説明

低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体及びその製造方法

【課題】分岐の少ない利用価値の高い低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、下記に示すマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、前記式(X)中のaが0.60を超えることを特徴とする。
log[η]=alogMw + logK・・・(X)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用価値の高い特定の物性を有する低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン−ブタジエン共重合体等のα−オレフィン−共役ジエン共重合体は、プロピレン等のα−オレフィンを構成単位として有する分、ブタジエンゴム等の共役ジエンゴムに比べて主鎖の二重結合数が減じられた構造を呈するため、良好な物性が付与されたα−オレフィン−共役ジエン共重合体であれば良好なゴム弾性、硫黄加硫性、耐候性等の優れたゴム物性を発揮しやすく、様々の分野で活用できることが予想される。
【0003】
例えば、分岐の少ないプロピレン−ブタジエン共重合体である程、優れた加工性を発揮する傾向にあるため、ゴム材料としての活用範囲が大いに広がる。したがって、従来より、種々の用途に対応し得るプロピレン−ブタジエン共重合体を得るべく、その製造方法に関して数々の研究がなされている。
【0004】
プロピレン−ブタジエン共重合体の製造方法としては、例えば、特定の触媒成分の存在下で重合反応を遂行する方法が提案されている(特許文献1〜2参照)。かかる方法によれば、上記触媒の特異性により、ブタジエンおよびプロピレンの交互共重合体を容易に得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭53−101087号公報
【特許文献2】特開昭57−3807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような方法であると、極めて長期に亘る重合時間を要する場合がある上、共重合体の主鎖に存在する二重結合にさらに触媒が作用して分岐が生じやすい。プロピレン−ブタジエン共重合体がこうした分岐構造を多く含んでいると、不必要な鎖末端が分子内に増大することとなり、物性を損なうおそれがあるとともに充分な加工性をも確保できないおそれがあり、所望のゴム物性を発揮するゴム材料に用いる共重合体としては依然として改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明は、分岐の少ない利用価値の高い低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく、分岐の少ない低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体、及び特定の触媒成分と助触媒成分の存在下で特定の溶媒を用いつつ、低温で短時間の重合条件を採用した上記低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、下記に示すマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、
前記式(X)中のaが0.60を超えることを特徴とする。
log[η]=alogMw + logK・・・(X)
(式中、Kは[η]の測定に使用する溶媒によって変動する定数を示す。)。
前記α−オレフィンの炭素数は2〜12であってもよく、プロピレンであってもよい。また、前記共役ジエンの炭素数は4〜8であってもよく、ブタジエンであってもよい。
【0010】
また、本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法は、M=Q結合(ここで、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示し、但し、Qが窒素原子である場合、該窒素原子は、更にM以外の元素と結合している)を有し、かつ水素原子、ハロゲン原子、及び有機化合物残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子を有する遷移金属錯体触媒成分、並びに有機アルミニウム化合物からなる助触媒成分を用い、少なくとも芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含む溶媒中で、重合温度−78℃〜0℃、及び重合時間0.5〜4時間の条件下に、α−オレフィン単量体と共役ジエン単量体とを共重合することにより、
下記に示すマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、
前記式(X)中のaが0.60を超える低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体を製造することを特徴とする。
log[η]=alogMw + logK・・・(X)
(式中、Kは[η]の測定に使用する溶媒によって変動する定数を示す。)。
【0011】
前記遷移金属錯体触媒成分が、下記式(I);
【化1】

(式(I)中、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。A及びBは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機化合物残基を示し、ここで、Aの一部とBの一部とが環を形成していてもよい。Xはハロゲン原子を示し、xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。)で表されるのが望ましく、下記式(II);
【化2】

(式(II)中、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、ここでR1の一部とR2の一部とが環を形成していてもよい。Xはハロゲン原子を示し、xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。)で表されるのがより望ましい。
【0012】
また、下記式(III);
【化3】

