説明

作業機械及び該作業機械に用いる機器カバー

機器カバー(21)は、機器収容空間(11)を上方から覆う上面(21A)と、機器収容空間(11)を右側方から覆う側面(21B)と、これら上面(21A)と側面(21B)との間を連結する凸円弧状の折曲面(21C)とによって、全体とし
てL型の折曲形状をもって形成する。また、機器カバー(21)は、前,後方向に延びる継ぎ目(28)の位置で上面カバー分割体(22)と側面カバー分割体(25)とに分割する。そして、これらのカバー分割体(22),(25)は、接続板(29)を用いて一体的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えばリフトトラック、油圧ショベル等の自走可能な車体を備えた作業機械及び該作業機械に用いる機器カバーに関する。
【背景技術】
一般に、地上から高所への荷物の運搬作業(荷役作業)を行うリフトトラック等の作業機械は、自走可能な車体と、該車体に起伏可能に設けられ長手方向に伸縮するテレスコピック式の作業装置とにより大略構成されている。
そして、リフトトラックの車体は、支持構造体をなすフレームと、該フレームに設けられたエンジンと、該エンジン、熱交換装置等の機器類を上方および側方から覆い内部に機器収容空間を画成する機器カバーとを備えて構成されている(例えば、特許第2559831号公報ご参照)。
ところで、この種の従来技術によるリフトトラックの機器カバーは、エンジン、熱交換装置等の機器類に対する点検作業を迅速に行うため、通常、フレーム等にヒンジ部材を用いて開,閉可能に取付けられている。そして、この機器カバーはエンジン等の機器類を上方および側方から同時に覆うため、機器カバー全体の面積は大きくなる。
ここで、例えば鋼板材にプレス加工を施すことによって機器カバーを一体形成する場合には、プレス深さが大きくなるほど大型なプレス加工機を用いる必要があるため、大がかりなプレス加工用の設備が必要となり、機器カバーの製造コストが嵩んでしまう。また、例えば機器カバーを樹脂材料を用いて一体形成する場合には、この機器カバーに対応する成形型も大型化するため、機器カバーの製造コストが嵩んでしまう。
一方、他の従来技術による作業機械として、エンジン等の機器類を開,閉可能に覆う機器カバーを、複数の分割カバーによって構成したものが知られている(例えば、実開平7−15484号公報ご参照)。
しかし、上述した他の従来技術による作業機械の機器カバーは、エンジン等の機器類を側方から開,閉可能に覆うだけであるため、全体としてほぼ長方形をなす平板状に形成されている。従って、他の従来技術による機器カバーを、機器類を上方および側方から同時に開,閉可能に覆うことができる機器カバーに適用するのは難しい。
これに対し、機器類を上方および側方から開,閉可能に覆うことができるだけの大きな面積をもった機器カバーを一体形成する場合には、上述したように機器カバーの製造コストが嵩んでしまうという問題がある。
また、樹脂材料を用いて一体形成された機器カバーは、作業機械の走行時等において障害物等に接触することにより、欠損、ひび割れ等の破損を生じ易い。この場合、樹脂材料を用いて一体形成された機器カバーは、破損した箇所のみを補修するのが難しいため、機器カバーの一部が破損した場合でも機器カバー全体を交換する必要があり、この破損した機器カバーを補修するときの作業性が低下してしまうという問題がある。
【発明の開示】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、機器カバーの製造コストを低減することができ、かつ、破損した機器カバーを補修するときの作業性を高めることができるようにした作業機械及び該作業機械に用いる機器カバーを提供することを目的としている。
(1).上述した課題を解決するため、本発明は、自走可能な車体と、該車体に設けられた作業装置とにより構成され、車体は、支持構造体をなすフレームと、該フレームに設けられたエンジンと、該エンジンを含む機器類を開,閉可能に覆い内部に機器収容空間を画成する機器カバーとを備えてなる作業機械に適用される。
そして、本発明の特徴は、機器カバーは、機器類の上方に位置する上面と、機器類の側方に位置する側面と、上面と側面との間を連結する凸円弧状の折曲面とによりほぼL型の折曲形状をもって形成し、機器カバーは、前,後方向に延びる継ぎ目の位置で分割される複数のカバー分割体によって構成したことにある。
このように、複数に分割されたカバー分割体を互いに接続することにより、1枚の機器カバーを形成することができるので、例えば大きな面積を有する1枚の機器カバーを一体形成する場合に比較して、その製造コストを低減することができる。また、機器カバーの一部が破損した場合には、この破損した部位を含むカバー分割体のみを交換することにより、破損した機器カバーを補修するときの作業性を高めることができる。さらに、機器カバーを、エンジン等の機器類の上方に位置する上面と、機器類の側方に位置する側面と、これら上面と側面との間を連結する凸円弧状の折曲面とによりほぼL型の折曲形状をもって形成したので、機器カバーの外観の審美性を高めることができる。
(2).また、本発明では、複数のカバー分割体は、機器類を覆う板部材と、該板部材に折曲形状に沿って上,下方向に伸長して設けられた補強部材とによりそれぞれ構成するのが好ましい。
このように構成したので、カバー分割体の強度を高めることができ、これら各カバー分割体を接続して形成された機器カバー全体の強度を高めることができる。
(3).また、本発明では、機器カバーのうち隣合うカバー分割体の継ぎ目の位置には接続部材を設け、複数のカバー分割体は、該接続部材を用いて互いに接続する構成としてもよい。
