説明

作業台用天板

【課題】 その製造コストを低減しながら、化粧板の表面を完全に平滑化することが可能な作業台用天板を提供する。
【解決手段】 支持枠13を構成する枠部材13aの上面となる位置には、化粧板11が配設される。この化粧板11は、その裏面側から雌ネジ部を構成する穴が形成されている。また、枠部材13aの下面となる位置には、底板12が配設される。化粧板11は、第1のネジ31により枠部材13aに固定される。このときには、第1のネジ31における雄ネジ部は、化粧板11の裏面側から枠部材13aに形成された孔部を貫通して、化粧板11に形成された雌ネジ部に螺合する。そして、第1のネジ31の先端は、化粧板11の厚み方向の中央部に配置される。また、底板12は、底板12の表面側から、第2のネジ32の先端を底板12を貫通させて枠部材13aに到達させることにより枠部材13aに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレームの上部に載置され、当該フレームとともに作業台を構成する作業台用天板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、作業台としての実験台は、傷が発生したり、汚れが付着したりすることを防止するため、その上面がメラミン樹脂等からなる化粧板から構成されている。この化粧板は、接着剤等により実験台の本体に貼着されている。
【0003】
ところで、実験台は、種々の薬品が付着したり、実験器具と接触したりすることから、長期間使用した場合には、化粧板の表面に傷や汚れが生ずることになる。このような場合には、実験台そのものを交換するのではなく、化粧板だけを交換することが好ましい。しかしながら、従来の実験台においては、化粧板が実験台本体に貼着されていることから、化粧板だけを交換することが困難となっている。
【0004】
また、このような従来の実験台においては、傷や汚れが生じて化粧板を交換した場合に、この化粧板に接着剤が付着していることから、この化粧板をリサイクル利用することが困難となるという問題も生ずる。
【0005】
このため、特許文献1においては、接着剤を使用することなく、支持部材の表面に化粧板を着脱可能に配設した天板を有する実験台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4278951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような作業台としての実験台に使用する天板においては、実験を行う化粧板の表面は、ネジ等が配置されることなく、完全に平滑であることが要請される。このため、特許文献1に記載された天板においては、化粧板の裏面側に、支持部材の表面から頭部を離隔した状態で当該支持部材に立設されたネジ部材と係合する係合孔を形成している。この係合孔は、ネジ部材の頭部を出入り自在に受容できる受容孔と、この受容孔に連通したスライド用溝とから構成される。
【0008】
そして、このスライド用溝の開口幅は、ネジ部材の頭部の最大径より小さく設定されている。また、スライド用溝の内奥幅は、ネジ部材の頭部の最大径と同等または略同等となるように構成されている。そして、支持部材に立設されたネジ部材の頭部を受容孔から係合孔内に進入させた後、ネジ部材の頭部がスライド溝内に進入する位置まで化粧板を横方向にスライドさせることにより、ネジ部材と係合孔とを利用して化粧板を固定する構成となっている。
【0009】
この特許文献1に記載された天板は、化粧板の表面を完全に平滑化することは可能ではあるが、受容孔とスライド溝とから構成される係合孔を加工する工程が極めて煩雑なものとなり、その加工コストが極めて高くなる。このため、天板自体の製造コストが極めて高額となるという問題が生ずる。
【0010】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その製造コストを低減しながら、化粧板の表面を完全に平滑化することが可能な作業台用天板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、フレームの上部に載置され、当該フレームとともに作業台を構成する作業台用天板であって、その裏面側から雌ネジ部を構成する穴が形成された化粧板と、支持枠と、前記支持枠に形成された孔部を貫通して前記化粧板における雌ネジと螺合する雄ネジ部を有し、前記化粧板を当該化粧板の裏面側から前記支持枠に固定する第1のネジと、前記支持枠における前記化粧板とは逆側に配置された底板と、前記底板の表面から当該底板を貫通することにより、前記底板を前記支持枠に固定する第2のネジと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、その裏面側に雌ネジ部を構成する穴が形成された化粧板を、支持枠に形成された孔部を貫通して化粧板における雌ネジと螺合する雄ネジ部を有する第1のネジを利用して、化粧板の裏面側から支持枠に固定する構成であることから、その製造コストを低減しながら、化粧板の表面を完全に平滑化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係る天板1を使用した作業台としての実験台の斜視図である。
【図2】天板1をその裏面側から見た斜視図である。
【図3】図2の一部を破断した拡大図である。
【図4】天板1の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず、この発明に係る天板を使用した作業台の構成について説明する。図1は、この発明に係る天板1を使用した作業台としての実験台の斜視図である。
【0015】
この実験台は、多数の脚部材21と、側板22と、仕切板23とから成るフレーム2を備える。そして、このフレーム2の上部には、4枚の天板が列設されている。これらの天板1とフレーム2とは、図示を省略したネジ等により固定される。