(式(III)中、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。R3〜R8は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは塩素原子又は臭素原子を示し、xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。mは1〜5の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。)で表されるものであってもよい。
【0013】
また、前記有機アルミニウム化合物はAlR91011(ここで、R9及びR10は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、R11は炭素数1〜10の炭化水素基を示す)又はアルミノキサンであってもよく、前記芳香族炭化水素が、トルエンであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法により、分岐の生成が抑制された、規則性の高いほぼ直鎖状の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体が得られるため、優れた加工性を発揮し、強度や耐候性、耐老化性、耐オゾン性等の物性を向上させたゴム材料として充分に活用することが可能であり、特にタイヤや自動車用ゴム部材等に好適に採用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体、およびその製造方法について、各々具体的に説明する。
【0016】
本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、下記に示すマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、
前記式(X)中のaが0.60を超えることを特徴としている。
log[η]=alogMw + logK・・・(X)
式中、Kは[η]の測定に使用する溶媒によって変動する定数を示す。例えば、テトラヒドロフランを用いた場合、logKは−3.1〜−3.8である。
【0017】
上記固有粘度[η]の値は粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によりテトラフドロフラン(THF)溶液中40℃で測定される値を意味し、上記重量平均分子量Mwは粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)の光散乱により測定される絶対分子量を意味する。これらの値を上記式(X)に代入した際に算出されるaの値は0.6を超え、かかるaの値は共重合体の分岐の度合いを示す指標となり、2/3に近づく程、分岐のない直鎖状共重合体となる。
【0018】
上記式(X)中のaの値は、通常0.60を超え、好ましくは0.62以上、より好ましくは0.63以上である。上限値については特に制限はないが、2/3であればより直鎖状であるので望ましい。かかる値が0.60以下であると分岐の発生の抑制が不充分となり、良好な加工性が充分に発揮できないおそれがある。従来のブタジエン−プロピレン共重合体であると、触媒の作用も要因となり、ブタジエン残基である主鎖に存在する二重結合が起点となって分岐の生成を有効に抑制するのが困難であったが、本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は分岐が極力低減された共重合体であるため、加工時における緩和時間が短いことから、良好な加工性を付与することができるとともに好適な剛性を付与することができる。このため、本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体をゴム材料として用いれば、ロール加工後の外観を極めて平滑で光沢のあるものとすることができる。
【0019】
なお、上記粘度光散乱GPCで測定される本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の固有粘度[η](dl/g)は、通常0.1〜5.0、好ましくは0.2〜3.0、より好ましくは0.2〜1.0であり、光散乱により求められる絶対分子量Mwは、通常50,000〜500,000、好ましくは80,000〜400,000、より好ましくは100,000〜400,000であり、数平均分子量(Mn)は通常10,000〜500,000、好ましくは20,000〜400,000、より好ましくは30,000〜300,000である。また、分子量分布(Mw/Mn)は、通常8以下、好ましくは5以下、より好ましくは3.5以下である。
【0020】
本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、後述するように特定の触媒を用いて製造されるため、交互共重合体(−ABABABABABABAB−、A:共役ジエンに由来する構成単位、B:α−オレフィンに由来する構成単位)と呼ばれる構造を有しており、全構成単位中、上記低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体が含有する共役ジエンに由来する構成単位とα−オレフィンに由来する構成単位とのモル比は、通常1:1であり、例えば共役ジエンがブタジエンである場合、ブタジエン中のトランス含量(1,4−トランス結合含量)は、通常50〜100%、ビニル結合量(1,2−ビニル結合含量)は、通常0〜10%、好ましくは0〜5%である。なお、ここでトランス含量とは、上記低分岐α−オレフィン−ブタジエン共重合体中のブタジエン単量体単位における1,4−トランス結合の割合を意味し、ビニル含量とは、上記低分岐α−オレフィン−ブタジエン共重合体中のブタジエン単量体単位における1,2−ビニル結合の割合を意味する。
【0021】
したがって、本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、例えば、通常のポリブタジエン単独重合体に比べて主鎖に位置する二重結合の量が極力低減されている上に分岐が極めて少ないため、極めて規則性の高い直鎖状共重合体であり、加硫物とした際に良好な耐候性や耐老化性を発揮しやすく、利用価値を高めることができる。
【0022】
本発明の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法は、M=Q結合(ここで、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示し、但し、Qが窒素原子である場合、該窒素原子は、更にM以外の元素と結合している)を有し、かつ水素原子、ハロゲン原子、及び有機化合物残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子を有する遷移金属錯体触媒成分、並びに有機アルミニウム化合物からなる助触媒成分を用い、少なくとも芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含む溶媒中で、重合温度−78℃〜0℃、及び重合時間0.5〜4時間の条件下に、α−オレフィン単量体と共役ジエン単量体とを共重合することにより、
下記のマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度−GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、aが0.60を超える低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体を製造することを特徴としている。
log[η]=alogMw + logK・・・(X)
(式中、Kは[η]の測定に使用する溶媒によって変動する定数を示す。)。
