説明

低吸水性の高度構造化シリカ、その製造方法及びその使用

本発明は種々のペースト状若しくは固体状のマトリックス又は媒体、エラストマー又はシリコン中で高い分散性を有する低吸水性で高度に構造化された沈降シリカ、並びにその製造方法に関する。また、本発明は(靴底用の透明又は半透明)エラストマーをベースとしたマトリックス、(とりわけ電線被覆用の)シリコンマトリックス中の補強充填剤としての、種々の組成物(食品、化粧品、医薬組成物、塗料や紙を製造するための組成物、電池用の多孔質膜セパレータを製造するための組成物)の充填剤及び/又は担体及び/又は賦形剤としての、或いは歯磨剤中の増粘剤としての上記シリカの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低吸水性の高度に構造化された新規沈降シリカ、その製造方法に関する。
また、本発明は靴底用のエラストマー(とりわけ、透明又は半透明エラストマー)をベースとしたマトリックス、又は(例えば電線被覆用の)シリコンマトリックス中の補強充填剤としての上記シリカの使用に関する。
また、本発明はとりわけ、食品、化粧品、医薬組成物、塗料や紙を製造するための組成物、又は電池(電池セパレータ)の分離用多孔質膜を製造するための組成物といった種々の組成物中の充填剤及び/又は担体及び/又は賦形剤としての、或いは歯磨剤中の増粘剤としての上記シリカの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
“沈降”シリカは、とりわけ表面の“水欲性”Si−OH基の存在により、高い親水性を示すことが多い。最も一般的な沈降シリカの吸水量は(後に定義する試験に従って)7%を超え、一般には8〜10%程度を示すのが通常である。
低吸水性(4〜6%程度)の沈降シリカの製造方法はWO03/055801の国際出願の主題を形成しており、こうして得られたシリカは一般に100〜200m2/gのCTAB比表面積(外表面積)及び150〜300mL/100gのDOP吸油量を示す。該シリカはシリコンをベースとしたエラストマー性マトリックス(とりわけ、室温又は高温硬化性シリコンマトリックス)、又は靴底用の透明若しくは半透明エラストマー性マトリックスを補強するのに使用できることが示されている。また、該シリカは有機又は水性媒体(とりわけ、練り歯磨き)中の増粘剤としても使用できることが述べられている。
【0003】
250mL/100gを超える(とりわけ、300〜320mL/100g程度の)DOP吸油量と、70〜250m2/gのCTAB比表面積(外表面積)を示す高度に構造化された沈降シリカは既に歯磨剤中の増粘剤若しくは組織化剤として提供されている(国際出願WO01/93803)が、該シリカは7%を超える(すなわち従来型の沈降シリカの)吸水量を示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今般、本出願人は処方物中で優れた分散性能を示し、種々の固体中、とりわけエラストマー性(透明、半透明、シリコン)又はペースト状のマトリックス又は媒体中、更には高光透過物質中で高い分散能力を有利に示す新規な沈降シリカを見出した。このことは特に優れた補強及び/又は増粘力によって表される。該シリカは特に、靴底用のエラストマー(例えば透明又は半透明エラストマー)をベースとしたマトリックス中、又はシリコンマトリックス(例えば室温又は高温硬化性シリコンマトリックス)中の補強用充填剤として利用するのにとりわけ好適である。該シリカのとりわけ有利な用途は特に歯磨剤中の増粘剤としての使用である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第一主題は:
・ CTAB比表面積が140〜230m2/g、好ましくは145〜195m2/g、より好ましくは145〜185m2/g、とりわけ150〜185m2/g、特に150〜180m2/g、例えば155〜175m2/g又は160〜180m2/g、
・ DOP吸油量が300ml/100gを超え、好ましくは310ml/100gを超え、より好ましくは315〜450ml/100g、とりわけ320〜400ml/100g、特に340〜380ml/100g、
・ 吸水量が6%未満であり、好ましくは3%を超え、とりわけ4%以上5.8%以下、
・ pHが3.5〜7.5、好ましくは4〜7、とりわけ4〜6、
・ 残留アニオン量が、硫酸ナトリウムで表して、2%以下、好ましくは1.5%以下、とりわけ1%以下、特に0.5%以下、
・ 平均粒径又は中央粒径が30μm未満であるか、又は30μm〜20mm、
を示す沈降シリカで構成される。
【0006】
本発明の第一の代替的実施形態によれば、該シリカの平均粒径又は中央粒径は30μm未満、好ましくは20μm未満、とりわけ5〜15μm、特に8〜13μmである。
【0007】
本発明の第二の代替的実施形態によれば、該シリカの平均粒径又は中央粒径は30μm〜20mmである。
この第二の代替的実施形態に従うシリカのCTABは145〜185m2/g、とりわけ150〜180m2/g、特に155〜175m2/gであるのが非常に好ましい。
【0008】
CTAB比表面積はNFT規格45−007(1987年11月)に準拠して測定した外表面積である。
【0009】
DOP吸油量はジオクチルフタレートを用いてISO規格787/5に準拠して測定する。
【0010】
“吸水”特性によって表される水に対するシリカの親和性は、シリカ表面に吸着される水分子が示す顕著な傾向を大なり小なり反映する。
【0011】
該特性を測定するための試験の原理は、予め乾燥したシリカのサンプルを所与の相対湿度条件下に所定時間置き、シリカの水和によってサンプルの重量を初期値w(乾燥状態)から最終値(w+dw)へ変化させることにある。シリカの“吸水量”は具体的には百分率で表したdw/w比を意味し、試験中に以下の条件を受けたシリカのサンプルに対して計算される。
− 予備乾燥:105℃で8時間;
− 水和:相対湿度70%の下で20℃で24時間
採用した実験手順は:
− 約2gの試験シリカを正確に秤量する;
− こうして秤量したシリカを105℃に調節したオーブン中で8時間乾燥する;
− 乾燥操作の完了した乾燥シリカの重量wを測定する;
