低コスト化ロボット
【課題】 ロボットには多数のアクチュエータとセンサ、さらにそれを制御する制御回路が搭載されているが、制御回路、機構共に複雑であり、コストが高くなりがちであり製作も困難であった。
またロボットに四輪車方式の移動機構を付加した場合、いわゆる「手押し台車」のような、板に車輪をつけただけの設計では段差に乗り上げた時に駆動輪が接地できなくなる恐れがあり、しかし従来の人間が乗る自動車に付加されているような機構を取り付ける事は複雑になりすぎ、これは高コストを招く恐れがあった。
【解決手段】 アクチュエータやセンサの複雑な制御装置や回路をできるだけ少なく、あるいは機能を単純化し、製作に必要な配線を減らし、また従来よりも簡単に製作できるようにした。
加えて移動機構に関しては車体を分割し、連結部で自由に双方の車体が動くようにする事で、車輪が段差に乗り上げても全ての車輪が接地できるようにした。
またロボットに四輪車方式の移動機構を付加した場合、いわゆる「手押し台車」のような、板に車輪をつけただけの設計では段差に乗り上げた時に駆動輪が接地できなくなる恐れがあり、しかし従来の人間が乗る自動車に付加されているような機構を取り付ける事は複雑になりすぎ、これは高コストを招く恐れがあった。
【解決手段】 アクチュエータやセンサの複雑な制御装置や回路をできるだけ少なく、あるいは機能を単純化し、製作に必要な配線を減らし、また従来よりも簡単に製作できるようにした。
加えて移動機構に関しては車体を分割し、連結部で自由に双方の車体が動くようにする事で、車輪が段差に乗り上げても全ての車輪が接地できるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットのアクチュエータ、制御回路、把握機構、移動機構の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のロボットは多くの場合、アクチュエータとそれに付随する角度センサを備え、頻繁に角度センサからの情報を参照しながら、複雑かつ反復する動作の安定した動きを実現している。
そして多くの場合は上述の機能を持たせつつ、仕事をするためのアームを取り付け、また場合によっては移動機構を取り付け、人間の行う動作の一部を肩代わりする事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平10−181330
【非特許文献】
【非特許文献1】 ダニエル・ヒリス(蔵骨彰訳)2000年「思考する機械コンピュータ」草思社 P123〜P126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術について、関節部に搭載するアクチュエータには多くの場合において出力軸の角度を検出する事などを目的とした位置センサが付いて、そしてその各々が制御可能になっているものであり、それはすなわち搭載するアクチュエータが一つ増えるだけでも、アクチュエータのモータへ電力を送るケーブルやセンサのケーブル等の様々なケーブルを繋ぐ必要が出てくるため、このために搭載するアクチュエータの多いロボットを製作することは困難の伴うものであった。
この点について一般のサーボモータはケーブルを少なくする工夫がされている事もあるが、この場合は制御情報を受け取る制御部品が搭載されており、これを単純化、あるいは撤去する事ができればアクチュエータ一つ当たりのコストも抑えられる可能性がある。
【0005】
加えてこれらのアクチュエータを制御する制御回路は一度に制御できるモータやセンサの数が限られており、つまりは制御すべきモータやセンサの数が増えればその分だけ回路が複雑かつ高コストなものを選ばなければならなくなってしまうため、この制約を考慮した設計をも行う必要があった。
【0006】
次に制御回路に付いて見てゆくと、複雑な動作を行わせるためには非特許文献1に記してあるような、様々な計算が可能なチューリングマシンと同等の計算が行える機能を持たせたものが欲しいのであるが、実際にそのための回路を作ろうとすると直面する大きな問題としては「状態」を自由に変化させる回路を作る事が難しいという事である。
具体的には、各状態における動作を記録するメモリと、メモリアドレスを生成するカウンタ間のアドレス線が非常に多くなるのであるが、任意の状態に変化させようとした場合、アドレスのカウンタに任意の値を書き込むためのアドレス線まで必要となり、多数の状態を実現しようとすればするほど製作のコストがかかり、また製造過程での作業ミスも増えてしまう。
【0007】
さらにロボットが物体を把握する機構について見てゆくと、よく見かけるような「二つの板や棒で挟む」方式のマニピュレータに比べると、人間が物を掴む時のように多数の指で物体を把握する事ができれば、物体と接触している部分が増える事で比較的小さな力でも物体を掴む事ができ、把握力の強化またはアクチュエータのコストを抑える事が期待できるが、実際には上述の理由により、「多数の指(関節)を搭載する事は製作を困難にする」と言う結果となり、多くの場合に現実的ではないと言える。
【0008】
そしてロボットを移動するための機構について考えると、少数のアクチュエータで移動を実現しようとすると一枚の板に車輪を取り付け四輪車の形態をとる、すなわちいわゆる「手押し台車」の車輪の一部を駆動輪としたものが考えられるが、この場合は段差に一つの車輪だけが乗り上がってしまうと駆動輪が宙に浮いて思わぬ動作をして搭載物や周囲に予期せぬ悪影響を与える恐れがある。
この「車輪が常に設置するようにする」と言う点に関する解決策は特許文献1などのように、いくつかの解決策が示されているが、「段差に乗り上げても常に全ての車輪が接地しているようにする」と言うことだけを目的にする場合には更なる構造の単純化が見込めると言える。
【0009】
そこで本発明ではこれらの問題点の解決策として、まずはアクチュエータ内部の回路を単純なものにとどめつつもケーブル数をも抑えつつ、多数のセンサを運用する余裕のない制御回路でも運用可能なアクチュエータまたは制御回路を提供する事、次に状態変化を行う回路を簡単な設計で制作できるようにした制御回路を提供する事、加えて多数の指を搭載したマニュピレータと同等の機能を少数のアクチュエータを用いたマニュピレータで実現する事、さらに移動機構についても多少の段差がある事を前提として安定した動作を保障するもの、これらの問題を解決し低コスト・簡素な技術でも製作可能なロボットを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、第一発明は、出力軸の角度が特定の一箇所の位置に来たかどうかのみを検出する角度センサを搭載した事を特徴とするアクチュエータである。
