説明

作業機

【課題】様々な使用形態に応じて自由に使用することができると共に使用の制限もできるようにする。
【解決手段】トラクタ、バックホー、コンバイン、移植機などの作業機は、当該作業機を使用することができる残り時間を算出する残り時間算出手段40を備えている。また、この作業機は、残り時間が無くなると駆動部の動作を制限する動作制限手段41と、残り時間の延長を許可する許可信号Sが入力されると残り時間を延長する残り時間延長手段42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタやバックホー等の作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トラクタやバックホー等の作業機では、エンジン始動キーでイグニッションスイッチをオンにするとエンジン等を駆動して自由に使用することができる構造となっている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−040273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された作業機は、一般的なものであり、作業機の所有者がエンジン始動キーを有していれば作業機を自由に使用することができる。しかしながら、近年、作業機の使用形態が複雑化してきている事情から作業機を自由に使用できて場合によっては作業機の使用の制限もできる新たな作業機が望まれてきている。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、様々な使用形態に応じて自由に使用することができると共に使用の制限もできる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、請求項1に係る作業機は、残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記残り時間が無くなると駆動部の動作を制限する動作制限手段と、前記残り時間の延長を許可する許可信号が入力されると前記残り時間を延長する残り時間延長手段とを備えていることを特徴とする。
【0006】
請求項2に係る作業機は、前記動作制限手段は、前記残り時間が無くなったとき当該駆動部の再始動ができないように駆動部の動作を制限することを特徴とする。
請求項3に係る作業機は、前記許可信号を外部から受信する無線端末を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1によれば、様々な使用形態に応じて作業機を継続して自由に使用することができる一方で、場合によっては、作業機の使用を制限することができる。
請求項2によれば、残り時間が無くなった時点では駆動部の動作を許容しつつ、再始動ができないようにすることによって、安全且つ確実に作業機の使用を制限することができる。
【0008】
請求項3によれば、遠隔地からでも作業機の使用を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態におけるトラクタの制御ブロック図である。
【図2】残り時間の説明図である。
【図3】残り時間を延長する説明図である。
【図4】第2実施形態におけるトラクタの制御ブロック図である。
【図5】トラクタの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
本発明の作業機は、例えば、トラクタ、バックホー、コンバイン、移植機などの作業機であって、運転者が作業機の操作を自由に行えると共に、作業機の使用制限も行うことができる構造となっている。
【0011】
図5は、作業機の一例であるトラクタを示したものである。トラクタを例にとり本発明の作業機について説明する。
図5に示すように、トラクタ1は、前後に車輪を有する走行車体10に、エンジン(例えば、ディーゼルエンジン)11、変速装置12等が搭載されて構成されている。この走行車体10の後部には、3点リンク機構16が昇降可能に設けられている。この3点リンク機構16には、各種の作業装置(図例は耕耘装置)13が着脱自在となっている。この作業装置13には、PTO軸を介してエンジン11からの動力が伝達されるようになっている。また、エンジン11の後方には、独立搭載型のキャビン14が設けられており、キャビン14内に運転席15が設けられている。このトラクタ2は、走行や作業装置13による作業が行えるようになっている。
【0012】
図1は、トラクタ1において走行系の制御や作業系の制御を行う制御装置を示したものである。図1に示すように、トラクタ1における走行系及び作業系の制御は、CPU等から構成された複数(例えば、2つ)の制御装置20、21によって行うものとなっている。なお、この実施形態では、複数の制御装置20、21によってトラクタ1の制御を行うものとなっているが、制御装置は1つでも複数でもよく、以下に示すものに限定されない。
【0013】