− 密閉媒体の相対湿度が70%となるように水/グリセロール混合物を水/グリセロール重量比=35/65として含有する密閉容器(例えばデシケーター)中に、得られた乾燥シリカを20℃で24時間置く;
− 相対湿度70%で24時間処置した後に得られたシリカの重量(w+dw)を測定する。この重量は、相対湿度70%の媒体と実験室の大気との間の湿度変化の影響を受けてシリカの重量が変化するのを回避するために、シリカをデシケーターから取り出した直後に測定する。
【0012】
シリカのpHはISO規格787/9(脱イオン水中のシリカの5重量%懸濁液のpH)に準拠して測定する。
【0013】
本発明に係るシリカはビーズ、又は顆粒(若しくはその他の凝集体)、又は好ましくは平均粒径若しくは中央粒径がせいぜいで20mmである粉末の形態で提供することができる。
【0014】
本発明の第一の代替的実施形態に係るシリカはビーズ、又は顆粒(若しくはその他の凝集体)、又は好ましくは平均粒径若しくは中央粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満、とりわけ5〜15μm、特に8〜13μmである粉末の形態で提供することができる。該シリカはとりわけ靴底用のエラストマー(とりわけ、透明又は半透明エラストマー)をベースとしたマトリックス中の補強充填剤として、又はシリコンをベースとしたマトリックス中の補強充填剤として利用するのに好適である。
【0015】
本発明の第二の代替的実施形態に係るシリカはビーズ、又は顆粒(若しくはその他の凝集体)、又は好ましくは平均粒径若しくは中央粒径が30μm〜20mmである粉末の形態で提供することができる。該シリカは少なくとも30μm、好ましくは少なくとも50μmで、350μm未満、好ましくは180μm未満の中央粒径を有する粉末とすることができる。該シリカは歯磨剤中の増粘剤若しくは質感付与剤として、又はシリコンをベースとしたマトリックス(母材)中の補強充填剤として利用するのに好適である。
【0016】
また、該シリカは平均粒径が2〜20mmを示す顆粒(若しくはその他の凝集体)に関係する。
【0017】
シリカ粒子の平均径は乾式ふるい分けによるNF規格X11507(1970年12月)に従い、積算ふるい上が50%に相当する直径を測定する。
【0018】
シリカ粒子の中央粒径はNF規格X11−666に従ってレーザー回折によって測定することができる。使用する粒径測定装置はMalvern社Mastersizer型である。
測定条件
* 光学濃度: 12±2%
* 測定液: 脱気脱塩水
* 超音波なし
* 分散剤なし
* 測定時間: 10秒
【0019】
本発明に係る沈降シリカは一般に、超音波による解凝集後の粒子の中央粒径d50がせいぜい35μm、好ましくはせいぜい30μm、とりわけせいぜい25μm、特にせいぜい15μm、例えばせいぜい10μmである。
【0020】
超音波による解凝集後の粒子の中央粒径d50は、Malvern社Mastersizerの粒径測定装置を用いて以下の試験に従って測定する。
【0021】
Malvern社Mastersizerの粒径測定装置の超音波出力を最大目盛りの20に調節し、12±2%の光学濃度が得られるように所定量のシリカを導入する。
遠心ポンプを用いて懸濁液を循環させることにより容器を均一化しながら容器に超音波を60秒かけた後に、中央粒径d50及び51μmを超える直径をもつシリカ粒子の百分率を測定する。測定値は超音波を停止してから10秒後に記録する。
【0022】
本発明に係るシリカの分散又は解凝集能力は、超音波処理(対象を0.1〜数十ミクロンに分割する)によって事前に解凝集したシリカの懸濁液に対して(レーザー回折により)粒径測定を行うことによって評価することもできる。超音波による解凝集は直径19mmのプローブを備えたVibracell社Bioblock(600W)の超音波発生器を用いて行う。粒径測定はSympatec社の粒径測定装置でレーザー回折により行う。
シリカ2gを秤量してサンプル管(高さ:6cm、直径:4cm)に入れ、脱イオン水を加えることにより50gにする。こうして4%のシリカ懸濁水が調製される。これを磁気攪拌機で2分間均一化する。次いで、解凝集を以下のようにして超音波下で行う。プローブを4cmの長さにわたり浸漬し、出力目盛盤の針の偏差が20%を示すように出力を調節する。解凝集は420秒間行う。次いで、粒径測定装置の容器内に光学密度を約20とするのに必要な体積V(mLで表す)の均一化された懸濁液を導入することにより粒径測定を行う。
次に、解凝集因子FDは次式で与えられる。
D=10×V/粒径測定装置により測定した懸濁液の光学密度(光学密度は約20)
この解凝集因子FDは粒径測定装置によって検知されない0.1μm未満の粒径をもつ粒子の量を示す。シリカの解凝集に対する傾向が増加するにつれて、該因子は増加する。 この試験により得られる中央粒径d50の値はシリカの解凝集する傾向が増加するにつれて低下する。
好ましくは、本発明に係るシリカは超音波による解凝集後に中央粒径d50が6μm未満、とりわけ5μm未満、例えば3.5μm未満である。本発明に係るシリカは一般に超音波解凝集因子FDが5.5mLを超え、とりわけ7.5mLを超え、例えば11.5mLを超える。
【0023】
本発明に係るシリカは好ましくはBET−CTABの差がせいぜい30m2/g、好ましくはせいぜい25m2/g、より好ましくはせいぜい20m2/g、とりわけせいぜい10m2/gであるようなBET比表面積をもつ。
【0024】
BET比表面積はNFT規格45007(1987年11月)に対応するジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(the Journal of the American Chemical Society)、第60巻、p309、1938年2月に記載されたBrunauer−Emmett−Teller法に従って測定する。
【0025】
更に、本発明に係るシリカは一般にISO規格787/11により測定して、せいぜい0.3g/mL、好ましくは0.04〜0.3g/mL、より好ましくは0.05〜0.3g/mL、とりわけ0.05〜0.2g/mLの充填密度を有する。また、該充填密度は0.1〜0.3g/mL、とりわけ0.1〜0.27g/mL、特に0.15〜0.25g/mLとすることもできる。
