説明

保持装置

本発明による保持装置10は、少なくとも1つの長い溝部材12と、少なくとも1つのクリップ部材14とから構成されている。溝部材は、内部に溝22が形成されており、溝への入り口を提供する長いスロット24を有している。クリップ部材のそれぞれは、溝内に配置されるようになっている係合部28(図3)と、長いスロットを通るネック部によって係合部に接続された外部取付部30(図3)とを有している。係合部は、ある角度方位で、溝部材に挿入可能、または、溝部材から取り外し可能に長いスロットを通過できて、溝部材に挿入して他の角度方位に動かされると、溝部材から取り外されることを妨げるように長いスロットを通過できなくなる形状に形成されている。溝部材12に挿入されると、溝部材と接触するクリップ部材14の少なくとも一部は、溝部材と接触することによって、クリップ部材の溝部材に沿った長手方向への動きを妨げるようになっている摩擦材料34を備えている。保持装置10は、特に、車両の荷物室内用の荷物保持用システムとして使用するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置(retention system)に関するものである。本発明は、特に、車両の荷物室(luggage compartment)において使用する保持装置に関するものであるが、これに限定されるものではない。
【背景技術】
【0002】
荷物室内に置かれるアイテム(items)を保持するのに使用できる車両の荷物室の保持装置を備えることが知られている。そのような保持装置は、典型的には、荷物ストラップやネット等の保持用部材(retention members)を引っ掛けることができるヒンジで連結されたループ(hinged loops)の形をしている。従来のヒンジで連結されたループは、取り付けられた箇所の表面から突出するものであり、荷物室内に置かれたアイテムを損傷しやすい、または、損傷させてしまうおそれがある。さらに、貴重な収納スペースを侵食してしまうこともある。従来の保持装置は、ヒンジで連結されたループが所定の位置に固定されているために、荷物室に置くアイテムを特定の位置でしか保持できない、または、大型の保持用ストラップやネットを用いてしか固定できないという他の問題もある。
【0003】
車両の荷物室内のランナー(runners)にスライド可能に取り付けられた保持用部材を備えることも知られている。例えば、米国特許5,176,479号には、車両の荷物室に固定された、間隔をあけて配置された一組のレール部材(pair of spaced track members)にスライド可能に取り付けられた、はり部材(beam member)が開示されている。この保持装置は、所定の位置にはり部材を固定するために、各レール部材と組み合わせられたネジ山を付けられた留め具(screw threaded fastener)と雄ネジ切り(tap plate)を含む。この保持装置は、荷物の大きさに応じて、はり部材の位置を調整できるという利点がある。しかしながら、このシステムは、製造がとても複雑で且つ高価であり、また、限定的な適応性しか提供できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許5,176,479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来の保持装置のいくつかまたは全ての不便な点を克服する、または、少なくとも軽減する、改良した車両の荷物室の保持装置の要求がある。
【0006】
さらに、様々なアプリケーションで使用可能なシンプルな保持装置の要求もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの長い溝部材(elongate channel member)と、溝部材に挿入する1以上のクリップ部材(clip)とを備えた保持装置であって、溝部材は、内部に溝(internal channel)が形成されており、溝への入り口を提供する長いスロット(longitudinal slot)を有しており、クリップ部材のそれぞれは、溝内に配置されるようになっている係合部(engagement portion)と、長いスロットを通るネック部(neck)によって係合部に接続された外部取付部(external attachment portion)とを有しており、係合部は、ある角度方位で、溝部材に挿入可能、または、溝部材から取り外し可能に、長いスロットを通過することができ、そして溝部材に挿入して他の角度方位に動かされると、溝部材から取り外されることを妨げるように長いスロットを通過できなくなる形状に形成されており、溝部材に挿入されると溝部材と接触するクリップ部材の少なくとも一部は、溝部材と接触することによって、クリップ部材の溝部材に沿った長手方向への動きを妨げるようになっている摩擦材料(friction material)を備えることを特徴とする保持装置が提供される。
【0008】
