説明

作業用車両の盗難防止装置

【課題】車両が走行し難い状態にあるときに、不正操作によりアウトリガ装置等を作動可能にして車両の走行を可能にする虞のない作業用車両の盗難防止装置を提供する。
【解決手段】盗難防止装置70は、車体を支持するアウトリガ装置と、車体に搭載された伸縮ブームと、アウトリガ装置の作動を操作するアウトリガ操作装置14と、伸縮ブームの作動を操作する作業操作装置20と、エンジンE、アウトリガ装置、伸縮ブームの作動を制御するコントローラ30を備える。盗難防止装置70には、アウトリガ装置の接地の有無を検出するジャッキ接地センサ51と、伸縮ブームが格納状態にあるか否かを検出するブーム格納センサ53と、車両を盗難防止状態に設定する盗難防止設定スイッチ47が設けられ、コントローラ30は、少なくとも盗難防止設定スイッチ47がオン操作されると、エンジンEを停止状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャッキ装置やブーム等の作業装置を備えた作業用車両の盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレーンや高所作業車等の作業用車両が夜間駐車場等で保管中に盗まれる盗難事件が増加している。この対策として作業用車両に盗難防止装置を取り付けたものが提案されている(特許文献1参照)。この盗難防止装置は、作業用車両に設けられた盗難防止スイッチの操作によって作業装置を駆動させる油圧回路をアンロード状態にするアンロード弁を備え、作業用車両の保管時にこのアンロード弁を作動させておき、作業者が作業を始める際にアンロード状態を解除するように構成されている。
【0003】
この盗難防止装置が搭載された作業用車両を保管する際には、ジャッキ装置を接地状態にしたりブーム等を起仰させたりして、作業用車両を走行し難い状態にした後に、盗難防止装置によって油圧回路をアンロード状態にする。
【0004】
この盗難防止装置のアンロード弁は、油圧ポンプから吐出する作動油を流す油圧回路の油圧が所定値以下になるようにするリリーフ弁にパイロット油路を介して接続されている。このアンロード弁は閉弁状態になるとリリーフ弁が閉じた状態になって油圧回路をオンロード状態にし、アンロード弁が開弁状態になるとリリーフ弁も開弁状態になって油圧回路をアンロード状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−1421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の盗難防止装置のアンロード弁は、電磁式の圧力制御弁であるので、強制的に閉じた状態に切り替える不正操作がされると、リリーフ弁が閉じた状態になって油圧回路がオンロード状態になり、ジャッキ装置やブーム等の作業装置が作動可能な状態となり、作業用車両の走行し難い状態が回避されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、車両が走行し難い状態にあるときに、不正操作によりアウトリガ装置等を作動可能にして車両の走行を可能にする虞のない作業用車両の盗難防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の作業用車両の盗難防止装置は、エンジンの動力を受けて走行可能な車体と、該車体に設けられエンジンの動力を受けて作動して車体を安定支持するジャッキ装置(実施の形態におけるアウトリガ装置13)と、車体に搭載されエンジンの動力を受けて作動して所定の作業を行う作業装置(実施の形態における伸縮ブーム10)と、エンジンの作動を制御する作動制御装置(実施の形態におけるコントローラ30)を備える作業用車両(実施の形態における移動式クレーン1)の盗難防止装置であって、作業用車両を盗難防止可能状態に設定する際に操作される盗難防止操作手段(実施の形態における盗難防止設定スイッチ47)を有し、作動制御装置は、盗難防止操作手段によって作業用車両を盗難防止可能状態に設定する操作がされると、エンジンを停止状態にすることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
また本発明は、作業用車両には、エンジンから動力を取り出すPTO機構と、PTO機構を作動及び非作動させる際に操作されるPTOスイッチが設けられ、作動制御装置は、盗難防止操作手段によって作業用車両を盗難防止可能状態に設定する操作がされた状態で、PTOスイッチによってPTO機構を作動させる操作がされると、エンジンを停止状態にすることを特徴とする(請求項2)。
【0010】