【0026】
本発明のシリカの強熱減量(LOI)は1000℃での処理後に、ISO規格3262/11に従って測定して、LOIと水含量の差が3.2%未満、好ましくは3%未満、とりわけ2.7%未満となるような値である。
【0027】
水含量は105℃で2時間熱処理した後にISO規格787/2により測定した残留水含量である。
本発明に係るシリカの水含量は、とりわけシリカマトリックス中の充填剤として使用されるときは、試料の全重量に対して通常は5%未満、好ましくは4%未満、例えばせいぜい3%である。
【0028】
本発明に係るシリカは更に屈折率が1.450〜1.467のグリセロール中で少なくとも70%の透過レベルを示すことができる。
ここでいう屈折率は、様々な水−グリセロール溶液中でシリカの最も透明(最大透過)な懸濁液に対応する屈折率である。透明度は分光光度計で589nmにおける透過率により決定される。
各懸濁液はシリカ2gを水/グリセロール溶液18g中に分散させることで得られ、次いで、軽い真空下で脱気した後に分光光度計で透過率を、そして屈折計で屈折率を読む(シリカ不在の水/グリセロール溶液を比較物質とする。)。
【0029】
本発明の第二の主題は、上述した低吸水性の高度に構造化されたシリカを製造するための方法で構成され、以下の連続工程:
・ (a)水及びシリケートを含有する80〜100℃、好ましくは90℃以上の温度の出発容器基部を作る工程(該容器基部中のシリケートの濃度は、SiO2当量で表して15g/L以下である。);
・ (b)80〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度で酸性化剤を添加して媒体のpHを7〜8の値、好ましくは7.2〜7.8の値、有利には7.3〜7.7の値(典型的には、実質的に7.5に等しい値)とする工程;
・ (c)こうして得られた媒体中に、80〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度でシリケート及び酸性化剤を同時に添加する工程(時間をかけて添加されるシリケートと酸性化剤のそれぞれの量は、添加中を通じて:
− 反応媒体のpHが7〜8、有利には7.2〜7.8に留まる;及び
− 媒体中のケイ素濃度が、SiO2当量で表して35g/L以下に留まる:
ように特定的に選択される。)
・ (d)工程(c)の結果得られた媒体に80〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度で酸性化剤を添加して媒体のpHを3〜6.5とする工程;
・ (e)得られたシリカ分散水を濾過する工程;
・ (f)濾過の結果生じた濾過ケーキを(好ましくは事前に洗浄してから)乾燥する工程;
・ (g)工程(f)の結果得られたシリカを随意的に製粉化又は微粉化する工程;
を含み、
前記方法は、工程(f)での乾燥前に、濾過ケーキの1000℃における強熱減量が82%を超え、好ましくは少なくとも84%、とりわけ84〜88%であることを特徴とする。
【0030】
該方法の工程(a)及び(c)に用いるシリケートはシリケートの通常の形態のすべてから選択することができる。有利には、本発明に使用するシリケートは例えばケイ酸ナトリウム又はケイ酸カリウムのようなケイ酸アルカリ金属である。
【0031】
特に好ましくは、工程(a)並びに工程(c)で添加されるシリケートはケイ酸ナトリウムである。使用するケイ酸ナトリウムは一般に2〜4、有利には3〜3.6のSiO2/Na2O重量比によって特徴付けられる。SiO2/Na2O重量比は好ましくは3.3〜3.5(典型的には、実質的に3.4に等しい。)である。
【0032】
該方法の工程(a)の容器基部はシリケート水溶液の形態で提供されるのが通常であり、その濃度は特徴的には15g/L以下である。典型的には、工程(a)の容器基部のシリケート濃度は、SiO2当量で表して、1〜15g/Lである。工程(a)の容器基部のシリケート濃度は、SiO2当量で表して、有利には10g/L以下であり、好ましくは9g/L以下である。
【0033】
工程(a)の容器基部は一般に9〜13程度のpHを有する。
【0034】
本発明の方法の工程(b)では具体的には、酸性化剤を添加することによりpH値を低下させて媒体のpHを7〜8の範囲にする。斯かるpHにおいてシリカの沈降反応が最適な状態で起きることが示された。“酸性化剤”は、容器基部のpHを低下させる能力のある任意の無機又は有機酸化合物を意味すると理解される。従って、酸性化剤としては、硫酸、塩酸又は硝酸のような無機酸、或いは、酢酸、蟻酸又は炭酸のような有機酸を有利に使用することができる。
【0035】
有利には、該方法においては、とりわけ工程(a)においては、電解質は添加しない。“電解質”はここでは通常の意味で理解される。すなわち溶解すると分解又は解離してイオン又は荷電粒子を形成する任意のイオン又は分子の物質を指す。(通常の電解質はアルカリ金属及びアルカリ土類金属の塩であり、とりわけ、ケイ酸ナトリウムと塩酸との反応の場合は塩化ナトリウム、又は、ケイ酸ナトリウムと硫酸との反応の場合は硫酸ナトリウムのような、出発時の金属シリケートと酸性化剤との塩である。)
【0036】
該方法の工程(b)に使用する酸性化剤は、特に出発時の容器基部内に存在するシリケートがケイ酸アルカリ金属であるときには、好ましくは硫酸である。一般には、工程(b)の酸性化剤は水溶液、好ましくは希釈水溶液の形態(一般には0.25〜8Nの規定度)で導入されるのが最も多い。従って、工程(b)では、媒体のpHの低下は有利には10〜350g/L、好ましくは50〜250g/Lの濃度の硫酸水溶液を添加することにより行うことができる。
工程(b)の酸性化剤の正確な種類が何であれ、酸性化剤はこれを添加することにより媒体のpHが7〜8の値に低下するように使用しなければならない。ここで使用される酸性化剤の量は一般には添加中にpHの変化を測定することにより実施時に決定され、工程(b)での酸性化剤の添加はpHが所望の値に達するまで継続する。
更に、工程(b)における添加は好ましくは徐々に行われる。すなわち有利には、一般的なルールとして、3〜60分、通常は少なくとも5分、好ましくは少なくとも10分の添加時間とする。しかしながら、この添加時間は有利には30分未満である。
