説明

作業車

【課題】移動体が所定の移動範囲を超えて移動したときにおいても、位置検出機構の故障を防止できる作業車を提供する。
【解決手段】アクチュエータMの駆動により移動可能な移動体8と、移動体8に取り付けられた被検出体31a、31bと、被検出体31a、31bに接触して揺動可能な接触子32aを有する位置検出機構32と、位置検出機構32にて被検出体31a、31bを検出するとアクチュエータMの駆動を停止させる制御機構とを設け、被検出体31a、31bに当接して移動体8の移動を規制する固定のストッパ33を設け、接触子32aが被検出体31a、31bに接触した状態を維持しながら、被検出体31a、31bがストッパ33に当接するように、位置検出機構32及びストッパ33を配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータの駆動により移動可能な移動体と、前記移動体に取り付けられた被検出体と、前記被検出体に接触して揺動可能な接触子を有する位置検出機構と、前記位置検出機構にて被検出体を検出するとアクチュエータの駆動を停止させる制御機構とを設けた作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記作業車としてのコンバインを例に挙げて説明する。例えば、図4に示すように、機体フレーム2に回動可能に設けられた縦オーガ8(移動体の一例)に突出ピン31(被検出体の一例)を取り付けると共に、その突出ピン31に接触して揺動可能な回動レバー32a(接触子の一例)を有する位置検出機構32を設ける。例えば、穀粒をトラックの荷台に排出する場合には、アクチュエータMの駆動により縦オーガ8を軸芯X周りで回動させ、横オーガ9の排出口をトラックの荷台の上方に位置させ、縦オーガ8に設けられたスクリュー8bおよび横オーガ9に設けられたスクリュー9bの回転により穀粒を排出する。縦オーガ8が所定の回動範囲を超えて回動しようとすると、例えば、図8、図9に示すように、回動レバー32aが突出ピン31に接触して揺動する。回動レバー32aが中立位置(図8(a)の紙面左側の回動レバー32aの位置および紙面右側の回動レバー32aの2点鎖線の位置、図9(a)の紙面左側の回動レバー32aの2点鎖線の位置および紙面右側の回動レバー32aの位置)から所定の量を超えて一方側に揺動するとアクチュエータの駆動を停止させる。
【0003】
従来、この種の作業車としてのコンバインでは、単に、縦オーガ8が所定の回動範囲を超えて回動しようとすると、位置検出機構32にて突出ピン31を検出してアクチュエータMの駆動を停止させるものであった。尚、このような位置検出機構32を用いてアクチュエータMの駆動を停止させる技術は、当業者が行う通常の技術であり、先行技術文献等は示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、図12に示すように、縦オーガ8が反時計回りに回動するときに(図12(a)を参照)、縦オーガ8の回動の慣性や位置検出機構32の検出不良等により、縦オーガ8が所定の回動範囲(図12(b)を参照)を超えて移動する場合がある。このとき、回動レバー32aが突出ピン31から外れる場合がある(図12(c)を参照)。回動レバー32aが突出ピン31から外れると、回動レバー32aが他方側に揺動して中立位置(図12(c)の回動レバー32aの2点鎖線の位置)に弾性復帰する。この状態から縦オーガ8が時計回りに回動すると、回動レバー32aが中立位置(図12(d)の回動レバー32aの2点鎖線の位置)から他方側に揺動することになり(図12(d)を参照)、回動レバー32aの位置が適正検出範囲から外れて位置検出機構が故障するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、移動体が所定の移動範囲を超えて移動したときにおいても、位置検出機構の故障を防止できる作業車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、アクチュエータの駆動により移動可能な移動体と、前記移動体に取り付けられた被検出体と、前記被検出体に接触して揺動可能な接触子を有する位置検出機構と、前記位置検出機構にて被検出体を検出するとアクチュエータの駆動を停止させる制御機構とを設けたものであって、その第1特徴構成は、前記被検出体に当接して移動体の移動を規制する固定のストッパを設け、前記接触子が被検出体に接触した状態を維持しながら、前記被検出体がストッパに当接するように、前記位置検出機構及びストッパを配置してある点にある。
【0007】
本構成によれば、例えば、図11に示すように、縦オーガ8(移動体の一例)が反時計回りに回動して(図11(a)、(b)を参照)、縦オーガ8が所定の回動範囲を超えて回動したときに、回動レバー32a(接触子の一例)が突出ピン31(被検出体の一例)に接触した状態を維持しながら、突出ピン31がストッパ33に当接する(図11(c)を参照)。この状態から縦オーガ8が時計回りに回動すると、回動レバー32aが突出ピン31から離れて中立位置に弾性復帰するのである(図11(d)を参照)。これにより、回動レバー32aが中立位置から他方側に揺動する状態(図12(d))は生じない。その結果、接触子の位置が適正検出範囲から外れて位置検出機構が故障することを防止できる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記アクチュエータをブラケットを介して移動体に対して機体フレームの側に取り付けると共に、そのブラケットに位置検出機構及びストッパを取り付けてある点にある。
【0009】
本構成によれば、アクチュエータをブラケットを介して移動体に対して機体フレームの側に取り付けると共に、そのブラケットに位置検出機構及びストッパを取り付けてあるので、アクチュエータを移動体に対して機体フレームの側に取り付けるためのブラケットを位置検出機構及びストッパを取り付ける構成に兼用して構成の簡素化を図ることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記移動体が回転可能な回転体であり、前記回転体の外周部にアクチュエータのギヤに噛合するリングギヤを設け、前記被検出体がリングギヤの両側面に設けられた突出ピンであり、前記位置検出機構及びストッパをリングギヤを挟んで振り分け配置してある点にある。
【0011】
本構成によれば、回転体の外周部にリングギヤを設けると共に、そのリングギヤの両側面に突出ピンを設け、位置検出機構及びストッパをリングギヤを挟んで振り分け配置してあるので、リングギヤを挟んで位置検出機構及びストッパが振り分け配置されることになり、全体のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】コンバインを示す側面図である。
【図2】コンバインを示す平面図である。
【図3】コンバイン後部を示す側面図である。
【図4】コンバインを示す側面図である。
【図5】伝動状態を示す図である。
【図6】回転規制装置を示す斜視図である。
【図7】回転規制装置を示す側面図である。
【図8】回転規制装置を示す平面図である。
【図9】回転規制装置を示す平面図である。
【図10】縦オーガの回動範囲を示す平面図である。
【図11】突出ピン及び回動レバーの各状態を示す平面図である。
【図12】従来の突出ピン及び回動レバーの各状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る作業車の一例としてのコンバインの全体構成について説明する。
図1に示すように、コンバインは、クローラ走行装置1、そのクローラ走行装置1の上部に設けられた機体フレーム2、その機体フレーム2の前部に設けられた刈取部3等を備えている。機体フレーム2には、作業者が運転する操縦部4、刈取穀稈を脱穀および選別する脱穀部5、その脱穀部5から供給される穀粒を貯留するグレンタンク6、そのグレンタンク6から機外に穀粒を排出するアンローダ7等を備えている。尚、本実施形態では普通型コンバインを例示したが、これに限られるものではなく、自脱型コンバインであってもよい。
【0014】
図2〜図5に示すように、前記アンローダ7は、グレンタンク6に接続され、グレンタンク6に貯留された穀粒を上方に搬送する縦オーガ8(移動体の一例)、縦オーガ8にて搬送された穀粒をトラック等の荷台に排出する横オーガ9、縦オーガ8と横オーガ9とを連結する接続部材10等を備えている。縦オーガ8は、筒状の外装ケース8aと、その外装ケース8aの内部に配設された縦送りスクリュー8bとを有している。横オーガ9は、筒状の外装ケース9aと、その外装ケース9aの内部に配設された横送りスクリュー9bとを有している。接続部材10は、筒状の外装ケース10aと、その外装ケース10aの内部に配設された横送りスクリュー10bとを有している。
【0015】
前記グレンタンク6の下部には排出スクリュー11が配設されている。グレンタンク6の後側にはロアケース12が取り付けられている。排出スクリュー11がロアケース12及びグレンタンク6に回転可能に支持されている。排出スクリュー11の一端側がロアケース12から突出しており、その突出部に一方のプーリ13aが取り付けられている。ロアケース12と機体フレーム2とに亘って筒状部材17が設けられ、第1軸部材14が筒状部材17に回転可能に支持されている。第1軸部材14の一端側が筒状部材17から突出しており、その突出部に他方のプーリ13bが取り付けられている。それら一対のプーリ13a、13bを巻回するベルト15が設けられている。第1軸部材14の他端部には一方のベベルギヤ16aが取り付けられている。縦送りスクリュー8bの下端部には、一方のベベルギヤ16aに噛合する他方のベベルギヤ16bが取り付けられている。縦送りスクリュー8bの上端部には一方のベベルギヤ18aが取り付けられている。横送りスクリュー10bの他端部にはその一方のベベルギヤ18aに噛合する他方のベベルギヤ18bが取り付けられている。横送りスクリュー10bの一端部には一方のベベルギヤ19aが取り付けられている。横送りスクリュー9bの基端部にはその一方のベベルギヤ19aに噛合する他方のベベルギヤ19bが取り付けられている。
【0016】
以上の構成により、エンジンEの駆動により排出スクリュー11が回転すると、その排出スクリュー11に連動連結されている縦送りスクリュー8bが回転し、その縦送りスクリュー8bに連動連結されている横送りスクリュー10bが回転し、その横送りスクリュー10bに連動連結されている横送りスクリュー9bが回転する。これにより、グレンタンク6の穀粒は、縦送りスクリュー8bの回転により縦オーガ8を通って上方に搬送され、横送りスクリュー9bの回転により横オーガ9を通って先端側に搬送され、横オーガ9の先端に設けられた排出口9cを通って排出される。また、一対のプーリ13a、13bを巻回するベルト15が設けられているので、穀粒の詰まり等により、縦送りスクリュー8b、横送りスクリュー9b、10bに大きなトルクが掛かったとしても、ベルト15が滑ることにより破損を防止できる。
【0017】
図3、図4に示すように、前記縦オーガ8の外装ケース8aには、リングギヤ21が固着されている。縦オーガ8の外装ケース8aの下端部がロアケース12の上側筒部12aに相対回転可能に内嵌されている。ロアケース12の上側筒部12aにてリングギヤ21が載置支持されている。機体フレーム2には、第1縦フレーム22及び第2縦フレーム25が立設されている。第1縦フレーム22の上部には、第1取付部材26が設けられている。第2縦フレーム25と第1取付部材26とに亘って横フレーム27が架設されている。第1取付部材26には、縦オーガ8の中間部を回動可能に保持する第2取付部材28が設けられている。グレンタンク6には、縦オーガ8の上部を回動可能に保持する第3取付部材29が設けられている。第1縦フレーム22には、ブラケットBを介してモータM(アクチュエータの一例)が取り付けられている。モータMの回転軸には、リングギヤ21に噛合するギヤ23が固定されている。モータMの駆動により縦オーガ8を縦軸芯X周りに回動可能に構成されている。
【0018】
接続部材10の外装ケース10aと横オーガ9の外装ケース9aとに亘って油圧シリンダ24が設けられている。油圧シリンダ24の伸縮により横オーガ9を上下方向に揺動可能に構成されている。
【0019】
グレンタンク6の穀粒をトラックの荷台(図示しない)に排出する場合には、油圧シリンダ24を伸長させて横オーガ9の先端を起立させ、モータMを駆動させてアンローダ7を旋回させて、横オーガ9の排出口9cをトラックの荷台の上方に位置させる。その後、排出スクリュー11、縦送りスクリュー8b、横送りスクリュー9b、10bを回転させて、横オーガ9の排出口9cから穀粒を排出する。
【0020】
図6〜図9に示すように、前記アンローダ7には、縦オーガ8の回動を規制する回転規制装置Cが設けられている。前記回転規制装置Cは、縦オーガ8の外周部に取付けられたリングギヤ21の上面から突出する上側の突出ピン31a(被検出体の一例)、平面視で上側の突出ピン31aと同じ位置においてリングギヤ21の下面から突出する下側の突出ピン31b(被検出体の一例)、上側の突出ピン31aに接触して揺動可能な回動レバー32a(接触子の一例)を有する一対の位置センサ32(位置検出機構の一例)、下側の突出ピン31bに当接して縦オーガ8の回動を規制する一対の固定のストッパ33、位置センサ32にて上側の突出ピン31aを検出するとモータM(アクチュエータの一例)の駆動を停止させるCPU(制御機構の一例。図示しない。)等を備えている。リングギヤ21の貫通孔にピンを挿入固定し、そのピンの上部を上側の突出ピン31aとし、下部を下側の突出ピン31bとすることにより、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとを平面視で同じ位置に設けている。これにより、リングギヤ21の貫通孔にピンを挿入固定するだけの簡単な組み付け作業で、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとを平面視で同じ位置に設けることができる。
【0021】
本実施形態では、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとを平面視で同じ位置に設ける構成を例示した。しかし、平面視で略同じ位置に設けてもよく、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとを、周方向に位相をずらせて設けてもよい。
また、上側の突出ピン31aが下側の突出ピン31bよりも長い構成を例示したが、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとが同じ長さでもよく、あるいは、上側の突出ピン31aが下側の突出ピン31bよりも短くてもよい。また、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとを1組設ける構成を例示したが、上側の突出ピン31aと下側の突出ピン31bとを複数組設けてもよい。
さらに、リングギヤ21のいずれか一方の面から突出する突出ピン31を設け、その突出ピン31に接触して揺動可能な回動レバー32aを有する一対の位置センサ32、および、その突出ピン31に当接して縦オーガ8の回動を規制する一対の固定のストッパ33を設けてもよい。
【0022】
前記第1縦フレーム22には、第1取付部材35が固着されている。第1取付部材35は、矩形板状の平板部35a、平板部35aの上端から横方向に延びる略台形状の上側の折曲部35b、平板部35aの下端から横方向に延びる略台形状の下側の折曲部35cを備えて、断面形状が横向きに開口したコ字状に構成されている。上側の折曲部35bおよび下側の折曲部35cには、夫々三角形状の切欠35d、35eが形成されている。それら切欠35d、35eが第1縦フレーム22の隅部に嵌りあう状態で固着されている。
【0023】
前記第1取付部材35の側部には、第2取付部材36が取り付けられている。第2取付部材36は、上面にてモータMを載置固定する切欠36dが形成された円板状の支持部36a、支持部36aの一方側の端部から下方に延びる一方側の折曲部36b、支持部36の他方側の端部から下方に延びる他方側の折曲部36cを備えて、断面形状が下向きに開口したコ字状に構成されている。切欠36dが縦オーガ8に沿う状態で近接している。第1取付部材35の平板部35aと第2取付部材36の一方側の折曲部36bとがボルト等の締結手段にて固定されている。一方側の折曲部36bおよび他方側の折曲部36cの先端側(縦オーガ8の側)は、夫々内側に折り曲げられている。これにより、折曲部36b、36cの先端側には、夫々固定のストッパ33が形成されている。それら一対のストッパ33の間隔が、縦オーガ8に向かうほど幅狭になっている。
【0024】
一対のストッパ33を連結する平板状の連結部材37と、一対のストッパ33を連結すると共に連結部材37の下面に接続する略く字状で平板状の支持部材38とが設けられている。これにより、一対のストッパ33が連結部材37及び支持部材38により補強されている。さらに、一対のストッパ33が上側筒部12aに固着されている。
【0025】
一方の位置センサ32(図8(a)、図9(a)の紙面右側の位置センサ32)は、縦軸芯回りに揺動可能な回動レバー32aを有している。回動レバー32aが中立位置に復帰するように、回動レバー32aと一方の位置センサ32とに亘って弾性バネ(図示しない)が取り付けられている。回動レバー32aが中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動するとモータMの駆動を停止させる。中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動した最大揺動位置までの範囲が回動レバー32aの適正検出範囲を構成する。
【0026】
図7に示すように、前記一方の位置センサ32は、一方の取付片41を介して第1取付部材35の上側の折曲部35bに取り付けられている。一方の取付片41は、平板状の第1取付部分41aと、その第1取付部分41aの端部に接続する平板状の第2取付部分41bとを備えている。上側の折曲部35bの上面に第1取付部分41aが固定され、第2取付部分41bに一方の位置センサ32が取り付けられている。
【0027】
他方の位置センサ32(図8(a)、図9(a)の紙面左側の位置センサ32)は、一方の位置センサ32とほぼ同じ構成であり、他方の取付片42を介して第2取付部材36の他方側の折曲部36cに取り付けられている。他方の取付片42は、平板状の第1取付部分42aと、その第1取付部分42aの端部に接続する平板状の第2取付部分42bと、その第2取付部分42bの端部に接続する平板状の第3取付部分42cとを備えている。他方側の折曲部36cの側面に第1取付部分42aが固定され、第3取付部分42cに他方の位置センサ32が取り付けられている。以上の構成により、第1取付部材35および第2取付部材36が、モータMを縦オーガ8に対して機体フレーム2の側に取り付けるブラケットBを構成する。
【0028】
以下、縦オーガ8が所定の回動範囲を超えて回動したときに、縦オーガ8の移動が規制される動作について説明する。
【0029】
図8、図11に示すように、モータMの駆動により縦オーガ8が反時計回りに回動するときに(図11(a)を参照)、一方の位置センサ32の回動レバー32aが上側の突出ピン31aに接触して揺動する。回動レバー32aが中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動すると、モータMの駆動を停止させる(図11(b)を参照)。縦オーガ8の慣性等により縦オーガ8が所定の回動範囲を超えて移動したときに、回動レバー32aが上側の突出ピン31aに接触した状態を維持しながら、下側の突出ピン31bが一方のストッパ33(図8(b)、図9(b)の紙面右側のストッパ33)に当接する(図11(c)を参照)。この状態から縦オーガ8が時計回りに回動すると、回動レバー32aが突出ピン31から離れて中立位置に弾性復帰するのである(図11(d)を参照)。これにより、回動レバー32aが中立位置から他方側に揺動する状態(図12(d))は生じない。その結果、回動レバー32aが適正検出範囲から外れて一方の位置センサ32が故障することを防止できる。一方のストッパ33は、縦オーガ8の軸芯Xに向かう方向に対して他方側(図8の紙面右側)に傾斜している。
【0030】
図9に示すように、モータMの駆動により縦オーガ8が時計回りに回動するときに、他方の位置センサ32の回動レバー32aが上側の突出ピン31aに接触して揺動する。回動レバー32aが中立位置から所定の量を超えて一方側に揺動するとモータMの駆動を停止させる。このとき、縦オーガ8の慣性等により縦オーガ8が所定の回動範囲を超えて回動を超えて移動したときに、回動レバー32aが上側の突出ピン31aに接触した状態を維持しながら、下側の突出ピン31bが他方のストッパ33(図8(b)、図9(b)の紙面左側のストッパ33)に当接する。この状態からモータMの駆動により縦オーガ8が反時計回りに回動すると、回動レバー32aが上側の突出ピン31aから離れて中立位置に弾性復帰するのである。これにより、回動レバー32aが中立位置から他方側に揺動する状態は生じない。その結果、回動レバー32aが適正検出範囲から外れて他方の位置センサ32が故障することを防止できる。他方のストッパ33は、縦オーガ8の軸芯Xに向かう方向に対して他方側(図8の紙面上側)に傾斜している。
【0031】
