説明

低ストリエーション極紫外光光学素子

【課題】低レベルのストリエーションを有する極紫外光光学素子及び極紫外光光学素子を製造するためのガラスブールを提供する。
【解決手段】研磨され、整形された表面を有し、0.2メガパスカル(MPa)より小さい山対谷ストリエーションレベルを有する、チタニア含有シリカガラスを含み、当該ガラスが、5重量%と10重量%の間のチタニアを含有する。前記ガラスは、20℃と35℃の間で+30ppb/℃から−30ppb/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシリカ及びチタニアを含むガラスでつくられた極紫外光光学素子に関する。さらに詳しくは、本発明はストリエーションが低減された極紫外光光学素子並びにそのような素子の作成及びストリエーションの測定のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカ及びチタニアでつくられた超低膨張ガラス並びに軟X線または極紫外光(EUV)リソグラフィ用素子は従来、シリカ及びチタニアの有機金属前駆体の火炎加水分解によってつくられてきた。火炎加水分解法で作られた超低膨張シリカ−チタニアガラス製品は、宇宙探索に用いられる望遠鏡及び極紫外光または軟X線ベースリソグラフィのためのミラーに用いられた。これらのリソグラフィ用素子は、集積回路パターンを形成するために利用されるパターン像の照射、投影及び縮小のため、極紫外光または軟X線とともに用いられる。極紫外光または軟X線の使用はより小さい集積回路線幅を達成できる点で有益であるが、この波長範囲の光の操作及び定向化は困難である。したがって、1nmから70nmの範囲のような極紫外光または軟X線範囲における波長は、工業用途に広く用いられてきてはいない。この分野における制限の1つは、そのような光への暴露に耐えることができ、同時に安定で高い品質の回路パターン像を維持できるミラー素子を経済的に製造できる能力がないことであった。したがって、極紫外光または軟X線とともに使用するための安定で高い品質の、シリカ及びチタニアを含むリソグラフィ用ガラス素子が必要とされている。
【0003】
上述の方法にしたがってつくられた超低膨張チタニア−シリカガラスの難点の1つは、ガラスがストリエーションを有することである。ストリエーションは、ガラスでつくられたレンズ及び窓素子の光透過に悪影響を及ぼす、組成上の不均一性である。ストリエーションは数ppb/℃の熱膨張係数(CTE)変動と相関する組成変動を測定するマイクロプローブにより測定することができる。ガラスでつくられた反射光学素子においてオングストロームRMS(二乗平均平方根)レベルの表面仕上げにストリエーションが強く影響する場合があることが分った。極紫外光リソグラフィ用素子にはRMSレベルが非常に小さい仕上げが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シリカ及びチタニアを含む超低膨張ガラスを製造するための改善された方法及び装置を提供することが有益であろう。特に、ストリエーションが低減された極紫外光光学素子及びそのようなガラス素子をつくることができる方法及び装置を提供することが望ましいであろう。さらに、超低膨張ガラス及び極紫外光リソグラフィ用素子内のストリエーションを測定するための改善された方法及び装置を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、超低膨張ガラス極紫外光光学素子または極紫外光リソグラフィ用素子並びにそのような素子の製造のための方法に関する。ストリエーションが低減された超低膨張ガラス体及び極紫外光光学素子または極紫外光リソグラフィ用素子をつくるための、方法及び装置が提供される。本明細書で用いられるように、(EUVと略記される)極紫外光及び軟X線は、1nmと70nmの間の、短い電磁波波長を指して互換的に用いられるであろう。現在、EUV光を利用するリソグラフィシステムは5nmと15nmの間、一般には約13nmで動作する。
【0006】
本発明の一実施形態にしたがえば、研磨され、整形された表面を有し、約0.05メガパスカル(MPa)より小さいRMSストリエーションレベルを有する、チタニア含有シリカガラスを含む極紫外光リソグラフィ用素子が提供される。別の実施形態において、素子は約0.2MPaより小さい山対谷ストリエーションレベルを有する。ある実施形態において、ガラスは約5重量%と10重量%の間のチタニアを含有し、約20℃と35℃の間で約+30ppb/℃から−30ppb/℃の範囲の熱膨張係数を有する。また別の実施形態において、ガラスは約6重量%と8重量%の間のチタニアを含有し、約20℃と35℃の間で約+20ppb/℃から−20ppb/℃の範囲の一様なCTEを有する。
【0007】