【0023】
本発明の製造方法では、触媒成分としてM=Q結合を有し、かつ水素原子、ハロゲン原子、及び有機化合物残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子を有する遷移金属錯体触媒成分を用いる。ここで、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。また、Qが窒素原子である場合、該窒素原子は、更に、炭素(例えばアルキル基、アリール基の炭素)、H等のM以外の元素と結合している。
【0024】
上記周期律表IV〜VI族の遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ハフニウム、タンタル、タングステン等が挙げられ、なかでもバナジウムが好ましい。
【0025】
上記配位子としては、水素原子、或いはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であるハロゲン原子のほか、有機化合物残基として、−RA(RAは炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す)、−O−RA(RAは炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す)、−S−RA(RAは炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示す)、−NRAB(RA及びRBは、それぞれ独立して炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、RA及びRBは同一であっても異なっていてもよい)等が挙げられる。また、有機化合物残基として、より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等の脂肪族アルコキシ基;フェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェノキシ基、チオメトキシ基、チオエトキシ基、チオプロポキシ基、チオn−ブトキシ基、チオイソブトキシ基、チオsec−ブトキシ基、チオtert−ブトキシ基等の脂肪族チオラート基;チオフェノキシ基、2,6−ジ−tert−ブチルチオフェノキシ基、2,6−ジイソプロピルチオフェノキシ基、2,6−ジネオペンチルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルチオフェノキシ基、2−tert−ブチル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2−イソプロピル−6−チオネオペンチルフェノキシ基、2,4,6−トリイソプロピルチオフェノキシ基等のアリールチオラート基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジイソプロピルアミド基等の脂肪族アミド基;フェニルアミド基、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルアミド基、2,6−ジイソプロピルフェニルアミド基、2,6−ジネオペンチルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−イソプロピルフェニルアミド基、2−tert−ブチル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2−イソプロピル−6−ネオペンチルフェニルアミド基、2,4,6−tert−ブチルフェニルアミド基等のアリールアミド基;ビストリメチルシリルアミド基等のビストリアルキルシリルアミド基、トリメチルシリル基、トリス(トリメチルシリル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチルシリル基、トリメチルシリル(ジメチル)シリル基、トリイソプロピルシリル(ビストリメチルシリル)シリル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基;ベンジル基等のアラルキル基等のほか、トリメチルシリルメチル基、ビストリメチルシリルメチル基等のケイ素原子を含有する炭化水素基等が挙げられる。
【0026】
また、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフタルアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−ナフタルアルデヒド等のアルデヒド類残基、2’−ヒドロキシアセトフェノン、2’−ヒドロキシブチロフェノン、2’−ヒドロキシプロピオフェノン等のヒドロキシフェノン類残基、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、プロピオニルアセトン、イソブチルアセトン、バレリルアセトン、エチルアセチルアセトン等のジケトン類残基、イソ吉草酸、カプリル酸、オクタン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、シクロペンタンカルボン酸、ナフテン酸、エチルへキサン酸、ビパール酸、バーサチック酸(シェル化学から販売されるC10モノカルボン酸の異性体の混合物から構成される合成酸)、フェニル酢酸、安息香酸、2−ナフトエ酸、マレイン酸、コハク酸、ヘキサンチオール酸、2,2−ジメチルブタンチオン酸、デカンチオン酸、チオ安息香酸等のカルボン酸類残基、リン酸ジブチル、リン酸ジペンチル、リン酸ジヘキシル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジオクチル、リン酸ビス(2−エチルヘキシル)、リン酸ビス(1−メチルヘプチル)、リン酸ジラウリル、リン酸ジオレイル、リン酸ジフェニル、リン酸ビス(p−ノニルフェニル)、リン酸ビス(ポリエチレングリコール−p−ノニルフェニル)、リン酸(ブチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)、リン酸(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)、2−エチルヘキシルホスホン酸モノブチル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、フェニルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル、ホスホン酸モノ−1−メチルヘプチル、ホスホン酸モノ−p−ノニルフェニル、ジブチルホスフィン酸、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、ビス(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、ジラウリルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(1−メチルヘプチル)ホスフィン酸、(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィン酸、ブチルホスフィン酸、2−エチルヘキシルホスフィン酸、1−メチルヘプチルホスフィン酸、オレイルホスフィン酸、ラウリルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、p−ノニルフェニルホスフィン酸等の有機リン酸類残基等の有機化合物残基も挙げられる。これらの配位子を1種単独で有していてもよく、必要に応じて2種以上有していもよい。
【0027】
上記遷移金属錯体触媒成分としては、より具体的には、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
【化4】