この場合、複数のカバー分割体は接続部材を用いて互いに接続する構成としたので、接続部材を取外すことにより各カバー分割体を分離することができる。従って、機器カバーが破損した場合に、この破損箇所を含むカバー分割体を容易に交換することができ、破損した機器カバーを補修するときの作業性を高めることができる。
(4).また、本発明では、機器カバーは複数のカバー分割体を継ぎ目の位置で互いに接続した状態で一体的に開,閉する構成としてもよい。
このように、複数のカバー分割体を互いに接続する構成としたので、機器類の点検作業を行う場合には、各カバー分割体を接続して一体化された機器カバーによって機器類が収容された機器収容空間を容易に開,閉することができる。
(5).また、本発明では、機器カバーは複数のカバー分割体を継ぎ目の位置で接続して一体的に形成し、フレームに対してこの一体化された機器カバーの上面側を開,閉可能に取付ける構成としてもよい。
これにより、機器類の点検作業を行う場合には、各カバー分割体を接続して一体化された機器カバーによって機器類が収容された機器収容空間を容易に開,閉することができる。また、一体化された機器カバーの上面側をフレームに対して開,閉可能に取付ける構成としたから、例えばフレームによって機器カバーの上面側を回動可能に支持することができる。
(6).また、本発明では、複数のカバー分割体はフレームに対してそれぞれ別個に開,閉可能に取付け、これら各カバー分割体はそれぞれ独立して開,閉する構成としてもよい。
このように、複数のカバー分割体はフレームに対してそれぞれ別個に開,閉可能に取付ける構成としたので、各カバー分割体を互いに分離した状態でそれぞれ独立して開,閉することができる。このため、各カバー分割体を開いたときに機器類の周囲に大きな作業スペースを確保することができ、これら機器類の点検作業を大きな作業スペース内で効率良く行うことができる。
(7).また、本発明では、機器カバーは複数のカバー分割体を折曲面の位置で分割する構成としてもよい。
これにより、各カバー分割体に含まれる折曲面の曲率を小さくすることができる。従って、機器カバーの折曲面に対応する曲率の大きな折曲面を含んだカバー分割体を形成する必要がなく、各カバー分割体を容易に形成することができる。
(8).また、本発明では、機器カバーは、機器類の上方を覆う上面カバー分割体と、機器類の側方を覆う側面カバー分割体とからなる2枚のカバー分割体により構成してもよい。
これにより、障害物等に接触して破損し易い側面カバー分割体のみを、新たな側面カバー分割体と交換して上面カバー分割体に容易に接続することができる。
(9).また、本発明では、作業機械に設けられたエンジンを含む機器類を開,閉可能に覆い内部に機器収容空間を画成する作業機械の機器カバーにおいて、前,後方向に延びる継ぎ目の位置で分割される複数のカバー分割体によって構成され、これら複数のカバー分割体を継ぎ目の位置で接続した状態で機器類の上方に位置する上面と、機器類の側方に位置する側面と、上面と側面との間を連結する凸円弧状の折曲面とによりほぼL型の折曲形状をもって形成してもよい。
このように構成したことにより、複数に分割されたカバー分割体を互いに接続して1枚の機器カバーを形成することができるので、機器カバーの製造コストを低減することができる。また、機器カバーの一部が破損した場合には、その破損箇所を含むカバー分割体のみを容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施の形態による機器カバーが適用されたリフトトラックを示す斜視図である。
図2は、図1中の機器カバーを開いた状態を示す斜視図である。
図3は、リフトトラックのフレームを、キャブ、機器カバー等を取付けた状態で上方からみた平面図である。
図4は、機器カバーを閉位置とした状態を図1中の矢示IV−IV方向からみた拡大断面図である。
図5は、機器カバーを開位置とした状態を示す拡大断面図である。
図6は、上面カバー分割体と側面カバー分割体とを分離した状態で示す分解斜視図である。
図7は、上面カバー分割体、側面カバー分割体、接続板等を機器収容空間側からみた分解斜視図である。
図8は、第2の実施の形態による機器カバーを閉位置とした状態を示す図4と同様の拡大断面図である。
図9は、第2の実施の形態による機器カバーを開位置とした状態を示す図5と同様の拡大断面図である。
図10は、第3の実施の形態による上面カバー分割体と側面カバー分割体とを分離した状態で示す斜視図である。
図11は、第3の実施の形態による機器カバーを閉位置とした状態を示す図4と同様の拡大断面図である。
図12は、機器カバーの変形例を示す図6と同様の分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係る作業機械及び該作業機械に用いる機器カバーの実施の形態を、リフトトラックの機器カバーを例に挙げ、図1ないし図12を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は作業機械としてのリフトトラックで、該リフトトラック1は、自走可能なホイール式の車体2と、後述の作業装置18とにより大略構成され、作業現場まで自走した後、作業装置18を用いて地上から高所へと荷物を運搬する荷役作業を行うものである。そして、リフトトラック1の車体2は、後述のフレーム3、キャブ14、エンジン15、熱交換装置17、機器カバー21等により構成されている。
3は車体2のベースとなるフレームで、該フレーム3は、図3に示すように、厚肉な鋼板材等を用いて形成され前,後方向に延びる底板4と、同じく厚肉な鋼板材等を用いて形成され底板4を挟んで前,後方向に延びる左,右の縦板5,6と、各縦板5,6の左,右側方に設けられたキャブ支持部7,機器支持部8とにより大略構成され、強固な支持構造体をなしている。そして、底板4の前部側には、後述の各前輪12を支持する前輪支持部4Aが設けられ、底板4の後部側には、後述の各後輪13を支持する後輪支持部4Bが設けられている。
