作業車両
【課題】副変速装置を備えた作業車両において、部品点数を少なくし構成を簡単化しながら、副変速レバーの中立状態を正確に検出するスイッチを提供する。
【解決手段】ミッションケース2には前記副変速装置操作用の副変速レバー36を左右方向の軸で回動自在に支持し、前記前部閉鎖板32あるいは後部開閉板34に取り付けているスイッチ取付板43に中立検出スイッチ45を取り付け、前記中立検出スイッチ45の検出片45aを前記副変速レバー36の軸支部から延出している検出アーム36bに係合して前記副変速レバー36の中立状態を検出可能に構成し、前記中立検出スイッチ45が中立状態を検出すると、エンジンの始動回路を作動可能にするコントローラを設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】ミッションケース2には前記副変速装置操作用の副変速レバー36を左右方向の軸で回動自在に支持し、前記前部閉鎖板32あるいは後部開閉板34に取り付けているスイッチ取付板43に中立検出スイッチ45を取り付け、前記中立検出スイッチ45の検出片45aを前記副変速レバー36の軸支部から延出している検出アーム36bに係合して前記副変速レバー36の中立状態を検出可能に構成し、前記中立検出スイッチ45が中立状態を検出すると、エンジンの始動回路を作動可能にするコントローラを設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後輪を備え、エンジンの動力を前後輪に伝達して走行する乗用型の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
主変速レバーを揺動操作すると、レバー操作位置検出用のポテンショメータからの情報に基づいて変速目標設定手段が変速目標速度を設定し、変速制御手段が駆動回路に所定の信号を出力して変速モータを自動的に操作することによって走行用無段変速装置を変速操作し、走行用副変速装置を高速側に切り替えると、走行用副変速装置の速度状態を検出する検出スイッチからの情報に基づいて速度調節手段が変速モータの作動速度を低速側に自動的に切り替えるものは、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−326879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術のものは、副変速レバーの長手方向中途部に検出スイッチを配置し、副変速レバーの軸支部から離れた部位に配置した検出スイッチにより副変速装置の変速状態を検出するものであるので、検出精度が悪くなるという不具合があった。
【0004】
本発明は、副変速レバーの軸支部近傍に検出スイッチを配置して、副変速装置の変速状態の検出を正確化すると共に、これに基づく制御を正確化して走行の安全を図り、更に、検出スイッチの取付構成を簡単化し、取付作業の容易化を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ミッションケース(2)には無段変速装置(22)及び副変速装置(24)を前後に並設し、前記ミッションケース(2)の左右一側には無段変速装置(22)点検用の前部点検窓(31)、及び、副変速装置(24)点検用の後部点検窓(33)を設け、該前部点検窓(31)及び後部点検窓(33)を前部閉鎖板(32)、後部閉鎖板(34)により開閉可能に構成し、ミッションケース(2)には前記副変速装置(24)操作用の副変速レバー(36)を左右方向の軸(36a)で回動自在に支持し、前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付け、前記中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を前記副変速レバー(36)の軸支部から延出している検出アーム(36c)に係合して前記副変速レバー(36)の中立状態を検出可能に構成し、前記中立検出スイッチ(45)が中立状態を検出すると、エンジンの始動回路を作動可能にするコントローラを設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0006】
前記構成によると、中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を副変速レバー(36)の軸支部から延出している短い検出アーム(36c)に係合し副変速装置(24)の中立状態を検出するので、副変速装置(24)の中立状態を正確に検出し、エンジンの始動回路を正確に作動することができる。
【0007】
請求項2の発明は、前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)と前記スイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト、ナットで共締めして取り付けることを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0008】
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)とスイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト・ナットで共締めし取り付けることができる。
【0009】
請求項3の発明は、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に前記スイッチ取付板(43)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に所定高さのナット(47)を固着し、前記スイッチ取付板(43)を該ナット(47)に接触支持してボルト(48)によりミッションケース(2)に固着したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両とする。
【0010】
前記構成によると、請求項1又は請求項2記載の発明の前記作用に加えて、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に固着している所定高さのナット(47)にスイッチ取付板(43)を接合しボルト(48)によりミッションケース(2)に固着することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を副変速レバー(36)の軸支部から延出している短い検出アーム(36c)に係合し副変速装置(24)の中立状態を検出するので、副変速装置(24)の中立状態の検出精度を高め、エンジンの始動回路を正確に作動することができる。
【0012】
請求項2の発明は、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)とスイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト・ナットで共締めして取り付けるので、取付構成を簡単化することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の前記効果に加えて、部品点数を少なくし構成を簡単化し、組立て作業を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施の形態について説明する。
