説明

低いpHでの難水溶性のイオン化活性薬剤の制御放出のための固体組成物およびその使用方法

新規固体組成物ならびに該固体組成物の調製方法および使用方法が提供される。該固体組成物は、(a)約37℃の温度で最高で約6.8のpHを有する水溶液中で約0.3mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの活性薬剤;および(b)以下のものを含む親水性ポリマーマトリックス組成物:i)METHOCELTM、POLYOXTM WSR 1105およびそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性ポリマー;および、所望により、ii)Ethocel 20 premiumからなる群から選択される疎水性ポリマー;および(c)炭酸カルシウム、重質酸化マグネシウムおよび重炭酸ナトリウムからなる群から選択されるアルカリ化薬;を含んでおり、該組成物は、経口投与の約7時間後〜約12時間後に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2008年11月14日に出願された米国仮特許出願番号第61/115,008号および2008年11月14日に出願された米国仮特許出願番号第61/114,941号(それぞれの記載内容は、出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する)の利益を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、医薬製剤、および経口投与された難水溶性または低水溶性の弱酸性薬物またはそれらの医薬上許容される塩の薬物吸収速度を最適化するための方法の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、血栓性合併症の治療のための制御放出錠剤において活性薬剤を含む製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
式(I):
【化1】

[式中、R1は、H、ハロゲン、−OH、−C1-10−アルキルおよびC1-6−アルキルアミノからなる群から選択され;Xは、FおよびIからなる群から選択される]
で示される化合物が、例えば、血栓性合併症の治療のために開発されている。[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩(化合物1)は、562.04(遊離酸523.95)の分子量を有する。そのpKaは、約3.3であり、logPは約2.5であり、logD(pH7.4)は約−1.6である。遊離酸形態の水溶解度は、pH1.0〜7.4で、<0.1mg/ml(すなわち、実質的に不溶性)である。
【0004】
式(I)で示される化合物は、血小板ADP受容体阻害剤であることが示されており、したがって、心血管疾患(特に血栓に関係するもの)の予防および/または治療に有用である。
【0005】
血栓性合併症は、先進工業国における主な死亡原因である。これらの合併症の例としては、急性心筋梗塞、不安定狭心症、慢性安定狭心症、一過性脳虚血発作、脳卒中、末梢血管疾患、子癇前症/子癇、深部静脈血栓症、塞栓症、播種性血管内凝固および血栓性血球減少性紫斑病が挙げられる。血栓性および再狭窄性合併症は、また、以下の侵襲的手法、例えば、血管形成術、頚動脈内膜剥離術、後CABG(冠動脈バイパス移植)手術、血管移植手術、ステント留置および血管内装置およびプロテーゼの挿入、ならびに遺伝的素因または癌に関係する過凝固状態の後に生じる。一般的に、血小板凝集がこれらの事象において重要な役割を果たすと考えられている。脈管構造中を通常自由に循環する血小板は、活性化され、凝集して、動脈硬化性病変破裂によりまたは血管形成術のような侵襲性処置により引き起こされる血流障害から血栓を形成して、血管閉塞を引き起こす。血小板活性化は、種々の薬剤、例えば、コラーゲンのような露出している内皮下マトリックス分子によって、または、凝集カスケードにおいて形成されるトロンビンによって、開始され得る。
【0006】
インドメタシン、2−{1−[(4−クロロフェニル)カルボニル]−5−メトキシ−2−メチル−1H−インドール−3−イル}酢酸は、式:
【化2】

で示される。インドメタシンは、357.787の分子量を有する。そのpKaは、約4.5であり、logPは約3.8であり、logD(pH7.4)は約0.30である(非特許文献1)。該遊離酸形態の水溶解度は、pH1.0〜7.4で約0.25mg/ml未満(すなわち、実質的に不溶性)である。インドメタシンは、発熱、疼痛、凝りおよび腫脹のような状態を治療するために一般的に使用されている非ステロイド性抗炎症薬である。それは、これらの症状を引き起こすプロスタグランジンの生産を阻害することによって作用する。
【0007】
ケトプロフェン、(RS)−2−(3−ベンゾイルフェニル)プロパン酸は、式:
【化3】

で示される。ケトプロフェンは、254.281の分子量を有する。そのpKaは、約5.94であり、logPは約0.97であり、logD(pH7.4)は約1.34である。該遊離酸形態の水溶解度は、pH1.0〜7.4で約0.2mg/ml未満(すなわち、実質的に不溶性)である。ケトプロフェンは、鎮痛効果および解熱効果を有するプロピオン酸系非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の1つである。これもまたプロスタグランジンの生産を阻害することによって作用する。
【0008】
ナプロキセン、(+)−(S)−2−(6−メトキシナフタレン−2−イル)プロパン酸は、式:
【化4】

で示される。ナプロキセンは、230.259の分子量を有する。そのpKaは約4.2であり、logPは、約3.22であり、logD(pH7.4)は、約0.79である。該遊離酸形態の水溶解度は、pH1.0〜7.4で<0.1mg/ml(すなわち、実質的に不溶性)である。ナプロキセンナトリウムは、また、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、痛風、強直性脊椎炎、月経性痙攣、腱炎、滑液包炎のような状態によって引き起こされる軽度から中等度の疼痛、発熱、炎症および凝りの軽減、ならびに原発性月経困難症の治療に一般に使用されるプロピオン酸系NSAIDの1つである。それは、COX−1酵素およびCOX−2酵素の両方を阻害することによって作用する。
【0009】
上記の化合物を含む多くの治療上有効な酸性化合物は、非常に狭い吸収窓を有し、小腸の上部でのみ吸収され、結腸部で全くまたはあまり吸収されない。これらの化合物は、また、湿気劣化に対して非常に敏感であり得る。したがって、これらの化合物を製剤化する際の難題は、該薬物が胃および上部消化管における酸性pHで溶解し難い場合、該薬物が十分に吸収される胃および上部消化管(例えば、十二指腸)で該薬物を放出することである。
【0010】
持続(制御)放出医薬製剤の調製および胃保持特性についての技術は開示されてきている。これらの従来技術の投与剤形にかかわる制限は、それらがpH−溶解度依存性薬物についての一貫した放出特性をもたらさない点、およびそれらが0次放出特性をもたらさない点である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】International Journal of Pharmaceutics Volume 193, Issue 2, 5 January 2000, Pages 261-264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
化合物1および他の弱酸性薬物のような難水溶性の化合物またはそれらの医薬上許容される塩を含有する胃保持型固体組成物についての制御放出特性を有する医薬製剤のさらなる改良が必要とされ続けている。詳しくは、錠剤が、上部消化管に留まり、および/または、化合物1のような弱酸性薬物またはその医薬上許容される塩を、その溶解した(イオン化した)形態で、1日1回または2回の投与計画における薬剤の使用を可能にする胃のpHの影響を受けない安定な方法で製剤から7〜9時間(速放(fast release):FR)または10〜12時間(徐放(slow release):SR))放出することがなおも必要とされている。本発明は、これらの要求および他の要求を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の簡単な概要
本発明者らは、化合物1のような難水溶性の弱酸性薬剤化合物またはその医薬上許容される塩のバイオアベイラビリティの低下が、経口投与後に胃の中の酸性環境に暴露されて水和した場合にマトリックス系から薬物を放出すると同時に化合物1にアルカリ性環境を与えることによって改良され得ることに想到し、それについて広範囲にわたる研究を行った。その結果、本発明者らは、化合物1のような弱酸性薬物またはその医薬上許容される塩のバイオアベイラビリティを、該薬物を7〜9時間(速放:FR)または10〜12もしくは24時間(徐放:SR)放出することによって、改良することができる経口投与用医薬組成物および方法を開発し、かくして、本発明を完成させた。
【0014】
したがって、本発明の目的は、難水溶性の薬物のバイオアベイラビリティを改良するため、および/または投与間隔を減らすための経口投与用医薬組成物を提供することである。本発明の別の目的は、経口投与薬物のバイオアベイラビリティを改良するための方法およびこのような固体製剤を調製する方法を提供することである。
【0015】
本発明は、ADP受容体アンタゴニストだけではなく、他の難水溶性弱酸性薬物にも適用することができる。
【0016】
本発明の一の態様は、
(a)約25℃〜約37℃の温度で最高でほぼ活性酸のpKaのpHの水溶液中約0.3mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ;経口投与の約7時間後〜約12時間後の一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物に関する。
【0017】
本発明の別の態様は、、
(a)約25℃〜約37℃の温度で最高でほぼ活性酸のpKaのpHの水溶液中約0.2mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ;経口投与の約7時間後〜約12時間後の一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、
(a)約25℃〜約37℃の温度で最高でほぼ活性酸のpKaのpHの水溶液中約0.1mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ;経口投与の約7時間後〜約12時間後の一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物に関する。
【0019】
本発明の第2の態様は、錠剤の調製方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1aは、本明細書の実施例1〜5の溶出特性の比較を示す。図1bは、製剤の溶出特性に対する速度制御ポリマーおよびアルカリ化薬の影響を示す。
【図2】図2は、製剤の溶出率に対するアルカリ化薬のタイプおよびレベルの影響を示す。
【図3】図3は、溶出特性に対する媒体のpHの影響を示す。図3aは、Methocel K4M、酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムを含有する製剤(実施例1)の溶出に対するpHの影響を示す(酸ロバスト性研究)。図3bは、Methocel K4M、Polyox WSR 1105および重炭酸ナトリウムを含有する製剤(実施例2)の溶出に対するpHの影響を示す(酸ロバスト性研究)。
【図4】図4は、安定性の結果を示す。図4aは、40℃/75%RHで最大3ヶ月にわたって貯蔵した後の、Methocel K4M、酸化マグネシウムおよび炭酸カルシウムを含有する製剤(実施例1)の溶出特性を示す。図4bは、40℃/75%RHで最大3ヶ月にわたって貯蔵した後の、Methocel K4M、Polyox WSR 1105および重炭酸ナトリウムを含有する製剤(実施例2)の溶出特性を示す。
【図5】図5は、実施例1の製剤および実施例2の製剤の溶出特性に対する製造プロセス(直接圧縮対ローラー圧縮)の影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
本明細書で用いる場合、以下の用語は、他に特に規定がなければ、それらについて記載した意味を有する。
【0022】
単数形での記載は、文脈上他のことを明確に示していない限り、複数の対象を包含する。かくして、例えば、化合物に対する言及は、1つ以上の化合物または少なくとも1つの化合物を表す。同様に、単数形、「1つ以上」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では、互換性をもって使用され得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「約」、「ほぼ」という語句は、所定の値がエンドポイントよりも「わずかに上」または「わずかに下」であってよいとすることによって数値的範囲のエンドポイントにフレキシビリティを与えるために使用され、異なる装置、試料および試料調製物の間で得られる測定値にみることができるばらつきを説明する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「製剤」および「組成物」という用語は、互換性をもって使用され、2つ以上の化合物、要素または分子の混合物をいう。いくつかの態様においては、「製剤」および「組成物」という用語は、1つ以上の活性薬剤と担体または他の賦形剤との混合物をいうために使用され得る。
【0025】
「治療薬」、「活性薬剤」、「生物活性薬剤」、「医薬上活性な薬剤」および「製薬」および「薬物」という用語は、本明細書において、医薬効果、薬理効果、心身効果または治療効果を有する物質をいうために互換性をもって使用される。また、これらの用語を使用する場合、または特定の活性薬剤を名称またはカテゴリーによって詳しく同定した場合、このような記載は、活性薬剤自体およびそれらの医薬上許容される薬理活性誘導体、またはそれに有意に関係する化合物(塩、医薬上許容される塩、N−オキシド、プロドラッグ、活性代謝物、異性体、フラグメント、アナログ、溶媒和物、水和物、放射性同位体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない)を包含することを意図されると解される。本発明に用いるための好適な薬剤としては、式(I):
【化5】

[式中、
1は、H、ハロゲン、−OH、−C1-10アルキルおよびC1-6アルキルアミノからなる群から選択され;
Xは、FおよびIからなる群から選択される]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に好ましい実施態様においては、活性薬剤は、以下に示されるような塩形態のものである:
【化6】