【0011】
次に第二発明は、アクチュエータの出力軸の位置を検出するセンサの弁別能力の一部または全部を撤去した事を特徴とする制御回路である。
【0012】
第三発明は、プログラムを格納するメモリのアドレス入力線と接続される、加算のみの機能を持たせたうえで一定時間ごとに加算されるカウンタが搭載され、任意のアドレスにジャンプする方法としては目標のアドレスへ到達するまで外部への出力を停止することで実現する方式である事を特徴とする制御回路である。
【0013】
そして第四発明は、支点を中心に爪が棒状に伸びてこの部分が物体を把握する役割を行ない、また支点を中心に爪が自由に動く構造である事を特徴とするマニュピレータである。
【0014】
最後に第五発明は、車体が二つに分割されており、片方の車体には駆動輪が二つ取り付けられ、もう片方の車体には空転または駆動する車輪が二つ取り付けられ、加えて平らな平面に配置した場合に平面と並行な軸を中心に双方の車体が自由に回転する事のできる形で連結された構造である事を特徴とする四輪車である。
【発明の効果】
【0015】
第一発明により、角度センサの機能を単純なものにする事ができるため、結果としてその分だけ自由な形状にロボットを設計する事ができ、また製作にかかるコスト低減や信頼性向上が見込める。
【0016】
第二発明により、センサの弁別能力をまとめる事により回路の簡略化を実現させ、あるいはより多くのセンサを搭載する事ができるようになり、また状況によってはアクチュエータのセンサと繋ぐケーブルの一部をまとめる事により減らす事ができる。
【0017】
第三発明により、メモリアドレスとして出力する値を任意の値へ変化させる事を目的とした複雑な回路を不要とし、制御回路の製作が容易となる。
【0018】
第四発明により、少数のアクチュエータで安定した物体の把握が実現できるため、結果として低コスト化を実現する事ができるようになる。
【0019】
第五発明により、段差に車輪が乗り上げる事があっても常に全ての車輪が接地している状態を維持する事ができ、結果として駆動輪が空転する事を防ぎ安定した移動制御を行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の全体を示す斜視図である。
【図2】第一発明における、アクチュエータと角度センサの配置の一実施例を示す側面図である。
【図3】図2のアクチュエータに搭載されている角度センサ18と棒19が接触した状態を表す側面図である。
【図4】従来技術を用いた、アクチュエータに搭載される角度センサと制御装置との接続の一例を示す回路の略図である。
【図5】第二発明を用いた場合における、アクチュエータに搭載される角度センサと制御装置との接続を示す回路の略図である。
【図6】従来技術を用いた、制御装置の状態変化を行う回路の略図である。
【図7】第三発明を用いた、制御装置の状態変化を行う回路の略図である。
【図8】第三発明を用いた場合の状態変化の方法の概念を示す略図である。
【図9】第四発明の一実施例を示した斜視図である。
【図10】従来技術を用いた、物体を把握しているマニュピレータの下面図である。
【図11】第四発明を用いた、物体を把握するマニュピレータの一実施例を示した下面図である。
【図12】第四発明を用い、なおかつ図11および図13とは別の実施形態を用いた場合における、物体を把握するマニュピレータの一実施例を示した側面図である。
【図13】第四発明を用い、なおかつ図11および図12とは別の実施形態を用いた場合における、物体を把握するマニュピレータの一実施例を示した側面図である。
【図14】従来技術を用いた、駆動輪を搭載した四輪車の斜視図である。
【図15】第五発明を用いた、駆動輪を搭載した四輪車の斜視図である。
【図16】第五発明を用い、なおかつ図15とは別の実施形態を用いた場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各発明の詳細を説明する前に、発明の一実施例について図1を用いて説明する。
その次に各発明の詳細説明を行い、また各発明を実施した場合の効果について説明してゆく。
【0022】
「図1を用いた本発明の一実施形態の説明」
図1を見ると、まず車体1があり、駆動輪4、駆動輪5、制御装置16、支柱8が取り付けられ、なおかつ軸受3を介して車体2と連結されている。
車体2は軸受3のほか、空転する車輪6および7が取り付けられている。
支柱8上部にはアクチュエータ9が取り付けられ、アクチュエータ9の働きにより旋回するようにアーム10が取り付けられている。
このアーム10にはさらに軸受11を介して爪12が連結され、またアクチュエータ13が固定されている。
アクチュエータ13の働きによって旋回するようにアーム14が取り付けられ、このアーム14の先には爪15が固定されている。
すなわち、図1における実施例は制御装置16の指令により駆動輪4および駆動輪5を回転させて移動動作を行い、またアクチュエータ9およびアクチュエータ13を用いて物体を掴む、持ち上げる、離すという動作を行うロボットである。
【0023】
「第一発明についての詳細説明」
第一発明について説明する。
アクチュエータ9の詳細について図2を元に説明すると、支柱8に固定されたアクチュエータ9は角度センサ18が固定され、さらにモータへの通電で回転するシャフト17がアクチュエータ9を貫通する形で取り付けられている。
このシャフト17の一端には、シャフト17の回転角度を検出するための棒19が取り付けられ、もう一端にはアーム10が取り付けられている。
なお、この棒19はロボットの動作時は固定して使用するが、必要に応じてシャフト17の軸を中心に取り付け角度を調整できるようにしておく必要がある。
さらにここではアクチュエータ9を例にとり説明したが、図1におけるアクチュエータ13についても同様の構造である。
