説明

便座装置

【課題】高速で着座面を加熱し、且つ正確に着座面の温度を検出し適温に制御する便座装置を提供する。
【解決手段】便座ケーシング24、25内にヒータ26と、着座面である便座ケーシング24の温度を検出する非接触温度検出器9を便座ケーシング24の着座面よりも温度変動の少ない安定部材である金属部材103に接触して内蔵し、非接触温度検出器9が検出した温度によりヒータ26の通電を制御する通電制御手段30を備えた構成とすることにより、非接触温度検出器9自身の温度が安定して温度検出の精度が向上するので、高速で着座面を加熱し、且つ正確に着座面の温度を検出し適温に制御する便座装置を提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は便座装置に関するものであり、特に高速で着座面を加熱する便座装置の温度制御技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、便座に着座するときの快適感を向上させるために、便座にヒータを内蔵し加熱しておくことが行われている。そして、便座を加熱して待機するのでなく、非使用時にはヒータに通電せず、人が便座に近づいたことを検知すると、そこからヒータに通電して実際に着座するまでのわずかな時間の間に適温まで一気に加熱することで省エネ効果を高めたものがある。
【0003】
このように高速で加熱する便座においては、便座の温度を検出することが困難であるという課題ある。即ち、便座の温度は急激に変化することに対して温度検出が追従できず、温度検出の遅れが生じやすい。特に冬など周囲が低温の時には実際の温度と検出する温度の乖離が大きく、低い温度を検出してしまい、その検出した温度を基にヒータの通電を制御すると誤って便座を危険な高温にしてしまう可能性もある。
【0004】
その課題を解決するために、ヒータに直列に抵抗を接続し、ヒータへの通電開始初期の急激に温度変化するときにはこの抵抗を介してヒータに通電し、そして所定時間後にはこの抵抗を短絡してヒータに通電するよう切り替える方法が提案され、また温度検出器としては時定数が2秒以下のような応答の速いサーミスタを使うこととしている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−110752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されている方法は、温度検出器が追従できる程度までヒータのパワーを押さえることであり、高速で加熱できる特長を十分発揮できない。またサーミスタの素子そのものの時定数は2秒以下であっても、実際には電力消費の大きいヒータの近傍にサーミスタを設置しなければならないため、絶縁性などを含め安全性と信頼性を確保するためには、サーミスタを十分保護しなければならず、そのために応答が犠牲になってしまい、その結果、温度検出の時定数として2秒以下を確保することは非常に困難であるという課題を有していた。
【0006】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、高速で着座面を加熱し、且つ正確に着座面の温度を検出し適温に制御する便座装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の便座装置はヒータと、前記ヒータを内蔵し着座面を形成する便座ケーシングと、前記便座ケーシングの内部に設け前記便座ケーシングの着座面温度を非接触で検出する非接触温度検出器と、前記非接触温度検出器が検出した温度に基づいて前記ヒータの通電を制御する通電制御手段を備え、前記非接触温度検出器は前記便座ケーシングの着座面よりも温度変動の少ないものに接触して取り付けた構成としたものである。
【0008】
この構成により、ヒータにより便座ケーシングの着座面を加熱し、非接触温度検出器により便座ケーシングの着座面温度を検出し、その検出した温度に基づき通電制御手段がヒ
ータの通電を制御するものであり、非接触温度検出器で温度検出しているので高速応答で温度検出できる。また、この非接触温度検出器は便座ケーシングの着座面よりも温度変動の少ないものに接触させて取り付けているので、非接触温度検出器自身の温度が安定して温度検出の精度が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の便座装置は、高速応答でかつ高い精度で温度検出できるため、高速で着座面を加熱し、且つ正確に着座面の温度を検出し適温に制御する便座装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、ヒータと、前記ヒータを内蔵し着座面を形成する便座ケーシングと、前記便座ケーシングの内部に設け前記便座ケーシングの着座面温度を非接触で検出する非接触温度検出器と、前記非接触温度検出器が検出した温度に基づいて前記ヒータの通電を制御する通電制御手段を備え、前記非接触温度検出器は前記便座ケーシングの着座面よりも温度変動の少ない安定部材に接触して取り付けた構成としたものである。
