作業員管理通信システム、可搬型中継装置、携帯端末装置、作業員管理装置および通信中継プログラム
【課題】 作業現場に臨時的な通信経路を簡易に設置できるようにし、その通信経路を通して、管理官が作業員の居場所や状態を管理する。
【解決手段】 通信手段(無線を含む)が確保できない通路を経た内部空間であって、作業エリアWが形成された作業現場に作業員管理通信システムを構築する。この作業員管理通信システムは、作業員O(1)〜O(3)の3名が作業現場で作業するときに、7台の可搬型中継装置R(1)〜R(7)を作業現場の内部に配置し、基地局B(1)と共に通信経路を確立し、センタの作業員管理装置Cで生体情報が管理されるようにした。
【解決手段】 通信手段(無線を含む)が確保できない通路を経た内部空間であって、作業エリアWが形成された作業現場に作業員管理通信システムを構築する。この作業員管理通信システムは、作業員O(1)〜O(3)の3名が作業現場で作業するときに、7台の可搬型中継装置R(1)〜R(7)を作業現場の内部に配置し、基地局B(1)と共に通信経路を確立し、センタの作業員管理装置Cで生体情報が管理されるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業現場内で作業する作業員と作業現場外で管理する管理官との間で通信可能な通信経路の確立等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外の作業現場では、GPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位システムを用いて作業員の位置を特定することができるようになってきている。また、近年、ビル等の屋内では、無線LAN(Local Area Network)の敷設が盛んに行われているが、このような屋内の作業現場では、既に敷設されている無線LANを利用して作業員の位置を特定することもできるようになってきている。
【0003】
ところで、健康上好ましくない作業現場や危険な作業現場では、作業員の血圧や体温等の生体情報をリアルタイムでモニタすることが、作業員の健康・安全上重要である。通常、作業員は、体調が悪くなったときに、速やかに作業を中断して退避し、外部の管理官に速やかに連絡をとる必要がある。そのため、最近、作業員が、血圧や体温等の生体情報をリアルタイムでモニタすることができる生体情報計測装置を身体に装着し、自らの生体の機能を把握して、携帯電話網や無線LANを利用して管理官に連絡することも行われるようになってきている。
【0004】
なお、リアルタイムで生体機能をモニタする生体情報計測装置としては、作業員に身体の生体情報の計測可能な各部位に直接装着し、パーソナルコンピュータ等の外部装置に計測した血圧や体温等の生体情報を微弱な電波で転送してリアルタイムにモニタするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−102692号公報(段落0047〜0060、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来は、作業現場内と作業現場外とを結ぶ通信回線が既に敷設されていなければ、通信を行うことができなかった。特に、GPS衛星の電波を受信可能な場所や無線LANが既に敷設されている場所以外では、容易に測位を行うことができないため、作業現場内での作業員の居場所(位置)を特定することも容易でなかった。
【0007】
また、従来は、前記特許文献1に記載の生体情報計測装置により、作業員の生体情報を計測して、作業員の近くに設置した外部装置に転送後、既に敷設されている無線LANや各種通信経路を介して作業現場の外部に設置される監視装置に転送することが考えられてきている。しかし、従来は、既に敷設されている無線LANや各種通信経路が作業現場内外を結んでいないと、作業員と管理官との間の連絡を行うことができないばかりか、生体情報を通信により転送することもできなかった。
【0008】
また、GPS衛星や無線LANの電波の届かない作業現場で作業する作業員と作業現場外の管理官とが通信を行う手段としては、トランシーバが従来から用いられている。このトランシーバは、電波障壁が多い作業場所では直接通話を行えない場合も多く、また、通話機能のみなので管理官が作業員の居場所を特定することはできなかった。
【0009】
そこで、本発明は、前記各欠点を改善することを課題とし、通信経路が既設されていない場所や通信経路が故障したり破壊されたりした場所でも、作業現場内で作業する作業員と作業現場外で現場を管理する管理官との間で通信可能な臨時的な通信経路を簡易に設置できるようにし、管理官が作業員の居場所や状態を管理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の作業員管理通信システムでは、作業現場の内部に可搬型中継装置を設置して通信経路を確立し、動態センサを内蔵する携帯端末装置を作業員に所持させて作業を行わせ、通信経路上の基地局にデータアクセス可能な管理官により作業員を管理させるようにした。作業中の作業現場の内部では、携帯端末装置がいずれかの可搬型中継装置と通信接続して通信経路上に設置される基地局に通信可能に接続する。また、携帯端末装置は、動態センサにより測位した作業員の位置情報を可搬型中継装置に送信し、通信経路上の基地局に転送させる。そして、基地局に対してデータアクセス可能な管理官により位置情報が確認され、作業員の位置(居場所)の管理や動態センサの検知状態による作業員の状態の管理が行われる。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明によれば、既に敷設されている通信経路に頼ることなく、臨時的な通信経路を容易に設置することができるようになる。そのため、作業員同士、作業員と管理官とが、連絡を取り合うことができるようになる。また、作業現場内での作業員の居場所を特定することもできるようになる。さらに、作業員が生体情報計測装置を装着して、その生体情報計測装置が計測する生体情報を作業現場外に転送させることもできるようになる。
【0012】
特に、本発明は、通信設備が敷設されていない地下街やトンネルなどの場所で作業を行う場合や通信設備が敷設されていても災害などで破壊してしまった地下街やトンネルなどの場所で作業(救助作業や復旧作業)を行う場合であっても、臨時的に通信経路を速やかに設置することができる。そのため、作業現場内の作業員と外部の管理官との連絡をリアルタイムで行うことができ、特に、そのような場所で作業員に生命の危機が生じた場合でも、作業員の生体情報を外部に転送することができるため、作業員の救命活動を速やかに行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1に示す概念図に従って、本発明の作業員管理通信システムの概要を説明する。ここでは、クランク状の通路を経た内部空間に、作業エリアWが形成された作業現場を例に説明する。また、作業員O(1)〜O(3)の3名が作業現場で作業するときに、7台の後記可搬型中継装置R(1)〜R(7)を作業現場の内部に配置し、基地局B(1)と共に通信経路を確立し、センタの作業員管理装置Cで生体情報が管理される場合を説明する。
【0014】
具体的には、まず、作業員が、作業現場に到着して、通路の出入り口に基地局B(1)を設置する。この基地局B(1)は、無線通信を介して携帯電話網等の通信ネットワークに接続し、センタに設置された作業員管理装置Cに接続する。なお、基地局B(1)の(1)は,作業員管理装置Cが管理する基地局BのIDを表すものとしている。つまり、作業員管理装置Cは、複数の作業現場の作業員を管理することを考慮している。
作業員は、基地局B(1)を設置し終わると、この基地局B(1)を基準位置として、可搬型中継装置R(1)〜R(7)を持ち、通路内に進入していく。そして、通路内のクランクの角ごとに可搬型中継装置R(1)〜R(5)を設置する。
【0015】
次に、可搬型中継装置R(1)は、基地局B(1)との間で電波により通信可能な範囲であるクランクの角(入口から見て第1の角)に設置される。このとき、可搬型中継装置R(1)は、例えば、基地局B(1)の近辺から電源をオンにされ、基地局B(1)との間で通信接続する。そして、可搬型中継装置R(1)は、基地局B(1)から発信される電波の強度を計測し、その強度が所定値以下にならない範囲の場所に設置される。ここでは、第1の角では、その強度が所定値よりも充分に大きな値を有することとする。なお、その強度が所定値以下になるか否かを判定するようにし、所定値以下になった場合に警報音を出力して作業員に報知させるのが好ましい。
【0016】
また、可搬型中継装置R(2)は、可搬型中継装置R(1)との間で電波により通信可能な範囲(第2の角)に配置される。同様に、可搬型中継装置R(3),R(4),R(5)が通路内の第3、第4、第5の角にそれぞれ配置される。
また、作業エリアW内では、1台の可搬型中継装置に同時に接続可能な携帯端末装置の台数がある程度決まっているため、充分通信可能となるように複数の可搬型中継装置を設置するのが好ましい。そのため、ここでは、可搬型中継装置R(6)は、可搬型中継装置R(5)との間で電波により通信可能な範囲であって、かつ、作業エリアWの入口付近に設置する。また、可搬型中継装置R(7)は、可搬型中継装置R(6)との間で電波により通信可能な範囲であり、かつ、作業エリアWの略中央の領域に配置する。
【0017】
以上のように作業場所に設置された各可搬型中継装置R(1)〜R(7)は、基地局B(1)との間で通信経路を形成する。可搬型中継装置R(1)〜R(7)は、後記携帯端末装置を所持した作業員が通過するたびに(可搬型中継装置R(1)〜R(7)のいずれかと後記携帯端末装置とが通信可能な範囲になるたびに)、後記携帯端末装置が測位した位置情報を、後記携帯端末装置から受信し、通信経路上を転送し、基地局B(1)まで転送させることができる。
【0018】
そして、基地局B(1)が図示しない公衆網を介して作業員管理装置Cに接続し、測位情報も作業員管理装置Cに転送させる。そのため、管理官が、作業員管理装置Cにより、遠隔地の作業現場で作業する作業員を管理することができる。
したがって、可搬型中継装置R(1)〜R(7)の電源を投入後設置場所まで移動して設置するだけで、通信経路が形成されることになる。そのため、災害現場や復旧作業を行うような急を要する作業現場での作業を速やかに行うことができる。
【0019】
また、前記したように、基地局B(1)と可搬型中継装置R(1)〜R(7)が作業現場に配置されると、作業現場の内部に通信経路が確立され、基地局B(1)を介して作業員管理装置Cに接続可能になる。そのため、例えば、作業員O(1)〜O(3)が、作業エリアWで作業を行う場合には、後記携帯端末装置をそれぞれ所持して、基地局B(1)の設置してある通路入り口から通路内を通り、可搬型中継装置R(1)〜R(5)をそれぞれ経て作業エリアW内に進入する。その通路では各可搬型中継装置R(1)〜R(5)と後記各携帯端末装置とが通信可能状態になるため、各作業員O(1)〜O(3)の通路内の移動時の通信が確保される。
【0020】
そして、各作業員O(1)〜O(3)が作業エリアW内に進入し、各配置につくと、各作業員O(1),O(2),O(3)の後記各携帯端末装置が、可搬型中継装置R(6),R(7)と接続する。また、ここでは、可搬型中継装置R(7)に近い位置で作業する作業員O(1),O(2)は、可搬型中継装置R(6)に比べて強い電波強度の可搬型中継装置R(7)に優先的に接続する。なお、この場合では、作業員O(1)〜O(3)の後記各携帯端末装置と、可搬型中継装置R(1)〜R(7)と、基地局B(1)とにより、可搬型中継装置R(7)で2本に分岐する通信経路としても見ることもできる。
【0021】
また、可搬型中継装置R(6),R(7)の間には、作業員O(3)が作業をしているため、この作業員O(3)が所持する後記携帯端末装置を経由して転送するようにしてもよい。これについて、各作業員O(1)〜O(3)が後記各生体情報計測装置を身体に装着し、後記各生体情報計測装置の計測する生体情報を中継する場合を例に説明する。作業員O(1)の生体情報をdを添えて表すものとすると、生体情報O(1)d,O(2)dは、可搬型中継装置R(7)を経由して、作業員O(3)の後記携帯端末装置に転送される。そして、作業員O(3)の後記携帯端末装置は、生体情報O(1)d,O(2)d,O(3)dを可搬型中継装置R(6)に送り、基地局B(1)から作業員管理装置Cに転送させるようにしてもよい。
【0022】
次に、図2に示すブロック図を参照して、作業員管理通信システムの構成を説明する。
この作業員管理通信システムは、作業員の身体に装着して生体情報を計測する生体情報計測装置Sと、この生体情報計測装置Sにより計測された生体情報を微弱電波で受信すると共に、受信した生体情報の転送機能、通話等の通信機能および測位機能を有する携帯端末装置Tと、作業現場の内部の適宜な位置に配置され通信経路を確立する可搬型中継装置Rと、作業現場の外部(内部)の通信の基準となる位置に配置され、前記可搬型中継装置Rにより確立される通信経路および公衆網Pに接続可能な基地局Bと、公衆網Pを介して基地局Bに接続して生体情報等の作業員の情報を管理する作業員管理装置Cとを含む構成になっている。なお、可搬型中継装置Rは、便宜上1台しか記載していない。以下、各装置ごとに説明する。
【0023】
携帯端末装置Tは、作業員が所持する通信手段であり、測位手段11と、制御手段12と、音声出力手段13と、表示手段14と、記憶手段15と、入力手段16と、無線通信手段17と、を主に備えている。
測位手段11は、更に詳しくは、歩数により移動距離を歩測する歩測手段1と、この歩測手段1で歩測しているときに進行している方向を検出する方位センサ2と、体の動きを検出するジャイロ3とから構成されている。つまり、測位手段11は、作業員の移動距離と移動方位とで基準位置からの相対的な位置を測位する。なお、方位センサ2は、方位磁石で構成しても、ジャイロで構成してもよい。また、測位手段11としての各歩測手段1、方位センサ2およびジャイロ3は、作業員の動態状態を検知するものであるため、動態センサと適宜呼称するものとする。なお、動態センサに関する技術としては、出願人によるところの特開2005-050005号公報に記載の技術を用いることができる。
【0024】
制御手段12は、携帯端末装置Tの全体の制御を司る。音声出力手段13は、警報音や通話時の音声を出力する。表示手段14は、例えば、各種画像・文字情報を表示する。記憶手段15は、各種情報を記憶する。例えば、自らの装置ID、各携帯端末装置Tから転送されてきた各種情報、後記作業員基本情報テーブル等の各種データや各種プログラムを記憶する。入力手段16は、各種データを入力するためのものであり、ここではキー入力部や音声入力部を含むものとする。また、画像を入力する画像入力部を含めてもよい。無線通信手段17は、他の携帯端末装置T、生体情報計測装置S、可搬型中継装置Rおよび/または基地局Bと通信を接続するものである。
【0025】