トラクタTは、図1及び図2に示すように、車体前側部のボンネット1内にエンジン(図示省略)を設け、エンジンの回転動力をミッションケース2内の伝動機構を経由して左右前輪3,3及び左右後輪4,4へ伝達している。
【0015】
また、前記ミッションケース2の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装しているシリンダケース(図示省略)を設け、このシリンダケースにリフトアーム(図示省略)を上下回動自在に軸架し、油圧シリンダ(図示省略)のピストンの伸縮作動により、リフトアームを上下回動するように構成している。また、前記ミッションケース2の後側部には、上部リンクと左右下部リンクとからなる三点リンク機構(図示省略)を設けて、各種作業機を連結するように構成している。
【0016】
また、エンジンの後方には、ハンドルポスト11を立設し、ハンドルポスト11の上部にステアリングハンドル12を軸支している。ミッションケース2の上側にはフロア13を設け、フロア13上には前進ペダル14、後進ペル15、左右ブレーキペダル(図示省略)、クラッチペダル(図示省略)、アクセルペダル(図示省略)を設けている。
【0017】
次に、図3に基づきミッションケース2の伝動構成について説明する。
エンジンから出力された回転動力は、主クラッチ21、無段変速装置22の入力軸22aを経て油圧ポンプ22bに伝達され、油圧ポンプ22bの斜板22cの調整により油圧モータ22dが前後進切換及び無段変速されて、出力軸22eに伝達される。また、出力軸22eに伝達された動力は走行伝動装置23を経て副変速装置24に伝達されて高低に変速され、更に、後輪伝動装置25を経て左右後輪4,4へ伝達されると共に、前輪伝動装置26を経て左右前輪3,3に伝達される。
【0018】
また、無段変速装置22の油圧ポンプ22bの出力軸22fから取り出された動力は、PTOクラッチ27a、PTO伝動装置27bを経てPTO変速装置27cに伝達され、変速されたPTO動力が後部PTO軸27d及びミッドPTO軸27eから取り出される。
【0019】
次に、図4及び図5に基づき副変速装置24の中立検出構成について説明する。
ミッションケース2における前側部の前記無段変速装置22の左右一側には前部点検窓31を設け、前部点検窓31に前部閉鎖板32をボルト・ナットにより着脱自在に取り付け閉鎖している。ミッションケース2における前後中間部の前記副変速装置24の左右一側には中間部点検窓33を設け、後部点検窓33を後部閉鎖板34によりボルト・ナットで着脱自在に取り付け閉鎖している。
【0020】
また、ミッションケース2には副変速レバー36を左右方向の軸36aで回動自在に支持し、また、前後方向のシフトピン40にはシフトアーム41を移動自在に嵌合し、副変速レバー36の変速アーム部36bとシフトアーム41とを連係し、副変速装置24を変速可能に構成している。また、副変速レバー36を左フェンダ37の前後方向の変速溝37aに沿った高速変速位置(H)、中立位置(N)、中速位置(M)、低速位置(L)に移動操作することにより、副変速装置24を変速するように構成している。
【0021】
次に、図5に基づき副変速装置24の中立位置検出構成について説明する。
前記後部開閉板34にはスイッチ取付板43を上方へ延出するようにボルト・ナットで取り付け、スイッチ取付板43の上部側面にスイッチホルダ44の内側面を重ねて、ミッションケース2の上部にボルト・ナットで共締めして取り付けている。スイッチ取付板43に中立検出スイッチ45を取り付け、スイッチ取付板43には前記軸36aに向かう長孔を設けて取付位置を調整可能に構成している。中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸支部から短く延出している検出アーム36cに係合し、副変速レバー36が中立位置に移動すると、中立検出スイッチ45が副変速装置24の中立状態を検出しONするように構成している。そして、この中立検出スイッチ45が中立位置を検出すると、コントローラ(図示省略)によりエンジンの始動回路(図示省略)をONし始動を可能にしている。
【0022】
前記構成によると、中立検出スイッチ45で中立状態を検出するにあたり、中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸支部から短く延出している検出アーム36cに係合し検出するようにしているので、副変速装置24の中立状態の検出精度を高めることができる。また、ミッションケース2に中立検出スイッチ45を取り付けるにあたり、スイッチ取付板43とスイッチホルダ44とをミッションケース2にボルト・ナットで共締めして取り付けているので、取付構成を簡単化することができる。
【0023】
次に、図6について説明する。
ミッションケース2における前部点検窓31を閉鎖する前部閉鎖板32の下部に、スイッチ取付板43を後側上方へ延出するように取り付け、このスイッチ取付板43の上部には、中立検出スイッチ45を調整自在に取り付けている。中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸36a近傍から短く延出している検出アーム36cに係合し、副変速装置24が中立状態になると、中立検出スイッチ45がONし中立検出をするように構成している。そして、中立検出スイッチ45が副変速装置24の中立状態を検出すると、エンジンEの始動を可能にする安全スイッチとしている。
【0024】
前記構成によると、中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸36a近傍から短く延出している検出アーム36cに係合しているので、副変速装置24の中立検出の精度を高めることができる。また、ミッションケース2に中立検出スイッチ45を取り付けるにあたり、前部点検窓31を閉鎖する前部閉鎖板32とスイッチ取付板43とをボルト・ナットで共締めしてミッションケース2に取り付けているので、中立検出スイッチ45の取付構成を簡単なものとすることができる。
【0025】
また、図7に示すように、前部閉鎖板32にスイッチ取付板43を取り付けるにあたり、前部閉鎖板32の下部に所定高さのナット47を一体的に固着し、このナット47にスイッチ取付板43を接触支持し、ナット47にボルト48を捩じ込んでミッションケース2に固着し、前部閉鎖板32に対してスイッチ取付板43を所定間隔離して取り付けている。
【0026】
従来構成は図8に示すように、前部閉鎖板32にスイッチ取付板43を取り付けるにあたり、前部閉鎖板32の下部に所定高さのナット32xを固着し、このナット32xとスイッチ取付板43との間にカラー32yを介装して挾み、ボルト48によりスイッチ取付板43をミッションケース2に固着していた。従って、構造が複雑で部品点数が多くなるという不具合があった。
【0027】
しかし、前記構成によると、ナット32xとナット32yをまとめて単一のナット47とすることができ、構成を簡単化し、組立て作業を簡単にすることができる。