この状態でシャフト17を反時計回りに回転させると図3のようになり、アーム10が持ち上がり、棒19がセンサ18に接触し、このようにする事でシャフト17の角度が確定する。
実際にアームを様々な角度に持ってゆく時はアクチュエータ9内部のモータへの通電時間や回転速度から角度を予測して操作し、やがて繰り返しの動作を行ってゆくうちに誤差が大きくなってくるため、作業に差し支えない状態のときに棒19とセンサ18を接触させ、位置を再確認して次の動作に備えると言う形で使用する。
【0024】
「第一発明の効果」
第一発明を実施すると、アクチュエータの出力軸の角度を検出できる場所が一箇所しかないため精密な動きを行う事ができないと言う欠点があるが、センサに多くの機能を持たせる必要がなくなり、結果としてセンサを制御する回路を搭載する必要がなくなるため、この点で製作にかかるコストを低減できるほか、設計の自由度が上昇し、ロボットの信頼性を向上させる事もでき、欠点を補って余りある効果があるといえる。
【0025】
「第二発明についての詳細説明」
第二発明についての詳細を説明する。
図1における制御装置16の内部には図5のような制御装置が入っている。
実際にはさらに多数のアクチュエータやセンサを制御するための回路が収められているが、説明しやすくするために省略する。
また、ここでは制御回路にセンサ接続端子23およびセンサ接続端子24が搭載され、センサ21またはセンサ22が導通すると制御回路がそれを検出できるものとして説明する。
この図5ではセンサ接続端子24は新たにセンサを追加するための予備として未使用となっており、実際にはセンサ接続端子23のみにセンサ21とセンサ22が並列に接続されている。
このセンサ21とセンサ22は図2における角度センサ18を電気回路の記号で表したものであり、図2における角度センサ18が棒19と接触すると図5におけるセンサ21またはセンサ22のいずれかが導通する。
本発明の特徴について、従来技術で同様の機能を実現した図4と比べて説明すると、図4においてはセンサ接続端子23にはセンサ21が、センサ接続端子24にはセンサ22が接続され、「どちらのセンサが導通したか」が弁別できるようになっているのに対し、本発明の一実施形態である図5ではこの弁別能力が無くなっている。
しかし、外部から情報を受け取ったり、ロボット内部の異常を監視する事をせず、アクチュエータの軸角度を検出するだけのセンサであるならば「どのアクチュエータを動かしたか」と言う事が分かればセンサの弁別能力が無くても、どこかの角度センサが導通した事が分かった時点で「どのアクチュエータが特定の角度に到達したか」を導き出す事ができ、結果として制御回路自体に弁別能力が無くてもアクチュエータの弁別が可能となるのである。
【0026】
「第二発明の効果」
第二発明を実施すると、センサのケーブルをまとめる事ができ、ケーブルの長さや数を減らす事が可能となるほか、制御回路についてもアクチュエータを動かすために用いるセンサの数を減らす事でその他の部分のセンサを駆動する事ができるようになり、あるいは制御可能なセンサの数が限られた制御回路でも多数のアクチュエータを操作する事が可能となり、結果としてロボット製作時のコスト低減に貢献できる。
【0027】
「第三発明についての詳細説明」
第三発明について説明する。
まず、従来技術のおおまかな処理の流れを記した図6を説明する。
クロック発生回路25はプログラム格納メモリ27の内容を呼び出す動作と、アドレス出力用カウンタ26の出力値を変化させる作業を行っている。
プログラム格納メモリ27はクロック発生回路25から送られてくる信号のタイミングに合わせて、アドレス出力用カウンタ26の数値内容およびメモリアドレス外部入力の値を受け取る。
アドレス出力用カウンタ26の数値内容のうち、ジャンプ先アドレス生成レジスタ29で操作できる上位ビットをチューリングマシンにおける「状態」として、ジャンプ先アドレス生成レジスタ29で操作できない下位のビットは「同一状態で行う動作手順を収めた部分」として、またメモリアドレス外部入力の値をチューリングマシンにおけるテープの値として受け取り、この三つの情報から出力すべきデータをデコーダ28へ送る。
デコーダ28ではプログラム格納メモリ27の出力内容を解釈して、チューリングマシンにおけるテープのみならず、モータやセンサの制御回路への命令を行うほか、ジャンプ先アドレス生成レジスタ29に値を設定する作業や、このレジスタの値をアドレス出力用カウンタ26に書き込む命令を行う。
これに対して本発明における一実施形態の処理の流れについて、図7を用いて記す。
まずクロック発生回路25はジャンプ先アドレス生成レジスタ29に対してもカウンタクロックのクロックパルスを送っている。
アドレス出力用カウンタ26への入力はクロック発生回路25からのクロックパルスのみであり、一方で出力はプログラム格納メモリ27へのアドレス線のみとなっている。
そしてデコーダ28には出力禁止命令を出す能力が付加され、この命令が出された場合はジャンプ先アドレス生成レジスタ29から出力禁止を解除する命令がデコーダ28に対して出されるまで、プログラム格納メモリ27からデータを受け取っても待機状態を続け、その他の命令を出力しない。
仮にアドレス出力用カウンタ26が「状態」の出力として8種類の値を出力できるとして、これら8種類をA、B、C、D、E、F、G、Hと呼び、クロック発生回路25からのクロックパルスが来るたびにA→B→C→D→E→F→G→Hと変化し、またAに戻ると言う動作をするとして、これについて図8の概念図を用いて説明する。
図8中の点線32は状態の変化を示しており、状態A→状態B→状態C→状態F→状態G→状態H→状態Aへ戻る、と言う動作と同じ動きを繰り返す事を例として説明する。
図8の真上からスタートした点線32は左回りに回転をはじめ、輪30と輪31の間を点線が通っている時は近くに記してある状態に対応する命令を実行する。
すなわち状態Aと状態Bと状態Cの中に書かれている命令は実行される。
そしてこの時までに図7におけるジャンプ先アドレス生成レジスタ29に値をセットしておく事にするのであるが、仮にジャンプ先アドレス生成レジスタ29が二進の加算カウンタであり、クロック発生回路25からのクロックで値が1加算され、4番目のビットの値を出力する端子がHになるとデコーダ28に対して出力禁止を解除する命令として働くと言う設計にした場合、あらかじめジャンプ先アドレス生成レジスタ29に5の値をセットしておく。