【0028】
式(I)中、M及びQは上記と同義である。A及びBは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機化合物残基を示し、ここで、Aの一部とBの一部とが環を形成していてもよい。有機化合物残基は上記と同義である。Xはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であるハロゲン原子を示し、なかでも塩素原子又は臭素原子が好ましい。xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。
【0029】
また、下記式(II)で表される遷移金属錯体触媒成分が挙げられる。
【化5】

【0030】
式(II)中、M、Q、X、x、yは上記と同義である。R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示し、ここでR1の一部とR2の一部とが環を形成していてもよい。
【0031】
さらに、下記式(III)で表される遷移金属錯体触媒成分が挙げられる。
【化6】

【0032】
式(III)中、M、Q、X、x、yは上記と同義である。R3〜R8は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。mは1〜5の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。
【0033】
上記式(I)〜(III)で表される遷移金属錯体錯体触媒成分のなかでも、下記式(IV)で表されるバナジルアルコキシハロゲン化合物が好ましい。
【化7】

【0034】
式中、R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R13は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示し、R14は炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xは塩素原子または臭素原子を示す。かかる遷移金属錯体触媒成分を後述する助触媒成分とともに用いることにより、より充分な重合活性を確保することができる。
【0035】
上記バナジルアルコキシハロゲン化合物としては、より具体的には、例えば、バナジル−ジ−(ネオペンチルオキシ)−オキシクロリド、バナジル−ジ−(イソブトキシ)−オキシクロリド、バナジル−ジ−(2−エチルヘキシルオキシ)−オキシクロリド、バナジル−ジ−(2,2−ジメチルプロポキシ)−クロリド、バナジル−(ネオペンチルオキシブトキシ)−オキシクロリド、バナジル−(ネオペンチルオキシ−オクチルオキシ)−オキシクロリド、バナジル−2−エチルヘキシルオキシ−ブトキシ−オキシクロリドが挙げられる。なかでも、バナジル−ジ−(2,2−ジメチルプロポキシ)−クロリドが好適である。
【0036】
本発明の製造方法では、助触媒成分として有機アルミニウム化合物を用い、具体的にはAlR91011又はアルミノキサンであるのが好ましい。ここで、R9及びR10は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、R11は炭素数1〜10の炭化水素基を示す。
【0037】
AlR91011で表される有機アルミニウム化合物としては、より具体的には、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−tert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム;水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジ−n−プロピルアルミニウム、水素化ジ−n−ブチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジヘキシルアルミニウム、水素化ジイソヘキシルアルミニウム、水素化ジオクチルアルミニウム、水素化ジイソオクチルアルミニウム;エチルアルミニウムジハイドライド、n−プロピルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでもトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウムが好適である。
【0038】
上記有機アルミニウム化合物として用いられるアルミノキサンとは、有機アルミニウム化合物と縮合剤とを接触させることによって得られるものであり、アルミノキサンとしては、より具体的には、一般式(−Al(R0)O−)nで表される鎖状アルミノキサン、或いは環状アルミノキサンが挙げられる。ここで、R0は炭素数1〜10の炭化水素基であり、その一部がハロゲン原子及び/又はアルコキシ基で置換されたものも含む。nは重合度であり、5以上、好ましくは10以上である。R0としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基が挙げられ、なかでもメチル基、イソブチル基が好ましい。上記アルミノキサンの原料として用いられる有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム及びこれらの混合物等が挙げられる。なかでも、トリメチルアルミニウムが最も好ましい。また、トリメチルアルミニウムとトリブチルアルミニウムとの混合物を原料として用いたアルミノキサンも好適に用いることができる。
【0039】
上記遷移金属錯体触媒成分は、α−オレフィンと共役ジエンとの総量100g当たり通常0.1〜3mmol、好ましくは0.1〜1.5mmolの量で添加される。また、上記助触媒成分である有機アルミニウム化合物と上記バナジルアルコキシハロゲン化合物とのモル比は、通常20:1〜2:1、好ましくは10:1〜5:1の量で用いられる。
【0040】
重合反応は、上記遷移金属錯体触媒成分及び助触媒成分の存在下、少なくとも芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含む溶媒中で行われる。溶媒として芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含むことにより、より分岐を低減した低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体を得ることができる。
【0041】
上記芳香族炭化水素としては、炭素数6〜10、好ましくは炭素数6〜8の芳香族炭化水素が好ましく、具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、エチルメチルベンゼンが挙げられる。また、上記芳香族炭化水素のハロゲン誘導体、例えば、塩素化された芳香族炭化水素、すなわち具体的にはクロロベンゼン等を用いることもできる。なかでも、より有効に分岐の生成を抑制する観点から、トルエン、ベンゼン、キシレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0042】
なお、上記芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体は、必ずしも他の溶媒を必要とせず、芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含む溶媒全量100質量%中に、通常20〜100質量%、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%の量で含有される。
