現在位置を推定するために、最後のドッキングステーションに関連する識別子を使用して得られた位置情報と一緒に、ドッキングステーションとの最後のドッキングからの経過時間を使用する。この目的のため、コントローラ35は、見込評価を使用する。この見込評価は、最後のドッキングから経過時間が短ければ短いほど、現在のドッキングがされていない位置が最後のドッキング位置に近いであろうという仮定に基づいている。
【0019】
図2は、移動式装置20のコントローラ35によって実行されるドッキングステーションの位置情報を処理する方法のフローチャートを示す。ステップ201の開始に続くステップ202において、コントローラ35は、病院内LANとの装置20の双方向通信を確立するように、通信インターフェイス33に指示する。ステップ204において、コントローラ35は、ドッキングステーション10から、このドッキングステーションに関連し、地理的位置の取得に有用である識別子の取得を通信インターフェイス33に指示する。ステップ208のインターフェイス33に連携したコントローラ35は、病院内LANを経由して遠隔システムへ取得した識別子を伝送する。ステップ210に応答して、インターフェイス33は、ドッキングステーション10の地理的位置に依存する遠隔システムから情報を受信する。図2の処理は、ステップ212で終了する。
【0020】
ドッキングステーションと移動式処理装置の間の電力生成と通信接続に関する問題は、新世代の装置のサイズが小型化するにつれて増々重要となる。従って、コストとサイズのために、別々の通信チャネルを追加せずに位置識別処理システムの機能を達成し、移動式装置通信リンクに既存のドッキングステーションを使用することは好都合である。他の実施形態において、第2のチャネルは、位置および他の情報測定システムをサポートするために使用される。更に、このシステムは、移動および固定動作モードを共に有するいかなる装置にもおいて有用である。
【0021】
図1と図2に示されたシステムや処理はこれに限定されたものでない。他のシステムや処理が、同じ目的を達成する本発明の原理に従って派生されるであろう。本発明を、具体例に即して記述したが、本願明細書において図と共に記載された実施形態と応用形態は例示目的のためであり、さまざまな変更を本発明の範囲内において、当業者は実装することができると理解されよう。本発明原理による位置処理システムは、固定した通信ポイントを有する移動式装置を含むいかなるシステムにおいても位置をモニタリングするために使用され、ワイヤレス・ロケータ・エンジンを使用し、例えば、病院の全体にわたって、患者の位置の連続追跡をサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるドッキングステーションと移動式処理装置を含むシステムのブロック図である。
【図2】本発明によるドッキングステーションの位置情報の処理方法のフローチャートを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式患者モニタリング装置に接続するのに適したドッキングステーションにおいて使用するシステムであって、前記移動式患者モニタリング装置は、患者から取得される信号パラメータを処理し、
移動式処理装置に電力を提供するために、電力を結合するパワーカプラと、
第1の動作モードにおいて、特定のドッキングステーションに関連する識別子を前記移動式処理装置に伝送し、第2の動作モードにおいて、ネットワークに対して前記移動式処理装置の接続を確立する、適合通信インターフェイスと、を含むシステム。
【請求項2】
前記ドッキングステーションに接続される移動式処理装置を検出し、前記第1の動作モードを開始し、次いで、第2の動作モードを開始するコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
(a)前記ネットワークに対してアクティブな通信リンクが存在するか、
(b)前記ドッキングステーションと前記移動式処理装置の間に、アクティブな通信リンクが存在するか、
(c)移動式患者モニタリング装置は、前記ドッキングステーションとドッキングされるのか、を検知し、
前記ドッキングステーションから電力を受信することによって、前記ドッキングステーションに接続される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記検出に対し、前記コントローラは、前記アクティブな通信リンクの中断を行い、前記第1の動作モードにおいて、前記移動式処理装置に対する前記特定のドッキングステーションに関連する前記識別子を伝送し、その後、前記第2の動作モードにおいて、前記ネットワークに対する前記アクティブな通信リンクを再接続する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記アクティブな通信リンクは、イーサネット(登録商標)互換性通信リンクを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記移動式処理装置が前記ドッキングステーションに接続されて電源が入れられたかを決定するまで、前記第1の動作モードを抑制するコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記適合通信インターフェイスは、(a)WLAN802.11b標準の互換性通信、(b)802.11a標準の互換性通信、(c)802.11gの標準の互換性通信、(d)Bluetooth802.15標準の互換性通信、および、(e)GSM/GPRS標準の互換性通信のうち、少なくとも1つを含む無線技術を使用する通信をサポートする、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