このうえでデコーダ28に対して出力禁止命令が出されると、状態Dは命令を実行せず、なおかつジャンプ先アドレス生成レジスタ29に値が1加算される。
同様に状態Eもジャンプ先アドレス生成レジスタ29に加算されるのみの作業が行われ、状態Fでジャンプ先アドレス生成レジスタ29に加算される作業が行われるとジャンプ先アドレス生成レジスタ29の4番目のビットがHになり、デコーダ28に対して出力禁止を解除する命令が出される。
この間の処理が図8における、点線32が輪31の外側を通っている間の部分である。
再び出力禁止が解除され、状態F→状態G→状態H→と命令が実行されてゆき、状態Aへ戻る。
【0028】
「第三発明の効果」
第三発明を実施すると、「リセット・加算」のみの操作しかできない2進カウンタを用いた場合においてもメモリに対するアドレス指示やアドレスの値を任意の値に変化させる事ができ、結果としてチューリングマシンと同等の計算能力を持つ事ができ、低機能なICを使用することで製作時の配線ミスなどの不良発生を減らす事ができる。
また第三発明を実施する事により、メモリアドレスの値を変化させるために、その新しい値を書き込むために必要な配線が不用になるため、配線にかかるコストを減らし、この点でも製作時の配線ミスなどの不良発生を減らす事ができる。
【0029】
「第四発明についての詳細説明」
第四発明について説明する。
図1の中から、物体の把握に必要な部分だけを表示したものが図9であり、各部の機構の接続の仕方については図1と同一であるため省略する。
そしてこの図9の中の爪12と爪15の間、下から覗き込むような形で描いた下面図が図11である。
また、図11中には軸受11が取り付けられ、爪12が傾いて描かれ、把握する物体として台形の把握物33が描かれているが、これと比較するため、従来技術により、軸受11を取り付けずにアーム10とアーム12を直接固定して取り付けたものが図10である。
図10における従来技術では把握物33の下面は爪15に「線」で接触しているが、爪12に対しては頂点の「点」で接触している。
これに対して本発明により、図11にあるように爪12が斜めになる事で把握物33の下面のみならず、上面においても爪12と「線」で接触する事が可能となる。
【0030】
「第四発明の効果」
第四発明を実施すると、マニュピレータに多数の可動する指を取り付けずとも把握物に対する接触部分を増大させる事が可能となり、少数のアクチュエータを搭載したマニュピレータでも従来よりも安定した物体の把握が可能となり、アクチュエータにかかるコストの低減や軽量化が可能となり、また制御回路に要求される能力も押さえる事ができるため、この点でもコスト低減を狙える。
【0031】
「第四発明の別の実施形態」
今回説明した図11における第四発明の実施形態においては、爪12の軸受11の回転軸は真下を向いていたが、把握物の形状や把握時に求められる環境により、軸受11の回転軸の角度を自由に変える事ができる。
例えば図9におけるアーム10とアーム14を、図12における軸受11のように回転軸が水平になるように取り付けることのできるアーム34と、それに合わせて把握物を掴みやすく設計したアーム35に交換して使用する事ができる。
また図9におけるアーム10とアーム14を、図13のようにアーム37およびアーム35に交換し、アーム37から軸受38を介して爪39を取り付けると同時にアーム37から軸受40を介して爪41を取り付けて把握物36を把握する事もでき、このように、より様々な把握物の形状に合わせて軸受および爪を増設しても良く、これは反対側のアーム35に対して同様の形態を施しても良い。
【0032】
「第五発明についての詳細説明」
最後に第五発明について説明する。
従来の、移動機構を持った小型の車両、とくに玩具程度の大きさのものになると、図14における車体42のように、一体型の車体に車輪を付けた形のものが多かったが、これに対して本発明では車体を二分割している。
本発明の一実施形態を示した図15において、車体1には駆動輪4と駆動輪5が取り付けられ、また軸受3を介し車体2が連結されている。
そして車体2には空転する車輪6および車輪7が取り付けられている。
なお、本実施形態においては、車体1と車体2は進行方向を軸として自由に回転できるようになっている。
【0033】
「第五発明の効果」
第五発明を実施すると、仮に車輪が段差に乗り上げても、その段差が車体の底にぶつかるほどの高さでなければ全ての車輪が接地する事ができ、結果として段差に乗り上げた事に起因して駆動輪が接地できなくなり予期せぬ動きをする事を防ぐ事ができる。
またこの点について、例えば人間の乗るような大きさの自動車においても全ての車輪が接地する工夫はされるものであるが、それを小型のロボットに実施するにしては複雑すぎ、結果としてコストが高く製作が困難になってしまうが、その点で本発明は「車体を分割し自由に回転できるようにする」という方法で問題を解決しており、この点でコスト低減を実現する事ができる。
【0034】
「第五発明の別の実施形態」
図15においては軸受3の回転軸は進行方向を向いているが、図16のように駆動輪4、駆動輪5、車輪6、車輪7の配置を変えて進行方向が変わった場合のように、軸受3の回転軸は設置面に水平であればどの方向を向いていても良い。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロボットのアクチュエータ、制御回路、把握機構、移動機構の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のロボットは多くの場合、アクチュエータとそれに付随する角度センサを備え、頻繁に角度センサからの情報を参照しながら、複雑かつ反復する動作の安定した動きを実現している。
そして多くの場合は上述の機能を持たせつつ、仕事をするためのアームを取り付け、また場合によっては移動機構を取り付け、人間の行う動作の一部を肩代わりする事ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開平10−181330