また本発明は、作業用車両には、ジャッキ装置の作動を操作するジャッキ操作装置(実施の形態におけるアウトリガ操作装置14)と、作業装置の作動を操作する作業操作装置が設けられ、作動制御装置は、盗難防止操作手段によって作業用車両を盗難防止可能状態に設定する操作がされた状態で、ジャッキ操作装置又は作業操作装置が操作されると、エンジンを停止状態にすることを特徴とする(請求項3)。
【0011】
また本発明は、作業用車両には、ジャッキ装置が接地されたか否かを検出する接地検出手段(実施の形態におけるジャッキ接地センサ51)、及び作業装置が格納状態にあるか否かを検出する格納検出手段(実施の形態におけるブーム格納センサ53)の少なくともいずれが設けられ、作動制御装置は、接地検出手段及び格納検出手段の少なくともいずれかによって接地状態及び非格納状態が検出されていることを条件として、エンジンを停止状態にすることを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係わる作業用車両の盗難防止装置によれば、上記特徴を有することで、作業用車両が走行し難い状態にあるときに、車両が走行できるようにジャッキ装置等が作動可能な状態にする虞のない作業用車両の盗難防止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる盗難防止装置のブロック図を示す。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる盗難防止装置を搭載した移動式クレーンの斜視図を示す。
【図3】本発明の盗難防止装置によって盗難防止設定を行う場合の手順を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の盗難防止装置によって盗難防止設定を解除する場合の手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係わる盗難防止装置の最良の実施形態を図1から図4に基づいて説明する。先ず、盗難防止装置が搭載された作業用車両について概説する。本実施の形態は、作業用車両として多段伸縮ブームを搭載した移動式クレーンを例にして説明する。
【0015】
移動式クレーン1は、図2(斜視図)に示すように、車体3の前後の車体幅方向両側に車輪5を有して走行可能である。車体3の後側には旋回台7が旋回自在に設けられている。旋回台7は車体3に設けられた油圧モータ4(図2では記載省略)からの動力によって旋回可能である。旋回台7の一方側には運転キャビン8が設けられ、旋回台7の他方側には起伏シリンダ11を介して伸縮ブーム10が起伏可能に設けられている。
【0016】
車体3の前端部及び後端部には、車体3を安定支持するアウトリガ装置13が設けられている。アウトリガ装置13は、車体3又は運転キャビン8に設けられたアウトリガ操作装置14(図2では記載省略)の操作によって、車体3を支持し及び車体3に格納可能に構成されている。
【0017】
伸縮ブーム10は複数のブーム部材を入れ子式に組み合わされて構成され、伸縮ブーム10内の伸縮シリンダ12(図2では記載省略)の伸縮によって伸縮動可能である。伸縮ブーム10の先端部にはワイヤWが繰り出し及び巻き取り可能に設けられ、ワイヤWにはフック15が吊り下げられている。伸縮ブーム10の伸縮及び起伏、ワイヤWの繰り出し及び巻き取り、旋回台7の旋回の各操作は、運転キャビン8内に設けられた作業操作装置20によって操作可能になっている。車体3の一端側にはエンジンEが搭載され、エンジンEの動力によって車両が走行可能であるとともに、旋回台7、伸縮ブーム10、アウトリガ装置13等の作動が可能である。
【0018】
このように構成された移動式クレーン1には、図1に示すように、エンジンE、伸縮ブーム10、アウトリガ装置13(図2参照)の作動を制御するとともに、車両を盗難から防止する機能を備えるコントローラ30が設けられている。コントローラ30には、アウトリガ操作装置14、作業操作装置20の他に、エンジンEを始動又は停止させる際に操作されるエンジンスイッチ45と、車両の盗難を防止する際に操作される盗難防止設定スイッチ47と、車両の盗難防止設定を解除する際に操作される盗難防止解除スイッチ49と、アウトリガ装置13が張り出されて接地されたか否かを検出するジャッキ接地センサ51と、伸縮ブーム10が車体3に格納されたか否かを検出するブーム格納センサ53が電気的に接続されている。
【0019】
コントローラ30は、アウトリガ操作装置14及び作業操作装置20の操作に応じて、起伏シリンダ11、伸縮シリンダ12、油圧モータ4等への作動油の給排制御を行う作動制御弁Vをコントロールする。
【0020】