【0037】
工程(b)で想定することのできる具体的な形態によれば、工程(c)は、適当な場合には、通常5〜30分の時間をかけて、好ましくは90〜100℃の温度で媒体を変化させておくことにより行われる熟成プロセスを包含することができる。この熟成に続いて、必要ならば、反応媒体のpHを酸性化剤の添加により調節して、工程(b)の終了時には、媒体のpHが7〜8、有利には上述した好ましい範囲となるようにすることが理解される。
【0038】
反応媒体のpHを7〜8の好ましい領域内、好ましくは約7.5とする工程(b)の後、該方法の工程(c)では追加的なシリケートを導入し、そして、媒体のpHを7〜8の領域内、好ましくは実質的に一定の値(この一定の値は好ましくは7.5に近く、すなわち一般には7.3〜7.7である。)に厳格に維持することによりシリカを沈降させるためのプロセスを継続する。
このために、工程(c)のシリケートはシリケート単独で添加すると認められるであろうpHの上昇に対抗する酸性化剤と共に導入する。好ましくは、本発明の方法の工程(c)は工程(b)において媒体の所望のpHを得た直後に実施する。工程(c)にて行うシリケートと酸性化剤の“同時添加”は有利にはシリケートの媒体への連続的添加で構成される。その間、媒体のpHを測定し、酸性化剤を導入することでpH値を調節する。酸性化剤の導入は、例えば、媒体のpHが7〜8の管理値(管理値は7.5の近傍に設定するのが通常である。)を超えたら直ぐに行うことができる。該手段によって、媒体中のpHを実質的に一定値、すなわち有利には通常7.3〜7.7である設定値±0.2のpH単位(好ましくは±0.1のpH単位)の変化までに維持することが達成される。
代替的に、工程(c)の同時添加は酸性化剤の媒体への連続的添加で構成される。その添加の間、シリケートを導入することでpH値を調節する。同様に、シリケートの導入は、例えば、媒体のpHが7〜8の管理値(管理値は7.5の近傍に設定するのが通常である。)を下回ったら直ぐに行うことができる。該手段によって、媒体中のpHを実質的に一定値、すなわち有利には通常7.3〜7.7である設定値±0.2のpH単位(好ましくは±0.1のpH単位)の変化までに維持することが同様に達成される。
想定可能な更に別の実施形態によれば、工程(c)の同時添加は、添加中を通して媒体のpHが7〜8、好ましくは7.2〜7.8に留まるように計算された濃度及び流量で酸性化剤及びシリケートを連続添加することから構成することもできる。この場合、媒体のpHは一般には工程(C)の間に変化する傾向があるか、上述した範囲内に留まる。しかしながら、幾つかの場合には実質的に一定値(有利には7.5程度)に留まることができる。ここでは、工程(c)を通して、毎秒導入されるシリケート基(NaOHのモル当量で表す)の量(dSで記録される)及び毎秒導入される酸性基(モル)の量(dAで表す)に対応する瞬間的な流量は比率dS/dAが継続して1.01〜1.09、好ましくは1.02〜1.07に留まるような値であるのが一般に好ましい。
工程(c)の正確な実施形態が何であれ、使用するシリケート及び酸性化剤は一般に工程(a)及び(b)で使用したものと同一である。従って、工程(c)のシリケートは好ましくはケイ酸アルカリ金属、有利にはケイ酸ナトリウムであり、酸性化剤は好ましくは強無機酸、通常は硫酸である。
工程(c)の同時添加の最中に、媒体中のケイ素濃度(SiO2当量で表す)を特徴的に35g/L以下に維持しなければならない限り、工程(c)の間に反応媒体中に導入されるシリケートは一般には希釈水溶液の形態、すなわち、(SiO2当量で表して)有利には10〜360g/L、好ましくは300g/L未満、有利には270g/L未満の濃度にある。このことはケイ酸アルカリ金属(例:ケイ酸ナトリウム)を用いるときに特に当てはまる。同様に、酸性化剤は一般に希釈水溶液の形態にあり、通常は0.25〜8N、好ましくは0.5〜4Nの規定度を有する。従って、例えば工程(c)の酸性化剤として硫酸水溶液を使用する特定の場合は、該溶液の濃度は有利には25〜380g/L、好ましくは50〜300g/Lである。
シリカを沈降させるための媒体中で薄い濃度を使用する点から見て、該媒体中の塩濃度は、これはシリケート及び酸性化剤の反応に特に関連するが、特徴的に極度に低いことを強調すべきである。このことは使用する沈降媒体内の弱いイオン強度によって反映される。
如何なる場合にも特定の理論にゆだねることを望まないが、pHの管理及び採用する濃度のおかげで表面SiOH基の生成が最小化することが可能になると仮説を立てることが可能であろう。
シリカ生成の制御を更に向上させるために、工程(c)の同時添加はシリケート及び酸性化剤の流量を比較的遅くして行う、すなわち一般には工程(c)の添加時間を15〜300分、好ましくは30〜100分として行うのがとりわけ有利である。これは、そのような添加時間とすることで、極端に低いレベルの表面Si−OH基をもつケイ素粒子が生成するからである。
一般には、本発明の方法の工程(c)は攪拌しながら80〜100℃の温度で通常は工程(b)と同じ温度で行う。従って、工程(c)の操作温度は有利には90〜100℃であり、好ましくは95℃程度である。該方法の特定の代替的実施形態によれば、これはとりわけ食品、歯磨剤、化粧品又は医薬用途以外の用途に使用することができるシリカの製造に関して適用されるが、工程(c)の間は、好ましくは該工程の終了時(すなわち典型的には該工程の最後の4/1に相当する時間、一般には該工程の最後の5〜15分間)に、反応媒体中へ、アルミニウムをベースとした化合物、好ましくは例えば硫酸アルミニウムのような酸性塩、或いはアルミン酸ナトリウムのような塩基性化合物を導入することができる。ここで導入されるアルミニウム化合物の量は一般には、反応媒体中で、Al/SiO2の比率が0.1〜1重量%となるような量である。該比率は好ましくはせいぜい0.6%、好ましくは0.5%以下である。
工程(c)の正確な実施形態が何であれ、該工程終了時の反応媒体は特定的に7〜8、好ましくは約7.5のpHである。
【0039】