生体情報計測装置Sは、血圧を計測する血圧センサ20と、脈拍を計測する脈拍測定センサ21と、呼吸数を計測する呼吸数計数センサ22と、体温を測定する体温測定センサ23と、装着部位の加速度を計測する加速センサ24と、全体の制御を司る制御手段25と、計測した生体情報や識別情報等を記憶する記憶手段26と、携帯端末装置Tに生体情報を微弱電波で送信する無線通信手段27と、各種情報を入力する入力手段28と、計測した生体情報等を表示する表示手段29とを主に備えている。ここでは、生体情報として、血圧、脈拍、呼吸数、体温、腕振りの加速度を例にしている。なお、各センサは、一つの筐体内に収容されるばかりでなく、別体に構成するようにしてもよい。また、作業員は、一つの生体情報計測装置Sを装着するばかりでなく、各生体情報を計測しやすい部位に複数の生体情報計測装置Sを装着するようにしてもよい。
【0026】
可搬型中継装置Rは、全体の制御を司る制御手段32と、各種情報を表示する表示手段33と、基地局B、携帯端末装置Tおよび他の可搬型中継装置Rとの通信を行う無線通信手段34と、接続先情報や生体情報等の各種情報を記憶する記憶手段35と、各種情報を入力する入力手段36と、を主に備えている。
【0027】
基地局Bは、全体の制御を司る制御手段41と、音声や警報を出力する音声出力手段42と、各種情報を表示する表示手段43と、携帯端末装置T、可搬型中継装置R、および、公衆網Pを介して作業員管理装置Cとの間の通信を行う無線通信手段44と、図示しないGPS通信手段を介して受信するGPS信号を基に測位する測位手段45と、各種情報を入力するための入力手段46と、接続先情報や生体情報等の各種情報を入力する記憶手段47とを主に備えている。
【0028】
作業員管理装置Cには、全体の処理を司る処理手段50と、公衆網Pを介して基地局Bと通信する通信手段54と、各種情報を入力するための入力手段55と、後記するように各種情報を記憶する記憶手段56と、各種情報を表示する表示手段57とを主に備えている。
特に、処理手段50は、作業員に関する情報を管理する機能を備えている。具体的には、処理手段50は、作業員生体情報管理部51と、作業員勤怠情報管理部52と、位置情報管理部53とを機能として備えている。
【0029】
作業員生体情報管理部51は、公衆網Pを介して転送されてくる生体情報を作業員ごとにデータベース化し、後記生体情報データベースとして記憶手段56に記憶する。また、各作業員の正常時の生体情報を後記作業員基本情報テーブルに付加して記憶手段56に記憶しておく。そして、両データを比較して、異常があったときには、表示手段57に警報を表示したり、図示しないスピーカから警報音を出力したり、公衆網Pを介して基地局Bに警報を送信させるようにしたりする。
【0030】
作業員勤怠情報管理部52は、例えば、作業員が基地局Bに最初に到着した時刻を開始日時、基地局から退出する時刻を終了日時として、基地局Bから転送されてきたときに、作業員ごとの後記タイムカードテーブルに付記して記憶手段56に記憶するものである。
【0031】
位置情報管理部53は、可搬型中継装置Rの作業現場での設置位置を含む後記位置情報テーブル、基地局Bの公衆網Pを介したアドレスを含む後記基地局接続先テーブル、携帯端末装置Tが作業現場でいずれの可搬型中継装置Rや基地局Bと接続しているのかの接続先情報を含む後記接続先テーブル、基地局Bの位置(経度・緯度・高度)を登録する後記基地局位置情報テーブルなどの各種位置に関する情報を記憶手段56に記憶して管理するものである。
【0032】
また、前記したように、公衆網Pが、基地局Bと作業員管理装置Cとの間に配置されている。この公衆網Pは、有線・無線は問わず、さらに、その通信形態や事業社もどのようなものであってもよい。例えば、固定電話網、IP(Internet Protocol)網、携帯電話網、無線LANのいずれであってもよく、それらを組み合わせたものであってもよい。
【0033】
次に、図3〜図9を参照して、前記した各テーブルについて説明する。
まず、図3に示すように、携帯端末装置Tの位置情報テーブルは、各携帯端末装置TのID(T(1),T(2),T(3)…)と、各可搬型中継装置Rごとの測位開始時刻、(歩数/方位)の測位情報、装置間距離、総距離、方角、推定緯度、推定経度、推定高度等が含まれている。このテーブルは、携帯端末装置Tが作業員に所持されて移動している間、測位されたときの測位情報およびその測位情報を基に算出した値が含まれている。また、このテーブル中、装置間距離は接続している可搬型中継装置R―携帯端末装置Tの距離である。この距離は、携帯端末装置Tが接続している可搬型中継装置Rからの電波強度から算出することが可能である。これについては説明を省略する。
【0034】
また、総距離は基地局Bから携帯端末装置Tが接続する可搬型中継装置Rまたは携帯端末装置Tまでの総距離(道のり)である。方角は基地局Bからみた場合に各携帯端末装置Tの存在する方角である。推定緯度・推定経度・推定高度は、測位した値から算出される推定値である。
【0035】
なお、各携帯端末装置Tごとの測位開始時刻と、(歩数/方位)の測位情報とは、リアルタイムに取得することで、蓄積したデータを表示画面上にプロットして軌跡として表すことができる。
【0036】
図4に示すように、基地局接続先テーブルには、基地局BのIDごとに、アドレスや接続IDが含まれている。接続IDには、各作業現場で接続している可搬型中継装置Rや携帯端末装置TのIDが含まれている。
図5に示すように、携帯端末装置Tの接続先テーブルは、アドレスと、端末IDと、作業員IDと、更新時刻と、接続先IDとが含まれている。更新時刻に接続先が変更(追加)された場合に、その接続先IDとを端末IDと所持する作業員IDとを対応付けたものである。
【0037】
図6に示すように、作業員O(n)の生体情報テーブルは、取得時刻と、脈拍と、収縮期の血圧と、拡張期の血圧と、体温と、作業状態とが含まれている。作業状態は、生体情報計測装置Sが、例えば、腕に装着されている場合に、腕の動きを検出する加速センサ24が継続して加速度を検出しているときに、作業状態としてONのフラグをたて、加速度が所定値よりも小さいときにOFFのフラグをたてるようにして、作業員の作業状態を管理する。
【0038】
図7に示すように、作業員基本情報テーブルは、作業員IDと、計測装置IDと、端末IDと、脈拍と、収縮期の血圧と、拡張期の血圧と、体温とが含まれている。作業員が健康なときに正常値として取得した生体情報を各IDに対応付けて登録しておくものである。
図8に示すように、基地局位置情報テーブルは、基地局IDと、測位時刻と、緯度と、経度と、高度とを対応付けたものである。
図9に示すように、作業員O(n)のタイムカードテーブルは、開始日時と、終了日時と、エリアIDとが含まれている。なお、エリアIDは、対象日時に作業を行った作業エリアを示している。
【0039】
それでは、前記した構成の作業員管理通信システムの各装置ごとの処理をフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、図10に示すフローチャートに従って、可搬型中継装置Rの電源オンからオフまでの一連の処理を説明する。
作業員が、可搬型中継装置Rの図示しない電源をオンにすると(Sa1)、制御手段32は、接続可能通信機器をサーチする(Sa2)。なお、図1を用いて説明したように、可搬型中継装置R(1)の設置時には、基地局B(1)が上位側通信機器としてサーチされる。また、可搬型中継装置R(2)の設置時には、可搬型中継装置R(1)が上位側通信機器としてサーチされる。また、ここで、通信機器とは、可搬型中継装置R、基地局B、携帯端末装置Tのいずれも含む概念とする。また、上位とは、基地局B(1)側(に近づくこと)をいい、下位とは、基地局B(1)から離れることをいうものとする。
【0040】
次に、制御手段32は、サーチした上位側通信機器に接続し(Sa3)、下位側通信機器からの接続要求があるか否かを判断する(Sa4)。このステップSa4は、前記ステップSa3における接続の上位通信機器側から見た場合の処理に相当する。そして、制御手段32は、接続要求がある場合(Sa4のYes)には、下位側通信機器に接続し(Sa5)、処理をSa5に移す。また、接続要求が所定時間無かった場合も処理をSa5に移す。
【0041】
次に、制御手段32は、中継データの有無を判断する(Sa6)。この中継データには、携帯端末装置Tの位置情報や生体情報計測装置Sの生体情報等が含まれる。そして、制御手段32は、中継データが含まれる場合(Sa6のYes)には、中継データ転送処理を行い(Sa7)、処理をステップSa8に移す。この中継データ転送処理については、図11を参照して後記する。また、中継データが所定時間転送されてこない場合(Sa6のNo)には、そのまま処理をステップSa8に移す。最後に、制御手段32は、所定時間電源オフの指令が入力されたか否かを判断する(Sa8)。入力されなければ処理をステップSa4に戻し(Sa8のNo)、入力されれば処理を終了する(Sa8のYes)。
【0042】
ここで、図10に示したフローチャートを用いて、可搬型中継装置Rを作業現場の内部に設置しているときの処理を簡単に説明する。なお、以下、図1の概念図を適宜参照するものとする。
可搬型中継装置Rでは、制御手段32が、上位側通信機器をサーチし接続する(Sa2,Sa3)。この二つのステップSa2,Sa3では、可搬型中継装置R(1)が基地局B(1)に通信接続することを意味する。
【0043】
そして、可搬型中継装置R(1)が第1の角に設置されると、可搬型中継装置R(2)の電源がオンにされる(Sa1)。この可搬型中継装置R(2)の制御手段32も接続可能な上位側通信機器に接続しようとする(接続要求の出力)(Sa2,Sa3)。一方、可搬型中継装置R(1)では、可搬型通信機器R(2)からの接続要求を受け、可搬型通信機器R(2)との接続を行うことになる(Sa5)。なお、このとき複数の上位側の可搬型中継装置Rが存在する場合には、電波強度の強いものに優先的に接続するか、中継装置のIDを参照して接続するような設定を行っておけばよい。
【0044】
次に、図11に示すフローチャートに従って、可搬型中継装置Rの中継データ転送処理を説明する。
制御手段32は、無線通信手段34により中継データを受信すると(Sb1)、生体情報か否かを判定する(Sb2)。制御手段32は、生体情報でないと判定した場合(Sb2のNo)には、続いて、位置情報テーブルまたは接続先テーブルか否かを判定し(Sb3)、いずれのテーブルでもない場合(Sb3のNo)には、処理をSb6に移し、いずれかのテーブルの場合(Sb3のYes)には、記憶手段35に登録を行い(Sb4)、処理をSb6に移す。
【0045】
一方、ステップSb2で、制御手段32が生体情報と判定した場合(Sb2のYes)には、続いて、自らよりも上位側のIDが付与されているか否かを判定する(Sb5)。制御手段32は、上位側のIDが付与されている場合(Sb5のYes)には、続いて、指定されている上位側のIDに向けて、中継データを発信する(Sb6)。また、制御手段32は、上位側のIDが付与されていない場合(Sb5のNo)には、中継を中止する。なお、管理官が携帯する図示しない管理携帯端末装置が、作業現場内に存在する場合には、その管理携帯端末装置に中継を中止した中継データを転送するようにしてもよい。ここで、管理携帯端末装置は、いずれの情報にもアクセス可能な権限を設定されたものとする。
【0046】
次に、図12Aおよび図12Bに示すフローチャートに従って、携帯端末装置Tの通信処理を説明する。
まず、作業員が電源をオンにすると、測位手段11による測位を開始する(Sc1)。この測位手段11による測位は、携帯端末装置Tの電源がオフされるまで継続的に行われるものとする。また、計測結果は、適宜割り込み処理として、以下の処理により、基地局Bまで接続している可搬型中継装置Rまたは携帯端末装置Tなどを経由して作業員管理装置Cまで送信するものとする。
【0047】
そして、次に、制御手段12は基地局Bをサーチし、基地局Bと通信接続を行う(Sc2)。次に、制御手段12は、可搬型中継装置R(n)をサーチする処理に移る。まず、制御手段12は、可搬型中継装置R(n)を特定するnの値を1におき(Sc3)、作業員が基地局B(1)から、作業現場の通路に進入していく過程で、最も通路の入口に近いところに設置されている可搬型中継装置R(1)をサーチする(Sc4)。
【0048】
そして、制御手段12は、今回のサーチで、サーチ対象の可搬型中継装置Rが捕捉できたか否かを判断し(Sc5)、捕捉できなければ(Sc5のNo)、n前回<n今回を判断する(Sc6)。この判断は、作業員が基地局Bから離れる方向に移動しているのか、または、基地局Bへ向かう方向に移動しているのかに対応している。つまり、今回の方が前回よりも大きいnの場合(Sc6のYes)には、図1に示す例では、基地局B(1)から離れる方向へ移動していることを意味しているため、nを+1インクリメントし(Sc7)、基地局Bから作業現場の内部に向かう方向にサーチ範囲を広げる。
【0049】
次に、制御手段12は、全てのnについてサーチを行ったか否かを、n>nmaxか否かで判断する(Sc8)。そして、制御手段12は、作業現場に設置されている全ての可搬型中継装置Rのnの値が登録されている最大値を超えた場合(Sc8のYes)には、それ以降、サーチしても基地局Bから離れた位置に設置されている可搬型中継装置Rが存在しないため、基地局Bから離れる方向に設置されている可搬型中継装置Rのサーチを終了し、次のSc18に処理を移す。なお、最大値を超えていない場合(Sc8のNo)には、処理をSc4に戻す。
【0050】
一方、Sc6の処理で、制御手段12が、今回の方が前回よりも小さいnの場合(Sc6のNo)には、図1に示す例では、基地局B(1)に近づく方向へ移動していることを意味しているため、nを+1デクリメント(−1インクリメント)し(Sc15)、サーチ範囲を基地局Bから作業現場の外部に向かう方向に広げる。そして、このとき、制御手段12は、インクリメントされたnが0か否かを判定する(Sc16)。
【0051】
制御手段12は、nが0であれば(Sc16のYes)、可搬型中継装置Rは基地局B側のサーチは終了しているため、サーチしていない、担当作業エリアのn担当エリアに+1インクリメントして、処理をSc8に移す。このとき、前回はn=0、今回はn担当エリアとなるため、制御手段12は、前記Sc8のNo,Sc4,Sc5のNoの処理を経て、Sc6に至った場合には、Sc7に処理を移すことになる(Sc6のYes)。そのため、この場合、担当作業エリアから基地局Bよりも離れる方向をサーチすることになる。また、制御手段12は、nが0でなければ(Sc16のNo)、処理をSc8に移し、基地局Bに向かう方向にサーチすることになる。
【0052】
一方、ステップSc5でYesの場合には、制御手段12は、既に、通信接続している可搬型中継装置R(n)があるか否かを判定する(Sc9)。制御手段12は、既に通信接続している可搬型中継装置R(n)があれば(Sc9のYes)、受信電波の強度を比較し、強い方の可搬型中継装置R(n)を選択し(Sc10)、選択した可搬型中継装置R(n)と通信接続を行う(Sc11)。また、制御手段12は、既に通信接続している可搬型中継装置R(n)がなければ(Sc9のNo)、可搬型中継装置R(n)との通信接続を行う(Sc11)。