またコントローラ30には、エンジンEの作動をコントロールするECU、及びエンジンEから動力を取り出すパワーテイクオフ機構(PTO)を作動させる際に操作されるPTOスイッチ(PTO SW)が電気的に接続されている。ECUは、エンジンスイッチ45のオン操作に応じてエンジンEに接続された電動モータMを駆動させてエンジンEを始動させ、また運転キャビン8内に設けられたアクセル9(図2参照)の操作に応じてエンジン回転数を制御する。電動モータMはバッテリBに電気的に接続され、バッテリBからの電力供給を受けて駆動してエンジンEを始動させる。
【0021】
なお、コントローラ30は、内部電源31を備え、PTOスイッチ(PTO SW)がオフ操作された状態であってもエンジンスイッチ45がオン操作されると、ECUを介してエンジンEを始動させることができる。エンジンEにはジェネレータGが接続され、ジェネレータGはバッテリBに電気的に接続されている。このため、エンジンEが始動すると、ジェネレータGによってバッテリBを充電することができる。
【0022】
エンジンEにはトランスミッションTMが接続されて、エンジンEの動力はトランスミッションTMにより変速されて図2に示す車輪5に伝達される。トランスミッションTMにはパワーテイクオフ機構(PTO)が組み込まれ、PTOスイッチ(PTO SW)がオン操作されると、パワーテイクオフ機構(PTO)によって、エンジンEによる駆動先きを車輪5から油圧ポンプPに切り替える。
【0023】
油圧ポンプPから吐出する作動油は、油路55を介して作動制御弁Vに供給される。作動制御弁Vは、電磁式の方向切替弁であり、コントローラ30からの信号に応じて油圧ポンプPから供給される作動油を対応する起伏シリンダ11等に給排制御する。
【0024】
油路55には、油路55内の油圧が所定値を超えようとするとタンクTに作動油を流すパイロット式のリリーフ弁60が設けられている。このリリーフ弁60にはパイロット油路61を介してパイロットリリーフ弁63及びアンロード弁65が接続されている。アンロード弁65は2位置の電磁式の圧力制御弁であり、励磁時に閉弁状態となってリリーフ弁60を閉弁状態にして油路55をオンロード状態にし、非励磁時に開弁状態となってリリーフ弁60を開弁状態にして油路55をアンロード状態にする。アンロード弁65の制御はコントローラ30によって行われる。アンロード弁65の制御については後述する。
【0025】
コントローラ30は、前述したように、車両の盗難を防止する機能を有している。移動式クレーン1の油圧回路には、前述したように、油路55内の作動油をタンクTに戻して油路55をアンロード状態にするアンロード弁65が設けられている。このアンロード弁65は、盗難防止設定スイッチ47がオン操作されると、コントローラ30によって開弁状態にされて、油路55をアンロード状態にする。しかしながら、前述したように、アンロード弁65は電磁式の圧力制御弁であるので、強制的に閉じた状態に切り替える不正操作がされると、リリーフ弁60が閉じた状態になって伸縮ブーム10やアウトリガ装置13に作動油が供給されて作動可能な状態になり、移動式クレーン1の走行し難い状態(例えば、アウトリガ装置13が張り出されて接地された状態、伸縮ブーム10が非格納な状態)が回避されてしまう虞がある。
【0026】
そこで、コントローラ30は、移動式クレーン1が走行し難い状態にされて、盗難防止の設定がされ、且つPTOスイッチがオン操作されると、エンジンEを停止させるように構成されている。なお、アウトリガ装置13が接地しているか否かはジャッキ接地センサ51により検出され、伸縮ブーム10が非格納な状態にあるか否かはブーム格納センサ53により検出される。盗難防止設定は、盗難防止設定スイッチ47をオン操作することによって行われる。
【0027】
盗難防止設定は、盗難防止設定スイッチ47をオン操作するだけで設定が完了する場合に限るものではなく、このスイッチがオン操作された後に、このスイッチの近くに設けられる表示装置(図示せず)に表示される暗証番号が正しいときに他のスイッチをオン操作すると、盗難防止設定が完了するようにしてもよい。以下、ジャッキ接地センサ51、ブーム格納センサ53、盗難防止設定スイッチ47、盗難防止解除スイッチ49、コントローラ30を併せて「盗難防止装置70」と記す。
【0028】
次に、このように構成された盗難防止装置70によって移動式クレーン1の盗難防止設定を行う場合について、図3を更に追加して説明する。先ず、作業者はアウトリガ操作装置14を操作してアウトリガ装置13(図2参照)を張り出して接地させ、及び作業操作装置20を操作して伸縮ブーム10を起仰させて、車両を走行し難い状態にする(ステップ100)。なお、車両が走行し難い状態とは、アウトリガ装置13が接地された状態及び伸縮ブーム10が起仰された状態の少なくともいずれかの状態にあればよい。また伸縮ブーム10の起仰の他に旋回台7を回動させた状態でもよい。また車両を走行し難い状態にするためには、前提として、エンジンEの始動とPTOスイッチのオン操作が必要である。