シリカについて想定される用途に応じて、3〜6.5のpH領域へ媒体を酸性化する工程(d)は添加する酸性化剤の量によって変化し得る。好ましくは、工程(d)の結果到達する媒体のpHは3.2〜5.5である。
工程(d)の酸性化剤は別無く工程(b)及び(c)で利用したものと同一でも異なってもよい。好ましくは、工程(d)の酸性化剤は0.25〜8Nの規定度で水溶液の形態として媒体に導入する。適当な場合には、濃度が通常25〜380g/Lの硫酸水溶液であるのが有利である。
該方法の工程(a)、(b)、(c)及び(d)の組み合わせは好ましくは90〜100℃で行うのが好ましく、有利には93〜97℃で、より有利には該方法を通じて実質的に95℃に等しい温度で行う。
【0040】
本発明の方法の有利な代替的な形態によれば、工程(c)及び(d)の結果得られたシリカ分散水は熟成工程を受けることができる。熟成工程は、適切な場合には、媒体を残して、好ましくは攪拌しながら、90〜100℃の温度で有利には15〜240分の時間、好ましくは30分よりも長い時間行うのが通常である。熟成中の温度は好ましくは実質的に一定(適切な場合は、95℃に実質的に等しい。)であるか又は90〜100℃の温度範囲内で増加(適切な場合は、一般に段階的)する。
アルミニウム化合物(とりわけ硫酸アルミニウム型)の添加は、工程(c)の終了時に想定することができるが、工程(d)又は熟成工程を実施するときはその後の熟成工程で行うこともできる。従って、一般には、アルミニウムベース化合物の媒体への添加は工程(c)及び工程(e)の間で行うことができる。
【0041】
該方法の工程(e)及び(f)では全体としては先の工程の結果得られた分散液から固体シリカを回収する。
【0042】
一般には、工程(e)では、工程(d)及び随意的に続く熟成工程の結果得られた分散液をフィルタープレスで濾過するか又はロータリーフィルター、ベルトフィルター若しくは平坦型フィルターを用いて真空下で濾過する。この濾過操作により“シリカケーキ”が得られる。得られたシリカケーキは通常は次いで洗浄工程を受ける。塩の含量を低減するために、洗浄は一般に水で行い、充分に長時間行うのが好ましい。その後、工程(f)で乾燥を受けるが、特に適当な霧化(例えばロータリー、ノズル、液圧、2流体霧化器)によって行う。
ここでは、霧化器へポンプで供給するために充分に低粘度を有するシリカスラリーを形成するために、シリカケーキを事前に崩壊するのが一般的である。
本発明によれば、該スラリーは1000℃での強熱減量は82重量%を超え、好ましくは少なくとも84重量%であり、より特別には84〜88重量%である。
適切な場合は、崩壊操作は、例えば、ケーキに機械的作用及び随意的には化学的作用(酸やアルミニウムベース化合物の添加)を与える公知の方法で行うことができる。
一般には、このような崩壊操作の結果、低粘度のスラリーが工程(f)のための霧化器に直接ポンプ供給することができるシリカ分散水の形態で与えられる。
【0043】
工程(f)の結果得られた乾燥シリカは随意的に凝集工程を受けることができ、これは特に直接圧縮、湿式造粒(すなわち、水のようなバイダーを使用)、押出成形、及び好ましくは乾燥圧縮成形による。乾燥圧縮成形の技術を利用するときは、該圧縮成形を行う前に、粉状生成物に含まれる空気を除去してより均一な圧粉体とするために粉状生成物を脱気(予備圧縮又は脱泡とも呼ばれる操作)するのが有利であることが分かった。凝集工程の結果、生成物は、例えば篩い分けにより、所望の寸法に選別することができる。入手可能な圧縮沈降シリカは次いで顆粒の形態で提供されるのが有利である。適切な場合、該顆粒は非常に多様な形状で提供することができる。特に挙げることのできる形状の例は球状、円筒状、平行六面体、平板(タブレット)、薄片(フレーク)、小球(ペレット)、及び円形若しくは多裂片(polylobar)部分をもつ押出物である。上記顆粒の平均寸法は好ましくは2〜20mmである。
【0044】
工程(f)の結果得られ、その後に随意的に凝集化されたシリカは平均粒径又は中央粒径が30μmから20mmであるのが好ましい。
【0045】
工程(f)の結果得られ、その後に随意的に凝集化されたシリカは次いで微粉化又は好ましくは製粉化することができる。
【0046】
こうして得られたシリカは平均粒径又は中央粒径が30μm未満、好ましくは20μm、とりわけ5〜15μm、特に8〜13μmであるのが好ましい。
【0047】
微粉化は空気ジェットミルのような超微粉砕機を用いて行うことができる。
【0048】
製粉化はとりわけ機械式ミル、例えばACM、Forplex型、とりわけ分級ハンマー・ミルを用いて行うことができる。
【0049】
本発明に係る沈降シリカは優れた分散傾向を示す。
該シリカは、有利には平均粒径又は中央粒径が30μm未満、好ましくは20μm、とりわけ5〜15μm、例えば8〜13μmであるときに(本発明の第一の代替的実施形態に係るシリカ)、
・ 靴底用のエラストマー(とりわけ、透明又は半透明エラストマー)をベースとしたマトリックス中の補強充填剤として、
・ シリコンをベースとしたマトリックス(とりわけ、高温又は室温硬化性シリコンエラストマーマトリックス)中で優れたレオロジー特性を与えつつ、満足度の高い機械的特性を与える補強充填剤として、
使用するのにとりわけ好適である。
【0050】
本発明に係るシリカは靴底の製造用のエラストマー(とりわけ、透明又は半透明エラストマー)をベースとしたマトリックスの補強においてとりわけ有利な用途を有する。上記の分散性シリカにより、靴底の構成要素である透明又は半透明のゴム製部品の製造に使用される透明又は半透明のマトリックスを強化することが可能となる。有利には、非常に優れた透過性を有する強化マトリックスを得ることがこの種のマトリックスに使用できる本発明に係るシリカの量は一般にエラストマーの重量に対して10〜50%、とりわけ20〜40%である。
【0051】
本発明に係るシリカは、とりわけ絶縁用、とりわけ電線被覆用の、高温硬化型のペースト状若しくはエラストマー性のオルガノシリコン組成物(マトリックス)(例:HTVシリコン)又は室温硬化型のペースト状若しくはエラストマー性のオルガノシリコン組成物(マトリックス)を強化するに当たって等しく有利な用途を有する。前記シリコーンベースのマトリックスは、とりわけ絶縁用のものは、架橋前に押出成形することができる。本発明のシリカの低吸水性により、とりわけ押出成形中の、泡の生成を回避若しくは制限することが可能となる。該シリカベースのマトリックスはモールド成形することもできる。本発明に係るシリカはシリコンマトリックスに対して非常に優れた電気及び機械的特性(とりわけ引裂き強度又は極限強さ)を有利に与える。