第1制御装置20は、トラクタ1の全体を制御するものであって、他の制御装置、即ち、第2制御装置21は相互通信が行えるようになっている。
この第1制御装置20には、アクセルペダルを操作したときのアクセルペダルの操作量、変速用のシフトレバーを操作したときのシフトレバー位置などが入力されるようになっている。
【0014】
第1制御装置20は、アクセルペダルの操作量に基づいてエンジン11が所定の回転数になるように第2制御装置21に制御指令を出力すると共に、シフトレバー位置に基づいて変速装置12を制御(変速制御)することができるようになっている。その他、第1制御装置20には、エンジン回転上限値、アクセルレバー量、エンジン回転数などが入力されるようになっている。エンジン回転上限値は、運転席15の近傍に設けられたボリュームにより設定できるようになっており、アクセルレバー量は運転席15の近傍に設けられたアクセルレバーにより設定できるようになっている。
【0015】
エンジン回転上限値が入力されている場合、第1制御装置20は、エンジン11の回転数がエンジン回転上限値を超えないように第2制御装置21に制御指令を出力する。また、アクセルレバー量が入力されている場合、第1制御装置20は、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量以上となれば、アクセルペダルの操作量に応じた制御指令を第2制御装置21にするものの、アクセルペダルの操作量がアクセルレバー量未満であるときにはアクセルペダルの操作量に応じた制御指令を行わず、アクセルペダルの操作量に応じたエンジン11の回転数の制御は行わないようになっている。
【0016】
また、第1制御装置20は、エンジン回転数、変速段、油温など、トラクタ1の様々な情報を表示する表示装置24を制御すると共に操作部材からの入力に基づいて3点リンク機構16の昇降を制御する(3P昇降制御)。
第2制御装置21(エンジンコンピュータユニット)は、主にエンジン11を制御するものであって、第1制御装置20を介して出力されたアクセルペダルの操作量、クランク位置、カム位置等の入力に基づいて、インジェクタ27、コモンレール28、サプライポンプ29等を制御するものである。第2制御装置21には、イグニッションスイッチ30のオン又はオフを示す信号が入力されるようになっている。エンジン始動キーを介してイグニッションスイッチ30のオン信号が入力されると、第2制御装置21のエンジン制御が行えるようになり、イグニッションスイッチ30のオフ信号が入力されると第2制御装置21のエンジン制御が行えない(停止)するようになっている。また、イグニッションスイッチ30のオン信号が入力されることによって第1制御装置20の制御も行えるようになっており、イグニッションスイッチ30のオフ信号によって第1制御装置20の制御が行えないようになっている。なお、第2制御装置21におけるエンジン制御は、一般的なディーゼルエンジン制御と同じものであり、例えば、インジェクタ27の制御では燃料噴射量、噴射時期、燃料噴射率が設定され、サプライポンプ29やコモンレール28の制御では燃料噴射圧が設定される。
【0017】
上述した第1制御装置20、第2制御装置21によって、トラクタ1の走行系及び作業系の制御を行うことができる。なお、トラクタ1の走行系及び作業系の制御は、上述したものに限定されない。
さて、本発明のトラクタ1は、走行系や作業系の制御を制限する、即ち、駆動する部分(駆動部)の動作を制限することによって、トラクタ1の使用を制限することができる構造となっている。
【0018】
以下、トラクタ1について詳しく説明する。
トラクタ1は、当該トラクタ1を使用できる残り時間を算出する残り時間算出手段40と、残り時間が無くなると駆動部の動作を制限する動作制限手段41と、残り時間を延長する残り時間延長手段42とを備えている。
残り時間算出手段40は、作業機の使用できる時間(走行系や作業系の制御を通常通り行うことができる時間)を算出するものであって、第1制御装置20に格納されたプログラム等から構成されている。
【0019】
具体的には、残り時間算出手段40は、第1制御装置20の記憶部(例えば、不揮発性メモリ)43に格納された基準時間から経過時間を差し引く(減算する)ことによって残り時間を算出するものである。エンジン11などの駆動部を駆動させたときの時間を経過時間としてもよいし、駆動部の駆動に関係なく単に経過した時間を経過時間としてもよい。
【0020】
この実施形態では、残り時間算出手段40は、エンジン回転数が第1制御装置20に入力されている間、タイマをカウントアップしていき、カウントアップした時間(駆動部を駆動させた時間)を経過時間とし、基準時間から経過時間を差し引くことのより残り時間を求める。
残り時間算出手段40で残り時間を算出するにあたっては、エンジン11(駆動部)を始動してからエンジン11(駆動部)を停止するまでの時間を、1回毎経過時間とし、基準時間から1回毎経過時間を差し引くことにより、残り時間を求めても良いし、エンジン11(駆動部)を駆動した累積時間を、累積経過時間とし、基準時間から累積経過時間を差し引くことによって残り時間をまとめてもよい。