【0029】
車両が走行し難い状態になると、作業者は盗難防止設定スイッチ47をオン操作し(ステップ101)、PTOスイッチをオフ操作し(ステップ102)、エンジンスイッチ45をオフ操作して(ステップ103)、移動式クレーン1の盗難防止設定が完了する。
【0030】
次に、このように盗難防止設定がされた移動式クレーン1を第三者が盗難する場合ついて考える。なお、盗難防止設定がされたに移動式クレーン1は、アウトリガ装置13が張り出されて接地され、また伸縮ブーム10は起仰した状態にあり、このままでは走行できない。またPTOスイッチはオフ状態にあり、エンジンEは停止状態にある。
【0031】
このような状態で、第三者が移動式クレーン1を走行可能な状態にするために、エンジンスイッチ45をオン操作してエンジンEを始動させる。そして、第三者はPTOスイッチをオン操作する。PTOスイッチがオン操作されると、盗難防止装置70のコントローラ30は、車両が走行し難い状態にあり、盗難防止の設定がされ、さらにPTOスイッチがオン操作されたことから、ECUを介して始動しているエンジンEを停止させる。
【0032】
このため、作業操作装置20やアウトリガ操作装置14を操作しても、油圧ポンプPの駆動源であるエンジンEが停止しているので、アウトリガ装置13や伸縮ブーム10を動かすことができない。このため、車両は走行し難い状態が維持されて、移動式クレーン1の盗難を防止することができる。
【0033】
なお、コントローラ30は、前述したように、車両が走行し難い状態にあり、盗難防止の設定がされ、さらにPTOスイッチがオン操作されると、エンジンEを停止させるが、PTOスイッチのオン操作の代わりに、アウトリガ操作装置14が操作され又は作業操作装置20が操作されると、エンジンEを停止状態にするようにしてもよい。
【0034】
次に、移動式クレーン1の盗難防止設定を解除して、車両を走行可能な状態にする場合について、図1及び図4を参照しながら説明する。先ず、作業者は盗難防止解除スイッチ49をオン操作する(ステップ110)。盗難防止解除スイッチ49がオン操作されると、コントローラ30は盗難防止設定を解除する。従って、エンジンEは始動が可能な状態になる。
【0035】
なお、盗難防止解除は、盗難防止解除スイッチ49をオン操作するだけで解除が完了する場合に限るものではなく、このスイッチをオン操作した後に、このスイッチの近くに設けられる表示装置に暗証番号を入力し、この入力した暗証番号が正しければ、盗難防止解除が完了するようにしてもよい。
【0036】
盗難防止解除スイッチ49をオン操作した作業者は、エンジンスイッチ45をオン操作してエンジンEを始動させる(ステップ111)。そして、作業者は、PTOスイッチをオン操作し(ステップ112)、作業操作装置20を操作して伸縮ブーム10を格納状態にし、及びアウトリガ操作装置14を操作してアウトリガ装置13を格納状態にして(ステップ113)、車両は走行可能な状態になる。
【0037】
なお、前述した実施例では、コントローラ30は内部電源31を有したものを示したが、内部電源31をなくし、PTOスイッチがオン操作されると、バッテリBの電力がコントローラ30に供給されるようにしてもよい。このように、コントローラ30がバッテリBから電力供給を受けて作動するように構成した場合、盗難防止設定を解除するには、先ず、PTOスイッチをオン操作した後に、前述したステップ110、ステップ111,ステップ113をこれらの順で行う。
【0038】
また、前述した実施例では、コントローラ30からの信号に応じてECUを介してエンジンEを始動及び停止させる場合を示したが、アウトリガ操作装置14や作業操作装置20からの信号を受ける専用の作業部コントローラ(図示せず)をコントローラ30とは別個に設け、この作業部コントローラから発生する外部信号によってECUを介してエンジンEを始動させるようにしてもよい。
【0039】
また、前述した実施例では、コントローラ30は、移動式クレーン1が走行し難い状態にされ、盗難防止の設定が行われ、且つPTOスイッチがオン操作されると、エンジンEを停止させるように構成されたが、移動式クレーン1が走行し難い状態にあるか否かに拘わらずに、盗難防止の設定が行われと、エンジンEを停止させるように構成されてもよい。
【0040】