次に、図9乃至図10に基づきトラクタの油圧回路構成について説明する。
【0028】
この実施例は、油圧シリンダの伸縮により昇降するリフトアームを備え、機体後部に連結したロータリ耕耘装置を昇降自在に構成したトラクタにおいて、車体の前側部に油圧シリンダにより昇降するフロントローダを連結し、車体の後側部には油圧シリンダによりバックホウを昇降自在に連結したトラクタに関するものである。
【0029】
作業機用油圧ポンプ51をモータM1で駆動し、油圧を制御弁V1を経由してフロントローダ(図示省略)昇降用の昇降シリンダ52に給排しフロントローダを昇降可能に構成し、制御弁V2を経由してバケットシリンダ53に油圧を給排しフロントローダのバケットを開閉回動するように構成している。また、作業機制御弁(図示省略)を経由してリフトシリンダ(図示省略)に油圧を給排し、車体後部のリフトアーム(図示省略)によりロータリ耕耘装置を昇降可能に構成している。
【0030】
また、油圧ポンプ51からの油圧の送り回路にはリリーフ圧切換弁V3を設け、リリーフ切換弁V3を切り換えることにより、リリーフ回路(強)55a、あるいは、リリーフ回路(弱)55bに切り換え、余分の油圧をタンク54に還流するように構成している。
【0031】
前記構成によると、トラクタの後部にロータリ耕耘装置を連結し高圧の油圧により昇降する場合には、リリーフ切換弁V3をリリーフ回路(強)55a側に切り換え、ロータリ耕耘装置を迅速に昇降することができる。また、車体の前側部にフロントローダを、車体の後側部にバックホウを連結し、低圧の油圧でこれらを昇降する場合には、リリーフ切換弁V3をリリーフ回路(弱)55b側に切り換えることにより、油圧機器の損傷を防止しながら円滑に昇降することができる。
【0032】
次に、図10について説明する。トラクタには後向き操作台61を設け、この後向き操作台61にはバックホウ操作用のジョイスティックレバー62を設けている。このジョイスティックレバー62を上方に伸長した操作状態と、下方に短縮退避した操作不能状態とに切り換え可能に構成し、ジョイスティックレバー62の短縮退避状態をロックレバー63によりロックし、操作不能にするように構成している。そして、このロックレバー63をケーブル64を介して連系し前記リリーフ切換弁V3を操作可能に構成している。しかして、ロックレバー63を時計方向へ回動し操作側に切り換えると、リリーフ切換弁V3はリリーフ回路(弱)55b側に切り換えられ、また、ロックレバー63を反時計方向変速回動しロック側へ切り換えると、リリーフ切換弁V3はリリーフ回路(強)55a側に切り換えられるように構成している。
【0033】
前記構成によると、リリーフ切換弁V3の切り換え操作を簡単にしながら、誤操作を防止し、油圧機器の損傷を防止することができる。
次に、図11乃至図13に基づき前記無段変速装置22の操作構成について説明する。
【0034】
無段変速装置22を備えたトラクタにおいて、前進ペダル14及び後進ペダル15を左右に並列し左右方向のペダル軸73に回動自在に支持し、前進ペダル14の軸支部から下方に延出している変速アーム14aと無段変速装置22のトラニオン軸22f作動用のトラニオンアーム22gとを、長さ調整自在の変速ロッド74により連結し、前進ペダル14を踏み込むと、変速アーム14aを介してトラニオン軸22fを回動し無段変速装置22を前進変速するように構成している。
【0035】
また、ペダル支持軸73の後方には中間リンク機構75を設けている。この中間リンク機構75は、左右方向の中間軸75dに軸支されている上下方向に延出している後側アーム75aと、後側アーム75aの上部に後側をピン連結している前進連結ロッド75bと、後側アーム75aの下部に後側をピン連結している後進連結ロッド75cとにより構成している。この中間リンク機構75の前進連結ロッド75bの前端を前記ペダル14の軸支部から上方へ延出している前進アーム14bにピン連結している。
【0036】
後進ペダル15の軸支部から後側斜め上方へ延出している後進アーム15aを中間リンク機構75の後進連結ロッド75cの前端にピン連結し、中間リンク機構75と連係している。
【0037】
前記構成によると、前進ペダル14を踏み込むと、図11及び図13に示すように、変速アーム14aが時計方向に回動し、変速ロッド74を介して無段変速装置22のトラニオン軸22fを前進増速側に作動する。また、これにつれて前進ペダル14側の前進アーム14bが時計方向に回動すると、前進連結ロッド75bが前側に引っ張られて、後側アーム75aは時計方向に回動し、後進連結ロッド75cは引っ張られて後側へ移動する。
【0038】
また、後進ペダル15を踏み込むと、変速アーム15aが時計方向に回動し、後進連結ロッド75cが前側に引っ張られて、後側アーム75aは反時計方向に回動し、前進連結ロッド75bは引っ張られて後側へ移動し、前進アーム14b及び変速アーム14aが反時計方向に回動し、変速ロッド74を介して無段変速装置22のトラニオン軸22fを後進増速側に作動する。
【0039】
前記のように、前進ペダル14及び後進ぺダル15を踏み込み操作により無段変速装置22のトラニオン軸22fを変速操作し、このとき中間リンク機構75が作動するにあたり、前進連結ロッド75b及び後進連結ロッド75cが共に引っ張り方向に移動するので、これらのロッド75b,75cが押し方向に作動するものに比較して小径に構成することができ、変形を防止しながら耐久性を高めることができる。
【0040】
次に、図14に基づき前進ペダル14及び後進ペダル15における無段変速装置22の中立時の復帰構成について説明する。
前進ペダル14及び後進ペダル15の前進、後進踏み込み面14m,15mを左右方向の軸14p,14p回りに回動自在に支持している。前進、後進踏み込み面14m,15mの下方には、踏み込み検出スイッチSW1、SW2を設け、前進、後進踏み込み面14m,15mの踏み込みにより、踏み込み検出スイッチSW1、SW2がONすると、踏み込み操作状態を検出し、OFFすると踏み込み解除操作を検出するように構成している。
【0041】
そして、前進ペダル14及び後進ペダル15にはダンパ81、81の一端を連係可能に構成し、前進、後進踏み込み面14m,15mの踏み込み解除操作を検出スイッチSW1、SW2が検出すると、コントローラ(図示省略)の指令により、ダンパ81,81を減衰させ、ダンパホルダ81a,81aにより前進ペダル14及び後進ペダル15を中立位置に保持すようにしている。前記構成によると、踏み込み解除時に前進ペダル14及び後進ペダル15を円滑に非踏み込み位置に復帰させることができ、無段変速装置22の中立位置への復帰を円滑に行なうことができる。
【0042】
次に、図15に基づきキャビン83の左右前側ワークランプ84,84の取付構成について説明する。
キャビン83のルーフ83aの前側中央部を透明板体83bに構成して斜め前方の視界を確保し、ルーフ83aの前側枠体中央部にはワイパー85を取り付け、ワイパーモータ85aにより作動可能に構成し、前側枠体の左右両側部にはキャビン83内に位置するように左右前側ワークランプ84,84を左右方向の軸84a回りに回動調節自在に設けている。