(ここで、記号Mは好適なカウンターイオンを表す)。特に好ましい実施態様においては、該薬剤は、あらゆる好適な形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素である。
【0026】
本発明は、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素にのみ適用できるのではなく、他の難水溶性弱酸性薬物にも適用できる。このような薬物の例としては、インドメタシン、ケトプロフェンおよびナプロキセンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「親水性ポリマー」とは、セルロース誘導体、デキストラン、デンプン、炭水化物、基本ポリマー、天然もしくは親水性ガム、キサンタン、アルギネート、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボマーまたはそれらの組み合わせなどのポリマーを含む組成物をいう。
【0028】
本明細書で使用される場合、薬物製剤に適用される「持続放出」、「長期放出」、および「制御放出」という用語は、“Remington's Pharmaceutical Sciences,” 18.sup.th Ed., p. 1677, Mack Pub. Co., Easton, Pa.(1990)においてそれらについて記載されている意味を有する。持続放出薬物システムは、長期にわたる薬物の徐放を達成するいずれもの薬物デリバリーシステムを含み、長期放出システムおよび制御放出システムの両方を含む。このような持続放出システムが血液または目的組織において実質的に一定の薬物レベルを維持するのに有効であるならば、それは制御放出薬物デリバリーシステムとされる。しかしながら、薬物デリバリーシステムが慣用のデリバリーによって達成されるものを超えて薬物の作用期間を延長するならば、実質的に一定の血液または組織薬物レベルを達成するのに成功しているかどうかの言及なしで、それは長期放出システムとされる。錠剤から活性成分が放出される方法を記載するために使用される場合、「制御放出」という用語は、長期間、例えば、少なくとも約18時間、好ましくは、少なくとも約24時間、錠剤が活性薬剤を体内へ放出する能力を有することをいう。好ましくは、制御放出錠剤は、該錠剤から活性薬剤を体内へ徐々に放出する。例えば、約7〜12時間、活性薬剤を放出するように設計された制御放出錠剤は、好ましくは、実施例に記載される溶出方法を使用して以下の溶出特性を有する:1時間以内に40%以下(例えば、重量による)の活性薬剤の放出;12時間以内に約70〜85%の活性薬剤の放出;および、24時間目に約80%以上の活性薬剤の放出。別の例では、持続放出錠剤は、(典型的には、活性薬剤溶出が70%までの活性薬剤放出を測定した場合)ほぼ線形の0次速度で活性薬剤を放出するように設計される。
【0029】
他に特に規定がなければ、以下に記載のポリマー(例えば、ポリエチレンオキシドポリマーまたはポリサッカライド)またはゲル化促進剤(例えば、ポリエチレングリコール)の「分子量」の範囲は、秤量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定)である。
【0030】
本明細書で使用される場合、「予防」という用語は、それを必要とする患者の予防的処置をいう。予防的処置は、病気への罹患の危険性を有する対象体に適当な用量の治療薬剤を投与して病気の発症を実質的に防ぐことによって達成される。
【0031】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、病気に罹患している対象体に適当な用量の治療薬剤を投与することをいう。
【0032】
本明細書で使用される場合、「状態」という用語は、本発明の化合物、組成物および方法が使用される病態をいう。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ADP媒介疾患または状態」という用語および同類の用語は、正常よりも低いかまたは高いADP活性を特徴とする疾患または状態をいう。ADP媒介疾患または状態は、ADPの調節によって基礎状態または疾患に対してある程度の効果が及ぼされるものである(例えば、ADP阻害剤またはアンタゴニストによって、少なくともある程度の患者における患者の幸福が改善される)。
【0034】
本明細書で使用される場合、「対象体」とは、本発明の薬物組成物の投与または方法の恩恵を受けることができる哺乳動物をいう。対象体の例は、ヒトを包含し、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスおよび水生哺乳動物のような他の動物をも包含することができる。一の特定の態様においては、対象体はヒトである。
【0035】
本明細書で使用される場合、薬物の「有効量」または「試料上有効量」は、薬物の無毒性の量であるが、該薬物が有効であることが知られている状態を治療する治療結果を達成するのに十分な量をいう。様々な生物学的因子が、物質のその意図されたタスクを遂行する能力に影響を及ぼし得ることが理解される。したがって、「有効量」または「治療有効量」は、場合によっては、このような生物学的因子に依存し得る。また、治療効果の達成は、当該技術分野で知られている評価を使用して医師または他の有資格医療従事者によって測定され得るが、個人差および治療に対する反応によって治療効果の達成がいくぶん主観的に判断され得ることが認められる。有効量の決定は、十分に、薬科学および医学の技術分野における通常の技術の範囲内である。例えば、Meiner and Tonascia, “Clinical Trials: Design, Conduct, and Analysis,” Monographs in Epidemiology and Biostatistics, Vol. 8(1986)(出典明示により本明細書の一部を構成する)を参照。
【0036】
本明細書で使用される場合、「医薬上許容される担体」および「担体」は、互換性をもって使用されることができ、生物学的活性を実質的に有しない不活性な医薬上許容される物質をいい、製剤の本質的部分を形成する。
【0037】
本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、作用、特徴、性質、状態、構造、アイテムまたは結果の完全なまたはほぼ完全な程度または度合いをいう。例えば、「実質的に」囲まれた物体は、該物体が完全に囲まれているかまたはほぼ完全に囲まれていることを意味する。絶対的な完全性からの逸脱の正確な許容される度合いは、場合によっては、特定の状況に左右され得る。しかしながら、一般的に言えば、完成の近さは、絶対的かつ全体的な完成が得られた場合と同じ全体的な結果が得られるようにすることである。「実質的に」の使用は、作用、特徴、性質、状態、構造、アイテムまたは結果の完全なまたはほぼ完全な欠損をいうために否定的な意味合いで使用される場合にも同様に適用できる。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、粒子を完全に欠いているか、または、効果が粒子を完全に欠いている場合と同様であるようにほぼ完全に粒子を欠いている。言い換えると、成分または要素を「実質的に含まない」組成物は、その測定可能な影響がない限りは、実際にはそのようなアイテムを含むことができる。
【0038】
「溶出」という用語は、方法によって定義される液体(媒体)に溶ける活性薬剤の割合をいう。固体投与剤形の溶出特性を決定するための当該技術分野で知られている好適な方法としては、例えば、米国薬局方(USP)溶出試験<711[KCl]>Apparatus 3が挙げられる。
【0039】
「崩壊」という用語は、実験条件下で液体媒体中に置いた場合の錠剤またはカプセル剤の崩壊をいう。完全な崩壊とは、試験装置のスクリーン上に残っている不溶性コーティングまたはカプセルシェルの断片以外のユニットの残部が、明らかに堅いコアを有していない軟らかい塊である状態であると定義される。崩壊とは、ユニットの完全な溶液またはその活性成分の完全な溶液でさえ意味として含まない。固体投与剤形の崩壊時間を決定するための当該技術分野で知られている好適な方法としては、例えば、USP崩壊試験<701>が挙げられる。「非崩壊」という用語は、USP崩壊試験を使用して決定された好適な水性媒体中で1時間以内に完全には崩壊しない組成物をいう。「徐崩壊」という用語は、USP崩壊試験を使用して決定された好適な水性媒体中で約1時間から約30分以内に完全に崩壊する組成物をいう。
【0040】
「バイオアベイラビリティ」という用語は、薬物が体内の処置部位に吸収されるかまたは利用可能となる速度および/または程度をいう。
【0041】
本明細書で使用される場合、「投与」という用語は、活性薬剤を対象体に与える方法をいう。投与は、経口、非経口、経皮、吸入、インプラントなどのような様々な技術公知の経路によって行われ得る。
【0042】
「経口投与」という用語は、活性薬剤が、経口投与剤の嚥下、咀嚼または吸引によって経口経路を介して投与され得る投与の方法を表す。このような固体または液体経口投与剤形は、伝統的には、口および/または口腔を過ぎて消化管において活性薬剤を実質的に放出することおよび/またはデリバリーすることを意図される。固体投与剤形の例としては、慣用の錠剤、カプセル剤、カプレット剤などが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「経口投与剤形」とは、経口投与経路を介して対象体に投与するために調製される製剤をいう。公知の経口投与剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、散剤、ペレット剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、液剤および液剤予備濃縮物、乳剤および乳剤予備濃縮物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの態様においては、例えば、消化管における高い安定性を達成するため、または所望の放出速度を達成するために、散剤、ペレット剤、顆粒剤および錠剤は、好適なポリマーまたは慣用のコーティング剤で被覆され得る。さらにまた、散剤、ペレット材または顆粒剤を含有するカプセル剤もまた被覆され得る。錠剤は、投与の分割を容易にするために刻み目が付けられてもよい。別法として、本発明の投与剤形は、投与1回につき1つの治療用量をデリバリーすることを意図される単位投与剤形であり得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、複数のアイテム、構造要素、組成要素、および/または物質が便宜上共通のリストにて提供され得る。しかしながら、これらのリストは、該リストの各メンバーが別々の固有のメンバーとして個々に同定されているかのように、解釈されるべきである。かくして、このようなリストの個々のメンバーは、反対の指示なしで共通の群におけるそれらの提示だけに基づいて同リストの他のメンバーと事実上同等であると解釈されるべきではない。
【0045】
濃度、量および他の数値データは、範囲形式で表示または提示され得る。当然のことながら、このような範囲形式は、単に便宜および簡潔さのために使用され、範囲の限界として明示的に記載される数値を含むだけではなく、各数値および部分的な範囲が明示的に記載されているかのようにその範囲内に包含される個々の数値または部分的な範囲を全て包含すると解釈されるべきである。例として、「約1〜約5」の数値範囲は、約1〜約5の明示的に記載された数値を包含するだけではなく、指摘された範囲内の個々の数値および部分的な範囲も包含すると解釈されるべきである。かくして、2、3および4のような個々の数値、および1〜3、2〜4および3〜5のような部分的な範囲、ならびに1、2、3、4および5が個々にこの数値範囲に包含される。
【0046】
このような原則は、最小値または最大値として唯一の数値を記載する範囲にも適用する。さらにまた、このような解釈は、記載されている範囲の幅または特徴に関係なく適用すべきである。
【0047】
実施態様の記載
一の態様においては、本発明は、
(a)約37℃の温度で最高でほぼ活性酸のpKaのpHの水溶液中約0.3mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ;経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物に関する。
【0048】
別の態様においては、本発明は、
(a)約37℃の温度で最高でほぼ活性酸のpKaのpHの水溶液中約0.2mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ;経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物に関する。
【0049】
別の態様においては、本発明は、
(a)約37℃の温度で最高でほぼ活性酸のpKaのpHの水溶液中約0.1mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ;経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物に関する。
【0050】
一の態様においては、該製剤は、胃液中に浮遊することができ、胃液中での水和化の後に非崩壊である。別の態様においては、該製剤は、胃液中に浮遊することができ、胃液中での水和化の後に徐崩壊する。別の態様においては、該組成物は、胃からの排出を減少させる。
【0051】
少なくとも1つの親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含む組成物は、組成物中に活性薬剤のためのマトリックスを形成する。該組成物は、所望の放出特性、詳しくは、経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間に少なくとも70%の活性薬剤の錠剤から胃内への制御放出をもたらす。錠剤の最終的な使用に依存して、これらの錠剤は、典型的には、生理学上または薬理学上許容される化合物を含む。
【0052】
一の態様においては、本発明は、錠剤が約1〜約7.4のpH範囲の影響を受けないほぼ0次放出特性をもたらす、固体組成物を提供する。
【0053】
第1のポリマーは、水不溶性であり、水を吸収して膨潤することができるマトリックス内での物質のネットワークの形成に寄与する。第2のポリマーは、少なくとも1つのポリマーを含むか、または、2つ以上のポリマーの混合物を含むことができる。一の態様においては、ポリサッカライドが第2のポリマーにおける好ましいタイプのポリマーである。水不溶性でもある第2のポリマーは、第1のポリマーと相互に作用して、消化管中での浸食に対して耐性があり、活性薬剤の錠剤からの放出を遅くすることができる、マトリックスを形成する。ゲル化促進剤は、錠剤のゲル形成マトリックスのコア中に水を引き込み、それによって、錠剤が大腸に到達する前に錠剤全体の実質的に完全なゲル化を可能にする、親水性基剤である。好ましくは、ゲル化促進剤は、約37℃の温度の水中で約0.1g/mlよりも高い溶解度を有する。ゲルマトリックスのゲル化速度および/または浸食速度を変更するために、様々な形態および/またはタイプのポリマーおよびゲル化促進剤を使用することができる。それらは、制御放出型の活性薬剤含有粒子をもたらすように選択され得る。さらに活性薬剤のゲル化および/または放出パターンを変更するために、他の添加剤を配合することができる。
【0054】
該粒子は、さらに活性薬剤(特に、親水性薬剤)の錠剤からの放出を変更するように製剤化される。典型的には、該粒子は、活性薬剤、および、活性薬剤の上(好ましくは、その周囲)の任意のコーティング剤を含む。活性薬剤は、好適な形態であり得る。ある実施態様においては、活性薬剤は、非晶質固体、結晶、顆粒またはペレットの形態であり得る。これらの活性薬剤の形態は、活性薬剤のコーティングプロセスを促進することができる。さらにまた、該粒子は、単一の活性薬剤結晶(または顆粒またはペレットまたは非晶質固体)を含むことができるか、または、複数の活性薬剤結晶(または顆粒またはペレットまたは非晶質固体)を含むことができる。
【0055】
別の態様においては、錠剤は、パルス状または開始遅延の放出特性を有するように設計される。これは、多層錠剤または圧縮被覆錠剤のように設計することによって達成することができる。多層錠剤の異なる層は、異なる活性薬剤、異なる量の活性薬剤、異なる形態の活性薬剤、異なる量または種類のコーティング剤、異なる量または異なる種類のゲル形成剤などを有することができる。
【0056】
さらなる態様においては、本発明は、ゲル形成剤中の第1のポリマー、第2のポリマーおよびゲル化促進剤の適切な重量パーセントを選択することによって本発明の錠剤からの活性薬剤の持続放出の所定の特性を生じさせる方法を提供する。活性薬剤の放出における最大遅延効果は、粒子の周囲のコーティング剤を含むことによって達成され得る。
【0057】
活性薬剤
一の実施態様においては、本発明の活性薬剤は、ジヒドロキナゾリニルフェニルチオフェニルスルホニル尿素ファミリーの化合物群から選択され、血栓症のような状態の治療に有用である。本発明に用いるのに好適なジヒドロキナゾリニルフェニルチオフェニルスルホニル尿素化合物の例は、式(I):
【化7】

