説明

住宅用エネルギー管理システム

【課題】住宅全体におけるエネルギー状態を一元管理でき、かつ各機器を一つのコントローラで制御できる住宅用エネルギー管理システムを提供する
【解決手段】系統電力1を制御する制御器7と、自家発電手段2を制御する制御器2aと、蓄電手段3を制御する制御器3cと、走行体用蓄電手段4を制御する制御器4cと、家庭内負荷5を制御する制御器5d,5e,5fとが接続される共通コントローラ8を備え、共通コントローラ8が各制御器7,2a,3c,4c,5d,5e,5fを制御することによって、前記エネルギー消費および供給を管理するので、住宅全体におけるエネルギー消費および供給を一元管理でき、かつ各機器を一つのコントローラ(共通コントローラ)8で制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅用エネルギー管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
個人住宅や小規模店舗において利用されるエネルギーを管理するシステムの一例として特許文献1に記載のものが知られている。
この管理システムは、室内の空気調和を行う複数の空気調和設備と、複数の検出器あるいは複数のセンサと、前記複数の空気調和設備の運転を設定・制御する複数のコントローラと、室内の複数の家電機器あるいは照明器具を制御する複数のコントローラと、システムへの入力ができ、かつシステムの状態を表示する複数のモニタ端末とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−331372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の管理システムでは、住宅全体におけるエネルギーの移動を把握して一元管理できなかった。
特に、近年では、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)等の電気エネルギーで走行する自動車が開発され、一部は既に市場に投入されているが、このような電気エネルギーで走行する自動車(走行体)を含めた住宅全体におけるエネルギー状態を把握して一元管理できなかった。
また、住宅の様々な場所に、機器ごとの表示・操作端末が散在しており、利用者は各機器の運転や設定に関する操作を各々の表示操作端末で行わなければならず、誤操作や勘違いの原因となっていた。
また、
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、住宅全体におけるエネルギー状態を一元管理でき、かつ各機器を一つのコントローラで制御できる住宅用エネルギー管理システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1および図2に示すように、外部の系統電力1と、住宅に設けられた自家発電手段2と、前記住宅に設けられた蓄電手段3と、電気で駆動する走行体に設けられた走行体用蓄電手段4と、前記住宅に設けられた家庭内負荷5とが連携され、これらによるエネルギー消費および供給を管理する住宅用エネルギー管理システムであって、
前記系統電力1を制御する制御器7と、前記自家発電手段2を制御する制御器2aと、前記蓄電手段3を制御する制御器3cと、前記走行体用蓄電手段4を制御する制御器4cと、前記家庭内負荷5を制御する制御器5d,5e,5fとが接続される共通コントローラ8を備え、
前記共通コントローラ8が前記各制御器7,2a,3c,4c,5d,5e,5fを制御することによって、前記エネルギー消費および供給を管理することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、共通コントローラ8が、系統電力1、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5の各々の制御器を制御することによって、エネルギー消費および供給を管理するので、住宅全体におけるエネルギー消費および供給を一元管理でき、かつ各機器を一つのコントローラ(共通コントローラ)8で制御できる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラ8は、前記自家発電手段2によって発電された余剰のエネルギーを売電する売電コントローラ9aおよび/または電力融通する融通コントローラ9bを制御することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、共通コントローラ8が売電コントローラ9aおよび/または電力融通する融通コントローラ9bを制御することによって、売電および電力融通を含めた住宅全体におけるエネルギーの消費および供給を一元管理できる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラ8は、前記系統電力1、前記自家発電手段2、前記蓄電手段3、前記走行体用蓄電手段4、前記家庭内負荷5による住宅全体のエネルギー収支状況、前記自家発電手段2によるエネルギー供給状況、前記蓄電手段3および前記走行体用蓄電手段4のエネルギー収支状況、前記家庭内負荷5によるエネルギー消費状況を表示可能であることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、共通コントローラ8が住宅全体のエネルギー収支状況、自家発電手段2によるエネルギー供給状況、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー収支状況、家庭内負荷5によるエネルギー消費状況等を表示することによって、利用者はこれらの状況を容易に確認できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記各制御器と、前記共通コントローラ8とは、前記住宅を構成する少なくとも一部の建物ユニットに予め工場等で設けられた通信手段を介して接続されることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、通信手段が設けられた建物ユニットによって住宅を構築することによって、各制御器と共通コントローラ8を通信手段によって容易に接続できるので、本システムの構築が容易となる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記自家発電手段2、前記蓄電手段3、前記走行体用蓄電手段4、前記家庭内負荷5のそれぞれに接続された複数の制御器のうちの少なくとも一つの制御器に、この制御器を制御可能な端末コントローラ10a〜10fが接続されており、
前記共通コントローラ8は、前記端末コントローラ10a〜10fに前記制御器の制御を前記共通コントローラ8より優先させることが可能であることを特徴とする。
