説明

低温流体用昇圧ポンプ

【課題】 ポンプ効率を向上させることができる低温流体用昇圧ポンプを提供すること。
【解決手段】 外周面に複数本のリング溝11aが形成されたピストン11と、前記リング溝11a内に配置される複数本のピストンリング14と、これらピストン11およびピストンリング14をその内部に形成されたシリンダ12a内に収容するシリンダブロック12と、前記シリンダ12a内に吸入される低温流体の流路を開閉する弁体16を備えた吸入弁13とを具備した低温流体用昇圧ポンプ10であって、前記弁体16を開方向に付勢する付勢部材22が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温の流体を圧縮して昇圧させる低温流体用昇圧ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、低温(0℃以下)の流体(例えば、水素)を圧縮して昇圧させる低温流体用昇圧ポンプとしては、ピストンヘッドにピストンリングを有するピストン式のものが知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
【非特許文献1】遠藤拓也ほか著、「新エネルギー自動車」、山海堂、1995年1月、p.221−222
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
また、このような低温流体用昇圧ポンプに用いられる吸入弁としては、シリンダ内の圧力が負圧(シリンダ内に供給される低温流体(圧縮される前の低温流体)の圧力よりも低い圧力)になると、シリンダ内の圧力とシリンダ内に供給される(大気圧状態の)低温流体の圧力との差によって開状態となるもの(例えば、逆止弁(あるいはチェック弁)のようなもの)が知られている。
しかしながら、このような吸入弁を具備した低温流体用昇圧ポンプでは、シリンダ内の圧力が、シリンダ内に供給される(大気圧状態の)低温流体の圧力よりも下がらないと吸入弁が開状態にならないため、ポンプ効率が低下してしまうといった問題点があった。
また、シリンダ内において低温流体がガス化してしまうと、シリンダ内の圧力がさらに高くなってしまい、吸入弁が開状態となるまでにさらなる時間を要し、ポンプ効率がさらに悪化してしまうといった問題点もあった。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、ポンプ効率を向上させることができる低温流体用昇圧ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明による低温流体用昇圧ポンプは、外周面に複数本のリング溝が形成されたピストンと、前記リング溝内に配置される複数本のピストンリングと、これらピストンおよびピストンリングをその内部に形成されたシリンダ内に収容するシリンダブロックと、前記シリンダ内に吸入される低温流体の流路を開閉する弁体を備えた吸入弁とを具備した低温流体用昇圧ポンプであって、前記弁体を開方向に付勢する付勢部材が設けられている。
このような低温流体用昇圧ポンプによれば、弁体が、付勢手段により常にシリンダ内への流路を開く方向(例えば、図1および図2において上方向)に付勢されており、付勢手段の付勢力が、この弁体に作用する力(流路を閉じようとする力)に打ち勝つと、流路が開放された状態となる。すなわち、吸入行程において、シリンダ内の圧力が大気圧と等しいかあるいはそれよりも若干高くても弁体が持ち上げられて、流路が開放されることとなる。そして、ピストンが上死点に向かって後退し、シリンダ内の圧力が大気圧よりも低くなると、シリンダ内に(大気圧状態の)低温流体が流入してくる。これにより、シリンダ内に流入する(供給される)低温流体の液量を増加させることができ、ポンプ効率を向上させることができる。
また、弁体は、付勢手段により常に開く方向(例えば、図1および図2において上方向)に付勢されているので、吸入行程において、シリンダ内の圧力が大気圧と等しいかあるいはそれよりも若干高くても弁体を確実に開方向に移動させることができて、流路を開放させることができる。したがって、シリンダ内に流入する(供給される)低温流体の圧力を上げることなく、シリンダ内への流路を開放することができ、装置の簡略化を図ることができ、製造コストの低減化を図ることができる。
【0006】
上記低温流体用昇圧ポンプにおいて、前記ピストンリングの合口すべてが、前記シリンダブロックの側面に設けられた流体流出口の側に常に位置するように構成されているとさらに好適である。
