説明

作業車両

【課題】ラジエータの前方に防塵ネットを配置した作業車両であって、コストを低減させることが可能な作業車両を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、エンジン8及びラジエータ9を有する原動部11を、上方側のボンネットフード6と、左右のサイドカバー4,4と、前方のフロントグリル3によって覆い、ラジエータ9の前方に防塵ネット44を配置した作業車両であって、ラジエータ9の真正面側に、所定間隔Dを空けて、前記左右のサイドカバー4,4及びフロントグリル3を取付固定する固定部材17を起立状態で立設し、該所定間隔Dが防塵ネット44の厚みよりも長く且つ防塵ネット44の前後位置が定まる長さに設定され、防塵ネット44を前記固定部材17と前記ラジエータ9との間に挿入することにより、該防塵ネット44の前後の位置決めを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ラジエータの前方に防塵ネットを配置した作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン及びラジエータを有する原動部を、上方側のボンネットフードと、左右のサイドカバーと、前方のフロントグリルによって覆い、ラジエータの前方に防塵ネットを配置した特許文献1に示す作業車両が公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234354号(第3−4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献の作業車両は、防塵ネットをラジエータの正面側に位置決めする部材を別途用意する必要があり、部品点数が増加して、コストを低く抑えることが難しい。
本発明は、ラジエータの前方に防塵ネットを配置した作業車両であって、コストを低減させることが可能な作業車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、第1に、エンジン8及びラジエータ9を有する原動部11を、上方側のボンネットフード6と、左右のサイドカバー4,4と、前方のフロントグリル3によって覆い、ラジエータ9の前方に防塵ネット44を配置した作業車両であって、ラジエータ9の真正面側に、所定間隔Dを空けて、前記左右のサイドカバー4,4及びフロントグリル3を取付固定する固定部材17を起立状態で立設し、該所定間隔Dが防塵ネット44の厚みよりも長く且つ防塵ネット44の前後位置が定まる長さに設定され、防塵ネット44を前記固定部材17と前記ラジエータ9との間に挿入することにより、該防塵ネット44の前後の位置決めを行うことを特徴としている。
【0006】
第2に、ラジエータ9の左右両側部を、固定部材17にそれぞれ取付固定する左右の取付ブラケット43,43を設け、該左右の取付ブラケット43,43間の距離Lが、防塵ネット44の左右幅よりも長く且つ防塵ネット44の左右位置が定まる長さに設定され、該左右の取付ブラケット43,43の間に防塵ネット44を挿入することにより、該防塵ネット44の左右の位置決めを行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、左右のサイドカバー及びフロントグリルを取付固定する固定部材が、防塵ネットの前後の位置決めを行う部材としても兼用されるため、部品点数が減少して、製造コストを低く抑えることが可能になる。
【0008】
また、ラジエータの左右両側部を、固定部材にそれぞれ取付固定する左右の取付ブラケットを設け、該左右の取付ブラケットの間に、防塵ネットを挿入すれば、ラジエータを取付固定する左右の取付ブラケットが、防塵ネットの左右の位置決めを行う部材としても機能するため、部品点数をさらに減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの要部斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】エンジンルームの構成を示す斜視図である。
【図4】ラジエータ及びその周辺の構成を示す分解斜視図である。