【非特許文献】
【非特許文献1】 ダニエル・ヒリス(蔵骨彰訳)2000年「思考する機械コンピュータ」草思社 P123〜P126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来技術について、関節部に搭載するアクチュエータには多くの場合において出力軸の角度を検出する事などを目的とした位置センサが付いて、そしてその各々が制御可能になっているものであり、それはすなわち搭載するアクチュエータが一つ増えるだけでも、アクチュエータのモータへ電力を送るケーブルやセンサのケーブル等の様々なケーブルを繋ぐ必要が出てくるため、このために搭載するアクチュエータの多いロボットを製作することは困難の伴うものであった。
この点について一般のサーボモータはケーブルを少なくする工夫がされている事もあるが、この場合は制御情報を受け取る制御部品が搭載されており、これを単純化、あるいは撤去する事ができればアクチュエータ一つ当たりのコストも抑えられる可能性がある。
【0005】
加えてこれらのアクチュエータを制御する制御回路は一度に制御できるモータやセンサの数が限られており、つまりは制御すべきモータやセンサの数が増えればその分だけ回路が複雑かつ高コストなものを選ばなければならなくなってしまうため、この制約を考慮した設計をも行う必要があった。
【0006】
次に制御回路に付いて見てゆくと、複雑な動作を行わせるためには非特許文献1に記してあるような、様々な計算が可能なチューリングマシンと同等の計算が行える機能を持たせたものが欲しいのであるが、実際にそのための回路を作ろうとすると直面する大きな問題としては「状態」を自由に変化させる回路を作る事が難しいという事である。
具体的には、各状態における動作を記録するメモリと、メモリアドレスを生成するカウンタ間のアドレス線が非常に多くなるのであるが、任意の状態に変化させようとした場合、アドレスのカウンタに任意の値を書き込むためのアドレス線まで必要となり、多数の状態を実現しようとすればするほど製作のコストがかかり、また製造過程での作業ミスも増えてしまう。
【0007】
さらにロボットが物体を把握する機構について見てゆくと、よく見かけるような「二つの板や棒で挟む」方式のマニピュレータに比べると、人間が物を掴む時のように多数の指で物体を把握する事ができれば、物体と接触している部分が増える事で比較的小さな力でも物体を掴む事ができ、把握力の強化またはアクチュエータのコストを抑える事が期待できるが、実際には上述の理由により、「多数の指(関節)を搭載する事は製作を困難にする」と言う結果となり、多くの場合に現実的ではないと言える。
【0008】
そしてロボットを移動するための機構について考えると、少数のアクチュエータで移動を実現しようとすると一枚の板に車輪を取り付け四輪車の形態をとる、すなわちいわゆる「手押し台車」の車輪の一部を駆動輪としたものが考えられるが、この場合は段差に一つの車輪だけが乗り上がってしまうと駆動輪が宙に浮いて思わぬ動作をして搭載物や周囲に予期せぬ悪影響を与える恐れがある。
この「車輪が常に設置するようにする」と言う点に関する解決策は特許文献1などのように、いくつかの解決策が示されているが、「段差に乗り上げても常に全ての車輪が接地しているようにする」と言うことだけを目的にする場合には更なる構造の単純化が見込めると言える。
【0009】
そこで本発明ではこれらの問題点の解決策として、まずはアクチュエータ内部の回路を単純なものにとどめつつもケーブル数をも抑えつつ、多数のセンサを運用する余裕のない制御回路でも運用可能なアクチュエータまたは制御回路を提供する事、次に状態変化を行う回路を簡単な設計で制作できるようにした制御回路を提供する事、加えて多数の指を搭載したマニュピレータと同等の機能を少数のアクチュエータを用いたマニュピレータで実現する事、さらに移動機構についても多少の段差がある事を前提として安定した動作を保障するもの、これらの問題を解決し低コスト・簡素な技術でも製作可能なロボットを提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、第一発明は、出力軸の角度が特定の一箇所の位置に来たかどうかのみを検出する角度センサを搭載した事を特徴とするアクチュエータである。
【0011】
次に第二発明は、アクチュエータの出力軸の位置を検出するセンサの弁別能力の一部または全部を撤去した事を特徴とする制御回路である。
【0012】
第三発明は、プログラムを格納するメモリのアドレス入力線と接続される、加算のみの機能を持たせたうえで一定時間ごとに加算されるカウンタが搭載され、任意のアドレスにジャンプする方法としては目標のアドレスへ到達するまで外部への出力を停止することで実現する方式である事を特徴とする制御回路である。
【0013】
そして第四発明は、支点を中心に爪が棒状に伸びてこの部分が物体を把握する役割を行ない、また支点を中心に爪が自由に動く構造である事を特徴とするマニュピレータである。
【0014】
最後に第五発明は、車体が二つに分割されており、片方の車体には駆動輪が二つ取り付けられ、もう片方の車体には空転または駆動する車輪が二つ取り付けられ、加えて平らな平面に配置した場合に平面と並行な軸を中心に双方の車体が自由に回転する事のできる形で連結された構造である事を特徴とする四輪車である。
【発明の効果】
【0015】
第一発明により、角度センサの機能を単純なものにする事ができるため、結果としてその分だけ自由な形状にロボットを設計する事ができ、また製作にかかるコスト低減や信頼性向上が見込める。
【0016】
第二発明により、センサの弁別能力をまとめる事により回路の簡略化を実現させ、あるいはより多くのセンサを搭載する事ができるようになり、また状況によってはアクチュエータのセンサと繋ぐケーブルの一部をまとめる事により減らす事ができる。
【0017】
第三発明により、メモリアドレスとして出力する値を任意の値へ変化させる事を目的とした複雑な回路を不要とし、制御回路の製作が容易となる。
【0018】
第四発明により、少数のアクチュエータで安定した物体の把握が実現できるため、結果として低コスト化を実現する事ができるようになる。
【0019】