つまり、共通コントローラ8を有する一方で、各機器(自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5等)別の端末コントローラ10a〜10fを有する。そして、優先的に制御を行うコントローラを端末コントローラ10a〜10fにするのか共通コントローラ8にするのかを、例えば共通コントローラに設けられた選択スイッチによって選択可能とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、共通コントローラ8が、端末コントローラ10a〜10fに制御器の制御を共通コントローラ8より優先させることが可能であるので、必要に応じて端末コントローラ10a〜10fによって、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5に接続された制御器を制御することができる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラ8は、前記系統電力1および自家発電手段2と、前記蓄電手段3、前記走行体用蓄電手段4および前記家庭内負荷5との間の接続状態を表示可能であり、かつ、これらのエネルギー消費および供給を制御可能であることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、系統電力1および自家発電手段2によるエネルギーを供給する側と、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4および家庭内負荷等5によるエネルギーを備蓄または消費する側との接続状態を表示することができるとともに、これらエネルギー消費および供給を制御することができる。また、共通コントローラ8に、エネルギー消費量、コストを表示させることもできる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラ8は、前記蓄電手段3および前記走行体用蓄電手段4の接続が解除されそうな状態を検知した際に、前記蓄電手段3および前記走行体用蓄電手段4のエネルギー状態が不十分であると判断すると、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示することを特徴とする。
また、共通コントローラ8は、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4への充電量(エネルギー状態)が不十分か否かによらず、エネルギーレベルと充電に必要な充電時間を常に表示することが好ましい。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、共通コントローラ8が、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー状態が不十分であると判断すると、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示するので、利用者は蓄電手段3および走行体用蓄電手段4に、フル充電状態になるまでエネルギーを蓄電するか否かを決めることができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記走行体用蓄電手段4を制御する制御器4cに、端末コントローラ10cが接続されており、
この端末コントローラ10cは、前記警告および時間を表示することを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、走行体用蓄電手段4のエネルギー状態が不十分であると判断すると、端末コントローラ10cが警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示するので、利用者は端末コントローラ10cを確認することによって、走行体用蓄電手段4に、フル充電状態になるまでエネルギーを蓄電するか否かを決めることができる。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラ8は、複数の自動運転モードを有し、かつ、所望の自動運転モードを選択可能となっており、
これら複数の自動運転モードのうち、エコロジーモードが選択された場合、前記共通コントローラ8は、住宅内でのエネルギーの自給自足を最優先し、余剰のエネルギーが発生した場合、前記蓄電手段3と前記走行体用蓄電手段4に備蓄するように、前記各制御器を制御することを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明によれば、共通コントローラ8が、住宅内でのエネルギーの自給自足を最優先するので、自家発電手段2で発電されたエネルギーは、家庭内負荷5によって消費され、余剰のエネルギーが発生した場合、前記蓄電手段3と前記走行体用蓄電手段4に備蓄するので、最適なエネルギー運用が可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、系統電力を制御する制御器と、自家発電手段を制御する制御器と、蓄電手段を制御する制御器と、走行体用蓄電手段を制御する制御器と、家庭内負荷を制御する制御器とが接続される共通コントローラを備え、この共通コントローラが各制御器を制御することによって、エネルギー消費および供給を管理するので、住宅全体におけるエネルギー消費および供給を一元管理でき、かつ各機器を一つのコントローラ(共通コントローラ)で制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る住宅用エネルギー管理システムの一例を示すもので、その概略構成を示す図である。
【図2】同、概略構成を示すブロック図である。
【図3】同、エコロジーモードを説明するためのフローチャートである。
【図4】同、エコノミーモードにおいて、低電力料金時間帯に電力を蓄電する方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】同、エコノミーモードを説明するためのフローチャートである。
【図6】同、非常時対応モードを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明に係る住宅用エネルギー管理システムの一例を説明する。
図1は、本発明に係る住宅用エネルギー管理システムの概略構成を示すものである。図1に示すように、住宅用エネルギー管理システムは、外部の系統電力1と、住宅に設けられた自家発電手段2と、前記住宅に設けられた蓄電手段3と、電気で駆動する走行体に設けられた走行体用蓄電手段4と、前記住宅に設けられた家庭内負荷5とが連携され、これらによるエネルギー消費および供給を管理するものである。
【0027】
系統電力1は電力会社からの供給される交流電力であり、住宅内に設けられた集中分電盤6に供給されるようになっている。
集中分電盤6には、系統電力1を蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5に供給する制御器7が設けられており、この制御器7は集中分電盤6を介して共通コントローラ8に接続されている。そして、この共通コントローラ8によって、制御器7を制御することによって、系統電力1を、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5のうちの所望の機器に供給できるようになっている。
共通コントローラ8は、前記制御器7、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5をそれぞれ制御する制御部8aを備えている。
【0028】
また、集中分電盤6には、自家発電手段2によって発電された余剰のエネルギー(電力)を系統側に売電する売電コントローラ9aと、他の地域などに電力融通する融通コントローラ9bとが設けられており、これら売電コントローラ9aおよび融通コントローラ9bは、共通コントローラ8に接続されている。そして、この共通コントローラ8の制御部8aによって、売電コントローラ9aを制御することによって、前記余剰のエネルギーを系統側に売電でき、融通コントローラ9bを制御することによって、前記余剰のエネルギーを他の住宅や他の地域に供給できるようになっている。
【0029】