本発明のまた別の実施形態は、極紫外光リソグラフィ用素子の製造方法に関する。本方法は、ケイ素含有供給原料及びチタン含有供給原料を提供する工程、これらの供給原料を転化サイトに配送する工程、及びこれらの供給原料をチタニア含有シリカスートに転化する工程を含む。本方法はさらに、チタニア含有シリカスートを固結させて、混在物が少なく、均質なチタニア含有シリカガラスプリフォームにする工程及びチタニア含有シリカガラスプリフォームを約0.05MPaより小さいRMSストリエーションレベルを有する極紫外光リソグラフィ用素子に仕上げる工程を含む。
【0008】
ある実施形態において、転化サイトは排気ベントを有する炉を含み、本方法は製造プロセス中に排気ベント流量を制御することにより上記のストリエーションレベルを維持する工程を含む。いくつかの実施形態において、本方法は6つより多い排気ベントをもつ炉を提供する工程を含む。別の実施形態において、ストリエーションレベルはプリフォームとバーナーの間の距離を調節することにより制御される。また別の実施形態において、スートは振動台上に載せられたカップ内に堆積され、ストリエーションレベルは台の振動パターンを変えることにより、特に台の回転速度を高めることにより、低減される。例えば、いくつかの実施形態において、ブールの回転速度は約6rpmより高い。
【0009】
本発明の別の実施形態は、素子内の光リターダンスを位置の関数として測定するために偏光計を利用する工程及び光リターダンスを応力値に変換する工程を含む、極紫外光リソグラフィ用素子内のストリエーションの測定方法に関する。本実施形態にしたがえば、位置の関数としての光リターダンスの測定後、光リターダンスが測定された路長すなわち厚さ及び材料の応力光学系数を知ることにより、リターダンス値が応力レベル値に変換される。いくつかの実施形態において、偏光計の感度は少なくとも0.05nmであり、別の実施形態において、偏光計は極紫外光リソグラフィ用素子内のストリエーション間隔より小さいビーム寸法を有する光源を利用する。
【0010】
すなわち、本発明にしたがえば、ストリエーションが低減された極紫外光光学素子並びに、そのような素子の製造及びそのような素子内のストリエーション測定のための方法及び装置が提供される。ガラス及び極紫外光光学素子内の低レベルのストリエーションを測定するための方法及び装置も提供される。
【0011】
本発明のさらなる利点は以下の詳細な説明に述べられる。上記の全般的説明及び以下の詳細な説明はいずれも例示であり、特許請求される本発明のさらに詳細な説明を目的とするものであることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態にしたがう超低膨張ガラスを製造するための装置の略図である
【図2】本発明の一実施形態にしたがう超低膨張ガラスを製造するための装置の略図である
【図3】偏光計を利用するストリエーション測定法とマイクロプローブを利用するストリエーション測定法を比較するグラフである
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、熱膨張が小さく、チタン濃度が一様な、ガラス体及び極紫外光光学素子、並びにそれらの製造のための方法及び装置を提供する。本方法及び装置は、リソグラフィ用マスク及びリソグラフィ用ミラー光学系のいずれものためのリソグラフィ用基板のような、極紫外光光学素子の製造に特に有益である。本方法及び装置は、ブールの形成中に遭遇する、特にガラスが研削され、研磨されて、プレーナストリエーション層を横切る曲ミラー反射面にされる場合の、ストリエーション問題を実質的に軽減する。
【0014】
本発明はさらに、リソグラフィ用光学ミラー組素子基板構造体及び反射リソグラフィ用マスク素子基板構造体のような、熱的に安定なEUV光リソグラフィ用構造物体の作成に関する。それぞれの内容が本明細書に参照として含まれる、発明者としてデイヴィス(Davis)等を名義人とし、共通にコーニング社(CORNIG INCORPORATED)に譲渡された、名称を「EUV軟X線投影リソグラフィ法システム及びリソグラフィ用素子(EUV SOFT X-RAY PROJECTION LITHOGRAPHIC METHOD SYSTEM AND LITHOGRAPHY ELEMENTS)」とする、PCT特許の国際公開第01/08163号パンフレット及び発明者としてデイヴィス等を名義人とし、共通にコーニング社に譲渡された、名称を「EUV軟X線投影リソグラフィ法及びマスク素子(EUV SOFT X-RAY PROJECTION LITHOGRAPHIC METHOD AND MASK DEVICES)」とする、PCT特許の国際公開第01/07967号パンフレットは、EUVリソグラフィ用ミラー素子及びマスク構造体を開示している。
【0015】