【0021】
1回毎経過時間で残り時間を求める場合は、残り時間は、図2のラインL1に示すように階段状に減少していき、残り算出手段は、1回毎に残り時間を新たに更新して記憶部43に記憶(保存)させることになる。
一方、累積経過時間で残り時間を求める場合は、残り時間は、図2のラインL2に示すように徐々に減少していく、残り時間算出手段40は、逐次、基準時間から累積経過時間を差し引き、その値を残り時間として更新すればよい。なお、累積経過時間を用いる場合は、トラクタ1などに保存されるアワメータを減算時に用いることができる。
【0022】
このように、残り時間算出手段40は、基準時間から経過時間(1回毎経過時間、累積経過時間)を減算することによって残り時間を求める。なお、基準時間は、特に限定されないが、一定期間以上トラクタ1が自由に使用することができる値とされることが必要であり、具体的には、少なくとも24時間以上(1日以上)であって、168時間以上(7日以上)、或いは、720時間以上(30日以上)とすることが好ましい。
【0023】
動作制限手段41は、残り時間が無くなる(零になる)と、エンジン11などの駆動部の動作を制限するものであって、第1制御装置20に格納されたプログラム等から構成されている。
具体的には、動作制限手段41は、残り時間算出手段40によって算出した残り時間が零になると、アクセルペダルの操作量が入力されてもアクセルペダルの操作量を零(操作していない)として、第2制御装置21への通常制御を行わない。つまり、動作制限手段41が働くと、第2制御装置21はアクセルペダルに対応した通常制御が行えなくなり、エンジン11の動作に制限が掛かりトラクタ1の走行を停止することができる。
【0024】
動作制限手段41による動作部の通常制御の停止(制限)は、上述したものに限定されない。例えば、第1制御装置20は、シフトレバー位置に基づいて変速装置(動作部)12を制御するようになっているが、動作制限手段41によって、シフトレバー位置に基づく変速装置12の通常制御を行わないようにしたり、3点リンク機構(動作部)16の通常制御を行わないようにしてもよい。
【0025】
なお、動作制限手段41を第1制御装置20に設ける代わりに第2制御装置21に設けて、動作制限手段41を働かせた場合に、第2制御装置21によるエンジン11の通常制御を行えないようにしてエンジン11を完全に停止するようにしてもよい。通常制御とは、第1制御装置20や第2制御装置21が制限無く行うことができる全ての制御動作のことである。
【0026】
このように動作制限手段41は、残り時間が零になると、第1制御装置20や第2制御装置21などの制御装置の通常制御を制限し、これにより、エンジン11、変速装置12、3点リンク機構16などの駆動部の動作を制限する。なお、動作制限手段41によって動作部の動作を制限するとしているが、ここでの制限は、一部の動作を停止するだけでなく、完全に動作を停止してしまうことも含んでいる。
【0027】
さて、動作制限手段41は、残り時間が零になる(残り時間が無くなる)と駆動部の動作を制限(停止)するものであるが、残り時間が零となった直後に直ちに駆動部の動作を制限するというだけでなく、残り時間が零となった時点から所定時間後に駆動部の動作を制限するようにしてもよい。
具体的には、動作制限手段41は、残り時間が無くなった時点でエンジン11(駆動部)が動作している状態では、制御装置によるエンジン11の通常制御を続け、例えば、イグニッションスイッチ30などがオフされることによりエンジン11の通常制御が終了した後、再びイグニッションスイッチ30がオンされて制御装置によるエンジン11の通常制御が再開(再始動)されるときに、通常制御の制限を掛け、エンジン11の再始動ができないように当該エンジン11の動作を制限することが好ましい。
【0028】
なお、エンジン11の再始動ができない(エンジン11が通常通り動かない)ことを例にとり説明しているが、駆動部の再始動の不可はエンジン11だけでなく他の駆動部であってもよい。
残り時間延長手段42は、残り時間の延長を許可する許可信号Sが入力されると残り時間算出手段40で算出している残り時間の延長を行うものであって、第1制御装置20に格納されているプログラム等から構成されている。
【0029】
残り時間延長手段42による残り時間の延長は、下記に示すように2つの方法がある。本発明のトラクタ(作業機)では、いずれの方法を用いてもよい。
第1に、残り時間延長手段42は、第1制御装置20に設けられた入出力部45に許可信号Sが入力されると、図3(a)に示すように、残り時間算出手段40によって算出された残り時間(算出後の残り時間)に延長時間を加算し、延長時間を加算した時間を新たな残り時間とすることによって残り時間を延長する。
【0030】