【0016】
次に、この発明に係る天板1の構成について説明する。図2は、天板1をその裏面側から見た斜視図であり、図3はその一部を破断した拡大図である。なお、図2においては、底板12の一部を切り欠いて図示している。また、図3においては、底板12を省略している。さらに、図4は、天板1の部分断面図である。
【0017】
この天板1は、長辺側の2本の枠部材13aと短辺側の2本の枠部材13bとから構成される支持枠13を備える。各枠部材13a、13bは、例えば、その断面が略コの字状の金属から構成される。長辺側の2本の枠部材13aと短辺側の2本の枠部材13bとは、ネジ34により互いに連結され、平面視において矩形状の支持枠13が構成される。なお、長辺側の枠部材13aには、後述する第1のネジ31が貫通するための孔部が形成されている。
【0018】
この矩形状の支持枠13の上面となる位置には、化粧板11が配設される。この化粧板11は、例えば、メラミン樹脂等の合成樹脂から構成され、平面視において矩形状を成す支持枠13の外形と対応する形状を有する。この化粧板11には、その裏面側から雌ネジ部を構成する穴が形成されている。即ち、この化粧板11の裏面側には、その厚みの半分程度の深さを有する穴が形成された後、この穴に対してタップを利用して雌ねじ部が形成される。なお、この穴の位置は、上述した枠部材13aに形成された孔部と対応する位置となっている。
【0019】
また、矩形状の支持枠13の下面となる位置には、底板12が配設される。この底板12は、例えば、金属板やベニヤ板から構成され、化粧板11と同様、平面視において矩形状を成す支持枠19の外形と対応する形状を有する。
【0020】
また、矩形状の支持枠13における一方の枠部材13aおよび13bの側面には、縁部材14が付設される。この縁部材14は、図1に示すように、4枚の天板1を列設したときにその外側部分に配置される枠部材13aおよび13bの側方にのみ配設される。この縁部材14は、例えば比較的軟質の樹脂等から構成される。この縁部材には凹部が形成されており、この凹部には蓋部材15が着脱可能となっている。
【0021】
このような構成を有する天板1を作成するときには、最初に、長辺側の2本の枠部材13aと短辺側の2本の枠部材13bとを、ネジ34により互いに連結して、支持枠13を作成する。そして、この支持枠13に対して、第1のネジ31により化粧板11を固定する。このときには、第1のネジ31における雄ネジ部は、化粧板11の裏面側から支持枠13における枠部材13aに形成された孔部を貫通して、化粧板11に形成された雌ネジ部に螺合する。そして、第1のネジ31の先端は、化粧板11の厚み方向の中央部に配置される。
【0022】
次に、支持枠13における化粧板11とは逆側の面に底板12を固定する。この底板12の固定は、底板12の表面側から、第2のネジ32の先端を底板12を貫通させて支持枠13に到達させることにより行われる。なお、この場合には、底板12の表面に第2のネジ32の端部が配置されることになるが、底板12は実験台の内側に配置されることから問題はない。
【0023】
さらに、4枚の天板1を列設したときにその外側部分に配置される枠部材13aおよび13bの側方に縁部材14を固定する。この縁部材14は、その凹部内においてネジ33により枠部材13aまたは枠部材13bに固定される。そして、この縁部材14の凹部には、蓋部材15が装着される。このため、ネジ33が外部に露出することはない。
【0024】
以上のような構成を有する天板においては、その裏面側に雌ネジ部を構成する穴が形成された化粧板11を、支持枠13に形成された孔部を貫通して化粧板11における雌ネジと螺合する雄ネジ部を有する第1のネジ31を利用して、化粧板11の裏面側から支持枠13に固定する構成であることから、従来のような受容孔とスライド溝とから構成される係合孔を加工する必要が無く、その製造コストを低減することが可能となる。このとき、化粧板11の表面には、ネジ等が存在しないことから、化粧板11の表面を完全に平滑化することが可能となる。
【0025】
また、化粧板11と、底板12と、支持枠13と、縁部材14を、ネジのみを使用して連結させることができることから、接着剤を使用する場合のように、化粧板11や底板12等に接着剤が付着することがなく、化粧板11や底板12等を容易にリサイクル利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 天板
2 フレーム
11 化粧板
12 底板
13 支持枠
13a 枠部材
13b 枠部材
14 縁部材
15 蓋部材
21 脚部材
22 側板
23 仕切板
31 第1のネジ
32 第2のネジ
33 ネジ
34 ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームの上部に載置され、当該フレームとともに作業台を構成する作業台用天板であって、
その裏面側から雌ネジ部を構成する穴が形成された化粧板と、
支持枠と、
前記支持枠に形成された孔部を貫通して前記化粧板における雌ネジと螺合する雄ネジ部を有し、前記化粧板を当該化粧板の裏面側から前記支持枠に固定する第1のネジと、
前記支持枠における前記化粧板とは逆側に配置された底板と、
前記底板の表面から当該底板を貫通することにより、前記底板を前記支持枠に固定する第2のネジと、
を備えたことを特徴とする作業台用天板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−20234(P2012−20234A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160277(P2010−160277)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(510195342)合同会社豊永技研 (1)
【Fターム(参考)】