【0043】
前記構成によると、オペレータはキャビン83内に居ながら左右前側ワークランプ84,84の上下調節をし、フロントローダ等の移動位置を確認しながら安全な作業をすることができる。また、左右前側ワークランプ84,84の照射角度を、図15(B)に示すように、斜め前方に向けた場合には、オペレータはシートに座ったままの姿勢で、透明板体83bを通して作業機の上方移動位置を確認することができる。
【0044】
次に、図16に基づき前側ワークランプ84及び後側ワークランプ(図示省略)の調節構成について説明する。
キャビン83の前側枠体の左右両側には、キャビン83の外側に位置するように左右前側ワークランプ84,84を配設している。前側枠体には平面視U字型の取付枠体86の後側端部を左右方向の軸86a回りに回動自在に支持し、取付枠体86の前側部を中央が前方へ突出する屈曲部に構成し、この屈曲部に左右方向の移動溝86bを構成している。また、取付枠体86を上下調節モータM2で取付枠体86を上下調節可能に構成すると共に、左右調節モータM3により左右前側ワークランプ84,84を取付枠体86の移動溝86bに沿って左右に移動自在に構成している。
【0045】
また、ステアリングハンドル12の近傍には、前記モータM2,M3を操作するワークランプ上下左右スイッチSW3,SW3、及び、前側ワークランプ84,84及び左右後側ワークランプ(図示省略)を点灯操作する前後ワークランプスイッチSW4を設けている。
【0046】
前記構成によると、キャビン83内の操作席に居ながら、左右前側ワークランプ84,84及び左右後側ワークランプの点滅、及び、左右前側ワークランプ84,84の上下及び左右の調節をすることができ、作業機の破損を防止しながら安全に作業をすることができる。
【0047】
次に、図17に基づきキャビン83の左右ドア91、91部の照明構成について説明する。
キャビン83の左右両側部には左右ドア91,91を前側開き状に設け、左右ドア91,91の下方には左右補助ステップ92,92を設けている。また、キャビン83のルーフの左右両側に左右補助ライト93,93を設け、ドア91,91の左右両側及び左右補助ステップ92,92部を照らすようにしている。
【0048】
そして、この左右補助ライト93,93の点灯は例えば次のようにして行なうものである。左右補助ステップ92,92の近傍にオペレータが居るのをセンサ(図示省略)が検出すると点灯したり、また、オペレータのリモコンスイッチ(図示省略)の操作により点灯したり、オペレータがドアノブ91aのキー穴にキーを挿入すると点灯したり、また、ドア91が閉鎖すると所定時間後に消灯する構成である。前記構成によると、トラクタの乗降を明るい状態で安全に行なうことができる。
【0049】
次に、図18に基づきトラクタの油圧機器の操作構成について説明する。
電子油圧用の操作ボックス95には、バッテリを内蔵し、無線信号発信部95aを備え、上面には油圧機器を操作する各種スイッチ類を多数設けている。トラクタの例えば右フェンダ37には凹部37aを設け、操作ボックス95を凹部37aに着脱自在に嵌合支持するように構成している。この凹部37aには無線信号受信部37bを設け、操作ボックス95からのスイッチ操作による無線信号を受信し、コントローラ(図示省略)に送信するようにしている。また、充電装置(図示省略)を設けて、操作ボックス95を凹部37aに装着すると、バッテリの充電が開始されるように構成している。
【0050】
例えば、トラクタに備えている作業機の自動水平制御装置の作業機の傾き状態を調整する場合には、トラクタの後方から調整状態を確認する必要がある。従来構成では、トラクタの座席に乗った状態で自動水平制御の調整設定操作を行い、トラクタから降りてり左右傾斜調整状態の確認をする必要があり、乗り降りしなければならず不便であった。
【0051】
しかし、前記構成によると、操作ボックス95を凹部37aから外し、トラクタの後方に移動した状態で調整操作することができ、トラクタの自動水平制御装置の傾き調整の操作及び確認を同時に行なうことができて便利である。また、操作ボックス95を凹部37aに装着すると、操作ボックス95のバッテリの充電が自動的に開始されるので、バッテリ切れの恐れもなく、操作を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】トラクタの全体平面図。
【図3】ミッションケースの伝動構成を示す切断側面図。
【図4】トラクタの後部の側面図、切断背面図。
【図5】ミッションケース部の側面図。
【図6】ミッションケース部の側面図。
【図7】ミッションケース部の背面図。
【図8】ミッションケース部の従来装置の背面図。
【図9】トラクタの油圧回路図。
【図10】トラクタ後部の背面図。
【図11】ミッションケース部の側面図。
【図12】前進ペダル、後進ペダル部の平面図。
【図13】前進ペダル、後進ペダル部の側面図。
【図14】前進ペダル、後進ペダル部の側面図、平面図。
【図15】キャビンの斜視図、側面図。
【図16】キャビンの側面図、ワークランプの斜視図、平面図、ステアリング部の斜視図。
【図17】トラクタの斜視図。
【図18】フェンダの斜視図、電子油圧機器用の操作ボックスの斜視図。
【符号の説明】
【0053】
2 ミッションケース
22 無段変速装置
24 副変速装置
31 前部点検窓
32 前部閉鎖板
33 後部点検窓
34 後部閉鎖板
36 副変速レバー
36a 軸
36b 検出アーム
43 スイッチ取付板
45 中立検出スイッチ
45a 検出片
47 ナット
48 ボルト
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後輪を備え、エンジンの動力を前後輪に伝達して走行する乗用型の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
主変速レバーを揺動操作すると、レバー操作位置検出用のポテンショメータからの情報に基づいて変速目標設定手段が変速目標速度を設定し、変速制御手段が駆動回路に所定の信号を出力して変速モータを自動的に操作することによって走行用無段変速装置を変速操作し、走行用副変速装置を高速側に切り替えると、走行用副変速装置の速度状態を検出する検出スイッチからの情報に基づいて速度調節手段が変速モータの作動速度を低速側に自動的に切り替えるものは、公知である(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−326879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
背景技術のものは、副変速レバーの長手方向中途部に検出スイッチを配置し、副変速レバーの軸支部から離れた部位に配置した検出スイッチにより副変速装置の変速状態を検出するものであるので、検出精度が悪くなるという不具合があった。
【0004】