ここで、前記キャブ支持部7は、左縦板5の前,後方向の中間部位に左縦板5から左側方に張出して設けられ、該キャブ支持部7は後述のキャブ14を支持するものである。また、前記機器支持部8は、右縦板6の前,後方向の中間部位に右縦板6から右側方に張出して設けられ、該機器支持部8は後述するエンジン15、熱交換装置17等の機器類を支持するものである。
ここで、機器支持部8は、図2及び図3等に示すように、基端側が右縦板6に固着され該右縦板6から右側方に張出した複数本の横ビーム8Aと、これら各横ビーム8Aの先端側に固着され前,後方向に延びた断面D型の縦ビーム8Bとにより、全体として前,後方向に延びる長方形の枠状に形成されている。また、機器支持部8の前端側には、上,下方向に延びる前面板9が設けられ、機器支持部8の後端側には、上,下方向に延びて前面板9と対面する後面板10が設けられている。
11はフレーム3のうちキャブ14の反対側となる右側部位に設けられた機器収容空間で、この機器収容空間11は、フレーム3の右縦板6、機器支持部8、前面板9、後面板10、後述の機器カバー21によって画成されている。そして、この機器収容空間11内には、後述するエンジン15、油圧ポンプ16、熱交換装置17等の各種の機器類が収容されている。
12はフレーム3の前部側に設けられた左,右の前輪で、これら左,右の前輪12の車軸は、底板4の前輪支持部4Aに回転可能に支持されている。そして、左,右の前輪12は、キャブ14内に配設されたステアリング装置(図示せず)によって操舵され、車体2の走行方向を制御するものである。
13はフレーム3の後部側に設けられた左,右の後輪で、これら左,右の後輪13の車軸は、底板4の後輪支持部4Bに回転可能に支持されている。そして、左,右の後輪13は、油圧モータ等(図示せず)の回転が車軸等を介して伝達されることにより、車体2を走行させるものである。
14はフレーム3のキャブ支持部7上に取付けられたキャブで、該キャブ14は運転室を画成するものである。そして、キャブ14内には、オペレータが着席する運転席、左,右の前輪12を操舵するためのステアリング装置、後述の作業装置18を操作するための操作レバー等(いずれも図示せず)が配設されている。
15はフレーム3の機器支持部8上に取付けられたエンジンで、該エンジン15は、フレーム3に沿って前,後方向に延在する縦置き状態に配置されている。ここで、エンジン15の後部側には油圧ポンプ16が取付けられ、該油圧ポンプ16は、エンジン15によって駆動されることにより、左,右の後輪13を回転させる油圧モータ等に向けて作動油を供給するものである。また、エンジン15の前部側には、後述の熱交換装置17に向けて冷却風を供給する冷却ファン(図示せず)が設けられている。
17はエンジン15の前側に位置してフレーム3の機器支持部8上に取付けられた熱交換装置で、該熱交換装置17は、エンジン冷却水を冷却するラジエータ、油圧アクチュエータに供給される作動油を冷却するオイルクーラ等により構成されている。そして、熱交換装置17は、エンジン15によって駆動される冷却ファンからの冷却風によってエンジン冷却水、作動油を冷却するものである。
そして、これらエンジン15、油圧ポンプ16、熱交換装置17等の機器類は、機器収容空間11内に収容され、後述する機器カバー21によって開,閉可能に覆われる構成となっている。
18は車体2に俯仰動可能に設けられた荷役作業用の作業装置を示している。そして、この作業装置18は、基端側がフレーム3の後部上端側にピン結合され前,後方向に延びたブーム19と、該ブーム19の先端側に上,下方向に回動可能に取付けられたフォーク等の荷役作業具20とにより大略構成されている。
ここで、ブーム19は、最も外側に位置する角筒状の第1段ブーム19Aと、該第1段ブーム19A内に伸縮可能に収容された角筒状の第2段ブーム19Bと、該第2段ブーム19B内に伸縮可能に収容された第3段ブーム19Cと、該第3段ブーム19Cの先端側に斜め下向きに設けられ、先端側に荷役作業具20が設けられたブームヘッド19Dとにより構成されている。
そして、第1段ブーム19Aとフレーム3との間には、ブーム19全体を車体2に対して起伏させるブーム起伏シリンダ(図示せず)が設けられている。また、第1段ブーム19Aと第2段ブーム19Bとの間には、第2段ブーム19Bを第1段ブーム19Aに対して伸縮させる第1段ブームシリンダ19Eが設けられている。さらに、第2段ブーム19Bと第3段ブーム19Cとの間には、第3段ブーム19Cを第2段ブーム19Bに対して伸縮させる第2段ブームシリンダ(図示せず)が設けられている。この第2段ブームシリンダは、第1段ブームシリンダ19Eが第2段ブーム19Bを伸縮させるときに、これと同期して第3段ブーム19Cを伸縮させるものである。
そして、作業装置18は、荷役作業具20に荷物を積載した状態でブーム19を車体2に対して起立させ、ブーム19の第1段ブーム19Aから第2段ブーム19Bを伸長させると共に第2段ブーム19Bから第3段ブーム19Cを伸長させることにより、荷役作業具20に積載した荷物を地上から所定の荷下ろし場所へと運搬するものである。
21はフレーム3の右側部位に設けられた機器カバーで、該機器カバー21は、機器収容空間11内に収容されたエンジン15、熱交換装置17等の機器類を開,閉可能に覆うものである。そして、機器カバー21は、後述の上面カバー分割体22と、側面カバー分割体25とからなる2枚のカバー分割体によって構成されている。また、これら上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とは、後述の継ぎ目28の位置で分割され、接続板29を用いて互いに接続されている。