【0053】
次に、制御手段12は、接続した可搬型中継装置R(n)が対象の作業員の担当作業エリア内か否かを判定する(Sc12)。そして、制御手段12は、対象の作業員の担当作業エリア内であれば(Sc12のYes)、通信接続済みの可搬型中継装置R(n)からの受信電波強度が所定値以上か否かを判定する(Sc13)。この判定は、対象の作業員が担当作業エリア内での作業を行っているか否かの判定にも用いることができる。つまり、受信強度が所定値以上であれば(Sc13のYes)、対象の作業員が担当作業エリアにいることを示しているため、作業エリアで作業員が作業中はSc13のステップを繰り返すことになる。
【0054】
また、制御手段12は、受信強度が所定値よりも小さくなれば(Sc13のNo)、担当作業エリア内から対象の作業員が移動を開始したことになるため、小さければ(Sc13のNo)、サーチするnの値を+1デクリメントし(Sc14)、処理をSc4に戻す。ここで、+1インクリメントするのではなく、+1デクリメントするのは、対象の作業員が持ち場である担当作業エリアから離れるときは、作業を終えて基地局B側に戻ることが多いからである。
【0055】
一方、Sc18では、制御手段12が、既に通信接続している可搬型中継装置R(n)が、あるか否かを判定する。制御手段12は、通信接続している可搬型中継装置R(n)があれば(Sc18のYes)、作業エリアよりも基地局Bから離れる方向(n→n+1)ではなく、作業エリアよりも基地局Bに近づく方向(n→n−1)に接続していることになるため、処理をSc13に戻す。また、制御手段12は、通信接続している可搬型中継装置R(n)がなければ(Sc18のNo)、さらに、基地局Bと通信接続可能か否かを確認し(Sc18.1)、基地局Bと接続できれば(Sc18.1のYes)、作業員は作業現場の外に出ていることを意味するため、処理をSc30に移し、電源のオン・オフに応じて、処理を終了する。
【0056】
一方、制御手段12は、基地局Bと接続できなければ(Sc18.1のNo)、作業員がいずれの可搬型中継装置Rとも通信不可能な領域にいるため、処理をSc19に移し、接続可能な携帯端末装置Tをサーチする処理に移る。
【0057】
まず、制御手段12は、携帯端末装置T(n)をサーチするためのnの値を1におく(Sc19)。但し、以下の処理で、自らのnの値か否かを判定し、自らをサーチする処理を行わないようにする。制御手段12は、対象の携帯端末装置T(n)をサーチする(Sc20)。そして、制御手段12は、捕捉することができれば(Sc21のYes)、捕捉した携帯端末装置T(n)を介して基地局と通信可能か否かを判定する(Sc22)。なお、捕捉できなければ(Sc21のNo)、Sc26へ処理を移す。
【0058】
また、制御手段12は、通信可能であれば(Sc22のYes)、既に通信接続している携帯端末装置T(n)があるか否かを判定する(Sc23)。そして、制御手段12は、通信接続している携帯端末装置T(n)があれば(Sc23のYes)、受信電波の強度を比較し(Sc24)、受信強度の高い方の携帯端末装置T(n)と通信接続する(Sc25)。次に、制御手段12は、nの値を+1インクリメントし(Sc26)、全てのnが終了するまで(Sc27のNo)、Sc20〜Sc27の処理を繰り返す。
【0059】
そして、制御手段12は、通信断からの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する(Sc28)。なお、ここでは、通信断とは、Sc18,Sc19で、可搬型中継装置Rおよび基地局Bと通信接続できず、Sc20〜Sc27で可搬型中継装置Rや基地局Bと通信接続している携帯端末装置Tとも通信接続できなかった間の時間とする。そして、制御手段12は、所定時間を経過していると判定すれば(Sc28のYes)、アラームを出力して(Sc29)、対象の作業員にいずれかと接続できる範囲に速やかに移動するよう促す。また、制御手段12は、電源をオフにするか否かにより(Sc30)、処理を終了する(Sc30のYes)。制御手段12は、アラームの出力後(Sc29)、所定時間経過後に電源がオフにされなければ、処理をSc3に戻す。なお、制御手段12が、通信断からの経過時間が所定時間を経過していないと判定した場合(Sc28のNo)にも、処理をSc3に戻す。
【0060】
ここで、図12Aに示したフローチャートを用いて、可搬型中継装置Rを作業現場の内部に設置しているときの携帯端末装置Tの処理を簡単に説明する。なお、以下、図1の概念図を適宜参照するものとする。
可搬型中継装置Rの設置時には、携帯端末装置Tの制御手段12は、ステップSc3→Sc4→Sc5(Yes)→Sc9(→Sc10)→Sc11→Sc12(No)→Sc6(Yes)→Sc7→Sc8(No)→Sc4のループ処理を行う。つまり、可搬型中継装置Rが設置されて増えるたびに、サーチして(Sc4,Sc5)、受信電波の強い(作業員が運搬中の)可搬型中継装置Rに接続する(Sc11)。そして、次に接続するための可搬型中継装置R(n)のnの値を+1インクリメントしていく(Sc6,Sc7,Sc8)ことになるからである。
【0061】
したがって、測位手段11による測位も同時に行われているため、受信電波の強い(作業員が運搬中の)可搬型中継装置Rに接続するたびに、測位情報を記録し、作業員管理装置Cに送信するようにすれば、可搬型中継装置Rの作業現場内での設置位置を特定しておくことができる。また、この測位情報を元にして作業現場内部の地図を描くこともできる。また、実際の地図が分かっている場合には、その情報と重ね合わせることで、測位結果の確かさや可搬型中継装置Rの実際の設置場所を正確に把握するのに役立つことになる。
【0062】
また、可搬型中継装置Rの位置が特定された場合には、作業員が作業中に携帯する携帯端末装置Tの測位開始情報を、可搬型中継装置Rの近傍(所定値以上の電波強度)となった場合にリセットするようにしてもよい。作業員の動きが複雑で測位誤差が大きくなったとしても、可搬型中継装置Rの位置情報でリセットするようにすれば、作業員の居場所を誤差無く把握することができる。
【0063】
次に、図13に示すフローチャートに従って、携帯端末装置Tの生体情報転送処理について説明する。
まず、制御手段12は、生体情報計測装置Sから生体情報取得する(Sd1)。この取得は、リアルタイムまたは所定間隔で定期的に行う。生体情報の種類に応じて取得間隔は、使い分ければよい。例えば、血圧は、10分おき、体温は10分おき、呼吸数は1分おき、脈拍は1分おきのようにする。次に、制御手段12は、取得した生体情報を記憶手段15に登録する(Sd2)。
【0064】
続いて、制御手段12は、接続している可搬型中継装置Rまたは基地局Bを特定するために位置情報テーブルを参照し(Sd3)、また、接続している携帯端末装置Tを特定するために接続先テーブルを参照する(Sd4)。そして、制御手段12は、基地局Bとの間に通信経路が確保されているか否かを判定する(Sd5)。制御手段12は、通信経路が確保されていなければ(Sd5のNo)、処理をSd2に戻す。
【0065】
制御手段12は、通信経路が確保されていれば(Sd5のYes)、リアルタイム転送モードか否かを判定する(Sd6)。ここで、リアルタイム転送モードとは、生体情報を取得するたびに転送するモードとする。そして、制御手段12は、リアルタイム転送モードの場合(Sd6のYes)には、確保されている通信経路に沿って、生体情報を端末IDと共に転送させる(Sd9)。
【0066】
一方、制御手段12は、リアルタイム転送モードでない場合(Sd6のNo)には、所定時間ごとの転送モードか否かを判定する(Sd7)。ここで、所定時間ごとの転送モードとは、所定時間ごとに生体情報を転送させるモードとする。そして、制御手段12は、所定時間の経過ごとの転送モードの場合(Sd7のYes)には、所定時間が経過しているか否かを判定し(Sd8)、経過していれば(Sd8のYes)、確保されている通信経路に沿って、生体情報を端末IDと共に転送させる(Sd9)。
【0067】
また、制御手段12は、所定時間の経過ごとの転送モードでもない場合(Sd7のNo)には、モードの選択を要求し、モードを入力させ(Sd10)、処理を戻す。また、制御手段12は、所定時間が経過していない場合(Sd8のNo)には、処理を戻す。
【0068】
次に、図14に示すフローチャートに従って、生体情報計測装置Sの生体情報計測処理を説明する。
制御手段25は、作業員が身体に本体を装着し、電源をオンにすると(Se1)、血圧センサ20、脈拍測定センサ21、呼吸数計数センサ22、体温測定センサ23、加速センサ24から信号の入力が開始され、各センサに対応する生体情報の取得を開始する(Se2)。そして、制御手段25は、設定に従って携帯端末装置Tへ生体情報を転送する(Se3)。ここで、設定は、携帯端末装置Tの生体情報転送処理で説明した場合がある。例えば、リアルタイム、10分おきのように行う。
【0069】
また、生体情報計測装置Sには、記憶手段26が備えてあるため、作業員の正常値を登録しておいた場合には、制御手段25は、作業員基本情報テーブルを参照し、生体情報の計測値と正常値とを比較する(Se4)。そして、制御手段25は、異常と判定した場合(Se5のYes)には、注意信号を報知して(Se6)、処理を戻し、また、異常がなければ(Se5のNo)、処理をそのまま戻す。
【0070】
次に、図15に示すフローチャートに従って、基地局Bの中継処理を説明する。
制御手段41は、作業現場に基地局Bの機器が作業員の手により設置され、電源をオンにされると(Sf1)、まず、測位手段45による測位処理を行う。具体的には、測位手段45は、GPS衛星からのGPS信号により測位を行い、自らの位置(緯度・経度・高度)を特定する(Sf2)。これを受けて、制御手段41は、基地局位置情報テーブルを作成し、登録すると共に、公衆網Pを介して作業員管理装置Cに送信する(Sf3)。
【0071】
そして、基地局Bは運用状態に入り、制御手段41が、可搬型中継装置Rまたは携帯端末装置Tからの電波を受信したか否かを判定する(Sf4)。制御手段41は、受信すれば(Sf4のYes)、電波に乗せられた情報を作業員管理装置Cへ転送する(Sf5)。また、所定時間経過しても受信しなければ(Sf4のNo)、処理をSf6に移す。
【0072】
また、制御手段41は、作業員管理装置Cからの電波を受信したか否かを判定し(Sf6)、所定時間経過しても受信しなければ(Sf6のNo)、処理をSf12に移し、受信すれば(Sf6のYes)、処理をSf7に移す。
制御手段41は、作業員管理装置Cからの情報が携帯端末装置Tまたは可搬型中継装置Rが転送先か否かを判定する(Sf7)。制御手段41は、それらが転送先であれば(Sf7のYes)転送を行い(Sf8)、情報がテーブル情報であれば、各テーブル情報を登録する(Sf9)。
【0073】
一方、制御手段41は、それらが転送先でなければ(Sf7のNo)、まず、その情報が報知情報か否かを判定する(Sf10)。ここで、報知情報としては、生体情報等に異常があった場合を知らせる情報がある。制御手段41は、報知情報であれば(Sf10のYes)、音声出力手段42から報知音を出力すると共に表示手段43にメッセージを表示する(Sf11)。また、制御手段41は、報知情報でなければ(Sf10のNo)、ここでは省略する他の処理へ移る。そして、制御手段41は、所定時間の電源がオフにされなければ(Sf12のNo)、処理をSf4に戻し、電源がオフにされれば全ての処理を終了する(Sf12のYes)。
【0074】
次に、図16に示すフローチャートに従って、作業員管理装置Cの管理処理を説明する。
処理手段50は、各基地局Bからの信号を受信すると(Sg1)、基地局Bの位置情報か否かを判定する(Sg2)。そして、処理手段50は、位置情報であれば(Sg2のYes)、基地局位置情報テーブルを作成し、記憶手段56に登録し、基地局Bに送信する(Sg3)。また、処理手段50は、位置情報でなく(Sg2のNo)、または、基地局位置情報テーブルを作成した後に、携帯端末装置Tの測位情報が転送されているか否かを判定する(Sg4)。
【0075】
処理手段50は、測位情報であれば(Sg4のYes)、携帯端末装置Tの位置情報テーブルの作成・登録・送信を行う(Sg5)。また、処理手段50は、測位情報でなく(Sg4のNo)、または、位置情報テーブルの作成後に、携帯端末装置Tの接続先情報か否かを判定する(Sg6)。
【0076】
処理手段50は、接続先情報であれば(Sg6のYes)、携帯端末装置Tの接続先情報テーブルの作成・登録・送信を行う(Sg7)。また、処理手段50は、接続先情報でなく(Sg6のNo)、または、接続先情報テーブルの作成後に、基地局接続先テーブルを作成する(Sg8)。ここで、前記したとおり、基地局接続先テーブルには、基地局Bに接続している全ての通信機器のIDが登録される。
【0077】
次に、処理手段50は、受信情報が生体情報か否かを判定する(Sg9)。生体情報であれば(Sg9のYes)、対応する作業員の正常値と比較し(Sg10)、異常があれば(Sg10のYes)、表示手段57や図示しないスピーカから報知すると共に、報知信号を生成し、基地局Bに発信し(Sg11)、処理をSg12に移す。また、処理手段50は、生体情報に異常がなければ(Sg10のNo)、処理をSg12に移す。そして、作業員O(n)ごとの生体情報テーブルを作成し(Sg12)、記憶手段56に登録する。また、必要に応じて基地局Bに生体情報テーブルを発信する。
【0078】
また、処理手段50は、受信情報が生体情報でなく(Sg9のNo)、または、生体情報テーブルの作成が終了すると(Sg12)、作業開始日時・終了日時の情報か否かを判定する(Sg13)。ここで、これらの情報でない場合には、他の処理(省略)へ移る(Sg13のNo)。そして、処理手段50は、これらの情報であれば(Sg13のYes)、作業員O(n)ごとのタイムカードテーブルを更新する(Sg14)。
【0079】
また、前記の作業中にある一定時間通信が確保できなくなった場合は、アラームを出すようにしたため、作業員に通信経路から一定時間以上はずれていることを通知することになる。このようなアラームが生じたときに、特に、危険エリア等で作業を実施している場合は、可搬型中継装置Rの配置を見直す等の処置を実施してから、作業を再開することが望ましい。
【0080】
最後に、前記作業員管理通信システムの利用例を説明する。
(1)作業エリア内の作業員の体調等状態管理
本発明の作業員管理通信システムによると、作業エリア外から作業状況が確認しづらい炭鉱、地下等で作業を実施する場合は、作業中の作業員の生体情報を基地局Bおよびセンタ側(作業員管理装置C)で把握することが可能である。作業員の位置管理も重要な要素ではあるが、作業員の体調を管理できることで事故防止に役立てることができる。
【0081】
(2)災害現場等、状況の把握できない場所への人員派遣ツール(危険エリアでの状態管理)
