説明

作業手順表示装置及び作業管理装置

【課題】
紙の作業手順書を作業場所に置くことの作業効率上の問題点を解決する。
【解決手段】
作業者による操作を検出した場合、その時点の作業の番地を取得し、検出した操作内容に応じて取得した作業番地の更新可否を操作指令部が判断する。作業番地を更新した場合には、管理部が作業画面の表示制御を表示制御部に指示する。表示制御部は、更新後の作業番地に対応する作業画面を取得し、表示制御を行なう。一方、作業番地が更新されない場合には、表示部に表示される作業画面は変更されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業手順表示装置及び作業管理装置に関する。
【0002】
なお、以下の説明における「表示装置」とは、単体の装置のみではなく、表示部12を持つ装置と、その装置に対して情報表示の指示を出す装置とを組み合わせたようなシステムもその概念に含まれるものとする。同様に、それ自体が表示部12を持つ装置のみならず、表示部12を有する装置に対して情報表示を指示する装置、あるいは表示部12を有する装置に対して表示すべき情報を転送する機能を有する装置も、「表示させる装置」の意味として以下の説明では「表示装置」の概念に含まれるものと見なす。
【背景技術】
【0003】
製品の組立など、各種の作業手順や作業すべき内容を作業者に示すために、作業手順書や各種説明書が用いられている。
【0004】
以下、電子機器の組立を例に取る。電子機器の組立では、複数の工程・作業を要するのが一般的である。大型装置の組み立てには数十工程を要することもある。そのため、作業者は、工程毎に各作業の手順を記載した作業マニュアルや作業手順書といった資料を見て作業内容を確認し、作業手順書に記載された手順に従って組立作業を行なっている。作業手順書には、組立対象装置の図面や写真に加え、作業者が注意すべき事項などの説明が記載される。
【0005】
ここで、「作業」とは作業者が行なうべき個々の組立作業を指し、「工程」とは複数の関連する「作業」からなる、一連の「作業」の集合を指す用語である。例えば、Aというユニットを装置に取り付ける一連の手順を「工程」と呼び、当該工程に含まれる、ユニットAを装置に取り付けるための個別手順、一例としてユニットAを装置上に配置する動作や、ユニットAを装置に固定するためのネジ止め動作などの個々の組立動作を「作業」と呼ぶ。
【0006】
以下、特に組立作業の作業手順について説明するが、本発明が対象とする作業種別を限定することを意図するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2513890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
製本された、紙あるいは他のシート状の作業手順書を用いる場合、作業手順書を卓上に広げて作業手順を確認する必要が出てくる。そのために、作業場所に作業手順書を置くためのスペースが必要となる。しかし、作業場所は必ずしも広いわけでもなく、作業の効率なども考慮すると作業手順書を置くスペースは限られてしまい、組み立ての作業場所に作業手順書を置けない状況も考え得る。作業手順書を作業場所と異なる場所に置くとなると、作業者は作業場所を離れないと作業手順書を確認できないため、組立の作業効率が下がってしまうとともに、作業手順書を容易に参照できなくなってしまう。
【0009】
作業者はまた、作業の進捗に応じて作業手順書のページをめくる必要があるが、そのために組立の作業性が落ちてしまう可能性がある。特に、作業者が手袋などをしている場合や、工具を持っている場合には、作業手順書のページをめくりにくい状況が出てきてしまう。
【0010】
また、作業手順書は組立対象製品毎に準備する必要がある。したがって、組立対象製品が変わる毎に、用いる作業手順書を変えなければならない。更に、同一種別の製品を組み立てる場合であっても、搭載する装置やユニットを変更するなど、個々の製品仕様が異なることも多い。この場合、組立の作業手順も個々の製品に応じて変わるため、異なる作業手順に沿った別の作業手順書を準備しなければならない。
【0011】
本発明は、従来の作業手順書を用いた場合の問題点を解決すると共に、作業手順書をより容易に、より効率的に参照できる表示装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための作業手順表示装置は、それぞれが1あるいは複数の作業を含む複数工程および作業を、前記複数工程相互の順序を示す工程番地と、ある工程に含まれる作業の当該工程での順序とを示す作業番地とで管理する管理部と、操作者による操作を監視して検出する監視部と、表示される作業画面に対応する作業の番地を記録する記録部と、前記監視部からの通知により前記記録部から番地を取得し、通知された操作の種別に応じて取得した番地の更新可否を判断し、前記取得した番地を更新する場合には前記更新した番地を前記記録部に記録する指令部と、作業画面を保持する格納部と、前記格納部から作業画面を読み出して、読み出した作業画面の表示制御を行なう表示制御部とを有し、前記管理部は、前記記録部から更新された番地を取得して、取得した番地に対応する作業画面の表示を前記表示制御部に指示し、前記表示制御部は、指示された番地に対応する作業画面を前記格納部から読み出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来の作業手順書を用いる必要がなく、より効率的に作業手順の参照や、画面を変える操作を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、実施形態の表示装置を示す図面である。
【図2】図2は、実施形態による端末装置の外観を示す図面である。
【図3】図3は、端末装置の機能的な構成を示す図面である。
【図4】図4は、端末装置の表示部およびタッチパネルを模式的に示す図面である。
【図5】図5は、異常処理画面を示す図面である。
【図6】図6は、表示部に表示される画面の他の例を示す図面である。
【図7】図7は、サーバの構成を示す図面である。
【図8】図8は、管理部による工程作業管理を模式的に示す図面である。
【図9】図9は、コンテンツコード表を示す図面である。
【図10】図10は、ページデータ格納部の構成を示す図面である。
【図11】図11は、作業画面表示の手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施形態による実績記録の内容を示す図面である。
【図13】図13は、実績記録の格納手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、組立作業開始時の処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、「次作業」が操作されたときの処理を示すフローチャートである。
【図16】図16は、「前作業」が操作されたときの処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は、「次工程」が操作されたときの処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は、「異常処理」が操作されたときの処理を示すフローチャートである。
【図19】図19は、異常イベント監視が行なわれているときの処理を示すフローチャートである。
【図20】図20は、作業追加時のコンテンツデータ表におけるコンテンツデータの処理を示す図面である。
【図21】図21は、工程間で作業順序を変更するときのコンテンツデータ表におけるコンテンツデータの処理を示す図面である。
【図22】図22は、1工程内で作業の順序を変更するときのコンテンツデータ表におけるコンテンツデータの処理を示す図面である。
【図23】図23は、作業を削除するときのコンテンツデータ表におけるコンテンツデータの処理を示す図面である。
【図24】図24は、工程を移動して入れ替えるときのコンテンツデータ表におけるコンテンツデータの処理を示す図面である。
【図25】図25は、作業の変更時に行なわれるマウス操作を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は、本実施形態による表示装置を示す図面である。
【0017】
本実施形態による表示装置1は、無線通信機能を有する、表示部12を備えた携帯端末装置10(以下「端末装置」と称する)と、端末装置10との間で無線通信を行うサーバ20とを備える。
【0018】