硬化性オルガノポリシロキサン又はこの種の組成物中に存在するオルガノポリシロキサンの種類、並びに硬化剤及びその他の添加剤の種類は、硬化条件と同様に、当業者に良く知られており、特に国際出願WO 03/055801に開示されている。
シリコンをベースとした前記マトリックスを補強するために使用可能な本発明に係るシリカの量はシリコンペーストに関しては3〜20%の範囲、又はエラストマー性組成物に関しては5〜50%、好ましくは10〜40%の範囲とすることができる。
【0052】
本発明に係るシリカの可能な用途は、その優れた吸収能力及び満足度の高い流動性にとりわけ起因する、液体用の担体としての使用である。
液体としては、有機酸、表面活性剤(例えば陰イオン性若しくは非イオン性タイプ)、ゴム/ポリマー用の有機添加剤、又は殺虫剤のような有機液体を挙げることができる。
好ましくは、液体としてはとりわけ、香料、着色剤、液状補助食品(とりわけ動物に与えるため(例:ビタミンE、酢酸ビタミンE若しくは塩酸コリン))又は保存料、好ましくはカルボン酸(例:プロピオン酸)のような液体添加剤がここでは使用される。
本発明に係るシリカで作った担体上に吸収された少なくとも1種の液体を含む調整組成物は好ましくは液含量が少なくとも50重量%、とりわけ50〜75重量%、例えば50〜65重量%である。
【0053】
更に、本発明のシリカは、食品、化粧品若しくは医薬組成物又は塗料若しくは紙を製造するための組成物といったような種々の組成物中で充填剤及び/又は担体及び/又は賦形剤として利用することができる。
【0054】
本発明のシリカを、電池に用いる分離多孔質膜(電池セパレータ)を製造するためのポリマーをベースとした組成物中で溶媒及び/又は油の担体として、例えば60重量%程度の量で、使用することもできる。担持された該溶媒及び/又は油を押出成形/カレンダー成形後に抽出すると、孔のネットワークが生じる。
【0055】
本発明に係るシリカは、有利には平均粒径又は中央粒径が30μm〜20mmであるときに(本発明の第二の代替的形態に係るシリカ)、歯磨剤の製造中に歯磨剤に組み込むことができる。歯磨剤はペースト状又はゲル状で提供することができ、こうして歯磨剤を増粘させ又は歯磨剤に質感を与えることができる。
【0056】
本発明によれば、前記シリカは歯磨剤の0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、とりわけ1〜10重量%の割合にて、増粘剤又は質感付与剤として使用することができる。
【0057】
前記歯磨剤は付加的にその他の通常成分、とりわけ水不溶性無機研磨剤、随意的なその他の増粘剤、湿潤剤等を含むことができる。
【0058】
研磨剤としては、研磨シリカ、炭酸カルシウム、水和アルミナ、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、又は、メタリン酸及びリン酸のナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩を特に挙げることができる。研磨粉は全量で歯磨剤の重量の約5〜50%を占めることができる。
【0059】
その他の増粘剤の中では、キサンタンガム、グアーガム、カラゲーナン、セルロース誘導体、アルギナート等を挙げることができ、これらは歯磨剤の重量の5%までの範囲の量とすることができる。
【0060】
湿潤剤の中では、例えば、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はキシリトールを挙げることができ、これらは乾燥ベースで歯磨剤の重量の約2〜85%、好ましくは約3〜55%の量とすることができる。
【0061】
更に、歯磨剤はとりわけ表面活性剤、洗剤、着色剤、抗菌剤、フッ素化誘導体、乳白剤、香料、甘味料、歯石若しくは歯垢除去剤、漂白剤、重炭酸ナトリウム、防腐剤、酵素又は天然抽出物(カミツレ、タイム等)を含むことができる。
【0062】
以下の実施例は本発明の例示であるが、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0063】
実施例1〜3
模範的な不透明練り歯磨きペースト
− ソルビトール(Neosorb 70/70 (Roquette Freres社)) 45
− ポリエチレングリコールPEG1500 5
− サッカリンナトリウム 0.2
− フッ化ナトリウム 0.08
− モノフルオロリン酸ナトリウム 0.72
− 水 24.2
− 研磨シリカ(Rhoida社のTixosil63) 10
− 本発明のシリカ 7
− 二酸化チタン 1
− スペアミント香料 1
− 発泡剤(水中で30%): 5
− Texapon Z 95 P (Cognis社)
【0064】
歯磨剤の粘度測定
該ペーストを製造した後に37℃で所定時間25mmの直径のチューブに入ったペーストについて測定した。
使用した測定装置はヘリパスの付いたBrookfield RVT粘度計とした。TEスピンドルは5rpm(回転毎分)で使用した。測定は90秒後に下方向に行った。
【0065】
実施例1
水14000gと236g/L(SiO2当量)のケイ酸ナトリウム水溶液450gを、温度及びpHを調節するためのシステムと3ブレードのプロペラをもつ攪拌システムとを備えた反応器に導入した。ケイ酸ナトリウムのSiO2/Na2O重量比(Rw)は3.46とした。
【0066】
攪拌(250回転毎分)を開始後に、こうして形成した容器基部を95℃に加熱し、80g/Lの硫酸水溶液を添加することにより11分かけてpHを7.5とした(平均流量は61g/分)。
【0067】
pHが7.5に達すると、236g/L(SiO2当量)のケイ酸ナトリウム水溶液3045g(Rw=3.46)を35g/分の一定流量で連続的に加えながら(添加時間:87分)、測定した媒体のpH変化に応じて制御した流量で80g/Lの硫酸水溶液を媒体に添加することにより媒体のpHを7.5(の約0.1pH単位内)に等しい値に維持した。調べてみると、3383gの硫酸水溶液を媒体に加えていたが、これは平均流量で40g/分の硫酸水溶液が加えられたことに相当する。