【0043】
上述のように、本発明の製造方法で用いる溶媒としては、少なくとも芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含有していればよく、残部には本発明の効果を阻害しない範囲内でその他の溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素等を含有していてもよい。
【0044】
単量体である共役ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジエチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、2−メチル−1,3−デカジエン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−オクタジエン、2,3−ジメチル−1,3−デカジエン等が挙げられ、1,2−ブタジエン、1,3−ブタジエン又はイソプレン等が好ましく、なかでも共重合性がより良好である1,3−ブタジエンが特に好ましい。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。一方、α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が好適に挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。単量体の仕込み量としては、上記共役ジエン単量体をα−オレフィン単量体の等モル以上で用いるのが望ましい。共役ジエン単量体をα−オレフィン単量体の等モル以上の量で仕込めば、低温の重合温度条件下であっても得られる共重合体の分子量を増大させることが容易となる。
【0045】
なお、上記溶媒中のα−オレフィン単量体の濃度は、溶液全量(上記溶媒、α−オレフィン単量体および共役ジエン単量体の総量)100質量%中、通常5〜20質量%、好ましくは8〜20質量%である。
【0046】
重合反応は、上記溶媒に上記α−オレフィンおよび共役ジエン単量体を添加した混合物を、重合温度が−78℃〜0℃、好ましくは−78〜−30℃、より好ましくは−78〜−50℃未満となるよう冷却する。次いでかかる温度を保持したまま、上記混合物に上記遷移金属錯体触媒成分及び助触媒成分を添加して重合を開始する。遷移金属錯体触媒成分及び助触媒成分の添加順序は特に制限されない。重合時間は0.5〜4時間、好ましくは0.5〜2時間未満である。なお、重合圧としては特に制限はなく、常圧下で重合を行うことができる。
【0047】
重合反応が完了した後、上記遷移金属錯体触媒成分及び助触媒成分をトリエチルアミン等のアミン、エタノール等のアルコール、または蟻酸等のカルボン酸を添加することにより脱活性化する。生成物は、2,6−ジ−t−ブチルメチルフェノール等の安定化剤の添加後に、沈殿またはストリッピングにより単離し、洗浄、乾燥して目的の共重合体を得ることができる。かかる重合反応は、バッチ式または連続式のいずれであってもよい。
【0048】
本発明の製造方法により得られる低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、エラストマーとして活用でき、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤、硫黄等の架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤等を添加して混練し、成形加工した後、加熱架橋することにより好適なゴム材料として利用できる。特に自動車部品、なかでもタイヤ用部材に最適に用いられる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、共重合体の物性は以下の方法に従って測定した。
【0050】
《固有粘度[η]、重量平均分子量Mw》
実施例及び比較例で得られた共重合体の固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)は、粘度−GPC(VISCOTEK社製、TDA)を用いて、下記条件で測定した。なお、固有粘度[η]はテトラフドロフラン(THF)溶液で40℃の温度での値とした。また、上記式(X)中のaの値は、カラムで分けた複数の上記絶対分子量(Mw)とその固有粘度[η]とをプロットすることにより算出した。
カラム;東ソー(株)製、カラムGMHHXLを2本直列に使用
移動相:テトラヒドロフラン
【0051】
[実施例1:共重合体Aの製造]
300gのトルエン、68gのブタジエン及び29gのプロピレン(モル比1.8:1)の混合物を窒素下で−75℃に冷却した。5mmolのトリイソブチルアルミニウム及び0.6mmolのバナジル−ジ−(2,2−ジメチルプロポキシ)−クロリドを添加して、常圧下、重合反応を開始した。反応温度は外部からの冷却により−75℃に保持した。
1.5時間の反応時間後に、8volのアルコールを添加して重合を停止させた。得られた生成物をアルコール中で沈殿させ、洗浄し、次いで減圧下で50℃で乾燥してプロピレン−ブタジエン共重合体Aを得た。共重合体Aの収量は70g、Mwは116,000、Mnは52,000、上記式(X)中のaの値は0.662であった。
【0052】
[実施例2:共重合体Bの製造]
45gのブタジエン及び35gのプロピレン(モル比1:1)の混合物を用い、4mmolのトリイソブチルアルミニウム及び0.5mmolのバナジル−ジ−(2,2−ジメチルプロポキシ)−クロリドを添加した以外、実施例1と同様にして共重合体Bを得た。共重合体Bの収量は56g、Mwは71,000、Mnは30,000、上記式(X)中のaの値は0.665であった。
【0053】
[実施例3:共重合体Cの製造]
300gのトルエン、53gのブタジエン及び42gのプロピレン(モル比1:1)の混合物を窒素下で−50℃に冷却した。4mmolのトリイソブチルアルミニウム及び0.5mmolのバナジル−ジ−(2,2−ジメチルプロポキシ)−クロリドを添加して、常圧下、重合反応を開始した。反応温度は外部からの冷却により−50℃に保持した。
5時間の反応時間後に、8volのアルコールを添加して重合を停止させた。得られた生成物をアルコール中で沈殿させ、洗浄し、次いで減圧下で50℃で乾燥してプロピレン−ブタジエン共重合体Cを得た。共重合体Cの収量は85g、Mwは100,000、Mnは50,000、上記式(X)中のaの値は0.61であった。
【0054】
[比較例1:共重合体Dの製造]
トルエンの代わりに300gのn−ヘキサンを用い、54gのブタジエン及び42gのプロピレン(モル比1:1)の混合物を用いた以外、比較例1と同様にして共重合体Dを得た。共重合体Dの収量は67g、Mwは120,000、Mnは62,000、上記式(X)中のaの値は0.58であった。
【0055】
[加工性の評価]
3インチロールを用い、得られた共重合体ゴムを100℃で成形して試験片を作製した。成形後の試験片の表面を以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
○:表面が光沢のある平滑面である。
△:表面が荒れている。
×:ロール後に収縮が観察され、表面が荒れている。
【0056】
【表1】