本発明にしたがえば、極紫外光リソグラフィ用素子の製造に用いられる超低膨張チタニア−シリカガラスをつくるための方法及び装置が提供される。要約すれば、図1に示されるように、ケイ素含有供給原料及びチタン含有供給原料の火炎加水分解によりシリカ−チタニア粉末がつくられる。
【0016】
図1に示されるように、チタニア含有シリカガラスの製造のための従来装置は高純度ケイ素含有供給原料または前駆体14及び高純度チタン含有供給原料または前駆体26を含む。供給原料または前駆体材料は一般に、チタンまたはケイ素を含有する、シロキサン、アルコキシド及びテトラクロライドである。普通に用いられる特定のケイ素含有供給原料材料の1つはオクタメチルシクロテトラシロキサンであり、普通に用いられる特定のチタン含有供給原料材料の1つはチタニウムイソプロポキシドである。供給原料の蒸気とキャリアガスを含む混合気をつくるため、窒素のような不活性バブラーガス20が泡になって供給原料14及び26を通過する。窒素のような不活性キャリアガス22が、飽和を防止し、分配システム24及びマニホールド28を介して炉16内の転化サイト10に供給原料材料14,26を送るため、ケイ素供給原料の蒸気とバブラーガスの混合気及びチタン供給原料の蒸気とバブラーガスの混合気に流合される。ケイ素供給原料及び蒸気並びにチタン供給原料及び蒸気はマニホールド28内で混合されて、炉16の上部38にとりつけられたバーナー36にコンジット34を介して送られる、蒸気を含むチタン含有シリカガラス前駆体混合気を形成する。バーナー36はバーナー炎37をつくる。転化サイトバーナー炎37は、約1600℃より高い温度で供給原料を燃焼させ、酸化して、スート11に転化する、水素及び/または酸素と混合されたメタンのような、燃料と酸素の混合気により形成される。バーナー炎37はスート11を固結してガラスにするための熱も供給する。コンジット34及びコンジット内に入れられた供給原料の温度は一般に、炎37に入る前の反応の可能性を最小限に抑えるために制御および監視される。
【0017】
供給原料は転化サイト10に送られ、転化サイト10でチタニア含有シリカスート粒子11に転化される。スート11は、一般にジルコンでつくられた耐火炉16内に配置された回転している収集カップ内及び炉16内の高温チタニア−シリカガラス体18の上ガラス表面上に堆積する。スート粒子11は固結して、チタニア含有高純度シリカガラス体になる。
【0018】
カップ12は一般に、ガラス体18が約0.2mと2mの間の直径D及び約2cmと20cmの間の高さHを有する円柱体であるように、直径が約0.2mと2mの間の円形状を有する。石英ガラス内のチタニアの重量%は、転化サイト10に送られて、スート11及びガラス18に導入される、チタン含有供給原料またはケイ素含有供給原料の量を変えることにより調節することができる。チタニア及び/またはシリカの量は、EUVまたは軟X線反射リソグラフィ用素子またはミラー素子の動作温度においてほぼゼロの熱膨張係数をガラス体が有するように、調節される。
【0019】
粉末はカップ内に収集され、固結されて、ガラスブールになる。一般に、1600℃より高い温度が、粉末を固結してガラスブールにするに十分である。所望の寸法のブールの形成後、以降の処理のためにガラスブールを炉から取り出すことができる。
【0020】
次に、炉をより詳細に示す、図2を参照すれば、炉16はさらに、シリカスートをつくる複数のバーナー37を支える炉冠40を備える。このタイプの炉の構造及び動作に関するさらなる詳細は、共通に譲渡された米国特許第5951730号の明細書に見ることができ、この明細書の全内容は本明細書に参照として含まれる。石英ガラスブールを作成するためのバーナー構成に関する特定の詳細は、共通に譲渡されたPCT特許の国際公開第00/17115号パンフレットに示されている。炉16は、炉の周縁をめぐって等間隔に配置された複数の排気ポートまたはベント42も備える。一般に、炉16は6つの排気ベント42を備える。炉はさらに、炉冠40を支持する環壁44を備える。炉は、図2に示されるように、x及びy方向に振動する振動台48上に載せられた回転可能な基台48も備える。基台は軸50を中心にして回転することができる。炉冠40,環壁44,基台46及び横壁は全て、ジルコンのような、適する耐火材料でつくられる。
【0021】
共通に譲渡された米国特許第5696038号の明細書は、石英ガラスブールの軸外均一性を改善するための振動及び回転パターンを説明している。米国特許第5696038号明細書に開示されているように、x軸及びy軸振動パターンは式、
【数1】

【数2】

【0022】
で定義される。
【0023】
ここで、x(t)及びy(t)は炉の環壁の中心から測定したブールの中心の座標を分で測定した時刻(t)の関数として表す。rとrの和はブール形成中の環壁構造体と閉込め容器またはカップ構造体の間の接触を避けるため、環壁の半径と閉込め容器またはカップの半径の間の差より小さくなければならない。パラメータr,r,ω,ω及び、回転数毎分(rpm)でブールの中心の周りのブールの回転速度を表す、第5のパラメータωは、ブールの総合運動を定める。チタニア含有シリカブールの製造に用いられる代表的なω,ω及びωの値はそれぞれ、1.71018rpm,3.63418rpm及び4.162rpmである。
