説明

低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物及び低誘電率セラミック誘電体

【課題】800℃〜950℃の低温焼成が可能であり、4.5〜6.0(1MHz)の低い誘電率及び低い誘電損失率を有する低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物及びこれを低温で焼成して製造した低誘電率セラミック誘電体を提供する。
【解決手段】低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物において、SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を含有するホウケイ酸塩ガラスフリット44重量%〜65重量%、充填材34重量%〜55重量%、及びZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤0.1重量%〜5重量%とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を含有するホウケイ酸塩ガラスフリット44重量%〜65重量%、充填材34重量%〜55重量%、及びZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤0.1重量%〜5重量%とを含む低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物及びこれを低温で焼成して製造した低誘電率セラミック誘電体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在移動通信分野では電子部品素子の高速化及び高集積化の要求に応じて、信号転送速度を早くすることができ高集積化を可能とする低誘電性と強度が良好な特性を有する基板材料の必要性が高くなっている。
【0003】
特に、このような基板材料は伝導性が優れたAg或いはPd/Ag、Auなどのような導体材料を使用することができなければならないことで、絶縁層の厚さと微細回路パターンを構成することができなければならないため、950℃以下の低温での焼成が要求されていた。このような要求に合わせて最近注目を浴びている有望な材料がいくつかあるが、その中でも低誘電率誘電体セラミック組成物のうちアルミナ−ガラス質複合体の場合、熱的、化学的、機械的及び誘電特性が優れているため、多くの研究が進められてきた。アルミナは誘電率10以下の代表的な誘電体材料として、機械的強度が非常に優れている。また、ガラスがホウケイ酸塩ガラスである場合、誘電率をかなり下げることができ、誘電体薄膜材料としても優れているが、基板材料として使用するには機械的強度を低下させるという問題がある。
【0004】
誘電率を下げつつ機械的強度をある程度維持するためにはアルミナより少し低い誘電率を有する誘電体セラミックを使用する方法がある。MgAl、ZnAlなどのスピネル構造を有するセラミックが低誘電率特性を有するセラミックとして広く知られているが、大韓民国特許第2006−0108283号公報を見ると、このような充填材を適用したLTCC低誘電率誘電体組成物を公開したところがある。この組成物により製造された試片の誘電特性を見ると、1MHzで誘電率4〜9程度であり選択された組成物によって誘電率を6以下に下げることが十分に可能である。また別の方法としては、ガラスを結晶化させてガラスにより低下された機械的強度を上げる方法がある。
【0005】
ガラスを結晶化させる方法として低温焼結させる方法があるが、低温焼結のためにはアルミナなどの充填材よりはガラスフリットが大部分を構成するため、焼結過程でガラスフリットに結晶化を引き起こして強度を向上させたりもする。しかし、焼結時に結晶化を引き起こしながら緻密化も良好である条件を決めるのが非常に難しいという短所が存在する。
【0006】
焼成する過程でガラスフリットの大部分が結晶化されることで微細な結晶が析出され、このような結晶が破壊時に発生するクラックの進路を妨害することで強度を大きく向上させるが、ガラスの組成を見てみると、結晶化が容易に起きるようにするためにBは少量使用し、主組成としてはSiO、Alと合わせてLiO、NaOのようなアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類酸化物の添加量が20重量%以上で多量適用されるが、このようなアルカリ金属酸化物又はアルカリ土類酸化物の適用は従来の高融点ホウケイ酸塩ガラス組成とは異なり、製造された誘電体組成物の化学的耐久性を低下させるという問題点と、析出された結晶相の粒度を任意に制御することが難しいため900℃以下の焼成温度で組成物の最適緻密化を行うことが難しいという問題点があった。このような主要結晶化ガラス組成系はディオプサイドとアノーサイト組成系があり、代表的な特許としては米国特許第6,953,756号明細書、米国特許第6,897,172号明細書、特開2003−165766号公報、特開2004−284937号公報、特開2005−15239号公報などがある。
【0007】
従って、産業界では既存の誘電体組成物の低い誘電率を維持しつつも機械的強度が優れた新規の低温焼成用誘電体セラミックに対する要求が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国特許第2006-0108283号公報
【特許文献2】米国特許第6,953,756号明細書
【特許文献3】米国特許第6,897,172号明細書
【特許文献4】特開2003−165766号公報
【特許文献5】特開2004−284937号公報