患者から取得される信号パラメータのモニタリング、および、処理を行い、ドッキングステーションの接続に適する移動式患者モニタリング装置において使用されるシステムであって、
電力を前記移動式患者モニタリング装置に提供するために、パワーカプラを通して受け取る電力を処理するパワーカプラと、
前記電力を使用し、
第1の動作モードにおいて、特定のドッキングステーションに関連する識別子を受信するため、および
第2の動作モードにおいて、ネットワークと移動式処理装置との接続を確立するための、適合通信インターフェイスと、
を含むシステム。
【請求項9】
処理される患者のパラメータデータを与えるために、複数の異なる患者に取り付けられるセンサから患者のパラメータデータを受信し、処理するデータ取得プロセッサと、
処理された患者のパラメータデータを表示する画像再生装置と、を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記適合通信インターフェイスは、前記移動式患者モニタリング装置が前記ドッキングステーションに接続されるとき、処理される患者のパラメータデータをドッキングステーションに伝送する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記処理される患者のパラメータデータは、(a)心電計(ECG)データ、(b)血液パラメータデータ、(c)呼吸パラメータデータ、(d)輸液ポンプに関連するデータ、(e)血圧データ、(f)脈拍データおよび(g)体温データのうち少なくとも1つを有する生理的データを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記パワーカプラが、電池を再充電し、前記移動式処理装置へ電力を供給する電力ユニットを含み、
前記適合通信インターフェイスが、無線通信を通して前記ネットワークに通信を行う、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記特定のドッキングステーションと関連する前記識別子が、前記識別子を対応する地理的位置に関連させる地図から前記特定のドッキングステーションの地理的位置の測定を可能にする請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記移動式患者モニタリング装置は、前記第2の動作モードにおいて前記ネットワークを経由して遠隔装置に、
(a)特に前記ドッキングステーションの識別子と、
(b)前記特定のドッキングステーションの識別子に基づいて得られた識別子とのうち少なくとも1つを伝送し、
応答時に、前記移動式患者モニタリング装置は、
(i)患者の地理的位置情報と、
(ii)地理的位置に基づいた前記移動式患者モニタリング装置の構成に用いられる構成情報と、
(iii)地理的位置に基づいて前記移動式患者モニタリング装置を動作させるため、特定の機能の選択において用いられる構成情報と、
(iv)前記地理的位置に関連する第2の装置を有する前記移動式患者モニタリング装置の動作をサポートする情報とのうち少なくとも1つを取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記移動式患者モニタリング装置が移動式処理装置の識別子に対して前記情報を取得する請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記移動式患者モニタリング装置は、前記第2の動作モードにおける前記ネットワークを経由した遠隔装置に、
(a)特に前記ドッキングステーションの識別子と、
(b)前記特定のドッキングステーションの識別子に基づいて得られた識別子とのうち少なくとも1つを伝送し、
応答時に、前記移動式患者モニタリング装置は、
(i)患者パラメータと関連する警報設定と、
(ii)地理的位置、および、ユーザ資格情報に基づいて前記移動式患者モニタリング装置を動作させるため、特定の機能の選択において用いられる構成情報とのうち少なくとも1つを取得する、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記特定のドッキングステーションに関連する前記識別子は、(a)イーサネット(登録商標)互換性MACアドレス、(b)IPアドレス、(c)ポート識別子、(d)インターネット互換性アドレス(d)、および、(e)LANアドレスのうち、少なくとも1つを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記特定のドッキングステーションに関連する前記識別子が、前記特定のドッキングステーションの地理的位置の測定と特定の患者と複数の医療機器を関連付けする、請求項8に記載のシステム。
【請求項19】
前記移動式患者モニタリング装置が、前記第2の動作モードにおいて前記ネットワークを経由して、遠隔装置に前記特定のドッキングステーションの識別子を伝送し、前記識別子に基づいて得られた位置の識別を行うため、前記遠隔装置による前記識別子の使用を可能にする、請求項8に記載のシステム。
【請求項20】
前記遠隔装置は、(a)テキストメッセージの生成と、(b)警報計の起動と、(c)再現装置上のアラームと付随する位置の表示のうち、少なくとも1つによって、前記位置の識別を行うために前記識別子を使用する、請求項19に記載の遠隔システム。
【請求項21】