このような低温流体用昇圧ポンプによれば、シリンダ内の死容積中でガス化してしまった低温流体を、各ピストンリングの合口を介してシリンダブロックの外部に排出させることができるので、つぎの(引き続き行われる)吸入行程において、この死容積部の影響を受けずに低温流体を流入させることができ、シリンダ内に流入する(供給される)低温流体の液量を増加させることができて、ポンプ効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ポンプ効率を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明による低温流体用昇圧ポンプの第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る低温流体用昇圧ポンプ10は、ピストン11と、ピストンロッド(図示せず)と、シリンダブロック12と、吸入弁13とを主たる要素として構成されたものである。
ピストン11は、シリンダブロック12の内部に形成されたシリンダ12a内に往復動可能に収容された概略円筒状を呈する部材であり、その一端面(図1において下側の端面)により低温流体(例えば、液体水素、液体窒素、液体酸素、液化炭酸ガス、液化天然ガス、液化プロパンガス等)が圧縮され得るようになっている。
また、ピストン11の外周面(すなわち、シリンダ12aの内周面(シリンダ壁)と対向する面)にはリング溝11aが形成されているとともに、このリング溝11a内には、樹脂(例えば、ポリ4フッ化エチレン)からなるピストンリング14が配置されている。
【0009】
ピストンロッドは、断面視円形を呈する概略棒状の部材であり、その一端部は、ピストン11の他端面中央部に連結されているとともに、その他端部は、図示しない動力伝達部に接続されている。
動力伝達部は、図示しない駆動源からの動力によりピストンロッドを、例えば、2mmのストロークで上下方向に直線的に往復動させるものである。
【0010】
シリンダブロック12は、その内部に概略中空円筒状のシリンダ12aを有する部材である。シリンダブロック12の一端(図1において下端)は開口部とされており、この開口部には、吸入弁13が設けられている。一方、シリンダブロック12の他端は、ピストンロッドが貫通する貫通穴(図示せず)を除いて閉塞部となっており、ピストンロッドと貫通穴との間には低温シール(図示せず)が設けられている。
また、シリンダブロック12の側面(例えば、図1において右側の面)には、ピストン11の一端面により圧縮された(1.3MPa程度に昇圧された)低温流体が流出する流体流出口15が設けられており、流体流出口15の下流側には、図示しない逆止弁(チェック弁)が設けられている。この逆止弁は、所定圧力(例えば、1.2MPa)以上の流体圧力が加わる(かかる)と開状態となり、流体圧力が所定圧力未満になると閉状態となるものである。
【0011】
吸入弁13は、弁体16と、弁ケーシング17とを主たる要素として構成されたものである。
弁体16は、円柱形状のロッド18と、ロッド18の一端側に設けられ、ロッド18から遠ざかるにつれて拡径する略円錐台形状のヘッド19とを備えている。
ロッド18の他端部(図1において下側の端部)には、その平坦な一端面がバネ受け面20aとされた拡径部20が形成されている。
ヘッド19の平坦な一端面(図1において上側の端面)19aは、ピストン11の一端面により圧縮される低温流体が押し付けられる受圧面とされており、その側面には、周方向に沿ってシート面19bが形成されている。
【0012】
弁ケーシング17は、図1に示すように、断面視略T字型を呈する部材であり、その外周部には、周方向に沿って複数個(例えば、8個(図2(c)参照))の流体流入口17aが、板厚方向(図1において上下方向)に形成されている。また、弁ケーシング17の一端面(図1において上側の端面)には、ヘッド19のシート面19bと合致する弁座17bが形成されており、シート面19bが弁座17b上に着座したときに、流体流入口17aの出口端のすべてが完全に閉塞されるようになっている。
【0013】
弁ケーシング17の他端面(図1において下側の端面)側の中央部には、ロッド18の拡径部20と、ロッド18の軸部(拡径部20以外の部分)を軸受け支持する滑り軸受21と、弁体16をピストン11の側(図1において上側)に付勢するバネ(付勢部材)22と、バネ受け23とを収容する凹所17cが形成されている。
滑り軸受21は、ロッド18の軸部外周面と、凹所17cの内壁面との間に、これらロッド18の軸部外周面および凹所17cの内壁面の一部と接するように配置されている。また、滑り軸受21の一端面(図1において下側の端面)は、拡径部20の他端面と当接する受け面とされている。滑り軸受21の一端面と、拡径部20の他端面とは、弁体16がバネ22の力によってピストン11の側に押圧されて、ピストン11の側へ所定距離移動した場合に当接し、これにより、弁体16のピストン11の側への動きが拘束されるようになっている。そして、この滑り軸受21は、シリンダ12a内の低温流体が、凹所17c内に流入することを防止するシール部材としての役目も果たすものである。