第五発明により、段差に車輪が乗り上げる事があっても常に全ての車輪が接地している状態を維持する事ができ、結果として駆動輪が空転する事を防ぎ安定した移動制御を行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の全体を示す斜視図である。
【図2】第一発明における、アクチュエータと角度センサの配置の一実施例を示す側面図である。
【図3】図2のアクチュエータに搭載されている角度センサ18と棒19が接触した状態を表す側面図である。
【図4】従来技術を用いた、アクチュエータに搭載される角度センサと制御装置との接続の一例を示す回路の略図である。
【図5】第二発明を用いた場合における、アクチュエータに搭載される角度センサと制御装置との接続を示す回路の略図である。
【図6】従来技術を用いた、制御装置の状態変化を行う回路の略図である。
【図7】第三発明を用いた、制御装置の状態変化を行う回路の略図である。
【図8】第三発明を用いた場合の状態変化の方法の概念を示す略図である。
【図9】第四発明の一実施例を示した斜視図である。
【図10】従来技術を用いた、物体を把握しているマニュピレータの下面図である。
【図11】第四発明を用いた、物体を把握するマニュピレータの一実施例を示した下面図である。
【図12】第四発明を用い、なおかつ図11および図13とは別の実施形態を用いた場合における、物体を把握するマニュピレータの一実施例を示した側面図である。
【図13】第四発明を用い、なおかつ図11および図12とは別の実施形態を用いた場合における、物体を把握するマニュピレータの一実施例を示した側面図である。
【図14】従来技術を用いた、駆動輪を搭載した四輪車の斜視図である。
【図15】第五発明を用いた、駆動輪を搭載した四輪車の斜視図である。
【図16】第五発明を用い、なおかつ図15とは別の実施形態を用いた場合の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
各発明の詳細を説明する前に、発明の一実施例について図1を用いて説明する。
その次に各発明の詳細説明を行い、また各発明を実施した場合の効果について説明してゆく。
【0022】
「図1を用いた本発明の一実施形態の説明」
図1を見ると、まず車体1があり、駆動輪4、駆動輪5、制御装置16、支柱8が取り付けられ、なおかつ軸受3を介して車体2と連結されている。
車体2は軸受3のほか、空転する車輪6および7が取り付けられている。
支柱8上部にはアクチュエータ9が取り付けられ、アクチュエータ9の働きにより旋回するようにアーム10が取り付けられている。
このアーム10にはさらに軸受11を介して爪12が連結され、またアクチュエータ13が固定されている。
アクチュエータ13の働きによって旋回するようにアーム14が取り付けられ、このアーム14の先には爪15が固定されている。
すなわち、図1における実施例は制御装置16の指令により駆動輪4および駆動輪5を回転させて移動動作を行い、またアクチュエータ9およびアクチュエータ13を用いて物体を掴む、持ち上げる、離すという動作を行うロボットである。
【0023】
「第一発明についての詳細説明」
第一発明について説明する。
アクチュエータ9の詳細について図2を元に説明すると、支柱8に固定されたアクチュエータ9は角度センサ18が固定され、さらにモータへの通電で回転するシャフト17がアクチュエータ9を貫通する形で取り付けられている。
このシャフト17の一端には、シャフト17の回転角度を検出するための棒19が取り付けられ、もう一端にはアーム10が取り付けられている。
なお、この棒19はロボットの動作時は固定して使用するが、必要に応じてシャフト17の軸を中心に取り付け角度を調整できるようにしておく必要がある。
さらにここではアクチュエータ9を例にとり説明したが、図1におけるアクチュエータ13についても同様の構造である。
この状態でシャフト17を反時計回りに回転させると図3のようになり、アーム10が持ち上がり、棒19がセンサ18に接触し、このようにする事でシャフト17の角度が確定する。
実際にアームを様々な角度に持ってゆく時はアクチュエータ9内部のモータへの通電時間や回転速度から角度を予測して操作し、やがて繰り返しの動作を行ってゆくうちに誤差が大きくなってくるため、作業に差し支えない状態のときに棒19とセンサ18を接触させ、位置を再確認して次の動作に備えると言う形で使用する。
【0024】
「第一発明の効果」
第一発明を実施すると、アクチュエータの出力軸の角度を検出できる場所が一箇所しかないため精密な動きを行う事ができないと言う欠点があるが、センサに多くの機能を持たせる必要がなくなり、結果としてセンサを制御する回路を搭載する必要がなくなるため、この点で製作にかかるコストを低減できるほか、設計の自由度が上昇し、ロボットの信頼性を向上させる事もでき、欠点を補って余りある効果があるといえる。
【0025】
「第二発明についての詳細説明」
第二発明についての詳細を説明する。
図1における制御装置16の内部には図5のような制御装置が入っている。
実際にはさらに多数のアクチュエータやセンサを制御するための回路が収められているが、説明しやすくするために省略する。
また、ここでは制御回路にセンサ接続端子23およびセンサ接続端子24が搭載され、センサ21またはセンサ22が導通すると制御回路がそれを検出できるものとして説明する。
この図5ではセンサ接続端子24は新たにセンサを追加するための予備として未使用となっており、実際にはセンサ接続端子23のみにセンサ21とセンサ22が並列に接続されている。
このセンサ21とセンサ22は図2における角度センサ18を電気回路の記号で表したものであり、図2における角度センサ18が棒19と接触すると図5におけるセンサ21またはセンサ22のいずれかが導通する。
本発明の特徴について、従来技術で同様の機能を実現した図4と比べて説明すると、図4においてはセンサ接続端子23にはセンサ21が、センサ接続端子24にはセンサ22が接続され、「どちらのセンサが導通したか」が弁別できるようになっているのに対し、本発明の一実施形態である図5ではこの弁別能力が無くなっている。