【0024】
本発明のある実施形態にしたがい、出願人等は、火炎加水分解時のいくつかの製造パラメータの修正によりシリカ−チタニア超低膨張ガラスブール内のストリエーションを低減できることを実証した。出願人等は、約0.05MPaより小さく、好ましくは約0.03MPaより小さく、さらに好ましくは約0.02MPaより小さい、RMSストリエーション値を有するブール及び極紫外光光学素子を製造することができた。山対谷ストリエーション値は0.2MPaより小さく、好ましくは0.15MPaより小さい値まで低減された。一実施形態において、チタニア−シリカガラスは、約5重量%と10重量%の間のチタニアを含有し、チタニアの量は約6重量%と10重量%の間であることが好ましい。本発明の好ましい実施形態の1つにしたがえば、チタニア−シリカガラスは約7重量%のチタニアを含有する。
【0025】
ある好ましい実施形態において、6重量%から約9重量%の範囲の一様なチタニア−シリカガラスチタニアレベル及び約20℃と35℃の間で約+30ppb/℃から−30ppb/℃の範囲、好ましくは約20℃と35℃の間で約+20ppb/℃から−20ppb/℃の範囲の一様なCTEを有する、粉末、超低膨張ガラス体及びEUV光学素子が提供される。粉末、ガラス及び光学素子は、6重量%から約9重量%の範囲の一様なチタニア−シリカガラスチタニアレベル及び約20℃と35℃の間で約+10ppb/℃から−10ppb/℃の範囲の一様なCTE、さらに好ましくは、約20℃と35℃の間で約+5ppb/℃から−5ppb/℃の範囲にあって熱膨張係数変動が5ppb/℃より小さいCTEを有することがさらに好ましい。粉末粒子及びチタニア含有シリカガラスは6重量%から8重量%の範囲のチタニアレベルを有することが好ましい。粉末、固結ガラス及びEUV光学基板は6重量%から8重量%の範囲のチタニアレベルを有することがさらに好ましい。チタニア含有シリカ粉末粒子及びシリカガラスチタニアレベルは約6.8重量%と7.5重量%の間にあることがさらに好ましい。
【0026】
超低膨張チタニアーシリカブールの製造を可能にした火炎加水分解プロセスの修正は、火炎加水分解プロセス中のブールの振動パターンの変更を含む。上述したように、チタニア−シリカブールの製造のためのω,ω及びωに対する代表的な値はそれぞれ、1.71018rpm,3.63418rpm及び4.162rpmである。出願人等は、これらの値をそれぞれ約5.0まで高めることにより、火炎加水分解プロセスでつくられるチタニア−シリカガラス内のストリエーションレベルが低減されることを発見した。特定の好ましい実施形態の1つにおいて、ω,ω及びωに対する値がそれぞれ7.0488,7.7563及び6.5736に高められ、この結果、ガラス内のストリエーションのかなりの低減が得られた。
【0027】
ブールの振動パターンの変更だけでなく、出願人等はストリエーションに強く影響する別の要因を見いだした。一実験において、ストリエーションに与える効果を確認するため、炉の排気ポートまたはベントを通る流量を調節した。炉のベントの閉塞すなわちベント数の低減により、チタニア−シリカガラス内のストリエーションは、6つのベントをもつ炉を稼働させたときより悪化した。したがって、ベントまたは排気ポートの数を標準的な炉がもつ6つの排気ポートより多くすることにより、ストリエーション値が改善されると思われる。実験時に得られた別の所見は、カップの底近くのチタニア−シリカガラスはカップの上部近くのチタニアシリカガラスより少ないストリエーションをもつことであった。このことから、カップの底からのバーナーの距離及びカップの深さのいずれもがストリエーションに強く影響し、バーナーとブール表面との間隔の増大によりストリエーションが低減されるはずであるという結論が導かれる。
【0028】
本発明の別の態様において、ストリエーション測定のための改善された方法が開発された。チタニア−シリカガラス内のストリエーションを測定するための一方法は、1μm間隔でガラス内のチタニア濃度を測定する、マイクロプローブの使用を含む。ストリエーション測定に対するマイクロプローブの使用の一欠点は、そのような測定には非常に時間がかかり、長大な試料準備が必要となることである。したがって、ストリエーションの定期的測定に対するマイクロプローブの使用は費用効果が低い。
【0029】