【特許文献6】特開2005−15239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の発明者は既存の低温焼成用セラミック誘電体に対する問題点を解決するために努力、研究した結果、本発明者の特許発明である大韓民国登録特許第10−0704318号公報を改良して、既存の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物に核形成剤の導入を通して部分的にガラスを結晶化させることで、機械的強度を大きく増加させるだけでなく、低誘電率を有するように組成物質間の最適組成比を探し出すことで本発明を完成するに至った。即ち、本発明の目的は、機械的強度が優れた低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物及び低誘電率セラミック誘電体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物は、SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を含有するホウケイ酸塩ガラスフリット44重量%〜65重量%と、Al、SiO、3Al・2SiO(ムライト)、(Mg,Fe3+AlSi18(コーディエライト)、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、ZnAl及びZrSiOの中から選択された1種又は2種以上の充填材34重量%〜55重量%と、ZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤0.1重量%〜5重量%とを含むことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物及び低誘電率セラミック誘電体によると、950℃以下、好ましくは800℃〜950℃の低温で焼成が可能であり、4.5〜6.0範囲の低い誘電率及び0.1%以下の低い誘電損失率を有するだけでなく、200MPa以上の機械的強度を有するため耐衝撃性が強い。このような本発明は、高集積電子部品、アンテナ部品、基板、特に低温同時焼成セラミック(LTCC、Low Temperature Co−fired Ceramic)基板などの製造の幅広い応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実験例2で実施したSEM写真として、図1(a)は実施例3の組成物を、そして図1(b)は実施例6の組成物を利用して製造した低温焼成用低誘電率誘電体に対するSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、先に紹介した本発明を更に詳しく説明する。
【0014】
本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物は、ホウケイ酸塩ガラスフリット、充填材及び核形成材を含むことにその特徴がある。
【0015】
このような本発明の前記誘電体組成物の組成物質及び組成比を具体的に説明すると、SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を含有するホウケイ酸塩ガラスフリット44重量%〜65重量%と、Al、SiO、3Al・2SiO(ムライト)、(Mg,Fe3+AlSi18(コーディエライト)、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、ZnAl及びZrSiOの中から選択された1種又は2種以上の充填材34重量%〜55重量%と、ZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤0.1重量%〜5重量%とを含むことをその特徴とする。
【0016】
本発明において、前記ホウケイ酸塩ガラスフリットはセラミック誘電体組成物の全体重量に対して44重量%〜65重量%を使用することが好ましいが、ここで、前記ホウケイ酸塩ガラスフリットが44重量%未満の場合、950℃以下の温度で焼成時に緻密化が十分に行われないという問題が発生し得、65重量%を超過すると、焼成時に過焼結現象および器片変形が発生し得るため、前記範囲内で使用するのが良い。また、前記充填材はセラミック誘電体組成物の全体重量に対して34重量%〜55重量%を使用することが好ましいが、ここで、前記充填材の使用量が34重量%未満の場合、機械的物性が減少するという問題が発生し得、55重量%を超過すると、焼結温度が増加するという問題が生じ得る。そして、前記核形成剤はセラミック誘電体組成物の全体重量に対して0.1重量%〜5重量%を使用するのが良いが、ここで、前記核形成剤の使用量が0.1重量%未満の場合、その使用量が非常に少なくガラスを十分に結晶化させることができないため、機械的強度の上昇効果を得ることができず、5重量%を超過して使用すると、充填材の使用量が増加すると同時に焼結温度が増加するという問題が発生し得るため、前記範囲内で使用することが好ましい。
【0017】
このような本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物は、核形成剤によりガラスフリットの部分結晶化が起き、本発明の前記組成物を利用して製造した誘電体は、ウォラストナイト(CaSiO)、ランキナイト(CaSi)、ラーナイト(CaSiO)、ハトルライト(CaSiO)、ディオプサイド(CaMgSi)及びアノーサイト(CaAlSi)の中から選択された1種又は2種以上の結晶相を有する。
【0018】
本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物各々を次に説明する。
【0019】
−ホウケイ酸塩ガラスフリット−