本発明による保持装置では、クリップ部材は、溝部材の長手方向(length)に沿って所望の位置で溝部材内に挿入することができる。また、ストラップ、ネット等、または他のアイテム等の保持用部材を溝部材に固定するのに使用することができる。クリップ部材に対して力を加えると、溝部材に対してクリップ部材が傾き(rock)、クリップ部材が溝部材に沿ってスライドしないように、摩擦材料の領域を溝部材に接触させる。これによって、クリップ部材を一定の位置に固定するとてもシンプルで効果的な方法を提供する。
【0009】
保持装置は、複数のクリップ部材を備えていてもよく、各クリップ部材は、溝部材に、または、複数の溝部材のうちの1つに挿入できる。
【0010】
保持装置は、多くの場合、2以上の溝部材を備えており、それぞれ間隔をあけて配置される。この配置の場合、2つの溝部材に挿入された複数のクリップ部材は、その間に、保持用部材またはその他のアイテムを固定するのに使用することができる。複数の溝部材は、互いに平行に並べてもよいが、これは重要ではない。
【0011】
各クリップ部材の取付部は、保持用部材またはその他のアイテムを取り付けられるようになっていてもよい。取付部は、保持用部材を付加できるバックルループ(buckle loop)からなっていてもよい。様々なタイプの取付部を有する幅広い種類のクリップ部材を提供することができる。複数のクリップ部材は、別個のアイテムであってもよく、また、一体的に提供されても、保持用部材またはその他のアイテムが予め取り付けられていてもよい。
【0012】
クリップ部材の係合部は、第1の方向の大きさは、溝部材の長いスロットの幅よりも小さく、第2の方向の大きさは、長いスロットの幅よりも大きいのが望ましい。ネック部と係合部とは、概ね“T”字形を形成していてもよい。クリップ部材は、金属材料(metallic material)またはポリマー材料(polymeric material)などの耐荷重性材料(load bearing material)からできており、摩擦材料がオーバーモールド(over-moulded)またはコーティング(coated)されていてもよい。代わりに、摩擦材料は、耐荷重性コア(load bearing core)に取り付けられる別個のパッド(pads)やスリーブ(sleeves)の形態であってもよい。摩擦材料は、天然ゴム、合成ゴム(natural or synthetic rubber)またはポリマー材料であってもよい。
【0013】
少なくとも1つの長い溝部材は、ポリマー材料、金属材料またはその他の適切な材料を押出成形(extruded)により製造されていてもよい。少なくとも1つの溝部材は、略平らなベースの領域(generally planer base region)と、ベースから立ち上がって互いに向かって延びて、内部の溝を形成する湾曲した2つの側壁部の領域(side wall region)とからなり、2つの側壁部は、長いスロットを構成する間隔をあけた自由端(free ends)を有していてもよい。少なくとも1つの溝部材は、かなり堅い支持面(support surface)に固定されるようになっていてもよい。代わりに、少なくとも1つの溝部材が、柔軟性のあるマットに取り付けられていたり、一体にモールドされていてもよい。溝部材は、展示ユニット(display unit)、フレームワーク(framework)または棚(shelving)の構成等のように支持面と一体化した部品として提供してもよい。
【0014】
少なくとも1つのクリップ部材の取付部の一部は、係合部の一部と間隔をあけた関係で重なり(overlies in spaced relation)、取付部と係合部の重なる部分(overlying parts)の少なくとも対向する面は、摩擦材料を備えていてもよい。少なくとも1つのクリップ部材が、溝に係合すると、取付部に対する横方向の荷重(lateral load)がかかることによって傾いて、摩擦材料を備えた係合部の一部を溝部材の内面と接触させ、摩擦材料を備えた取付部の一部を溝部材の外面と接触させるように構成されていてもよい。ある実施例では、係合部は、ネック部の両側から同一平面(common plane)に延びる固定領域(locking region)を有しており、取付部は、係合部の固定領域と間隔をあけた関係で重なり、同一平面(same plane)に延びる対応する固定領域を有しており、係合部の固定領域及び取付部の固定領域の少なくとも対向する面は、摩擦材料を備えていてもよい。
【0015】
保持装置は、車両の荷物室内で使用する荷物保持装置としてもよい。保持装置は、車両の荷物室内に転動荷重トレー(rolling load tray)を取り付けるために使用してもよい。この場合には、保持装置は、間隔をあけて配置された一対の溝部材と、転動荷重トレーとを備え、転動荷重トレーは、溝部材に固定できる1以上のクリップ部材またはクリップ状の部材を用いて、一対の溝部材に取り付け可能であればよい。転動荷重トレーは、クリップ部材によって一対の溝部材に取り付け可能なベース(base)またはランナー(runner)を備え、転動荷重トレーは、動かせるようにベースまたはランナーに取り付けられていればよい。