ここで、機器カバー21は、図1に示すように、エンジン15等の上方に位置して機器収容空間11を上方から覆う上面21Aと、エンジン15等の右側方に位置して機器収容空間11を右側方から覆う側面21Bと、これら上面21Aと側面21Bとの間を連結する凸円弧状の折曲面21Cとにより、全体としてL型の折曲形状をもって形成されている。
この場合、機器カバー21の上面21Aは、その前端部21A1から後端部21A2に向けて徐々に上向きに傾斜した傾斜面となり、折曲面21Cは、その前端部21C1から後端部21C2に向けて徐々に高さ寸法が増加するように形成されている。このように、機器カバー21の上面21Aは、その後端部21A2から前端部21A1に向けて地上からの高さ寸法が徐々に低くなるように形成され、キャブ14内のオペレータが右前方を目視したときに、このオペレータの視線が機器カバー21によって遮られるのを抑え、オペレータの視界を大きく確保することができる構成となっている。また、機器カバー21の上面21Aと側面21Bとの間を凸円弧状の折曲面21Cによって滑らかに連結することにより、機器カバー21の外観の審美性を高めることができる構成となっている。
22は機器カバー21の上側部分を構成する上面カバー分割体で、該上面カバー分割体22は、機器収容空間11内に収容された機器類を上方から覆うものである。そして、上面カバー分割体22は、図6及び図7に示すように、後述の板部材23と、各補強部材24とにより構成されている。
23は上面カバー分割体22の本体部分となる板部材で、該板部材23は、例えば樹脂材料を用いて薄肉な板状に形成されている。そして、板部材23は、機器カバー21の上面21Aを構成する上面部23Aと、機器カバー21の折曲面21Cを構成する折曲面部23Bとからなり、機器収容空間11内のエンジン15、熱交換装置17等を上方から覆うものである。
24,24は板部材23のうち機器収容空間11側に位置する内側面に設けられた前,後の補強部材で、これら各補強部材24は、薄肉な板部材23を内側から補強するものである。ここで、各補強部材24は、例えば鋼板材等を折曲げることにより形成され、板部材23の折曲形状に沿って上,下方向に伸長した状態で該板部材23の内側面にねじ、またはボルト等(図示せず)の手段を用いて固着されている。そして、補強部材24の下端側には、後述のボルト30が螺合する複数個の雌ねじ孔24Aが螺設され、補強部材24の上端部位には、後述のヒンジ部材31が溶接等の手段を用いて固着されている。
25は機器カバー21の下側部分を構成する側面カバー分割体で、該側面カバー分割体25は、機器収容空間11内に収容された機器類を右側方から覆うものである。そして、側面カバー分割体25は、図6及び図7に示すように、後述の板部材26と、各補強部材27とにより構成されている。
26は側面カバー分割体25の本体部分となる板部材で、該板部材26は、例えば樹脂材料を用いて薄肉な板状に形成されている。そして、板部材26は、機器カバー21の側面21Bを構成し、機器収容空間11内のエンジン15、熱交換装置17等を右側方から覆うものである。
27,27は板部材26のうち機器収容空間11側に位置する内側面に設けられた前,後の補強部材で、これら各補強部材27は、薄肉な板部材26を内側から補強するものである。ここで、各補強部材27は、例えば鋼板材等を折曲げることにより形成され、板部材26の折曲形状に沿って上,下方向に伸長した状態で該板部材26の内側面にねじ、またはボルド等(図示せず)の手段を用いて固着されている。そして、各補強部材27の上端側には、後述のボルト30が螺合する複数個の雌ねじ孔27Aが螺設されている。また、各補強部材27の幅寸法は、上面カバー分割体22を構成する各補強部材24の幅寸法と等しく設定され、かつ、各補強部材27の前,後方向の間隔は、上面カバー分割体22を構成する各補強部材24の前,後方向の間隔と等しく設定されている。
28は機器カバー21を構成する上面カバー分割体22と側面カバー分割体25との分割位置となる継ぎ目で、該継ぎ目28は、機器カバー21の側面21Bと折曲面21Cとの間に位置し、前,後方向に延びている。そして、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とは、この継ぎ目28の位置で後述の各接続板29を用いて互いに接続される構成となっている。
29,29は上面カバー分割体22と側面カバー分割体25との間を分離可能に接続する接続部材としての前,後の接続板で、図7に示すように、これら各接続板29は、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25との継ぎ目28の位置に配設されている。ここで、接続板29は、例えばコ字状の断面形状を有する溝形鋼を用いて形成されている。そして、接続板29には、上面カバー分割体22を構成する補強部材24の各雌ねじ孔24Aと側面カバー分割体25を構成する補強部材27の各雌ねじ孔27Aとに対応する位置に、それぞれ複数のボルト挿通孔29Aが穿設されている。
そして、上面カバー分割体22の補強部材24と側面カバー分割体25の補強部材27とに接続板29を嵌合させ、この接続板29の各ボルト挿通孔29Aに挿通したボルト30を、補強部材24の各雌ねじ孔24Aと補強部材27の各雌ねじ孔27Aとに螺入する。
これにより、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とが各接続板29によって互いに接続され、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とが継ぎ目28を挟んで一体化された大きな面積を有する機器カバー21を形成することができる。