本発明において、低い誘電率を有する誘電体として導入された前記ホウケイ酸塩ガラスフリットは、SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を含むが、その組成比率は、SiO60モル%〜70モル%、B15モル%〜25モル%、Al1モル%〜5モル%、アルカリ土類酸化物0.5モル%〜15モル%及びアルカリ金属酸化物0.1モル%〜3モル%を含むことをその特徴とする。ここで、前記SiOが前記ガラスフリット全体モル数に対して60モル%未満の場合、化学的安定性に問題が発生し得、70モル%を超過すると、ガラスフリットを製造する時に1600℃の高温でもガラス化されないという問題が発生し得る。Bが15モル%未満のときガラス化問題が発生し得、25モル%を超過すると、機械的、物理的問題が発生し得る。また、前記Alが前記ガラスフリット全体モル数に対して1モル%未満の場合、化学的耐久性が低調するという問題が発生し得、5モル%を超過すると、ガラスフリットを製造する時にガラス化温度が上昇し、ガラスの粘度を非常に高めるという問題が発生し得る。前記アルカリ土類酸化物が0.5モル%未満の場合、ガラスの粘性流動を円滑に生じさせる効果がなく、15モル%を超過すると、結晶化が起きてガラスではない結晶質が大部分を占めるという問題が発生し得る。アルカリ金属酸化物が0.1モル%未満の場合、アルカリ土類と同様に粘性流動を円滑にする効果がほとんどなく、3モル%を超過すると、ガラスフリットの誘電率の増加、化学的耐久性の弱化、水和反応などの問題があるため、前記範囲内のモル比を有するように使用するのが良い。
【0020】
そして、前記ホウケイ酸塩ガラスフリットを構成する前記アルカリ金属酸化物はガラスの網目を切り粘性流動を円滑にする役割をし、これに特別に限定しないが、LiO及びNaOの中から選択された1種又は2種を使用することが好ましい。
【0021】
更に、前記ホウケイ酸塩ガラスフリットを構成する前記アルカリ土類酸化物はアルカリ金属酸化物と同様にガラスフリットを製造する際、ガラスの粘性流動を円滑にする役割をしながらも化学的安定性面でアルカリ金属酸化物より良好であるため、このようなアルカリ土類酸化物はMgO、CaO、SrO及びZnOの中から選択された1種又は2種以上を使用することが好ましいが、これに特別に限定するわけではない。
【0022】
このような本発明の組成物質である前記ホウケイ酸塩ガラスフリットは、平均粒度が1μm〜4μm、好ましくは1.5μm〜3.5μm、更に好ましくは2μm〜3μmであるものを使用するのが良いが、ここで、前記ホウケイ酸塩ガラスフリットの平均粒度が1μm未満の場合、充填材と混合する過程で均一に分散されないという問題が発生し得、4μmを超過すると、焼成時に前記ガラスが液状化されて充填材との間の気孔を埋め、緻密化が不良であり緻密化される速度も非常に遅いため、前記範囲の平均粒度を有するようにするのが良い。
【0023】
−充填材−
本発明の組成物質のうちの一つである前記充填材は、焼成過程で形状維持及び焼成体の機械的強度を増加させる役割をするが、このような前記充填材は先で説明したように、Al、SiO、3Al・2SiO(ムライト)、(Mg,Fe3+AlSi18(コーディエライト)、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、ZnAl及びZrSiOの中から選択された1種又は2種以上の充填材を使用することができる。
【0024】
−核形成剤−
本発明の主要組成物質のうちの一つである前記核形成剤は先で説明したように、ガラスフリットの部分的な結晶化を引き起こして機械的強度を向上させる役割をするが、これに特別に限定しないが、ZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上を使用するのが良い。
【0025】
このような低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物は、誘電率4.5〜6.0の低い誘電率、0.04%〜0.1%の低い誘電損失率及び200MPa以上の優れた機械的強度を有する。
【0026】
以下ではこのような本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物の製造方法について説明する。
【0027】
−製造方法−
本発明は4段階を経て製造が可能であり、各段階別に詳しく説明すると次のとおりである。
【0028】
まず、第1段階では、SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物のパウダーを乾式混合法にて混合した後、前記混合物を1450℃〜1650℃で溶融及び急冷してガラスを得る。そして第2段階では、前記ガラスを粗粉砕及び微粉砕して平均粒度1μm〜4μmのサイズを有するホウケイ酸塩ガラスフリットを得る。
【0029】
第3段階では、Al、SiO、3Al・2SiO(ムライト)、(Mg,Fe3+AlSi18(コーディエライト)、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、ZnAl及びZrSiOの中から選択された1種又は2種以上の混合粉末を、更に詳しくはこれらのうちムライト、コーディエライト、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、及びZnAlの中から選択された1種又は2種以上の混合粉末を準備して、これを1,000℃〜1,200℃の範囲で空気中で2時間〜3時間か焼させて充填材を得る。
【0030】
最後に前記第2段階で得た前記ホウケイ酸塩ガラスフリットと前記第3段階で製造した充填材及びZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤を混合した後、これを800℃〜950℃で焼成させる第4段階を通して本発明を製造することができる。
【0031】
前記製造方法で使用されるガラスフリット、充填材及び核形成剤の含有量とこれら各々を構成する構成物質の構成比率とこれらの特徴は先で説明したところと同一である。
【0032】
前記第1段階において、前記混合物を1450℃未満で溶融時、SiOのような高融点粉末が溶融されないという問題が発生し得、1650℃を超過する温度で溶融時、白金るつぼとの反応や変形をもたらし得、前記第3段階において、前記混合物を1,000℃未満でか焼時、未反応の粉末相が存在し得、1,200℃を超過する温度でか焼時、合成上の粒子が成長するという問題が発生し得るため、前記範囲の温度を維持するのが良い。そして、第4段階において、800℃未満で焼成時、緻密化が十分に行われず、950℃を超過する温度で焼成時、試片の変形や内部気孔が成長する過焼結が生じ得るため、前記範囲の温度を維持するのが良い。