[式中、
1は、H、ハロゲン、−OH、−C1-10アルキルおよびC1-6−アルキルアミノからなる群から選択され;
Xは、FおよびIからなる群から選択される]
で示される。
【0058】
より好ましくは、該薬剤は、全ての好適な形態の[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素である。一の態様においては、本発明は、活性薬剤が[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩である、固体組成物を提供する。式(I)で示される化合物の製造方法は、米国特許出願公開第2007−0123547号に記載されている。
【0059】
驚くべきことに、式(I)で示される化合物は、酸性pHで難水溶性の弱酸であることが判明した。かくして、一の実施態様においては、本発明の活性薬剤は、イオン化形態および非イオン化形態を有する約37℃の温度でpH1.0〜7.4で0.1mg/ml未満の水溶解度を有する塩形態の難溶性弱酸化合物である。pHが高いほど水溶解度は高い(例えば、pH8以上で≧1mg/ml)。場合によっては、活性薬剤は、最初に、少なくとも部分的にイオン化形態で存在する。活性薬剤が、最初に、非イオン化形態で存在する場合もある。一の実施態様においては、そして、以下に詳述されるように、本発明にかかる組成物のアルカリ化薬は、水和化ポリマーマトリックスにおけるpHがpH10まで上昇するにつれて活性薬剤の溶解度を上昇させて生成物放出特性を強化するのに役立つ。別の実施態様においては、本発明にかかる組成物のアルカリ化薬は、製剤が胃の中で水和化された場合にその中で実質上全ての活性薬剤をその溶解したイオン化形態で維持するのに役立つ。
【0060】
別の実施態様においては、本発明の活性薬剤は、NSAID類から選択され、炎症のような状態の治療に有用である。本発明に用いるのに好適なNSAID類の例としては、インドメタシン、ケトプロフェンおよびナプロキセンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
別の実施態様においては、本発明の活性薬剤は、難水溶性の弱酸性薬物またはその医薬上許容される塩である。
【0062】
本発明の実施態様においては、他の好適な活性薬剤を含むことができる。例えば、医薬上活性な薬剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:例えば、抗炎症剤、解熱剤、抗痙攣剤、および/または鎮痛剤、例えばインドメタシン、ジクロフェナク、ジクロフェナクNa、イブプロフェン、フェニルブタゾン、オキシフェンブタゾンメピリゾール、アスピリン、エテンザミン、アミノピリン、フェナセチン、臭化ブチルスコポラミン、モルヒネ、エトミドリン、ペンタゾシン、フェノプロフェンカルシウムなど;抗結核薬、例えば、イソニアジド、エタンブトール塩酸塩など;心循環器系薬、例えば、二硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニフェドリン、ジピリダモール、アリノン、メチルドパ、フロセミド、スピロノラクトン、レセルピン、ネオマプリド(neomapride)、ハロペリドール、ペルフェナジン、ジアゼパム、ロラゼパム、クロルジアゼポキシドなど;抗ヒスタミン剤、例えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩など;ビタミン類、例えば、チアミン硝酸塩、トコフェロール酢酸エステル、シコチアミン、ピリドキサールリン酸エステル、コバマミド、アスコルビン酸、ニコチンアミドなど;抗痛風薬、例えば、アロプリノール、コルヒチン、プロペネシドなど;活性鎮痛薬、例えば、アモバルビタール、ブロモワレリル尿素、ミダゾラム、抱水クローラルなど;抗悪性腫瘍薬、例えば、フルオロウラシル、カルモフール、シクロホスファミド、チオテパなど;鬱血除薬、例えば、フェニルプロパノールアミンなど;抗糖尿病薬、例えば、アセトヘキサミド、インスリン、トルブタミドなど;利尿薬、例えば、ヒドロクロロチアジド、ポリチアジド、トリアムテレンなど;気管支拡張薬、例えば、アミノフィリン、テオフィリンなど;鎮咳薬、例えば、ノスカピン、デキストロメトルファンなど;抗不整脈薬、例えば、プロカインアミドなど;表面麻酔薬、例えば、アミノ安息香酸エチル、リドカインなど;抗てんかん薬、例えば、フェニトイン、エトスクシミド、プリミドンなど;合成副腎皮質ステロイド類、例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、ベタメタゾンなど;消化器系薬、例えば、ファモチジン、シメチジン、スクラルファート、スルピリド、テプレノン、プラウノトールなど;中枢神経系薬、例えば、インデロキサジン、イデベノン、ホパンテン酸カルシウムなど;高脂血症治療薬、例えば、プラバスタチンナトリウムなど;および抗生物質、例えば、セファテタン、ジョサマイシンなど。典型的な医薬上活性な薬剤としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:例えば、抗炎症剤、解熱剤、抗痙攣剤、および/または鎮痛剤、例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、ジクロフェナクNa、イブプロフェン、アスピリン、フェノプロフェンカルシウムなど;心循環器系薬、例えば、メチルドパ、フロセミド、ネオマプリド(neomapride)など;ビタミン類、例えば、アスコルビン酸など;抗痛風薬、例えば、プロペネシドなど;活性鎮痛薬、例えば、アモバルビタールなど;抗糖尿病薬、例えば、アセトヘキサミド、トルブタミドなど;利尿薬、例えば、ヒドロクロロチアジド、ポリチアジドなど;気管支拡張薬、例えば、アミノフィリン、テオフィリンなど;抗てんかん薬、例えば、フェニトイン、エトスクシミド、プリミドンなど;消化器系薬、例えば、スルピリドなど;中枢神経系薬、例えば、ホパンテン酸カルシウムなど;高脂血症治療薬、例えば、プラバスタチンナトリウムなど;および抗生物質、例えば、セファテタン、ジョサマイシンなど。上記薬物のうち典型的な薬物は、インドメタシン、ジアゼパム、テオフィリンなどである。
【0063】
本明細書で使用される場合、「活性薬剤」という用語は、記載されている活性薬剤の医薬上許容される形態の全てを含む。例えば、活性薬剤は、異性体混合物、イオン交換樹脂と結合した固体複合体などであり得る。また、活性薬剤は、記載されている活性薬剤の医薬上許容される塩、誘導体および類似体の全てならびにそれらの組み合わせを包含することを意図される。たとえば、活性薬剤の医薬上許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、トロメタミン塩、L−リジン塩、L−アルギニン塩、N−エチルグルカミン塩およびN−メチルグルカミン塩ならびにそれらの組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。いずれかの活性薬剤の形態、例えば、活性薬剤の医薬上許容される塩、活性薬剤の遊離酸、またはその混合物などは、本発明の組成物における使用に適している。
【0064】
さらに別の実施態様においては、活性薬剤は、低pHで長時間、擬似胃液またはゲル形成マトリックスと接触させた場合に不安定な(例えば、低pH微小環境に感受性のある)薬物である。
【0065】
本発明の実施態様においては、活性薬剤は、いずれかの好適な形態であり得る。例えば、粉末、ペレットまたは顆粒(すなわち、活性薬剤の小ユニットの集合体)の形態であり得る。活性薬剤は、当該技術分野で知られているいずれかの好適な方法を使用してペレット化または造粒され得る。押出(次いで、球形化)または造粒(湿式または乾式)によるペレット化は、一般的に、小さな粒子を集めて、最初の粒子がなおも同定され得る大きな集合体にするサイズ拡大化プロセスであると定義される。
【0066】
活性薬剤を含む粒子を生成するのにいずれかの好適な造粒方法が使用され得る。定義によれば、造粒とは、小さな粒子を一緒に集めて大きな集合体にして、それらを流動性のある状態にするいずれかのサイズ拡大プロセスである。例えば、湿式造粒法または乾式造粒法のどちらかを使用することができる。
【0067】
乾式造粒とは、熱および溶媒を使用しない製剤の造粒をいう。乾式造粒技術としては、一般に、スラッギングまたはローラー圧縮が挙げられる。スラッギングは、乾式ブレンドすること、圧縮装置にて製剤を錠剤(またはスラッグ)に圧縮すること、および粉砕して顆粒を得ることからなる。ローラー圧縮は、スラッギングと類似しているが、粉砕のためのコンパクトを形成するために打錠機の代わりにローラー圧縮器が用いられる。例えば、Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology, D.M. Parikh, eds., Marcel-Dekker, Inc. pages 102-103 (1997)を参照。乾式造粒技術は、場合によっては、例えば活性薬剤が熱、水または溶媒に対して感受性がある場合に有用である。
【0068】
別法として、活性薬剤は、高剪断ミキサー造粒(「HSG」)または流動床造粒(「FBG」)で造粒される。これらの造粒プロセスはどちらも大きな粒子を提供するが、使用する装置およびプロセスオペレーションのメカニズムが異なる。HSGによるブレンドおよび湿式集合化は、ミキサー中で羽根車およびチョッパーによって行われる。湿物質の混合、圧縮および塊状化は、羽根車によってもたらされる剪断力および圧縮力を介して行われる。棚型乾燥器または流動床乾燥器のような市販の装置を使用して湿塊を乾燥させる。
【0069】
他方、流動化とは、流動化ビヒクルとしてガスまたは空気を使用して、粉末の塊を、流体様特徴を示すように操作する操作である。このような流動床は、激しく沸騰している流体に似ており、固体粒子が、一般にガス速度とともに増大し得る乱流運動を受ける。そこで、FBGは、流動床乾燥器において大きな顆粒を形成するために流動化粉末床上にバインダー溶液をスプレーし乾燥させることによって顆粒を生成するプロセスである。バインダー溶液は、例えばいずれかの好適な方法で(例えば、上部または下部に)位置する1つ以上のスプレーガンからスプレーされ得る。スプレーの位置およびスプレーの速度は、使用される活性薬剤およびバインダーの性質に依存し得、当業者は容易に決定できる。
【0070】
所望により、顆粒活性薬剤を造粒後または乾燥後に粉砕することができる。粉砕は、市販の装置、例えば0.039インチスクリーンを装着したCOMIL(登録商標)を使用して行われ得る。COMIL(登録商標)のスクリーンのメッシュサイズは、所望の活性薬剤またはペレットのサイズに応じて選択され得る。典型的には、メッシュサイズは、0.331インチスクリーン(メッシュ20)〜0.006インチスクリーン(メッシュ100)の範囲であり得る。粉砕プロセスは、比較的均一な顆粒サイズを得るのに役立つ。湿式造粒した活性薬剤を粉砕した後、必要に応じて、それらをさらに乾燥させることができる(例えば、流動床乾燥器において)。
【0071】
典型的には、活性顆粒のメッシュサイズは、約20μm〜約3mm、所望により約50μm〜約2mm、約100μm〜約1mmの範囲であり得る。典型的には、活性薬剤顆粒の嵩密度またはタップ密度は、約0.1g/ml〜約1.5g/ml、所望により約0.3〜約0.8g/ml、所望により約0.4g/ml〜約0.6g/mlの範囲である。嵩密度は、USP法(US試験法<616>を参照)に基づいて測定される。
【0072】
親水性ポリマー
驚くべきことに、溶出速度および吸収は、少なくとも1つの親水性ポリマーおよび少なくとも1つのアルカリ化薬の組み合わせによって最適化され得ることが判明した。製薬の分野で慣用的な全ての親水性水溶性ポリマーが使用できるわけではない。本発明における使用に適している親水性ポリマーの例としては、以下ものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:セルロース誘導体、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、デキストラン、デンプン、炭水化物、基本ポリマー、天然または親水性ガム、キサンタン、ペクチン、アルギン酸塩、ムチン、寒天、ゼラチン、ポリアクリル酸ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボマー、天然ガムなど。親水性ポリマーは、個々に、または、2つまたはいくつかの親水性ポリマーの混合物で使用され得る。セルロース誘導体の場合、アルキルまたはヒドロキシアルキルセルロース誘導体としては、好ましくは、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムが挙げられる。好適なセルロース系親水性ポリマーは、水溶液の異なる粘度に対応して種々の置換度および/または異なる分子量を有することができる。本発明の実施態様においては、放出速度制御ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、カルボマーおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0073】
本発明において放出速度制御ポリマーとして使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、好適には、製薬技術分野において慣用的ないずれかのHPMCであり得る。使用されるHPMCは、好適には、例えばUSPに記載されるHPMC置換型1828、2208、2906および2910であり得る。使用されるヒドロキシプロピルメチルセルロースは、好適には、例えばDow Chemical Companyによって供給されているMETHOCELTMであり得る。好ましくは、使用されるHPMCはHPMC 2208、より好ましくは、METHOCELTM K4M Premium CR;METHOCELTM K100M;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)[例えば、Metolose 90SH10000(粘度:4100〜5600cps、H2O中1%、20℃)、Metolose 90SH50000(粘度:2900〜3900cps、上記と同一条件下)、Metolose 90SH30000(粘度:25000〜35000cps、H2O中2%、20℃)、これらは全て、信越化学工業株式会社の商品名である]である。さらなる好適なセルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)[例えば、Sanlose F−150MC(平均分子量:2×105、粘度:1200〜1800cps、H2O中1%、25℃)、Sanlose F−1000MC(平均分子量:42×104;粘度:8000〜12000cps、上記と同一条件下)、Sanlose F−300MC(平均分子量:3×105;粘度:2500〜3000cps、上記と同一条件下)、これらは全て、日本製紙株式会社の商品名である];ヒドロキシエチルセルロース(HEC)[例えば、HEC Daicel SE850(平均分子量:148×104;粘度:2400〜3000cps、H2O中1%、25℃)、HEC Daicel SE900(平均分子量:156×104;粘度:4000〜5000cps、上記と同一条件下)、これらは全て、ダイセル化学工業株式会社の商品名である];カルボキシビニルポリマー[例えば、Carbopol 940(平均分子量:約25×105;B.F. Goodrich Chemical Co.)などである。