31は機器カバー21をフレーム3に対して回動可能に支持するヒンジ部材で、図4及び図5に示すように、ヒンジ部材31の一端側は、上面カバー分割体22を構成する補強部材24の上端部位に固着され、ヒンジ部材31の他端側は、フレーム3の右縦板6に固着されている。
従って、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とを接続してなる機器カバー21は、ヒンジ部材31を中心として、図4に示す如く機器収容空間11を閉じる閉位置と、図5に示す如く機器収容空間11を開く開位置との間で、上,下方向に一体的に回動する構成となっている。
32はフレーム3と機器カバー21との間に設けられたガススプリングである。図4及び図5に示すように、ガススプリング32は、その一端側がフレーム3の右縦板6に回動可能に取付けられ、他端側が機器カバー21の上面カバー分割体22に回動可能に取付けられている。そして、ガススプリング32は、機器カバー21を閉位置から開位置に向けて常時付勢すると共に、機器カバー21を開位置に保持するものである。
33は機器カバー21の側面カバー分割体25に設けられたロック機構で、該ロック機構33は、機器カバー21を閉位置としたときに、フレーム3側に設けられた掛止め具(図示せず)に係合することにより、機器カバー21を閉位置に保持するものである。
本実施の形態によるリフトトラック1は上述の如き機器カバー21を備えたもので、このリフトトラック1を用いて荷役作業を行うときには、まず、図1に示すように、ブーム19を地面側に伏せた状態で荷役作業具20上に荷物(図示せず)を積載し、リフトトラック1を作業現場まで自走させる。
この場合、機器カバー21の上面21Aは、図1に示すように、その後端部21A2から前端部21A1に向けて地上からの高さ寸法が徐々に低くなるように形成されているので、キャブ14内のオペレータが右前方を目視したときに、このオペレータの視界を大きく確保することができ、走行時の安全性を高めることができる。
そして、車体2を作業現場に停止させた後、キャブ14内のオペレータが作業装置18を操作することにより、ブーム19を車体2に対して起立させ、ブーム19の第1段ブーム19Aから第2段ブーム19Bを伸長させると共に、第2段ブーム19Bから第3段ブーム19Cを伸長させる。これにより、荷役作業具20に積載した荷物を地上から所定の荷下ろし場所へと運搬することができる。
ここで、機器収容空間11内に収容されたエンジン15、油圧ポンプ16、熱交換装置17等に対する点検作業を行う場合には、図2及び図5に示すように、ロック機構33を解除して機器カバー21を開位置へと回動させる。これにより、機器収容空間11が大きく開放され、その内部に収容されたエンジン15、油圧ポンプ16、熱交換装置17等の機器類に対する点検作業を容易に行うことができる。この場合、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とからなる機器カバー21は、接続板29によって一体化されているので、機器カバー21に対する1回の開,閉操作によって機器収容空間11を容易に開,閉することができる。
一方、リフトトラック1の走行時等において、例えば機器カバー21の側面カバー分割体25が障害物等に接触して破損した場合には、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25との間を接続する各接続板29を取外すことにより、破損した側面カバー分割体25のみを上面カバー分割体22から分離することができる。そして、破損した側面カバー分割体25に代えて、新たな側面カバー分割体25を各接続板29を用いて上面カバー分割体22に容易に接続することができる。
このように、本実施の形態では、機器カバー21を上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とからなる2枚の分割体により構成している。このため、例えば側面カバー分割体25が障害物等に接触して破損した場合、この側面カバー分割体25のみを、破損の頻度が少ない上面カバー分割体22に対して交換するだけで、破損した機器カバー21の補修を行うことができる。従って、機器カバー21全体を交換する必要がなく、破損した機器カバー21の補修を行うときの作業性を高めることができる上に、機器カバー21の補修に要するコストも低減することができる。
かくして、本実施の形態によれば、大きな面積を有する機器カバー21を、互いに別部材として形成された上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とを接続して形成することにより、例えば1枚の機器カバーを一体形成する場合に比較して、機器カバー21の製造コストを低減することができる。
また、機器カバー21の一部が破損した場合に、機器カバー21全体を交換する必要がなく、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25のうち破損した一方のカバー分割体のみを交換することができる。従って、破損した機器カバー21の補修を行うときの作業性を高めることができる上に、機器カバー21全体を交換する場合に比較して、補修作業に要するコストを低減することができる。