前記自家発電手段2は、例えば電力エネルギーを創出する太陽光発電装置や燃料電池であり、この自家発電手段2は、それを制御する制御器2aを備え、この制御器2aは集中分電盤6を介して前記共通コントローラ8に接続されている。そして、この共通コントローラ8の制御部8aが制御器2aを制御することによって、自家発電手段2が制御されるようになっている。
共通コントローラ8には、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5等の機器別に表示画面や操作画面が表示されるようになっており、自家発電手段2用の操作画面上で操作・設定入力情報を入力できるようになっている。例えば、操作画面上で、自家発電手段2の起動、停止、運転時間等を設定することができるようになっている。
【0030】
前記蓄電手段3は、自家発電手段2によって発電された余剰の発電電力(エネルギー)や、割安な夜間(低電力料金時間帯)の系統電力1を蓄電し、かつ、必要に応じて放電可能な装置であり、リチウムイオン電池等で構成された蓄電池3aと、電力変換機3bと、制御器3cと、電力量計3dを備えている。
電力変換機3bは、交流の系統電力1を直流電力に変換するものであり、制御器3cによって制御されている。そして、この制御器3cは、電力変換機3bによって直流電力に変換された系統電力1を蓄電池3aに蓄電したり、自家発電手段2によって発電された直流の発電電力を蓄電池3aに蓄電したり、また、蓄電池3aに蓄電されている電力を必要に応じて放電するように、蓄電池3aの充放電を制御するようになっている。
そして、放電された電力(エネルギー)は、走行体用蓄電手段4や家庭内負荷5に供給される。制御器3cは、共通コントローラ8に接続されており、この共通コントローラ8の制御部8aが制御器3cを制御することによって、蓄電手段3が制御されるようになっている。
例えば、共通コントローラ8の蓄電手段3用の操作画面上で、操作・設定入力情報を入力することによって、制御器3cに充放電指示を行えるようになっている。充放電指示を行う場合、共通コントローラ8の操作画面上にて、運転モード、充放電開始時刻、充放電完了時刻、充電する際の電力の優先順位などの条件を設定するようになっている。
なお、充電する際の電力の優先順位とは、系統電力1と自家発電手段2の発電電力のうちのどちらを優先して、充電電力として使用するかの順位を意味する。
また、制御器3cは、蓄電池3aに蓄電されている蓄電量(充電量)を検出する機能を備えている。
【0031】
前記走行体用蓄電手段4は、プラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)等の電気エネルギーで走行する走行体用の蓄電手段であり、蓄電池4aと電力変換機4bと制御器4cを備えている。電力変換機4bは、交流の系統電力を直流電力に変換するものであり、制御器4cによって制御されている。そして、この制御器4cは、電力変換機4bによって直流電力に変換された系統電力を蓄電池4aに蓄電したり、自家発電手段2によって発電された直流の発電電力を蓄電池4aに蓄電したり、また、蓄電池4aに蓄電されている電力を必要に応じて放電するように、蓄電池4aの充放電を制御するようになっている。
走行体用蓄電手段4には、充電ケーブルが着脱可能に接続されており、この充電ケーブルが集中分電盤6に接続されている。
また、制御器4cは、集中分電盤6を介して共通コントローラ8に接続されており、この共通コントローラ8の制御部8aが制御器4cを制御することによって、走行体用蓄電手段4が制御されるようになっている。
例えば、共通コントローラ8の走行体用蓄電手段4用の操作画面上で、操作・設定入力情報を入力することによって、制御器4cに充放電指示を行えるようになっている。充放電指示を行う場合、共通コントローラ8の操作画面上にて、運転モード、充放電開始時刻、充放電完了時刻、充電する際の電力の優先順位などの条件を設定するようになっている。
なお、充電する際の電力の優先順位とは、系統電力1と自家発電手段2の発電電力のうちのどちらを優先して、充電電力として使用するかの順位を意味する。
また、制御器4cは、蓄電池4aに蓄電されている蓄電量(充電量)を検出する機能を備えている。
【0032】
前記家庭内負荷5としては、例えば、ヒートポンプ技術を利用して、空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯器である蓄熱装置5a、エアコン等の空調機器5b、住宅内に備えられた冷蔵庫、洗濯機、エアコン、テレビ、照明等の電気機器5c等が挙げられる。
これら家庭内負荷5(5a,5b,5c)は、それぞれこれらを制御する制御器5d,5e,5fを備え、これら制御器5d,5e,5fは集中分電盤6を介して前記共通コントローラ8に接続されている。そして、この共通コントローラ8の制御部8aが制御器5d,5e,5fを制御することによって、家庭内負荷5(5a,5b,5c)が制御されるようになっている。
例えば、共通コントローラ8の家庭内負荷5用の操作画面上で、操作・設定入力情報を入力することによって、家庭内負荷5(5a,5b,5c)の起動、停止、運転時間等を設定することができるようになっている。
【0033】
また、前記自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5等の機器の制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fには、これら制御器を制御可能な端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fが集中分電盤6を介して接続さている。これら端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fは、住宅内の適宜の場所に設置されている。
そして、共通コントローラ8は、端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fに制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fの制御を共通コントローラ8の制御部8aによる制御より優先させることを可能とするようになっている。
端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fのそれぞれには、表示画面や操作画面が表示され、それぞれの操作画面上で操作・設定入力情報を入力できるようになっている。
したがって、必要に応じて端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fによって、機器2,3,4,5に接続された制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fを制御することができる。
【0034】
前記各制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fと、共通コントローラ8とは、住宅を構成する少なくとも一部の建物ユニットに予め工場等で設けられた通信手段を介して接続されるようになっている。
建物ユニットは直方体状の骨組みを有するものであり、この建物ユニットを複数現場で組み合わせることによって、ユニット式住宅が構築される。
建物ユニットの上面には、天井が設けられ、下面には床が設けられ、側面には外壁材や内壁材で構成される壁が設けられる。