しかし、外部から情報を受け取ったり、ロボット内部の異常を監視する事をせず、アクチュエータの軸角度を検出するだけのセンサであるならば「どのアクチュエータを動かしたか」と言う事が分かればセンサの弁別能力が無くても、どこかの角度センサが導通した事が分かった時点で「どのアクチュエータが特定の角度に到達したか」を導き出す事ができ、結果として制御回路自体に弁別能力が無くてもアクチュエータの弁別が可能となるのである。
【0026】
「第二発明の効果」
第二発明を実施すると、センサのケーブルをまとめる事ができ、ケーブルの長さや数を減らす事が可能となるほか、制御回路についてもアクチュエータを動かすために用いるセンサの数を減らす事でその他の部分のセンサを駆動する事ができるようになり、あるいは制御可能なセンサの数が限られた制御回路でも多数のアクチュエータを操作する事が可能となり、結果としてロボット製作時のコスト低減に貢献できる。
【0027】
「第三発明についての詳細説明」
第三発明について説明する。
まず、従来技術のおおまかな処理の流れを記した図6を説明する。
クロック発生回路25はプログラム格納メモリ27の内容を呼び出す動作と、アドレス出力用カウンタ26の出力値を変化させる作業を行っている。
プログラム格納メモリ27はクロック発生回路25から送られてくる信号のタイミングに合わせて、アドレス出力用カウンタ26の数値内容およびメモリアドレス外部入力の値を受け取る。
アドレス出力用カウンタ26の数値内容のうち、ジャンプ先アドレス生成レジスタ29で操作できる上位ビットをチューリングマシンにおける「状態」として、ジャンプ先アドレス生成レジスタ29で操作できない下位のビットは「同一状態で行う動作手順を収めた部分」として、またメモリアドレス外部入力の値をチューリングマシンにおけるテープの値として受け取り、この三つの情報から出力すべきデータをデコーダ28へ送る。
デコーダ28ではプログラム格納メモリ27の出力内容を解釈して、チューリングマシンにおけるテープのみならず、モータやセンサの制御回路への命令を行うほか、ジャンプ先アドレス生成レジスタ29に値を設定する作業や、このレジスタの値をアドレス出力用カウンタ26に書き込む命令を行う。
これに対して本発明における一実施形態の処理の流れについて、図7を用いて記す。
まずクロック発生回路25はジャンプ先アドレス生成レジスタ29に対してもカウンタクロックのクロックパルスを送っている。
アドレス出力用カウンタ26への入力はクロック発生回路25からのクロックパルスのみであり、一方で出力はプログラム格納メモリ27へのアドレス線のみとなっている。
そしてデコーダ28には出力禁止命令を出す能力が付加され、この命令が出された場合はジャンプ先アドレス生成レジスタ29から出力禁止を解除する命令がデコーダ28に対して出されるまで、プログラム格納メモリ27からデータを受け取っても待機状態を続け、その他の命令を出力しない。
仮にアドレス出力用カウンタ26が「状態」の出力として8種類の値を出力できるとして、これら8種類をA、B、C、D、E、F、G、Hと呼び、クロック発生回路25からのクロックパルスが来るたびにA→B→C→D→E→F→G→Hと変化し、またAに戻ると言う動作をするとして、これについて図8の概念図を用いて説明する。
図8中の点線32は状態の変化を示しており、状態A→状態B→状態C→状態F→状態G→状態H→状態Aへ戻る、と言う動作と同じ動きを繰り返す事を例として説明する。
図8の真上からスタートした点線32は左回りに回転をはじめ、輪30と輪31の間を点線が通っている時は近くに記してある状態に対応する命令を実行する。
すなわち状態Aと状態Bと状態Cの中に書かれている命令は実行される。
そしてこの時までに図7におけるジャンプ先アドレス生成レジスタ29に値をセットしておく事にするのであるが、仮にジャンプ先アドレス生成レジスタ29が二進の加算カウンタであり、クロック発生回路25からのクロックで値が1加算され、4番目のビットの値を出力する端子がHになるとデコーダ28に対して出力禁止を解除する命令として働くと言う設計にした場合、あらかじめジャンプ先アドレス生成レジスタ29に5の値をセットしておく。
このうえでデコーダ28に対して出力禁止命令が出されると、状態Dは命令を実行せず、なおかつジャンプ先アドレス生成レジスタ29に値が1加算される。
同様に状態Eもジャンプ先アドレス生成レジスタ29に加算されるのみの作業が行われ、状態Fでジャンプ先アドレス生成レジスタ29に加算される作業が行われるとジャンプ先アドレス生成レジスタ29の4番目のビットがHになり、デコーダ28に対して出力禁止を解除する命令が出される。
この間の処理が図8における、点線32が輪31の外側を通っている間の部分である。
再び出力禁止が解除され、状態F→状態G→状態H→と命令が実行されてゆき、状態Aへ戻る。
【0028】
「第三発明の効果」
第三発明を実施すると、「リセット・加算」のみの操作しかできない2進カウンタを用いた場合においてもメモリに対するアドレス指示やアドレスの値を任意の値に変化させる事ができ、結果としてチューリングマシンと同等の計算能力を持つ事ができ、低機能なICを使用することで製作時の配線ミスなどの不良発生を減らす事ができる。
また第三発明を実施する事により、メモリアドレスの値を変化させるために、その新しい値を書き込むために必要な配線が不用になるため、配線にかかるコストを減らし、この点でも製作時の配線ミスなどの不良発生を減らす事ができる。
【0029】
「第四発明についての詳細説明」
第四発明について説明する。
図1の中から、物体の把握に必要な部分だけを表示したものが図9であり、各部の機構の接続の仕方については図1と同一であるため省略する。
そしてこの図9の中の爪12と爪15の間、下から覗き込むような形で描いた下面図が図11である。
また、図11中には軸受11が取り付けられ、爪12が傾いて描かれ、把握する物体として台形の把握物33が描かれているが、これと比較するため、従来技術により、軸受11を取り付けずにアーム10とアーム12を直接固定して取り付けたものが図10である。
図10における従来技術では把握物33の下面は爪15に「線」で接触しているが、爪12に対しては頂点の「点」で接触している。
これに対して本発明により、図11にあるように爪12が斜めになる事で把握物33の下面のみならず、上面においても爪12と「線」で接触する事が可能となる。