【図5】トラクタの要部分解平面図,A矢視図である。
【図6】ラジエータの支持構造を示す要部平面図である。
【図7】(A)は防塵ネットの取付作業の途中の状態を示す側面図であり、(B)は防塵ネットの取付作業が完了した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の作業車両を適用した農業用のトラクタの要部斜視図である。図示するトラクタは、図示しない4つの車輪を有する走行機体1と、該走行機体1の後部に昇降自在に連結されたロータリ耕耘装置等の作業機(図示しない)とを備え、圃場において、走行機体1を前進走行させながら、作業機によって、耕耘作業等の各種作業を行う。
【0011】
走行機体1は、前後方向に延びる金属製の車台2を備え、前方を金属製のフロントグリル3、左右側方を金属製のサイドカバー4,4、上方を金属製のボンネットフード(ボンネット)6によってそれぞれ覆ったエンジンルーム7を、車台2上の前半部に形成し、エンジン8及びラジエータ9からなる原動部11を該エンジンルーム7内に収容し(図2及び3参照)、車台2上におけるエンジンルーム7の後方位置にオペレータが乗込む操縦部12を設置している。ボンネットフード6は、後端部を支点に上下揺動自在に走行機体1に取付支持されており、このボンネットフード6の上下揺動によって、エンジンルーム7の上方側か開閉される。
【0012】
図2は、図1の分解斜視図であり、図3は、エンジンルームの構成を示す斜視図であり、図4は、ラジエータ及びその周辺の構成を示す分解斜視図である。車台2は、前後方向に形成された左右一対の縦フレーム13,13と、左右の縦フレーム13,13の前端部に溶接等で取付固定された単一の左右方向のバンパー14と、バンパー14後方に位置して左右の縦フレーム13,13の前部の間に載置状態で架設固定された水平板状の支持台(支持部材)16と、支持台16と平面視互いに少なくとも一部がラップするように配置され且つ該支持台16よりも後端部が後方側に配置固定されたラジエータ支持台15とを備えている。
【0013】
エンジン8は、平面視支持台14の後方に配置され、該エンジン8の真正面側近傍には、正面視方形状をなして前後長が短い直方体状のラジエータ9が位置しており、このラジエータ9の真正面側近傍には、支持台16の後端部から上方側に延出された固定部材17が配置されている。この固定部材17に、左右方向のノブ付ボルト(固定具)18を介して、サイドカバー4及びフロントグリル3が共締め固定されるとともに、ラジエータ9が連結固定される他、該固定部材17の上面側によって閉状態のボンネットフード6の下面側が受止められるが、詳細は後述する。
【0014】
走行機体1の前進走行中、前後方向に通気性を有する前記フロントグリル3を介して、エンジンルーム7内に導入されたエアは、エンジン動力によって駆動される冷却ファン等によって、ラジエータ9のコア部9a側に吸気され、ラジエータ9内を流れる冷却水を冷却した後、サイドカバー4に穿設された多数の通気孔4a等からエンジンルーム7外に排気される。ちなみに、ラジエータ9側で冷却された冷却水は、エンジン8に戻され、該エンジン8を冷却した後、再びエジエータ9側に送られ、このサイクルが繰返される。
【0015】
最初に、図2及び4に基づき、固定部材17の構成について説明する。
固定部材17は、上下方向に延びる左右一対の縦プレート19,19と、左右の縦プレート19,19の上端部間に架設固定される左右方向の横プレート21とを備え、これによって、固定部材17の全体形状は、正面視ゲート状に成形されている。
【0016】
具体的には、厚み方向が左右方向を向けられた左右の縦プレート19,19の上端部を、厚み方向が上下方向を向けられた横プレート21の左右箇所に、それぞれに挿通させ、溶接等によって溶着固定することにより、正面視逆U字状をなしている。このようにして、各縦プレート19の上端部は、横プレート21の上面から上方側に突出した被取付部19aを構成している。該被取付部19aは、縦プレート19の他の部分よりも前後幅が狭い側面視方形状に成形されており、この左右の被取付部19a,19aには、フロントグリル3及び左右のサイドカバー4,4が取付固定される。
【0017】