さらに、機器カバー21を構成する上面カバー分割体22を、板部材23と該板部材23を補強する補強部材24とによって構成し、側面カバー分割体25を、板部材26と該板部材26を補強する補強部材27とによって構成したので、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25の強度を高めることができ、これら上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とを接続してなる機器カバー21全体の強度を高めることができる。
次に、図8及び図9は本発明の第2の実施の形態を示している。この第2の実施の形態の特徴は、複数のカバー分割体が、互いに分離した状態でそれぞれ独立して開,閉する構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、41は上述した第1の実施の形態による機器カバー21に代えて本実施の形態に用いた機器カバーで、該機器カバー41は、第1の実施の形態による機器カバー21と同様に、継ぎ目28の位置で分割されて互いに別部材として形成された上面カバー分割体22と、側面カバー分割体25とにより構成されている。
しかし、本実施の形態による機器カバー41は、上面カバー分割体22がヒンジ部材31を用いてフレーム3に回動可能に支持されると共に、側面カバー分割体25が後述のヒンジ部材44を用いてフレーム3の機器支持部8に回動可能に支持されている。従って、本実施の形態では、第1の実施の形態による機器カバー21と比較して、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とが一体化されていない点で異なるものである。
42はフレーム3の機器支持部8を構成する縦ビーム8Bに取付けられたブラケットで、該ブラケット42は、後述のヒンジ部材44が取付けられるもので、例えば鋼板材等を逆J字状に折曲げることにより形成されている。そして、ブラケット42の下端側は、スペーサ43を介して縦ビーム8Bに固着され、ブラケット42の上端側は機器収容空間11内に突出している。
44は側面カバー分割体25をフレーム3に対して回動可能に支持するヒンジ部材で、ヒンジ部材44の一端側は、側面カバー分割体25を構成する補強部材24の下端部位に固着され、ヒンジ部材44の他端側は、ブラケット42の上端部位に固着されている。従って、側面カバー分割体25は、ヒンジ部材44を中心として、図8に示す如く機器収容空間11を閉じる閉位置と、図9に示す如く機器収容空間11を開く開位置との間で上,下方向に回動する。
一方、上面カバー分割体22は、ヒンジ部材31を中心として、図8に示す如く機器収容空間11を閉じる閉位置と、図9に示す如く機器収容空間11を開く開位置との間で上,下方向に回動する。
このように、機器カバー41を構成する上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とは、図8に示す閉位置となったときには継ぎ目28の位置で互いに接続され、図9に示す開位置となったときには互いに分離される構成となっている。そして、上面カバー分割体22は、側面カバー分割体25とは独立した状態でヒンジ部材31を中心として機器収容空間11を開,閉し、側面カバー分割体25は、上面カバー分割体22とは独立した状態でヒンジ部材44を中心として機器収容空間11を開,閉する。
これにより、図9に示すように、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とをそれぞれ開位置としたときには、機器収容空間11の周囲に大きな作業スペースを確保することができる。従って、機器収容空間11内に収容された熱交換装置17等の機器類に対する点検を行うときの作業性を高めることができる。
第2の実施の形態による機器カバー41は上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態による機器カバー21と格別差異はない。
然るに、第2の実施の形態による機器カバー41は、上面カバー分割体22がヒンジ部材31を中心として上,下方向に回動し、側面カバー分割体25がヒンジ部材44を中心として上,下方向に回動可能する構成としている。これにより、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25とをそれぞれ開位置としたときには、機器収容空間11内に収容された機器類の周囲に大きな作業スペースを確保することができ、これら機器類に対する点検作業の作業性を高めることができる。
次に、図10及び図11は本発明の第3の実施の形態を示している。この第3の実施の形態の特徴は、各カバー分割体を、機器カバーのうち折曲面の位置で分割する構成としたことにある。なお、第3の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は上述した第1の実施の形態による機器カバー21に代えて本実施の形態に用いた機器カバーを示している。この機器カバー51は、上述した第1の実施の形態によるものとほぼ同様に、エンジン15等の上方に位置して機器収容空間11を上方から覆う上面51Aと、エンジン15等の右側方に位置して機器収容空間11を右側方から覆う側面51Bと、これら上面51Aと側面51Bとの間を連結する凸円弧状の折曲面51Cとにより、全体としてL型の折曲形状をもって形成されている。
そして、機器カバー51は、第1の実施の形態と同様に、後述の上面カバー分割体52と側面カバー分割体55とを互いに接続することにより構成されている。しかし、本実施の形態では、これら上面カバー分割体52と側面カバー分割体55とは、機器カバー51のうち折曲面51Cの位置に配置された継ぎ目58の位置で分割されている点で、第1の実施の形態による機器カバー21とは異なるものである。