【0011】
この構成により、ヒータにより便座ケーシングの着座面を加熱し、非接触温度検出器により便座ケーシングの着座面の温度を検出し、その検出した温度に基づき通電制御手段がヒータの通電を制御する。非接触温度検出器は高速応答で温度検出可能で、便座ケーシングの着座面よりも温度変動の少ない安定部材に接触させて取り付けているので、非接触温度検出器自身の温度が安定して温度検出の精度が向上する。従って、ヒータにより着座面を高速加熱してもそれに追従してより正確に着座面の温度を検出し適温に制御する便座装置を提供することが可能となる。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明の便座装置において、安定部材は、便座ケーシングの外部から便座ケーシングの内部に一部を挿入する金属部材からなり、非接触温度検出器は前記金属部材に接触して取り付けた構成としたものであり、安定部材である金属部材が便座外面にもさらされる構成であるため、金属部材の温度分布を均一化させ便座ケーシング内部よりも温度変化の少ない上体となり便座ケーシング外部の温度と均衡のとれた安定温度に保つことができて、この安定部材に非接触温度検出器を接触させることで、更に非接触温度検出器自身の温度が安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0013】
第3の発明は、特に第1の発明の便座装置において、便座ケーシング内部にヒータと隔離する保温室を設け、非接触温度検出器は前記保温室の中に設けた構成とすることにより、非接触温度検出器がヒータの輻射エネルギーを直接受けることがなくなり、更に非接触温度検出器自身の温度が安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0014】
第4の発明は、特に第3の発明の便座装置において、便座ケーシング内にヒータの輻射エネルギーを着座面へ反射する輻射反射板を設け、保温室の外壁を前記輻射反射板で構成することにより、ヒータの輻射エネルギーを輻射反射板で反射するので、輻射エネルギーによる保温室内の温度上昇を防ぎ、更に非接触温度検出器自身の温度がより安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0015】
第5の発明は、特に第3または第4の発明の便座装置において、便座ケーシングに吸気口と排気口とを設け、前記吸気口と前記排気口とを連通させた通風路を保温室に設けた構成とすることにより、保温室に設けた通風路を通る空気流により、保温室は周囲の雰囲気
温度と同一となり、保温室内にある非接触温度検出器はヒータの輻射エネルギーの影響を受けず、非接触温度検出器自身の温度がより安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0016】
第6の発明は、特に第1〜第5の発明の非接触温度検出器は赤外線検出素子を有する構成とすることにより、非接触で温度を検出することが可能になり、温度検出の応答が速く着座面の温度を正確に検出し適温に制御することが可能になる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る便座装置を便器に装着した状態を示す斜視図である。図1に示すように、便器1には便座装置2が装着される。タンク3には水道配管が接続されていて、便器1内に洗浄水を供給する。便座装置2は、本体部4、便座部5、便蓋6により構成される。
【0019】
本体部4には便座部5、便蓋6が開閉自在に取り付けられていて、少なくとも便蓋6は電気的に開閉動作をできる機構と電気回路より成る開閉制御手段を本体部4に内蔵している。また本体部4にはノズル部7を含む洗浄水供給機構が設けられている。
【0020】
また本体部4には、人体検出手段8を内蔵している。人体検出手段8は反射型赤外線センサとそれを照射、検出する電気回路であり、人体が近づいたときに、照射した赤外線が人体で反射しそれを受光することで人体が近づいたことを検出するものである。
【0021】
便座部5はヒータを内蔵する便座ケーシングよりなり、その上面は内側を窪ませた着座面を形成している。そのヒータの入/切やヒータの通電時の電力量などを制御する電気回路よりなる通電制御手段は本体部4に内蔵している。非接触温度検出器9は便座部5に内蔵し便座部5の着座面の温度を内側から検出するもので、図中破線Aで示す範囲を視野として温度検出している。そして、その温度に基づいて通電制御手段がヒータの通電を制御する。
【0022】
図2に非接触温度検出器9の構成を示す。図2において10は赤外線検出素子であり、サーモパイルによるものである。そして赤外線検出素子10は基板11に固定し、その出力部分と接続したリード線12を引き出し封止缶13内に封止蓋14とフィルタ15で封止している。フィルタ15は外乱光をカットするためのものであり、例えば5μmより短い波長の光をカットする。