本発明の作業員管理通信システムによると、地下鉄火災、地下道等の閉鎖空間で、救助活動・消火活動等を実施する場合に、作業員の状態等を管理することが可能となる。また、火災等の災害時に突然通信手段を確保することができるため、作業員の脈拍、体温等を位置情報に追加して、基地局Bに連絡することができる。また、作業状況をリアルタイムで確認したい場合は、この通信経路にビデオカメラの映像等を追加して基地局Bに送るようにしてもよい。この機能により、状況が判断できず人員派遣をためらうような場合にも対応することができる。
【0082】
(3)作業員への遠隔地からの指示
本発明の作業員管理通信システムによると、閉鎖空間等で作業を実施しており、通信手段が常設されていない場所で、基地局Bおよび可搬型中継装置Rを通信可能エリアに設置することにより、遠隔地から作業員に指示を出すことが可能となる。
例えば、定期保守等の作業を作業員が実施している場合、何かの手順どおりの作業では実施できない内容があることが判別された場合、装置の設計内容に詳しい設計者・管理官等が執務場所からその情報を取得し、作業指示を行うことが可能になる。特に、ビデオカメラで撮影した映像等を遠隔地にいる設計者・管理官に送ることで、適切な処置を迅速に行うことが可能となる。
【0083】
(4)作業員の適切配置のための情報収集
本発明の作業員管理通信システムによると、作業員が、どの機械に対し、どの程度の時間をかけて作業を実施しているか、リアルタイムでセンタの作業員管理装置Cで情報収集をすることが可能になる。
(5)作業員の適切配置
前記(4)に示す場合に、本発明の作業員管理通信システムによると、作業情報の収集結果を基に、作業ごとの必要人員の把握が可能となる。これにより、作業ごとの人員を把握し、事前に作業計画を詳細につめることで作業人員の適切化を図ることができる。また、情報はリアルタイムにセンタで取得するようにすると、ある局面で作業が一段落ついた作業員を、そのとき人員を必要としている作業へ振り分けることもできる。そのため、人員の最適化が図れる。
また、災害現場等のどの場所で、どの程度の作業かをあらかじめ想定できない場合にも、リアルタイムに基地局Bまたは基地局Bから地上回線等で繋がったセンタ側の作業員管理装置Cにおいて、必要エリアへ人員を適切に配置することができる。また、災害現場などで作業途中で、周辺状況、退路等の状況が変化した場合は、基地局Bまたはセンタ側の作業員管理装置Cから作業員に対して作業員の体調等の状況を理解した上で、適切な指示を出すことができる。これにより、作業員の安全に関する情報管理を正確に行うことができる。
【0084】
(6)危険エリア内の立ち入り者管理
危険エリアでの保守点検作業等、作業内容は特に問題なくとも、エリア内での作業員の人数などを把握したいときにも利用できる。作業員の所持する携帯端末装置Tからの情報を基に基地局およびセンタ側で作業員の位置が把握できる。また、この情報を基に、一定エリアに何人の人員が入っているかを管理し、基地局Bまたはセンタ側の作業員管理装置Cから、作業エリア内の作業員に対し、作業指示・退去指示・入室指示などを与えることができる。
【0085】
(7)作業エリア内の作業員の作業時間管理
本発明の作業員管理通信システムによると、法的に作業エリアでの作業時間が特定されているような作業エリアで作業を実施する場合(例えば放射線管理区域内)に、作業エリア内に作業員が入っていた時間を管理することができる。例えば、作業員の軌跡情報と共にその作業員が何時間エリアに滞在したかの情報を基地局Bおよびセンタ側の作業員管理装置Cで把握可能である。これにより、現在、時間管理を行う第三者が各作業員の作業時間をカウントし、管理しなくても、各作業員の作業時間管理をセンタ側の作業員管理装置Cでデータとして管理することが可能となり、データの加工もしやすくなる。
【0086】
(8)作業員の作業エリア以外の無許可エリアへの進入禁止
本発明の作業員管理通信システムによると、作業員の軌跡管理を行うことができるため、センタ側の作業員管理装置Cでそれぞれの作業員の属性を管理することで、無許可エリアへ作業員が侵入した場合に、アラームを出すなどの対処を行うようにしてもよい。この場合、無許可エリアにどの作業員が、どの位の時間侵入したかの情報も管理できる。また、特定の作業員に対し通信し、無許可エリアから退出を促すこともできる。
【0087】
(9)GIS(Geographical Information System)データへの表示
本発明の作業員管理通信システムによると、作業員の情報は、軌跡で表すことができるため、センタ側の作業員管理装置Cに作業エリア内のマップ等を保持することにより、画像上で作業員の位置・状況・体調等を表示できるようになる。そのため、ビジュアル化することで、作業員の位置はより把握しやすくなり、センタ側での管理より効率的に行えるようになる。
【0088】
以上説明したように、本発明の実施形態では、作業現場での通信経路を容易に確立することができ、作業員の生体情報等を管理することもできる。そのため、地下街、屋内作業エリア、建設現場等において、既設の設備を持たずにある特定期間(時間)のみ作業員の管理を行うことができるようになる。また、衛星からの電波を受信できない室内、閉鎖空間、災害現場等で作業員の場所の特定・体調の管理を、離れた場所で行うことができるようになる。
また、作業員の状態・位置管理を実施しない場合でも、本発明の作業員管理通信システムの設備を保有していれば、通信手段の無いトンネル等において通信手段の確保が可能となり、さまざまなインフラへの適用も可能である。
【0089】
なお、前記実施形態では、基地局Bが、作業現場の外部(通路入口)に設置され、可搬型中継装置Rが作業現場の内部に設置される場合を想定して説明したが、その設置位置は、これらに限らない。例えば、可搬型中継装置Rの1台を作業現場の外部に備える休憩所に設置してもよい。また、基地局B(1)を介して作業現場から遠隔な場所に設置される作業員管理装置Cに接続するようにしたが、作業員管理装置Cは作業現場の内部および/または外部に設置するようにしてもよい。この場合には、公衆網Pを介さずに、可搬型中継装置Rのいずれかが直接作業員管理装置Cに接続するようにすればよい。そのため、公衆網Pと接続する機能を有する基地局Bを設置しなくてもよい。
【0090】
また、前記実施形態では、作業現場の内部での携帯端末装置Tの測位は、基準位置を基地局Bとして説明したが、任意の位置としてもよい。例えば、作業員の休憩所であってもよい。なお、携帯端末装置Tは電源をオンにすると測位を開始するため、基準位置を基地局とする意味は、念のために説明すると、基地局Bの近傍で電源をオンにするという程度のことである。このように基地局Bや休憩所を基準位置とするのは、作業員管理装置Cでの管理を容易にするためである。そのため、「任意の位置としてもよい」とは、作業員管理装置Cで管理可能な位置であれば構わないという程度の意味である。
【0091】
また、前記実施形態では、携帯端末装置Tと生体情報計測装置Sとを別体のものとして説明したが、一体にした装置としてもよい。また、携帯端末装置Tは測位機能を持たない通信機能のみのものとし、生体情報計測装置Sが他のセンサと共に測位機能を有する動態センサを内蔵するようにしてもよい。
【0092】
また、前記実施形態では、作業現場の内部であって、既設の通信設備が敷設されていない場所を想定して説明したが、既設の通信設備が敷設してあっても故障している場合には、仮設の通信手段として作業員管理通信システムを用いることもできる。
また、既設の通信設備が正常に作動している場合でも、作業員管理通信システムを用いることにより、閉じた通信手段として作動することができるため、作業員の管理のセキュリティという点から有用である。
また、可搬型中継装置Rの通信技術としては、前記実施形態では限定して説明していないが、アドホック通信と呼ばれる技術や無線LANを利用して通信するようにしてもよい。
【0093】
また、前記実施形態では、可搬型中継装置Rと基地局Bとを異なるものとして説明したが、両者の最大公約数的な機能を備えたコンピュータを用いてもよい。この場合、前記した中継処理を実行する通信中継プログラムを搭載したノートパソコン等のパーソナルコンピュータに、アンテナ等を含む通信機器を接続することで同一機能を実現するようにしてもよい。また、可搬型中継装置R、基地局B、携帯端末装置Tの各機能を最大公約数的に備えた作業員管理通信機器として構成してもよい。つまり、この場合には、ユーザは作業現場に同一の作業員管理通信機器を基地局として設置すると共に、作業員管理通信機器を可搬型中継装置として作業現場の内部に適宜設置することで、通信経路が確立されることとなる。
【0094】
また、前記実施形態では、クランク状の通路を経た内部空間に、作業エリアWが形成されている作業現場を例にして説明したが、ここで、クランク状のというのは、通信手段(無線を含む)が作業エリアWに対して確保できない通路という程度の意味である。
また、作業員の装着する生体情報計測装置Sや携帯端末装置Tと、インターフェースを確保した画像取得装置、環境測定装置等とを組み合わせ、生体情報と画像と環境データとを付加するようにしてもよい。環境データとしては、温度、酸素濃度などがある。
【0095】
また、可搬型中継装置Rに測位手段を備え、設置場所を測位するようにしてもよい。つまり、作業エリアに設置する複数台の可搬型中継装置Rの電源をオンにし、複数台の可搬型中継装置Rが測位を行うようにしてもよい。また、基地局Bまたは作業員管理装置Cは、複数台の可搬型中継装置Rから測位情報を受信し、これらの測位情報の平均を算出して、測位情報とするようにしてもよい。
さらに、作業員が、作業エリアに移動するごとに、携帯端末装置Tで測位を行い、そのたびに得られる測位情報を蓄積して平均をとるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態の作業員管理通信システムの概念を説明する概念図である。
【図2】本発明の実施形態の作業員管理通信システムの構成を説明するブロック図である。
【図3】携帯端末装置の位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図4】基地局接続先テーブルの一例を示す図である。
【図5】携帯端末装置の接続先テーブルの一例を示す図である。
【図6】作業員O(n)の生体情報テーブルの一例を示す図である。
【図7】作業員基本情報テーブルの一例を示す図である。
【図8】基地局位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図9】作業員O(n)のタイムカードテーブルの一例を示す図である。
【図10】可搬型中継装置の電源オンからオフまでの一連の処理を説明するフローチャートである。
【図11】可搬型中継装置の中継データ転送処理を説明するフローチャートである。
【図12A】携帯端末装置の通信処理を説明するフローチャートである。
【図12B】携帯端末装置の通信処理を説明するフローチャートである。
【図13】携帯端末装置の生体情報転送処理を説明するフローチャートである。
【図14】生体情報計測装置の生体情報計測処理を説明するフローチャートである。
【図15】基地局の中継処理を説明するフローチャートである。
【図16】作業員管理装置の管理処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
B 基地局
C 作業員管理装置
P 公衆網
R 可搬型中継装置
S 生体情報計測装置
T 携帯端末装置
17 無線通信手段
34 無線通信手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業現場内で作業する作業員と作業現場外で管理する管理官との間で通信可能な通信経路の確立等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋外の作業現場では、GPS(Global Positioning System)衛星を利用した測位システムを用いて作業員の位置を特定することができるようになってきている。また、近年、ビル等の屋内では、無線LAN(Local Area Network)の敷設が盛んに行われているが、このような屋内の作業現場では、既に敷設されている無線LANを利用して作業員の位置を特定することもできるようになってきている。
【0003】
ところで、健康上好ましくない作業現場や危険な作業現場では、作業員の血圧や体温等の生体情報をリアルタイムでモニタすることが、作業員の健康・安全上重要である。通常、作業員は、体調が悪くなったときに、速やかに作業を中断して退避し、外部の管理官に速やかに連絡をとる必要がある。そのため、最近、作業員が、血圧や体温等の生体情報をリアルタイムでモニタすることができる生体情報計測装置を身体に装着し、自らの生体の機能を把握して、携帯電話網や無線LANを利用して管理官に連絡することも行われるようになってきている。
【0004】
なお、リアルタイムで生体機能をモニタする生体情報計測装置としては、作業員に身体の生体情報の計測可能な各部位に直接装着し、パーソナルコンピュータ等の外部装置に計測した血圧や体温等の生体情報を微弱な電波で転送してリアルタイムにモニタするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2003−102692号公報(段落0047〜0060、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来は、作業現場内と作業現場外とを結ぶ通信回線が既に敷設されていなければ、通信を行うことができなかった。特に、GPS衛星の電波を受信可能な場所や無線LANが既に敷設されている場所以外では、容易に測位を行うことができないため、作業現場内での作業員の居場所(位置)を特定することも容易でなかった。
【0007】
また、従来は、前記特許文献1に記載の生体情報計測装置により、作業員の生体情報を計測して、作業員の近くに設置した外部装置に転送後、既に敷設されている無線LANや各種通信経路を介して作業現場の外部に設置される監視装置に転送することが考えられてきている。しかし、従来は、既に敷設されている無線LANや各種通信経路が作業現場内外を結んでいないと、作業員と管理官との間の連絡を行うことができないばかりか、生体情報を通信により転送することもできなかった。
【0008】
また、GPS衛星や無線LANの電波の届かない作業現場で作業する作業員と作業現場外の管理官とが通信を行う手段としては、トランシーバが従来から用いられている。このトランシーバは、電波障壁が多い作業場所では直接通話を行えない場合も多く、また、通話機能のみなので管理官が作業員の居場所を特定することはできなかった。
【0009】