出願人等は、ガラス試料内の光リタデーションを測定する、偏光計をチタニア−シリカガラス内のストリエーションを測定するために用い得ることを発見した。歪のあるガラスまたはプラスチック材料を通って偏光が伝搬すると、偏光は応力の大きさに比例するリタデーションを受ける。偏光計はこのリタデーションを定量的に測定する計測器である。試料内の応力は、リタデーションの大きさ、一般に試料厚である、試料を通る光の路長及び、既知の値である、試料の複屈折または応力光学定数を知ることにより、決定することができる。米国特許第4668086号明細書は、偏光計の動作及び構成に関するより多くの情報を含む。
【0030】
したがって、偏光計は試料を通るリターダンスを位置の関数として測定する。偏光計の空間分解能はチタニア−シリカガラス内のストリエーションの大きさよりはるかに小さく、したがってストリエーション層を通る測定が可能になる。偏光計で観測されるリターダンスは、層間の熱膨張不整合によると最も思われるストリエーション層間の応力を示す。図3はある試料についてなされたストリエーション測定の比較を示す。図3の下側の線は偏光計でなされたストリエーション測定を表し、上側の線はマイクロプローブでなされた測定を表す。用いた偏光計はケンブリッジ・リサーチ・インスツルメンテーション(Cambridge Research Instrumentation)から入手できるModel LCであり、これをニコン顕微鏡とともに用いた。図3に示されるように、2つの手法の間にはよい相関があり、チタニア−シリカガラス及び極紫外光リソグラフィ用素子のような光学素子内のストリエーションを測定するために偏光計を用い得ることを示す。偏光計の使用の利点は、この方法は感度が非常に高く(0.01nmもの高感度であり)、ストリエーションの間隔(例えば50〜300μm)より小さい光ビーム寸法を用い得ることである。
【0031】
本発明の精神または範囲を逸脱することなく本発明に様々な改変及び変形がなされ得ることが当業者には明らかであろう。したがって、添付される特許請求項またはそれらの等価物の範囲に本発明の改変及び変形が入れば、本発明はそれらの改変及び変形を包含するとされる。
【符号の説明】
【0032】
10 転化サイト
11 チタニア含有シリカスート
12 カップ
14 高純度ケイ素含有供給原料
16 炉
18 チタニア−シリカガラス体
20 不活性バブラーガス
22 不活性キャリアガス
24 分配器
26 高純度チタン含有供給原料
28 マニホールド
36 バーナー
37 バーナー炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外光リソグラフィ用素子において、
研磨され、整形された表面を有し、0.2メガパスカル(MPa)より小さい山対谷ストリエーションレベルを有する、チタニア含有シリカガラスを含み、
当該ガラスが、5重量%と10重量%の間のチタニアを含有することを特徴とするリソグラフィ用素子。
【請求項2】
前記ガラスが、20℃と35℃の間で+30ppb/℃から−30ppb/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有することを特徴とする請求項1記載のリソグラフィ用素子。
【請求項3】
前記ガラスが6重量%と8重量%の間のチタニアを含有し、約20℃と35℃の間で+20ppb/℃から−20ppb/℃の範囲の一様なCTEを有することを特徴とする請求項2に記載のリソグラフィ用素子。
【請求項4】
5重量%と10重量%の間のチタニアを含有し、0.2メガパスカル(MPa)より小さい山対谷ストリエーションレベルを有するシリカガラスを含むことを特徴とする極紫外光素子を製造するためのガラスブール。
【請求項5】
前記ガラスブールが、0.04メガパスカル(MPa)より小さいRMSストリエーションレベルを有することを特徴とする請求項4記載のガラスブール。
【請求項6】
前記チタニアの含有量が、6重量%と8重量%の間にあることを特徴とする請求項4記載のガラスブール。
【請求項7】
前記ガラスが、20℃と35℃の間で+30ppb/℃から−30ppb/℃の範囲の熱膨張係数(CTE)を有することを特徴とする請求項4記載のガラスブール。
【請求項8】
20℃と35℃の間で+20ppb/℃から−20ppb/℃の範囲の一様なCTEを有することを特徴とする請求項4に記載のガラスブール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−42966(P2012−42966A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205771(P2011−205771)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【分割の表示】特願2007−334048(P2007−334048)の分割
【原出願日】平成15年3月4日(2003.3.4)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】