【0016】
本発明の実施の態様を、例として、添付の図を参照して示す:
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態の保持装置の斜視図であり、溝部材にクリップ部材を挿入する前の状態を示す図である。
【図2】図1に示した図に似た図であるが、溝部材にクリップ部材を挿入した後の状態を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した保持装置のクリップ部材を形成する部分の斜視図である。
【図4】図3に示したクリップ部材の正面図である。
【図5】図3及び図4に示したクリップ部材の側面図である。
【図6】図1及び図2に示した保持装置の溝部材を形成する部分の斜視図である。
【図7】本発明による保持装置を使用している状態を示す車両の荷物室の一部を示す概略平面図であり、荷物を所定の位置に保持している状態を示す図である。
【図8】図1及び図2に示した保持装置で用いるクリップ部材の他の実施の形態を示す正面図である。
【図9】図8に示したクリップ部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による保持装置10は、少なくとも1つの長い溝部材12と、少なくとも1つのクリップ部材14とから構成されている。クリップ部材14は、溝部材12の長手方向に沿って所望の位置で溝部材12内に挿入することができる。実施する場合には、通常、間隔をあけて配置された少なくとも2つの溝部材12と、2つの溝部材の間に保持用部材またはその他のアイテムを取り付けるのに使用する複数のクリップ部材とを使用することが予想される。しかしながら、いくつかの実施の形態では、1つの溝部材のみを用いてもよい。
【0019】
溝部材12は、適切などのような材料からできていてもよいが、適切なポリマー材料または金属材料を押出成形により製造されたものであれば都合がよい。溝部材12は、平らなベース16と2つの湾曲した側壁部18,20を有している。側壁部18,20は、ベース16から離れる方向に、且つ、互いの方向に向かって延びて、内部に溝22を形成している。側壁部18,20の自由端は、長いスロット24を形成するために間隔をあけてあり、溝22への入り口を提供している。図6に示すように、溝部材のそれぞれは、適切な支持面に固定できる別部材であってもよい。溝部材は、支持面に一体的に組み込まれていてもよい。さらに他の実施の形態では、1以上の溝部材12をマット26や、車両の荷物室のような収納スペース内の床を覆う目的で使用する、他の表面覆いの一部として一体的に形成してもよい。溝部材12の長さは任意である。溝部材の取り付けを容易にするために、ベース16は、側壁部18,20を超えて横方向に延びている。
【0020】
湾曲した側壁部18,20と平らなベース16を有する溝部材12が特に効果的であるということがわかっているが、溝部材を他の輪郭を有するように形成してもよい(appreciated)。
【0021】
溝部材12と共に使用するクリップ部材14は、溝22に挿入する係合部28と、溝部材の外に残る外部取付部30を有している。係合部28と、外部取付部30は、長いスロットを通るネック部32によってつながっている。
【0022】
図5に示すように、係合部28は幅Wを有している。幅Wは、長いスロット24の幅及び図4に示す長さLよりも短い。長さLは、スロット24の幅よりも大きい。このことにより、図1に示すように、係合部をスロットに対して縦方向に配置すると、係合部28を挿入して、スロット24を通して外部に露出させることができる。スロット24に通して係合部を溝22に挿入すると、図2に示すように、クリップ部材14を90度ひねって、係合部をスロット24に対して横方向に配置することができる。この向きにすると、係合部28は、スロット24を通過することができなくなり、クリップ部材は、溝部材12に対して固定される。本実施の形態では、係合部は、ネック部の両側から同一平面に延びて“T”字のバーの部分を形成する固定領域を有しており、係合部28及びネック部32は、概ね“T”字形を形成しているが、溝内でクリップ部材をひねって固定することを可能とするのと同様の機能を発揮する他の形状を製造してもよい。
【0023】
クリップ部材14は、溝部材12の長手方向に沿って所望の位置で溝部材12内に挿入することができる。係合部28及び取付部30の溝部材12と接触する部分は、摩擦材料34でできている、または、摩擦材料34でコーティングされている、または、その他の方法で摩擦材料34を備えており、クリップ部材14が溝部材12に対してスライド動作することを阻止するようになっている。したがって、溝部材12にクリップ部材が挿入されれば、長手方向の一定の位置に止まるようになる。
【0024】
取付部30は、保持用部材またはその他のアイテムを取り付けられるようになっている。本実施の形態では、取付部30は、アイテムを留める(clipped)ことができる、バックルループ31の形状をしている。しかしながら、取付部30の構造は、用途による要求に従って変えてもよく、保持装置は、様々に作られた取付部を有する幅広い種類のクリップ部材を備えていてもよい。