そこで、本発明は、前記各欠点を改善することを課題とし、通信経路が既設されていない場所や通信経路が故障したり破壊されたりした場所でも、作業現場内で作業する作業員と作業現場外で現場を管理する管理官との間で通信可能な臨時的な通信経路を簡易に設置できるようにし、管理官が作業員の居場所や状態を管理できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の作業員管理通信システムでは、作業現場の内部に可搬型中継装置を設置して通信経路を確立し、動態センサを内蔵する携帯端末装置を作業員に所持させて作業を行わせ、通信経路上の基地局にデータアクセス可能な管理官により作業員を管理させるようにした。作業中の作業現場の内部では、携帯端末装置がいずれかの可搬型中継装置と通信接続して通信経路上に設置される基地局に通信可能に接続する。また、携帯端末装置は、動態センサにより測位した作業員の位置情報を可搬型中継装置に送信し、通信経路上の基地局に転送させる。そして、基地局に対してデータアクセス可能な管理官により位置情報が確認され、作業員の位置(居場所)の管理や動態センサの検知状態による作業員の状態の管理が行われる。
【発明の効果】
【0011】
したがって、本発明によれば、既に敷設されている通信経路に頼ることなく、臨時的な通信経路を容易に設置することができるようになる。そのため、作業員同士、作業員と管理官とが、連絡を取り合うことができるようになる。また、作業現場内での作業員の居場所を特定することもできるようになる。さらに、作業員が生体情報計測装置を装着して、その生体情報計測装置が計測する生体情報を作業現場外に転送させることもできるようになる。
【0012】
特に、本発明は、通信設備が敷設されていない地下街やトンネルなどの場所で作業を行う場合や通信設備が敷設されていても災害などで破壊してしまった地下街やトンネルなどの場所で作業(救助作業や復旧作業)を行う場合であっても、臨時的に通信経路を速やかに設置することができる。そのため、作業現場内の作業員と外部の管理官との連絡をリアルタイムで行うことができ、特に、そのような場所で作業員に生命の危機が生じた場合でも、作業員の生体情報を外部に転送することができるため、作業員の救命活動を速やかに行うこともできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
まず、図1に示す概念図に従って、本発明の作業員管理通信システムの概要を説明する。ここでは、クランク状の通路を経た内部空間に、作業エリアWが形成された作業現場を例に説明する。また、作業員O(1)〜O(3)の3名が作業現場で作業するときに、7台の後記可搬型中継装置R(1)〜R(7)を作業現場の内部に配置し、基地局B(1)と共に通信経路を確立し、センタの作業員管理装置Cで生体情報が管理される場合を説明する。
【0014】
具体的には、まず、作業員が、作業現場に到着して、通路の出入り口に基地局B(1)を設置する。この基地局B(1)は、無線通信を介して携帯電話網等の通信ネットワークに接続し、センタに設置された作業員管理装置Cに接続する。なお、基地局B(1)の(1)は,作業員管理装置Cが管理する基地局BのIDを表すものとしている。つまり、作業員管理装置Cは、複数の作業現場の作業員を管理することを考慮している。
作業員は、基地局B(1)を設置し終わると、この基地局B(1)を基準位置として、可搬型中継装置R(1)〜R(7)を持ち、通路内に進入していく。そして、通路内のクランクの角ごとに可搬型中継装置R(1)〜R(5)を設置する。
【0015】
次に、可搬型中継装置R(1)は、基地局B(1)との間で電波により通信可能な範囲であるクランクの角(入口から見て第1の角)に設置される。このとき、可搬型中継装置R(1)は、例えば、基地局B(1)の近辺から電源をオンにされ、基地局B(1)との間で通信接続する。そして、可搬型中継装置R(1)は、基地局B(1)から発信される電波の強度を計測し、その強度が所定値以下にならない範囲の場所に設置される。ここでは、第1の角では、その強度が所定値よりも充分に大きな値を有することとする。なお、その強度が所定値以下になるか否かを判定するようにし、所定値以下になった場合に警報音を出力して作業員に報知させるのが好ましい。
【0016】
また、可搬型中継装置R(2)は、可搬型中継装置R(1)との間で電波により通信可能な範囲(第2の角)に配置される。同様に、可搬型中継装置R(3),R(4),R(5)が通路内の第3、第4、第5の角にそれぞれ配置される。
また、作業エリアW内では、1台の可搬型中継装置に同時に接続可能な携帯端末装置の台数がある程度決まっているため、充分通信可能となるように複数の可搬型中継装置を設置するのが好ましい。そのため、ここでは、可搬型中継装置R(6)は、可搬型中継装置R(5)との間で電波により通信可能な範囲であって、かつ、作業エリアWの入口付近に設置する。また、可搬型中継装置R(7)は、可搬型中継装置R(6)との間で電波により通信可能な範囲であり、かつ、作業エリアWの略中央の領域に配置する。
【0017】
以上のように作業場所に設置された各可搬型中継装置R(1)〜R(7)は、基地局B(1)との間で通信経路を形成する。可搬型中継装置R(1)〜R(7)は、後記携帯端末装置を所持した作業員が通過するたびに(可搬型中継装置R(1)〜R(7)のいずれかと後記携帯端末装置とが通信可能な範囲になるたびに)、後記携帯端末装置が測位した位置情報を、後記携帯端末装置から受信し、通信経路上を転送し、基地局B(1)まで転送させることができる。
【0018】
そして、基地局B(1)が図示しない公衆網を介して作業員管理装置Cに接続し、測位情報も作業員管理装置Cに転送させる。そのため、管理官が、作業員管理装置Cにより、遠隔地の作業現場で作業する作業員を管理することができる。
したがって、可搬型中継装置R(1)〜R(7)の電源を投入後設置場所まで移動して設置するだけで、通信経路が形成されることになる。そのため、災害現場や復旧作業を行うような急を要する作業現場での作業を速やかに行うことができる。
【0019】
また、前記したように、基地局B(1)と可搬型中継装置R(1)〜R(7)が作業現場に配置されると、作業現場の内部に通信経路が確立され、基地局B(1)を介して作業員管理装置Cに接続可能になる。そのため、例えば、作業員O(1)〜O(3)が、作業エリアWで作業を行う場合には、後記携帯端末装置をそれぞれ所持して、基地局B(1)の設置してある通路入り口から通路内を通り、可搬型中継装置R(1)〜R(5)をそれぞれ経て作業エリアW内に進入する。その通路では各可搬型中継装置R(1)〜R(5)と後記各携帯端末装置とが通信可能状態になるため、各作業員O(1)〜O(3)の通路内の移動時の通信が確保される。
【0020】
そして、各作業員O(1)〜O(3)が作業エリアW内に進入し、各配置につくと、各作業員O(1),O(2),O(3)の後記各携帯端末装置が、可搬型中継装置R(6),R(7)と接続する。また、ここでは、可搬型中継装置R(7)に近い位置で作業する作業員O(1),O(2)は、可搬型中継装置R(6)に比べて強い電波強度の可搬型中継装置R(7)に優先的に接続する。なお、この場合では、作業員O(1)〜O(3)の後記各携帯端末装置と、可搬型中継装置R(1)〜R(7)と、基地局B(1)とにより、可搬型中継装置R(7)で2本に分岐する通信経路としても見ることもできる。
【0021】
また、可搬型中継装置R(6),R(7)の間には、作業員O(3)が作業をしているため、この作業員O(3)が所持する後記携帯端末装置を経由して転送するようにしてもよい。これについて、各作業員O(1)〜O(3)が後記各生体情報計測装置を身体に装着し、後記各生体情報計測装置の計測する生体情報を中継する場合を例に説明する。作業員O(1)の生体情報をdを添えて表すものとすると、生体情報O(1)d,O(2)dは、可搬型中継装置R(7)を経由して、作業員O(3)の後記携帯端末装置に転送される。そして、作業員O(3)の後記携帯端末装置は、生体情報O(1)d,O(2)d,O(3)dを可搬型中継装置R(6)に送り、基地局B(1)から作業員管理装置Cに転送させるようにしてもよい。
【0022】
次に、図2に示すブロック図を参照して、作業員管理通信システムの構成を説明する。
この作業員管理通信システムは、作業員の身体に装着して生体情報を計測する生体情報計測装置Sと、この生体情報計測装置Sにより計測された生体情報を微弱電波で受信すると共に、受信した生体情報の転送機能、通話等の通信機能および測位機能を有する携帯端末装置Tと、作業現場の内部の適宜な位置に配置され通信経路を確立する可搬型中継装置Rと、作業現場の外部(内部)の通信の基準となる位置に配置され、前記可搬型中継装置Rにより確立される通信経路および公衆網Pに接続可能な基地局Bと、公衆網Pを介して基地局Bに接続して生体情報等の作業員の情報を管理する作業員管理装置Cとを含む構成になっている。なお、可搬型中継装置Rは、便宜上1台しか記載していない。以下、各装置ごとに説明する。
【0023】
携帯端末装置Tは、作業員が所持する通信手段であり、測位手段11と、制御手段12と、音声出力手段13と、表示手段14と、記憶手段15と、入力手段16と、無線通信手段17と、を主に備えている。
測位手段11は、更に詳しくは、歩数により移動距離を歩測する歩測手段1と、この歩測手段1で歩測しているときに進行している方向を検出する方位センサ2と、体の動きを検出するジャイロ3とから構成されている。つまり、測位手段11は、作業員の移動距離と移動方位とで基準位置からの相対的な位置を測位する。なお、方位センサ2は、方位磁石で構成しても、ジャイロで構成してもよい。また、測位手段11としての各歩測手段1、方位センサ2およびジャイロ3は、作業員の動態状態を検知するものであるため、動態センサと適宜呼称するものとする。なお、動態センサに関する技術としては、出願人によるところの特開2005-050005号公報に記載の技術を用いることができる。
【0024】
制御手段12は、携帯端末装置Tの全体の制御を司る。音声出力手段13は、警報音や通話時の音声を出力する。表示手段14は、例えば、各種画像・文字情報を表示する。記憶手段15は、各種情報を記憶する。例えば、自らの装置ID、各携帯端末装置Tから転送されてきた各種情報、後記作業員基本情報テーブル等の各種データや各種プログラムを記憶する。入力手段16は、各種データを入力するためのものであり、ここではキー入力部や音声入力部を含むものとする。また、画像を入力する画像入力部を含めてもよい。無線通信手段17は、他の携帯端末装置T、生体情報計測装置S、可搬型中継装置Rおよび/または基地局Bと通信を接続するものである。
【0025】
生体情報計測装置Sは、血圧を計測する血圧センサ20と、脈拍を計測する脈拍測定センサ21と、呼吸数を計測する呼吸数計数センサ22と、体温を測定する体温測定センサ23と、装着部位の加速度を計測する加速センサ24と、全体の制御を司る制御手段25と、計測した生体情報や識別情報等を記憶する記憶手段26と、携帯端末装置Tに生体情報を微弱電波で送信する無線通信手段27と、各種情報を入力する入力手段28と、計測した生体情報等を表示する表示手段29とを主に備えている。ここでは、生体情報として、血圧、脈拍、呼吸数、体温、腕振りの加速度を例にしている。なお、各センサは、一つの筐体内に収容されるばかりでなく、別体に構成するようにしてもよい。また、作業員は、一つの生体情報計測装置Sを装着するばかりでなく、各生体情報を計測しやすい部位に複数の生体情報計測装置Sを装着するようにしてもよい。
【0026】
可搬型中継装置Rは、全体の制御を司る制御手段32と、各種情報を表示する表示手段33と、基地局B、携帯端末装置Tおよび他の可搬型中継装置Rとの通信を行う無線通信手段34と、接続先情報や生体情報等の各種情報を記憶する記憶手段35と、各種情報を入力する入力手段36と、を主に備えている。
【0027】
基地局Bは、全体の制御を司る制御手段41と、音声や警報を出力する音声出力手段42と、各種情報を表示する表示手段43と、携帯端末装置T、可搬型中継装置R、および、公衆網Pを介して作業員管理装置Cとの間の通信を行う無線通信手段44と、図示しないGPS通信手段を介して受信するGPS信号を基に測位する測位手段45と、各種情報を入力するための入力手段46と、接続先情報や生体情報等の各種情報を入力する記憶手段47とを主に備えている。
【0028】
作業員管理装置Cには、全体の処理を司る処理手段50と、公衆網Pを介して基地局Bと通信する通信手段54と、各種情報を入力するための入力手段55と、後記するように各種情報を記憶する記憶手段56と、各種情報を表示する表示手段57とを主に備えている。
特に、処理手段50は、作業員に関する情報を管理する機能を備えている。具体的には、処理手段50は、作業員生体情報管理部51と、作業員勤怠情報管理部52と、位置情報管理部53とを機能として備えている。
【0029】
作業員生体情報管理部51は、公衆網Pを介して転送されてくる生体情報を作業員ごとにデータベース化し、後記生体情報データベースとして記憶手段56に記憶する。また、各作業員の正常時の生体情報を後記作業員基本情報テーブルに付加して記憶手段56に記憶しておく。そして、両データを比較して、異常があったときには、表示手段57に警報を表示したり、図示しないスピーカから警報音を出力したり、公衆網Pを介して基地局Bに警報を送信させるようにしたりする。
【0030】
作業員勤怠情報管理部52は、例えば、作業員が基地局Bに最初に到着した時刻を開始日時、基地局から退出する時刻を終了日時として、基地局Bから転送されてきたときに、作業員ごとの後記タイムカードテーブルに付記して記憶手段56に記憶するものである。
【0031】
位置情報管理部53は、可搬型中継装置Rの作業現場での設置位置を含む後記位置情報テーブル、基地局Bの公衆網Pを介したアドレスを含む後記基地局接続先テーブル、携帯端末装置Tが作業現場でいずれの可搬型中継装置Rや基地局Bと接続しているのかの接続先情報を含む後記接続先テーブル、基地局Bの位置(経度・緯度・高度)を登録する後記基地局位置情報テーブルなどの各種位置に関する情報を記憶手段56に記憶して管理するものである。
【0032】
また、前記したように、公衆網Pが、基地局Bと作業員管理装置Cとの間に配置されている。この公衆網Pは、有線・無線は問わず、さらに、その通信形態や事業社もどのようなものであってもよい。例えば、固定電話網、IP(Internet Protocol)網、携帯電話網、無線LANのいずれであってもよく、それらを組み合わせたものであってもよい。
【0033】
次に、図3〜図9を参照して、前記した各テーブルについて説明する。
まず、図3に示すように、携帯端末装置Tの位置情報テーブルは、各携帯端末装置TのID(T(1),T(2),T(3)…)と、各可搬型中継装置Rごとの測位開始時刻、(歩数/方位)の測位情報、装置間距離、総距離、方角、推定緯度、推定経度、推定高度等が含まれている。このテーブルは、携帯端末装置Tが作業員に所持されて移動している間、測位されたときの測位情報およびその測位情報を基に算出した値が含まれている。また、このテーブル中、装置間距離は接続している可搬型中継装置R―携帯端末装置Tの距離である。この距離は、携帯端末装置Tが接続している可搬型中継装置Rからの電波強度から算出することが可能である。これについては説明を省略する。
【0034】
また、総距離は基地局Bから携帯端末装置Tが接続する可搬型中継装置Rまたは携帯端末装置Tまでの総距離(道のり)である。方角は基地局Bからみた場合に各携帯端末装置Tの存在する方角である。推定緯度・推定経度・推定高度は、測位した値から算出される推定値である。