本発明は、副変速レバーの軸支部近傍に検出スイッチを配置して、副変速装置の変速状態の検出を正確化すると共に、これに基づく制御を正確化して走行の安全を図り、更に、検出スイッチの取付構成を簡単化し、取付作業の容易化を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、ミッションケース(2)には無段変速装置(22)及び副変速装置(24)を前後に並設し、前記ミッションケース(2)の左右一側には無段変速装置(22)点検用の前部点検窓(31)、及び、副変速装置(24)点検用の後部点検窓(33)を設け、該前部点検窓(31)及び後部点検窓(33)を前部閉鎖板(32)、後部閉鎖板(34)により開閉可能に構成し、ミッションケース(2)には前記副変速装置(24)操作用の副変速レバー(36)を左右方向の軸(36a)で回動自在に支持し、前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付け、前記中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を前記副変速レバー(36)の軸支部から延出している検出アーム(36c)に係合して前記副変速レバー(36)の中立状態を検出可能に構成し、前記中立検出スイッチ(45)が中立状態を検出すると、エンジンの始動回路を作動可能にするコントローラを設けたことを特徴とする作業車両とする。
【0006】
前記構成によると、中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を副変速レバー(36)の軸支部から延出している短い検出アーム(36c)に係合し副変速装置(24)の中立状態を検出するので、副変速装置(24)の中立状態を正確に検出し、エンジンの始動回路を正確に作動することができる。
【0007】
請求項2の発明は、前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)と前記スイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト、ナットで共締めして取り付けることを特徴とする請求項1記載の作業車両とする。
【0008】
前記構成によると、請求項1の発明の前記作用に加えて、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)とスイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト・ナットで共締めし取り付けることができる。
【0009】
請求項3の発明は、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に前記スイッチ取付板(43)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に所定高さのナット(47)を固着し、前記スイッチ取付板(43)を該ナット(47)に接触支持してボルト(48)によりミッションケース(2)に固着したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両とする。
【0010】
前記構成によると、請求項1又は請求項2記載の発明の前記作用に加えて、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に固着している所定高さのナット(47)にスイッチ取付板(43)を接合しボルト(48)によりミッションケース(2)に固着することができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を副変速レバー(36)の軸支部から延出している短い検出アーム(36c)に係合し副変速装置(24)の中立状態を検出するので、副変速装置(24)の中立状態の検出精度を高め、エンジンの始動回路を正確に作動することができる。
【0012】
請求項2の発明は、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)とスイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト・ナットで共締めして取り付けるので、取付構成を簡単化することができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の前記効果に加えて、部品点数を少なくし構成を簡単化し、組立て作業を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいてこの発明を農業用トラクタに施した実施の形態について説明する。
トラクタTは、図1及び図2に示すように、車体前側部のボンネット1内にエンジン(図示省略)を設け、エンジンの回転動力をミッションケース2内の伝動機構を経由して左右前輪3,3及び左右後輪4,4へ伝達している。
【0015】
また、前記ミッションケース2の後側上部には、作業機昇降用の油圧シリンダ(図示省略)を内装しているシリンダケース(図示省略)を設け、このシリンダケースにリフトアーム(図示省略)を上下回動自在に軸架し、油圧シリンダ(図示省略)のピストンの伸縮作動により、リフトアームを上下回動するように構成している。また、前記ミッションケース2の後側部には、上部リンクと左右下部リンクとからなる三点リンク機構(図示省略)を設けて、各種作業機を連結するように構成している。
【0016】
また、エンジンの後方には、ハンドルポスト11を立設し、ハンドルポスト11の上部にステアリングハンドル12を軸支している。ミッションケース2の上側にはフロア13を設け、フロア13上には前進ペダル14、後進ペル15、左右ブレーキペダル(図示省略)、クラッチペダル(図示省略)、アクセルペダル(図示省略)を設けている。
【0017】
次に、図3に基づきミッションケース2の伝動構成について説明する。
エンジンから出力された回転動力は、主クラッチ21、無段変速装置22の入力軸22aを経て油圧ポンプ22bに伝達され、油圧ポンプ22bの斜板22cの調整により油圧モータ22dが前後進切換及び無段変速されて、出力軸22eに伝達される。また、出力軸22eに伝達された動力は走行伝動装置23を経て副変速装置24に伝達されて高低に変速され、更に、後輪伝動装置25を経て左右後輪4,4へ伝達されると共に、前輪伝動装置26を経て左右前輪3,3に伝達される。
【0018】
また、無段変速装置22の油圧ポンプ22bの出力軸22fから取り出された動力は、PTOクラッチ27a、PTO伝動装置27bを経てPTO変速装置27cに伝達され、変速されたPTO動力が後部PTO軸27d及びミッドPTO軸27eから取り出される。
【0019】
次に、図4及び図5に基づき副変速装置24の中立検出構成について説明する。
ミッションケース2における前側部の前記無段変速装置22の左右一側には前部点検窓31を設け、前部点検窓31に前部閉鎖板32をボルト・ナットにより着脱自在に取り付け閉鎖している。ミッションケース2における前後中間部の前記副変速装置24の左右一側には中間部点検窓33を設け、後部点検窓33を後部閉鎖板34によりボルト・ナットで着脱自在に取り付け閉鎖している。
【0020】