【0074】
本発明で使用され得るPolyox(Dow Chemical)は、水溶性ポリマー、ポリエチレンオキシドであり、その平均分子量に応じて水溶液中で異なる粘度および親水性を有する。親水性ポリマーとしての機能を果たすのに適しているのは、ポリエチレンオキシドポリマー、例えば、POLYOXTM WSR−303(平均分子量:7×106;粘度:7500〜10000cps、H2O中1%、25℃)、POLYOXTM WSR Coagulant(平均分子量:5×106;粘度:5500〜7500cps、上記と同一条件下)、POLYOXTM WSR−301(平均分子量:4×106;粘度:1650〜5500cps、上記と同一条件下)、POLYOXTM WSR−1105(平均分子量:900,000、8800〜17,600;粘度:1650〜5500cps(5%溶液)上記と同一条件下)、POLYOXTM WSR−N−60K(平均分子量:2×106;粘度:2000〜4000cps、H2O中2%、25℃)である。
【0075】
好ましくは、当該組成物は、POLYOXTM(ポリエチレンオキシド、Dow Chemical)WSR 1105、セルロースエーテル、例えばMetolose(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、信越)、および/またはそれらの混合物を含む。これらのポリマーを水和化して、粘度を増大させ、それらに親水特性を供与する。
【0076】
Carbopol(BFGoodrich)は、アクリル酸ポリマーがポリアルケニルアルコールおよびジビニルグリコールと化学的に架橋しているイオン化可能な親水性ポリマーであり、経口用にはCarbopol 934P NF、974P NF、971P NFなどが使用される。これらの親水性ポリマーは、水と接触すると硬度に粘稠性のゲルを形成し、膨潤する。
【0077】
一の態様においては、本発明は、親水性ポリマーの量が組成物の約27.8%w/w未満である、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、親水性ポリマーの量が組成物全体の約27.8%w/w〜約10w/w%である、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、親水性ポリマーが約0.82〜約9×105ダルトンの平均分子量を有する、固体組成物を提供する。一の態様においては、親水性ポリマーは、8800〜17,600cpsの粘度を有する。一の態様においては、本発明は、少なくとも1つの親水性ポリマーが親水性ポリマーの組み合わせである、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、親水性ポリマーがメトセルセルロースエーテル、ポリエチレンオキシド(PEO)およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、メトセルセルロースがMETHOCELTM K4Mである、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、ポリエチレンオキシドがPOLYOXTM WSR 1105である、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、METHOCELTM K4MとPOLYOXTM WSR 1105との重量比が約0.9〜約0.69である、固体組成物を提供する。
【0078】
アルカリ化薬
制御放出親水性ポリマーと一緒にこれらの化合物にアルカリ性微小環境を与えるように製剤を設計した。ポリマーマトリックスが水和化された後に薬物を最適化するために製剤の微小環境を創るためにアルカリ化薬を使用する。
【0079】
本発明にかかる組成物のアルカリ化薬は、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、胃の出発pHと関係なく、ほぼ活性酸のpKaよりも高いpHに上昇させる能力を有する。一の実施態様においては、本発明にかかる組成物のアルカリ化薬は、水和化製剤における微小環境のpHを、出発の胃のpHと関係なく、典型的には約9.0〜9.5に上昇させることが可能である。この方法において、アルカリ化薬は、水和化ポリマーマトリックス中のpHがpH10まで上昇するにつれて活性薬剤の溶解度を上昇させて水和化製剤からの生成物放出/溶出特性を増強するのに役立つ。本発明のアルカリ化薬と一緒にpH調整剤を使用することができるが、当業者には当然のことながら、アルカリ化薬が全体として水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHをほぼ活性酸のpKaよりも大きく上昇させる限り、アルカリ化薬のpHを調整するために酸性薬剤を使用することもできる。
【0080】
好適なアルカリ化薬としては、広範囲の水溶解度および分子量の有機および無機塩基性化合物など、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無機塩基性塩の代表的な例としては、水酸化アンモニウム、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムなどおよびそれらの混合物が挙げられる。一の態様においては、本発明は、アルカリ化薬が炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、重炭酸ナトリウムおよびアルギニンならびにそれらの医薬上許容される塩からなる群から選択される、固体組成物を提供する。アルカリ化薬の溶解度および分子サイズは、水和化生成物マトリックスにおけるその拡散速度に影響を及ぼすことがあり、活性薬剤の溶出特性に影響を及ぼすことがある。
【0081】
一の態様では、本発明は、アルカリ化薬の量が組成物全体の約5〜約50重量%である、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、アルカリ化薬の合わせた重量%が活性薬剤の重量%以上である、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、アルカリ化薬と親水性ポリマーとの重量比が約0.9〜0.69である、固体組成物を提供する。一の態様においては、本発明は、組成物全体の約7.6%w/w〜約8.9%w/wの活性薬剤;約27.8%w/w〜約15%w/wの親水性ポリマー;および約15%w/w〜約30%w/wのアルカリ化薬を含む固体組成物である。
【0082】
一の態様では、本発明は、経口投与の約10時間後〜約12時間後に、少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、請求項1の固体組成物を提供する。
【0083】
一の実施態様は、本発明は、例えば炭酸塩および第1のアルカリ化薬、酸化マグネシウムを含む二成分アルカリ化薬を提供する。各アルカリ化薬成分の濃度は、これらの化合物の微小環境の最終pHが達成され、一定期間、例えば、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、または少なくとも約12時間、維持されるように調整される。これは、典型的に、種々の量の各アルカリ化薬成分を添加し、次いで、経時的に最終pHを測定するという試行錯誤法を含む。この方法では、各アルカリ化薬成分に適する重量比の選択がたった数回の試行で容易に決定され得る。例えば、炭酸塩と重炭酸塩との重量比は、約1:10〜約10:1、好ましくは、約1.5〜約5:1、より好ましくは、約1:3〜約3:1、さらに好ましくは、約1:2〜約2:1であり得る。
【0084】
炭酸塩は、一般に、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウムおよび炭酸マグネシウムから選択される。好ましくは、炭酸塩は、炭酸カルシウムである。同様に、重炭酸塩は、一般に、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、および重炭酸マグネシウムから選択される。好ましくは、重炭酸塩は、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムである。最も好ましくは、重炭酸塩は、重炭酸ナトリウムである。いくつかの実施態様においては、重炭酸ナトリウムが好ましい。二成分アルカリ化薬に用いられる炭酸塩および重炭酸塩の量は、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。
【0085】
場合によっては、二成分アルカリ化薬を使用した場合には、重炭酸塩の量は、炭酸塩の量以上であり、炭酸塩と重炭酸塩との重量比は、約1:1〜約1:10、好ましくは、約1:1〜約1:5、より好ましくは、約1:1〜約1:2、例えば、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、または1:2である。別法として、重炭酸塩の量は、炭酸塩の量以下であり、炭酸塩と重炭酸塩との重量比は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、より好ましくは、約1:1〜約2:1、例えば、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、または2:1である。他に場合によっては、炭酸塩および重炭酸塩の合わせた量は、活性薬剤の量以上であり、炭酸塩および重炭酸塩と活性薬剤との重量比は、好ましくは、約1:1〜約10:1、例えば、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または10:1である。別法として、炭酸塩および重炭酸塩の合わせた量は、活性薬剤の量以下であり、炭酸塩および重炭酸塩と活性薬剤との重量比は、好ましくは、約1:1〜約1:10、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10である。
【0086】
以上を考慮して、本発明のアルカリ化薬は、いくつかの実施態様においては、炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムを含有する二成分アルカリ化薬である。
【0087】
別法として、別の実施態様においては、本発明のアルカリ化薬は、例えば炭酸塩または重炭酸塩および第2のアルカリ化薬(例えば、酸化マグネシウム)を含む、二成分アルカリ化薬である。各アルカリ化薬成分の濃度は、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境の最終pHが達成され、一定期間、例えば、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間または少なくとも約12時間維持されるように調整される。各アルカリ化薬成分に適している重量比の選択は、胃液における溶出特性を達成するように容易に決定され得る。例えば、炭酸塩と重炭酸塩との重量比は、約1:10〜約10:1、好ましくは、約1:5〜約5:1、より好ましくは、約1:3〜約3:1、さらに好ましくは、約1:2〜約2:1であり得る。
【0088】
好適な炭酸塩および重炭酸塩は上記のとおりである。二成分アルカリ化薬に使用される炭酸塩または重炭酸塩の量は水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるために第2のアルカリ化薬と一緒に使用される場合に十分な量である。場合によっては、二成分アルカリ化薬中の第2のアルカリ化薬の量は、炭酸塩または重炭酸塩の量以上である。例えば、第2のアルカリ化薬と炭酸塩または重炭酸塩との重量比は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、さらに好ましくは、約1:1〜約3:1であり得る。他に場合によっては、二成分アルカリ化薬中の第2のアルカリ化薬の量は、炭酸塩または重炭酸塩の量以下である。例えば、第2のアルカリ化薬と炭酸塩または重炭酸塩との重量比は、約1:1〜約1:10、好ましくは、約1:1〜約1:5、さらに好ましくは、約1:1〜約1:3であり得る。
【0089】
第2のアルカリ化薬は、一般に、金属酸化物、例えば、酸化マグネシウムまたは酸化アルミニウム;リン酸塩、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素二マグネシウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウムから選択される。しかしながら、当業者には当然のことながら、金属酸化物、またはクエン酸、リン酸、ホウ酸、アスコルビン酸または酢酸の塩が本発明のアルカリ化薬における使用に適している。二成分アルカリ化薬に使用される第2のアルカリ化薬の量は、炭酸塩または重炭酸塩と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、ほぼ活性酸のpKaのpH以上に上昇させるのに十分な量である。典型的には、これは、出発pHに関係なく、約9.0〜約9.5である。好ましくは、出発pHに関係なく、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)である。いくつかの実施態様においては、酸化マグネシウムまたは酸化アルミニウムのような金属酸化物が好ましい第2のアルカリ化薬である。特に好ましい実施態様においては、金属酸化物は、非晶質酸化マグネシウムである。
【0090】
別法として、さらに別の実施態様においては、本発明のアルカリ化薬は、金属酸化物およびクエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩を含む二成分アルカリ化薬である。各アルカリ化薬成分の濃度は、最終pHが達成され、一定の期間、例えば、少なくとも約7時間、時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、または少なくとも約12時間維持されるように調整される。
【0091】
好適な金属酸化物としては、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適なクエン酸塩、リン酸塩およびホウ酸塩としては、本質的には、上記のもののような当該技術分野で知られているクエン酸、リン酸またはホウ酸のいずれか塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。場合によっては、二成分アルカリ化薬は、金属酸化物およびリン酸塩を含む。別の場合には、二成分アルカリ化薬は、金属酸化物およびホウ酸塩を含む。二成分アルカリ化薬に使用される金属酸化物の量は、クエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。同様に、二成分アルカリ化薬に使用されるクエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩の量は、金属酸化物と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、さらに好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。