サーバ20には、ネットワーク41を介して無線通信用のアンテナ40が接続されている。サーバ20は、アンテナ40を介して端末装置10と無線通信する。
【0019】
図1の例では、端末装置10は1〜nの計n台が稼動している状況が示されている。なお、図1は表示装置が含む端末装置の数を限定することを意図するものではない。
【0020】
図2は、端末装置10の外観を示す図面である。
【0021】
端末装置10は、作業者による作業性を考慮して、作業者が腕に装着できるようにベルトが取り付けられている。また、端末装置10の前面には、作業画面が表示される表示部12が設けられている。作業画面は、各作業の手順を示す画面であり、写真や図面などの画像が表示される。作業画面にはまた、必要に応じて作業者に対する指示、注意などが示される。
【0022】
作業者による操作を容易にするために、表示部12にはタッチパネル13が設けられている。タッチパネル13を用いることで、作業手順を確認するために作業者がマウスやキーボードを操作する必要は無くなり、作業効率を向上させる。なお、タッチパネル13自体は周知の技術を用いればよいため、詳細説明は割愛する。
【0023】
図3は、端末装置10の機能的な構成を示す図面である。端末装置10は、基本的にその内部に設けられたプロセッサによりその動作が制御されている。以下、プロセッサを「制御部11」と称する。
【0024】
端末装置10の記憶部14には、自身を識別する識別情報が格納されている。
【0025】
制御部11は、通信部15を介してサーバ20などの外部装置と無線通信を行う。制御部11は、無線通信によりサーバ20から取得した画像などの情報を記憶部14に一時的に記憶するとともに、記憶部14に記憶した情報を表示するよう表示部12を制御する。
【0026】
制御部11はまた、タッチパネル13の操作状況を監視している。作業者によってタッチパネル13が操作された場合、制御部11はタッチパネル13の操作場所に応じて作業者の指示/操作内容を判断して、サーバ20に対して操作内容を通知する。
【0027】
図4は、端末装置10の表示部12およびタッチパネル13を模式的に示した図面である。
【0028】
端末装置10は、表示部12にサーバ20から受信した画像などの情報を表示する。図4は、作業手順を示す画像が表示部12に表示された状態を示している。作業者は、作業の進捗状況に応じて、表示部12に表示された画面を進め、あるいは戻すためにタッチパネル13を操作する。
【0029】
図4の状態では、タッチパネル13は4つの領域に分けられている。図4の例では「前作業」「次作業」「次工程」「異常処理」の4つの領域に分けられており、作業者は希望する内容に対応したタッチパネル13を操作して指示する。なお、図4では各領域は点線で囲まれているが、表示部12上には各領域の枠が表示されるわけではない。点線の枠は図面の説明上図示している。
【0030】
「前作業」は、現在表示されている作業画面の前に表示部12に表示されていた作業画面を確認したい場合に、作業者が操作する領域である。同様に、「次作業」は、現在表示されている作業画面の次に位置する同一工程の次作業の画面を表示部12に表示した場合に、作業者が操作する領域である。
【0031】
「次工程」は、現在表示部12に表示されている作業画面に対応する作業が属する工程の次の工程の画面を表示・確認する場合に、作業者が操作する領域である。「次工程」はまた、作業者が現在の工程の手順を完了した場合に操作する領域でもある。
【0032】
「異常処理」は、組立作業中に何らかの異常が生じた場合に、操作者が操作する領域である。「異常処理」が操作された場合、その時点で表示部12に表示されていた作業画面の表示が一旦中断され、図5に示す異常処理画面が表示部12に表示される。
【0033】
図5の「復旧」は、異常処理画面が表示された後、つまり作業中に異常が発生した後、何らかの態様で異常を復旧できた場合に、操作者が操作する領域である。この場合には、サーバ20からの指示に応じて、当初表示部12に表示されていた作業画面に表示が復帰する。
【0034】
図5の「リタイヤ」は、発生した異常を復旧することができず、組立途中の製品を組立ラインから外すような状況で、作業者が操作する領域である。この場合には、一連の処理が終了する。
【0035】
前述の通り、端末装置10は作業者が装着する装置であるため、画面のサイズをそれほど大きくすることができない。また、作業者が手袋をしている場合、作業者は細かい操作を行なうことができない。そのため、本実施形態の端末装置10では、それぞれの指示に対応するタッチパネル13の領域を、できるだけ大きく取ることを考慮し、図4では「前作業」「次作業」「次工程」「異常処理」の4領域を設定している。画面分割が4つ程度であれば、作業者は直感的に操作すべきタッチパネル13の位置を把握することが可能である。
【0036】
また、端末装置10の画面が小さい分、作業画面を表示するための画面の余裕はあまりない。図6のように、手順を示す画面とは別に、操作用のボタンイメージを表示部12上に表示したり、作業手順書の構成を示すインデックスをツリー状に表示するという対応も考えられる。しかし、本実施形態の端末装置10ではボタンイメージやインデックスを表示部12に表示せず、画面前面に作業画面を表示する対応を取っている。なお、画面に余裕がある場合には、図6のような画面構成を採用しても差し支えはない。
【0037】
図4の例では「前作業へ」などの文字が図示されているが、これは内容把握を容易にするためであり、端末装置10の画面上にこれら指示内容を示す文字を表示する必要はない。画面に表示される作業画面の確認を容易にするためには、端末装置10への他の情報の表示は控えた方が好ましい。一方、図5の異常処理画面では作業画面は表示されておらず、異常時の対応を作業者に認識させる必要があることから「復旧」「リタイヤ」の文字を明確に表示している。
【0038】
制御部11は、タッチパネル13の操作された座標・位置を認識し、その時点でタッチパネル13の操作位置に割り当てられている指示内容を判別する。例えば、タッチパネル13の図4図示左上の領域が操作された場合、制御部11は「前作業」が指示されたと判断する。制御部11は、判別した指示内容を示す通知を、端末装置10を識別する識別情報と共に、サーバ20に送信する。
【0039】
また、制御部11は、サーバ20から自端末装置に向けて送信された情報を受信した場合、受信した情報に応じた処理を行なう。
【0040】
図7は、本実施形態によるサーバ20の構成を示す図面である。なお、ここでは「サーバ20」という名称を用いるが、これは端末装置10に対して情報、特に作業画面を供給する装置であることを意図している。対象をいわゆる「サーバコンピュータ」に限定することは意図しておらず、他の種類の装置であっても本実施形態による「サーバ」として用いることは可能である。
【0041】
サーバ20は、機能的に大きく制御部21、ストレージ部22及びモニタ部23に分かれる。制御部21はサーバ20の主要機能を実行・制御する要素である。ここでは、プロセッサなどがソフトウェアを実行して図示されている各部の機能を実現しているものとして説明する。なお、図7図示のサーバ部は、作業画面の表示および工程管理に関する要素・処理について説明するが、これらの要素・動作に無関係な要素・動作が存在することを否定する意図はない。
【0042】
ストレージ部22は、各種の情報を保持する要素である。ストレージ部22は例えばディスク装置などの周知の記憶装置によって構成される。本実施形態に特に関連する要素として、ストレージ部22はページデータ格納部221と実績記録格納部222とを備える。
【0043】
モニタ部23は、実績記録格納部222に格納されている実績記録を参照して、組立の進捗管理を行なう進捗管理モニタ、作業の実績を確認するための作業実績モニタ、各作業の工数を集計するための工数集計モニタを含む。
【0044】
サーバ20の制御部21は、端末装置10との間で無線通信する送受信部211を有する。送受信部211を介して端末装置10から受信した情報/通知は、イベント監視部212、異常イベント監視部219に入力する。
【0045】
イベント監視部212および異常イベント監視部219は、いずれも端末装置10からの通知、つまりイベントを監視し、検知した通知に応じた処理を実行する。このうち、イベント監視部212は作業画面が端末装置10に表示されているときの端末装置10からの通知を、異常イベント監視部219は異常処理画面が端末装置10に表示されているときの端末装置10からの通知を、それぞれ監視する。
【0046】
イベント監視部212は、端末装置10からの通知が「前作業」「次作業」「次工程」あるいは「異常処理」の各イベント発生を監視する。