また、ミッションケース2には副変速レバー36を左右方向の軸36aで回動自在に支持し、また、前後方向のシフトピン40にはシフトアーム41を移動自在に嵌合し、副変速レバー36の変速アーム部36bとシフトアーム41とを連係し、副変速装置24を変速可能に構成している。また、副変速レバー36を左フェンダ37の前後方向の変速溝37aに沿った高速変速位置(H)、中立位置(N)、中速位置(M)、低速位置(L)に移動操作することにより、副変速装置24を変速するように構成している。
【0021】
次に、図5に基づき副変速装置24の中立位置検出構成について説明する。
前記後部開閉板34にはスイッチ取付板43を上方へ延出するようにボルト・ナットで取り付け、スイッチ取付板43の上部側面にスイッチホルダ44の内側面を重ねて、ミッションケース2の上部にボルト・ナットで共締めして取り付けている。スイッチ取付板43に中立検出スイッチ45を取り付け、スイッチ取付板43には前記軸36aに向かう長孔を設けて取付位置を調整可能に構成している。中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸支部から短く延出している検出アーム36cに係合し、副変速レバー36が中立位置に移動すると、中立検出スイッチ45が副変速装置24の中立状態を検出しONするように構成している。そして、この中立検出スイッチ45が中立位置を検出すると、コントローラ(図示省略)によりエンジンの始動回路(図示省略)をONし始動を可能にしている。
【0022】
前記構成によると、中立検出スイッチ45で中立状態を検出するにあたり、中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸支部から短く延出している検出アーム36cに係合し検出するようにしているので、副変速装置24の中立状態の検出精度を高めることができる。また、ミッションケース2に中立検出スイッチ45を取り付けるにあたり、スイッチ取付板43とスイッチホルダ44とをミッションケース2にボルト・ナットで共締めして取り付けているので、取付構成を簡単化することができる。
【0023】
次に、図6について説明する。
ミッションケース2における前部点検窓31を閉鎖する前部閉鎖板32の下部に、スイッチ取付板43を後側上方へ延出するように取り付け、このスイッチ取付板43の上部には、中立検出スイッチ45を調整自在に取り付けている。中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸36a近傍から短く延出している検出アーム36cに係合し、副変速装置24が中立状態になると、中立検出スイッチ45がONし中立検出をするように構成している。そして、中立検出スイッチ45が副変速装置24の中立状態を検出すると、エンジンEの始動を可能にする安全スイッチとしている。
【0024】
前記構成によると、中立検出スイッチ45の検出片45aを副変速レバー36の軸36a近傍から短く延出している検出アーム36cに係合しているので、副変速装置24の中立検出の精度を高めることができる。また、ミッションケース2に中立検出スイッチ45を取り付けるにあたり、前部点検窓31を閉鎖する前部閉鎖板32とスイッチ取付板43とをボルト・ナットで共締めしてミッションケース2に取り付けているので、中立検出スイッチ45の取付構成を簡単なものとすることができる。
【0025】
また、図7に示すように、前部閉鎖板32にスイッチ取付板43を取り付けるにあたり、前部閉鎖板32の下部に所定高さのナット47を一体的に固着し、このナット47にスイッチ取付板43を接触支持し、ナット47にボルト48を捩じ込んでミッションケース2に固着し、前部閉鎖板32に対してスイッチ取付板43を所定間隔離して取り付けている。
【0026】
従来構成は図8に示すように、前部閉鎖板32にスイッチ取付板43を取り付けるにあたり、前部閉鎖板32の下部に所定高さのナット32xを固着し、このナット32xとスイッチ取付板43との間にカラー32yを介装して挾み、ボルト48によりスイッチ取付板43をミッションケース2に固着していた。従って、構造が複雑で部品点数が多くなるという不具合があった。
【0027】
しかし、前記構成によると、ナット32xとナット32yをまとめて単一のナット47とすることができ、構成を簡単化し、組立て作業を簡単にすることができる。
次に、図9乃至図10に基づきトラクタの油圧回路構成について説明する。
【0028】
この実施例は、油圧シリンダの伸縮により昇降するリフトアームを備え、機体後部に連結したロータリ耕耘装置を昇降自在に構成したトラクタにおいて、車体の前側部に油圧シリンダにより昇降するフロントローダを連結し、車体の後側部には油圧シリンダによりバックホウを昇降自在に連結したトラクタに関するものである。
【0029】
作業機用油圧ポンプ51をモータM1で駆動し、油圧を制御弁V1を経由してフロントローダ(図示省略)昇降用の昇降シリンダ52に給排しフロントローダを昇降可能に構成し、制御弁V2を経由してバケットシリンダ53に油圧を給排しフロントローダのバケットを開閉回動するように構成している。また、作業機制御弁(図示省略)を経由してリフトシリンダ(図示省略)に油圧を給排し、車体後部のリフトアーム(図示省略)によりロータリ耕耘装置を昇降可能に構成している。
【0030】
また、油圧ポンプ51からの油圧の送り回路にはリリーフ圧切換弁V3を設け、リリーフ切換弁V3を切り換えることにより、リリーフ回路(強)55a、あるいは、リリーフ回路(弱)55bに切り換え、余分の油圧をタンク54に還流するように構成している。
【0031】
前記構成によると、トラクタの後部にロータリ耕耘装置を連結し高圧の油圧により昇降する場合には、リリーフ切換弁V3をリリーフ回路(強)55a側に切り換え、ロータリ耕耘装置を迅速に昇降することができる。また、車体の前側部にフロントローダを、車体の後側部にバックホウを連結し、低圧の油圧でこれらを昇降する場合には、リリーフ切換弁V3をリリーフ回路(弱)55b側に切り換えることにより、油圧機器の損傷を防止しながら円滑に昇降することができる。
【0032】
次に、図10について説明する。トラクタには後向き操作台61を設け、この後向き操作台61にはバックホウ操作用のジョイスティックレバー62を設けている。このジョイスティックレバー62を上方に伸長した操作状態と、下方に短縮退避した操作不能状態とに切り換え可能に構成し、ジョイスティックレバー62の短縮退避状態をロックレバー63によりロックし、操作不能にするように構成している。そして、このロックレバー63をケーブル64を介して連系し前記リリーフ切換弁V3を操作可能に構成している。しかして、ロックレバー63を時計方向へ回動し操作側に切り換えると、リリーフ切換弁V3はリリーフ回路(弱)55b側に切り換えられ、また、ロックレバー63を反時計方向変速回動しロック側へ切り換えると、リリーフ切換弁V3はリリーフ回路(強)55a側に切り換えられるように構成している。
【0033】
前記構成によると、リリーフ切換弁V3の切り換え操作を簡単にしながら、誤操作を防止し、油圧機器の損傷を防止することができる。
次に、図11乃至図13に基づき前記無段変速装置22の操作構成について説明する。
【0034】