【0033】
先で説明した本発明の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体は、高集積電子部品、アンテナ部品、基板、特に低温同時焼成セラミック(LTCC)基板などに使用することができる。
【0034】
以下では本発明を実施例に依拠して更に詳細に説明する。しかし、本発明の権利範囲が下記実施例に限定されるわけではない。
【0035】
(実施例)
−製造例−
<ホウケイ酸塩ガラスフリットの製造>
下記表1に表示される様々なタイプのホウケイ酸塩ガラスフリットを製造するために、表1に表示された成分を乾式混合した後、前記混合物を白金るつぼに入れて約1630℃の温度で溶融して得た溶融液を水冷槽で急冷させてガラスを得た後、得たガラスを1次粗粉砕させ、これを再び2次として微粉砕させて平均粒度2μm〜3μmのホウケイ酸塩ガラスフリットを得た。
【0036】
【表1】

【0037】
−実施例1〜10及び比較例1〜10−
<低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物の製造>
下記表2に表示される低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物を利用して低温焼成用低誘電率セラミック組成物を製造して、実施例1〜10及び比較例1〜10を製造した。
【0038】
【表2】

【0039】
実施例1
物性測定実験
前記実施例及び比較例で製造した組成物を下記表3で表示した温度で焼成した後、低温焼成用低誘電率セラミック誘電体を製造し、製造された誘電体各々の機械的物性、誘電率及び誘電損失率を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0040】
【表3】

【0041】
前記表3の実験結果を見てみると、核形成剤を使用した本発明の実施例1〜10の組成物を焼成させて製造した低温焼成用低誘電率セラミック誘電体が、核形成剤を使用しなかった比較例1〜10の組成物を焼成させて製造した低温焼成用低誘電率セラミック誘電体より機械的強度が非常に優れていることを確認することができる。そして、誘電率は比較例よりは若干高いが、非常に低い誘電率を見せており、誘電損失率もまた非常に低いことを確認することができる。
【0042】
実施例2
SEM電子顕微鏡測定
前記実施例1で製造した実施例3及び実施例6の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体の走査電子顕微鏡(SEM)の写真を図1(a)及び図1(b)に各々示した。図1から分かるように、各々最適の焼結温度で焼成相対密度が97%以上で、SEM写真の観察を通しても気孔がほぼない緻密化された結果を得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を含有するホウケイ酸塩ガラスフリット44重量%〜65重量%と、
Al、SiO、3Al・2SiO、(Mg,Fe3+AlSi18、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、ZnAl及びZrSiOの中から選択された1種又は2種以上の充填材34重量%〜55重量%と、
ZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤0.1重量%〜5重量%と、
を含むことを特徴とする低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物。
【請求項2】
前記ホウケイ酸塩ガラスフリットは平均粒度1μm〜4μmであることを特徴とする、請求項1記載の低温焼成用低誘電率セラミック誘電体組成物。
【請求項3】
請求項1又は2の前記セラミック誘電体組成物を800℃〜950℃で低温焼成させて製造した低誘電率セラミック誘電体。
【請求項4】
誘電率4.5〜6.0(1MHz)、誘電損失率0.04%〜0.1%及び機械的強度200MPa〜250MPaであることを特徴とする、請求項3記載の低誘電率セラミック誘電体。
【請求項5】
ウォラストナイト、ランキナイト、ラーナイト、ハトルライト、ディオプサイド、及びアノーサイトの中から選択された1種又は2種以上の結晶相を含むことを特徴とする、請求項4記載の低誘電率セラミック誘電体。
【請求項6】
SiO、B、Al、アルカリ土類酸化物及びアルカリ金属酸化物を乾式混合した後、前記混合物を1450℃〜1650℃で溶融及び急冷してガラスを得る第1段階と、
前記ガラスを粗粉砕及び微粉砕させて平均粒度1μm〜4μmのサイズを有するホウケイ酸塩ガラスフリットを得る第2段階と、
Al、SiO、3Al・2SiO、(Mg,Fe3+AlSi18、MgAl、MgSiO、MgSiO、MgB、SrSiO、SrAlSi、SrB、ZnAl及びZrSiOの中から選択された1種又は2種以上の混合物を粉砕して混合粉末を得た後、これを1,000℃〜1,200℃の範囲で空気中で2時間〜3時間か焼させて充填材を得る第3段階と、
前記ホウケイ酸塩ガラスフリット、前記充填材、及びZrO、TiO、La及びWOの中から選択された1種又は2種以上の核形成剤を混合した後、これを800℃〜950℃で焼成させる第4段階と、
を含むことを特徴とする低誘電率セラミック誘電体の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−132540(P2010−132540A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250679(P2009−250679)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(504173275)コレア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー (3)
【Fターム(参考)】