【0047】
端末装置10からの「前作業」「次作業」あるいは「次工程」の通知を検知した場合、イベント監視部212は操作指令部213に対して検知した通知を転送する。一方、端末装置10からの「異常処理」の通知を検知した場合も、イベント監視部212はその旨を操作指令部213に通知する。
【0048】
管理部215は、製品ごとの各工程と、各工程に含まれる各作業との対応関係を管理する。図8は、管理部215による工程・作業の管理を模式的に示した図面である。
【0049】
製品組立の手順は、組立対象の製品の図番単位でまとめられている。管理部215は、同一図番の手順を、各工程に含まれる作業を工程単位でグルーピングして管理する。管理部215では、各工程、各工程に含まれる各作業が、論理的にマトリックス状に管理されている。各作業には(n,m)の番地が付されている。このうち、「n」はその作業が含まれる工程番号を示し、「m」は工程nにおける当該作業の位置を示す。図7の態様では、各工程1〜工程Nは図示縦方向に配置され、工程n内の作業1〜作業Mは図示横方向に配置されている。なお、以下大文字の「N」は最終工程を、大文字の「M」は各工程の最終作業をそれぞれ示すものとする。
【0050】
工程によっては、各作業の手順を示す作業画面だけではなく、その工程に関する詳細情報を関連付けるケースもある。詳細情報としては、例えばその工程における過去の障害事例や注意点のような作業上の品質情報などの情報を指している。このような情報のうち、各作業を進める上で作業者が必ず認識する必要のある重要な情報は、各作業画面に載せる。一方、作業者が必ずしも知らなければならないわけではない、しかし知っておけば役に立つノウハウ的な情報は、本実施形態では詳細情報として、各作業の作業画面とは切り離して設定している。図8の例では、工程2及び工程Nに「詳細」の情報が対応付けられている。このような詳細情報は、各工程の最終作業Mの次にリンクするようにグルーピングされる。なお、管理部215は、「M」が最終作業であり、「詳細」が最終作業Mの後に付加された情報であることを把握している。
【0051】
図8の例では1つの図番に対応する工程作業のみを示している。複数の図番に係る製品組立が並行して行なわれている場合、管理部215は並行して組立が行なわれている製品の図番毎に、手順を展開して管理する。また、管理部215は、作業者毎に手順を展開する。そのため、例えば同一図番に係る製品の組立作業を異なる作業者が並行して行なっている場合、言い換えると複数の製品に対する組立作業が並行して行なわれている場合、管理部215は作業者ごとに手順を展開する。
【0052】
管理部215が管理する手順は、端末装置10の操作に応じて、一連の手順における、端末装置10に表示されている作業画面の位置づけを判別するために用いられる。具体的には、端末装置10が操作された時点で、端末装置10が表示している作業画面が、最終工程の作業に対応するのか、ある工程の最終作業あるいは先頭作業に対応するのか、といった事項を判別するために、管理部215の管理する手順が用いられる。詳細は、端末装置10の操作状況と合わせて後述する。
【0053】
管理部215はまた、展開している各作業にコンテンツコードを対応づけて管理するコンテンツコード表を有する。図9はコンテンツコード表を示す図面である。
【0054】
本実施形態によるコンテンツコード表では、工程作業の各番地に、個々の作業に対応する作業画面を示すコンテンツコードを対応付けるように、番地とコンテンツコードとがリンクされている。図9では、各アルファベットがコンテンツコードを示す。図9の例では、番地(1,1)の作業に対してコンテンツコード「A」が割り当てられており、番地(2,2)の作業に対してはコンテンツコード「E」が割り当てられている。コンテンツコードは、後述するページデータ格納部221から作業画面を取得する際に用いられる。なお、図9で空欄になっている番地には、コンテンツコードが対応付けられていない。これは言い換えると、当該番地に対応する作業が存在していないことを意味する。
【0055】
図10は、作業画面を保持するページデータ格納部221を示す図面である。ページデータ格納部221は、保持する各作業画面をコンテンツコードと対応付けて保持している。
【0056】
管理部215は、表示画面の更新・変更が必要になった場合、遷移先の作業画面に対応するコンテンツコードとあわせ、画面の差し替えを表示制御部11に指示する。
【0057】
表示制御部11は、管理部215が管理するコンテンツコードに基づいて、ページデータ格納部221からコンテンツコードに対応する作業画面を取得する。そして表示制御部11は、送受信部211を介して端末装置10に取得した作業画面を転送して、作業画面の再表示を端末装置10に指示する。
【0058】
工程作業番地記録部214は、管理部215が管理する手順のうち、その時点で行なわれている作業の番地、あるいはその時点で端末装置10に表示されている作業画面に対応する作業の番地を記憶する。また、端末装置10の操作に応じて、工程作業番地記録部214が記録する番地が更新される。
【0059】
操作指令部213は、イベント監視部212が検知したイベントに応じて、作業画面の表示制御を含む操作動作の指令を、サーバ20内の各部に対して発する。イベント監視部212が検知したイベントが「前作業」「次作業」あるいは「次工程」であった場合、イベント監視部212は工程作業番地記録部214に記録されている番地を取得する。その上で操作指令部213は、管理部215が管理する手順を参照して、工程作業番地記録部214から取得した番地の更新などの処理を行なう。一方、イベント監視部212が検知したイベントが「異常処理」であった場合、操作指令部213は割込表示部218に対して異常割込表示を指示する。
【0060】
操作指令部213はまた、異常イベント監視部219が検知したイベントに応じた処理を行なう。
【0061】
割込表示部218は、操作指令部213からの指示に従って、端末装置10に対して異常処理画面表示の指示を出力する。
【0062】
操作指示部は、作業画面表示のための制御とは別に、作業者による端末装置10の操作履歴を実績記録として記録するために、イベント監視部212あるいは異常イベント監視部219が検出したイベントに係る情報を実績記録部217に通知する。実績記録部217は、操作指示部からの通知に従って、実績記録格納部に実績記録を格納する。
【0063】
図11は、作業画面表示の全般的な処理を説明する図面である。
【0064】
端末装置10でタッチパネル13が操作されると、イベント監視部212が発生したイベントを検出し、操作指令部213に通知する。操作指令部213は、通知された内容に従って、工程作業番地記録部214に記録されている番地が更新される。その後、管理部215が工程作業番地記録部214を参照するして、更新後の番地を認識する。
【0065】
次に管理部215は、工程管理部220に格納された工程作業管理データを参照して、通知した端末装置10で行なわれている組立の工程・作業に対応するコンテンツコード表を判別し、更新後の番地に対応するコンテンツコードを取得する。取得したコンテンツコードは、表示制御部11に転送される。
【0066】
表示制御部11は、ページデータ格納部221を参照して、管理部215から受けたコンテンツコードに対応するページデータ、つまり作業画面を取得する。続いて、表示制御部11は写真・図面を差し替える処理を行なって、端末装置10に差し替えられた画面情報を転送する。この処理によって、端末装置10の表示部12に差し替えられた作業画面が表示される。
【0067】
図12は、実績記録部217に格納される実績記録を示す図面である。
【0068】
本実施形態による実績記録は、「作業日」「作業時間」「図番」「号機」「操作信号」「工程番地」「作業番地」「作業者名」の各情報を対応付けている。
【0069】
「作業日」は作業が行なわれた日付を、「作業時間」は各作業が行われた時刻を示す。本実施形態の場合には、「作業日」「作業時間」はそれぞれ、端末装置10を作業者が操作した日付と時刻を記録する。「作業日」「作業時刻」は、端末装置10からサーバ20に通知してもよく、あるいは端末装置10からの通知を受信した時刻をサーバ20が認識するようにしてもよい。後者の場合、端末装置10からは特に日時に関する情報を通知しなくてもよい。
【0070】
「図番」は、組立対象の製品に対して付された図面番号を示しており、実質的には組立対象製品を識別する情報として機能する。「号機」は、「図番」で特定される製品のなかの特定の機番を示している。前述の通り、同一図番で特定される製品であっても、個々の機番ごとに作業内容が異なる場合があるとともに、同時に並行して組立されている同一図番製品の個々の製品の作業進捗を管理する必要があることから、本実施形態では「機番」を記録している。