【0014】
凹所17cの一端部(滑り軸受21が配置されている側と反対側の端部)には、バネ受け23が設けられて(嵌入されて)おり、拡径部20のバネ受け面20aと、バネ受け23の一端面(図1において上側の端面)との間には、バネ22が配置されている。バネ22は、前述したように弁体16をピストン11の側に付勢するものである。そのため、ヘッド19の一端面19aに作用する力(弁体16をバネ22の側へ押圧する力)が、バネ22の力よりも小さいときには、図1(a)の状態をとることとなる。そして、バネ22の力が、ヘッド19の一端面19aに作用する力に対して、完全に抗することができなくなる(打ち勝つことができなくなる)と、流体流入口17aの出口端のすべてが完全に閉塞され、図1(b)の状態をとることとなる。
【0015】
以上の構成により、本実施形態による低温流体用昇圧ポンプ10では、吸入工程において弁体16がバネ22の付勢力によりピストン11の側に押圧され、シート面19bが弁座17bから離れることにより流体流入口17aの出口端のすべてが開放されて、大気圧状態の低温流体がシリンダ12a内に流入するようになっている(図1(a)参照)。
また、圧縮行程においては、ピストン11の一端面により圧縮される低温流体がヘッド19の一端面19aに作用し、この力がバネ22の付勢力に打ち勝つようになると弁体16が徐々に弁ケーシング17の側に押圧されていき、シート面19bが弁座17b上に着座して、流体流入口17aの出口端のすべてが完全に閉塞される。その後、さらにピストン11がヘッド19の側に移動していくことにより、ピストン11の一端面とヘッド19の一端面19aとの間で低温流体がさらに圧縮されて、低温流体が所望の圧力(例えば、1.3MPa程度)に加圧(昇圧)されると、加圧された低温流体が流体流出口15からシリンダブロック12の外部に導き出されるようになっている。
【0016】
本実施形態による低温流体用昇圧ポンプ10によれば、弁体16は、バネ22により常に開く方向(図1において上方向)に付勢されており、バネ22の付勢力がヘッド19の一端面19aに作用する力に打ち勝つと、流体流入口17aの出口端のすべてが開放された状態となる。すなわち、吸入行程において、シリンダ12a内の圧力が大気圧と等しいかあるいはそれよりも若干高くても弁体16が持ち上げられて、流体流入口17aの出口端のすべてが開放されることとなる。そして、ピストン11が上死点に向かって後退し、シリンダ12a内の圧力が大気圧よりも低くなると、シリンダ12a内に(大気圧状態の)低温流体が流入してくる。これにより、シリンダ12a内に流入する(供給される)低温流体の液量を増加させることができ、ポンプ効率を向上させることができる。
また、弁体16は、バネ22により常に開く方向(図1において上方向)に付勢されているので、吸入行程において、シリンダ12a内の圧力が大気圧と等しいかあるいはそれよりも若干高くても弁体16を確実に開方向に移動させることができて、流体流入口17aの出口端のすべてを開放させることができる。したがって、シリンダ12a内に流入する(供給される)低温流体の圧力を上げることなく、流体流入口17aを開放することができ、装置の簡略化を図ることができ、製造コストの低減化を図ることができる。
【0017】
本発明による低温流体用昇圧ポンプの第2実施形態を、図2を用いて説明する。
本実施形態における低温流体用昇圧ポンプ30は、吸入弁13の代わりに、吸入弁31が設けられているという点で前述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0018】
吸入弁31は、弁体32と、弁ケーシング33とを主たる要素として構成されたものである。
弁体32は、中央部に平面視円形状の開口部32aを有する輪状(ドーナツ状)の板状部材(図2(c)参照)であり、シリンダブロック12の一端部(図2において下側の端部)に形成された凹所12b内に収められているとともに、この凹所12b内において、シリンダブロック12の長手方向(図2において上下方向)に沿って摺動自在となっている。
弁体32の一端面(図2において上側の端面)32bは、ピストン11の一端面により圧縮される低温流体が押し付けられる受圧面とされており、その他端面(図2において下側の端面)32cは、シート面兼バネ受け面となっている。
【0019】