【0057】
本発明の製造方法により得られた低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体は、上記式(X)中のaの値が0.6を超え、分岐の生成が有効に抑制されているため、ゴム材料としてロール加工した際に表面が平滑で、非常に光沢のある外観を呈することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に示すマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、
前記式(X)中のaが0.60を超えることを特徴とする低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体;
log[η]=alogMw + logK・・・(X)
(式中、Kは[η]の測定に使用する溶媒によって変動する定数を示す。)。
【請求項2】
前記α−オレフィンの炭素数が、2〜12であることを特徴とする請求項1に記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体。
【請求項3】
前記共役ジエンの炭素数が、4〜8であることを特徴とする請求項1又は2に記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体。
【請求項4】
前記α−オレフィンが、プロピレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体。
【請求項5】
前記共役ジエンが、ブタジエンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体。
【請求項6】
M=Q結合(ここで、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示し、但し、Qが窒素原子である場合、該窒素原子は、更にM以外の元素と結合している)を有し、かつ水素原子、ハロゲン原子、及び有機化合物残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の配位子を有する遷移金属錯体触媒成分、並びに有機アルミニウム化合物からなる助触媒成分を用い、少なくとも芳香族炭化水素又はそのハロゲン誘導体を含む溶媒中で、重合温度−78℃〜0℃、及び重合時間0.5〜4時間の条件下に、α−オレフィン単量体と共役ジエン単量体とを共重合することにより、
下記に示すマーク−ホーウィンク−桜田の式(X)において、粘度光散乱GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定される固有粘度[η]及び光散乱により測定される絶対分子量(Mw)を代入した際、
前記式(X)中のaが0.60を超える低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体を製造することを特徴とする低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法;
log[η]=alogMw + logK・・・(X)
(式中、Kは[η]の測定に使用する溶媒によって変動する定数を示す。)。
【請求項7】
前記遷移金属錯体触媒成分が、下記式(I);
【化1】