【0035】
なお、各携帯端末装置Tごとの測位開始時刻と、(歩数/方位)の測位情報とは、リアルタイムに取得することで、蓄積したデータを表示画面上にプロットして軌跡として表すことができる。
【0036】
図4に示すように、基地局接続先テーブルには、基地局BのIDごとに、アドレスや接続IDが含まれている。接続IDには、各作業現場で接続している可搬型中継装置Rや携帯端末装置TのIDが含まれている。
図5に示すように、携帯端末装置Tの接続先テーブルは、アドレスと、端末IDと、作業員IDと、更新時刻と、接続先IDとが含まれている。更新時刻に接続先が変更(追加)された場合に、その接続先IDとを端末IDと所持する作業員IDとを対応付けたものである。
【0037】
図6に示すように、作業員O(n)の生体情報テーブルは、取得時刻と、脈拍と、収縮期の血圧と、拡張期の血圧と、体温と、作業状態とが含まれている。作業状態は、生体情報計測装置Sが、例えば、腕に装着されている場合に、腕の動きを検出する加速センサ24が継続して加速度を検出しているときに、作業状態としてONのフラグをたて、加速度が所定値よりも小さいときにOFFのフラグをたてるようにして、作業員の作業状態を管理する。
【0038】
図7に示すように、作業員基本情報テーブルは、作業員IDと、計測装置IDと、端末IDと、脈拍と、収縮期の血圧と、拡張期の血圧と、体温とが含まれている。作業員が健康なときに正常値として取得した生体情報を各IDに対応付けて登録しておくものである。
図8に示すように、基地局位置情報テーブルは、基地局IDと、測位時刻と、緯度と、経度と、高度とを対応付けたものである。
図9に示すように、作業員O(n)のタイムカードテーブルは、開始日時と、終了日時と、エリアIDとが含まれている。なお、エリアIDは、対象日時に作業を行った作業エリアを示している。
【0039】
それでは、前記した構成の作業員管理通信システムの各装置ごとの処理をフローチャートを参照しつつ説明する。
まず、図10に示すフローチャートに従って、可搬型中継装置Rの電源オンからオフまでの一連の処理を説明する。
作業員が、可搬型中継装置Rの図示しない電源をオンにすると(Sa1)、制御手段32は、接続可能通信機器をサーチする(Sa2)。なお、図1を用いて説明したように、可搬型中継装置R(1)の設置時には、基地局B(1)が上位側通信機器としてサーチされる。また、可搬型中継装置R(2)の設置時には、可搬型中継装置R(1)が上位側通信機器としてサーチされる。また、ここで、通信機器とは、可搬型中継装置R、基地局B、携帯端末装置Tのいずれも含む概念とする。また、上位とは、基地局B(1)側(に近づくこと)をいい、下位とは、基地局B(1)から離れることをいうものとする。
【0040】
次に、制御手段32は、サーチした上位側通信機器に接続し(Sa3)、下位側通信機器からの接続要求があるか否かを判断する(Sa4)。このステップSa4は、前記ステップSa3における接続の上位通信機器側から見た場合の処理に相当する。そして、制御手段32は、接続要求がある場合(Sa4のYes)には、下位側通信機器に接続し(Sa5)、処理をSa5に移す。また、接続要求が所定時間無かった場合も処理をSa5に移す。
【0041】
次に、制御手段32は、中継データの有無を判断する(Sa6)。この中継データには、携帯端末装置Tの位置情報や生体情報計測装置Sの生体情報等が含まれる。そして、制御手段32は、中継データが含まれる場合(Sa6のYes)には、中継データ転送処理を行い(Sa7)、処理をステップSa8に移す。この中継データ転送処理については、図11を参照して後記する。また、中継データが所定時間転送されてこない場合(Sa6のNo)には、そのまま処理をステップSa8に移す。最後に、制御手段32は、所定時間電源オフの指令が入力されたか否かを判断する(Sa8)。入力されなければ処理をステップSa4に戻し(Sa8のNo)、入力されれば処理を終了する(Sa8のYes)。
【0042】
ここで、図10に示したフローチャートを用いて、可搬型中継装置Rを作業現場の内部に設置しているときの処理を簡単に説明する。なお、以下、図1の概念図を適宜参照するものとする。
可搬型中継装置Rでは、制御手段32が、上位側通信機器をサーチし接続する(Sa2,Sa3)。この二つのステップSa2,Sa3では、可搬型中継装置R(1)が基地局B(1)に通信接続することを意味する。
【0043】
そして、可搬型中継装置R(1)が第1の角に設置されると、可搬型中継装置R(2)の電源がオンにされる(Sa1)。この可搬型中継装置R(2)の制御手段32も接続可能な上位側通信機器に接続しようとする(接続要求の出力)(Sa2,Sa3)。一方、可搬型中継装置R(1)では、可搬型通信機器R(2)からの接続要求を受け、可搬型通信機器R(2)との接続を行うことになる(Sa5)。なお、このとき複数の上位側の可搬型中継装置Rが存在する場合には、電波強度の強いものに優先的に接続するか、中継装置のIDを参照して接続するような設定を行っておけばよい。
【0044】
次に、図11に示すフローチャートに従って、可搬型中継装置Rの中継データ転送処理を説明する。
制御手段32は、無線通信手段34により中継データを受信すると(Sb1)、生体情報か否かを判定する(Sb2)。制御手段32は、生体情報でないと判定した場合(Sb2のNo)には、続いて、位置情報テーブルまたは接続先テーブルか否かを判定し(Sb3)、いずれのテーブルでもない場合(Sb3のNo)には、処理をSb6に移し、いずれかのテーブルの場合(Sb3のYes)には、記憶手段35に登録を行い(Sb4)、処理をSb6に移す。
【0045】
一方、ステップSb2で、制御手段32が生体情報と判定した場合(Sb2のYes)には、続いて、自らよりも上位側のIDが付与されているか否かを判定する(Sb5)。制御手段32は、上位側のIDが付与されている場合(Sb5のYes)には、続いて、指定されている上位側のIDに向けて、中継データを発信する(Sb6)。また、制御手段32は、上位側のIDが付与されていない場合(Sb5のNo)には、中継を中止する。なお、管理官が携帯する図示しない管理携帯端末装置が、作業現場内に存在する場合には、その管理携帯端末装置に中継を中止した中継データを転送するようにしてもよい。ここで、管理携帯端末装置は、いずれの情報にもアクセス可能な権限を設定されたものとする。
【0046】
次に、図12Aおよび図12Bに示すフローチャートに従って、携帯端末装置Tの通信処理を説明する。
まず、作業員が電源をオンにすると、測位手段11による測位を開始する(Sc1)。この測位手段11による測位は、携帯端末装置Tの電源がオフされるまで継続的に行われるものとする。また、計測結果は、適宜割り込み処理として、以下の処理により、基地局Bまで接続している可搬型中継装置Rまたは携帯端末装置Tなどを経由して作業員管理装置Cまで送信するものとする。
【0047】
そして、次に、制御手段12は基地局Bをサーチし、基地局Bと通信接続を行う(Sc2)。次に、制御手段12は、可搬型中継装置R(n)をサーチする処理に移る。まず、制御手段12は、可搬型中継装置R(n)を特定するnの値を1におき(Sc3)、作業員が基地局B(1)から、作業現場の通路に進入していく過程で、最も通路の入口に近いところに設置されている可搬型中継装置R(1)をサーチする(Sc4)。
【0048】
そして、制御手段12は、今回のサーチで、サーチ対象の可搬型中継装置Rが捕捉できたか否かを判断し(Sc5)、捕捉できなければ(Sc5のNo)、n前回<n今回を判断する(Sc6)。この判断は、作業員が基地局Bから離れる方向に移動しているのか、または、基地局Bへ向かう方向に移動しているのかに対応している。つまり、今回の方が前回よりも大きいnの場合(Sc6のYes)には、図1に示す例では、基地局B(1)から離れる方向へ移動していることを意味しているため、nを+1インクリメントし(Sc7)、基地局Bから作業現場の内部に向かう方向にサーチ範囲を広げる。
【0049】
次に、制御手段12は、全てのnについてサーチを行ったか否かを、n>nmaxか否かで判断する(Sc8)。そして、制御手段12は、作業現場に設置されている全ての可搬型中継装置Rのnの値が登録されている最大値を超えた場合(Sc8のYes)には、それ以降、サーチしても基地局Bから離れた位置に設置されている可搬型中継装置Rが存在しないため、基地局Bから離れる方向に設置されている可搬型中継装置Rのサーチを終了し、次のSc18に処理を移す。なお、最大値を超えていない場合(Sc8のNo)には、処理をSc4に戻す。
【0050】
一方、Sc6の処理で、制御手段12が、今回の方が前回よりも小さいnの場合(Sc6のNo)には、図1に示す例では、基地局B(1)に近づく方向へ移動していることを意味しているため、nを+1デクリメント(−1インクリメント)し(Sc15)、サーチ範囲を基地局Bから作業現場の外部に向かう方向に広げる。そして、このとき、制御手段12は、インクリメントされたnが0か否かを判定する(Sc16)。
【0051】
制御手段12は、nが0であれば(Sc16のYes)、可搬型中継装置Rは基地局B側のサーチは終了しているため、サーチしていない、担当作業エリアのn担当エリアに+1インクリメントして、処理をSc8に移す。このとき、前回はn=0、今回はn担当エリアとなるため、制御手段12は、前記Sc8のNo,Sc4,Sc5のNoの処理を経て、Sc6に至った場合には、Sc7に処理を移すことになる(Sc6のYes)。そのため、この場合、担当作業エリアから基地局Bよりも離れる方向をサーチすることになる。また、制御手段12は、nが0でなければ(Sc16のNo)、処理をSc8に移し、基地局Bに向かう方向にサーチすることになる。
【0052】
一方、ステップSc5でYesの場合には、制御手段12は、既に、通信接続している可搬型中継装置R(n)があるか否かを判定する(Sc9)。制御手段12は、既に通信接続している可搬型中継装置R(n)があれば(Sc9のYes)、受信電波の強度を比較し、強い方の可搬型中継装置R(n)を選択し(Sc10)、選択した可搬型中継装置R(n)と通信接続を行う(Sc11)。また、制御手段12は、既に通信接続している可搬型中継装置R(n)がなければ(Sc9のNo)、可搬型中継装置R(n)との通信接続を行う(Sc11)。
【0053】
次に、制御手段12は、接続した可搬型中継装置R(n)が対象の作業員の担当作業エリア内か否かを判定する(Sc12)。そして、制御手段12は、対象の作業員の担当作業エリア内であれば(Sc12のYes)、通信接続済みの可搬型中継装置R(n)からの受信電波強度が所定値以上か否かを判定する(Sc13)。この判定は、対象の作業員が担当作業エリア内での作業を行っているか否かの判定にも用いることができる。つまり、受信強度が所定値以上であれば(Sc13のYes)、対象の作業員が担当作業エリアにいることを示しているため、作業エリアで作業員が作業中はSc13のステップを繰り返すことになる。
【0054】
また、制御手段12は、受信強度が所定値よりも小さくなれば(Sc13のNo)、担当作業エリア内から対象の作業員が移動を開始したことになるため、小さければ(Sc13のNo)、サーチするnの値を+1デクリメントし(Sc14)、処理をSc4に戻す。ここで、+1インクリメントするのではなく、+1デクリメントするのは、対象の作業員が持ち場である担当作業エリアから離れるときは、作業を終えて基地局B側に戻ることが多いからである。
【0055】
一方、Sc18では、制御手段12が、既に通信接続している可搬型中継装置R(n)が、あるか否かを判定する。制御手段12は、通信接続している可搬型中継装置R(n)があれば(Sc18のYes)、作業エリアよりも基地局Bから離れる方向(n→n+1)ではなく、作業エリアよりも基地局Bに近づく方向(n→n−1)に接続していることになるため、処理をSc13に戻す。また、制御手段12は、通信接続している可搬型中継装置R(n)がなければ(Sc18のNo)、さらに、基地局Bと通信接続可能か否かを確認し(Sc18.1)、基地局Bと接続できれば(Sc18.1のYes)、作業員は作業現場の外に出ていることを意味するため、処理をSc30に移し、電源のオン・オフに応じて、処理を終了する。
【0056】
一方、制御手段12は、基地局Bと接続できなければ(Sc18.1のNo)、作業員がいずれの可搬型中継装置Rとも通信不可能な領域にいるため、処理をSc19に移し、接続可能な携帯端末装置Tをサーチする処理に移る。
【0057】
まず、制御手段12は、携帯端末装置T(n)をサーチするためのnの値を1におく(Sc19)。但し、以下の処理で、自らのnの値か否かを判定し、自らをサーチする処理を行わないようにする。制御手段12は、対象の携帯端末装置T(n)をサーチする(Sc20)。そして、制御手段12は、捕捉することができれば(Sc21のYes)、捕捉した携帯端末装置T(n)を介して基地局と通信可能か否かを判定する(Sc22)。なお、捕捉できなければ(Sc21のNo)、Sc26へ処理を移す。
【0058】
また、制御手段12は、通信可能であれば(Sc22のYes)、既に通信接続している携帯端末装置T(n)があるか否かを判定する(Sc23)。そして、制御手段12は、通信接続している携帯端末装置T(n)があれば(Sc23のYes)、受信電波の強度を比較し(Sc24)、受信強度の高い方の携帯端末装置T(n)と通信接続する(Sc25)。次に、制御手段12は、nの値を+1インクリメントし(Sc26)、全てのnが終了するまで(Sc27のNo)、Sc20〜Sc27の処理を繰り返す。
【0059】
そして、制御手段12は、通信断からの経過時間が所定時間を経過したか否かを判定する(Sc28)。なお、ここでは、通信断とは、Sc18,Sc19で、可搬型中継装置Rおよび基地局Bと通信接続できず、Sc20〜Sc27で可搬型中継装置Rや基地局Bと通信接続している携帯端末装置Tとも通信接続できなかった間の時間とする。そして、制御手段12は、所定時間を経過していると判定すれば(Sc28のYes)、アラームを出力して(Sc29)、対象の作業員にいずれかと接続できる範囲に速やかに移動するよう促す。また、制御手段12は、電源をオフにするか否かにより(Sc30)、処理を終了する(Sc30のYes)。制御手段12は、アラームの出力後(Sc29)、所定時間経過後に電源がオフにされなければ、処理をSc3に戻す。なお、制御手段12が、通信断からの経過時間が所定時間を経過していないと判定した場合(Sc28のNo)にも、処理をSc3に戻す。
【0060】
ここで、図12Aに示したフローチャートを用いて、可搬型中継装置Rを作業現場の内部に設置しているときの携帯端末装置Tの処理を簡単に説明する。なお、以下、図1の概念図を適宜参照するものとする。
可搬型中継装置Rの設置時には、携帯端末装置Tの制御手段12は、ステップSc3→Sc4→Sc5(Yes)→Sc9(→Sc10)→Sc11→Sc12(No)→Sc6(Yes)→Sc7→Sc8(No)→Sc4のループ処理を行う。つまり、可搬型中継装置Rが設置されて増えるたびに、サーチして(Sc4,Sc5)、受信電波の強い(作業員が運搬中の)可搬型中継装置Rに接続する(Sc11)。そして、次に接続するための可搬型中継装置R(n)のnの値を+1インクリメントしていく(Sc6,Sc7,Sc8)ことになるからである。