【0092】
場合によっては、二成分アルカリ化薬中の金属酸化物の量は、クエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩の量以上である。例えば、金属酸化物とクエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩との重量比は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、より好ましくは、約1:1〜約3:1であり得る。他に場合によっては、二成分アルカリ化薬中の金属酸化物の量は、クエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩の量以下である。例えば、金属酸化物とクエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩との重量比は、約1:1〜約1:10、好ましくは、約1:1〜約1:5、より好ましくは、約1:1〜約1:3であり得る。
【0093】
別法として、さらに別の実施態様においては、本発明のアルカリ化薬は、炭酸塩、重炭酸塩および第3のアルカリ化薬を含む三成分アルカリ化薬である。各アルカリ化薬成分の濃度は、これらの化合物の微小環境の最終pHが達成され、一定の期間、例えば、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、または少なくとも約12時間維持されるように調整される。各アルカリ化薬成分に適している重量比を決定するために上記した方法を三成分アルカリ化薬にも適用することができる。
【0094】
好適な炭酸塩および重炭酸塩は上記されている。該三成分アルカリ化薬において使用される炭酸塩および重炭酸塩の量は、第3のアルカリ化薬と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。
【0095】
該第3のアルカリ化薬は、一般に、金属酸化物、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩(例えば、アスコルビン酸カリウムまたはアスコルビン酸ナトリウム)、酢酸塩(例えば、酢酸カリウムまたは酢酸ナトリウム)、およびアルカリ性デンプンから選択される。好適な金属酸化物としては、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。好適なクエン酸塩、リン酸塩およびホウ酸塩としては、上記したもののような当該技術分野で知られているクエン酸、リン酸またはホウ酸のいずれかの塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。三成分アルカリ化薬において使用される第3のアルカリ化薬の量は、残りの成分と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。いくつかの実施態様においては、酸化マグネシウムまたは酸化アルミニウムのような金属酸化物が好ましい第3のアルカリ化薬である。特に好ましい実施態様においては、該金属酸化物は非晶質酸化マグネシウムである。
【0096】
場合によっては、該三成分アルカリ化薬における炭酸塩または重炭酸塩の量は、第3のアルカリ化薬の量以上である。例えば、炭酸塩または重炭酸塩対第3のアルカリ化薬の割合は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、さらに好ましくは、約1:1〜約3:1であり得る。別に場合によっては、該三成分アルカリ化薬における炭酸塩または重炭酸塩の量は、第3のアルカリ化薬の量以下である。例えば、炭酸塩または重炭酸塩と第3のアルカリ化薬との重量比は、約1:1〜約1:10、好ましくは、約1:1〜約1:5、より好ましくは、約1:1〜約1:3であり得る。
【0097】
本発明の三成分アルカリ化薬は、最も好ましい実施態様においては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび非晶質酸化マグネシウムを含有する。場合によっては、重炭酸ナトリウムの量は、炭酸ナトリウムの量以上である。例えば、重炭酸ナトリウムと炭酸ナトリウムとの重量比は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、より好ましくは、約1:1〜約3:1であり得る。他に場合によっては、非晶質酸化マグネシウムの量は、炭酸ナトリウムと重炭酸ナトリウムとを合わせた量以上である。例えば、非晶質酸化マグネシウムと炭酸ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムとの重量比は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、より好ましくは、約1:1〜約3:1であり得る。
【0098】
別法として、さらなる実施態様においては、本発明のアルカリ化薬は、炭酸塩または重炭酸塩、および金属酸化物からなる群から選択される1つ以上のアルカリ化薬を含むアルカリ化薬である。各アルカリ化薬成分の濃度は、胃におけるこれらの化合物の微小環境の最終pHが達成され、一定の期間、例えば、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間、少なくとも約9時間、少なくとも約10時間、少なくとも約11時間、または少なくとも約12時間維持されるように調整される。
【0099】
好適な炭酸塩および重炭酸塩は、上記されている。アルカリ化薬において使用される炭酸塩または重炭酸塩の量は、残りの成分と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。
【0100】
1つ以上のアルカリ化薬は、一般に、金属酸化物、炭酸塩および重炭酸塩から選択される。好適な金属酸化物としては、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。該アルカリ化薬において使用されるさらなるアルカリ化薬の量は、炭酸塩または重炭酸塩と一緒に使用した場合、水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを、出発pHに関係なく、ほぼ活性酸のpKaのpH以上、好ましくは、約8.5以上、より好ましくは、約9以上(例えば、約9〜11)に上昇させるのに十分な量である。
【0101】
場合によっては、アルカリ化薬は、炭酸塩または重炭酸塩、金属酸化物、およびクエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩を含む。他に場合によっては、アルカリ化薬は、炭酸塩または重炭酸塩、クエン酸塩、およびリン酸塩を含む。場合によっては、アルカリ化薬は、炭酸塩または重炭酸塩、クエン酸塩、およびホウ酸塩を含む。他に場合によっては、アルカリ化薬は、炭酸塩または重炭酸塩、リン酸塩、およびホウ酸塩を含む。好ましくは、金属酸化物は非晶質酸化マグネシウムである。
【0102】
場合によっては、アルカリ化薬における炭酸塩または重炭酸塩の量は、金属酸化物またはクエン酸塩、リン酸塩、またはホウ酸塩の量以上である。例えば、炭酸塩または重炭酸塩と金属酸化物またはクエン酸塩、リン酸塩またはホウ酸塩との重量比は、約1:1〜約10:1、好ましくは、約1:1〜約5:1、より好ましくは、約1:1〜約3:1であり得る。他に場合によっては、アルカリ化薬における炭酸塩または重炭酸塩の量は、金属酸化物またはクエン酸得、リン酸塩またはホウ酸塩の量以下である。例えば、炭酸塩または重炭酸塩と金属酸化物またはクエン酸得、リン酸塩またはホウ酸塩との重量比は、約1:1〜約1:10、好ましくは、約1:1〜約1:5、より好ましくは、約1:1〜約1:3であり得る。
【0103】
上記のことは、水和化ポリマーマトリックスにおけるこれらの化合物の微小環境のpHを変えてpHがpH10まで上昇するにつれて活性薬剤の溶解度を増加させて生成物放出特性を強化するアルカリ化薬の能力に集中しているが、アルカリ化薬は、消化管の胃および残部における吸収度に対しても副次的有益効果を有し得ることが考えられる。例えば、アルカリ化薬は、沈殿せずに胃の中で活性薬剤の放出を緩やかに調節する水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境のpHを創り出すことができる。これにより、放出された活性薬剤は、吸収のために胃酸において非イオン化され得る。さらに、アルカリ化薬は、大きな凝集塊の形成を引き起こしてバイオアベイラビリティを減少させる胃における低いpHでの非イオン化薬物の濃度の劇的な増大を避けるために薬物の放出を調整する製剤における微小環境のpHを創り出すことができる。ポリマーとアルカリ化薬の併用は、また、崩壊特性および浮遊特性ならびに水和化製剤の機械的強度の制御を可能にして、胃貯留特性を達成することができる。一の態様においては、本発明は、本発明における炭酸塩または重炭酸塩の少なくとも1つのアルカリ化薬からなる固体組成物であって、刺激された胃液(0.1N HCl)中で水和化された場合に浮遊特性を有する非崩壊性製剤を提供する固体組成物を提供する。別の態様においては、本発明は、本発明における炭酸塩または重炭酸塩の少なくとも1つのアルカリ化薬からなる固体組成物であって、刺激された胃液(0.1N HCl)中で水和化された場合に浮遊特性を有する徐崩壊性製剤を提供する固体組成物を提供する。これは、水和化後の二酸化炭素の遊離、密度の低下および十分に(機械的に)強い非崩壊性または徐崩壊性組成物によりもたらされる。浮遊特性を有する非崩壊性または徐崩壊性組成物は、バイオアベイラビリティの向上および投与間隔の減少のための経口投与後の胃貯留行動をもたらし得る。当然のことながら、アルカリ化薬のこれらの副次的有益効果は、本明細書に記載されるアルカリ化薬および組成物の一般的範囲内である。
【0104】
他の成分および投与剤形
本発明の組成物は、非崩壊性または徐崩壊性制御放出マトリックス錠剤、丸剤もしくはカプセル剤の剤形または同類の剤形をとり得る。好ましくは、投与剤形は、徐崩壊性錠剤である。
【0105】
各対象体または患者は、本発明にかかる治療薬の吸収速度および吸収度に影響を及ぼし得る固有の因子を有するが、一方、本発明にかかる親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含有する溶解性錠剤のような投与剤形は、他の伝統的な経口投与用製剤に対する利点を有する。例えば、これらの投与剤形の各々は、経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間活性薬剤の70%を放出する。同様に、治療薬剤のバイオアベイラビリティは向上し、それによって伝統的な経口投与用投与剤形と比べて治療活性の開始までの時間が減少する。
【0106】
また、親水性ポリマーおよび本明細書記載されているアルカリ化薬を含有する本発明の好ましい投与剤形(例えば、溶解性錠剤)は、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含まない経口投与用投与剤形に対する利点を有する。重要なことには、本発明の投与剤形における親水性ポリマーとアルカリ化薬との併用が、治療薬をそのイオン化形態に維持し、水和化ポリマーマトリックスにおけるpHがpH10まで上昇するにつれて活性薬剤の溶解度を上昇させて制御された方法で生成物放出特性を強化するのに役立つので、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含有しない経口投与用投与剤形と比べて、治療薬のバイオアベイラビリティは向上し、治療開始までの時間は調節される。
【0107】
本明細書で使用される場合、「投与剤形」という用語は、ヒト対象体および他の哺乳動物のための単位投与として適している物理的に分離しているユニットをいい、各ユニットは、所望の開始、認容性および治療効果を生じるように計算された予め決められた量の治療薬を担体のような1以上の好適な医薬賦形剤と一緒に含有する。このような投与剤形を調製する方法は当業者に知られているか、または、当業者にとって明らかであろう。他の実施態様においては、本発明の錠剤投与剤形は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Ed., Lippincott, Williams & Wilkins (2003);Pharmaceutical Dosage Forms, Volume 1: Tablets, 2nd Ed., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y. (1989);および同様の刊行物に記載されている方法に従って調製され得る。いずれの場合も、投与されるべき投与剤形は、本発明の教示に従って投与される場合、治療される状態の軽減のための治療上有効な量の治療薬を含有する。
【0108】
本発明の組成物は、活性薬剤またはその医薬上許容される塩、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含む。典型的には、本発明の錠剤組成物は、約0.001重量%〜約85.0重量%の活性薬剤(いかなる選択形態であっても、その遊離酸形態として測定)、より典型的には、約1.0%〜約50.0%を含む。いくつかの実施態様においては、約4.0重量%の活性薬剤を使用する。当業者は、前記パーセンテージが、使用される活性薬剤の特定の供給源、最終製剤中で望まれる活性薬剤の量、および所望の活性薬剤の特定の放出に依存して変化するということを理解している。錠剤組成物の二成分または三成分アルカリ化薬は、少なくともほぼ活性酸のpKaを超える水和化製剤におけるこれらの化合物の微小環境の最終pH、好ましくは、少なくとも約8.5、より好ましくは、少なくとも約9(例えば、約9〜11)を提供する。
【0109】
本発明の化合物は、さらに、pH調整剤;抗酸化剤、例えば、ブチルヒドロキシトルエンおよびブチルヒドロキシアニソール;可塑剤;流動促進剤;保護剤;エラストマー系溶媒;増量剤;湿潤剤;乳化剤;可溶化剤;滑沢剤;懸濁化剤;保存剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸エチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピル;甘味料;矯味矯臭剤;着色剤;および崩壊剤、例えば、クロスポビドンおよびクロスカルメロースナトリウムおよび他の架橋セルロースポリマーを含むことができる。
【0110】