【0071】
「操作信号」は、操作指示部が出力する信号を格納する領域である。本実施形態では、端末装置10で操作された「前作業」「次作業」「次工程」「異常処理」「復旧」「リタイヤ」のそれぞれを示す情報が操作信号として操作指令部213から出力される。実績記録部217は、操作指令部213から受信した操作信号が示す内容を「操作信号」欄に記録される。
【0072】
「工程番地n」および「作業番地m」は、端末装置10の操作の結果移動する先の工程番地および作業番地が記録される。ここでは、更新された工程作業番地記録部214の番地が記録される。なお、例えば最終工程のいずれかの作業が行なわれている状況で「次工程」が沿操作された場合には、移動先の番地が存在しないので、手順の完了を示す情報を工程番地/作業番地に書き込むようにすればよい。
【0073】
「作業者名」は、その作業を行なった作業者の氏名、あるいは識別情報が記録される領域である。
【0074】
なお、図12は実績記録として記録されるべき情報種別を限定する意図を持たない。図12に図示されていない情報を実績記録として記録するようにしてもよく、あるいは図12に示した情報のいずれかを実績記録として記録しないという対応も可能である。
【0075】
図12に示した実績記録は、工程管理情報として用いられる。
【0076】
紙によるチェックシートを用いる場合、組立工程の進捗状況を即時確認することは難しい。従って、例えば作業遅延などの異常が発生しても、作業者が他に対して警告を発したりしないと、組立ラインを管理する管理者などは異常の状況を把握しずらい。
【0077】
一方、本実施形態では、端末装置10の操作履歴を実績記録として記録するため、作業の進捗状況をより容易に確認することが可能となる。例えば、実績記録として記録された「次工程」が記録された時間を用いることで、工程間の所用リードタイムを算出可能である。本実施形態では、必要に応じて算出された各種情報をグラフ化して表示することも可能であり、組立の進捗状況をリアルタイムで把握可能となり、工程異常の早期発見や、異常に対する迅速な対処が可能となる。
【0078】
図13は実績記録部217への実績記録格納の処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
イベント監視部212あるいは異常イベント監視部219がイベント発生を検出する(S1)と、操作指令部213あるいは異常イベント監視部219から実績記録部217に操作信号が出力される(S2)。操作信号を受信すると、実績記録部217は管理部215を参照して、操作イベントの移動先の工程作業番地(n,m)を取得する(S3)。続いて実績記録部217は、工程管理部220から操作イベントに関する装置情報、工程情報及び作業者情報を取得する(S4)。そして、実績記録部217は、取得した各情報に、操作イベントが発生した時刻を付加し、実績記録格納部222に書き込む(S5)。
【0080】
続いて、組立作業の開始からの各部の動作あるいは作業者などによる操作を説明する。図14は、組立作業開始時の各部の動作を示すフローチャートである。
【0081】
組立作業を行なう場合には、組立対象となる製品を識別する情報、上記の例では「図番」や「号機」に相当する情報を端末装置10から入力し(S11)、端末装置10を識別する情報とともにサーバ20に送信する(S12)。「図番」などの情報をバーコード化して組立対象製品などに貼付しておけば、作業開始時に端末装置10に設けられたバーコードリーダなどを用いてバーコードを読取ることで、組立対象製品の「図番」などの情報を容易に入手することができる。
【0082】
また、作業を行なう作業者名をサーバ20に通知するために、製品を識別する情報と合わせ、作業者の識別情報をサーバ20に送信する。なお、特定の作業者が特定端末装置10のみを使用するような状況では、サーバ20で端末装置10と作業者とを対応づける情報を持っているならば、端末装置10はサーバ20に対して自身を識別する情報のみを転送すればよい。
【0083】
イベント監視部212を介して端末装置10からの通知を受信した操作指令部213は、工程管理部220に以下の情報を設定する(S13)。
・図番、号機などの装置情報
・端末装置10を識別する情報や作業者名などの作業者情報
管理部215は、工程管理部220に設定された情報に基づいて、指示された装置情報に対応する工程・作業を展開し、組立作業の管理を開始する。また、管理部215は、先頭工程・先頭作業の番地に対応するコンテンツコードをコンテンツコード表から取得し(S14)、表示制御部11に取得したコンテンツコードを転送する(S15)。
【0084】
表示制御部11は、転送されたコンテンツコードを用いてページデータ格納部221を検索し、先頭工程・先頭作業に対応する作業画面をページデータ取得部から読み出す(S16)。次いで、表示制御部11は、読み出した作業画面を送受信部211を介して端末装置10に転送する。この際、送受信部211では、作業画面の転送先の端末装置10を識別する情報を付加して、作業画面を端末装置10に送信する(S17)。
【0085】
自身の識別情報が付加された作業画面の情報を受信した端末装置10は、受信した作業画面を表示部12上に表示する(S18)。
【0086】
作業画面の表示と並行して、操作指令部213は端末装置10からの通知内容を実績記録部217に通知する(S19)。実績記録部217は、端末装置10から通知された図番や号機、作業者名を工程管理部220から入手し、端末装置10の操作日時とともに実績記録格納部222に格納する(S20)。実績記録部217はまた、先頭工程の番地を工程番地nに、先頭工程の先頭作業の番地を作業番地mに、それぞれ記録する。
【0087】
この一連の処理を行なうことで、組立作業開始の準備が整う。
【0088】
続いて、作業者が「次作業」を操作した場合の処理を説明する。図15は、「次作業」が操作された場合の各部の処理を示す。
【0089】
作業者が「次作業」に対応するタッチパネル13領域を操作した場合、端末装置10は「次作業」が操作された旨の通知を、自身を識別する情報とともにサーバ20に転送する(S21)。
【0090】
イベント監視部212が「次作業」イベントを検出すると(S22)、操作指令部213は工程作業番地記録部214から、当該作業者に対応する番地(n、m)を取得し(S23)、取得した番地が工程nの最終作業の番地(n、M)であるか否かを判別する(S24)。この判別は、管理部215に展開された情報を参照することなどで可能となる。
【0091】
取得した番地(n、m)が工程nの最終番地でなかった場合(S24、No)、操作指令部213は番地を(n,m+1)に更新し(S25)、工程作業番地記録部214に転送する。工程作業番地記録部214は、転送された番地を書き込む(S26)。この動作によって、工程作業番地記録部214に記録された番地が、次作業の番地に更新される。
【0092】
工程作業番地記録部214の番地が更新されると、管理部215は更新された番地(n,m+1)に対応するコンテンツコードをコンテンツコード表から取得し(S27)、表示制御部11に転送する(S28)。管理部215からコンテンツコードを受信した表示制御部11は、受信したコンテンツコードに対応する作業画面をページデータ格納部221から読み出し(S29)、送受信部211を介して端末装置10に転送する(S30)。
【0093】
端末装置10では、サーバ20から受信した作業画面を表示部12に表示する(S31)。
【0094】
作業画面表示の処理とは別に、S25で番地を更新した後、操作指令部213は検出した「次作業」イベントを実績記録部217に転送する(S35)。これを受けて、実績記録部217は操作信号欄に「次作業」を書き込む(S36)。また、実績記録部217は、工程作業番地記録部214を参照して、更新された番地(n,m)に対応して、工程番地に「n」,作業番地に「m+1」を実績記録格納部222に書き込む。
【0095】
一方、工程作業番地記録部214から取得した番地が工程nの最終作業に対応する(n、M)であった場合(S24、Yes)、操作指令部213は工程nに対して詳細情報が設定されているか否かを判別する(S32)。詳細情報が設定されている場合(S32、Yes)、操作指令部213は工程nの詳細情報を取得するよう管理部215に指示する。操作指令部213からの指示を受けた管理部215は、工程nの詳細情報画面に対応するコンテンツコードを取得し、表示制御部11に通知する(S33)。以下、次作業画面を表示する場合と同様に、表示制御部11は詳細情報画面をページデータ格納部221から読み出し(S29)、送受信部211を介して詳細情報画面を端末装置10に転送する(S30)。これにより、端末装置10の表示部12に詳細情報画面が表示される(S31)。