弁ケーシング33は、図1に示すように、断面視略凸型を呈する部材であり、その外周部には、周方向に沿って複数個(例えば、8個(図2(c)参照))の流体流入口33aが、板厚方向(図2において上下方向)に形成されている。また、弁ケーシング33の一端面(図2において上側の端面)には、弁体32のシート面(他端面)32cと合致する弁座33bが形成されており、シート面32cが弁座33b上に着座したときに、流体流入口33aの出口端のすべてが完全に閉塞されるようになっている。
【0020】
また、流体流入口33aの入口側(弁ケーシング33の他端面側(図2において下側の端面側)には、バネ受け34が設けられて(嵌入されて)おり、弁体32のバネ受け面(他端面)32cと、バネ受け34の一端面(図2において上側の端面)との間には、バネ(付勢部材)35が配置されている。バネ35は、弁体32をピストン11の側に付勢するものである。そのため、弁体32の一端面32bに作用する力(弁体32をバネ35の側へ押圧する力)が、バネ35の力よりも小さいときには、図2(a)の状態をとることとなる。そして、バネ35の力が、弁体32の一端面32bに作用する力に対して、完全に抗することができなくなる(打ち勝つことができなくなる)と、流体流入口33aの出口端のすべてが完全に閉塞され、図2(b)の状態をとることとなる。なお、弁体32の一端面32bに作用する力は、開口部32aの内径を変更して、弁体32の受圧面(一端面)32bの面積を変えることにより、容易に調整することができる。
【0021】
以上の構成により、本実施形態による低温流体用昇圧ポンプ30では、吸入工程において弁体32がバネ35の付勢力によりピストン11の側に押圧され、シート面32cが弁座33bから離れることにより流体流入口33aの出口端のすべてが開放されて、大気圧状態の低温流体がシリンダ12a内に流入するようになっている(図2(a)参照)。
また、圧縮行程においては、ピストン11の一端面により圧縮される低温流体が弁体32の一端面32bに作用し、この力がバネ35の付勢力に打ち勝つようになると弁体32が徐々に弁ケーシング33の側に押圧されていき、シート面32cが弁座33b上に着座して、流体流入口33aの出口端のすべてが完全に閉塞される。その後、さらにピストン11が弁体32の側に移動していくことにより、ピストン11の一端面と弁体32の一端面32bとの間で低温流体がさらに圧縮されて、低温流体が所望の圧力(例えば、1.3MPa程度)に加圧(昇圧)されると、加圧された低温流体が流体流出口15からシリンダブロック12の外部に導き出されるようになっている。
【0022】
本実施形態による低温流体用昇圧ポンプ30の作用効果は、前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0023】
本発明による低温流体用昇圧ポンプの第3実施形態を、図3を用いて説明する。
本実施形態における低温流体用昇圧ポンプ40は、各ピストンリングの合口42bが、常に流体流出口15の側に位置するように構成されているという点で前述した第1実施形態および第2実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、図3には、第2実施形態のところで説明した低温流体用昇圧ポンプと同様の構成を有する低温流体用昇圧ポンプを示しており、前述した第1実施形態および第2実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0024】
図3(b)に示すように、水平面内において流体流出口15と反対の側に位置するピストン41の各リング溝41a内には、長手方向(図3(a)において上下方向)に沿って凸部41bが形成されている。
また、リング溝41a内に収められる各ピストンリング42の、凸部41bと対向する内周面(すなわち、水平面内において流体流出口15と反対の側に位置する内周面)には、凸部41bに向かって凸部42aが形成されている。
ピストン41とピストンリング42との間には、バックアップリング43がそれぞれ収められている。バックアップリング43は、水平面内において流体流出口15と反対の側に合口を有する(すなわち、ピストンリング42の合口42bと反対の側に合口を有する)リング状の部材であり、合口の一端面と他端面との間に、リング溝41a内に形成された凸部41bおよびピストンリング42の凸部42aが位置し、ピストンリング42がピストン42およびバックアップリング43に対して回転しないように(すなわち、各ピストンリング42の合口42bが、常に流体流出口15の側に位置するように)なっている。
【0025】