本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、治療薬のような薬物の「希釈剤」またはビヒクルのような典型的に不活性な物質をいう。この用語はまた、組成物に凝集性品質を与える典型的に不活性な物質を包含する。本発明の組成物において使用するのに好適な担体としては、結合剤、ガム基剤およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。結合剤の非限定的な例としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、ラクトース、デキストロース、シュークロース、グルコース、イノシトール、粉砂糖、糖蜜、デンプン、セルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、アカシアガム、グアーガム、トラガカントガム、アルギネート、アイリッシュ・モスのエキス、パンワールガム(panwar gum)、ガティガム(ghatti gum)、イサポールハスク(isapol husk)の粘液、Veegum(登録商標)、カラマツアラビノガラクタン、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol)、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、およびこれらの組み合わせがが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結合剤は、凍結乾燥(例えば、Fundamentals of Freeze-Drying, Pharm. Biotechnol., 14:281-360 (2002);Lyophililization of Unit Dose Pharmaceutical Dosage Forms, Drug. Dev. Ind. Pharm., 29:595-602 (2003)を参照);固溶体調製(例えば、米国特許第6,264,987号を参照);ならびに好適な滑沢剤を用いる滑沢剤ダスティングおよび湿式造粒調製(例えば、上掲のRemington: The Science and Practice of Pharmacyを参照)のような当該技術分野で知られている方法によってそれらの流動性および味を改良するために前処理され得る。例えば、SPI Pharma Group(デラウェア州ニューカッスル)によって販売されているMannogem(登録商標)およびSorbogem(登録商標)は、それぞれ、マンニトールおよびソルビトールの凍結乾燥処理形態である。典型的には、本発明の組成物は、結合剤を約25重量5〜約90重量%、好ましくは、約50%〜約80%含む。しかしながら、当業者にとって当然のことながら、本発明の組成物は、例えば非常に脆い投与剤形を生成するために、いずれもの結合剤を用いずに調製され得る。
【0111】
一の態様においては、本発明は、微結晶性セルロースおよびラクトースからなる群から選択される希釈剤を含む固体組成物を提供する。
【0112】
当該製剤は、また、pH調整剤を含むことができる。薬剤に関して所望のデリバリー速度を得るために1つ以上のアルカリ化薬と併用した場合に緩衝化微小環境を創製し、調整するためにこのようなpH調整酸を添加するのが好ましい。これらの薬剤には、クエン酸、コハク酸、酒石酸、酢酸、ビタミンCおよび塩酸があるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、クエン酸のような緩衝物質である。
【0113】
本発明にかかる医薬製剤は、また、抗酸化剤およびキレート化剤を含むことができる。例えば、医薬製剤は、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(PG)、メタ重亜硫酸ナトリウム、パルミチン酸アスコルビル、メタ重亜硫酸カリウム、EDTA二ナトリウム(エチレンジアミン四酢酸;エデト酸二ナトリウムとしても知られている)、EDTA、酒石酸、クエン酸、クエン酸・一水和物、および亜硫酸ナトリウムを含むことができる。一の実施態様においては、上記化合物は、医薬組成物中に約0.01%〜約5%w/wの範囲の量が含まれる。一の特定の実施態様においては、医薬製剤は、約0.02%〜約1%の範囲で使用されるBHA、BHTまたはPG、および約2%〜約5%の範囲で使用されるEDTA二ナトリウムまたはクエン酸・一水和物を含む。好ましい実施態様においては、医薬製剤は、約0.05%w/wで使用されるBHAを含む。
【0114】
一の態様においては、本発明は、可塑剤をさらに含む固体組成物を提供する。該組成物は、また、所望により、組成物の総重量をベースとして約0重量%〜約30重量%の可塑剤を含むことができる。一の実施態様においては、可塑剤は、組成物の約15重量%〜約25重量%である。好適な可塑剤としては、例えば、トリアセチン、フタル酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン、トリアセチン、およびクエン酸トリエチルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。一の実施態様においては、可塑剤は、分子量200〜20,000のポリエチレングリコールである。別の実施態様においては、可塑剤は、分子量400〜4,000のポリエチレングリコールである。別の実施態様においては、可塑剤は、PEG 3350である。
【0115】
滑沢剤は、ダイスおよびパンチの表面への投与剤形の付着を防止するため、および粒子間摩擦を軽減するために使用され得る。滑沢剤は、また、ダイキャビティから投与剤形を突き出し易くすることができ、また、処理工程の間の顆粒流速を向上させることができる。好適な滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シメチコン、二酸化ケイ素、タルク、ポリエチレングリコール、鉱油、カルナウバロウ、パルミチン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸および硬化植物性油脂、ならびに他の公知の滑沢剤、および/またはこれらのうち2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一の実施態様においては、貯蔵顆粒の滑沢剤は、存在する場合には、ステアリン酸マグネシウムである。本発明の組成物は、滑沢剤を約0重量%〜約10重量%、好ましくは、約1%〜約5%含むことができる。
【0116】
別の実施態様においては、当該組成物は、また、所望により、抗付着剤または流動促進剤を含むことができる。本明細書で使用するのに適している流動促進剤および/または抗付着剤の例としては、二酸化ケイ素、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、タルク、ならびに凝集ケイ酸塩および水和化シリカのような二酸化ケイ素の他の形態が挙げられるが、これらに限定されるものではない。別の実施態様においては、当該組成物は、また、所望により、例えば、二酸化チタニウムのような乳白剤を含むことができる。さらに別の実施態様においては、当該組成物は、また、所望により、1つ以上の着色剤、例えば、酸化鉄ベースの着色剤を含むことができる。
【0117】
錠剤組成物は、また、保護剤を含むことができる。保護剤は、治療剤の少なくとも一部を、典型的にはこれら2つの薬剤を混合して被覆する。保護剤は、約0.1〜約100重量倍の割合で、好ましくは、約1〜約50重量倍の割合で、より好ましくは、約1〜約10の割合で、治療薬と混合され得る。いかなる特定の理論に束縛されることなく、保護剤は、治療剤が結合剤からより容易に放出され得るように治療薬と結合剤との間の付着を軽減する。この方法では、治療剤は、約7時間〜約12時間以内に、好ましくは約12時間以内に、胃にデリバリーされ得る。保護剤として適している物質は、上記において詳しく検討されており、本発明の錠剤組成物中にて単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0118】
錠剤組成物は、また、ロジンおよびレジンのような1以上のエラストマー系溶媒を含むことができる。このような溶媒の非限定的な例は、上記において詳しく検討されており、本発明の錠剤組成物において単独でまたは組み合わせて使用され得る。加えて、該錠剤組成物は、蜜蝋および微結晶性ロウのようなロウ、大豆油および綿実油のような油脂、およびそれらの組み合わせを含むことができる。さらにまた、錠剤組成物は、軟化剤または乳化剤のような可塑剤を含むことができる。このような可塑剤は、例えば、溶解性錠剤の胃溶液の粘性を所望のコンシステンシーに低下させるのに役立つことができ、その全体的な質感および噛み心地を改良することができ、治療薬の放出を容易にするのに役立つことができる。このような可塑剤の非限定的な例は、上記において詳しく検討されており、本発明の錠剤組成物において単独でまたは組み合わせて使用され得る。
【0119】
貯蔵顆粒の一の実施態様においては、増量剤は、微結晶性セルロースおよび/またはラクトース・一水和物であり、結合剤は、存在する場合には、アルファ化デンプンであり、崩壊剤は、存在する場合には、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウムおよび/またはクロスポビドンであり、滑沢剤は、存在する場合には、ステアリン酸マグネシウムであり、流動促進剤および/または抗付着剤は、存在する場合には、コロイド状二酸化ケイ素および/またはタルクである。
【0120】
甘味料は、それが持っている可能性のある不愉快な味をマスキングすることにより組成物の嗜好性を改善するために使用され得る。好適な天然または人工甘味料の例としては、サッカリドファミリー、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、多糖類およびオリゴ糖類;糖、例えば、シュークロース、グルコース(コーンシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、マルトデキストリンおよびポリデキストロース;サッカリンおよびその塩、例えば、ナトリウム塩およびカルシウム塩;シクラミン酸およびその塩;ジペプチド甘味料;塩素化糖誘導体、例えば、スクラロースおよびジヒドロカルコン;糖アルコール、例えば、ソルビトール、ソルビトールシロップ、マンニトール、キシリトール、ヘキサレゾルシノールおよび同類のもの、ならびにそれらの組み合わせから選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。水素化デンプン加水分解物、ならびに3,6−ジヒドロ−6−メチル−1−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩、カルシウム塩およびナトリウム塩を使用することもできる。本発明の組成物は、甘味料を約0重量%〜約80重量%、好ましくは、約0.5%〜約75%、より好ましくは、約0.5%〜約50%含むことができる。
【0121】
矯味矯臭剤もまた、当該組成物の嗜好性を改善するために使用することができる。好適な矯味矯臭剤の例としては、天然および/または合成(すなわち、人工)化合物、例えば、ペパーミント、スペアミント、ウインターグリーン、シナモン、メントール、チェリー、ストロベリー、スイカ、ブドウ、バナナ、ピーチ、パイナップル、アプリコット、西洋ナシ、ラズベリー、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、プラム、リンゴ、フルーツポンチ、パッションフルーツ、チョコレート(例えば、ホワイト、ミルク、ダーク)、バニラ、キャラメル、コーヒー、ヘーゼルナッツ、それらの組み合わせ、および同類のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。着色剤は、例えば組成物中の治療薬のタイプおよび用量を示すために、組成物を色分けするために使用され得る。好適な着色剤としては、天然および/または人工化合物、例えば、FD&C(食品医薬品化粧品)着色剤、天然ジュース濃縮物、顔料、例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素および酸化亜鉛、それらの組み合わせ、および同類のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の組成物は、矯味矯臭剤および/または着色剤を約0重量%〜約10重量%、好ましくは、約0.1%〜約5%、より好ましくは、約2%〜約3%含むことができる。
【0122】
親水性ポリマー、アルカリ化薬および活性薬剤を錠剤中に含む固体組成物の調製
活性薬剤、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含む製剤を混合するためにいずれもの好適な方法を使用することができる。一の実施態様においては、活性薬剤、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を合わせ、混合し、該混合物を錠剤に直接圧縮することができる。典型的には、流動特性および圧縮特性を改善するために該混合物に1つ以上のビヒクルまたは添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、例えば、滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、タルクおよび同類のもの;フレーバー;ならびに甘味料が挙げられる。直接圧縮は、費用、時間、操作場所および機械装置の縮小;活性剤−賦形剤相互作用の防止;および活性薬剤の不安定さの減少のような利点を有する。直接ブレンドまたは乾式造粒は、また、有機溶媒により起こり得る汚染を排除することもできる。
【0123】
別の実施態様においては、製剤成分のいくつかが圧縮前に一部造粒され得るか、または、該製剤成分の全てが圧縮前に造粒され得る。例えば、混合の前に活性薬剤を単独で造粒することができる。別の実施態様においては、親水性ポリマー(例えば、PEO)を、活性薬剤との混合前および/またはアルカリ化薬との混合前に造粒することができる。さらに別の態様においては、活性薬剤を、親水性ポリマーもしくはアルカリ化薬と一緒に、または3つの成分を一緒に造粒することができる。
【0124】
製剤を混合するために好適な造粒法を使用することができる。一の実施態様においては、製剤の1つ以上の混合するために湿式造粒法を使用することができる。例えば、高剪断造粒法または流動床造粒法を使用することができる。これらのプロセスにおいて好適な市販の造粒装置を使用することができる。
【0125】
製剤の1以上の成分の造粒後、所望により、顆粒製剤を製粉することができる。製粉は、好適な市販の装置、例えば、0.039インチスクリーンを装着したCOMIL(登録商標)を使用して行われ得る。COMIL(登録商標)のこのスクリーンのメッシュサイズは、所望の顆粒のサイズに応じて選択され得る。湿式造粒活性薬剤を製粉した後、所望により、それらをさらに(例えば、流動床で)乾燥させることができる。
【0126】
上記したように製剤を調製した後、該製剤を錠剤剤形に圧縮する。この錠剤の造形は、圧縮力の有無にかかわらず好適な手段により行うことができる。例えば、造粒工程後またはブレンド後の製剤の圧縮は、表面的な潤滑プロセスが使用されない限り錠剤組成物が十分に潤滑されることを条件として、打錠機を使用して行われ得る。製剤中の滑沢剤の量は、典型的には、例えば滑沢剤として最も一般的に使用されるステアリン酸マグネシウムについては0.5〜2.0%の範囲である。この工程を行うために多くの代替手段が利用でき、本発明は、特定の装置の使用によって限定されない。圧縮工程は、ロータリー式打錠機を使用して行われ得る。ロータリー式打錠機は、ダイスおよびパンチの複数のステーションを有するロータリータレットを有する。製剤は、ダイス中に供給され、次いで、圧縮される。
【0127】