【0096】
なお、詳細情報画面が表示されている状態で作業者がタッチパネル13の任意の位置を操作すると、端末装置10では詳細情報画面の表示を終了し、工程nの最終作業に画面表示を復帰する。また、端末装置10は画面表示が工程nの最終作業に復帰した旨をサーバ20に通知する。サーバ20は、端末装置10からの通知に基づいて、端末装置10の表示部12に表示される画面が工程nの最終作業に対応する作業画面に復帰したことを認識する。
【0097】
これに対し、工程nに詳細情報が存在しない場合(S32、No)には、操作指令部213は工程作業番地記録部214に記録されている番地を更新しない(S34)。つまり、端末装置10では、工程nの最終作業に対応した作業画面が表示されたままの状態となり、作業画面の表示は変わらない。
【0098】
一つの考え方として、工程nの最終作業Mが作業中の状態で、次作業が操作された場合、次工程n+1の作業画面を表示するという対応も取り得る。しかし、端末装置10で「次作業」が操作された場合、これが作業者の意図に基づくものなのか、あるいは作業者が誤って操作してしまったものなのか、区別を付けることは難しい。
【0099】
仮に作業者が工程nの完了を意識することなく「次作業」を操作し、その結果次工n+1の作業画面が表示されてしまうと、作業者は次工程n+1に作業画面が移っていることを認識することなく、表示部12に表示された作業画面に従って、誤って作業を行なってしまう可能性が高い。作業者の誤認や誤りを防止するためには、作業者が工程nの一連の作業を完了したことを認識している場合にのみ次工程n+1の作業画面を表示することが好ましい。
【0100】
また、本実施形態による表示装置は、作業の進捗・工程管理にも用いられている。仮に「次作業」が操作された際に次工程の画面を表示させるようにすると、実績記録にもその旨を記録する必要が出てきてしまう。この場合、作業者は1工程の一連の作業を完了したことを意識しないで「次作業」を操作した可能性があり、記録された実績記録はある意味で不必要な、信頼性の高くない情報となってしまう。
【0101】
このような背景から、本実施形態では、ある工程の最終作業画面が表示された状態で「次作業」が操作されたとしても、作業画面を更新せず、次の工程には進めないように対応している。
【0102】
次に、端末装置10で作業者が「前作業」を操作した場合の処理を説明する。図16は、「前作業」が操作された場合の各部の処理を示すフローチャートである。
【0103】
作業者が端末装置10で「前作業」を操作した場合、端末装置10はその旨を自身の識別情報とともにサーバ20に通知する(S41)。
【0104】
「前作業」のイベントを検出したイベント監視部212は、操作指令部213に対して「前作業」イベントの検出を通知する(S42)。イベント監視部212からの通知に対応して、操作指令部213は工程作業番地記録部214から記録されている番地(n、m)を取得し(S43)、先頭工程・先頭作業の番地(1,1)に一致するか否かを判別する(S44)。
【0105】
取得した番地が(1,1)であった場合(S44、Yes)、それ以上作業画面を戻すことはできないため、操作指令部213は工程作業番地記録部214から取得した番地を更新しない(S54)。これにより、サーバ20から端末装置10への作業画面更新の指示が行なわれないことになり、端末装置10に表示される作業画面は先頭工程・先頭作業の作業画面に維持される。
【0106】
一方、取得した番地が(1,1)でなかった場合(S44、No)、次いで操作指令部213は取得した番地が(n、1)、つまり工程nの先頭作業の番地に一致するか否かを判別する(S45)。
【0107】
取得した番地が(n、1)では無かった場合(S45、No)、操作指令部213は番地を(n,m−1)に更新し、工程作業番地記録部214に書き込む(S46)。
【0108】
工程作業番地記録部214が更新された後、管理部215は更新された番地(n,m−1)に対応するコンテンツコードを取得し(S47)、表示制御部11に通知する(S48)。表示制御部11は、管理部215から通知されたコンテンツコードに対応する作業画面をページデータ格納部221から読み出し(S49)、送受信部211を介して端末装置10に転送する(S50)。これによって、端末装置10に同一工程の前作業の作業画面が表示される(S51)。
【0109】
また、取得した番地が(n,1)、つまり工程nの先頭作業の番地と一致する場合(S45、Yes)、操作指令部213は番地を(n−1,1)、つまり前の工程n−1の先頭作業の番地に更新し、工程作業番地記録部214に書き込む(S53)。以降、S48から先の処理が実行され、前工程n−1の先頭作業画面が端末装置10に表示される(S51)。
【0110】
「次作業」の例と同様に、一つの考え方として、工程nの先頭作業画面が表示されている状態で「前作業」が操作された場合、前工程n−1の最終作業画面を端末装置10に表示するという対応を取り得る。しかし、作業者が誤操作で「前作業」を操作する可能性もある。このような場合に前工程の最終作業画面を端末装置10に表示してしまうと、作業者は前工程の作業画面表示を意図していないために、何の作業画面が表示されているのかを作業者が理解できない可能性も出る。ここで、各工程は一単位の手順と考えることができるため、工程nの先頭作業画面が表示されている際に「前作業」が操作された場合、前工程n−1の最終作業画面を表示するよりも、前工程n−1の先頭作業画面を表示した方が、作業者に対して作業画面が前の工程の作業に対応する画面に移ったことを認識させやすい。
【0111】
本実施形態ではそのため、ある工程の先頭作業画面が表示された状態での「前作業」の操作は、作業者が工程を戻ることを意図していると見なして、前工程の先頭作業画面に作業画面を移動させる対応を取る。
【0112】
なお、ある工程の先頭作業以外の作業(m≠1)が行なわれている状況では、一般的には作業者は前の工程に作業画面を移すことを意図していないため、先頭作業以外の作業画面が表示されている際に「前作業」が操作された場合には、同一工程の1つ前の作業に戻るように表示を制御する。
【0113】
「前作業」が操作された場合も、作業画面表示の制御と並行して、操作指令部213は実績記録部217に対し実績記録の記録を指示する(S55)。この指示は、S46あるいはS52で番地を更新した後に行なわれる。実績記録部217は、工程作業番地記録部214を参照して、番地が更新されたときには更新後の番地を「工程番地n」「作業番地m」の欄にそれぞれ書き込む(S56)。また、実績記録部217は工程管理部220を参照して、装置情報や作業者情報を取得、実績記録格納部222に書き込む。
【0114】
続いて、端末装置10で作業者が「次工程」を操作した場合の処理を説明する。図17は「次工程」が操作された場合の処理を示すフローチャートである。
【0115】
本実施形態の端末装置10での「次工程」操作は、作業中の工程の次の工程の作業画面を確認する際に作業者が行うが、作業者が1工程の作業を完了したことのチェックにも用いている。
【0116】
作業者が「次工程」に対応するタッチパネル13の領域を操作した場合、端末装置10は自身の識別情報と共に、「次工程」が操作された旨の通知をサーバ20に発する(S61)。
【0117】
端末装置10からの通知から「次工程」のイベントを検出したイベント監視部212は、操作指令部213に対して「次工程」のイベント検出を通知する(S62)。イベント監視部212からの通知を受けた操作指令部213は、工程作業番地記録部214に記録されている番地(n,m)を取得する(S63)。続いて操作指令部213は、取得した番地が(N,m)、つまり最終工程Nのいずれかの番地を指しているか否かを判別する(S64)。
【0118】
取得した番地が(N,m)であった場合には(S64、Yes)、同一図番の一連の工程が全て完了したと操作指令部213は判断し、処理を終了する(S71)。また、操作指令部213は、実績記録部217に「次工程」を通知する(S73)。実績記録部217は、操作指令部213からの通知を受け、実績記録の「操作信号」の欄に「次工程」を記録し、「工程番地n」「作業番地m」の欄には番地でなく、最終工程が終了したことを示す情報を書き込む(S73)。
【0119】
実績記録部217は、実績記録格納部222に処理が一連の工程が完了した旨の実績記録を書き込む。