図10に示すように、位置センサ32の回動レバー32aが上側の突出ピン31aに接触してモータMの駆動を停止させることにより縦オーガ8の回動が規制される。このときの縦オーガ8の回動範囲を第1回動範囲α1とする。また、上側の突出ピン31aがストッパ33に当接することによっても縦オーガ8の回動が規制される。このときの縦オーガ8の回動範囲を第2回動範囲α2とする。第2回動範囲α2を第1回動範囲α1よりも広く設定してある。縦オーガ8が第1回動範囲α1を超えて回動しても、第2回動範囲α2内にその回動範囲が規制されるので、位置センサ32が故障することはない。
【0032】
本実施形態では、一方の位置センサ32および一方のストッパ33の位置と、他方の位置センサ32および他方のストッパ33の位置とを、所定の回動範囲の分だけ位相をずらせて配置してある。それら位置センサ32およびストッパ33の配置を変更することにより回動範囲を適宜設定できる。
【0033】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、モータMをブラケットBを介して機体フレーム2の第1縦フレーム22に取り付ける構成を例示したが、このような構成に限られるものではなく、モータMをブラケットBを介して機体フレーム2のロアケース12に取り付ける構成としてもよい。
【0034】
(2)上記実施形態では、第1取付部材35に一方の位置センサ32が取り付けられ、第2取付部材36に他方の位置センサ32が取り付けられる構成を例示したが、このような構成に限られるものではなく、例えば、第2取付部材36に一方の位置センサ32および他方の位置センサ32が取り付けられる構成としてもよい。
【0035】
(3)上記実施形態では、アンローダ7は、機体フレーム2に縦軸芯X周りに回動可能な縦オーガ8と、その縦オーガ8に接続され、縦オーガ8との接続箇所を支点に上下方向に揺動可能な横オーガ9とを備え、縦オーガ8の下部には、回転規制装置Cが設けられる構成を例示した。しかし、このような構成に限られるものではなく、例えば、アンローダ7は、機体フレーム2に固定された縦オーガ8と、その縦オーガ8に接続され、縦オーガ8との接続箇所を支点に上下方向に揺動可能にかつ左右方向に旋回可能な横オーガ9とを備え、縦オーガ8の上部には、回転規制装置Cが設けられる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、コンバインやトラクタ、建機等の各種作業車に適応可能である。又、アクチュエータの駆動により回転可能な回転体以外、具体的には、アクチュエータの駆動により直線的に移動可能な移動体にも適応可能である。
【符号の説明】
【0037】
2 機体フレーム
8 移動体
31a、31b 被検出体
32 位置検出機構
32a 接触子
33 ストッパ
34 制御機構
B ブラケット
M アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの駆動により移動可能な移動体と、
前記移動体に取り付けられた被検出体と、
前記被検出体に接触して揺動可能な接触子を有する位置検出機構と、
前記位置検出機構にて被検出体を検出するとアクチュエータの駆動を停止させる制御機構とを設けた作業車であって、
前記被検出体に当接して移動体の移動を規制する固定のストッパを設け、
前記接触子が被検出体に接触した状態を維持しながら、前記被検出体がストッパに当接するように、前記位置検出機構及びストッパを配置してある作業車。
【請求項2】
前記アクチュエータをブラケットを介して移動体に対して機体フレームの側に取り付けると共に、そのブラケットに位置検出機構及びストッパを取り付けてある請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記移動体が回転可能な回転体であり、
前記回転体の外周部にアクチュエータのギヤに噛合するリングギヤを設け、
前記被検出体がリングギヤの両側面に設けられた突出ピンであり、
前記位置検出機構及びストッパをリングギヤを挟んで振り分け配置してある請求項1又は2に記載の作業車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−166885(P2010−166885A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14342(P2009−14342)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】