【0061】
したがって、測位手段11による測位も同時に行われているため、受信電波の強い(作業員が運搬中の)可搬型中継装置Rに接続するたびに、測位情報を記録し、作業員管理装置Cに送信するようにすれば、可搬型中継装置Rの作業現場内での設置位置を特定しておくことができる。また、この測位情報を元にして作業現場内部の地図を描くこともできる。また、実際の地図が分かっている場合には、その情報と重ね合わせることで、測位結果の確かさや可搬型中継装置Rの実際の設置場所を正確に把握するのに役立つことになる。
【0062】
また、可搬型中継装置Rの位置が特定された場合には、作業員が作業中に携帯する携帯端末装置Tの測位開始情報を、可搬型中継装置Rの近傍(所定値以上の電波強度)となった場合にリセットするようにしてもよい。作業員の動きが複雑で測位誤差が大きくなったとしても、可搬型中継装置Rの位置情報でリセットするようにすれば、作業員の居場所を誤差無く把握することができる。
【0063】
次に、図13に示すフローチャートに従って、携帯端末装置Tの生体情報転送処理について説明する。
まず、制御手段12は、生体情報計測装置Sから生体情報取得する(Sd1)。この取得は、リアルタイムまたは所定間隔で定期的に行う。生体情報の種類に応じて取得間隔は、使い分ければよい。例えば、血圧は、10分おき、体温は10分おき、呼吸数は1分おき、脈拍は1分おきのようにする。次に、制御手段12は、取得した生体情報を記憶手段15に登録する(Sd2)。
【0064】
続いて、制御手段12は、接続している可搬型中継装置Rまたは基地局Bを特定するために位置情報テーブルを参照し(Sd3)、また、接続している携帯端末装置Tを特定するために接続先テーブルを参照する(Sd4)。そして、制御手段12は、基地局Bとの間に通信経路が確保されているか否かを判定する(Sd5)。制御手段12は、通信経路が確保されていなければ(Sd5のNo)、処理をSd2に戻す。
【0065】
制御手段12は、通信経路が確保されていれば(Sd5のYes)、リアルタイム転送モードか否かを判定する(Sd6)。ここで、リアルタイム転送モードとは、生体情報を取得するたびに転送するモードとする。そして、制御手段12は、リアルタイム転送モードの場合(Sd6のYes)には、確保されている通信経路に沿って、生体情報を端末IDと共に転送させる(Sd9)。
【0066】
一方、制御手段12は、リアルタイム転送モードでない場合(Sd6のNo)には、所定時間ごとの転送モードか否かを判定する(Sd7)。ここで、所定時間ごとの転送モードとは、所定時間ごとに生体情報を転送させるモードとする。そして、制御手段12は、所定時間の経過ごとの転送モードの場合(Sd7のYes)には、所定時間が経過しているか否かを判定し(Sd8)、経過していれば(Sd8のYes)、確保されている通信経路に沿って、生体情報を端末IDと共に転送させる(Sd9)。
【0067】
また、制御手段12は、所定時間の経過ごとの転送モードでもない場合(Sd7のNo)には、モードの選択を要求し、モードを入力させ(Sd10)、処理を戻す。また、制御手段12は、所定時間が経過していない場合(Sd8のNo)には、処理を戻す。
【0068】
次に、図14に示すフローチャートに従って、生体情報計測装置Sの生体情報計測処理を説明する。
制御手段25は、作業員が身体に本体を装着し、電源をオンにすると(Se1)、血圧センサ20、脈拍測定センサ21、呼吸数計数センサ22、体温測定センサ23、加速センサ24から信号の入力が開始され、各センサに対応する生体情報の取得を開始する(Se2)。そして、制御手段25は、設定に従って携帯端末装置Tへ生体情報を転送する(Se3)。ここで、設定は、携帯端末装置Tの生体情報転送処理で説明した場合がある。例えば、リアルタイム、10分おきのように行う。
【0069】
また、生体情報計測装置Sには、記憶手段26が備えてあるため、作業員の正常値を登録しておいた場合には、制御手段25は、作業員基本情報テーブルを参照し、生体情報の計測値と正常値とを比較する(Se4)。そして、制御手段25は、異常と判定した場合(Se5のYes)には、注意信号を報知して(Se6)、処理を戻し、また、異常がなければ(Se5のNo)、処理をそのまま戻す。
【0070】
次に、図15に示すフローチャートに従って、基地局Bの中継処理を説明する。
制御手段41は、作業現場に基地局Bの機器が作業員の手により設置され、電源をオンにされると(Sf1)、まず、測位手段45による測位処理を行う。具体的には、測位手段45は、GPS衛星からのGPS信号により測位を行い、自らの位置(緯度・経度・高度)を特定する(Sf2)。これを受けて、制御手段41は、基地局位置情報テーブルを作成し、登録すると共に、公衆網Pを介して作業員管理装置Cに送信する(Sf3)。
【0071】
そして、基地局Bは運用状態に入り、制御手段41が、可搬型中継装置Rまたは携帯端末装置Tからの電波を受信したか否かを判定する(Sf4)。制御手段41は、受信すれば(Sf4のYes)、電波に乗せられた情報を作業員管理装置Cへ転送する(Sf5)。また、所定時間経過しても受信しなければ(Sf4のNo)、処理をSf6に移す。
【0072】
また、制御手段41は、作業員管理装置Cからの電波を受信したか否かを判定し(Sf6)、所定時間経過しても受信しなければ(Sf6のNo)、処理をSf12に移し、受信すれば(Sf6のYes)、処理をSf7に移す。
制御手段41は、作業員管理装置Cからの情報が携帯端末装置Tまたは可搬型中継装置Rが転送先か否かを判定する(Sf7)。制御手段41は、それらが転送先であれば(Sf7のYes)転送を行い(Sf8)、情報がテーブル情報であれば、各テーブル情報を登録する(Sf9)。
【0073】
一方、制御手段41は、それらが転送先でなければ(Sf7のNo)、まず、その情報が報知情報か否かを判定する(Sf10)。ここで、報知情報としては、生体情報等に異常があった場合を知らせる情報がある。制御手段41は、報知情報であれば(Sf10のYes)、音声出力手段42から報知音を出力すると共に表示手段43にメッセージを表示する(Sf11)。また、制御手段41は、報知情報でなければ(Sf10のNo)、ここでは省略する他の処理へ移る。そして、制御手段41は、所定時間の電源がオフにされなければ(Sf12のNo)、処理をSf4に戻し、電源がオフにされれば全ての処理を終了する(Sf12のYes)。
【0074】
次に、図16に示すフローチャートに従って、作業員管理装置Cの管理処理を説明する。
処理手段50は、各基地局Bからの信号を受信すると(Sg1)、基地局Bの位置情報か否かを判定する(Sg2)。そして、処理手段50は、位置情報であれば(Sg2のYes)、基地局位置情報テーブルを作成し、記憶手段56に登録し、基地局Bに送信する(Sg3)。また、処理手段50は、位置情報でなく(Sg2のNo)、または、基地局位置情報テーブルを作成した後に、携帯端末装置Tの測位情報が転送されているか否かを判定する(Sg4)。
【0075】
処理手段50は、測位情報であれば(Sg4のYes)、携帯端末装置Tの位置情報テーブルの作成・登録・送信を行う(Sg5)。また、処理手段50は、測位情報でなく(Sg4のNo)、または、位置情報テーブルの作成後に、携帯端末装置Tの接続先情報か否かを判定する(Sg6)。
【0076】
処理手段50は、接続先情報であれば(Sg6のYes)、携帯端末装置Tの接続先情報テーブルの作成・登録・送信を行う(Sg7)。また、処理手段50は、接続先情報でなく(Sg6のNo)、または、接続先情報テーブルの作成後に、基地局接続先テーブルを作成する(Sg8)。ここで、前記したとおり、基地局接続先テーブルには、基地局Bに接続している全ての通信機器のIDが登録される。
【0077】
次に、処理手段50は、受信情報が生体情報か否かを判定する(Sg9)。生体情報であれば(Sg9のYes)、対応する作業員の正常値と比較し(Sg10)、異常があれば(Sg10のYes)、表示手段57や図示しないスピーカから報知すると共に、報知信号を生成し、基地局Bに発信し(Sg11)、処理をSg12に移す。また、処理手段50は、生体情報に異常がなければ(Sg10のNo)、処理をSg12に移す。そして、作業員O(n)ごとの生体情報テーブルを作成し(Sg12)、記憶手段56に登録する。また、必要に応じて基地局Bに生体情報テーブルを発信する。
【0078】
また、処理手段50は、受信情報が生体情報でなく(Sg9のNo)、または、生体情報テーブルの作成が終了すると(Sg12)、作業開始日時・終了日時の情報か否かを判定する(Sg13)。ここで、これらの情報でない場合には、他の処理(省略)へ移る(Sg13のNo)。そして、処理手段50は、これらの情報であれば(Sg13のYes)、作業員O(n)ごとのタイムカードテーブルを更新する(Sg14)。
【0079】
また、前記の作業中にある一定時間通信が確保できなくなった場合は、アラームを出すようにしたため、作業員に通信経路から一定時間以上はずれていることを通知することになる。このようなアラームが生じたときに、特に、危険エリア等で作業を実施している場合は、可搬型中継装置Rの配置を見直す等の処置を実施してから、作業を再開することが望ましい。
【0080】
最後に、前記作業員管理通信システムの利用例を説明する。
(1)作業エリア内の作業員の体調等状態管理
本発明の作業員管理通信システムによると、作業エリア外から作業状況が確認しづらい炭鉱、地下等で作業を実施する場合は、作業中の作業員の生体情報を基地局Bおよびセンタ側(作業員管理装置C)で把握することが可能である。作業員の位置管理も重要な要素ではあるが、作業員の体調を管理できることで事故防止に役立てることができる。
【0081】
(2)災害現場等、状況の把握できない場所への人員派遣ツール(危険エリアでの状態管理)
本発明の作業員管理通信システムによると、地下鉄火災、地下道等の閉鎖空間で、救助活動・消火活動等を実施する場合に、作業員の状態等を管理することが可能となる。また、火災等の災害時に突然通信手段を確保することができるため、作業員の脈拍、体温等を位置情報に追加して、基地局Bに連絡することができる。また、作業状況をリアルタイムで確認したい場合は、この通信経路にビデオカメラの映像等を追加して基地局Bに送るようにしてもよい。この機能により、状況が判断できず人員派遣をためらうような場合にも対応することができる。
【0082】
(3)作業員への遠隔地からの指示
本発明の作業員管理通信システムによると、閉鎖空間等で作業を実施しており、通信手段が常設されていない場所で、基地局Bおよび可搬型中継装置Rを通信可能エリアに設置することにより、遠隔地から作業員に指示を出すことが可能となる。
例えば、定期保守等の作業を作業員が実施している場合、何かの手順どおりの作業では実施できない内容があることが判別された場合、装置の設計内容に詳しい設計者・管理官等が執務場所からその情報を取得し、作業指示を行うことが可能になる。特に、ビデオカメラで撮影した映像等を遠隔地にいる設計者・管理官に送ることで、適切な処置を迅速に行うことが可能となる。
【0083】
(4)作業員の適切配置のための情報収集
本発明の作業員管理通信システムによると、作業員が、どの機械に対し、どの程度の時間をかけて作業を実施しているか、リアルタイムでセンタの作業員管理装置Cで情報収集をすることが可能になる。
(5)作業員の適切配置
前記(4)に示す場合に、本発明の作業員管理通信システムによると、作業情報の収集結果を基に、作業ごとの必要人員の把握が可能となる。これにより、作業ごとの人員を把握し、事前に作業計画を詳細につめることで作業人員の適切化を図ることができる。また、情報はリアルタイムにセンタで取得するようにすると、ある局面で作業が一段落ついた作業員を、そのとき人員を必要としている作業へ振り分けることもできる。そのため、人員の最適化が図れる。
また、災害現場等のどの場所で、どの程度の作業かをあらかじめ想定できない場合にも、リアルタイムに基地局Bまたは基地局Bから地上回線等で繋がったセンタ側の作業員管理装置Cにおいて、必要エリアへ人員を適切に配置することができる。また、災害現場などで作業途中で、周辺状況、退路等の状況が変化した場合は、基地局Bまたはセンタ側の作業員管理装置Cから作業員に対して作業員の体調等の状況を理解した上で、適切な指示を出すことができる。これにより、作業員の安全に関する情報管理を正確に行うことができる。
【0084】
(6)危険エリア内の立ち入り者管理
危険エリアでの保守点検作業等、作業内容は特に問題なくとも、エリア内での作業員の人数などを把握したいときにも利用できる。作業員の所持する携帯端末装置Tからの情報を基に基地局およびセンタ側で作業員の位置が把握できる。また、この情報を基に、一定エリアに何人の人員が入っているかを管理し、基地局Bまたはセンタ側の作業員管理装置Cから、作業エリア内の作業員に対し、作業指示・退去指示・入室指示などを与えることができる。
【0085】
(7)作業エリア内の作業員の作業時間管理
本発明の作業員管理通信システムによると、法的に作業エリアでの作業時間が特定されているような作業エリアで作業を実施する場合(例えば放射線管理区域内)に、作業エリア内に作業員が入っていた時間を管理することができる。例えば、作業員の軌跡情報と共にその作業員が何時間エリアに滞在したかの情報を基地局Bおよびセンタ側の作業員管理装置Cで把握可能である。これにより、現在、時間管理を行う第三者が各作業員の作業時間をカウントし、管理しなくても、各作業員の作業時間管理をセンタ側の作業員管理装置Cでデータとして管理することが可能となり、データの加工もしやすくなる。
【0086】
(8)作業員の作業エリア以外の無許可エリアへの進入禁止
本発明の作業員管理通信システムによると、作業員の軌跡管理を行うことができるため、センタ側の作業員管理装置Cでそれぞれの作業員の属性を管理することで、無許可エリアへ作業員が侵入した場合に、アラームを出すなどの対処を行うようにしてもよい。この場合、無許可エリアにどの作業員が、どの位の時間侵入したかの情報も管理できる。また、特定の作業員に対し通信し、無許可エリアから退出を促すこともできる。
【0087】
(9)GIS(Geographical Information System)データへの表示
本発明の作業員管理通信システムによると、作業員の情報は、軌跡で表すことができるため、センタ側の作業員管理装置Cに作業エリア内のマップ等を保持することにより、画像上で作業員の位置・状況・体調等を表示できるようになる。そのため、ビジュアル化することで、作業員の位置はより把握しやすくなり、センタ側での管理より効率的に行えるようになる。
【0088】
以上説明したように、本発明の実施形態では、作業現場での通信経路を容易に確立することができ、作業員の生体情報等を管理することもできる。そのため、地下街、屋内作業エリア、建設現場等において、既設の設備を持たずにある特定期間(時間)のみ作業員の管理を行うことができるようになる。また、衛星からの電波を受信できない室内、閉鎖空間、災害現場等で作業員の場所の特定・体調の管理を、離れた場所で行うことができるようになる。