無段変速装置22を備えたトラクタにおいて、前進ペダル14及び後進ペダル15を左右に並列し左右方向のペダル軸73に回動自在に支持し、前進ペダル14の軸支部から下方に延出している変速アーム14aと無段変速装置22のトラニオン軸22f作動用のトラニオンアーム22gとを、長さ調整自在の変速ロッド74により連結し、前進ペダル14を踏み込むと、変速アーム14aを介してトラニオン軸22fを回動し無段変速装置22を前進変速するように構成している。
【0035】
また、ペダル支持軸73の後方には中間リンク機構75を設けている。この中間リンク機構75は、左右方向の中間軸75dに軸支されている上下方向に延出している後側アーム75aと、後側アーム75aの上部に後側をピン連結している前進連結ロッド75bと、後側アーム75aの下部に後側をピン連結している後進連結ロッド75cとにより構成している。この中間リンク機構75の前進連結ロッド75bの前端を前記ペダル14の軸支部から上方へ延出している前進アーム14bにピン連結している。
【0036】
後進ペダル15の軸支部から後側斜め上方へ延出している後進アーム15aを中間リンク機構75の後進連結ロッド75cの前端にピン連結し、中間リンク機構75と連係している。
【0037】
前記構成によると、前進ペダル14を踏み込むと、図11及び図13に示すように、変速アーム14aが時計方向に回動し、変速ロッド74を介して無段変速装置22のトラニオン軸22fを前進増速側に作動する。また、これにつれて前進ペダル14側の前進アーム14bが時計方向に回動すると、前進連結ロッド75bが前側に引っ張られて、後側アーム75aは時計方向に回動し、後進連結ロッド75cは引っ張られて後側へ移動する。
【0038】
また、後進ペダル15を踏み込むと、変速アーム15aが時計方向に回動し、後進連結ロッド75cが前側に引っ張られて、後側アーム75aは反時計方向に回動し、前進連結ロッド75bは引っ張られて後側へ移動し、前進アーム14b及び変速アーム14aが反時計方向に回動し、変速ロッド74を介して無段変速装置22のトラニオン軸22fを後進増速側に作動する。
【0039】
前記のように、前進ペダル14及び後進ぺダル15を踏み込み操作により無段変速装置22のトラニオン軸22fを変速操作し、このとき中間リンク機構75が作動するにあたり、前進連結ロッド75b及び後進連結ロッド75cが共に引っ張り方向に移動するので、これらのロッド75b,75cが押し方向に作動するものに比較して小径に構成することができ、変形を防止しながら耐久性を高めることができる。
【0040】
次に、図14に基づき前進ペダル14及び後進ペダル15における無段変速装置22の中立時の復帰構成について説明する。
前進ペダル14及び後進ペダル15の前進、後進踏み込み面14m,15mを左右方向の軸14p,14p回りに回動自在に支持している。前進、後進踏み込み面14m,15mの下方には、踏み込み検出スイッチSW1、SW2を設け、前進、後進踏み込み面14m,15mの踏み込みにより、踏み込み検出スイッチSW1、SW2がONすると、踏み込み操作状態を検出し、OFFすると踏み込み解除操作を検出するように構成している。
【0041】
そして、前進ペダル14及び後進ペダル15にはダンパ81、81の一端を連係可能に構成し、前進、後進踏み込み面14m,15mの踏み込み解除操作を検出スイッチSW1、SW2が検出すると、コントローラ(図示省略)の指令により、ダンパ81,81を減衰させ、ダンパホルダ81a,81aにより前進ペダル14及び後進ペダル15を中立位置に保持すようにしている。前記構成によると、踏み込み解除時に前進ペダル14及び後進ペダル15を円滑に非踏み込み位置に復帰させることができ、無段変速装置22の中立位置への復帰を円滑に行なうことができる。
【0042】
次に、図15に基づきキャビン83の左右前側ワークランプ84,84の取付構成について説明する。
キャビン83のルーフ83aの前側中央部を透明板体83bに構成して斜め前方の視界を確保し、ルーフ83aの前側枠体中央部にはワイパー85を取り付け、ワイパーモータ85aにより作動可能に構成し、前側枠体の左右両側部にはキャビン83内に位置するように左右前側ワークランプ84,84を左右方向の軸84a回りに回動調節自在に設けている。
【0043】
前記構成によると、オペレータはキャビン83内に居ながら左右前側ワークランプ84,84の上下調節をし、フロントローダ等の移動位置を確認しながら安全な作業をすることができる。また、左右前側ワークランプ84,84の照射角度を、図15(B)に示すように、斜め前方に向けた場合には、オペレータはシートに座ったままの姿勢で、透明板体83bを通して作業機の上方移動位置を確認することができる。
【0044】
次に、図16に基づき前側ワークランプ84及び後側ワークランプ(図示省略)の調節構成について説明する。
キャビン83の前側枠体の左右両側には、キャビン83の外側に位置するように左右前側ワークランプ84,84を配設している。前側枠体には平面視U字型の取付枠体86の後側端部を左右方向の軸86a回りに回動自在に支持し、取付枠体86の前側部を中央が前方へ突出する屈曲部に構成し、この屈曲部に左右方向の移動溝86bを構成している。また、取付枠体86を上下調節モータM2で取付枠体86を上下調節可能に構成すると共に、左右調節モータM3により左右前側ワークランプ84,84を取付枠体86の移動溝86bに沿って左右に移動自在に構成している。
【0045】
また、ステアリングハンドル12の近傍には、前記モータM2,M3を操作するワークランプ上下左右スイッチSW3,SW3、及び、前側ワークランプ84,84及び左右後側ワークランプ(図示省略)を点灯操作する前後ワークランプスイッチSW4を設けている。
【0046】
前記構成によると、キャビン83内の操作席に居ながら、左右前側ワークランプ84,84及び左右後側ワークランプの点滅、及び、左右前側ワークランプ84,84の上下及び左右の調節をすることができ、作業機の破損を防止しながら安全に作業をすることができる。
【0047】
次に、図17に基づきキャビン83の左右ドア91、91部の照明構成について説明する。
キャビン83の左右両側部には左右ドア91,91を前側開き状に設け、左右ドア91,91の下方には左右補助ステップ92,92を設けている。また、キャビン83のルーフの左右両側に左右補助ライト93,93を設け、ドア91,91の左右両側及び左右補助ステップ92,92部を照らすようにしている。
【0048】
そして、この左右補助ライト93,93の点灯は例えば次のようにして行なうものである。左右補助ステップ92,92の近傍にオペレータが居るのをセンサ(図示省略)が検出すると点灯したり、また、オペレータのリモコンスイッチ(図示省略)の操作により点灯したり、オペレータがドアノブ91aのキー穴にキーを挿入すると点灯したり、また、ドア91が閉鎖すると所定時間後に消灯する構成である。前記構成によると、トラクタの乗降を明るい状態で安全に行なうことができる。
【0049】
次に、図18に基づきトラクタの油圧機器の操作構成について説明する。
電子油圧用の操作ボックス95には、バッテリを内蔵し、無線信号発信部95aを備え、上面には油圧機器を操作する各種スイッチ類を多数設けている。トラクタの例えば右フェンダ37には凹部37aを設け、操作ボックス95を凹部37aに着脱自在に嵌合支持するように構成している。この凹部37aには無線信号受信部37bを設け、操作ボックス95からのスイッチ操作による無線信号を受信し、コントローラ(図示省略)に送信するようにしている。また、充電装置(図示省略)を設けて、操作ボックス95を凹部37aに装着すると、バッテリの充電が開始されるように構成している。