【0120】
一方、取得した番地が(N,m)ではない、つまり最終工程のいずれかの作業ではなかった場合には(s64,No)、作業番地mに関わらず、操作指令部213は取得した番地(n、m)を(n+1,1)に更新して、工程作業番地記録部214に書き込む(S65)。
【0121】
続いて、管理部215は工程作業番地記録部214の更新された番地を参照して、取得した(n+1,1)に対応するコンテンツコードをコンテンツコード表から取得し(S66)、これを表示制御部11に通知する(S67)。
【0122】
表示制御部11は、管理部215から通知されたコンテンツコードに対応する作業画面をページデータ格納部221から読み出して(S68)、送受信部211を介して「次工程」を通知した端末装置10宛に転送する(S69)。
【0123】
これにより、端末装置10の表示部12に、次工程n+1の先頭作業に対応する作業画面が表示される(S70)。
【0124】
操作指令部213はまた、S65で番地を更新した後、実績記録部217に対して「次工程」を通知する(S74)。この場合、実績記録の「操作信号」に「次工程」が記録されると共に、更新された番地が「工程番地n」「作業番地m」にそれぞれ書き込まれる(S75)。
【0125】
次に、端末装置10で作業者が「異常処理」を操作した際の処理を説明する。図18は「異常処理」が操作された場合の処理を示すフローチャートである。
【0126】
組立作業中に製品の破損などの不都合が生じた場合、作業者は端末装置10の「異常処理」に対応する領域を操作する。この場合、端末装置10はその旨をサーバ20に通知する。この際にも、端末装置10は自身の識別情報をサーバ20に通知する(S81)。
【0127】
送受信部211を介して端末装置10からの通知を受け取った場合、イベント監視部212が「異常処理」イベントを検出する。この後、イベント監視部212は「異常処理」イベントを検出した旨を操作指令部213に通知する(S82)。
【0128】
イベント監視部212から「異常処理」イベント検出を通知された操作指令部213は、割込み表示部218に対して異常割込み動作の実行を指令する(S83)。操作指令部213からの指令を受けた割込み表示部218は、作業画面の表示中止を、送受信部211を介して端末装置10に指示した上で(S84)、異常処理画面の表示を端末装置10に指示する(S85)。この動作によって、端末装置10に異常処理画面が表示される。
【0129】
また、イベント監視部212からの「異常処理」イベント検出通知を受けた操作指令部213は、実績記録部217に対して異常処理の実績記録を行なうよう指示する(S87)。操作指令部213からの指示を受けた実績記録部217は、実績記録の「操作信号」の欄に「異常処理」を記録する(S88)。なお「工程番地」「作業番地」は「異常処理」のイベントが検出された時点の番地を記録してもよい。
【0130】
一方、割込み表示部218から端末装置10に通知が行なわれると、異常イベント監視部219は端末装置10からの異常イベントの監視を開始する(S86)。
【0131】
続いて、異常イベント監視部219によるイベント監視が行なわれている期間の処理を説明する。図19は、異常イベント監視部219によるイベント監視期間の処理を説明する図面である。
【0132】
異常処理画面が表示されている状態で、発生した異常を解消できた場合には、作業者は異常処理画面の「復旧」の領域を操作する。これは、サーバ20に対して異常が発生した際に組立作業の対象となっていた製品が、製品の組立ラインに再度投入されたことの通知を兼ねている。
【0133】
異常イベント監視を行なっている異常イベント監視部219が、端末装置10からの通知に「復旧」イベントを検出した場合(S91、S92「復旧」)、異常イベント監視部219はその旨を操作指令部213に通知する(S93)。工程作業番地記録部214には、「異常処理」イベント発生時点の番地が格納されているため、管理部215はこの番地を参照し(S94)、参照した番地に対応するコンテンツコードをコンテンツコード表から改めて取得する(S95)。この後、管理部215は取得したコンテンツコードを表示制御部11に通知する(S96)。
【0134】
表示制御部11は、管理部215から通知されたコンテンツコードに対応する作業画面をページデータ格納部221から読み出して(S97)、送受信部211を介して「復旧」を通知した端末装置10の識別情報を付して、端末装置10に送信する(S98)。自身の識別情報が付された通知を受け取った端末装置10は、受信した作業画面を自身の表示部12に表示する(S99)。これにより、作業者の端末装置10に作業画面が表示され、作業者による組立作業を続けることが可能となる。
【0135】
また、異常イベント監視部219からの通知を受けた操作指令部213は、S94で番地(n,m)を取得した後、実績記録部217に対して異常が復旧した旨の実績記録を行なうよう指示する(S103)。操作指令部213からの指示を受けた実績記録部217は、実績記録の「操作信号」の欄に「復旧」を記録すると共に、復帰した作業画面に対応する番地を管理部215から取得して「工程番地n」「作業番地m」の欄にそれぞれ書き込む(S104)。
【0136】
一方、発生した異常を回復できない場合には、組立対象製品を組立ラインから外すとともに、端末装置10の異常処理画面に表示されている「リタイヤ」の領域を作業者が操作する。この際には、端末装置10からサーバ20に対して、「リタイヤ」が操作された旨が通知される(S91、S92「リタイヤ」、S100)。
【0137】
異常イベント監視部219は、端末装置10からの通知に含まれている「リタイヤ」イベントを検出すると、その旨を操作指令部213に通知する(S101)と共に、一連の組み立て作業が中断されたものとして処理を終了する(S102)。
【0138】
また、異常イベント監視部219からの通知を受けた操作指令部213は、実績記録部217に対して「リタイヤ」が操作された旨を記録するように指示する(S103)。この際、実績記録部217は、実績記録の「操作信号」の欄に「リタイヤ」を書き込む(S104)。
【0139】
本実施形態では、工程管理を記録する必要から、「異常処理」が発生した後にどのような対応が取られたかを確認できるように、「復旧」操作と「リタイヤ」操作とを作業者に要求している。
【0140】
本実施形態では、上記のように管理部215で各作業の番地とコンテンツコードとを関連付けて管理しており、表示制御部11はコンテンツコードに基づいて作業画面をページデータ格納部221から読み出している。作業画面は作業の番地とは直接関連付けられていないため、後に工程作業を見直して、元からあった工程(n,m)を移動したり省く、工程(n,m)の内容を見直して作業手順が変更となる、あるいは新たな工程(n’,m’)を追加するような場合であっても、工程作業に依存せずに、その工程作業に対応した作業画面を容易に表示することが可能となる。特に、工程作業の見直しが発生しても、各工程に対応付けるコンテンツコードを変更するだけで、画像データベースとして機能するページデータ格納部221の修正を最小限にとどめることが可能となる。
【0141】
図20から図24は、作業順序を変更する際の対応を説明する図面である。図20から図24はそれぞれ、特定の処理を行なう場合に、処理の前後でコンテンツコード表231で管理されているコンテンツコードがどのように処理されるのかを示す図面である。図20から図24の処理は、オペレータなどのを受け付けたサーバ20の管理部215が実行する。
【0142】
同一製品の組立工程作業は常に同じというわけではない。作業の場では、各種の改善活動が実施されており、工程の最適化や作業の最適化による、工程順序の変更や、作業順序の変更などが頻繁に行われる。本実施形態では、管理部215が管理するコンテンツコードの内容を修正することで、このような各種改善活動などへの対応を図っている。
【0143】
以下の処理は、サーバ20部でプログラムを動作させることで実行される。
【0144】
まず、一連の作業にある作業を追加する状況を、図20を用いて説明する。図20はコンテンツコード表を示しており、図示左側は更新前、図示右側は更新後のコンテンツデータをそれぞれ示している。これは、図21から図24も同様である。
【0145】
この例では、工程1の作業番地(1,3)に、作業Xのコンテンツデータ、つまり作業画面を追加する状況を説明する。
【0146】