そして、天井、床、壁に、予め工場等において、各制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fと、共通コントローラ8とを接続する通信手段を設けておく。
通信手段は、有線、無線あるいはこれらを組み合わせたものを採用する。
有線の場合、所定の建物ユニットに集中分電盤6を取り付けておくとともに、各制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fと集中分電盤6とを接続する導線および集中分電盤6と共通コントローラ8とを接続する導線を予め適宜の建物ユニットの天井、床、壁に配置しておく。
また、無線の場合、集中分電盤6と共通コントローラ8とに、それぞれ無線通信手段を設けておき、この無線通信手段によって、集中分電盤6と共通コントローラ8とを接続するようにする。
【0035】
このように、建物ユニットの天井、床、壁に、予め工場等において、各制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fと、共通コントローラ8とを接続する通信手段を設けられているので、通信手段が設けられた建物ユニットによって住宅を構築することによって、各制御器2a,3c,4c,5d,5e,5fと共通コントローラ8を通信手段によって容易に接続でき、よって、本システムの構築が容易となる。
【0036】
また、共通コントローラ8は、前記系統電力1、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5による住宅全体のエネルギー収支状況、自家発電手段2によるエネルギー供給状況、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー収支状況、家庭内負荷5によるエネルギー消費状況を表示可能である。
【0037】
すなわちまず、図2に示すように、系統電力1、自家発電手段2、家庭内負荷5、走行体用蓄電手段4には、それぞれ第1電力量検出手段11、第2電力量検出手段12、第3電力量検出手段15、第4電力量検出手段16が接続されている。これら電力量検出手段は前記集中分電盤6に設けられている。また、前記蓄電手段3には、電力量計3dが備えられている。
共通コントローラ8は、消費電力量表示部30aと供給電力量表示部30bとを備えている。
消費電力量表示部30aは、家庭内負荷5の消費電力量を、第3電力量検出手段15によってそれぞれ検出された消費電力量に基づいて、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに表示する。
また、消費電力量表示部30aは、走行体用蓄電手段4の充電による消費電力量を、第4電力量検出手段16によってそれぞれ検出された消費電力量に基づいて、系統電力、発電電力、蓄電電力ごとに表示する。
さらに、消費電力量表示部30aは、蓄電手段3の充電による消費電力量を、電力量計3dによってそれぞれ検出された消費電力量に基づいて、系統電力、発電電力ごとに表示する。
【0038】
供給電力量表示部30bは、第1電力量検出手段11によって検出された電力量に基づく系統電力1の供給電力量を表示する。
また、供給電力量表示部30bは、第2電力量検出手段12によって検出された電力量に基づく発電電力の供給電力量を表示する。
さらに、供給電力量表示部30bは、蓄電手段3に内蔵された電力量計3dおよび第4電力量検出手段16によって検出された蓄電手段3および走行体用蓄電手段4の放電による電力量に基づく蓄電電力の供給電力量を、蓄電手段3と走行体用蓄電手段4ごとにそれぞれ表示する。
そして、このような消費電力量や供給電力量の表示は、日単位、月単位、年単位で消費電力量表示部30aおよび供給電力量表示部30bに表示されるようになっている。消費電力量や供給電力量の表示は、数値による表示とグラフによる表示との双方で行われるようになっている。
【0039】
このように、系統電力1、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4によるエネルギーの供給量と、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5によるエネルギーの消費量とが表示される。つまり、系統電力1、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5による住宅全体のエネルギー収支状況が表示される。
また、自家発電手段2によるエネルギー(発電電力)供給状況、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー(蓄電電力)収支状況、家庭内負荷5によるエネルギー消費状況が表示される。
【0040】
共通コントローラ8には、データ記録部33が設けられており、このような消費電力量や供給電力量のデータは、データ記録部33に記録される。
さらに、共通コントローラ8には、利用者が消費電力量の目標値を設定することができ、この目標値の達成割合を日単位、月単位、年単位で表示するようになっている。なお、目標値とは、消費電力量の最大値であり、この最大値を目標値として、これを超えないように電力を消費するように設定された値である。
【0041】
前記共通コントローラ8は、二酸化炭素排出量演算手段31を備えている。この二酸化炭素排出量演算手段31は、第1電力量検出手段11によって検出された系統電力の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量を算出するもので、算出された二酸化炭素排出量が表示部31aに表示されるようになっている。
また、二酸化炭素排出量演算手段31は、第3電力量検出手段15によって検出された系統電力の家庭内負荷5の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量を算出し、算出された二酸化炭素排出量が表示部31bに表示されるようになっている。
また、二酸化炭素排出量演算手段31は、第4電力量検出手段16によって検出された系統電力の走行体用蓄電手段4の充電による消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量を算出し、算出された二酸化炭素排出量が表示部31cに表示されるようになっている。
さらに、二酸化炭素排出量演算手段31は、電力量計3dによって検出された系統電力の蓄電手段3の充電による消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量を算出し、算出された二酸化炭素排出量が表示部31dに表示されるようになっている。
【0042】
そして、このような二酸化炭素排出量の表示は、日単位、月単位、年単位で表示部31a〜31dに表示されるようになっている。二酸化炭素排出量の表示は、数値による表示とグラフによる表示との双方で行われるようになっている。
また、二酸化炭素排出量演算手段31には、利用者が二酸化炭素排出量の目標値を設定することができ、この目標値の達成割合を日単位、月単位、年単位で表示部31a,31b,31c,31dに表示するようになっている。なお、目標値とは、二酸化炭素排出量の最大値であり、この最大値を目標値として、これを超えないように二酸化炭素を排出するように設定された値である。
【0043】