【0025】
クリップ部材14の取付部30の一部は、係合部28の固定領域と間隔をあけた関係で重なる位置にある。クリップ部材が溝内に固定される際には、溝部材12の側壁部18,20は、係合部の固定領域と取付部の重なる部分の対向する面の間に位置することになる。クリップ部材14に対して横方向の力(lateral force)が加わった場合、クリップ部材は傾いて、係合部28の一部を側壁部18,20の少なくとも1つの内面と接触させ、取付部30の一部を側壁部18,20の少なくとも1つの外面と接触させる。このことにより、クリップ部材14を一定の位置に固定し、且つ、クリップ部材が溝部材に沿って動くことを阻止することができる。摩擦材料34の存在によって、クリップ部材の固定が補助され、且つ、クリップ部材14が溝部材に跡をつけることを防ぐことができる。摩擦材料34は、少なくとも係合部28と取付部30の重なる位置の対向する面に存在する。
【0026】
クリップ部材14は、しっかりとした、堅い、耐荷重性コア35を有していてもよい。コア35は、取付部30、ネック部32、少なくとも係合部28の一部及び摩擦材料34が適用された、または、取り付けられた部分を形成する。コア35は、しっかりとした堅いポリマー材料または金属材料から製造されてもよく、それに対してコーティングまたはオーバーモールドにより摩擦材料34を適用する。代わりに、別個の摩擦パッドまたはスリーブを堅いコアに取り付けてもよい。図示したように目立たない位置に摩擦材料34を適用するのではなく、クリップ部材が挿入された際に溝部材と接触するクリップ部材の表面全体に摩擦材料を適用してもよい。摩擦材料には、適切などのような材料を用いてもよいが、弾性的に変形する(resiliently deformable)材料が特に最適である。なぜなら、ある程度のクッション性(cushioning)を与え、溝部材12に跡がついたり、損傷したりすることを防ぐことができるためである。適切な摩擦材料は、天然または合成ゴムまたは他のポリマー材料を含むが、これに限定されない。
【0027】
図8及び図9は、他の実施の形態である保持装置10で使用するクリップ部材14’を示すものである。クリップ部材14’は、上述のクリップ部材14と似ており、金属材料、ポリマー材料または複合材料(composite material)でできた耐荷重性の適切な材料でできたコア35を有している。コア35が、係合部28、取付部30及びネック部32を形成している。ネック部32の両側の取付部30の下部表面(lower surface)及び係合部28の上部表面(upper surface)は、摩擦材料34が覆っている。摩擦材料34は、クリップ部材に荷重がかけられた際に、溝部材の側壁部18,20と接触するように設計されている。
【0028】
保持装置10は、表面にアイテムを取り付ける柔軟で使いやすい構成を提供する。クリップ部材14,14’は、溝部材12の長手方向に沿ってどこに挿入してもよく、荷重をかけられた(under load)クリップ部材の揺れる動き(rocking movement)及び摩擦材料によって自動的に一定の位置に保持される。各クリップ部材を所望の位置に固定するために、複雑な固定用の構成を必要としない。複数の溝部材12は、適切などのような表面上に配置されてもよく、水平、垂直またはその間のどのような角度の表面でもよい。
【0029】
図示されているように、クリップ部材14,14’は、荷物用ストラップ(luggage straps)、バンジーストラップ(bungee straps)、荷物用ネット(luggage nets)その他の取り付け可能なアイテム等の保持用部材とは別に提供してもよい。代わりに、クリップ部材は、保持用部材またはその他のアイテムと一体にまたは予め取り付けられた状態に形成してもよい。例えば、保持用のストラップの場合は、両端に適切なクリップ部材を有していてもよく、荷物用ネットの場合は、それぞれに適切なクリップ部材の着いた取付部を備えていてもよい。さらに、クリップ部材14,14’は、スーツケース、カバン、ゴルフバッグ等や、保持装置を用いて動かないようにするその他のアイテム等、様々な荷物類に予め付加させて(pre-affixed)おいてもよい。
【0030】
図7は、車両の荷物室36において使用する場合の典型的な構成を概略的に示している。2つの溝部材12a,12bを荷物室の床(floor)38に取り付けてある。溝部材12a,12bは、荷物室の縦方向に互いに対して平行になるように延びており、且つ、間隔をあけて配置されている。荷物室の床の上で、且つ、溝部材の間に置かれている荷物が荷物用ネット42によって一定の位置に保持されている。ネット42の各角にあるストラップ44は、クリップ部材14,14’に取り付けられている。クリップ部材14,14’は、対応する溝部材12a,12bのうちの1つに挿入されている。
【0031】
図7には、2つの溝部材12a,12bが示されているが、さらに適応性をあげるために、2つよりも多くの溝部材を荷物室に備えてもよい。さらに、溝部材12は、荷物室の側面(side surface)、前方面(front surface)及び/または後方面(rear surface)に取り付けてもよい。溝部材は、車両の荷物室を横方向に横断するように配置したり、どのような適切な向きに配置してもよい。
【0032】
保持装置を使用していない場合には、クリップ部材14,14’は、溝部材12から取り外すことができ、損傷したり、荷物室内にあるその他のアイテムを損傷することがない。このことにより、荷物室の床面積(floor space)の全てを使用できることになる。クリップ部材を取り除くと、溝部材は、荷物室に荷物を滑り込ませるためのランナーの役割を果たす。また、間隔をあけて配置された複数の溝部材12は、溝部材に挿入するクリップ状の部材を用いて、荷物室内に転動荷重を補助するトレー(rolling load assist tray)を取り付けるのに使用してもよい。そのような構成は、クリップ部材14,14’を用いて溝部材12に取り付けられたベースまたはランナーと、ベースまたはランナーに動かせるように取り付けられた荷重トレーから構成されてもよい。
【0033】
溝部材12は、車両内の堅い支持面に固定されていてもよい。しかしながら、上述のように、特に荷物室の床で使用する場合には、溝部材12a,12bは、柔軟性のあるマット26と一体に形成してもよく、また、マット26に取り付けて使用してもよい。このケースでは、荷物の重さにより、マット26は一定の位置に保持されることになる。
【0034】
ここで示した実施の形態の保持装置10は、特に、車両の荷物室内でアイテムを保持するために使用するようになっている。しかしながら、本発明による保持装置は、幅広い実施例に適用することができる。例えば、本発明による保持装置は、陳列(display)や展示(exhibition)のためにアイテムを保持するために使用することができる。その場合には、溝部材は、展示するアイテムを保持するために、フレームやボードに組み込まれたり、または、取り付けられたりしてもよい。本発明による保持装置は、棚またはその他の収納の構成においてアイテムを保持するようにすることもできる。
【0035】
請求の範囲に定義された本発明の範囲を逸脱することなく、上述の構成に様々な変更や改良を加えることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの長い溝部材と、
前記溝部材に挿入する少なくとも1つのクリップ部材とを備えた保持装置であって、
前記溝部材は、内部に溝が形成されており、前記溝への入り口を提供する長いスロットを有しており、
前記クリップ部材のそれぞれは、前記溝内に配置するようになっている係合部と、前記長いスロットを通るネック部によって前記係合部に接続された外部取付部とを有しており、
前記係合部は、ある角度方位で、前記溝部材に挿入可能、または、前記溝部材から取り外し可能に前記長いスロットを通過することができ、そして前記溝部材に挿入して他の角度方位に動かされると、前記溝部材から取り外されることを妨げるように前記長いスロットを通過できなくなる形状に形成されており、
前記溝部材に挿入されると前記溝部材と接触する前記クリップ部材の少なくとも一部は、前記溝部材と接触することによって、前記クリップ部材の前記溝部材に沿った長手方向への動きを妨げるようになっている摩擦材料を備えることを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記保持装置が、間隔をあけて配置された少なくとも2つの前記溝部材を備える請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記クリップ部材の前記取付部が、保持用部材またはその他のアイテムを取り付けられるようになっている請求項1または2に記載の保持装置。
【請求項4】
少なくとも1つの前記クリップ部材の前記取付部が、バックルループからなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項5】
前記保持装置が、少なくとも1つの前記クリップ部材に取り付けられた少なくとも1つの前記保持用部材を備えている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項6】
少なくとも1つの前記クリップ部材の前記係合部が、第1の方向の大きさは、前記溝部材の前記長いスロットの幅よりも小さく、第2の方向の大きさは、前記長いスロットの幅よりも大きい請求項1乃至5のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記クリップ部材の前記ネック部と前記係合部とが、実質的にT字形を形成している請求項1乃至6のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記クリップ部材の少なくとも一部が、金属材料またはポリマー材料などの耐荷重性材料からできており、前記摩擦材料がオーバーモールドまたはコーティングされている請求項1乃至7のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項9】
少なくとも1つの前記クリップ部材が、耐荷重性コアを有しており、
前記摩擦材料は、前記耐荷重性コアに取り付けられる別個のパッドやスリーブの形態である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項10】
前記摩擦材料が、弾性的に変形する材料である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項11】
前記摩擦材料が、天然ゴム、合成ゴムまたはポリマー材料である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項12】
少なくとも1つの前記溝部材が、押出成形により製造されている請求項1乃至11のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記溝部材が、略平らなベースの領域と、前記ベースから立ち上がって互いに向かって延びて、内部に前記溝を形成する湾曲した2つの側壁部の領域とからなり、
前記2つの側壁部は、前記長いスロットを構成する間隔をあけた自由端を有している請求項1乃至12のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項14】
少なくとも1つの前記溝部材が、支持面に固定されるようになっている請求項1乃至13のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項15】
少なくとも1つの前記溝部材が、柔軟性のあるマットに取り付けられている、または、一体にモールドされている請求項1乃至13のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項16】
前記クリップ部材のそれぞれの前記取付部の一部は、前記係合部の一部と間隔をあけた関係で重なり、
前記取付部と前記係合部の重なる部分の少なくとも対向する面は、前記摩擦材料を備えている請求項1乃至15のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項17】
前記クリップ部材のそれぞれが、前記溝に係合すると、前記取付部に対する横方向の荷重がかかることによって傾いて、前記摩擦材料を備えた前記係合部の一部を前記溝部材の内面と接触させ、前記摩擦材料を備えた前記取付部の一部を前記溝部材の外面と接触させるように構成されている請求項16に記載の保持装置。
【請求項18】
前記係合部が、前記ネック部の両側から同一平面に延びる固定領域を有しており、
前記取付部が、前記係合部の前記固定領域と間隔をあけた関係で重なり、同一平面に延びる、対応する固定領域を有しており、
前記係合部の固定領域及び前記取付部の固定領域の少なくとも対向する面は、前記摩擦材料を備える請求項16または17に記載の保持装置。
【請求項19】
前記溝部材の各側壁部は、1つの前記クリップ部材または複数の前記クリップ部材が前記溝部材に係合している場合に、前記クリップ部材の前記係合部および前記取付部の対向する面の間に受け入れられている請求項13に記載の保持装置、または、請求項13に従属する請求項14乃至18のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項20】
前記保持装置が、車両の荷物室内で使用する荷物保持装置である請求項1乃至19のいずれか1項に記載の保持装置。
【請求項21】
前記保持装置が、間隔をあけて配置された一対の前記溝部材と、転動荷重トレーとを備え、
前記転動荷重トレーは、1以上の前記クリップ部材を用いて、一対の前記溝部材に取り付け可能である請求項1に記載の保持装置。
【請求項22】
前記転動荷重トレーが、1以上の前記クリップ部材によって一対の前記溝部材に取り付け可能なベースまたはランナーを備え、
前記転動荷重トレーは、動かせるように前記ベースまたは前記ランナーに取り付けられた請求項20に記載の保持装置。
【請求項23】
添付の図1乃至5、または、図6、または、図7、または、図8及び図9に関連して、または、これらに図示された上記に実質的に記載の保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2013−501676(P2013−501676A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524269(P2012−524269)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001431
【国際公開番号】WO2011/020986
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(502407266)ベントレー モーターズ リミテッド (9)
【Fターム(参考)】