この場合、作業Xの作業画面が未登録であれば、作業Xの作業画面を、コンテンツコードXと対応づけてページデータ格納部221に格納する。作業Xの作業画面は、画像情報などの形態で、各種の入力装置を用いてサーバ20に供給される。また、作業Xの作業画面に対応するコンテンツコードXも、オペレータが入力装置を用いて入力する。なお、コンテンツ作業Xの作業画面がページデータ格納部221にすでに登録されている場合には、作業画面格納の処理は必要ない。
【0147】
続いて管理部215は、作業番地(1,3)にコンテンツコード「X」を対応付けるよう、コンテンツコード表231を更新する。その際、管理部215は、当初番地(1,3)、(1,4)に対応付けられていたコンテンツコード「C」および「D」を、それぞれ一つずらした番地(1,4)、(1,5)に対応付け、コンテンツコード表231を更新する。
【0148】
このような処理により、新たな作業をある工程に追加する場合でも、追加作業の作業画面と工程との対応づけを容易に行なうことが出来る。
【0149】
次に、工程間で作業の順序を変更する場合について、図21を用いて説明する。
【0150】
この例では、工程2の3番目の作業(2、3)を、工程3の番地(3,2)に移動する状況を説明する。
【0151】
管理部215はまず、コンテンツコード表231の番地(3,2)、(3,3)に対応付けられたコンテンツコード「K」、「L」を一番地ずつシフトし、番地(3,3)、(3,4)に対応付ける。管理部215はそして、コンテンツコード表231の番地(3,2)に、当初番地(2,3)に対応付けられていたコンテンツコード「G」を対応付ける。
【0152】
一方、工程2については、番地(2,3)が空欄となるため、管理部215は番地(2,4)、(2.5)に対応付けられていたコンテンツコード「H」、「I」をそれぞれシフトして、番地(2,3)、(2,4)に対応付ける処理を実行する。
【0153】
続いて、1工程内で作業の順序を変更する状況を、図22を用いて説明する。
【0154】
この例では、工程4内の作業「O」、「P」、「Q」の順序を変更する状況を説明する。
【0155】
当初、工程4の番地(4,3)にはコンテンツコード「O」が対応付けられている。同様に、番地(4,4)にはコンテンツコード「P」が、番地(4,5)にはコンテンツコード「Q」がそれぞれ対応付けられている。ここで、作業の順序を「O」→「P」→「Q」の順から、「P」→「Q」→「O」の順に変更するものとする。
【0156】
この場合、管理部215は各作業「O」、「P」、「Q」と各番地との対応付けを変更し、番地(4,3)にコンテンツコード「P」を、番地(4,4)にコンテンツコード「Q」を、番地(4,5)にコンテンツコード「O」をそれぞれ対応づけるように、コンテンツコード表231を更新する。この場合、工程内の作業順序は変わっているが、各作業の作業画面とコンテンツコードとの対応関係自体は変更されていない。従って、工程内の作業順序が変更になったとしても、移動先の作業番地に対応づけられているコンテンツコードに基づいて作業画面を取得することが可能となる。
【0157】
次いで、ある工程から作業を削除する場合の処理を、図23を用いて説明する。
【0158】
この例では、工程5から作業「U」を削除する例を説明する。
【0159】
この場合、管理部215はコンテンツコード表231を参照して、番地(5,3)とコンテンツコード「U」との対応づけをキャンセルする。一方、削除対象の作業「U」に後続する作業「V」、「W」、「R」の作業順を繰り上げるため、管理部215は各コンテンツコード「V」、「W」、「R」を対応付ける番地を、(5,3)、(5,4)、(5,5)に変更する。
【0160】
次に、工程の順序を入れ替える場合の処理を説明する。図24は、工程順序を入れ替える際の処理手順を示す図面である。
【0161】
この例では、工程2を工程4の後に移動する状況を説明する。
【0162】
この場合、管理部215はコンテンツコード表231の工程2内の作業に対応するコンテンツコードを、一括して工程4の位置(工程番地は「4」)に移動する。これに合わせて、工程3、工程4の順序を繰り上げて、工程3のコンテンツコードを工程番地「2」の位置に、工程4のコンテンツコードを工程番地「3」の位置に、それぞれ移動する。
【0163】
なお、図24の右側では、工程の番号が上から「1」、「3」、「4」、「2」・・・となっているが、これは図24の左右の状態の違いを示すために便宜的に付した番号である。
【0164】
上記の図20から図24の処理では、管理部215が管理する工程・作業の番地自体には手を付ける必要が全くなく、コンテンツコードの対応を変更するだけで、工程・作業の変更に応じた作業画面の変更・追加・削除を簡易に行なうことができる。
【0165】
以上説明したコンテンツコードの移動・変更は、図25に示すように、画面上でのマウスのドラッグ操作にて行なうことが出来る。
【0166】
例えば、一工程の一連の作業画面を一覧表示した状態で、ある作業の順序を変更したい場合、作業者は位置を移動したい作業画面の上にマウスを移動し、ドラッグ操作により選択した作業画面を移動先に移動させる。
【0167】
図25の例では「○○組立」工程の作業2の作業画面を、作業3の位置に移動させる場合のドラッグ操作を示している。この場合、オペレータは作業2の作業画面の位置にマウスを移動し、ドラッグ操作をしてマウスを作業3の作業画面の位置に移動させる。
【0168】
サーバ20の管理部215は、表示部12に表示されている各作業画面の座標と、各作業画面のコンテンツコードとの対応を認識している。図25のようにドラッグ操作が行われると、管理部215はどの作業画面がドラッグされたのかをマウスの操作座標から判断する。また、マウスの移動先座標を確認して、その位置に配置されている作業画面およびそのコンテンツコードを認識する。判別された結果に基づいて、移動対象画面のコンテンツコードを、移動先の番地に対応付けると共に、当該作業の移動によって順序を繰り上げ、あるいは繰り下げるべき作業のコンテンツコードを、繰り上げ先、繰り下げ先の番地に対応付ける。図25の例では、管理部215は、当初の作業3に対応する番地に作業2の作業画面のコンテンツコードを対応づけるように、コンテンツコード表を更新する。また、作業3は順番が繰り上がるので、作業3の作業画面のコンテンツコードを、当初の作業2に対応する番地に対応付けるように、コンテンツコード表を更新する。
【0169】
図25ではまた、XX組立工程の作業3の作業画面を、△△組立工程の作業2の作業画面位置に移動させようとする場合の、オペレータの操作を模式的に示している。ここでは、オペレータがマウスを××組立工程の作業3の作業画面が表示されている位置に移動させ、ドラッグ操作した後にマウスを△△組立工程の作業2の作業画面が表示されている位置に移動させる。
【0170】
管理部215は、これらのマウス操作を認識して、××組立工程の作業3の作業画面が選択されたこと、作業画面の移動先が△△組立工程の作業2の作業画面位置であると判別する。管理部はまず、××組立工程の作業3の番地に対応するコンテンツコードを取得し、これを△△組立工程の作業2の番地に対応付けるように、コンテンツコード表を更新する。また、××組立工程の作業4以降は順番が繰り上がるため、空いた作業3に対応していた番地に、作業4の作業画面のコンテンツコードを対応づけるように、コンテンツコード表を更新する。一方、△△組立工程の作業2以降の作業はその順番が繰り下がる。そのため、××組立工程の作業3の移動先に対応していた作業2のコンテンツコードを、移動先の番地に対応付けるように、コンテンツコード表を更新する。
【0171】
同様に、工程の順序を変更する場合には、作業者は順序を変える対象の工程をドラッグ操作で移動先へ移動させる。
【0172】
以上説明した実施形態の表示装置によれば、図面や手順書、チェックシートなどの紙の資料を卓上に広げる必要がなくなり、作業効率を向上させることが可能となる。また、実施形態では作業者によるタッチパネルの操作イベントを、作業者による作業実績として記録するように対応しているため、紙のチェックシートを用意する必要がなくなり、またチェックシートをチェックする作業を省くことができる。
【0173】
上記実施形態では、指でタッチパネルをタッチする際に、より正確に所望の領域を選択することが可能となる。また、表示部上にボタンなどが表示されないため、あまり表示部が大きくない端末装置であっても、作業画面を確認しやすくなる。
【0174】
また、上記の実施形態では、工程毎に作業をグルーピングしているため、各作業間、あるいは各工程間の管理が容易となる。特に、各工程、各作業を番地/座標で管理しており、各番地/座標と作業画面との関係はコンテンツコードで管理するようにしていることから、作業画面の読み出しを容易とするとともに、作業・工程の変更に応じた作業画面の変更などの処理をより簡単に行うことができるようになる。