前記適合通信インターフェイスは、前記ネットワークに前記移動式患者モニタリング装置の接続をサポートし、双方向にデータを交換するために、前記ドッキングステーションにおける対応する変換器に、前記移動式患者モニタリング装置のデータ変換器を結合する、請求項8に記載のシステム。
【請求項22】
前記適合通信インターフェイスが、
(a)前記特定のドッキングステーションの識別子と、
(b)(i)無線通信、および、(ii)有線通信の少なくとも1つによって、前記特定のドッキングステーションの識別子に基づいて得られる位置関連識別子とのうち、少なくとも1つを伝送する、請求項8に記載のシステム。
【請求項23】
前記適合通信インターフェイスは、(a) WLAN 802.11b標準の互換性通信、(b)802.11a標準の互換性通信、(c)802.11gの標準の互換性通信、(d)Bluetooth 802.15標準の互換性通信、および、(e)GSM/GPRS標準の互換性通信のうち、少なくとも1つを含む無線技術を使用する通信をサポートする、請求項8に記載のシステム。
【請求項24】
ドッキングが解放されると、前記適合通信インターフェイスは、無線ネットワーク間で最適に接続を切り換え、前記ドッキングステーションにおいてドッキングすると、ドッキングステーションは有線ネットワーク接続をサポートする、請求項8に記載のシステム。
【請求項25】
(a)次にドッキングするドッキングステーションの前に、前記移動式患者モニタリング装置によって使用された、前にドッキングしたドッキングステーションに関連する識別子と、
(b)前記前にドッキングしたドッキングステーションに関連する前記識別子を使用して得られる情報と、
(c)ドッキングを解放するタイムスタンプとのうち少なくとも1つを格納するメモリを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項26】
患者から取得される信号パラメータのモニタリングと処理を行い、ドッキングステーションに接続されるのに適した移動式患者モニタリング装置に用いられるシステムであって、
電力を前記移動式患者モニタリング装置に提供するために、パワーカプラを経由して受け取る電力を処理するパワーカプラと、
前記電力を使用する、通信インターフェイスと、を含み、該通信インターフェイスは、
ネットワークに対して移動式処理装置の接続を確立し、
特定のドッキングステーションから前記特定のドッキングステーションに関連する識別子を取得し、該識別子は、前記ドッキングステーションの地理的位置を得るために使用でき、
前記ネットワークを経由して遠隔システムに前記識別子を伝送し、
遠隔システムから前記地理的位置に依存する情報を受信する、システム。
【請求項27】
前記識別子は、前記移動式患者モニタリング装置を取り付けた患者の位置を測定する遠隔システムによって使用できる、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
移動式患者モニタリング装置に接続されるために適したドッキングステーションによる使用方法であって、前記移動式患者モニタリング装置は、患者から取得される信号パラメータを処理し、
電力を結合して、移動式処理装置に電力を提供する動作と、第1の動作モードにおいて、前記移動式処理装置に特定のドッキングステーションに関連する識別子を伝送する動作と、第2の動作モードにおいて、ネットワークに前記移動式処理装置の接続を確立する動作とを含む使用方法。
【請求項29】
患者から取得される信号パラメータのモニタリングと処理を行い、ドッキングステーションの接続に適する移動式患者モニタリング装置による使用方法であって、
電力を前記移動式患者モニタリング装置に提供するために、パワーカプラを経由して受け取る電力を処理する動作と、
前記電力を使用し、第1の動作モードにおいて特定のドッキングステーションに関連する識別子を受信し、ネットワークと携帯処理装置との接続を確立する動作とを含む使用方法。
【請求項30】
患者から取得される信号パラメータをモニタリング、および、処理を行い、そして、ドッキングステーションに接続されるのに適した、移動式患者モニタリング装置による使用法であって、
ネットワークに対して移動式処理装置との通信を確立する動作と、
特定のドッキングステーションから前記特定のドッキングステーションに関連する識別子を取得する動作と、
該識別子は、前記ドッキングステーションの地理的位置を得るために有用であり、
前記ネットワークを経由して遠隔システムに前記識別子を伝送する動作と、
遠隔システムから前記地理的位置に依存する情報を受信する動作とを含む、使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−516020(P2007−516020A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533658(P2006−533658)
【出願日】平成16年6月9日(2004.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/018358
【国際公開番号】WO2005/001739
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(303063621)ドレーガー メディカル システムズ インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】Draeger Medical Systems Inc.
【住所又は居所原語表記】16 Electronics Avenue Danvers Massachusetts 01923 U.S.A
【Fターム(参考)】