また、各縦フレーム19は、その下部が下方向かって左右内側に傾斜するように屈曲され、さらに下方側の下端部が鉛直方向を向くように、左右外側に屈曲されており、このため、左右の縦プレート19,19間の距離は、下部に対して上部及び中途部が長く設定されている。この他、左右一方側(図示する例では右側)の縦プレート19の下端は、支持台16の上面に溶接等で溶着固定され、他方側の縦プレート19の下端部は、支持台16を貫通して縦フレーム13側に臨んでおり、この他方側の縦フレーム19の下端部を、該縦フレーム13にボルト固定している。
【0018】
このようにして、車体側に高い強度で取付固定された起立状態の固定部材17の上面側(具体的には、横プレート21の上面側)における左右の被取付部19a,19aの間には、ボンネットフード6を受止めてロックするロック機構22が設けられる他、この固定部材17の前方側近傍には、支持台16上に載置された直方体状のバッテリ23が配置されている。
【0019】
上記ロック機構22は、固定部材17にボルト固定される側面視L字状のロック側ブラケット24と、ロック側ブラケット24の前面側に左右回動自在に支持された正面視フック状をなすロック部材26とを備えている。ロック部材26は、フック状部分がロック側ブラケット24に近づくように、引張スプリング等の弾性部材27によって、弾性的に付勢されている。
【0020】
開状態のボンネットフード6を下方揺動させると、ボンネットフード6下面側に設けられた図示しないストライカが、ロック部材26の上端側に形成された傾斜部26aに接当し、上記弾性部材27の弾性力に抗して、ロック側ブラケット24からフック状部分が遠ざかる側に前記ロック部材26を回動作動させる。
【0021】
続いて、ボンネットフード6をさらに下方位置に揺動させると、ストライカが、正面視で、ロック側ブラケット24と、ロック部材26との間のスペースに落込むことにより、傾斜部26aとストライカとの当接が解除され、弾性部材27の弾性力によって、ロック部材26のフック状部分がロック側ブラケット24に近づくように、該ロック部材26が回動作動され、これによって、ストライカが、ロック部材26のフック状部分に係止され、上方側への移動が規制された状態になり、これによって、ボンネットフード6が閉状態でロックされる。
【0022】
一方、ボンネットフード6が閉状態でロックされている際に、ワイヤ等の連係機構28によって、ロック部材26のフック状部分がロック側ブラケット24から遠ざかるように、該ロック部材26を回動操作すると、ロックが解除され、ボンネットフード6を上方揺動させることが可能になり、これによって、ボンネットフード6を開状態とすることができる。
【0023】
上記バッテリ23は、バッテリ取付具29によって、固定部材17に対して取付固定されている。バッテリ取付具29は、バッテリ23の上面前縁側及び前面上縁側に当接する左右方向に延びるアングル状の当接体30と、該当接体30の左右の各端部に設けられた連結棒31とから構成されている。この左右の連結棒31,31は、後方に向かって下方に傾斜した状態で、それぞれ近い側の縦プレート19,19に連結されている。
【0024】
具体的には、各連結棒31の後端部を外側方に曲げ形成することによりフック部31aを構成する一方で、各縦プレート19には、フック部31aを挿通して引掛ける連結孔19bを穿設されている。
【0025】
そして、左右の連結棒31,31のフック部31a,31aを、それぞれ近い側の縦プレート19,19の連結孔19b,19bに引掛けて係止すると、バッテリ23の前面上端側が、当接体30が当接するとともに、バッテリ23の背面下端側が、左右の縦プレート19,19の下端部間に配置され且つ支持台16上に溶着固定された左右方向のアングル状の受プレート32の前面に受止められ、バッテリ23の左右の側面が、左右の連結棒31,31に近接又は接触した状態になる。このようにして、前後及び左右動が規制された状態で、バッテリ23が固定部材17側に固定される。
【0026】
次に、図2及び5に基づき、フロントグリル3及び左右のサイドカバー4,4の構成について説明する。
図5は、トラクタの要部分解平面図,A矢視図である。フロントグリル3及びサイドカバー4は、車体側の前記支持台16上に係止状態で載置支持されるとともに固定部材17側に取付固定される。
【0027】
上記左右の各サイドカバー4は、側面視前後方向に長い方形状をなすプレート状部材であって、正面視外側方に向かって円弧状に膨出した形状を有している。サイドカバー4の前縁部内側面の下端側には、側面視上下方向に長い方向状をなす金属製の係止片(係止部)33が、下方に突出した状態で、一体的に設けられる一方で、サイドカバー4の内側面の上端部には、該サイドカバー4から前方側に突出する金属製の取付具(取付部)34が一体的に取付固定されている。この他、サイドカバー4の内側面の後端部には、上下一対の金属製の被係止部(図示しない)が設けられている。
【0028】
係止片33は、下方に向かって左右内側に傾斜形成され、その下端部が鉛直方向に延びている。取付具34は、サイドカバー4の内側面に固定される基端部に対して先端部が前方且つ左右内側に位置するように、中途部の複数個所が曲げ形成されており、この取付具33の先端部は、側面視方形状に形成さている。
【0029】
そして、エンジンルーム7の後壁から前方側に一体的に突出形成された複数の各係止棒36が、対応する各被係止部に挿通されるようにして、左右の各サイドカバー4の係止片33下端部を、支持台16後端部の左右にそれぞれ穿設されたサイドカバー側係止孔(係止部)16a,16aに挿入又は挿通させ、左右の各サイドカバー4を、支持台16上に位置決め載置すると、左右の各サイドカバー4の各取付具34の先端部が、近い側の前記被取付部19aの側面(さらに具体的には外側面)近傍に位置した状態になる。
【0030】
上記フロントグリル3は、平面視後方が開放されたU字状に湾曲成形され、このフロントグリル3の正面側等には、メッシュ状部3a(図1参照)が形成され、前後方向の通気性が確保される他、フロントグリル3の左右両側部には、前方を照らす作業灯37(図1参照)がそれぞれ設置される。このフロントグリル3の上端部には金属製の取付具(取付部)38が左右一対で固設されるとともに、フロントグリル3の下端面は、支持台16の上面に沿うフラットな被支持側面3bとなり、該被支持側面3bは、フロントグリル3の平面視形状に沿うように、底面視後方が開放されたU字状に形成されている。
【0031】
左右の各取付具38は、上方斜め後方に延びる前部及び中途部に対して、後部が下方に折れ曲がって真後ろ方向に延出されており、この取付具38の後端部には、後方が開放された切欠き状部38aが形成されている。
【0032】
また、被支持側面3bには、上下方向の複数の突起部39が下方に向かって一体的に突出形成されている。具体的には、被支持側面3bにおける前側位置となる左右方向中央部に、上記突起部39が左右一対で設けられているとともに、被支持側面3bの左右の後端部にも、上記突起部39がそれぞれ設けられている。
【0033】
この複数の突起部39を、それぞれ支持台16に穿設された複数のフロントグリル側係止孔(係止部)16bに、挿入又は挿通(図示する例では挿通)させ、該フロントグリル3を係止状態で位置決め載置すると、フロントグリル3の各取付具38の後端部が、近い側の前記被取付部19aの側面(さらに具体的には外側面)近傍に位置した状態になる。
【0034】
ちなみに、このように、支持台16のフロントグリル側係止孔16aに、フロントグリル3の突起部39を挿入させる際には、上方側に向かって前傾姿勢させた状態のフロントグリル3の下端側を、左右一対の連結棒31,31の載せ、該フロントグリル3を、連結棒31の沿って後方斜め下方にスライド移動させる。これによって、フロントグリル3が支持台19上の所定位置にガイドされ、突起部39を円滑にフロントグリル側係止孔16aに挿入係止させることが可能になる。すなわち、左右の連結棒31,31は、取付作業の際にフロントグリル3を最適な取付位置に案内するガイド部材としても機能している。
【0035】
この際、フロントグリル3の左右の各取付具38を、近い側のサイドカバー4の取付具34と、近い側の被取付部19aとの間に位置させ、このフロントグリル3の取付具38と、サイドカバー4の取付具33とを、ナット41及び上述した左右方向のノブ付ボルト18によって、共締め状態で、締着固定させる。
【0036】
以上のようにして、固定部材17に共締めされた状態では、左右のサイドカバー4,4の前縁部が、フロントグリル3における左右の後端部内側面にそれぞれ差込まれるため、係止片32を含めた各サイドカバー4の前縁部外側面側は、フロントグリル3の後端部にカバーされて保護される。また、これによって、フロントグリル3の左右の側面と、左右のサイドカバー4,4の外側面とは、一体的に連接される。
【0037】
これに加えて、ボンネットフード6が閉塞されると、左右のサイドカバー4,4の上縁部が、ボンネットフード6の下端部内面側に位置し、これによって、各サイドカバー4の上縁部の外側面が、ボンネットフード6によってカバー保護される。また、これによって、ボンネットフード6の左右の側部と、左右のサイドカバー4,4の外側面とが一体的に連接される。
【0038】
一方、フロントグリル3とサイドカバー4の共締め固定時、フロントグリル3側では、後方が開放した前記切欠き状部38aに、ノブ付ボルト18が挿通されるので、左右の各ノブ付ボルト18を緩めて、フロントグリル3を前方側に移動又は傾斜させれば、ノブ付ボルト18を被取付部19aから取外すこと無く、フロントグリル3の左右の取付具38,38を、固定部材17側(さらに具体的には左右の被取付部19a,19a及びノブ付ボルト18,18)から取外す(離脱させる)ことが可能になるため、着脱作業の手間が軽減される。
【0039】
最後に、図2乃至4と、図6及び7とに基づきラジエータ9の構成について詳述する。
ラジエータ9は、コア部9aの前後が開放されるようにして左右の側部及び上下の端部が枠体9bによってカバーされた状態で、支持されている。また、ラジエータ9の下端部の左右対称位置には、それぞれ防振部材42を設けられており、この左右一対の防振部材42,42は、弾性変形可能なゴム等の合成樹脂から構成され、上下方向の延びる円筒状に成形されている。
【0040】
一方、左右の縦フレーム13,13には、左右の防振部材42,42が位置決め載置される側面視下方に窪んだ凹状の載置部13a,13aがそれぞれ形成されるとともに、支持台16及びラジエータ支持台15には、防振部材42,42の周面に沿って近接又は当接する平面視円弧状の切欠き状部16c,15aが形成されている。
【0041】
このようにして、左右の各防振部材42の周面を円弧状の切欠き状部16a,15aに近接又は接触させた状態で、該防振部材42を、対応する縦フレーム13の載置部13aに載置すると、ラジエータ9が、前後及び左右への移動が規制された状態で、左右の縦フレーム13,13上に位置決め支持される。
【0042】
左右の縦フレーム13,13に載置支持されたラジエータ9の左右両側部(具体的には、枠体9bの左右両側面)は、前後方向に延びるプレート状の取付ブラケット43によって、固定部材17の左右の側面にそれぞれ取付固定されている。ラジエータ9及び固定部材17の左右両端側にそれぞれ配置される左右の各取付ブラケット43は、ラジエータ9よりも左右幅が狭い固定部材17に対応して、その前後中途部が、左右内側に曲げ形成される。そして、取付ブラケット43の後端部をラジエータ9の枠体9b側面にボルト固定する一方で、前端部を固定部材17の縦プレート19の外側面にボルト固定することにより、ラジエータ9の側部が、固定部材17の側部に連結固定される。
【0043】
このようにして、車台2側に取付支持されるラジエータ9は、防振部材42,42を介して、左右の縦フレーム13,13上に載置されるため、ラジエータ9側にエンジン8側の振動が伝わることが効率的に防止される。
【0044】
また、ラジエータ9の正面と、固定部材17の後端との間に形成された隙間Sには、左右の取付ブラケット43,43の間に位置し且つ正面視方形状をなす板状の防塵ネット44が挿入される。この防塵ネット44は、多数の孔が穿設された板状部材又は網板等からなり、該防塵ネット44を、ラジエータ9の正面側近傍に位置決め固定することにより、エジエータ9のコア部9a等への埃等の侵入を防止している。
【0045】