また、二酸化炭素排出量演算手段31は、系統電力全体の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量、家庭内負荷5による系統電力の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量、走行体用蓄電手段4の充電による系統電力の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量、蓄電手段3の充電による系統電力の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量をそれぞれ積算して算出可能であり、算出された積算二酸化炭素排出量がそれぞれ表示部31a,31b,31c,31dに表示されるようになっている。
さらに、二酸化炭素排出量演算手段31は、走行体用蓄電手段4を備えた自動車と同規模の自動車がガソリンを使用して走行した際に発生する二酸化炭素排出量から、走行体用蓄電手段4の充電による系統電力の消費電力量に相当する電力量を生成する際に排出される二酸化炭素排出量を減じるような演算を行う。そして、この算出された値は例えば表示部31cに表示されるようになっている。
【0044】
前記共通コントローラ8は、電気料金演算手段32を備えている。この電気料金演算手段32は、第1電力量検出手段11によって検出された系統電力の消費電力量に基づいて系統電力全体の消費電力量に相当する電気料金を算出するもので、算出された電気料金が表示部32aに表示されるようになっている。
また、電気料金演算手段32は、第3電力量検出手段15によって検出された系統電力の家庭内負荷5の消費電力量に相当する電気料金を算出し、算出された電気料金が表示部32bに表示されるようになっている。
また、電気料金演算手段32は、第4電力量検出手段16によって検出された系統電力の走行体用蓄電手段4の充電による消費電力量に相当する電気料金を算出し、算出された電気料金が表示部32cに表示されるようになっている。
さらに、電気料金演算手段32は、電力量計3dによって検出された系統電力の蓄電手段4の充電による消費電力量に相当する電気料金を算出し、算出された電気料金が表示部32dに表示されるようになっている。
【0045】
また、電気料金演算手段32は、自家発電手段2によって発電された余剰の発電電力を売電や融通した際に、売電コントローラ9aや融通コントローラ9bに内蔵された電力量計によって検出された売電電力量や融通電力量に相当する電気料金を算出し、系統電力全体の消費電力量に相当する電気料金から売電電力量や融通電力量に相当する電気料金を減じた電気料金を算出し、この算出された電気料金が表示部32aに表示されるようになっている。
そして、このような電気料金の表示は、日単位、月単位、年単位でそれぞれの表示部32a,32b,32c,32dに表示されるようになっている。電気料金の表示は、数値による表示とグラフによる表示との双方で行われるようになっている。
また、電気料金演算手段32には、利用者が電気料金の目標値を設定することができ、この目標値の達成割合を日単位、月単位、年単位で表示部32a,32b,32c,32dに表示するようになっている。なお、目標値とは、電気料金の最大値であり、この最大値を目標値として、これを超えないように電気を使用するように設定された値である。
【0046】
また、共通コントローラ8には、消費電力量の目標値、二酸化炭素排出量の目標値、電気料金の目標値の達成に向けたアドバイス表示機能が設けられている。このアドバイス表示機能は、例えば、目標値に対して90%以上になると、音声やランプの点滅等によって利用者に省エネを促すようになっている。
また、共通コントローラ8には、最も二酸化炭素排出量の少ない電力を、蓄電手段3への充電、走行体用蓄電手段4のへの充電、蓄熱装置5aの運転等に、優先順位をつけて利用することをアドバイスする機能を有しており、このアドバイスは音声や表示画面に文字や図等によって利用者に伝達される。また、前記優先順位は利用者が共通コントローラ8の選択画面から予め設定できる。
【0047】
また、共通コントローラ8は、系統電力1および自家発電手段2と、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4および家庭内負荷5との間の接続状態を表示可能であり、かつ、これらのエネルギー消費および供給を制御可能である。
すなわち、共通コントローラ8が制御器7,2aを制御して系統電力1や自家発電手段2から電力(エネルギー)を導入するとともに、制御器3cを制御して当該電力を蓄電手段3に蓄電することができ、この場合、この電力量が電力量計3dによって検出されるので、系統電力1や自家発電手段2と蓄電手段3とが接続している状態となる。したがって、この状態を共通コントローラ8の表示画面に表示することによって、系統電力1や自家発電手段2と蓄電手段3との接続状態を表示できる。この表示は例えば、接続状態の場合は、接続状態を示すランプの点灯、非接続状態の場合は消灯としてもよいし、その他の手段で表示してもよい。
【0048】
また、共通コントローラ8が制御器7,2aを制御して系統電力1や自家発電手段2から電力(エネルギー)を導入するとともに、制御器4cを制御して当該電力を走行体用蓄電手段4に蓄電することができ、この場合、この電力量が第4電力量検出手段16によって検出されるので、系統電力1や自家発電手段2と走行体用蓄電手段4とが接続している状態となる。したがって、この状態を共通コントローラ8の表示画面に表示することによって、系統電力1や自家発電手段2と走行体用蓄電手段4との接続状態を表示できる。
さらに、共通コントローラ8が制御器7,2aを制御して系統電力1や自家発電手段2から電力(エネルギー)を導入するとともに、制御器5d,5e,5fを制御して当該電力を家庭内負荷5に供給することができ、この場合、この電力量が第3電力量検出手段15によって検出されるので、系統電力1や自家発電手段2と家庭内負荷5とが接続している状態となる。したがって、この状態を共通コントローラ8の表示画面に表示することによって、系統電力1や自家発電手段2と家庭内負荷5との接続状態を表示できる。
【0049】
また、共通コントローラ8は、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4の接続が解除されそうな状態を検知した際に、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー状態(充電量)が不十分であると判断すると、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示するようになっている。
すなわちまず、共通コントローラ8の操作画面には、系統電力1や自家発電手段2と、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4とを接続するための接続ボタンと、これらの接続を解除する解除ボタンとが設けられている。
そして、接続状態において解除ボタンを押すと、これを共通コントローラ8が認識したうえで、解除の再確認を利用者に対して操作画面上に表示する。これによって、共通コントローラ8は、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4の接続が解除されそうな状態を検知できる。
蓄電手段3および走行体用蓄電手段4に蓄電されている電力量(充電量)は、前記制御器3c,4cによって検出されるので、共通コントローラ8は、この電力量の情報に基づいて、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー状態(充電量)を検出し、エネルギー状態(充電量)が不十分であると判断すると(例えば充電量がフル充電の80%未満であると判断すると)、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を算出して操作画面に表示するようになっている。