(式(I)中、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。A及びBは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は有機化合物残基を示し、ここで、Aの一部とBの一部とが環を形成していてもよい。Xはハロゲン原子を示し、xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。)で表されることを特徴とする請求項6に記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項8】
前記遷移金属錯体触媒成分が、下記式(II);
【化2】

(式(II)中、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。R1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を示し、ここでR1の一部とR2の一部とが環を形成していてもよい。Xはハロゲン原子を示し、xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。)で表されることを特徴とする請求項6又は7に記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記遷移金属錯体触媒成分が、下記式(III);
【化3】

(式(III)中、Mは周期律表IV〜VI族の遷移金属を示し、Qは酸素原子又は窒素原子を示す。R3〜R8は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは塩素原子又は臭素原子を示し、xは0〜3の整数を示し、yは0〜3の整数を示す。但し、1≦x+y≦3である。mは1〜5の整数を示し、nは1〜5の整数を示す。)で表されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項10】
前記有機アルミニウム化合物が、AlR91011(ここで、R9及びR10は同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子を示し、R11は炭素数1〜10の炭化水素基を示す)又はアルミノキサンであることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項11】
前記芳香族炭化水素が、トルエンであることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項12】
前記α−オレフィンの炭素数が、2〜12であることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項13】
前記共役ジエンの炭素数が、4〜8であることを特徴とする請求項6〜12のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項14】
前記α−オレフィンが、プロピレンであることを特徴とする請求項6〜13のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。
【請求項15】
前記共役ジエンが、ブタジエンであることを特徴とする請求項6〜14のいずれかに記載の低分岐α−オレフィン−共役ジエン共重合体の製造方法。

【公開番号】特開2012−12543(P2012−12543A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152453(P2010−152453)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】