52は機器カバー51の上側部分を構成する上面カバー分割体で、該上面カバー分割体52は、機器収容空間11内に収容された機器類を上方から覆うものである。そして、上面カバー分割体52は、後述の板部材53と、各補強部材54とにより構成されている。
53は上面カバー分割体52の本体部分となる板部材で、該板部材53は、例えば樹脂材料を用いて薄肉な板状に形成されている。そして、板部材53は、機器カバー51の上面51Aを構成する上面部53Aと、機器カバー51の折曲面51Cの上側部位を構成する折曲面部53Bとからなり、機器収容空間11内の熱交換装置17等を上方から覆うものである。
この場合、板部材53の折曲面部53Bは、機器カバー51を構成する折曲面51Cの上側部位のみを構成しているので、この折曲面部53Bの曲率を小さく抑えることができる。これにより、折曲面部53Bを含んだ板部材53を容易に形成することができる構成となっている。
54は板部材53のうち機器収容空間11側に位置する内側面に設けられた補強部材で、この補強部材54は、薄肉な板部材53を内側から補強するものである。ここで、補強部材54は、例えば鋼板材等を折曲げることにより形成され、板部材53の折曲形状に沿って上,下方向に伸長した状態で該板部材53の内側面にねじ、またはボルト等(図示せず)の手段を用いて固着されている。そして、補強部材54の下端側には、ボルト30が螺合する複数個の雌ねじ孔(図示せず)が螺設され、補強部材54の上端部位には、ヒンジ部材31が溶接等の手段を用いて固着されている。
55は機器カバー51の下側部分を構成する側面カバー分割体で、該側面カバー分割体55は、機器収容空間11内に収容された機器類を右側方から覆うものである。そして、側面カバー分割体55は、後述の板部材56と、各補強部材57とにより構成されている。
56は側面カバー分割体55の本体部分となる板部材で、該板部材56は、例えば樹脂材料を用いて薄肉な板状に形成されている。そして、板部材56は、機器カバー51の折曲面51Cの下側部位を構成する折曲面部56Aと、機器カバー51の側面51Bを構成する側面部56Bとからなり、機器収容空間11内の熱交換装置17等を右側方から覆うものである。
この場合、板部材56の折曲面部56Aは、機器カバー51を構成する折曲面51Cの下側部位のみを構成しているので、この折曲面部56Aの曲率を小さく抑えることができる。これにより、折曲面部56Aを含んだ板部材56を容易に形成することができる構成となっている。
57は板部材56のうち機器収容空間11側に位置する内側面に設けられた補強部材で、この補強部材57は、薄肉な板部材56を内側から補強するものである。ここで、補強部材57は、例えば鋼板材等を折曲げることにより形成され、板部材56の折曲形状に沿って上,下方向に伸長した状態で該板部材56の内側面にねじ、またはボルト等(図示せず)の手段を用いて固着されている。そして、補強部材57の上端側には、ボルト30が螺合する複数個の雌ねじ孔(図示せず)が螺設されている。
58は機器カバー51を構成する上面カバー分割体52と側面カバー分割体55との継ぎ目で、該継ぎ目58は、機器カバー51の折曲面51Cのうち曲率がほぼ最大となる部位に位置し、前,後方向に延びている。そして、上面カバー分割体52と側面カバー分割体55とは、この継ぎ目58の位置で後述の接続板59を用いて互いに接続される構成となっている。
59は上面カバー分割体52と側面カバー分割体55との間を分離可能に接続する接続部材としての接続板で、この接続板59は、上面カバー分割体52と側面カバー分割体55との継ぎ目58の位置に配設されている。ここで、接続板59は、例えばコ字状の断面形状を有する溝形鋼を、上面カバー分割体52の補強部材54と側面カバー分割体55の補強部材57の形状に沿って円弧状に折曲げることにより形成されている。そして、接続板59には、補強部材54の各雌ねじ孔と補強部材57の各雌ねじ孔とに対応する複数のボルト挿通孔(いずれも図示せず)が穿設されている。
そして、図11に示すように、上面カバー分割体52の補強部材54と側面カバー分割体55の補強部材57とに接続板59を嵌合させ、この接続板59のボルト挿通孔に挿通したボルト30を、補強部材54の各雌ねじ孔と補強部材57の各雌ねじ孔とに螺入することにより、上面カバー分割体52と側面カバー分割体55とが接続板59によって接続された大きな面積を有する機器カバー51を形成することができる。
そして、上面カバー分割体52と側面カバー分割体55とを接続してなる機器カバー51は、ヒンジ部材31を中心として上,下方向に一体的に回動することにより、機器収容空間11を開,閉する構成となっている。
第3の実施の形態は上述の如き機器カバー51を有するもので、その基本的作用については、上述した第1の実施の形態による機器カバー21と格別差異はない。
然るに、第3の実施の形態による機器カバー51は、折曲面51Cのうち曲率がほぼ最大となる位置で分割された上面カバー分割体52と側面カバー分割体55とによって構成されている。しかも、上面カバー分割体52を構成する板部材53の折曲面部53Bと、側面カバー分割体55を構成する板部材56の折曲面部56Aとを、継ぎ目58の位置で互いに接続することにより、凸円弧状をなす機器カバー51の折曲面51Cを形成する構成としている。
これにより、板部材53の折曲面部53Bを小さな曲率に抑えることができると共に、板部材56の折曲面部56Aを小さな曲率に抑えることができる。このため、折曲面部53Bを含んだ板部材53を容易に形成することができ、折曲面部56Aを含んだ板部材56を容易に形成することができるので、上面カバー分割体52と側面カバー分割体55の製造コストを一層低減することができる。