また、共通コントローラ8には、端末コントローラ10b,10cが接続されているので、この端末コントローラ10b,10cの画面にも、前記警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示するようになっている。
【0050】
前記共通コントローラ8は、複数の自動運転モードを有し、かつ、所望の自動運転モードを選択可能となっている。この選択は共通コントローラの操作画面で行えるようになっている。
自動運転モードは、以下の5種類を備えている。
(1)エコロジーモード
この自動運転モードは、住宅と自動車を合せて、二酸化炭素排出量を最も少なくするための運転モードで、環境への配慮を最優先に行う。
二酸化炭素排出量を最も少なくするためには、自家発電手段2による電力をできる限り自家で有効に利用する必要がある。このため、自家発電手段2の余剰電力は、蓄電手段3への充電(蓄電)、走行体用蓄電手段4への充電(蓄電)、蓄熱装置5aの運転に優先的に利用する。
この場合、蓄電手段3への充電、走行体用蓄電手段4への、蓄熱装置5aの運転における優先順位については、予め利用者が共通コントローラ8の操作画面で設定する。
【0051】
エコロジーモードが選択された場合、共通コントローラ8は、住宅内でのエネルギーの自給自足を最優先し、余剰のエネルギーが発生した場合、蓄電手段3と走行体用蓄電手段4に備蓄するように、前記各制御器3c,4cを制御する。
すなわちまず、共通コントローラ8の操作画面でエコロジーモードを選択すると、自家発電手段2で発電された発電電力は、家庭内負荷5b,5cに供給され、足りない電力が系統電力1によって補われる。
そして、家庭内負荷5b,5cの必要電力が全て発電電力で足りている場合、図3に示すように、自家発電手段2に余剰電力が発生しているか否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS1)。この判断は、家庭内負荷5b,5cで必要とされる消費電力と、自家発電手段2による発電電力を比較して、この発電電力が消費電力より大きいことによって行える。
余剰電力が発生していない場合、自家発電手段2による発電電力の全てを家庭内負荷5b,5cに供給する(ステップS2)。
余剰電力が発生していた場合、蓄電手段3の蓄電池3aがフル充電状態か否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS3)。この判断は、制御器3cが、蓄電池3aに蓄電されている蓄電量(充電量)を検出する機能を備えているので、この制御器3cから共通コントローラ8に蓄電量の情報を送信することによって行える。
蓄電池3aがフル充電状態でなかった場合、余剰電力を蓄電池3aに供給して充電する(ステップS4)。
蓄電池3aがフル充電状態である場合、走行体用蓄電手段4の蓄電池4aがフル充電状態か否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS5)。この判断は、制御器4cが、蓄電池4aに蓄電されている蓄電量(充電量)を検出する機能を備えているので、この制御器4cから共通コントローラ8に蓄電量の情報を送信することによって行える。
蓄電池4aがフル充電状態でなかった場合、余剰電力を蓄電池4aに供給して充電する(ステップS6)。
蓄電池4aがフル充電状態である場合、余剰電力を蓄熱装置5aに供給して、蓄熱装置5aを運転する(ステップS7)。
なお、夏季等で日射量が多く、自家発電手段2に余剰電力がさらにある場合、共通コントローラ8が融通コントローラ9bを制御して、この住宅がある地域内の他の住宅またはその他の地域に余剰電力を融通する。このようにすれば、地域を含めた環境への配慮を行える。
【0052】
(2)エコノミーモード
この自動運転モードは、住宅と自動車を合せて、エネルギーコストを抑える運転モードで、利用者にとって最も経済的な運転を行う。
時間帯別電力料金に対応し、低電力料金時間帯での優先的な蓄電、蓄熱を行う。また、利用者への電力料金抑制のためのアドバイスを行うほか、過去の電力使用実績データから、定期的に最適な電力契約を推奨する機能があり、利用者はエネルギーコスト抑制のための最適な機器運用方法と電力契約について知ることができる。
【0053】
エコノミーモードが選択された場合、共通コントローラ8は、低電力料金時間帯で、系統電力1を蓄電手段3と走行体用蓄電手段4に備蓄(蓄電)するように、前記各制御器3c,4cを制御する。
すなわち、図4に示すように、共通コントローラ8の操作画面でエコノミーモードを選択すると、現在が低電力料金時間帯であるか否かを共通コントローラ8が判断する。なお、共通コントローラ8には時計機能が備えられており、これによって、低電力料金時間帯であるか否かを判断できる(ステップS1)。
低電力料金時間帯である場合、蓄電手段3の蓄電池3aがフル充電状態か否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS2)。フル充電状態でなかった場合、低電力料金の系統電力1を蓄電池3aに供給して充電する(ステップS3)。
蓄電池3aがフル充電状態である場合、走行体用蓄電手段4の蓄電池4aがフル充電状態か否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS4)。フル充電状態でなかった場合、低電力料金の系統電力1を蓄電池4aに供給して充電する(ステップS5)。
蓄電池4aがフル充電状態である場合、低電力料金の系統電力を蓄熱装置5aに供給して、蓄熱装置5aを運転する(ステップS6)。
【0054】
また、家庭内負荷5に電力を供給する場合、図5に示すように、共通コントローラ8は、家庭内負荷5の必要電力が全て発電電力で足りているか否かを判断する(ステップS1)。足りている場合、家庭内負荷5に発電電力を供給する。
家庭内負荷5の必要電力が発電電力で足りていない場合、共通コントローラ8は、足りない分の必要電力が蓄電手段3の蓄電池3aの電力で足りるか否かを判断する(ステップS2)。足りる場合、蓄電池3aを放電させて(ステップS3)、前記発電電力とともに家庭内負荷5に供給する。
足りない分の必要電力が蓄電手段3の蓄電池3aの電力(蓄電出力)でもさらに足りない場合、共通コントローラ8は、さらに足りない分の必要電力が走行体用蓄電手段4の蓄電池4aの電力で足りるか否かを判断する(ステップS4)。足りる場合、蓄電池4aを放電させて(ステップS5)、前記発電電力、蓄電池3aから放電した電力(蓄電出力)とともに家庭内負荷5に供給する。
さらに足りない分の必要電力が走行体用蓄電手段4の蓄電池4aの電力(蓄電出力)でも足りない場合、共通コントローラ8は系統電力1から足りない分の電力を補って、発電電力、蓄電池3a,4aから放電した電力(蓄電出力)とともに家庭内負荷5に供給する。
なお、走行体用蓄電手段4の電力を使用したくない場合、前記ステップS4,S5を削除すればよい。これは、共通コントローラ8の操作画面で行うことができる。
【0055】
(3)非常時対応モード
この自動運転モードは、あらゆるエネルギーをできるだけ多く蓄える運転モードで、災害や停電などの非常時に備えた運転を行う。時間帯、電力料金に拘わらず、蓄電、蓄熱を最大限に行う。気象情報や地域情報などをもとにして、台風や大雨などの予期可能な災害に対して、普段からエネルギーを蓄えるための運転設定が可能で、蓄えるエネルギーの種類と量を利用者が予め設定することもできる。
【0056】
非常時対応モードが選択された場合、共通コントローラ8は、系統電力1や自家発電手段2による発電電力を蓄電手段3と走行体用蓄電手段4に備蓄するように、前記各制御器3c,4cを制御する。
すなわちまず、共通コントローラ8の操作画面で非常時対応モードを選択すると、共通コントローラ8は、家庭内負荷5のうち、必要最小限度の家庭内負荷5に、系統電力1、発電電力、蓄電電力を供給する。
次に、図6に示すように、蓄電手段3の蓄電池3aがフル充電状態か否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS1)。フル充電状態でなかった場合、系統電力や発電電力を蓄電池3aに供給して充電する(ステップS2)。
蓄電池3aがフル充電状態である場合、走行体用蓄電手段4の蓄電池4aがフル充電状態か否かを共通コントローラ8が判断する(ステップS3)。フル充電状態でなかった場合、系統電力や発電電力を蓄電池4aに供給して充電する(ステップS4)。
蓄電池4aがフル充電状態である場合、系統電力や発電電力を蓄熱装置5aに供給して、蓄熱装置5aを運転する(ステップS5)。
【0057】
なお、蓄電池3a,4aに系統電力や発電電力を充電する場合、共通コントローラ8の操作画面で利用者が、停止してもよい家庭内負荷5を選択することによって、当該家庭内負荷5への電力供給を停止する。
また、共通コントローラ8に操作画面で、蓄電池3a,4aに充電する電力を選択するとともに、蓄電池3a,4aへの蓄電量を選択する。
【0058】
(4)防犯対策・安全モード
この自動運転モードは、共通コントローラ8と玄関ドア錠、窓を連携させることで、外出する際に玄関、窓の施錠状態を確認できるほか、インターホンとの連携により、外出中における訪問者および帰宅者の情報を携帯電話で確認することができる。また、長期外出のために各機器運転設定を変更することも可能で、利用者が長期外出する場合の住宅全体のエネルギー管理を最適に行うことができる。
【0059】
共通コントローラ8には、図1に示すように、玄関ドア錠40および窓錠41が接続されており、防犯対策・安全モードで、窓錠41を施錠すると、その情報が共通コントローラ8に送信され、その画面に窓錠41の施錠状態が表示される。例えば、画面には複数の窓に対応させて、窓ごとに施錠されたか否かが表示される。
また、防犯対策・安全モードで、玄関ドア錠40を施錠すると、その情報が共通コントローラ8に送信される。共通コントローラ8は、インターネットに接続されており、玄関ドア錠40の施錠情報は、インターネットを介して、外出する利用者が所持している携帯電話44に送信される。したがって、利用者は携帯電話を確認することによって、玄関ドア錠40が施錠されたかを確認できる。
【0060】
また、共通コントローラ8にはインターホン43が接続されている。そして、防犯対策・安全モード中に、訪問者があった場合、インターホン43が訪問者の顔や音声の情報を取得し、この情報は共通コントローラ8に送信され、データ記録部33(図2参照)に記録される。そして、この情報はインターネットを介して、外出する利用者が所持している携帯電話44に送信される。したがって、利用者は携帯電話44を確認することによって、訪問者の情報を確認できる。
さらに、防犯対策・安全モードで、住人の一人が帰宅した場合、その帰宅者が玄関ドア錠40を解錠するので、その情報が共通コントローラ8に送信され、この共通コントローラ8からインターネットを介して、外出している他の住人が所持している携帯電話44に送信される。したがって、他の住人は携帯電話44を確認することによって、玄関ドア錠40が施錠されたかを確認できる。なお、複数の住人が所持している鍵には、ID番号が付されており、このID番号の情報が携帯電話44に送信されるので、他の住人は、誰が帰宅したかを確認できる。
【0061】
また、共通コントローラ8の操作画面で防犯対策・安全モードを選択すると、共通コントローラ8が、停止させてもよい家庭内負荷5を選択して、当該家庭内負荷5を停止させる。
停止させてもよい家庭内負荷5としては、エアコン等の空調機器5b、照明等が挙げられるが、これらは、予め共通コントローラ8の画面上で設定する。
また、照明は防犯のために、例えば夜の所定時間だけ点灯させるように、共通コントローラ8の画面上で設定してもよい。
さらに、共通コントローラ8は、防犯対策・安全モードが選択されると、夜の低電力料金時間帯に、系統電力1を蓄電手段3に蓄電しておき、昼は、冷蔵庫等の常時電力を供給しておく必要がある家庭内負荷5cのみに、自家発電手段2による発電電力を優先して供給し、それだけでは足りない場合に、蓄電手段3に蓄電されている電力を供給し、さらに足りない場合に系統電力1を供給するように、各制御器を制御する。
また、共通コントローラ8には、インターネットを介して携帯電話44が接続されているので、携帯電話44から共通コントローラ8に、各機器の制御を行うための情報を送信することもできる。これによって、外出中に各機器2,3,4,5の遠隔操作を行える。
【0062】
(5)健康生活モード
この自動運転モードは、現在の屋内外気温、湿度、屋内照明などの環境データを収集し、エアコン、照明の運転と連携したうえで、窓の自動開閉による外気の取り込み、太陽光の取り込み量を自動制御することができる。また、天気予報や気象情報をもとに、洗濯・掃除などのお奨め予報についても通知する。
【0063】
共通コントローラ8には、屋内外に設置された温度計、湿度計、各部屋に設置された照度計が接続されており、これらの情報が共通コントローラ8に送信される。
また、共通コントローラ8には、天窓や窓を電気的に自動的に開閉する窓開閉手段や、窓に設けたブラインドを自動的に開閉するブラインド開閉手段が接続されている。なお、これら窓開閉手段やブラインド開閉手段は、家庭内負荷である。
そして、健康生活モードが選択された場合、共通コントローラ8は、温度計、湿度計による情報に基づいて、エアコン等の空調機器5bの制御器5eや、窓開閉手段の制御器、ブラインド開閉手段の制御器を制御する。すなわち、予め共通コントローラ8に設定されている適温、適湿の値と、温度計、湿度計による値とを比較して、屋内の温度、湿度が適温、適湿に近付くように各制御器を制御する。
また、共通コントローラ8は、照度計による情報に基づいて、照明の制御器やブラインド開閉手段の制御器を制御する。すなわち、予め共通コントローラ8に設定されている最適な照度の値と、照度計による値とを比較して、各部屋の照度が最適な照度に近付くようにブラインド開閉手段の制御器や照明の制御器を制御する。この場合、昼間は、窓からの太陽光の取り込み量(ブラインドの開閉量)による照度調整を優先して行う。
さらに、共通コントローラ8は、昼間の所定時刻に、窓を開放して外気を取り込むように、窓開閉手段の制御器を制御する。窓を開放する時刻は、共通コントローラ8の画面上から適宜設定できるようになっている。
【0064】
また、共通コントローラ8は、インターネットを介して、天気予報や気象情報のサイトに接続され、これらサイトから天気予報や気象情報を取得する。そして、この所得した情報に基づいて、洗濯や掃除などをするのにお奨めな日時等を、共通コントローラ8の画面やスピーカを介して利用者に通知する。
【0065】
本実施の形態では以下のような効果を得ることができる。
共通コントローラ8が、系統電力1、自家発電手段2、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4、家庭内負荷5の各々の制御器を制御することによって、エネルギー消費および供給を管理するので、住宅全体におけるエネルギー消費および供給を一元管理でき、かつ各機器を一つのコントローラ(共通コントローラ)8で制御できる。
また、共通コントローラ8が、自家発電手段2によって発電された余剰のエネルギーを売電する売電コントローラ9aおよび他の地域げ電力融通する融通コントローラ9bを制御するので、売電および電力融通を含めた住宅全体におけるエネルギーの消費および供給を一元管理できる。
【0066】
さらに、共通コントローラ8が住宅全体のエネルギー収支状況、自家発電手段2によるエネルギー供給状況、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー収支状況、家庭内負荷5によるエネルギー消費状況等を表示するので、利用者はこれらの状況を容易に確認できる。
また、共通コントローラ8が、端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fに制御器の制御を共通コントローラ8より優先させることが可能であるので、必要に応じて端末コントローラ10a,10b,10c,10d,10e,10fによって、機器に接続された制御器を制御することができる。
また、共通コントローラ8は、系統電力1および自家発電手段2と、蓄電手段3、走行体用蓄電手段4および家庭内負荷5との間の接続状態を表示可能であり、かつ、これらのエネルギー消費および供給を制御可能であるので、エネルギーを供給する側と、蓄エネルギーを備蓄または消費する側との接続状態を表示することができるとともに、これらエネルギー消費および供給を制御することができる。
さらに、共通コントローラ8が、蓄電手段3および走行体用蓄電手段4のエネルギー状態が不十分であると判断すると、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示するので、利用者は蓄電手段3および走行体用蓄電手段4に、フル充電状態になるまでエネルギーを蓄電するか否かを決めることができる。
【0067】
また、端末コントローラ10cが、走行体用蓄電手段4のエネルギー状態が不十分であると判断すると、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示するので、利用者は端末コントローラ10cを確認することによって、走行体用蓄電手段4に、フル充電状態になるまでエネルギーを蓄電するか否かを決めることができる。
また、複数の自動運転モードのうち、エコロジーモードが選択された場合、共通コントローラ8が、住宅内でのエネルギーの自給自足を最優先し、余剰のエネルギーが発生した場合、蓄電手段3と走行体用蓄電手段4に備蓄するように、制御器3c,4cを制御するので、最適なエネルギー運用が可能となる。
【符号の説明】
【0068】
1 系統電力
2 自家発電手段
2a 制御器
3 蓄電手段
3c 制御器
4 走行体用蓄電手段
4c 制御器
5 家庭内負荷
5d,5e,5f 制御器
6 集中分電盤
7 制御器
8 共通コントローラ
9a 売電コントローラ
9b 融通コントローラ
10a〜10f 端末コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の系統電力と、住宅に設けられた自家発電手段と、前記住宅に設けられた蓄電手段と、走行体に設けられた走行体用蓄電手段と、前記住宅に設けられた家庭内負荷とが連携され、これらによるエネルギー消費および供給を管理する住宅用エネルギー管理システムであって、
前記系統電力を制御する制御器と、前記自家発電手段を制御する制御器と、前記蓄電手段を制御する制御器と、前記走行体用蓄電手段を制御する制御器と、前記家庭内負荷を制御する制御器とが接続される共通コントローラを備え、
前記共通コントローラが前記各制御器を制御することによって、前記エネルギー消費および供給を管理することを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラは、前記自家発電手段によって発電された余剰のエネルギーを売電する売電コントローラおよび/または電力融通する融通コントローラを制御することを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラは、前記系統電力、前記自家発電手段、前記蓄電手段、前記走行体用蓄電手段、前記家庭内負荷による住宅全体のエネルギー収支状況、前記自家発電手段によるエネルギー供給状況、前記蓄電手段および前記走行体用蓄電手段のエネルギー収支状況、前記家庭内負荷によるエネルギー消費状況を表示可能であることを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記各制御器と、前記共通コントローラとは、前記住宅を構成する少なくとも一部の建物ユニットに予め工場等で設けられた通信手段を介して接続されることを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記自家発電手段、前記蓄電手段、前記走行体用蓄電手段、前記家庭内負荷のそれぞれに接続された複数の制御器のうちの少なくとも一つの制御器に、この制御器を制御可能な端末コントローラが接続されており、
前記共通コントローラは、前記端末コントローラに前記制御器の制御を前記共通コントローラより優先させることが可能であることを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラは、前記系統電力および自家発電手段と、前記蓄電手段、前記走行体用蓄電手段および前記家庭内負荷との間の接続状態を表示可能であり、かつ、これらのエネルギー消費および供給を制御可能であることを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラは、前記蓄電手段および前記走行体用蓄電手段の接続が解除されそうな状態を検知した際に、前記蓄電手段および前記走行体用蓄電手段のエネルギー状態が不十分であると判断すると、警告および十分なエネルギー状態になるまでに必要な時間を表示することを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項8】
請求項7に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記走行体用蓄電手段を制御する制御器に、端末コントローラが接続されており、
この端末コントローラは、前記警告および時間を表示することを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の住宅用エネルギー管理システムにおいて、
前記共通コントローラは、複数の自動運転モードを有し、かつ、所望の自動運転モードを選択可能となっており、
これら複数の自動運転モードのうち、エコロジーモードが選択された場合、前記共通コントローラは、住宅内でのエネルギーの自給自足を最優先し、余剰のエネルギーが発生した場合、前記蓄電手段と前記走行体用蓄電手段に備蓄するように、前記各制御器を制御することを特徴とする住宅用エネルギー管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−23872(P2012−23872A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160175(P2010−160175)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】