また、作業員の状態・位置管理を実施しない場合でも、本発明の作業員管理通信システムの設備を保有していれば、通信手段の無いトンネル等において通信手段の確保が可能となり、さまざまなインフラへの適用も可能である。
【0089】
なお、前記実施形態では、基地局Bが、作業現場の外部(通路入口)に設置され、可搬型中継装置Rが作業現場の内部に設置される場合を想定して説明したが、その設置位置は、これらに限らない。例えば、可搬型中継装置Rの1台を作業現場の外部に備える休憩所に設置してもよい。また、基地局B(1)を介して作業現場から遠隔な場所に設置される作業員管理装置Cに接続するようにしたが、作業員管理装置Cは作業現場の内部および/または外部に設置するようにしてもよい。この場合には、公衆網Pを介さずに、可搬型中継装置Rのいずれかが直接作業員管理装置Cに接続するようにすればよい。そのため、公衆網Pと接続する機能を有する基地局Bを設置しなくてもよい。
【0090】
また、前記実施形態では、作業現場の内部での携帯端末装置Tの測位は、基準位置を基地局Bとして説明したが、任意の位置としてもよい。例えば、作業員の休憩所であってもよい。なお、携帯端末装置Tは電源をオンにすると測位を開始するため、基準位置を基地局とする意味は、念のために説明すると、基地局Bの近傍で電源をオンにするという程度のことである。このように基地局Bや休憩所を基準位置とするのは、作業員管理装置Cでの管理を容易にするためである。そのため、「任意の位置としてもよい」とは、作業員管理装置Cで管理可能な位置であれば構わないという程度の意味である。
【0091】
また、前記実施形態では、携帯端末装置Tと生体情報計測装置Sとを別体のものとして説明したが、一体にした装置としてもよい。また、携帯端末装置Tは測位機能を持たない通信機能のみのものとし、生体情報計測装置Sが他のセンサと共に測位機能を有する動態センサを内蔵するようにしてもよい。
【0092】
また、前記実施形態では、作業現場の内部であって、既設の通信設備が敷設されていない場所を想定して説明したが、既設の通信設備が敷設してあっても故障している場合には、仮設の通信手段として作業員管理通信システムを用いることもできる。
また、既設の通信設備が正常に作動している場合でも、作業員管理通信システムを用いることにより、閉じた通信手段として作動することができるため、作業員の管理のセキュリティという点から有用である。
また、可搬型中継装置Rの通信技術としては、前記実施形態では限定して説明していないが、アドホック通信と呼ばれる技術や無線LANを利用して通信するようにしてもよい。
【0093】
また、前記実施形態では、可搬型中継装置Rと基地局Bとを異なるものとして説明したが、両者の最大公約数的な機能を備えたコンピュータを用いてもよい。この場合、前記した中継処理を実行する通信中継プログラムを搭載したノートパソコン等のパーソナルコンピュータに、アンテナ等を含む通信機器を接続することで同一機能を実現するようにしてもよい。また、可搬型中継装置R、基地局B、携帯端末装置Tの各機能を最大公約数的に備えた作業員管理通信機器として構成してもよい。つまり、この場合には、ユーザは作業現場に同一の作業員管理通信機器を基地局として設置すると共に、作業員管理通信機器を可搬型中継装置として作業現場の内部に適宜設置することで、通信経路が確立されることとなる。
【0094】
また、前記実施形態では、クランク状の通路を経た内部空間に、作業エリアWが形成されている作業現場を例にして説明したが、ここで、クランク状のというのは、通信手段(無線を含む)が作業エリアWに対して確保できない通路という程度の意味である。
また、作業員の装着する生体情報計測装置Sや携帯端末装置Tと、インターフェースを確保した画像取得装置、環境測定装置等とを組み合わせ、生体情報と画像と環境データとを付加するようにしてもよい。環境データとしては、温度、酸素濃度などがある。
【0095】
また、可搬型中継装置Rに測位手段を備え、設置場所を測位するようにしてもよい。つまり、作業エリアに設置する複数台の可搬型中継装置Rの電源をオンにし、複数台の可搬型中継装置Rが測位を行うようにしてもよい。また、基地局Bまたは作業員管理装置Cは、複数台の可搬型中継装置Rから測位情報を受信し、これらの測位情報の平均を算出して、測位情報とするようにしてもよい。
さらに、作業員が、作業エリアに移動するごとに、携帯端末装置Tで測位を行い、そのたびに得られる測位情報を蓄積して平均をとるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態の作業員管理通信システムの概念を説明する概念図である。
【図2】本発明の実施形態の作業員管理通信システムの構成を説明するブロック図である。
【図3】携帯端末装置の位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図4】基地局接続先テーブルの一例を示す図である。
【図5】携帯端末装置の接続先テーブルの一例を示す図である。
【図6】作業員O(n)の生体情報テーブルの一例を示す図である。
【図7】作業員基本情報テーブルの一例を示す図である。
【図8】基地局位置情報テーブルの一例を示す図である。
【図9】作業員O(n)のタイムカードテーブルの一例を示す図である。
【図10】可搬型中継装置の電源オンからオフまでの一連の処理を説明するフローチャートである。
【図11】可搬型中継装置の中継データ転送処理を説明するフローチャートである。
【図12A】携帯端末装置の通信処理を説明するフローチャートである。
【図12B】携帯端末装置の通信処理を説明するフローチャートである。
【図13】携帯端末装置の生体情報転送処理を説明するフローチャートである。
【図14】生体情報計測装置の生体情報計測処理を説明するフローチャートである。
【図15】基地局の中継処理を説明するフローチャートである。
【図16】作業員管理装置の管理処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
B 基地局
C 作業員管理装置
P 公衆網
R 可搬型中継装置
S 生体情報計測装置
T 携帯端末装置
17 無線通信手段
34 無線通信手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムであって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局と、
前記基地局から少なくとも1本の前記通信経路を形成するように作業現場の内部に設置される可搬型中継装置と、
前記基地局または前記可搬型中継装置と通信可能な範囲に位置するときに、そのいずれかと通信接続し、形成されている通信経路に沿って前記基地局を経由して通信可能となると共に、任意の基準位置に対する相対的な位置を測位しつつ作業員に所持され、自らの作業現場の内部での位置を測位結果により特定する携帯端末装置と、
を備えたことを特徴とする作業員管理通信システム。
【請求項2】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムであって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局と、
前記基地局から少なくとも1本の通信経路を形成するように、任意の基準位置に対する相対的な位置を測位されつつ作業現場の内部に設置される可搬型中継装置と、
前記基地局または前記可搬型中継装置と通信可能な範囲に位置するときに、そのいずれかと通信接続し、形成されている通信経路に沿って前記基地局を経由して通信可能となると共に、接続している前記基地局または前記可搬型中継装置の位置から自らの作業現場の内部での位置を特定される携帯端末装置と、
を備えたことを特徴とする作業員管理通信システム。
【請求項3】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムに用いられ、当該通信経路を確立するための可搬型中継装置であって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局から少なくとも1本の通信経路を形成するように作業現場の内部に設置され、
任意の基準位置に対する相対的な位置を測位しつつ作業員に所持されて自らの作業現場の内部での位置を測位結果により特定する携帯端末装置が、通信可能な範囲に位置するときに、前記携帯端末装置の通信経路を確立する構成を有すること、
を特徴とする可搬型中継装置。
【請求項4】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムに用いられ、作業員が所持して通信経路の一部を構成する携帯端末装置であって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局、または、前記基地局から少なくとも1本の通信経路を形成するように作業現場の内部に設置される可搬型中継装置と通信可能な範囲に位置するときに、
そのいずれかと通信接続し、形成されている通信経路に沿って前記基地局を経由して通信可能となると共に、任意の基準位置に対する相対的な位置を測位しつつ作業員に所持され、自らの作業現場の内部での位置を測位結果により特定する構成を有すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
前記基地局、前記可搬型中継装置および/または当該携帯端末装置同士との間に通信経路を確立する通信手段と、
任意の基準位置に対する相対的な位置を、移動距離および移動方位に基づいて測位する測位手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の作業員管理通信システムに用いられ、当該通信経路上を転送される作業員に関する情報を管理する作業員管理装置であって、
作業員の身体に装着される生体情報計測手段により計測され、前記携帯端末装置を介して前記通信経路に沿って転送される作業員の生体情報を、管理すること、
を特徴とする作業員管理装置。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の可搬型中継装置を、コンピュータとして処理させるために、基地局、可搬型中継装置同士、または、携帯端末装置と自らの間の通信接続を行い、中継データの中継を行う通信経路を構成したこと、
を特徴とする通信中継プログラム。
【請求項1】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムであって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局と、
前記基地局から少なくとも1本の前記通信経路を形成するように作業現場の内部に設置される可搬型中継装置と、
前記基地局または前記可搬型中継装置と通信可能な範囲に位置するときに、そのいずれかと通信接続し、形成されている通信経路に沿って前記基地局を経由して通信可能となると共に、任意の基準位置に対する相対的な位置を測位しつつ作業員に所持され、自らの作業現場の内部での位置を測位結果により特定する携帯端末装置と、
を備えたことを特徴とする作業員管理通信システム。
【請求項2】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムであって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局と、
前記基地局から少なくとも1本の通信経路を形成するように、任意の基準位置に対する相対的な位置を測位されつつ作業現場の内部に設置される可搬型中継装置と、
前記基地局または前記可搬型中継装置と通信可能な範囲に位置するときに、そのいずれかと通信接続し、形成されている通信経路に沿って前記基地局を経由して通信可能となると共に、接続している前記基地局または前記可搬型中継装置の位置から自らの作業現場の内部での位置を特定される携帯端末装置と、
を備えたことを特徴とする作業員管理通信システム。
【請求項3】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムに用いられ、当該通信経路を確立するための可搬型中継装置であって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局から少なくとも1本の通信経路を形成するように作業現場の内部に設置され、
任意の基準位置に対する相対的な位置を測位しつつ作業員に所持されて自らの作業現場の内部での位置を測位結果により特定する携帯端末装置が、通信可能な範囲に位置するときに、前記携帯端末装置の通信経路を確立する構成を有すること、
を特徴とする可搬型中継装置。
【請求項4】
作業現場の内部で作業する作業員と作業現場を管理する管理官との間に通信経路を確立して、当該通信経路に従って作業現場の内部での作業員を管理する作業員管理通信システムに用いられ、作業員が所持して通信経路の一部を構成する携帯端末装置であって、
作業現場の内部に対して相対的な位置を特定可能な場所に設置される基地局、または、前記基地局から少なくとも1本の通信経路を形成するように作業現場の内部に設置される可搬型中継装置と通信可能な範囲に位置するときに、
そのいずれかと通信接続し、形成されている通信経路に沿って前記基地局を経由して通信可能となると共に、任意の基準位置に対する相対的な位置を測位しつつ作業員に所持され、自らの作業現場の内部での位置を測位結果により特定する構成を有すること、
を特徴とする携帯端末装置。
【請求項5】
前記基地局、前記可搬型中継装置および/または当該携帯端末装置同士との間に通信経路を確立する通信手段と、
任意の基準位置に対する相対的な位置を、移動距離および移動方位に基づいて測位する測位手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の作業員管理通信システムに用いられ、当該通信経路上を転送される作業員に関する情報を管理する作業員管理装置であって、
作業員の身体に装着される生体情報計測手段により計測され、前記携帯端末装置を介して前記通信経路に沿って転送される作業員の生体情報を、管理すること、
を特徴とする作業員管理装置。
【請求項7】
請求項3または請求項4に記載の可搬型中継装置を、コンピュータとして処理させるために、基地局、可搬型中継装置同士、または、携帯端末装置と自らの間の通信接続を行い、中継データの中継を行う通信経路を構成したこと、
を特徴とする通信中継プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−318247(P2006−318247A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140788(P2005−140788)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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