【0050】
例えば、トラクタに備えている作業機の自動水平制御装置の作業機の傾き状態を調整する場合には、トラクタの後方から調整状態を確認する必要がある。従来構成では、トラクタの座席に乗った状態で自動水平制御の調整設定操作を行い、トラクタから降りてり左右傾斜調整状態の確認をする必要があり、乗り降りしなければならず不便であった。
【0051】
しかし、前記構成によると、操作ボックス95を凹部37aから外し、トラクタの後方に移動した状態で調整操作することができ、トラクタの自動水平制御装置の傾き調整の操作及び確認を同時に行なうことができて便利である。また、操作ボックス95を凹部37aに装着すると、操作ボックス95のバッテリの充電が自動的に開始されるので、バッテリ切れの恐れもなく、操作を円滑に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】トラクタの全体側面図。
【図2】トラクタの全体平面図。
【図3】ミッションケースの伝動構成を示す切断側面図。
【図4】トラクタの後部の側面図、切断背面図。
【図5】ミッションケース部の側面図。
【図6】ミッションケース部の側面図。
【図7】ミッションケース部の背面図。
【図8】ミッションケース部の従来装置の背面図。
【図9】トラクタの油圧回路図。
【図10】トラクタ後部の背面図。
【図11】ミッションケース部の側面図。
【図12】前進ペダル、後進ペダル部の平面図。
【図13】前進ペダル、後進ペダル部の側面図。
【図14】前進ペダル、後進ペダル部の側面図、平面図。
【図15】キャビンの斜視図、側面図。
【図16】キャビンの側面図、ワークランプの斜視図、平面図、ステアリング部の斜視図。
【図17】トラクタの斜視図。
【図18】フェンダの斜視図、電子油圧機器用の操作ボックスの斜視図。
【符号の説明】
【0053】
2 ミッションケース
22 無段変速装置
24 副変速装置
31 前部点検窓
32 前部閉鎖板
33 後部点検窓
34 後部閉鎖板
36 副変速レバー
36a 軸
36b 検出アーム
43 スイッチ取付板
45 中立検出スイッチ
45a 検出片
47 ナット
48 ボルト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミッションケース(2)には無段変速装置(22)及び副変速装置(24)を前後に並設し、前記ミッションケース(2)の左右一側には無段変速装置(22)点検用の前部点検窓(31)、及び、副変速装置(24)点検用の後部点検窓(33)を設け、該前部点検窓(31)及び後部点検窓(33)を前部閉鎖板(32)、後部閉鎖板(34)により開閉可能に構成し、ミッションケース(2)には前記副変速装置(24)操作用の副変速レバー(36)を左右方向の軸(36a)で回動自在に支持し、前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付け、前記中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を前記副変速レバー(36)の軸支部から延出している検出アーム(36c)に係合して前記副変速レバー(36)の中立状態を検出可能に構成し、前記中立検出スイッチ(45)が中立状態を検出すると、エンジンの始動回路を作動可能にするコントローラを設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)と前記スイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト、ナットで共締めして取り付けることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に前記スイッチ取付板(43)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に所定高さのナット(47)を固着し、前記スイッチ取付板(43)を該ナット(47)に接触支持してボルト(48)によりミッションケース(2)に固着したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【請求項1】
ミッションケース(2)には無段変速装置(22)及び副変速装置(24)を前後に並設し、前記ミッションケース(2)の左右一側には無段変速装置(22)点検用の前部点検窓(31)、及び、副変速装置(24)点検用の後部点検窓(33)を設け、該前部点検窓(31)及び後部点検窓(33)を前部閉鎖板(32)、後部閉鎖板(34)により開閉可能に構成し、ミッションケース(2)には前記副変速装置(24)操作用の副変速レバー(36)を左右方向の軸(36a)で回動自在に支持し、前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付け、前記中立検出スイッチ(45)の検出片(45a)を前記副変速レバー(36)の軸支部から延出している検出アーム(36c)に係合して前記副変速レバー(36)の中立状態を検出可能に構成し、前記中立検出スイッチ(45)が中立状態を検出すると、エンジンの始動回路を作動可能にするコントローラを設けたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)に取り付けているスイッチ取付板(43)に中立検出スイッチ(45)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部開閉板(34)と前記スイッチ取付板(43)とをミッションケース(2)にボルト、ナットで共締めして取り付けることを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項3】
前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に前記スイッチ取付板(43)を取り付けるにあたり、前部閉鎖板(32)あるいは後部閉鎖板(34)に所定高さのナット(47)を固着し、前記スイッチ取付板(43)を該ナット(47)に接触支持してボルト(48)によりミッションケース(2)に固着したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−76687(P2010−76687A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249348(P2008−249348)
【出願日】平成20年9月27日(2008.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月27日(2008.9.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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