【0068】
87分間の添加時間後に、シリケートの添加を停止し、反応混合物のpHが3.6で安定するまで酸の添加を継続した。溶液を5分間攪拌しておくことにより熟成を行った。
【0069】
その後、得られたスラリーを平坦型フィルターで濾過及び洗浄し、次いで得られたケーキ(強熱減量は80.5%)をpH5.5で機械的に崩壊し、次いで回転霧化により乾燥した。
【0070】
得られた未製粉乾燥シリカの物理化学的特性は以下の通りである。
− pH:5.9
− 中央粒径: 80μm
− 超音波後の中央粒径: 31.0μm
− 超音波後の51μmを超える%: 18.6
− Na2SO4含量: 1.6重量%(乾燥状態の材料の全重量に対して)
− CTAB比表面積: 133m2/g
− BET比表面積: 143m2/g
− DOP吸油量: 305mL/100g
− 1000℃での強熱減量: 6.5%
− 105℃で2時間後の残留水含量: 3.9%
− 吸水量: 5.8%
− 透過率: 屈折率1.460で80%
− 充填密度(PD): 0.27g/mL
− 4週間後の模範的練り歯磨きペーストの粘度: 250mPa・s
【0071】
実施例2
比較実施例1に記載した操作を繰り返したが、乾燥生成物を製粉して中央粒径10μmを得た。
【0072】
得られた製粉乾燥シリカの物理化学的特性は以下の通りである。
− pH:5.9
− 中央粒径: 10μm
− 超音波後の中央粒径: 7μm
− 超音波後の51μmを超える%: 1.0
− Na2SO4含量: 1.6重量%(乾燥状態の材料の全重量に対して)
− CTAB比表面積: 133m2/g
− BET比表面積: 143m2/g
− DOP吸油量: 315mL/100g
− 1000℃での強熱減量: 7%
− 105℃で2時間後の残留水含量: 4.4%
− 吸水量: 5.9%
− 透過率: 屈折率1.460で80%
− 充填密度(PD): 0.1g/mL
− 4週間後の模範的練り歯磨きペーストの粘度: 325mPa・s
【0073】
実施例3
水14000gと236g/L(SiO2当量)のケイ酸ナトリウム水溶液630gを、温度及びpHを調節するためのシステムと3ブレードのプロペラをもつ攪拌システムとを備えた反応器に導入した。ケイ酸ナトリウムのSiO2/Na2O重量比(Rw)は3.46とした。
【0074】
攪拌(250回転毎分)を開始後に、こうして形成した容器基部を95℃に加熱し、80g/Lの硫酸水溶液を添加することにより11分かけてpHを7.5とした(平均流量は61g/分)。
【0075】
pHが7.5に達すると、236g/L(SiO2当量)のケイ酸ナトリウム水溶液3600g(Rw=3.46)を48g/分の一定流量で連続的に加えながら(添加時間:75分)、測定した媒体のpH変化に応じて制御した流量で80g/Lの硫酸水溶液を媒体に添加することにより媒体のpHを7.5(の約0.1pH単位内)に等しい値に維持した。調べてみると、3975gの硫酸水溶液を媒体に加えていたが、これは平均流量で53g/分の硫酸水溶液が加えられたことに相当する。
【0076】
90分間の添加時間後に、シリケートの添加を停止し、反応混合物のpHが3.4で安定するまで酸の添加を継続した。溶液を5分間攪拌しておくことにより熟成を行った。
【0077】
その後、得られたスラリーを平坦型フィルターで濾過及び洗浄し、次いで得られたケーキ(強熱減量は86%)をpH5で機械的に崩壊し、次いで回転霧化により乾燥した。
【0078】
得られた未製粉乾燥シリカの物理化学的特性は以下の通りである。
− pH:5.3
− 中央粒径: 65μm
− 超音波後の中央粒径: 22μm
− 超音波後の51μmを超える%: 3.3
− Na2SO4含量: 1.0重量%(乾燥状態の材料の全重量に対して)
− CTAB比表面積: 182m2/g
− BET比表面積: 185m2/g
− DOP吸油量: 340mL/100g
− 1000℃での強熱減量: 6.5%
− 105℃で2時間後の残留水含量: 3.9%
− 吸水量: 5.7%
− 透過率: 屈折率1.460で85%
− 充填密度(PD): 0.18g/mL
− 4週間後の模範的練り歯磨きペーストの粘度: 615mPa・s
【0079】
実施例4
水14000gと236g/L(SiO2当量)のケイ酸ナトリウム水溶液450gを、温度及びpHを調節するためのシステムと3ブレードのプロペラをもつ攪拌システムとを備えた反応器に導入した。ケイ酸ナトリウムのSiO2/Na2O重量比(Rw)は3.46とした。
【0080】
攪拌(250回転毎分)を開始後に、こうして形成した容器基部を98℃に加熱し、80g/Lの硫酸水溶液を添加することにより11分かけてpHを7.5とした(平均流量は61g/分)。
【0081】
pHが7.5に達すると、236g/L(SiO2当量)のケイ酸ナトリウム水溶液3150g(Rw=3.46)を35g/分の一定流量で連続的に加えながら(添加時間:90分)、測定した媒体のpH変化に応じて制御した流量で80g/Lの硫酸水溶液を媒体に添加することにより媒体のpHを7.5(の約0.1pH単位内)に等しい値に維持した。調べてみると、3510gの硫酸水溶液を媒体に加えていたが、これは平均流量で39g/分の硫酸水溶液が加えられたことに相当する。
【0082】
90分間の添加時間後に、シリケートの添加を停止し、反応混合物のpHが3.4で安定するまで酸の添加を継続した。溶液を5分間攪拌しておくことにより熟成を行った。
【0083】
その後、得られたスラリーを平坦型フィルターで濾過及び洗浄し、次いで得られたケーキ(強熱減量は86.4%)をpH4.3で機械的に崩壊し、次いで回転霧化により乾燥した。
【0084】
その後、乾燥したシリカを分級ハンマー・ミルを用いて製粉した。
【0085】
得られた粉末状シリカの物理化学的特性は以下の通りである。
− pH:4.6
− 中央粒径: 12μm
− Na2SO4含量: 0.25重量%(乾燥状態の材料の全重量に対して)
− CTAB比表面積: 166m2/g