【0175】
更に、タッチパネルが操作された時点における作業・工程の番地を参照し、その位置と作業者の操作内容とを勘案して、作業画面の遷移の仕方を変えている。このため、作業状況に適した画面遷移の制御を実現できる。
【0176】
作業者がタッチパネルを誤操作した場合、作業画面が作業者の意図しない状態に遷移する可能性もある。しかし、上記実施形態では、タッチパネル操作時に先頭作業や最終作業にあるか否かをなどの状況も考慮して作業画面遷移を制御するため、作業者が誤操作したとしてもその影響を少なく留めることが可能となる。また、上記の実施形態は、作業者による画面遷移の指示入力を、工程の状況や完了をチェックするための工程管理記録にも用いているが、このような場合に作業者が誤操作をしてしまうと工程管理の記録上問題が生じる恐れがある。本実施形態では、作業の進捗状況とタッチパネルの操作内容とを考慮して制御が行われるため、このような問題が生じる可能性をより低減できる。
【0177】
なお、上記の実施形態では、無線通信機能を持った端末装置を対象として説明した。しかし、端末装置としては例えば有線通信を行う端末装置を用いても差し支えない。
【0178】
また、上記実施形態では、作業画面などの情報はサーバが保持していたが、端末装置側で情報を保持するようにしてもよい。この場合、端末装置内部の記憶部、あるいは端末装置にセットされる可搬の記憶部に情報を保持し、サーバからの指示によって記憶部内の情報を読み出して表示部に表示すればよい。
【0179】
更に、上記実施形態では、表示画面や作業の遷移をサーバが把握していたが、端末装置が作業の状況を把握して、自律的に画面表示を遷移させるようにしてもよい。この場合、実績記録もすべて端末装置で管理するのであれば、上記実施形態で説明した態様のサーバは無くともよい。また、実時間での作業進捗状況を一括して把握している必要があるならば、作業画面の表示処理は端末装置が自律的に実行する一方、端末装置からサーバに対してタッチパネル操作の通知を行い、サーバでは通知された操作内容を実績記録として記録・管理すればよい。
【符号の説明】
【0180】
1・・・表示装置
10・・・端末装置
11・・・制御部
12・・・表示部
13・・・タッチパネル
20・・・サーバ
212・・・イベント監視部
213・・・操作指令部
214・・・工程番地記憶部
215・・・管理部
216・・・表示制御部
217・・・実績記録部
218・・・割込み表示部
219・・・異常イベント監視部
221・・・ページデータ格納部
222・・・実績記録格納部
231・・・コンテンツコード表


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業の手順を示す作業画面を表示する作業手順表示装置において、
それぞれが1あるいは複数の作業を含む複数工程および作業を、前記複数工程相互の順序を示す工程番地と、ある工程に含まれる作業の当該工程での順序とを示す作業番地とで管理する管理部と、
操作者による操作を監視して検出する監視部と、
表示される作業画面に対応する作業の番地を記録する記録部と、
前記監視部からの通知により前記記録部から番地を取得し、通知された操作の種別に応じて取得した番地の更新可否を判断し、前記取得した番地を更新する場合には前記更新した番地を前記記録部に記録する指令部と、
作業画面を保持する格納部と、
前記格納部から作業画面を読み出して、読み出した作業画面の表示制御を行なう表示制御部とを有し、
前記管理部は、前記記録部から更新された番地を取得して、取得した番地に対応する作業画面の表示を前記表示制御部に指示し、
前記表示制御部は、指示された番地に対応する作業画面を前記格納部から読み出すことを特徴とする、作業手順表示装置。
【請求項2】
前記作業手順表示装置において、
操作者が現在表示されている作業画面の次の作業画面表示を示す操作を行なった場合、
前記指令部は、
前記記録部から取得した作業の番地が、当該作業の属する工程の最終作業の番地か否かを判別し、
前記取得した作業の番地が当該工程の最終作業の番地ではないと判別した場合、取得した作業番地を次の作業の番地に更新して前記記録部に記録し、
前記取得した作業の番地が当該工程の最終作業の番地である場合には、取得した番地を更新しないことを特徴とする、請求項1に記載の作業手順表示装置。
【請求項3】
前記作業手順表示装置において、
前記取得した作業の番地が、当該工程の最終作業であった場合、前記指令部は当該工程に付加情報が含まれているか否かを判断し、
前記付加情報が当該工程に含まれていると前記指令部が判断した場合には、前記管理部が前記当該付加情報の表示を前記表示制御部に指示し、
前記表示制御部は、当該指示に基づいて前記付加情報に対応する画面を前記格納部から読み出すことを特徴とする、請求項2記載の作業手順表示装置。
【請求項4】
前記作業手順表示装置において、
操作者が現在表示されている作業画面の前の作業画面表示を示す操作を行なった場合、
前記指令部は、
前記記録部から取得した作業の番地が、当該作業の属する先頭作業の番地であるか否かを判別し、
前記取得した作業の番地が当該工程の先頭作業の番地ではないと判別した場合、取得した作業番地を前の作業の番地に更新して前記記録部に記録し、
前記取得した作業の番地が先頭工程の先頭作業の番地である場合には、取得した番地を更新せず、
前記取得した作業の番地が、先頭工程以外の工程の先頭作業の番地である場合には、取得した番地を当該工程の前工程の先頭作業の番地に更新して前記記録部に記録することを特徴とする、請求項1に記載の作業手順表示装置。
【請求項5】
前記作業手順表示装置において、
操作者が現在表示されている作業画面が属する工程の次の工程の前の作業画面表示を示す操作を行なった場合、
前記指令部は、
前記記録部から取得した作業の番地が、最終工程に含まれる作業の番地であるか否かを判別し、
前記取得した作業の番地が最終工程に含まれる作業の番地であると判断した場合には、取得した番地を更新せず、
前記取得した作業の番地が、最終工程以外の工程に含まれる作業の番地であると判断した場合には、前記取得した作業の番地を、次工程の先頭作業の番地に更新して前記記録部に記録することを特徴とする、請求項1に記載の作業手順表示装置。
【請求項6】
前記作業手順表示装置において、
前記管理部は、各作業の番地と、作業画面を識別する画面コードとを対応付けて記録するコード表を記憶し、
前記表示制御部に作業画面の表示を指示する場合には、
前記コード表を参照して、前記記録部から取得した番地に対応する画面コードを取得し、
前記取得した画面コードを付加して前記表示制御部に前記指示を行なうことを特徴とする、請求項1に記載の作業手順表示装置。
【請求項7】
前記作業手順表示装置において、
工程に作業を追加する場合、
前記管理部は、追加対象の作業に対応する作業画面の画面コードを、当該作業の追加位置の番地に対応付けるように前記コード表を更新すると共に、当該作業の追加により順序を移動させる作業に対応する作業画面の画面コードを移動先の番地に対応付けるように前記コード表を更新することを特徴とする。請求項6記載の作業手順表示装置。
【請求項8】
前記作業手順表示装置において、
工程から作業を削除する場合、
前記管理部は、削除対象の作業に対応する作業画面の画面コードを前記コード表から削除すると共に、当該作業の削除によってその順序を繰り上げる作業に対応する作業画面の画面コードを、移動先の番地に対応づけるように前記コード表を更新することを特徴とする、請求項6記載の作業手順表示装置。
【請求項9】
前記作業手順表示装置は更に、
発生した作業の実績情報を記録する実績情報格納部と、
前記実績情報格納部への実績情報記録を行なう実績情報記録部とを備え、
前記指令部は、作業者による操作が検出された場合、検出した操作内容を前記実績情報記録部に通知すると共に、当該操作内容に係る実績情報の記録を前記実績情報記録部に指示し、
前記実績情報記録部は、前記指示に従って、通知された操作内容に対応する情報と、その時点で前記記録部に記録されている番地とを前記実績情報格納部に書き込むことを特徴とする、請求項1記載の作業手順表示装置。
【請求項10】
前記作業手順表示装置において、
前記指令部が、前記記録部に記録された番地を更新した場合、前記実績情報格納部は、当該更新された番地を前記記録部から取得して、前記実績情報格納部に書き込むことを特徴とする、請求項9記載の作業手順表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate