説明

使用電力量に基づく健康維持状態推定装置及び推定方法

【課題】30分単位で計測され、見える化された使用電力量の30分単位で把握される使用動向を用いることによって個々の電力需要居住者の健康維持状況の把握と各種の健康障害発生状況を推定する。
【解決手段】入力された30分ごとの使用電力量を時間順に集積して一日の使用量変化に基づいて形成された使用電力量変化データパターン図を用いて、当該使用電力量変化データパターン図を集積し、一日ごとの使用電力量変化データパターン図と格納された個々の健康維持状態に対する健康障害発生推定状態変化パターン図と比較することで30分ごとの使用電力量変化が反映された変化パターンの度合いから近似する健康維持状態に対する健康障害発生推定状態パターン図を選択し、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用電力量、すなわち使用電力量の変化に基づく健康維持状態推定装置及び健康維持状態推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社の既存設備を活用して、遠隔地における電力需要居住者である個々の顧客の生活に関わる情報を取得し、顧客の生活一般を電力会社のサービスの一つとして効率的に支援することが提案されている。
【0003】
特許文献1には、顧客の自宅に供給される電力量を計測する電力量計で把握される電力使用量の動向の変化を監視することで顧客の健康状態を把握することが記載されている。
【0004】
特許文献2には、電力需要家の給電線引込口付近で一定時間間隔ごとに総消費電力を測定し、前記一定時間間隔ごとの総消費電力変化の絶対値を対象データとして求め、且つ一定の計算時間刻み毎に、過去一定時間幅の中で得られた複数の前記対象データによりなるデータ群について、予め設定した値kを用いて、「その値以上となる前記対象データの数が前記データ群の総数に対してk%となる」値であるk%値を算出し、前記k%値の変動の有無に基いて前記電力需要家内の電気機器に対する居住者の意図的な操作の有無を推定することを特徴とする電力需要家居住者の生活状況推定方法が記載されている。
【0005】
特許文献3には、受信部で受信した個別の契約者宅の電気、ガス、水道等の公共サービスの使用状況のデータと標準使用データベースに蓄積した当該個別の契約者宅の標準使用の個別データとを比較して正常であるか異常であるかを判定する手段と、判定手段で異常であると判定した際に異常発生を知らせるための異常発生報知手段を設けて成ることを特徴とする老人・要介護者遠隔支援システムが記載されている。
【0006】
特許文献4には、加入電話回線に接続され、網制御装置を介してセンタと端末装置でデータ通信を行う自動検針システムであって、需要家における単位時間、例えば15分ごと電力の使用量を計数記録し、分析することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−097296号公報
【特許文献2】特開2005−174249号公報
【特許文献3】特開2003−006337号公報
【特許文献4】特開平5−7250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載されているように、電力会社の既存設備を利用して、把握される電力使用量の動向の変化を監視することで電力需要居住者の健康状態を把握することは公知である。この場合に、電力使用量トレンドの監視は、対前年同日の累計データ又は対前日の同時刻データに基づいて行うこととしている。また、上記特許文献2に記載されているように、一定時間間隔ごとに総消費電力を測定して個々の電気機器に対する居住者の意図的な操作の有無を推定することは公知である。また、上記特許文献3に記載されているように、個別の電気使用の状況を標準使用の状況と比較することで異常発生報知をすることは公知である。
【0009】
ところで、最近のスマートグリッド構想構築の発想に伴って個々の電力需要居住者の使用する電力量が30分単位で計測され、見える化されるようになった。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みて30分以内の単位で計測され、見える化された使用電力量の30分以内の単位で把握される使用動向を用いることによって個々の電力需要居住者の健康維持状況の把握と各種の健康障害発生状況を推定する装置あるいは方法を提案することを目的とする。
本発明は、更に既存の人感センサーによって取得される生活情報との組み合わせによって電力需要居住者の健康維持状態の把握、各種の健康障害発生状況の推定をより向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために30分以内単位で計測される使用電力量を用いることで、30分以内単位計測、24時間対応の使用電力量パターンに対する健康維持状況に対する健康障害発生現象との関係を電力会社が持つ既存設備の活用によって簡便であって一義的に健康維持状態に対する健康障害発生状況を推定できるようにし、当該結果を電力会社のサービスの一つとして電力需要居住者に効率的に提供する。
【0012】
本発明は、具体的には、電力需要居住者の家屋への給電線に取り付けられた使用電力量計測メータで一定間隔ごとに使用電力量を計測して、一定時間間隔ごとに使用電力量の変化をデータ集積し、変化データから読み取れる使用電力量の変化傾向から当該電力需要居住者の健康維持状態を推定する使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置であって、
データベースに、使用電力計測メータで30分以内一定の間隔ごとに予め計測した使用電力量によって取得された一日の使用電力量変化データパターン図と使用電力量変化データパターン図形式で、予め取得された健康維持状態に対する健康障害発生状態推定変化パターン図との関係が格納され、
入力手段が、使用電力量計測メータが30分以内一定時間ごとに計測した、電力需要住居者の家屋に給電した使用電力量を入力し、
健康状態推定手段が、入力された30分以内一定時間ごとの使用電力量を時間順に集積して一日の使用電力量変化に基づいて形成された使用電力量変化データパターン図を用いて、当該使用電力量変化データパターン図を集積し、一日ごとの使用電力量変化データパターン図と格納された個々の健康維持状態に対する健康障害発生状態推定変化パターン図と比較することで30分以内一定時間ごとの使用電力量変化が反映された変化パターンの度合いから近似する健康維持状態に対する健康障害発生状態推定パターン図を選択し、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定すること
を特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置を提供する。
【0013】
本発明は、また、前記健康状態推定手段が、1ヶ月分集積の使用電力量変化パターン図を用いたことによる、健康維持状態に対する健康障害発生状態の推定件数を統計して集積データとすることを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置を提供する。
【0014】
本発明は、また、画面表示装置を備えて、該画面表示装置が、画面に、格納された健康維持状態に対する健康障害発生状態推定データパターン図と前記健康維持推定手段で推定された前記電力需要居住者の健康維持状態に対する健康障害発生状態推定パターン図を表示することを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置を提供する。
【0015】
本発明は、また、生体情報計測器を備え、前記入力手段が、該生体情報計測器が計測時刻を特定した状態で、前記電力需要居住者について計測して取得された生体情報を通信回路を介して入力し、前記健康維持推定手段が、取得された生体情報と時刻を使用電力量変化データパターンに同期させた状態で、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置を提供する。
【0016】
本発明は、また、前記生体情報計測器には、血液中の活性酸素代謝物の量を指標として、前記電力需要居住者の疲労度が評価され、前記健康維持推定手段が、前記使用電力量変化データパターン図に同期させた状態で、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置を提供する。
【0017】
本発明は、電力需要居住者の家屋への給電線に取り付けられた使用電力量計測メータで一定間隔ごとに使用電力量を計測して、一定時間間隔ごとに使用電力量の変化をデータ集積し、変化データから読み取れる使用電力量の変化傾向から当該電力需要居住者の健康維持状態を推定する使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置による健康状態推定方法であって、
データベースに、使用電力計測メータで30分以内一定の間隔ごとに予め計測した使用電力量によって取得された一日の使用電力量変化データパターン図と使用電力量変化データパターン図形式で、予め取得された健康維持状態に対する健康障害発生状態推定変化パターン図との関係が格納され、
入力手段が、使用電力量計測メータが30分以内一定時間ごとに計測した、電力需要住居者の家屋に給電した使用電力量を入力し、
健康状態推定手段が、入力された30分以内一定時間ごとの使用電力量を時間順に集積して一日の使用電力量変化に基づいて形成された使用電力量変化データパターン図を用いて、当該使用電力量変化データパターン図を集積し、一日ごとの使用電力量変化データパターン図と格納された個々の健康維持状態に対する健康障害発生状態推定変化パターン図と比較することで30分以内一定時間ごとの使用電力量変化が反映された変化パターンの度合いから近似する健康維持状態に対する健康障害発生状態推定パターン図を選択し、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定すること
を特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置による健康状態推定方法を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上述したように、30分ごとの使用電力量の変化パターンの度合いを健康維持状態に対する健康障害発生状態の推定に用いているので、電力会社が持つ既存設備を活用することで簡便であって一義的に当該推定を行うことができ、当該結果を電力会社のサービスの一つとして効率的に電力需要居住者に提供することができる。
【0019】
更に、生体情報を加えることによって、当該推定を精度が高いものとすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例である健康維持状態推定装置の概念を示す図。
【図2】健康維持推定装置の構成をブロックで示す図。
【図3】健康維持状態の使用電力量変化パターン図比較図。
【図4】格納された健康維持状態の使用電力変化パターン図。
【図5】計測された健康維持状態の使用電力変化パターン図。
【図6】健康障害発生状態の使用電力量変化パターン図。
【図7】健康障害発生状態の使用電力量変化パターン図。
【図8】健康障害発生状態の使用電力量変化パターン図。
【図9】健康維持使用電力量変化画面。
【図10】本発明の他の実施例である健康維持状態推定装置の概念を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例である健康維持状態推定装置100の概念を示す図である。
【0023】
個々の電力需要居住者の家屋(集合住宅の各居住宅を含む。)1には、給電線2が使用電力計測メータ3で使用電力を計測できるようにして引き込まれている。このようにして、給電線2は家屋内の各種電気器具5に結線され、統合された使用電力は使用電力計測メータ3で計測される。そして、毎月の使用電力量に対応して使用電気料が計算され、請求される。
【0024】
本実施例では、使用電力量計測メータ3で計測された使用電力量は加入電話回線などの通信回線8を介して、使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置(以下、健康維持状態推定装置という。)100に送信される。
【0025】
この健康状態推定装置100は、以下に詳細するように、電力需要居住者の家屋への給電線に取り付けられた使用電力量計測メータで一定間隔ごとに使用電力量を計測して、一定時間間隔ごとの使用電力量の変化をデータ集積し、変化データから読み取れる使用電力量の変化傾向から当該電力需要居住者の健康維持状態を推定することを行う。
【0026】
図2は、健康維持状態推定装置100の構成をブロックで示す。
【0027】
図2において、健康維持状態推定装置100は、入力手段11、健康状態推定手段12、出力及び通信手段13、データベース14及び画面表示手段15を備えて構成され、これらの手段は通信線19で結ばれる。入力手段11には、使用電力計測メータ3(図1)で計測された使用電力量16及び生体情報計測器7(図1)で計測された生体情報17が入力される。生体情報計測器7からの生体情報17は入力されなくてもよい。当該健康維持状態推定装置100は、特に電力需要居住者が1人で当該家屋1に住居する場合に用いられるに適しているが、複数人の場合は、適切な手段を講じることによって個々の電力需要居住所に使用電力量を推定することによって用いることが可能になる。
【0028】
入力手段11は、使用電力計測メータ3が30分ごとに計測した電力需要者の家屋に給電した使用電力量を通信回線8(図1)を介して入力する。ここで、30分ごととするのは、スマートグリッド構想によって、各家屋での計測が従来1カ月単位であったものが30分ごとの計測とされ、見える化、すなわち可視化されたことに基づく。
【0029】
30分以上の単位で計測することは精度上望ましくなく、30分以内ごとの計測であることが望ましい。ここでは以下、30分ごとに計測する場合を例にとって説明する。
【0030】
データベース14には、当該使用計測メータ3で30分間隔ごとに予め計測した使用電力量によって取得された1日の使用電力変化データが集積される。この集積された使用電力変化データから予め1日の使用電力量変化データ集積パターン図が作成されてデータベース14に格納される。これによって、電力需要居住者の健康維持状態に対する使用電力変化データ集積パターン図が関係づけられることになる。当該使用計測メータ3を用いることなく、使用電力変化データ集積パターン図を用いる場合には、多数の電力需要居住者について実際計測して集積したデータを用いて、平均的なデータから作成した使用電力変化データパターン図を用いることになる。更に、データベース14には、多数の電力需要居住者から取得されたデータの集積から作成された健康維持状態に対する健康障害発生状態変化パターン図が格納される。この健康障害発生状態推定変化パターン図は、前述の使用電力変化データ集積パターン図形式で作成されて格納される。30分ごとの計測で取得された一日の使用電力量変化データは、30分ごとという短時間計測であるので、意図的な電気使用がよく反映され、使用電力の集積となるので電力需要居住者の生活状況をよく現わす現象を把握するのにすぐれている。
【0031】
このように、データベース14には、使用電力計測メータで30分の間隔ごとに予め計測した使用電力量によって取得された1日の使用電力量変化データパターン図と使用電力量変化データパターン図形式で、予め取得された健康維持状態に対する健康障害発生状態推定変化パターン図との関係が格納される。
【0032】
健康状態推定手段12は、入力された30分ごとの計測使用電力量データであって一日の集積データを用いて、一日の使用電力量変化データ集積パターン図を形成する。この図の形成は、使用電力量の使用量変化に伴う変化の大きさを特徴として抽出して予め定めた手法に従って直線によってパターン化することによって行うことができる。形成が困難なケースについては、担当者がパターン図を描いてコンピュータ入力すればよい。いずれにしても一日の使用電力量変化に基づいて形成された使用電力変化データパターン図が用いられる。この一日の使用電力量変化データ集積パターン図は、一ヶ月間集積される。
【0033】
健康状態推定手段12は、個々の、すなわち多くの場合一日ごとの使用電力量変化パターン図とデータベース14に格納した健康維持状態に対する健康障害発生推定変化パターン図とを比較する。この比較することで、30分ごとの使用電力量変化が反映された変化パターンの度合い、すなわち傾向から近似する健康維持状態に対する健康障害発生推定状態パターン図を選択し、健康維持に対する健康障害発生推定状態を推定することを行う。この比較の際に例外的な電力使用の例、旅行によって出掛けたような例は除外し得る。これらの推定結果を1カ月単位で個々の電力需要居住者ごとに集積する。例えば10日毎であってもよい。健康維持状態に対する健康障害発生変化パターンを監視するのは、健康維持状態からはずれた推定に用いる健康障害発生事例を一括して把握するためであり、個々の健康障害発生推定状態は、更なるパターン図の比較によってなされるようにするためである。毎日の健康維持状態が監視され、この状態からはずれたことを毎日監視することは電力需要居住者にとって大切なことであり、個々の健康障害発生推定状態を監視することは次のステップということになる。
【0034】
集積された結果データは出力及び通信手段13に送信される。出力及び通信手段13は、電力需要居住者ごと、例えば1カ月ごとに健康維持状態にあること、あるいは健康維持状態に対する健康障害発生状態にあることを推定し、出力18を行う。この出力18は電力会社のデータセンターに送信される。送信は一日ごとに行い、電力会社のデータセンターに蓄積するようにしてもよい。データベース14に、個々の健康障害発生推定状態を格納する場合には、直ちに個々の健康障害発生推定状態であることが推定される。この場合にあっても、まず健康維持状態にあるかを推定することを行う。
【0035】
また、集積された結果は、画面表示手段15の画面に表示される。画面には、比較と対象とされた健康維持状態パターンを示す図、健康維持状態に対する健康障害発生推定状態変化パターンを示す図が示され、責任ある担当者の視認によって結果最終確認がなされる。結果最終確認された結果のみが上述の出力及び通信手段13から出力される。
【0036】
図3は、入力された30分ごとの電力量を時間順に集積して一日の使用電力量変化に基づいて形成された使用電力量変化パターン図を用いて、当該使用電力量変化データパターン図と格納された個々の健康維持状態に対する健康障害発生推定状態パターン図を比較する例を示す。図3は、健康維持状態の使用電力量変化データパターンの比較を示し、両パターンが使用電力量傾向が近似することを示すことをもって、健康維持状態にあることを推定する。
【0037】
図3に示す比較図は、図4に示すデータベース14に格納された健康が維持されている場合の一日の使用電力量パターンを示す図であり、当該パターン図は電力需要居住者が健康を維持している格納時に、30分ごとの使用電力量を計測し、棒グラフにした場合に取得される。あるいは、健康が維持されている多数の電力需要居住者について30分ごとの計測で取得した平均的な使用電力量パターン図が用いられる。
【0038】
図5は、特定の電力需要居住者が健康を維持している計測時に、30分ごとの使用電力量を計測し、棒グラフにした場合に取得した使用電力量パターンを棒グラフと共に示す。
【0039】
図3は、図4、図5を用いて、30分ごと計測された使用電力量、計測された使用電力量パターン(図4)及び格納された使用電力量パターン(図5)を表示している。このように、双方の使用電力量パターンが比較され、両パターンが使用電力量傾向が近似することをもって、健康維持状態にあることが推定される。近似してしるかどうか判断が困難な場合には、後述する図6、図7、図8に示す使用電力量パターンに比べて近似するかどうかが判定される。
【0040】
図6に示す例は、健康維持状態をはずれた認知病ケースの場合である。この場合、午前中前半に使用電力量は急激に増大し、午前後半、更には午後に向かって使用電力量は減っていくものと推定される。従って、使用電力量パターンは山型になるものと推定される。この山型使用電力量パターンは図3あるいは図5に示す計測された使用電力量パターンとは大きく異なる。
【0041】
図7に示す例は、寝たきりケースの場合である。この場合、一日を通して平坦な使用電力量を示し、ヘルパーさんが対応した時に使用電力量が短期間増大する傾向を示すと推定される。この平坦あるいは一本急激使用電力量増大パターンは、図3あるいは図5に示す計測された使用電力量パターンとは大きく異なる。
【0042】
図8に示す例は、頻尿ケースの場合である。この場合、昼間は健康が維持されている時と同様に3回の山型の使用電力量を示す。夜間に尿便をたす時に使用電力量がわずかであるが増大し、その回数は多数回となると推定される。二点間における使用電力量パターンは、図3あるいは図5に示す計測された使用電力量パターンとは大きく異なる。
【0043】
なお、これらの図で、パターン図を直線で形成しているが、滑らかな曲線で形成するようにしてもよい。
【0044】
このように、図6、図7、図8に示す使用電力量パターンは、図5に示す健康維持状態の使用電力量変化データパターンからは大きくはずれる。これらのことから健康障害発生状態の使用電力量変化データパターンであることは容易に把握することができる。
【実施例2】
【0045】
図9は、健康維持使用電力変化画面90を示す。
図9に示す健康使用電力量変化画面90は、一日の使用電力変化画面91、健康維持状態画面92、健康障害発生推定画面93及び計測された生体情報画面94から望ましくは形成される。
【0046】
一日の使用電力量変化画面91には、電力需要居住者の一日の使用電力量変化の状態が30分ごとの計測によって時々刻々と表示される。電力会社の担当者は各電力需要居住者の一日の使用電力量変化を画面上に監視することができる。
【0047】
健康維持状態画面92には、当該電力需要居住者の一日の使用電力量の典型例が健康状態を示すものとして表示してあり、その場合の傾向が1つのパターンあるいは複数のパターンとして表示してある。
【0048】
計測された使用電力量に基づくパターンが、上述の健康状態を示すパターンと時刻を同一にして表示される。このパターンは多くの場合、健康状態を示すパターンと同一であり、その日における電力需要居住者の健康状態には変化がなかった旨の記録がなされる。パターン表示が大きく変わり、異質のパターンとなったと判定されるような場合は、健康障害発生が推定されるものとして記録される。この判定は、予め定めた変化傾向と比較し、数値化することによってコンピュータによって行ってもよいし(例えば、パターンの山の数)、監視員の監視によって視認によって行うようにしてもよい。これらのデータは一ヶ月ごとのデータとしてまとめられる。
【0049】
健康障害発生推定画面93には、計測された使用電力量に基づくパターンによって推定される症状が表示される。
【0050】
監視員は、健康維持状態画面92の表示パターン及び健康障害発生推定画面を合わせて監視することで、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することができる。
【0051】
監視員は後述する方法で、計測された生体情報画面94をも参照することでより確実に健康維持状態に対する健康維持発生状態を推定することができる。これらの推定をコンピュータが数値下して自動推定するようにしてもよい。
【0052】
計測された生体情報画面94は表示されることを要した。
【0053】
これらの画面を1つの画面に表示することによって対比によって健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することが容易になるが、各画面ごとの表示とするようにしてもよい。
【0054】
図10は、本発明の実施例2について説明する図である。構成は、基本的には実施例1と同様であり、実施例1の説明が採用されるので、ここでは繰り返さず、新規事項について主に説明することとする。
【0055】
図10は、本発明の実施例である健康維持状態推定装置100の概念を示す図である。
【0056】
個々の電力需要居住者の家屋(集合住宅の各住宅を含む。)1には、給電線2が使用電力計測メータ3で使用電力を計測できるようにして引き込まれている。このようにして、給電線2は家屋内の各種電気器具5に結線され、統合された使用電力は使用電力計測メータ3で計測される。そして、毎月の使用電力量に対応して使用電気料が計算され、請求される。
【0057】
また、電力需要居住者の家屋1には、光ファイバで構成された通信回線9が光ファイバコネクタ4を介して取り付けられるようになっている。各種の生体情報計測器7によって各種の生体情報が取得される。また、各種電気器具5の使用状況が各種電気器具に付属させた使用電力量計測器によって個々に計測されて各種電気器具使用電力量として光ファイバコネクタ4に通信される。
【0058】
本実施例では、使用電力計測メータ3で計測された使用電力量は通信回線8を介して、及び生体情報計測器7で計測された生体情報あるいは各種電気器具の使用電力量は通信回線9を介して使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置100に送信される。
生体情報計測器7が、計測時間を特定した状態で、電力需要居住者の生体情報を取得する。
【0059】
この生体情報計測器7には、その他の血液中の活性酸素代謝物の量を指標として、電力需要居住者の疲労度を評価する活性酸素測定器が含まれ、この場合の計測は多くの場合、病院でなされて測定結果が本人ID添付の状態で電子化される。
【0060】
また、この生体情報計測器7には、人感センサーが含まれ、計測時間が特定され、電力需要居住者の日常の動きが感知され、電子化される。
【0061】
入力手段11(図1)が生体情報計測器7または各種電気器具電力量の計測値が計測時刻を特定した状態で、前記電力需要居住者について計測して取得された生体情報あるいは各種電気器具電力量情報を通信回路を介して入力する。
【0062】
健康維持推定手段が12が、取得された生体情報あるいは各種電気器具電力量情報と時刻を使用電力量変化データパターンに同期させた状態で、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することを行う。
このような生体情報を使用電力量傾向とを合わせて用いることによって健康維持状態に対する健康障害発生状態にあるかをより確実に判定させ得る。
【符号の説明】
【0063】
1…電力需要居住者(顧客)の家屋、2…給電線、3…使用電力計測メータ、5…各種電気器具、7…生体情報計測器、8…通信回線、9…光ファイバで構成された通信回線、11…入力手段、12…健康状態推定手段、13…出力及び通信手段、14…データベース、15…画面表示手段、100…健康維持状態推定装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力需要居住者の家屋への給電線に取り付けられた使用電力量計測メータで一定間隔ごとに使用電力量を計測して、一定時間間隔ごとに使用電力量の変化をデータ集積し、変化データから読み取れる使用電力量の変化傾向から当該電力需要居住者の健康維持状態を推定する使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置であって、
データベースに、使用電力計測メータで30分以内一定の間隔ごとに予め計測した使用電力量によって取得された一日の使用電力量変化データパターン図と使用電力量変化データパターン図形式で、予め取得された健康維持状態に対する健康障害発生推定状態変化パターン図との関係が格納され、
入力手段が、使用電力量計測メータが30分以内一定時間ごとに計測した、電力需要住居者の家屋に給電した使用電力量を入力し、
健康状態推定手段が、入力された30分以内一定時間ごとの使用電力量を時間順に集積して一日の使用電力量変化に基づいて形成された使用電力量変化データパターン図を用いて、当該使用電力量変化データパターン図を集積し、一日ごとの使用電力量変化データパターン図と格納された個々の健康維持状態に対する健康障害発生推定状態変化パターン図と比較することで30分以内一定時間ごとの使用電力量変化が反映された変化パターンの度合いから近似する健康維持状態に対する健康障害発生推定状態パターン図を選択し、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定すること
を特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置。
【請求項2】
請求項1において、前記健康状態推定手段が、1ヶ月分集積の使用電力量変化パターン図を用いたことによる、健康維持状態に対する健康障害発生推定状態の推定件数を統計して集積データとすることを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置。
【請求項3】
請求項1において、画面表示装置を備えて、該画面表示装置が、画面に、格納された健康維持状態に対する健康障害発生推定状態データパターン図と前記健康維持推定手段で推定された前記電力需要居住者の健康維持状態に対する健康障害発生推定状態パターン図を表示することを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかにおいて、生体情報計測器を備え、前記入力手段が、該生体情報計測器が計測時刻を特定した状態で、前記電力需要居住者について計測して取得された生体情報を通信回路を介して入力し、前記健康維持推定手段が、取得された生体情報と時刻を使用電力量変化データパターンに同期させた状態で、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置。
【請求項5】
請求項4において、前記生体情報計測器には、血液中の活性酸素代謝物の量を指標として、前記電力需要居住者の疲労度が評価され、前記健康維持推定手段が、前記使用電力量変化データパターン図に同期させた状態で、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定することを特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置。
【請求項6】
電力需要居住者の家屋への給電線に取り付けられた使用電力量計測メータで一定間隔ごとに使用電力量を計測して、一定時間間隔ごとに使用電力量の変化をデータ集積し、変化データから読み取れる使用電力量の変化傾向から当該電力需要居住者の健康維持状態を推定する使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置による健康状態推定方法であって、
データベースに、使用電力計測メータで30分以内一定の間隔ごとに予め計測した使用電力量によって取得された一日の使用電力量変化データパターン図と使用電力量変化データパターン図形式で、予め取得された健康維持状態に対する健康障害発生推定状態変化パターン図との関係が格納され、
入力手段が、使用電力量計測メータが30分以内一定時間ごとに計測した、電力需要住居者の家屋に給電した使用電力量を入力し、
健康状態推定手段が、入力された30分以内一定時間ごとの使用電力量を時間順に集積して一日の使用電力量変化に基づいて形成された使用電力量変化データパターン図を用いて、当該使用電力量変化データパターン図を集積し、一日ごとの使用電力量変化データパターン図と格納された個々の健康維持状態に対する健康障害発生推定状態変化パターン図と比較することで30分以内一定時間ごとの使用電力量変化が反映された変化パターンの度合いから近似する健康維持状態に対する健康障害発生推定状態パターン図を選択し、健康維持状態に対する健康障害発生状態を推定すること
を特徴とする使用電力量変化に基づく健康維持状態推定装置による健康状態推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−128502(P2012−128502A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277105(P2010−277105)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(509114251)トモソウ・ジャパン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】