【0030】
「第四発明の効果」
第四発明を実施すると、マニュピレータに多数の可動する指を取り付けずとも把握物に対する接触部分を増大させる事が可能となり、少数のアクチュエータを搭載したマニュピレータでも従来よりも安定した物体の把握が可能となり、アクチュエータにかかるコストの低減や軽量化が可能となり、また制御回路に要求される能力も押さえる事ができるため、この点でもコスト低減を狙える。
【0031】
「第四発明の別の実施形態」
今回説明した図11における第四発明の実施形態においては、爪12の軸受11の回転軸は真下を向いていたが、把握物の形状や把握時に求められる環境により、軸受11の回転軸の角度を自由に変える事ができる。
例えば図9におけるアーム10とアーム14を、図12における軸受11のように回転軸が水平になるように取り付けることのできるアーム34と、それに合わせて把握物を掴みやすく設計したアーム35に交換して使用する事ができる。
また図9におけるアーム10とアーム14を、図13のようにアーム37およびアーム35に交換し、アーム37から軸受38を介して爪39を取り付けると同時にアーム37から軸受40を介して爪41を取り付けて把握物36を把握する事もでき、このように、より様々な把握物の形状に合わせて軸受および爪を増設しても良く、これは反対側のアーム35に対して同様の形態を施しても良い。
【0032】
「第五発明についての詳細説明」
最後に第五発明について説明する。
従来の、移動機構を持った小型の車両、とくに玩具程度の大きさのものになると、図14における車体42のように、一体型の車体に車輪を付けた形のものが多かったが、これに対して本発明では車体を二分割している。
本発明の一実施形態を示した図15において、車体1には駆動輪4と駆動輪5が取り付けられ、また軸受3を介し車体2が連結されている。
そして車体2には空転する車輪6および車輪7が取り付けられている。
なお、本実施形態においては、車体1と車体2は進行方向を軸として自由に回転できるようになっている。
【0033】
「第五発明の効果」
第五発明を実施すると、仮に車輪が段差に乗り上げても、その段差が車体の底にぶつかるほどの高さでなければ全ての車輪が接地する事ができ、結果として段差に乗り上げた事に起因して駆動輪が接地できなくなり予期せぬ動きをする事を防ぐ事ができる。
またこの点について、例えば人間の乗るような大きさの自動車においても全ての車輪が接地する工夫はされるものであるが、それを小型のロボットに実施するにしては複雑すぎ、結果としてコストが高く製作が困難になってしまうが、その点で本発明は「車体を分割し自由に回転できるようにする」という方法で問題を解決しており、この点でコスト低減を実現する事ができる。
【0034】
「第五発明の別の実施形態」
図15においては軸受3の回転軸は進行方向を向いているが、図16のように駆動輪4、駆動輪5、車輪6、車輪7の配置を変えて進行方向が変わった場合のように、軸受3の回転軸は設置面に水平であればどの方向を向いていても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸の角度が特定の一箇所の位置に来たかどうかのみを検出する角度センサを搭載した事を特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
アクチュエータの出力軸の位置を検出するセンサの弁別能力の一部または全部を撤去した事を特徴とする制御回路。
【請求項3】
プログラムを格納するメモリのアドレス入力線と接続される、加算のみの機能を持たせたうえで一定時間ごとに加算されるカウンタが搭載され、任意のアドレスにジャンプする方法としては目標のアドレスへ到達するまで外部への出力を停止することで実現する方式である事を特徴とする制御回路。
【請求項4】
支点を中心に爪が棒状に伸びてこの部分が物体を把握する役割を行ない、また支点を中心に爪が自由に動く構造である事を特徴とするマニュピレータ。
【請求項5】
車体が二つに分割されており、片方の車体には駆動輪が二つ取り付けられ、もう片方の車体には空転または駆動する車輪が二つ取り付けられ、加えて平らな平面に配置した場合に平面と並行な軸を中心に双方の車体が自由に回転する事のできる形で連結された構造である事を特徴とする四輪車。
【請求項1】
出力軸の角度が特定の一箇所の位置に来たかどうかのみを検出する角度センサを搭載した事を特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
アクチュエータの出力軸の位置を検出するセンサの弁別能力の一部または全部を撤去した事を特徴とする制御回路。
【請求項3】
プログラムを格納するメモリのアドレス入力線と接続される、加算のみの機能を持たせたうえで一定時間ごとに加算されるカウンタが搭載され、任意のアドレスにジャンプする方法としては目標のアドレスへ到達するまで外部への出力を停止することで実現する方式である事を特徴とする制御回路。
【請求項4】
支点を中心に爪が棒状に伸びてこの部分が物体を把握する役割を行ない、また支点を中心に爪が自由に動く構造である事を特徴とするマニュピレータ。
【請求項5】
車体が二つに分割されており、片方の車体には駆動輪が二つ取り付けられ、もう片方の車体には空転または駆動する車輪が二つ取り付けられ、加えて平らな平面に配置した場合に平面と並行な軸を中心に双方の車体が自由に回転する事のできる形で連結された構造である事を特徴とする四輪車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−65526(P2012−65526A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225207(P2010−225207)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(509113575)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(509113575)
【Fターム(参考)】
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