【0023】
また16は凸レンズであり、封止缶13内にはアパーチャ17を設けていて、この凸レンズ16の焦点と、赤外線検出素子10の位置関係と、赤外線検出素子10の面積とアパーチャ17の面積と位置関係により視野角が決まるものであり、図1におけるAの範囲を視野とするように設計したものである。
【0024】
赤外線検出素子10は素子自身の温度と図1におけるAの視野範囲の温度との温度差に相関を持った直流電圧を出力するものである。そこで、赤外線検出素子10自身の温度がわかれば図1における視野範囲Aの温度が絶対値としてわかることになり、そのために基準温度検出器としてサーミスタ18を封止蓋14に密着させていて、サーミスタ18により赤外線検出素子10自身の温度を検出している。19はサーミスタ18の出力を取り出すためのリード線である。
【0025】
そしてリード線12から出力される赤外線検出素子10の出力と、リード線19から出力されるサーミスタ18の出力は、温度検出回路20に入力している。温度検出回路20は増幅回路21、AD変換回路22、温度算出回路23を含む構成である。増幅回路21は赤外線検出素子10からの出力電圧を増幅するアナログ回路であり、AD変換回路22は増幅回路21を介して出力された赤外線検出素子10の出力と、サーミスタ18の抵抗変化を電圧変化として検出した出力をデジタル値に変換する回路であり、更に温度算出回路23は数式をプログラムにしたCPUを含み、赤外線検出素子10からの出力とサーミスタ18からの出力を加算して温度を算出する。
【0026】
図3は便座部5を上面より見た場合の模式的透視図である。また図4は図3に示す便座部B−B線断面図である。図4に基づいて便座部5の構成について説明する。便座部5は便座表板24と便座裏板25の2つの便座ケーシングを備えていて、便座表板24が着座面を形成している。便座表板24と便座裏板25により形成した内部空洞にはヒータ26を備えている。ヒータ26は輻射で加熱するランプヒータであり、ガラス管27の内部にタングステンフィラメント28を貫通して構成したものである。またランプヒータ26の下にはアルミ板を鏡面仕上げした輻射反射板29を備えていて、ランプヒータ26からの輻射エネルギーを便座表板24に集中させるように構成している。また便座表板24は金属で構成していて熱応答が速く、また便座裏板25は熱応答の遅い樹脂で構成していて、特に着座面を素早く加熱するようにしている。この構成によりランプヒータ26に電源投入直後から着座面となる便座表板24を毎秒1度以上の速度で急峻に温度上昇させることができる。
【0027】
便座表板24は金属に塗装を施して構成したものであり、ランプヒータ26からの輻射熱を受けて素早い応答で温度上昇する。また金属により構成しているので、熱伝導が素早く着座面全体の温度を均一にすることができる。そのため、図1に示すAの領域の温度を検出するだけで、ほぼ着座面全体の温度検出をしていることに等しい条件を作り出している。また塗装を施しているので、金属による光の反射を最小限に抑えることができ、着座面以外の温度の影響や外乱交による影響を受けにくく、精度良く温度検出できる。
【0028】
また、便座部5の内部には、ヒータ26と対抗する面を鏡面仕上げした輻射反射板101を設け、輻射反射板101及び、便座表板24、便座裏板25で囲まれる保温室102を備えている。そして、この保温室102には便座部5の外部から便座裏板25を貫通させた安定部材である金属部材103を設けていて、この金属部材103に非接触温度検出器9を接触させるように取り付けている。この金属部材103は非接触温度検出器9の温度を安定させるために設けたものであり、少なくとも便座表板24よりは十分温度変化が少なく安定した温度を維持できるものである。この構成で非接触温度検出器9は便座表板24の温度、即ち、着座面の温度を内側から検出する。このように、非接触温度検出器9を保温室102の中に設けたことにより、非接触温度検出器9がヒータ26の輻射エネルギーを直接受けることがなくなる。またヒータ26の輻射エネルギーは輻射反射板101で反射するので、保温室102内の温度上昇を防ぐことができる。更に、温度を安定させるための金属部材103に非接触温度検出器9を接触させていることにより、温度の安定した条件で着座面の温度を検出することができ、温度検出精度を高めることができる。
【0029】
一般にサーモパイル10は熱接点と冷接点を有するものであり、熱接点と冷接点の温度差に相関を持った直流電圧を出力するものである。熱接点の温度はその雰囲気温度をT1とすると、T1に視野範囲から得られる輻射エネルギーによる温度上昇ΔTが加算され、T1+ΔTとなる。一方、冷接点の温度はその雰囲気温度をT2とすると、光を当てないので輻射エネルギーは受けず、T2となる。ここで視野範囲からの輻射エネルギーを知るにはT1=T2であることが大前提であって、その条件のときに出力電圧からΔTの分だけを算出することができる。
【0030】
熱接点と冷接点の温度を等しくするには、封止缶13から封止蓋14までを均一な温度にしておかなければならず、特に近傍にヒータなどの熱源があって、急激に雰囲気温度が変化するような状態であっても、この均一性を保たなければならない。
【0031】
そのために、便座表板24に吸気口104、便座裏板25に排気口105を設け、保温室102内に通風路106を形成し、通風路106を通る空気流により、保温室102は周囲の雰囲気温度と同一となり、非接触温度検出器の温度環境がヒータの輻射エネルギーの影響を受けることがなくなり、非接触温度検出器9の温度上昇を防ぐとともに封止缶13から封止蓋14までを均一な温度になるようにしている。ここで、本体部4に送風機を設け、この送風機から送風される空気流を吸気口104から導入するようにしても良い。
【0032】
以上のように、非接触温度検出器9は赤外線検出素子自身の温度と測定する視野範囲の温度との温度差に相関を持った電圧を出力するものであるので、金属部材103や、保温室102、輻射反射板101、通風路105などにより非接触温度検出器9は赤外線検出素子自身の温度が安定するので、着座面の温度をより正確に検出することが可能になる。
【0033】
再度、図3に基づいて構成と作用を説明する。図3に示すようにランプヒータ26、輻射反射板29は着座面に合わせてU字形の構成としている。そして通電制御手段30がランプヒータ26の通電を制御する。通電制御は電源の入/切制御や位相角制御などにより通電の電力を制御するものである。その通電制御手段30に信号を送るのが人体検出手段8と非接触温度検出器9である。
【0034】
人体検出手段8により人が便座装置2に近づいたことを検出すると、通電制御手段30はランプヒータ26に通電して、着座面となる便座表板24を加熱する。一方、非接触温度検出器9は、着座面の図1に示すAの領域の温度を非接触で検出する。検出した温度が予め設定した温度または使用者が設定した温度より低ければランプヒータ26に投入する電力を大きくし、高ければ小さくしたり切ったりする。そのようにフィードバック制御することで、着座面の温度を設定温度に保つように制御する。非接触温度検出器9は輻射温度を測定するので、熱伝導で温度を測定するより応答が速く、ランプヒータ26のように輻射で急速に温度上昇する着座面であっても、その温度上昇に追従して温度測定できる。
【0035】
以上のように、本実施の形態においてはヒータ26により便座ケーシングの着座面24を加熱し、便座5の内部に設けた非接触温度検出器9で着座面である便座表板24の内側の温度を検出し、その検出した温度に基づき通電制御手段30がヒータ26の通電を制御するものであり、非接触温度検出器9で温度検出しているので高速応答で温度検出できる。
【0036】
そして、この非接触温度検出器9は便座ケーシングの着座面24よりも温度変動の少ないものに接触させて取り付けているので、非接触温度検出器9自身の温度が安定して温度検出の精度が向上する。従って、非接触検出器は高速応答で温度検出可能で、ヒータにより高速加熱してもそれに追従して正確に着座面の温度を検出し適温に制御する便座装置を提供することが可能となる。
【0037】
また、便座ケーシング25の外部から便座ケーシング24、25の内部に一部を挿入する安定部材である金属部材103を有し、非接触温度検出器9は金属部材103に接触して取り付けた構成としたものであるため、金属部材103で温度分布を均一化させ便座ケーシング内部よりも温度変化のない便座ケーシング外部に曝されるので、便座ケーシングの外部温度と均衡して安定温度に保つことができる部材となる。この安定部材である金属部材103に非接触温度検出器9を接触させることで、更に非接触温度検出器自身の温度
が安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0038】
また、便座5の内部にヒータ29と隔離する保温室102を設け、非接触温度検出器9は保温室102の中に設けたことにより、非接触温度検出器9がヒータの輻射エネルギーを直接受けることがなくなり、非接触温度検出器9自身の温度が安定し温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0039】
また、保温室102の外壁をヒータの輻射エネルギーを反射する輻射反射板101で構成することにより、ヒータ26の輻射エネルギーは輻射反射板101で反射するので、保温室102内の温度上昇を防ぎ、更に非接触温度検出器9自身の温度が安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0040】
また、便座表板24、便座裏板25に吸気口104と排気口105とを設け、吸気口104と排気口105とを連通させた通風路106を保温室102に設けたことにより、通風路106を通る空気流により、保温室102は周囲の雰囲気温度と同一となり、保温室102内にある非接触温度検出器9はヒータ26の輻射エネルギーの影響を受けず、非接触温度検出器9自身の温度がより安定して温度検出の精度が向上し、着座面の温度を正確に素早い応答で検出し適温に制御することが可能になる。