本実施形態による低温流体用昇圧ポンプ40によれば、各ピストンリング42の合口42bが、常に流体流出口15の側に位置するように構成されており、シリンダ12a内の死容積中でガス化してしまった低温流体が、これらピストンリング42の合口42bを介してシリンダブロック12の他端側に向かって導かれた後、図示しないガス流出口からシリンダブロック12の外部に導き出されることとなる。
このように、本実施形態による低温流体用昇圧ポンプ40では、シリンダ12a内の死容積中でガス化してしまった低温流体を各ピストンリング42の合口42bを介してシリンダブロック12の外部に排出させることができるので、つぎの(引き続き行われる)吸入行程において、この死容積中にも低温流体を流入させることができ、シリンダ12a内に流入する(供給される)低温流体の液量を増加させることができて、ポンプ効率をさらに向上させることができる。
その他の作用効果は、前述した第1実施形態および第2実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0026】
なお、本発明は上述した実施形態のものに限定されるものではなく、適宜必要に応じて変形実施することができる。例えば、第3実施形態のところで説明したピストンリング42は、必ずしもすべてのピストンリング42の合口42bが流体流出口15の側に向くように構成されている必要はなく、少なくとも最も流体流出口15に近い(図3において最も下側に位置する)ピストンリング42の合口42bのみが流体流出口15の側に向くように構成されていればよい。
また、弁体16,32の開閉のタイミングやシリンダ内に流入する低温流体の量は、バネ22,35のバネ力(付勢力)を調整することで容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による低温流体用昇圧ポンプの第1実施形態を示す要部概略縦断面図であって、(a)はピストンが上死点の位置にある状態を示す図であり、(b)はピストンが下死点の位置にある状態を示す図である。
【図2】本発明による低温流体用昇圧ポンプの第2実施形態を示す図であって、(a)はピストンが上死点の位置にある状態を示す要部概略縦断面図、(b)はピストンが下死点の位置にある状態を示す要部概略縦断面図、(c)は吸入弁の要部分解斜視図である。
【図3】本発明による低温流体用昇圧ポンプの第3実施形態を示す図であって、(a)はピストンが下死点の位置にある状態を示す要部概略縦断面図、(b)は(a)のb−b矢視断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 低温流体用昇圧ポンプ
11 ピストン
11a リング溝
12 シリンダ
12a シリンダブロック
13 吸入弁
14 ピストンリング
15 流体流出口
16 弁体
22 バネ(付勢部材)
30 低温流体用昇圧ポンプ
31 吸入弁
32 弁体
35 バネ(付勢部材)
40 低温流体用昇圧ポンプ
41 ピストン
41a リング溝
42 ピストンリング
42b 合口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数本のリング溝が形成されたピストンと、前記リング溝内に配置される複数本のピストンリングと、これらピストンおよびピストンリングをその内部に形成されたシリンダ内に収容するシリンダブロックと、前記シリンダ内に吸入される低温流体の流路を開閉する弁体を備えた吸入弁とを具備した低温流体用昇圧ポンプであって、
前記弁体を開方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする低温流体用昇圧ポンプ。
【請求項2】
前記ピストンリングの合口すべてが、前記シリンダブロックの側面に設けられた流体流出口の側に常に位置するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の低温流体用昇圧ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−100645(P2007−100645A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293865(P2005−293865)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)(平成17年5月17日付け 平成17年度、18年度、19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「水素安全利用等基盤技術開発/水素インフラに関する研究開発/液体水素直接高圧ガス化昇圧ポンプの開発」委託研究、産業活力再生特別措置法30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】