図6は、ラジエータの支持構造を示す要部平面図であり、図7(A)は防塵ネットの取付作業の途中の状態を示す側面図であり、(B)は防塵ネットの取付作業が完了した状態を示す側面図である。図6及び7に基づき、防塵ネット44の取付構造を、さらに具体的に説明すると、ラジエータ9の真正面側に、所定間隔Dを空けて、前記起立状態の固定部材17が配置することにより、隙間Sを形成しており、該所定間隔Dは、防塵ネット44の板厚(前後の厚み)よりも長く、且つ、防塵ネット44の前後位置が定まる長さに設定されている。
【0046】
また、ラジエータ9の左右の側部を固定部材17にそれぞれ連結固定する左右の取付ブラケット43,43における後端部の間の距離Lは、防塵ネット44の左右幅よりも長く、且つ、防塵ネット44の左右位置が定まる長さに設定されている。
【0047】
さらに、ラジエータ9の枠体9bの正面下端側からは、上方斜め前方に向かって左右一対のプレート状の受止め部46,46が一体的に突出形成されている他、水平板状の横プレート21の後縁部は、縦プレート19に対して、後方に延出されており、該後縁部を下方に向かって湾曲形成されることにより、ガイド部21aを構成している。
【0048】
そして、平面視において、左右の取付ブラケット43,43と、ラジエータ9と、固定部材17とによって、四方が囲繞された隙間Sに、上方側から、防塵ネット44を、差込む際、下方に湾曲形成されたガイド部21aによって、防塵ネット44がスムーズに隙間S内に挿入されていく(図7(A)参照)。この状態から、防塵ネット44をさらに下方に向かって深く挿入すると、防塵ネット44の下端部が、受止め部46に接当し(さらに具体的には、受止め部46とラジエータ9正面側との間に係止され)、それ以上、防塵ネット44が下方に移動しない状態になり、該防塵ネット44の取付が完了する(図7(B)参照)。
【0049】
該状態では、左右の取付ブラケット43,43によって、防塵ネット44の左右位置が定まり、ラジエータ9及び固定部材17によって、防塵ネット44の前後位置が定まり、ガイド部21aとラジエータ9の正面側とによって、防塵ネット44の上端部が挟持された状態になり、車台2側に防塵ネット44が取付固定される。ちなみに、このようにして、防振ネット44の上端側を係止するため、ガイド部材21aと、ラジエータ9との間の間隔は、防振ネット44の板厚と略同一又は板厚よりも若干長い程度に設定されている。
【符号の説明】
【0050】
3 フロントグリル
4 サイドカバー
6 ボンネットフード(ボンネット)
8 エンジン
9 ラジエータ
11 原動部
17 固定部材
44 防塵ネット
43 取付ブラケット
D 所定間隔
L 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(8)及びラジエータ(9)を有する原動部(11)を、上方側のボンネットフード(6)と、左右のサイドカバー(4),(4)と、前方のフロントグリル(3)によって覆い、ラジエータ(9)の前方に防塵ネット(44)を配置した作業車両であって、ラジエータ(9)の真正面側に、所定間隔(D)を空けて、前記左右のサイドカバー(4),(4)及びフロントグリル(3)を取付固定する固定部材(17)を起立状態で立設し、該所定間隔(D)が防塵ネット(44)の厚みよりも長く且つ防塵ネット(44)の前後位置が定まる長さに設定され、防塵ネット(44)を前記固定部材(17)と前記ラジエータ(9)との間に挿入することにより、該防塵ネット(44)の前後の位置決めを行う作業車両。
【請求項2】
ラジエータ(9)の左右両側部を、固定部材(17)にそれぞれ取付固定する左右の取付ブラケット(43),(43)を設け、該左右の取付ブラケット(43),(43)間の距離(L)が、防塵ネット(44)の左右幅よりも長く且つ防塵ネット(44)の左右位置が定まる長さに設定され、該左右の取付ブラケット(43),(43)の間に防塵ネット(44)を挿入することにより、該防塵ネット(44)の左右の位置決めを行う請求項1に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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