第2に、残り時間延長手段42は、第1制御装置20の入出力部45に許可信号Sが入力されると、図3(b)に示すように、残り時間を算出する際に使用していた累積経過時間を零とする(計算用に用いた累積時間をリセットする)、ことによって、リセットされた累積経過時間を用いて算出された残り時間を新たな残り時間とする。言い換えれば、第2の方法では、基準時間が残り時間となる。
【0031】
さて、図1に示すように、許可信号Sは、トラクタ1に設けられた表示装置24から入力されるものである。許可信号Sについて表示装置24と合わせて説明する。
この表示装置24は、例えば、運転席15の前側に設けられてトラクタ1の各種情報(作業機情報)を、運転席15に座った運転者等が見ることができるもので入出力部45に接続されている。
【0032】
例えば、表示装置24は、作業機情報として、エンジン回転数、油温、燃料、各種警告などを表示できるものである。この表示装置24には、残り時間を確認する残り時間確認手段46が設けられいる。
具体的には、残り時間確認手段46は、残り時間を液晶画面やセグメント素子に表示する表示部から構成され、運転者は、表示部を見ることによってエンジン回転数、油温、燃料などの作業機情報と共に、残り時間を確認することができる。なお、残り時間確認手段46は、残り時間を音声で示すものであっても、残り時間が少なくなってきたときにランプ等によって示すものであってもよい。
【0033】
この表示装置24には、複数のスイッチが接続されており、スイッチ操作によって許可信号Sなどを入出力部45に出力することができるようになっている。例えば、まず、スイッチ操作によって入力コードを入力するための画面を表示部に表示させ、スイッチ操作によって入力コードを入力する。表示部に入力された入力コードが正しく照合が成立すれば、表示装置24から入出力部45に許可信号Sを出力する。
【0034】
なお、入力コードの照合は、例えば、予めトラクタ1毎に入力コードを定めておき、当該入力コードを表示装置24に記憶させて、表示装置24に記憶した入力コードとスイッチ操作によって入力した入力コードの照合を行ってもよい。また、表示装置24とは異なるトラクタ1の制御装置に入力コードを記憶させて、スイッチ操作によって入力した入力コードと制御装置に記憶した入力コードとの照合を行っても良い。なお、第1実施形態では、表示装置24への入力コードの入力操作と入力コードの照合成立によって、許可信号Sを第1制御装置(残り時間延長手段42)に出力する構成となっているが、入力コードの入力方法や入力コードの照合方法など上述したものに限定されない。また、入力コードとは、トラクタ1の使用を延長するためのものであるため、トラクタ1の使用について権限を有する管理者が管理している情報であって、例えば、製造番号、型番、IDコード、暗号コードなどでもよく、これらを組み合わせてトラクタ1の固有の情報とするのが好ましい。また、表示装置24や制御装置などの作業機側に記憶させる入力コードは、トラクタ1の製造時に予め記憶部43に記憶させてもよいし、管理者によって記憶部43に登録するようにしてもよい。
【0035】
また、トラクタ1(作業機)をレンタルやリースする会社が管理者である場合は、入力コードとして、トラクタ1のレンタルやリースを行う会社が管理している情報(レンタル番号、リース番号など)も加えることが好ましい。また、個人や企業等(購入者)に代わって一時的にトラクタ1の代金を支払ったファイナンス会社が管理者である場合は、入力コードとして、ファイナンス会社が管理している情報(クレジット番号、口座番号など)も加えることが好ましい。或いは、個人でトラクタ1を所有していて個人が管理者である場合は、入力コードとして、個人が管理している情報(例えば、IDコード、管理者の住所、生年月日など)も加えることが好ましい。
【0036】
また、上述したように、許可信号Sは、トラクタ1に設けられた表示装置24から入力されるものとしているが、これに限らず、パーソナルコンピュータなどの外部機器を入出力部45に接続して、外部機器から許可信号Sを第1制御装置(残り時間延長手段42)に出力するようにしてもよい。表示装置24以外の外部機器を用いて許可信号Sを出力する場合も、外部機器を用いて入力コードの照合を行って照合が成立したときに許可信号Sを出力することが好ましい。
【0037】
以上、トラクタ(作業機)1は、残り時間算出手段40と、動作制限手段41と、残り時間延長手段42とを備えているため、定期的に残り時間を残り時間延長手段42によって延長することにより、様々な使用形態に合わせてトラクタ1を連続的(長期的)に自由に使用することができる。一方、残り時間を延長しない場合は、一時的にトラクタ1の使用を制限(停止)することができる。
【0038】
例えば、レンタル会社が管理者である場合には、レンタル会社がレンタル期間中に許可信号Sを入力することによってトラクタ1のレンタルを継続して行うことができ、許可信号Sを入力しなければトラクタ1のレンタルを終了させることができる。