錠剤組成物は、所望の形状、サイズおよび質感を有することができる。錠剤の直径および形状は、顆粒組成物の造形または圧縮のために選択された型、ダイスおよびパンチに依存する。例えば、錠剤は、円盤状、卵形、長円形、円形、円筒形、三角形であり得、棒、タブ、ペレットおよび球体の形状ならびに同類の形状を有することができる。同様に、該錠剤は、所望の色であり得る。例えば、該錠剤は、いずれかの色合いの赤色、青色、緑色、橙色、黄色、紫色、藍色、およびそれらの混合であり得、その中の治療薬のタイプおよび用量を示すために色分けされ得る。錠剤は、割り易いように線を付けることができる。上面または下面に記号または文字をエンボスまたはデボスすることができる。錠剤は、個々に包むか、または当該技術分野で周知の方法によって包装するためにバラバラにして一緒にすることができる。
【0128】
圧縮力は、プレスのタイプ/モデル、どのような物理的特性が錠剤生成物に望まれるか(例えば、所望の硬度、脆砕性)、所望の錠剤外観およびサイズならびに同類のものに基づいて選択され得る。典型的には、加えられた圧縮力は、圧縮錠剤が少なくとも約2kPの硬度を有するようなものである。これらの錠剤は、一般に、ユーザーによって包装されるか、船積みされるか、または取り扱われるのに十分な硬度および強度を提供する。所望により、錠剤硬度を増強するために錠剤に、より高い圧縮力を加えることができる。しかしながら、圧縮力は、好ましくは、錠剤のキャッピングまたはラミネーションを引き起こさないように選択される。好ましくは、加えられる圧縮力は、圧縮錠剤が約10kP未満の硬度を有するようなものである。
【0129】
典型的には、最終錠剤は、約50mg〜約2000mg、より典型的には、約200mg〜約1000mg、または約400mg〜約700mgの重量である。一の態様においては、本発明は、活性薬剤の量が約50mgである固体組成物を提供する。
【0130】
所望により、本発明の実施態様に他の変更を取り込むことができる。例えばAmberlite IRP−69とのイオン交換複合体などの種々のコーティング剤の塗布のようないずれかの公知の技術によって、本発明の錠剤マトリックスを介する薬物放出の変更を行うこともできる。本発明の錠剤はまた、GI運動低下薬を含むことができるか、またはGI運動低下薬と共投与され得る。さらなるコーティング層は、拡散の障壁として作用して薬物放出の速度およびタイミングを制御するためのさらなる手段を提供することができる。
【0131】
場合によっては、錠剤組成物は、治療薬センターフィルを含む。加えて、センターフィルへの治療薬の封入は、治療薬が有する可能性のある望ましくない味をマスキングするのに役立ち得る。これらの場合、結合剤がセンターフィルを少なくとも一部取り囲む。センターフィルは、少なくとも1つの治療薬を含み、固体物質、液体物質または半液体物質であり得る。センターフィル材は、合成ポリマー、半合成ポリマー、低脂肪もしくは無脂肪であり得、1つ以上の甘味料、矯味矯臭剤、着色剤および/または芳香剤を含有することができる。好ましくは、センターフィルは、本発明にかかる二成分または三成分アルカリ化薬を含む。
【0132】
他に場合によっては、本発明の錠剤組成物は、多層である。この方法では、1つ以上の治療薬、例えば、2つ以上の活性薬剤、または1つ以上の非活性治療薬と組み合わせた1つ以上の活性薬剤を所定の溶出速度でデリバリーすることができる。たとえば、二層錠剤については、第1層が活性薬剤を含有し、第2層が同一または異なる活性薬剤または非活性治療薬を含有する。
【0133】
さらに他の場合、非活性治療薬の有無にかかわらず活性薬剤の組み合わせは、多層錠剤の形態を取る必要がなく、代わりに、単一の均一錠剤層を含む。この種の製剤は、少なくとも1つの治療薬の消化管吸収が望ましい場合にも使用され得る。この場合、2つ以上の治療薬の相対的なイオン化度は、それらがどのように吸収されるべきかを決定する。
【0134】
本発明の医薬製剤は、薬物製剤の安定性を増強するいずれかのパッケージングで包装され得る。例えば、シリカゲル乾燥剤が入っている密閉した高密度ポリエチレン(HDPE)ボトル、またはPVCでライニングを施したアルミニウムブリスター(熱成形PVCブリスター)またはアルミニウム−アルミニウムブリスターを使用することができる。このようなパッケージングの使用は、製品の望ましくない酸化および湿度侵入を制御するのに役立つ。
【0135】
活性薬剤の予め決められ制御放出特性の発生
一の態様においては、本発明は、組成物が経口投与の約7時間後〜約12時間後に少なくとも約70%の活性薬剤放出をもたらす固体組成物を提供する。したがって、本発明は、医薬上活性な薬剤の予め決められた制御放出特性を発生させる方法を提供する。上記セクションに記載したように、本発明の錠剤は、少なくとも1つの医薬上活性な薬剤、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含んでおり、この医薬上活性な薬剤の制御放出の特性は、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬の成分の選択、それらの各割合、および該製剤に他の物質が含まれるかどうかというような因子に依存する。かくして、医薬上活性な薬剤の所望の放出特性は、親水性ポリマーおよびアルカリ化薬の種類および量、例えば、親水性ポリマーとアルカリ化薬との重量比を変得ることよって達成され得る。所望の成分を添加することによって、活性薬剤の持続放出特性がさらに変更され得る。
【0136】
異なった放出特性を有する活性薬剤の放出において複数の段階を含むことができる、より複雑な「プログラム可能な放出特性」は、親水性ポリマーの層を、さまざまな製剤と、例えば製剤の3つの主成分のうち1つ以上の成分のパーセンテージを変更して組み合わせることによって達成され得る。加えて、親水性ポリマー内に配合された活性薬剤の分布パターンは、錠剤からの活性成分の持続放出特性に寄与することができる。粒子が親水性ポリマー中に非ランダムに(例えば、均等にではない)分布されている場合、パルス状または開始遅延放出特性のような一定ではないが制御された量の活性薬剤デリバリーが達成され得る。また、このスキームに放出の「時間のずれ」が組み込まれるような錠剤を設計し作成することができる。例えば、錠剤は、経口投与の約2時間後、約3時間後、約4時間後、約5時間後、約6時間後または約7時間後の開始遅延放出を有するように設計され得る。
【0137】
ある実施態様においては、非ランダム薬物分布は、多層錠剤製剤設計および製造プロセスを介して制御される。錠剤中の活性薬剤分布は、不均一(すなわち、非ランダム)であるように設計される。これは、異なる濃度および/またはタイプ(例えば、変更、前処理)の活性薬剤を有する複数の製剤層で錠剤を製造することによって達成され得る。例えば、代替層は、さまざまな量の活性薬剤に加えて、異なる量のコーティング物質またはコーティング物質の異なる組成物によって同じ活性薬剤を含む粒子、またはさまざまな量のこれらの代替形態の組み合わせを有することができる。層は、さまざまな厚さのものであり得る。さらにまた、1つの錠剤は、最終錠剤の所望のサイズ、各層の厚さ、各層の製剤の組成、製造プロセスおよび同類ものによってのみ制限される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個または多数の層を有することができる。
【0138】
消化管を通過する場合に錠剤が溶解する速度を変更することによってさまざまな「パルス状放出」特性が設計され得る。これは、異なる種類または異なる量の活性薬剤、親水性ポリマー(例えば、様々な分子量のPEOポリマーまたはHPMC)、アルカリ化薬、アルカリ化薬に対して様々な割合の親水性ポリマー、2種類以上の親水性ポリマーを使用する場合には様々なパーセンテージの他の親水性ポリマー、様々な製造圧縮力、および同類のものを有する多層錠剤の様々な層を製造することによって達成される。別法として、圧縮コーティングプロセスを使用することもできる。かくして、各層が活性薬剤の異なる量または異なる変更を有することに加えて、錠剤が消化管を通過する場合に、層自体が様々な速度で溶解するように(かくして、異なる解剖学的なコンパートメントにおいて活性薬剤を放出するように)予めプログラムされ得る。
【0139】
活性薬剤の分布がランダムであるか非ランダムであるかにかかわらず、錠剤は、1種類以上の活性薬剤および/または1種類以上のコーティング剤を含むことができる。活性薬剤の非ランダム分布は、異なる層において異なる量によって定量的に、または異なる層において異なる形態の活性成分を有することによって、例えば錠剤の外部層における粒子において内部層より多くのコーティング剤を有するかまたはその逆のことによって定性的に、表され得る。別の実施態様においては、錠剤における活性薬剤の非ランダム分布は、錠剤の中心に集中するか、または錠剤の表面に集中する。別の実施態様においては、錠剤は、様々な量の活性成分または他の製剤成分を含む複数の層を有する。多層錠剤の異なる層においてさまざまな量の活性薬剤が存在し得、例えば、外部層では内部層と比べて多量の活性薬剤を有するかまたはその逆である。別法として、異なる形態の(例えば、カプセル化、造粒、コンジュゲート化された)活性薬剤が異なる層に存在し得る。全く異なるタイプの活性薬剤(例えば、薬物)またはそれらの組み合わせは、異なる層に入れることができる。層は、様々な厚さのものであり得る。1個錠剤は、最終錠剤の所望のサイズ、各層の厚さ、各層の製剤の組成、製造プロセスおよび同類のものによってのみ制限される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の層または多数の層を有することができる。
【0140】
多層のまたは被覆された制御放出錠剤の様々な層の作成は、圧縮コーティングプロセスを介して制御され得る。錠剤において設計されるべき層の数と等しい数の一連の供給装置がロータリーディスクの近くに分布している(このスキームは、直接圧縮プロセスおよび造粒プロセスの両方に適用する)。操作において、各供給装置は、供給装置の排出バルブによってダイストラベルとして雌型ダイス中に所定量の物質を放つ。各供給装置は、雌型ダイスの運動方向に見られるように、すぐ下流に圧縮層を有する。圧縮装置は、各供給装置によって雌型ダイスに入れられた物質を圧縮する。圧縮は、さまざまな物質層をお互いに付着させる。各層に異なる量の圧縮力を使用することができる。
【0141】
所望の数の層が形成されたら、生じた多層圧縮錠剤を雌型ダイスから取り出す。本発明のバルス状放出錠剤を調製するために、多層錠剤を形成するのに適しているいずれかの装置、例えば、コーティングパンまたはロータリーコーターにおける粉末レイヤーリング;二重圧縮技術による乾燥コーティング;フィルムコーティング技術による湿または粉末錠剤コーティング、および同類のものを使用することができる。例えば、米国特許第5,322,655号;Remington's Pharmaceutical Sciences Handbook: Chapter 90 “Coating of Pharmaceutical Dosage Forms”, 1990を参照。
【0142】
錠剤の異なる層は、PEO、HPMC、アルカリ化薬および/または活性薬剤組成物を含む異なる量または異なる種類の製剤を含有することができる。層におけるこのバリエーションは、錠剤中の活性薬剤の量および分布および摂取後のその最終的な放出を制御する。多層錠剤は、さらに、いずれかの方法で、例えば、コーティングパンまたはロータリーコーターにおける粉末レイヤーリング;二重圧縮技術による乾燥コーティング、フィルムコーティング技術による錠剤コーティング、および同類のもので処理することができる。
【0143】
投与方法
本発明の組成物は、治療用途に、例えば血栓の治療に有用である。重要なことには、本発明の組成物は、活性薬剤の周囲のpHを調整することによって、最大血漿濃度(Cmax)および最大血漿濃度到達時間(Tmax)に基づく対象体間変動が意外にも低い、消化管における活性薬剤の迅速かつ予測可能なデリバリーをもたらす。特に、治療薬のデリバリーは、消化管内での吸収を最適化する。その結果として、治療薬は、伝統的な経口(すなわち、錠剤)投与の場合よりも実質的に短い時間で、実質的に高い濃度で体循環に達することができる。
【0144】
加えて、本発明の組成物は、本発明にかかる親水性ポリマーおよびアルカリ化薬を含有していない経口投与溶組成物に比べて利点を有する。特に、本発明の組成物における親水性ポリマーおよびアルカリ化薬が、水和化ポリマーマトリックスにおけるpHがpH10まで上昇するにつれて活性薬剤の溶解度を上昇させるのに役立ち得るので、該治療薬は、アルカリ化薬を含まない経口投与溶溶組成物に比べて実質的に短い時間で(例えば、治療活性の開始までの時間の短縮)、実質的に高い濃度で体循環に達する。
【0145】
本発明の組成物は、ヒトおよび獣医学的治療の分野で特に有用性を有する。一般に、投与される用量は、適当な部位にピコモル濃度〜マイクロモル濃度の活性薬剤をデリバリーするのに有効である。
【0146】
本発明の組成物の投与は、好ましくは、容認されている固体経口投与方式のいずれかによって行われる。
【0147】
以下の実施例は、単に例示しようとするものであり、本発明の範囲を制限しようとするものではない。本明細書で引用された全ての米国特許および他の参考文献の内容は出典明示によりその全体として本明細書の一部を構成する。
【実施例】
【0148】
難水溶性(約37℃で<約0.1mg)を有する化合物1および同様の特性を有する他の弱酸性薬物(例えば、インドメタシン、ケトプロフェンおよびナプロキセン)について1日1回の制御放出錠剤を開発するために様々なポリマーマトリックスを評価した。さまざまな種類の錠剤マトリックスを使用する一連の製剤を、少なくとも約70%の薬物が約7〜9時間内(速放:FR)および約10〜12時間内(徐放:SR)に放出されるような一定の速度で薬物放出を制御するように調製した。これらの制御放出投与剤形のための主製剤成分として、ポリエチレンオキシド(PEO)およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HMPC)を包含する親水性ポリマー;およびアルギニンHCl、炭酸カルシウムおよび酸化マグネシウムを包含するアルカリ化薬を用いた。AVICEL(登録商標) PH 102を包含する一般的に使用されている医薬賦形剤を一般的な製剤において使用し、該製剤においてLactose Fastfloを単独で、または、希釈剤として組み合わせて使用した。該製剤において流動促進剤としてタルクを使用し、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを使用した。
【0149】
化合物1は感湿性であるので、化合物1製剤を調製するのに湿式造粒プロセスを使用しなかった。
【0150】
両方の製剤についてコア錠剤をパッケージングするために使用したパッケージングフォーマットは、乾燥剤2gキャニスターおよび誘導シールによる子供用安全クロージャーを有する75ccの丸い白色HDPEボトルであった。
【0151】
600〜650mgの重さの50mg制御放出(CR)錠剤について25種類の製剤を調製した。製剤バッチサイズは、錠剤約50〜100個であった。投与強度とは、化合物1、カリウム塩、インドメタシン、ケトプロフェンまたはナプロキセンの遊離酸量をいう。製剤の詳細を下記表に示す。
【0152】
実施例1
【表1】