【0041】
また、非接触温度検出器9は赤外線センサである構成とすることにより、非接触で温度を検出することが可能となり、温度検出の応答が速く着座面の温度を正確に検出し適温に制御することが可能になる。
【0042】
なお、本実施の形態では、ヒータを1本のランプヒータとした場合について説明したが、このランプヒータは複数本のランプヒータからなる構成、または複数種類のヒータが便座内に内臓された構成などであってもよい。さらに、ヒータが便座内に内蔵されない加熱方式、たとえば、温風を着座面にあてたり、便蓋にヒータを埋め込んだりするような構成で着座部を暖めるような構成としてもよい。
【0043】
また、本実施の形態では便座が均一加熱される構成としたが、必要な部位のみ暖房する方式をとり、便座温度が不均一になる場合などは、最も温度上昇率の高い部位の温度を検知すると安全側の制御が可能であるし、平均的な温度を示す部位の温度を検知するように構成しても、適温への昇温と、適温調節が可能である。
【0044】
また、本実施の形態では非接触温度検知器として、赤外線検出素子であるサーモパイルを含む構成で説明したが、他にも例えば焦電センサなどがあり、この場合には視野を断続するためのチョッパ機構が必要となり構成はやや複雑になるものの、サーモパイルより更に応答が素早く1秒間に数十回の温度検出も可能となるので、更に高速で着座面の温度を上昇させるような構成にでも適用できる。
【0045】
また、本実施の形態では金属部材は、便座裏板から便座ケーシングの内部に挿入する構成としたが、便座表板と便座裏板とを接合する接合部分から挿入する構成としても良く、便座裏板に貫通孔を設ける必要がないので便座ケーシングの強度を保つことができる。
【0046】
また、本実施の形態では便座表板に吸気口となる貫通孔を、便座裏板に排気口となる貫通孔を設けて、保温室に通風路を形成する構成としたが、吸気口及び排気口は便座表板と便座裏板とを接合する接合部分に設けても良く、便座ケーシングに貫通孔を開けないので便座ケーシングの強度を保つことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上のように、本発明にかかる便座装置は、高速で着座面を加熱し、且つ正確に着座面の温度を検出し適温に制御するので、人が便座に近づいてから加熱を始めても着座するまでには快適な温度にまで温度上昇させることができ、使用していないときには加熱し保温しておく必要がなく省エネルギーにでき、類似の暖房器具や採暖器具にも応用展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態1における便座装置を便器に装着したときの斜視図
【図2】同実施の形態における非接触温度検出器の構成の説明図
【図3】同実施の形態における便座部の構成の説明図
【図4】同実施の形態における便座部の断面図
【符号の説明】
【0049】
2 便座装置
5 便座部
9 非接触温度検出器
10 赤外線検出素子
24 便座表板(便座ケーシング)
25 便座裏板(便座ケーシング)
26 ヒータ
30 通電制御手段
101 輻射反射板
102 保温室
103 金属部材(安定部材)
104 吸気口
105 排気口
106 通風路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータと、前記ヒータを内蔵し着座面を形成する便座ケーシングと、前記便座ケーシングの内部に設け前記便座ケーシングの着座面温度を非接触で検出する非接触温度検出器と、前記非接触温度検出器が検出した温度に基づいて前記ヒータの通電を制御する通電制御手段を備え、前記非接触温度検出器は前記便座ケーシングの着座面よりも温度変動の少ない安定部材に接触して取り付けた便座装置。
【請求項2】
安定部材は、便座ケーシングの外部から便座ケーシングの内部に一部を挿入する金属部材からなり、非接触温度検出器は前記金属部材に接触して取り付けた請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
便座ケーシング内部にヒータと隔離する保温室を設け、非接触温度検出器は前記保温室の中に設けた請求項1または2に記載の便座装置。
【請求項4】
便座ケーシング内にヒータの輻射エネルギーを着座面へ反射する輻射反射板を設け、保温室の外壁を前記輻射反射板で構成する請求項3に記載の便座装置。
【請求項5】
便座ケーシングに吸気口と排気口とを設け、前記吸気口と前記排気口とを連通させた通風路を保温室に設けた請求項3または4に記載の便座装置。
【請求項6】
非接触温度検出器は赤外線検出素子を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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