また、ファイナンス会社が管理者である場合には、定期的に代金の支払いが購入者からあるときに当該ファイナンス会社が許可信号Sを入力することによって、次の支払い時期までトラクタ1の使用を継続して行うことができる。ここで、もし、購入者からの支払いが滞ったとき、ファイナンス会社が許可信号Sを入力しなければ、トラクタ1の使用を停止して支払いが滞ったトラクタ1を回収することも可能となり、トラクタ1の与信管理を行うことができる。
【0039】
さらには、個人が管理者である場合には、トラクタ1の定期点検後に許可信号Sを入力することによって、次の定期点検時期までに継続してトラクタの使用を行うことができる。ここで、もし、許可信号Sを入力しなければ、定期点検を行っていないトラクタ1の使用を停止することができる。
このように、様々な使用形態に応じてトラクタ1を継続して自由に使用することができる一方で、場合によっては、トラクタの使用を停止することができる。
【0040】
[第2実施形態]
第1実施形態では第1制御装置20に表示装置24や外部機器を有線で接続して、これらから許可信号Sの入力を行っていたが、第2実施形態ではトラクタ(作業機)1に無線端末(無線機)47を設けて、外部から無線端末47に許可信号Sを入力するようにしたものである。具体的には、無線端末47は第1制御装置20の入出力部45に接続されており、この無線端末47によって許可信号SをネットワークNを介して受信できるようになっている。
【0041】
さらに詳しくは、無線端末47は、ネットワークNを介して、例えば、管理者が所有していて無線端末47とは異なる別の通信機器(携帯端末、送受信機)48又は、管理サーバ49等に接続可能となっており、通信機器48や管理サーバ49では、所定の各種操作によって入力コードをトラクタに設けた無線端末47に送信可能となっている。無線端末47は入力コードを受信すると、この入力コードを第1制御装置に入力するようになっている。なお、無線端末47は、自ら電波を発信するアクティブ型であっても、自ら電波を発信しないパッシブ型であってもよい。
【0042】
以上、許可信号Sを外部から受信する無線端末47を備えているため、トラクタ1から離れた遠隔地から許可信号Sの入力を簡単に行うことができ、許可信号Sの入力を非常に簡単に行うことができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0043】
残り時間算出手段40と、動作制限手段41と、残り時間延長手段42、無線端末47などは、上述した制御装置に設けられるのに限定されず、トラクタ(作業機)1に搭載された制御装置であれば、どのようなものに設けても良い。
上述したように、作業機は、トラクタに限定されず、バックホー、コンバイン、移植機であってもよく、残り時間算出手段40と、動作制限手段41と、残り時間延長手段42、無線端末47を設けることによって、バックホー、コンバイン、移植機を自由に使用することができると共に使用の制限もできるようにすればよい。
【0044】
上述した実施形態では、基準時間は、一定期間以上トラクタ1を自由に使用することができる値としているが、必要に応じて管理者が適宜設定できるようにすることが好ましい。例えば、レンタル会社ではレンタルをする期間を基準時間としたり、ファイナンス会社では1回毎の支払い期間を基準時間としたり、個人では定期点検の期間を基準期間として、表示装置24や無線端末47を用いて設定できるようにすることが好ましい。
【符号の説明】
【0045】
1 トラクタ
10 走行車体
11 エンジン
12 変速装置
13 作業装置
14 キャビン
15 運転席
16 3点リンク機構
20 第1制御装置
21 第2制御装置
24 表示装置
27 インジェクタ
28 コモンレール
29 サプライポンプ
30 イグニッションスイッチ
40 残り時間算出手段
41 動作制限手段
42 残り時間延長手段
43 記憶部
45 入出力部
47 無線端末
48 通信機器
49 管理サーバ
S 許可信号
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記残り時間が無くなると駆動部の動作を制限する動作制限手段と、前記残り時間の延長を許可する許可信号が入力されると前記残り時間を延長する残り時間延長手段とを備えていることを特徴とする作業機。
【請求項2】
前記動作制限手段は、前記残り時間が無くなったとき前記駆動部の再始動ができないように当該駆動部の動作を制限することを特徴とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記許可信号を外部から受信する無線端末を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−14992(P2013−14992A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150142(P2011−150142)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】