− BET比表面積: 170m2/g
− DOP吸油量: 365mL/100g
− 1000℃での強熱減量: 5%
− 105℃で2時間後の残留水含量: 2.5%
− 吸水量: 5.8%
− 充填密度(PD): 0.08g/mL

【特許請求の範囲】
【請求項1】
・ CTAB比表面積が140〜230m2/g、好ましくは145〜195m2/g、より好ましくは145〜185m2/g、とりわけ150〜185m2/g、特に150〜180m2/g、
・ DOP吸油量が300ml/100gを超え、好ましくは310ml/100gを超え、より好ましくは315〜450ml/100g、とりわけ320〜400ml/100g、特に340〜380ml/100g、
・ 吸水量が6%未満であり、好ましくは3%を超え、とりわけ4%以上5.8%以下、
・ pHが3.5〜7.5、好ましくは4〜7、とりわけ4〜6、
・ 残留アニオン量が、硫酸ナトリウムで表して、2%以下、好ましくは1.5%以下、とりわけ1%以下、特に0.5%以下、
・ 平均粒径又は中央粒径が30μm未満であるか、又は30μm〜20mm、
である沈降シリカ。
【請求項2】
平均粒径又は中央粒径が30μm未満、好ましくは20μm未満、とりわけ5〜15μm、特に8〜13μmであることを特徴とする請求項1に記載のシリカ。
【請求項3】
平均粒径又は中央粒径が30μm〜20mmであることを特徴とする請求項1に記載のシリカ。
【請求項4】
超音波による解凝集後の中央粒径がせいぜい35μm、好ましくはせいぜい30μm、とりわけせいぜい25μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のシリカ。
【請求項5】
BET−CTABの差がせいぜい30m2/g、好ましくはせいぜい25m2/g、より好ましくはせいぜい20m2/g、とりわけせいぜい10m2/gであるようなBET比表面積をもつことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のシリカ。
【請求項6】
せいぜい0.3g/mL、好ましくは0.04〜0.3g/mLの充填密度を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のシリカ。
【請求項7】
粉末状で提供されることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のシリカ。
【請求項8】
以下の工程:
・ (a)水及びシリケートを含有する80〜100℃、好ましくは90℃以上の温度の出発容器基部を作る工程(該容器基部中のシリケートの濃度は、SiO2当量で表して15g/L以下である。);
・ (b)80〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度で酸性化剤を添加して媒体のpHを7〜8の値、好ましくは7.2〜7.8の値、有利には7.3〜7.7の値(典型的には、実質的に7.5に等しい値)とする工程;
・ (c)こうして得られた媒体中に、80〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度でシリケート及び酸性化剤を同時に添加する工程(時間をかけて添加されるシリケートと酸性化剤のそれぞれの量は、添加中を通じて:
− 反応媒体のpHが7〜8、有利には7.2〜7.8に留まる;及び
− 媒体中のケイ素濃度が、SiO2当量で表して35g/L以下に留まる:
ように特定的に選択される。)
・ (d)工程(c)の結果得られた媒体に80〜100℃、好ましくは90〜100℃の温度で酸性化剤を添加して媒体のpHを3〜6.5とする工程;
・ (e)得られたシリカ分散水を濾過する工程;
・ (f)濾過の結果生じた濾過ケーキを(好ましくは事前に洗浄してから)乾燥する工程;
・ (g)工程(f)の結果得られたシリカを随意的に製粉化又は微粉化する工程;
を含み、
前記方法は、工程(f)での乾燥前に、濾過ケーキの1000℃における強熱減量が82%を超え、好ましくは少なくとも84%、とりわけ84〜88%であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカを製造する方法。
【請求項9】
靴底用のエラストマー(とりわけ透明又は半透明エラストマー)をベースとしたマトリックス中の補強用充填剤としての請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカ又は請求項8に記載の方法によって得られたシリカの使用。
【請求項10】
シリコンをベースとしたマトリックス中の補強用充填剤としての請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカ又は請求項8に記載の方法によって得られたシリカの使用。
【請求項11】
液体用の担体としての請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカ又は請求項8に記載の方法によって得られたシリカの使用。
【請求項12】
ペースト状、ゲル状、固体状若しくは液体状の有機又は水性マトリックス中の増粘性充填剤、担体及び/又は賦形剤としての請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカ又は請求項8に記載の方法によって得られたシリカの使用。
【請求項13】
ペースト状又はゲル状の歯磨剤中の増粘性充填剤としての請求項12に記載の使用。
【請求項14】
電池セパレータを製造するための請求項1〜7の何れか一項に記載のシリカ又は請求項8に記載の方法によって得られたシリカの使用。

【公表番号】特表2007−519593(P2007−519593A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544508(P2006−544508)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003313
【国際公開番号】WO2005/061384
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】