なお、上述した第1の実施の形態では、機器カバー21を、上面カバー分割体22と側面カバー分割体25との2枚の分割体によって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図12に示す変形例のように、1枚の機器カバー61を3枚のカバー分割体62,63,64によって構成してもよく、さらに4枚以上のカバー分割体によって構成してもよい。
また、上述した第1の実施の形態では、上面カバー分割体22の板部材23と側面カバー分割体25の板部材26とを、樹脂材料を用いて形成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば薄肉な鋼板材等を用いてこれら板部材23,26を形成してもよい。このことは、第2,第3の実施の形態についても同様である。
また、上述した第1の実施の形態では、機器カバー21を構成する上面カバー分割体22と側面カバー分割体25との間を、接続板29とボルト30とを用いて分離可能に接続した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば上面カバー分割体22の補強部材24と側面カバー分割体25の補強部材27とを溶接等の手段によって固着する構成としてもよい。このことは、第3の実施の形態による機器カバー51についても同様である。
また、上述した実施の形態では、機器収容空間11内に収容されるエンジン15を、フレーム3に沿って前,後方向に延在する縦置き状態に配置した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばエンジンl5を左,右方向に延在する横置き状態に配置し、該エンジン15に取付けられる油圧ポンプ16をフレーム3の左,右の縦板5,6間に配置する構成としてもよい。
さらに、上述した各実施の形態では、機器カバー21(41,51,61)が適用される作業機械として、荷役作業に用いられるリフトトラック1を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の大きな面積を有する機器カバーを備えた作業機械に広く適用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
自走可能な車体と、該車体に設けられた作業装置とにより構成され、前記車体は、支持構造体をなすフレームと、該フレームに設けられたエンジンと、該エンジンを含む機器類を開,閉可能に覆い内部に機器収容空間を画成する機器カバーとを備えてなる作業機械において、
前記機器カバーは、前記機器類の上方に位置する上面と、前記機器類の側方に位置する側面と、前記上面と側面との間を連結する凸円弧状の折曲面とによりほぼL型の折曲形状をもって形成し、
前記機器カバーは、前,後方向に延びる継ぎ目の位置で分割される複数のカバー分割体によって構成したことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
前記複数のカバー分割体は、前記機器類を覆う板部材と、該板部材に前記折曲形状に沿って上,下方向に伸長して設けられた補強部材とによりそれぞれ構成してなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記機器カバーのうち隣合うカバー分割体の継ぎ目の位置には接続部材を設け、前記複数のカバー分割体は、該接続部材を用いて互いに接続する構成としてなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記機器カバーは、前記複数のカバー分割体を前記継ぎ目の位置で互いに接続した状態で一体的に開,閉する構成としてなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記機器カバーは前記複数のカバー分割体を前記継ぎ目の位置で接続して一体的に形成し、前記フレームに対してこの一体化された機器カバーの上面側を開,閉可能に取付ける構成としてなる請求項1に記載の作業装置。
【請求項6】
前記複数のカバー分割体は前記フレームに対してそれぞれ別個に開,閉可能に取付け、これら各カバー分割体はそれぞれ独立して開,閉する構成としてなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記機器カバーは、前記複数のカバー分割体を前記折曲面の位置で分割する構成としてなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記機器カバーは、前記機器類の上方を覆う上面カバー分割体と、前記機器類の側方を覆う側面カバー分割体とからなる2枚のカバー分割体により構成してなる請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
作業機械に設けられたエンジンを含む機器類を開,閉可能に覆い内部に機器収容空間を画成する作業機械の機器カバーにおいて、
前,後方向に延びる継ぎ目の位置で分割される複数のカバー分割体によって構成され、これら複数のカバー分割体を前記継ぎ目の位置で接続した状態で前記機器類の上方に位置する上面と、前記機器類の側方に位置する側面と、前記上面と側面との間を連結する凸円弧状の折曲面とによりほぼL型の折曲形状をもって形成したことを特徴とする作業機械に用いる機器カバー。

【国際公開番号】WO2005/075280
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517758(P2005−517758)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001727
【国際出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】