この場合、コントローラ30は、ジャッキ接地センサ51及びブーム格納センサ53の検出信号に拘わらずに、盗難防止設定スイッチ47がオン操作されると、エンジンEを停止状態にしたり、また盗難防止設定スイッチ47がオン操作された状態で、PTOスイッチによってPTO機構を作動させる操作がされると、エンジンEを停止状態にしたり、さらに盗難防止設定スイッチ47がオン操作された状態で、アウトリガ操作装置14又は作業操作装置20が操作されると、エンジンEを停止状態にしたりするように構成される。
【0041】
このようにすると、車両が走行し難い状態にあるときに、盗難防止設定スイッチ47がオン操作されると、エンジンEが停止状態にされるので、アウトリガ装置13や伸縮ブーム10を動かすことができない。このため、車両は走行し難い状態が維持されて、移動式クレーン1の盗難を防止することができる。また、車両が走行可能な状態にあるときでも、盗難防止設定スイッチ47がオン操作されると、エンジンEを停止状態にするので、移動式クレーン1は走行できず、移動式クレーン1の盗難を防止することができる。また、盗難防止装置70からジャッキ接地センサ51及びブーム格納センサ53を無くすことができるので、盗難防止装置70の構成が簡素化されてコストの増大を抑制することができる。
【0042】
また、前述した実施例では、作業用車両として移動式クレーン1を例に示したが、高所作業車、レッカー車、車両運搬車でもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 移動式クレーン(作業用車両)
3 車体
10 伸縮ブーム(作業装置)
13 アウトリガ装置(ジャッキ装置)
14 アウトリガ操作装置(ジャッキ操作装置)
20 作業操作装置
30 コントローラ(作動制御装置)
47 盗難防止設定スイッチ(盗難防止操作手段)
51 ジャッキ接地センサ(接地検出手段)
53 ブーム格納センサ(格納検出手段)
70 盗難防止装置
E エンジン
PTO パワーテイクオフ機構(PTO機構)
PTO SW PTOスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力を受けて走行可能な車体と、該車体に設けられ前記エンジンの動力を受けて作動して前記車体を安定支持するジャッキ装置と、前記車体に搭載され前記エンジンの動力を受けて作動して所定の作業を行う作業装置と、前記エンジンの作動を制御する作動制御装置を備える作業用車両の盗難防止装置であって、
前記作業用車両を盗難防止可能状態に設定する際に操作される盗難防止操作手段を有し、
前記作動制御装置は、前記盗難防止操作手段によって前記作業用車両を盗難防止可能状態に設定する操作がされると、前記エンジンを停止状態にする
ことを特徴とする作業用車両の盗難防止装置。
【請求項2】
前記作業用車両には、前記エンジンから動力を取り出すPTO機構と、前記PTO機構を作動及び非作動させる際に操作されるPTOスイッチが設けられ、
前記作動制御装置は、前記盗難防止操作手段によって前記作業用車両を盗難防止可能状態に設定する操作がされた状態で、前記PTOスイッチによって前記PTO機構を作動させる操作がされると、前記エンジンを停止状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の作業用車両の盗難防止装置。
【請求項3】
前記作業用車両には、前記ジャッキ装置の作動を操作するジャッキ操作装置と、前記作業装置の作動を操作する作業操作装置が設けられ、
前記作動制御装置は、前記盗難防止操作手段によって前記作業用車両を盗難防止可能状態に設定する操作がされた状態で、前記ジャッキ操作装置又は前記作業操作装置が操作されると、前記エンジンを停止状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の作業用車両の盗難防止装置。
【請求項4】
前記作業用車両には、前記ジャッキ装置が接地されたか否かを検出する接地検出手段、及び前記作業装置が格納状態にあるか否かを検出する格納検出手段の少なくともいずれが設けられ、
前記作動制御装置は、前記接地検出手段及び前記格納検出手段の少なくともいずれかによって接地状態及び非格納状態が検出されていることを条件として、前記エンジンを停止状態にする
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の作業用車両の盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−43606(P2013−43606A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184212(P2011−184212)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000148759)株式会社タダノ (419)
【Fターム(参考)】