【0153】
実施例2
【表2】

【0154】
実施例3
【表3】

【0155】
実施例4
【表4】

【0156】
実施例5
【表5】

【0157】
実施例6
【表6】

【0158】
実施例7
【表7】

【0159】
実施例8
【表8】

【0160】
実施例9
【表9】

【0161】
実施例10
【表10】

【0162】
実施例11〜13
【表11】

【0163】
実施例14〜16
【表12】

【0164】
実施例17〜19
【表13】

【0165】
実施例20〜22
【表14】

【0166】
実施例23〜25
【表15】

【0167】
調製
適当な方法によって好適な量(錠剤の総重量に基づいて約8〜10%)の活性成分を含有する錠剤を調製した。例えば、[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素酸50mg(カリウム塩53.65mgと等価)を含有する錠剤を、直接圧縮法を使用して調製する。薬物、アルカリ化薬、ポリマーおよび結合剤を含む成分をブレンドする。次いで、該ブレンドと流動促進剤および滑沢剤とを混合する。次いで、ロータリー式タブレット成形機を使用して圧縮する。
【0168】
溶出試験方法
36個の容器を有するUSP Apparatus 3(VanKel Bio Disまたは等価物)を使用して溶出試験を行った。特に指定しない限り、個々に計量した6個の錠剤を、酸媒体(0.1N HCl中0.5%Tween 80 250mL)中で1時間または2時間、次いで、50mMリン酸ナトリウム溶液(pH=7.4;250mL)中で12時間まで試験した。溶出媒体の温度および撹拌速度をそれぞれ37.0℃(±0.5℃)および15dpmに維持した。各時点で回収した試料中の活性薬剤の濃度を、C18カラム(Thermo BDS Hypersil 5μm、150mm×4.6mm)を使用し、UV検出器を248nmで使用して逆相HPLCによって測定した。
【0169】
酸ロバスト性
以下の異なるpH条件下で化合物1錠剤の溶出特性を集めた:(1)緩衝液(pH7.4)に切り替える前に酸性(pH1.2)媒体中にて2時間;(2)pH7.4緩衝液に暴露する前に4時間の酸媒体中での長期暴露;および(3)酸性媒体への事前暴露なしにpH7.4緩衝液中にて。実施例1および実施例2の結果をそれぞれ図3Aおよび3Bに示す。
【0170】
実施例2については、pH7.4緩衝液中にて20時間の暴露により、最初の2時間以内に104%の薬物放出が得られた。これは、pH7.4での化合物1のより高い溶解性のためであり得、それは、速度制御ポリマーが完全に機能するかまたは水和化される前に溶解される。pH1.2(酸)中で4時間、次いで、pH7.4緩衝液中にて暴露するか、またはpH5.0緩衝液中にて2時間、次いで、pH7.4中にて暴露することにより、標準的な溶出媒体条件(pH1.2(酸)で2時間、次いで、pH7.4緩衝液)で得られたものと同様の溶出特性が得られた。生理学的な胃のpHは約1.2〜5.0であるので、該製剤は、胃の環境におけるpHのバリエーションに対して耐性があると考えられる。
【0171】
4時間までの間の酸性媒体、次いで、pH7.4緩衝液中での長期暴露は、試験した製剤についてのインビトロ放出特性に悪影響を及ぼさなかった。
【0172】
製剤安定性
実施例1および2の安定性についての溶出安定性結果を図4Aおよび4Bに示す。
【0173】
3ヶ月までの間40℃/75%RHで貯蔵した後の溶出特性、物理的外観、効力、関連物質、湿度および硬度は、許容された。徐放性製剤についての溶出放出特性もまた許容された。加えて、溶出から残った膨潤した錠剤マトリックスの薬物含有量についても分析し、その結果により、全ての製剤について90〜110%の化合物1の回収率が達成されたことが確認された。
【0174】
直接圧縮対ローラー圧縮製剤についての溶出特性の比較
同様に、実施例1(SR)および実施例2(FR)を直接圧縮法およびローラー圧縮によって調製した。それらの溶出特性比較を図5に示す。
【0175】
本明細書において引用された全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別的に出典明示により本明細書の一部を構成することを意図されているかのように出典明示により本明細書の一部を構成する。上記発明は、明確な理解を目的として説明および実施例によってある程度詳しく記載されているが、特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱せずにある種の変化および変更を行うことができることは、本発明の技術を踏まえて当業者に容易に理解されるであろう。

【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)約37℃の温度で最高でほぼ酸性活性薬剤のpKaのpHの水溶液中約0.3mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)少なくとも1つのアルカリ化薬
を含む、消化管における活性薬剤の制御放出のための固体医薬組成物であって、胃からの排出を減少させ、経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、固体医薬組成物。
【請求項2】
該活性薬剤またはその医薬上許容される塩の溶解度が約37℃の温度で最高でほぼ該酸性活性薬剤のpKaのpHの水溶液中約0.2mg/ml未満である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項3】
該活性薬剤またはその医薬上許容される塩の溶解度が約37℃の温度で最高でほぼ該酸性活性薬剤のpKaのpHの水溶液中約0.1mg/ml未満である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項4】
約1〜約7.4のpH範囲の影響を受けないほぼ0次放出特性をもたらす、請求項1記載の固体組成物。
【請求項5】
活性薬剤が、約1〜約6.8のpHの水溶液中約0.1mg/ml未満の溶解度を有する、請求項1記載の固体組成物。
【請求項6】
活性薬剤が、式(I):
【化1】

[式中、
1は、H、ハロゲン、−OH、−C1-10アルキルおよびC1-6−アルキルアミノからなる群から選択され;
Xは、FおよびIからなる群から選択される]
を有する、請求項1記載の固体組成物。
【請求項7】
活性薬剤が[4−(6−フルオロ−7−メチルアミノ−2,4−ジオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−キナゾリン−3−イル)−フェニル]−5−クロロ−チオフェン−2−イル−スルホニル尿素カリウム塩である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項8】
活性薬剤の量が約50mgである、請求項1記載の固体組成物。
【請求項9】
親水性ポリマーの量が組成物の約27.8%w/w未満である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項10】
親水性ポリマーの量が組成物全体の約27.8%w/w〜約15w/w%である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項11】
親水性ポリマーが約0.82〜約9×105ダルトンの平均分子量を有する、請求項1記載の固体組成物。
【請求項12】
少なくとも1つの親水性ポリマーが親水性ポリマーの組み合わせである、請求項11記載の固体組成物。
【請求項13】
親水性ポリマーがセルロースエーテル、ポリエチレンオキシド、アクリル酸およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の固体組成物。
【請求項14】
セルロースエーテルがMETHOCELTM K4MまたはK100Mである、請求項1記載の固体組成物。
【請求項15】
ポリエチレンオキシドがPOLYOXTM WSR 1105である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項16】
アルカリ化薬が炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、重炭酸ナトリウムおよびアルギニンならびにそれらの医薬上許容される塩からなる群から選択される、請求項1記載の固体組成物。
【請求項17】
アルカリ化薬の総量が組成物全体の約5重量%〜約50重量%である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項18】
アルカリ化薬の総量が組成物全体の約15重量%〜約30重量%である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項19】
アルカリ化薬の合わせた重量%が活性薬剤の重量%以上である、請求項18記載の固体組成物。
【請求項20】
アルカリ化薬と親水性ポリマーとの重量比が約0.9〜約0.69である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項21】
組成物全体の約7.6%w/w〜約8.9%w/wの活性薬剤;約27.8%w/w〜約15%w/wの親水性ポリマー;および約15%w/w〜約30%w/wのアルカリ化薬を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項22】
経口投与の約7時間後〜約9時間後に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、請求項1記載の固体組成物。
【請求項23】
経口投与の約10時間後〜約12時間後に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす、請求項1記載の固体組成物。
【請求項24】
非崩壊性マトリックス錠剤である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項25】
徐崩壊性マトリックス錠剤である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項26】
さらに、アルカリ化薬およびクエン酸の少なくとも1つまたはそれらの組み合わせから選択される緩衝系を含む、請求項1記載の固体組成物。
【請求項27】
浮遊錠剤である、請求項1記載の固体組成物。
【請求項28】
心血管障害の治療を必要とする対象体における心血管障害の治療方法であって、
該対象体に請求項1記載の組成物を投与すること
を含む、方法。
【請求項29】
心血管障害が血栓症である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
錠剤の調製方法であって、
(1)(a)約37℃の温度で最高でほぼ酸性活性薬剤のpKaのpHの水溶液中約0.1mg/ml未満の溶解度を有する少なくとも1つの弱酸性活性薬剤またはその医薬上許容される塩;
(b)胃液に即時溶解しない少なくとも1つの親水性ポリマー;および
(c)アルカリ化薬
を含む混合物(ここで、該組成物は、胃からの排出を減少させ、経口投与の約7時間後〜約12時間後ごろから一定の期間に少なくとも約70%の活性薬剤の放出をもたらす)を生成すること;および
(2)該混合物を圧縮して錠剤を生成すること
を含む、方法。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−508773(P2012−508773A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536535(P2011−536535)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064455
【国際公開番号】WO2010/057036
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(506109155)ポートラ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (19)
【出願人】(511118768)ペテオン・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PATHEON INC.
【Fターム(参考)】