説明

保守用プログラム管理センタ装置

【課題】保守用端末装置が盗難、紛失により自社技術が同業他社に漏洩しないよう、保守用端末装置使用者の認証を確実にすることを可能とした保守用プログラム管理センタ装置を提供することにある。
【解決手段】保守用端末装置1の認証を行うとき、位置情報送受信部4からの現在の保守用端末装置位置と、記憶部5から前記保守用端末装置使用者の情報を広域ネットワーク8を介してセンタ装置9に送る。前記センタ装置9では、先に外部端末15より第2記憶部14に保存されている作業日程データ内の作業位置情報と広域ネットワーク8を介して送られてきたデータを機能選択部12で比較判別、その後認証を行い、第1記憶部13に保存してある前記保守用端末装置プログラムデータを前記センタ装置9の広域ネットワーク8を介して記憶部5へ送り、認証、及びツールの使用が可能となる保守用プログラム管理センタ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守用プログラム管理センタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレベータなどのビル設備を保守する際には、保守用端末装置を携帯して保守作業現場へ赴き、この保守用端末装置内に格納された保守用プログラムを用いて保守作業を行うことが一般的となってきている。
【0003】
しかしこの保守用端末装置をもし紛失するようなことがあれが、この保守用端末装置が悪用されることも想定され、最悪の場合はエレベータの事故に繋がるといったリスクがあった。
【0004】
そこで従来では、保守用端末装置から発信される位置情報をセンタ装置で監視し、もし予定された使用位置以外の位置情報を受信したなら、センタ装置は、前記保守用端末装置内の保守用プログラムを破壊する信号を前記保守用端末装置へ送信するように構成し、上記リスクを低減したものが提案されていた(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−063750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし上記特許文献1に記載の従来技術では、保守用端末装置内へ保守用プログラムを格納する際のチェックが十分考慮されておらず、不用意に携帯端末に格納した保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクについては改善されていなかった。
【0006】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、その目的は、保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクを大幅に軽減することが可能な保守用プログラム管理センタ装置を提供するに有る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成させる為に、請求項1に係わる本発明は、複数の保守用プログラムを記憶する第1の記憶部を有するとともに通信回線を介して接続される保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信する保守用プログラム管理センタ装置において、前記保守用端末装置の使用が予定されている作業現場位置を記憶する第2の記憶部を設け、前記保守用端末装置から発信された位置情報と前記第2の記憶部に記憶された作業現場位置とが一致したときに前記保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信するよう構成したことを特徴とする。
【0008】
このように本発明の保守用プログラム管理センタ装置によれば、保守用端末装置の使用が予定されている作業現場位置情報を受信したときに、当該保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信するよう構成したため、予定されている作業現場に到着して初めて保守用プログラムを保守用端末装置に格納することとなり、保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクを軽減することができる。
【0009】
さらに本発明によれば、前記保守用端末装置から発信された位置情報と前記第2の記憶部に記憶された作業現場位置とが一致しなかった場合には、前記保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信しないととともに、送信済みの保守用プログラムを消去する消去プログラムを送信するよう構成したため、予定された作業位置以外での保守用プログラムの格納を防止するとともに、作業後作業位置を離れてなら確実に保守用プログラムを消去することができ、保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクを大幅に軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の保守用プログラム管理センタ装置は、保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクを大幅に軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明である保守用プログラム管理センタ装置と保守用端末装置とのネットワークへの接続方法を示すブロック図、図2は本発明である保守用プログラム管理センタ装置の制御動作を示すフローチャート図である。
【0013】
図1に関して、1の保守用端末装置は制御部2、通信部3、位置情報送受信部4、記憶部5、表示部6、入力部7により構成される。位置情報送受信部4は保守用端末装置1の現在位置を位置情報送受信部(GPS:全地球測位システム)より取得する。通信部3は無線通信機能を持ち管理センタ装置9とのデータ送受信を行う場合に広域ネットワーク8と通信する役割を持っており、前記取得した保守用端末装置1の現在位置情報を広域ネットワーク8を介して管理センタ装置9へ定期的(例えば、10分に一度)に送信する。また記憶部5は昇降機の保全作業を行うための前記ツールプログラムを保存するメモリである。
【0014】
保守用端末装置1は昇降機の保全作業を支援するもので昇降機保守員の保守スケジュールを確認したり、作業報告書を作成したりするものである。また、昇降機のブレーキ動作診断やエスカレーターハンドレール劣化診断などを行う保守ツールとしても使用する。このように、幅広く保守作業に使用される。
【0015】
これら保守作業を支援するツールプログラムは、通信部3を経由して管理センタ装置9から受信し記憶部5に格納される。
【0016】
このツールプログラムは保守作業毎に種々の機能を有しており、保守作業を支援するにおいて非常に重要なプログラムである。従い、保守用端末装置1に常時ツールプログラムを記憶部5に格納したままであると、保守用端末装置1を紛失した場合、不正に使用されてしまう恐れがある。よって、保守作業を終了した際には制御部2からの命令でプログラムを削除する。表示部6と入力部7は個人IDやパスワードなど認証情報の表示や保守作業における数値を入力したりする。
【0017】
広域ネットワーク8は無線回線や位置情報送受信回線、及びLANも含まれ、保守用端末装置1と2の管理センタ装置9とを接続する。
【0018】
管理センタ装置9は通信部10、制御部11、機能選択部12、第1記憶部13、第2記憶部14により構成される。通信部10は前記通信部3と同等の機能であるが、一度に複数の通信を行うことが可能である。制御部11は前記管理センタ装置9の各部の制御を行なう。機能選択部12はツールプログラムを送信するか否かの判別作業を行なう。第1記憶部13にはツールプログラム、第2記憶部14には、個人情報、作業日程及び保守用端末装置1の使用が予定されている作業現場位置を記憶するが保存される。
【0019】
保守用端末装置1を使用する作業者の認証からツールプログラムダウンロードまでの流れを図1と図2のフローを用いて説明する。
【0020】
図2のフローは管理センタ装置9の制御動作フローを示している。
【0021】
まず作業者は昇降機を保全する場合、外部端末15より一日の作業日程、つまりツールを使用する作業現場を登録する。
【0022】
外部端末15より登録されたデータは、管理センタ装置9の第2記憶部14に24時間のみ保存される。その後、作業者は作業日程現場へ向かい、現場へ到着した作業車は、昇降機の保全作業を行うため保守用端末装置1を使用する使用者の認証作業を行う。
【0023】
そして、昇降機を保全するツールをダウンロードするための保守用端末装置の認証作業を開始する(S1)。作業者は携帯保守用端末装置の表示部6を確認しながら入力部7の操作を行うことにより、前記保守用端末装置1の位置データが通信部3、及び広域ネットワークを介してセンタ装置9へ送られる。
【0024】
作業日程データと保守用端末装置1の位置データは、管理センタ装置9の通信部10で受信され(S2,S3)、そのデータは機能選択部12へ送られる。
【0025】
保守用端末装置1の使用されている位置が、予め計画され第2記憶部14に記憶された作業エリア内であるか確認する(S4)。
【0026】
作業エリアとは、保守作業員が1人、1人定められた保守作業巡回範囲である。
【0027】
位置情報送受信部4から発信される電波を、管理センタ装置9の通信部10で判定し、保守作業エリア内であれば、保守作業を支援するツール(保守用)プログラムを保守用端末装置1へ無線回線にて送信開始する(S5)。ツールプログラムの送信を終了する(S6)と、ツールプログラムの使用可能となる(S7)。
【0028】
また引き続き、保守用端末装置1が作業エリア内である限り、保守作業に見合う各種ツールプログラムを管理センタ装置9から取得することができる。
【0029】
次に保守用端末装置1が作業エリアを外れた場合など、異常な状態となったことを管理センタ装置9が認知した時の実施形態を述べる。
【0030】
保守用端末装置1の位置情報を取得した(S3)なら、あらかじめ第2の記憶部14に登録されている保守用端末装置1の紛失、盗難届け情報から、紛失・盗難端末からのアクセスではないか判別を行ない(S9)、紛失・盗難端末であることが判別されれば、関連する部門、例えば警備会社もしくは紛失・盗難被害のあった営業所等に上記取得した位置情報を送信する(S11)。
【0031】
このように、保守用端末装置1に設けた位置情報送受信部4からの信号を管理センタ装置9で受信することにより、どの場所で使用されているか把握することができ、盗難された保守用端末装置1を取り戻すことができる。
【0032】
また、機能選択部12での保守用端末装置1の位置データと第2記憶部14に予め登録された作業日程データを比較判別した(S4)結果、保守用端末装置1の位置が作業エリアから外れていたとき、管理センタ装置9から保守用端末装置1に対してツールプログラム削除をする消去プログラム(コード)を送信する(S12)。保守用端末装置1はツールプログラムを即時停止しプログラムの消去を実施する(S13)。
【0033】
これにより、保守用端末装置1が盗難されても昇降機の保全を実施する作業ができないことになる。
【0034】
以上のように本発明によれば、保守用端末装置1から発信された位置情報と前記第2の記憶部14に記憶された作業現場位置とが一致しなかった場合には、前記保守用端末装置1に前記保守用プログラムを送信しないとともに、送信済みの保守用プログラムを消去する消去プログラムを送信するよう構成したため、予定された作業位置以外での保守用プログラムの格納を防止するとともに、作業後作業位置を離れたなら確実に保守用プログラムを消去することができ、保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクを大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明である保守用プログラム管理センタ装置と保守用端末装置とのネットワークへの接続方法を示すブロック図。
【図2】本発明である保守用プログラム管理センタ装置の制御動作を示すフローチャート図。
【符号の説明】
【0036】
1 保守用端末装置
2 制御部
3 通信部
4 位置情報送受信部
5 記憶部
6 表示部
7 入力部
8 広域ネットワーク
9 管理センタ装置
10 通信部
11 制御部
12 機能選択部
13 第1記憶部
14 第2記憶部
15 外部端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の保守用プログラムを記憶する第1の記憶部を有するとともに通信回線を介して接続される保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信する保守用プログラム管理センタ装置において、
前記保守用端末装置の使用が予定されている作業現場位置を記憶する第2の記憶部を設け、前記保守用端末装置から発信された位置情報と前記第2の記憶部に記憶された作業現場位置とが一致したときに前記保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信するよう構成したことを特徴とする保守用プログラム管理センタ装置。
【請求項2】
請求項1に保守用プログラム管理センタ装置において、前記保守用端末装置から発信された位置情報と前記第2の記憶部に記憶された作業現場位置とが一致しなかった場合には、前記保守用端末装置に前記保守用プログラムを送信しないとともに、送信済みの保守用プログラムを消去する消去プログラムを送信するよう構成したことを特徴とする保守用プログラム管理センタ装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−58303(P2007−58303A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239908(P2005−239908)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】